説明

熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体およびその製造方法

【課題】高密度でSNRを高めた熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体である。該磁気記録媒体が、非磁性基体、磁気記録層、保護層、および液体潤滑層をこの順に含み、該磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、該非磁性部が炭素系材料を含み、該磁気記録媒体の表面が、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを有し、Ra/RSmが0.05以上0.15以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体の高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。この方式で磁気記録される媒体(垂直磁気記録媒体)は、非磁性材料から形成される非磁性基体および磁性材料から形成される磁気記録層を含み、軟磁性材料から形成されていて磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる役割を担う裏打ち層、磁気記録層を目的の方向に配向させる下地層、磁気記録層の表面を保護する保護層などをさらに含んでもよい。
【0003】
垂直磁気記録媒体の磁気記録層として、CoCrPt、CoCrTa等の合金材料にSiO2、TiO2などの非磁性体を添加したグラニュラー構造を有する磁気記録層(グラニュラー磁性層)が提案されている(特許文献1を参照)。たとえば、CoCrPt−SiO2グラニュラー磁性層では、CoCrPtの磁性結晶粒の周囲を取り囲むようにSiO2非磁性体が偏析し、このSiO2非磁性体によって個々のCoCrPt磁性結晶粒が磁気的に分離されている。
【0004】
近年、グラニュラー磁性層中の磁性結晶粒の粒径を縮小することで、磁化反転単位を小さくし、磁気ヘッドにより記録される信号の単位となる記録ビットをより微細にすることで、垂直磁気記録媒体の記録密度をより一層向上させることが必要とされている。しかしながら、磁性結晶粒の粒径の縮小は、記録された磁化の熱安定性を低下させる。そこで、磁性結晶粒の粒径の縮小による熱安定性の低下を補償するために、グラニュラー磁性層中の磁性結晶粒を結晶磁気異方性のより高い材料で形成することが提案されている。
【0005】
求められる高い結晶磁気異方性を有する材料として、L10系規則合金がある。L10系規則合金の薄膜を製造するために、種々の方法が提案されている(特許文献2を参照)。一般に、磁気記録媒体には、強度、耐衝撃性などの点からアルミニウムまたはガラス製の非磁性基体が用いられており、このような非磁性基体の表面にL10系規則合金層を形成する場合、下地層が重要となる。なぜなら、磁性結晶粒に高い結晶磁気異方性を持たせるために、L10系規則合金の結晶を(001)配向にする(結晶の[001]軸を基板面に対して垂直にする)必要があるためである。そのため、一般に、L10系規則合金に対して適当な格子ミスフィットを有する(格子整合性の高い)MgOまたはSrTiO3が下地層として用いられている。
【0006】
一方、磁気記録層の厚さは媒体面内方向に一様であるため、磁化反転単位を小さくしていくことは、磁化反転単位の高さを一定にして横断面積を小さくしていくことを意味する。その結果、磁化反転単位自身に作用する反磁界が小さくなり、反転磁界は大きくなる。このように、磁化反転単位の形状で考えた場合、記録密度を高めることは、より大きな書込み磁界を必要とする。
【0007】
書込み能力の課題に対して、磁気記録媒体およびヘッドの組み合わせで考える熱アシスト記録という記録方式が提案されている。これは、磁性材料における磁気異方性定数Kuの温度依存性、すなわち高温ほどKuが小さいという特性を利用したものである。この方式では、磁気記録媒体を加熱して磁気記録層のKuを一時的に低下させることにより反転磁界を低減させ、その間に書込みを行う。温度が戻った(下がった)後はKuが元の高い値に戻るため、安定して記録信号を保持できるというものである。熱アシスト記録に適した磁気記録媒体を製造する場合、磁気記録層の設計としては、従来の指針に加え、温度特性を考慮する必要が出てくる。
【0008】
記録ビットの遷移幅は、磁気記録媒体の磁化反転単位のサイズと、ヘッドの磁界勾配および温度勾配により決定される。記録密度向上のためには、記録ビットの遷移幅を小さくすることが必須であり、特にレーザーにより発生させる加熱スポットの温度勾配を急峻にすることが重要である。この点に関して、例えば、磁気記録媒体中に放熱層を付与する方法が提案されている(特許文献3を参照)。放熱層は、加熱スポットに応じた厚さを必要とするが、前述のように、厚さが厚ければ厚いほど大きな放熱効果を有する。しかしながら、放熱層の厚さを増加させると、磁気記録媒体表面の凹凸が大きくなる。磁気記録層より下層の凹凸が大きくなると、その上層の磁気記録層の微細構造、特に結晶配向性および磁性結晶粒子のサイズ制御に影響を及ぼし、これは結晶配向性を悪化させ、粒子サイズのばらつきを大きくする。そのため、放熱層の厚さの過度の増大は、磁気記録媒体の高密度化の障害になる。この課題に対して、上記提案の磁気記録媒体は、二層の放熱層が軟磁性裏打ち層を挟んだ層構成を有することを特徴とする。放熱層および軟磁性裏打ち層が共に複数の層からなり、各放熱層と各軟磁性裏打ち層とが交互に積層される層構成を有することが好ましいとされている。このようにして放熱効果を高めた上で、磁気記録媒体表面の凹凸を減らし、高密度化を達成する方法が開示されている。更に、熱アシスト記録方式に対応する媒体として、高密度の書き込みと、温度特性の制御を両立させる磁気記録媒体が提案されている(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−291230号公報
【特許文献2】特許第3318204号
【特許文献3】特開2010−182386号公報
【特許文献4】特開2009−93780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、放熱効果を増大させるために放熱層の厚さを厚くすることは、磁気記録媒体の高密度化の障害になる。特に、磁気記録媒体表面の凹凸が大き過ぎると、磁気ヘッドの浮上が不安定になり、信号書込みおよび読み取り時のギャップ長が変動してしまい、SNR(シグナル・ノイズ比)の低下などを引き起こす。また、二層の放熱層が軟磁性裏打ち層を挟んだ層構成を採用する場合、下層から上層まで真空一括成膜ラインで生産する際には、放熱層を複数層形成するために、層数に応じたチャンバー数が必要になり、それだけ設備投資費用が大きくなり、好ましくない。
【0011】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであって、本発明の課題は、高密度でSNRを高めた熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明者らは、第1の態様として、熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体であって、該磁気記録媒体が、非磁性基体、磁気記録層、保護層、および液体潤滑層をこの順に含み、該磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、該非磁性部が炭素系材料を含み、該磁気記録媒体の表面が、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを有し、Ra/RSmが0.05以上0.15以下であることを特徴とする磁気記録媒体を提供する。あるいは、本発明者らは、熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体であって、該磁気記録媒体が、非磁性基体、磁気記録層、保護層、および液体潤滑層をこの順に含み、該磁気記録層が、下磁気記録層、交換結合制御層、および上磁気記録層をこの順に含み、該下磁気記録層および該上磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、該下磁気記録層および該上磁気記録層の少なくとも一方の該グラニュラー構造の該非磁性部は、炭素系材料を含み、該磁気記録媒体の表面が、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを有し、Ra/RSmが0.05以上0.15以下であることを特徴とする磁気記録媒体を提供する。
【0013】
あるいは、本発明者らは、第2の態様として、非磁性基体上に、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有する磁気記録層を形成する工程と、該磁気記録層上に保護層を形成する工程と、該保護層上に液体潤滑層を形成する工程とを含み、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、該非磁性部が炭素系材料を含むことを特徴とする熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体の製造方法を提供する。あるいは、本発明者らは、非磁性基体上に下磁気記録層を形成する工程と、該下磁気記録層上に交換結合制御層を形成する工程と、該交換結合制御層上に上磁気記録層を形成する工程と、該上磁気記録層上に保護層を形成する工程と、該保護層上に液体潤滑層を形成する工程とを含み、該下磁気記録層および該上磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、該下磁気記録層および該上磁気記録層の少なくとも一方の該グラニュラー構造の該非磁性部は、炭素系材料を含むことを特徴とする熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【0014】
このような第1の態様および第2の態様の場合、該炭素系材料がCであることが好ましく、該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が20体積%以上30体積%以下であることが好ましい。あるいは、該炭素系材料がBCであることが好ましい。さらに、該非磁性基体と該磁気記録層との間に、軟磁性裏打ち層、中間層およびヒートシンク層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに含むことが好ましい。あるいは、該非磁性基体と該磁気記録層との間に、軟磁性裏打ち層、中間層、およびヒートシンク層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高密度でSNRを高めた熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体を提供でき、リードライト特性に優れた熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体を提供できる。以下に詳細に説明するように、本発明者らは、磁性部および磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造において、非磁性部が磁性部に対して凹みになる材料を磁気記録層に用いることで、放熱性に優れていて高記録密度に対応し得る磁気記録媒体を提供できることを見出した。本発明者らは、磁気記録層にあえて適度な凹凸を形成することで、高密度でSNRを高めた熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体を提供できることを見出したのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態を説明するための断面模式図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の別の実施形態を説明するための断面模式図であり、複数の磁性材料の積層体が、下磁気記録層および上磁気記録層、ならびにこれらの間の交換結合制御層の三層からなる構成の例を示す。
【図3】磁気記録層のグラニュラー構造の例を示す平面図である。
【図4】実施例1において、上磁気記録層を80体積%(Co80Cr15Pt5)−20体積%BCターゲットで形成したもののTEM画像の観察例である。
【図5】比較例2において、上磁気記録層を80体積%(Co80Cr15Pt5)−20体積%SiO2ターゲットで形成したもののTEM画像の観察例である。
【図6】従来の磁気記録媒体の構成例を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図6は、従来の磁気記録媒体の構成例を説明するための模式断面図である。図1および図6共に、非磁性基体1と、非磁性基体1の上に順次設けられる軟磁性裏打ち層2、中間層3、磁気記録層4(40)、保護層5および液体潤滑層6とを有する。
【0019】
非磁性基体1としては、表面が平滑である様々な基体を用いることができ、例えば、磁気記録媒体に用いられる、NiPメッキを施したAl合金、強化ガラス、結晶化ガラス等を用いることができる。
【0020】
軟磁性裏打ち層2は、磁気ヘッドからの磁束を制御して記録・再生特性を向上するために形成することが好ましい層である。この層は省略することも可能である。軟磁性裏打ち層2としては、例えば、結晶質のNiFe合金、センダスト(FeSiAl)合金、CoFe合金等、微結晶質のFeTaC、CoFeNi、CoNiP等を用いることができる。なお、軟磁性裏打ち層2の厚さの最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造および特性によって変化するが、軟磁性裏打ち層2を他の層と連続的に形成する場合などは、生産性との兼ね合いから10nm以上500nm以下であることが望ましい。軟磁性裏打ち層2の形成方法としては、通常、スパッタ法が採用される。
【0021】
中間層3は、軟磁性裏打ち層2および磁気記録層4の密着性を確保し、磁気記録層4の結晶粒子径および結晶配向を制御することを目的として用いられる層である。この層は省略することも可能である。従って、中間層3の結晶構造は、上層の磁気記録層材料に合わせて適宜選択することが必要であるが、非晶質材料を中間層3の層中に用いたものも可能である。例えば、中間層3の直上の磁気記録層4に、六方最密充填(hcp)構造を取るCoを主体とした材料を用いる場合は、中間層3にも同じhcp構造もしくは面心立方(fcc)構造をとる材料を用いるのが好ましい。具体的には、Ru、Re、Rh、Pt、Pd、Ir、Ni、Coあるいはこれらを含む合金材料を中間層3に用いるのが好ましい。磁気記録層4にL10系規則構造をとるCoPt、FePtを主体とした材料を用いる場合は、中間層3としてNiW、Ta、Cr、Ru、MgOまたはそれらを含む合金を用いることができ、さらに、それらを複数枚積層したものを用いることができる。中間層3の厚さは、磁気記録層4の結晶性向上、耐久性、リードライト特性、および生産性との兼ね合いから選択される。中間層3の厚さは、薄いほどヘッド磁界が強まり書込み容易性は向上するが、5〜100nmが好ましい。
【0022】
磁気記録層4は、グラニュラー構造を有する層から構成される。図3に磁気記録層4のグラニュラー構造の平面図の例を示す。グラニュラー構造は、磁性元素を主体とした柱状の磁性部(磁性粒子ともいう)4Aが非磁性部4Bで隔てられた(取り囲まれた)構造をとる。記録密度の増加に対応するため、磁性部4Aのピッチは短い方が好ましいが、熱揺らぎの問題および信号の読み取りの点を考慮して、磁性部4A自体は大きい方が好ましい。そのため、非磁性部4Bは、各磁性部4A間の磁気的結合を小さくする範囲でなるべく狭いことが望ましい。磁性部4Aの直径は、3〜10nm程度が好ましく、非磁性部4Bの幅は、0.1〜4nm程度が好ましい。なお、磁気記録層4における非磁性部4Bの割合が15体積%以上30体積%以下であるため、高記録密度で良好な信号特性の磁気記録媒体が得られる。
【0023】
磁気記録層の磁性部4Aとしては、CoPt合金に、Cr、B、Ta、Wなどの金属を添加した磁性粒子が好ましく用いられる。磁気記録層4は、磁性部4Aを構成する材料と非磁性部4Bを構成する材料との混合物からなるターゲットを用いるスパッタ法(DCマグネトロンスパッタ法)などによって形成することができる。また、磁性部4Aとして、Kuの高い磁性材料であるL10系規則合金を用いることができる。L10系規則合金としては、CoPt、FePtまたはこれらにNiまたはCuなどを添加した合金を用いることができる。非磁性部4Bは、各磁性部4A間の磁気的結合を小さくする範囲でなるべく薄いことが望ましい。そのため、非磁性部4Bとしては、磁性部4Aを磁気的に分離して磁性部4A中への固溶が少ない材料が好適である。非磁性部4Bとして、例えば酸化物、炭素系材料、または酸化物および炭素系材料の混合体を使用することができる。酸化物は、SiO2、TiO2、MgO等とすることができ、炭素系材料は、カーボン(C);BC、BC、SiC等の各種炭化物とすることができる。なお、後述する実施例1、3では、非磁性部4BにそれぞれBC、Cを用いたが、非磁性部4Bの材料はこれらに限定されない。
【0024】
保護層5は、従来使用されている硬質保護層とすることができ、例えば、カーボンを主体とする硬質保護層とすることができる。保護層5は、単層とすることができ、あるいは、異なる性質の二層カーボンの積層体、金属層およびカーボン層の積層体、または酸化物層およびカーボンの積層体とすることもできる。
【0025】
液体潤滑層6として、例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。液体潤滑層6は、磁気記録媒体の液体潤滑層材料として一般的に用いられる様々な潤滑材料を用いて形成することもできる。
【0026】
なお、以下で説明されるように、本発明における磁気記録層は、複数の磁性材料の積層体として構成されていてもよい。この場合、複数の磁性材料の積層体は、交換結合制御層を隔てて、ECC(Exchange−Coupled Composite)構造を有する。この場合、複数の磁性材料の積層体のうちの少なくとも1層は、磁性部が非磁性部(炭素系材料からなる)で囲まれたグラニュラー構造を有することになる。なお、以下に示すように、複数の磁性材料の積層体のうち、上磁気記録層のみが炭素系材料を含むことが好ましいが、別の実施態様においては、下磁気記録層のみが炭素系材料を含んでいてよく、あるいは上磁気記録層および下磁気記録層がいずれも炭素系材料を含んでいてよい。
【0027】
図2は、本発明の磁気記録媒体の別の実施形態を説明するための断面模式図であり、上述の複数の磁性材料の積層体が、下磁気記録層4−1および上磁気記録層4−3、ならびにこれらの間の交換結合制御層4−2の三層からなる構成の例を示す。図2に示すように、2つに分かれた磁性部4Aは上下に並んで同じところに位置し、非磁性部4Bは磁性部4Aの周囲に位置にするため、下側の磁性部4Aから上側の磁性部4Aまでの部分は、下磁気記録層4−1から交換結合制御層4−2を貫いて上磁気記録層4−3まで柱状に成長した構造となる。このような構造とすると、下側の磁性部4Aから上側の磁性部4Aまでの部分が各々結合し、その周囲が非磁性部4Bで隔てられることで独立した磁化反転単位となる。磁気記録層の記録信号の書込みおよび読み取りとの兼ね合いから、上記積層体の厚さは、おおむね5nm以上50nm以下であることが望ましい。
【0028】
ここで、熱アシスト記録装置では、磁気記録媒体の磁気記録層のうち、高温域に信号を書込み、低温域には記録しないという、温度領域の差によって記録ビットを制御している。熱アシスト用ヘッドのレーザーにより磁気記録媒体の記録ビット領域のみを信号記録温度に加熱し、記録後は記録ビット領域を速やかに信号記録温度よりも低温に冷却することが望ましい。そのため、磁気記録層の放熱性を高くすることが必要である。図1および図2の磁気記録媒体においては、図6に示す従来の磁気記録媒体と比較して、磁気記録媒体の磁気記録層に適度な凹凸を形成しているため磁気記録媒体の表面積が大きくなっている。これにより、磁気記録媒体の表面の放熱性が顕著に向上している。さらに、ハードディスクドライブにおける記録再生時には、磁気記録媒体が高速で回転し、磁気記録媒体とスライダーとの間に高速な空気の流れが生じており、この空気の流れにより磁気ヘッドが浮上している。本発明の磁気記録媒体では、磁気記録媒体の表面積が大きくなっていることで、表面での空気の流れが乱れる。そのことで、磁気記録媒体の表面からの熱拡散が大きくなり、放熱性が顕著に高められている。
【0029】
特に、交換結合制御層を採用した場合に磁気記録媒体表面の凹凸が冷却効果を増大させることに関しては、例えば次のように説明することができる。一般に、ある層の成膜が進んで厚膜になると、磁性粒子(磁性部)が面内方向に結晶成長して肥大化し、磁性粒子のサイズが大きくなる。ここで、成膜の途上で成膜を中断し再度成膜を行なうと、結果として形成される磁性粒子のサイズは大きくならない。即ち、膜厚が小さいうちに結晶成長を一旦中断して再度結晶成長させると、結果として形成される磁性粒子はそのまま結晶成長させた場合に比べて小さくなるのである。例えば、10nmの層を連続して成膜する場合と、5nm成膜して中断して更に5nm成膜する場合とでは、得られる磁性粒子のサイズが異なり、後者の2回に分けて成膜する場合の方が、得られる磁性粒子のサイズが小さくなる。これは、磁性粒子の結晶成長が一旦リセットされて、再度結晶成長が始まるためである。本願の図2に示された例においては、磁気記録層を分断して(すなわち下磁気記録層4−1および上磁気記録層4−3の間に)交換結合制御層4−2を形成したため、上記の理由で磁性粒子を小さくすることができ、磁気記録媒体の記録密度を一層向上できるようになっている。また、磁気記録層を構成する材料が同じ場合を検討するならば、磁性部および非磁性部の表面エネルギー差は同じであるため、磁気記録層の磁性部および非磁性部の粗さまたは凹凸を形成する力も同じとなる。従って、磁性粒子が小さく粗さまたは凹凸が同じならばRa/RSmは大きくなり、結果として磁気記録媒体表面の表面積を増大させて冷却効果を一層向上できるようになっている。更に、保持力Hc、キュリー温度Tcの異なる材料を用いてECCさせることで、保持力Hcとキュリー温度Tcを適正な値で層設計することが可能である。
【0030】
このように、本発明者は、非磁性部4BがCまたはBCなどの炭素系材料を含むことで、磁性部4Aに対して非磁性部4Bが凹となり、磁気記録媒体の磁気記録層に凹凸を形成できることを見出した。本発明者は、グラニュラー構造を有する磁気記録媒体の表面にあえて適度な高さまたは深さ(算術平均粗さRa)およびピッチ(曲線要素の平均長さRSm)の凹凸を付与することで、SNR特性が良好となり、熱アシスト記録時の書込みトラック幅が狭められることを見出した。本発明者は、SNR特性および書込みトラック幅が、磁気記録媒体表面の凹凸の高さまたは深さおよびピッチに関連していることを見出し、具体的には、以下の実施例に示されるように、JISB0601における算術平均粗さRaおよび曲線要素の平均長さRSmにおいて、Ra/RSmが0.05以上0.15以下の範囲であると良好なSNR特性および書込みトラック幅が得られることを見出したのである。
【0031】
磁気記録媒体を生産する際にチャンバー数の大幅な増加とならない範囲において、非磁性基体と軟磁性裏打ち層との間に、熱伝導率の高い材料でヒートシンク層を形成しても良い。この場合のヒートシンク層としては、熱伝導率の高いCu、Al、Agおよびそれらを主成分とする合金が好ましい。
【0032】
非磁性基体1の上に積層される各層は、磁気記録媒体の分野で通常用いられる様々な成膜技術によって形成することが可能である。液体潤滑層を除く各層の形成には、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法を用いることができる。液体潤滑層を形成するためには、例えばディップ法、スピンコート法を用いることができる。しかし、液体潤滑層の形成方法は、これらに限定されない。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の磁気記録媒体およびその製造方法を、実施例および比較例を参照して詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1においては、非磁性基体、その上に順次設けられるCoZrNb軟磁性裏打ち層、NiCrMo/Ru中間層、三層構造のCoCrPt系グラニュラー磁気記録層(Ru交換結合制御層を含む)、C保護層、および液体潤滑層を有する垂直磁気記録媒体を作製した。
【0034】
まず、非磁性基体として表面が平滑な化学強化ガラス基体(HOYA社製N−10ガラス基体)を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、CoZrNbターゲットを用いて膜厚50nmのCoZrNb非晶質軟磁性裏打ち層を形成した。次にNiCrMo層およびRu層からなる二層構造の中間層を形成した。具体的には、NiCrMoターゲットを用いて膜厚5nmのNiCrMo層を形成し、その上に、Ruターゲットを用いて膜厚20nmのRu層を形成した。
【0035】
次に、下磁気記録層として、第1表に記載のBC割合xと同じ割合のTiO2でTiO2およびCo70Cr10Pt20を混合した(100−x)体積%(Co70Cr10Pt20)−x体積%(TiO2)ターゲット(x=10〜45)を用いて、膜厚6nmのCoCrPt−TiO2層を形成した。その上に、交換結合制御層として膜厚0.1nmのRu層を形成した。さらに、上磁気記録層として、第1表に記載のBC割合xでCo80Cr15Pt5およびBCを混合した(100−x)体積%(Co80Cr15Pt5)−x体積%BCターゲット(x=10〜45)を用いて、膜厚10nmのCoCrPt−BC層を形成し、三層構造の磁気記録層を得た。
【0036】
第1表 実施例1の結果

【0037】
最後にカーボンターゲットを用いてCからなる膜厚2nmの保護層を形成後、真空装置から取り出した。
【0038】
全ての層の形成は、Arガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタリング法により行った。
【0039】
その後、パーフルオロポリエーテルからなる膜厚2nmの液体潤滑層をディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0040】
[比較例2]
比較例2においては、磁気記録層の構成を以下の手順で行ったことを除いて、実施例1と同一の手順により磁気記録媒体を作製した。
具体的には、下磁気記録層として、第2表に記載のSiO2割合yと同じ割合のTiO2でCo70Cr10Pt20およびTiO2を混合した(100−y)体積%(Co70Cr10Pt20)−y体積%(TiO2)ターゲット(y=10〜50)を用いて、膜厚6nmのCoCrPt−TiO2層を形成した。その上に、交換結合制御層として膜厚0.1nmのRu層を形成した。さらに、上磁気記録層として、第2表に記載のSiO2割合yでCo80Cr15Pt5およびSiO2を混合した(100−y)体積%(Co80Cr15Pt5)−y体積%SiO2ターゲット(y=10〜50)を用いて、膜厚10nmのCoCrPt−SiO2層を形成した。
【0041】
第2表 比較例2の結果

【0042】
[実施例3]
実施例3においては、非磁性基体、その上に順次設けられるCoZrNb軟磁性裏打ち層、NiCrMo/MgO中間層、規則化合金系FePtグラニュラー磁気記録層、C保護層、および液体潤滑層を有する垂直磁気記録媒体を作製した。
【0043】
まず、非磁性基体として表面が平滑な化学強化ガラス基体(HOYA社製N−10ガラス基体)を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、CoZrNbターゲットを用いて膜厚50nmのCoZrNb非晶質軟磁性裏打ち層を形成した。次にNiCrMo層およびMgO層からなる二層構造の中間層を形成した。具体的には、NiCrMoターゲットを用いて膜厚5nmのNiCrMo層を形成し、その上に、MgOターゲットを用いて膜厚20nmのMgO層を形成した。
【0044】
次に、磁気記録層として、第3表に記載のC割合zでFe50Pt50およびCを混合した(100−z)体積%(Fe50Pt50)−z体積%Cターゲット(z=10〜40)を用いて、膜厚10nmのFe50Pt50−C層を得た。
【0045】
第3表 実施例3の結果

【0046】
最後にカーボンターゲットを用いてCからなる膜厚2nmの保護層を形成後、真空装置から取り出した。
【0047】
MgO層を除く層の形成は、Arガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタリング法により行った。MgO層の形成は、Arガス雰囲気中でRFスパッタリング法により行った。
【0048】
その後、パーフルオロポリエーテルからなる膜厚2nmの液体潤滑層をディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0049】
以下、実施例1、3および比較例2の評価結果について説明する。断面TEM観察により、表面粗さの状態を観察した。各サンプルの適当な位置の100nm幅の領域を断面TEMにより観察し、磁気記録媒体表面の凹凸(粗さ)を確認しながら、JISB0601に従って、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定した。また、半導体レーザーが発生する波長785nmの光を導くための光導波路、および近接場光を発生させるための散乱体を備えた磁気記録ヘッドを用いて、電磁変換特性を測定した。記録時には半導体レーザーを100mWで発生させ、近接場光でのエネルギーがクロストラック方向に80nm程度の幅で入射できるようにした。ヘッドライトポールのクロストラック方向の幅は、200nmであり、最大ヘッド磁場は5kOe(398A/mm)出力とした。また、記録再生時には2.5インチ磁気記録媒体を5400rpmで回転させ、磁気記録媒体の基板の中周部分での記録再生を行った。SNR特性および書込みトラック幅を測定した。書込みトラック幅は、トラックプロファイルの半値幅とした。
【0050】
図4は、実施例1において、上磁気記録層を80体積%(Co80Cr15Pt5)−20体積%BCターゲット(第1表のx=20)で形成したサンプルのTEM観察結果を示す。Ru中間層表面ではほとんど凹凸が見られず、CoCrPt−BC層表面で凹凸が大きくなっていることがわかる。なお、実施例1の各サンプルを観察した結果、実施例1のxが15以上の断面構造で、磁気記録層より下層では表面の凹凸はほとんど見られないものの、磁気記録層以上の層で表面の凹凸が見られた。
【0051】
図5は、比較例2において、上磁気記録層を80体積%(Co80Cr15Pt5)−20体積%SiO2ターゲット(第2表のy=20)で形成したサンプルのTEM観察結果を示す。CoCrPt−SiO2層表面の凹凸はほとんどないことがわかる。
【0052】
実施例1、比較例2、および実施例3で作製したサンプルにおける算術平均粗さRa、粗さ曲線要素の平均長さRSm、Ra/RSm、SNR特性、および書込みトラック幅の結果を、それぞれ第1表、第2表および第3表にまとめて示す。なお、高記録密度で良好な信号特性を得る目的から、SNR10dB以上、かつ、書込みトラック幅90nm以下を良品として判定した。
【0053】
この結果、グラニュラー構造中の非磁性部(SiO2、C、BC)を増加させると、Raが大きくなることがわかる。さらに、その傾向は、グラニュラー構造中の非磁性部の材質で異なり、SiO2に比べて、CおよびBCの方が顕著であることがわかる。すなわち、グラニュラー構造中のC、BCなどの炭素系材料の割合を増加させると、Raが顕著に大きくなることがわかる。これはSiO2、TiO2などの酸化物に比べ、C、BCなどの炭素系材料のほうが、粒内成分であるCoCrPtまたはFePtとの表面エネルギー差が大きいことに寄与していると考えられる。
【0054】
Ra/RSmが0.05より小さいときには、書込みトラック幅が広がってしまうことがわかる。これは、表面からの熱拡散が小さいために、うまく放熱できなくなるためと想定される。
【0055】
比較例2においては、非磁性部の増加とともにSNRは低下し、非磁性部が50体積%以上では、SNRが10dBより小さくなる。これは、信号強度に寄与する磁性材の体積比率が低下したことによると考えられる。
【0056】
さらに、実施例1、3のように、Ra/RSmが0.15より大きくなると、SNR評価においてヘッド表面へのヒットノイズが多く観察された。これは、表面粗さのためにヘッド浮上性が不安定になり、SNRが劣化したためと考えられる。
【0057】
以上より、グラニュラー構造を有する磁気記録層における非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下の範囲において、表面のRa/RSmが0.05以上0.15以下であると、熱アシスト記録装置に適した磁気記録媒体とすることができることがわかる。
【0058】
また、グラニュラー磁気記録層表面のRa/RSmを0.05以上0.15以下とするためには、非磁性部を炭素系材料とすればよいことがわかる。
【符号の説明】
【0059】
1 非磁性基体
2 軟磁性裏打ち層
3 中間層
4、40 磁気記録層
4A、40A 磁性部
4B、40B 非磁性部
4−1 下磁気記録層
4−2 交換結合制御層
4−3 上磁気記録層
5 保護層
6 液体潤滑層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体であって、
該磁気記録媒体が、非磁性基体、磁気記録層、保護層、および液体潤滑層をこの順に含み、
該磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、
該非磁性部が炭素系材料を含み、
該磁気記録媒体の表面が、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを有し、Ra/RSmが0.05以上0.15以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体であって、
該磁気記録媒体が、非磁性基体、磁気記録層、保護層、および液体潤滑層をこの順に含み、
該磁気記録層が、下磁気記録層、交換結合制御層、および上磁気記録層をこの順に含み、
該下磁気記録層および該上磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、
該下磁気記録層および該上磁気記録層の少なくとも一方の該グラニュラー構造の該非磁性部は、炭素系材料を含み、
該磁気記録媒体の表面が、算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmを有し、Ra/RSmが0.05以上0.15以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
該炭素系材料がCであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が20体積%以上30体積%以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
該炭素系材料がBCであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
該非磁性基体と該磁気記録層との間に、軟磁性裏打ち層、中間層およびヒートシンク層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
非磁性基体上に、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有する磁気記録層を形成する工程と、
該磁気記録層上に保護層を形成する工程と、
該保護層上に液体潤滑層を形成する工程とを含み、
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、
該非磁性部が炭素系材料を含むことを特徴とする熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項8】
非磁性基体上に下磁気記録層を形成する工程と、
該下磁気記録層上に交換結合制御層を形成する工程と、
該交換結合制御層上に上磁気記録層を形成する工程と、
該上磁気記録層上に保護層を形成する工程と、
該保護層上に液体潤滑層を形成する工程とを含み、
該下磁気記録層および該上磁気記録層が、磁性部および該磁性部を取り囲む非磁性部からなるグラニュラー構造を有し、
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が15体積%以上30体積%以下であり、
該下磁気記録層および該上磁気記録層の少なくとも一方の該グラニュラー構造の該非磁性部は、炭素系材料を含むことを特徴とする熱アシスト記録装置用の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項9】
該炭素系材料がCであることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
該グラニュラー構造における該非磁性部の割合が20体積%以上30体積%以下であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該炭素系材料がBCであることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
該非磁性基体と該磁気記録層との間に、軟磁性裏打ち層、中間層、およびヒートシンク層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに形成することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160242(P2012−160242A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20908(P2011−20908)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】