説明

熱エネルギーを貯蔵するための、窒素含有官能基を有する化合物の使用

【課題】0℃から250の間の融解温度を有し、分解することなく多数の融解/固化サイクルに供することができ、サイクルの間に一定の狭い温度範囲で融解および結晶化することができる、再生可能な起源のPCMを提供する。
【解決手段】本発明は、熱エネルギーを貯蔵するための、−NH以外の窒素含有官能基を各末端に有するC−C24飽和炭化水素ベースの直鎖からなる化合物の使用に関する。さらに、本発明は、熱エネルギーを貯蔵し、場合によって放出する方法に関する。さらに、本発明は、冷却すべき壁を第1の伝熱流体と接触させ、次いで前記第1の伝熱流体を、前記化合物を含む材料と接触させること、および場合によって、前記材料を第2の伝熱流体と接触させ、次いで前記第2の伝熱流体を加熱すべき壁と接触させることを含む、熱エネルギーを貯蔵し、場合によって放出する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを貯蔵するための、窒素含有官能基を有する化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化材料(またはPCM)は、状態の可逆的な物理的変化の際に潜在的挙動でエネルギーを貯蔵する能力のある材料である。これらの材料から製作されるエネルギー貯蔵要素のエネルギー密度およびコンパクト性は、温度上昇の形態で(相変化を伴わないで)エネルギーを貯蔵する適当な蓄熱材料に比べて、これらの要素を実質上より競争力のあるものにする。
【0003】
具体的には、PCMは、それらがある物理的状態から別の状態に移る場合、一般にはその融解の際に、それらの温度およびそれらの環境の温度の穏やかな変化を伴って特定量の熱を吸収し、それらの元々の物理的状態に戻ることによって、特に再結晶化することによって熱を放出する能力を有する。これらの材料は、すべて、これらの相変化の際に交換される熱量が大きい場合に、より有利である。固/液転移の場合、これらの熱量は、それらの溶融エンタルピーまたは結晶化エンタルピーにより表現される。さらに、PCMの融解温度および結晶化温度は、そのうえ、その可能な応用を決定する。これらの応用の中でも、食品または熱感受性の医薬品、織物材料、エンジン、電子部品および回路、または廃棄物燃焼プラントの冷却を挙げることができる。工業的規模で、PCMは、また、放出される熱の、または特に特定の発熱性化学反応の際に容器または装置(化学反応器、電気もしくは機械的エネルギーの発生機など)中またはプロセス流もしくは流体(例えば、冷却/加熱回路、流出液)中に含めて利用可能である熱の回収手段を形成する。放出された熱は、次いで、他の反応にエネルギーを供給するのに再利用することができ、このことが、化石燃料エネルギーまたは電気エネルギーの工業上での消費を低減することを可能にする。空調サイクル(加熱/冷却)でのPCMの使用も、後に所望の時点、所望の量で熱エネルギーを放出するために、熱エネルギーを効率的に貯蔵することが可能である応用例である。
【0004】
最も一般的なPCM材料は、まさしく水である。その固/液転移(および、それゆえ暗示的に液/固転移)の際に、水は、大量の熱を吸収または放出することを可能にする。自由である(氷/液体からなる水混合物の形態での)または例えばプラスチックもしくはその他の材料で作られたボール中に封入されている0℃に近い温度の水からなるタンクまたはプールは、単位質量の水につき大量のエネルギーを貯蔵(氷の融解の際に)する、および放出(液状水の結晶化の際に)する能力のあるPCM系の簡単な例を構成する。しかし、水は、豊富で入手可能で無毒性であるが、その限られた使用範囲(0℃近辺)および氷を形成する際の氷の大きな体積膨張と関連した問題のため、熱交換の効率に関して起こり得るすべての諸問題を解決できるわけではない。
【0005】
その他の一般的はPCMとしては、ビルディングの空調に使用されるパラフィン、およびドデカン酸などの脂肪酸、Mn(NO・HO、MnCl・HO、Na・5HOおよびCHCOONa・3HOなどの水和化塩、ならびに共晶混合物(特に、カプリル酸およびラウリン酸の)が挙げられる。これらの化合物は、一般に、ほぼ15℃から48℃の範囲のかなり低い融解温度を有する。150℃近辺では、アジピン酸(C10、152℃)またはマルチトール(C122411、145℃)が知られており、300℃近辺の融解温度で知られているPCMは、例えば、NaNO(307℃)、KNO(333℃)などの塩である。しかし、これらのPCMは、それらの工業的開発を妨げる多くの欠点を有する。とりわけ、有機PCMは、可燃性である可能性があり、固体状態で低い熱伝導率を有し、凝固サイクルの際に高度の伝熱を必要とし、低い容積潜熱を有する。さらに、パラフィンは、それらが石油起源であるため供給、コスト、およびCO発生の問題を引き起こす可能性がある。無機PCMは、その一部で、重大な過冷却現象を起こす。さらに、これらの相転移温度は、とりわけこれらの吸湿性のため、一定でない。最後に、これらは、それらが接触している金属の腐食をもたらし、このことが、許容できない維持コストにつながる。
【0006】
前記欠点の一部を克服するため、蜜蝋などの植物または動物性ワックス、エリトリトールなどの糖アルコール、ならびにその結晶性に関連付けられるそれらの鎖長、不飽和度および酸官能基などの関数としての転移温度(20℃から155℃)および溶融潜熱(140から240J/g)の選択を提供する植物由来の直鎖脂肪酸または二酸を使用することが提案されている(「Investigation of Phase Change Materials for Elevated Temperatures」、J.Waschull、R.MullerおよびS.Romer、Institute for Air Coditioning and Refrigeration Dresden(ILK Dresden)、Stockton University、Energy studies、2009年を参照されたい。)。
【0007】
さらに、特定のアミン含有材料がPCMとして記述されている。これらは、詳細には、Usmani、A.によってJournal of Materials Science Letters、2巻(1983年)、681−682頁に記載されている、0℃から31℃の融解点を有する第4級化されたN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンおよび第4級化されたN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンからなる包接化合物、ならびにSalman,M.らによってJournal of Thermal Analysis、37巻(1991年)、2389−2394頁に記載されている、ギ酸とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンとの付加物である。これらの付加物の最初のもの、A4Bは、18℃の融解温度を有し、第2のもの、A2Bは、60℃の融解温度を有するが熱的に不安定であるとされている。文献EP0094366は、さらに、式HN−(CH−NH(ここで、nは4から14の範囲の整数である。)のジアミンからなるPCMを使用する熱エネルギー貯蔵システムを開示している。これらの化合物は、ほぼ16℃から73℃の融解温度を有するが、それらは、やはり、熱貯蔵効率の損失をもたらす不十分な熱安定性を示す。
【0008】
さらに、US2005/208286から、場合によって封入されたPCM、ポリマー性分散剤、および場合によってポリマー性マトリックスを含む、合成繊維の製造のために意図されたポリマー性複合体が知られている。該PCMは、二酸、ポリマー、および好ましくは炭化水素などの広範な範囲の化合物から選択することができる。しかし、ポリマーは、それらの長い鎖が、高い相転移エネルギーに達することを妨害するので優れたPCMではない。
【0009】
DE102007002796から、アミド、エチレンビス(ステアルアミド)などの特にビスアミドをベースにしたPCMが知られている。しかし、このような化合物の結晶学的配列のため、高い溶融温度の必要性と高い相転移エネルギーの必要性との間の良好な妥協を達成することができない。
【0010】
文献US5755988は、それ自体、セバシン酸などの二酸のPCMとしての使用を教示している。本発明者らは、この化合物が、あまりに揮発性であり、特に150−200℃の範囲の高温度で分解する傾向を有し、そのことが、それらの化合物を、特定の応用においてPCMとして使用するのに不適当にすることを観察した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第094366号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/208286号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102007002796号明細書
【特許文献4】米国特許第5755988号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「Investigation of Phase Change Materials for Elevated Temperatures」、J.Waschull、R.MullerおよびS.Romer、Institute for Air Coditioning and Refrigeration Dresden(ILK Dresden)、Stockton University、Energy studies、2009年
【非特許文献2】Usmani、A.、Journal of Materials Science Letters、2巻(1983年)、681−682頁
【非特許文献3】Salman,M.、Journal of Thermal Analysis、37巻(1991年)、2389−2394頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、0℃から250の間、好ましくは25℃から240℃の間の融解温度を有し、熱的に安定である、すなわち分解することなく多数の融解/固化サイクルに供することができ、サイクルの間に一定の狭い温度範囲で融解および結晶化することができる、再生可能な起源のPCMを提供する必要性が依然として存在する。さらに、これらの化合物は、溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーが高く、可燃性が低いことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、特定の二官能性窒素含有化合物、とりわけビスアミドの誘導体が、これらの必要性を満たすことを可能にすることを見出した。
【0015】
これらの化合物の一部は、特にラテックスペイント中の湿式接着促進剤として(EP0928820)、またはとりわけホットメルト接着剤またはコーティングの製造で添加剤として使用できる超分子ポリマーとしてすでに知られている(FR2905698)。しかし、本発明者らの知る限り、そのときまで、それらの熱吸収/放出特性は決して評価されておらず、そのため、それらを熱エネルギー貯蔵のために使用することは、決して構想されていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
したがって、本発明の1つの主題は、熱エネルギーを貯蔵するための、−NH以外の窒素含有官能基を各末端に有するC−C24炭化水素ベースの直鎖(好ましくは、10から18個の炭素原子を含む)からなる化合物の使用である。
【0017】
表現「官能基」は、本発明の説明において、有機化合物の部類を特徴付ける原子群からなり、この部類の化合物の反応性および特性を決定する、分子中の非炭化水素ベースの部分を意味すると解される。表現「窒素含有官能基」は、炭素原子および/または酸素原子を場合によって伴う少なくとも1つの窒素原子を含む官能基を意味すると解される。窒素含有官能基の例は、とりわけ、アミン、ニトリル、イミン、カルボジイミド、アミド、イミド、カルバメート、および尿素基であるが、このリストに限定されるものではない。
【0018】
本発明により使用される化合物は、有利には、ビスアミドまたは場合によって塩化されたビスアミド誘導体である。表現「ビスアミド誘導体」は、ビスアミドから、脱水または還元などの1段階の、または脱水とそれに続く水素化などのいくつかの段階の化学反応の後に得ることのできる任意の化合物を意味すると解される。この表現は、したがって、ジアミンおよびジニトリルを包含する。
【0019】
本発明の第1変形形態において、この化合物は、したがって、式(I)のビスアミド:
N−CO−(CH−CO−NR (I)
[式中、nは6から24の範囲の整数であり、R、Rは独立に、水素原子、C−C10アルキル基、基Ra−N−RbRcを示し、ここで、Raは−(CH−(NH−CH−CH−鎖(ここで、mは0から6の範囲の整数であり、xは1から4の範囲の整数である。)であり、Rb、Rcは、それぞれHであり、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、少なくとも1つの他の窒素原子によって場合によって割り込まれ、オキソ基で場合によって置換された窒素含有複素環を形成する。]から選択される。窒素含有複素環の例には、2つの窒素を含む、および3つの窒素を含む複素環、さらに特定するとイミダゾリドニルおよびウレイド−ピリミジル基が含まれる。
【0020】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、nは8から16の範囲の整数であり、R=Hであり、R=Ra−N−RbRcであり、ここで、Raは、−CH−CH−鎖であり、Rb、Rcは、それらが結合している窒素原子と一緒になって2つの窒素を含む5員または6員の飽和複素環、好ましくはイミダゾリドニル基を形成する。さらにより好ましくは、本発明により使用される化合物は、2−アミノエチルイミダゾリジノンまたは1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(以後、UDETA)と、有利には10から18個の炭素原子を含む植物由来のジカルボン酸とのビスアミドである。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、nは6から20、好ましくは8から16の範囲の整数であり、R=Hであり、R=Hである。このような化合物の例が、1,8−オクタンジアミド(スベリックアミド)、1,1−デカンジアミド(セバカミド)、1,12−ドデカンジアミド、1,14−テトラデカンジアミド、1,16−ヘキサデカンジアミド、1,18−オクタデカンジアミド、1,20−エイコサンジアミド、およびこれらの組合せ、より好ましくは1,10−デカンジアミドである。
【0022】
一般に、ビスアミド誘導体は、脂肪二酸HOOC(CH−COOHとアミンNHRとの100℃を超える温度での、形成される水が反応媒質から留出するような反応によって得られる。一般に、反応は、溶媒なしで実施されるが、溶媒を使用することが操作条件に適合しているなら、それを使用することについて躊躇するものではない。
【0023】
第2の変形形態において、本発明により使用される化合物は、式(II)のジニトリル:
N≡C−(CH−C≡N (II)
[式中、pは、6から24、好ましくは8から16の範囲の整数である。]から選択される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、pは、6から20、好ましくは8から16の範囲の整数である。このような化合物の例が、1,6−ヘキサンジニトリル(スベロニトリル)、1,8−オクタンジニトリル(セバコニトリル)、1,10−デカンジニトリル、1,12−ドデカンジニトリル、1,14−テトラデカンジニトリル、1,16−ヘキサデカンジニトリル、1,18−オクタデカンジニトリル、1,20−エイコサンジニトリル、およびこれらの組合せである。1,8−オクタンジニトリル、1,12−ドデカンジニトリル、1,16−ヘキサデカンジニトリル、およびこれらの組合せが、より好ましい。
【0025】
一般に、ジニトリルは、アンモニア、および金属酸化物などの触媒の存在下での、脂肪二酸HOOC−(CH−COOHの反応によって得られる。反応は、250℃から450℃の間の温度で実施される。脂肪二酸は、連続的にアンモニウム塩、非置換ビスアミド、次いでジニトリルに転換される。
【0026】
使用できる脂肪二酸の例としては、1,8−オクタン二酸(スベリン酸)、1,10−デカン二酸(セバシン酸)、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、およびこれらの組合せを挙げることができる。1,10−デカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、およびこれらの組合せが、より好ましい。
【0027】
第3の変形形態において、この化合物は、式(III)のポリアミン:
N−(CH−NR (III)
[式中、qは、6から24、好ましくは8から16の範囲の整数であり、Rは、プロピルアミン、ポリプロピルアミン、アルコキシル化単位(CH−CH−O)を場合によって含むアルキルカルボニルまたはアルキルスルホニル基であり、Rは、Hまたはプロピルアミン、ポリプロピルアミン、アルコキシル化単位(CH−CH−O)を場合によって含むアルキルカルボニルまたはアルキルスルホニル基であり、yは1から6の範囲の整数である。]から選択される。
【0028】
好ましいアルコキシル化単位は、エトキシル化およびプロポキシル化単位である。
【0029】
使用できる式(III)のポリアミンとしては、1,8−オクタンジアミン,N,N−ビス(3−アミノプロピル);1,10−デカンジアミン,N,N10−ビス(3−アミノプロピル);1,12−ドデカンジアミン,N,N12−ビス(3−アミノプロピル);1,14−テトラデカンジアミン,N,N14−ビス(3−アミノプロピル);1,16−ヘキサデカンジアミン,N,N16−ビス(3−アミノプロピル);1,18−オクタデカンジアミン,N,N18−ビス(3−アミノプロピル);1,20−エイコサンジアミン,N,N20−ビス(3−アミノプロピル);1,8−オクタンジアミン,N,N−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,10−デカンジアミン,N,N10−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,12−ドデカンジアミン,N,N12−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,14−テトラデカンジアミン,N,N14−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,16−ヘキサデカンジアミン,N,N16−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,18−オクタデカンジアミン,N,N18−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,20−エイコサンジアミン,N,N20−ビス[1,3−プロパンジアミン,N−(3−アミノプロピル)];1,8−オクタンジアミン,N,N−ビス(アセチル);1,10−デカンジアミン,N,N10−ビス(アセチル);1,12−ドデカンジアミン,N,N12−ビス(アセチル);1,14−テトラデカンジアミン,N,N14−ビス(アセチル);1,16−ヘキサデカンジアミン,N,N16−ビス(アセチル);1,18−オクタデカンジアミン,N,N18−ビス(アセチル);1,20−エイコサンジアミン,N,N20−ビス(アセチル);1,8−オクタンジアミン,N,N−ビス(メタンスルホニル);1,10−デカンジアミン,N,N10−ビス(メタンスルホニル);1,12−ドデカンジアミン,N,N12−ビス(メタンスルホニル);1,14−テトラデカンジアミン,N,N14−ビス(メタンスルホニル);1,16−ヘキサデカンジアミン,N,N16−ビス(メタンスルホニル);1,18−オクタデカンジアミン,N,N18−ビス(メタンスルホニル);1,20−エイコサンジアミン,N,N20−ビス(メタンスルホニル);1,8−オクタンジアミン,N,N,N,N−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,10−デカンジアミン,N,N,N10,N10−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,12−ドデカンジアミン,N,N,N12,N12−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,14−テトラデカンジアミン,N,N,N14,N14−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,16−ヘキサデカンジアミン,N,N,N16,N16−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,18−オクタデカンジアミン,N,N,N18,N18−テトラ(2−ヒドロキシエチル);1,20−エイコサンジアミン,N,N,N20,N20−テトラ(2−ヒドロキシエチル)、およびこれらの組合せを挙げることができる。
【0030】
一般に、第1級ポリアミンは、通常的には前記ジニトリルの水素化によって得られる。触媒は、通例的には、ドープされていてもされていなくてもよいラネーニッケルまたはコバルトである。反応は、溶媒媒質または非溶媒媒質中で実施することができる。ポリアミンは、数回繰り返されても、されなくてもよい次の順序:はじめのアミン官能基へのアクリロニトリルのマイケル付加、それに続くプロピルアミン単位をもたらすための水素化の段階によって得られる。
【0031】
前記の化合物、特にポリアミンは、有機または無機塩、とりわけ、例えばそれらの塩化物、硫酸塩、スルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、およびアルキルエーテルリン酸塩の形態で本発明により使用することができる。
【0032】
本発明者らは、これらの化合物が、熱エネルギー貯蔵で使用するための、以下の極めて有利な特徴の組合せを示すことを明らかにした。
−融解温度が、DSCで測定して、0℃から250℃の間、さらに特定すると25℃から240℃の間、好ましくは175℃から200℃の間である。
−場合によって、結晶化温度が、DSCで測定して、−25℃から240℃の間、さらに特定すると0℃から230℃の間、好ましくは120℃から190℃の間である。
−溶融エンタルピーが、DSCで測定して、少なくとも100J/g、さらに特定すると少なくとも120J/g、またはさらには少なくとも135J/g、例えば365J/gまでの範囲である。
−場合によって、結晶化エンタルピーが、DSCで測定して、少なくとも80J/g、さらに特定すると少なくとも100J/g、例えば、365J/gまでの範囲である。
−熱安定性が良好である(少なくとも5回、さらに特定すると少なくとも10回、またはさらには少なくとも50回の連続的な融解/結晶化サイクルに、
1.サイクルにおけるその融解温度の変動が、DSCで測定して、10%またはさらには5%を超えることなく、および/または
2.サイクルにおけるその結晶化温度の変動が、DSCで測定して、10%またはさらには5%を超えることなく、および/または
3.サイクルにおけるその溶融エンタルピーの変動が、DSCで測定して、20%またはさらには15%を超えることなく、および/または
4.サイクルにおけるその結晶化エンタルピーの変動が、DSCで測定して、10%またはさらには7%を超えることなく、および/または
5.最初のサイクルから最後のサイクルまでの間でのその質量損失が、例えば、1℃/minから20℃/minの範囲、特に10℃/minのDSC(加熱/冷却)ランプ速度を使用して測定して、10%、好ましくは5%またはさらには1%を超えることなく供することができる。)。
【0033】
本明細書では、表現「の間」は、言及した境界を含むと解釈すべきであることに留意されたい。
【0034】
前記の化合物は、本発明において、これらの化合物の他にも、二酸化チタン(ポリマー複合体の製造を可能にする支持材料)または核形成剤などの種々の添加物、またはさらにはこれらの化合物が共晶混合物を形成する能力のあるその他の相変化材料をも含み得る材料の形態で使用される。加えて、この材料において、前に記載の化合物は、例えば、ポリスチレン、ポリビニルアルコールまたはポリウレタン型のポリマーをベースにしたケーシング中に封入された形態で、または合成織物繊維中に含められて存在することができる。
【0035】
この材料は、とりわけ、食品、熱感受性の医薬品、織物材料、エンジンもしくは電子部品および回路の冷却、化学反応器もしくは廃棄物燃焼プラントの熱回収、または太陽エネルギーの貯蔵に適したデバイスにおいて使用することができる。本発明により使用される化合物によって吸収された熱を、次いで、化学反応器チャンバーなどの壁または流体の加熱を可能にするために放出することができる。
【0036】
したがって、本発明のもう1つの主題は、冷却すべき壁を第1の伝熱流体と接触させ、次いで前記第1の伝熱流体を、前記の少なくとも1種の化合物を含む材料と接触させること、および場合によって、前記材料を第2の伝熱流体と接触させ、次いで場合によって、前記第2の伝熱流体を加熱すべき壁と接触させることを含む、熱エネルギーを貯蔵し、場合によって放出するための方法である。
【0037】
この方法において、伝熱流体は、空気、水、グリコール、伝熱性塩からなるブライン、シリコーンをベースにしたオイル、石油留分の精製に由来するオイル、植物由来のオイル、およびこれらの混合物からなることができる。
【0038】
本発明は、以下の実施例を参照してより十分に理解されるが、この実施例は、単に例示を目的とし、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定する目的ではない。
【実施例】
【0039】
実施例1
UDETAのビスアミドの合成
飽和直鎖脂肪酸とUDETAとからなる3種のビスアミドを、次の反応スキームに従って調製した:
【0040】
【化1】

【0041】
これを行うため、0.5M(157.25g)のオクタデカン二酸を、錨型の機械式撹拌機、ヒーター、ディーンスターク型冷却器、および窒素不活性化システムを備え、事前乾燥した500cm反応器に仕込んだ。反応媒質を、反応器の上部空間の窒素不活性化し、撹拌しながら、170−180℃まで昇温した。最終的な着色を制限するため、酸が130℃を超える温度で融解される場合には、窒素をスパージする(液中に吹き込む)ことが可能である。次に、純度95%の溶融1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(UDETA)1Mを滴下添加した(その等価モル質量は、全アルカリ度を分析することによって決定した(理論モル質量=129g/mol))。温度は、反応終末まで170℃から180℃の間に維持した。形成された水は、形成されるとすぐに留去された。反応能が完結したら、熱い生成物をショットガラスフラスコ中に移した。最終生成物を、その酸価(AV)および全アルカリ度によって特徴付けた。
【0042】
同様な方法で、テトラデカン二酸とUDETAからなるビスアミドおよびセバシン酸とUDETAからなるビスアミドを調製した。
【0043】
実施例2
UDETAのビスアミドのDSC分析
熱量測定試験を、−70℃から、実施予定の選択された高い方の温度(被試験生成物に対して最高で250℃)の間での温度走査を可能にする冷却浴を具備したTA Instruments社からのDSC Q10マシンを使用するDSC(示差走査熱量測定法)によって実施した。試験は、6mgから15mgの間のサンプル質量で、加熱および冷却の温度勾配を1℃/minから20℃/minの間で変えることによって実施し、10℃/minの値を最も頻繁に使用した。加熱/冷却サイクルは、このように実施することができた。−70℃から250℃の間の最初の走査系列は、融解相転移(加熱による)および結晶化相転移(冷却による)が観察される温度帯域を確認することを可能にした。この最初の系列は、熱による相転移現象が50℃未満で観察されないことを明らかにすることを可能にした。サイクルは、その結果、少なくとも50℃から出発して実施した。
【0044】
2A.10℃/minでの3サイクルにわたる試験
下表Iは、50℃から250℃の間の10℃/minでの3回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、実施例1で合成された、UDETAの3種のジアミド(C18、C14、C10)に関する、融解および結晶化ピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。3サイクルの後に、質量損失を、サンプルを含む皿の重量を測定すること、および試験前の初期重量と比較した重量差を計算することによって量化した。質量損失は、3サイクルの後に、C18、C14およびC10ジアミドに関して、それぞれ0.2mg、0.3mg、および0.5mgであった。
【0045】
【表1】

【0046】
250℃までに及ぶ温度上昇にもかかわらず、生成物は、事実上再現可能的に融解および結晶化し続けたことに留意されたい。このことは、特に融解および結晶化ピークの温度の安定性、およびエンタルピー値、とりわけ特に結晶化エンタルピー値の安定性によって認めることができる。さらに、質量損失は、これらのサイクル後に事実上ゼロ(<1mg)であった。
【0047】
2B.10℃/minでの5サイクルにわたる試験
表IIは、50℃から250℃の間の10℃/minでの5回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、合成された2種のUDETAジアミド(C18、C14)に関する、融解および結晶化ピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。5サイクルの後に、質量損失を、サンプルを含む皿の重量を測定すること、および試験前の初期重量と比較した重量差を計算することによって量化した。質量損失は、5サイクルの後に、C18およびC14ジアミドに関して、それぞれ0および0.3mgであった。
【0048】
【表2】

【0049】
250℃までに及ぶ温度上昇にもかかわらず、生成物は、事実上再現可能的に融解および結晶化し続けたことに留意されたい。このことは、特に融解および結晶化ピークの温度の安定性、およびエンタルピー値の安定性によってとりわけ認めることができる。さらに、質量損失は、これらのサイクル後に事実上ゼロ(<1mg)であった。
【0050】
2C.5℃/minでの5サイクルにわたる試験
表IIIは、80℃から230℃の間の5℃/minでの5回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、合成された2種のUDETAジアミド(C18、C14)に関する、融解および結晶化ピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。5サイクルの後に、質量損失を、サンプルを含む皿の重量を測定すること、および試験前の初期重量と比較した重量差を計算することによって量化した。質量損失は、5サイクルの後に、C18およびC14ジアミドに関して、それぞれ0.3mgおよび0.2mgであった。
【0051】
【表3】

【0052】
2D.1℃/minでの1サイクルにわたる試験
表IVは、80℃から220℃の間の1℃/minでの1回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、合成された2種のUDETAジアミド(C18、C14)に関する、融解および結晶化ピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。このサイクルの後に、質量損失を、サンプルを含む皿の重量を測定すること、および試験前の初期重量と比較した重量差を計算することによって量化した。質量損失は、C18およびC14ジアミドに関して、それぞれ0.7mgおよび0.3mgであった。
【0053】
【表4】

【0054】
全体的に、ランプ速度の低下は、測定値の再現可能性を改善することを可能にした。それは、また、融解および結晶化温度、さらには相変化のエンタルピーを高める効果を有した。サンプルの低い質量損失(<1mg)によって反映される熱安定性は、優れたままであった。
【0055】
2E.10℃/minでの10サイクルにわたる試験
表Vは、80℃から220℃の間の10℃/minでの10回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、合成された2種のUDETAジアミド(C18、C14)に関する、融解および結晶化ピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。10サイクルの後に、質量損失を、サンプルを含む皿の重量を測定すること、および試験前の初期重量と比較した重量差を計算することによって量化した。質量損失は、10サイクルの後に、C18およびC14ジアミドに関して、それぞれ0.1mgおよび0.1mgであった。
【0056】
【表5】

【0057】
10サイクル後に、融解および結晶化温度、さらには対応するエンタルピーの値は、安定化する傾向があり、測定の精度が向上した。また、10サイクル後に、質量損失は、実際上無視してよいままであった(<0.5mg)。
【0058】
比較例1
比較のために、実施例2のそれと同様のDSC実験を、実施例1のC10ジアミドの合成で原料として使用した二酸であるセバシン酸に関して実施した。10℃/minでの3サイクルにわたって、セバシン酸は、相転移エンタルピーは、ジアミドのそれを超えたが(ほぼ200J/g)、150℃未満の融解および結晶化温度を示した(融解は135℃、結晶化は117℃)。
【0059】
セバシン酸に付随して繰り返される問題は、サンプルがDSC実験中に質量を容易に失うことであり、このことは、対応するジアミドの場合にはまったく存在しない現象である。したがって、例えば、80℃と250℃の間の10℃/minでの5サイクルにわたって、および80℃と230℃の間の5℃/minでの5サイクルにわたってそれぞれ実施される2つの異なる実験中に、質量損失は、それぞれ6.4mgおよび7.2mgであり、換言すればサンプルの初期質量の70%を超えていた。これらの損失が、分解を伴うまたは伴わない蒸発に関連しているかどうかを、確信を持って明言することはできないが、これらの製品を高温度で使用する観点から、このことは、対応するジアミドの場合には存在しない問題を引き起こす。DSCデータのより完全な解析は、材料損失が、200℃から始まったことを示唆しているように思われる。
【0060】
したがって、セバシン二酸は、加えて、少なくとも250℃まで優れた安定性(質量損失がほとんどまたはまったくない、転移の再現可能性)を示す本発明による対応するジアミド(C10ジアミド)と異なり、150−200℃の範囲での相変化材料として使用できない。
【0061】
実施例3
ジニトリルの合成
デフレグメーター(分縮器)、アンモニア導入用チューブ、窒素不活性化システム、および電気ヒーターを具備した4Lの撹拌付き反応器に、2kg(9.9M)の固体状セバシン酸(融点:130−135℃)および1.25gの酸化亜鉛を仕込んだ。酸が融解するまで(140℃)撹拌なしで徐々に昇温し、次いで、撹拌しながら220℃まで昇温した。デフラグメーターは130℃に加熱した。アンモニアを、kgにつき0.417L/minの公称流速で導入し始め、次いで、反応温度を徐々に300℃まで高めた。300℃の温度およびアンモニアの導入を、KOH/gが0.1mg未満の酸価(AV)が達成されるまで継続した。形成された水および過剰のアンモニアは、コールドトラップ中に集めた。反応の終末時点で、反応媒質を蒸留機器の蒸留缶中に移した。粗生成物を、30−40mmHg付近の減圧下で蒸留した。セバコニトリルの収率は91%であり、その純度は99%超であった。
【0062】
同様に、1,14−テトラデカン二酸から出発して、1,12−ドデカンジニトリルが、89%の収率および99%を超える純度で得られた。1,18−オクタデカン二酸から出発して、1,16−ヘキサデカンジニトリルが、90%の収率および99%を超える純度で得られた。
【0063】
実施例4
ジニトリルのDSC分析
DSC熱量測定分析を、実施例3で合成されたジニトリルに関して、実施例2で説明したように実施した。予備的走査中に120℃未満にあると確認された融解/結晶化帯域について、10℃/minのランプ速度での加熱および冷却走査を、−40℃から120℃の間で実施した。表VIは、2種のジニトリルに関する融解および結晶化点、さらに対応する転移のエンタルピー(融解または結晶化)の値を示す。得られた値は、10℃/minでの3回目の走査に対応し、2回目と3回目の走査のDSC曲線を重ね合わせることができ、測定の良好な反復可能性をもたらすことがわかる。
【0064】
【表6】

【0065】
実施例5
C10ビスアミドの合成
デフレグメーター、機械式撹拌機、気体状アンモニア導入システム、電気加熱システムを具備した0.5Lのガラス製反応器に、180g、すなわち0.9Mのセバシン酸を仕込んだ。
【0066】
反応媒質を140℃まで高めて二酸を融解した。撹拌を開始し、温度を、形成されることが望まれるセバカミドの融点を超えるように220℃まで高めた。次に、浸漬チューブを使用してアンモニアを徐々に導入した。温度は、反応の全継続時間、すなわち4時間にわたって220℃に維持した。反応の進行は、反応媒質の酸価およびアミド官能基の分析によって監視した。形成された水および過剰のアンモニアを反応媒質から留去した。反応の終末時点で、実質上定量的収率で得られた溶融状態のセバカミドを留出させた。
【0067】
実施例6
C10ビスアミドのDSC分析
DSC熱量測定試験は、実施例5で合成されたセバカミドに関して、Mettler−Toledo社によって販売されているDSC821マシンを使用し、30μLのステンレススチール製セルを使用して実施した。25℃から280℃の間の5℃/minでのサイクルを実施した。2回の加熱/冷却サイクルを実施した。25℃から280℃の間での最初の走査系列は、融解相転移(加熱による)および結晶化相転移(冷却による)の温度帯域を確認することを可能にした。この最初の系列は、熱による相転移現象が25−50℃未満で観察されないことを明らかにすることを可能にした。
【0068】
6A.5℃/minでの2サイクルにわたる試験
表VIIは、25℃から280℃の間の5℃/minでの2回の加熱/冷却サイクルにわたる試験中の、実施例5で合成されたセバカミドに関する融解および結晶化のピークでの温度値を示す。溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーも示す。
【0069】
【表7】

【0070】
セバカミドの溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーは、特に溶融について、1回目と2回目のサイクルの間で接近したままであることが観察される。このことは、セバカミドの熱安定性を立証している。
【0071】
比較例2
比較のために、実施例6のそれと同様のDSC実験を、Aldrich社から販売されているアジパミド(C6ビスアミド)に関して実施した。結果を表VIIIに示す。
【0072】
【表8】

【0073】
アジパミドに関する1回目のサイクルから2回目のサイクルの間の溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーの差は、セバカミドに関して観察されたそれに比べてかなり大きいことが観察される。このことは、アジパミドに比較してより大きなセバカミドの熱安定性を立証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを貯蔵するための、−NH以外の窒素含有官能基を各末端に有するC−C24炭化水素ベースの直鎖からなる化合物の使用。
【請求項2】
前記化合物が、ビスアミドまたは場合によって塩化されたビスアミド誘導体である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記飽和炭化水素ベースの直鎖が、10から18個の炭素原子を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が、式(I)のビスアミド:
N−CO−(CH−CO−NR (I)
[式中、nは6から24の範囲の整数であり、R、Rは独立に、水素原子、C−C10アルキル基、基Ra−N−RbRcを示し、ここで、Raは−(CH−(NH−CH−CH−鎖(ここで、mは0から6の範囲の整数であり、xは1から4の範囲の整数である。)であり、Rb、Rcは、それぞれHであり、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、少なくとも1つの他の窒素原子によって場合によって割り込まれ、オキソ基で場合によって置換された窒素含有複素環を形成する。]
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
nが8から16の範囲の整数であり、R=Hであり、R=Ra−N−RbRcであり、ここで、Raは−CH−CH−鎖であり、Rb、Rcは、それらが結合している窒素原子と一緒になって2つの窒素を含有する5員または6員の飽和複素環を形成する、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記化合物が、UDETAと植物由来のジカルボン酸とのビスアミドである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が、式(II)のジニトリル:
N≡C−(CH−C≡N (II)
[式中、pは、8から24、好ましくは8から16の範囲の整数である。]
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記化合物が、式(III)のポリアミン:
N−(CH−NR (III)
[式中、qは6から24の範囲の整数であり、Rは、プロピルアミン、ポリプロピルアミン、アルコキシル化単位(CH−CH−O)を場合によって含むアルキルカルボニルまたはアルキルスルホニル基であり、Rは、Hまたはプロピルアミン、ポリプロピルアミン、アルコキシル化単位(CH−CH−O)を場合によって含むアルキルカルボニルまたはアルキルスルホニル基であり、yは1から6の範囲の整数である。]
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記化合物が、食品、熱感受性の医薬品、織物材料、エンジンもしくは電子部品および回路の冷却、化学反応器もしくは廃棄物燃焼プラントの熱回収、または太陽エネルギーの貯蔵に適したデバイスに含まれている、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
冷却すべき壁を第1の伝熱流体と接触させ、次いで前記第1の伝熱流体を、−NH以外の窒素含有官能基を各末端に有するC−C24飽和炭化水素ベースの直鎖からなる少なくとも1種の化合物を含む材料と接触させること、および場合によって、前記材料を第2の伝熱流体と接触させ、次いで場合によって、前記第2の伝熱流体を加熱すべき壁と接触させることを含む、熱エネルギーを貯蔵し、場合によって放出するための方法。

【公開番号】特開2012−177113(P2012−177113A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−38305(P2012−38305)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】