説明

熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱交換装置における空間温度プロファイルの修正

【課題】特に熱エネルギー貯蔵および回収のサイクルの効率に関して熱エネルギーの一時的な貯蔵を向上させる。
【解決手段】流体ターミナル(115a、415a、515a)は、熱交換装置(110)と該熱交換装置(110)の分岐ダクト(415b)を介して接続されており、分岐ダクト(415b)は第1の端部(112a、412a、512a)と第2の端部(113a、413a、513a)との間に配置されており、
制御装置は、流体ターミナル(115a、415a、515a)を通る流体の流れが、熱交換装置(110)内で熱相互作用領域の少なくとも一部に沿った空間温度プロファイルが調整可能であるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーの一時的な貯蔵の分野に関する。特に、本発明は、熱交換装置および蓄熱材料を有する熱エネルギー貯蔵および回収装置に関する。さらに、本発明は、熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱交換装置における温度プロファイルを調整する方法に関する。さらに、本発明は、このような熱エネルギー貯蔵および回収装置を備えた熱エネルギー貯蔵および回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風車、太陽発電プラントおよび波力発電プラントなどの様々な種類の代替エネルギー源からの電力生成は時間的に連続していない。電力生成は、風速(風車の場合)、太陽光の強度(太陽電池の場合)、波の高さおよび方向(波力発電プラントの場合)などの環境パラメタに依存しうる。多くの場合、エネルギー生成とエネルギー需要との間にはほとんどまたは全く時間的相関性が存在しない。
【0003】
電力生成と電力需要とが相関しないという問題を解決するための1つのアプローチとして、生成されたものの需要がなかったエネルギーを一時的に貯蔵し、需要が大きいときに貯蔵したエネルギーを放出するものが知られている。これまで、エネルギーを一時的に貯蔵するための多くの種々の方法が提案されてきた。提案された方法としては、たとえば、(a)揚水式貯蔵、圧縮空気貯蔵およびフライホイールなどの機械的エネルギーによる貯蔵方法、(b)電気化学電池および有機分子貯蔵などの化学的エネルギーによる貯蔵方法、(c)磁気的エネルギーによる貯蔵、および、(d)熱エネルギーによる貯蔵が挙げられる。
【0004】
熱エネルギーを一時的に貯蔵するための熱エネルギー貯蔵および回収装置が知られている。これは蓄熱材料と、この蓄熱材料により囲まれた埋込型熱交換装置とを有する。熱エネルギーを蓄熱材料中に貯蔵する第1の動作モードにおいて、高温の熱移動媒体が熱交換装置を通されて導かれる。これにより、熱移動媒体は熱交換装置を介して蓄熱材料にその少なくともいくらかの熱エネルギーを移す。結果的に、熱移動媒体は冷却され、蓄熱材料が加熱される。蓄熱材料から熱エネルギーを開放するための第2の動作状態では、低温の熱移動媒体が熱交換装置を通されて導かれる。これにより、蓄熱材料はその少なくともいくらかの熱エネルギーを熱交換装置を介して熱移動媒体に送る。結果として、蓄熱材料は冷却され、熱移動媒体は加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱エネルギー貯蔵および回収装置に熱エネルギーを負荷する際(「第1の動作モード」)、空間温度プロファイルが熱交換装置の物理的拡がりに沿って形成される。熱エネルギー貯蔵および回収装置に入る際には熱移動媒体は高温であり、蓄熱材料に少なくともいくらかの熱エネルギーが移された後には、熱移動媒体が冷却されることから、このことは容易に理解される。結果的に、熱交換装置の入口端部付近における蓄熱材料の温度は、熱交換装置の出口端部付近における蓄熱材料の温度よりも高い。同様の考えは、熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置から放出されるときに形成される空間温度プロファイルにも当てはまる。
【0006】
上記の空間温度プロファイルは、熱エネルギー負荷および熱エネルギー放出の複数のサイクルの間に平坦化する。このような空間温度プロファイルの平坦化が熱エネルギー貯蔵および回収装置の内側に限られず、熱交換装置の入口端部および出口端部にまで拡がると、蓄熱材料と熱移動媒体との間の利用可能な最大温度差が小さくなる。これは熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱効率が低下するという点で不利である。
【0007】
特に熱エネルギー貯蔵および回収のサイクルの効率に関して熱エネルギーの一時的な貯蔵の向上に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この要求は独立請求項にかかる発明により満たされる。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明野第1の態様では、熱エネルギー貯蔵および回収装置が提供される。提供される熱エネルギー貯蔵および回収装置は、第1の端部および第2の端部を有する(a)熱交換装置と、(b)蓄熱材料と、(c)流体ターミナルと、流体ターミナルに接続された(d)制御装置と、を備えており、(a)熱交換装置は、第1の端部と第2の端部との間の熱移動流体の流れを導くよう構成されており、(b)蓄熱材料は、熱交換装置の物理的な拡がりに沿って、熱移動流体と蓄熱材料とを熱結合するための熱相互作用領域が形成されるように、熱交換装置と熱結合されており、(c)流体ターミナルは、熱交換装置と該熱交換装置の分岐ダクトを介して接続されており、分岐ダクトは第1の端部と第2の端部との間に配置されており、(d)制御装置は、流体ターミナルを通る流体の流れが、熱交換装置内で熱相互作用領域の少なくとも一部に沿った空間温度プロファイルが調整可能であるように構成されている。
【0010】
上記熱エネルギー貯蔵および回収装置は以下の着想に基づいており、これは、熱交換装置において第1の端部と第2の端部との間に分岐ダクトを設けることにより、所定温度の(熱移動)流体が、(a)熱交換装置に供給されるか、または、(b)熱交換装置から取り出され、その結果、交換装置の拡がりに沿った空間温度プロファイルが修正可能である、というものである。有利には、熱交換装置の拡がりに沿った空間温度勾配がたとえば増加し(すなわち、温度プロファイルはより鋭くなり)、その結果、第1の端部に隣接する熱変換装置の第1の区画内の温度が少なくともほぼ一定であり、および/または、第2の端部に隣接する熱交換装置の第2の区画内の温度も少なくともほぼ一定である。これにより、低温の端部は高温の端部の温度よりに小さいため、たとえば、一方の端部は高温の端部を意味し、他方の端部は低温の端部を意味する。
【0011】
これに関し、第1の区画内の温度および第2の区画内の温度が少なくともほぼ一定の場合、熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置に貯蔵される第1の動作モードにおいて、熱エネルギー貯蔵および回収装置を出る(冷却された)熱移動流体の温度は、少なくとも対応する負荷サイクルの一部の間で一定となる。したがって、熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置から放出される第2の動作モードにおいて、熱エネルギー貯蔵および回収装置を出る(加熱された)熱移動流体の出力温度は少なくとも対応する脱負荷サイクルの一部の間で一定となる。結果として、熱エネルギー貯蔵および回収装置のチャージと熱エネルギー貯蔵および回収装置のディスチャージとの両方に関して、2つの端部の間の温度差全体を有利に用いることができる。結果として、熱エネルギーの貯蔵と熱エネルギーの放出とを含むサイクルの効率は最適化される。
【0012】
「熱交換装置」との語は、(a)第1の端部と第2の端部との間で熱移動流体を導き、かつ、(b)熱移動流体と蓄熱材料とを熱結合させることが可能な全ての物理的装置を意味しうる。熱交換装置は、たとえば、蓄熱材料によって囲まれる管により実現される。あるいは、熱交換装置は、たとえば蓄熱材料を収容する容器である。
【0013】
「物理的拡がり」との語は、たとえば、特に、熱交換装置の長さを意味する。熱交換装置が少なくとも1つの管によって実現される場合、物理的拡がりはたとえば特に管の長さである。熱交換装置が曲線を含む場合には、物理的拡がりとは、熱エネルギー貯蔵および回収装置全体がその中で実現可能なサイズまたは大きさではなく、熱交換装置のために用いられている管の、熱交換装置の全体のまたは有効な長さである。
【0014】
流体ターミナルを介して熱交換装置に供給される高温または低温の流体は、熱移動流体と同じ種類でも異なる種類の流体でもよい。
【0015】
上記制御装置は、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置の動作を制御しうる適切なソフトウェアプログラムに基づく、データ処理装置によって実現可能である。しかし、上記制御装置は、(熱移動)流体の流れを制御するための弁や弁の設定を制御するためのアクチュエータなどハードウェア要素をさらに含んでもよい。したがって、好ましくは各流体ターミナル付近に配置される弁は、たとえばスイベルドアおよび/またはダムシャッタにより実現されていてもよい。
【0016】
しかし、熱交換装置の第1の端部および第2の端部は熱交換装置の反対側に位置してもよいが、そうしなければならないものではない。熱交換装置の第1の端部および第2の端部は熱エネルギー貯蔵および回収装置の同じ側に位置していてもよい。熱交換装置の入口端部と出口端部とを互いに比較的近くに配置することにより、熱移動流体の供給管が長いことによりおよび/または熱移動流体の帰還管が長いことにより生じる熱損失、または、熱交換装置からの熱損失は最小化される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、熱エネルギー蓄積および回収装置は、少なくとも1つの別の流体ターミナルをさらに備えており、少なくとも1つの別の流体ターミナルは、熱交換装置と該熱交換装置の別の分岐ダクトを介して接続されており、別の分岐ダクトは第1の端部と第2の端部との間に配置されており、分岐ダクトおよび別の分岐ダクトは、熱交換装置の物理的な拡がりに沿って空間的に分散されている。これには、高温または低温の熱移動流体による「熱注入」を熱交換装置(の物理的拡がり)に沿った異なる位置において行うことができるという利点がある。結果として、熱交換装置(の物理的拡がり)に沿った空間温度プロファイル/勾配の修正を向上することができる。
【0018】
対応する流体ターミナルを有する複数の分岐ダクトが熱交換装置に沿って設けられており、第1の端部または第2の端部に隣接して位置する端部領域における熱交換装置の物理的な拡がりに沿った分岐ダクトの密度は、第1の端部と第2の端部と間に位置する中間領域における熱交換装置の物理的な拡がりに沿った分岐ダクトの密度よりも高い。これには、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置を用いて実行される熱エネルギー貯蔵および回収サイクルの(熱)効率に関して最も高い効率でプロファイルが修正される領域において、空間温度プロファイルが最も良く修正されるという利点がある。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、制御装置は、種々の流体ターミナルを通る流体の流れを互いに独立に制御するよう構成されている。これには、各流体ターミナルに関して、対応する流体の流れが個別に制御可能であり、かつ、適切な熱の出入りが、各分岐ダクトに割り当てられている熱交換装置の各区画に関して調節可能である、という利点がある。
【0020】
本発明の別の実施形態では、流体ターミナルおよび/または別の流体ターミナルは、(a)流体を熱交換装置(110)に入らせ、さらに(b)流体が熱交換装置(110)から出ることを妨げるように構成されている。
【0021】
換言すれば、流体ターミナルおよび/または別の流体ターミナルは、(熱移動)流体の入口としてのみ用いられる。これには、熱移動流体が熱交換装置から全く失われないようにすることができ、かつ、空間温度プロファイルを調整するために交換装置に加えられる流体の温度を、最適な空間温度プロファイルの修正のために容易に求めることができる、というメリットがある。
【0022】
本発明の別の実施形態では、蓄熱材料は固体材料、有利には、砂、土、灰、石および/または砂利を含んでなる。勿論、好ましくはさらに比較的安価であり、同様の熱特性を有する他の材料も使用可能である。
【0023】
本発明の別の実施形態では、熱交換装置の物理的拡がりは、少なくとも80m、好ましくは少なくとも500m、有利には少なくとも1000mである。
【0024】
熱交換装置の物理的拡がりを長くすることにより、したがって、熱移動流体と蓄熱材料との熱相互作用領域、すなわち、熱交換装置が蓄熱材料中に置かれる領域を長くすることにより、第2の動作モード(すなわち、貯蔵された熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置から回収される)において、低温の熱移動流体の温度を、高温の熱移動流体の温度値と同じかまたはほぼ同じ温度値まで確実に上昇させることができる。このようにして、第1の動作モードにおいて熱エネルギー貯蔵および回収装置に供給される高温の熱移動流体が加熱蒸気と同じ温度値を有する場合、加熱された熱移動流体は加熱蒸気をも含むかまたは加熱蒸気に交換され、これはたとえば、別の加熱手段によることなく蒸気タービンを駆動するために直接用いられる。これにより、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱貯蔵能力の高い効率が実現される。
【0025】
本発明の別の実施形態では、(a)熱エネルギー貯蔵および回収装置全体を環境から断熱するための、および/または、(b)熱エネルギーおよび回収装置の種々のコンパートメントを互いに断熱するための断熱手段をさらに備える。これには、熱エネルギー貯蔵および回収装置が少なくとも部分的にその周辺環境から熱的に分離可能であり、および/または、上記装置の異なるコンパートメントまたは領域が少なくとも部分的に互いに熱的に分離可能であり、これにより、熱エネルギー貯蔵および回収装置の効果的なサイズを所定の動作条件に関して最適化できる、という利点がある。
【0026】
熱エネルギー貯蔵および回収装置の異なるコンパートメントを熱的に分離することには、さらに、この異なるコンパートメント間の熱伝導が限定されることによって、熱交換装置に入るおよび/または熱交換装置から取り出される低減された量の熱エネルギーで、および/または、短縮された時間内で、所望の温度プロファイルが再構成可能であるという利点がある。
【0027】
本発明の別の実施形態では、流体ターミナルと、熱交換装置に高温流体を供給するための少なくとも1つの別の流体ターミナルとから選択される少なくとも2つの第1のターミナルに接続されている第1の共通供給管と、流体ターミナルと、熱交換装置に低温流体を供給するための少なくとも1つの別の流体ターミナルとから選択される少なくとも2つの第2のターミナルに接続されている第2の共通供給管と、の少なくともいずれか一方をさらに備えている。ここで、(i)第1のターミナルは第2のターミナルとは異なっており、(ii)高温流体の温度は低温流体の温度よりも高く、(iii)高温流体は熱交換装置内の熱移動流体を加熱するために用いられ、(iv)低温流体は熱交換装置内の熱移動流体を冷却するために用いられている。これには、空間温度プロファイルの効果的な修正のために、ただ2つの異なるレザバーを設ければよいという利点があり、この際、高温の(熱移動)流体に割り当てられてこれを収容する第1のレザバーが第1の共通供給管に接続され、低温の(熱移動)流体に割り当てられてこれを収容する第2のレザバーが第2の共通流体供給管に接続される。
【0028】
本発明の別の態様では、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱交換装置に沿った温度プロファイルを調整する方法が提供される。提供される方法は、(a)第1の端部と第2の端部との間に熱移動流体の流れを導くステップと、(b)熱交換装置内で熱相互作用領域の少なくとも一部に沿った空間温度プロファイルが調整されるように、流体ターミナルを通る流体の流れを制御するステップと、を含む。
【0029】
熱エネルギー貯蔵および回収装置のチャージとディスチャージの両方において利用可能な温度差が小さくなることにより、熱貯蔵および熱放出のサイクルが所定数繰り返された後に熱エネルギー貯蔵および回収装置の効率を低下させる、熱交換装置に沿った空間温度プロファイルの不所望の劣化を無くすまたは少なくとも低減することができるという着想に、上記方法はさらに基づいている。したがって、最大の温度差が利用可能なように熱交換装置に沿った温度プロファイルを調整することにより、熱エネルギー貯蔵および回収装置の熱効率を最大レベルに維持することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態では、流体および/または熱移動流体は、ガス状流体、有利には圧縮ガスである。
【0031】
好ましくは、(熱交換)流体は、少なくとも(熱交換)流体がより高温にある時に、圧縮空気または過熱蒸気である。これは、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置への熱エネルギーのチャージの際に、熱交換装置に入る熱移動流体が少なくとも部分的にガス状であることを意味する。熱移動流体が熱交換装置を出るとき、それは再び液体となる。したがって、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置から熱エネルギーをディスチャージするまたは取り出す際に、低温の液体流体は加熱されて、ガス状のまたは少なくとも部分的にガス状の蒸気に変換される。取り出された熱エネルギーが、それ自体が発電機を駆動する蒸気エンジンを駆動するために用いられる場合に、これは特に有利である。
【0032】
本発明の別の実施形態では、(a)蓄熱材料が熱移動流体から熱エネルギーを受け取る第1の動作モードにおいて、熱移動流体は第1の端部から第2の端部に送られ、(b)蓄熱材料が熱移動流体に熱エネルギーを放出する第2の動作モードにおいて、熱移動流体は、第2の端部から第1の端部に送られる。
【0033】
異なる動作モードに対して異なる熱移動流体の輸送方向を用いることにより、高効率のエネルギー貯蔵が実現される。特に、(a)2つの異なる動作モードのための異なる輸送方向と、(b)熱エネルギー貯蔵および回収装置内の熱相互作用領域の比較的長い物理的拡がり(たとえば少なくとも80m超、少なくとも500m超または少なくとも1000m超)との組み合わせにより、第2の動作モードにおける少なくともある程度の時間における、第1の動作モードにおける少なくともある程度の時間における熱移動流体の入口温度よりもさほど低くない熱移動流体の出口温度が実現される。これは、第2の動作モードにおいて、熱移動流体が、第1の動作モードにおいて熱エネルギー貯蔵装置に送られた熱移動流体とほぼ同じ温度(高温)で、熱エネルギー貯蔵および回収装置から熱移動流体を受け取ることができることを意味する。このようにして、高温の熱移動流体が加熱蒸気を含む場合には、加熱された(元の)低温の熱移動媒体は加熱蒸気をも含み、これは、任意の別の加熱手段を用いることなく、蒸気タービンを直接駆動するために用いることができる。したがって、蓄熱および回復処理の効率は大きく向上される。
【0034】
(a)第1の端部から第2の端部への蓄熱材料に熱エネルギーをチャージするための第1の輸送方向と、(b)第2の端部から第1の端部への蓄熱材料から熱エネルギーをディスチャージするための反対の第2の輸送方向と、を用いる上記原則は、対向流の原理を用いるものとして解釈可能である。
【0035】
特に、第1の動作モードにおいて(すなわち蓄熱材料に熱エネルギーをチャージするとき)、高温の熱移動流体が第1の端部に入れられる。その熱エネルギーの少なくとも一部を移した後、少なくとも部分的に冷却された熱移動流体が第2の端部に送られる。対応して、第2の動作モードにおいて(すなわち蓄熱材料から熱エネルギーをディスチャージするとき)、比較的低温の熱移動流体が第2の端部に入れられる。蓄熱材料から熱エネルギーを受け取った後、少なくとも部分的に加熱された熱移動流体が第1の端部に送られる。
【0036】
換言すれば、上記対向流の原理の利点を得る場合、熱エネルギー貯蔵および回収装置をチャージする際の高温の熱移動流体用の熱交換装置の入口端部は、たとえば、熱エネルギー貯蔵および回収装置をディスチャージする際の加熱された熱移動流体用の熱交換装置の出口端部と同じである。対応して、熱エネルギー貯蔵および回収装置をチャージする際の冷却された熱移動流体用の熱交換装置の出口は、たとえば、熱エネルギー貯蔵および回収装置をディスチャージする際の低温の熱移動流体用の熱交換装置の入口端部と同じである。
【0037】
本発明の別の実施形態では、熱エネルギー貯蔵および回収システムが提供される。この熱エネルギー貯蔵および回収システムは、(a)上記熱エネルギー貯蔵および回収装置と、(b)熱エネルギー貯蔵および回収装置に直接または間接に接続され、熱エネルギー貯蔵および回収装置に送られる熱移動流体を加熱するよう構成されている発熱装置と、(c)熱エネルギー貯蔵および回収装置に直接または間接に接続され、熱エネルギー貯蔵および回収装置により加熱された熱移動流体を受け取るよう構成されている熱消費装置と、を備える。
【0038】
上記熱エネルギー貯蔵および回収システムは、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置が発熱装置および熱消費装置と協働する際に高効率の一時的な熱貯蔵および熱回復プロセス/サイクルを実現可能であるという考えに基づいている。
【0039】
発熱装置は、エネルギー、有利には電気エネルギーを熱エネルギーに変換可能な任意の装置であってよい。生成され変換された熱エネルギーはさらに熱移動流体を介して熱エネルギー貯蔵および回収装置に送られる。
【0040】
熱エネルギー貯蔵および回収装置と発熱装置とが直接(熱的に)接続されている場合、熱エネルギー貯蔵および回収装置により用いられる熱移動流体は、発熱装置の作用媒体と同じであってもよい。間接的に接続されている場合、熱移動流体と作用流体とに異なる流体を用いてもよい。2つの流体の間の熱的接続はその後熱交換器および/または冷却器により実現可能である。
【0041】
熱消費装置は、熱エネルギーをたとえば送電網に供給される機械エネルギーおよび/または電気エネルギーに変換可能ないかなる装置であってもよい。
【0042】
熱エネルギー貯蔵および回収装置と熱消費装置とが直接(熱的に)接続されている場合、熱エネルギー貯蔵および回収装置により用いられる熱移動流体は熱交換装置の作用流体と同じであってもよい。間接的に接続されている場合には、熱移動流体と上記作用流体とに異なる流体を用いてもよい。2つの流体の間の熱的接続はたとえば熱交換器および/または蒸発器により実現可能である。
【0043】
上記熱エネルギー貯蔵および回収装置は2つの熱交換装置、特に上述の熱交換装置と別の熱交換装置とをさらに有していてもよい。この場合、2つの熱交換装置の一方は、発熱装置と結合しており、2つの熱交換装置のもう一方は、熱消費装置と結合している。
【0044】
本発明の別の実施形態では、発熱装置は、熱エネルギーおよび回収装置が第1の動作モードにある場合に、熱移動流体に用いられる圧縮高温ガスを生成するよう構成されている。
【0045】
好ましくは、上記圧縮は断熱圧縮により実現可能である。これには、発熱装置による発熱が効率的なやり方で実現可能であるという利点がある。
【0046】
本発明の別の実施形態では、熱消費装置は、膨張装置を備えており、膨張装置は、熱エネルギーおよび回収装置が第2の動作モードにある場合に、熱エネルギー貯蔵および回収装置により供給される膨張熱移動流体により駆動可能である。
【0047】
膨張装置は、たとえば、(a)熱エネルギー貯蔵および回収装置に一時的に貯蔵された熱エネルギーから、(b)電気エネルギーへの高効率のエネルギー変換が達成されるように発電機に機械的に接続される。
【0048】
本発明の実施形態について異なる対象について説明した。有利には、いくつかの実施形態については方法タイプの請求項に関して説明し、他の実施形態については装置タイプの請求項に関して説明した。しかし、当業者であれば、上記及び下記の説明から、特に示さない限り、一方のタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なるタイプの対象に関連する特徴、特に、方法タイプのクレームの特徴と装置のタイプの請求項の特徴との任意の組み合わせが、本願書類に開示されているものと見なされる。
【0049】
本発明の上記および他の態様は、以下に示される実施形態の例から明らかであり、実施形態の例を参照して説明される。本発明は実施形態の例を参照して以下により詳細に記載されるが、本発明はこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】非常に長い熱交換装置を有する熱エネルギー貯蔵および回収装置と、この非常に長い熱交換装置の管に沿った、対応する温度挙動を示す。
【図2】熱交換装置の管に沿った温度プロファイルを示し、この温度プロファイルにおいて、熱チャージの間、温度プロファイルの勾配は一方方向に動き、熱ディスチャージの間、温度プロファイルは反対方向に動く。
【図3】熱エネルギー貯蔵および回収装置の複数回の熱チャージ/ディスチャージサイクルによる空間温度プロファイルの平坦化と、高温および低温の熱移動流体の注入による所望の空間温度プロファイルの再構成とを示す。
【図4】空間温度プロファイルを鋭くするために、分岐ダクトを介して熱交換装置にそれぞれ接続されている複数の流体ターミナルを有する熱エネルギー貯蔵および回収装置を示す。
【図5】所定温度の流体を供給するためにそれぞれが用いられる2つの共通供給管を有する熱エネルギー貯蔵および回収装置を示す。
【図6】本願発明の実施形態における熱エネルギー貯蔵および回収装置が用いられうる熱エネルギー貯蔵および回収システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図面中の記載は概略的なものである。異なる図面中、同様のまたは同一の要素は同一の参照符号、または、対応する参照符号と最初の一桁のみ異なる参照符号が付される。
【0052】
図1は本発明の実施形態における熱エネルギー貯蔵および回収装置100を示し、これは熱交換装置110と、別の熱交換装置111とを有する。両方の熱交換装置110および111は、蓄熱材料108中に埋め込まれている。蓄熱材料は固体材料、たとえば有利には、砂、土、灰、石および/または砂利であってよい。勿論、好ましく同等に安価な、同様の熱特性を有する他の材料を用いてもよい。
【0053】
ここに記載される実施形態では、熱交換装置110および111は、約1000mの物理的拡がりを有する。結果的に、(a)蓄熱材料108と、(b)約1000mの熱交換装置110および111との間に、物理的/熱的相互作用の生じる長さが形成される。
【0054】
図1よりわかるように、熱エネルギー貯蔵および回収装置100はいくつかのコンパートメント105に分割されており、これらは内部絶縁壁104により互いに分離されまたは断熱されている。
【0055】
熱交換装置110は、入口端部112aおよび出口端部113aをさらに有する。別の熱交換装置111は、入口端部113bおよび出口端部112bをさらに有する。熱エネルギー貯蔵および回収装置100に熱エネルギーを貯蔵するため、温度t1の高温熱移動流体が入口端部112aに供給され、温度t2で出口端部113aから出される。熱エネルギー貯蔵および回収装置100から熱エネルギーを回収するため、温度t3の比較的低温の熱移動流体が入口端部113bに供給され、温度t4で出口端部112bから出される。
【0056】
熱エネルギー貯蔵および回収装置100は、流体ターミナル115a、115b、116aおよび116bをさらに有し、これらは、以下で詳述するように、特定温度の流体を熱交換装置110および別の熱交換装置111のそれぞれに供給するために用いることができる。したがって、熱交換装置110および別の熱交換装置111のそれぞれの拡がりに沿った所望の空間温度プロファイルまたは空間温度勾配が維持または再構成可能となる。
【0057】
図1からわかるように、流体ターミナル115aは分岐ダクト115bを介して熱交換装置110に作用可能に接続されており、流体ターミナル116aは分岐ダクト116bを介して熱交換装置110に作用可能に接続されている。対応して、流体ターミナル117aは分岐ダクト117bを介して熱交換装置110に作用可能に接続されており、流体ターミナル118aは分岐ダクト118bを介して熱交換装置110に作用可能に接続されている。
【0058】
熱エネルギー貯蔵および回収装置100はただ1つの熱交換装置により実現されていてもよい。これは、熱エネルギー貯蔵および回収装置100の熱エネルギーによるチャージと、熱エネルギー貯蔵および回収装置100のディスチャージ(熱エネルギーの放出)との両方が、ただ1つの熱交換装置を通る熱移動流体の適切な流れによって行われることを意味する。好ましくは、熱エネルギー貯蔵および回収装置100のチャージの際の熱移動流体の第1の流れ方向は、熱エネルギー貯蔵および回収装置100のディスチャージの際の熱移動流体の第2の流れ方向とは反対である。この場合、既知の対向流の原理が熱エネルギー貯蔵および回収装置100のチャージ/ディスチャージのサイクルに対して用いられる。
【0059】
図1の下図からわかるように、ディスチャージされる熱移動流体は、チャージされる流体の入口温度t1と同じ温度t4に達する。この有利な温度挙動は2つの理由により実現される。
【0060】
(A)熱交換装置110および/または別の熱交換装置111の拡がりに沿った空間温度勾配は、(a)流体ターミナル115aおよび/または流体ターミナル117aを介して高温(の熱移動)を導入することにより、かつ、(b)流体ターミナル116aおよび/または流体ターミナル118aを介して低温(の熱移動)を導入することにより、熱エネルギー貯蔵および回収装置100の内部領域で維持可能とされる。結果として、熱交換装置110の拡がりに沿ったおよび/または別の熱交換装置111の拡がりに沿った温度は、入口端部112a、出口端部112b、入口端部113aおよび出口端部113bに隣接する端部領域内で少なくともほぼ一定である。
【0061】
(B)(a)一方の側における熱交換装置100および別の熱交換装置111と、(b)他方の側における蓄熱材料108と、の間の長い熱相互作用の生じる長さ。
【0062】
(C)熱エネルギー貯蔵および回収装置100のチャージ/ディスチャージのための向流熱交換の原理の利用。これにおいては、熱エネルギー貯蔵および回収装置100のチャージおよびディスチャージの両方における温度勾配は向流システムの流れの長さ全体を通じて少なくともほぼ一定に維持される。熱移動流体の「ディスチャージ」における温度曲線は、熱移動流体の「チャージ」における温度曲線とほぼ同じに見て取れ、2つの熱移動流体について入口温度および出口温度が同じかまたはほぼ同じであるときには、これは距離dだけずれている。
【0063】
図2は、蓄熱材料208に囲まれている熱交換装置210の管に沿った温度勾配を示す。上述のように、蓄熱材料208はたとえば砂、土または廃土石あるいはこれらの物の組み合わせを含んでなる。熱交換装置210およびこれを囲む蓄熱材料208から構成される熱エネルギー貯蔵および回収装置200は、高温の熱移動流体を熱交換装置210の左側端部から入れ、熱交換装置210の右側端部から冷却された熱移動流体を出すことによって熱エネルギーがチャージされる。対応して、低温の流体を熱交換装置210の右側端部から入れ、熱交換装置210の左側端部から加熱された熱移動流体を出すことによって熱エネルギーが放出される。
【0064】
図2には示されていないが、熱エネルギー貯蔵および回収装置200には、図1に関して上記で明らかにされた基準(A)、(B)および(C)に基づく利点がある。したがって、熱エネルギー貯蔵および回収装置200に熱エネルギーが一部負荷されるとき、熱交換装置210の左側端部に隣接する高温領域210aが拡がり、この高温領域210a内の温度はたとえば560℃で少なくともほぼ一定である。また、熱交換装置210の右側端部に隣接する低温領域210cが存在し、この低温領域210c内の温度は、たとえば20℃で少なくともほぼ一定である。領域210aと210cとの間には中間領域210bが存在し、ここには高温領域210aの高い温度と低温領域210cの低い温度との間には比較的大きい空間温度勾配が存在する。この状態は熱エネルギー貯蔵および回収装置200の直下のグラフに示されている。
【0065】
熱エネルギー貯蔵および回収装置200がさらに熱エネルギーでチャージされると、上記の温度勾配を有する中間領域210bの位置は右側に向かってシフトする。結果得られる温度プロファイルが図2の下左側のグラフに示されている。
【0066】
さらに、熱エネルギー貯蔵および回収装置200から熱エネルギーがディスチャージされるとき、上記の温度勾配を有する中間領域210の位置は左側に向かってシフトする。結果得られる温度プロファイルが図2の下右側のグラフに示されている。
【0067】
蓄熱媒体を通る熱移動流体の流速などの異なる物理パラメタに依存して、温度勾配は好ましくは最低10〜20mの長さで拡がっている。
【0068】
図3は、熱エネルギー貯蔵および回収装置の複数のチャージ/ディスチャージのサイクルと、高温および低温の熱移動流体の注入による所望の空間温度勾配の再構成とによる、空間温度勾配の平坦化を示す。参照番号352a、352b、352c、352d、352f、352gは、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最低の熱エネルギーチャージレベルにあるときに熱交換装置の拡がりに沿って現れる異なる空間温度勾配を指す。参照番号354a、354b、354c、354e、354f、354gは、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最高の熱エネルギーチャージレベルにあるときに熱交換装置の拡がりに沿って現れる異なる空間温度勾配を指す。
【0069】
ここに記載される実施形態では、熱交換装置は全長250mである。熱交換装置の高温の端部は0mに位置し、熱交換装置の低温の端部は250mに位置する。これに関して、熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置に移される第1の動作モードにおいて、高温の端部は高温の熱移動流体のための入口であり、熱移動流体は熱交換装置を通る間に冷却される。熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置から放出される第2の動作モードにおいて、高温の端部は高温の熱移動流体のための出口であり、熱移動流体は熱交換装置を通る間に加熱される。
【0070】
図3(a)は、熱エネルギー貯蔵および回収装置内の初期空間温度プロファイル/勾配352aおよび354aの一例を示す。熱エネルギー貯蔵および回収装置を、チャージレベルが、(a)所定の最低レベル以下に落ちず、かつ、(b)所定の最高レベルを超えないように動作させるとき、実際の空間温度勾配は常に曲線352aと354aとにより境界付けられる領域内にある。
【0071】
初期空間温度プロファイル/勾配352aおよび354aの形状は、低温状態(すなわち全ての場所が環境温度にある)の間の熱エネルギー貯蔵および回収装置内における熱の流れの特性に依存する。チャージされる高温の熱移動流体(たとえば高温の空気)から熱エネルギー貯蔵および回収装置の蓄熱材料(たとえば砂)への熱の流れは、熱移動流体と蓄熱材料との間の温度差に比例する。
【0072】
次のチャージ/ディスチャージサイクルにおいて、チャージ/ディスチャージされる熱移動流体には、現在の温度プロファイル/勾配により、蓄熱材料に対する異なる温度差がかかる。
【0073】
この熱的挙動を見るための別の方法には以下のものがある。チャージ/ディスチャージされる熱移動流体の移動により、熱交換装置の軸方向に沿って熱移動が増大される。熱エネルギー貯蔵および回収装置がしばらく状態を維持するとき、勾配は蓄熱材料内の熱伝導によって低下する。ここで簡略化のため、熱移動装置の管内を前後して流れる1キログラムのチャージ/ディスチャージされる熱移動流体を仮定する。このチャージ/ディスチャージされる流体は、熱エネルギー貯蔵および回収装置の高温部分にあるとき温められ、熱エネルギー貯蔵および回収装置の低温部分にあるとき冷却される。換言すれば、これは高温部分から低温部分に熱を移し、すなわち平坦化効果を加速する。
【0074】
従って、温度プロファイルの修正された形状をもたらす熱の流れが観察され、これは図3(b)に示されている。
【0075】
図3(b)および3(c)は、熱エネルギー貯蔵および回収装置における複数のチャージ/ディスチャージサイクルの間の温度プロファイルの拡大を示す。図3(b)は、5回のチャージ/ディスチャージサイクル後の空間温度プロファイル352bおよび354bを示す。上述のように、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最低の熱エネルギーチャージレベルにあるとき温度プロファイル352bが形成され、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最高の熱エネルギーチャージレベルにあるとき温度プロファイル354bが形成される。
【0076】
図3(c)は、10回のチャージ/ディスチャージサイクル後の空間温度プロファイルを示す。すなわち、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最低の熱エネルギーチャージレベルにあるとき温度プロファイル352cが形成され、熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最高の熱エネルギーチャージレベルにあるとき温度プロファイル354cが形成される。
【0077】
図3(c)から、特に0mにおける曲線352cの温度レベルから、熱エネルギー貯蔵および回収装置が既にその最低のエネルギーチャージレベルにあるために、加熱された熱移動媒体の出力温度が既に低下し始めることが容易にわかる。熱エネルギーのディスチャージをさらに続ける場合には、加熱された熱移動流体の出力温度はより低下する。換言すれば、熱移動流体の出力温度をさらに下げることなくさらに熱エネルギーをディスチャージすることはできず、したがって、熱エネルギー貯蔵及び回収装置の効率は低下する。
【0078】
熱エネルギー貯蔵および回収装置のチャージについても同様の考えが当てはまる。熱エネルギー貯蔵および回収装置がその最高の熱エネルギーチャージレベルにあるとき(曲線354cにより示される)、熱エネルギー貯蔵および回収装置への熱エネルギーのさらなるチャージは、元は高温であったが冷却された熱移動流体の出力温度を上昇させる。これは250mにおける曲線354cの温度レベルが上昇することを示す。従って、熱エネルギー貯蔵および回収装置をチャージする際の利用可能な温度差は小さくなり、熱チャージの効率も低下する。
【0079】
換言すれば、熱エネルギー貯蔵および回収装置の有効な貯蔵能力は、熱勾配が低下する(温度勾配がより鈍くなり平坦化される)につれ低下する。約10回のチャージ/ディスチャージ後のここに記載される例では、低温の端部における温度は上昇し始め、結果的にエネルギーは別の熱エネルギー貯蔵および回収装置に貯蔵される必要があるかまたはエネルギーは廃棄される。
【0080】
図3(d)は、チャージサイクルを示し、ここでは、熱交換装置の2つの端部の間の1つの位置において熱交換装置に流体ターミナルおよび分岐ダクトを介して高温の流体が導入される。ここに記載の実施形態では、その位置は熱交換装置の入口端部から約75m離れた位置であり、高温の入口流体は高温の圧縮空気である。参照符号352dは、高温の流体導入前の最低のチャージレベルにおける熱交換装置に沿った空間温度プロファイルを指す。参照符号352d’は位置75mにおける高温流体の導入直後の熱交換装置に沿った空間温度プロファイルを指す。高温の流体の導入により、空間温度プロファイルは少なくとも部分的に回復され、空間温度勾配は肩部分周辺でより鋭くなる(図3(f)参照)。
【0081】
図3(e)は、さらにもう1つのチャージサイクルの後の最高のチャージレベルにおける空間温度プロファイルを示す。しかし、温度プロファイルは未だ比較的平坦であり、より低い温度範囲において改善される。より低い温度範囲の(右)側においても空間温度プロファイルを鋭くするため、熱エネルギー貯蔵および回収装置は熱交換装置内の200mの位置において低温の流体を流すことにより意図的にディスチャージされる。ここに記載の実施形態では低温の流体は約20℃の温度を有する(圧縮)空気である。参照番号354e’は、低温の空気の導入直後の空間温度プロファイルを示す。低温の空気の導入により、空間温度プロファイルは低温側において少なくとも部分的に回復され、空間温度勾配は低温の肩部分周辺でより鋭いものとなる(図3(g))。
【0082】
図3(f)は、さらにもう1回のチャージサイクルとさらにもう1回のディスチャージサイクルの後の空間温度プロファイルを示す。最低のチャージレベル(図3(e)参照)に関して、元の温度プロファイル(図3(a)参照)は、熱交換装置の両方の端部において十分回復されている。
【0083】
図3(g)は、さらにもう1回のチャージサイクルの後の温度勾配を示し、このとき、空間温度プロファイルも最高のチャージレベルに関して回復されている(曲線354g参照)。熱エネルギー貯蔵および回収装置はもはや飽和されない(図3(c)と比較)。
【0084】
これより以下のように結論づけることができる。すなわち、上記熱エネルギー貯蔵および回収装置はチャージサイクル(第1の動作モード)中に高温流体を異なる位置で入れ、ディスチャージサイクル(第2の動作モード)中に低温空気を他方の反対の位置で入れることができるため、所望の鋭い温度プロファイルを維持することができる。図1に示したように、これは、(a)温度が少なくともほぼ一定である、熱交換装置の高温端部に近い高温領域と、(b)温度が少なくともほぼ一定である、熱交換装置の低温端部に近い低温領域と、(c)高温領域の高い温度と低温領域の低い温度との間の比較的大きい空間温度勾配が存在する、中間領域と、を有する。
【0085】
換言すれば、本熱エネルギー貯蔵および回収装置は、より多くの熱エネルギーを本熱エネルギー貯蔵および回収装置の低温の端部における温度を上昇させることなく貯蔵可能なように、蓄熱材料内における鋭い温度勾配を回復可能である。本熱エネルギー貯蔵および回収装置は、高温の端部の温度を低下させることなく、したがって熱エネルギー貯蔵および回収装置における温度差を維持して、ディスチャージ装置の効率を高いレベルに維持することにより、より低い速度でディスチャージ可能である。空間温度プロファイル/勾配は複数回のチャージ/ディスチャージサイクルによって平坦化されるだけではない。空間温度プロファイル/勾配は、熱エネルギー貯蔵および回収装置が自身の左にあるとき(すなわち、チャージなし、ディスチャージなし)、同様に平坦になる。というのも、蓄熱材料および/または熱交換装置の熱伝導性により、高温の端部と低温の端部との間の温度差が蓄熱材料および/または熱交換装置によって平坦化されるからである。
【0086】
一般に、空間温度プロファイル/勾配の低下は、たとえば、熱貯蔵に沿った複数の流体入口を有する熱エネルギー貯蔵および回収装置により排除されるか、または、少なくとも低減される。このようにして、熱エネルギー貯蔵および回収装置内の空間温度プロファイルを回復または維持するために、熱交換装置に沿った異なる位置に高温または低温流体を導入することができる。
【0087】
図4は、熱交換装置に沿った空間温度プロファイルを鋭くするための、各分岐ダクト415b、416b、417bを介して熱交換装置に接続されている複数の流体ターミナル415a、416a、417aを有する熱エネルギー貯蔵および回収装置400を示す。熱エネルギー貯蔵および回収装置400は第1の端部に主入口端部412aを有しており、熱エネルギー貯蔵および回収装置400が第1の動作モードにある(すなわち熱エネルギー貯蔵および回収装置が熱エネルギーでチャージされる)ときに高温の熱移動流体が第1の端部から導入される。熱エネルギー貯蔵および回収装置400はさらに第2の端部に主出口端部413aを有しており、熱エネルギー貯蔵および回収装置400が第2の動作モードにある(すなわち熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置400から放出される)ときに冷却された熱移動流体が第2の端部から出される。
【0088】
また、熱エネルギー貯蔵および回収装置400は、熱エネルギー貯蔵および回収装置400の長さに沿った、互いに離れた3つの流体ターミナル415a、416a、417aを有する。ここで、各流体ターミナル415a、416a、417aは流体のための入口を表している。流体の入口は、熱エネルギー貯蔵および回収装置400に沿って所望の空間温度プロファイルを維持または回復するために複数の位置において高温または低温流体が加えられるように独立に制御可能である。熱エネルギー貯蔵および回収装置400に沿って分散配置されたこのような流体の入口を異なる数で設けることは勿論可能である。
【0089】
ここに記載の実施形態では、流体ターミナル415a、416a、417aは1本の共通供給管430に接続されている。熱エネルギー貯蔵および回収装置400に沿った所望の空間温度プロファイルを回復または維持するために、適切な温度の流体が共通供給管430により熱エネルギー貯蔵および回収装置400に送られる。
【0090】
熱エネルギー貯蔵および回収装置400は検知可能な熱貯蔵のために設計されており、高温の(たとえば550℃の)ガス状流体が、砂利や石などの蓄熱材料を含む熱エネルギー貯蔵および回収装置400を通される。高温のガス状流体(たとえば大気)が有利には断熱圧縮により加熱され、熱エネルギー貯蔵および回収装置400を通される。これにより、熱移動流体は熱エネルギー貯蔵および回収装置400を通される際に冷却され、その結果蓄熱材料が加熱される。ここに記載の実施形態では、ガス状流体は環境温度まで冷却され、これは多くの実際の場合ではたとえば約80℃である。
【0091】
上述のように、熱エネルギー貯蔵および回収装置400は、エネルギーが高温の蓄熱材料から熱移動流体に移されるように、低温流体(たとえば20℃の大気)が熱エネルギー貯蔵および回収装置400を冷却端部413aから高温端部412aへと通るように、サイクルを逆にすることにより熱的にディスチャージされる。加熱された熱移動流体は、高温端部412aに近い領域内の蓄熱材料の温度と、ほぼ、理想的には同じ温度の高温端部412aにおいて熱エネルギー貯蔵および回収装置400を出る。
【0092】
図5は、所定温度の流体を供給するために用いられる2本の共通供給管530、540を有する熱エネルギー貯蔵および回収装置500を示す。熱エネルギー貯蔵および回収装置500は、入口端部512aおよび出口端部513aを有する。入口端部512aと出口端部513aとの間には、いくつかの流体ターミナル515a、516a、517a、525a、526a、527aが設けられている。流体ターミナル515a、516a、517aは1本の共通供給管530に接続されている。ここに開示の実施形態では、共通供給管530は接続された流体ターミナル515a、516a、517aに高温の流体を供給するために用いられる。従って、流体ターミナル525a、526a、527aは1本の別の共通供給管540に接続されている。ここに開示の実施形態では、別の共通供給管540は接続された流体ターミナル525a、526a、527aに低温の流体を供給するために用いられる。
【0093】
図6は熱エネルギー貯蔵および回収システム650を示し、これは熱エネルギー貯蔵プラントともいうことができる。熱エネルギー貯蔵および回収システム650は、熱エネルギー貯蔵および回収装置600を備え、これはたとえば本願に記載の任意の熱エネルギー貯蔵および回収装置であってよい。
【0094】
第1の動作モード(すなわち、熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵および回収装置に貯蔵される)において、熱エネルギー貯蔵および回収装置600の高温の入口端部は発熱装置660に接続されている。ここに記載の実施形態では、発熱装置660は断熱圧縮装置を有し、断熱圧縮装置は空気を断熱圧縮することにより、たとえば風車により得られた電気エネルギーを熱に変換する。
【0095】
第2の動作モード(すなわち熱エネルギー貯蔵および回収装置から熱が放出される)において、熱エネルギー貯蔵および回収装置600の高温の出力端部は熱消費装置670に接続されている。ここに記載の実施形態では、熱消費装置670は、発電機を有する膨張タービンを備え、発電機は高温の圧縮空気に貯蔵されたエネルギーを電気に変換する。
【0096】
この実施形態では、熱移動流体のチャージ温度は550℃である。熱移動流体は圧縮大気等のガスや任意の他の圧縮ガスである。
【0097】
熱エネルギー貯蔵および回収装置600を熱エネルギーでチャージするとき、ガスは圧縮され、断熱圧縮機660により断熱加熱される。熱エネルギー貯蔵および回収装置600を通って移動する際、ガスは冷却され、より低い温度で(たとえば環境温度で)熱エネルギー貯蔵および回収装置600を出る。
【0098】
熱エネルギー貯蔵および回収装置600のディスチャージの際、環境温度の圧縮ガスが熱エネルギー貯蔵および回収装置600を通される。熱エネルギー貯蔵および回収装置600を通る間、圧縮ガスは加熱され、高温の熱エネルギー貯蔵および回収装置600を出る。その後、加熱ガスは図示しない発電機に機械接続された膨張タービンを通り、発電機は電力を生成しうる。
【0099】
本明細書において、「〜を含む」という表記はそれ以外の要素またはステップを含むことを除外するものではなく、また「1つの」という表記はその要素が複数個設けられることを除外するものではないことを言及しておく。 異なる実施形態に関連させて説明した構成要素を組み合わせることもできる。 また、特許請求の範囲の記載にされている参照番号は請求の範囲を限定するものではないことを言及しておく。
【符号の説明】
【0100】
110 熱交換装置、 112a、412a、512a 第1の端部、 113a、413a、513a 第2の端部、 108 蓄熱材料、 115b、116b、415b、416b、417b 分岐ダクト、 115a、415a、515a、116a、416a、417a、516a、517a 流体ターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(112a、412a、512a)および第2の端部(113a、413a、513a)を有する熱交換装置(110)と、
蓄熱材料(108)と、
流体ターミナル(115a、415a、515a)と、
前記流体ターミナル(115a、415a、515a)に接続された制御装置と、
を備えた熱エネルギー貯蔵および回収装置であって、
前記熱交換装置(110)は、前記第1の端部(112a、412a、512a)と前記第2の端部(113a、413a、513a)との間の熱移動流体の流れを導くよう構成されており、
前記蓄熱材料(108)は、前記熱交換装置(110)の物理的な拡がりに沿って、前記熱移動流体と前記蓄熱材料(108)とを熱結合するための熱相互作用領域が形成されるように、前記熱交換装置(110)と熱結合されており、
前記流体ターミナル(115a、415a、515a)は、前記熱交換装置(110)と該熱交換装置(110)の分岐ダクト(415b)を介して接続されており、前記分岐ダクト(415b)は前記第1の端部(112a、412a、512a)と前記第2の端部(113a、413a、513a)との間に配置されており、
前記制御装置は、前記流体ターミナル(115a、415a、515a)を通る流体の流れが、前記熱交換装置(110)内で前記熱相互作用領域の少なくとも一部に沿った空間温度プロファイルが調整可能であるように構成されている、
ことを特徴とする熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項2】
少なくとも1つの別の流体ターミナル(116a、416a、516a)をさらに備えており、
前記少なくとも1つの別の流体ターミナル(116a、416a、516a)は、前記熱交換装置(110)と該熱交換装置(110)の別の分岐ダクト(116b、416b)を介して接続されており、
前記別の分岐ダクト(116b、416b)は前記第1の端部(112a、412a、512a)と前記第2の端部(113a、413a、513a)との間に配置されており、
前記分岐ダクト(415b)および前記別の分岐ダクト(116b、416b)は、前記熱交換装置の物理的な拡がりに沿って空間的に分散されている、
ことを特徴とする請求項1記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項3】
対応する流体ターミナル(115a、116a、415a、417a)を有する複数の分岐ダクト(115b、116b、415b、416b、417b)が前記熱交換装置(110)に沿って設けられており、
前記第1の端部(112a、412a)または前記第2の端部(113a、413a)に隣接して位置する端部領域(210a、210c)における前記熱交換装置(110)の物理的な拡がりに沿った前記分岐ダクト(115b、116b、415b、416b、417b)の密度は、前記第1の端部と前記第2の端部と間に位置する中間領域(210b)における前記熱交換装置(110)の物理的な拡がりに沿った前記分岐ダクト(115b、116b、415b、416b、417b)の密度よりも高い、
ことを特徴とする請求項2記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項4】
前記制御装置は、種々の流体ターミナル(115a、116a、415a、416a、417a、515a、516a、517a)を通る流体の流れを互いに独立に制御するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項2または3記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項5】
前記流体ターミナル(115a、415a、515a)および/または前記別の流体ターミナル(116a、416a、417a、516a、517a)は、
(a)流体を前記熱交換装置(110)に入らせ、さらに
(b)流体が前記熱交換装置(110)から出ることを妨げる
ように構成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項6】
前記蓄熱材料(108)は固体材料、有利には、砂、土、灰、石および/または砂利を含んでなる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項7】
前記熱交換装置(110)の物理的拡がりは、少なくとも80m、好ましくは少なくとも500m、有利には少なくとも1000mである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項8】
(a)前記熱エネルギー貯蔵および回収装置(100)全体を環境から断熱するための、および/または、
(b)前記熱エネルギーおよび回収装置(100)の種々のコンパートメント(105)を互いに断熱するための
断熱手段(104)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項9】
前記流体ターミナルと、前記熱交換装置(110)に高温流体を供給するための少なくとも1つの別の流体ターミナルとから選択される少なくとも2つの第1のターミナル(415a、416a、417a)に接続されている第1の共通供給管(430、530)と、
前記流体ターミナルと、前記熱交換装置(110)に低温流体を供給するための少なくとも1つの別の流体ターミナルとから選択される少なくとも2つの第2のターミナル(525a、546a、527a)に接続されている第2の共通供給管(540)と、
の少なくともいずれか一方をさらに備えており、
前記第1のターミナル(415a、416a、417a)は前記第2のターミナル(525a、546a、527a)とは異なっており、
前記高温流体の温度は前記低温流体の温度よりも高く、
前記高温流体は前記熱交換装置(110)内の前記熱移動流体を加熱するために用いられ、
前記低温流体は前記熱交換装置(110)内の前記熱移動流体を冷却するために用いられている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)の熱交換装置(110)に沿った温度プロファイルを調整する方法であって、該方法は、
前記第1の端部(112a、412a、512a)と前記第2の端部(113a、413a、513a)との間に前記熱移動流体の流れを導くステップと、
前記熱交換装置(110)内で前記熱相互作用領域の少なくとも一部に沿った空間温度プロファイルが調整されるように、前記流体ターミナル(115a、415a、515a)を通る流体の流れを制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記流体および/または前記熱移動流体は、ガス状流体、有利には圧縮ガスである、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記蓄熱材料(108)が前記熱移動流体から熱エネルギーを受け取る第1の動作モードにおいて、前記熱移動流体は前記第1の端部(112a、412a、512a)から前記第2の端部(113a、413a、513a)に送られ、
前記蓄熱材料(108)が前記熱移動流体に熱エネルギーを放出する第2の動作モードにおいて、前記熱移動流体は、前記第2の端部(113a、413a、513a)から前記第1の端部(112a、412a、512a)に送られる、
請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項記載の熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)と、
熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)に直接または間接に接続され、前記熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)に送られる熱移動流体を加熱するよう構成されている発熱装置(660)と、
熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)に直接または間接に接続され、前記熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)により加熱された熱移動流体を受け取るよう構成されている熱消費装置(670)と、
を備える、ことを特徴とする熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項14】
前記発熱装置(660)は、前記熱エネルギーおよび回収装置(100、200、400、500、600)が前記第1の動作モードにある場合に、前記熱移動流体に用いられる圧縮高温ガスを生成するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項13記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項15】
前記熱消費装置(670)は、膨張装置を備えており、
前記膨張装置は、前記熱エネルギーおよび回収装置が前記第2の動作モードにある場合に、前記熱エネルギー貯蔵および回収装置(100、200、400、500、600)により供給される膨張熱移動流体により駆動可能である、
ことを特徴とする請求項13または14記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64593(P2013−64593A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−204165(P2012−204165)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany