説明

熱サイクル装置

【課題】チップ上で液滴を移動させることにより、効率的な熱サイクルを当該液滴に施すことのできる熱サイクル装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる熱サイクル装置は、液滴を載置する載置面を有するチップを装着する装着部と、装着部を、所定方向に往復移動させる移動機構と、所定方向に温度分布を有するようにチップの載置面を温度制御する温度制御部と、を備え、移動機構は、装着部に印加される加速度および液滴の質量との積が、載置面に液滴が載置された際の静止摩擦力よりも大きくなるように、装着部を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高度な化学分析や化学合成、あるいはバイオテクノロジー関連の分析を小さなマイクロ流体チップに集積化する技術は、マイクロTAS(Total Analysis System)あるいはLab−on−a−chipなどと呼ばれ、医療診断や健康チェック、環境や食品のオンサイト分析、医薬品や化学品などの高付加価値物質の生産、生化学分析の高効率化など広い分野に応用が見込まれている。近年では、半導体製造分野での微細加工技術によりシリコンやガラス基板の加工を行って、マイクロTASを構築することも検討されている。
【0003】
マイクロTASは、従来の技術と比べて試料の必要量が少ない、反応時間が短い、廃棄物が少ない、などのメリットを有している。また、マイクロTASは、医療分野に使用した場合には、血液など検体の量を少なくすることで患者の負担を軽減でき、また、試薬の量を少なくすることで検査のコストを下げることができる。さらに、検体および試薬の量が少ないことから、反応時間が大幅に短縮され検査の効率化が図ることができる。
【0004】
一方、DNAやRNAのような遺伝子の検査するための増幅方法としてPCR(Polymerase Chain Reaction)が例えば研究用および臨床検査用に広く用いられている。PCRでは通常、標的核酸および試薬を含む反応液に、熱サイクルという複数段階の温度変化(例えば95℃、74℃、55℃の温度変化を繰り返す)を施すことにより標的核酸を増幅させる。
【0005】
PCRにマイクロTASあるいはLab−on−a−chipを適用することは、少ない量の検体で済み、また反応時間の短縮も可能なことから有望である。そしてその場合には、反応液の微小な液滴を、器具等を使うことなく、チップ内で位置を移動させる技術が、汚染(コンタミネーション)の抑制、熱サイクルの効率化の点で有用となっている。微小な液滴を移動させる技術としては、例えば、液滴に磁性粒子を配合し、当該磁性粒子が外部からの磁力を受けて、液滴全体を移動させる方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−012490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、微小な液滴を移動させる方法として、磁性粒子を用いる方法では、磁性粒子に対象の液体を追従させる必要があり、液滴の体積に対する磁性粒子の配合量を調節する必要があった。また、磁性粒子によって液滴を移動させる方法をPCRに適用する場合には、添加した磁性粒子によってPCRの反応が阻害されたり、磁性粒子の熱容量によって熱サイクルの効率が低下することが懸念される。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その幾つかの態様にかかる目的の一つは、チップ上で液滴を移動させることにより、効率的な熱サイクルを当該液滴に施すことのできる熱サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明にかかる熱サイクル装置の一態様は、液滴を載置する載置面を有するチップを装着する装着部と、前記装着部を、所定方向に往復移動させる移動機構と、前記所定方向に温度分布を有するように前記チップの前記載置面を温度制御する温度制御部と、を備え、前記移動機構は、前記装着部に印加される加速度および前記液滴の質量との積が、前記載置面に前記液滴が載置された際の静止摩擦力よりも大きくなるように、前記装着部を移動させる。
【0011】
本適用例の熱サイクル装置によれば、移動機構が、装着部に印加される加速度および液滴の質量との積が、載置面に液滴が載置された際の静止摩擦力よりも大きくなるように、装着部を移動させるため、チップに載置される液滴の慣性力を利用することによって、液滴をチップの載置面上で移動させることができる。そして、当該載置面は温度制御部によって温度制御されているので、液滴を載置面上で移動させることによって、当該液滴の温度を迅速に変化させることができる。したがって、本適用例の熱サイクル装置によれば、液滴に対して、効率的な熱サイクルを施すことができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1の熱サイクル装置において、前記所定方向の成分を有するエネルギーが蓄積されるように前記弾性体を変形させる、または、前記エネルギーが解放されるように前記弾性体を復元させる変形手段と、を含み、前記装着部に印加される前記加速度は、前記弾性体の前記エネルギーが前記変形手段によって解放されることによって印加されてもよい。
【0013】
本適用例の熱サイクル装置は、変形手段の仕事によって蓄えられた弾性体の歪みエネルギー(弾性力による位置エネルギー)を利用するので、装置を小型化しやすく、かつ、装着部に対して所望の加速度をより容易に印加することができる。
【0014】
[適用例3]
適用例2の熱サイクル装置において、前記弾性体は、バネであり、前記変形手段は、カムであり、前記装着部に印加される前記加速度は、前記カムによって変形された前記バネの復元力に基づいて印加されてもよい。
【0015】
本適用例の熱サイクル装置は、移動機構の構成が簡素であり、小型化が容易でかつ生産性に優れている。
【0016】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の熱サイクル装置において、前記温度制御部は、第1温度制御部および第2温度制御部を有し、前記第1温度制御部は、前記チップの前記載置面の一部を90℃以上100℃以下の温度範囲に制御し、前記第2温度制御部は、前記チップの前記載置面の一部を50℃以上75℃以下の温度範囲に制御してもよい。
【0017】
本適用例の熱サイクル装置によれば、液滴に対して2段階以上の熱サイクルを施すことができる。また、本適用例の熱サイクル装置は、液滴の温度を、90℃以上100℃以下、および、50℃以上75℃以下に制御することができるためPCRになお適している。
【0018】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の熱サイクル装置において、前記チップの前記載置面を内包する密閉空間を形成するように設けられる蓋体をさらに有してもよい。
【0019】
本適用例の熱サイクル装置によれば、チップおよび液滴を密閉空間に保持できる。これにより、液滴に対する汚染(コンタミネーション)を抑制することができる。
【0020】
[適用例6]
適用例5の熱サイクル装置において、前記蓋体を加熱する加熱部をさらに有してもよい。
【0021】
本適用例の熱サイクル装置によれば、蓋体が結露等によって曇ることが抑制され、これにより、例えば、液滴がPCRの反応液である場合などにおいて、結露によって生じた水滴等が反応液に混入することなどが抑制され、反応液の蛍光測定等をより正確に行うことができる。
【0022】
[適用例7]
適用例5または適用例6の熱サイクル装置において、
前記蓋体は、前記蓋体の外部から前記チップの前記載置面を視認可能な位置に、可視光の波長領域において透明な材質で形成された窓を有してもよい。
【0023】
本適用例の熱サイクル装置によれば、液滴を外部から観察、または光学的手段によって測定できる。そのため、例えば、液滴がPCRの反応液である場合などにおいて、蛍光測定等を熱サイクルの途中でも行うことができる。
【0024】
[適用例8]
適用例5ないし適用例7のいずれか一例の熱サイクル装置において、前記蓋体によって形成される前記密閉空間は、水の飽和雰囲気であってもよい。
【0025】
本適用例の熱サイクル装置によれば、液滴が水分を含む場合に、液滴からの水分の蒸発を抑制することができ、例えば、反応液の溶質の濃度の変化を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】熱サイクル装置に装着するチップの一例を示す平面図。
【図2】実施形態に係る熱サイクル装置の要部を模式的に示す平面図。
【図3】実施形態に係る熱サイクル装置の要部を模式的に示す側面図。
【図4】実施形態に係る熱サイクル装置の要部を模式的に示す平面図。
【図5】実施形態に係る熱サイクル装置の要部を模式的に示す側面図。
【図6】実施形態に係る熱サイクル装置の要部の断面を拡大して示す模式図。
【図7】実施形態に係る熱サイクル装置の動作の一例を模式的に示すグラフ。
【図8】実施形態に係る熱サイクル装置の動作の一例を模式的に示すグラフ。
【図9】実施形態に係る熱サイクル装置の動作の一例を模式的に示すグラフ。
【図10】実施形態に係る熱サイクル装置の動作の一例を模式的に示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
1.熱サイクル装置
図1は、本実施形態の熱サイクル装置に装着されるチップの一例であるチップ1を示す平面図である。図2は、本実施形態の熱サイクル装置100の要部を模式的に示す平面図である。図3は、本実施形態の熱サイクル装置100の要部を模式的に示す側面図である。図4は、本実施形態の熱サイクル装置110の要部を模式的に示す平面図である。図5は、本実施形態の熱サイクル装置110の要部を模式的に示す側面図である。図5ではカム23は省略して描かれている。
【0029】
本実施形態の熱サイクル装置100は、チップ1を装着する装着部12と、加速度αを、装着部12に印加し装着部12を所定方向に往復移動させる移動機構20と、チップ1の載置面sを温度制御する温度制御部30と、を備える。
【0030】
1.1.チップ
チップ1は、熱サイクル装置100の装着部12に装着することができる形状を有する。チップ1には、液滴が載置される。チップ1の機能の一つは、載置された液滴dを保持し、チップ1内で液滴dを移動させることによって、液滴dに熱を与えることが挙げられる。チップ1の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、シリコン、各種の樹脂などが挙げられる。チップ1をPCRの反応に用いる場合には、チップ1は、コンタミネーションを防止するために使い捨てであることが好ましく、材質はコストの点で樹脂であることがより好ましい。
【0031】
チップ1は、液滴dを載置する載置面sを有する。載置面sは、液滴dが移動することができる程度の大きさの面積を有する。載置面sは、熱サイクル装置100にチップ1が装着され、液滴dが載置されたときに、重力の影響によって液滴dが転落または滑落しないチップ1の位置に配置される。載置面sは、液滴dを滴の形状に保持できる性質を有する。載置面sの形状は、例えば、平面、曲面とすることができる。載置面sは、例えば、液滴dが移動する範囲を規制する溝Lを有してもよい。載置面sが溝Lを有すると、例えば、チップ1に液滴dが複数載置される場合に、当該複数の液滴が互いに合一することを防ぎ、汚染を抑制することができる。図1に例示したチップ1では、載置面sに、チップ1の移動方向に沿った溝Lが複数形成されている。
【0032】
載置面sは、撥水処理、撥油処理などの撥液処理がされていてもよい。載置面sの撥液処理は、例えば液滴dを構成する液体の種類、または液滴dの大きさを考慮して選択される。載置面sが撥液処理されていると、例えば液滴dの移動を容易化することができる。載置面sの撥液処理としては、例えば、フッ素樹脂またはシリコン樹脂によるコーティングなどが挙げられる。
【0033】
液滴dは、載置面sに載置されたときに滴となる大きさで載置される。液滴dは、載置されたときに滴になれば、水性、油性のいずれであってもよい。液滴dは、例えば、PCRの反応液であってもよい。液滴dがPCRの反応液である場合には、反応液には増幅の対象とする核酸(標的核酸)および反応に必要な試薬が含まれる。
【0034】
1.2.装着部
本実施形態の熱サイクル装置100は、装着部12を有する。装着部12は、チップ1を装着する部分である。図2に例示する熱サイクル装置100では、装着部12は、ステージ10に形成されている。装着部12は、熱サイクル装置100に複数形成されてもよい。装着部12にチップ1を装着する機構としては、後述する加速度αの印加によって、チップ1がステージ10上を移動する等の不具合、またはステージ10から脱落する等の不具合を生じない限り、特に制限されない。装着部12にチップ1を固定する方法としては、例えば、クリップ等により機械的にチップ1を固定する方法、チップ1を減圧吸着する方法、粘着シート等によって固定する方法などが挙げられる。本実施形態の熱サイクル装置100では、装着部12にチップ1が図示せぬ粘着シートによって固定されている。
【0035】
ステージ10は、所定の方向に往復移動できるように構成される。したがって、装着部12は、所定の方向に往復移動し、装着部12にチップ1が装着された場合には、チップ1は、当該所定の方向に往復移動することができる。このような機能を有する限り、ステージ10の構成や形状については制限がない。また、ステージ10が所定の方向に沿って往復移動する範囲についても特に制限されず、チップ1上の液滴dの移動範囲や、移動機構20の構成によって、適宜設定されることができる。装着部12の形状は、チップ1の形状に合わせて適宜設計されることができる。ステージ10において装着部12が形成される位置についても特に制限されない。図1に例示した熱サイクル装置100では、装着部12は、ステージ10の上面に形成されている。
【0036】
1.3.移動機構
1.3.1.移動機構の構成
本実施形態の熱サイクル装置100は、移動機構20を有する。移動機構20は、ステージ10を所定の方向に沿って移動させることができる。これにより、装着部12にチップ1が装着された状態で、装着部12が所定の方向に沿って移動された場合には、チップ1は、当該所定の方向に沿って移動される。移動機構20の構成としては、装着部12に一定の大きさ以上の加速度αを印加することができる限り何ら限定されない。
【0037】
移動機構20は、例えば、動力源としてモーターや電磁石を、機構としてバネ、ゴム等の弾性体、カム、歯車、ガイドレール、ベルトなどを含んで適宜に構成されることができる。
【0038】
移動機構20の具体的な例として、図2および図3には、動力源および機構として、リニアモーター21を有する移動機構20で構成された熱サイクル装置100を例示した。熱サイクル装置100は、リニアモーター21によってステージ10が所定の方向に往復移動される。この場合の往復移動の方向は、リニアモーター21の動作方向に一致している。
【0039】
また、移動機構20の他の具体的な例として、図4および図5には、ステージ10に備えられたピン22と、ピン22に接触して回転するカム23と、ステージ10および筐体50を接続するバネ24と、ステージ10を固定する滑走体26と、滑走体26をスライド移動させることのできるガイドレール25と、を含む移動機構20を含んで構成された熱サイクル装置110を例示した。図4および図5に例示した移動機構20の構成では、カム23は、図示せぬモーターによって回転される。そして、カム23の回転により、カム23の突起に接触しているピン22の位置が移動されることで滑走体26およびステージ10が移動し、バネ24が変形される。そして、カム23がさらに回転すると、ピン22がカム23の突起から外れ、変形されていたバネ24が復元する。すなわち、バネ24の変形および復元のときに、滑走体26およびステージ10がガイドレール25に沿う方向に往復移動される。なお、カムの突起の形状は、必要な加速度を得ることができるように適宜設計される。また、滑走体26は、ステージ10と一体的に構成されてもよい。
【0040】
また、以上の例では、ステージ10(装着部12)が移動する所定の方向は、1つの軸の方向の場合(一次元的な移動)を例示しているが、これに限定されず、例えば、互いに交差する2つの軸に沿ってそれぞれステージ10を往復移動させるように移動機構20を構成してもよい。このような場合には、チップ1の載置面s上において、液滴dを所定の面の範囲で任意に移動(二次元的な移動)させることもできる。
【0041】
1.3.2.加速度
移動機構20は、装着部12に加速度αを印加する機能を有する。本実施形態の熱サイクル装置100では、移動機構20によって装着部12に印加される加速度αは、摩擦や微小液滴の質量、重力加速度などを無視すれば、移動機構20によって、ステージ10に印加される力を、当該力をステージ10およびチップ1の合計の質量で除したものに相当する。そして、当該加速度αが、装着部12に印加される加速度となる。
【0042】
移動機構20によってステージ10に対して印加される加速度αは、所定の期間の間は、チップ1に載置された液滴dの質量と当該加速度との積の値が、液滴dのチップ1の載置面sにおける静止摩擦力よりも大きくなるように設計される。そのため、液滴dは、前記所定の期間においては、チップ1の載置面s上を移動することになる。なお、液滴dの載置面sにおける静止摩擦力は、例えば、載置面sを水平状態から傾斜させ、重力によって滑落する角度を測定する方法によって見積もることができる。
【0043】
加速度αと液滴dの質量の積は、液滴dが受ける慣性力に相当し、液滴dがチップ1の載置面s上で静止しているときに、当該慣性力が、液滴dの静止摩擦力に打ち勝った場合に、液滴dがチップ1の載置面s上を移動する(図中矢印参照)。そして、液滴dとチップ1との相対速度が小さくなると、液滴dは、再度チップ1の載置面s上で静止する。このような機構により、加速度αが印加されることにより、液滴dは、チップ1の載置面s上を移動することができる。
【0044】
このような加速度αは、上記「1.3.1.移動機構の構成」で例示した構成では、以下のようにして印加される。
【0045】
図2および図3に示す熱サイクル装置100では、リニアモーター21の駆動によって、加速度αが発生し、ステージ10(装着部12)に当該加速度αが印加される。これにより液滴dは、加速度αと反対方向に載置面s上を移動する(図中矢印参照)。したがって、リニアモーター21としては、このような関係を満足することができる加速度αを発生できる構成が選択される。
【0046】
図4および図5に示す熱サイクル装置110では、カム23が回転することにより、バネ24にエネルギーが蓄えられ、次いで、カム23の突起からピン22が外れて、バネ24に蓄えられたエネルギーが解放される。熱サイクル装置110の構成では、バネ24の復元力によって、ステージ10に上述した関係を満足する加速度αを発生させる。このときに液滴dが慣性力によって加速度αと逆の方向にチップ1上を移動する(図中矢印参照)。そして、さらにカム23が回転し、ピン22がカム23の次の突起に接触し、ステージ10が定位置に戻る。さらにカム23が回転することにより、これらの動作が繰り返され、ステージ10が、ガイドレール25に沿う方向の加速度αを繰り返し受けることになる。なお、カム23の回転方向を逆にしても、同様の作用が得られ、その場合には、加速度αの向きが逆になるため、液滴dは上記と逆方向に移動することになる。したがって、図4および図5に示す熱サイクル装置110では、カム23の回転方向を逆にするだけで、液滴dの移動方向を逆方向にすることができるため、簡易な構成で液滴dを移動させることができる。
【0047】
また、この例では、2つのバネ24による構成を例示しているが、バネ24の数は制限されず、また、バネに限らず、エネルギーを蓄えて解放できる弾性体であれば、移動機構20を構成することができる。さらに、図4および図5の例では、カム23を用いたが、弾性体を変形させることができる変形手段として、カム以外の構成を含んでも、このような動作が可能である。
【0048】
移動機構20が、弾性体および変形機構によって構成される場合には、熱サイクル装置は、変形手段の仕事によって蓄えられた弾性体の歪みエネルギー(弾性力による位置エネルギー)の解放によって加速度αを発生させるので、小規模の構成としやすく、かつ、装着部に対して所望の加速度αをより容易に印加することができる。さらに、図4および図5に例示したように、弾性体をバネ24で構成し、変形手段をカム23で構成した場合には、加速度αは、カム23によって変形されたバネの復元力に基づいて印加される。そのため、移動機構20の構成をさらに簡素化することができ、熱サイクル装置の小型化が容易でかつ生産性に優れたものとすることができる。
【0049】
1.4.温度制御部
本実施形態の熱サイクル装置は、温度制御部30を有する。温度制御部30は、チップ1の載置面sの温度を制御することができる。温度制御部30によって温度が制御される載置面sの領域の大きさは、特に制限されないが、載置面sにおいて液滴dが移動する領域において、少なくとも2段階の温度が得られるように設計される。例えば、液滴dの移動が、所定方向(1軸)に沿ったものである場合には、当該所定方向において、少なくとも2段階の温度に制御されるように設計される。すなわち、温度制御部30は、装着部12(ステージ10)が移動する所定方向に沿った温度分布を有するように、チップ1の載置面sの温度を制御する。
【0050】
温度制御部30が形成される位置は特に制限されないが、例えば、ステージ10に形成されることができる。温度制御部30の形状についても特に限定されない。温度制御部30の機能としては、チップ1の載置面sの温度を制御して、当該温度制御された載置面sの部分に液滴dが存在する場合に、液滴dをその温度に加熱または冷却することが挙げられる。
【0051】
温度制御部30の構成としては、例えば、電熱ヒーター、ペルチェ素子、または、蓄熱媒体や冷媒の循環機構、あるいはそれらの組合せを含んで構成されることができる。また、温度制御部30の構成は、チップ1の熱容量や、ステージ10の大きさなどを考慮して適宜選定されることができる。図2ないし図5に示す熱サイクル装置の例では、温度制御部30は、ステージ10の装着部12に形成されている。そして、温度制御部30は、チップ1に接触するように配置されている。
【0052】
温度制御部30は、1個設けられてもよいし、複数設けられてもよい。図2ないし図5は、温度制御部30が、2つ設けられた熱サイクル装置を例示している。温度制御部30は、3つ以上設けられてもよい。図2ないし図5に例示した熱サイクル装置では、ステージ10に、第1温度制御部31および第2温度制御部32が形成されている。これにより、載置面sに、2箇所の温度制御領域33を形成しており、チップ1上で、少なくとも2段階の温度に液滴dの温度を制御することができる。
【0053】
温度制御部30によって制御される温度は、特に制限されないが、例えば、液滴dが温度制御領域33に移動することによって、液滴dの温度が90℃以上100℃以下の温度範囲、および50℃以上75℃以下の温度範囲にそれぞれ制御されるようにしてもよい。このようにすると、液滴dがPCRの反応液である場合の熱サイクルに、より好ましい。このような温度範囲を載置面sで実現するためには、温度制御部30の構成として、1つのヒーター等の加熱手段を用いて可能な場合がある。しかし、温度制御部30が複数設けられる場合には、温度制御部30のそれぞれが、温度を制御できるので、載置面sに異なる温度の領域を形成するように温度制御することが、より容易となる。図2ないし図5に例示した熱サイクル装置は、液滴dの温度を、90℃以上100℃以下、および、50℃以上75℃以下に制御することが容易であるため液滴dがPCRの反応液である場合には特に好適である。
【0054】
1.5.その他の構成
本実施形態の熱サイクル装置は、蓋体40を有してもよい。図6は、本実施形態の熱サイクル装置のステージ10付近の断面の模式図である。
【0055】
蓋体40は、少なくともチップ1の載置面sを内包する密閉空間を形成することができる。蓋体40は、熱サイクル装置の一部材として、チップ1に接続するように構成されてもよいし、ステージ10に対して接続するように構成されてもよい。図6の例では、蓋体40は、ステージ10に接触して固定されている。本実施形態の熱サイクル装置が、蓋体40を有する場合には、蓋体40により載置面sに載置された液滴dが、密閉空間内に配置される。そのため、例えば液滴dに対する汚染(コンタミネーション)や、外部からの機械的な接触を抑制することができる。
【0056】
蓋体40の材質としては、特に制限されず、例えば、ガラス、シリコン、または各種の樹脂が挙げられる。また、蓋体40には、例えば、気密性を高めるために、必要に応じてパッキン等が含まれてもよい。
【0057】
蓋体40の材質が可視光の波長領域(約380nm〜780nm)において不透明な材質である場合に、蓋体40が設置されることにより、載置面sが外部から観測できなくなる場合がある。このような場合には、蓋体40の外部から載置面sを視認することができる位置に、窓42を形成してもよい。窓42は、可視光の波長領域において透明な材質、例えば、ガラス、アクリル樹脂等で形成されることができる。蓋体40が、このような窓42を有すると、熱サイクル装置の外部から、液滴dを観察することができる。そして、液滴dが蛍光物質等を含む場合には、外部から液滴dの蛍光を熱サイクルの途中でも観測することができる。したがって、例えば、リアルタイムPCRのような、反応(熱サイクル)の途中で蛍光測定を行う用途に本実施形態の熱サイクル装置を使用できる。
【0058】
また、蓋体40が窓42を有する場合または蓋体40が透明な材質で形成される場合には、窓42または載置面sを視認することができる位置を加熱する加熱部をさらに有してもよい。加熱部としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)で形成されたヒーター等の透明な発熱体が挙げられる。このようにすれば、窓42や載置面sを視認することができる位置が結露等によって曇ることを抑制することができる。
【0059】
さらに、蓋体40によって形成される密閉空間は、水の飽和雰囲気としてもよい。密閉空間を水の飽和雰囲気にする方法としては、例えば、密閉空間内に液滴dと干渉しないように水を配置する方法がある。このようにすれば、液滴dが水分を含む場合に、液滴dの水分の蒸発を抑制することができ、例えば、液滴dがPCRの反応液である場合には、液滴dにおける溶質の濃度の変化を小さく抑えることができる。
【0060】
蓋体40は、液滴dに接触してもよい。蓋体40が液滴dに接触する場合には、液滴dは、載置面sおよび蓋体40に接触するため、液滴dの自由表面の割合を小さくすることができる。これにより、液滴dからの水分の蒸発をさらに抑えることができる。なお、このようにする場合には、液滴dの静止摩擦力は、載置面sとの間の静止摩擦力と蓋体40との間の静止摩擦力の和となるため、移動機構20によって印加される加速度αは、液滴dの質量と加速度αとの積の値が、液滴dのチップ1の載置面sにおける静止摩擦力および蓋体40に対する静止摩擦力の和よりも大きくなるように適宜印加されるようにする。
【0061】
1.6.作用効果等
以上説明した本実施形態の熱サイクル装置によれば、チップ1に載置される液滴dの慣性力を利用することによって、当該液滴dをチップ1の載置面s上で移動させることができる。そして、当該載置面sは温度制御部30により温度制御されているので、液滴dを載置面s上で移動させることによって、当該液滴dの温度を所望の温度に迅速に変化させることができる。したがって、本実施形態の熱サイクル装置によれば、液滴dに対して、効率的な熱サイクルを施すことができる。
【0062】
2.熱サイクル装置の使用方法
次に本実施形態の熱サイクル装置の使用方法について述べる。図7ないし図10は、ステージ10の位置、および液滴dの載置面sに対する相対的な位置の時間変化を模式的に示すグラフである。
【0063】
図7は、図2および図3に例示した熱サイクル装置100のように、移動機構20をリニアモーター21で構成した場合のステージ10の位置(a)、およびチップ1(載置面s)上の液滴dの相対的な位置(b)、の時間変化の一例を模式的に示している。この例は、理想的な挙動を説明するものであって、加速度α((a)のグラフの傾きが速度を表し、その速度の変化が加速度αに対応する)は、極めて大きく描かれている。
【0064】
図7において、時刻t0では、ステージ10は、移動範囲Xの一方の端に存在し(a)、液滴dは、温度制御領域33aに存在している。時刻t1では、ステージ10は、移動範囲Xの他方の端まで非常に大きい加速度αによって移動し、液滴dは、温度制御領域33bに移動する。この例は理想的な状態であるため、加速度αと液滴dの質量の積は、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力より大きく、液滴dは、瞬時に温度制御領域間を移動することができる。このようにして液滴dは、各温度制御領域に所定の期間保持されることができる。また、各温度制御領域に液滴dが保持される期間は、上記の操作のタイミングを制御することによって任意に設定することができる。
【0065】
図8は、図4および図5に例示した熱サイクル装置110のように、移動機構20をカム23およびバネ24を含んで構成した場合のステージ10の位置(a)、およびチップ1(載置面s)上の液滴dの相対的な位置(b)、の時間変化の一例を模式的に示している。この例も理想的な挙動を説明するものであって、加速度αは、極めて大きく描かれている。
【0066】
図8において、時刻t0では、ステージ10は、移動範囲Xの中心付近に存在し(a)、液滴dは、温度制御領域には存在していない。カム23の回転により、ステージ10は、時刻t1まで小さい加速度を伴う速度で位置を移動し、このときは、液滴dの位置は変化しない。そして、時刻t1において、カム23の突起からピン22が外れて、バネ24の復元力によって、液滴dの質量との積が、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも大きい加速度αによってステージ10が移動し、これに伴って液滴dは、温度制御領域33bに向かって移動する。さらに、カム23が回転することにより、ステージ10は、時刻t2まで小さい加速度を伴う速度で位置を移動し、このときは、液滴dの位置は変化しない。そして、時刻t2において、カム23の突起からピン22が外れて、バネ24の復元力によって、大きな加速度が発生する。ここで加速度αと液滴dの質量との積は、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも大きい。この加速度αによってステージ10が移動し、これに伴って液滴dは、温度制御領域33bに向かって移動する。カム23の回転により、これらの動作を繰り返すことによって、時刻t3において、液滴dは、温度制御領域33bに到達する。
【0067】
この例では続いて、t4において、カム23の逆回転が開始される。カム23が逆回転する間は、ステージ10は、時刻t5まで小さい加速度を伴う速度で位置を移動し、このときは、液滴dの位置は変化しない。そして、時刻t5において、カム23の突起からピン22が外れて、バネ24の復元力によって、大きい加速度αによってステージ10が移動し、これに伴って液滴dは、温度制御領域33aに向かって移動する。これらの動作を繰り返すことによって、時刻t10において液滴dは、温度制御領域33aに到達する。
【0068】
この例においても、液滴dは、各温度制御領域に所定の期間保持されることができる。また、各温度制御領域に液滴dが保持される期間は、上記の操作のタイミングを制御することによって任意に設定することができる。
【0069】
また、図8の例では、液滴dをステージ10に対して相対的に移動させた後に、小さい加速度でステージ10の位置を逆方向に移動させる点で、図7で示した例とは相違している。これにより、図8に示す例では、ステージ10の移動範囲Xは、図7に示す例と比較して小さくすることができる。そのため、このような移動機構20によって構成すれば、例えば熱サイクル装置を小型化することができる。
【0070】
上記のいずれの例においても、移動機構20の動作の時間間隔、移動距離など、各種の条件は、液滴dに必要な熱サイクルの条件に合わせて適宜設計されることができる。
【0071】
図9および図10は、それぞれ図7および図8に対応するが、ステージ10の移動時に、加速度αが、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも小さくなる期間を有する場合について例示している。
【0072】
図9の例は、時刻t0では、ステージ10は、移動範囲Xの一方の端に存在し(a)、液滴dは、温度制御領域33aに存在している(b)。時刻t1で、ステージ10は、移動範囲Xの他方の端に向かって移動を開始するが、このときの加速度αと液滴dの質量との積は、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも小さい。そのため、液滴dは、ステージ10の移動に追従し、液滴dのステージ10(載置面s)との相対位置は変化しない。そして、時刻t1’において、加速度αと液滴dの質量との積が、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力を超え、液滴dが載置面s上を移動する。この場合には、液滴dは、ステージ10の移動方向と同じ方向の絶対的な速度成分を有している。そして、時刻t1”において、ステージ10が静止すると、液滴dは、図中符号Rで示すように、慣性力によって載置面sに対して相対的に逆方向に移動して静止する。このような場合でも、液滴dは温度制御領域間を移動することができる。
【0073】
このように、瞬間的に大きな加速度を得にくい等の移動機構20の制約がある場合でも、移動範囲Xの大きさ、液滴dの慣性力を考慮し、温度制御領域の範囲を適宜設計することによって、液滴dに所望の熱サイクルを施すことができる。
【0074】
同様に、図10において、時刻t0では、ステージ10は、中心付近に存在し(a)、液滴dは、温度制御領域には存在していない(b)。カム23の回転により、ステージ10は、時刻t1まで液滴dの質量との積が、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも小さい加速度を伴う速度で位置を移動し、このときは、液滴dの載置面sとの相対的な位置は変化しない。そして、時刻t1において、カム23の突起からピン22が外れて、バネ24の復元力によって、加速度αによってステージ10が移動するが、移動当初の加速度αと液滴dの質量との積は、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力よりも小さい。そのため、液滴dは、ステージ10の移動に追従し、液滴dのステージ10(載置面s)との相対位置は変化しない。そして、時刻t1’において、加速度αと液滴dの質量との積が、液滴dと載置面sとの間の静止摩擦力を超え、液滴dが載置面s上を移動する。この場合、液滴dは、ステージ10の移動方向と同じ方向の絶対的な速度成分を有している。そして、時刻t1’において、ステージ10が静止すると、液滴dは、図中符号Rで示すように、慣性力によって載置面sに対して相対的に逆方向に移動して静止する。この例では、液滴dは、逆方向への移動を伴うものの、トータルでは温度制御領域33bに向かって移動する。カム23の回転により、これらの動作を繰り返すことによって、時刻t4’において、液滴dは、温度制御領域33bに到達することは図8の例の場合と同様である。このように、非常に大きな加速度αを移動当初に得にくい場合でも、カム23の回転動作を継続することにより、液滴dを所望の位置まで移動することができる。この例でも続いて、t4’において、カム23の逆回転が開始され、上記図8で説明したと同様の動作が可能であり、液滴dは、温度制御領域33aに向かって移動し、これらの動作を繰り返すことによって、時刻t11’において、液滴dを、温度制御領域33aに到達させることができる。
【0075】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0076】
1…チップ、s…載置面、d…液滴、L…溝、α…加速度、10…ステージ、12…装着部、20…移動機構、21…リニアモーター、22…ピン、23…カム、24…バネ、25…ガイドレール、26…滑走体、30…温度制御部、31…第1温度制御部、32…第2温度制御部、33,33a,33b…温度制御領域、40…蓋体、42…窓、50…筐体、X…移動範囲、100,110…熱サイクル装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を載置する載置面を有するチップを装着する装着部と、
前記装着部を、所定方向に往復移動させる移動機構と、
前記所定方向に温度分布を有するように前記チップの前記載置面を温度制御する温度制御部と、
を備え、
前記移動機構は、前記装着部に印加される加速度および前記液滴の質量との積が、前記載置面に前記液滴が載置された際の静止摩擦力よりも大きくなるように、前記装着部を移動させる、熱サイクル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動機構は、前記装着部に接続された弾性体と、
前記所定方向の成分を有するエネルギーが蓄積されるように前記弾性体を変形させる、または、前記エネルギーが解放されるように前記弾性体を復元させる変形手段と、を含み、
前記装着部に印加される前記加速度は、前記弾性体の前記エネルギーが前記変形手段によって解放されることによって印加される、熱サイクル装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記弾性体は、バネであり、
前記変形手段は、カムであり、
前記装着部に印加される前記加速度は、前記カムによって変形された前記バネの復元力に基づいて印加される、熱サイクル装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記温度制御部は、第1温度制御部および第2温度制御部を有し、
前記第1温度制御部は、前記チップの前記載置面の一部を90℃以上100℃以下の温度範囲に制御し、
前記第2温度制御部は、前記チップの前記載置面の一部を50℃以上75℃以下の温度範囲に制御する、熱サイクル装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記チップの前記載置面を内包する密閉空間を形成するように設けられる蓋体をさらに有する、熱サイクル装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記蓋体を加熱する加熱部をさらに有する、熱サイクル装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記蓋体は、前記蓋体の外部から前記チップの前記載置面を視認可能な位置に、可視光の波長領域において透明な材質で形成された窓を有する、熱サイクル装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか一項において、
前記蓋体によって形成される前記密閉空間は、水の飽和雰囲気である、熱サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−139173(P2012−139173A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294366(P2010−294366)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】