説明

熱ショックタンパク質誘導剤、およびこれを含む皮膚用外用剤、食品、並びに、熱ショックタンパク質誘導剤の製造方法

【課題】HSP誘導活性が高い新規なHSP誘導剤を提供する。
【解決手段】生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物由来の熱ショックタンパク質誘導剤、およびこれを含む皮膚用外用剤、食品、並びに、熱ショックタンパク質誘導剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞、組織あるいは個体において、生理的温度より3℃以上高い温度に曝したとき、生体の防御反応として合成が誘導される、SDS−PAGEによって測定した分子量範囲10〜110KDaの一群のタンパク質が存在しており、熱ショックタンパク質(heat shock proteins、以下、「HSP」という)と呼ばれる。
HSPは、その分子量によってファミリーが形成されており、例えば、HSP90ファミリー(分子量が90kDa以上110kDa以下)、HSP70ファミリー(分子量が70kDa以上80kDa未満)、HSP60ファミリー(分子量が60kDa以上70kDa未満)および低分子HSPファミリー(分子量が60kDa未満)のように分類される。
HSPの機能は多岐に渡っており、例えば、HSP70ファミリーおよびHSP60ファミリーは、変性タンパク質に結合して、天然のフォールディング(高次構造・折り畳み構造)に巻き戻す作用、第3の蛋白質や核酸との会合、細胞内での局在化や膜透過への関与など、いわゆる分子シャペロンとよばれる機能を担っていることが明らかにされている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
HSPは、高温ばかりでなく重金属や酸素欠乏、種々の化学薬品、放射線、紫外線など、外界からの様々なストレスを受ける際にも合成が誘導される。高温をはじめとするストレスは細胞のタンパク質を変性させ、不溶性沈澱を形成して細胞に致命的な障害を与える。
細胞内における蛋白質のフォールディングの異常は、さまざまな疾病の原因となっていることが明らかになってきており、タンパク質フォールディング異常病と呼ばれるようになっている。例えば、アルツハイマー病ではβアミロイドという原因タンパク質のフォールディングが異常になることによって凝集し、その凝集体により神経細胞が死滅したり機能を失ったりすることによって発症する。
【0004】
そこで、タンパク質フォールディング異常病の治癒や予防に対して効果のある、HSP誘導剤の研究が進められている。例えば、抗潰瘍薬として使用されているゲラニルゲラニルアセトンがHSP誘導作用を有しており、これを用いてウィルス感染を予防・治療する方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、ゲラニルゲラニルアセトンは、毒性のない熱ショックタンパク質誘導剤であるが、その誘導能は弱い。
【0005】
また、水生プランクトンであるアルテミアの孵化直前の耐久卵から水抽出した活性エキス(アルテミアエキス)成分が、HSP70の産生をヒト皮膚細胞において誘発することが見出され、これを利用した化粧料が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、アルテミアエキスは、配合条件として40℃以下が望ましく、タンパク分解酵素との配合禁忌があるなどの制約がある。
【0006】
【非特許文献1】Hendrick,J.P.and Hartl,F.−U.(1993)Ann.Rev Biochem.62,349−384
【非特許文献2】Georgopoulos,C.and Welch.W.J.(1993)Ann.Rev.Cell Biol.9,601−634
【特許文献1】国際公開WO2003/035052号パンフレット
【特許文献2】特開2004−238297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、課題に基づいてなされたものであり、HSP誘導活性が高い新規なHSP誘導剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記現状に鑑み、鋭意検討した結果、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(2)ショウガ科および/またはキク科から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(3)ショウガ科のアモムム属またはハナミョウガ属に属する植物から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(4)ヨウシュンシャ、シュクシャおよびナンキョウソウからなる群から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(5)ヒヨドリバナ属またはオグルマ属に属する植物から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(6)サワヒヨドリ、オグルマおよびホソバオグルマからなる群から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
(7)前記熱ショックタンパク質誘導剤が、SDS−PAGEによって測定した分子量が70kDa以上80kDa未満の熱ショックタンパク質を誘導する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤。
(8)前記熱ショックタンパク質誘導剤が、SDS−PAGEによって測定した分子量が72kDaの熱ショックタンパク質を誘導する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤を含む皮膚用外用剤。
(10)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤を含む食品。
(11)生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物を抽出することを含む、熱ショックタンパク質誘導剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明を採用することにより、高いHSP誘導能を有する熱ショックタンパク質誘導剤が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明における熱ショックとは、生理的温度より3℃以上高い温度にしたとき、好ましくは、生理的温度より6℃以上高くしたことをいう。
【0011】
本発明におけるHSP誘導剤は、分子量が70kDa以上80kDa未満のHSP(以下、「HSP70ファミリー」と称することがある。)を効果的に誘導し、分子量72kDaのHSPをより効果的に誘導する。また、分子量70kDaのHSPも効果的に誘導する。
尚、本発明におけるHSPの分子量は、SDS−PAGEによって測定した分子量をいい、より具体的には、分子量既知の標準蛋白質のバンドとの対比で分子量を推定し、抗体を用いたウエスタン・ブロッティング法により確定した値をいう。
ここで、HSP70ファミリーのうち、HSP72は細胞質中で合成され、合成直後には細胞核中で、その後は核小体中で検出し得る。また、熱ストレスによって発現量が飛躍的に増加し、HSP72が増加した細胞では、その後に与えられた虚血による細胞損傷の割合が、HSP発現量の濃度に依存して有意に低下しているということが報告されている(Hutter, MM., Sievers, R.E., Wolfe, C.L.(1994) Circulation, 89, 355-360)。
しかしながら、熱ストレスを与えずに、HSP72の誘導活性を有し、毒性の少ない天然由来の素材はこれまで見出されていなかった。つまり、HSP72を誘導する、天然由来のHSP誘導剤は、強く求められていたものの、本発明まで、得られていなかった。
【0012】
本発明のHSP誘導剤は、さらに、40℃より高い温度でも配合可能、または、タンパク質分解酵素と共に配合可能とすることができ、利用範囲が広い。
【0013】
本発明のHSP誘導剤は、生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物をいう。ここで、四気とは、生薬の性質を表現するのに用いられる薬性質であり、寒、熱、涼、温の四種類が基本となっている。寒と涼、熱と温は、程度が違うが同じような性質で、涼は寒よりやや冷やし、温は熱よりやや温める。また、どちらにも属さない生薬は平と表現され、作用が穏和なため寒、熱どちらの症にも用いられる。本願発明では、例えば、中薬大事典(小学館)の記載に従って、植物を区分することができる。
従来、生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物抽出物がHSP誘導活性能を有することは全く知られておらず、このような植物から得られたことは非常に驚くべきことである。
【0014】
本発明では、生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物のうち、ショウガ科および/またはキク科から選択される植物抽出物が好ましい。
ショウガ科の植物としては、アモムム属またはハナミョウガ属に属する植物が好ましい。アモムム属に属する植物としては、ヨウシュンシャ(陽春砂、Amomum viilosum Lour.)およびシュクシャ(縮砂;Amomum xanthioides Wall.)が好ましい。ハナミョウガ属に属する植物としては、ナンキョウソウ(Alpinia galanga (L.) Swartz)が好ましい。
キク科の植物としては、ヒヨドリバナ属またはオグルマ属に属する植物が好ましい。ヒヨドリバナ属に属する植物としては、サワヒヨドリ(Eupatorium lindleyanum DC.)が好ましい。オグルマ属に属するに属する植物としては、オグルマ(Inula japonica Thunb. )およびホソバオグルマ(Inula linariaefolia Turcz.)が好ましい。
【0015】
本発明では、植物抽出物を用いている。植物の抽出方法は、HSP誘導能を有する抽出画分を有する限りその抽出方法は特に定めるものではない。抽出に際し、植物は、粉砕してから抽出することが好ましい。また、乾燥品を用いる場合、該乾燥品を水に戻してミルサーにて粉砕し、その後、凍結乾燥し、再度ミルサーにて粉砕して使用することが好ましい。特に、乾燥粉砕物に適量の有機溶媒(例えば、エタノール)を加え2〜3時間抽出する方法を例示することができる。抽出は、静置して行ってもよいし、攪拌して行ってもよい。抽出した抽出液は、そのままHSP誘導剤として使用してもよいが、効果を高めるために濃縮して使用するのが好ましい。濃縮の程度は使用環境によって異なる。例えば、濃度を10%程度にして液剤として使用してもよいし、粉末状になるまで溶媒を除去してもよい。
【0016】
本発明では、植物抽出物として、上記1種類のみを採用してもよいし、2種類以上を採用してもよい、さらに、他の植物由来の材料として、HSP誘導能を有する材料を併用することもできる。
【0017】
本発明のHSP誘導剤は、目的に応じて様々な態様で使用することができる。例えば、皮膚用外用剤、食品(飲料を含む)、医薬品として安全かつ有効に使用することができる。
【0018】
皮膚用外用剤として用いる場合、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、粉末剤、顆粒剤等、種々の剤型で提供することができる。具体的には、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム等の下地化粧料、乳液状、油性、固形状等の各剤型のファンデーション、アイカラー、チークカラー等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ネッククリーム、ボディローション等の身体用化粧料等として提供することができる。
【0019】
食品(飲料を含む)に用いる場合、各種食品(飲料を含む)に含ませることによって、機能性食品および機能性飲料とすることができる。例えば、紅茶、清涼飲料水、ジュース、あめ、澱粉質食品、各種加工食品等に添加することができる。本発明のHSP誘導剤の添加量は、約0.1〜99重量%の範囲内に設定することができる。また、必要に応じて、ゲル化剤などを添加して食感を改良してもよい。
【0020】
医薬品として使用する場合、その投与経路によって様々な剤型を選択することができる。本発明のHSP誘導剤は、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、直腸投与、鼻内投与、頬側投与、舌下投与、膣内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与を行なうことが可能である。
【0021】
経口投与に適した製剤として、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適した製剤として、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤などを挙げることができる。注射剤は、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、点滴などのいずれに用いるものであってもよい。
【0022】
本発明のHSP誘導剤には、必要に応じて薬理学的および製剤学的に許容しうる添加物を添加することができる。例えば、賦形剤、崩壊剤または崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤または溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤、湿潤剤などを使用することができる。
これらの添加剤を適宜組み合わせて使用することによって、本発明のHSP誘導剤にさまざまな付加的機能を持たせることができる。例えば、必要に応じて活性成分が徐放されるように設計することができる。また、体内の必要な個所において活性成分が集中的に放出されるように設計することもできる。このような徐放性製剤やドラッグデリバリーシステムは、製剤業界において周知の方法にしたがって設計のうえ製造することができる。
【0023】
また、本発明のHSP誘導剤には、有機物または無機物の担体を使用することができる。そのような担体として、乳糖、でんぷん、植物性および動物性脂肪や油脂を例示することができる。本発明のHSP誘導剤は、0.01〜100重量%の範囲内で使用することができる。
【0024】
本発明のHSP誘導剤の投与量は、治療または予防の目的、患者の性別、体重、年齢、疾患の種類や程度、剤型、投与経路、投与回数などの種々の条件に応じて適宜決定する。例えば、経口投与する場合には、0.1μg〜100mg(活性成分乾燥重量)/kg体重/日で、一日一回から数回に分けて投与することができるが、投与量はこの範囲に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
(植物抽出物の作製)
本実施例では、以下の植物を用いた。
(A)オグルマ、ホソバオグルマの頭花(センプクカ(旋覆花)):(製造元 栄進商事、品番 B025)
(B)サワヒヨドリの全草(ヤバツイ(野馬追)):(製造元 栄進商事、品番 B072)
(C)ナンキョウソウ(大高良姜)の果実(コウズク(紅豆?)):(製造元 栄進商事、品番 C089)
(D)ヨウシュンシャ(陽春砂)の果殻(シャジンカク(砂仁殻)):(製造元 栄進商事、 品番 D030)
【0027】
抽出は、以下の方法で行った。
植物は、生のものはそのまま粉砕後、凍結乾燥し、再度ミルサーにて粉砕した。乾燥品は水に戻してからミルサーにて粉砕し、凍結乾燥後、再度ミルサーにて粉砕した。
得られた乾燥粉砕物1gに対し、10〜100mlエタノールを加え、2時間攪拌後、ブフナーろ過し、ろ液を回収した。本操作は2回繰り返した。
得られたろ液をペースト状あるいは乾固状になるまで減圧濃縮し、植物抽出物とした。
【0028】
(細胞内のタンパクの抽出)
35mm培養ディッシュに、ヒト線維芽細胞株(NB1RGB)(取得先:理化学研究所 バイオリソースセンター)を2.0×105個/2mLの細胞懸濁液となるように播種し、CO2インキュベータ内で37℃にて24時間培養した。これに、表1に記載のとおりの濃度となるように、上記植物抽出物(A)〜(D)を添加して、さらにCO2インキュベータ内で37℃にて4時間培養した。次いで上清の培地を取り除き、細胞を培地で洗浄後、トリプシンで細胞をディッシュからはがし、細胞を回収した。これに培養細胞用溶解緩衝液(RIPA buffer、50mM Tris-HCl(pH7.2)、150mM NaCl、1% nonidet P-40、0.5% sodium deoxysholate、 0.1% SDSにより自分で調製)を添加後、凍結融解を1回繰り返して細胞を溶解し、遠心分離によって上清を回収した。得られた溶出画分について、ブラッドフォード法によってタンパク質の定量を行った。
【0029】
(HSP72発現量の解析)
細胞抽出液をポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)電気泳動にかけた後、抗HSP72抗体(Stressgen製)を用いたウェスタン・ブロッティングによって、HSP72の発現量を調べた。
すなわち、SDS−PAGEゲルをメンブレンに転写・固定化してブロットを作製し、ブロットをHSP72対する抗体に反応させた(一次抗体)。その後、HRP酵素で標識した二次抗体を一次抗体に反応させ、Super Signal West Dura Extended Duration Substrateで発色させたものを化学蛍光法によって定量した。得られたバンドの強度は、NIH-Image 1.62で定量し、数値化した。
【0030】
(対照群およびポジティブコントロール)
対照群としては、植物抽出物を添加しないで、他は同様に行った。また、ポジティブコントロールとして、植物抽出物を添加しないで、43℃で1時間熱ショックを与えたヒト線維芽細胞株を用意し、他は同様に行った。
【0031】
(結果)
測定したバンド強度は、細胞内で恒常的に発現しているアクチンのバンド強度によって補正し、ポジティブコントロールのバンド強度を1としたときの相対ハンド強度として算出した。結果を表1に示した。
いずれについても、植物抽出物の添加により、HSP72の誘導が認められた。特に、(A)、(B)、(C)については、植物抽出物の添加濃度を調整することにより、相対バンド強度が1以上となる場合も見られ、熱ショックを与えたヒト線維芽細胞株よりも植物抽出物によるHSP72発現が高くなっていることが示された。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2
実施例1において、ヒト線維芽細胞株(NB1RGB)を、ヒト表皮株化細胞(HaCaT)(取得先:Cell lines service)に代え、他は同様に行ってHSP72誘導活性を測定した。
【0034】
(結果)
測定したバンド強度は、細胞内で恒常的に発現しているアクチンのバンド強度によって補正し、ポジティブコントロールのバンド強度を1としたときの相対ハンド強度として算出した。結果を表2に示した。
いずれについても、植物抽出物の添加により、HSP72の誘導が認められた。特に、(A)、(B)、(C)については、添加濃度によっては、相対バンド強度が1以上となる場合も見られ、熱ショックを与えたヒト表皮株化細胞よりも植物抽出物によるHSP72発現が高くなっていることが示された。
【0035】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項2】
ショウガ科および/またはキク科から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項3】
ショウガ科のアモムム属またはハナミョウガ属に属する植物から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項4】
ヨウシュンシャ、シュクシャおよびナンキョウソウからなる群から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項5】
ヒヨドリバナ属またはオグルマ属に属する植物から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項6】
サワヒヨドリ、オグルマおよびホソバオグルマからなる群から選択される植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項7】
前記熱ショックタンパク質誘導剤が、SDS−PAGEによって測定した分子量が70kDa以上80kDa未満の熱ショックタンパク質を誘導する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項8】
前記熱ショックタンパク質誘導剤が、SDS−PAGEによって測定した分子量が72kDaの熱ショックタンパク質を誘導する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤を含む皮膚用外用剤。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱ショックタンパク質誘導剤を含む食品。
【請求項11】
生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物を抽出することを含む、熱ショックタンパク質誘導剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−127296(P2008−127296A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311353(P2006−311353)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(397008638)サニーヘルス株式会社 (10)
【出願人】(303010452)株式会社LTTバイオファーマ (27)
【Fターム(参考)】