説明

熱中症予防システム

【課題】熱中症の発症危険性がある場合、作業者の作業を中断させて熱中症の発症を確実に予防する熱中症予防システムを提供する。
【解決手段】熱中症予防システム10は、各作業者の着衣に着脱可能に装着させる携帯装置14と熱中症の発症危険性を監視する監視装置11とから形成され、携帯装置14は、作業者の着衣内温度を測定する温度センサと、作業者の着衣内湿度を測定する湿度センサと、着衣内温度と着衣内湿度とを監視装置11に送信する第1送信手段と、熱中症の発症危険性警告を監視装置11から受信する第1受信手段と、監視装置11から受信した発症危険性警告を作業者に伝える伝達手段とを有し、監視装置11は、携帯装置14から着衣内温度と着衣内湿度とを受信する第2受信手段と、受信した着衣内温度と着衣内湿度とに基づいて熱中症の発症危険性が高いと認められる場合、発症危険性警告を携帯装置14に送信する第2送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の作業環境で作業中の作業者に対して熱中症に発症危険性を伝え、作業者の熱中症の発症を予防する熱中症予防システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の外耳道に挿脱可能に挿入される耳栓と、その耳栓につながって作業者の耳殻に位置するケースと、耳栓に設置されて作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサと、耳栓に設置されて作業者の心拍数を測定する心拍数センサとから形成され、ケースが、鼓膜温度センサから送信された鼓膜温度と心拍数センサから送信された心拍数とを用いて熱ストレイン評価を行い、その評価に応じて熱中症の発症警報を発する警報手段を有する耳栓型熱中症警報装置がある(特許文献1参照)。この耳栓型熱中症警報装置は、小型かつ軽量であり、作業者の外耳道と耳殻とで保持され、簡単に使用することができるのみならず、作業者に向けて熱中症発症の危険性を直接警告することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−131209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の耳栓型熱中症警報装置は、熱ストレイン評価に応じて熱中症の発症警報を作業者に発するが、警報装置を所持する作業者本人のみに発症警報が知らされ、作業者を管理する管理者等の第三者が発症警報を知ることができないから、作業者の熱中症の発症危険性を第三者が監視することができず、熱中症の発症の可能性の判断が作業者本人に任せられることになり、熱中症に対する予防を作業者が自己管理せざるを得ない。この耳栓型熱中症警報装置は、熱中症の発症警報を発したとしても、その発症警報を作業者が無視して作業を継続することができるから、作業を強制的に中断させることができず、作業中における熱中症の発症を完全に防ぐことができない。
【0005】
本発明の目的は、作業者の熱中症の発症危険性をその作業者を管理する管理者等の第三者が知ることができ、作業者の熱中症に対する防御を第三者が監視することができる熱中症予防システムを提供することにある。本発明の他の目的は、熱中症の発症危険性がある場合、作業者の作業を中断させることができ、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に予防することができる熱中症予防システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、所定の作業環境で作業中の作業者に熱中症の発症危険性を伝え、作業者の熱中症の発症を予防する熱中症予防システムである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴としては、システムが、複数の作業者に個別に携帯させてそれら作業者の着衣に着脱可能に装着させる携帯装置と、それら作業者の熱中症の発症危険性を監視する監視装置とから形成され、携帯装置が、それに設置されて作業者の着衣内温度を測定する温度センサと、それに設置されて作業者の着衣内湿度を測定する湿度センサと、測定した着衣内温度と着衣内湿度とを監視装置に送信する第1送信手段と、熱中症の発症危険性警告を監視装置から受信する第1受信手段と、監視装置から受信した発症危険性警告を作業者に伝達する伝達手段とを有し、監視装置が、携帯装置から着衣内温度と着衣内湿度とを受信する第2受信手段と、受信した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性が高いと認められる場合、発症危険性警告を携帯装置に送信する第2送信手段とを有することにある。
【0008】
本発明の一例としては、監視装置が第2受信手段によって受信した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第1判断手段を含み、第2送信手段が第1判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、発症危険性警告を携帯装置に送信する。
【0009】
本発明の他の一例としては、監視装置が熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第1記憶手段を含み、第1判断手段が、携帯装置から送信された着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、湿球黒球温度危険値と算出した湿球黒球温度比較値とを比較し、比較値が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する。
【0010】
本発明の他の一例としては、携帯装置がそれらセンサによって測定した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第2判断手段を含み、伝達手段が第2判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、発症危険性警告を作業者に伝える。
【0011】
本発明の他の一例としては、携帯装置が熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第2記憶手段を含み、第2判断手段が、測定機構によって測定した着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、湿球黒球温度危険値と算出した湿球黒球温度比較値とを比較し、比較値が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する。
【0012】
本発明の他の一例としては、携帯装置が、それに接続されて作業者の外耳道に挿脱可能に挿入され、その作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサが設置された耳栓と、それに接続されて作業者の耳たぶに着脱可能に装着され、その作業者の心拍数を測定する心拍数センサが設置されたクリップとを有し、伝達手段が、携帯装置に接続されて耳栓と一体に作られ、作業者の頭蓋骨に発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、第1送信手段がそれらセンサによって測定した鼓膜温度と心拍数とを監視装置に送信し、第1判断手段と第2判断手段とが測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する。
【0013】
本発明の他の一例としては、携帯装置が、それに接続されて作業者の外耳道に挿脱可能に挿入され、その作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサとその作業者の心拍数を測定する心拍数センサとが設置された耳栓を有し、伝達手段が、それに接続されて耳栓と一体に作られ、作業者の頭蓋骨に発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、第1送信手段がそれらセンサによって測定した鼓膜温度と心拍数とを監視装置に送信し、第1判断手段と第2判断手段とが測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する。
【0014】
本発明の他の一例としては、第1記憶手段が熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、第1判断手段が、携帯装置から送信された測定鼓膜温度と鼓膜温度危険値とを比較するとともに、携帯装置から送信された測定心拍数と心拍数危険値とを比較し、測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する。
【0015】
本発明の他の一例としては、第2記憶手段が熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、第2判断手段が、測定機構によって測定した測定鼓膜温度と鼓膜温度危険値とを比較するとともに、測定機構によって測定した測定心拍数と心拍数危険値とを比較し、測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する。
【0016】
本発明の他の一例としては、携帯装置の第1送受信手段と監視装置の第2送受信手段とがPHSによる無線通信である。
【0017】
本発明の他の一例としては、作業環境が放射性物質による汚染の危険がある原子力関連施設における遮蔽された作業環境である。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる熱中症予防システムによれば、携帯装置によって測定された着衣内温度と着衣内湿度とが監視装置に送信され、着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性が高いと認められる場合、監視装置が発症危険性警告を携帯装置に送信し、携帯装置が発症危険性警告を作業者に伝達するから、監視装置を管理する管理責任者が作業者の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者の熱中症に対する予防を管理責任者が客観的に監視することができる。システムは、熱中症の発症危険性が高いと認められる場合、携帯装置がその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。このシステムは、監視装置を介して管理責任者が作業者の熱中症の発症危険性を把握することができるから、作業者が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0019】
監視装置が着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第1判断手段を有し、第1判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置が発症危険性警告を携帯装置に送信する熱中症予防システムは、監視装置が着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断するから、監視装置を介してそれを管理する管理責任者が作業者の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者の熱中症に対する防御を管理責任者が客観的に監視することができる。システムは、監視装置が熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置が発症危険性警告を携帯装置に送信し、携帯装置がその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。このシステムは、監視装置が発症危険性の高い作業者(携帯装置)を特定し、管理責任者が各作業者の熱中症の発症危険性を把握することができるから、作業者が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0020】
監視装置が熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第1記憶手段を有し、携帯装置から送信された着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、球黒球温度危険値と湿球黒球温度比較値とを比較し、比較値が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する熱中症予防システムは、作業者毎にあらかじめ湿球黒球温度危険値を設定することで、その作業者の熱中症発症危険性を監視装置(管理責任者)が数値を用いて客観的に監視することができる。このシステムは、作業者の湿球黒球温度比較値が湿球黒球温度危険値を超えると、監視装置が熱中症の発症危険性が高いと判断するから、発症危険性を客観的かつ具体的に判定することができ、危険値を超えた場合、直ちに作業を中断させることで、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0021】
携帯装置がそれらセンサによって測定した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第2判断手段を有し、第2判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、発症危険性警告を作業者に伝える熱中症予防システムは、携帯装置が熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、携帯装置がその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。
【0022】
携帯装置が熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第2記憶手段を有し、測定機構によって測定した着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、湿球黒球温度危険値と湿球黒球温度比較値とを比較し、比較値が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する熱中症予防システムは、作業者毎にあらかじめ湿球黒球温度危険値を設定することで、その作業者の熱中症発症危険性を携帯装置が数値を用いて客観的に監視することができる。このシステムは、湿球黒球温度比較値が湿球黒球温度危険値を超えると、携帯装置が熱中症の発症危険性が高いと判断するから、発症危険性を客観的かつ具体的に判定することができ、危険値を超えた場合、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。
【0023】
携帯装置が作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサが設置された耳栓と作業者の心拍数を測定する心拍数センサが設置されたクリップとを有し、伝達手段が耳栓と一体に作られて作業者の頭蓋骨に発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、第1判断手段と第2判断手段とが測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する熱中症予防システムは、監視装置が測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づくとともに鼓膜温度と心拍数との少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断するから、監視装置を管理する管理責任者が作業者の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者の熱中症に対する防御を管理責任者が客観的に監視することができる。システムは、監視装置が熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置が発症危険性警告を携帯装置に送信し、携帯装置がその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。システムは、監視装置において発症危険性が高い作業者(携帯装置)を特定し、管理責任者が各作業者の熱中症の発症危険性を把握することができるから、作業者が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。システムは、携帯装置が測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づくとともに鼓膜温度と心拍数との少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断し、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、伝達機構を介して発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が携帯装置を介して熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。システムは、耳栓と一体に作られた骨伝導スピーカーを介して発症危険性警告が作業者に伝えられるから、作業者が警告を明瞭に聞き取ることができることはもちろん、骨伝導スピーカーによって作業者の両耳が塞がれることはなく、作業者が作業中に作業箇所の周囲の音を聞くことができ、作業者が周囲の状況を把握しつつ安全に作業を行うことができる。このシステムは、鼓膜温度センサと骨伝導スピーカーとが耳栓において一体となっているから、鼓膜温度センサから測定鼓膜温度が監視装置に送信されることで、骨伝導スピーカーが作業者の耳に確実に装着されていることが分かり、作業中の作業者における骨伝導スピーカーの未装着を未然に防ぐことができ、熱中症の発症危険性警告を骨伝導スピーカーを介して作業者に確実に伝達することができる。
【0024】
携帯装置が作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサと作業者の心拍数を測定する心拍数センサとが設置された耳栓を有し、伝達手段が耳栓と一体に作られて作業者の頭蓋骨に発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、第1判断手段と第2判断手段とが測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する熱中症予防システムは、監視装置が測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づくとともに鼓膜温度と心拍数との少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断するから、監視装置を管理する管理責任者が作業者の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者の熱中症に対する防御を管理責任者が客観的に監視することができる。システムは、監視装置が熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置が発症危険性警告を携帯装置に送信し、携帯装置がその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。システムは、監視装置において発症危険性が高い作業者(携帯装置)を特定し、管理責任者が各作業者の熱中症の発症危険性を把握することができるから、作業者が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。システムは、携帯装置が測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づくとともに鼓膜温度と心拍数との少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断し、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、伝達機構を介して発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が携帯装置を介して熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。システムは、耳栓と一体に作られた骨伝導スピーカーを介して発症危険性警告が作業者に伝えられるから、作業者が警告を明瞭に聞き取ることができることはもちろん、骨伝導スピーカーによって作業者の両耳が塞がれることはなく、作業者が作業中に作業箇所の周囲の音を聞くことができ、作業者が周囲の状況を把握しつつ安全に作業を行うことができる。このシステムは、鼓膜温度センサと心拍数センサと骨伝導スピーカーとが耳栓において一体となっているから、それらセンサから測定鼓膜温度や測定心拍数が監視装置に送信されることで、骨伝導スピーカーが作業者の耳に確実に装着されていることが分かり、作業中の作業者における骨伝導スピーカーの未装着を未然に防ぐことができ、熱中症の発症危険性警告を骨伝導スピーカーを介して作業者に確実に伝達することができる。
【0025】
第1記憶手段が熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値と心拍数危険値と鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、第1判断手段が測定着衣内温度と着衣内温度危険値とを比較するとともに測定着衣内湿度と着衣内湿度危険値とを比較し、測定鼓膜温度と鼓膜温度危険値とを比較するとともに測定心拍数と心拍数危険値とを比較し、測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方が危険値を超え、測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する熱中症予防システムは、作業者毎にあらかじめ着衣内温度危険値と着衣内湿度危険値と鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを設定することで、作業者の熱中症発症危険性を監視装置(管理責任者)が数値を用いて客観的に監視することができる。このシステムは、作業者の測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方が危険値を超え、作業者の測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方が危険値を超えると、熱中症の発症危険性が高いと判断するから、発症危険性を客観的かつ具体的に判定することができ、危険値を超えた場合、直ちに作業を中断させることで、作業中の作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0026】
第2記憶手段が着衣内温度危険値と着衣内湿度危険値と鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、第2判断手段が測定着衣内温度と着衣内温度危険値とを比較するとともに測定着衣内湿度と着衣内湿度危険値とを比較し、測定鼓膜温度と鼓膜温度危険値とを比較するとともに測定心拍数と心拍数危険値とを比較し、測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方が危険値を超え、測定鼓膜温度と測定心拍数とのうちの少なくとも一方が危険値を超えた場合に熱中症の発症危険性が高いと判断する熱中症予防システムは、作業者毎にあらかじめ着衣内温度危険値と着衣内湿度危険値と鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを設定することで、作業者の熱中症発症危険性を携帯装置が数値を用いて客観的に監視することができる。このシステムは、携帯装置が測定着衣内温度と測定着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づくとともに測定鼓膜温度と測定心拍数との少なくとも一方に基づいて作業者の熱中症の発症危険性を自動的に判断し、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、伝達機構を介して発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者が携帯装置を介して熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者が作業を中断することで、作業中の作業者の熱中症の発症を未然に防ぐことができる。
【0027】
携帯装置の第1送受信機構と監視装置の第2送受信機構とがPHSによる無線通信である熱中症予防システムは、監視装置と携帯装置との間の送受信にPHSによる無線通信を利用することで、電波障害に強く、監視装置から携帯装置に発症危険性警告を確実に送信することができ、密閉された作業環境において作業する作業者の熱中症の発症を確実に防ぐことが可能なシステムを構築することができる。
【0028】
作業環境が放射性物質による汚染の危険がある原子力関連施設における遮蔽された作業環境である熱中症予防システムは、原子力関連施設における作業中に作業者が熱中症を発症すると、原子力関連施設における作業が中断または停滞し、場合によっては放射性物質の漏出等の重大事故につながる場合があるが、熱中症の発症の危険性がある作業者の作業を中断させてその作業者を速やかに交代させることができ、原子力関連施設において作業する作業者の熱中症の発症を防ぐことができるから、原子力関連施設における作業の中断や停滞を防ぐことができ、重大事故の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一例として示す熱中症予防システムの概略構成図。
【図2】一例として示す携帯装置の斜視図。
【図3】作業者が図2の携帯装置を装着した状態の図。
【図4】システムにおいて実行される各手段の一例を説明するフローチャート。
【図5】システムにおいて実行される各手段の他の一例を説明するフローチャート。
【図6】他の一例として示す携帯装置の斜視図。
【図7】図6の携帯装置に接続された耳栓および骨伝導スピーカーの側面図。
【図8】作業者が図6の携帯装置を装着した状態の図。
【図9】他の一例として示す携帯装置の斜視図。
【図10】図9の携帯装置に接続された耳栓および骨伝導スピーカーの側面図。
【図11】作業者が図9の携帯装置を装着した状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一例として示す熱中症予防システム10の概略構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる熱中症予防システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示す携帯装置14aの斜視図であり、図3は、作業者12が図2の携帯装置14aを装着した状態の図である。なお、図1では、4台の携帯装置14を図示しているが、このシステム10では複数台の携帯装置14が使用されており、その台数に特に制限はない。
【0031】
熱中症予防システム10は、1台の監視装置11と作業者12の作業着13(着衣)に着脱可能に装着させる複数台の携帯装置14とから形成されている。システム10は、それら装置11,14を利用し、放射性物質による汚染の危険がある原子力発電所15(原子力関連施設)における遮蔽された作業環境において所定の作業に従事する作業者12の熱中症の発症を予防する。なお、このシステム10は、原子力発電所15の他に、中間貯蔵施設、再処理工場、MOX燃料工場、高速増殖炉、高速増殖炉用燃料工場、高速増殖炉用再処理工場、高レベル放射性廃棄物最終処分施設等の原子力関連施設において利用することができる。また、このシステム10は、原子力関連施設のみならず、他のあらゆる作業環境において利用することができる。
【0032】
ところで、熱中症発症の発症危険性の判断についてWBGT(湿球黒球温度)指標が利用されている。WBGT指標は、人体の熱収支に影響の大きい湿度・輻射熱・気温を取り入れた指標であり、乾球温度・湿球温度・黒球温度を使用して計算する。WBGTは、屋内において、式:WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度で算出される。熱中症とWBGT指標との関係は、以下のとおりである。WBGT温度が31度以上の場合は、(運動は原則中止)、WBGT温度が31度を超過すると、皮膚温よりも気温が高くなり、特別の場合以外運動は中止する。この場合、直ちに作業を中止、休憩所に戻って十分に休息し、水分を補給のメッセージを伝える。WBGT温度が28度超過かつ31度以下の場合は、(厳重警戒)、熱中症の危険が高いので、激しい運動や持久走等の熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合は積極的に休息をとり、水分補給を行う。この場合、作業を休止して十分に休憩をとり、水分を補給のメッセージを伝える。
【0033】
WBGT温度が25度超過かつ28度以下の場合、(警戒)、熱中症の危険が増すので、休息をとり、水分を補給する。この場合、作業を一時休止して休憩をとり、水分を補給のメッセージを伝える。WBGT温度が21度超過かつ25度以下の場合は、(注意)、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に積極的に水分をとる。この場合、水分を補給しつつ作業は継続のメッセージを伝える。WBGT温度が21度以下の場合は、(ほぼ安全)、通常熱中症の危険性は少ないが、適宜水分の補給は必要である。この場合は、適宜水分を補給して作業は継続のメッセージを伝える。
【0034】
監視装置11は、原子力発電所15の中央制御室に設置され、発電所15の管理責任者が管理保管する。監視装置11は、原子力発電所15において作業中の作業者12の熱中症の発症危険性を監視する。監視装置11は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(記憶部)とを有するコンピュータであり、大容量ハードディスクを内蔵し、PHS無線通信機能を有する(PHS無線通信機能を内蔵する場合の他、PHS無線通信装置に接続される場合を含む)。なお、通信方式としては、PHS無線通信のみならず、あらゆる無線通信を利用することができる。監視装置11には、キーボード16やマウス17等の入力装置、ディスプレイ18やプリンタ(図示せず)等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。監視装置11は、PHS無線通信機能を介して携帯装置14に各種データを送信可能かつ携帯装置14から各種データを受信可能である。
【0035】
監視装置11の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納された熱中症予防アプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って以下の各手段を実行する。中央処理部は、熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する湿球黒球温度危険値記憶手段(第1記憶手段)を実行し、熱中症の発症危険性を示す着衣内温度危険値を記憶する着衣内温度危険値記憶手段(第1記憶手段)を実行するとともに、熱中症の発症危険性を示す着衣内湿度危険値を記憶する着衣内湿度危険値記憶手段(第1記憶手段)を実行する。
【0036】
監視装置11の中央処理部は、測定された着衣内温度(測定着衣内温度)が着衣内温度危険値を超過してから経過した時間である経過時間(着衣内温度の超過経過時間)の許容タイムを記憶する着衣内温度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行するとともに、測定された着衣内湿度(測定着衣内湿度)が着衣内湿度危険値を超過してから経過した時間である経過時間(着衣内湿度の超過経過時間)の許容タイムを記憶する着衣内湿度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行する。
【0037】
監視装置11の中央処理部は、着衣内温度の測定間隔を記憶する着衣内温度測定間隔記憶手段を実行し、着衣内湿度の測定間隔を記憶する着衣内湿度測定間隔記憶手段を実行する。中央処理部は、携帯装置14から測定着衣内温度を受信する測定着衣内温度受信手段(第2受信手段)を実行し、携帯装置14から測定着衣内湿度を受信する測定着衣内湿度受信手段(第2受信手段)を実行する。中央処理部は、受信した測定着衣内温度をハードディスクに時系列に格納する着衣内温度記憶手段を実行し、受信した測定着衣内湿度をハードディスクに時系列に格納する着衣内湿度記憶手段を実行する。
【0038】
監視装置11の中央処理部は、受信した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出する湿球黒球温度比較値算出手段を実行する。中央処理部は、算出した湿球黒球温度比較値に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第1判断手段)を実行するとともに、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第1判断手段)を実行する。中央処理部は、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、発症危険性警告を携帯装置14に送信する警告送信手段(第2送信手段)を実行する。中央処理部は、各種のメッセージを携帯装置14に送信するメッセージ送信手段(第2送信手段)を実行する。メッセージには、作業指示や注意事項等のあらゆる伝達事項が含まれる。
【0039】
監視装置11のハードディスクには、湿球黒球温度危険値(前記WBGT指標のとおり)、着衣内温度危険値、着衣内湿度危険値が携帯装置14毎に区分されて格納されている。ハードディスクには、測定着衣内温度や測定着衣内湿度が危険値を超過してから経過した時間である経過時間(超過経過時間)の許容タイムが携帯装置14a毎に区分されて格納されている。さらに、ハードディスクには、着衣内温度や着衣内湿度の測定間隔が携帯装置14毎に区分されて格納されている。
【0040】
携帯装置14は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(記憶部)とを有するコンピュータであり、アンテナ(図示せず)を内蔵し、PHS無線通信機能を有する(PHS無線通信機能を内蔵する場合の他、PHS無線通信装置に接続される場合を含む)。なお、携帯装置14には、図示はしていないが、ディスプレイやキーユニットが実装される場合がある。携帯装置14は、作業者12が着用した作業着13(着衣)の胸ポケット24に着脱可能に収容される(PHS無線通信装置がある場合は、その無線通信装置も作業着13の胸ポケット24に収容される)。各携帯装置14には、プライベートIPアドレスやMACアドレスが設定されており、それらアドレス情報に基づいて各携帯装置14を個別に特定することができる。各携帯装置14のプライベートIPアドレスやMACアドレスは、監視装置11のハードディスクに格納されている。各携帯装置14には、電池やバッテリーによって電力が供給されている。
【0041】
図2に示す携帯装置14a(14)は、温度センサ(測定機構)および湿度センサ(測定機構)と、作業者12に発症危険性警告や各種のメッセージを伝える骨伝導スピーカー19(伝達機構)とを備えている。温度センサは、そのセンサ部20が携帯装置14aの一方の側壁に設置されている。温度センサは、作業者12の着衣内温度を測定し、測定した着衣内温度をデジタル信号に変換する。湿度センサは、そのセンサ部21が携帯装置14aの一方の側壁に設置されている。湿度センサは、者12の着衣内湿度を測定し、測定した着衣内湿度をデジタル信号に変換する。
【0042】
骨伝導スピーカー19としては、骨伝導ヘッドホンや骨伝導イヤホンがある。骨伝導スピーカー19には、耳かけ22が取り付けられている。骨伝導スピーカー19は、インターフェイス23を介して携帯装置14aに着脱可能に接続されている。骨伝導スピーカー19は、携帯装置14から伝えられる発症危険性警告や各種のメッセージを作業者12の頭蓋骨に直接伝える。
【0043】
携帯装置14aの中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納された熱中症予防アプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って以下の各手段を実行する。中央処理部は、温度センサを介して作業者12の着衣内温度を測定する着衣内温度測定手段を実行し、湿度センサを介して作業者12の着衣内湿度を測定する着衣内湿度測定手段を実行する。中央処理部は、測定した測定着衣内温度を監視装置11に送信する着衣内温度送信手段(第1送信手段)を実行し、測定した測定着衣内湿度を監視装置11に送信する着衣内湿度送信手段(第1送信手段)を実行する。
【0044】
携帯装置14aの中央処理部は、熱中症の発症危険性警告を監視装置11から受信する警告受信手段(第1受信手段)を実行し、監視装置11から受信した発症危険性警告を作業者12に伝達する警告伝達手段(伝達手段)を実行する。中央処理部は、各種のメッセージを監視装置11から受信するメッセージ受信手段(第1受信手段)を実行し、監視装置11から受信したメッセージを作業者12に伝達するメッセージ伝達手段(伝達手段)を実行する。
【0045】
図4は、このシステム10において実行される各手段の一例を説明するフローチャートである。図4を参照しつつ、このシステム10の熱中症予防プロセスの一例を説明すると、以下のとおりである。管理責任者は、監視装置11のスイッチを入れ、監視装置11を稼動させ、危険値、許容タイム、測定間隔を設定する(S−10)。監視装置11を稼動させると、初期設定画面(図示せず)がディスプレイ18に表示される。
【0046】
初期設定画面には、作業者12の属性入力エリア、携帯装置14aの識別名入力エリア、湿球黒球温度危険値入力エリア、着衣内温度危険値入力エリア、着衣内湿度危険値入力エリア、着衣内温度の超過経過時間の許容タイム入力エリア、着衣内湿度の超過経過時間の許容タイム入力エリア、着衣内温度の測定間隔入力エリア、着衣内湿度の測定間隔入力エリア、データ格納ボタン、クリアボタン、ログアウトボタンが表示される。クリアボタンをクリックすると、各入力エリアに入力されたデータがクリアされる。ログアウトボタンをクリックすると、システムを閉じる。作業者12の属性には、作業者12の氏名およびコード番号、性別、所属部課、伸長、体重、正常時体温、正常時心拍数、作業箇所等があり、その内容を任意に設定することができる。
【0047】
管理責任者は、作業者12の属性入力エリアに各属性を入力し、携帯装置14aの識別名入力エリアに任意の識別名を入力(識別名のプルダウンリストから識別名を選択)するとともに、湿球黒球温度危険値入力エリアに湿球黒球温度危険値(前記WBGT指標のとおり)を入力する。着衣内温度危険値入力エリアに着衣内温度危険値(たとえば、39.0℃、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては39.5℃)を入力し、着衣内湿度危険値入力エリアに着衣内湿度危険値(たとえば、60%、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては65%)を入力する。
【0048】
着衣内温度の超過経過時間の許容タイム入力エリアに許容タイム(たとえば、0や3分、5分等)を入力するとともに、着衣内湿度の超過経過時間の許容タイム入力エリアに許容タイム(たとえば、0や3分、5分等)を入力する。着衣内温度の測定間隔入力エリアに測定間隔(たとえば、0や30秒間隔、1分間隔等)を入力し、着衣内湿度の測定間隔入力エリアに測定間隔(たとえば、0や30秒間隔、1分間隔等)を入力する。それら測定間隔が0の場合、着衣内温度や着衣内湿度が連続して測定される。
【0049】
なお、複数の異なる着衣内温度危険値を入力することもでき、複数の異なる着衣内湿度危険値を入力することもできる。また、複数の異なる許容タイムを入力することもできる。この場合の一例として、第1着衣内温度危険値(たとえば、38.0℃、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては38.5℃)を入力し、それに対応する着衣内温度超過経過時間許容タイム(たとえば、5分)を入力する。第2着衣内温度危険値(たとえば、39.0℃、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては39.5℃)を入力し、それに対応する着衣内温度超過経過時間許容タイム(たとえば、3分)を入力する。さらに、第1着衣内湿度危険値(たとえば、55%、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては58%)を入力し、それに対応する着衣内湿度超過経過時間許容タイム(たとえば、5分)を入力する。第2着衣内湿度危険値(たとえば、60%、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては65%)を入力し、それに対応する着衣内湿度超過経過時間許容タイム(たとえば、3分)を入力する。
【0050】
それら入力エリアにデータを入力した後、格納ボタンをクリックする。格納ボタンをクリックすると、データ確認画面(図示せず)がディスプレイ18に表示される。データ確認画面には、入力された各データが各入力エリアに表示されるとともに、データ確定ボタン、データ変更ボタン、キャンセルボタンが表示される。キャンセルボタンをクリックすると、初期設定画面に戻る。管理責任者は、ディスプレイ18に表示された各作業者12の属性、湿球黒球温度危険値、作業者12の着衣内温度危険値や衣内湿度危険値を確認し、着衣内温度や着衣内湿度の超過経過時間の許容タイムを確認するとともに、着衣内温度や着衣内湿度の測定間隔を確認した後、入力したデータに誤りがない場合、データ確定ボタンをクリックする。
【0051】
データ確定ボタンをクリックすると、監視装置11は、作業者12の属性を携帯装置14aのプライベートIPアドレスやMACアドレス(以下、アドレスと略す)に関連付けた状態でハードディスクに格納し、識別名を携帯装置14のアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する。監視装置11は、湿球黒球温度危険値を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(湿球黒球温度危険値記憶手段)、着衣内温度危険値を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(着衣内温度危険値記憶手段)、着衣内湿度危険値を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(着衣内湿度危険値記憶手段)。
【0052】
監視装置11は、着衣内温度超過経過時間許容タイムを携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(着衣内温度超過経過時間許容タイム記憶手段)、着衣内湿度超過経過時間許容タイムを携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(着衣内湿度超過経過時間許容タイム記憶手段)。監視装置11は、着衣内温度の測定間隔を携帯装置14のアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(着衣内温度測定間隔記憶手段)、着衣内湿度の測定間隔を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(着衣内湿度測定間隔記憶手段)。
【0053】
なお、初期設定が既に行われている場合、監視装置11は、初期設定画面を表示することなく、データ確認画面をディスプレイ18に表示する。着衣内温度危険値や着衣内湿度危険値、着衣内温度の超過経過時間の許容タイム、着衣内湿度の超過経過時間の許容タイムは、各携帯装置14a毎(各作業者12毎)に異なる値やタイムが設定されている。着衣内温度危険値や着衣内湿度危険値、許容タイム、測定間隔は、入力装置によって変更することができる。
【0054】
作業者12の属性、携帯装置14aの識別名、危険値、許容タイム、測定間隔を変更する場合は、データ確認画面のデータ変更ボタンをクリックする。データ変更ボタンをクリックすると、データ変更画面(図示せず)がディスプレイ18に表示される。データ変更画面には、初期設定画面と同様に、各入力エリア、変更データ格納ボタン、クリアボタンが表示される。各入力エリアにデータを入力した後、変更データ格納ボタンをクリックすると、監視装置11は、変更されたデータを携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する。
【0055】
属性や識別名、各危険値、許容タイム、測定間隔を確認し、それらに誤りがない場合やそれらの変更がない場合、管理責任者は、作業者12が原子力発電所15において作業を開始する前に、各作業者12に携帯装置14aを渡す。携帯装置14aは、特定のそれが各作業者12毎に個別に割り当てられている。携帯装置14aを受け取った各作業者12は、携帯装置14aを作業着13(着衣)の胸ポケット24に収容し、耳かけ22を耳殻25に掛けて骨伝導スピーカー19を装着する。なお、図3に示すように、温度センサのセンサ部20や湿度センサのセンサ部21が作業者12の肌に対向するように、携帯装置14aのそれらセンサ部20,21が設置された側壁を作業者12の肌に対向させる。作業者12は、携帯装置14aと骨伝導スピーカー19とを装着し、作業箇所に到着した後、携帯装置14aのスイッチ(図示せず)を入れ、作業箇所において作業を開始する。
【0056】
携帯装置14aのスイッチを入れると、許容タイムや測定間隔が監視装置11からそれら携帯装置14aに送信され、携帯装置14aがそれらを受信する。さらに、作業指示や注意事項等のメッセージがある場合は、PHS無線通信を利用してそれらメッセージを携帯装置14aに送信する(メッセージ送信手段)。なお、許容タイムや測定間隔を携帯装置14aにおいて個別に設定するようにしてもよい。この場合は、許容タイムや測定間隔が監視装置11から携帯装置14aに送信されることなく、逆に許容タイムや測定間隔(携帯装置14aのプライベートIPアドレスやMACアドレスを含む)が携帯装置14aから監視装置11に送信され、許容タイムや測定間隔が携帯装置14aのアドレスに関連付けられた状態で監視装置11のハードディスクに格納される。
【0057】
各携帯装置14aは、PHS無線通信を利用して各種のメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)し、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)(S−11)。メッセージは、骨伝導スピーカー19から作業者12に伝えられる。各携帯装置14は、測定間隔に従って、作業中の作業者12の着衣内温度を測定するとともに(着衣内温度測定手段)(S−12)、作業中の作業者12の着衣内湿度を測定する(着衣内湿度測定手段)(S−12)。携帯装置14aは、プライベートIPアドレスやMACアドレスとともに、測定した測定着衣内温度(デジタル信号)を監視装置11に送信するとともに(着衣内温度送信手段)(S−13)、測定した測定着衣内湿度(デジタル信号)を監視装置11に送信する(着衣内湿度送信手段)(S−13)。
【0058】
監視装置11は、携帯装置14aから測定着衣内温度を受信し(測定着衣内温度受信手段)、携帯装置14aから測定着衣内湿度を受信する(測定着衣内湿度受信手段)。監視装置11は、測定着衣内温度や測定着衣内湿度を受信すると、測定着衣内温度を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納し(着衣内温度記憶手段)、測定着衣内湿度を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納する(着衣内湿度記憶手段)。次に、監視装置11は、受信した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)(S−14)。
【0059】
危険性判断の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、算出した湿球黒球温度比較値(WBGT温度)と湿球黒球温度危険値(WBGT温度)とを比較し、湿球黒球温度比較値が湿球黒球温度危険値のどの値に該当するかを判断し、前記WBGT指標に従って現在の熱中症の発症危険性を判断する。WBGT温度が正常値(WBGT温度が21度超過かつ25度以下、または、WBGT温度が21度以下)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。監視装置11は、WBGT指標に従って熱中症の発症危険性が高いと判断した場合(WBGT温度:31度以上、WBGT温度:28度超過かつ31度以下、WBGT温度:25度超過かつ28度以下の場合)、PHS無線通信を利用して発症危険性警告(前記WBGT指標に従った前記メッセージ)を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。
【0060】
危険性判断の他の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、着衣内温度が着衣内温度危険値を超過したか(測定着衣内温度>着衣内温度危険値)を判断するとともに、測定着衣内湿度が着衣内湿度危険値を超過したか(測定着衣内湿度>着衣内湿度危険値)を判断する。監視装置11は、測定着衣内温度が着衣内温度危険値以下(測定着衣内温度≦着衣内温度危険値)と測定着衣内湿度が着衣内湿度危険値以下(測定着衣内湿度≦着衣内湿度危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0061】
監視装置11は、測定着衣内温度が着衣内温度危険値を超過(測定着衣内温度>着衣内温度危険値)と測定着衣内湿度が着衣内湿度危険値を超過(測定着衣内湿度>着衣内湿度危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(着衣内温度超過経過時間>許容タイム、着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0062】
着衣内温度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内温度超過経過時間>許容タイム)と着衣内湿度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、監視装置11は、熱中症の発症危険性が高いと判断し、PHS無線通信を利用して発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。なお、経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、着衣内温度や着衣内湿度が危険値を超過した直後に、発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。
【0063】
携帯装置14aは、監視装置11から送信された発症危険性警告を受信し(警告受信手段)、受信した警告を作業者12に伝える(警告伝達手段)(S−16)。発症危険性警告としては、たとえば、(測定値が危険値を超えました。作業を直ちに中断してください。休憩所に戻って休息し、水分を十分に補給してください。)等の音声指示を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に伝える。または、危険性が高いことを表す警告音を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に発する。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−17)。
【0064】
監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14a、その携帯装置14aを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が高い作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14aから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−17)。
【0065】
危険性判断の他の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、測定着衣内温度が第1着衣内温度危険値を超過するとともに(測定着衣内温度>第1着衣内温度危険値)、測定着衣内湿度が第1着衣内湿度危険値を超過したか(測定着衣内湿度>第1着衣内湿度危険値)を判断する。測定着衣内温度が第1着衣内温度危険値以下(測定着衣内温度≦第1着衣内温度危険値)と測定着衣内湿度が第1着衣内湿度危険値以下(測定着衣内湿度≦第1着衣内湿度危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、監視装置11は、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0066】
監視装置11は、測定着衣内温度が第1着衣内温度危険値を超過(測定着衣内温度>第1着衣内温度危険値)と測定着衣内湿度が第1着衣内湿度危険値を超過(測定着衣内湿度>第1着衣内湿度危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(着衣内温度超過経過時間>許容タイム、着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0067】
監視装置11は、着衣内温度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内温度超過経過時間>許容タイム)と着衣内湿度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、熱中症の発症危険性が中程度である判断し、PHS無線通信を利用して第1発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。なお、超過経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、着衣内温度や着衣内湿度が第1危険値を超過した直後に、第1発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。
【0068】
携帯装置14aは、監視装置11から送信された第1発症危険性警告を受信し(警告受信手段)、受信した警告を作業者12に伝える(警告伝達手段)(S−16)。警告としては、たとえば、(体温や心拍数が上昇しています。体調に注意して作業を続けてください。)等の音声指示を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に伝える。または、危険性中程度を表す警告音を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に発する。作業者12は、自己判断によって作業を継続するか、または、作業を中断するかを決定する。監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14a、その携帯装置14aを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が中程度の作業者12を把握することができる。
【0069】
監視装置11は、第1発症危険性警告を携帯装置14aに送信した後、測定着衣内温度が第2着衣内温度危険値を超過するとともに(測定着衣内温度>第2着衣内温度危険値)、測定着衣内湿度が第2着衣内湿度危険値を超過したか(測定着衣内湿度>第2着衣内湿度危険値)を判断する。監視装置11は、測定鼓膜温度が第2鼓膜温度危険値以下(測定鼓膜温度≦第2鼓膜温度危険値)と測定心拍数が第2心拍数危険値以下(測定心拍数≦第2心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、発症危険性が未だ中程度であると判断する。
【0070】
監視装置11は、測定着衣内温度が第2着衣内温度危険値を超過(測定着衣内温度>第2着衣内温度危険値)と測定着衣内湿度が第2着衣内湿度危険値を超過(測定着衣内湿度>第2着衣内湿度危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(着衣内温度超過経過時間>許容タイム、着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性が中程度であると判断する。
【0071】
着衣内温度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内温度超過経過時間>許容タイム)と着衣内湿度超過経過時間が許容タイムを超過(着衣内湿度超過経過時間>許容タイム)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、監視装置11は、熱中症の発症危険性が高いと判断し、PHS無線通信を利用して第2発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。なお、超過経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、着衣内温度や着衣内湿度が第2危険値を超過した直後に、第2発症危険性警告を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。
【0072】
携帯装置14aは、監視装置11から送信された第2発症危険性警告を受信し(警告受信手段)、受信した警告を作業者12に伝える(警告伝達手段)(S−16)。警告としては、たとえば、(測定値が危険値を超えました。作業を直ちに中断してください。休憩所に戻って休息し、水分を十分に補給してください。)等の音声指示を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に伝える。または、危険性が高いことを表す警告音を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に発する。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−17)。
【0073】
監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14a、その携帯装置14aを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が高い作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14aから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−17)。
【0074】
作業が終了した作業者12が休憩室に戻った後、または、警告によって作業を中断した作業者12が休憩室に戻った後、監視装置11は、そのまま作業を中止させるかを判断する(S−18)。携帯装置14aは、休憩室で休憩中の作業者12の着衣内温度を測定し(着衣内温度測定手段)、休憩中の作業者12の着衣内湿度を測定する(着衣内湿度測定手段)。携帯装置14aは、プライベートIPアドレスやMACアドレスとともに、測定した測定着衣内温度を監視装置11に送信するとともに(着衣内温度送信手段)、測定した測定着衣内湿度を監視装置11に送信する(着衣内湿度送信手段)。
【0075】
監視装置11は、携帯装置14aから測定着衣内温度を受信し(測定着衣内温度受信手段)、測定着衣内湿度を受信する(測定着衣内湿度受信手段)。監視装置11は、測定着衣内温度や測定着衣内湿度を受信すると、測定着衣内温度を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納し(着衣内温度記憶手段)、測定着衣内湿度を携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納する(着衣内湿度記憶手段)。次に、監視装置11は、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて休憩中の作業者12の熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)。
【0076】
監視装置11は、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が正常値に戻った場合、作業者12の着衣内温度や着衣内湿度が危険値以下になった場合、PHS無線通信を利用して作業再開指示(メッセージ)を携帯装置14aに送信する(メッセージ送信手段)。携帯装置14aは、PHS無線通信を利用してそのメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)し、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)。作業者12は、作業再開指示にしたがって作業を再開する(S−19)。なお、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が所定時間(たとえば、1分、3分、5分等)経過後も正常値に戻らず、作業者12の着衣内温度や着衣内湿度が所定時間(たとえば、1分、3分、5分等)経過後も危険値を超過している場合は、作業を再開させることなく、作業者12のその日の作業を直ちに中止させる。
【0077】
熱中症予防システム10は、監視装置11が作業中の作業者12のWBGT温度や測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいてその作業者12の熱中症の発症危険性を判断するから、監視装置11を管理する管理責任者が作業者12の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12の熱中症に対する防御を管理責任者が客観的に監視することができる。システム10は、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置11が発症危険性警告を携帯装置14aに送信し、携帯装置14aがその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者12が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12が作業を中断することで、作業中の作業者12の熱中症の発症を防ぐことができる。システム10は、監視装置11において発症危険性が高い作業者12(携帯装置14a)を特定することができるから、作業者12が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者12の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者12の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0078】
図5は、このシステム10において実行される各手段の他の一例を説明するフローチャートである。図5を参照しつつ、このシステム10の熱中症予防プロセスの他の一例を説明すると、以下のとおりである。図5の熱中症予防プロセスにおいて、監視装置11の中央処理部は、図4のフローチャートにおいて既に説明した各手段のうち、測定着衣内温度受信手段、測定着衣内湿度受信手段、着衣内温度記憶手段、着衣内湿度記憶手段、湿球黒球温度比較値算出手段、危険性判断手段(第1判断手段)、警告送信手段を実行しない。図5の熱中症予防プロセスにおいて、携帯装置14aは、図4のフローチャートにおいて既に説明した各手段を実行する他(着衣内温度送信手段、着衣内湿度送信手段は実行しない)、あわせて以下の各手段を実行する。
【0079】
携帯装置14aの中央処理部は、熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する湿球黒球温度危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行し、熱中症の発症危険性を示す着衣内温度危険値を記憶する着衣内温度危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行するとともに、熱中症の発症危険性を示す着衣内湿度危険値を記憶する着衣内湿度危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行する。中央処理部は、測定した着衣内温度(測定着衣内温度)が着衣内温度危険値を超過してから経過した時間である経過時間(着衣内温度の超過経過時間)の許容タイムを記憶する着衣内温度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行し、測定した着衣内湿度(測定着衣内湿度)が着衣内湿度危険値を超過してから経過した時間である経過時間(着衣内湿度の超過経過時間)の許容タイムを記憶する着衣内湿度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行する。
【0080】
携帯装置14aの中央処理部は、着衣内温度の測定間隔を記憶する着衣内温度測定間隔記憶手段を実行し、着衣内湿度の測定間隔を記憶する着衣内湿度測定間隔記憶手段を実行する。中央処理部は、測定した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出する湿球黒球温度危険値算出手段を実行する。中央処理部は、算出した湿球黒球温度比較値に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第2判断手段)を実行するとともに、測定した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第2判断手段)を実行する。中央処理部は、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、骨伝導スピーカー19を介して発症危険性警告を作業者に伝える警告伝達手段(伝達手段)を実行する。
【0081】
管理責任者は、監視装置11や携帯装置14aのスイッチを入れ、それら装置11,14aを稼動させ、危険値、許容タイム、測定間隔を設定する(S−20)。携帯装置14aを稼動させると、装置14aに実装されたディスプレイ(図示せず)に初期設定画面(図示せず)が表示される。初期画面は、監視装置11のディスプレイ18に表示されるそれと同一である。管理責任者は、装置14aのキーユニット(図示せず)を利用して各入力エリアに必要データを入力し、各危険値、各許容タイム、各測定間隔を個別に設定する。各危険値や各許容タイム、各測定間隔(携帯装置14aのプライベートIPアドレスやMACアドレスを含む)は、携帯装置14aのメモリに格納されるとともに(各記憶手段)、携帯装置14aから監視装置11に送信され、各危険値や各許容タイム、各測定間隔が携帯装置14aのアドレスに関連付けられた状態で監視装置11のハードディスクに格納される(各記憶手段)。
【0082】
危険値や許容タイム、測定間隔を設定した後、携帯装置14aや骨伝導スピーカー19を作業者に装着させる。それらを装着した作業者は、作業箇所において作業を開始する。作業指示や注意事項等のメッセージがある場合、各携帯装置14aは、PHS無線通信を利用して各種のメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)(S−21)。
【0083】
各携帯装置14aは、測定間隔に従って、作業中の作業者12の着衣内温度や着衣内湿度を測定する(着衣内温度測定手段、着衣内湿度測定手段)(S−22)。各携帯装置14aは、測定した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値、測定した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)(S−23)。ステップ23(S−23)における危険性判断手段における各判断手法は、図4のフローチャートにおいて説明したように、監視装置11が行うそれらと同一である。各携帯装置14aは、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、骨伝導スピーカー19を介して発症危険性警告を作業者に伝える(警告伝達手段)(S−25)。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−26)。
【0084】
各携帯装置14aは、発症危険性警告を作業者に伝えた場合、警告伝達メッセージを監視装置11に送信する(警告伝達メッセージ送信手段)。監視装置11は、警告伝達メッセージを携帯装置14aから受信する(警告伝達メッセージ受信手段)。監視装置11は、警告伝達メッセージを受信すると、警告伝達メッセージ(警告が伝達された携帯装置14a、その携帯装置14aを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所を含む)をディスプレイ18に表示するとともに(警告伝達メッセージ出力手段)、警告伝達メッセージを携帯装置14aのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(警告伝達メッセージ記憶手段)。
【0085】
管理責任者は、ディスプレイ18を介して警告が伝達された作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14aから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−26)。なお、携帯装置14aは、危険性判断手段(S−23)において、発症危険性なしと判断した場合、作業者12に作業を継続させる(S−24)。
【0086】
作業が終了した作業者12が休憩室に戻った後、または、警告によって作業を中断した作業者12が休憩室に戻った後、携帯装置14aは、そのまま作業を中止させるかを判断する(S−27)。ステップ27(S−27)における判断手法は、図4のフローチャートにおいて説明したように、監視装置11が行うそれらと同一である。携帯装置14aは、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が正常値に戻った場合、作業者12の着衣内温度や着衣内湿度が危険値以下になった場合、作業再開指示(メッセージ)を伝達する(メッセージ伝達手段)。作業者12は、作業再開指示にしたがって作業を再開する(S−28)。
【0087】
図5のフローチャートにおいて説明した熱中症予防システム10は、携帯装置14aが作業中の作業者12のWBGT温度や測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいてその作業者12の熱中症の発症危険性を判断し、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、携帯装置14aがその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者12が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12が作業を中断することで、作業中の作業者12の熱中症の発症を防ぐことができる。なお、携帯装置14aの発症危険性警告を無視して作業者が作業を継続している場合であっても、警告伝達メッセージが監視装置11に送信されるから、監視装置11を管理する管理責任者が特定の作業者12の熱中症の発症危険性を知ることができ、管理責任者が作業者の作業を強制的に中止させることで、作業中の作業者12の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0088】
図6は、他の一例として示す携帯装置14bの斜視図であり、図7は、図6の携帯装置14bに接続された耳栓26および骨伝導スピーカー19の側面図である。図8は、作業者12が図6の携帯装置14bを装着した状態の図である。図9は、他の一例として示す携帯装置14cの斜視図であり、図10は、図9の携帯装置14cに接続された耳栓および骨伝導スピーカーの側面図である。図11は、作業者12が図9の携帯装置14cを装着した状態の図である。なお、それら携帯装置14b,14cを利用したシステム10では、WBGT指標による熱中症発症危険性判断を行う場合を例として説明するが、携帯装置14aにおいて説明した場合と同様に、WBGT指標のみならず、着衣内温度や着衣内湿度に基づいた熱中症発症危険性判断を行うこともできる。
【0089】
WBGT(湿球黒球温度)指標の他に、熱中症発症の発症危険性について、作業者12の鼓膜温度(深部体温)と心拍数との変化をモニタリングすることによって確認できることが知られている。暑熱環境下での作業における管理指数としては、たとえば、「鼓膜温度が38.0℃(暑熱環境に馴化している場合は38.5℃)を超える場合」、「心拍数が数分間継続して(180−年齢)を超える場合」、「作業強度がピークに達した後1分間経過後の心拍数が110以下に戻らない場合」等の兆候により、熱ストレインが許容限界を超えたことを判断することができる。ここで、「熱ストレイン」とは、熱ストレス(労働に伴って体内で産生される熱と体外の環境すなわち温度、相対湿度、輻射熱、及び気流、並びに衣服等の複合効果によって決まる、労働者が曝露される正味の熱負荷)によって生じる生理的な反応の総称である。
【0090】
監視装置11は、図4のフローチャートにおいて既に説明した各手段を実行する他、あわせて以下の各手段を実行する。監視装置11の中央処理部は、熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値を記憶する鼓膜温度危険値記憶手段(第1記憶手段)を実行し、熱中症の発症危険性を示す心拍数危険値を記憶する心拍数危険値記憶手段(第1記憶手段)を実行する。中央処理部は、測定された鼓膜温度(測定鼓膜温度)が鼓膜温度危険値を超過してから経過した時間である経過時間(鼓膜温度の超過経過時間)の許容タイムを記憶する鼓膜温度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行し、測定された心拍数(測定心拍数)が心拍数危険値を超過してから経過した時間である経過時間(心拍数の超過経過時間)の許容タイムを記憶する心拍数超過経過時間許容タイム記憶手段を実行する。中央処理部は、鼓膜温度の測定間隔を記憶する鼓膜温度測定間隔記憶手段を実行し、心拍数の測定間隔を記憶する心拍数測定間隔記憶手段を実行する。
【0091】
監視装置11の中央処理部は、携帯装置14から測定鼓膜温度を受信する測定鼓膜温度受信手段(第2受信手段)を実行し、携帯装置14から測定心拍数を受信する測定心拍数受信手段(第2受信手段)を実行する。中央処理部は、受信した測定鼓膜温度をハードディスクに時系列に格納する鼓膜温度記憶手段を実行し、受信した測定心拍数をハードディスクに時系列に格納する心拍数記憶手段を実行する。中央処理部は、受信した測定鼓膜温度、測定心拍数、測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第1判断手段)を実行し、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、発症危険性警告を携帯装置に送信する警告送信手段(第2送信手段)を実行する。中央処理部は、各種のメッセージを携帯装置14b,14cに送信するメッセージ送信手段(第2送信手段)を実行する。
【0092】
監視装置11のハードディスクには、湿球黒球温度危険値、鼓膜温度危険値、心拍数危険値が携帯装置14b,14c毎に区分されて格納されている。ハードディスクには、測定鼓膜温度や測定心拍数が危険値を超過してから経過した時間である経過時間(超過経過時間)の許容タイムが携帯装置14b,14c毎に区分されて格納されている。さらに、ハードディスクには、鼓膜温度や心拍数の測定間隔、着衣内温度や着衣内湿度の測定間隔が携帯装置14b,14c毎に区分されて格納されている。
【0093】
携帯装置14b(14),14c(14)は、図2のそれと同様に、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(記憶部)とを有するコンピュータであり、アンテナ(図示せず)を内蔵し、温度センサ(測定機構)および湿度センサ(測定機構)を備え、PHS無線通信機能を有する(PHS無線通信機能を内蔵する場合の他、PHS無線通信装置に接続される場合を含む)。温度センサは、そのセンサ部20が携帯装置14b,14cの一方の側壁に設置され、湿度センサは、そのセンサ部21が携帯装置14b,14cの一方の側壁に設置されている。携帯装置14b,14cは、作業者12が着用した作業着13の胸ポケット24に着脱可能に収容される(PHS無線通信装置がある場合は、その無線通信装置も作業着13の胸ポケット24に収容される)。
【0094】
図6に示す携帯装置14b(14)は、温度センサ(測定機構)、湿度センサ(測定機構)の他に、作業者12の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサ(図示せず)が内蔵(設置)された耳栓26(測定機構)と、作業者12の心拍数を測定する心拍数センサ(図示せず)が設置されたクリップ27(測定機構)と、作業者12に発症危険性警告や各種のメッセージを伝える骨伝導スピーカー19(伝達機構)とを備えている。
【0095】
骨伝導スピーカー19や耳栓26は、インターフェイス23を介して携帯装置14bに着脱可能に接続されている。耳栓26は、作業者12の外耳道に挿脱可能に挿入される。鼓膜温度センサは、赤外放射温度を検出するサーモパイル(熱電堆)であり、作業者12の鼓膜に対向するように耳栓26の先端内部に設置されている。鼓膜温度センサは、作業者12の鼓膜温度を測定し、測定した鼓膜温度をデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号を携帯装置14bに転送する。
【0096】
クリップ27は、インターフェイス28を介して携帯装置14bに着脱可能に接続されている。クリップ27は、作業者12の耳たぶ29に着脱可能に装着される。心拍数センサは、作業者12の耳たぶ29の血管を流れる血流が心拍と同期して変化するのをセンシングし、耳たぶ29の血流量の変動によって微少に変わる光線透過率を検出して心拍数を測定する。心拍数センサは、作業者12の心拍数を測定し、測定した心拍数をデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号を携帯装置14bに転送する。骨伝導スピーカー19は、耳栓26(鼓膜温度センサ)と一体に作られている。骨伝導スピーカー19には、作業者12の耳殻25に引っ掛ける耳かけ22が連結されている。骨伝導スピーカー19や鼓膜温度センサは、インターフェイス23を介して携帯装置14bに着脱可能に接続されている。
【0097】
図9に示す携帯装置14cは、作業者12の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサ(図示せず)と作業者12の心拍数を測定する心拍数センサ(図示せず)とが内蔵された耳栓26(測定機構)と、作業者12に発症危険性警告や各種のメッセージを伝える骨伝導スピーカー19(伝達機構)とを備えている。鼓膜温度センサは、図6の携帯装置14bと同様に、赤外放射温度を検出するサーモパイルであり、作業者12の鼓膜に対向するように耳栓26の先端内部に設置されている。
【0098】
携帯装置14cにおける心拍数センサは、赤外線発光ダイオード30(発光素子)とフォトセンサ31(受光素子)とを備えている(図10参照)。ダイオード30とフォトセンサ31とは、作業者12の外耳道の表面に対向するように耳栓26の側壁に並んで設置されている。発光ダイオード30から外耳道の表面に赤外線を照射し、外耳道の皮膚の表面から反射した赤外線あるいは外耳道の皮膚を透過した赤外線の強弱が心臓の鼓動に比例することを利用し、外耳道の表面から反射した赤外線をフォトセンサ31で受光して心拍数を測定する。鼓膜温度センサは、作業者12の鼓膜温度を測定し、測定した鼓膜温度をデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号を携帯装置14cに転送する。心拍数センサは、作業者12の心拍数を測定し、測定した心拍数をデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号を携帯装置14cに転送する。
【0099】
携帯装置14b,14cは、図4のフローチャートにおいて既に説明した各手段を実行する他、あわせて以下の各手段を実行する。携帯装置14b,14cの中央処理部は、耳栓26を介して作業者12の鼓膜温度を測定する鼓膜温度測定手段を実行し、耳栓26またはクリップ27を介して作業者12の心拍数を測定する心拍数測定手段を実行する。中央処理部は、測定した測定鼓膜温度を監視装置11に送信する鼓膜温度送信手段(第1送信手段)を実行し、測定した測定心拍数を監視装置11に送信する心拍数送信手段(第1送信手段)を実行する。
【0100】
図4を援用しつつ、携帯装置14b,14cを使用したシステム10の熱中症予防プロセスの一例を説明すると、以下のとおりである。なお、図4のステップ12(S−12)には、「鼓膜温度と心拍数とを測定」が加わり、図4のステップ13(S−13)には、「鼓膜温度と心拍数とを送信」が加わる。管理責任者は、監視装置11のスイッチを入れ、監視装置11を稼動させ、危険値、許容タイム、測定間隔を設定する(S−20)。監視装置11を稼動させると、初期設定画面(図示せず)がディスプレイ18に表示される。
【0101】
初期設定画面には、作業者12の属性入力エリア、携帯装置14b,14cの識別名入力エリア、湿球黒球温度危険値入力エリア、鼓膜温度危険値入力エリア、心拍数危険値入力エリア、鼓膜温度の超過経過時間の許容タイム入力エリア、心拍数の超過経過時間の許容タイム入力エリア、着衣内温度の測定間隔入力エリア、着衣内湿度の測定間隔入力エリア、鼓膜温度の測定間隔入力エリア、心拍数の測定間隔入力エリア、データ格納ボタン、クリアボタン、ログアウトボタンが表示される。
【0102】
管理責任者は、属性入力エリアや識別名入力エリアにデータを入力し、湿球黒球温度危険値入力エリアに湿球黒球温度危険値(前記WBGT指標のとおり)を入力する。さらに、鼓膜温度危険値入力エリアに鼓膜温度危険値(たとえば、38.0℃、暑熱環境に馴化している作業者に対しては38.5℃)を入力する。心拍数危険値入力エリアに心拍数危険値(たとえば、180−年齢)を入力し、鼓膜温度の超過経過時間の許容タイム入力エリアに許容タイム(たとえば、0や3分、5分等)を入力するとともに、心拍数の超過経過時間の許容タイム入力エリアに許容タイム(たとえば、0や3分、5分等)を入力する。管理責任者は、着衣内温度の測定間隔入力エリアや着衣内湿度の測定間隔入力エリアにそれらの測定間隔を入力するとともに、鼓膜温度の測定間隔入力エリアに測定間隔(たとえば、0や30秒間隔、1分間隔等)を入力し、心拍数の測定間隔入力エリアに測定間隔(たとえば、0や30秒間隔、1分間隔等)を入力する。測定間隔が0の場合、鼓膜温度や心拍数が連続して測定される。
【0103】
なお、複数の異なる鼓膜温度危険値を入力することもでき、複数の異なる心拍数危険値を入力することもできる。また、複数の異なる許容タイムを入力することもできる。この場合の一例として、第1鼓膜温度危険値(たとえば、37.5℃、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては38.0℃)を入力し、それに対応する鼓膜温度超過経過時間許容タイム(たとえば、5分)を入力する。第2鼓膜温度危険値(たとえば、38.0℃、暑熱環境に馴化している作業者12に対しては38.5℃)を入力し、それに対応する鼓膜温度超過経過時間許容タイム(たとえば、3分)を入力する。さらに、第1心拍数危険値(たとえば、(180−年齢)×0.9)を入力し、それに対応する心拍数超過経過時間許容タイム(たとえば、5分)を入力する。第2心拍数危険値(たとえば、180−年齢)を入力し、それに対応する心拍数超過経過時間許容タイム(たとえば、3分)を入力する。
【0104】
それら入力エリアに必要データを入力した後、格納ボタンをクリックする。格納ボタンをクリックすると、データ確認画面(図示せず)がディスプレイ18に表示される。属性や危険値、許容タイム、測定間隔を確認した後、入力したデータに誤りがない場合、データ確定ボタンをクリックする。データ確定ボタンをクリックすると、監視装置11は、属性や識別名、湿球黒球温度危険値危険値、着衣内温度測定間隔、着衣内湿度測定間隔を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(各記憶手段)。監視装置11は、鼓膜温度危険値を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(鼓膜温度危険値記憶手段)、心拍数危険値を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(心拍数危険値記憶手段)。
【0105】
監視装置11は、鼓膜温度超過経過時間許容タイムを携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(鼓膜温度超過経過時間許容タイム記憶手段)、心拍数超過経過時間許容タイムを携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(心拍数超過経過時間許容タイム記憶手段)。監視装置11は、鼓膜温度の測定間隔を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納し(鼓膜温度測定間隔記憶手段)、心拍数の測定間隔を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(心拍数測定間隔記憶手段)。
【0106】
湿球黒球温度危険値危険値や鼓膜温度危険値、心拍数危険値、鼓膜温度の超過経過時間の許容タイム、心拍数の超過経過時間の許容タイムは、各携帯装置14b,14c毎(各作業者12毎)に異なる値やタイムが設定されている。湿球黒球温度危険値危険値や鼓膜温度危険値、心拍数危険値、許容タイム、測定間隔は、入力装置によって変更することができる。作業者12の属性、携帯装置14b,14cの識別名、危険値、許容タイム、測定間隔を変更する手順は、図4のフローチャートにおいて説明したとおりである。
【0107】
属性や識別名、各危険値、各許容タイム、各測定間隔を確認し、それらに誤りがない場合やそれらの変更がない場合、管理責任者は、作業者12が原子力発電所15において作業を開始する前に、各作業者12に携帯装置14b,14cを渡す。携帯装置14b,14cは、特定のそれが各作業者12毎に個別に割り当てられている。携帯装置14b,14cを受け取った各作業者12は、携帯装置14b,14cを作業着13の胸ポケット24に収容し、耳栓26を外耳道に挿入するとともに、耳かけ22を耳殻25に掛けて耳栓26と骨伝導スピーカー19とを装着した後、クリップ27で耳たぶ29を挟み、クリップ27を装着する。なお、図8,11に示すように、温度センサのセンサ部20や湿度センサのセンサ部21が作業者12の肌に対向するように、携帯装置14b,14cのそれらセンサ部20,21が設置された側壁を作業者12の肌に対向させる。作業者12は、耳栓26や骨伝導スピーカー19、クリップ29を装着し、作業箇所に到着した後、携帯装置14b,14cのスイッチ(図示せず)を入れ、作業箇所において作業を開始する。
【0108】
携帯装置14b,14cのスイッチを入れると、各許容タイム、各測定間隔が監視装置11からそれら携帯装置14b,14cに送信され、携帯装置14b,14cがそれらを受信する。さらに、作業指示や注意事項等のメッセージがある場合は、PHS無線通信を利用してそれらメッセージを携帯装置14b,14cに送信する(メッセージ送信手段)。なお、各許容タイムや各測定間隔を携帯装置14b,14cにおいて個別に設定するようにしてもよい。この場合は、許容タイムや測定間隔が監視装置11から携帯装置14b,14cに送信されることなく、逆に許容タイムや測定間隔(携帯装置14b,14cのプライベートIPアドレスやMACアドレスを含む)が携帯装置14b,14cから監視装置11に送信され、許容タイムや測定間隔が携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けられた状態で監視装置11のハードディスクに格納される。
【0109】
各携帯装置14b,14cは、PHS無線通信を利用して各種のメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)し、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)(S−11)。各携帯装置14b,14cは、測定間隔に従って、作業中の作業者12の着衣内温度を測定するとともに(着衣内温度測定手段)(S−12)、作業中の作業者12の着衣内温度を測定する(着衣内湿度測定手段)(S−12)。さらに、各携帯装置14b,14cは、測定間隔に従って、作業中の作業者12の鼓膜温度を測定するとともに(鼓膜温度測定手段)(S−12)、作業中の作業者12の心拍数を測定する(心拍数測定手段)(S−12)。
【0110】
携帯装置14b,14cは、プライベートIPアドレスやMACアドレスとともに、測定した測定着衣内温度(デジタル信号)を監視装置11に送信するとともに(着衣内温度送信手段)(S−13)、測定した測定着衣内湿度(デジタル信号)を監視装置11に送信する(着衣内湿度送信手段)(S−13)。携帯装置14b,14cは、それらアドレスとともに、測定した測定鼓膜温度を監視装置11に送信するとともに(鼓膜温度送信手段)(S−13)、測定した測定心拍数を監視装置11に送信する(心拍数送信手段)(S−13)。
【0111】
監視装置11は、携帯装置14b,14cから測定着衣内温度や測定着衣内湿度を受信し(測定着衣内温度受信手段、測定着衣内湿度受信手段)、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納する(着衣内温度記憶手段、着衣内湿度記憶手段)。監視装置11は、携帯装置14b,14cから測定鼓膜温度や測定心拍数を受信し(測定鼓膜温度受信手段、測定心拍数受信手段)、受信した測定鼓膜温度や測定心拍数を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納する(鼓膜温度記憶手段、心拍数記憶手段)。次に、監視装置11は、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値や測定鼓膜温度、測定心拍数に基づいて熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)(S−14)。
【0112】
危険性判断の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、算出した湿球黒球温度比較値(WBGT温度)と湿球黒球温度危険値(WBGT温度)とを比較し、湿球黒球温度比較値が湿球黒球温度危険値のどの値に該当するかを判断し、前記WBGT指標に従って現在の熱中症の発症危険性を判断する。WBGT温度が正常値(WBGT温度が21度超過かつ25度以下、または、WBGT温度が21度以下)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。監視装置11は、WBGT指標に従って熱中症の発症危険性が高いと判断した場合(WBGT温度:31度以上、WBGT温度:28度超過かつ31度以下、WBGT温度:25度超過かつ28度以下の場合)、PHS無線通信を利用して発症危険性警告(前記WBGT指標に従った前記メッセージ)を携帯装置14aに送信する(警告送信手段)。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−17)。
【0113】
危険性判断の他の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、測定鼓膜温度が鼓膜温度危険値を超過したか(測定鼓膜温度>鼓膜温度危険値)を判断するとともに、測定心拍数が心拍数危険値を超過したか(測定心拍数>心拍数危険値)を判断する。監視装置11は、測定鼓膜温度が鼓膜温度危険値以下(測定鼓膜温度≦鼓膜温度危険値)と測定心拍数が心拍数危険値以下(測定心拍数≦心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0114】
監視装置11は、測定鼓膜温度が鼓膜温度危険値を超過(測定鼓膜温度>鼓膜温度危険値)と測定心拍数が心拍数危険値を超過(測定心拍数>心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(鼓膜温度超過経過時間>許容タイム、心拍数超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0115】
監視装置11は、鼓膜温度超過経過時間が許容タイムを超過(鼓膜温度超過経過時間>許容タイム)と心拍数超過経過時間が許容タイムを超過(心拍数超過経過時間>許容タイム)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、熱中症の発症危険性が高いと判断し、PHS無線通信を利用して発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。なお、鼓膜温度や心拍数の超過経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、測定鼓膜温度が鼓膜温度危険値を超過した直後や測定心拍数が心拍数危険値を超過した直後に、発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−17)。
【0116】
監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14b,14c、その携帯装置14b,14cを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が高い作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14b,14cから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−17)。
【0117】
危険性判断の他の一例は、以下のとおりである。監視装置11は、測定鼓膜温度が第1鼓膜温度危険値を超過したか(測定鼓膜温度>第1鼓膜温度危険値)を判断するとともに、測定心拍数が第1心拍数危険値を超過したか(測定心拍数>第1心拍数危険値)を判断する。監視装置11は、測定鼓膜温度が第1鼓膜温度危険値以下(測定鼓膜温度≦第1鼓膜温度危険値)と測定心拍数が第1心拍数危険値以下(測定心拍数≦第1心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0118】
監視装置11は、測定鼓膜温度が第1鼓膜温度危険値を超過(測定鼓膜温度>第1鼓膜温度危険値)と測定心拍数が第1心拍数危険値を超過(測定心拍数>第1心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(鼓膜温度超過経過時間>許容タイム、心拍数超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性なしと判断し、作業者12に作業を継続させる(S−15)。
【0119】
監視装置11は、経過時間が許容タイムを経過した場合、熱中症の発症危険性が中程度である判断し、PHS無線通信を利用して第1発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。なお、鼓膜温度や心拍数の超過経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、測定鼓膜温度が第1鼓膜温度危険値を超過した直後や測定心拍数が第1心拍数危険値を超過した直後に、第1発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。
【0120】
携帯装置14b,14cは、監視装置11から送信された第1発症危険性警告を受信し(警告受信手段)、受信した警告を作業者12に伝える(警告伝達手段)(S−16)。警告としては、たとえば、(体温や心拍数が上昇しています。体調に注意してください。)等の音声指示を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に伝える。または、危険性中程度を表す警告音を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に発する。作業者12は、自己判断によって作業を継続するか、または、中断するかを決定する。監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14b,14c、その携帯装置14b,14cを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が中程度の作業者12を把握することができる。
【0121】
監視装置11は、第1発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信した後、測定鼓膜温度が第2鼓膜温度危険値を超過するとともに(測定鼓膜温度>第2鼓膜温度危険値)、測定心拍数が第2心拍数危険値を超過したか(測定心拍数>第2心拍数危険値)を判断する。監視装置11は、(測定鼓膜温度≦第2鼓膜温度危険値)と(測定心拍数≦第2心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、発症危険性が未だ中程度であると判断する。監視装置11は、測定鼓膜温度が第2鼓膜温度危険値を超過(測定鼓膜温度>第2鼓膜温度危険値)と測定心拍数が第2心拍数危険値を超過(測定心拍数>第2心拍数危険値)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、経過時間が許容タイムを経過したか(鼓膜温度超過経過時間>許容タイム、心拍数超過経過時間>許容タイム)を判断する。監視装置11は、経過時間が許容タイム以下(経過時間≦許容タイム)の場合、発症危険性が中程度であると判断する。
【0122】
鼓膜温度超過経過時間が許容タイムを超過(鼓膜温度超過経過時間>許容タイム)と心拍数超過経過時間が許容タイムを超過(心拍数超過経過時間>許容タイム)とのうちの少なくともいずれか一方の場合、監視装置11は、熱中症の発症危険性が高いと判断し、PHS無線通信を利用して第2発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。なお、超過経過時間の許容タイムが0の場合、監視装置11は、鼓膜温度や心拍数が第2危険値を超過した直後に、第2発症危険性警告を携帯装置14b,14cに送信する(警告送信手段)。
【0123】
携帯装置14b,14cは、監視装置11から送信された第2発症危険性警告を受信し(警告受信手段)、受信した警告を作業者12に伝える(警告伝達手段)(S−15)。警告としては、たとえば、(測定値が危険値を超えました。作業を直ちに中断してください。休憩所に戻って休息し、水分を補給してください。)等の音声指示を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に伝える。または、危険性が高いことを表す警告音を骨伝導スピーカー19を介して作業者12に発する。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−17)。
【0124】
監視装置11のディスプレイ18には、警告内容やその警告が送信された携帯装置14b,14c、その携帯装置14b,14cを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所が表示される。管理責任者は、ディスプレイ18を介して熱中症の発症危険性が高い作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14b,14cから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−17)。
【0125】
作業が終了した作業者12が休憩室に戻った後、または、警告によって作業を中断した作業者12が休憩室に戻った後、監視装置11は、そのまま作業を中止させるかを判断する(S−18)。携帯装置14b,14cは、休憩室で休憩中の作業者12の着衣内温度や着衣内湿度を測定し(着衣内温度測定手段、着衣内湿度測定手段)、休憩中の作業者12の鼓膜温度や心拍数を測定する(鼓膜温度測定手段、心拍数測定手段)。携帯装置14b,14cは、プライベートIPアドレスやMACアドレスとともに、測定した測定着衣内温度や測定着衣内湿度を監視装置11に送信し(着衣内温度送信手段、着衣内湿度送信手段)、測定した測定鼓膜温度や測定心拍数を監視装置11に送信する(鼓膜温度送信手段、心拍数送信手段)。
【0126】
監視装置11は、携帯装置14b,14cから測定着衣内温度や測定着衣内湿度を受信し(測定着衣内温度受信手段、測定着衣内湿度受信手段)、測定鼓膜温度や測定心拍数を受信する(測定鼓膜温度受信手段、測定心拍数受信手段)。監視装置11は、測定着衣内温度や測定着衣内湿度、測定鼓膜温度、測定心拍数を受信すると、測定着衣内温度や測定着衣内湿度を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納し(着衣内温度記憶手段、着衣内湿度記憶手段)、測定鼓膜内温度や測定心拍数を携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに時系列に格納する(鼓膜温度記憶手段、心拍数記憶手段)。次に、監視装置11は、受信した測定着衣内温度や測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値、受信した測定鼓膜温度や測定心拍数に基づいて休憩中の作業者12の熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)。
【0127】
監視装置11は、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が正常値に戻った場合、作業者12の鼓膜温度や心拍数が危険値以下になった場合、PHS無線通信を利用して作業再開指示(メッセージ)を携帯装置14b,14cに送信する(メッセージ送信手段)。携帯装置14b,14cは、PHS無線通信を利用してそのメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)し、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)。作業者12は、作業再開指示にしたがって作業を再開する(S−19)。なお、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が所定時間(たとえば、1分、3分、5分等)経過後も正常値に戻らず、作業者12の鼓膜温度や心拍数が所定時間(たとえば、1分、3分、5分等)経過後も危険値を超過している場合は、作業を再開させることなく、作業者12のその日の作業を直ちに中止させる。
【0128】
熱中症予防システム10は、監視装置11が作業中の作業者12のWBGT温度や測定鼓膜温度、測定心拍数に基づいてその作業者12の熱中症の発症危険性を判断するから、監視装置11を管理する管理責任者が作業者12の熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12の熱中症に対する防御を管理責任者が客観的に監視することができる。システム10は、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、監視装置11が発症危険性警告を携帯装置14aに送信し、携帯装置14aがその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者12が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12が作業を中断することで、作業中の作業者12の熱中症の発症を防ぐことができる。システム10は、監視装置11において発症危険性が高い作業者12(携帯装置14a)を特定することができるから、作業者12が発症危険性警告を無視して作業を継続したとしても、熱中症の発症危険性がある作業者12の作業を管理責任者が速やかに中断させることができ、作業中の作業者12の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【0129】
図5を援用しつつ、携帯装置14b,14cを使用したシステム10の熱中症予防プロセスの他の一例を説明すると、以下のとおりである。なお、図5のステップ22(S−22)には、「鼓膜温度と心拍数とを測定」が加わる。図5の熱中症予防プロセスにおいて、監視装置11の中央処理部は、携帯装置14b,14cを使用したシステム10において図4のフローチャートを援用して説明した各手段のうち、測定着衣内温度受信手段、測定着衣内湿度受信手段、測定鼓膜温度受信手段、測定心拍数受信手段、着衣内温度記憶手段、着衣内湿度記憶手段、鼓膜温度記憶手段、心拍数記憶手段、湿球黒球温度比較値算出手段、危険性判断手段(第1判断手段)、警告送信手段を実行しない。図5の熱中症予防プロセスにおいて、携帯装置14b,14cは、図4のフローチャートを援用して説明した各手段を実行する他(着衣内温度送信手段、着衣内湿度送信手段、鼓膜温度送信手段、心拍数送信手段は実行しない)、あわせて以下の各手段を実行する。
【0130】
携帯装置14b,14cの中央処理部は、熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する湿球黒球温度危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行し、熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値を記憶する鼓膜温度危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行するとともに、熱中症の発症危険性を示す心拍数危険値を記憶する心拍数危険値記憶手段(第2記憶手段)を実行する。中央処理部は、測定した鼓膜温度が鼓膜温度危険値を超過してから経過した時間である経過時間の許容タイムを記憶する鼓膜温度超過経過時間許容タイム記憶手段を実行し、測定した心拍数が心拍数危険値を超過してから経過した時間である経過時間の許容タイムを記憶する心拍数超過経過時間許容タイム記憶手段を実行する。
【0131】
携帯装置14b,14cの中央処理部は、着衣内温度や着衣内湿度の測定間隔を記憶する着衣内温度測定間隔記憶手段や着衣内湿度測定間隔記憶手段を実行し、鼓膜湿度や心拍数の測定間隔を記憶する鼓膜温度測定間隔記憶手段や心拍数測定間隔記憶手段を実行する。中央処理部は、測定した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出する湿球黒球温度危険値算出手段を実行する。中央処理部は、算出した湿球黒球温度比較値に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第2判断手段)を実行するとともに、測定した測定鼓膜温度や測定心拍数に基づいて熱中症の発症危険性を判断する危険性判断手段(第2判断手段)を実行する。中央処理部は、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、骨伝導スピーカー19を介して発症危険性警告を作業者に伝える警告伝達手段(伝達手段)を実行する。
【0132】
管理責任者は、監視装置11や携帯装置14b,14cのスイッチを入れ、それら装置11,14b,14cを稼動させ、危険値、許容タイム、測定間隔を設定する(S−20)。携帯装置14b,14cを稼動させると、装置14b,14cに実装されたディスプレイ(図示せず)に初期設定画面(図示せず)が表示される。初期画面は、監視装置11のディスプレイ18に表示されるそれと同一である。管理責任者は、装置14b,14cのキーユニット(図示せず)を利用して各入力エリアに必要データを入力し、各危険値、各許容タイム、各測定間隔を個別に設定する。各危険値や各許容タイム、各測定間隔(携帯装置14b,14cのプライベートIPアドレスやMACアドレスを含む)は、携帯装置14b,14cのメモリに格納されるとともに(各記憶手段)、携帯装置14b,14cから監視装置11に送信され、各危険値や各許容タイム、各測定間隔が携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けられた状態で監視装置11のハードディスクに格納される(各記憶手段)。
【0133】
危険値や許容タイム、測定間隔を設定した後、携帯装置14b,14cや骨伝導スピーカーを作業者に装着させる。それらを装着した作業者は、作業箇所において作業を開始する。作業指示や注意事項等のメッセージがある場合、各携帯装置14b,14cは、PHS無線通信を利用して各種のメッセージを監視装置11から受信し(メッセージ受信手段)、受信したメッセージを作業者12に伝達する(メッセージ伝達手段)(S−21)。
【0134】
各携帯装置14b,14cは、測定間隔に従って、作業中の作業者12の着衣内温度や着衣内湿度を測定し(着衣内温度測定手段、着衣内湿度測定手段)(S−22)、作業者12の鼓膜温度や心拍数を測定する(鼓膜温度測定手段、心拍数測定手段)(S−22)。各携帯装置14b,14cは、測定した測定着衣内温度、測定着衣内湿度に基づいて湿球黒球温度比較値を算出するとともに(湿球黒球温度比較値算出手段)、算出した湿球黒球温度比較値、測定した測定鼓膜温度や測定心拍数に基づいて熱中症の発症危険性を判断する(危険性判断手段)(S−23)。ステップ23(S−23)における危険性判断手段における各判断手法は、図4のフローチャートを援用して既に説明したように、監視装置11が行うそれらと同一である。各携帯装置14b,14cは、危険性判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、骨伝導スピーカー19を介して発症危険性警告を作業者に伝える(警告伝達手段)(S−25)。作業者12は、警告に従って作業を中断する(S−26)。
【0135】
各携帯装置14b,14cは、発症危険性警告を作業者に伝えた場合、警告伝達メッセージを監視装置11に送信する(警告伝達メッセージ送信手段)。監視装置11は、警告伝達メッセージを携帯装置14b,14cから受信する(警告伝達メッセージ受信手段)。監視装置11は、警告伝達メッセージを受信すると、警告伝達メッセージ(警告が伝達された携帯装置14b,14c、その携帯装置14b,14cを装着した作業者12の氏名およびコード番号、その作業者12の作業箇所を含む)をディスプレイ18に表示するとともに(警告伝達メッセージ出力手段)、警告伝達メッセージを携帯装置14b,14cのアドレスに関連付けた状態でハードディスクに格納する(警告伝達メッセージ記憶手段)。
【0136】
管理責任者は、ディスプレイ18を介して警告が伝達された作業者12を把握することができる。警告を携帯装置14b,14cから作業者12に伝えたにもかかわらず、作業者12が警告による指示に従わず、作業を継続している場合は、管理責任者が作業箇所に行き、作業者12の作業を中断させる(S−26)。なお、携帯装置14b,14cは、危険性判断手段(S−23)において、発症危険性なしと判断した場合、作業者12に作業を継続させる(S−24)。
【0137】
作業が終了した作業者12が休憩室に戻った後、または、警告によって作業を中断した作業者12が休憩室に戻った後、携帯装置14b,14cは、そのまま作業を中止させるかを判断する(S−27)。ステップ27(S−27)における判断手法は、図4のフローチャートを援用して既に説明したように、監視装置11が行うそれらと同一である。携帯装置14b,14cは、休憩中の作業者12の湿球黒球温度比較値が正常値に戻った場合、作業者12の鼓膜温度や心拍数が危険値以下になった場合、作業再開指示(メッセージ)を伝達する(メッセージ伝達手段)。作業者12は、作業再開指示にしたがって作業を再開する(S−28)。
【0138】
図5のフローチャートを援用して説明した熱中症予防システム10は、携帯装置14b,14cが作業中の作業者12のWBGT温度や測定鼓膜温度、測定心拍数に基づいてその作業者12の熱中症の発症危険性を判断し、熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、携帯装置14b,14cがその発症危険性警告を作業者に伝えるから、作業者12が熱中症の発症危険性を知ることができ、作業者12が作業を中断することで、作業中の作業者12の熱中症の発症を防ぐことができる。なお、携帯装置14b,14cの発症危険性警告を無視して作業者が作業を継続している場合であっても、警告伝達メッセージが監視装置11に送信されるから、監視装置11を管理する管理責任者が特定の作業者12の熱中症の発症危険性を知ることができ、管理責任者が作業者の作業を強制的に中止させることで、作業中の作業者12の熱中症の発症を確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0139】
10 熱中症予防システム
11 監視装置
12 作業者
13 作業衣(着衣)
14 携帯装置
14a 携帯装置
14b 携帯装置
14c 携帯装置
15 原子力発電所(原子力関連施設)
19 骨伝導スピーカー
20 温度センサのセンサ部
21 湿度センサのセンサ部
26 耳栓
27 クリップ
30 赤外線発光ダイオード(発光素子)
31 フォトセンサ(受光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業環境で作業中の作業者に熱中症の発症危険性を伝え、作業者の熱中症の発症を予防する熱中症予防システムにおいて、
前記システムが、複数の前記作業者に個別に携帯させてそれら作業者の着衣に着脱可能に装着させる携帯装置と、それら作業者の熱中症の発症危険性を監視する監視装置とから形成され、前記携帯装置が、該携帯装置に設置されて前記作業者の着衣内温度を測定する温度センサと、該携帯装置に設置されて前記作業者の着衣内湿度を測定する湿度センサと、測定した着衣内温度と着衣内湿度とを前記監視装置に送信する第1送信手段と、前記熱中症の発症危険性警告を前記監視装置から受信する第1受信手段と、前記監視装置から受信した発症危険性警告を前記作業者に伝達する伝達手段とを有し、前記監視装置が、前記携帯装置から着衣内温度と着衣内湿度とを受信する第2受信手段と、受信した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性が高いと認められる場合、前記発症危険性警告を前記携帯装置に送信する第2送信手段とを有することを特徴とする熱中症予防システム。
【請求項2】
前記監視装置が、前記第2受信手段によって受信した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第1判断手段を含み、前記第2送信手段が、前記第1判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、前記発症危険性警告を前記携帯装置に送信する請求項1記載の熱中症予防システム。
【請求項3】
前記監視装置が、前記熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第1記憶手段を含み、前記第1判断手段が、前記携帯装置から送信された着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、前記湿球黒球温度危険値と算出した前記湿球黒球温度比較値とを比較し、前記比較値が前記危険値を超えた場合に前記熱中症の発症危険性が高いと判断する請求項3記載の熱中症予防システム。
【請求項4】
前記携帯装置が、それらセンサによって測定した着衣内温度と着衣内湿度とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の発症危険性を判断する第2判断手段を含み、前記伝達手段が、前記第2判断手段によって熱中症の発症危険性が高いと判断した場合、前記発症危険性警告を前記作業者に伝える請求項1ないし請求項3いずれかに記載の熱中症予防システム。
【請求項5】
前記携帯装置が、前記熱中症の発症危険性を示す湿球黒球温度危険値を記憶する第2記憶手段を含み、前記第2判断手段が、前記測定機構によって測定した着衣内温度と着衣内湿度とから湿球黒球温度比較値を算出しつつ、前記湿球黒球温度危険値と算出した前記湿球黒球温度比較値とを比較し、前記比較値が前記危険値を超えた場合に前記熱中症の発症危険性が高いと判断する請求項4記載の熱中症予防システム。
【請求項6】
前記携帯装置が、該携帯装置に接続されて前記作業者の外耳道に挿脱可能に挿入され、その作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサが設置された耳栓と、該携帯装置に接続されて前記作業者の耳たぶに着脱可能に装着され、その作業者の心拍数を測定する心拍数センサが設置されたクリップとを有し、前記伝達手段が、該携帯装置に接続されて前記耳栓と一体に作られ、前記作業者の頭蓋骨に前記発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、前記第1送信手段が、それらセンサによって測定した前記鼓膜温度と前記心拍数とを前記監視装置に送信し、前記第1判断手段と前記第2判断手段とが、前記測定鼓膜温度と前記測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する請求項4または請求項5に記載の熱中症予防システム。
【請求項7】
前記携帯装置が、該携帯装置に接続されて前記作業者の外耳道に挿脱可能に挿入され、その作業者の鼓膜温度を測定する鼓膜温度センサとその作業者の心拍数を測定する心拍数センサとが設置された耳栓を有し、前記伝達手段が、該携帯装置に接続されて前記耳栓と一体に作られ、前記作業者の頭蓋骨に前記発症危険性警告を伝える骨伝導スピーカーから形成され、前記第1送信手段が、それらセンサによって測定した前記鼓膜温度と前記心拍数とを前記監視装置に送信し、前記第1判断手段と前記第2判断手段とが、前記測定鼓膜温度と前記測定心拍数とのうちの少なくとも一方に基づいて熱中症の危険性を判断する請求項4または請求項5に記載の熱中症予防システム。
【請求項8】
前記第1記憶手段が、前記熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、前記第1判断手段が、前記携帯装置から送信された測定鼓膜温度と前記鼓膜温度危険値とを比較するとともに、前記携帯装置から送信された測定心拍数と前記心拍数危険値とを比較し、前記測定鼓膜温度と前記測定心拍数とのうちの少なくとも一方が前記危険値を超えた場合に前記熱中症の発症危険性が高いと判断する請求項6または請求項7に記載の熱中症予防システム。
【請求項9】
前記第2記憶手段が、前記熱中症の発症危険性を示す鼓膜温度危険値と心拍数危険値とを記憶し、前記第2判断手段が、前記測定機構によって測定した測定鼓膜温度と前記鼓膜温度危険値とを比較するとともに、前記測定機構によって測定した測定心拍数と前記心拍数危険値とを比較し、前記測定鼓膜温度と前記測定心拍数とのうちの少なくとも一方が前記危険値を超えた場合に前記熱中症の発症危険性が高いと判断する請求項6ないし請求項8いずれかに記載の熱中症予防システム。
【請求項10】
前記携帯装置の第1送受信手段と前記監視装置の第2送受信手段とが、PHSによる無線通信である請求項1ないし請求項9いずれかに記載の熱中症予防システム。
【請求項11】
前記作業環境が、放射性物質による汚染の危険がある原子力関連施設における遮蔽された作業環境である請求項1ないし請求項10いずれかに記載の熱中症予防システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−187127(P2012−187127A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50371(P2011−50371)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000153100)株式会社日本環境調査研究所 (30)
【Fターム(参考)】