熱交換を行ない光学的に検出する化学反応アセンブリ
【課題】サンプルの光学的な検出が迅速にできて熱交換制御が可能な反応装置を提供する。
【解決手段】制御された熱交換反応を行うためのアセンブリは、サンプルを収容し且つサンプルを化学的に反応させるようになっている化学反応チャンバ10と、反応チャンバと有効な熱的接触を行なうために加熱要素を持つ熱スリーブとを有する。また、電気接続部と、冷却源と、熱スリーブを収容する反応領域と、化学反応チャンバと光学的に連絡する光学アセンブリと、光学アセンブリを監視かつ制御するとともに光学アセンブリの出力信号を収集するための回路とを備えたハウジング付き器械を有している。好ましくは、複数のハウジングおよび付随したモジュールがあり、モジュールの各々は、熱交換作業のために独立して制御され得る。
【解決手段】制御された熱交換反応を行うためのアセンブリは、サンプルを収容し且つサンプルを化学的に反応させるようになっている化学反応チャンバ10と、反応チャンバと有効な熱的接触を行なうために加熱要素を持つ熱スリーブとを有する。また、電気接続部と、冷却源と、熱スリーブを収容する反応領域と、化学反応チャンバと光学的に連絡する光学アセンブリと、光学アセンブリを監視かつ制御するとともに光学アセンブリの出力信号を収集するための回路とを備えたハウジング付き器械を有している。好ましくは、複数のハウジングおよび付随したモジュールがあり、モジュールの各々は、熱交換作業のために独立して制御され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換化学プロセスに有用な装置と上記装置を製造する方法とを提供する。
【背景技術】
【0002】
化学処理の分野において、化学薬品の温度を正確に制御し、且つ急速な温度の推移を引き起こすのが望ましい適用例が多く存在する。これらの反応では、熱が薬品と周囲環境との間で交換されて、反応する薬品の温度を増減させる。したがって、「熱交換」という用語は、ここでは、熱源によって伝えられる熱や、薬品によって吸収される熱あるいは冷却源に晒すことよって放出される熱を意味する。標的温度に到達しなかったり行き過ぎたりすることなく標的温度に正確に達して迅速に標的温度になるように、温度変化を制御することが多くの場合望ましい。このような温度制御は、最適でない温度で生じる副反応や、好ましくない気泡の形成や、或る温度での成分の品質低下などを抑制する。化学反応を光学的に観察しモニターできることはさらに重要である。
【0003】
熱交換化学反応に対する適用例は、有機反応、無機反応、生化学反応および分子反応等に及ぶ。有機反応および無機反応では、薬品は加熱されて、反応のための活性エネルギーに到達する。熱化学反応の例としては、等温核酸増幅、熱サイクル増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自己維持される配列複製、酵素反応速度の調査、同種配位子結合評価、さらに複雑な生化学機械論的調査があり、それらは複雑な温度変化を必要とする。加えて、温度媒介にした標的微生物の溶菌は、遺伝子の増幅および検出の前に、温度を制御することによって達成され、増幅ステップと同じ反応装置でなされる。また、温度制御システムは、一定かつ正確な温度が必要な生理学的プロセスの研究を可能にする。また、温度制御システムは、一定かつ正確な温度が必要な生理学的プロセスの研究を可能にする。
【0004】
この技術においては、伝熱反応を行なうために多くの装置とシステムが述べられてきた。これらの装置は、ウォータバスやエアーバスやアルミニウムのような固体ブロックのような熱伝導のための様々な構造を用いている。小さな反応容積における化学反応も述べられてきた。
【0005】
例えば、典型的には、従来の計器装備は96本ほどの円錐形反応管を有するアルミニウムのブロックから成る。このアルミニウムブロックは、ペルチェ加熱冷却装置によって、或いは、閉ループの液体加熱冷却システムによって、アルミニウムブロック内に機械加工されたチャンネル(導管)を通って流れて、加熱冷却される。加熱速度および冷却速度は、アルミニウムブロックの大きな熱容積(サーマルマス)のために、約1℃/秒に限定されて、処理時間が長くなる。例えば、PCRへの適用においては、50サイクルで完了するのに2時間以上を必要とする。
【0006】
比較的大きな金属ブロックである理由の一つは、充分な質量を提供して、各反応場所で、また、反応場所間で、一定かつ均一な温度を保証することにある。幾つかの熱伝達反応器械は、頂部プレートを組み込んでいて、頂部プレートが加熱冷却されて、全ての試料溶液の頂部に渡り均一な温度を保証している。試料挿入物は、挿入物と金属ブロックとの間で熱接触を最大化するために、先細りになっている。このシステムが持つ問題の1つは、温度の均一化に必要な大きな熱容積により、加熱および冷却するのに長い時間(および/または大きな加熱冷却動力源)が必要となることである。このような種類の器械に対する加熱冷却速度は、通常1〜3℃/秒程度である。
【0007】
典型的には、市販の器械において得られる最高加熱速度は、3℃/秒程度であり、冷却速度は重要にもそれより小さい。高度な温度制御を必要とするプロセスでは、これらの比較的遅い加熱冷却速度を用いることは不適当であることが認められた。例えば、中間温度で反応が起こり、PCR中の「プライマー・二量体(始動物質・二量体)」あるいは異常なプライマーのような好ましくない妨害的な副産物が生じて、分析プロセスに有害となる。また、この粗末な温度制御は、意図された反応に必要な試薬を浪費させる結果となる。
【0008】
さらに、診断と環境の化学検出系統的分類法に対して、試験される未知試料の容積が重要であり得る。例えば、PCRを使用して血液または他の体液中のウイルスを検出するとき、検出限界は約10ビリオン(ウィルス粒子)である。したがって、最小流体容積が、試料中のビリオンの濃度に依存して必要とされる。例証として、100ビリオン/mLの濃度では、試料サイズは少なくとも0.1mLでなければならず、より希釈された試料では一層大きな試料容積が必要になる。したがって、化学分析システムは、ナノリットルからミリリットルまでの広範囲の流体容積を取り扱えるように設計されねばならない。
【0009】
多くの化学反応のもう1つの基本的要素は、化学プロセスと生じる製品の検出のモニターである。プロセスが進行しているとき、プロセスの同時モニターによって、正確かつ量的なデータを考慮して、反応の進行を決定するとともに、それに応じて加熱冷却のパラメータを調整している。多重サイクルが行なわれる場合、プロセスは各熱サイクルの後にモニターされてもよい。反応が終了した後に、製品は限定されなければならない。あるプロセスでは、製品は検出前に分離される。好ましい検出技術は、光学的検出であり、典型的には蛍光発光または化学ルミネセンスを使用して行なう。配位子結合評価に対しては、時間分解蛍光および蛍光分極がしばしば使用される。
【0010】
加熱冷却変化の制御は、熱サイクルと呼ばれる。「熱サイクル」という用語は、ここでは、薬品が晒される環境において、温度の少なくとも一つの変化、すなわち、温度の増加または温度の減少を意味することを意図している。したがって、熱サイクルを経験した薬品は、1つの温度からもう1つの温度に変化して、次にこの温度で安定化するか、第2の温度に移行するか、あるいは開始温度に戻る。温度サイクルは、一度だけ行なわれるか、或いは特定の化学反応によって必要とされる回数だけ繰り替えされる。これらの温度サイクル中に起こる様々な化学反応は、温度が様々な必要とされる反応温度に至るようにできるだけ速く昇降され、且つ非常に正確に制御されると、より特定的かつ有効になる。
【0011】
酵素媒介反応を制御するための従来装置
化学反応のために熱の伝導を制御する装置は、核酸の部分を増幅する熱サイクルPCRのような合成反応に適用できる。この系統的分類法では、DNAの鋳型(テンプレート)が、熱的に安定なDNAポリメラーゼ、例えば、TaqDNAポリメラーゼ、ヌクレオチド三燐酸塩、および異なる配列をもつ2つのオリゴヌクレオチドとともに使用されて、鋳型DNAの対向する鎖上にある配列を補間し、増幅されるべきDNAの部分の側面に位置する(「プライマー」)。反応成分は高温(例えば、95℃)と、次のより低い温度(プライマーのアニーリングに対しては40〜60℃、重合に対しては70〜75℃である。)との間でサイクルする。脱交雑温度とアニール温度と重合温度との間で繰返されるサイクルは、鋳型DNAの指数関数的な増幅をもたらす。
【0012】
ポリヌクレオチド増幅は、遺伝子の異常の診断と、血液,細胞,環境,風媒等を含む様々な試料における病原性の生物の核酸配列の検出と、法廷試料や農業試料や獣医試料等を含む様々な試料の遺伝子識別と、活性化した腫瘍形成遺伝子の突然変異体の分析と、食料のような試料内の汚染物質の検出とに応用され、分子生物学の他の多くの局面において応用されてきた。ポリヌクレオチド増幅測定は、広範囲に適用して、例えば、プローブとして使用するためにクローンされた2重鎖DNAの特定配列の生成や、cDNAの特定部分の選択的な増幅によるクローン化されていない遺伝子に対して特有のプローブの生成や、少量のmRNAからcDNAのライブラリーの生成や、配列化のための大量のDNAの生成や、突然変異体の分析に使用されることが可能である。自動PCR連鎖反応を熱サイクルによって行なう器械は、商品化されて入手できる。
【0013】
各熱サイクルの後に「即時」光学的な分析が必要な新プロセスに適した幾つかの器械類は、極最近入手可能になっている。例えば、ペルキンエルマー(Perkin Elmer(PE))7700(ATC)器械とPE9600熱サイクルは、上述したように、96ウェルアルミニウムブロックフォーマットに基づき、制限される。PE7700における光学的蛍光の検出は、光学ファイバを96の反応サイト(反応部位)の各々に案内することによって達成される。中央のハイパワーレーザーは各反応管を連続的に励起させて、光学ファイバを通して蛍光信号を捕らえる。典型的には、複雑なビーム案内と光学的多重を必要とする。
【0014】
異なる熱サイクル器械はアイダホテクノロジーから入手できる。この器械は、カラセル内に取付けられた毛細管試料キャリヤを強制空気加熱冷却する。この器械は、毛細管試料キャリヤが回転させられて光学検出場所を通過するときに、各毛細管試料キャリヤを連続的にモニターする。
【0015】
第3即時PCR分析システムは、アレンノースロップ博士らによって開発された米国特許番号第5,589,136号に開示されているMATCHI装置である。この装置は、PCR熱サイクルに対してモジュール式のアプローチと光学的分析を用いている。各反応は、それ自身のシリコンスリーブにおいて為され、そして各スリーブはそれ自身に付随する光学励起源と蛍光検出器とを有している。光学器械は簡単で効率的なだけでなく、低熱容積の熱サイクルスリーブによって、MATCHI装置は約30℃/秒迄の加熱と5℃/秒迄の冷却という速い熱加熱冷却速度を実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、このMATCHI装置の不利な点は、ミクロ加工されたシリコンホルダーを使用していることにあり、シリコンスリーブは、ミクロ加工されたシリコンチップに直接載置された加熱要素を組み込んでいる。この装置の2つの欠点は、脆いシリコンチップが割れたり欠けたりする可能性があること、および、最適な熱接触を行なうために先細り成形されたプラスチック製挿入物をヒータが精密に受容するように、シリコンチップをミクロ加工するのが困難なことである。
【0017】
上述した理由によって、PCRプロセスを含む多くの生化学反応プロセスの最適化は、所望の反応温度にできる限り迅速に到達し、中間温度では最小限の時間を費やすことを必要とする。したがって、中で試料が反応する加熱冷却システムは、加熱冷却速度を最適化するように設計されねばならない。また、このようなシステムは、試料の光学的な検出が即刻でき、且つ、様々な大きさの試料を受容できるようになっていることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
熱交換されて化学反応を行なうための反応容器と反応装置とが提供される。反応容器と反応装置とは、試料との間で熱移動が好適にできるように、また、試料との化学反応を光学的に充分観察できるように設計されている。
【0019】
本発明の一局面によると、上記容器は反応混合物を保持するための反応チャンバを有し、上記反応チャンバは、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の副壁とによって形成されている。反応チャンバを形成する壁の内少なくとも2つの壁は、光が透過して、反応チャンバに光学窓を提供する。装置は、少なくとも1つの上記主壁に接触するための少なくとも1つの熱表面と、上記表面を加熱するための少なくとも1つの熱原とを含む。上記装置は、また、上記熱表面が上記主壁の少なくとも1つと接触する一方、上記反応チャンバに光学的に応答指令信号を送信するための光学器械を含む。光学器械は、第1の光透過壁を通して反応チャンバに光を送るための少なくとも1つの光源と、第2の光透過壁を通して反応チャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備える。
【0020】
本発明の第2の局面によると、試料の温度を制御する装置は反応チャンバを有する容器を備え、上記反応チャンバは、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の剛性副壁とによって形成されている。少なくとも1つの主壁は、一枚のシートまたはフィルム(膜)を備えている。上記容器は、また、流体を反応チャンバに導入するポート(入口)と、ポートを反応チャンバに接続するチャンネルとを含んでいる。装置は、また、シートまたはフィルムに接触する少なくとも1つの加熱表面を含んでいる。上記シートまたはフィルムは上記表面に適合するために充分な可撓性(フレキシビリティ)を有している。上記装置は、また、上記表面を加熱するために少なくとも1つの熱源を含んでいる。上記装置は、さらに、反応チャンバ内を増圧するために、チャンネルに挿入できるプラグを含んでいる。これによって、反応チャンバ内の圧力は、シートまたはフィルムを上記加熱表面に押し付ける。
【0021】
本発明のもう1つの局面は、反応チャンバを形成するために、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の剛性副壁とを備えた容器を指向している。少なくとも2つの上記副壁は光を透過して、反応チャンバに光学窓を提供する。上記容器は流体を反応チャンバに導入するポートを含んでいる。
【0022】
本発明のもう1つの局面は、試料を保持するための反応チャンバを有する容器を指向している。上記容器は、上記反応チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備える。少なくとも2つの副壁は、反応チャンバに光透過性の光学窓を提供する。少なくとも1つのシートまたはフィルムが剛性フレームに取付けられて反応チャンバの主壁を形成する。上記容器は、また、試料を反応チャンバに導入するためのポートを含んでいる。
【0023】
本発明のもう1つの局面は、試料を保持するための反応チャンバを有する容器を指向している。上記容器は、上記反応チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備える。少なくとも1つのシートまたはフィルムが剛性フレームに取付けられて反応チャンバの主壁を形成する。上記容器は、また、試料を反応チャンバに導入するためのポートと、ポートを反応チャンバに接続するチャンネルと、反応チャンバ内を増圧するためのチャンネルに挿入可能なプラグとを含んでいる。或る実施形態では、容器は少なくとも2つのシートまたはフィルムを含み、上記シートまたはフィルムは、反応チャンバの2つの対向主壁を形成するために、フレームの対向側部に取付けられている。各シートまたはフィルムは、夫々の加熱表面と一致するように、充分な可撓性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一般に、この発明は、反応を行なうのに薬品溶液を急速加熱および/または冷却すると共に、反応物質を効率よく検出するようになっている低熱容積の機械式加熱冷却アセンブリを提供する。このシステムの低熱容積は急速な加熱冷却を保証する。この理由は、加熱および冷却する物質が殆どないから、また、伝熱に対して高い表面体積比が存在するためである。急速な加熱および冷却が効率を向上させ、無関係で不要な反応を減少させるということ、また、或る反応は高い熱交換速度でなされ得る。
【0025】
本発明の目的は、PCRのような化学プロセスにおいて熱交換速度を大いに増大(10倍迄の速い加熱冷却速度に)させることと、反応物の温度均一性を最適化することと、熱によって誘導された機械的ストレスを最小化するとともに光学励起効果(長い光学経路長さ)を最大化するために高熱膨張係数を適応させることと、光学検出感度を最大化(光子収集容積を最大化)することと、損傷検出能力を最大化することと、主器械のコンピュータのオーバーヘッドを最小化することと、強力な器械プラットフォームと長期間に渡る多様性のための技術によって支持された独立かつモジュール式のインテリジェントな反応チャンバを介して、器械の全電力消費を最小化することである。
【0026】
本発明の目的は、光学器械付きの冷却加熱反応アセンブリを介して達成される。各制御された熱交換ユニットは単一反応部位を構成する。全体的に見て、アセンブリユニットは、(a)加熱要素と互換性のある反応チャンバと、(b)反応チャンバ表面の一部がスリーブの表面と密接するインテグラルヒータまたは冷却要素を有する熱スリーブと、(c)スリーブを収容する器械とを備え、スリーブは固体状態の励起源と検出源と冷却装置を組み入れている光学アセンブリを有する。この器械は、また、光励起源と検出源の制御をモニターするためのマイクロ制御器を持つ単一または多数の回路基板を有していて、ホストと連絡している。熱交換ユニットは、主制御器ボード付きの支持体を付加的に有し、この主制御器ボードは器械とスリーブと反応チャンバとに連絡していて、例えば温度制御と光学制御のために手順を制御する。そこでは、各器械は個々に制御されるか、あるいは、一群の器械が一組の制御器の下にあって、自己診断プロトコルを行ない、データの受け取り、貯蔵、処理を為し得る。
【0027】
モジュール式熱交換ユニットはベースサポートによって支持され、このベースサポートはマイクロ制御器を持つ単一または多数の回路基板を有して、光励起源と光検出源の制御をモニターするとともにホストコンピュータと連絡している。ベースサポートは主制御器ボードを含み、主制御器ボードは、光学アセンブリと熱スリーブと反応チャンバとに連絡して、温度制御や光学制御といった手順と、自己診断プロトコルと、データの受け取り,貯蔵,処理とを制御し、各熱交換ユニットは個々に制御されるか、あるいは、一群のユニットが単一組の制御器の下で制御される。
【0028】
熱交換反応チャンバ
図1は本発明による熱交換反応チャンバの内部を示し、熱交換反応チャンバは化学反応のための試料を収容するようになっている。この反応チャンバは、最良の熱伝導性および試料の有効な光学的観察のために設計されている。この薄肉形状は、熱伝導のために大きな表面を与えることによって最適な熱反応速度に貢献している。表面は温度調節要素と密接するようになっている。さらに、小さな壁または大きな壁が反応チャンバ内に窓を備えて、反応試料の全てが光学的に検出され得る。加えて、この反応チャンバは広範囲の反応容積に適する。
【0029】
図1に示された構成部品に対してより詳細には、反応容器(2)はハウジング(6)を有し、上記ハウジング(6)は、ポート(4)と、このポート(4)を反応チャンバ(10)に接続するチャンネル(8)とを形成する。上記ポート(4)を密閉するための密閉蓋(12)は、可撓性(フレキシブルな)アーム(14)によってフレームハウジング(6)に取付けられる。上記蓋(12)は、上記チャンネル(8)と係合するように、上記ポート(4)内に挿入可能である。図1にフレームから分解されて示された剛性支持フレーム(16)と薄肉可撓性壁(18)とは反応チャンバ(10)を形成し、可撓性壁(18)はフレーム(16)の対向する側に結合される。剛性フレーム(16)の上には反射面(20)があり、上記反射面(20)は反応チャンバ(10)から伝達された光を跳ね返して、信号を増大して検出させる。
【0030】
反応容器(2)を使用する際に、ポート(4)に加えられた試料は、チャンネル(8)を通って反応チャンバ(10)に流れ込む。上記反応チャンバ(10)内では、試料が薬品に導入されて反応する。反応チャンバ(10)の主壁(18)は、例えば熱プレートのような加熱冷却要素に対して押圧するように製造される。好ましくは、壁(18)は要素表面と一致する。試料は、加熱冷却要素を作動させることによって温度変動に晒される。そのとき、反応や反応生成物は、光学的に観察される。
【0031】
反応チャンバ(10)の少なくとも一部を形成する薄肉の可撓性壁(18)は、反応チャンバの中に入れられた化学薬品に対して最良の熱伝導性を持つ。各壁(18)の可撓性によって、加熱冷却源と最大限の接触ができる。この壁は典型的には外部熱要素の表面に一致できて、可撓性壁の表面は、両面間の空隙を回避あるいは最小化するようにして、外部加熱冷却要素表面の形状に一致する。さらに、熱交換作業中に表面形状が変化するならば、可撓性壁は熱表面と一致し続ける。例えば、温度上昇によって加熱要素が膨張するとき、反応チャンバの壁も膨張して加熱要素と最良の接触を維持する。また、壁が貯蔵器内の内部圧力の増大によって膨張するならば、壁は硬化することなく加熱または冷却表面と一致し続ける。接触は、壁に対して熱源をバイアスする(片寄らせる)ことによって、および/または、熱表面に対して壁を押し付けることによって行なわれる。
【0032】
図2aと2bとは、熱交換モジュール(30)を形成するために、反応容器(46)が熱スリーブ(32)と行なう接触を示している。図2aにおいて、熱スリーブ(32)は、プレート間における開口部(34)では緩んだ態勢にある加熱プレート(36),(38)を含んでいる。しかしながら、図2bに描かれているように、可撓性壁(48)を持つ反応容器(46)が、2つの角度の付いたプレート(36),(38)の間の開口部に挿入されると、プレート表面(40),(42)は反応チャンバ壁(48)に完全に係合する。この活性された態勢では、プレートの表面と反応チャンバ壁(48)の間に、空隙が極く僅か見られるか全く見られないかである。上記プレート(36),(38)は、スプリング(44)によって壁(48)に対してバイアスするように作られる。その代わりに、上記反応チャンバ壁(48)は、熱プレート(36),(38)を押圧するように作られる。一致可能な壁(48)は、表面間で最大の熱接触を与えるように、加熱表面の形態に鋳込まれる。
【0033】
熱反応速度を最適化する反応容器の能力に加えて、可撓性壁(48)は低熱容積で、急速な熱の移動を可能にする。図3は、反応容器(50)の平面図を示し、反応容器(50)は加熱要素(52)と密接し、また、冷却反応チャンバ(54)によって囲まれている。各可撓性壁の厚みは、好ましくは、約0.0001インチから0.020インチの間であり、より好ましくは、約0.0005インチから0.005インチであり、最も好ましくは、約0.001インチから0.003インチである。この厚みを達成するために、壁はフィルム、シート、或いは、型成形品、機械加工品、押出し成形品、鋳造品、或いは他の好都合な薄肉可撓性構造体であり得る。
【0034】
壁を構成する材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、および他のポリマーを含むポリアルコール、ラミネート(積層)ポリマーまたは同種ポリマー、金属または金属積層品、あるいは他の材料であって、薄肉で可撓性があり順応性があって、且つ、高熱移動でき、好ましくは、フィルム状あるいはシート状である。壁を支持する容器のフレームが、ポリプロピレンなどの特定の材料である場合、壁の熱膨張および冷却速度がフレームと同一となるように、壁は同一材料たとえばポリプロピレンであることが好ましい。それによって、不適当な加熱または冷却が材料に引き起こすストレスが最小化されて、スリーブ壁はフレームと同一接触状態を維持し、多重温度サイクル中に壁に皺がよる(wrinkling)のが回避される。
【0035】
可撓性のある壁が好まれるが、或る実施形態では、加熱要素と接触する壁は、剛性で平坦な加熱器と伝達しあうために、剛性で平坦なものであってもよい。側壁は、剛性あるいは可撓性に拘わらず、典型的には反応チャンバの主壁であって、その中に含まれた化学薬品が最大の加熱または冷却に晒される。反応チャンバは、また、少なくとも1つの副面を有し、複数の副面は主要面に対するフレームまたは支持を提供する。
【0036】
図4a,b,c,dは、反応容器(60)の別の実施形態を示し、反応チャンバ(76)の主壁と副壁すなわち副面とに角度が付けられて、光学的な観察を最適化している。図4aと4bに示すように、5つの隣接する副壁(62),(64),(66),(68),(70)が、2つの対向する主壁(72),(74)と結合して、反応チャンバを形成している。副壁(64),(66)は或る角度で連結されている。図4cに示すように、角度が付けられた壁(64),(66)は反応チャンバ(76)の底部を形成し、背壁(78)は反応チャンバの頂部を形成する。チャンネル(80)は反応チャンバ(76)へ通じている。オプションとして、チャンネルと背壁を含む反応チャンバとは、反応容器の本体に挿入される光学的に別の部品となり得る。反応チャンバ(76)に至るチャンネル(80)は、随意に、例えば底部充填によって反応チャンバに充填する導管を提供したり、溢れた反応物や追い出された空気を保持するための領域を提供することを含めて、光学的に種々の機能を提供し得る。
【0037】
角度の付いた壁(64),(66)は、特に、反応チャンバ(76)の底部でV字形状の尖端(82)を形成するように結合されていて、気泡の形成を減少あるいは排除することによって、反応容器の反応チャンバに試料流体と試薬との少なくとも一方が、より簡単に充填できる。
【0038】
反応容器は、また、液体を加え且つ反応チャンバ(76)から空気を除くためのポートを含む。このポートは、チャンネル(80)を通して反応チャンバ(76)の内部、例えば、反応チャンバの底部にピペットの先端が近づくことができて、下方から上方への充填が可能となる。このポートは、また、他の従来の試料導入法が使用でき、例えば、自動化された流体噴射装置を通して行なう方法あるいは随意に反応容器の重要部となる流体マニホールドを通して行なう方法が使用できる。
【0039】
ポートの外端部は、図4dに示されるように、好ましくは密閉蓋(84)を受け入れることによって、密閉されるように設計されている。この蓋(84)は、充填後にポートを密閉するための手段を与えて、熱的に制御された内部反応容積物と熱的に制御されていない環境との間の障壁となり、試料の汚染を防止し、試料の加熱中の蒸発を防ぐ等を行なう。本発明によって予想される様々な実施例において、密閉物は、スナップで留める方式の蓋であってもよく、ねじ蓋でもよく、或いは、選択された分析プロトコルに必要な他の専用の閉込物であってもよい。このような蓋は、ポリプロピレンやサントプレンTM (SantopreneTM:ミズーリ州セントルイスにあるモンサント株式会社(Monsanto Corporation)の登録商標)のような重宝な材料から構成されている。一実施例においては、反応チャンバは、頂部副壁の上のプラスチック材料あるいは頂部副壁を構成するプラスチック材料の加熱によって、さらに外部環境から密閉されている。別の実施の形態では、水性試料の上端にオイルを一滴滴下することによって密閉が作られて、試料の蒸発を防止している。
【0040】
図1を再び参照して、蓋(12)は、また、反応チャンバ(10)に連絡するチャンネル(8)の中に挿入される栓(プラグ)であってもよくて、栓によって反応チャンバ(10)内の圧力が増大する。結果的に増大した圧力は、可撓性壁(18)の外側への膨張を引き起こし、壁を外部加熱ユニットに対して押し付けて、壁と加熱要素との間の接触を良好にする。増大した圧力は、反応チャンバ内の溶液を液体状態で保持でき、高い温度でもガス状態になることはない。この特性は、PV=nRTという理論的な原理と一致している。ここで、Vは体積、nはモル数、Rは定数、Tは温度である。
【0041】
反応容器は、反応チャンバ内での反応生成物の視覚化を最適化するように形成される。この目的のために、剛性フレームの1つ、2つ、或るいはそれ以上の副壁は、光学窓を備えている。2つの窓が存在する場合、1つの窓は光励起侵入ポートとして、2番目の窓は反応チャンバから放出される光の検出に役立ち得る。別の実施形態では、両窓は2つの光路に対して励起と検出に役立ち、その場合、第1の光路では、光が放射されて第1の窓を通り、第2の窓を通って検出され、また、第2の光路では、光が放射されて第2の窓を通り、第1の窓を通って検出される。この窓の面は、検出プロセスを最大化するように、選択された角度にオフセットされ得る。
【0042】
図5は、外部光学システム(92)と結合した反応容器(90)を示す。光学システム(92)は、個々の光源(98)からの光学励起放射で光学壁(94)を照らすとともに、光透過性の副壁(96)を通して反応チャンバから放出された光を検出器(104)で検出するように設計されている。この代替においては、隣接する両光学壁(94),(96)が、それぞれの光源(98),(100)からの発光を受け、検出器(102),(104)によって観察される。この場合、各壁を通って放射される励起光は異なる波長であり、各隣接する壁で検出される光も異なる波長である。異なる波長の励起光と検出光の典型的な経路は、図5の矢印によって示される。その上、各々の壁(94),(96)は、その表面に直接鋳込まれたレンズ(106)を付加的に有して、光を方向付ける。最適光学感度は、化学分子を励起する光線と、検出されて光学信号を生じる放出光との双方の光学的採取経路長を最大化することによって達成される。
【0043】
図5のように励起と検出が異なる壁で生じる場合、通常、光学壁(94),(96)が角度(A)だけずらされる(互いに角度Aをなす)のが好ましい。好ましい角度は約90度である。励起光路と検出光路の間の角90度は、1つの光学壁を通って侵入する励起発光の最小量が、他の光学壁を通って出て行くのを保証する。また、90度の角度によって、放射発光例えば螢光発光の最大量が検出窓を通して収集される。他の実施形態では、隣接する光学壁間の角度は、とりわけ励起と検出の光学器械の効率と感度に依って、90度よりも大きいか或るいは小さい。例えば、検出システムが励起光と放出光とを有効に区別する場合、壁間の角度は90度以下が望まれる。逆に、検出装置が励起光と放出光とを有効に区別できない場合には、90度よりも大きな角度が重要となる。
【0044】
1つ以上の光透過要素は、光学壁上に存在する。この光学要素は、例えば、発光ダイオード励起源によって照らされる溶液の全容積を最大化するように、或いは、反応チャンバの特定領域に光学励起源を集中させるように、或いは、反応チャンバ容積のできるだけ大きな部分からできるだけ多くの蛍光信号を収集するように設計される。加えて、特定波長を選択するための回折格子と、一定の波長のみを通過させるフィルタと、多重励起源または検出器のために最適化された多重レンズまたはフィルタとが使用され得る。別の実施形態では、対向壁は、溶液から光検出器の配列に放射された最大限の蛍光信号を収集かつ集中させるように最適化される。代わりに、上記光学壁は、光学的に透過する窓として役立つ簡単かつ透明かつ平坦な窓であってもよい。他の要素は、フィルタの機能を持つカラーレンズ、逆反射表面、光学回折格子表面等を含む。
【0045】
反応容器に加えて、反応チャンバを形成する主壁または副壁は付加的な光学的検出のために改造され得る。壁の表面は、或る波長の吸収を増大させるために液晶のような材料で被覆されるか或いは備え得る。表面は、温度状態を反映する特定吸収帯を検出することによって、封込められた化学薬品の温度を決定するのに使用され得る。
【0046】
金属やポリマーの薄肉フィルム、あるいはそのような材料を層状に組合せたものは、構造的特性および熱的特性のためばかりでなく光学的特性のためにも、反応チャンバで使用され得る。薄肉フィルムは、数オングストロームから数百ミクロンの厚みの材料で構成し、通常、蒸発蒸着,プラズマ蒸着,マグネトロンスパッタリング,RFスパッタリング,レーザ除去等の技術において知られた一連の特殊処理を用いて形成される。例えば、銀の蒸気蒸着された薄肉フィルムは、ラマン(光学的に励起されたソースの非弾性散乱)スペクトルの検出および収集を増大させる。この材料および他の材料は、様々な基板(ガラス、プラスチック、シリコン、金属等)上に堆積されて、複数の入射角では或る波長において半透明(透過性)であり、他の波長では反射する。これは、多くの光学材料の開発の基礎であり、二色性光線分割器や誘電性通過幅フィルタや中間密度フィルタ等の装置の基礎である。
【0047】
反応容器に取付けることができるフィルム、あるいは反応容器を密閉するのに使用されるフィルム、あるいは光学的に検出される反応容器の壁上に直接載置されるフィルムを製造するのに、これらの能力を使用することは、結果的に、特殊な光学的放射特性および励起特性を持つ反応容器となる。経済的に使用されたときのこれらの薄肉フィルムのプロセスは、これによって、反応容器を安価に製造するのに使用され得て、結果的に微調整された光学特性を持つ処分可能な容器となる。
【0048】
反応容器は様々な仕方で製造される。反応チャンバは、数個いっしょに結合されて鋳込まれるか、単一品に射出成形される。多重製品の設計と製造アプローチに対しては、幾つかの利点がある。1つの利点は、極薄壁が達成され得て、同一サイズと同一形状であるように一貫生産され得ることである。もう1つの利点は、装置の光学的特性が流体特性から分離されることであって、両構成要素は独立して設計および最適化され得る。例えば、逆反射壁は、光を反射するために、反応チャンバの1つ或いは多くの側部に形成され得る。第3の利点は、主要な光学構成要素は、主要流体構成要素と異なる材料から製造され得ることである。付加的な特典は、主要表面が、幾つかの小表面あるいは全ての小表面と異なる材料から製造され得ることである。例えば、最適な熱特性を有する材料が、最適な光学特性を有する材料と異なり得る。特に、角度の付いた光学窓は、光構成要素のあるなしに拘わらず、良好な光学的な透明性を有するポリカーボネイトから成形され得る。一方、反応チャンバの他の部分は、廉価で感光性PCR反応と互換性があるとして知られているポリプロピレンから成形され得る。
【0049】
反応容器を製造する一方法では、剛性フレームが鋳込まれて開放側部を有する反応チャンバを形成する。このフレームは、熱材料に対する標準的な射出成形プロセスによって作られる。フレームが作られた後、反応チャンバ領域上に、例えば薄膜や薄板のポリプロピレンのような材料を載置することによって、好ましくは引き伸ばすことによって、側壁が製造される。
【0050】
次に、この壁はフレームに結合される。上記壁がフィルムまたはシートである場合、材料は、熱密閉や接着結合や超音波結合等によって、フレームに取り付けられる。
【0051】
主壁および副壁が同一材料から製造された反応チャンバでは、主壁の全表面積が副壁の全表面積の少なくとも約2倍であることが必要であって、この場合、熱伝導性の比は2:1であることが望ましい。一方、壁が異なる材料から作られているならば、高い熱伝導を持つ材料からなる主壁が低い熱伝導の副壁と組合せられるので、図示された形状を変更することができる。上記壁は、ガラスまたはポリマーから製造され得る。ポリマーはポリアクリルとポリアミドとポリカーボネイトとポリエステルとビニールポリマーとを含み、上記壁はこれらの組合せからも製造され得る。
【0052】
反応容器の主フレームから分離している挿入物は、容器の内側に置かれて、反応チャンバの一部あるいは他の内部部品を形成する。上記挿入物は、反応チャンバの頂部を塞ぎ、幾つかの壁を提供し得る。上記挿入物は、反応チャンバに結合されるか、好ましくは容器に圧入される。上記挿入物は、また、チャンネルとポートと蓋付属手段とを提供し得る。
【0053】
反応チャンバの形状は、実施される個々の反応および付随する熱伝達装置によって異なり得る。さらに、フレームが壁に結合されると共に、壁が外部熱源に接近でき接触するかぎりにおいて、可撓性壁に対するフレームの関係は変化し得る。反応容器は、特に反応チャンバにおいて、望まれる用途に依って、ナノリットルからミリリットルの量を収容するように寸法取りされる。反応チャンバの容積は、好ましくは、1〜1000マイクロリットルの範囲であり、より好ましくは、1〜500マイクロリットルの範囲であり、最も好ましくは、10〜100マイクロリットルの範囲である。
【0054】
反応容器を要約すると、様々な実施形態は以下の特徴を有する。すなわち、有効加熱冷却に対する高い表面対容積比、薄肉低容積壁、加熱冷却システムとの結合を最大化する一致できる側壁、多くの部品が要求される鋳込可能かつ結合可能な材料、熱交換作業中の温度誘引性の機械的ストレスを最小化するために高熱膨張係数を持つ特徴、反応物または中間生成物または製品との吸着または反応が無くて表面活性手段による酵素の不活性化が無いか微小でグリセロールと互換性がある化学的に不活性な材料、有効な検出に対して高い光学的透明性を有する窓、長い励起光路長さ、励起窓と放射検出窓のと間の最大化されたずれ、励起装置と検出装置の間の無光連結または微小光連結、逆反射表面のような光学要素、モジュール加熱冷却表面と正確に一致した主壁、試料および試薬を導入するためのポート、循環中の還流を排除または最小化する手段、充填中または蓋を被せる間の空気の有効な除去、外部環境からの反応混合物の密閉。
【0055】
熱スリーブ
反応容器は、反応チャンバ内の混合物を加熱または冷却するための熱スリーブと和合できる。熱スリーブは、反応チャンバの壁と密接させることによって、反応チャンバ内の温度変化を引き起こすように設計されている。
【0056】
図6は、支持ブリッジ(206)に取付けられた一枚の加熱または冷却のプレート(202)と上記支持ブリッジ(206)から取り外されたもう1枚のプレート(204)とを持つ1つの熱スリーブ(200)の部分分解図を示す。各プレート(202),(204)は、接触表面(208)である一面とバイアス面である他面とを有し、各プレートの端部(212)は互いに対して傾斜して寄り掛った状態になっている。さらに、各バイアス面(210)は、固定領域(218)で支持ブリッジ(206)に結合するために不可欠な取付けアーム(216)が付いたスプリング(214)によってバイアスされる。このプレートはブリッジスロット(220)に部分的に挿入される。プレート取り付けアーム(216)は、ブリッジ固定領域(218)に固定される。プレートのバイアス面(210)は、複数の電気接続部(220)を有し、電気接続部(220)は熱源または冷却源または電源(図示せず)或いはこれらの組合せと連絡する。組立てられたとき、プレートは支持ブリッジによって適切な位置に保持されて、プレート間に反応チャンバを囲い込むための開口部を形成する。
【0057】
図7は、反応容器(252)が、いかにして熱スリーブの中に閉じ込められて、熱交換モジュール(250)を形成するかを示している。各プレート(202),(204)の接触表面(208)は、反応チャンバ表面を押圧するように作られていて、熱接触を最大化する。一般的に、スリーブは、1枚以上の分離されたスプリング装填式加熱プレートを含み、加熱プレートは反応容器の表面に対して、例えば反応チャンバ領域に対して、バイアスするように形成されている。このようなスプリング装填式の形態は、様々な機械構成部品、すなわち、熱スリーブと反応チャンバと光学ユニットの間の機械公差を単純化する。この代わりに、プレートは、他の部品、機械モータ、熱膨張、空気圧、例えば空気流圧力、油圧等によって起こされる機械的な力によって、反応チャンバの表面にバイアスするように作られてもよい。この熱交換スリーブの内部に、挿入された反応容器がすべり嵌めができるように傾斜を設けてもよい。さらに、挿入された反応チャンバの壁も、加熱器プレートを押し付けるように膨張させてもよい。
【0058】
スリーブの形状は、反応チャンバと最適な熱接触を行なうように設計されている。一実施の形態では、反応チャンバ壁と接触するためのスリーブの開口部は、x方向に伸長している。こうして、開口部は、反応チャンバの長手方向(z方向)と垂直な方向(x方向)により長く、好ましくは、開口部の形状は、断面が矩形である。開口部を形成する表面の長手(x方向)と幅(y方向)の比率は、少なくとも2:1である。このような伸長は反応チャンバ壁に従来の設計よりも大きな接触を与える。容器を挿入するための開口部はz方向に膨張するので、従来においては、開口部は丸い管を保持するために形状が典型的には丸或いは八角形となっている。
【0059】
本願に記載されているように、反応容器内の試料から急速な熱交換(加熱および/または冷却)を達成するには、薄肉で幅広の容器とともに低熱容積の熱スリーブアセンブリを必要とする。現在までの最速の熱サイクル器械は、反応容器を直径1mm以下の薄く長いシリンダにすることによって、この問題を解決している。他の急速熱サイクル器械は、非常に小さな液体試料容積に依存していて、それは急速に加熱したり冷却するのが比較的簡単なものである。しかしながら、これらのアプローチは非常に小さな体積の液体試料に対してのみ適している。
【0060】
対照的に、ここに記載されている反応容器は、薄く広い。本願は、反応容器を長くすることによってのみ容量を増大させているのではなく、適切に設計された薄く幅広の反応容器によって、大きな加熱および冷却速度が達成され得ることを教示している。この低質量熱スリーブの相対的かつ相補的な設計は、比較的大きな試料容積(100μL迄および以上)を含むアセンブリ全体が、最大速度で制御可能に加熱冷却され得ることを保証している。
【0061】
熱プレートは様々な材料から作られる。熱交換スリーブの内部が漂白剤や他の洗浄溶液に対して耐性があることを保証するために、内部は被覆されるか化学的に不活性な例えばポリテトラフルオロエチレンのような材料で裏打ちされ得る。或いは、スリーブ全体は化学的に安定な材料、例えば、セラミックや金属、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化けい素によって製造され得る。他に、例えば、ガリウム砒化物、シリコン、窒化けい素、二酸化けい素、水晶、ガラス、ダイアモンド、ポリアクリル、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリイミド、ビニールポリマー、ハロゲン化ビニールポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのような他の材料が使用される。他の可能性のある材料としては、クロム/アルミニウムのような熱電対材料、超合金、ジルカロイ、アルミニウム、鋼、金、銀、銅、タングステン、モリブデン、タンタル、真鍮、サファイア、現代技術において入手可能なあらゆるセラミック、金属、合成高分子材料が含まれる。
【0062】
セラミックプレートが好まれるのは、その内表面が好都合にも非常に滑らかに機械加工されて高い耐磨耗性があり、高い耐化学性があり、反応容器に対して良好な熱接触があるからである。セラミックプレートは、また、低い熱容積に対して非常に薄く(0.025〜0.050インチ)作ることができる。アルミニウムまたは銅から作られた熱交換プレートも、高い熱伝導性を有するが、熱容積が大きい。
【0063】
加熱抵抗器のような熱源は、特に窒化アルミニウムや酸化アルミニウムのようなセラミック絶縁材料を備えたプレートに、直接、スクリーン印刷できる。スクリーン印刷は高い信頼性と低い断面を提供して、反応チャンバ自体に熱を有効に伝える。加熱要素は、また、セラミックプレートの内側に焼き固められてもよい。また、幾何学模様が変化する厚肉或いは薄肉のフィルム抵抗器は、プレート壁の上に配置され得て、例えば、末端部に厚い抵抗器を備え中央部に薄い抵抗器を備えることによって、より均一な加熱を行なう。加熱要素は、炭化物やタングステンや銀やその他の加熱材料からなり、材料に電圧が加えられると加熱する。金属スリーブを加熱する方法の1つは、薄層状の熱源、例えば加熱プレートの表面に取り付けられた食刻箔の加熱要素(ミネソタ州ミネアポリスにあるミンコプロダクト(Minco Products)製)を使用する。オプションとして、反応チャンバの胴部と同じ材料あるいは異なる材料の冷却フィンは、蝋付けまたははんだ付けまたはエポキシ樹脂によって、スクリーン印刷された抵抗器上に直接接着される。
【0064】
支持ブリッジ(206)の機能は、図6の実施例に示されて上述されているように、1以上の熱スリーブ加熱冷却要素のための支持体として役立つことであり、反応チャンバを熱スリーブに挿入するための案内を提供することである。この支持体は、反応チャンバを熱プレート間に挿入するためのスロットを含み得る。このスロットは機械的密閉が可能な機械的な機能または密閉表面を組み込むことができる。頂部支持体の材料選定において考慮すべきことは、その熱膨張係数(TCE)が熱プレートのそれとできる限り釣り合っていることである。プレート用に上述した構造材料は、支持体に対しても有用である。適切な組合せは当業者には明らかであろう。
【0065】
熱スリーブプレートと頂部支持体との間の機械的な移行部分(接触部分)は、重大な接続部(クリティカルジョイント)となっている。この熱スリーブプレート(加熱プレート)は、頂部支持体が比較的一定の温度で維持される間、例えばPCRに適応するとき、室温60℃と90℃の間で、多数回(5年の寿命に渡って40万回まで)繰り返される。熱勾配とストレスは、この領域において高い。可撓性のある化学的に耐性のある接着材料およびガスケット材料は、結合を保証するのに使用され得る。好ましい接着剤は、エポキシ樹脂であるが、熱材料が金属またはセラミックであるなら、より強固な金属密閉技術が使用され得る。
【0066】
移行領域(上記機械的な移行部分)のもう1つの基準は、密閉材料あるいは結合材料が、また、熱プレートに頂部支持体を結合する方法が、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性のあるものでなければならないことである。10%の漂白剤と1%のトウィーン20(Tween 20)といった洗浄溶液に1000回まで暴露されることが予期される。
【0067】
この発明の熱スリーブは、高い熱伝導と低い熱容積とを有して急速な加熱冷却が可能となる。さらに、熱スリーブは、繰り返し使用(反応チャンバの10,000回ほどの挿入)されても十分に耐えることができる。急速で有効な加熱を保証するために、加熱要素がスリーブの中に一体化される。冷却効率を最大化するために、冷却要素は、また、冷却フィンあるいは第2の冷却源に接続された熱伝導性要素の表面に取り付けられ得る。例えば、スリーブはペルティエ要素またはヒートパイプに熱的に接続され得る。
【0068】
図8a,b,c,dは、熱スリーブの加熱冷却形態の典型的な変形を示す。図8aは平面図であって、スリーブ(260)の口部(262)の中を直接見下ろしたものである。スリーブには、冷却フィン(264)と、一体化された加熱器(266)とが設けられている。この実施形態では、スリーブには、薄い内部ライナー(268)が設けられている。図8bは、図8aに示された冷却フィン(264)の正面図である。図8cは、加熱要素(276)と冷却フィン(274)とを持つ異なるスリーブ(270)の正面図である。比例絶対零型(PTAT)温度センサは、(272)で示されている。図8dは、スリーブ(270)の側面図および平面図であり、冷却フィン(274)の奥のスクリーン印刷された薄板状の加熱要素(276)を示す。
【0069】
挿入された反応チャンバおよび/または熱プレートの温度は、熱スリーブ上に配置された1個以上のセンサによってモニターされる。所望の0.5〜1.0℃の温度精度を達成するために、シリコンをベースにした比例絶対零型(PTAT)温度センサが使用される。このセンサの出力は、温度と直線的に比例する。高精度のPTAT温度センサは、非常に小さく、例えば0.5X0.5X1.0mmである。この代わりに、サーミスタ、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)が使用され、特にRTDは白金と銅とニッケルとニッケル鉄とから作られている。これらのセンサは熱交換反応チャンバの後縁に簡単に付加される。
【0070】
熱スリーブは、また、原位置での内容物の光学的な検出を行なえるようになっており、レンズやフィルタのような様々な機能部品を組み込んで、光学的な具像化を容易にしている。一実施形態では、スリーブの少なくとも2つの面は、光学的に透明であり、好ましくは、挿入された反応容器の光学窓に隣接するスリーブの底部を形成する。窓材料に対する重要な基準は、窓の透明性または半透明性である。窓は単にスリーブ内の開口部であってもよく、開口部を通して反応チャンバが見られる。一実施形態では、直接的な検出のために、挿入された反応チャンバの一部がスリーブの下に延在するように、上記スリーブは底部で開口している。窓が特別な材料である場合、窓はスリーブと窓の間の熱膨張係数(TCE)はできる限り近いのが好ましい。例えば、ガラスのTCEとセラミックスリーブのTCEとがぴたり調和しているガラスが選択され得る。熱スリーブが金属ならば、プラスチックの窓が一層適している。窓の材料は、また、漂白剤や他の洗浄溶液に対して安定でなければならない。
【0071】
窓と熱要素との間の機械的な移行部は、重大な接続部(クリティカルジョイント)である。熱スリーブが温度サイクルを多数回受けている間、光学装置を比較的低温で或いは少なくとも一定温度で維持することが望ましい。移行領域に対するもう1つの基準は、如何なる密閉材料あるいは結合材料が使用されようとも、また、熱スリーブに光学窓を結合するのに如何なる方法が使用されようとも、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性がなければならない。特に、熱スリーブの内部は定期的にピペットで散布し、水洗し、アルコールで乾燥して洗浄されることが考えられる。これらの溶液は、光学的な窓と熱交換器との間の接合箇所と直接接触する。この移行部は、また、装置の照度と光の収集機能とに意味深長に影響する。
【0072】
制御された熱交換ユニット
光学アセンブリは、熱スリーブを受け入れるように形成されたユニットの中に作られ得る。このユニットは、付加的に、冷却システムのような環境温度を維持するためのシステムと、熱交換反応チャンバ内で行なわれる作業を調整するための様々な制御機構とを有し得る。
【0073】
図9には、熱交換ユニット(600)がハウジング(602)および付随する作業要素部品と共に示されている。処理領域(604)は、上述した熱スリーブ(630)と反応容器(632)とを収容するようになっている。処理領域(604)は、入口チャンネル(608)によって冷却ファン(606)と空気で連絡され、処理領域(604)から出口ポート(612)に導く出口チャンネル(610)と空気で連絡されている。上記容器(632)が上記スリーブ(630)に挿入されるとき、反応チャンバは、ファン(606)から入口チャンネル(608)へ、さらに処理領域(604)へと循環する冷却空気によって冷却される。その後、空気は出口チャンネル(610)を通過し、ポート(612)でハウジングを出る。さらに、挿入された反応チャンバは光学アセンブリ(620)と光学的に連絡し、上記光学アセンブリ(620)は、光学器械を制御するために回路基板(622)に結合された光学的放出と検出のブロックを含んでいる。
【0074】
光学アセンブリ(620)は、視準器たとえば光導体のようなレンズ要素と、透過フィルタと反射フィルタ、回折格子、フォトダイオード、フレネルレンズ等を必要に応じて持つ焦点要素とを含み、それらは発光ダイオードおよび光検出器を含んでいる回路基板に取り付けられ得る。このレンズ構成部品は透明なプラスチックやガラスから射出成形され得る。上記透明なプラスチックは、ポリカーボネイトあるいは他の鋳込み可能な光学的に澄んだプラスチックである。レンズ要素は、反応チャンバ窓を励起光学部品および検出光学部品に接続する。レンズ要素は、フィルタと合体して結び付き、また、ソリッドステートの発光ダイオードと光検出器とを含む光学的励起検出回路基板(622)と合体して結び付く。
【0075】
ソリッドステート発光ダイオードと光検出器は、レンズ構成部品の下に配置された小さな回路基板上に光学的に組み込まれる。この回路基板は、簡単な基板であって、位置調節機能を備え、レンズ要素と反応チャンバに対して励起源と検出器とを正確に位置決めする。エッジコネクタまたはフレックスコネクタは、光学基板と隣接制御器ボードとの間の電気的な接続を行なう。
【0076】
ハウジング(602)はアルミニウムから機械加工され陽極酸化処理される。また、ハウジングは硬質となる高性能なプラスチックから型成形されるか、或いは、従来の技術と材料で成形される。ハウジングの主要な機能は、熱スリーブと頂部支持体と光学アセンブリとを保持するためのフレームを提供することであり、空気のような冷却流体を方向付けるためであると共に、熱スリーブ/反応チャンバの表面を横切って流れる流体を有効に案内するための流路チャンネルとポートを提供することである。
【0077】
熱交換ユニットは、好ましくは、例えば、ガス放散プレート、熱スリーブの周りに均一な空気流を保証するための他の空気流分配構造体、スリーブ上に冷えた空気を吹きつけるためのファン、ペルチェ装置、水のような液体冷却、あるいは圧縮ガス冷却源等の冷却源を含む。冷却要素は、ハウジングの中に直接形成されるか、あるいは、ハウジングから独立して製造され、後にハウジングに組立てられ得る。例えば、配列された熱交換ユニットの各熱スリーブは、冷却要素と連絡し得る。さらに、ハウジングの中の配置されたポートは、冷却空気の入口ポートと出口ポートとを提供する。これらのポートは、ベースプレート内の入口ポートと出口ポートと結合する場合、適当な密閉剤を使用してベースプレートに密閉され得る。
【0078】
図10aと図10bは、代りとなる実施形態の熱交換ユニット(650)を示す。このユニット(650)は、熱プレート付きの熱スリーブ(670)(上記ユニットから部分的に分解されて示されている)を有しており、熱プレートは頂部支持体(674)に取りつけられて、ハウジング(652)と結合する。ハウジング(652)は、空気入口と出口(654)と、空気放散プレート(658)付きの支持体(656)と、回路基板(662)が取り付けられた光学モジュール(660)とを有している。冷却空気流の方向は矢印によって示されている。
【0079】
各熱交換ユニットの全電子制御は、ハウジングの側部に取り付けられた1個または2個の回路基板またはチップに組み込まれている。図10bでは、頂部支持体(674)付きの熱スリーブ(670)が、ハウジンング(652)から部分的に分解されて示されている。光学モジュール(660)と光学回路基板(662)とが、1対の制御器ボード(644)に結合する。この回路基板(662)と制御器ボード(644)は、信頼性の高い低プロフィール表面取り付け技術を利用して製造され得る。制御器ボード(644)は、ハウジング内のスロットを通して光学基板と連絡し、また、90度電気接続器と連絡していて、回路基板の底部端がベースプレート上の電気ソケットに差し込まれて、制御器ボードと電気的に連絡する。
【0080】
さらに、多重熱交換ユニットが、PCRのような従来の反応装置におけるように、一緒にグループ化されて、多重試料は同一温度の形態に晒される。その場合、1つのユニットのみが電気制御の回路構成要素を備える必要がある。しかしながら、独立して多重試料を反応させることが望まれるときは、各ユニットの独立制御あるいはユニットのグループ化が必要となる。
【0081】
図11aおよび図11bにおいて、一群のモジュール式の熱交換ユニットは、配列して並べられている。図11aは、4つのモジュール式のユニット(710)を持つ熱交換システム(700)の一実施形態を示し、モジュール式のユニット(710)の1つは、ベースサポート(702)上の内部ユニットを暴露するために、側部パネルが取り外された状態で示されている。図11cは、熱交換システム(800)のもう1つの実施形態を示し、8つのモジュール式のユニット(810)がベースサポート(802)上に配置されている。図11aにおいて、そして、図11bに示された断面図において、各ユニット(710)は、プロセッサボード(704)例えば共通制御器ボードと結合する光学回路基板(712)を有する。単一の制御器ボードは複数の回路基板、例えば4つの回路基板(図示せず)を有して、プロセッサボード(704)が一群のユニット(710)を制御する。システムパワーコンバータ(706)は、ユニット(710)に電力を供給する。
【0082】
代わりに、図11cに示すように、各ユニット(810)の光学回路基板(812)が、個々の制御器ボード(820)と結合して、各ユニットがそれ自身の制御器ボードを有する。図11cにおいて、頂部支持体(816)と光学アセンブリ(818)と光学回路基板(812)とを有する熱スリーブ(814)が、ベース(802)から取り外されて示されている。配列形態において、熱交換ユニット間の空隙は、全ての配列された熱交換ユニットの上部を覆うガスケットプレートによって密閉され得る。頂部支持体とガスケットプレートとは、配列された多重熱交換ユニット配列の面一の表面をなすように形成される。ガスケット材料は、好ましくは、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性を有する。
【0083】
図11aを再び参照すると、モジュール式ユニット(710)を配列するためのベースサポート(702)は、幾つかの機能を提供する。例えば、ベースは、ユニットの物理的な取り付けと、プロセッサボード(704)の収容と、ユニットとホストコンピュータの間の電気接続とができる。多機能電気コネクタも物理的な取り付けとして役立つ。
【0084】
制御された熱交換ユニットの設置場所は、容易に組立てられて2次元的な配列になるように設計されている。加えて、一方向における間隔の狭さは、望まれるなら、連結された直線的配列のユニットの使用を認める。一実施例では、各モジュール式ユニットの全体の寸法は、約9X40X50mmである。狭い寸法は充分小さくて、例えば、手ごろな長さ(72mm)において、8ユニットが一緒にグループ化される。上記長さは、中心と中心の間が9mm間隙の標準多重ピペットであって、必要に応じて試料と化学薬品を装填でき市販の入手可能な標準多重ピペットと結合するのに適した長さである。
【0085】
本発明による熱反応装置は、多くの用途を見つけることができる。
【0086】
この発明の装置は、試料の化学反応、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なうのに使用され得る。各ユニットには、直接的に、或いは分離し挿入可能な反応チャンバ内で、反応に必要な試薬が供給される。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう際に、容器の反応チャンバは、試料ポリヌクレオチド、ポリメラーゼ、例えばタックポリメラーゼ(Taq polymerase)、ヌクレオチド三燐酸塩、試料ポリヌクレオチドと交雑可能な第1プライマーと、ポリヌクレオチドに対して補間する配列を持つ第2プライマーとを含む。必要な試薬の一部または全部は、収められた反応チャンバの中に存在するか、あるいは、試薬は試料に加えられて、次に入口ポートを通って反応チャンバに配られる。あるいは、試薬は試料とは無関係に反応チャンバに配られてもよい。ポリメラーゼ連鎖反応は、当該技術において周知の方法にしたがって行なわれる。
【0087】
ポリメラーゼ連鎖反応によるポリヌクレオチド増幅がここに記載されているが、本発明の装置と方法が、様々な他のポリヌクレオチド増幅反応および配位子接合評価に対して等しく有効に使用され得ることは、当業者によって認識される。
このような付加的な反応は、例えばポリメラーゼ連鎖反応は、熱的に循環する。或いは、付加的な反応は、例えば核酸配列をベースにした増幅(NASBA)は、単一の温度で行なわれる。さらに、このような反応は、広範で様々な増幅試薬と酵素を使用し、とりわけ、DNAリガーゼ,T7RNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素を含んでいる増幅試薬と酵素を使用する。加えて、ポリヌクレオチドの変性は、既知の化学的または物理的方法によって、単独あるいは熱的変化と組合せて達成される。この発明の装置で実施され得るポリヌクレオチド増幅反応は、限定するものではないが、(1)自立配列複製(3SR)および鎖置換増幅(SDA)のような標的ポリヌクレオチド増幅方法、(2)「有枝鎖」DNA増幅のような標的ポリヌクレオチドに取り付けられた信号の増幅に基づいた方法、(3)リガーゼ連鎖反応(LCR)およびQBレプリカーゼ増幅(QBR)のようなプローブDNAの増幅に基づいた方法、(4)配位子結合活性転写(LAT)および核酸配列ベース増幅(NASBA)のような転写ベースの方法、(5)修復連鎖反応(RCR)および循環プローブ反応(CPR)のような様々な他の増幅方法を含んでいる。
【0088】
上述の遺伝子または標的増幅方法に加えて、他の化学反応または生化学反応への適応が予想される。例えば、細胞の温度制御された消散は、意図された発明のもう1つの適応例であって、上述の遺伝子または標的増幅方法を補足し得るか或いは補足し得ない。多くの場合、これは、細胞を含んだ溶液の温度を数分間37℃に上げることによって達成され、続いて温度を上げて95℃に保持することによって、蛋白質加水分解酵素の活動が起きる。数秒から数分後に、細胞は溶解し、核酸のような標的成分が遊離されて、次に更に処理たとえば増幅される。他の適応においては、0℃から4℃の温度に低下させることによるリーシス(消散)の直後には、いかなる化学反応をも直ぐに停止することが望まれ、例えば、急速熱ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用するmRNAの表現状態を調査する場合がそうである。この装置によって与えられる急速な熱昇降によって、このような機能性が可能となる。
【0089】
さらに、開示された装置は、化学反応を制御し検出するために使用され得る。酵素反応速度の研究において、例えば、反応が開始する前に、0℃から4℃の低下された温度で試験反応混合物を保持し、次にこの低下された温度たとえば4℃から最適反応温度にもっていくことは有益である。中間温度で生じる好ましくない副反応が減少あるいは消滅されて、より正確な測定とより高純度の製品となり得る。さらに、このアプローチはもっと複雑な化学反応および生化学反応に広げられる。これらの反応は、多くの異なる温度に変化させることによって、或いは定期的に温度を低下させて反応を停止することによって、制御され調査されることができる。
【0090】
このような温度制御は、蛍光同質免疫測定のような配位子結合反応に対して開発され得る。反応開始事象が正確に為され、次の反応保持温度が温度勾配なしに正確に制御されるので、より良い分析評価性能が達成され得る。本発明の他の応用は本発明の範囲内であるように意図されていて、これらの適用は熱エネルギーの化学反応への移動を必要としている。
【0091】
本発明は、特定の実施形態と図に言及して、上に様々詳細に述べられてきた。しかしながら、本発明の広範な範囲から逸脱することなく、この開示に基づいて記載された装置と方法に対して、修正や代用が為され得ることは理解されなければならない。したがって、この発明の範囲は、以下のクレームおよびそれらのクレームと法的に等価なものによって決定されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明による反応容器の部分分解斜視図であり、反応チャンバの側壁の一部が取り外され、内部反応部が示され、試料ポートが付属のキャップによって密閉されていない。
【図2a】図2aは、本発明による熱スリーブに付随した反応チャンバを有する熱交換モジュールの概略側面図である。図2aは、挿入された反応チャンバに対してスリーブをバイアスする前のモジュールを示す。
【図2b】図2bは、本発明による熱スリーブに付随した反応チャンバを有する熱交換モジュールの概略側面図である。図2bは、スリーブが挿入された反応チャンバに対してバイアスさせられた後のモジュールを示す。
【図3】図3は、加熱要素と外部冷却ユニットとを有する熱スリーブに挿入された反応チャンバの平面図である。
【図4a】図4aは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の側面図を示す。
【図4b】図4bは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の外表面の正面図である。
【図4c】図4cは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、貯蔵器に至る試料チャンネルのある化学反応チャンバの内部の正面図である。
【図4d】図4dは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の平面図である。
【図5】図5は、光源と光学検出器が配置されている光学的な検出のためのインテグラルレンズ付き反応チャンバの側面図である。
【図6】図6は、支持体に取付けられた加熱プレート付きの熱スリーブの等角図であり、もう1枚の加熱プレートは図示のために支持から取り除かれている。
【図7】図7は、熱スリーブ内に挿入された容器が付いた別の熱交換ユニットの等角図である。
【図8a】図8aは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、スリーブの加熱冷却要素の平面図である。
【図8b】図8bは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、図8aに示された冷却要素の正面図である。
【図8c】図8cは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、加熱冷却要素が付いた別のスリーブの正面図である。
【図8d】図8dは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、図8cに示されたスリーブの側面図および平面図である。
【図9】図9は、熱スリーブと、回路基板に結合された光学アセンブリと、冷却ユニットとを有する熱交換器械の等角図である。反応容器は上記器械から分解されている。
【図10a】図10aは、光学アセンブリと冷却ユニットとを有する器械を含む熱交換ユニットの概略図を示す。図10aは上記熱交換ユニットの正面図を示す。
【図10b】図10bは、光学アセンブリと冷却ユニットとを有する器械を含む熱交換ユニットの概略図を示す。図10bは上記熱交換ユニットの側面図を示す。
【図11a】図11aは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11aはベースサポートの主制御器ボードと連結している4個のユニットを示す。
【図11b】図11bは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11bはベースサポートと空気および電気で連絡している図11aのユニットの1つを示す。
【図11c】図11cは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11cは別の制御器ボードと連結している8個のユニットを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換化学プロセスに有用な装置と上記装置を製造する方法とを提供する。
【背景技術】
【0002】
化学処理の分野において、化学薬品の温度を正確に制御し、且つ急速な温度の推移を引き起こすのが望ましい適用例が多く存在する。これらの反応では、熱が薬品と周囲環境との間で交換されて、反応する薬品の温度を増減させる。したがって、「熱交換」という用語は、ここでは、熱源によって伝えられる熱や、薬品によって吸収される熱あるいは冷却源に晒すことよって放出される熱を意味する。標的温度に到達しなかったり行き過ぎたりすることなく標的温度に正確に達して迅速に標的温度になるように、温度変化を制御することが多くの場合望ましい。このような温度制御は、最適でない温度で生じる副反応や、好ましくない気泡の形成や、或る温度での成分の品質低下などを抑制する。化学反応を光学的に観察しモニターできることはさらに重要である。
【0003】
熱交換化学反応に対する適用例は、有機反応、無機反応、生化学反応および分子反応等に及ぶ。有機反応および無機反応では、薬品は加熱されて、反応のための活性エネルギーに到達する。熱化学反応の例としては、等温核酸増幅、熱サイクル増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自己維持される配列複製、酵素反応速度の調査、同種配位子結合評価、さらに複雑な生化学機械論的調査があり、それらは複雑な温度変化を必要とする。加えて、温度媒介にした標的微生物の溶菌は、遺伝子の増幅および検出の前に、温度を制御することによって達成され、増幅ステップと同じ反応装置でなされる。また、温度制御システムは、一定かつ正確な温度が必要な生理学的プロセスの研究を可能にする。また、温度制御システムは、一定かつ正確な温度が必要な生理学的プロセスの研究を可能にする。
【0004】
この技術においては、伝熱反応を行なうために多くの装置とシステムが述べられてきた。これらの装置は、ウォータバスやエアーバスやアルミニウムのような固体ブロックのような熱伝導のための様々な構造を用いている。小さな反応容積における化学反応も述べられてきた。
【0005】
例えば、典型的には、従来の計器装備は96本ほどの円錐形反応管を有するアルミニウムのブロックから成る。このアルミニウムブロックは、ペルチェ加熱冷却装置によって、或いは、閉ループの液体加熱冷却システムによって、アルミニウムブロック内に機械加工されたチャンネル(導管)を通って流れて、加熱冷却される。加熱速度および冷却速度は、アルミニウムブロックの大きな熱容積(サーマルマス)のために、約1℃/秒に限定されて、処理時間が長くなる。例えば、PCRへの適用においては、50サイクルで完了するのに2時間以上を必要とする。
【0006】
比較的大きな金属ブロックである理由の一つは、充分な質量を提供して、各反応場所で、また、反応場所間で、一定かつ均一な温度を保証することにある。幾つかの熱伝達反応器械は、頂部プレートを組み込んでいて、頂部プレートが加熱冷却されて、全ての試料溶液の頂部に渡り均一な温度を保証している。試料挿入物は、挿入物と金属ブロックとの間で熱接触を最大化するために、先細りになっている。このシステムが持つ問題の1つは、温度の均一化に必要な大きな熱容積により、加熱および冷却するのに長い時間(および/または大きな加熱冷却動力源)が必要となることである。このような種類の器械に対する加熱冷却速度は、通常1〜3℃/秒程度である。
【0007】
典型的には、市販の器械において得られる最高加熱速度は、3℃/秒程度であり、冷却速度は重要にもそれより小さい。高度な温度制御を必要とするプロセスでは、これらの比較的遅い加熱冷却速度を用いることは不適当であることが認められた。例えば、中間温度で反応が起こり、PCR中の「プライマー・二量体(始動物質・二量体)」あるいは異常なプライマーのような好ましくない妨害的な副産物が生じて、分析プロセスに有害となる。また、この粗末な温度制御は、意図された反応に必要な試薬を浪費させる結果となる。
【0008】
さらに、診断と環境の化学検出系統的分類法に対して、試験される未知試料の容積が重要であり得る。例えば、PCRを使用して血液または他の体液中のウイルスを検出するとき、検出限界は約10ビリオン(ウィルス粒子)である。したがって、最小流体容積が、試料中のビリオンの濃度に依存して必要とされる。例証として、100ビリオン/mLの濃度では、試料サイズは少なくとも0.1mLでなければならず、より希釈された試料では一層大きな試料容積が必要になる。したがって、化学分析システムは、ナノリットルからミリリットルまでの広範囲の流体容積を取り扱えるように設計されねばならない。
【0009】
多くの化学反応のもう1つの基本的要素は、化学プロセスと生じる製品の検出のモニターである。プロセスが進行しているとき、プロセスの同時モニターによって、正確かつ量的なデータを考慮して、反応の進行を決定するとともに、それに応じて加熱冷却のパラメータを調整している。多重サイクルが行なわれる場合、プロセスは各熱サイクルの後にモニターされてもよい。反応が終了した後に、製品は限定されなければならない。あるプロセスでは、製品は検出前に分離される。好ましい検出技術は、光学的検出であり、典型的には蛍光発光または化学ルミネセンスを使用して行なう。配位子結合評価に対しては、時間分解蛍光および蛍光分極がしばしば使用される。
【0010】
加熱冷却変化の制御は、熱サイクルと呼ばれる。「熱サイクル」という用語は、ここでは、薬品が晒される環境において、温度の少なくとも一つの変化、すなわち、温度の増加または温度の減少を意味することを意図している。したがって、熱サイクルを経験した薬品は、1つの温度からもう1つの温度に変化して、次にこの温度で安定化するか、第2の温度に移行するか、あるいは開始温度に戻る。温度サイクルは、一度だけ行なわれるか、或いは特定の化学反応によって必要とされる回数だけ繰り替えされる。これらの温度サイクル中に起こる様々な化学反応は、温度が様々な必要とされる反応温度に至るようにできるだけ速く昇降され、且つ非常に正確に制御されると、より特定的かつ有効になる。
【0011】
酵素媒介反応を制御するための従来装置
化学反応のために熱の伝導を制御する装置は、核酸の部分を増幅する熱サイクルPCRのような合成反応に適用できる。この系統的分類法では、DNAの鋳型(テンプレート)が、熱的に安定なDNAポリメラーゼ、例えば、TaqDNAポリメラーゼ、ヌクレオチド三燐酸塩、および異なる配列をもつ2つのオリゴヌクレオチドとともに使用されて、鋳型DNAの対向する鎖上にある配列を補間し、増幅されるべきDNAの部分の側面に位置する(「プライマー」)。反応成分は高温(例えば、95℃)と、次のより低い温度(プライマーのアニーリングに対しては40〜60℃、重合に対しては70〜75℃である。)との間でサイクルする。脱交雑温度とアニール温度と重合温度との間で繰返されるサイクルは、鋳型DNAの指数関数的な増幅をもたらす。
【0012】
ポリヌクレオチド増幅は、遺伝子の異常の診断と、血液,細胞,環境,風媒等を含む様々な試料における病原性の生物の核酸配列の検出と、法廷試料や農業試料や獣医試料等を含む様々な試料の遺伝子識別と、活性化した腫瘍形成遺伝子の突然変異体の分析と、食料のような試料内の汚染物質の検出とに応用され、分子生物学の他の多くの局面において応用されてきた。ポリヌクレオチド増幅測定は、広範囲に適用して、例えば、プローブとして使用するためにクローンされた2重鎖DNAの特定配列の生成や、cDNAの特定部分の選択的な増幅によるクローン化されていない遺伝子に対して特有のプローブの生成や、少量のmRNAからcDNAのライブラリーの生成や、配列化のための大量のDNAの生成や、突然変異体の分析に使用されることが可能である。自動PCR連鎖反応を熱サイクルによって行なう器械は、商品化されて入手できる。
【0013】
各熱サイクルの後に「即時」光学的な分析が必要な新プロセスに適した幾つかの器械類は、極最近入手可能になっている。例えば、ペルキンエルマー(Perkin Elmer(PE))7700(ATC)器械とPE9600熱サイクルは、上述したように、96ウェルアルミニウムブロックフォーマットに基づき、制限される。PE7700における光学的蛍光の検出は、光学ファイバを96の反応サイト(反応部位)の各々に案内することによって達成される。中央のハイパワーレーザーは各反応管を連続的に励起させて、光学ファイバを通して蛍光信号を捕らえる。典型的には、複雑なビーム案内と光学的多重を必要とする。
【0014】
異なる熱サイクル器械はアイダホテクノロジーから入手できる。この器械は、カラセル内に取付けられた毛細管試料キャリヤを強制空気加熱冷却する。この器械は、毛細管試料キャリヤが回転させられて光学検出場所を通過するときに、各毛細管試料キャリヤを連続的にモニターする。
【0015】
第3即時PCR分析システムは、アレンノースロップ博士らによって開発された米国特許番号第5,589,136号に開示されているMATCHI装置である。この装置は、PCR熱サイクルに対してモジュール式のアプローチと光学的分析を用いている。各反応は、それ自身のシリコンスリーブにおいて為され、そして各スリーブはそれ自身に付随する光学励起源と蛍光検出器とを有している。光学器械は簡単で効率的なだけでなく、低熱容積の熱サイクルスリーブによって、MATCHI装置は約30℃/秒迄の加熱と5℃/秒迄の冷却という速い熱加熱冷却速度を実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、このMATCHI装置の不利な点は、ミクロ加工されたシリコンホルダーを使用していることにあり、シリコンスリーブは、ミクロ加工されたシリコンチップに直接載置された加熱要素を組み込んでいる。この装置の2つの欠点は、脆いシリコンチップが割れたり欠けたりする可能性があること、および、最適な熱接触を行なうために先細り成形されたプラスチック製挿入物をヒータが精密に受容するように、シリコンチップをミクロ加工するのが困難なことである。
【0017】
上述した理由によって、PCRプロセスを含む多くの生化学反応プロセスの最適化は、所望の反応温度にできる限り迅速に到達し、中間温度では最小限の時間を費やすことを必要とする。したがって、中で試料が反応する加熱冷却システムは、加熱冷却速度を最適化するように設計されねばならない。また、このようなシステムは、試料の光学的な検出が即刻でき、且つ、様々な大きさの試料を受容できるようになっていることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
熱交換されて化学反応を行なうための反応容器と反応装置とが提供される。反応容器と反応装置とは、試料との間で熱移動が好適にできるように、また、試料との化学反応を光学的に充分観察できるように設計されている。
【0019】
本発明の一局面によると、上記容器は反応混合物を保持するための反応チャンバを有し、上記反応チャンバは、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の副壁とによって形成されている。反応チャンバを形成する壁の内少なくとも2つの壁は、光が透過して、反応チャンバに光学窓を提供する。装置は、少なくとも1つの上記主壁に接触するための少なくとも1つの熱表面と、上記表面を加熱するための少なくとも1つの熱原とを含む。上記装置は、また、上記熱表面が上記主壁の少なくとも1つと接触する一方、上記反応チャンバに光学的に応答指令信号を送信するための光学器械を含む。光学器械は、第1の光透過壁を通して反応チャンバに光を送るための少なくとも1つの光源と、第2の光透過壁を通して反応チャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備える。
【0020】
本発明の第2の局面によると、試料の温度を制御する装置は反応チャンバを有する容器を備え、上記反応チャンバは、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の剛性副壁とによって形成されている。少なくとも1つの主壁は、一枚のシートまたはフィルム(膜)を備えている。上記容器は、また、流体を反応チャンバに導入するポート(入口)と、ポートを反応チャンバに接続するチャンネルとを含んでいる。装置は、また、シートまたはフィルムに接触する少なくとも1つの加熱表面を含んでいる。上記シートまたはフィルムは上記表面に適合するために充分な可撓性(フレキシビリティ)を有している。上記装置は、また、上記表面を加熱するために少なくとも1つの熱源を含んでいる。上記装置は、さらに、反応チャンバ内を増圧するために、チャンネルに挿入できるプラグを含んでいる。これによって、反応チャンバ内の圧力は、シートまたはフィルムを上記加熱表面に押し付ける。
【0021】
本発明のもう1つの局面は、反応チャンバを形成するために、2つの対向する主壁と、主壁を互いに接合する複数の剛性副壁とを備えた容器を指向している。少なくとも2つの上記副壁は光を透過して、反応チャンバに光学窓を提供する。上記容器は流体を反応チャンバに導入するポートを含んでいる。
【0022】
本発明のもう1つの局面は、試料を保持するための反応チャンバを有する容器を指向している。上記容器は、上記反応チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備える。少なくとも2つの副壁は、反応チャンバに光透過性の光学窓を提供する。少なくとも1つのシートまたはフィルムが剛性フレームに取付けられて反応チャンバの主壁を形成する。上記容器は、また、試料を反応チャンバに導入するためのポートを含んでいる。
【0023】
本発明のもう1つの局面は、試料を保持するための反応チャンバを有する容器を指向している。上記容器は、上記反応チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備える。少なくとも1つのシートまたはフィルムが剛性フレームに取付けられて反応チャンバの主壁を形成する。上記容器は、また、試料を反応チャンバに導入するためのポートと、ポートを反応チャンバに接続するチャンネルと、反応チャンバ内を増圧するためのチャンネルに挿入可能なプラグとを含んでいる。或る実施形態では、容器は少なくとも2つのシートまたはフィルムを含み、上記シートまたはフィルムは、反応チャンバの2つの対向主壁を形成するために、フレームの対向側部に取付けられている。各シートまたはフィルムは、夫々の加熱表面と一致するように、充分な可撓性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一般に、この発明は、反応を行なうのに薬品溶液を急速加熱および/または冷却すると共に、反応物質を効率よく検出するようになっている低熱容積の機械式加熱冷却アセンブリを提供する。このシステムの低熱容積は急速な加熱冷却を保証する。この理由は、加熱および冷却する物質が殆どないから、また、伝熱に対して高い表面体積比が存在するためである。急速な加熱および冷却が効率を向上させ、無関係で不要な反応を減少させるということ、また、或る反応は高い熱交換速度でなされ得る。
【0025】
本発明の目的は、PCRのような化学プロセスにおいて熱交換速度を大いに増大(10倍迄の速い加熱冷却速度に)させることと、反応物の温度均一性を最適化することと、熱によって誘導された機械的ストレスを最小化するとともに光学励起効果(長い光学経路長さ)を最大化するために高熱膨張係数を適応させることと、光学検出感度を最大化(光子収集容積を最大化)することと、損傷検出能力を最大化することと、主器械のコンピュータのオーバーヘッドを最小化することと、強力な器械プラットフォームと長期間に渡る多様性のための技術によって支持された独立かつモジュール式のインテリジェントな反応チャンバを介して、器械の全電力消費を最小化することである。
【0026】
本発明の目的は、光学器械付きの冷却加熱反応アセンブリを介して達成される。各制御された熱交換ユニットは単一反応部位を構成する。全体的に見て、アセンブリユニットは、(a)加熱要素と互換性のある反応チャンバと、(b)反応チャンバ表面の一部がスリーブの表面と密接するインテグラルヒータまたは冷却要素を有する熱スリーブと、(c)スリーブを収容する器械とを備え、スリーブは固体状態の励起源と検出源と冷却装置を組み入れている光学アセンブリを有する。この器械は、また、光励起源と検出源の制御をモニターするためのマイクロ制御器を持つ単一または多数の回路基板を有していて、ホストと連絡している。熱交換ユニットは、主制御器ボード付きの支持体を付加的に有し、この主制御器ボードは器械とスリーブと反応チャンバとに連絡していて、例えば温度制御と光学制御のために手順を制御する。そこでは、各器械は個々に制御されるか、あるいは、一群の器械が一組の制御器の下にあって、自己診断プロトコルを行ない、データの受け取り、貯蔵、処理を為し得る。
【0027】
モジュール式熱交換ユニットはベースサポートによって支持され、このベースサポートはマイクロ制御器を持つ単一または多数の回路基板を有して、光励起源と光検出源の制御をモニターするとともにホストコンピュータと連絡している。ベースサポートは主制御器ボードを含み、主制御器ボードは、光学アセンブリと熱スリーブと反応チャンバとに連絡して、温度制御や光学制御といった手順と、自己診断プロトコルと、データの受け取り,貯蔵,処理とを制御し、各熱交換ユニットは個々に制御されるか、あるいは、一群のユニットが単一組の制御器の下で制御される。
【0028】
熱交換反応チャンバ
図1は本発明による熱交換反応チャンバの内部を示し、熱交換反応チャンバは化学反応のための試料を収容するようになっている。この反応チャンバは、最良の熱伝導性および試料の有効な光学的観察のために設計されている。この薄肉形状は、熱伝導のために大きな表面を与えることによって最適な熱反応速度に貢献している。表面は温度調節要素と密接するようになっている。さらに、小さな壁または大きな壁が反応チャンバ内に窓を備えて、反応試料の全てが光学的に検出され得る。加えて、この反応チャンバは広範囲の反応容積に適する。
【0029】
図1に示された構成部品に対してより詳細には、反応容器(2)はハウジング(6)を有し、上記ハウジング(6)は、ポート(4)と、このポート(4)を反応チャンバ(10)に接続するチャンネル(8)とを形成する。上記ポート(4)を密閉するための密閉蓋(12)は、可撓性(フレキシブルな)アーム(14)によってフレームハウジング(6)に取付けられる。上記蓋(12)は、上記チャンネル(8)と係合するように、上記ポート(4)内に挿入可能である。図1にフレームから分解されて示された剛性支持フレーム(16)と薄肉可撓性壁(18)とは反応チャンバ(10)を形成し、可撓性壁(18)はフレーム(16)の対向する側に結合される。剛性フレーム(16)の上には反射面(20)があり、上記反射面(20)は反応チャンバ(10)から伝達された光を跳ね返して、信号を増大して検出させる。
【0030】
反応容器(2)を使用する際に、ポート(4)に加えられた試料は、チャンネル(8)を通って反応チャンバ(10)に流れ込む。上記反応チャンバ(10)内では、試料が薬品に導入されて反応する。反応チャンバ(10)の主壁(18)は、例えば熱プレートのような加熱冷却要素に対して押圧するように製造される。好ましくは、壁(18)は要素表面と一致する。試料は、加熱冷却要素を作動させることによって温度変動に晒される。そのとき、反応や反応生成物は、光学的に観察される。
【0031】
反応チャンバ(10)の少なくとも一部を形成する薄肉の可撓性壁(18)は、反応チャンバの中に入れられた化学薬品に対して最良の熱伝導性を持つ。各壁(18)の可撓性によって、加熱冷却源と最大限の接触ができる。この壁は典型的には外部熱要素の表面に一致できて、可撓性壁の表面は、両面間の空隙を回避あるいは最小化するようにして、外部加熱冷却要素表面の形状に一致する。さらに、熱交換作業中に表面形状が変化するならば、可撓性壁は熱表面と一致し続ける。例えば、温度上昇によって加熱要素が膨張するとき、反応チャンバの壁も膨張して加熱要素と最良の接触を維持する。また、壁が貯蔵器内の内部圧力の増大によって膨張するならば、壁は硬化することなく加熱または冷却表面と一致し続ける。接触は、壁に対して熱源をバイアスする(片寄らせる)ことによって、および/または、熱表面に対して壁を押し付けることによって行なわれる。
【0032】
図2aと2bとは、熱交換モジュール(30)を形成するために、反応容器(46)が熱スリーブ(32)と行なう接触を示している。図2aにおいて、熱スリーブ(32)は、プレート間における開口部(34)では緩んだ態勢にある加熱プレート(36),(38)を含んでいる。しかしながら、図2bに描かれているように、可撓性壁(48)を持つ反応容器(46)が、2つの角度の付いたプレート(36),(38)の間の開口部に挿入されると、プレート表面(40),(42)は反応チャンバ壁(48)に完全に係合する。この活性された態勢では、プレートの表面と反応チャンバ壁(48)の間に、空隙が極く僅か見られるか全く見られないかである。上記プレート(36),(38)は、スプリング(44)によって壁(48)に対してバイアスするように作られる。その代わりに、上記反応チャンバ壁(48)は、熱プレート(36),(38)を押圧するように作られる。一致可能な壁(48)は、表面間で最大の熱接触を与えるように、加熱表面の形態に鋳込まれる。
【0033】
熱反応速度を最適化する反応容器の能力に加えて、可撓性壁(48)は低熱容積で、急速な熱の移動を可能にする。図3は、反応容器(50)の平面図を示し、反応容器(50)は加熱要素(52)と密接し、また、冷却反応チャンバ(54)によって囲まれている。各可撓性壁の厚みは、好ましくは、約0.0001インチから0.020インチの間であり、より好ましくは、約0.0005インチから0.005インチであり、最も好ましくは、約0.001インチから0.003インチである。この厚みを達成するために、壁はフィルム、シート、或いは、型成形品、機械加工品、押出し成形品、鋳造品、或いは他の好都合な薄肉可撓性構造体であり得る。
【0034】
壁を構成する材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、および他のポリマーを含むポリアルコール、ラミネート(積層)ポリマーまたは同種ポリマー、金属または金属積層品、あるいは他の材料であって、薄肉で可撓性があり順応性があって、且つ、高熱移動でき、好ましくは、フィルム状あるいはシート状である。壁を支持する容器のフレームが、ポリプロピレンなどの特定の材料である場合、壁の熱膨張および冷却速度がフレームと同一となるように、壁は同一材料たとえばポリプロピレンであることが好ましい。それによって、不適当な加熱または冷却が材料に引き起こすストレスが最小化されて、スリーブ壁はフレームと同一接触状態を維持し、多重温度サイクル中に壁に皺がよる(wrinkling)のが回避される。
【0035】
可撓性のある壁が好まれるが、或る実施形態では、加熱要素と接触する壁は、剛性で平坦な加熱器と伝達しあうために、剛性で平坦なものであってもよい。側壁は、剛性あるいは可撓性に拘わらず、典型的には反応チャンバの主壁であって、その中に含まれた化学薬品が最大の加熱または冷却に晒される。反応チャンバは、また、少なくとも1つの副面を有し、複数の副面は主要面に対するフレームまたは支持を提供する。
【0036】
図4a,b,c,dは、反応容器(60)の別の実施形態を示し、反応チャンバ(76)の主壁と副壁すなわち副面とに角度が付けられて、光学的な観察を最適化している。図4aと4bに示すように、5つの隣接する副壁(62),(64),(66),(68),(70)が、2つの対向する主壁(72),(74)と結合して、反応チャンバを形成している。副壁(64),(66)は或る角度で連結されている。図4cに示すように、角度が付けられた壁(64),(66)は反応チャンバ(76)の底部を形成し、背壁(78)は反応チャンバの頂部を形成する。チャンネル(80)は反応チャンバ(76)へ通じている。オプションとして、チャンネルと背壁を含む反応チャンバとは、反応容器の本体に挿入される光学的に別の部品となり得る。反応チャンバ(76)に至るチャンネル(80)は、随意に、例えば底部充填によって反応チャンバに充填する導管を提供したり、溢れた反応物や追い出された空気を保持するための領域を提供することを含めて、光学的に種々の機能を提供し得る。
【0037】
角度の付いた壁(64),(66)は、特に、反応チャンバ(76)の底部でV字形状の尖端(82)を形成するように結合されていて、気泡の形成を減少あるいは排除することによって、反応容器の反応チャンバに試料流体と試薬との少なくとも一方が、より簡単に充填できる。
【0038】
反応容器は、また、液体を加え且つ反応チャンバ(76)から空気を除くためのポートを含む。このポートは、チャンネル(80)を通して反応チャンバ(76)の内部、例えば、反応チャンバの底部にピペットの先端が近づくことができて、下方から上方への充填が可能となる。このポートは、また、他の従来の試料導入法が使用でき、例えば、自動化された流体噴射装置を通して行なう方法あるいは随意に反応容器の重要部となる流体マニホールドを通して行なう方法が使用できる。
【0039】
ポートの外端部は、図4dに示されるように、好ましくは密閉蓋(84)を受け入れることによって、密閉されるように設計されている。この蓋(84)は、充填後にポートを密閉するための手段を与えて、熱的に制御された内部反応容積物と熱的に制御されていない環境との間の障壁となり、試料の汚染を防止し、試料の加熱中の蒸発を防ぐ等を行なう。本発明によって予想される様々な実施例において、密閉物は、スナップで留める方式の蓋であってもよく、ねじ蓋でもよく、或いは、選択された分析プロトコルに必要な他の専用の閉込物であってもよい。このような蓋は、ポリプロピレンやサントプレンTM (SantopreneTM:ミズーリ州セントルイスにあるモンサント株式会社(Monsanto Corporation)の登録商標)のような重宝な材料から構成されている。一実施例においては、反応チャンバは、頂部副壁の上のプラスチック材料あるいは頂部副壁を構成するプラスチック材料の加熱によって、さらに外部環境から密閉されている。別の実施の形態では、水性試料の上端にオイルを一滴滴下することによって密閉が作られて、試料の蒸発を防止している。
【0040】
図1を再び参照して、蓋(12)は、また、反応チャンバ(10)に連絡するチャンネル(8)の中に挿入される栓(プラグ)であってもよくて、栓によって反応チャンバ(10)内の圧力が増大する。結果的に増大した圧力は、可撓性壁(18)の外側への膨張を引き起こし、壁を外部加熱ユニットに対して押し付けて、壁と加熱要素との間の接触を良好にする。増大した圧力は、反応チャンバ内の溶液を液体状態で保持でき、高い温度でもガス状態になることはない。この特性は、PV=nRTという理論的な原理と一致している。ここで、Vは体積、nはモル数、Rは定数、Tは温度である。
【0041】
反応容器は、反応チャンバ内での反応生成物の視覚化を最適化するように形成される。この目的のために、剛性フレームの1つ、2つ、或るいはそれ以上の副壁は、光学窓を備えている。2つの窓が存在する場合、1つの窓は光励起侵入ポートとして、2番目の窓は反応チャンバから放出される光の検出に役立ち得る。別の実施形態では、両窓は2つの光路に対して励起と検出に役立ち、その場合、第1の光路では、光が放射されて第1の窓を通り、第2の窓を通って検出され、また、第2の光路では、光が放射されて第2の窓を通り、第1の窓を通って検出される。この窓の面は、検出プロセスを最大化するように、選択された角度にオフセットされ得る。
【0042】
図5は、外部光学システム(92)と結合した反応容器(90)を示す。光学システム(92)は、個々の光源(98)からの光学励起放射で光学壁(94)を照らすとともに、光透過性の副壁(96)を通して反応チャンバから放出された光を検出器(104)で検出するように設計されている。この代替においては、隣接する両光学壁(94),(96)が、それぞれの光源(98),(100)からの発光を受け、検出器(102),(104)によって観察される。この場合、各壁を通って放射される励起光は異なる波長であり、各隣接する壁で検出される光も異なる波長である。異なる波長の励起光と検出光の典型的な経路は、図5の矢印によって示される。その上、各々の壁(94),(96)は、その表面に直接鋳込まれたレンズ(106)を付加的に有して、光を方向付ける。最適光学感度は、化学分子を励起する光線と、検出されて光学信号を生じる放出光との双方の光学的採取経路長を最大化することによって達成される。
【0043】
図5のように励起と検出が異なる壁で生じる場合、通常、光学壁(94),(96)が角度(A)だけずらされる(互いに角度Aをなす)のが好ましい。好ましい角度は約90度である。励起光路と検出光路の間の角90度は、1つの光学壁を通って侵入する励起発光の最小量が、他の光学壁を通って出て行くのを保証する。また、90度の角度によって、放射発光例えば螢光発光の最大量が検出窓を通して収集される。他の実施形態では、隣接する光学壁間の角度は、とりわけ励起と検出の光学器械の効率と感度に依って、90度よりも大きいか或るいは小さい。例えば、検出システムが励起光と放出光とを有効に区別する場合、壁間の角度は90度以下が望まれる。逆に、検出装置が励起光と放出光とを有効に区別できない場合には、90度よりも大きな角度が重要となる。
【0044】
1つ以上の光透過要素は、光学壁上に存在する。この光学要素は、例えば、発光ダイオード励起源によって照らされる溶液の全容積を最大化するように、或いは、反応チャンバの特定領域に光学励起源を集中させるように、或いは、反応チャンバ容積のできるだけ大きな部分からできるだけ多くの蛍光信号を収集するように設計される。加えて、特定波長を選択するための回折格子と、一定の波長のみを通過させるフィルタと、多重励起源または検出器のために最適化された多重レンズまたはフィルタとが使用され得る。別の実施形態では、対向壁は、溶液から光検出器の配列に放射された最大限の蛍光信号を収集かつ集中させるように最適化される。代わりに、上記光学壁は、光学的に透過する窓として役立つ簡単かつ透明かつ平坦な窓であってもよい。他の要素は、フィルタの機能を持つカラーレンズ、逆反射表面、光学回折格子表面等を含む。
【0045】
反応容器に加えて、反応チャンバを形成する主壁または副壁は付加的な光学的検出のために改造され得る。壁の表面は、或る波長の吸収を増大させるために液晶のような材料で被覆されるか或いは備え得る。表面は、温度状態を反映する特定吸収帯を検出することによって、封込められた化学薬品の温度を決定するのに使用され得る。
【0046】
金属やポリマーの薄肉フィルム、あるいはそのような材料を層状に組合せたものは、構造的特性および熱的特性のためばかりでなく光学的特性のためにも、反応チャンバで使用され得る。薄肉フィルムは、数オングストロームから数百ミクロンの厚みの材料で構成し、通常、蒸発蒸着,プラズマ蒸着,マグネトロンスパッタリング,RFスパッタリング,レーザ除去等の技術において知られた一連の特殊処理を用いて形成される。例えば、銀の蒸気蒸着された薄肉フィルムは、ラマン(光学的に励起されたソースの非弾性散乱)スペクトルの検出および収集を増大させる。この材料および他の材料は、様々な基板(ガラス、プラスチック、シリコン、金属等)上に堆積されて、複数の入射角では或る波長において半透明(透過性)であり、他の波長では反射する。これは、多くの光学材料の開発の基礎であり、二色性光線分割器や誘電性通過幅フィルタや中間密度フィルタ等の装置の基礎である。
【0047】
反応容器に取付けることができるフィルム、あるいは反応容器を密閉するのに使用されるフィルム、あるいは光学的に検出される反応容器の壁上に直接載置されるフィルムを製造するのに、これらの能力を使用することは、結果的に、特殊な光学的放射特性および励起特性を持つ反応容器となる。経済的に使用されたときのこれらの薄肉フィルムのプロセスは、これによって、反応容器を安価に製造するのに使用され得て、結果的に微調整された光学特性を持つ処分可能な容器となる。
【0048】
反応容器は様々な仕方で製造される。反応チャンバは、数個いっしょに結合されて鋳込まれるか、単一品に射出成形される。多重製品の設計と製造アプローチに対しては、幾つかの利点がある。1つの利点は、極薄壁が達成され得て、同一サイズと同一形状であるように一貫生産され得ることである。もう1つの利点は、装置の光学的特性が流体特性から分離されることであって、両構成要素は独立して設計および最適化され得る。例えば、逆反射壁は、光を反射するために、反応チャンバの1つ或いは多くの側部に形成され得る。第3の利点は、主要な光学構成要素は、主要流体構成要素と異なる材料から製造され得ることである。付加的な特典は、主要表面が、幾つかの小表面あるいは全ての小表面と異なる材料から製造され得ることである。例えば、最適な熱特性を有する材料が、最適な光学特性を有する材料と異なり得る。特に、角度の付いた光学窓は、光構成要素のあるなしに拘わらず、良好な光学的な透明性を有するポリカーボネイトから成形され得る。一方、反応チャンバの他の部分は、廉価で感光性PCR反応と互換性があるとして知られているポリプロピレンから成形され得る。
【0049】
反応容器を製造する一方法では、剛性フレームが鋳込まれて開放側部を有する反応チャンバを形成する。このフレームは、熱材料に対する標準的な射出成形プロセスによって作られる。フレームが作られた後、反応チャンバ領域上に、例えば薄膜や薄板のポリプロピレンのような材料を載置することによって、好ましくは引き伸ばすことによって、側壁が製造される。
【0050】
次に、この壁はフレームに結合される。上記壁がフィルムまたはシートである場合、材料は、熱密閉や接着結合や超音波結合等によって、フレームに取り付けられる。
【0051】
主壁および副壁が同一材料から製造された反応チャンバでは、主壁の全表面積が副壁の全表面積の少なくとも約2倍であることが必要であって、この場合、熱伝導性の比は2:1であることが望ましい。一方、壁が異なる材料から作られているならば、高い熱伝導を持つ材料からなる主壁が低い熱伝導の副壁と組合せられるので、図示された形状を変更することができる。上記壁は、ガラスまたはポリマーから製造され得る。ポリマーはポリアクリルとポリアミドとポリカーボネイトとポリエステルとビニールポリマーとを含み、上記壁はこれらの組合せからも製造され得る。
【0052】
反応容器の主フレームから分離している挿入物は、容器の内側に置かれて、反応チャンバの一部あるいは他の内部部品を形成する。上記挿入物は、反応チャンバの頂部を塞ぎ、幾つかの壁を提供し得る。上記挿入物は、反応チャンバに結合されるか、好ましくは容器に圧入される。上記挿入物は、また、チャンネルとポートと蓋付属手段とを提供し得る。
【0053】
反応チャンバの形状は、実施される個々の反応および付随する熱伝達装置によって異なり得る。さらに、フレームが壁に結合されると共に、壁が外部熱源に接近でき接触するかぎりにおいて、可撓性壁に対するフレームの関係は変化し得る。反応容器は、特に反応チャンバにおいて、望まれる用途に依って、ナノリットルからミリリットルの量を収容するように寸法取りされる。反応チャンバの容積は、好ましくは、1〜1000マイクロリットルの範囲であり、より好ましくは、1〜500マイクロリットルの範囲であり、最も好ましくは、10〜100マイクロリットルの範囲である。
【0054】
反応容器を要約すると、様々な実施形態は以下の特徴を有する。すなわち、有効加熱冷却に対する高い表面対容積比、薄肉低容積壁、加熱冷却システムとの結合を最大化する一致できる側壁、多くの部品が要求される鋳込可能かつ結合可能な材料、熱交換作業中の温度誘引性の機械的ストレスを最小化するために高熱膨張係数を持つ特徴、反応物または中間生成物または製品との吸着または反応が無くて表面活性手段による酵素の不活性化が無いか微小でグリセロールと互換性がある化学的に不活性な材料、有効な検出に対して高い光学的透明性を有する窓、長い励起光路長さ、励起窓と放射検出窓のと間の最大化されたずれ、励起装置と検出装置の間の無光連結または微小光連結、逆反射表面のような光学要素、モジュール加熱冷却表面と正確に一致した主壁、試料および試薬を導入するためのポート、循環中の還流を排除または最小化する手段、充填中または蓋を被せる間の空気の有効な除去、外部環境からの反応混合物の密閉。
【0055】
熱スリーブ
反応容器は、反応チャンバ内の混合物を加熱または冷却するための熱スリーブと和合できる。熱スリーブは、反応チャンバの壁と密接させることによって、反応チャンバ内の温度変化を引き起こすように設計されている。
【0056】
図6は、支持ブリッジ(206)に取付けられた一枚の加熱または冷却のプレート(202)と上記支持ブリッジ(206)から取り外されたもう1枚のプレート(204)とを持つ1つの熱スリーブ(200)の部分分解図を示す。各プレート(202),(204)は、接触表面(208)である一面とバイアス面である他面とを有し、各プレートの端部(212)は互いに対して傾斜して寄り掛った状態になっている。さらに、各バイアス面(210)は、固定領域(218)で支持ブリッジ(206)に結合するために不可欠な取付けアーム(216)が付いたスプリング(214)によってバイアスされる。このプレートはブリッジスロット(220)に部分的に挿入される。プレート取り付けアーム(216)は、ブリッジ固定領域(218)に固定される。プレートのバイアス面(210)は、複数の電気接続部(220)を有し、電気接続部(220)は熱源または冷却源または電源(図示せず)或いはこれらの組合せと連絡する。組立てられたとき、プレートは支持ブリッジによって適切な位置に保持されて、プレート間に反応チャンバを囲い込むための開口部を形成する。
【0057】
図7は、反応容器(252)が、いかにして熱スリーブの中に閉じ込められて、熱交換モジュール(250)を形成するかを示している。各プレート(202),(204)の接触表面(208)は、反応チャンバ表面を押圧するように作られていて、熱接触を最大化する。一般的に、スリーブは、1枚以上の分離されたスプリング装填式加熱プレートを含み、加熱プレートは反応容器の表面に対して、例えば反応チャンバ領域に対して、バイアスするように形成されている。このようなスプリング装填式の形態は、様々な機械構成部品、すなわち、熱スリーブと反応チャンバと光学ユニットの間の機械公差を単純化する。この代わりに、プレートは、他の部品、機械モータ、熱膨張、空気圧、例えば空気流圧力、油圧等によって起こされる機械的な力によって、反応チャンバの表面にバイアスするように作られてもよい。この熱交換スリーブの内部に、挿入された反応容器がすべり嵌めができるように傾斜を設けてもよい。さらに、挿入された反応チャンバの壁も、加熱器プレートを押し付けるように膨張させてもよい。
【0058】
スリーブの形状は、反応チャンバと最適な熱接触を行なうように設計されている。一実施の形態では、反応チャンバ壁と接触するためのスリーブの開口部は、x方向に伸長している。こうして、開口部は、反応チャンバの長手方向(z方向)と垂直な方向(x方向)により長く、好ましくは、開口部の形状は、断面が矩形である。開口部を形成する表面の長手(x方向)と幅(y方向)の比率は、少なくとも2:1である。このような伸長は反応チャンバ壁に従来の設計よりも大きな接触を与える。容器を挿入するための開口部はz方向に膨張するので、従来においては、開口部は丸い管を保持するために形状が典型的には丸或いは八角形となっている。
【0059】
本願に記載されているように、反応容器内の試料から急速な熱交換(加熱および/または冷却)を達成するには、薄肉で幅広の容器とともに低熱容積の熱スリーブアセンブリを必要とする。現在までの最速の熱サイクル器械は、反応容器を直径1mm以下の薄く長いシリンダにすることによって、この問題を解決している。他の急速熱サイクル器械は、非常に小さな液体試料容積に依存していて、それは急速に加熱したり冷却するのが比較的簡単なものである。しかしながら、これらのアプローチは非常に小さな体積の液体試料に対してのみ適している。
【0060】
対照的に、ここに記載されている反応容器は、薄く広い。本願は、反応容器を長くすることによってのみ容量を増大させているのではなく、適切に設計された薄く幅広の反応容器によって、大きな加熱および冷却速度が達成され得ることを教示している。この低質量熱スリーブの相対的かつ相補的な設計は、比較的大きな試料容積(100μL迄および以上)を含むアセンブリ全体が、最大速度で制御可能に加熱冷却され得ることを保証している。
【0061】
熱プレートは様々な材料から作られる。熱交換スリーブの内部が漂白剤や他の洗浄溶液に対して耐性があることを保証するために、内部は被覆されるか化学的に不活性な例えばポリテトラフルオロエチレンのような材料で裏打ちされ得る。或いは、スリーブ全体は化学的に安定な材料、例えば、セラミックや金属、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化けい素によって製造され得る。他に、例えば、ガリウム砒化物、シリコン、窒化けい素、二酸化けい素、水晶、ガラス、ダイアモンド、ポリアクリル、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリイミド、ビニールポリマー、ハロゲン化ビニールポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのような他の材料が使用される。他の可能性のある材料としては、クロム/アルミニウムのような熱電対材料、超合金、ジルカロイ、アルミニウム、鋼、金、銀、銅、タングステン、モリブデン、タンタル、真鍮、サファイア、現代技術において入手可能なあらゆるセラミック、金属、合成高分子材料が含まれる。
【0062】
セラミックプレートが好まれるのは、その内表面が好都合にも非常に滑らかに機械加工されて高い耐磨耗性があり、高い耐化学性があり、反応容器に対して良好な熱接触があるからである。セラミックプレートは、また、低い熱容積に対して非常に薄く(0.025〜0.050インチ)作ることができる。アルミニウムまたは銅から作られた熱交換プレートも、高い熱伝導性を有するが、熱容積が大きい。
【0063】
加熱抵抗器のような熱源は、特に窒化アルミニウムや酸化アルミニウムのようなセラミック絶縁材料を備えたプレートに、直接、スクリーン印刷できる。スクリーン印刷は高い信頼性と低い断面を提供して、反応チャンバ自体に熱を有効に伝える。加熱要素は、また、セラミックプレートの内側に焼き固められてもよい。また、幾何学模様が変化する厚肉或いは薄肉のフィルム抵抗器は、プレート壁の上に配置され得て、例えば、末端部に厚い抵抗器を備え中央部に薄い抵抗器を備えることによって、より均一な加熱を行なう。加熱要素は、炭化物やタングステンや銀やその他の加熱材料からなり、材料に電圧が加えられると加熱する。金属スリーブを加熱する方法の1つは、薄層状の熱源、例えば加熱プレートの表面に取り付けられた食刻箔の加熱要素(ミネソタ州ミネアポリスにあるミンコプロダクト(Minco Products)製)を使用する。オプションとして、反応チャンバの胴部と同じ材料あるいは異なる材料の冷却フィンは、蝋付けまたははんだ付けまたはエポキシ樹脂によって、スクリーン印刷された抵抗器上に直接接着される。
【0064】
支持ブリッジ(206)の機能は、図6の実施例に示されて上述されているように、1以上の熱スリーブ加熱冷却要素のための支持体として役立つことであり、反応チャンバを熱スリーブに挿入するための案内を提供することである。この支持体は、反応チャンバを熱プレート間に挿入するためのスロットを含み得る。このスロットは機械的密閉が可能な機械的な機能または密閉表面を組み込むことができる。頂部支持体の材料選定において考慮すべきことは、その熱膨張係数(TCE)が熱プレートのそれとできる限り釣り合っていることである。プレート用に上述した構造材料は、支持体に対しても有用である。適切な組合せは当業者には明らかであろう。
【0065】
熱スリーブプレートと頂部支持体との間の機械的な移行部分(接触部分)は、重大な接続部(クリティカルジョイント)となっている。この熱スリーブプレート(加熱プレート)は、頂部支持体が比較的一定の温度で維持される間、例えばPCRに適応するとき、室温60℃と90℃の間で、多数回(5年の寿命に渡って40万回まで)繰り返される。熱勾配とストレスは、この領域において高い。可撓性のある化学的に耐性のある接着材料およびガスケット材料は、結合を保証するのに使用され得る。好ましい接着剤は、エポキシ樹脂であるが、熱材料が金属またはセラミックであるなら、より強固な金属密閉技術が使用され得る。
【0066】
移行領域(上記機械的な移行部分)のもう1つの基準は、密閉材料あるいは結合材料が、また、熱プレートに頂部支持体を結合する方法が、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性のあるものでなければならないことである。10%の漂白剤と1%のトウィーン20(Tween 20)といった洗浄溶液に1000回まで暴露されることが予期される。
【0067】
この発明の熱スリーブは、高い熱伝導と低い熱容積とを有して急速な加熱冷却が可能となる。さらに、熱スリーブは、繰り返し使用(反応チャンバの10,000回ほどの挿入)されても十分に耐えることができる。急速で有効な加熱を保証するために、加熱要素がスリーブの中に一体化される。冷却効率を最大化するために、冷却要素は、また、冷却フィンあるいは第2の冷却源に接続された熱伝導性要素の表面に取り付けられ得る。例えば、スリーブはペルティエ要素またはヒートパイプに熱的に接続され得る。
【0068】
図8a,b,c,dは、熱スリーブの加熱冷却形態の典型的な変形を示す。図8aは平面図であって、スリーブ(260)の口部(262)の中を直接見下ろしたものである。スリーブには、冷却フィン(264)と、一体化された加熱器(266)とが設けられている。この実施形態では、スリーブには、薄い内部ライナー(268)が設けられている。図8bは、図8aに示された冷却フィン(264)の正面図である。図8cは、加熱要素(276)と冷却フィン(274)とを持つ異なるスリーブ(270)の正面図である。比例絶対零型(PTAT)温度センサは、(272)で示されている。図8dは、スリーブ(270)の側面図および平面図であり、冷却フィン(274)の奥のスクリーン印刷された薄板状の加熱要素(276)を示す。
【0069】
挿入された反応チャンバおよび/または熱プレートの温度は、熱スリーブ上に配置された1個以上のセンサによってモニターされる。所望の0.5〜1.0℃の温度精度を達成するために、シリコンをベースにした比例絶対零型(PTAT)温度センサが使用される。このセンサの出力は、温度と直線的に比例する。高精度のPTAT温度センサは、非常に小さく、例えば0.5X0.5X1.0mmである。この代わりに、サーミスタ、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)が使用され、特にRTDは白金と銅とニッケルとニッケル鉄とから作られている。これらのセンサは熱交換反応チャンバの後縁に簡単に付加される。
【0070】
熱スリーブは、また、原位置での内容物の光学的な検出を行なえるようになっており、レンズやフィルタのような様々な機能部品を組み込んで、光学的な具像化を容易にしている。一実施形態では、スリーブの少なくとも2つの面は、光学的に透明であり、好ましくは、挿入された反応容器の光学窓に隣接するスリーブの底部を形成する。窓材料に対する重要な基準は、窓の透明性または半透明性である。窓は単にスリーブ内の開口部であってもよく、開口部を通して反応チャンバが見られる。一実施形態では、直接的な検出のために、挿入された反応チャンバの一部がスリーブの下に延在するように、上記スリーブは底部で開口している。窓が特別な材料である場合、窓はスリーブと窓の間の熱膨張係数(TCE)はできる限り近いのが好ましい。例えば、ガラスのTCEとセラミックスリーブのTCEとがぴたり調和しているガラスが選択され得る。熱スリーブが金属ならば、プラスチックの窓が一層適している。窓の材料は、また、漂白剤や他の洗浄溶液に対して安定でなければならない。
【0071】
窓と熱要素との間の機械的な移行部は、重大な接続部(クリティカルジョイント)である。熱スリーブが温度サイクルを多数回受けている間、光学装置を比較的低温で或いは少なくとも一定温度で維持することが望ましい。移行領域に対するもう1つの基準は、如何なる密閉材料あるいは結合材料が使用されようとも、また、熱スリーブに光学窓を結合するのに如何なる方法が使用されようとも、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性がなければならない。特に、熱スリーブの内部は定期的にピペットで散布し、水洗し、アルコールで乾燥して洗浄されることが考えられる。これらの溶液は、光学的な窓と熱交換器との間の接合箇所と直接接触する。この移行部は、また、装置の照度と光の収集機能とに意味深長に影響する。
【0072】
制御された熱交換ユニット
光学アセンブリは、熱スリーブを受け入れるように形成されたユニットの中に作られ得る。このユニットは、付加的に、冷却システムのような環境温度を維持するためのシステムと、熱交換反応チャンバ内で行なわれる作業を調整するための様々な制御機構とを有し得る。
【0073】
図9には、熱交換ユニット(600)がハウジング(602)および付随する作業要素部品と共に示されている。処理領域(604)は、上述した熱スリーブ(630)と反応容器(632)とを収容するようになっている。処理領域(604)は、入口チャンネル(608)によって冷却ファン(606)と空気で連絡され、処理領域(604)から出口ポート(612)に導く出口チャンネル(610)と空気で連絡されている。上記容器(632)が上記スリーブ(630)に挿入されるとき、反応チャンバは、ファン(606)から入口チャンネル(608)へ、さらに処理領域(604)へと循環する冷却空気によって冷却される。その後、空気は出口チャンネル(610)を通過し、ポート(612)でハウジングを出る。さらに、挿入された反応チャンバは光学アセンブリ(620)と光学的に連絡し、上記光学アセンブリ(620)は、光学器械を制御するために回路基板(622)に結合された光学的放出と検出のブロックを含んでいる。
【0074】
光学アセンブリ(620)は、視準器たとえば光導体のようなレンズ要素と、透過フィルタと反射フィルタ、回折格子、フォトダイオード、フレネルレンズ等を必要に応じて持つ焦点要素とを含み、それらは発光ダイオードおよび光検出器を含んでいる回路基板に取り付けられ得る。このレンズ構成部品は透明なプラスチックやガラスから射出成形され得る。上記透明なプラスチックは、ポリカーボネイトあるいは他の鋳込み可能な光学的に澄んだプラスチックである。レンズ要素は、反応チャンバ窓を励起光学部品および検出光学部品に接続する。レンズ要素は、フィルタと合体して結び付き、また、ソリッドステートの発光ダイオードと光検出器とを含む光学的励起検出回路基板(622)と合体して結び付く。
【0075】
ソリッドステート発光ダイオードと光検出器は、レンズ構成部品の下に配置された小さな回路基板上に光学的に組み込まれる。この回路基板は、簡単な基板であって、位置調節機能を備え、レンズ要素と反応チャンバに対して励起源と検出器とを正確に位置決めする。エッジコネクタまたはフレックスコネクタは、光学基板と隣接制御器ボードとの間の電気的な接続を行なう。
【0076】
ハウジング(602)はアルミニウムから機械加工され陽極酸化処理される。また、ハウジングは硬質となる高性能なプラスチックから型成形されるか、或いは、従来の技術と材料で成形される。ハウジングの主要な機能は、熱スリーブと頂部支持体と光学アセンブリとを保持するためのフレームを提供することであり、空気のような冷却流体を方向付けるためであると共に、熱スリーブ/反応チャンバの表面を横切って流れる流体を有効に案内するための流路チャンネルとポートを提供することである。
【0077】
熱交換ユニットは、好ましくは、例えば、ガス放散プレート、熱スリーブの周りに均一な空気流を保証するための他の空気流分配構造体、スリーブ上に冷えた空気を吹きつけるためのファン、ペルチェ装置、水のような液体冷却、あるいは圧縮ガス冷却源等の冷却源を含む。冷却要素は、ハウジングの中に直接形成されるか、あるいは、ハウジングから独立して製造され、後にハウジングに組立てられ得る。例えば、配列された熱交換ユニットの各熱スリーブは、冷却要素と連絡し得る。さらに、ハウジングの中の配置されたポートは、冷却空気の入口ポートと出口ポートとを提供する。これらのポートは、ベースプレート内の入口ポートと出口ポートと結合する場合、適当な密閉剤を使用してベースプレートに密閉され得る。
【0078】
図10aと図10bは、代りとなる実施形態の熱交換ユニット(650)を示す。このユニット(650)は、熱プレート付きの熱スリーブ(670)(上記ユニットから部分的に分解されて示されている)を有しており、熱プレートは頂部支持体(674)に取りつけられて、ハウジング(652)と結合する。ハウジング(652)は、空気入口と出口(654)と、空気放散プレート(658)付きの支持体(656)と、回路基板(662)が取り付けられた光学モジュール(660)とを有している。冷却空気流の方向は矢印によって示されている。
【0079】
各熱交換ユニットの全電子制御は、ハウジングの側部に取り付けられた1個または2個の回路基板またはチップに組み込まれている。図10bでは、頂部支持体(674)付きの熱スリーブ(670)が、ハウジンング(652)から部分的に分解されて示されている。光学モジュール(660)と光学回路基板(662)とが、1対の制御器ボード(644)に結合する。この回路基板(662)と制御器ボード(644)は、信頼性の高い低プロフィール表面取り付け技術を利用して製造され得る。制御器ボード(644)は、ハウジング内のスロットを通して光学基板と連絡し、また、90度電気接続器と連絡していて、回路基板の底部端がベースプレート上の電気ソケットに差し込まれて、制御器ボードと電気的に連絡する。
【0080】
さらに、多重熱交換ユニットが、PCRのような従来の反応装置におけるように、一緒にグループ化されて、多重試料は同一温度の形態に晒される。その場合、1つのユニットのみが電気制御の回路構成要素を備える必要がある。しかしながら、独立して多重試料を反応させることが望まれるときは、各ユニットの独立制御あるいはユニットのグループ化が必要となる。
【0081】
図11aおよび図11bにおいて、一群のモジュール式の熱交換ユニットは、配列して並べられている。図11aは、4つのモジュール式のユニット(710)を持つ熱交換システム(700)の一実施形態を示し、モジュール式のユニット(710)の1つは、ベースサポート(702)上の内部ユニットを暴露するために、側部パネルが取り外された状態で示されている。図11cは、熱交換システム(800)のもう1つの実施形態を示し、8つのモジュール式のユニット(810)がベースサポート(802)上に配置されている。図11aにおいて、そして、図11bに示された断面図において、各ユニット(710)は、プロセッサボード(704)例えば共通制御器ボードと結合する光学回路基板(712)を有する。単一の制御器ボードは複数の回路基板、例えば4つの回路基板(図示せず)を有して、プロセッサボード(704)が一群のユニット(710)を制御する。システムパワーコンバータ(706)は、ユニット(710)に電力を供給する。
【0082】
代わりに、図11cに示すように、各ユニット(810)の光学回路基板(812)が、個々の制御器ボード(820)と結合して、各ユニットがそれ自身の制御器ボードを有する。図11cにおいて、頂部支持体(816)と光学アセンブリ(818)と光学回路基板(812)とを有する熱スリーブ(814)が、ベース(802)から取り外されて示されている。配列形態において、熱交換ユニット間の空隙は、全ての配列された熱交換ユニットの上部を覆うガスケットプレートによって密閉され得る。頂部支持体とガスケットプレートとは、配列された多重熱交換ユニット配列の面一の表面をなすように形成される。ガスケット材料は、好ましくは、漂白剤および他の洗浄溶液に対して耐性を有する。
【0083】
図11aを再び参照すると、モジュール式ユニット(710)を配列するためのベースサポート(702)は、幾つかの機能を提供する。例えば、ベースは、ユニットの物理的な取り付けと、プロセッサボード(704)の収容と、ユニットとホストコンピュータの間の電気接続とができる。多機能電気コネクタも物理的な取り付けとして役立つ。
【0084】
制御された熱交換ユニットの設置場所は、容易に組立てられて2次元的な配列になるように設計されている。加えて、一方向における間隔の狭さは、望まれるなら、連結された直線的配列のユニットの使用を認める。一実施例では、各モジュール式ユニットの全体の寸法は、約9X40X50mmである。狭い寸法は充分小さくて、例えば、手ごろな長さ(72mm)において、8ユニットが一緒にグループ化される。上記長さは、中心と中心の間が9mm間隙の標準多重ピペットであって、必要に応じて試料と化学薬品を装填でき市販の入手可能な標準多重ピペットと結合するのに適した長さである。
【0085】
本発明による熱反応装置は、多くの用途を見つけることができる。
【0086】
この発明の装置は、試料の化学反応、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なうのに使用され得る。各ユニットには、直接的に、或いは分離し挿入可能な反応チャンバ内で、反応に必要な試薬が供給される。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう際に、容器の反応チャンバは、試料ポリヌクレオチド、ポリメラーゼ、例えばタックポリメラーゼ(Taq polymerase)、ヌクレオチド三燐酸塩、試料ポリヌクレオチドと交雑可能な第1プライマーと、ポリヌクレオチドに対して補間する配列を持つ第2プライマーとを含む。必要な試薬の一部または全部は、収められた反応チャンバの中に存在するか、あるいは、試薬は試料に加えられて、次に入口ポートを通って反応チャンバに配られる。あるいは、試薬は試料とは無関係に反応チャンバに配られてもよい。ポリメラーゼ連鎖反応は、当該技術において周知の方法にしたがって行なわれる。
【0087】
ポリメラーゼ連鎖反応によるポリヌクレオチド増幅がここに記載されているが、本発明の装置と方法が、様々な他のポリヌクレオチド増幅反応および配位子接合評価に対して等しく有効に使用され得ることは、当業者によって認識される。
このような付加的な反応は、例えばポリメラーゼ連鎖反応は、熱的に循環する。或いは、付加的な反応は、例えば核酸配列をベースにした増幅(NASBA)は、単一の温度で行なわれる。さらに、このような反応は、広範で様々な増幅試薬と酵素を使用し、とりわけ、DNAリガーゼ,T7RNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素を含んでいる増幅試薬と酵素を使用する。加えて、ポリヌクレオチドの変性は、既知の化学的または物理的方法によって、単独あるいは熱的変化と組合せて達成される。この発明の装置で実施され得るポリヌクレオチド増幅反応は、限定するものではないが、(1)自立配列複製(3SR)および鎖置換増幅(SDA)のような標的ポリヌクレオチド増幅方法、(2)「有枝鎖」DNA増幅のような標的ポリヌクレオチドに取り付けられた信号の増幅に基づいた方法、(3)リガーゼ連鎖反応(LCR)およびQBレプリカーゼ増幅(QBR)のようなプローブDNAの増幅に基づいた方法、(4)配位子結合活性転写(LAT)および核酸配列ベース増幅(NASBA)のような転写ベースの方法、(5)修復連鎖反応(RCR)および循環プローブ反応(CPR)のような様々な他の増幅方法を含んでいる。
【0088】
上述の遺伝子または標的増幅方法に加えて、他の化学反応または生化学反応への適応が予想される。例えば、細胞の温度制御された消散は、意図された発明のもう1つの適応例であって、上述の遺伝子または標的増幅方法を補足し得るか或いは補足し得ない。多くの場合、これは、細胞を含んだ溶液の温度を数分間37℃に上げることによって達成され、続いて温度を上げて95℃に保持することによって、蛋白質加水分解酵素の活動が起きる。数秒から数分後に、細胞は溶解し、核酸のような標的成分が遊離されて、次に更に処理たとえば増幅される。他の適応においては、0℃から4℃の温度に低下させることによるリーシス(消散)の直後には、いかなる化学反応をも直ぐに停止することが望まれ、例えば、急速熱ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用するmRNAの表現状態を調査する場合がそうである。この装置によって与えられる急速な熱昇降によって、このような機能性が可能となる。
【0089】
さらに、開示された装置は、化学反応を制御し検出するために使用され得る。酵素反応速度の研究において、例えば、反応が開始する前に、0℃から4℃の低下された温度で試験反応混合物を保持し、次にこの低下された温度たとえば4℃から最適反応温度にもっていくことは有益である。中間温度で生じる好ましくない副反応が減少あるいは消滅されて、より正確な測定とより高純度の製品となり得る。さらに、このアプローチはもっと複雑な化学反応および生化学反応に広げられる。これらの反応は、多くの異なる温度に変化させることによって、或いは定期的に温度を低下させて反応を停止することによって、制御され調査されることができる。
【0090】
このような温度制御は、蛍光同質免疫測定のような配位子結合反応に対して開発され得る。反応開始事象が正確に為され、次の反応保持温度が温度勾配なしに正確に制御されるので、より良い分析評価性能が達成され得る。本発明の他の応用は本発明の範囲内であるように意図されていて、これらの適用は熱エネルギーの化学反応への移動を必要としている。
【0091】
本発明は、特定の実施形態と図に言及して、上に様々詳細に述べられてきた。しかしながら、本発明の広範な範囲から逸脱することなく、この開示に基づいて記載された装置と方法に対して、修正や代用が為され得ることは理解されなければならない。したがって、この発明の範囲は、以下のクレームおよびそれらのクレームと法的に等価なものによって決定されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明による反応容器の部分分解斜視図であり、反応チャンバの側壁の一部が取り外され、内部反応部が示され、試料ポートが付属のキャップによって密閉されていない。
【図2a】図2aは、本発明による熱スリーブに付随した反応チャンバを有する熱交換モジュールの概略側面図である。図2aは、挿入された反応チャンバに対してスリーブをバイアスする前のモジュールを示す。
【図2b】図2bは、本発明による熱スリーブに付随した反応チャンバを有する熱交換モジュールの概略側面図である。図2bは、スリーブが挿入された反応チャンバに対してバイアスさせられた後のモジュールを示す。
【図3】図3は、加熱要素と外部冷却ユニットとを有する熱スリーブに挿入された反応チャンバの平面図である。
【図4a】図4aは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の側面図を示す。
【図4b】図4bは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の外表面の正面図である。
【図4c】図4cは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、貯蔵器に至る試料チャンネルのある化学反応チャンバの内部の正面図である。
【図4d】図4dは、光学的視野を最適化するために角度の付いた主壁と副壁とを有する本発明による別の様々な反応容器の概略斜視図であって、容器の平面図である。
【図5】図5は、光源と光学検出器が配置されている光学的な検出のためのインテグラルレンズ付き反応チャンバの側面図である。
【図6】図6は、支持体に取付けられた加熱プレート付きの熱スリーブの等角図であり、もう1枚の加熱プレートは図示のために支持から取り除かれている。
【図7】図7は、熱スリーブ内に挿入された容器が付いた別の熱交換ユニットの等角図である。
【図8a】図8aは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、スリーブの加熱冷却要素の平面図である。
【図8b】図8bは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、図8aに示された冷却要素の正面図である。
【図8c】図8cは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、加熱冷却要素が付いた別のスリーブの正面図である。
【図8d】図8dは、本発明の代替の実施形態による熱スリーブの様々な加熱冷却形態を示し、図8cに示されたスリーブの側面図および平面図である。
【図9】図9は、熱スリーブと、回路基板に結合された光学アセンブリと、冷却ユニットとを有する熱交換器械の等角図である。反応容器は上記器械から分解されている。
【図10a】図10aは、光学アセンブリと冷却ユニットとを有する器械を含む熱交換ユニットの概略図を示す。図10aは上記熱交換ユニットの正面図を示す。
【図10b】図10bは、光学アセンブリと冷却ユニットとを有する器械を含む熱交換ユニットの概略図を示す。図10bは上記熱交換ユニットの側面図を示す。
【図11a】図11aは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11aはベースサポートの主制御器ボードと連結している4個のユニットを示す。
【図11b】図11bは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11bはベースサポートと空気および電気で連絡している図11aのユニットの1つを示す。
【図11c】図11cは、ベースサポート上の一群のモジュール式熱交換ユニットの概略図を示す。図11cは別の制御器ボードと連結している8個のユニットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 容器と、
上記容器は
i) 2つの対向する主壁と、上記主要壁を互いに接続する複数の副壁とによって形成され、少なくとも1つの上記主壁はシートまたはフィルムを備えている上記試料を保持するための反応チャンバと、
ii) 上記チャンバの中に流体を導入するためのポートと、
iii) 上記ポートを上記チャンバに接続するためのチャンネルとを
有し、
b) 上記シートまたはフィルムに接触するための少なくとも1つの加熱表面を備え、上記シートまたはフィルムは充分可撓性があり上記加熱表面と一致し、
c) 上記表面を加熱するための少なくとも1つの加熱源と、
d) 上記チャンバ内の圧力を増加するために上記チャンネル内に挿入可能なプラグとを備え、上記チャンバ内の圧力増加によって上記シートまたはフィルムが上記加熱表面に押し付けられることを特徴とする試料の温度を制御するための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
少なくとも2つの上記壁は光透過性であり、且つ、上記装置は、上記加熱表面が上記シートまたはフィルムと接触しながら上記チャンバを光学的に質疑するための光学器械をさらに備え、上記光学器械は、上記光透過壁の第1壁を通して光を上記チャンバに伝える少なくとも1つの光源と、上記光透過壁の第2壁を通してチャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とをさらに備えていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
少なくとも1つの上記加熱表面は、上記容器を収容するための熱スリーブによって提供され、上記スリーブは上記光透過壁に光学的に入出手段を提供する少なくとも1つの窓または開口部を有し、上記光学器械は、上記スリーブ内の上記少なくとも1つの窓または開口部を通して上記チャンバを質疑するように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の装置において、
上記加熱表面はプレートの表面を備え、且つ、上記熱源は上記プレートに結合された加熱抵抗器を備えていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
上記プレートはセラミック材料であり、且つ、上記抵抗器は上記プレート上にスクリーン印刷されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
上記主要壁の各々はシートまたはフィルムを備え、且つ、上記装置は対向するプレートによって形成された少なくとも2つの加熱表面を含み、上記プレートは上記主要壁に接触するようにして上記プレートの間に上記容器を収容するように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
互いに対向する関係において上記プレートを保持するための少なくとも1つの支持体をさらに備え、上記支持体は上記プレートの間に上記容器の上記チャンバを挿入するためのスロットを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の装置において、
少なくとも2つの上記主要壁は、光透過性であって上記チャンバに光学的窓を提供し、且つ、上記装置は、上記プレートの間の少なくとも1つの窓または開口部を通して上記チャンバを光学的に質疑するための光学器械をさらに備え、上記光学器械は、上記光透過壁の第1壁を通して上記チャンバに光を伝えるための少なくとも1つの光源と、上記光透過壁の第2壁を通して上記チャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2または3または8に記載の装置において、
上記光学器械は、
i)上記チャンバに異なる波長の励起光を伝えるための複数の光源およびフィルタと、
ii)上記チャンバから放射される異なる波長の光を検出するための複数の検出器およびフィルタとを
含んでいることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置において、
上記プレートと上記加熱源と上記光学器械とは熱交換ユニットに組み込まれ、上記装置は上記熱交換ユニットを収容するためのベースサポートをさらに備え、上記ベースサポートは上記熱交換ユニットの運転を制御するための少なくとも1つの制御装置を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
上記熱交換ユニットは
i)上記プレートと上記加熱源と上記光学器械とを保持するためのハウジングと、
ii)上記チャンバを冷却するために上記ハウジング内に配置された冷却要素とをさらに備えていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、
上記冷却要素は冷却空気を吹き出すためのファンを備えていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1つに記載の装置において、
上記ベースサポートは複数のこのような熱交換ユニットを収容すると共に独立に制御する構造となっていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項2乃至3または8乃至13のいずれか1つに記載の装置において、
光透過壁は互いに約90度の角度ほどオフセットし、且つ、上記光学器械は光学励起経路と検出経路との間で約90度の角度を提供していることを特徴とする装置。
【請求項15】
a)2つの対向する主要壁を備え、少なくとも1つの上記主要壁がシートまたはフィルムを備え、
b)反応容器を形成するために、上記主要壁を互いに接合する複数の剛性副壁を備え、上記チャンバに光学的窓を提供するために、少なくとも2つの上記副壁は光透過性であり、
c)上記チャンバ内に流体を導入するためのポートを備えていることを特徴とする反応容器。
【請求項16】
請求項15に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項17】
請求項15または16に記載の容器において、
上記ポートを密閉するための密閉手段をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項18】
請求項17に記載の容器において、
上記容器は上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルを含み、且つ、上記密閉手段は、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを備えていることを特徴とする容器。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか1つに記載の容器において、
上記容器は上記チャンバの上記副壁を提供する剛性フレームを含み、且つ、上記2つの対向する主要壁は上記剛性フレームの対向する側部に取付れられた2枚のシートまたはフィルムとを備え、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項20】
請求項19に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は重合体材料であることを特徴とする容器。
【請求項21】
請求項15乃至20のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁は角度が互いにオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項22】
請求項21に記載の容器において、
上記光透過壁は約90度だけオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項23】
請求項15乃至22のいずれか1つに記載の容器において、
或る波長の光のみが上記光透過壁を通過することができるように、上記光透過壁の上に光学要素または被覆材をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項24】
請求項15乃至23のいずれか1つに記載の容器において、
上記容器は上記チャンバを形成する少なくとも4つの副壁を含み、少なくとも2つの上記腹壁は光透過壁であり、他の少なくとも2つの副壁は上記チャンバ内の光を反射するための逆反射壁であることを特徴とする容器。
【請求項25】
請求項15乃至24のいずれか1つに記載の容器において、
上記副壁の熱伝導比に対する上記主要壁の熱伝導比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項26】
請求項15乃至25のいずれか1つに記載の容器において、
上記副壁の表面積に対する上記主要壁の表面積は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項27】
請求項15乃至26のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバに試薬を備えていることを特徴とする容器。
【請求項28】
試料を保持するための反応チャンバを有する容器において、
a)上記チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備え、少なくとも2つの上記副壁は光透過性で上記チャンバに光学的窓を提供し、
b)上記チャンバの主壁を形成するために、上記剛性フレームに取付けられた少なくとも1つのシートまたはフィルムと、
c)上記試料を上記チャンバに導入するためのポートとを
備えていることを特徴とする容器。
【請求項29】
請求項28に記載の容器において、
上記容器は、上記チャンバの2つの対向する主要壁を形成するために、上記フレームの対向する側に取り付けられている2つのシートまたはフィルムを含み、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項30】
請求項29に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は重合体材料を備えていることを特徴とする容器。
【請求項31】
請求項28乃至30のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁は角度が互いにオフセットされていることを特徴とする容器。
【請求項32】
請求項31に記載の容器において、
上記光透過壁は互いに約90度だけオフセットされていることを特徴とする容器。
【請求項33】
請求項28乃至32のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁の上に光学要素またはコーティングをさらに備えて、或る波長の光のみ上記壁を通過できることを特徴とする容器。
【請求項34】
請求項28乃至32のいずれか1つに記載の容器において、
光透過壁の各々はその表面に成形されたレンズを有していることを特徴とする容器。
【請求項35】
請求項28乃至34のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバは少なくとも4つの副壁を有し、少なくとも2つの上記副壁は光透過壁であり、他の少なくとも2つの副壁は上記チャンバ内の光を反射するための逆反射壁であることを特徴とする容器。
【請求項36】
請求項28乃至35のいずれか1つに記載の容器において、上記ポートを密閉するための密閉部材を備えていることを特徴とする容器。
【請求項37】
請求項36に記載の容器において、
上記容器は上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルをさらに含み、且つ、上記密閉部材は、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを備えていることを特徴とする容器。
【請求項38】
請求項28に記載の容器において、
上記少なくとも1つのシートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項39】
請求項29または30に記載の容器において、
上記腹壁の熱伝導に対する上記主要壁の熱伝導の比が、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項40】
請求項29または30または39に記載の容器において、
上記腹壁の表面積に対する上記主要壁の表面積の比が、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項41】
請求項28乃至40のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバ内に試薬をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項42】
試料を保持するための反応チャンバを有する反応容器であって、
a)上記チャンバの副壁を形成する剛性フレームと、
b)上記チャンバの主要壁から上記剛性フレームに取り付けられた少なくとも1つのシートまたはフィルムと、
c)上記試料を上記容器内に導入するためのポートと、
d)上記ポートを上記チャンバに接続するチャネルと、
e)上記チャンバ内の圧力を増加するために上記チャンバ内に挿入可能なプラグとを
備えていることを特徴とする反応容器。
【請求項43】
請求項42に記載の容器において、
上記容器は、上記剛性フレームの対向する側に取り付けられた2つのシートまたはフィルムを含んで、上記チャンバの対向する2つの主要壁を形成し、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致していることを特徴とする容器。
【請求項44】
請求項43に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は、重合体材料を備えていることを特徴とする容器。
【請求項45】
請求項42乃至44のいずれか1つに記載の容器において、
少なくとも2つの上記主要壁は、上記チャンバに光学窓を提供するために、光透過性であることを特徴とする容器。
【請求項46】
請求項45に記載の容器において、
上記光透過壁は、角度が互いにオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項47】
請求項45に記載の容器において、
上記光透過壁は、角度が互いに約90度だけオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項48】
請求項45乃至47のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁上に、或る波長の光のみが上記壁を通過するための光学要素またはコーティングをさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項49】
請求項45乃至48のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバは、少なくとも4つの副壁と、少なくとも2つの光透過性の主要壁と、上記チャンバ内の光を反射するための少なくとも2つの逆反射性の副壁とを有していることを特徴とする容器。
【請求項50】
請求項42に記載の容器において、
上記少なくとも1つのシートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項51】
請求項43または44に記載の容器において、
上記副壁の熱伝導に対する上記主要壁の熱伝導の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項52】
請求項43または44または51に記載の容器において、
上記副壁の表面積に対する上記主要壁の表面積の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項53】
請求項42乃至52のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバ内に試薬を備えていることを特徴とする容器。
【請求項54】
試料を保持するための反応チャンバを有する容器を製造するための方法であって、
a) i)上記チャンバの上記副壁を形成する剛性フレームと、
ii)上記チャンバ内に流体を導入するためのポートとを
有するハウジングを製造するステップと、
b)上記チャンバの少なくとも1つの主要壁を形成するために、上記剛性フレームに少なくとも1つのシートまたはフィルムを取り付けるステップとを
備えていることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、
上記ステップb)は、上記チャンバの上記2つの対向する主要壁を作るために、上記剛性フレームの対向する側部に2つのシートまたはフィルムを取り付けることを備えていることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、
上記剛性フレームに取り付けられた上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項54乃至56のいずれか1つに記載の方法において、
上記ハウジングには上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルが備えられていて、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを製造するステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
少なくとも1つの上記光透過壁に光学要素を製造するためのステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
上記光透過壁の各々の表面に少なくとも1つのレンズを成形するステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項54乃至59のいずれか1つに記載の方法において、
上記フレームは、上記光透過壁の角度が互いにオフセットするように製造されていることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、
上記光透過壁は、互いに90度だけオフセットされていることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
上記光透過壁上に光学要素またはコーティングを作るステップをさらに備えて、上記光学要素またはコーティングによって、或る波長の光のみが上記光透過壁を通過できることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項54乃至62のいずれか1つに記載の方法において、
上記フレームには、上記チャンバを形成する少なくとも4つの壁と、上記透過壁である少なくとも2つの副壁と、上記チャンバ内の光を反射する逆反射器付きで作られた少なくとも2つの副壁とが、備えられていることを特徴とする方法。
【請求項1】
a) 容器と、
上記容器は
i) 2つの対向する主壁と、上記主要壁を互いに接続する複数の副壁とによって形成され、少なくとも1つの上記主壁はシートまたはフィルムを備えている上記試料を保持するための反応チャンバと、
ii) 上記チャンバの中に流体を導入するためのポートと、
iii) 上記ポートを上記チャンバに接続するためのチャンネルとを
有し、
b) 上記シートまたはフィルムに接触するための少なくとも1つの加熱表面を備え、上記シートまたはフィルムは充分可撓性があり上記加熱表面と一致し、
c) 上記表面を加熱するための少なくとも1つの加熱源と、
d) 上記チャンバ内の圧力を増加するために上記チャンネル内に挿入可能なプラグとを備え、上記チャンバ内の圧力増加によって上記シートまたはフィルムが上記加熱表面に押し付けられることを特徴とする試料の温度を制御するための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
少なくとも2つの上記壁は光透過性であり、且つ、上記装置は、上記加熱表面が上記シートまたはフィルムと接触しながら上記チャンバを光学的に質疑するための光学器械をさらに備え、上記光学器械は、上記光透過壁の第1壁を通して光を上記チャンバに伝える少なくとも1つの光源と、上記光透過壁の第2壁を通してチャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とをさらに備えていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
少なくとも1つの上記加熱表面は、上記容器を収容するための熱スリーブによって提供され、上記スリーブは上記光透過壁に光学的に入出手段を提供する少なくとも1つの窓または開口部を有し、上記光学器械は、上記スリーブ内の上記少なくとも1つの窓または開口部を通して上記チャンバを質疑するように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の装置において、
上記加熱表面はプレートの表面を備え、且つ、上記熱源は上記プレートに結合された加熱抵抗器を備えていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
上記プレートはセラミック材料であり、且つ、上記抵抗器は上記プレート上にスクリーン印刷されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
上記主要壁の各々はシートまたはフィルムを備え、且つ、上記装置は対向するプレートによって形成された少なくとも2つの加熱表面を含み、上記プレートは上記主要壁に接触するようにして上記プレートの間に上記容器を収容するように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
互いに対向する関係において上記プレートを保持するための少なくとも1つの支持体をさらに備え、上記支持体は上記プレートの間に上記容器の上記チャンバを挿入するためのスロットを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の装置において、
少なくとも2つの上記主要壁は、光透過性であって上記チャンバに光学的窓を提供し、且つ、上記装置は、上記プレートの間の少なくとも1つの窓または開口部を通して上記チャンバを光学的に質疑するための光学器械をさらに備え、上記光学器械は、上記光透過壁の第1壁を通して上記チャンバに光を伝えるための少なくとも1つの光源と、上記光透過壁の第2壁を通して上記チャンバに存在する光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2または3または8に記載の装置において、
上記光学器械は、
i)上記チャンバに異なる波長の励起光を伝えるための複数の光源およびフィルタと、
ii)上記チャンバから放射される異なる波長の光を検出するための複数の検出器およびフィルタとを
含んでいることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置において、
上記プレートと上記加熱源と上記光学器械とは熱交換ユニットに組み込まれ、上記装置は上記熱交換ユニットを収容するためのベースサポートをさらに備え、上記ベースサポートは上記熱交換ユニットの運転を制御するための少なくとも1つの制御装置を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
上記熱交換ユニットは
i)上記プレートと上記加熱源と上記光学器械とを保持するためのハウジングと、
ii)上記チャンバを冷却するために上記ハウジング内に配置された冷却要素とをさらに備えていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、
上記冷却要素は冷却空気を吹き出すためのファンを備えていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1つに記載の装置において、
上記ベースサポートは複数のこのような熱交換ユニットを収容すると共に独立に制御する構造となっていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項2乃至3または8乃至13のいずれか1つに記載の装置において、
光透過壁は互いに約90度の角度ほどオフセットし、且つ、上記光学器械は光学励起経路と検出経路との間で約90度の角度を提供していることを特徴とする装置。
【請求項15】
a)2つの対向する主要壁を備え、少なくとも1つの上記主要壁がシートまたはフィルムを備え、
b)反応容器を形成するために、上記主要壁を互いに接合する複数の剛性副壁を備え、上記チャンバに光学的窓を提供するために、少なくとも2つの上記副壁は光透過性であり、
c)上記チャンバ内に流体を導入するためのポートを備えていることを特徴とする反応容器。
【請求項16】
請求項15に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項17】
請求項15または16に記載の容器において、
上記ポートを密閉するための密閉手段をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項18】
請求項17に記載の容器において、
上記容器は上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルを含み、且つ、上記密閉手段は、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを備えていることを特徴とする容器。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか1つに記載の容器において、
上記容器は上記チャンバの上記副壁を提供する剛性フレームを含み、且つ、上記2つの対向する主要壁は上記剛性フレームの対向する側部に取付れられた2枚のシートまたはフィルムとを備え、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項20】
請求項19に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は重合体材料であることを特徴とする容器。
【請求項21】
請求項15乃至20のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁は角度が互いにオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項22】
請求項21に記載の容器において、
上記光透過壁は約90度だけオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項23】
請求項15乃至22のいずれか1つに記載の容器において、
或る波長の光のみが上記光透過壁を通過することができるように、上記光透過壁の上に光学要素または被覆材をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項24】
請求項15乃至23のいずれか1つに記載の容器において、
上記容器は上記チャンバを形成する少なくとも4つの副壁を含み、少なくとも2つの上記腹壁は光透過壁であり、他の少なくとも2つの副壁は上記チャンバ内の光を反射するための逆反射壁であることを特徴とする容器。
【請求項25】
請求項15乃至24のいずれか1つに記載の容器において、
上記副壁の熱伝導比に対する上記主要壁の熱伝導比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項26】
請求項15乃至25のいずれか1つに記載の容器において、
上記副壁の表面積に対する上記主要壁の表面積は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項27】
請求項15乃至26のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバに試薬を備えていることを特徴とする容器。
【請求項28】
試料を保持するための反応チャンバを有する容器において、
a)上記チャンバの副壁を形成する剛性フレームを備え、少なくとも2つの上記副壁は光透過性で上記チャンバに光学的窓を提供し、
b)上記チャンバの主壁を形成するために、上記剛性フレームに取付けられた少なくとも1つのシートまたはフィルムと、
c)上記試料を上記チャンバに導入するためのポートとを
備えていることを特徴とする容器。
【請求項29】
請求項28に記載の容器において、
上記容器は、上記チャンバの2つの対向する主要壁を形成するために、上記フレームの対向する側に取り付けられている2つのシートまたはフィルムを含み、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項30】
請求項29に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は重合体材料を備えていることを特徴とする容器。
【請求項31】
請求項28乃至30のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁は角度が互いにオフセットされていることを特徴とする容器。
【請求項32】
請求項31に記載の容器において、
上記光透過壁は互いに約90度だけオフセットされていることを特徴とする容器。
【請求項33】
請求項28乃至32のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁の上に光学要素またはコーティングをさらに備えて、或る波長の光のみ上記壁を通過できることを特徴とする容器。
【請求項34】
請求項28乃至32のいずれか1つに記載の容器において、
光透過壁の各々はその表面に成形されたレンズを有していることを特徴とする容器。
【請求項35】
請求項28乃至34のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバは少なくとも4つの副壁を有し、少なくとも2つの上記副壁は光透過壁であり、他の少なくとも2つの副壁は上記チャンバ内の光を反射するための逆反射壁であることを特徴とする容器。
【請求項36】
請求項28乃至35のいずれか1つに記載の容器において、上記ポートを密閉するための密閉部材を備えていることを特徴とする容器。
【請求項37】
請求項36に記載の容器において、
上記容器は上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルをさらに含み、且つ、上記密閉部材は、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを備えていることを特徴とする容器。
【請求項38】
請求項28に記載の容器において、
上記少なくとも1つのシートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項39】
請求項29または30に記載の容器において、
上記腹壁の熱伝導に対する上記主要壁の熱伝導の比が、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項40】
請求項29または30または39に記載の容器において、
上記腹壁の表面積に対する上記主要壁の表面積の比が、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項41】
請求項28乃至40のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバ内に試薬をさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項42】
試料を保持するための反応チャンバを有する反応容器であって、
a)上記チャンバの副壁を形成する剛性フレームと、
b)上記チャンバの主要壁から上記剛性フレームに取り付けられた少なくとも1つのシートまたはフィルムと、
c)上記試料を上記容器内に導入するためのポートと、
d)上記ポートを上記チャンバに接続するチャネルと、
e)上記チャンバ内の圧力を増加するために上記チャンバ内に挿入可能なプラグとを
備えていることを特徴とする反応容器。
【請求項43】
請求項42に記載の容器において、
上記容器は、上記剛性フレームの対向する側に取り付けられた2つのシートまたはフィルムを含んで、上記チャンバの対向する2つの主要壁を形成し、上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致していることを特徴とする容器。
【請求項44】
請求項43に記載の容器において、
上記シートまたはフィルムの各々は、重合体材料を備えていることを特徴とする容器。
【請求項45】
請求項42乃至44のいずれか1つに記載の容器において、
少なくとも2つの上記主要壁は、上記チャンバに光学窓を提供するために、光透過性であることを特徴とする容器。
【請求項46】
請求項45に記載の容器において、
上記光透過壁は、角度が互いにオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項47】
請求項45に記載の容器において、
上記光透過壁は、角度が互いに約90度だけオフセットしていることを特徴とする容器。
【請求項48】
請求項45乃至47のいずれか1つに記載の容器において、
上記光透過壁上に、或る波長の光のみが上記壁を通過するための光学要素またはコーティングをさらに備えていることを特徴とする容器。
【請求項49】
請求項45乃至48のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバは、少なくとも4つの副壁と、少なくとも2つの光透過性の主要壁と、上記チャンバ内の光を反射するための少なくとも2つの逆反射性の副壁とを有していることを特徴とする容器。
【請求項50】
請求項42に記載の容器において、
上記少なくとも1つのシートまたはフィルムは、充分に可撓性があり、加熱表面または冷却表面に一致することを特徴とする容器。
【請求項51】
請求項43または44に記載の容器において、
上記副壁の熱伝導に対する上記主要壁の熱伝導の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項52】
請求項43または44または51に記載の容器において、
上記副壁の表面積に対する上記主要壁の表面積の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする容器。
【請求項53】
請求項42乃至52のいずれか1つに記載の容器において、
上記チャンバ内に試薬を備えていることを特徴とする容器。
【請求項54】
試料を保持するための反応チャンバを有する容器を製造するための方法であって、
a) i)上記チャンバの上記副壁を形成する剛性フレームと、
ii)上記チャンバ内に流体を導入するためのポートとを
有するハウジングを製造するステップと、
b)上記チャンバの少なくとも1つの主要壁を形成するために、上記剛性フレームに少なくとも1つのシートまたはフィルムを取り付けるステップとを
備えていることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、
上記ステップb)は、上記チャンバの上記2つの対向する主要壁を作るために、上記剛性フレームの対向する側部に2つのシートまたはフィルムを取り付けることを備えていることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、
上記剛性フレームに取り付けられた上記シートまたはフィルムの各々は、充分に可撓性があり、それぞれの加熱表面に一致することを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項54乃至56のいずれか1つに記載の方法において、
上記ハウジングには上記ポートを上記チャンバに接続するチャンネルが備えられていて、上記チャンバ内の圧力を増加させるために、上記チャンネルに挿入可能なプラグを製造するステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
少なくとも1つの上記光透過壁に光学要素を製造するためのステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
上記光透過壁の各々の表面に少なくとも1つのレンズを成形するステップをさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項54乃至59のいずれか1つに記載の方法において、
上記フレームは、上記光透過壁の角度が互いにオフセットするように製造されていることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、
上記光透過壁は、互いに90度だけオフセットされていることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項54乃至57のいずれか1つに記載の方法において、
上記光透過壁上に光学要素またはコーティングを作るステップをさらに備えて、上記光学要素またはコーティングによって、或る波長の光のみが上記光透過壁を通過できることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項54乃至62のいずれか1つに記載の方法において、
上記フレームには、上記チャンバを形成する少なくとも4つの壁と、上記透過壁である少なくとも2つの副壁と、上記チャンバ内の光を反射する逆反射器付きで作られた少なくとも2つの副壁とが、備えられていることを特徴とする方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【公開番号】特開2012−106242(P2012−106242A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268248(P2011−268248)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2008−77173(P2008−77173)の分割
【原出願日】平成10年3月2日(1998.3.2)
【出願人】(500065565)
【氏名又は名称原語表記】CEPHEID
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2008−77173(P2008−77173)の分割
【原出願日】平成10年3月2日(1998.3.2)
【出願人】(500065565)
【氏名又は名称原語表記】CEPHEID
【Fターム(参考)】
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