説明

熱交換器およびその製造方法

【課題】応力集中の心配がなく耐久性に優れた支持枠部材を備えた熱交換器を提供する。
【解決手段】コア部の周縁に補強用の支持枠部材を配置する熱交換器で、支持枠部材10が、長手方向LDでの端縁から所定長さLtに設けられ、コア部の側部近傍に配置されるタンクに設けた受孔に挿入される舌片状の平板端部11と、中心軸線CLに垂直な幅方向WDで平板端部の左右側端位置からそれぞれ同幅Wtで曲げ起こし形成した左・右側壁14a,14bを有する側壁設置部13と、平板端部11と側壁設置部13との間にあって、左・右拡幅部を曲げ加工する前には平面視で平板端部と側壁設置部との幅員差に基づいて幅を徐々に変化させた等脚台形の形状であり、曲げ加工後に一部が変形して曲げ起こされると平板端部から左・右側壁に連なる三角状側壁15となる構造をなす中間部12とを含み、平板端部11、側壁設置部13及び中間部12は外形幅が一定に形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に用いる熱交換器、その製造方法に関する。より詳細には、コア部を補強する支持枠部材が配備してある熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置の冷媒回路に接続される熱交換器としては例えばコンデンサやエバポレータなどが知られている。このような熱交換器は、移動体である車両に搭載されるものであるので、例えば車両が急発進や急停止したときなどのように強い外力を受けても、破損などを発生せない強い構造体に形成しておく必要がある。そのために、従来から熱交換器の本体部となるコア部の周縁部に長尺な補強用の支持枠部材(サイドプレートなどとも称される)を設けた構造が採用されている。
上記支持枠部材として、例えば加工前にあって平板状で長尺な部材の左右両側を曲げ起こすなどの加工をして側壁とし、横断面が略コ字状であるチャンネル型としたものが多く採用されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−248783号公報
【特許文献2】特開2003−94135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、従来の支持枠部材では、その長手方向での端部(端縁から所定長さの部分)については側壁を設けない舌片状の平板端部としてあり、コア部の側部近傍に配置されるタンクの受孔に挿入して固定する構造が採用されている(特許文献1の図1、図2、特許文献2の図2参照)。
ところが、車両に実際に搭載された熱交換器を考慮すると、車両の移動に伴って上記平板端部に極めて強い外力が作用する場合がある。そのため、例えば特許文献1の図1で示す長方形状の底板部の左右両側に長方形状の側壁を直角に立設させただけの単純な形状では、側壁と平板端部との境界(平板端部の根本部分)などに応力が集中して破断することが懸念される。
【0005】
これに対して、特許文献2で開示する支持枠部材は側壁から平板端部との間に傾斜した三角状の側壁とされているので、上記で指摘した応力集中は多少は緩和されているものと思われる。しかしながら、このような形状であっても、平板端部は側壁を設けた部分よりも部材幅が狭くなっており、やはり側壁と平板端部との境界(平板端部の根本部分)などに応力が集中して破断することが懸念される。
本発明の目的は、上述した従来の課題を鑑みてなされたもので、応力集中などの心配がなく耐久性にすぐれた支持枠部材を備えて信頼性のある熱交換器を提案すること、また、その効率的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、板状で概ね矩形形状であるコア部の周縁に、長尺な補強用の支持枠部材を配置する熱交換器であって、前記支持枠部材が、長手方向での端縁から所定長さに設けられて、前記コア部の側部近傍に配置されるタンクに設けた受孔に挿入される舌片状の平板端部と、中心軸線に垂直な幅方向で前記平板端部の左右側端位置からそれぞれ同幅で拡幅し且つ前記軸線に沿って延在させた左・右拡幅部を曲げ起こし形成した左・右側壁を有する側壁設置部と、前記平板端部と前記側壁設置部との間にあって、左・右拡幅部を曲げ加工する前には平面視で前記平板端部と前記側壁設置部との幅員差に基づいて幅を徐々に変化させた等脚台形の形状であり、前記曲げ加工後に一部が変形して曲げ起こされると前記平板端部から前記左・右側壁に連なる三角状側壁となる構造をなす中間部とを含み、前記平板端部、前記側壁設置部および前記中間部は、外形幅が一定に形成してあることを特徴とする、本発明により達成される(請求項1)。
【0007】
また、上記目的は、板状で概ね矩形形状であるコア部の周縁に配置される、長尺で横断面形状が略コ字状である補強用の支持枠部材を備えた熱交換器の製造方法であって、加工前の平面視で、第1幅に形成した第1エリア、前記第1幅より幅広であり且つ中心軸線から同幅で拡幅してある第2幅に形成した第2エリア、および前記第1エリアと前記第2エリアとの間で幅員差に基づき幅を徐々に変化させ等脚台形形状となる第3エリアを含む形状に形成してある長尺部材を準備する工程と、一定の幅および深さの溝部が直線状に設けてある長尺の受け冶具と、横断形状が概ね角形状で長尺であり、前記受け冶具上に載置した前記長尺部材の前記第1エリアを押す部分であって前記溝部にちょうど嵌合する幅に形成してあるヘッド部と、前記ヘッド部よりも左右同様に幅狭に形成した本体胴部とにより構成した押込み治具とを用いて支持枠部材を形成するプレス工程とを含み、該プレス工程では、前記受け冶具上に載置した前記長尺部材を、前記押込み治具で押込む際に、前記ヘッド部で前記長尺部材の前記第1エリアを変形させないで押込みつつ、前記本体胴部で前記長尺部材の前記第2エリア及び前記第3エリアを前記溝部に倣った外形形状で横断面形状が略コ字状となるように折り曲げ、外形幅が一定な支持枠部材を形成することを特徴とする、本発明によっても達成できる(請求項2)。
【0008】
そして、前記押込み治具が、前記ヘッド部と前記本体胴部との間に、幅員差に基づき幅を徐々に変化させたテーパ部を備えており、長手方向で、前記第3エリアは前記テーパ部よりも長く形成されており、前記プレス工程では、前記第3エリアの前記第1エリア側の先端部を前記テーパ部に対応させて支持枠部材を形成するのが望ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持枠部材が、外形幅を一定に形成してあり、応力集中し難い形状とされ耐久性が向上しており、外力に対してより強い構造となるっているので、この支持枠部材を採用する熱交換器の信頼性を高めることができる(請求項1)。
【0010】
また、本発明によれば、外形幅が一定で耐久性に優れる支持枠部材を備えた熱交換器を簡易に効率よく製造できる(請求項2)。
【0011】
また、本発明によれば、ヘッド部と本体胴部との間に、幅員差に基づき幅を徐々に変化させたテーパ部を備えた押込み治具を用いることで、長尺部材の第3エリアを捩じり変形させ平板端部から左・右側壁に連なる側壁を確実に形成できる(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器としてのコンデンサの外観を示した斜視図である。
【図2】熱交換器に採用される支持枠部材の左端部を拡大した図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】(a)は受け冶具上に長尺部材を載置した状態を示す平面図、(b)は押込み治具の平面図、そして(c)は受け冶具上に長尺部材を載置し、更にその上に押込み治具を載置した状態を示す平面図である。
【図4】受け冶具と押込み治具を用いて、材料となる長尺部材をプレス加工して支持枠部材を得る一連の工程を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る熱交換器について図面を参照して説明する。なお、ここでは熱交換器を車両用空調装置のコンデンサとした場合を一例として説明する。
図1は、熱交換器としてコンデンサ1の外観を示した斜視図を示している。例えば、コンデンサ1は図示しない車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する冷媒回路に組み込まれ、当該空調装置の運転時に冷媒を冷却する放熱器として機能する。
本発明は、コア部を補強する支持枠部材に新規な構造を備えている点を特徴とする熱交換器である。そして、熱交換器が備えるべき基本構成は従来において一般的なものでよい。よって、以下では、コンデンサ1の構成を簡単に説明して、このコンデンサ1に採用した新規な支持枠部材の構造につき詳細に説明する。なお、このような支持枠部材には、車両への取付け部材となるブラケット等が固定される場合が多く、コア部の補強構造および車両への取付け構造として機能することになる。
【0014】
図1で示すように、コンデンサ1は、冷媒(つまり媒体)を流通するチューブ110とコルゲート型などのフィン120とを交互に積層してなるコア部100が中央に広く形成されている。このようなコア部100は複数のチューブ110が配置されているので冷媒とチューブ間を流通する空気を利用して熱交換が行われる。各チューブ110の端部は第1のタンク131、第2のタンク132、及び第3のタンク133に接続されており、第1のタンク131には冷媒の入口部134、第3のタンク133には冷媒の出口部135が設けられている。各タンク131〜133は、その上下端部が閉鎖された中空の管状体である。なお、符号137はサブクールタンクである。
そして、図から明らかなようにコア部100は概略の外形が板状の矩形形状で、その上下の端(周縁)には補強部材となる支持枠部材10が配置してある。支持枠部材10は支持枠部材10の両側端で各タンク131〜133に支持されている。
【0015】
このコンデンサ1は、コア部100の上下端に配置した支持枠部材10が新規な形状に形成してある。以下、支持枠部材10について説明する。なお、図1で示したコンデンサ1は上下端(周縁)のそれぞれに支持枠部材10が配置され、この支持枠部材10に例えば車両側への取付け部材となる取付けブラケット140が固定され、コンデンサ1の車両側への組付けに活用される。支持枠部材10における構造は、上下いずれも同様であるので、ここでは上側の支持枠部材10について説明する。
【0016】
図1で示すように、支持枠部材10は横断面形状が略コ字状で延在している長尺部材で、上方側が解放された姿勢で設置してある。より具体的には、支持枠部材10は上向きの姿勢で配置されているチャンネル型の部材で、背面(下面)がコア部100の上端(周縁の一部)側に固定されて支持フレーム構造体として機能している。
【0017】
図2は、上記支持枠部材10の左端部側を拡大した図で、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。なお、支持枠部材10の右端部側も同様な構造である。
図2は支持枠部材10の左端側の一部を示しているが、その全体は長尺であり横断面形状はコ字形状のチャンネル型である。先端部はコア部の近傍に配置されるタンク(図1、131〜133参照)に設けた受孔に挿入するため、舌片状の平板端部11となっている。そして、側壁の高さが徐々に変化する三角状側壁15が形成してある中間部12を介して、支持枠部材10の右側(中央部側)は左・右側壁14a、14bを有する側壁設置部13となっている。
【0018】
上記平板端部11は、長手方向LDでの端縁11eから所定長さLtの範囲に設けられ、その平面形状は前述したようにタンクに設けた受孔に挿入するため大よそ矩形(長方形)の舌片状であるが、必要に応じて、例えば先端部側の幅を基端部側の幅より若干、狭く形成してもよい。
【0019】
また、側壁設置部13は、中心軸線CLに垂直な幅方向WDで、上記平板端部11の左右側端位置それぞれから同幅で拡幅された部分を左・右側壁としてある。すなわち幅方向WDでの平板端部11の幅をLwとして、側壁設置部13に該当する領域では平板端部11の幅Lwより左右同様に幅Wtをもって拡幅された拡幅部を中心軸線CLに沿って延在させ、拡幅部を曲げ起こすことで左・右側壁14a、14bとしている。図2は、拡幅部を左・右側壁14a、14bとした後を示すので、側壁の高さが大よそ拡幅した幅Wtに対応することになる。
【0020】
そして、支持枠部材10は、上記平板端部11と上記側壁設置部13との間に中間部12が設けてある構造である。この中間部12は、左・右拡幅部を曲げ加工する前には上記平板端部11と上記側壁設置部13との幅員差に基づいて幅を徐々に変化させて平面視で等脚台形の形状をなしている。よって、曲げ加工後に一部(具体的には、幅が徐々に変化した部分)が変形して曲げ起こされることで上記平板端部11から上記左・右側壁14a、14bに連なる三角状側壁15が形成されている。
【0021】
そして、特徴的な構成として、上記平板端部11、側壁設置部13および中間部12は、外形幅(幅方向WDでの長さ)が一定に形成してある。この点は図2(a)から明らかであるが、この支持枠部材10では幅方向WDでの幅寸法Lwが一定となっている。
なお、前述した説明は、支持枠部材10の形状的な特徴をより明確とするため、平板端部11、側壁設置部13、そして中間部12と各部に分けて説明したものであるが、実際の支持枠部材10は1つの長尺部材(後述する長尺部材20)を所定の治具(一対の金型)を用いプレス加工で製造される一体の部材である。支持枠部材10の製造方法については、後に詳述する。
【0022】
上記のような形状の支持枠部材10は、タンクに差し込まれる舌片状の平板端部11と、左・右側壁14a、14bを有する側壁設置部13との間に、形状が徐々に変化する中間部12が設けてあり、全体として平板端部11と側壁設置部13とで外形幅(幅方向WDでの長さ)が一定になるようにしているので、応力集中による破壊の心配がない耐久性を向上させた形状となっており、外力に対してより強い構造となっている。よって、このような支持枠部材を備えた熱交換器も結果として耐久性に優れた信頼性の高い装置となる。
【0023】
以下では、図2に示した構造の支持枠部材10を製造するのに好適な製造方法を、更に、図3および図4を参照して説明する。
なお、以下で説明する支持枠部材の製造方法は、第1エリアと第2エリアとの間に第3エリアを設定した形状に構成した長尺部材20を準備して受け冶具(受け金型)30上に載置し、これを押込み治具(押し金型)40で上から押し込むプレス加工を実行することで支持枠部材10を得るものである。
【0024】
図3は、上記長尺部材20、受け冶具30、そして押込み治具40について示し、図3(a)は受け冶具30上の所定位置に長尺部材20を載置した状態を示した平面図、図3(b)は押込み治具40の平面図、そして図3(c)は受け冶具30上の所定位置に長尺部材20を載置し、更に長尺部材20上の所定位置に押込み治具40を載置した状態を示した平面図である。
【0025】
また図4は、受け冶具30と押込み治具40を用いて、材料となる長尺部材20をプレス加工して支持枠部材を得る一連の工程を模式的に示した図である。すなわち、図3と同様に、図4も長尺部材20、受け冶具30、そして押込み治具40について示しており、図4は長尺部材20から支持枠部材を得る工程が確認できるように連続的に示した図となっている。
図4(a)は受け冶具30上の所定位置にある長尺部材20の上方に押込み治具40を配置している加工前、図4(b)は長尺部材20上に当接してプレスする直前の状態をそれぞれ示している。なお、図4(b)では下段に治具端部から長手方向へ見た正面図を示している。この図4(b)に示す状態は、図3(c)の平面図に示す状態に対応している。
図4(c)は押込み治具40を押下げて長尺部材20を治具に沿った形状に変形させるプレスを実行した様子を示し、図4(d)はプレス後、押込み治具40を引き上げて受け冶具30の溝部31内にて目的の支持枠部材10が完成した状態を示している。なお、図4(d)でも下段に治具端部から長手方向へ見た正面図を示している。
【0026】
さて、図3を参照して説明すると、長尺部材20は第1幅に形成した第1エリア21、上記第1幅より幅広であり、且つ、中心軸線から同幅に拡幅してある第2幅に形成した第2エリア22、および上記第1エリア21と上記第2エリア22との間で幅員差に基づき幅を徐々に変化させ等脚台形形状となる第3エリア23を含んだ形状に形成してある。
【0027】
一方、受け冶具30は、長尺部材20が載置される長尺で、横断面の外形が角形状であり、その中央部には長手方向に沿って、一定の幅および深さで直線状に溝部31が設けてある。
また、押込み治具40は横断形状が角形状で長尺であり、受け冶具30上に載置した上記長尺部材20の第1エリア21を押す部分であって上記溝部31にちょうど嵌合する幅に形成してあるヘッド部41と、上記ヘッド部41よりも左右同様に幅狭に形成した本体胴部42とを備え、好ましい構造として、上記ヘッド部41と本体胴部42との間にはこれらの幅員差を徐々に変化させたテーパ部43が設けてある。なお、図3(c)で示すように、長尺部材20の板厚(寸法)を「t」としたとき、本体胴部42はヘッド部41の幅より左右両側それぞれが板厚「t」に対応する寸法分、幅狭に形成してある。
【0028】
よって、受け冶具30上に載置した長尺部材20の第1エリア21を押込み治具40のヘッド部41で押込むようにセットし、押込み治具40の本体胴部42で長尺部材20の他の部分を受け冶具30の溝部31内に上から押込むと、長尺部材20が溝部31に倣った外形形状にプレス加工されて、外形幅が一定である支持枠部材10を得ることができる。
すなわち、上記第1エリア21、拡幅してある第2エリア22、そしてそのエリア間で幅員差に基づき幅を徐々に変化させ等脚台形形状となる第3エリア23を含む長尺部材20がプレス加工されて断面コ字状の支持枠部材10を製造できる。ここに、第1エリア21は平板端部11、第2エリア22は側壁設置部13、第3エリア23は三角状側壁15を有する中間部12それぞれに対応することになる。
【0029】
上述した製造工程では、押込み治具のヘッド部41から、これより細い本体胴部42に変化する部分と溝部31との間に押し込まれた第1エリア21と第3エリア23との境界に近い部分が捻じれ変形し、これに続く部分が徐々に押し曲げられて、第3エリア23の拡幅部分が三角状側壁15に形成される。この際、支持枠部材10における中間部12の平板端部11側の近傍は上記のように捻じれ変形するが、それ以後の部分は押込み治具のヘッド部41よりも細い本体胴部42が第3エリア23の残り部分及び第2エリア22を押し込むので、溝部31の内壁に沿って横断面コ字状の構造体を形成できる。
【0030】
上記工程を換言して説明すると、先端側の第1エリア21は溝部31にちょうど嵌合するヘッド部41で押込まれて板状端部11となる。第2エリア22の全体と第3エリア23の大部分は溝部31の幅よりも狭い本体胴部42で押込まれて、外形幅が板状端部11と同じLwのコ字状形状に成形される。
そして、ヘッド部41から本体胴部42で幅が変化する部分では、第3エリア23で特に第1エリア21側の先端部の部分が捻じれ変形するので、この部分も他と同様に形成でき、全体として同幅の支持枠部材10を確実に形成できる。図2では、捻じれ変形して形成される部分を、参考のため特にハッチHTを付してある。
【0031】
また、押込み治具40はヘッド部41と本体胴部42との間にテーパ部43を備えている。そして、長手方向で、第3エリア23がテーパ部43よりも長く形成され、上記第3エリア23の第1エリア21側の先端部をテーパ部に対応させて上記プレス工程を実行している。これにより、前述した捻じれ部を安定、確実に形成して外形が整った支持枠部材10を形成できる。
【0032】
以上のように、本発明によれば、タンクに設けた受孔に挿入される舌片状の平板端部11と、左・右側壁14a、14bを有する側壁設置部13との間に形状が徐々に変化する中間部12が設けてあり、全体として平板端部11と側壁設置部13とで外形幅(幅方向WDでの長さ)が一定になるようにしているので、支持枠部材10を応力集中し難い形状として耐久性を向上させ、外力に対してより強い構造にできる。よって、このような支持枠部材10を採用する熱交換器は結果として耐久性に優れ、信頼性の高い熱交換器を提供できる。特に、このように外形幅が一定な支持枠部材を備える熱交換器は、前述したように所定形状の長尺部材および治具を用いたプレス加工で、簡易に効率よく製造できる。
【0033】
本発明は、上述の実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
前述した実施例では左右両サイドにタンク(タンク131〜133)のあるタイプのコンデンサの場合を図1で例示した。タンクの配置形態はこれに限らず、タンクが上下に配置され、支持枠部材が左右にあるタイプのコンデンサにも本発明を同様に適用できる。また、本発明はコンデンサに限らず車両用空調装置のエバポレータにも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 コンデンサ(熱交換器)
10 支持枠部材
11 平板端部
12 中間部
13 側壁設置部
14a、14b 左・右側壁
15 三角状側壁
20 長尺部材
21 第1エリア
22 第2エリア
23 第3エリア
30 受け治具
31 溝部
40 押込み治具
41 ヘッド部
42 本体胴部
43 テーパ部
100 コア部
CL 中心軸線
LD 長手方向
WD 幅方向
Lt 平板端部の長手方向での長さ
Lw 支持枠部材の幅
Wt 拡幅した幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状で概ね矩形形状であるコア部の周縁に、長尺な補強用の支持枠部材を配置する熱交換器であって、
前記支持枠部材が、
長手方向での端縁から所定長さに設けられて、前記コア部の側部近傍に配置されるタンクに設けた受孔に挿入される舌片状の平板端部と、
中心軸線に垂直な幅方向で前記平板端部の左右側端位置からそれぞれ同幅で拡幅し且つ前記軸線に沿って延在させた左・右拡幅部を曲げ起こし形成した左・右側壁を有する側壁設置部と、
前記平板端部と前記側壁設置部との間にあって、左・右拡幅部を曲げ加工する前には平面視で前記平板端部と前記側壁設置部との幅員差に基づいて幅を徐々に変化させた等脚台形の形状であり、前記曲げ加工後に一部が変形して曲げ起こされると前記平板端部から前記左・右側壁に連なる三角状側壁となる構造をなす中間部とを含み、
前記平板端部、前記側壁設置部および前記中間部は、外形幅が一定に形成してある、ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
板状で概ね矩形形状であるコア部の周縁に配置される、長尺で横断面形状が略コ字状である補強用の支持枠部材を備えた熱交換器の製造方法であって、
加工前の平面視で、第1幅に形成した第1エリア、前記第1幅より幅広であり且つ中心軸線から同幅で拡幅してある第2幅に形成した第2エリア、および前記第1エリアと前記第2エリアとの間で幅員差に基づき幅を徐々に変化させ等脚台形形状となる第3エリアを含む形状に形成してある長尺部材を準備する工程と、
一定の幅および深さの溝部が直線状に設けてある長尺の受け冶具と、横断形状が概ね角形状で長尺であり、前記受け冶具上に載置した前記長尺部材の前記第1エリアを押す部分であって前記溝部にちょうど嵌合する幅に形成してあるヘッド部と、前記ヘッド部よりも左右同様に幅狭に形成した本体胴部とにより構成した押込み治具とを用いて支持枠部材を形成するプレス工程とを含み、
該プレス工程では、前記受け冶具上に載置した前記長尺部材を、前記押込み治具で押込む際に、前記ヘッド部で前記長尺部材の前記第1エリアを変形させないで押込みつつ、前記本体胴部で前記長尺部材の前記第2エリア及び前記第3エリアを前記溝部に倣った外形形状で横断面形状が略コ字状となるように折り曲げ、外形幅が一定な支持枠部材を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項3】
前記押込み治具が、前記ヘッド部と前記本体胴部との間に、幅員差に基づき幅を徐々に変化させたテーパ部を備えており、
長手方向で、前記第3エリアは前記テーパ部よりも長く形成されており、
前記プレス工程では、前記第3エリアの前記第1エリア側の先端部を前記テーパ部に対応させて支持枠部材を形成することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate