説明

熱交換器および空気調和装置の室外ユニット

【課題】簡単な構造で、熱交換器の屈曲部の放熱効率を向上させることができる熱交換器および空気調和装置の室外ユニットを提供する。
【解決手段】フィン・アンド・チューブ型の熱交換器21において、直線予定部45Aのフィン板41の隙間がP1、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2となるように、直線状のチューブ43に複数のフィン板41,42を配列し、屈曲部46に配置されるフィン板42の内側端42A間の隙間X1を直線予定部45Aのフィン板41の隙間P1と同じにすべく、フィン板41,42の通風方向のフィン幅をW、フィン板41,42の厚みをT、屈曲させた屈曲部46の曲率をR、としたときに、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、チューブ43に複数のフィン板41,42を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器、およびそれを用いた空気調和装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器が知られており、この熱交換器では、直線状のチューブに複数のフィンを配置し、チューブ毎、例えば略直角に屈曲させることで、直線部及び屈曲部を有する熱交換器を形成している(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この熱交換器では、屈曲部においてフィンピッチが減少し、熱交換器の内側で隣接するフィン同士が干渉して通風抵抗が増大し、熱交換性能が低下するという問題があった。これを防止するため、熱交換器の屈曲部のフィンピッチを、直線部でのフィンピッチよりも1.05〜1.15倍の範囲で広げる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189196号公報
【特許文献2】特開2008−261611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、フィンの厚さ、フィンの通風方向の幅、屈曲部の曲率等の諸条件によっては、屈曲部の内側でフィン間の隙間が狭くなっていた。フィン間の隙間が狭くなると、フィンが屈曲部を通過する空気の抵抗となり、屈曲部の通過風量が低減するため、屈曲部では、放熱効率が悪くなる問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、熱交換器の屈曲部の放熱効率を向上させることができる熱交換器および空気調和装置の室外ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器において、直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、前記直線予定部のフィン板の隙間がP1、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、前記チューブに複数のフィン板を配列し、当該チューブの前記屈曲予定部をフィン板毎一体に屈曲させ前記屈曲部を形成する際に、前記屈曲部に配置される前記フィン板の内側端間の隙間を前記直線予定部の前記フィン板の隙間P1と同じにすべく、前記フィン板の通風方向のフィン幅をW、前記フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、前記チューブに複数のフィン板を配置したことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記の熱交換器において、前記直線部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P1を規定する筒状のフィンカラーを設け、前記屈曲部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P2を規定する板状の切起こし部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の熱交換器において、前記板状の切起こし部が、前記フィン板のフィン幅方向に延びていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の熱交換器において、前記板状の切起こし部に、隣の前記フィン板に接触する接触部を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器と、この熱交換器の前記フィンの長手方向における端部側に配置した送風機とを備える空気調和装置の室外ユニットにおいて、前記熱交換器の直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、前記直線予定部のフィン板の隙間がP1、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、前記チューブに複数のフィン板を配列し、当該チューブの前記屈曲予定部を前記フィン板毎一体に屈曲させ前記屈曲部を形成する際に、前記屈曲部に配置される前記フィン板の内側端間の隙間を前記直線予定部の前記フィン板の隙間P1と同じにすべく、前記フィン板の通風方向のフィン幅をW、前記フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、前記チューブに複数のフィン板を配置したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の空気調和装置の室外ユニットにおいて、前記直線部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P1を規定する筒状のフィンカラーを設け、前記屈曲部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P2を規定する板状の切起こし部を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の空気調和装置の室外ユニットにおいて、前記板状の切起こし部が、前記フィン板のフィン幅方向に延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器において、直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、直線予定部のフィン板の隙間がP1、屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、前記チューブに複数のフィン板を配列し、当該チューブの屈曲予定部をフィン毎一体に屈曲させ前記屈曲部を形成する際に、前記屈曲部に配置されるフィン板の内側端間の隙間を前記直線予定部のフィン板の隙間P1と同じにすべく、前記フィン板の通風方向のフィン幅をW、前記フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、前記チューブに複数のフィン板を配置したため、予め、直線予定部のフィン板の隙間がP1、屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、直線状のチューブに複数のフィン板を配列し、チューブの屈曲予定部をフィン毎一体に屈曲することで、屈曲部の内側のフィン間の隙間を直線部のフィン板の隙間P1と同じにすることができ、簡単な構造で、屈曲部の通過風量が直線部に比べて低減するのを防止し、熱交換器の屈曲部の放熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態を示す空気調和装置の室外ユニットの外観斜視図である。
【図2】室外ユニットの側断面図である。
【図3】室外ユニットの内部構成を示す上面図である。
【図4】熱交換部の一部を示す図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図5】熱交換部のフィン板の構成を示す模式図である。
【図6】折り曲げ前の熱交換部を示す斜視図である。
【図7】フィン板を示す斜視図であり、(A)は屈曲部用フィン板を示し、(B)は直線部用フィン板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニット10と室内ユニット(図示せず)とから構成されており、冷媒配管により接続された冷媒回路に冷媒を流して、冷房運転および暖房運転を行う。室外ユニット10は、室外に設置され、室外空気と熱交換して冷房運転時には冷媒を凝縮させて外気に熱を放出し、暖房運転時には冷媒を蒸発させて外気から熱を取り込むものである。なお、以下に述べる上下および左右といった方向は、室外ユニット10を設置した状態でその前面側から見た場合の方向を示している。
【0015】
図1は、室外ユニット10の外観斜視図であり、図2は、室外ユニット10を右側から見た側断面図である。室外ユニット10は、略直方体箱形状のユニットケース(筐体)11を備え、このユニットケース11は、前後方向に延びる一対の脚部材13、13上に架け渡されて固定される底板12と、この底板12の4隅から鉛直方向に延びる支柱14と、前面パネル15とを有して構成される。
底板12上には、後述する熱交換器21が配置され、この熱交換器21によってユニットケース11の背面及び左右両側面が形成されている。また、熱交換器21の上部には、室外ファン(送風機)22と、この室外ファン22の周囲にベルマウス25とが配置され、このベルマウス25の吹出開口25Aには、室外ファン22への接触を防止するファンガード26が配置されている。また、ベルマウス25の周囲には、発泡スチロール等の断熱材を備えた化粧パネル27が設けられている。
【0016】
前面パネル15は、上下に二分割された上パネル15Aと下パネル15Bとを備え、これら上パネル15A及び下パネル15Bは、前面側の支柱14、14間に架け渡されて固定されている。ユニットケース11の前面側には、図2に示すように、圧縮機30や、四方弁及び膨張弁といった弁体等の冷媒回路構成部品32が配管接続されて収容される。これら冷媒回路構成部品32の配管の一端側は、熱交換器21を介して室内ユニットと配管接続され、当該冷媒回路構成部品32の配管の他端側は室内ユニットに配管接続され、これにより、冷媒を循環する冷媒回路が構成される。
また、ユニットケース11の前面側には、圧縮機30等の上方に室外ユニット10の各種機器を制御するための制御ユニットを収容した電装箱34が配置されている。これにより、前面パネル15を取り外すことによって、作業者が前面側から圧縮機30や電装箱34内の制御ユニット等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0017】
室外ファン22は、図2に示すように、熱交換器21の上方に配置されるファンモーター23と、このファンモーター23の軸に取り付けられたプロペラファン24とを備えて構成される。ユニットケース11の幅方向に隣接する支柱14,14間には、熱交換器21の上端に相当する位置で当該支柱14,14を連結する不図示の連結部材が設けられ、ファンモーター23は、これら連結部材間に架け渡された支持フレーム16に固定される。
ファンモーター23によりプロペラファン24が回転駆動されると、室外ユニット10の周囲、より具体的には図2、3中矢印Xで示すように、ユニットケース11の前面を除いた左側面側、背面側及び右側面側から外気がユニットケース11内に吸い込まれ、このユニットケース11の上面部に設けられたベルマウス25の吹出開口25Aを通じて外に排出される。つまり、この室外ユニット10は、上面から熱交換後の空気を吹き出す上面吹き出しタイプに構成されている。
【0018】
ユニットケース11の底板12上には、図3に示すように、断面略コ字型に屈曲されて形成された熱交換器21が配置され、この熱交換器21は、ユニットケース11の左側面から背面及び右側面に沿わせて配置され、この熱交換器21の両端面には、それぞれ当該熱交換器21内に連続蛇行曲げして配管された冷媒管を固定するための管板21Aが設けられている。
【0019】
熱交換器21で囲まれた内側には、上記した圧縮機30や冷媒回路構成部品32とともに冷媒回路の一部を構成するアキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンク37が底板12上に配置されている。また、アキュムレータ35の上部中央には、フレーム17が固定され、フレーム17は、アキュムレータ35の上端部から延びて、支柱14,14を連結する連結部材に固定され、アキュムレータ35の揺動を防止している。
【0020】
これらアキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンク37は、冷媒または冷凍機油を一時的に貯留する圧力容器であり、メンテナンス頻度が低いものである。一方、上記した圧縮機30や冷媒回路構成部品32は、モーターやコイル等の電動要素を備えるため、メンテナンス頻度が高い。このため、本構成では、底板12上から電装箱34の下端部まで上方に延びる仕切り板38を設け、この仕切り板38によって、ユニットケース11内が、図3に示すように、熱交換室39と機械室50とに区分けされている。機械室50には、メンテナンス頻度の高い圧縮機30や冷媒回路構成部品32が収容され、熱交換室39には、メンテナンス頻度の低い熱交換器21、アキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンク37が収容されている。
【0021】
次に、熱交換器21の構成について説明する。熱交換器21は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換部40を通風方向に前後に3列並べて構成される。各熱交換部40は、一対の管板21A間に互いに間隔を開けて、配置される複数のフィン板41,42(図4参照)と、これらフィン板41,42を貫通する複数のチューブ43を備えて構成されている。チューブ43は、互いに略平行に上下に複数段並べられて設けられ、各チューブ43の端に設けられたU字部(Uベント)44によって1本の冷媒配管として連結されている。なお、各フィン板41,42は、細長い矩形板状に形成され、室外ユニット10は、このフィン板(フィン)41,42の長手方向における端部側に送風機22が配置されている。
【0022】
熱交換部40は、ユニットケース11の背面及び左右両側面に略平行に配置される直線部45と、これらの直線部45を繋ぎ、略直角に屈曲された屈曲部46と、を有する。ところで、本実施形態に示した室外ユニット10は、上面吹き出しタイプの室外ユニットであり、熱交換器21が断面略コ字状に形成される。これにより、熱交換部40には、ユニットケース11の背面の左右に屈曲部46が形成される。また、室外ユニット10は、ユニットケース11が比較的高さ寸法の大きい背高形状に形成される(図1参照)。そのため、熱交換器21は、熱交換部40に対する屈曲部46の面積比率が大きく、屈曲部46の通過風量の低下が、熱交換部40の放熱効率の低減に大きく影響を与える。
【0023】
熱交換部40は、図4に示すように、直線部45に直線部用フィン板41が、屈曲部46に屈曲部用フィン板42が、それぞれ配置されて構成される。直線部45と、屈曲部46と、の境では、直線部用フィン板41の隣に、屈曲部用フィン板42が配置される。直線部用フィン板41、及び、屈曲部用フィン板42は、通風方向の幅であるフィン幅Wが、チューブ43のチューブ中線Cに対して内外に略同じ幅となるように形成される。直線部用フィン板41、及び、屈曲部用フィン板42には、それぞれ、直線部用フィン板41間の隙間(直線部フィンピッチ)P1を規定するフィンカラー48と、屈曲部用フィン板42間の隙間(屈曲部フィンピッチ)P2を規定する切起こし部51と、が形成されている。フィンカラー48と、切起こし部51と、はフィン板41,42の同じ方向に向かって立ち上がるように形成されている。
【0024】
屈曲部46の屈曲部用フィン板42間のフィンピッチP2は、直線部45の直線部用フィン板41間のフィンピッチP1よりも広く構成されている。屈曲部フィンピッチP2は、図5に示すように、屈曲部46の最も曲率Rが高くなる位置である屈曲部46の略中央で、屈曲部用フィン板42の内側端42A間の隙間X1と、直線部用フィン板41間のフィンピッチP1と、が略同じになるように設定されている。
【0025】
このように、熱交換部40の屈曲部46の曲率が最も高くなる位置でも、屈曲部用フィン板42の内側端42A間に、直線部用フィン板41間のフィンピッチP1と略同じ隙間を確保することができるため、熱交換部40の屈曲部46において、通風方向内側のフィン板42間の隙間が狭まり、フィン板42が屈曲部46を通過する空気の抵抗となるのを防ぐことができる。これにより、屈曲部用フィン板42の内側の隙間を広げ、屈曲部46で通過風量が低減するのを防止することができ、屈曲部46の放熱効率を向上させることができる。
【0026】
なお、熱交換部40を3列並べて熱交換器21を構成する場合には、列毎に屈曲部46の曲率Rが異なる。この場合、各列に配置される熱交換部40の屈曲部46に配置されるフィン板42間のフィンピッチP2は、列毎に各曲率Rに基づいて規定する構成であっても良いし、或いは、曲率Rが最も大きくなりフィン42の内側端42Aの隙間が最も狭くなる、最も内側に配置される熱交換部40の屈曲部46の曲率Rに基づいて規定する構成であっても良い。
【0027】
屈曲部46の、チューブ中線C上での屈曲部用フィン板42間のフィンピッチP2は、屈曲部用フィン板42の内側端42A間の隙間をX1、屈曲部46の曲率をR、屈曲部用フィン板42の厚みをT、屈曲部用フィン板42の通風方向の幅寸法をWとしたとき、下記の式1を満たすように構成される。
P2=R*(P1−T)/(R−W/2)・・・(式1)
この構成によれば、屈曲部用フィン板42間のフィンピッチP2を所定の値に設定し、屈曲部用フィン板42の内側端42A間の隙間X1を、直線部用フィン板41間のフィンピッチP1と略同じにすることができる。
【0028】
次に、熱交換部40の製造工程を説明すると、熱交換部40は、まず、予め互いに略平行に上下に複数段並べた直線状のチューブ43にフィン板41、42を互いに間隔を開けて配置し、図6に示すように、略平板状に形成される。詳述すると、熱交換部40は、この平板状の熱交換部40を、屈曲工程において、どの位置で屈曲する、つまり、屈曲部46となる予定の位置(屈曲予定部)46Aが予め設計上把握されているため、チューブ43には、予め、直線部45となる直線予定部45Aと、屈曲部46となる屈曲予定部46Aとが形成される。そして、直線予定部45Aには、直線部用フィン板41が隙間がP1となるように配列され、屈曲予定部46Aには、屈曲部用フィン板42が隙間がP2となるように配列される。次に、この略平板状の熱交換部40の屈曲予定部46Aをフィン板42毎一体に屈曲させて屈曲部46を形成し、断面略コ字状の熱交換部40を形成する。この構成によれば、略平板状に組み立てた熱交換部40を屈曲予定部46で屈曲して略コ字状に折り曲げることで、直線部45に直線部用フィン板41が、そして、屈曲部46に屈曲部用フィン板42がそれぞれ狙ったフィンピッチP1,P2で配置された熱交換部40を効率よく製造することができる。
【0029】
図7は、フィン板41,42を示す図であり、図7(A)は屈曲部用フィン板42を示し、図7(B)は直線部用フィン板41を示す。図7に示すように、フィン板41,42は、チューブ43が貫通する貫通孔47を備える。フィン板41,42は、貫通孔47の周囲を囲むフィンカラー48を備える。フィンカラー48は、フィン板41,42に略垂直に立設し、所定の立ち上がり寸法H1に形成される。
【0030】
フィンカラー48の立ちあがり寸法H1は、直線部用フィン板41間の間隔であるフィンピッチP1を規定するのに用いられ、立ち上がり寸法Hと、フィンピッチP1とは、略同じ値に形成されている。つまり、直線部用フィン板41間のフィンピッチP1は、フィンカラー48の立ちあがり寸法H1によって規定される。なお、直線部45と、屈曲部46と、の境では、直線部用フィン板41のフィンカラー48が屈曲部用フィン板42に接触し、フィン板41,42がフィンピッチP1で配置される、或いは、屈曲部用フィン板42の切起こし部51が直線部用フィン板41に接触し、フィン板41,42がフィンピッチP2で配置される。
【0031】
屈曲部用フィン板42には、フィン板42を切起こして貫通孔47の間に形成され、フィン板42のフィン幅W方向に延びる切起こし部51が設けられる。切起こし部51の先端は、略直角に折り曲げられ、隣のフィン板41,42に接触する接触部52が設けられる。切起こし部51の高さ寸法H2は、上述した式1で算出されたチューブ中線C上での屈曲部用フィン板42間のフィンピッチP2と同じ寸法に形成される。この構成によれば、切起こし部51の先端の接触部52を隣のフィン板41,42に接触させることで、屈曲部46におけるフィン板41,42を、狙ったフィンピッチP2で簡単に配置することができる。
【0032】
また、この構成によれば、切起こし部51は、フィン板42のフィン幅W方向、つまり屈曲部46の通風方向に延びているため、切起こし部51が屈曲部46を通過する空気の抵抗となるのを防止することができ、さらに、切起こし部51を屈曲部46を通過する空気で冷却することができるため、切起こし部51からも効率よく放熱させることができ、屈曲部46の放熱効率を向上させることができる。
【0033】
また、この構成によれば、屈曲部用フィン板42は、切起こし部51により、屈曲部46を通過する風との接触面積が増える。この構成によれば、屈曲部46のフィンピッチP2を、直線部45のフィンピッチP1よりも広げることで屈曲部46に配置される屈曲部用フィン板42の枚数が減っても、屈曲部用フィン板42の一枚当たりの放熱量が増加するため、屈曲部46での放熱量を所望の放熱量に維持することができる。
【0034】
これらの構成によれば、熱交換部40の組み立て工程時には、チューブ43をフィン板41,42の貫通孔47に挿し込む際に、直線予定部45Aでは、フィンカラー48を隣のフィン板41,42に接触させることで、屈曲予定部46Aでは、切起こし部51の先端の接触部52を隣のフィン板41,42に接触させることで、フィン板41,42を狙ったフィンピッチP1、或いは、フィンピッチP2で簡単に配置することができる。これにより、フィンピッチP1,P2の整合性を高めることができ、熱交換部40の組み立て作業性を向上することができる。
【0035】
なお、フィンカラー48は、内周面がチューブ43の外周面に周方向に亘って面で密着接触するように形成されている。この構成によれば、フィン板41,42と、チューブ43との接触面積を増やすことができるため、チューブ43からフィン板41,42への伝熱効率を高めることができる。
【0036】
ところで、フィン板41,42には、プレス成型によって貫通孔47、及び、フィンカラー48が形成され、プレス加工時には、フィン板41,42に、プレス油等の油脂が塗布される。フィン板41,42は、この油脂が付いた状態で、貫通孔47にチューブ43が挿入される。熱交換部40は、組み立て工程の最後に、例えば、トンネル炉を短時間通過させて熱風が吹き付けられ、付着している油脂が乾燥除去される。フィンカラー48と、チューブ43と、の間にはこのプレス油が乾燥除去されずに残留する場合がある。
本実施形態の構成によれば、熱交換部40は、フィンピッチP1,P2の整合性を、フィン板41,42に設けたフィンカラー48、或いは、切起こし部51で得るため、屈曲部46では、フィンカラー48と、隣の屈曲部用フィン板42との間に隙間が生じる。そのため、屈曲部46で、フィンカラー48と、屈曲部用フィン板42との間に隙間を形成することができ、この隙間から、フィンカラー48と、チューブ43と、の間に滞留する油脂を揮発させることができる。
【0037】
また、直線部用フィン板41は、貫通孔47の間に形成された凸部49を備える。凸部49は、例えば、プレス加工により直線部用フィン板41に形成される。薄板形状のフィン板41は、この凸部49を備えるため、強度が増す。これにより、熱交換部40の組み立て工程、或いは、屈曲工程において、フィン板41が変形するのを防止することができる。
【0038】
なお、図7に示した切起こし部51は、チューブ中線Cに対して略対称に、屈曲部用フィン板42の中央に設けられるが、これに限らず、切起こし部51をチューブ中線Cよりも屈曲部用フィン板42の外側寄りに設ける構成であっても良い。この構成によれば、フィン板42間の隙間が広くなる熱交換部40の外側に切起こし部51が設けられるため、切起こし部50の屈曲部46を通過する風への影響を低減することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、直線部45及び屈曲部46を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器21において、直線状のチューブ43に直線予定部45Aと、屈曲予定部46Aとを形成し、直線予定部45Aのフィン板41の隙間がP1、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2となるように、チューブ43に複数のフィン板41,42を配列し、当該チューブ43の屈曲予定部46Aをフィン板42毎一体に屈曲させ屈曲部46を形成する際に、屈曲部46に配置されるフィン板42の内側端42A間の隙間X1を直線予定部45Aのフィン板41の隙間P1と同じにすべく、フィン板41,42の通風方向のフィン幅をW、フィン板41,42の厚みをT、屈曲させた屈曲部46の曲率をR、としたときに、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、チューブ43に複数のフィン板41,42を配置した。
この構成によれば、予め、熱交換器21の組み立て時には、直線予定部45Aのフィン板41の隙間がP1、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2となるように、直線状のチューブ43に複数のフィン板41,42を配列し、チューブ43の屈曲予定部46Aをフィン板42毎一体に屈曲することで、屈曲部46の内側のフィン板42間の隙間X1を直線部45のフィン板41の隙間P1と同じにすることができ、簡単な構造で、屈曲部46の通過風量が直線部45に比べて低減するのを防止し、熱交換器21の屈曲部46の放熱効率を向上させることができる。
【0040】
また、本発明を適用した実施形態によれば、直線部45のチューブ43に配置されるフィン板41に、隙間P1を規定する筒状のフィンカラー48を設け、屈曲部46のチューブ43に配置されるフィン板42に、隙間P2を規定する板状の切起こし部51を設けたため、熱交換部40の組み立て時には、直線状のチューブ43にフィンカラー48、或いは、切起こし部51を隣のフィン板41,42に接触させてフィン板41,42を配置することで、フィン板41,42を所定の隙間(フィンピッチ)P1,P2で配置することができ、簡単な構造で、フィンピッチP1,P2の整合性を向上することができるとともに、熱交換部40の組み立て作業性を向上することができる。
【0041】
また、本発明を適用した実施形態によれば、板状の切起こし部51が、フィン板42のフィン幅W方向に延びているため、切起こし部51は、屈曲部46の通風方向に延び、切起こし部51が屈曲部46を通過する空気の抵抗となるのを防止することができる。さらに、切起こし部51を設けることで、屈曲部46を通過する風と、フィン板42との接触面積が増えるため、屈曲部46を通過する空気で切起こし部51を、冷却し、切起こし部51から効率よく放熱させることができ、屈曲部46の放熱効率を向上させることができる。さらに、熱交換部40の組み立て時には、切起こし部51の先端を、隣のフィン板41,42に接触させることで、フィン板41,42を狙ったフィンピッチP2で簡単に略平行に配置することができ、屈曲予定部46Aで屈曲させる際には、切起こし部51の内側端を隣のフィン板41,42に接触させて、容易チューブ43をフィン板42毎一体に曲げることができ、熱交換部40の組み立て作業性を向上することができる。
【0042】
また、本発明を適用した実施形態によれば、板状の切起こし部51に、隣のフィン板41,42に接触する接触部52を設けたため、切起こし部51の先端の接触部52を隣のフィン板41,42に接触させることで、屈曲部46におけるフィン板41,42を、狙ったフィンピッチP2で簡単に配置することができる。また、接触部52は、切起こし部51の先端部を折り曲げて形成されているため、切起こし部51の強度が向上し、熱交換部40の組み立て時に接触部52を隣のフィン板41,42に接触させる際、或いは、チューブ43をフィン板42毎一体に屈曲させる際に、切起こし部51が変形するのを防止することができ、熱交換部40の製造時の作業性を向上することができる。
【0043】
また、本発明を適用した実施形態によれば、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器と、この熱交換器のフィンの長手方向における端部側に配置した送風機とを備える空気調和装置の室外ユニットにおいて、熱交換器は、直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、直線予定部のフィン板の隙間がP1、屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、チューブに複数のフィン板を配列し、当該チューブの屈曲予定部をフィン板毎一体に屈曲させ屈曲部を形成する際に、屈曲部に配置されるフィン板の内側端間の隙間を直線予定部のフィン板の隙間P1と同じにすべく、フィン板の通風方向のフィン幅をW、フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、屈曲予定部のフィン板の隙間P2=R*(P1−T)/(R−W/2)の関係を満たすように、チューブに複数のフィン板を配置した。
この構成によれば、直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器と、この熱交換器のフィンの長手方向における端部側に配置した送風機とを備える空気調和装置の室外ユニットにおいて、熱交換器21の製造時には、予め、直線予定部45Aのフィン板41の隙間がP1、屈曲予定部46Aのフィン板42の隙間がP2となるように、直線状のチューブ43に複数のフィン板41,42を配列し、チューブ43の屈曲予定部46Aをフィン板42毎一体に屈曲することで、屈曲部46の内側のフィン板42間の隙間X1を直線部45のフィン板41の隙間P1と同じにすることができる。これにより、簡単な構造で、熱交換器21の屈曲部46の通過風量が直線部45に比べて低減するのを防止することができ、熱交換器21の屈曲部46での放熱効率が向上するため、室外ユニット10の熱交換効率を向上させることができる。
【0044】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、熱交換器21は、断面略コ字状に屈曲れているが、例えば、断面略L字状に屈曲されている構成であっても良い。また、本実施形態では、熱交換器21は、熱交換部40を3列並べて形成しているが、これに限らず、熱交換部40を任意の列数、例えば、1列、もしくは複数列、並べて形成する構成であっても良い。また、本実施形態では、屈曲部用フィン板42は、切起こし部51を備え、この切起こし部51の高さ寸法H2で、屈曲部46のフィンピッチP2を規定する構成としたが、これに限らず、屈曲部用フィン板42の貫通孔の周囲に立ち上がり寸法H2のフィンカラーを設けて、このフィンカラーによって屈曲部46のフィンピッチP2を規定する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
H1 高さ寸法
H2 立ち上がり寸法
P1 直線部フィンピッチ(隙間)
P2 屈曲部フィンピッチ(隙間)
X1 内側端間の隙間(隙間)
10 室外ユニット
11 ユニットケース
12 底板
21 熱交換器
22 室外ファン(送風機)
30 圧縮機
40 熱交換部
41 直線部用フィン板
42 屈曲部用フィン板(フィン板)
42A 内側端
43 チューブ
45 直線部
46 屈曲部
48 フィンカラー
51 切起こし部
52 接触部
C チューブ中線
W フィン幅
R 曲率
T 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器において、
直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、
前記直線予定部のフィン板の隙間がP1、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、前記チューブに複数のフィン板を配列し、
当該チューブの屈曲予定部を前記フィン板毎一体に屈曲させ前記屈曲部を形成する際に、前記屈曲部に配置される前記フィン板の内側端間の隙間を前記直線予定部の前記フィン板の隙間P1と同じにすべく、
前記フィン板の通風方向のフィン幅をW、前記フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、前記屈曲予定部のフィン板の隙間が
P2=R*(P1−T)/(R−W/2)・・・(式1)
式1の関係を満たすように、前記チューブに複数のフィン板を配置したことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記直線部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P1を規定する筒状のフィンカラーを設け、前記屈曲部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P2を規定する板状の切起こし部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記板状の切起こし部が、前記フィン板のフィン幅方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記板状の切起こし部に、隣の前記フィン板に接触する接触部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
直線部及び屈曲部を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器と、この熱交換器の前記フィンの長手方向における端部側に配置した送風機とを備える空気調和装置の室外ユニットにおいて、
前記熱交換器の直線状のチューブに直線予定部と、屈曲予定部とを形成し、
前記直線予定部のフィン板の隙間がP1、前記屈曲予定部のフィン板の隙間がP2となるように、前記チューブに複数のフィン板を配列し、
当該チューブの屈曲予定部を前記フィン板毎一体に屈曲させ前記屈曲部を形成する際に、前記屈曲部に配置される前記フィン板の内側端間の隙間を前記直線予定部の前記フィン板の隙間P1と同じにすべく、
前記フィン板の通風方向のフィン幅をW、前記フィン板の厚みをT、屈曲させた屈曲部の曲率をR、としたときに、前記屈曲予定部のフィン板の隙間が
P2=R*(P1−T)/(R−W/2)・・・(式1)
式1の関係を満たすように、前記チューブに複数のフィン板を配置したことを特徴とする空気調和装置の室外ユニット。
【請求項6】
前記直線部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P1を規定する筒状のフィンカラーを設け、前記屈曲部のチューブに配置されるフィン板に、隙間P2を規定する板状の切起こし部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項7】
前記板状の切起こし部が、前記フィン板のフィン幅方向に延びていることを特徴とする請求項6に記載の空気調和装置の室外ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113516(P2013−113516A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261151(P2011−261151)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】