説明

熱交換器のための熱磁気成形体を製造するための印刷方法

本発明は、熱磁気材料を含む、熱交換器のための成形体を製造する方法であって、当該成形体は流体熱交換媒体を導入するための経路を有し、当該熱磁気材料の粉末を結合剤に導入し、結果として得られる成形材料を加圧法により担持体に適用し、ならびに当該結合剤を除去し、次いで、結果として得られる未焼結成形体ならびに適用可能な場合には担持体を焼結する、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器のための熱磁気成形体を製造する印刷方法、対応する成形体、ならびに冷蔵庫、空調設備、ヒートポンプにおける、または熱の直接変換による発電におけるそれらの使用に関する。
【0002】
熱磁気材料は、磁気熱量材料とも呼ばれ、例えば、冷蔵庫もしくは空調設備、またはヒートポンプにおける冷却のため、あるいは中間的に機械的エネルギーへ変換することなく熱から直接発電するために使用することができる。
【0003】
そのような材料は、原則として公知であり、例えば、国際公開第2004/068512号に記載されている。磁気冷却技術は、磁気熱量効果(MCE)に基づいており、既知の蒸気循環冷却方法に対する代替法を構成し得る。磁気熱量効果を示す材料において、ランダムに配列した磁気モーメントが、外部磁界によって整列することにより、材料が加熱される。この熱は、熱伝達によってMCE材料から周囲大気へと除去され得る。磁場が消えるか除去されると、当該磁気モーメントは再びランダムな配列へと戻り、これによって、材料が周囲温度より低い温度に冷却される。この効果は、冷却目的に利用することができ、それについてはNature,vol.415,January 10,2002,p150〜152も参照されたい。通常、磁気熱量材料から熱を除去するために、水などの熱伝達媒体が用いられる。
【0004】
熱磁気発生器において使用される材料も、同様に、磁気熱量効果に基づいている。磁気熱量効果を示す材料において、ランダムに配列した磁気モーメントが、外部磁界によって整列することにより、材料が加熱される。この熱は、熱伝達により、MCE材料によって周囲大気へと放出され得る。磁場が消えるか除去されると、当該磁気モーメントは再びランダムな配列へと戻り、これによって材料が、周囲温度より低い温度に冷却される。この効果は、第一に冷却のために利用することができ、第二に熱を電気エネルギーへ変換するために利用することができる。
【0005】
磁気熱量的な電気エネルギーの発生は、磁気的な加熱および冷却に関連している。最初の概念において、エネルギー発生のためのプロセスは、熱磁気的エネルギー発生として説明された。ペルティエ型またはゼーベック型の装置と比較すると、これらの磁気熱量的な装置は、エネルギー効率が非常に高い。
【0006】
この物理現象の研究は19世紀後半に始まり、二人の科学者、TeslaおよびEdisonが、熱磁気発生器に関する特許を申請している。1984年には、Kirolが、様々な適用可能性について述べており、この物理現象の熱力学的な分析を行っている。その頃、ガドリニウムは、室温近くでの適用に対して可能性のある材料と考えられていた。
【0007】
例えば、N.Teslaが、米国特許第428,057号において熱磁気電気発生器について記載している。それによれば、鉄または他の磁性体の磁気特性は、ある特定の温度にまで加熱することによって部分的または完全に破壊され得るかまたは消失し得るということが言明されている。冷却過程においてこの磁気特性は再形成され、最初の状態に戻る。この効果を利用して、電力を発生させることが可能である。導電体を、変動する磁場に晒した場合、磁場の変化によって当該導電体中に電流が誘起される。例えば、磁性材料をコイルで巻き、永久磁場中で加熱し、次いで冷却すると、加熱過程および冷却過程のどちらにおいても、コイル中に電流が誘起される。これにより、機械的運動への中間変換を行うことなく、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能である。Teslaによって記載された方法では、磁性体としての鉄を、オーブンまたは密閉された暖炉において加熱し、次いで再び冷却している。
【0008】
熱磁気的または磁気熱量的用途では、高効率で行うために、材料は効率的に熱交換しなければならない。そのため、冷却過程および発電過程の両方において、熱磁気材料が熱交換器で使用される。
【0009】
「Open−cell porous shaped bodies for heat exchangers」の名称で2008年4月28日に出願され、本出願に先行する優先日を有してはいるが本出願の先行日においてはまだ公開されていない欧州特許出願公開第08155255.6号には、熱磁気粉末を好適な有機バインダー中に導入し、鋳型に充填することによって熱磁気材料から熱交換器成形体を製造する方法について記載されている。鋳型への充填は、例えば注型や射出成型によって実施することができる。次いで、当該ポリマーを触媒または熱により除去し、焼結して、連続気泡構造を有する多孔質体を形成する。
【0010】
本発明の目的は、熱交換器、特に冷却目的または発電のための熱交換器における使用に好適な熱磁気成形体、ならびにそれらを製造する方法を提供することである。これらの成形体は、熱伝達性が高く、熱交換媒体に対する流動抵抗性が低く、ならびに高い磁気熱量密度を有していなければならない。
【0011】
本発明によれば、当該目的は、
(1)一般式(I)の化合物
(Ayy-12+δwxz (I)
[式中、
Aは、MnまたはCoであり、
Bは、Fe、Cr、またはNiであり、
C、D、およびEは、C、D、およびEのうちの少なくとも2つが異なっており、僅かでない濃度を有し、P、B、Se、Ge、Ga、Si、Sn、N、As、およびSbから選択され、
δは、−0.2〜0.2の範囲の数字であり、
w、x、y、zは0〜1の範囲の数字であって、この場合、w+x+z=1である]、
(2)一般式(II)および/または(III)および/または(IV)のLaおよびFe系の化合物
La(FexAl1-x13yまたはLa(FexSi1-x13y (II)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは0〜3の数字である]
La(FexAlyCoz13またはLa(FexSiyCoz13 (III)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは0.05〜1−xの数字であり、
zは0.005〜0.5の数字である]
LaMnxFe2-xGe (IV)
[式中、
xは1.7〜1.95の数字である]、ならびに
(3)MnTP型のホイスラー合金[式中、Tは遷移金属であり、Pは、原子中の電子数e/aが7〜8.5の範囲にあるp型ドーピング金属である)、
(4)一般式(V)のGdおよびSi系の化合物
Gd5(SixGe1-x4 (V)
[式中、xは0.2〜1の数字である]
(5)Fe2P系の化合物
(6)ペロブスカイト型の水マンガン鉱
(7)一般式(VI)および(VII)の、希土類元素を含む化合物
Tb5(Si4-xGex) (VI)
[式中、x=0、1、2、3、4である]
XTiGe (VII)
[式中、X=Dy、Ho、Tmである]
(8)一般式(VIII)および(IX)のMnおよびSb系のあるいはAs系の化合物
Mn2-xxSb (VIII)
Mn2xSb1-x (IX)
[式中、
Zは、Cr、Cu、Zn、Co、V、As、Geであり、
xは、0.01〜0.5である]
(ここで、ZがAsでない場合は、SbをAsで置き換えてもよい)
から選択される熱磁気材料を含む、熱交換器のための成形体を製造する方法であって、当該成形体が、流体熱交換媒体の通り道のための経路を有し、熱磁気材料の粉末をバインダー中に導入する工程、結果として得られる成形材料を印刷法により担持体に適用し、続いてバインダーおよび適切であるなら担持体を除去する工程、ならびに結果として得られる未焼結成形体を焼結する工程、を含む方法により達成される。
【0012】
本発明により、熱磁気材料に基づく熱交換器のための成形体の製造に、印刷法が特に好適であるということが見出された。当該印刷法は、第一に、熱交換器において、経路の微細構造化を達成することが可能であり、第二に、幅広い温度範囲内において磁気熱量効果を利用することができるように、異なる熱磁気材料を組み合わせることができる。
【0013】
熱磁気材料の効果的な利用のためには、熱交換器中の脆性材料の微細構造化が重要である。この問題は、本発明により、熱交換流体のための非常に微細に構造化された経路を生成させるために、バインダー中に熱磁気材料の粉末を含む成形材料を印刷することによって解決される。
【0014】
当該印刷法では、好適な担持体上に、成形材料による1つ以上の層が印刷される。これにより、簡素で安価な方法において、効率的な熱伝達のための高い表面積対体積率および最適化された微細構造を示し実質的に任意の成形された熱磁気材料を利用することが可能となる。
【0015】
本発明により使用される成形材料は、第一に、熱磁気材料の粉末を含む。この粉末は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜30μmの範囲の平均粒径を有する。当該平均粒径は、例えば、分級法または計数/顕微鏡法によって測定される。
【0016】
熱磁気材料の粉末は、当該熱磁気材料粉末の微細な分配が可能なバインダー中に導入される。任意の好適なバインダーを使用することができるが、概して、当該バインダーはポリマー性バインダーである。バインダーに加えて、所望であれば、特定の印刷法に対して、当該成形材料の自由流れおよび機械的特性を調節するために溶媒または分散剤を追加的に使用することも可能である。当該成形材料は、例えば、熱可塑性成形材料であり得る。当該成形材料は、所望の形状において、好適な、例えば高分子性の担持体上に印刷される。熱磁気材料でコーティングされたこの担持体は、例えば、磁気冷却装置において、または熱伝達のために、直接使用することができる。印刷後に当該バインダーを除去し、結果として得られた未焼結成形体を焼結することも可能であり、多くの場合において好ましい。この場合、所望であれば、バインダーの除去前、除去中、または除去後に、あるいは焼結前、焼結中、または焼結後に担持体を除去することも同様に可能である。
【0017】
異なるキュリー温度の様々な熱磁気材料を、互いに並べてまたは積み重ねて当該担持体上に印刷する場合、熱交換器が機能する温度範囲が拡張する場合がある。あるいは、当該成形材料は、2種以上の熱磁気材料を含んでいてもよい。当該成形材料は、ある熱磁気材料から次の熱磁気材料へと連続的に伝達されることが可能であるように、印刷された成形体における異なる材料の濃度が、例えば、印刷された表面の1つまたは2つの軸に沿って変わるような方法において印刷することも可能である。
【0018】
当該成形材料は、機械的特性、耐食性、および/または伝導性を向上させるために、さらなる添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤は、熱交換器における特定の要件に合わせて調節することができる。
【0019】
当該バインダーは、焼結過程に熱によって除去することができ、担持体も同様である。化学変換による除去も可能である。
【0020】
本発明により、熱磁気材料を含む前述の熱交換器は、熱交換器、磁気冷却、ヒートポンプ、または熱磁気発生器もしくは再生器において有利に使用することができることが見出された。
【0021】
当該成形体は、好ましくは連続経路を有する。これにより、流体、好ましくは、液体、例えば、水、水/アルコール混合物、水/塩混合物などの熱輸送媒体、またはガス、例えば、空気または希ガスなどの流動が可能となる。水または水/アルコール混合物の使用が好ましく、この場合、当該アルコールは、一価アルコールまたは多価アルコールであってもよい。例えば、グリコールであってもよい。
【0022】
連続経路の割合は、実用的な要件に応じて調節することができる。流体熱伝達媒体による熱の急速な除去が達成され得るように、経路の数および径は、十分に大きくなければならない。熱を急速に除去する場合には、当該材料は、高頻度で何度も磁場中に出し入れされ得る。この場合、「空隙率」は高い。しかし、多量の熱を交換できるためには、多量の材料が必要であり、よって低い「空隙率」が必要となる。低い「間隙率」の場合、多量の材料を磁場中に導入することにより、多量の熱を移動させることができる。しかしながら、これでは、熱輸送媒体を介する熱交換が低下し得る。結果として、「空隙率」は、特定の要件に応じて、ならびに使用される熱磁気材料に応じて、自由に選択することができる。
【0023】
したがって、本発明の一実施形態において、成形体は、好ましくは30〜60%、より好ましくは30〜50%の低〜中程度の「空隙率」を有する。さらなる実施形態において、「高空隙率」の成形体は、好ましくは60〜95%、特に80〜95%の「空隙率」を有する。
【0024】
「空隙率」は、各場合において体積率である。
【0025】
経路の平均径は、一般的に、0.1〜2000μm、好ましくは0.1〜300μm、より好ましくは0.3〜200μmである。経路の平均径は、特定の要件に応じて調整することができる。
【0026】
流路の体積は、成形体の総体積に対して、好ましくは10〜80%の範囲、特に30〜60%の範囲である。
【0027】
一実施形態において、当該成形体は、少なくとも250m2/m3の表面積対体積比を有する。ある特定の実施形態において、表面積対体積比は、少なくとも500m2/m3であってもよい。表面積および細孔体積は、水銀多孔度測定によって決定されるか、またはそれから算出される。光学的な分析方法を使用することも可能である。当該比率は、構造充填物に対しても算出することができる。典型的な成形体の外部寸法は、1〜10cmの範囲、例えば、1cm×1cm×5〜10cmの範囲である。
【0028】
本発明により使用される材料は、原則として公知であり、例えば、それらのいくつかは国際公開第2004/068512号に記載されている。
【0029】
当該熱磁気材料は、上記の化合物(1)〜(8)から選択される。
【0030】
本発明により化合物(1)、(2)、および(3)、ならびに(5)から選択される熱磁気材料が特に好ましい。
【0031】
本発明により特に好適な材料は、例えば、国際公開第2004/068512号、Rare Metals,Vol.25,2006,p544〜549、J.Appl.Phys.99,08Q107(2006)、Nature,Vol.415,1月10日,2002,p150〜152、およびPhysica B 327(2003),p431〜437に記載されている。
【0032】
一般式(I)の前述の化合物において、C、D、およびEは、好ましくは同一であるかまたは異なっており、P、Ge、Si、Sn、およびGaのうちの少なくとも1種から選択される。
【0033】
一般式(I)の金属系材料は、好ましくは、Mn、Fe、P、および場合によりSbと、さらに、Ge、あるいはSi、あるいはAs、あるいはGeおよびSi、あるいはGeおよびAs、あるいはSiおよびAs、あるいはGeおよびSiおよびAsとを含む、少なくとも四成分化合物から選択される。
【0034】
好ましくは成分Aの少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%がMnである。好ましくはBの少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%がFeである。好ましくはCの少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%がPである。好ましくはDの少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%がGeである。好ましくはEの少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%がSiである。
【0035】
当該材料は、好ましくは、一般式MnFe(PwGexSiz)を有する。xは、好ましくは0.3〜0.7の範囲の数字であり、wは1−x以下であり、zは1−x−wに対応する。
【0036】
当該材料は、好ましくは結晶性六方晶系のFe2P構造を有する。好適な材料の例としては、MnFeP0.45〜0.7,Ge0.55〜0.30およびMnFeP0.5〜0.70,(Si/Ge)0.5〜0.3が挙げられる。
【0037】
好適な化合物としては、さらにMn1+xFe1-x1-yGeyが挙げられる[式中、xは−0.3〜0.5の範囲であり、yは0.1〜0.6の範囲である]。同様に好適であるのは、一般式Mn1+xFe1-x1-yGey-zSbzの化合物である[式中、xは−0.3〜0.5の範囲であり、yは0.1〜0.6の範囲、zはyより小さくかつ0.2より小さい]。式Mn1+xFe1-x1-yGey-zSizの化合物も好適である[式中、xは0.3〜0.5の範囲であり、yは0.1〜0.66の範囲であり、zはy以下でありかつ0.6未満である]。
【0038】
Fe2PおよびFeAs2に由来し、場合によりMnおよびPを含む、さらなるFe2P系化合物も好適である。これらは、例えば、以下の一般式:MnFe1-xCoxGe(式中、x=0.7〜0.9)、Mn5-xFexSi3(式中、x=0〜5)、Mn5Ge3-xSix(式中、x=0.1〜2)、Mn5Ge3-xSbx(式中、x=0〜0.3)、Mn2-xFexGe2(式中、x=0.1〜0.2)(Fe1-xMnx3C、Mn3-xCoxGaC(式中、x=0〜0.05)、に対応する。
【0039】
一般式(II)および/または(III)および/または(IV)の、好ましいLaおよびFe系の化合物は、La(Fe0.90Si0.1013、La(Fe0.89Si0.1113、La(Fe0.880Si0.12013、La(Fe0.877Si0.12313、LaFe11.8Si1.2、La(Fe0.88Si0.12130.5、La(Fe0.88Si0.12131.0、LaFe11.7Si1.31.1、LaFe11.57Si1.431.3、La(Fe0.88Si0.12)H1.5、LaFe11.2Co0.7Si1.1、LaFe11.5Al1.50.1、LaFe11.5Al1.50.2、LaFe11.5Al1.50.4、LaFe11.5Al1.5Co0.5、La(Fe0.94Co0.061183Al1.17、La(Fe0.92Co0.0811.83Al1.17である。
【0040】
好適なマンガン含有化合物は、MnFeGe、MnFe0.9Co0.1Ge、MnFe0.8Co0.2Ge、MnFe0.7Co0.3Ge、MnFe0.6Co0.4Ge、MnFe0.5Co0.5Ge、MnFe0.4Co0.6Ge、MnFe0.3Co0.7Ge、MnFe0.2Co0.8Ge、MnFe0.15Co0.85Ge、MnFe0.1Co0.9Ge、MnCoGe、Mn5Ge2.5Si0.5、Mn5Ge2Si、Mn5Ge1.5Si1.5、Mn5GeSi2、Mn5Ge3、Mn5Ge2.9Sb0.1、Mn5Ge2.8Sb0.2、Mn5Ge2.7Sb0.3、LaMn1.9Fe0.1Ge、LaMn1.85Fe0.15Ge、LaMn1.8Fe0.2Ge、(Fe0.9Mn0.13C、(Fe0.8Mn0.23C、(Fe0.7Mn0.33C、Mn3GaC、MnAs、(Mn、Fe)As、Mn1+δAs0.8Sb0.2、MnAs0.75Sb0.25、Mn1.1As0.75Sb0.25、Mn1.5As0.75Sb0.25である。
【0041】
本発明により、好適なホイスラー合金は、例えば、Ni2MnGa、Fe2MnSi1-xGex(式中、x=0〜1)、例えば、Fe2MnSi0.5Ge0.5、Ni52.9Mn22.4Ga24.7、Ni50.9Mn24.7Ga24.4、Ni55.2Mn18.6Ga26.2、Ni51.6Mn24.7Ga23.8、Ni52.7Mn23.9Ga23.4、CoMnSb、CoNb0.2Mn0.8Sb、CoNb0.4Mn0.6SB、CoNb0.6Mn0.4Sb、Ni50Mn35Sn15、Ni50Mn37Sn13、MnFeP0.45As0.55、MnFeP0.47As0.53、Mn1.1Fe0.90.47As0.53、MnFeP0.89-xSixGe0.11(式中、x=0.22、x=0.26、x=0.30、x=0.33)である。
【0042】
加えて、好適であるのは、Fe90Zr10、Fe82Mn8Zr10、Co66Nb9Cu1Si1212、Pd40Ni22.5Fe17.520、FeMoSiBCuNb、Gd70Fe30、GdNiAl、NdFe126GdMn2である。
【0043】
ペロブスカイト型の水マンガン鉱は、例えば、La0.6Ca0.4MnO3、La0.67Ca0.33MnO3、La0.8Ca0.2MnO3、La0.7Ca0.3MnO3、La0.958Li0.025Ti0.1Mn0.93、La0.65Ca0.35Ti0.1Mn0.93、La0.799Na0.199MnO2.97、La0.88Na0.099Mn0.9773、La0.8770.096Mn0.9743、La0.65Sr0.35Mn0.95Cn0.053、La0.7Nd0.1Na0.2MnO3、La0.5Ca0.3Sr0.2MnO3である。
【0044】
下記の一般式(V):
Gd5(SixGe1-x4
[式中、xは0.2〜1の数である]
のGdおよびSi系の化合物は、例えば、Gd5(Si0.5Ge0.54、Gd5(Si0.425Ge0.5754、Gd5(Si0.45Ge0.554、Gd5(Si0.365Ge0.635)4、Gd5(Si0.3Ge0.74、Gd5(Si0.25Ge0.754である。
【0045】
希土類元素を含む化合物は、Tb5(Si4-xGex)(式中、x=0、1、2、3、4)またはXTiGe(式中、X=Dy、Ho、Tm)であり、例えば、Tb5Si4、Tb5(Si3Ge)、Tb(Si2Ge2)、Tb5Ge4、DyTiGe、HoTiGe、TmTiGeである。
【0046】
一般式(VIII)および(IX)のMnおよびSb系の化合物またはAs系の化合物は、好ましくはz=0.05〜0.3、Z=Cr、Cu、Ge、As、Coの定義を有する。
【0047】
本発明により使用される熱磁気材料は、任意の好適な方法で製造することができる。
【0048】
当該熱磁気材料は、例えば、当該材料のための出発元素または出発合金をボールミル中で固相反応させ、続いて加圧成形し、不活性ガス雰囲気下で焼結および熱処理し、続いてゆっくりと室温まで冷却することにより製造される。このような方法は、例えば、J.Appl.Phys.99,2006,08Q107に記載されている。
【0049】
溶融紡糸による加工も可能である。これにより、より均一な元素の分布が可能となり、その結果、磁気熱量効果が改善される(Rare Metals,vol.25,2006年10月,p544〜549を参照のこと)。ここに記載されている方法では、出発元素を、最初にアルゴンガス雰囲気下で誘導溶解し、次いで溶融状態において、回転する銅ローラー上にノズルから噴霧する。その後、1000℃で焼結し、ゆっくりと室温まで冷却する。
【0050】
さらに、製造については国際公開第2004/068512号を参照されたい。
【0051】
これらの方法によって得られる材料は、多くの場合、高い熱ヒステリシスを示す。例えば、ゲルマニウムまたはケイ素で置換されたFe2P型の化合物では、10K以上の幅広い範囲内において、大きな熱ヒステリシス値が認められる。
【0052】
したがって、以下の工程:
a)化学量論的に当該金属系材料に対応する量の化学元素および/または合金を固相および/または液相で反応させる工程と、
b)適切であれば、工程a)からの反応生成物を固体に変換する工程と、
c)工程a)またはb)からの固体を焼結および/または熱処理する工程と、
d)工程c)からの焼結および/または熱処理された固体を少なくとも100K/sの冷却速度で急冷する工程と
を含む、熱磁気材料の製造方法が好ましい。
【0053】
当該金属系材料は、焼結および/または熱処理後にゆっくりと周囲温度まで冷やすのではなく、高い冷却速度で急冷した場合、熱ヒステリシスを大幅に減少させることができ、大きな磁気熱量効果を達成することができる。この冷却速度は、少なくとも100K/sである。当該冷却速度は、好ましくは100〜10,000K/sであり、より好ましくは200〜1300K/sである。特に好ましい冷却速度は、300〜1000K/sである。
【0054】
当該急冷は、任意の好適な冷却方法、例えば、当該固体を水または水性液体、例えば、冷水または氷/水混合物、で冷却することにより達成することができる。例えば、当該固体を氷冷した水の中に入れてもよい。液体窒素などのサブクールガスで当該固体を急冷することも可能である。さらなる急冷方法が、当業者に既知である。ここで好都合であるのは、制御された急速冷却である。
【0055】
最終工程が、焼結および/または熱処理された固体を本発明の冷却速度で急冷する工程を含んでいれば、熱磁気材料の製造の他の部分はそれほど重要ではない。当該方法は、上記において説明したように、磁気冷却用の任意の好適な熱磁気材料の製造に適用することができる。
【0056】
当該方法の工程(a)において、後の熱磁気材料中に存在する元素および/または合金が、化学量論的に当該熱磁気材料に対応する量において、固相または液相中で変換される。
【0057】
密閉容器または押出機中で元素および/または合金を加熱する工程を組み合わせることにより、あるいはボールミル中での固相反応により、工程a)の反応を実施することが好ましい。特にボールミル中で行われる固相反応を実施することが、特に好ましい。そのような反応は、原則として既知である(上記において引用した文献を参照のこと)。通常、後の熱磁気材料中に存在する個々の元素の粉末または2種以上の個々の元素の合金の粉末を、好適な質量比で粉末状態において混合する。必要であれば、微結晶質粉末混合物を得るために、当該混合物をさらに磨砕することも可能である。好ましくは、さらなる粉砕ならびに良好な混合を生じさせ、当該粉末混合物において固相反応を起こさせるために、この粉末混合物をボールミル中で加熱する。あるいは、個々の元素を、選択された化学量論的な量の粉末として混合し、次いで溶融させる。
【0058】
密閉容器中での加熱を組み合わせることにより、揮発性元素の固定および化学量論的な制御が可能となる。具体的には、リンを使用する場合、開放系ではリンが容易に気化してしまうであろう。
【0059】
当該反応の後に、当該固体の焼結および/または熱処理が続くが、そのために1つ以上の中間工程を設けてもよい。例えば、工程a)において得られた固体を、焼結および/または熱処理する前に、成形を行ってもよい。
【0060】
あるいは、ボールミルから得られた固体を、溶融紡糸工程に送ることも可能である。溶融紡糸工程は、それ自体が公知であり、例えば、Rare Metals,Vol.25,2006年10月,p544〜549ならびに国際公開第2004/068512号に記載されている。
【0061】
これらの方法では、工程a)で得られる組成物が溶融され、回転する冷金属ローラー上に噴霧される。この噴霧は、噴射ノズルの上流を加圧するか、または噴射ノズルの下流を減圧することにより達成することができる。通常、回転する銅ドラムまたはローラーが使用され、これは、適切であればさらに冷却してもよい。好ましくは、当該銅ドラムは、10〜40m/s、特に20〜30m/sの表面速度で回転する。当該銅ドラム上において、当該液体組成物は、好ましくは102〜107K/sの速度で、より好ましくは少なくとも104K/s、特に0.5〜2×106K/sの速度で冷却される。
【0062】
工程a)の反応と同様に、溶融紡糸も減圧下または不活性ガス雰囲気下において実施することができる。
【0063】
溶融紡糸は、その後の焼結および熱処理を短縮することができるため、高い加工速度を実現する。したがって、具体的には、工業規模では、熱磁気材料の製造は、著しくより経済的に実施可能となる。噴霧乾燥によっても、高い加工速度が得られる。特に好ましいのは、溶融紡糸を実施することである。
【0064】
あるいは、工程b)において噴霧冷却を実施してもよく、当該工程では、工程a)からの組成物の溶融物が噴霧塔内へ噴霧される。例えば、この噴霧塔をさらに冷却してもよい。噴霧塔においては、103〜105K/sの範囲の冷却速度、特に約104K/sの冷却速度が、多くの場合において達成される。
【0065】
固体の焼結および/または熱処理は工程c)において行い、好ましくは、最初に、800〜1400℃の範囲の温度で焼結し、次いで、500〜750℃の範囲の温度で熱処理する。例えば、焼結は、500〜800℃の範囲の温度で実施してもよい。成形体/固体に対し、焼結は、より好ましくは1000〜1300℃の範囲の温度で、特に1100〜1300℃の範囲の温度で行われる。熱処理は、例えば、600〜700℃で行ってもよい。
【0066】
当該焼結は、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に5〜15時間において実施される。当該熱処理は、好ましくは10〜100時間の範囲、より好ましくは10〜60時間、特に30〜50時間の範囲で実施される。正確な処理時間は、材料による実際的な要件に合わせて調節することができる。
【0067】
溶融紡糸法を使用する場合には、焼結または熱処理の所要時間を、大幅に、例えば、5分〜5時間に、好ましくは10分〜1時間に短縮することができる。10時間の焼結および50時間の熱処理での別の方法による従来の値と比べて、この方法では、多大な時間的利点が生じる。
【0068】
当該焼結/熱処理の結果、粒子境界の部分的な溶融が生じ、それによって当該材料がさらに緻密となる。
【0069】
したがって、工程b)における溶融および急速冷却により、工程c)の所要時間が大幅に短縮される。これにより、当該熱磁気材料の連続生産も可能となる。
【0070】
本発明の成形体は、例えば、プレート状、ハニカム状、モノリス状、あるいは担持体上のコーティングの形態において存在してもよい。
【0071】
当該成形体は、印刷法により製造される。印刷用インクの代わりに熱磁気材料を含む成形材料を使用する任意の好適な印刷法を使用することが可能である。従来の好適な印刷法として、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、およびグラビア印刷が挙げられる。これらの方法は、それ自体が当業者に公知である。加えて、特に、より大きな三次元構造を形成するために、例えば、欧州特許出願公開第1485255号に記載されているようにインクジェット印刷、レーザー転写印刷、ならびにラピッドプロトタイピング/3D印刷を使用することも可能である。このために、最初に、当該熱磁気材料の粉末をバインダー中に導入する。結果として得られる成形材料の固形分に対して好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜98質量%の熱磁気材料が、当該成形材料中に存在する。残りの部分は、バインダー、場合により溶媒または分散剤、ならびにさらなる添加剤の間で分けられる。当該成形材料によって印刷することができるように、当該成形材料は、好適な溶媒または溶媒混合物中に分散できなければならない。固体成形材料と溶媒の比率は、特定の印刷法に応じて変わる。
【0072】
当該印刷法は、熱磁気粒子の溶媒含有分散液を使用し、当該分散液はさらにバインダーを含んでいてもよい。3D印刷では、一般的に、最初に充填される熱磁気材料粉末に対してバインダーのみが適用される。
【0073】
3D印刷において使用されるバインダーは、好ましくはポリマー性バインダーであり、この場合、最初に、結果として得られる熱可塑性成形材料が印刷プロセスに供され、次いで、当該バインダーが除去され、結果として得られる未焼結成形体が焼結される。熱磁気材料の粉末をポリマー性バインダーでコーティングし、次いで成形体を形成することも可能である。
【0074】
本発明によれば、熱磁気材料のためのバインダーとして使用することができる任意の好適な有機バインダーを使用することが可能である。これらは、特にオリゴマー性またはポリマー性の系である。
【0075】
有用な有機バインダーとしては、特に天然ポリマーおよび合成ポリマーが挙げられ、これらは、化学的または物理的硬化性、例えば、気中硬化性、放射線硬化性、または熱硬化性であり得る。
【0076】
好ましいポリマーは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン);ASA(アクリロニトリルスチレン−アクリレート);アクリレート化アクリレート;アルキド樹脂;酢酸アルキルビニル;アルキレン−酢酸ビニルコポリマー、特に、メチレン−酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル、ブチレン−酢酸ビニル;アルキレン−塩化ビニルコポリマー;アミノ樹脂;アルデヒド樹脂およびケトン樹脂;セルロースおよびセルロース誘導体、特に、アルキルセルロース、セルロースエステル、例えば、アセテート、プロピオネート、ブチレート、セルロースエーテル、カルボキシアルキルセルロース、ニトロセルロースなど;エポキシアクリレート;エポキシ樹脂;変性エポキシ樹脂、例えば、二官能性または多官能性のビスフェノールA樹脂またはビスフェノールF樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル、エチレン−アクリル酸コポリマー;炭化水素樹脂;MABS(アクリレート単位を含む透明ABS);メラミン樹脂、無水マレイン酸コポリマー;メタクリレート、場合によりアミン−官能化されたメタクリレート;天然ゴム;合成ゴム;塩素化ゴム;天然樹脂;ロジン;セラック、フェノール樹脂;ポリエステル;ポリエステル樹脂、例えば、フェニルエステル樹脂;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアニリン;ポリピロール;ポリブチレンテレフタレート(PBT);ポリカーボネート(例えば、Bayer MaterialScience AG社のMakrolon(登録商標));ポリエステルアクリレート;ポリエーテルアクリレート;ポリエチレン;ポリエチレン−チオフェン;ポリエチレンナフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリエチレンテレフタレート−グリコール(PETG);ポリプロピレン;ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリフェニレンオキシド(PPO);ポリスチレン(PS);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリテトラヒドロフラン;ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、ポリビニル化合物特に、ポリ塩化ビニル(PVC)、PVCコポリマー、PVdC、ポリ酢酸ビニル、ならびにそれらのコポリマー、適切であれば部分的に加水分解されたポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアクリレート、およびポリビニルメタクリレートの溶液および分散液、ならびにそれらのコポリマー、ポリアクリレート、およびポリスチレンコポリマー;(耐衝撃性改質または非耐衝撃性改質の)ポリスチレン;非架橋のポリウレタンまたはイソシアネートによって架橋されたポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;スチレン−アクリルコポリマー;スチレンブタジエンブロックコポリマー(例えば、BASF SE社のStyroflex(登録商標)またはStyrolux(登録商標)、CPC社のK−Resin(商標));タンパク質、例えば、カゼイン;SIS、SPSブロックコポリマー;トリアジン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン(BT)樹脂、シアネートエステル(CE)樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)である。2種以上のポリマーの混合物からもマトリックス材料を形成することができる。加えて、バインダーとして超分岐ポリウレタンを使用することも可能である。この場合、任意の所望の好適な超分岐ポリマー、好ましくは、国際公開第02/36695号に記載された化合物を使用することが可能である。
【0077】
当該熱磁気粉末は、任意の所望の好適な方法において、従来の機器、例えば、ニーダー、溶解器、ローター−ステーター混合機、または撹拌ボールミルなどを用いてバインダー中に組み入れることができる。この場合、当該成形材料は、好適な溶媒または溶媒混合物中に分散できなければならず、溶媒は、バインダーの溶解度および特定の印刷法に応じて選択される。
【0078】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族および芳香族炭化水素(例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アミルアルコール)、多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどアルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、3−メチルブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、メトキシブタノール、エトキシプロパノール)、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン)、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、アルキルグリコールアセテート(例えば、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアセトンアルコール、ジグリコールジアルキルエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジオキサン、ジプロピレングリコールおよびエーテル、ジエチレングリコールおよびエーテル、DBE(二塩基性エステル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、エチレンクロリド、エチレングリコール、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジメチルエステル、クレゾール、ラクトン(例えば、ブチロラクトン)、ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK))、メチルジグリコール、メチレンクロリド、メチレングリコール、メチルグリコールアセテート、メチルフェノール(オルト−、メタ−、パラ−クレゾール)、ピロリドン(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、四塩化炭素、トルエン、トリメチロールプロパン(TMP)、芳香族炭化水素および混合物、脂肪族炭化水素および混合物、アルコール性モノテルペン(例えば、テルピネオール)、水、ならびに2種以上のこれらの溶媒の混合物である。
【0079】
好ましい溶媒は、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール)、ブチロラクトン、ジグリコールジアルキルエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、DBE)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、炭化水素(例えば、シクロヘキサン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン)、DMF、N−メチル−2−ピロリドン、水、およびそれらの混合物である。
【0080】
当該分散液は、さらに分散剤成分を含んでいてもよい。これは、1種以上の分散剤から成る。
【0081】
原則として、当業者に既知の、分散液に用いられるすべての分散剤、および先行技術に記載されているすべての分散剤が好適である。好ましい分散剤は、界面活性剤または界面活性剤の混合物、例えば、アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性界面活性剤である。
【0082】
カチオン性およびアニオン性界面活性剤は、例えば、「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」,J.Wiley&Sons(1966),第5巻,p816〜818および「Emulsion Polymerisation and Emulsion Polymers」,編集:P.LovellおよびM.El−Asser,Verlag Wiley&Sons(1997),p224〜226に記載されている。
【0083】
しかしながら、分散剤として、顔料親和性のアンカー基を有するような当業者に既知のポリマーを使用することも可能である。
【0084】
加えて、さらなる添加剤、例えば、チキソトロープ剤、例えば、シリカ、ケイ酸塩、例えば、アエロジルもしくはベントナイト、または有機チキソトロープ剤、ならびに粘度付与剤、例えば、ポリアクリル酸、ポリウレタン、水素化ひまし油、染料、脂肪酸、脂肪酸アミド、可塑剤、湿潤剤、消泡剤、潤滑剤、乾燥剤、架橋剤、錯化剤、ワックス、顔料、を使用することも可能である。
【0085】
従来の印刷法に加えて、ラピッドプロトタイピング/3D印刷法も使用することができる。
【0086】
「ラピッドプロトタイピング」(RP)という名前で当業者に知られているプロトタイプ製造法は、実質的に任意の所望の幾何学構造の非常に詳細な工作物でさえ、可能な限り手作業による方法または鋳型を用いることなく、利用可能なCADデータから直接的におよび迅速に製造することが可能である。ラピッドプロトタイピングの原理は、物理的および/または化学的効果を用いた、構成要素の層ごとの積み上げに基づいている。例えば、選択的レーザー焼結(SLS)またはステレオリソグラフィー(SLA)など多数の方法が確立されている。当該方法それ自体は、層を積み上げるための材料(ポリマー、樹脂、ペーパーウェブ、粉末など)ならびにこれらの材料を接着させる方法(レーザー、加熱、バインダー、またはバインダー系など)との関連において異なっている。当該方法は、多数の刊行物に記載されている。
【0087】
ラピッドプロトタイピング法の1つは、欧州特許出願公開第0431924号に記載されており、粉末およびバインダーによる、構成要素の層ごとの積み上げを含む。固着していない粉末が最後に除去されると、所望の幾何学構造の工作物が残る。
【0088】
国際公開第2004/112988号では、2種以上の粉末の出発材料を使用することも可能であるということが開示されており、米国特許出願公開第2005/0017394号では、バインダーの硬化を誘導する活性化剤の使用について開示されている。
【0089】
R.Knitterらは、とりわけ、Galvanotechnik 1/2004,p196〜204において、ミクロ反応器技術において用いられるセラミック反応器について記載している。ここで、成形は、ラピッドプロトタイピングプロセス連鎖によって行われるが、ただし、追加的中間工程として、1.)ステレオリソグラフィによって得られる原型のプラスチックモデルが、シリコーンの鋳型に転写され、次いで、2.)当該シリコーンの鋳型が、セラミックのスリップを使用する低圧射出成形工程においてネガ型として機能する。得られたセラミックのミクロ反応器は、とりわけ、実際の触媒が、例えば、懸濁液として適用される触媒担持体として機能する。この製造方法の欠点は、ネガ型が最初に製造され、その後に、最終的製造が注型という形態において行われる追加的な加工工程である。
【0090】
cfi/Ber.DKG 82(2005) No.13,p99〜103において、U.Kaufmannらが、粉末床における構成要素の層ごとの積み上げに基づく方法による3Dセラミック部品の製造について開示している。インプラントとしてのこれらの部品の適用可能性が説明されている。
【0091】
例えば、成形体は、以下の工程:
a)約0.5μm〜450μmの範囲の平均粒径を有する粉末状の出発材料または出発材料混合物を、薄層において基材に適用する工程と、次いで、この層上の選択された部位において、当該粉末をバインダーおよび必要な任意の助剤と混合することにより、または、照射または別の方法により処理することにより、当該粉末をこれらの部位において接着させ、その結果として、当該粉末を層内および隣接する層の両方に対して接着させる工程と、工作物の所望の形状が、形成された粉末床において再現されるまでこの操作を繰り返す工程と、バインダーによって接着されていない粉末を除去することにより、接着した粉末を所望の成形体の形状において残す工程と、を、所望の成形体が個々の層から完全に形成されるまで繰り返すことによる、粉末ベースのラピッドプロトタイピング法によって成形体を製造する工程、
b)場合により、熱処理、好ましくは成形体の焼結および/または焼成を実施する工程であって、最初にバインダーの除去を実施することが可能な工程、
c)場合により、少なくとも1種の触媒活性な成分を当該成形体に適用する工程
d)場合により、さらなる熱処理実施する工程
を含む方法によって得ることができ、この場合、工程b)、c)、および/またはd)を2回以上実施してもよい。
【0092】
必要な条件に従って、用途に合わせて成形体を製造することが可能であり、これは、押出および射出成形などの従来の技術では不可能である。ラピッドプロトタイピング技術がこれら従来の製造技術に勝る利点は、前述の型への注型、ならびに切断、機械加工、研削、はんだ接合などを行うことなく、マイクロチャネルを有する複雑な部品などの任意の所望の幾何学構造を、コンピュータによる制御下において、CADデータセットにより、対応する三次元部品へと変換することが理論的に可能である点である。この方法では、それらの最適化された幾何学構造のおかげで、熱および物質の移動に対して利点のある成形体を製造することが可能である。
【0093】
ラピッドプロトタイピング法では、粉末状の出発物質が使用される。単分散または多分散の粉末を使用することが可能である。微細粒子は、その性質から、より薄い層を実現することが可能であり、その結果として、所望の成形体の積み上げに対して、粗い粒子よりも多い数の層が可能であり、したがってより高い空間解像度が可能である。好ましいのは、約0.5μm〜約450μm、より好ましくは約1μm〜約300μm、最も好ましくは10〜100μmの範囲の平均粒径を有する粉末である。使用される粉末は、必要であれば、制御された方法において、例えば、焼成、圧縮、混合、造粒、ふるい分け、凝集化、または特定の粒径の分級物への磨砕のうちの少なくとも1つの工程によって前処理してもよい。
【0094】
ラピッドプロトタイピング法は、以下の工程から成ることが知られており、個々の層から所望の成形体が完全に形成されるまでこれらの工程を繰り返さなければならない。粉末状の出発物質または出発物質混合物を、基材上に薄層状に堆積させ、次いで、この層上の選択された部位において、当該粉末をバインダーおよび任意の必要な補助剤と混合させるか、あるいは照射または別の方法において処理することにより、当該粉末をこれらの部位において接着させ、その結果として、当該粉末を層内および隣接する層の両方に対して接着させる。形成された粉末床において、所望の形態の工作物が完全に再現されるまで、これらの操作を繰り返したら、バインダーによって結合されていない粉末を除去すれば、結合した粉末が所望の形態において残る。
【0095】
有利なバインダーは、有機材料、特に、架橋し得るかまたは別の方法においてお互いと共有結合を形成し得るもの、例えば、フェノール樹脂、ポリイソシアネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フラン樹脂、尿素−アルデヒド縮合物、フルフリルアルコール、アクリル酸およびアクリレート分散物、ポリマー性アルコール、ペルオキシド、炭水化物、糖、糖アルコール、タンパク質、デンプン、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、あるいはそれらの混合物である。
【0096】
当該バインダーは、溶存形態または分散形態のいずれかの液状において使用され、有機溶媒(例えば、トルエン)または水のいずれかを使用することができる。
【0097】
当該バインダーは、例えば、ノズル、印刷ヘッド、または粉末層上への、バインダーの非常に小さい液滴による正確な位置決めが可能な他の機器により適用される。粉末の量とバインダーの量の比率は、使用される物質に応じて変わり、一般的には約40:60〜約99:1質量部の範囲、好ましくは約70:30〜約99:1質量部の範囲、より好ましくは約85:15〜約98:2質量部の範囲である。
【0098】
加えて、場合により、例えば、バインダーの架橋に影響を及ぼし得るかまたは硬化剤として機能し得るような1種以上の助剤を使用することも可能である。使用される助剤は、特に水、無機酸、または無機塩基、ならびに急速に加水分解可能または縮合可能な化合物である。当該助剤は、別個に適用することができるが、それらは、場合により、粉末床および/またはバインダーもしくはバインダー溶液に添加することもできる。
【0099】
以下の文献:Gebhardt,Rapid Prototyping,Werkzeuge fuer die schnelle Produktentstehung,Carl Hansa Verlag Munich,2000、J.G.Heinrich,New Developments in the Solid Freeform Fabrication of Ceramic Components,cfi/Ber.DKG 66(1999),p29〜35、R.Knitter,W.Bauer,Keramische Reaktoren fuer den Einsatz in der Mikroreaktor−Technik,Nachrichten−Forschungszentrum Karlsruhe 34(2002),p143〜152、A.Nagy,R.Lenk,Rapid Prototyping−Fertigungsverfahren fuer die schnelle Bereitstellung keramischer Funktionsmuster,in:Kriegesmann(編集),Technische keramische Werkstoffe,2004,ke 12/2005,p54〜55、Massstaebe gesetzt im Rapid Prototyping、を参照されたく、www.werkstoffzentrum.deの「Rapid Prototyping」も参照のこと。
【0100】
成形体が完成した後、場合により熱処理され、これは、複数の段階において、または温度プログラムまたはプロフィールによって実施してもよい。一般的に、当該熱処理は、約300〜2100℃の範囲で実施される。例えば、成形体が存在する粉末床を、第一に、300〜700℃、好ましくは300〜550℃の範囲の温度に加熱してもよい。この過程において、例えば、加水分解および/または水またはアルコールが除去される縮合により、バインダーの架橋が完了しなければならず、ならびに有機成分が、酸化によって少なくとも部分的に除去され得る。この後に、第二の温度段階を設けてもよく、当該段階は、概して、900〜2100℃、好ましくは1100〜1800℃の温度へ加熱する工程を含む。これは、焼結工程の範囲内であり、この工程において、粉末粒子がお互いと結合を形成し、成形体の機械的強度が高められる。当該焼結工程により、ある特定の程度の収縮が生じる場合があり、これは、印刷過程においてCADモデルによって考慮されるべきである。バインダーによって固着されていない粉末は、焼結工程前までに除去されなければならず、これは、例えば、圧縮空気によって行ってもよく、またはブローイングにより排除してもよい。固着された粉末は、所望の形態で残る。第二温度段階は、結果として得られる材料が高い間隙率または低い間隙率を有するように選択することができる。触媒作用される反応の要件に従い、材料の機械的安定性、構造、および間隙率を、この工程によって最適化することができる。
【0101】
特定の印刷法は、結果として高い熱伝達、低い流動抵抗性、および高い磁気熱量密度の好適な組み合わせを有する成形体が得られるように制御される。効率的な熱除去および効率的な熱交換を確実にするような、高い磁気熱量密度と十分な間隙率の最適な比率が好ましい。言い換えれば、本発明の成形体は、高い表面積対体積比を示す。大きな表面積により、多量の熱を材料の外に移送し、それらを熱伝達媒体中へと移動させることが可能である。流体冷却媒体による機械的ストレスに対処するために、当該構造は機械的に安定でなければならない。加えて、結果として生じる多孔性材料中の圧力損失が小さくなるように、流動抵抗性は十分に低くなければならない。磁場の強さは、好ましくは最小であるべきである。
【0102】
本発明により得られる成形体は、好ましくは、冷蔵庫、空調設備、ヒートポンプ、または熱交換器において、あるいは熱の直接変換による発電において使用される。当該材料は、−100℃〜+150℃の温度範囲内において大きな磁気熱量効果を示すはずである。
【0103】
熱伝達速度は、サイクル速度を制限し、したがって、出力密度に対して大きな影響を有する。
【0104】
発電においては、導電性材料のコイルが熱磁気材料の周囲に取り付けられている。磁場または磁化の変化により、このコイルにおいて電流が誘起され、よって電気的仕事を実施するために使用することができる。最小の圧力損失で最大エネルギーが得られるように、コイルの幾何学構造および熱磁気材料の幾何学構造を選択することが好ましい。コイルの巻線密度(巻数/長さ)、コイル長、電荷抵抗、および熱磁気材料の温度変化は、エネルギー収率に対する重要な影響要因である。
【0105】
当該熱磁気材料は、外部磁界中に位置する。この磁場は、永久磁石または電磁石により発生させることができる。電磁石は、従来の電磁石であっても、または超電導性磁石であってもよい。
【0106】
当該熱磁気発生器は、好ましくは、地熱源または工業プロセスの廃熱からの、あるいは太陽エネルギーまたは太陽熱収集器からの熱エネルギーを、例えば、光発電において変換できるように設計することが好ましい。具体的には、地熱の活発な地域において、本発明の熱磁気発生器により、地熱を利用した容易な発電が可能となる。工業プロセスでは、プロセス熱または廃熱が頻繁に発生し、これらは、通常、環境中に排出され、それ以上利用されない。廃液も、多くの場合、導入時より放出時の方が高温である。冷却水も同様である。したがって、当該熱磁気発生器により、他では廃棄される廃熱から電気エネルギーを回収することが可能となる。当該熱磁気発生器は室温領域において運転することができるため、この廃熱を利用し、電気エネルギーに変換することが可能である。当該エネルギー変換は、好ましくは20〜150℃の範囲の温度で、より好ましくは40〜120℃の範囲の温度で行われる。
【0107】
(集中)太陽光発電システムでは、頻繁に高温に達するので、冷却が必要である。除去されるべきこの熱を、本発明により電力へと変換することができる。
【0108】
発電のためには、当該熱磁気材料が、熱貯水槽および冷貯水槽に交互に接触させられ、したがって加熱および冷却サイクルに供される。サイクル時間は、特定の技術的要件に従って選択される。
【0109】
以下の実施例1および2は、本発明の用途に好適な熱磁気材料の製造について説明するものであり、実施例3および4は、ラピッドプロトタイピングによる、所望の構造体の製造について説明するものである。
【0110】
実施例
実施例1
粉末を焼結するために、加圧成形されたMnFePGeの試料の入った真空の石英アンプルを、1100℃で10時間維持した。この焼結の後に、均質化するために650℃で60時間熱処理した。オーブン中において室温までゆっくりと冷却するのではなく、直ちに、当該試料を水で室温まで急冷した。水中での急冷により、試料表面においてある程度の酸化が生じた。外側の酸化されたシェルを、希酸でエッチングすることにより除去した。XRDパターンは、すべての試料が、Fe2P型の構造で結晶化していることを示した。
【0111】
以下の組成物が得られた:
Mn1.1Fe0.90.81Ge0.19、Mn1.1Fe0.90.78Ge0.22、Mn1.1Fe0.90.75Ge0.25、およびMn1.2Fe0.80.81Ge0.19。熱ヒステリシスに対して観察された値は、これらの試料に対してこの順に7K、5K、2K、および3Kである。熱ヒステリシスが10Kを超えるようなゆっくり冷却された試料と比較して、熱ヒステリシスは大幅に減少している。
【0112】
熱ヒステリシスは、0.5テスラの磁場において測定した。
【0113】
図1は、磁場を高めながらキュリー温度付近までMn1.1Fe0.90.78Ge0.22を等温磁化させた結果を示す。大きなMCEを生じる磁場誘起の遷移挙動が、最高5テスラまでの磁場に対して認められた。
【0114】
キュリー温度は、熱ヒステリシスの値と同様に、Mn/Fe比およびGe濃度を変えることによって調節することができる。
【0115】
0〜2テスラの最大磁場変化に対してマクスウェルの式を用いて直流磁化から計算された磁気エントロピーにおける変化は、最初の3つの試料に対して、それぞれ14J/kgK、20J/kgK、12.7J/kgKである。
【0116】
キュリー温度および熱ヒステリシスは、Mn/Fe比の増加に伴って低下する。その結果、当該MnFePGe化合物は、低磁場において比較的大きなMCE値を示す。これらの材料の熱ヒステリシスは非常に小さい。
【0117】
実施例2
MnFeP(GeSb)の溶融紡糸
最初に、国際公開第2004/068512号およびJ.Appl.Phys.99,08 Q107(2006)に記載されているように、ボールミル中において、高エネルギーを用いて、固相反応法により多結晶MnFeP(Ge、Sb)合金を製造した。次いで、当該材料片を、ノズルを備えた石英管に導入した。チャンバーを10-2mbarまで脱気し、次いで高純度アルゴンガスで満たした。試料を高周波によって溶融させ、回転する銅ドラムを収容するチャンバーへ圧力差によりノズルから噴霧した。銅ホイールの表面速度は調整可能であり、約105K/sの冷却速度が達成された。続いて、当該溶融紡糸リボンを900℃で1時間熱処理した。
【0118】
X線回折法は、すべての試料が六方晶系のFe2P構造パターンにおいて結晶化していることを示している。溶融紡糸法以外で製造された試料とは対照的に、MnOの小さな汚染相は認められなかった。
【0119】
溶融紡糸での様々な周速度に対して、結果として得られるキュリー温度、ヒステリシス、エントロピーの値を測定した。結果を、以下の第1表および第2表に一覧する。各場合において、低いヒステリシス温度が特定された。
【0120】
実施例3
基礎原料は、Turbulaミキサー(Willy A.Bachofen Ag社,4058 Basle,Switzerland)を用いて200メッシュキサンタン固体バインダー(Koenig&Wiegand社,40472 Dusseldorf)と混合された熱磁気材料粉末である。固体バインダーの割合は、熱磁気粉末に対して10質量%である。三次元印刷法は、水系のZB54バインダー溶液(Z−Corporation社,Burlington,MA 01803,USA)を使用して、Z−プリンター310(Z−Corporation社,Burlington,MA 01803,USA)により実施する。2%の液体バインダーを用いる。印刷後、最初に、当該部品を60℃で8時間乾燥し、次いで、圧搾空気を吹き付けて乾燥させる。焼結は、2時間の保持時間により1600℃で行われる。
【0121】
実施例4:
ラピッドプロトタイピングによる成形は、ProMetal RCT S15(ProMetal RCT GmbH社,86167 Augsburg)において、粉末およびバインダーの層を繰り返し堆積させることによって実施する。使用する粉末は熱磁気材料であり、バインダーはフラン型樹脂−酸混合物である。Askuran 120(Ashland−Suedchemie社,40721 Hilden)およびRPT 100(Ashland−Suedchemie社,40721 Hilden)によるこのバインダー混合物を100:40の混合比において用い、当該樹脂を当該粉末に加え、印字ヘッドノズルにより硬化剤を計量供給する。約1.5%の量の樹脂を対応する量の粉末に加える。多数の層を積み上げることによって成形物を製造し、室温で一夜乾燥させる。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)一般式(I)の化合物
(Ayy-12+δwxz (I)
[式中、
Aは、MnまたはCoであり、
Bは、Fe、Cr、またはNiであり、
C、D、およびEは、C、D、およびEのうちの少なくとも2つが異なっており、僅かでない濃度を有し、P、B、Se、Ge、Ga、Si、Sn、N、As、およびSbから選択され、
δは、−0.2〜0.2の範囲の数字であり、
w、x、y、zは、0〜1の範囲の数字であって、この場合、w+x+z=1である]、
(2)一般式(II)および/または(III)および/または(IV)のLaおよびFe系の化合物
La(FexAl1-x13yまたはLa(FexSi1-x13y (II)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは0〜3の数字である];
La(FexAlyCoz13またはLa(FexSiyCoz13 (III)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは0.05〜1−xの数字であり、
zは0.005〜0.5の数字である];
LaMnxFe2-xGe (IV)
[式中、
xは1.7〜1.95の数字である]、ならびに
(3)MnTP型のホイスラー合金[式中、Tは遷移金属であり、Pは、原子中の電子数e/aが7〜8.5の範囲にあるp型ドーピング金属である]、
(4)一般式(V)のGdおよびSi系の化合物、
Gd5(SixGe1-x4 (V)
[式中、
xは0.2〜1の数である]、
(5)Fe2P系の化合物、
(6)ペロブスカイト型の水マンガン鉱、
(7)一般式(VI)および(VII)の、希土類元素を含む化合物
Tb5(Si4-xGex) (VI)
[式中、
x=0,1,2,3,4である]、
XTiGe (VII)
[式中、
X=Dy、Ho、Tmである]、
(8)一般式(VIII)および(IX)のMnおよびSb系のあるいはAs系の化合物、
Mn2-xxSb (VIII)
Mn2xSb1-x (IX)
[式中、
Zは、Cr、Cu、Zn、Co、V、As、Geであり、
xは、0.01〜0.5である]
(ここで、ZがAsでない場合は、SbをAsで置き換えてもよい)、
から選択される熱磁気材料を含む、流体熱交換媒体の通り道のための経路を有する熱交換器のための成形体を製造する方法であって、該熱磁気材料の粉末をバインダー中に導入し、結果として得られる該成形材料を印刷法により担持体に適用し、続いて該バインダーおよび場合により該担持体を除去し、そして結果として得られる該未焼結成形体を焼結することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記印刷法が、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、レーザー転写印刷、およびラピッドプロトタイピング/3D印刷から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱磁気材料の前記粉末が、0.1〜100μmの範囲の平均粒径を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱磁気材料が、Mn、Fe、P、および場合によりSbのほかに、さらに、Ge、あるいはSi、あるいはAs、あるいはFeおよびSi、あるいはGeおよびAs、あるいはSiおよびAs、あるいはGeおよびSiおよびAsとを含む、前記一般式(I)の少なくとも四成分化合物から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記成形体中の前記経路が、0.1〜2000μmの範囲の平均径を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記経路が、前記流体熱交換媒体のための1つ以上の導入口および放出口を提供するように構成され、ならびに該経路が、前記成形体の十分に均一な温度制御を可能にするように配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
異なる温度において磁気熱量効果を示す異なる熱磁気材料が、同じ前記成形体中に存在するように、多数の異なる熱磁気材料が互いに並べておよび/または積み重ねて印刷される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの空間軸に沿って前記磁気熱量効果が各場合において生じる温度の準連続的な上昇または降下がもたらされるように、該少なくとも1つの空間軸に沿って異なる前記熱磁気材料が三次元配置される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記成形材料が、機械的特性、耐食性、および/または伝導性を向上させるためにさらなる添加剤を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得ることができる成形体。
【請求項11】
(1)一般式(I)の化合物
(Ayy-12+δwxz (I)
[式中、
Aは、MnまたはCoであり、
Bは、Fe、Cr、またはNiであり、
C、D、およびEは、C、D、およびEのうちの少なくとも2つが異なっており、僅かでない濃度を有し、P、B、Se、Ge、Ga、Si、Sn、N、As、およびSbから選択され、
δは、−0.2〜0.2の範囲の数字であり、
w、x、y、zは、0〜1の範囲の数字であって、この場合、w+x+z=1である]、
(2)一般式(II)および/または(III)および/または(IV)のLaおよびFe系の化合物
La(FexAl1-x13yまたはLa(FexSi1-x13y (II)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは0〜3の数字である];
La(FexAlyCoz13またはLa(FexSiyCoz13 (III)
[式中、
xは0.7〜0.95の数字であり、
yは、0.05〜1−xの数字であり、
zは0.005〜0.5の数字である];
LaMnxFe2-xGe (IV)
[式中、
xは1.7〜1.95の数字である]、ならびに
(3)MnTP型のホイスラー合金[式中、Tは遷移金属であり、Pは、原子中の電子数e/aが7〜8.5の範囲にあるp型ドーピング金属である]、
(4)一般式(V)のGdおよびSi系の化合物
Gd5(SixGe1-x4 (V)
[式中、
xは0.2〜1の数である]、
(5)Fe2P系の化合物、
(6)ペロブスカイト型の水マンガン鉱、
(7)一般式(VI)および(VII)の、希土類元素を含む化合物
Tb5(Si4-xGex) (VI)
[式中、
x=0、1、2、3、4である]、
XTiGe (VII)
[式中、
X=Dy、Ho、Tmである]、
(8)一般式(VIII)および(IX)のMnおよびSb系のあるいはAs系の化合物
Mn2-xxSb (VIII)
Mn2xSb1-x (IX)
[式中
Zは、Cr、Cu、Zn、Co、V、As、Geであり、
xは、0.01〜0.5である]
(ここで、ZがAsでない場合は、SbをAsで置き換えてもよい)
から選択される熱磁気材料を含み、流体熱交換媒体の通り道のための、0.1〜2000μmの範囲の平均径の経路を有する、熱交換器のための成形体。
【請求項12】
プレート状、ハニカム状、モノリス状、あるいは担持体上のコーティングの形態において存在する、請求項11に記載の成形体。
【請求項13】
冷蔵庫、空調設備、ヒートポンプにおける、または熱の直接変換による発電における、請求項10から12までのいずれか1項に記載の成形体の使用。

【公表番号】特表2012−521647(P2012−521647A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501269(P2012−501269)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053684
【国際公開番号】WO2010/108883
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】