説明

熱交換器の耐圧性検査方法および耐圧性検査装置

【課題】熱交換器の耐圧性を比較的簡単かつ正確に検査することができる熱交換器の耐圧性検査方法を提供する。
【解決手段】内部接合部を有する複数の偏平状熱交換管が並列状に設けられており、かつ隣接する熱交換管どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器1の耐圧性を検査する方法である。熱交換器1の内部を加圧し、加圧開始前に熱交換器1の片側から光を照射するとともに、熱交換器1の反対側からCCDカメラ44で撮像し、撮像範囲を複数のドットに分割し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出する。また、加圧開始後連続的に上記と同様にして、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出する。加圧開始前の上記パターン、および加圧後の上記パターンの連続的変化に基づいて熱交換器1の耐圧性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性検査方法および耐圧性検査装置に関する。
【0002】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
熱交換器として、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のアルミニウム製ヘッダと、両ヘッダ間に並列状に配置されかつ両端がそれぞれ両ヘッダに接続された複数の中空状冷媒流通部としてのアルミニウム製偏平状熱交換管と、隣り合う熱交換管の間の通風間隙に配置されるとともに、両熱交換管にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィンとを備えたものが広く使用されている。
【0004】
偏平状熱交換管は、たとえば互いに平行な2つの平坦壁と、両平坦壁の両側縁にまたがる両側壁と、両側壁間において両平坦壁にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁とを備えているとともに、内部に並列状の流体通路を有しており、各補強壁が、一方の平坦壁より内方隆起状に一体成形された補強壁用凸条と、他方の平坦壁より内方隆起状に一体成形された補強壁用凸条とが相互に突き合わされてろう付されることにより形成され、両補強壁用凸条どうしのろう付部が内部接合部となっているものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、上述した偏平状熱交換管を有する熱交換器において、必要な耐圧性を得るためには、補強壁用凸条どうしが、それぞれろう付不良を起こすことなく十分なろう付強度を有するようにろう付されている必要がある。
【0006】
しかしながら、補強壁用凸条どうしのろう付部、すなわち内部接合部のろう付不良の発生、および補強壁用凸条どうしのろう付部の強度は簡単に知ることができず、その結果熱交換器の耐圧性を簡単に検査することができないのが現状である。
【特許文献1】特開平6−281373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、熱交換器の耐圧性を比較的簡単かつ正確に検査することができる熱交換器の耐圧性検査方法および耐圧性検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
熱交換器の内部を加圧し、加圧中に、連続的または断続的に通風方向の片側から熱交換器に光を照射するとともに、通風方向の反対側から熱交換器を目視観察することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【0010】
2)熱交換器のフィンの変形を目視観察する上記1)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0011】
3)熱交換器の冷媒流通部の変形を目視観察する上記1)または2)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0012】
4)内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
通風方向の片側から熱交換器に光を照射しておき、通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、ついで熱交換器の内部を加圧し、加圧開始後連続的に通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、加圧前の撮像範囲の輝度情報、および加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【0013】
5)加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化に基づいて、熱交換器内部の加圧力を制御する上記4)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0014】
6)撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数、および加圧後の黒部分の数の連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記4)または5)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0015】
7)撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターン、および加圧後のパターンの連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記4)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0016】
8)内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
通風方向の片側から熱交換器に光を照射しておき、通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、ついで熱交換器の内部を加圧し、加圧開始後断続的に通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、加圧前の撮像範囲の輝度情報、および加圧後の撮像範囲の輝度情報の断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【0017】
9)加圧後の撮像範囲の輝度情報の断続的変化に基づいて、熱交換器内部の加圧力を制御する上記8)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0018】
10)撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数、および加圧後の黒部分の数の断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記8)または9)記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0019】
11)撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターン、および加圧後のパターンの断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記8)〜10)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【0020】
12)相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダ間に、内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する装置であって、
熱交換器の内部を加圧する加圧手段と、熱交換器の通風方向の片側に配置されかつ熱交換器に光を照射する光照射手段と、光照射手段の反対側から熱交換器を撮像する撮像手段と、加圧手段による加圧の前後において、それぞれ撮像手段による撮像範囲を複数のドットに分割し、各ドットの輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得るとともに、撮像範囲の輝度情報により熱交換器の耐圧性を判定する処理手段とを備えており、処理手段が、加圧前の撮像範囲の輝度情報および加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する熱交換器の耐圧性検査装置。
【0021】
13)処理手段が、加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化または断続的変化に基づいて、加圧手段による熱交換器内部の加圧力を制御する上記12)記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0022】
14)処理手段が、撮像手段により熱交換器を撮像することによって得られたモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数および加圧後の黒部分の数の連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記12)または13)記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0023】
15)処理手段が、撮像手段により熱交換器を撮像することによって得られたモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターンおよび加圧後のパターンの連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する上記12)〜14)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0024】
16)加圧手段が、熱交換器内に高圧エアを供給する高圧エア供給装置からなる上記12)〜15)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0025】
17)撮像手段が、CCDカメラからなる上記12)〜16)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0026】
18)撮像手段がラインセンサからなり、ラインセンサと熱交換器とを相対的に移動させる移動手段を備えている上記12)〜16)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0027】
19)処理手段が画像処理装置からなる上記12)〜18)のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【0028】
20)内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられ、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されており、上記1)〜11)のうちのいずれかに記載の方法により耐圧性が検査された熱交換器。
【0029】
21)上記12)〜19)のうちのいずれかに記載の耐圧性検査装置を備えている熱交換器製造ライン。
【発明の効果】
【0030】
上記1)の方法によれば、中空状冷媒流通部の内部接合部に接合不良が発生している場合や、内部接合部の接合強度が不足している場合には、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部が破断して冷媒流通部が大きく膨らむように変形するとともに通風間隙に配置されているフィンが変形する。したがって、熱交換器の内部を加圧した後、熱交換器の片側から光を照射するとともに熱交換器の反対側から目視観察することにより、冷媒流通部の変形およびフィンの変形のうち少なくともいずれか一方の有無を確認することができ、これに基づいて熱交換器の耐圧性を判定することができ、その結果熱交換器の耐圧性を簡単に検査することができる。しかも、重要部分、たとえば冷媒流通部およびフィンにおけるヘッダに近い部分や、ろう付による接合前に溶接により仮止めした部分などの変形を確実に把握することができる。また、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部に破断が発生しない場合にも冷媒流通部およびフィンが若干変形するが、上述したような目視観察を連続的または断続的に行うことにより、冷媒流通部およびフィンの変形開始圧力および変形終了圧力を知ることができる。さらに、冷媒流通部の内部接合部の接合強度が極端に低い場合には、内部の加圧力が設定値に達する前に冷媒流通部が一気に破壊されることがあるが、上述したような目視観察を連続的または断続的に行うことにより、熱交換器全体の破壊の前兆を知ることができ、検査の安全性が向上する。
【0031】
上記4)および6)の方法によれば、中空状冷媒流通部の内部接合部に接合不良が発生している場合や、内部接合部の接合強度が不足している場合には、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部が破断して冷媒流通部が大きく膨らむように変形するとともに通風間隙に配置されているフィンが大きく変形する。この場合、撮像範囲における輝度情報は加圧前のものに比べて大きく変化する。一方、中空状冷媒流通部の内部接合部に接合不良が発生しておらず、かつ内部接合部の接合強度が十分大きい場合には、熱交換器の内部を加圧したとしても、冷媒流通部およびフィンには大きな変形は発生せず、加圧後の撮像範囲における輝度情報は加圧前のものと比べてほとんど変化しない。したがって、このような撮像範囲の輝度情報に基づいて、熱交換器の耐圧性を判定することができ、その結果熱交換器の耐圧性を簡単かつ正確に検査することができる。しかも、目視検査での人的ミスによる見落としや、検査員の能力に左右されない安定した検査が可能となる。また、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部に破断が発生しない場合にも冷媒流通部およびフィンが若干変形するが、加圧後の撮像範囲における輝度情報の連続的変化に基づいて、冷媒流通部およびフィンの変形開始圧力および変形終了圧力を知ることができ、熱交換器の耐圧性をより詳細に検査することができる。また、撮像範囲の輝度情報の連続的変化と加圧力との関係に基づいて、中空状冷媒流通部の内部接合部における接合欠陥の種類を知ることができ、接合欠陥をなくすための対策を立てることができる。さらに、冷媒流通部の内部接合部の接合強度が極端に低い場合には、内部の加圧力が設定値に達する前に冷媒流通部が一気に破壊されることがあるが、加圧後の撮像範囲における輝度情報の連続的変化と内部加圧力との相関関係から破壊加圧力を想定することができる。しかも、撮像範囲における輝度情報の変化が一定限度に達した場合に、内部加圧を停止することにより、熱交換器全体の破壊による検査装置の破損を防止することができる。
【0032】
上記5)の方法によれば、熱交換器を破壊することなく耐圧性を検査することができる。
【0033】
上記7)の方法によれば、上記4)および6)の方法による効果に加えて次の効果を奏する。すなわち、熱交換器の内部を加圧した場合、中空状冷媒流通部の内部接合部の破断による冷媒流通部およびフィンの大きな変形に起因する撮像範囲の輝度情報、すなわち白部分および黒部分のパターンの変化の他に、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきに起因する撮像範囲の白部分および黒部分のパターンの変化が発生することがある。ところが、中空状冷媒流通部の内部接合部の破断による冷媒流通部およびフィンの変形に起因する白部分および黒部分のパターンと、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきに起因する白部分および黒部分のパターンとは異なったものになるので、加圧前のパターンおよび加圧後のパターンの連続的変化に基づいて、冷媒流通部およびフィンの変形か、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきかを区別することができ、耐圧性検査の精度が高まる。
【0034】
上記8)および10)の方法によれば、中空状冷媒流通部の内部接合部に接合不良が発生している場合や、内部接合部の接合強度が不足している場合には、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部が破断して冷媒流通部が大きく膨らむように変形するとともに通風間隙に配置されているフィンが大きく変形する。この場合、撮像範囲における輝度情報は加圧前のものに比べて大きく変化する。一方、中空状冷媒流通部の内部接合部に接合不良が発生しておらず、かつ内部接合部の接合強度が十分大きい場合には、熱交換器の内部を加圧したとしても、冷媒流通部およびフィンには大きな変形は発生せず、加圧後の撮像範囲における輝度情報は加圧前のものと比べてほとんど変化しない。したがって、このような撮像範囲の輝度情報に基づいて、熱交換器の耐圧性を判定することができ、その結果熱交換器の耐圧性を簡単かつ正確に検査することができる。しかも、目視検査での人的ミスによる見落としや、検査員の能力に左右されない安定した検査が可能となる。また、熱交換器の内部を加圧すると、内部接合部に破断が発生しない場合にも冷媒流通部およびフィンが若干変形するが、加圧後の撮像範囲における輝度情報の断続的変化に基づいて、冷媒流通部およびフィンの変形開始圧力および変形終了圧力を知ることができ、熱交換器の耐圧性をより詳細に検査することができる。また、撮像範囲の輝度情報の断続的変化と加圧力との関係に基づいて、中空状冷媒流通部の内部接合部における接合欠陥の種類を知ることができ、接合欠陥をなくすための対策を立てることができる。さらに、冷媒流通部の内部接合部の接合強度が極端に低い場合には、内部の加圧力が設定値に達する前に冷媒流通部が一気に破壊されることがあるが、加圧後の撮像範囲における輝度情報の断続的変化と内部加圧力との相関関係から破壊加圧力を想定することができる。しかも、撮像範囲における輝度情報の変化が一定限度に達した場合に、内部加圧を停止することにより、熱交換器全体の破壊による検査装置の破損を防止することができる。
【0035】
上記9)の方法によれば、熱交換器を破壊することなく耐圧性を検査することができる。
【0036】
上記11)の方法によれば、上記8)および10)の方法による効果に加えて次の効果を奏する。すなわち、熱交換器の内部を加圧した場合、中空状冷媒流通部の内部接合部の破断による冷媒流通部およびフィンの大きな変形に起因する撮像範囲の輝度情報、すなわち白部分および黒部分のパターンの変化の他に、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきに起因する撮像範囲の白部分および黒部分のパターンの変化が発生することがある。ところが、中空状冷媒流通部の内部接合部の破断による冷媒流通部およびフィンの変形に起因する白部分および黒部分のパターンと、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきに起因する白部分および黒部分のパターンとは異なったものになるので、加圧前のパターンおよび加圧後のパターンの断続的変化に基づいて、冷媒流通部およびフィンの変形か、熱交換器全体の変形および反りや光のちらつきかを区別することができ、耐圧性検査の精度が高まる。
【0037】
上記12)の装置を用いて熱交換器の耐圧性を検査した場合、上記4)および8)の方法の場合と同様な効果を奏する。
【0038】
上記13)の装置を用いて熱交換器の耐圧性を検査した場合、上記5)および9)の方法の場合と同様な効果を奏する。
【0039】
上記14)の装置を用いて熱交換器の耐圧性を検査した場合、上記6)および10)の方法の場合と同様な効果を奏する。
【0040】
上記15)の装置を用いて熱交換器の耐圧性を検査した場合、上記7)および11)の方法の場合と同様な効果を奏する。
【0041】
上記17)の装置によれば、撮像手段のコストが比較的安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の熱交換器の冷媒流通部に関する説明において、図2および図3の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。
【0043】
図1はこの発明の方法により耐圧性が検査される熱交換器の1例を示し、図2はこの熱交換器に用いられる冷媒流通部としての偏平状熱交換管の1例を示し、図3は図2に示す偏平状熱交換管を製造する方法を示す。
【0044】
図1において、熱交換器(1)はカーエアコン用コンデンサとして用いられるものであり、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のヘッダ(2)(3)と、両ヘッダ(2)(3)間に並列状に配置されかつ両端がそれぞれ両ヘッダ(2)(3)に接続された複数のアルミニウム製偏平状熱交換管(4)(中空状冷媒流通部)と、隣り合う熱交換管(4)間の通風間隙(5)に配置されるとともに、両熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(6)と、第1ヘッダ(2)の周壁上端部に接続された入口管(7)と、第2ヘッダ(3)の周壁下端部に接続された出口管(8)と、第1ヘッダ(2)の中程より上方位置の内部に設けられた第1仕切板(9)と、第2ヘッダ(3)の中程より下方位置の内部に設けられた第2仕切板(10)とを備えており、第1仕切板(9)よりも上方の熱交換管(4)の本数、第1仕切板(9)と第2仕切板(10)の間の熱交換管(4)の本数、第2仕切板(10)よりも下方の熱交換管(4)の本数がそれぞれ上から順次減少されて通路群を構成しており、入口管(7)から流入した気相の冷媒が、出口管(8)より液相となって流出するまでに、熱交換器(1)内を各通路郡単位に蛇行状に流れるようになされている。
【0045】
図2に示すように、偏平状熱交換管(4)は、互いに対向する平らな上下壁(11)(12)(1対の平坦壁)と、上下壁(11)(12)の左右両側縁どうしにまたがる左右両側壁(13)(14)と、左右両側壁間(13)(14)において上下壁(11)(12)にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁(15)とよりなり、内部に複数の並列状流体通路(16)を有するものである。なお、図示は省略したが、全ての補強壁(15)には、隣接する流体通路(16)どうしを通じさせる複数の連通穴が、全体として平面から見て千鳥配置状となるようにあけられている。
【0046】
左側壁(13)は、上壁(11)の左側縁より下方隆起状に一体成形された側壁用凸条(17)と、下壁(12)の左側縁より上方隆起状に一体成形された側壁用凸条(18)とが、相互に突き合わされてろう付されることにより形成されている。右側壁(14)は、上下壁(11)(12)と一体に形成されている。
【0047】
補強壁(15)は、上壁(11)より下方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(19)と、下壁(12)より上方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(20)とが、相互に突き合わされてろう付されることにより形成されており、補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部が内部接合部となっている。
【0048】
偏平状熱交換管(4)は、図3(a)に示すような偏平状熱交換管製造用金属板(25)を用いて製造される。偏平状熱交換管製造用金属板(25)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、平らな上壁形成部(26)(平坦壁形成部)および下壁形成部(27)(平坦壁形成部)と、上壁形成部(26)および下壁形成部(27)を連結しかつ右側壁(14)を形成する連結部(28)と、上壁形成部(26)および下壁形成部(27)における連結部(28)とは反対側の側縁より上方隆起状に一体成形されかつ左側壁(13)を形成する側壁用凸条(17)(18)と、左右方向に所定間隔をおいて上壁形成部(26)および下壁形成部(27)よりそれぞれ上方隆起状に一体成形された複数の補強壁用凸条(19)(20)とを備えており、上壁形成部(26)の補強壁用凸条(19)と下壁形成部(27)の補強壁用凸条(20)とが幅方向の中心線に対して左右対称となる位置にある。両側壁用凸条(17)(18)およびすべての補強壁用凸条(19)(20)の高さはそれぞれ等しくなっている。連結部(28)における左右両側縁部を除いた大部分に曲げ位置決め用凸条(29)が全長にわたって一体成形されている。
【0049】
なお、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートの片面に側壁用凸条(17)(18)および補強壁用凸条(19)(20)が一体成形されていることにより、側壁用凸条(17)(18)および補強壁用凸条(19)(20)の両側面および先端面と、上下壁形成部(26)(27)の上下両面にろう材層(図示略)が形成されるが、側壁用凸条(17)(18)および補強壁用凸条(19)(20)の先端面のろう材層は他の部分のろう材層に比べて厚みが大きくなる。また、下壁形成部(27)における側壁用凸条(18)の先端面に、その長手方向に伸びる凸起(31)が全長にわたって一体に形成されている。一方、上壁形成部(26)における側壁用凸条(17)の先端面に、その長手方向に伸びかつ凸起(31)が圧入される凹溝(32)が全長にわたって形成されている。凸起(31)の先端面および両側面、ならびに凹溝(32)の底面および両側面にもそれぞれろう材層が存在している。
【0050】
そして、偏平状熱交換管製造用金属板(25)を、ロールフォーミング法により、曲げ位置決め用凸条(29)を利用して連結部(28)の左右両側縁で順次折り曲げていき(図3(b)参照)、最後にヘアピン状に折り曲げて側壁用凸条(17)(18)どうしおよび補強壁用凸条(19)(20)どうしをそれぞれ突き合わせるとともに、凸起(31)を凹溝(32)内に圧入して折り曲げ体(33)とし(図3(c)参照)、側壁用凸条(17)(18)の先端部どうしおよび補強壁用凸条(19)(20)の先端部どうしをろう付することにより、偏平状熱交換管(4)が製造される。このとき、互いにろう付された側壁用凸条(17)(18)により左側壁(13)が、連結部(28)により右側壁(14)が、上壁形成部(26)により上壁(11)が、下壁形成部(27)により下壁(12)が、互いにろう付された補強壁用凸条(19)(20)により補強壁(15)がそれぞれ形成される。
【0051】
偏平状熱交換管(4)の製造は、熱交換器(1)の製造と同時に行われる。すなわち、熱交換器(1)は次のようにして製造される。まず、複数の折り曲げ体(33)を用意するとともに、折り曲げ体(33)と同数の折り曲げ体挿入穴を有する1対のアルミニウム製ヘッダ(2)(3)と、複数のアルミニウム製コルゲートフィン(6)とを用意する。ついで、1対のヘッダ(2)(3)を間隔をおいて配置するとともに、複数の折り曲げ体(33)とフィン(6)とを交互に配置し、折り曲げ体(33)の両端部をヘッダ(2)(3)の折り曲げ体挿入穴に挿入する。その後、これらを所定温度に加熱し、折り曲げ体(33)の側壁用凸条(17)(18)どうしおよび補強壁用凸条(19)(20)どうし、折り曲げ体(33)とヘッダ(2)(3)、ならびに折り曲げ体(33)とコルゲートフィン(6)とを、それぞれ偏平状熱交換管製造用金属板(25)のろう材層を利用して同時にろう付する。こうして、熱交換器(1)が製造される。この熱交換器(1)はコンデンサとして、圧縮機およびエバポレータとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、たとえばカーエアコンとして自動車に搭載される。
【0052】
なお、偏平状熱交換管(4)は、圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつCOなどの超臨界冷媒を用いる冷凍サイクルにおいて、ガスクーラやエバポレータに用いられることもある。この冷凍サイクルは、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0053】
図4は熱交換器(1)の耐圧性検査装置の構成を概略的に示す。
【0054】
図4において、耐圧性検査装置は、熱交換器(1)を、通風方向が上下方向を向くように水平状態で保持する保持装置(40)(保持手段)と、保持装置(40)に保持されかつ密閉された熱交換器(1)の内部に高圧エアを供給して熱交換器(1)内部を加圧する高圧エア供給装置(41)(加圧手段)と、保持装置(40)に保持された熱交換器(1)に下方(通風方向の片側)から光を照射する照明(42)(光照射手段)と、保持装置(40)に保持された熱交換器(1)の上方に配置され、かつ下方からの光を側方、ここでは右方に反射する鏡などからなる反射板(43)(反射手段)と、反射板(43)による反射像を撮像するCCDカメラ(44)(撮像手段)と、画像処理装置(45)(処理手段)と、各操作を行うとともに耐圧性の検査結果を表示する操作兼表示装置(46)とを備えている。
【0055】
保持装置(40)は、熱交換器(1)の両ヘッダ(2)(3)を、通風間隙(5)を塞がないように保持する。
【0056】
CCDカメラ(44)は、照明(42)により下方から光が照射された熱交換器(1)の反射板(43)による反射像を、ここではモノクロ画像として撮像し、その画像信号を画像処理装置(45)に出力する。
【0057】
画像処理装置(45)は、CCDカメラ(44)で撮像されたモノクロ画像の撮像範囲を複数のドット(画素)に分割し、グレー処理を施して各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出する。ここで、白部分および黒部分のパターンとは、たとえば形状、大きさ、分散状態をいうものとする。また、画像処理装置(45)は、高圧エア供給装置(41)により熱交換器(1)の内部に高圧エアを供給して加圧する前の状態の上記パターンと、加圧した後の状態の上記パターンとを比較し、加圧前の上記パターン、および加圧後の上記パターンの連続的変化に基づいて熱交換器(1)の耐圧性を判定し、その判定結果を操作兼表示装置(46)に出力する。また、画像処理装置(45)は、加圧開始後、上記パターンが変化を始めた際の内部圧力と、上記パターンが変化しなくなった際の内部圧力とを操作兼表示装置(46)に表示する。さらに、画像処理装置(45)は、加圧開始後の上記パターンが異常に変化した場合に、高圧エア供給装置(41)による熱交換器(1)内部への高圧エアの供給を停止する。
【0058】
図5〜図9は、耐圧性検査装置の具体的構成を示す。なお、以下の耐圧性検査装置に関する説明において、図5の上下を上下といい、図5の左側を前、右側を後というものとする。また、図6の左右を左右というものとする。
【0059】
図5に示すように、耐圧性検査装置の保持装置(40)、高圧エア供給装置(41)、照明(42)、反射板(43)、CCDカメラ(44)および画像処理装置(45)は1つのハウジング(200)内に配置され、操作兼表示装置(46)はハウジング(200)の外に配置されている。耐圧性検査装置は、熱交換器(1)の製造ラインに組み込まれている。ハウジング(200)は、免震装置(201)を介して、熱交換器(1)の製造ラインが設置される工場の床上に設けられている。
【0060】
ハウジング(200)内に、保持装置(40)および照明(42)が配置される第1の室(202)と、第1の室(202)の下方に位置しかつ高圧エア供給装置(41)が配置される第2の室(203)と、第1の室(202)の後側方に位置しかつ画像処理装置(45)が配置される第3の室(204)と、第1および第3の室(202)(204)に跨るようにこれらの室(202)(204)の上方に位置し、かつ反射板(43)およびCCDカメラ(44)が配置される第4の室(205)とが設けられている。ハウジング(200)は面構造であり、ハウジング(200)にかかる負荷は、ハウジング(200)の天井、床および周壁を構成する6つの金属板、たとえば厚さ10mm以上の鋼板により支えられるようになっている。なお、第1の室(202)内と第2の室(203)内と第3の室(204)内とは、隔壁に形成された空気穴(230)によって連通させられている。
【0061】
第1の室(202)の前壁には検査すべき熱交換器(1)の搬入出口(206)が形成され、搬入出口(206)は昇降扉(207)により開閉されるようになっている。第1の室(202)内は、第1の室(202)内の下部に設けられた仕切板(208)により上下2つの空間に区画されており、上空間内に保持装置(40)が設置され、下空間内に照明(42)が設置されている。仕切板(208)には、検査すべき熱交換器(1)よりも大きくかつ照明(42)により照射される光を通過させるための開口(208a)が形成されている。また、第1の室(202)の前壁における下空間と対応する高さ位置には、照明(42)を点検するための点検口(209)が形成され、点検口(209)は開き扉(211)により開閉されるようになっている。
【0062】
第2の室(203)の左側壁には、ハウジング(200)に外部の空気を取り入れて第1〜第3の室(202)(203)(204)内を正圧に保つ送風装置(212)(正圧保持手段)が取り付けられている。図示は省略したが、送風装置(212)には、ハウジング(200)内への塵埃の侵入を防止するフィルタが設けられている。
【0063】
第3の室(204)の右側壁には、第3の室(204)内の空気を循環させて一定の温度に保つ空調装置(213)が設けられている。第3の室(204)の後壁には、画像処理装置(45)を点検するための点検口(214)が形成され、点検口(214)は開き扉(215)により開閉されるようになっている。
【0064】
第4の室(205)は他の室(202)〜(204)とは独立した密閉状態である。第4の室(205)の右側壁には、第4の室(205)内の空気を循環させて一定の温度に保つ空調装置(216)が設けられている。また、第4の室(205)と第1の室(202)および第3の室(204)とを仕切る仕切壁(217)の前部、すなわち第1の室(202)と対応する部分には開口(217a)が形成され、この開口(217a)はガラスなどからなる透光板(218)により気密状に閉鎖されている。開口(217a)は、保持装置(40)に保持された熱交換器(1)の全体像を反射板(43)によりCCDカメラ(44)側に反射させうるような大きさとなっている。第4の室(205)の後壁にはCCDカメラ(44)を点検するための点検口(210)が形成され、点検口(210)は開き扉(219)により開閉されるようになっている。
【0065】
図6〜図8に示すように、保持装置(40)は、仕切板(208)上に設けられ、かつ検査すべき熱交換器(1)の一方のヘッダ(2)を保持する第1クランプ装置(220)と、仕切板(208)上に設けられ、かつ検査すべき熱交換器(1)の他方のヘッダ(3)を保持する第2クランプ装置(221)とを備えている。
【0066】
第1クランプ装置(220)は、仕切板(208)の開口(208a)よりも左側の部分上に固定された前後方向に伸びるガイド(222)と、ガイド(222)に沿って移動しうるとともにガイド(222)上の任意の位置で固定しうるように設けられた前後2つの基板(223)と、各基板(223)に上方突出状に設けられた固定クランプ部材(224)とよりなり、各基板(223)がガイド(222)上の任意の位置で固定されることにより、検査すべき熱交換器(1)のヘッダ(2)の長さに合わせて両固定クランプ部材(224)の前後方向の位置が調整されるようになっている。各固定クランプ部材(224)は、右方に開口しかつ熱交換器(1)の一方のヘッダ(2)の一部が嵌る凹所(225)を有しており、凹所(225)の内周面の上側部分に、たとえばゴムなどからなる滑り止め部材(226)が取り付けられている。
【0067】
第2クランプ装置(221)は、仕切板(208)上における開口(208a)の前後両側部分に固定された左右方向に伸びる1対のガイド(227)と、各ガイド(227)に沿って移動しうるとともにガイド(227)上の任意の位置で固定しうるように設けられたサドル(228)と、前後のサドル(228)間に渡し止められたレール支持板(229)と、レール支持板(229)に設けられた前後方向に伸びるレール(231)と、たとえば図示しない直動ガイドを介してレール(231)に取り付けられ、かつレール(231)に沿って前後方向に移動自在の基板(232)と、基板(232)上に前後方向に間隔をおいて立ち上がり状に設けられた1対の支え(233)と、支え(233)に取り付けられた可動クランプ部材(234)とを備えており、サドル(228)がガイド(227)上の任意の位置で固定されることにより、検査すべき熱交換器(1)の左右方向の寸法に合わせて可動クランプ部材(234)の左右方向の位置が調整されるようになっている。また、基板(232)がレール(231)に沿って移動することにより、可動クランプ部材(234)が熱交換器(1)のヘッダ(3)の長さ方向に移動自在となっている。
【0068】
可動クランプ部材(234)は、前後方向に長い基部(235)と、基部(235)に前後方向に間隔をおいて設けられた1対のクランプ部(236)とよりなる。基部(235)の長さ方向の中央部には右方に突出したブラケット(237)が設けられている。各クランプ部(236)は、熱交換器(1)を保持した状態において左方に開口しかつ熱交換器(1)の他方のヘッダ(3)の一部が嵌る凹所(238)を有している。
【0069】
可動クランプ部材(234)は、前後1対のアーム(239)を介して両支え(233)に取り付けられている。両アーム(239)を貫通するように前後方向に伸びる軸(241)が固定され、軸(241)における両アーム(239)から前後方向外側に突出した部分が、両支え(233)における同一高さ位置に形成された左右方向に長い長穴(242)内に、回転自在にかつ左右方向に移動自在に嵌め入れられている。両アーム(239)の左端部間に支持板(243)が渡し止められ、支持板(243)に、可動クランプ部材(234)のブラケット(237)の右端部が載せられ、上下方向に伸びるピン(244)によりピン(244)の軸線の周りに回転自在に取り付けられている。また、可動クランプ部材(234)は、両支え(233)の右端部間に固定されたばね取付板(245)と、両アーム(239)間に配置されかつ軸(241)の周囲に回転自在に被せられたばね受け(246)との間に装着された圧縮コイルばね(247)(付勢手段)により、支え(233)に対して常に左方、すなわち固定クランプ部材(224)側に付勢されている。ばね(247)の左端部はばね受け(246)に受けられている。ばね取付板(245)の左側面には円筒状のばね保持部材(248)が固定され、ばね保持部材(248)内にばね受け(249)が左右方向に移動自在に配され、ばね(247)の右端部はばね保持部材(248)内に入れられてばね受け(249)に受けられている。ばね受け(249)は、ばね取付板(245)に貫通状に形成されためねじ穴(251)に右方からねじ嵌められたおねじ(252)により左方に押圧されるようになっており、これによりばね(247)の付勢力が調整される。
【0070】
そして、両アーム(239)が、軸(241)と一体に回動するとともに軸(241)と一体に支え(233)に対して左右方向に移動することにより、可動クランプ部材(234)が、固定クランプ部材(224)とともに熱交換器(1)を水平状態で保持する保持位置(図6実線参照)と、熱交換器(1)を解放する解放位置(図6鎖線参照)との間で移動するようになっている。なお、可動クランプ部材(234)が保持位置にあるときにピン(244)は垂直状態となり、その結果可動クランプ部材(234)が垂直軸線周りに回転自在となる。また、可動クランプ部材(234)が解放位置にあるときに、クランプ部(236)の凹所(238)は斜め上方に開口する。両アーム(239)と両支え(233)との間に、可動クランプ部材(234)が保持位置にあるときに両アーム(239)を図6の反時計方向に付勢し、可動クランプ部材(234)が解放位置にあるときに両アーム(239)を図6の時計方向に付勢しうる引張コイルばね(253)(付勢手段)が装着されている。
【0071】
高圧エア供給装置(41)は、先端部に熱交換器(1)の入口管(7)または出口管(8)に接続されるコネクタを有する高圧エア供給ホース(図示略)を備えている。高圧エア供給ホースは、第1の室(202)と第2の室(203)とを仕切る仕切壁を貫通して第1の室(202)内に伸びている。
【0072】
照明(42)は、上方に開口したケーシング(260)と、ケーシング(260)内に配置された複数の蛍光灯(261)(光源)と、ケーシング(260)の上端開口を閉鎖し、かつ蛍光灯(261)から発せられた光を均等に拡散させて面照明とする光拡散板(262)と、ケーシング(260)内において蛍光灯(261)の下方に配置され、かつ蛍光灯(261)から発せられた光を上方に反射して上向きの光を強力にする反射板(263)とを備えている(図6参照)。なお、蛍光灯(261)の数は、コスト、発熱量などを考慮して少ない方が好ましい。蛍光灯(261)の数が少なくても、光拡散板(262)および反射板(263)の働きにより、面照明とすることができるとともに、上向きの強力な光を得ることができる。
【0073】
反射板(43)は、照明(42)から照射されかつ保持装置(40)に保持された熱交換器(1)の隣り合う偏平状熱交換管(4)どうしの間の通風間隙(5)を通ってきた光をCCDカメラ(44)側に反射する。なお、CCDカメラ(44)の画角は一定であるため、コルゲートフィン(6)がヘッダ(2)(3)側に傾いていた場合、熱交換管(4)どうしの間の通風間隙(5)におけるヘッダ(2)(3)に近い部分を通ってきた光は、反射板(43)によってはCCDカメラ(44)側に反射させることができない。そこで、これを防止するために、第4の室(205)内の反射板(43)の左右両側には補助反射板(254)が配置されている(図9参照)。CCDカメラ(44)は、上下、左右に並んで複数個配置されている。
【0074】
次に、上述した耐圧性検査装置を用いた熱交換器(1)の耐圧性検査方法について説明する。
【0075】
まず、昇降扉(207)を上昇させて搬入出口(206)を開く。このとき、保持装置(40)の可動クランプ部材(234)は解放位置にある。ついで、熱交換器(1)の一方のヘッダ(2)を保持装置(40)の第1クランプ装置(220)における固定クランプ部材(224)の凹所(225)内に嵌め入れる。また、熱交換器(1)の他方のヘッダ(3)を第2クランプ装置(221)における可動クランプ部材(234)の凹所(238)内に嵌め入れる。ついで、可動クランプ部材(234)を押し下げ、保持位置まで移動させる。このとき、圧縮コイルばね(247)の付勢力により熱交換器(1)は両クランプ部材(224)(234)により強固に固定される。ついで、入口管(7)および出口管(8)のうちのいずれか一方を密閉するとともに同他方に高圧エア供給装置(41)における高圧エア供給ホース先端部のコネクタを接続する。ついで、昇降扉(207)を下降させて搬入出口(206)を閉じ、操作兼表示装置(46)により耐圧性検査を開始する。
【0076】
すなわち、照明(42)により下方から熱交換器(1)に光を照射し、CCDカメラ(44)によって、反射板(43)による反射像をモノクロ画像として撮像する。CCDカメラ(44)で得られた画像信号は画像処理装置(45)に出力される。画像処理装置(45)は、CCDカメラ(44)で撮像されたモノクロ画像の撮像範囲を複数のドット(画素)に分割し、グレー処理を施して各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出して記憶する。
【0077】
ついで、高圧エア供給装置(41)により熱交換器(1)内に高圧エアを供給して熱交換器(1)の内部を設定値まで加圧し、加圧開始後、上記と同様にして、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを連続的に抽出する。
【0078】
偏平状熱交換管(4)の補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部にろう付不良が発生している場合や、当該ろう付部のろう付強度が不足している場合には、熱交換器(1)の内部を加圧すると、図10および図11に示すように、補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部が破断して両凸条(19)(20)間に比較的大きな隙間が生じ、偏平状熱交換管(4)が大きく膨らむように変形するとともに通風間隙(5)に配置されているコルゲートフィン(6)が変形する。したがって、通風間隙(5)を透過する光量が低下し、画像処理装置(45)により抽出される撮像範囲における白部分および黒部分のパターンは、加圧前の撮像範囲における白部分および黒部分のパターンに比較して著しく変化する。この場合、画像処理装置(45)は、加圧後の上記パターンと加圧前の上記パターンとを比較し、加圧後の上記パターンの変化量が所定のしきい値以上であれば耐圧性が不足した不良品であると判定し、操作兼表示装置(46)に判定結果を表示する。
【0079】
これとは逆に、偏平状熱交換管(4)の補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部にろう付不良が発生しておらず、かつ当該ろう付部のろう付強度が十分大きい場合、補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部には破断は生じない。しかしながら、この場合にも、熱交換器(1)の内部を加圧すると、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が若干変形し、その変形は一定の度合いで終了する。この場合、画像処理装置(45)は、加圧後の上記パターンの変化量に基づいてこのような変形の開始および終了を検出し、変形開始圧力および変形終了圧力を操作兼表示装置(46)に出力する。
【0080】
上述したような補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部の破断を伴わない偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形のみが発生した場合には、加圧後の上記パターンは、加圧前の上記パターンに比較してほとんど変化しない。この場合、画像処理装置(45)は、耐圧性に優れた良品と判定し、操作兼表示装置(46)に判定結果を表示する。
【0081】
上述したような補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部の破断を伴う偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形が発生した場合、ならびに上記内部接合部の破断を伴わない偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形が発生した場合のいずれの場合においても、熱交換器(1)全体の変形および反りや光のちらつきに起因して、加圧後の上記パターンが変化することがある。ところが、上記内部接合部の破断を伴う偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形が発生した場合と、上記内部接合部の破断を伴わない偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形が発生した場合と、熱交換器(1)全体の変形および反りや光のちらつきが発生した場合とでは、上記パターンの変化は異なったものになるので、画像処理装置(45)は、加圧前の上記パターンおよび加圧後の上記パターンの連続的変化に基づいて、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形か、熱交換器(1)全体の変形および反りや光のちらつきかを判別する。
【0082】
なお、熱交換器(1)の内部を加圧した際に、熱交換器(1)全体の変形やずれが発生した場合、可動クランプ部材(234)が固定クランプ部材(224)に対して接近、離隔するとともに、圧縮コイルばね(247)により固定クランプ部材(224)側に付勢されているので、両クランプ部材(224)(234)の変形、劣化、摩耗などを抑制することができる。しかも、可動クランプ部材(234)の固定クランプ部材(224)に対する接近、離隔に加えて、保持位置にある可動クランプ部材(234)が垂直軸線の周りに回転自在であること、および可動クランプ部材(234)が熱交換器(1)のヘッダ(3)の長さ方向に移動自在であることによって、熱交換器(1)の検査基準位置からのずれを抑制することができる。
【0083】
偏平状熱交換管(4)の補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部にろう付不良が発生している場合や、当該ろう付部のろう付強度が極端に不足している場合、熱交換器(1)の内部圧力が設定値に達する前に熱交換管(4)が一気に破裂するように破壊されることがある。画像処理装置(45)は、加圧後の上記パターンが異常に変化した場合、高圧エア供給装置(41)による熱交換器(1)内部への高圧エアの供給を停止する。また、この場合、加圧後の上記パターンが異常に変化する際の連続的変化と内部加圧力との相関関係から破壊加圧力を想定することができ、その破壊加圧力を知ることが可能になる。
【0084】
上述した耐圧性検査方法において、画像処理装置(45)による加圧開始後の撮像範囲における白部分および黒部分のパターンの抽出は、断続的に行ってもよい。
【0085】
次に、上述した耐圧性検査装置を用いた熱交換器(1)の耐圧性検査方法の他の例について説明する。
【0086】
まず、上述した方法と同様にして熱交換器(1)を保持装置(40)により保持させ、入口管(7)および出口管(8)のうちのいずれか一方を密閉するとともに同他方に高圧エア供給装置(41)における高圧エア供給ホース先端部のコネクタを接続する。ついで、昇降扉(207)を下降させて搬入出口(206)を閉じる。
【0087】
そして、照明(42)により下方から熱交換器(1)に光を照射し、CCDカメラ(44)によって、反射板(43)による反射像をモノクロ画像として撮像する。CCDカメラ(44)で得られた画像信号は画像処理装置(45)に出力される。画像処理装置(45)は、CCDカメラ(44)で撮像されたモノクロ画像の撮像範囲を複数のドット(画素)に分割し、グレー処理を施して各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における黒部分の数を記憶する。内部を加圧する前の熱交換器(1)においては、隣り合う偏平状熱交換管(4)どうしの間の通風間隙(5)を多くの光が透過するため、黒部分の数が少なくなっている。なお、撮像範囲における偏平状熱交換管(4)と対応する部分の各ドットは黒部分となる。
【0088】
ついで、高圧エア供給装置(41)により熱交換器(1)内に高圧エアを供給して熱交換器(1)の内部を加圧し、上記と同様にして、撮像範囲における黒部分の数を連続的に計数し、黒部分の数を記憶する。
【0089】
偏平状熱交換管(4)の補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部にろう付不良が発生している場合や、当該ろう付部のろう付強度が不足している場合には、熱交換器(1)の内部を加圧すると、図10および図11に示すように、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が変形する。したがって、通風間隙(5)を透過する光量が低下し、画像処理装置(45)により計数される黒部分の数は、加圧前の黒部分の数に比較して著しく増加する。この場合、画像処理装置(45)は、加圧後の黒部分の数と加圧前の黒部分の数を比較し、加圧後の黒部分の増加数が所定のしきい値以上であれば耐圧性が不足した不良品であると判定し、操作兼表示装置(46)に判定結果を表示する。
【0090】
これとは逆に、偏平状熱交換管(4)の補強壁用凸条(19)(20)どうしのろう付部にろう付不良が発生しておらず、かつ当該ろう付部のろう付強度が十分大きい場合、補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部には破断は生じない。しかしながら、この場合にも、熱交換器(1)の内部を加圧すると、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が若干変形し、その変形は一定の度合いで終了する。この場合、画像処理装置(45)は、加圧後の黒部分の数の増加数に基づいてこのような変形の開始および終了を検出し、変形開始圧力および変形終了圧力を操作兼表示装置(46)に出力する。
【0091】
上述したような補強壁用凸条(19)(20)の先端どうしの内部接合部の破断を伴わない偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形のみが発生した場合には、通風間隙(5)を透過する光量は加圧前に比べてもほとんど低下しない。したがって、画像処理装置(45)により計数される黒部分の数は、加圧前の黒部分の数に比較してほとんど増加せず、加圧後の黒部分の増加数は所定のしきい値未満となる。この場合、画像処理装置(45)は、耐圧性に優れた良品と判定し、操作兼表示装置(46)の判定結果を表示する。
【0092】
なお、熱交換器(1)の内部を加圧した際に、熱交換器(1)全体の変形やずれが発生した場合の保持装置(40)の働きは上述した方法の場合と同様である。
【0093】
次に、上述した他の耐圧性検査方法において、種々の状態の熱交換器(1)における内部加圧力と黒部分の数の連続的変化との関係を、図12を参照して説明する。
【0094】
図12(a)は、偏平状熱交換管(4)のすべての補強壁(15)において、補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生していない場合を示す。この場合、黒部分の数の変化は所定の範囲(A)内となり、黒部分の増加数(変化数)は所定のしきい値未満となる。
【0095】
図12(b)は、すべての補強壁(15)のうちの少数、たとえば1つの補強壁(15)の補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生するとともに、残りの補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生していない場合や、補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生していない複数の補強壁(15)を間に挟んだ少なくとも2つの補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生している場合を示す。この場合、耐圧性の低下は著しくないため、比較的高い内部加圧力において偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が変形して黒部分の数が急増し、黒部分の増加数はしきい値以上となり、不良品と判定される。なお、補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生していない複数の補強壁(15)を間に挟んだ少なくとも2つの補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生している場合には、ろう付不良が発生している2つの補強壁(15)間の補強壁(15)においても補強壁用凸条(19)(20)どうしろう付部が破壊されることがあり、図12(b)に鎖線Xで示すように、黒部分の増加数は著しく大きくなる。
【0096】
図12(c)は、多くの補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生している場合を示す。この場合、耐圧性の低下が図12(b)の場合に比べて著しいため、図12(b)の場合よりも低い内部加圧力において偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が大きく変形し、黒部分の数が著しく増加する。したがって、黒部分の増加数は、図12(b)の場合よりも短時間でしきい値以上となり、不良品と判定される。なお、この場合の黒部分の増加数は図12(b)に鎖線Xで示す場合と同程度になる。
【0097】
図12(d)は、すべての補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしがろう付されているが、ろう付時のフラックス塗布不良等によりろう付強度が不足している場合を示す。この場合、内部加圧力が図12(c)の場合よりも高くなっても黒部分の増加数はしきい値以上とならないが、所定の内部加圧力に達すると、多くの補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしろう付部が破壊され、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)が大きく変形して黒部分の数が急増し、黒部分の増加数はしきい値以上となり、不良品と判定される。また、この場合、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形の度合いが大きいので、偏平状熱交換管(4)の位置がずれ、撮像範囲における偏平状熱交換管(4)と対応する部分の黒部分となっていたドットが白部分となることがあり、黒部分の数が図12(d)に曲線Yで示すように、減少することがある。
【0098】
図12(e)は、偏平状熱交換管(4)のすべての補強壁(15)において補強壁用凸条(19)(20)どうしの間にろう付不良が発生していないが、熱交換器(1)が、変形したヘッダ(2)(3)、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)に無理な力を加えて矯正して製造された場合を示す。この場合、内部加圧力が増大すると、比較的低い圧力で熱交換器(1)全体が変形し、黒部分の数が増加して黒部分の増加数はしきい値以上となり、不良品と判定される。また、この場合、偏平状熱交換管(4)およびコルゲートフィン(6)の変形の度合いが大きいので、偏平状熱交換(4)の位置がずれ、撮像範囲における偏平状熱交換管(4)と対応する部分の黒部分となっていたドットが白部分となることがあり、黒部分の数が図12(e)に曲線Zで示すように、減少することがある。
【0099】
そして、図12(a)〜(e)に示す内部加圧力と黒部分の数の連続的変化との関係に基づいて、熱交換器(1)の欠陥の種類を知ることができ、欠陥を無くす対策を立てることが可能になる。
【0100】
上述した他の耐圧性検査方法において、画像処理装置(45)による加圧開始後の黒部分の数の計数は、断続的に行ってもよい。
【0101】
上記実施形態においては、保持装置(40)に保持された熱交換器(1)の上方に反射手段としての反射板(43)が配置され、反射板(43)の側方に、反射板(43)による反射像を撮像する撮像手段としてのCCDカメラ(44)が配置されているが、これに代えて、反射板(43)を取り除き、保持装置(40)に保持された熱交換器(1)の上方に、直接熱交換器(1)を撮像する撮像手段としてのCCDカメラ(44)が配置されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、撮像手段としてCCDカメラ(44)が用いられているが、これに限定されるものではなく、たとえばラインセンサを用いてもよい。この場合、反射板による熱交換器(1)の反射像の全体を撮像するために、ラインセンサと熱交換器(1)とを相対的に移動させる移動手段を備えておく。また、撮像手段として、CCDカメラ(44)に代えて、透過センサの受光素子を用いてもよく、この場合、透過センサの投光素子が光照射手段となる。透過センサを用いる場合、反射板による熱交換器(1)の反射像の全体を撮像するために、透過センサと熱交換器(1)とを相対的に移動させるようにする。
【0103】
さらに、上記実施形態においては、保持手段として、固定クランプ部材(224)を備えた第1クランプ装置(220)と、可動クランプ部材(234)を備えた第2クランプ装置(221)とよりなるものが用いられているが、これに代えて、熱交換器(1)の一方のヘッダ(2)を保持する可動クランプ部材を備えた第1のクランプ装置と、第1クランプ装置と間隔をおいて配置されかつ熱交換器(1)の他方のヘッダ(3)を保持する可動クランプ部材を備えた第2のクランプ装置とを備えており、各クランプ装置の可動クランプ部材が、他のクランプ装置の可動クランプ部材に対して接近、離隔自在となっているとともに、付勢手段により他のクランプ装置の可動クランプ部材側に付勢されており、第1クランプ装置と第2クランプ装置との合計数が3以上である装置を用いてもよい。この場合、各クランプ装置の可動クランプ部材が、熱交換器(1)を保持した状態で垂直軸線周りに回転自在となるとともに、熱交換器(1)のヘッダ(2)(3)の長さ方向に移動自在となる。
【0104】
熱交換器(1)の耐圧性検査は、次のような方法で行うこともできる。
【0105】
すなわち、熱交換器(1)の内部を加圧し、加圧中に、連続的または断続的に熱交換器(1)の片側から光を照射するとともに、熱交換器(1)の反対側から目視観察することにより行う方法である。
【0106】
この方法において、熱交換器(1)のコルゲートフィン(6)の変形および/または熱交換器(1)の熱交換管(4)の変形を目視観察する。
【0107】
なお、この発明による方法により耐圧性が検査される熱交換器の冷媒流通部は、図2に示す偏平状熱交換管に限定されず、内部接合部を有する中空状冷媒流通部が並列状に設けられている熱交換器であれば、どのような形態の冷媒流通部を有するものであっても耐圧性を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】この発明の方法および装置により耐圧性が検査される熱交換器の1例を示す斜視図である。
【図2】図1の熱交換器の偏平状熱交換管を示す拡大横断面図である。
【図3】図2の偏平状熱交換管を製造する方法を示す図である。
【図4】この発明による熱交換器の耐圧性検査装置の概略的構成を示す図である。
【図5】この発明による熱交換器の耐圧性検査装置の具体的構成を示す右方から見た垂直断面図である。
【図6】図5のVI−VI線拡大断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】図5のIX−IX線断面図である。
【図10】熱交換器内部の加圧により偏平状熱交換管の内部接合部が破壊した状態を示す図1の一部分に相当する正面図である。
【図11】図10のXI−XI線拡大断面図である。
【図12】種々の状態の熱交換器における内部加圧力と黒部分の数の連続的変化との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0109】
(1):熱交換器
(4):偏平状熱交換管(冷媒流通部)
(5):通風間隙
(6):コルゲートフィン
(40):保持装置(保持手段)
(41):高圧エア供給装置(加圧手段)
(42):照明(光照射手段)
(43):反射板(反射手段)
(44):CCDカメラ(撮像手段)
(45):画像処理装置(処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
熱交換器の内部を加圧し、加圧中に、連続的または断続的に通風方向の片側から熱交換器に光を照射するとともに、通風方向の反対側から熱交換器を目視観察することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項2】
熱交換器のフィンの変形を目視観察する請求項1記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項3】
熱交換器の冷媒流通部の変形を目視観察する請求項1または2記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項4】
内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
通風方向の片側から熱交換器に光を照射しておき、通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、ついで熱交換器の内部を加圧し、加圧開始後連続的に通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、加圧前の撮像範囲の輝度情報、および加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項5】
加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化に基づいて、熱交換器内部の加圧力を制御する請求項4記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項6】
撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数、および加圧後の黒部分の数の連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項4または5記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項7】
撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターン、および加圧後のパターンの連続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項4〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項8】
内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する方法であって、
通風方向の片側から熱交換器に光を照射しておき、通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、ついで熱交換器の内部を加圧し、加圧開始後断続的に通風方向の反対側から熱交換器を撮像手段で撮像して撮像範囲を複数のドットに分割するとともに、各ドットにおける輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得、加圧前の撮像範囲の輝度情報、および加圧後の撮像範囲の輝度情報の断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定することを特徴とする熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項9】
加圧後の撮像範囲の輝度情報の断続的変化に基づいて、熱交換器内部の加圧力を制御する請求項8記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項10】
撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数、および加圧後の黒部分の数の断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項8または9記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項11】
撮像手段により熱交換器を撮像することによってモノクロ画像を得、このモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターン、および加圧後のパターンの断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項8〜10のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査方法。
【請求項12】
相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダ間に、内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられており、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されている熱交換器の耐圧性を検査する装置であって、
熱交換器の内部を加圧する加圧手段と、熱交換器の通風方向の片側に配置されかつ熱交換器に光を照射する光照射手段と、光照射手段の反対側から熱交換器を撮像する撮像手段と、加圧手段による加圧の前後において、それぞれ撮像手段による撮像範囲を複数のドットに分割し、各ドットの輝度情報に基づいて撮像範囲の輝度情報を得るとともに、撮像範囲の輝度情報により熱交換器の耐圧性を判定する処理手段とを備えており、処理手段が、加圧前の撮像範囲の輝度情報および加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項13】
処理手段が、加圧後の撮像範囲の輝度情報の連続的変化または断続的変化に基づいて、加圧手段による熱交換器内部の加圧力を制御する請求項12記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項14】
処理手段が、撮像手段により熱交換器を撮像することによって得られたモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化するとともに黒部分の数を計数し、撮像範囲における加圧前の黒部分の数および加圧後の黒部分の数の連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項12または13記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項15】
処理手段が、撮像手段により熱交換器を撮像することによって得られたモノクロ画像にグレー処理を施し、各ドットにおける輝度情報を所定のしきい値により白部分および黒部分に2値化して、撮像範囲における白部分および黒部分のパターンを抽出し、加圧前のパターンおよび加圧後のパターンの連続的変化または断続的変化に基づいて熱交換器の耐圧性を判定する請求項12〜14のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項16】
加圧手段が、熱交換器内に高圧エアを供給する高圧エア供給装置からなる請求項12〜15のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項17】
撮像手段が、CCDカメラからなる請求項12〜16のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項18】
撮像手段がラインセンサからなり、ラインセンサと熱交換器とを相対的に移動させる移動手段を備えている請求項12〜16のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項19】
処理手段が画像処理装置からなる請求項12〜18のうちのいずれかに記載の熱交換器の耐圧性検査装置。
【請求項20】
内部接合部を有する複数の中空状冷媒流通部が並列状に設けられ、かつ隣接する冷媒流通部どうしの間が通風間隙となっているとともに通風間隙にフィンが配置されており、請求項1〜11のうちのいずれかに記載の方法により耐圧性が検査された熱交換器。
【請求項21】
請求項12〜19のうちのいずれかに記載の耐圧性検査装置を備えている熱交換器製造ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−194865(P2006−194865A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361224(P2005−361224)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】