説明

熱交換器の製造方法及び熱交換器、気化器

【課題】歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器の生産に資するといった、熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換対象である流体を流す内部流路11を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管1を、前記変形を防止するための支持体2に支持させた状態で収容体4の収容部4Sに収容し、熱源と配管1との間で熱を伝熱させる熱伝導用の金属6を前記収容部4Sに鋳込んで形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の製造方法及び熱交換器、気化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱交換器として流体同士の熱の交換を行うものや、ヒータによって流体を加熱したり、電子冷却器によって流体を冷却するものが知られている。また、ヒータを用いて液体を加熱して、これを気化するようにした熱交換器の一態様としての気化器が多くの分野で用いられている。
【0003】
具体的にこの種の気化器は、気化対象となる液体を流すステンテス製の配管と、この配管を加熱するヒータと、配管の温度を測定する温度センサと、これら配管・ヒータ・温度センサをアルミニウムにて鋳込んで形成されるアルミブロックとを具備してなり、液体を配管の一端から流入し、気化された気体を他端から流出するように構成されている。
【0004】
そして、配管をスパイラルを描くように構成するとともに、ヒータを配管によって形成されたスパイラルの中に配置することで、ヒータの熱をアルミニウムを介して直接的に配管に伝熱させ、ヒータによる効率的な加熱を実現している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−090077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の構成では、例えば、アルミニウムを鋳込む際に、鋳込まれたアルミニウムによって配管が押され、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまう場合がある。このように、配管位置が所定の配置位置からずれてしまうと、その位置を修正するのは略不可能であり、歩留まりが悪化するといった問題点を有している。そして、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部とヒータとが近づいたりしてしまうことで均一な伝熱ができなくなり、結果、効率的に加熱することができなくなるといった問題点を有している。
【0007】
このような問題は、配管が、外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得るものであるときに顕著に現れる。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器の生産に資するといった、熱交換器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る熱交換器の製造方法は、熱交換対象である流体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管を、前記変形を防止するための支持体に支持させた状態で収容体の収容部に収容し、熱源と配管との間で熱を伝熱させる熱伝導用の金属を前記収容部に鋳込んで形成することを特徴とする。
【0010】
このようなものによれば、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部と熱源とが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0011】
すなわち、歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器の生産に資するといった、熱交換器の製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明の望ましい態様としては、前記支持体が、前記熱伝導用の金属によって前記配管とともに鋳込まれる鋳込み部と、鋳込まれない非鋳込み部とを具備しているものが挙げられる。
【0013】
このとき、前記非鋳込み部を、鋳込み後に非鋳込み部から分離させることができるのであれば、配管の収容時には、非鋳込み部を把持するなどしてその収容を容易に行うことができる一方、収容後には、当該非鋳込み部を鋳込み部から分離(例えば切断)させることで、熱交換器の軽量化を実現できる。
【0014】
本発明の望ましい態様としては、前記非鋳込み部が、前記配管の前記収容部への収容時に、手などで操作可能なものが挙げられる。
【0015】
ここで、「手などで操作可能」とは、例えば、非鋳込み部に手指をかけて非鋳込み部を操って動かすといった人間の直接操作に加え、冶具などを用いて操作するといった機械器具を用いて操作することをも含む広義の概念である。
【0016】
本発明の支持体の望ましい態様としては、前記支持体が、対向して配される一対の鋳込み部と、これら鋳込み部の基端側間に配されて成る非鋳込み部と、を有する略U字形状のものが挙げられる。
【0017】
前記配管が、大径部と小径部とを略規則的に交互に繰り返して配して成るフレキシブルパイプであり、前記支持体が、前記小径部の少なくとも一部を挿入保持できる挿入保持部を有しているのであれば、例えば、ストレートパイプに比べ、肉厚を薄くできしかも表面積を大きくできるため、良好な熱伝導特性を得られる。また、大径部と小径部とが流体に乱流を生じさせるため、良好な熱伝導に資する。
【0018】
前記配管が、スパイラル構造を成すものであれば、収容部の体積が小さくても、配管長を十分確保することができ、例えば、液体である流体の気化を十分に行うことができる。
【0019】
前記支持体が、前記配管のスパイラル軸心方向と平行する方向における複数の異なる位置をそれぞれ保持可能な複数の保持部を備えているのであれば、熱伝導用の金属の鋳込みによって生じる配管の位置ずれを、効果的に防止することができる。また、保持部によって、配管を所定の配置位置に留めることができるので、所期の伝熱特性の発揮に資する。
【0020】
本発明の熱交換器の望ましい態様としては、この熱交換器が、熱交換対象である流体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管と、前記配管を前記変形を防止しながら支持する支持体と、前記配管に対して熱の授受を行う熱源と、前記熱源と前記支持体に支持された状態の配管とを収容するための収容部を備え、組み付けのために前記収容部に収容した前記熱源及び前記配管を熱伝導用の金属で鋳込むことで固定する収容体とを具備して成るものが挙げられる。
【0021】
このようなものであれば、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部と熱源とが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0022】
すなわち、歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器を提供することができる。
【0023】
本発明の気化器の望ましい態様としては、この気化器が、気化対象である液体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管と、前記配管を前記変形を防止しながら支持する支持体と、前記配管を加熱するヒータと、前記ヒータと前記支持体に支持された状態の配管とを収容するための収容部を備え、組み付けのために前記収容部に収容した前記ヒータ及び前記配管を熱伝導用の金属で鋳込むことで固定する収容体とを具備して成るものが挙げられる。
【0024】
このようなものであれば、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部とヒータとが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0025】
すなわち、歩留まりが良く効率的に液体を気化可能な気化器を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明に係る熱交換器の製造方法は、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部とヒータとが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0027】
すなわち、歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器の生産に資するといった、熱交換器の製造方法を提供することができる。
【0028】
また、本発明の熱交換器は、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部と熱源とが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0029】
すなわち、歩留まりが良く効率的な熱交換特性を発揮可能な熱交換器を提供することができる。
【0030】
また、本発明の気化器は、熱伝導用の金属を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属によって配管が押されても、支持体が配管の変形を防止するため、これにより配管の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管の一部同士が近づいたり或いは配管の一部とヒータとが近づいたりすることを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0031】
すなわち、歩留まりが良く効率的に液体を気化可能な気化器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る気化器の構造断面図。
【図2】同実施形態における気化器の構造断面図。
【図3】同実施形態における配管の構造断面図。
【図4】同実施形態における支持体を示す図。
【図5】同実施形態における配管と支持体とを取り付けた状態を示す図。
【図6】同実施形態における収容体の構造断面図。
【図7】同実施形態における配管及び支持体を収容体に取り付けた上体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0034】
本実施形態の気化器Aは、図1、図2、図3などに示すように、気化対象である液体を内部流路11に流入しこの内部流路11で気化させた気体を流出させる配管1と、前記配管1を支持する支持体2と、前記配管1を加熱するヒータ3と、前記ヒータ3および前記支持体2に支持された状態の配管1を収容するための収容部4Sを備えている収容体4と、前記配管1の温度を測定する温度センサ5(図示せず)と、ヒータ3の熱を配管1に伝える熱伝導用の金属6と、前記収容体4の外側に空気層を介して配した外カバー7(図示せず)と、を具備して成るものである。以下、各部を具体的に説明する。
【0035】
配管1は、図3に示すように、大径部1X(直径1/4インチ程度)と小径部1Yとを略規則的に交互に繰り返して配して成るフレキシブルパイプを用い、これを中心径略70mmで数回程度巻いたスパイラル構造を成すものであって、本実施形態では、配管1の肉厚を0.15mmとし、且つ、配管1の材質を液体に対して耐腐食性を有するステンレス製のものとしている。しかして、フレキシブルパイプでありしかも肉厚を従来のストレート管の肉厚(1mm)よりも薄くしているので、配管1は、外力を受けた場合又は支持体2などの支えが無い場合に全体又は一部が容易に変形し得ることとなる。
【0036】
支持体2は、図4に示すように、熱伝導用の金属6によって配管1とともに鋳込まれる一対の鋳込み部21a、21b(以下、「鋳込み部21」と総称する)と、熱伝導用の金属6によって鋳込まれず且つ鋳込み部21の基端側間に配される非鋳込み部22とを具備する略U字薄板状のものであって、本実施形態では、耐腐食性を有し且つ熱伝導用の金属6よりも高い融点を有するステンレス製としている。
【0037】
このうち、鋳込み部21のそれぞれの外縁部には、配管1の小径部1Yの一部を挿入保持できる複数の挿入保持部211を設けている。ここで、挿入保持部211は、その一部を外部空間に開放させた部分円弧状を有するものとしている。そして挿入保持部211の内径211aを、配管1の小径部1Yの外径と略一致させている。また、複数の挿入保持部211のうち隣接する挿入保持部211同士を、所定ピッチ211pで離間するように配置している。
【0038】
なお、非鋳込み部22は、熱伝導用の金属6で鋳込んだ後に、当該非鋳込み部22を鋳込み部21から切断するようにしている。しかして、製品としての気化器Aは、非鋳込み部22及び鋳込み部21のうち鋳込み部21のみを有することとなる(図1参照)。
【0039】
ヒータ3は、図1、図2などに示すように、1本のヒータ3を収容体4の収容部4S内で2往復するように折り畳んでなるシースヒータと称されるものであって、前記配管1のスパイラルの中に位置させている。そして、本実施形態では、ヒータ3に、容量が1kWのものを用いているが、実施態様に応じて適宜変更可能である。
【0040】
収容体4は、図1、図2、図6などに示すように、略矩形状を成す頂壁41及び頂壁41の各周縁からそれぞれ略直角に屈曲させた側壁42を一体的に具備するとともに、後述する収容部4Sを開放または閉塞可能な底壁43を具備する略箱体形状で金属製のものである。そして、底壁43を側壁42から取り外すなどして収容部43を開放し、各壁41、42で囲まれる収容部4Sに配管1などを収容した上で、熱伝導用の金属6を鋳込むことによって配管1などを所定位置に固定できるようにしている。なお、本実施形態では、各壁41、42、43の内周に沿って、例えばポリイミドフォームなどの断熱材4Dを配している。
【0041】
温度センサ5は、配管1の近傍または配管1に接触するように配置されており、特に例えば配管1の下流側における配管1の温度を測定するものである。温度センサ5によって測定された温度が所定の温度以下になるように、図示しない制御回路によって、ヒータ3に供給する電力を調節するようにしている。ここで、ヒータ3によって液体に加えられる熱量は、その温度が液体を気化させる以上の化学反応を起こさせることがない程度に、制御回路によって温度調節されるようにしている。
【0042】
熱伝導用の金属6は、溶融させたものを収容体4の収容部4Sに対して流し込むことにより、収容部4Sでヒータ3と支持体2に支持させた配管1と等を鋳込んで固定するようにしたものである。本実施形態では、この熱伝導用の金属6にアルミニウムを用い、約700度に溶融させて鋳込むようにしている。このように、熱伝導用の金属6としてアルミニウムを用いることにより、軽量かつ安価で、容易に熱伝導率を上げることができる。
【0043】
以上のように構成される気化器Aについてその製造方法について説明する。
【0044】
まず、配管1を、鋳込み部21に設けた挿入保持部211を利用して支持体2に支持させる。
【0045】
すると、支持体2は、配管1の一部同士が近づいたり或いは配管1の一部とヒータ3とが近づいたりすること等を防止するので、配管1は、この支持体2に支持されながら所望のスパイラル状態をとることができる(図5参照)。
【0046】
次に、配管1を支持体2に支持させた状態で収容体4の収容部4Sに収容する。このとき、支持体2の挿入保持部211が、配管1の脱落を防止するので、移動時の傾きや振動などによって、配管1のスパイラル構造が崩れることはない。また、支持体2の非鋳込み部22を持つことができるため、配管1を、収容部4Sの所定位置に容易に位置付けることができる(図7参照)。
【0047】
そして、熱伝導用の金属6の鋳込みを行う。なお、鋳込みの際には、図7に示す状態から、天地を逆にして行うことは言うまでもない。
【0048】
約700度程度にすることで溶融させた熱伝導用の金属6を、収容部4Sに対して流し込む。
【0049】
すると、配管1は、この流し込まれた熱伝導用の金属6の湯流れによる力などを受けるが、配管1は、挿入保持部211に保持されているので、支持体2から脱落することなく、スパイラル状態を保つ。また、例えば、非鋳込み部22を固定しておけば、支持体2が、熱伝導用の金属6の湯流れによる力などを受けて移動することもない。
【0050】
しかして、熱伝導用の金属6で鋳込む際に、支持体2を利用して、配管1、ヒータ3、温度センサ5を、所望の位置にて鋳込むことができる。また、スパイラル状の配管1であっても、極めて容易に且つ完全に隙間なく熱伝導用の金属6で固定することができる。さらに、配管1とヒータ3との熱伝達の効率を所望のものとすることができる。
【0051】
このようにして鋳込みを終えた後、非鋳込み部22を鋳込み部21から切断し、そして、底壁43等を取り付けて製品として完成させる(図1参照)。
【0052】
したがって、本実施形態に係る気化器Aの製造方法によれば、熱伝導用の金属6を鋳込んだ際に、その鋳込まれた熱伝導用の金属6によって配管1が押されても、支持体2が配管1の変形を防止するため、これにより配管1の位置が所定の配置位置からずれてしまうといった不具合を防止できる。したがって、配管1の配置位置不良を防止して歩留まりを向上させることができ、また、配管1の一部同士が近づいたり或いは配管1の一部とヒータ3とが近づいたりすることなどを防止して、均一な伝熱を行うことが可能となる。
【0053】
すなわち、歩留まりが良く効率的に液体を気化できる気化器Aを提供することができる。
【0054】
なお、前記非鋳込み部22を、鋳込み後に非鋳込み部22から切断させることができるので、配管1の収容時には、非鋳込み部22を把持するなどしてその収容を容易に行うことができる一方、収容後には、当該非鋳込み部22を鋳込み部21から切断させて、気化器Aの軽量化を実現できる。
【0055】
前記支持体2が、対向して配される一対の鋳込み部21と、これら鋳込み部21の基端側間に配されて成る非鋳込み部22と、を有する略U字形状のものとしているので、その取り扱いを簡便に行える。
【0056】
前記配管1が、大径部1Xと小径部1Yとを略規則的に交互に繰り返して配して成るフレキシブルパイプであり、前記支持体2が、前記小径部1Yの少なくとも一部を挿入保持できる挿入保持部211を有しているので、ストレートパイプに比べ、肉厚を薄くできしかも表面積を大きくできるため、良好な熱伝導特性を得られる。また、大径部1Xと小径部1Yとが流体に乱流を生じさせるため、良好な熱伝導に資する。そして、熱伝導用の金属6の鋳込みによって生じる配管1の位置ずれを、効果的に防止することができる。また、挿入保持部211によって、配管1を所定の配置位置に留めることができるので、所期の伝熱特性の発揮に資する。
【0057】
前記配管1が、スパイラル構造を成すものとしているため、収容部4Sの体積が小さくても、配管1長を十分確保することができ、例えば、液体である流体の気化を十分に行うことができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、熱交換器の一例として、ヒータ3によって液体を加熱し気化する気化器Aを例示しているが、本発明は気化器Aではない別の熱交換器にも適用できる。
【0060】
また、熱伝導用の金属6にアルミニウムを用いているが、これに限らず、より高い高い熱伝導率を有する銀、銅、金などを用いることができる。
【0061】
また、配管1をスパイラル構造としているが、例えば、直管状のものとするなど、実施態様に応じて適宜形状にすることができる。
【0062】
また、支持体2全体を、鋳込み部21とすることを妨げない。
【0063】
また、支持体2の構成も本実施形態のものに限られるものではない。
【0064】
また、配管1はフレキシブルパイプに限らず、例えばストレートパイプであってもこれが外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得るものであれば、当該熱交換器に用いることができる。
【0065】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0066】
A・・・・・熱交換器(気化器)
1・・・・・配管
1X・・・・大径部
1Y・・・・小径部
2・・・・・支持体
3・・・・・熱源(ヒータ)
4・・・・・収容体
4S・・・・収容部
6・・・・・熱伝導用の金属
11・・・・内部流路
21・・・・鋳込み部
22・・・・非鋳込み部
211・・・保持部(挿入保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換対象である流体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管を、前記変形を防止するための支持体に支持させた状態で収容体の収容部に収容し、熱源と配管との間で熱を伝熱させる熱伝導用の金属を前記収容部に鋳込んで形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記支持体が、前記熱伝導用の金属によって前記配管とともに鋳込まれる鋳込み部と、鋳込まれない非鋳込み部とを具備していることを特徴とする請求項1記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
前記非鋳込み部を、鋳込み後に非鋳込み部から分離させることを特徴とする請求項2記載の熱交換器の製造方法。
【請求項4】
前記非鋳込み部が、前記配管の前記収容部への収容時に、手などで操作可能なものであることを特徴とする請求項2または3記載の熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記支持体が、対向して配される一対の鋳込み部と、これら鋳込み部の基端側間に配されて成る非鋳込み部と、を有する略U字形状のものであることを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記配管が、大径部と小径部とを略規則的に交互に繰り返して配して成るフレキシブルパイプであり、
前記支持体が、前記小径部の少なくとも一部を挿入保持できる挿入保持部を有していることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の熱交換器の製造方法。
【請求項7】
前記配管が、スパイラル構造を成すものであることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の熱交換器の製造方法。
【請求項8】
前記支持体が、前記配管のスパイラル軸心方向と平行する方向における複数の異なる位置をそれぞれ保持可能な複数の保持部を備えていることを特徴とする請求項7記載の熱交換器の製造方法。
【請求項9】
熱交換対象である流体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管と、
前記配管を前記変形を防止しながら支持する支持体と、
前記配管に対して熱の授受を行う熱源と、
前記熱源と前記支持体に支持された状態の配管とを収容するための収容部を備え、組み付けのために前記収容部に収容した前記熱源及び前記配管を熱伝導用の金属で鋳込むことで固定する収容体とを具備して成ることを特徴とする熱交換器。
【請求項10】
気化対象である液体を流す内部流路を有し且つ外力を受けた場合又は支えが無い場合に全体又は一部が変形し得る配管と、
前記配管を前記変形を防止しながら支持する支持体と、
前記配管を加熱するヒータと、
前記ヒータと前記支持体に支持された状態の配管とを収容するための収容部を備え、組み付けのために前記収容部に収容した前記ヒータ及び前記配管を熱伝導用の金属で鋳込むことで固定する収容体とを具備して成ることを特徴とする気化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−247545(P2011−247545A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123201(P2010−123201)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】