説明

熱交換器用ガスケット製作用型及び熱交換器用ガスケットの製作方法

【課題】
成型精度の高く、シール性能の高い熱交換器用ガスケット製作用型を安定的に製作すること、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
熱交換器用ガスケットを製作する型であって、柔軟性を有する成形素材が配置される成形用凹部を有する第一の型部材と、上記第一の型部材上において上記成型用凹部に隣接して配置され、上記第一の型部材と共に上記成型用凹部上に成形用空隙部を形成する第二の型部材と、上記成形用空隙部内に挿入され上記成形用空隙部内に配置された成形素材を押圧成形する第三の型部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用ガスケット製作用型及び熱交換器用ガスケットの製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体食品の加熱又は冷却のためにプレート式熱交換器が使用されている。このようなプレート式熱交換器は、周縁部にガスケット用溝部が形成された所定の凹凸模様の波形部を有するプレート状の伝熱面部と、上記ガスケット用溝部に装着されたガスケットとを備え、上記ガスケットにより伝熱面部内に流通する熱媒体及び被熱交換媒体をシールするように構成されている。
【0003】
このようなガスケットは、従来、合成ゴム等の弾性材料からなるが、熱殺菌が行われた場合や、CIP洗浄が行われた場合には、経年時には表面劣化を起こす可能性がある。
【0004】
そこで、ガスケット部本体の表面をフッ素樹脂等の、化学的、熱的に安定した合成樹脂皮膜で被覆するように構成されたガスケットが使用されている。
【0005】
従来、このような樹脂皮膜で表面を被覆されたガスケットは、予め管状に成型された合成樹脂皮膜を軸方向に2分割して形成されたものの溝部または、U字状に成型された合成樹脂皮膜の溝部内にゴム等の弾性体素材を固定して形成されたものが使用されている。もしくは、弾性体素材に合成樹脂皮膜を被覆させたものを2分割可能な金型で成型するようにしている。
【0006】
しかしながら、このように成型された従来の熱交換器用ガスケットの製作方法にあっては、金型と合成樹脂皮膜との間、合成樹脂皮膜と弾性体素材との間に空気の層が形成された状態のまま成型される場合があり、成型精度が低い熱交換器用ガスケット製作用型が製作される場合があった。
【0007】
このような成型精度が低いガスケットが使用された場合には、熱媒体又は被熱交換媒体のシール性能が低くなる可能性がある、という不具合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような従来からの不具合を解決するためのものであって、その課題は、成型精度が高く、シール性能の高い熱交換器用ガスケット製作用型を安定的かつ容易に製作すること、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、熱交換器用ガスケットを製作する型であって、柔軟性を有する成形素材が配置される成形用凹部を有する第一の型部材と、上記第一の型部材上において上記成型用凹部に隣接して着脱可能に配置され、上記第一の型部材と共に上記成型用凹部上に成形用空隙部を形成する第二の型部材と、上記成形用空隙部内に挿入され上記成形用空隙部内に配置された成形素材を押圧成形する第三の型部材とを有することを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1記載の発明にあっては、上記第一の型部材上に上記第二の型部材を配置し、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成形用空隙部内に上記第三の型部材を挿入して、上記成形用空隙部内に配置された成形素材を押圧成形するように構成されている。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、上記第一の型部材は、基部と、上記基部から上方へ延設された延設部とを有し、上記成形用凹部は上記基部と上記延設部とに亘って形成され、上記第二の型部材には上記成形用空隙部を形成する成形空隙形成凹部が設けられていると共に、上記第二の型部材は上記延設部から離間して配置され、上記第二の型部材と上記延設部との間に上記成型用空隙部が形成されることを特徴とする。
【0012】
従って、請求項2記載の発明にあっては、第一の型部材の上記延設部と、第二の型部材との間に形成される成型用空隙部に第三の型部材を挿入することにより成型素材を押圧成型する。
【0013】
請求項3記載の発明にあっては、上記成型用空隙部は側方断面が上記基部の横方向に延びる略長円状に形成されると共に、上記第三の型部材は上記成型用空隙部内に挿入される押圧成型部を有し、上記押圧成型部の幅寸法は、上記成型用空隙部の長さ寸法よりも小さく形成され、成型用空隙部の長さ方向中間部に配置され、上記第二の型部材は上記第一の型部材の基部上面との間に空隙をおいて配置されることを特徴とする。
【0014】
従って、請求項3記載の発明にあっては、上記成型用空隙部内に成型素材が配置され、上記押圧成型部が挿入されて押圧された場合には、成型素材は弾性変形し略長円状の成型用空隙部の両端部方向へ押されるようにして成型される。
この場合、第三の型部材に押された成型素材は、成型用空隙部の長さ方向に沿って互いに相反する方向へ押圧され、上記第二の型部材側へ押圧された成型素材は第一の型部材の基部上面と第二の型部材との間の上記空隙へ入り込む。
【0015】
請求項4記載の発明にあっては、上記第二の型部材の上面部は上記第一の型部材の延設部の上面部と同一の高さ位置に配置されると共に、上記第三の型部材は上記成型用空隙部の外方から挿入されることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明にあっては、上記第三の型部材は、基部と、上記基部から延設された押圧成型部とにより構成され、上記基部は、上記第一の型部材の延設部の上面部及び、上記第一の型部材上に配置された第二の型部材の上面部に載置される載置面部を有することを特徴とする。
【0017】
従って、請求項5記載の発明にあっては、第三の型部材は、上記第一の型部材及び第二の型部材の上面部に当接した状態で押圧成型部が型成型空隙部内に挿入される。
【0018】
請求項6記載の発明にあっては、上記成型用空隙部は、上記第一の型部材に形成された上記成型用凹部を形成する平面状の底面部と、上記平面状の底面部の上記延設部側端部において立ち上がって形成される第一の周面部と、上記底面部の他端部において上記第一の周面部に対向し、立ち上がって形成される第一の周面形成部と、上記第二の型部材に形成された、上記第一の周面形成部に連続して上記第一の周面部に対向する第二の周面部を形成しうる第二の周面形成部とにより形成され、上記第三の型部材は上記第一の周面部と上記第二の周面部との間に配置されることを特徴とする。
【0019】
従って、請求項6記載の発明にあっては、成型空隙形成凹部は、第一の型部材の底面部と、上記第一の周面部と、上記第一の周面部に対向する第一の周面形成部及び、第二の型部材の第二の周面形成部とにより形成される第二の周面形成部とにより構成される。
【0020】
請求項7記載の方法の発明にあっては、第一の型部材の成型用凹部及び周面部に合成樹脂皮膜を載置する工程と、上記第一の型部材と共に成形用空隙部を形成する第二の型部材を上記第一の型部材上に配置し、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成型用空隙部内において上記合成樹脂皮膜上に弾性素材を配置する工程と、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成形用空隙部内に第三の型部材を挿入して上記成形用空隙部内に配置された弾性素材を押圧する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明にあっては、上記合成樹脂皮膜はフッ素樹脂製であることを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明にあっては、上記弾性素材は合成ゴムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1〜9記載の発明にあっては、従来のように、管状に成型された樹脂皮膜を軸方向に2分割して形成されたものの溝部または、U字状に成型された樹脂皮膜の溝部内に弾性体素材を固定するものではなく、また、弾性体素材に樹脂皮膜を被覆させたものを2分割可能な金型で成型するものでもないことから、金型と合成樹脂皮膜との間、合成樹脂皮膜と弾性体素材との間に空気の層が形成された状態のまま成型される事態を有効に防止でき、成型精度の高い熱交換器用ガスケット製作用型を容易かつ迅速に製作することができる。
その結果、例えば、プレート式熱交換器に使用された場合には、径年時にあっても熱媒体及び被熱交換媒体に対する高いシール性能を確保することが可能となる。
また、請求項1〜6記載の発明にあっては、熱交換器用ガスケット製作用型を第一の型部材、第二の型部材及び第三の型部材に分割することができることから、熱交換器用ガスケットの型成型後、容易に、いわゆる型抜きができ、成型後の熱交換器用ガスケットを容易かつ迅速に取り出すことができる。
【0024】
請求項3記載の発明にあっては、上記効果に加えて、上記成型用空隙部は側方断面が上記基部の横方向に延びる略長円状に形成されると共に、上記第三の型部材は上記成型用空隙部内に挿入される押圧成型部を有し、上記押圧成型部の幅寸法は、上記成型用空隙部の長さ寸法よりも小さく形成され、成型用空隙部の長さ方向の中間部に配置され、上記成型素材は上記押圧成型部により、略長円状の成型用空隙部の両端部方向へ押圧変形するようにして成型されることから、まず、成型素材を構成する合成樹脂皮膜を成型用空隙部内に載置し、上記合成樹脂皮膜上にゴム等の弾性素材を配置して上記第三の型部材により押圧成型した場合には、上記押圧成型部により成型用空隙部の両端部方向へ押されながら成型される結果、ゴム等の弾性素材は樹脂皮膜に密着した状態で成型され、樹脂皮膜と合成樹脂素材との間に微小な空気が残存する事態を防止することができ、合成樹脂素材と樹脂皮膜との密着強度を向上させることができる。
【0025】
請求項4記載の発明にあっては、上記効果に加えて、上記第二の型部材は上記第一の型部材の基部上面との間に空隙をおいて配置され、上記第三の型部材により成型素材が押圧された場合には、成型用空隙部の長さ方向に沿って互いに相反する方向へ押圧力が働く。
【0026】
その結果、横方向の長円状に形成された成型用空隙部の軸方向端部に合成樹脂皮膜を載置し、合成樹脂皮膜上に弾性体素材を配置した状態で第三の型部材を挿入して押圧した場合には、上記端部に載置された合成樹脂皮膜に対して弾性体素材が有効に圧着され、弾性体素材は確実に合成樹脂皮膜に接合される。
【0027】
請求項6記載の発明にあっては、上記成型用空隙部は、上記第一の型部材に形成された上記成型用凹部を形成する平面状の底面部と、上記平面状の底面部の一端部において立ち上がって上記延設部に形成される第一の周面部と、上記底面部の他端部において上記第一の周面部に対向し、立ち上がって形成される第一の周面形成部と、上記第二の型部材に形成された、上記第一の周面形成部に連続して上記第一の周面部に対向する第二の周面部を形成しうる第二の周面形成部とにより形成され、上記第三の型部材は上記第一の周面部と上記第二の周面部との間に配置されるように構成されていることから、樹脂皮膜及び弾性素材により熱交換器用ガスケットを型成型した後には、第三の型部材及び第二の型部材を取り去ることにより、いわゆる「型抜き」を容易に行うことができ、型成型した熱交換器用ガスケットを型から迅速に取り外すことができる。
【0028】
請求項7記載の方法の発明にあっては、第一の型部材の成型用凹部に合成樹脂皮膜を載置する工程と、上記第一の型部材と共に成形用空隙部を形成する第二の型部材を上記第一の型部材上に配置し、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成型用空隙部内において上記合成樹脂皮膜上に弾性素材を配置する工程と、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成形用空隙部内に第三の型部材を挿入して上記成形用空隙部内に配置された弾性素材を押圧する工程とを有するように構成されていることから、容易かつ迅速に、成型精度の高い熱交換器用ガスケットを型成型することができる。
【0029】
請求項8記載の発明にあっては、上記合成樹脂皮膜はフッ素樹脂製であることから、フッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜を備えた、成型精度の高い熱交換器用ガスケットを容易かつ迅速に型製作することができる。
【0030】
請求項9記載の発明にあっては、上記弾性素材は合成ゴムであることから、弾性素材が合成ゴムである成型精度の高い熱交換器用ガスケットを容易かつ迅速に型成型することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型の構成の一実施の形態を示す概念側面図である。
【図2】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型を構成する第一の型部材の一実施の形態を示す側面図であり、成型用凹部に成型素材を構成する合成樹脂皮膜を載置した状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型を構成する、一実施の形態に係る第二の型部材を第一の型部材上に配置して成型用空隙部を形成した状態を示すと共に、成型用空隙部内において合成樹脂皮膜上に成型素材を構成するゴム等の弾性体を載置した状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型の構成の一実施の形態を示す概念側面図であって、第一の型部材、第二の型部材により形成される成型用空隙部内に第三の型部材が配置された状態を示す図である。
【図5】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型を構成する、一実施の形態に係る第三の型部材を上記第一の型部材と第二の型部材との間に形成された成型用空隙部内に挿入して押圧し、上記合成樹脂皮膜に弾性体を圧着させて型成型した状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型により成型素材である上記合成樹脂皮膜及び弾性体を型成型した状態を示し、特に、弾性体が押圧変形して第一の型部材と第二の型部材との間の空隙内に入り込んだ状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型により型成型されたガスケットをプレート用熱交換器に装着して使用した場合を示し、特に、合成樹脂皮膜が熱交換媒体又は被熱交換媒体と接触している状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係る熱交換器用ガスケットの製作方法の一実施の形態を示す工程図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明に係る熱交換器用ガスケット製作用型及びその製造方法を詳細に説明する。
【0033】
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る熱交換器用ガスケット製作用型10は、柔軟性を有する成形素材が配置される成形用凹部11を有する第一の型部材12と、上記第一の型部材12上において上記成型用凹部11に隣接して配置され、上記第一の型部材12と共に成型用凹部11上に成形用空隙部13を形成する第二の型部材14と、上記成形用空隙部13内に挿入され上記成形用空隙部13内に配置された成形素材15を押圧成形する第三の型部材16とを有している。
【0034】
図1及び図2に示すように、上記第一の型部材12は、側面略J字状に形成され、基部17と、上記基部17の一側方端部から上方へ延設された延設部18とを有し、上記成形用凹部11は上記基部17と上記延設部18とに亘って形成されている。
【0035】
図3に示すように、上記第二の型部材14は、側面略長方形状に形成され、一隅部には上記成形用空隙部13を形成する成形空隙形成凹部19が設けられていると共に、上記第二の型部材14は上記延設部18から幅方向において離間して配置され、上記第二の型部材14と上記延設部18との間に上記成型用空隙部13が形成される。
【0036】
本実施の形態にあっては、形成される成型用空隙部13は側方断面が上記基部の横方向に延びる略長円状に形成されている
【0037】
図1に示すように、上記第三の型部材16は側面略T字状に形成され、上記成型用空隙部13内に挿入される押圧成型部20を有し、上記押圧成型部20の幅寸法は、上記成型用空隙部13の長さ寸法よりも小さく形成され、成型用空隙部13の長さ方向の両端部に形成される円弧部21、21の間に配置されるように構成されている。なお、上記第二の型部材14は上記第一の型部材12の基部17との間に空隙22をおいて配置される。
【0038】
上記第二の型部材14の上面部23は上記第一の型部材12の延設部18の上面部24と同一の高さ位置に配置されると共に、上記第三の型部材16は上記成型用空隙部13の上方から挿入されるように構成されている。
【0039】
図4に示すように、本実施の形態にあっては、上記成型用空隙部13は、上記第一の型部材12に形成された上記成型用凹部11を形成する平面状の底面部25と、上記平面状の底面部25の一端部において立ち上がって上記延設部18に形成される第一の周面部26と、上記底面部25の他端部において上記第一の周面部26に対向し、立ち上がって形成される第一の周面形成部27と、上記第二の型部材14に形成された、上記第一の周面形成部27に連続して上記第一の周面部26に対向する第二の周面部28を形成しうる第二の周面形成部29とにより形成されている。
【0040】
上記第三の型部材16の押圧成型部20は上記第一の周面部26と上記第二の周面部28との間に配置される。
【0041】
以下、本発明に係る熱交換器用ガスケット製作方法を、本実施の形態に係る熱交換器用ガスケット製作用型の作成手順を介して説明する。
本実施の形態に係る熱交換器用ガスケット製作用型10を使用して、フッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜31及び合成ゴムからなる弾性材32により構成された熱交換器用ガスケット30を製作する場合には、まず、図8の「第一型部材・合成樹脂皮膜載置工程」Aにおいて、図2に示すように、第一の型部材12の成型用凹部11上にフッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜31を載置し、その後、図3に示すように、上記第一の型部材12上に第二の型部材14を配置して、成型用凹部11上に成型用空隙部13を形成する。
【0042】
その後、図8に示す「第二の型部材・弾性素材配置工程」Bにおいて、図3に示すように、上記成型用空隙部13内に合成ゴムからなる弾性材32を挿入配置して、図8に示す「第三型部材・弾性素材押圧工程」Cにおいて、図5に示すように、第三の型部材16の押圧成型部20を成型用空隙部13内に挿入し、合成ゴムからなる弾性材32を上方から成型用凹部11の底面部25に向かって押圧する。
【0043】
この場合、上記合成樹脂皮膜31は成型用凹部11の底面部25、第一の周面部26、第一の周面形成部27及び第二の周面形成部29に圧接すると共に、上記弾性材32は第三の型部材16の押圧成型部20により上方から底面部25方向へ押圧されることにより、弾性材32への押圧力は成型用空隙部13の第一の周面部26方向、第一の周面形成部27及び第二の周面形成部29方向へ分散して作用する。
【0044】
従って、弾性材32は第一の周面部26上に配置された合成樹脂皮膜31に対して押圧され、弾性材32は合成樹脂皮膜31に圧着されて固定され、合成樹脂皮膜31の不要な個所が切断されることにより、側方断面略長円状に形成された熱交換器用ガスケット30が型形成される。
【0045】
この熱交換器用ガスケット33は、上記第一の周面部26に当接配置している弾性材32の先端部34においてフッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜31に所定の圧力を以て、微小な空気等が介在することなく圧着されていることから、図7に示すように、プレート式熱交換器35に装着されて使用される場合には、上記フッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜31を液体からなる熱交換媒体又は被熱交換媒体36に接するように配置されるが、上記のように、合成ゴムからなる弾性材32はフッ素樹脂からなる合成樹脂皮膜31に密接して圧着され、成型精度が高く製作されていることから、長年に亘り使用された場合にあっても、弾性材32は合成樹脂皮膜31から剥離することはなく、シール性能の高い熱交換器用ガスケット33が提供される。
【0046】
本実施の形態にあっては、成型空隙形成凹部が側方略長円状に形成されている場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されない。また、各型部材の具体的形状に関しては上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
10 熱交換器用ガスケット製作用型
11 成型用凹部
12 第一の型部材
13 成型用空隙部
14 第二の型部材
15 成型素材
16 第三の型部材
17 基部
18 延設部
19 成型空隙形成凹部
20 押圧成型部
21 円弧部
22 空隙
23 上面部
24 上面部
25 底面部
26 第一の周面部
27 第二の周面形成部
28 第二の円周部
29 第二の周面形成部
30 熱交換器用ガスケット
31 合成樹脂皮膜
32 弾性素材
33 熱交換器用ガスケット
34 先端部
35 プレート式熱交換器
36 熱交換媒体又は被熱交換媒体(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器用ガスケットを製作する型であって、柔軟性を有する成形素材が配置される成形用凹部を有する第一の型部材と、上記第一の型部材上において上記成型用凹部に隣接して着脱可能に配置され、上記第一の型部材と共に成型用凹部上に成形用空隙部を形成する第二の型部材と、上記成形用空隙部内に挿入され上記成形用空隙部内に配置された成形素材を押圧成形する第三の型部材とを有することを特徴とする熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項2】
上記第一の型部材は、基部と、上記基部から外方へ延設された延設部とを有し、上記成形用凹部は上記基部と上記延設部とに亘って形成され、上記第二の型部材には上記成形用空隙部を形成する成形空隙形成凹部が設けられていると共に、上記第二の型部材は上記延設部から離間して配置され、上記第二の型部材と上記延設部との間に上記成型用空隙部が形成されることを特徴とする請求項1 記載の熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項3】
上記成型用空隙部は側方断面が上記基部の横方向に延びる略長円状に形成されると共に、上記第三の型部材は上記成型用空隙部内に挿入される押圧成型部を有し、上記押圧成型部の幅寸法は、上記成型用空隙部の長さ寸法よりも小さく形成され、成型用空隙部の長さ方向中間部に配置され、上記第二の型部材は上記第一の型部材の基部上面との間に空隙をおいて配置されることを特徴とする請求項2記載の熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項4】
上記第二の型部材の上面部は上記第一の型部材の延設部の上面部と同一の高さ位置に配置されると共に、上記第三の型部材は上記成型用空隙部の外方から挿入されることを特徴とする請求項3記載の熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項5】
上記第三の型部材は、基部と、上記基部から延設された押圧成型部とにより構成され、上記基部は、上記第一の型部材の延設部の上面部及び、上記第一の型部材上に配置された第二の型部材の上面部に載置される載置面部を有することを特徴とする請求項4記載の熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項6】
上記成型用空隙部は、上記第一の型部材に形成された上記成型用凹部を形成する平面状の底面部と、上記平面状の底面部の延設部側端部において立ち上がって形成される第一の周面部と、上記底面部の他端部において上記第一の周面部に対向し、立ち上がって形成される第一の周面形成部と、上記第二の型部材に形成された、上記第一の周面形成部と共に上記第一の周面部に対向する第二の周面部を形成しうる第二の周面形成部とにより形成され、上記第三の型部材は上記第一の周面部と上記第二の周面部との間に配置されることを特徴とする請求項5記載の熱交換器用ガスケット製作用型。
【請求項7】
第一の型部材の成型用凹部及び周面部に合成樹脂皮膜を載置する工程と、上記第一の型部材と共に成形用空隙部を形成する第二の型部材を上記第一の型部材上に配置し、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成型用空隙部内において上記合成樹脂皮膜上に弾性素材を配置する工程と、上記第一の型部材と上記第二の型部材との間に形成される成形用空隙部内に第三の型部材を挿入して上記成形用空隙部内に配置された弾性素材を押圧して上記合成樹脂皮膜に圧着させて熱交換器用ガスケットを製作する工程とを有することを特徴とする熱交換器用ガスケット製作方法。
【請求項8】
上記合成樹脂皮膜は、フッ素樹脂製であることを特徴とする請求項6記載の熱交換器用ガスケット製作方法。
【請求項9】
上記弾性素材は合成ゴムであることを特徴とする請求項6記載の熱交換器用ガスケット製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−60964(P2013−60964A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197936(P2011−197936)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(511222009)高木ゴム工業株式会社 (1)
【出願人】(000157946)岩井機械工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】