説明

熱交換器

【課題】低重量、小型化、高生産性、低コスト、並びに高汎用性を実現することができる熱交換器を提供する。
【解決手段】コンデンサヘッダ部(20,26)からレシーバタンク(14)に冷媒を導入する1本の冷媒配管(44)と、レシーバタンクをコア部(10)に取り付けるための取付部材(40)とを備え、取付部材は、冷媒配管とレシーバタンク内とを連通する冷媒の入口通路(56)と、レシーバタンク内とサブクールヘッダ部(22,28)とを連通する冷媒の出口通路(58)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、例えば車両用空調装置の凝縮器として用いて好適な熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換器には、冷媒を凝縮するコンデンサ部、コンデンサ部からレシーバタンクを通過して気液分離された液冷媒を過冷却するサブクール部により熱交換のコア部を形成し、上下に設けた各ヘッダタンクを上下に延びる複数のチューブで連通し、各ヘッダタンクをそれぞれコンデンサ部側のコンデンサヘッダ部とサブクール部側のサブクールヘッダ部とに仕切板で仕切ったサブクールコンデンサが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4052706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の場合には、コンデンサ部とサブクール部との間にレシーバタンクが配置され、コンデンサ部側の上側ヘッダタンクの側端部とサブクール部側の上側ヘッダタンクの側端部とがそれぞれ横蓋で塞がれ、コンデンサ部側の上側ヘッダタンクはレシーバタンクに入口パイプで接続され、レシーバタンクはサブクール部側の上側ヘッダタンクに出口パイプで接続されている。更に、コンデンサ部側の下側ヘッダタンクの側端部とサブクール部側の下側ヘッダタンクの側端部とがカップリング部材で連結されている。
【0005】
上述したコンデンサは、部品点数が増大して構成が複雑化するため、重量が増大して大型化するとともに、生産コストが増大するとの問題がある。
また、車種変更に伴いサブクール部の伝熱面積を変更する場合には、上側及び下側ヘッダタンクの長さや横蓋の位置等の変更を要し、上側ヘッダタンクに対する入口及び出口パイプの接続箇所も変更を要する。従って、上記従来のコンデンサは全体的に大幅な構造の変更を要して汎用性を著しく欠くとの問題がある。
【0006】
本発明は上述の事情に基づいてなされ、その目的とするところは、低重量、小型化、高生産性、低コスト、並びに高汎用性を実現することができる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の熱交換器は、冷媒を凝縮するコンデンサ部、コンデンサ部からレシーバタンクを通過して気液分離された液冷媒を過冷却するサブクール部により熱交換のコア部を形成し、上下に設けた各ヘッダタンクを上下に延びる複数のチューブで連通し、各ヘッダタンクをそれぞれコンデンサ部側のコンデンサヘッダ部とサブクール部側のサブクールヘッダ部とに仕切板で仕切った熱交換器であって、コンデンサヘッダ部からレシーバタンクに冷媒を導入する1本の冷媒配管と、レシーバタンクをコア部に取り付けるための取付部材とを備え、取付部材は、冷媒配管とレシーバタンク内とを連通する冷媒の入口通路と、レシーバタンク内とサブクールヘッダ部とを連通する冷媒の出口通路とを有することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、取付部材はレシーバタンクの上端部を覆って閉塞することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、取付部材はサブクールヘッダ部の側端部を覆って閉塞することを特徴としている。
請求項4記載の発明は、取付部材は入口通路に冷媒配管の抜け止め手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の熱交換器によれば、コンデンサヘッダ部からレシーバタンクに冷媒を導入する1本の冷媒配管と、レシーバタンクをコア部に取り付けるための取付部材とを備え、取付部材は、冷媒配管とレシーバタンク内とを連通する冷媒の入口通路と、レシーバタンク内とサブクールヘッダ部とを連通する冷媒の出口通路とを有する。これにより、ヘッダタンクとレシーバタンクとの間の冷媒流路を1本の冷媒配管と取付部材との2部材で形成することが可能となる。従って、熱交換器の部品点数を低減することができるため、熱交換器の低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
【0010】
しかも、コンデンサヘッダ部に対する冷媒配管の接続箇所と仕切板の位置とを変更するだけでコア部におけるサブクール部の伝熱面積を容易に変更することができるため、熱交換器の汎用性を大幅に高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、取付部材がレシーバタンクの上端部を覆って閉塞することにより、取付部材はレシーバタンクにおける冷媒の入口通路及び出口通路のみならず、レシーバタンクの上蓋としての役割をも担うため、熱交換器の更なる低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、取付部材がサブクールヘッダ部の側端部を覆って閉塞することにより、取付部材はレシーバタンクにおける冷媒の入口通路及び出口通路、レシーバタンクの上蓋のみならず、ヘッダタンクの横蓋としての役割をも担うため、熱交換器の更なる低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
請求項4記載の発明によれば、取付部材が入口通路に冷媒配管の抜け止め手段を有することにより、取付部材は冷媒の入口通路及び出口通路、レシーバタンクの上蓋、ヘッダタンクの横蓋のみならず、冷媒配管を係止する役割をも担うため、熱交換器の更なる低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る室外熱交換器の正面図である。
【図2】図1のレシーバタンクの断面図である。
【図3】図1の冷媒配管及び上部取付部材を拡大した一部破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態に係る熱交換器である室外熱交換器1について図面を参照して説明する。
図1は室外熱交換器1の正面図を示している。室外熱交換器1は、例えば図示しない車両用空調装置のヒートポンプサイクルに組み込まれ、空調装置の暖房運転時にはエバポレータとして使用される。室外熱交換器1は、冷媒が流れる多数のチューブ2を上下方向に配したマルチフロー構造をなしており、チューブ2の表面に発生した凝縮水の排水性を高めることで低外気温時のチューブ2への着霜を抑制している。各チューブ2間には送風空気との熱交換を促進するフィン4(図3参照)が接合されている。
【0014】
各チューブ2の上端部は上側ヘッダタンク6に接続され、各チューブ2の下端部は下側ヘッダタンク8に接続されており、上側ヘッダタンク6内と下側ヘッダタンク8内とは各チューブ2を介して連通されている。
室外熱交換器1の熱交換が行われるコア部10は、コンプレッサ(図示省略)より圧送される高温・高圧のガス冷媒が流入され、外気との熱交換によって気液二相冷媒を形成するコンデンサ部12と、コンデンサ部12から後述するレシーバタンク14を通過して気液分離された液冷媒を過冷却するサブクール部16とに分割されている。
【0015】
上側ヘッダダンク6の内部は仕切板18によって上側コンデンサヘッダ部20と上側サブクールヘッダ部22とに仕切られ、下側ヘッダダンク8の内部は仕切板24によって下側コンデンサヘッダ部26と下側サブクールヘッダ部28とに仕切られている。
コンデンサ部12においては、上側及び下側コンデンサヘッダ部20,26にそれぞれ上下方向においてずらした位置に仕切板30,32が設けられている。下側ヘッダタンク8の仕切板32よりも図1で見て右側にはコンデンサ部12に流入する冷媒の入口ポート34が突設され、下側ヘッダタンク8の仕切板24よりも図1で見て左側にはサブクール部16から流出する冷媒の出口ポート36が突設されている。
【0016】
上側及び下側ヘッダタンク6,8の各両端部には室外熱交換器1の車体への取付部38がそれぞれ突設され、上記したレシーバタンク14はサブクール部16の図1で見て左側端部に上側取付部材(取付部材)40、及び下側取付部材42によって取り付けられ、室外熱交換器1はいわゆるサブクールコンデンサを構成している。
図2はレシーバタンク14の断面図を示している。上側コンデンサヘッダ部20からは1本の冷媒配管44が分岐して延設され、後で詳述するが、冷媒配管44はレシーバタンク14の上端部14aに開口された冷媒の入口開口部46に接続される。レシーバタンク14内には、フィルタ48が内蔵されるとともに、レシーバタンク14の底部14b近傍に開口された通液管50が配置され、通液管50はレシーバタンク14の上端部14aに開口された冷媒の出口開口部52に接続されている。
【0017】
コンデンサ部12で凝縮された気液二相冷媒は、冷媒配管44を通過して入口開口部46からレシーバタンク14に流入され、重力により液冷媒のみがフィルタ48を通過しながら流下してレシーバタンク14内に貯留される。貯留された液冷媒はガス冷媒の圧力によって通液管50内を押し上げられ、出口開口部52からサブクール部16に流出される。
【0018】
図3は冷媒配管44及び上側取付部材40を拡大した一部破断図である。上側取付部材40はボルト54によってレシーバタンク14の上端部14aに締結固定される。上側取付部材40内には、上側取付部材40の側部に形成された図示しないスリット部から冷媒配管44が挿通される挿通孔(入口通路)56と、レシーバタンク14内とサブクールヘッダ部22とを出口開口部52を介して連通する冷媒の出口通路58とが穿設されている。
【0019】
上側取付部材40は、挿通孔56と入口開口部46、出口通路58と出口開口部52をそれぞれろう付け等のシール接続手段によって気密に接続、連通しつつ、レシーバタンク14の上端部14aを覆って閉塞するレシーバタンク14の上蓋としての役割を担っている。
また、上側取付部材40は、出口通路58とサブクールヘッダ部22とをろう付け等のシール接続手段によって気密に接続、連通しつつ、サブクールヘッダ部22の側端部68を覆って閉塞する上側ヘッダタンク6の横蓋としての役割をも担っている。
【0020】
更に、挿通孔56には、上端部14aとの接合面において拡径された拡径開口部(抜け止め手段)70が形成されている。拡径開口部70には、冷媒配管44の上側取付部材40側の端部近傍に形成された拡径部72が係止され、冷媒配管44の開口端部74は入口開口部46に挿入されている。こうして、冷媒配管44は上側取付部材40に対して抜け止め措置が施された状態で固定され、上側取付部材40には冷媒配管44からレシーバタンク14内にかけて気密な冷媒の入口通路が形成される。
【0021】
以上のように本実施形態では、上側ヘッダタンク6とレシーバタンク14との間の冷媒流路を1本の冷媒配管44と上側取付部材40との2部材で形成することが可能となるため、室外熱交換器1の部品点数を大幅に低減することができ、室外熱交換器1の低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
しかも、コンデンサヘッダ部20に対する冷媒配管44の接続箇所と仕切板18の位置とを変更するだけでコア部10におけるサブクール部16の伝熱面積を容易に変更することができるため、室外熱交換器1の汎用性を大幅に高めることができる。
【0022】
また、上側取付部材40はレシーバタンク14における冷媒配管44の挿入孔56たる冷媒の入口通路、及び出口通路58のみならず、レシーバタンク14の上蓋、ヘッダタンク6の横蓋、ひいては冷媒配管44の抜け止めのための係止部材としての役割をも担うため、室外熱交換器1の更なる低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現することができる。
以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0023】
例えば、上記本実施形態では、上側ヘッダタンク6とレシーバタンク14との間の冷媒流路を1本の冷媒配管44と上側取付部材40との2部材で形成することで、室外熱交換器1の低重量、小型化、高生産性、及び低コストを実現し、サブクール部16の伝熱面積を容易に変更できるようにして設計変更や構造変更が最小限で済むようにしたものであり、これが実現できるのであれば、上記室外熱交換器1の構成及び用途には限定されない。
【符号の説明】
【0024】
1 室外熱交換器(熱交換器)
2 チューブ
6 上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)
8 下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)
10 コア部
12 コンデンサ部
14 レシーバタンク
14a 上端部
16 サブクール部
18 仕切板
20 上側コンデンサヘッダ部(コンデンサヘッダ部)
22 上側サブクールヘッダ部(サブクールヘッダ部)
24 仕切板
26 下側コンデンサヘッダ部(コンデンサヘッダ部)
28 下側サブクールヘッダ部(サブクールヘッダ部)
44 冷媒配管
40 上側取付部材(取付部材)
56 挿通孔(入口通路)
58 出口通路
68 側端部
70 拡径開口部(抜け止め手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を凝縮するコンデンサ部、前記コンデンサ部からレシーバタンクを通過して気液分離された液冷媒を過冷却するサブクール部により熱交換のコア部を形成し、上下に設けた各ヘッダタンクを上下に延びる複数のチューブで連通し、前記各ヘッダタンクをそれぞれ前記コンデンサ部側のコンデンサヘッダ部と前記サブクール部側のサブクールヘッダ部とに仕切板で仕切った熱交換器であって、
前記コンデンサヘッダ部から前記レシーバタンクに冷媒を導入する1本の冷媒配管と、
前記レシーバタンクを前記コア部に取り付けるための取付部材とを備え、
前記取付部材は、前記冷媒配管と前記レシーバタンク内とを連通する冷媒の入口通路と、前記レシーバタンク内と前記サブクールヘッダ部とを連通する冷媒の出口通路とを有することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記取付部材は前記レシーバタンクの上端部を覆って閉塞することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記取付部材はサブクールヘッダ部の側端部を覆って閉塞することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記取付部材は前記入口通路に前記冷媒配管の抜け止め手段を有することを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−145271(P2012−145271A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3965(P2011−3965)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】