熱交換器
【課題】櫛形タイプの冷却フィンを備えた熱交換器であっても、パワーモジュールに使用して、X線検査によりボイドを正確に検出すること。
【解決手段】パワーモジュール2の熱交換器1は、ケース3と、ケース3に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3の上面に接合剤10により接合されたヒートスプレッダとを備える。IGBT6は、ヒートスプレッダの上面に接合剤10により固定される。冷却フィン4は、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ斜めに突き出している。冷却フィン4は、複数のフィン部4dにつき、隣り合う一方のフィン部4d1の先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの上面及び下面と直交する方向に重なるように配置される。
【解決手段】パワーモジュール2の熱交換器1は、ケース3と、ケース3に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3の上面に接合剤10により接合されたヒートスプレッダとを備える。IGBT6は、ヒートスプレッダの上面に接合剤10により固定される。冷却フィン4は、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ斜めに突き出している。冷却フィン4は、複数のフィン部4dにつき、隣り合う一方のフィン部4d1の先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの上面及び下面と直交する方向に重なるように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、IGBT等の半導体素子の冷却に使用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBT等の半導体素子を備えたパワーモジュールが知られている。ところで、この種のパワーモジュールは、半導体素子が通電により発熱することにより性能を低下させるおそれがある。そこで、従来から半導体素子を実装した絶縁基板を冷却フィン等を備えた熱交換器に装着し、熱交換器を流れる冷媒によって半導体素子を放熱させていた。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、熱交換器(冷却器)を備えたパワーモジュールが記載されている。この冷却器は、波形状に折り曲げられた2つの冷却フィンが中板を境にして上下2層に設けられる。これら冷却フィンは、その折り曲げ部により複数条の凹凸が形成される。これら冷却フィンは、各折り曲げ部が上下に重複しないようにオフセットした状態で、天板と底板との間に固定される。そして、天板の上には、アルミブロックを介して絶縁基板が固定され、その絶縁基板の上にIGBT及びダイオードがハンダにより固定される。
【0004】
ここで、上記したパワーモジュールについては、ハンダ中の気泡欠陥(ボイド)を検査するためにX線検査が行われる。すなわち、パワーモジュールを挟むようにX線発生器と撮像器を配置し、絶縁基板と直交する方向にX線を照射することにより、ボイドの透過画像を得る。このパワーモジュールでは、冷却器を構成する冷却フィンの折り曲げ部が上下にオフセットした状態で配置され、各冷却フィンが各折り曲げ部から傾斜するので、X線透過率が均等となり、X線の透過画像においてハンダ中のボイドの影が隠されるという不具合を回避することができる。
【0005】
ところで、この種のパワーモジュールに用いられる冷却フィンとして、上記のように波形状のものとは異なり、平板状のベース部と、ベース部の下面又は上面から所定間隔を置いて互いに平行に突き出した複数のフィン部とを有する、櫛形タイプの冷却フィンが知られている。例えば、下記の特許文献2には、この種の櫛形タイプの冷却フィンを備えたパワーモジュールが記載される。このパワーモジュールは、櫛形タイプの冷却フィンのベース部の上面に絶縁層が形成され、その絶縁層に配線板が固定され、その配線板に半導体スイッチング素子がハンダにより接合される。この種のパワーモジュールについても、ハンダ中のボイドを検査するためにX線検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−288495号公報
【特許文献2】特開2008−270292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2に記載のパワーモジュールでは、X線検査により、その上面からX線を照射した場合に、次のような問題があった。すなわち、冷却フィンを構成する複数のフィン部が、所定間隔を置いて互いに平行に配置されるので、ベース部の上から照射されるX線の透過距離が、フィン部のある部位とない部位とで不均一となる。この結果、X線の透過画像の陰影が縞模様となり、ボイドを正確に検出することが困難になるおそれがあった。
【0008】
例えば、図11に正断面図に示すように、単なる平板な基板31の上にハンダ等の接合剤32を介して半導体素子33等を接合し、接合剤32の中にボイド34ができたことを想定する。この場合は、X線を垂直に照射すると、X線の透過距離は、基板31の各部位の間でほぼ均等となる。このため、図12にメッシュで示すように、X線の透過画像35の陰影がボイド34を除いてほぼ均一となり、ボイド34を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0009】
これに対し、図13に正断面図に示すように、櫛形タイプの冷却フィン36のベース部36aの上に接合剤32を介して半導体素子33等を接合し、接合剤32の中にボイド34ができたことを想定する。この場合は、X線を垂直に照射すると、X線の透過距離は、フィン部36bのある部位とない部位との間で不均一となる。このため、図14にメッシュで示すように、X線の透過画像35の陰影が縞模様のように不均一となり、ボイド34が縞模様の陰影に隠れて不明確となり、ボイド34を正確に検出することが困難になる。
【0010】
そこで、この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、櫛形タイプの冷却フィンを備えた熱交換器であっても、パワーモジュールに使用して、X線検査によりボイドを正確に検出できる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、平板状のベース部の上面及び下面の少なくとも一方から複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めに突き出してなる冷却フィンを備えた熱交換器であって、冷却フィンは、複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、ベース部の上面及び下面と直交する方向に重なるように配置されることを趣旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、熱交換器の冷却フィンは、複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めにベース部から突き出している。また、複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、ベース部の上面及び下面と直交する方向に重なるように配置される。従って、フィン部のある部位とない部位との間で、ベース部の上面及び下面と直交する方向における熱交換器の肉厚の差が少なくなり、ベース部をX線が垂直に透過するように熱交換器にX線を照射した場合に、熱交換器の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、櫛形タイプの冷却フィンを備えた熱交換器であっても、パワーモジュールに使用して、X線検査によりボイドを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係り、熱交換器を備えたパワーモジュールと、そのパワーモジュールのX線検査方法を示す斜視図。
【図2】同じく、パワーモジュールを示す正断面図。
【図3】同じく、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図4】第2実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図5】第3実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図6】第4実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図7】第5実施形態に係り、熱交換器を備えたパワーモジュールと、そのパワーモジュールのX線検査方法を示す斜視図。
【図8】同じく、パワーモジュールを示す正断面図。
【図9】同じく、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図10】第6実施形態に係り、2つのパワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図11】従来例に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図12】従来例に係り、X線の透過画像を示す平面図。
【図13】従来例に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図14】従来例に係り、X線の透過画像を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1に、この実施形態の熱交換器1を備えたパワーモジュール2と、そのパワーモジュール2のX線検査方法を斜視図により示す。図2に、同じくパワーモジュール2を正断面図により示す。図1,2に示すように、このパワーモジュール2は、ケース3と、ケース3の中に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3に接合されたヒートスプレッダ5と、ヒートスプレッダ5に接合された半導体素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)6とを備える。この実施形態で、熱交換器1は、ケース3、冷却フィン4及びヒートスプレッダ5により構成される。
【0017】
冷却フィン4は、平板状のベース部4aと、そのベース部4aの上面及び下面のそれぞれから突き出した複数のフィン部4b,4cとを備える。複数のフィン部4b,4cは、それぞれ互いに隙間9a,9bを置いて平行に形成され、かつベース部4aから垂直に突き出して形成される。また、冷却フィン4は、ベース部4aの上面側の複数のフィン部4bと、ベース部4aの下面側の複数のフィン部4cとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。換言すると、冷却フィン4は、上面側の複数のフィン部4bと下面側の複数の隙間9bとが同じ幅W1を有しそれぞれベース部4aの垂直方向に重なるように配置されると共に、上面側の複数の隙間9aと下面側の複数のフィン部4cとが同じ幅W1を有しそれぞれベース部4aの垂直方向に重なるように配置される。この実施形態では、上側のフィン部4bと下側のフィン部4cが互いに同じ高さ(図2の紙面上下方向の長さ)と同じ長さ(図2の紙面垂直方向の長さ)を有する。
【0018】
ケース3は、四角筒形をなし、ベース部4aと平行に配置される上壁3a及び下壁3bと、ベース部4aと垂直に配置される両側壁3cとを含む。ケース3は、その長手方向、すなわち冷却フィン4のフィン部4b,4cが延びる方向の両端が開口し、その一方の開口が冷却水の入口7、その他方の開口が冷却水の出口8となっている。冷却フィン4は、このケース3の中に嵌め合わされた状態で収容される。この収容状態において、各フィン部4b,4cの間の隙間9a,9bはそれぞれ冷却水の通路となる。
【0019】
ヒートスプレッダ5は、ケース3の上壁3aの上面にハンダ等の接合剤により接合される。IGBT6は、このヒートスプレッダ5の上面に接合剤により接合される。ヒートスプレッダ5は、IGBT6から発生する熱を拡散してケース3及び冷却フィン4等に伝えるようになっている。
【0020】
上記のように構成したパワーモジュール2では、熱交換器1を構成するケース3の入口7から冷却水が導入される。導入された冷却水は、ケース3の中の複数のフィン部4b,4cの間の隙間9a,9bを流れ、ケース3の出口8から導出される。このとき、IGBT6にて発生する熱は、ヒートスプレッダ5を介してケース3に伝わり、冷却フィン4を介して冷却水との間で熱交換される。これによりIGBT6が冷却される。
【0021】
この実施形態では、上記のように構成されたパワーモジュール2につき、IGBT6とヒートスプレッダ5との間の接合剤、ヒートスプレッダ5とケース3との間の接合剤のそれぞれの中の気泡欠陥(ボイド)を検査するためにX線検査を行うようになっている。すなわち、IGBT6とヒートスプレッダ5との間の接合剤とIGBT6との接合面、並びに、ヒートスプレッダ5とケース3との間の接合剤とヒートスプレッダ5との接合面をX線がほぼ垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射し、そのX線の透過画像に基づいて接合剤中のボイドの有無及び大きさを検査するようになっている。詳しくは、パワーモジュール2を上下に挟むようにX線発生器と撮像器(それぞれ図示略)を配置し、上記接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、ボイドの透過画像を得るようになっている。ここで、ボイドを正確に検出するためには、X線の透過画像の陰影がボイドを除いてほぼ均一となり、ボイドを他と明確に区別できるようにする必要がある。
【0022】
図3には、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。図3では、ヒートスプレッダ5の図示を省略し、IGBT6のみが接合剤10を介してケース3の上壁3aに接合された状態を誇張して示す。図3に示すように、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここで、冷却フィン4のベース部4aの上面では、フィン部4bのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。同様に、ベース部4aの下面では、フィン部4cのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0023】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4のベース部4aの上面から互いに隙間9aを置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4bと、ベース部4aの下面から互いに隙間9bを置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4cとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。すなわち、ベース部4aの上面側の複数のフィン部4bと下面側の複数の隙間9bとが同じ幅W1を有し垂直方向に重なるように配置されると共に、ベース部4aの上面側の複数の隙間9aと下面側の複数のフィン部4cとが同じ幅W1を有し垂直方向に重なるように配置される。従って、フィン部4b,4cのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差がなくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離が均一化することとなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離も均一化することとなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0024】
具体的に説明すると、図3において、矢印A1と矢印A2の長さは、IGBT6が接合剤10により接合される範囲における、冷却フィン4のベース部4aの上面及び下面にフィン部4b,4cがある部位とない部位でのパワーモジュール2の高さを意味する。各矢印A1,A2の実線部分は、X線が透過するIGBT6、接合剤10、ケース3及び冷却フィン4の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印A1,A2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印A1,A2から明らかなように、両矢印A1,A2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いに同じとなる。このことから、図12に示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0025】
[第2実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
なお、以下の説明において前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0027】
図4に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、冷却フィン4の構造の点で第1実施形態と異なる。すなわち、この実施形態の冷却フィン4は、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行に突き出して形成される。加えて、複数のフィン部4dは、ベース部4aから斜めに突き出して形成される。詳しくは、複数のフィン部4dにつき、図4に示すように、隣り合う一方のフィン部4dの先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの垂直方向(ベース部4aの上面及び下面と直交する方向)に重なるように配置される。
【0028】
図4に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここで、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0029】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4の複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ斜めにベース部4aから突き出している。また、複数のフィン部4dにつき、隣り合う一方のフィン部4d1の先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの垂直方向に重なるように配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差は少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここで、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0030】
具体的に説明すると、図4に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印B1,B2を示す。これら矢印B1,B2から明らかなように、両矢印B1,B2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いにほぼ等しくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0031】
[第3実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図5に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、冷却フィン4及びケース3の構造の点で第1及び第2の実施形態と異なる。すなわち、この実施形態の冷却フィン4は、ベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ垂直に突き出して形成される。また、ケース3の外側にて下壁3bには、複数の溝部12が形成される。これら複数の溝部12は、冷却フィン4の複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように配置され、フィン部4dと同じ幅W3を有する。
【0033】
図5に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0034】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4がケース3に収容され、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置されるケース3の下壁3bに複数の溝部12が形成される。これら複数の溝部12は、ベース部4aから互いに隙間9を置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4dと、ベース部4aの垂直方向に重なるように配置され、フィン部4dと同じ幅W3を有する。換言すると、これら複数の溝部12は、冷却フィン4の複数の隙間9と、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間でベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここでも、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0035】
具体的に説明すると、図5に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印C1,C2を示す。これら矢印C1,C2から明らかなように、両矢印C1,C2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差が少なくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0036】
[第4実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図6に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、熱交換器1が応力緩和材13を含むことと、冷却フィン4の形状の点で第1及び第2の実施形態と構成が異なる。すなわち、この実施形態で、冷却フィン4は、第3実施形態の冷却フィン4と同じ構造を有する。ケース3の上壁3aの上面には、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置される板状の応力緩和材13が密着して固定される。この応力緩和材13は、複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように形成され、フィン部4dと同じ幅W4を有する複数の長孔13aを含む。
【0038】
図6に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、応力緩和材13、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0039】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置される板状の応力緩和材13に複数の長孔13aが形成される。これら複数の長孔13aが、冷却フィン4の複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように形成され、フィン部4dと同じ幅W4を有する。換言すると、これら複数の長孔13aは、冷却フィン4の複数の隙間9と、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体として見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここで、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0040】
具体的に説明すると、図6に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印D1,D2を示す。これら矢印D1,D2から明らかなように、両矢印D1,D2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差が少なくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド12を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0041】
[第5実施形態]
次に、本発明における熱交換器を備えたパワーモジュールのX線検査方法及びその検査方法に使用する治具を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図7に、この実施形態の熱交換器1を備えたパワーモジュール2と、そのパワーモジュール2のX線検査方法を斜視図により示す。図8に、同じくパワーモジュール2を正断面図により示す。図7,8に示すように、このパワーモジュール2は、ケース3と、ケース3の中に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3に接合されたヒートスプレッダ5と、ヒートスプレッダ5に接合されたIGBT6とを備える。この実施形態で、熱交換器1は、ケース3、冷却フィン4及びヒートスプレッダ5により構成される。ケース3と冷却フィン4の構成は、第4実施形態のそれと同じである。
【0043】
この実施形態のX線検査方法は、パワーモジュール1の下側に治具14を密着させて配置して行う。治具14は、冷却フィン4に準ずる形状を有し、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。すなわち、治具14は、平板状の模擬ベース部14aの下面から複数の模擬フィン部14bが互いに隙間15を置いて平行かつ垂直に突き出して形成される。また、冷却フィン4のフィン部4d、冷却フィン4の隙間9、治具14の模擬フィン部14b及び治具14の模擬隙間15の幅W5が互いに同じとなっている。また、この実施形態で、冷却フィン4の高さH1と、治具14の高さH2は互いに同じである。
【0044】
そして、X線検査に際して、図7,8に示すように、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬フィン部14bとが、ベース部4a及び模擬ベース部14aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置されるように治具14を位置決めする。換言すると、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬隙間15とがベース部4a,14aの垂直方向に重なると共に、冷却フィン4の複数の隙間9と治具14の複数の模擬フィン部14bとがベース部4a,14aの垂直方向に重なるように治具14を位置決めする。そして、パワーモジュール2と治具14の両方にX線が透過するようにX線を照射する。
【0045】
図9に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。図9に示すように、パワーモジュール2に対し、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4、ケース3の下壁3b及び治具14を垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面にフィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0046】
しかし、この実施形態のX線検査方法では、パワーモジュール2の下側に密着して治具14が配置される。この治具14は、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。そして、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬隙間15とがベース部4a,14aの垂直方向に重なると共に、冷却フィン4の複数の隙間9と治具14の複数の模擬フィン部14bとがベース部4a,14aの垂直方向に重なるように治具14が位置決めされる。従って、冷却フィン4のフィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向におけるパワーモジュール2と治具14を併せた肉厚の差がなくなる。そして、パワーモジュール2と治具14の両方にX線が透過するようにX線を照射することにより、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差がなくなる。このため、この実施形態のX線検査方法によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を含む熱交換器1を備えたパワーモジュール2であっても、ボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0047】
具体的に説明すると、図9に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印E1,E2を示す。各矢印E1,E2の実線部分は、X線が透過するIGBT6、接合剤10、ケース3、冷却フィン4及び治具14の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印E1,E2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印E1,E2から明らかなように、両矢印E1,E2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差がなくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いて均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0048】
この実施形態によれば、治具14は、冷却フィン4に準ずる形状を有し、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。このため、この治具14によれば、上記X線検査方法に有効に使用することができる。
【0049】
[第6実施形態]
次に、本発明における熱交換器を備えたパワーモジュールのX線検査方法を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図10に、図3に準ずる図であって、2つのパワーモジュール2A,2Bを簡略化して正断面図により示す。この実施形態のX線検査方法では、前記第5実施形態とほぼ同じ構成を有する2つのパワーモジュール2A,2Bを準備する。一方のパワーモジュール2Aは、熱交換器1Aを構成するケース3Aと冷却フィン4Aとを含む。他方のパワーモジュール2Bは、熱交換器1Bを構成するケース3Bと冷却フィン4Bとを含む。ケース3Aとケース3Bは、互いに同じ形状と寸法を有する。冷却フィン4Aと冷却フィン4Bは、全体の形状は異なるものの、互いに同じ形状と寸法を有するフィン部4dと隙間9を備える。これら2つのパワーモジュール2A,2Bの一方を他方の下側にて180°反転させ、互いに密着させて配置する。また、上側に配置したパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側に配置したパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置されるように、2つのパワーモジュール2A,2Bを位置決めする。換言すると、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とがベース部4aの垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとがベース部4aの垂直方向に重なるように2個のパワーモジュール2A,2Bを位置決めする。そして、2つのパワーモジュール2A,2Bの両方にX線が透過するようにX線を照射するようにしている。
【0051】
図10に示すように、X線検査に際して、各パワーモジュール2A,2Bの接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、上側のパワーモジュール2Aに係るIGBT6、接合剤10、ケース3Aの上壁3a、冷却フィン4A及びケース3Aの下壁3bを垂直に透過すると共に、下側のパワーモジュール2Bに係るケース3Bの下壁3b、冷却フィン4B、ケース3Bの上壁3a、接合剤10及びIGBT6を垂直に透過することとなる。ここでも、上下両方のパワーモジュール2A,2Bにつき、冷却フィン4A,4Bのベース部4aでは、それらフィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4A,4Bの垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0052】
しかし、この実施形態のX線検査方法では、2つのパワーモジュール2A,2Bが準備され、その一方が他方の下側に配置される。また、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とがベース部4aの垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとがベース部4aの垂直方向に重なるように2つのパワーモジュール2A,2Bが位置決めされる。従って、各冷却フィン4A,4Bにおけるフィン部4dのある部位とない部位との間でベース部4aの垂直方向における2つのパワーモジュール2A,2Bを併せた肉厚の差がなくなる。そして、2つのパワーモジュール2A,2Bの両方にX線が透過するようにX線を照射することにより、2つのパワーモジュール2A,2Bの各部位におけるX線の透過距離の差がなくなる。このため、この実施形態のX線検査方法によれば、櫛形タイプの冷却フィン4A,4Bを含む熱交換器1A,1Bを備えたパワーモジュール2A,2Bであっても、ボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0053】
具体的に説明すると、図10に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印F1,F2を示す。各矢印F1,F2の実線部分は、X線が透過する上側のパワーモジュール2Aに係るIGBT6、接合剤10、ケース3A及び冷却フィン4A、並びに、下側のパワーモジュール2Bに係るケース3A、冷却フィン4A、接合剤10及びIGBT6の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印F1,F2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印F1,F2から明らかなように、両矢印F1,F2の実線部分の長さ、すなわち、2つのパワーモジュール2A,2BにおけるX線の透過距離は、互いの差がなくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いて均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0054】
この実施形態では、2つのパワーモジュール2A,2Bを同時にX線検査することができる。このため、1つずつ個別にX線検査する場合に比べて、X線検査の所要時間を短縮することができる。
【0055】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することができる。
【0056】
(1)前記第2実施形態では、冷却フィン4につき、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dを等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部4aから斜めに突き出すように形成した。これに対し、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から斜めに突き出すように形成したり、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面及び下面の両方から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から斜めに突き出すように形成したりすることもできる。
【0057】
(2)前記第3〜第6の実施形態では、冷却フィン4につき、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dを等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部4aから垂直に突き出すように形成した。これに対し、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から垂直に突き出すように形成したり、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面及び下面の両方から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から垂直に突き出すように形成したりすることもできる。
【0058】
(3)前記第3実施形態では、ケース3の下壁3bに複数の溝部12を形成したが、ケースの上壁に複数の溝部を形成したり、ケースの上壁及び下壁の両方に複数の溝部を形成したりしてもよい。
【0059】
(4)前記第4実施形態では、ケース3の上壁3aに設けた応力緩和材13に複数の長孔13aを形成したが、ケースの下壁に設けた応力緩和材に複数の長孔を形成したり、ケースの上壁及び下壁の両方に設けた応力緩和材に複数の長孔を形成したりしてもよい。
【0060】
(5)前記第6実施形態では、同じ構成を有する2つのパワーモジュール2A,2Bを2つ準備し、それら2つのパワーモジュール2A,2Bの一方を他方の下側にて互いに密着させて配置した。また、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とが垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとが垂直方向に重なるように、2つのパワーモジュール2A,2Bを位置決めした。これに対し、パワーモジュールを2つ以外の偶数個(例えば、「4つ」又は「6つ」等)準備し、それら偶数個のパワーモジュールを上下に積み上げて配置し、互いに隣接する上側のパワーモジュールの複数のフィン部と下側のパワーモジュールの複数の隙間とが垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュールの複数の隙間と下側のパワーモジュールの複数のフィン部とが垂直方向に重なるように、偶数個のパワーモジュールを位置決めするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明は、電気自動車のためのパワーモジュールに使用される熱交換器に利用でき、この種のパワーモジュールについて、接合剤中のボイドを検査するために利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 熱交換器
1A 熱交換器
1B 熱交換器
2 パワーモジュール
2A パワーモジュール
2B パワーモジュール
3 ケース
3A ケース
3B ケース
3a 上壁
3b 下壁
4 冷却フィン
4A 冷却フィン
4B 冷却フィン
4a ベース部
4b フィン部
4c フィン部
4d フィン部
4d1 フィン部
4d2 フィン部
4e 先端
4f 基端
6 IGBT(半導体素子)
9 隙間
9a 隙間
9b 隙間
10 接合剤
11 ボイド
12 溝部
13 応力緩和材
13a 長孔
14 治具
14b 模擬フィン部
15 模擬隙間
W1 幅
W2 幅
W3 幅
W4 幅
W5 幅
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、IGBT等の半導体素子の冷却に使用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBT等の半導体素子を備えたパワーモジュールが知られている。ところで、この種のパワーモジュールは、半導体素子が通電により発熱することにより性能を低下させるおそれがある。そこで、従来から半導体素子を実装した絶縁基板を冷却フィン等を備えた熱交換器に装着し、熱交換器を流れる冷媒によって半導体素子を放熱させていた。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、熱交換器(冷却器)を備えたパワーモジュールが記載されている。この冷却器は、波形状に折り曲げられた2つの冷却フィンが中板を境にして上下2層に設けられる。これら冷却フィンは、その折り曲げ部により複数条の凹凸が形成される。これら冷却フィンは、各折り曲げ部が上下に重複しないようにオフセットした状態で、天板と底板との間に固定される。そして、天板の上には、アルミブロックを介して絶縁基板が固定され、その絶縁基板の上にIGBT及びダイオードがハンダにより固定される。
【0004】
ここで、上記したパワーモジュールについては、ハンダ中の気泡欠陥(ボイド)を検査するためにX線検査が行われる。すなわち、パワーモジュールを挟むようにX線発生器と撮像器を配置し、絶縁基板と直交する方向にX線を照射することにより、ボイドの透過画像を得る。このパワーモジュールでは、冷却器を構成する冷却フィンの折り曲げ部が上下にオフセットした状態で配置され、各冷却フィンが各折り曲げ部から傾斜するので、X線透過率が均等となり、X線の透過画像においてハンダ中のボイドの影が隠されるという不具合を回避することができる。
【0005】
ところで、この種のパワーモジュールに用いられる冷却フィンとして、上記のように波形状のものとは異なり、平板状のベース部と、ベース部の下面又は上面から所定間隔を置いて互いに平行に突き出した複数のフィン部とを有する、櫛形タイプの冷却フィンが知られている。例えば、下記の特許文献2には、この種の櫛形タイプの冷却フィンを備えたパワーモジュールが記載される。このパワーモジュールは、櫛形タイプの冷却フィンのベース部の上面に絶縁層が形成され、その絶縁層に配線板が固定され、その配線板に半導体スイッチング素子がハンダにより接合される。この種のパワーモジュールについても、ハンダ中のボイドを検査するためにX線検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−288495号公報
【特許文献2】特開2008−270292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2に記載のパワーモジュールでは、X線検査により、その上面からX線を照射した場合に、次のような問題があった。すなわち、冷却フィンを構成する複数のフィン部が、所定間隔を置いて互いに平行に配置されるので、ベース部の上から照射されるX線の透過距離が、フィン部のある部位とない部位とで不均一となる。この結果、X線の透過画像の陰影が縞模様となり、ボイドを正確に検出することが困難になるおそれがあった。
【0008】
例えば、図11に正断面図に示すように、単なる平板な基板31の上にハンダ等の接合剤32を介して半導体素子33等を接合し、接合剤32の中にボイド34ができたことを想定する。この場合は、X線を垂直に照射すると、X線の透過距離は、基板31の各部位の間でほぼ均等となる。このため、図12にメッシュで示すように、X線の透過画像35の陰影がボイド34を除いてほぼ均一となり、ボイド34を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0009】
これに対し、図13に正断面図に示すように、櫛形タイプの冷却フィン36のベース部36aの上に接合剤32を介して半導体素子33等を接合し、接合剤32の中にボイド34ができたことを想定する。この場合は、X線を垂直に照射すると、X線の透過距離は、フィン部36bのある部位とない部位との間で不均一となる。このため、図14にメッシュで示すように、X線の透過画像35の陰影が縞模様のように不均一となり、ボイド34が縞模様の陰影に隠れて不明確となり、ボイド34を正確に検出することが困難になる。
【0010】
そこで、この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、櫛形タイプの冷却フィンを備えた熱交換器であっても、パワーモジュールに使用して、X線検査によりボイドを正確に検出できる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、平板状のベース部の上面及び下面の少なくとも一方から複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めに突き出してなる冷却フィンを備えた熱交換器であって、冷却フィンは、複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、ベース部の上面及び下面と直交する方向に重なるように配置されることを趣旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、熱交換器の冷却フィンは、複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めにベース部から突き出している。また、複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、ベース部の上面及び下面と直交する方向に重なるように配置される。従って、フィン部のある部位とない部位との間で、ベース部の上面及び下面と直交する方向における熱交換器の肉厚の差が少なくなり、ベース部をX線が垂直に透過するように熱交換器にX線を照射した場合に、熱交換器の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、櫛形タイプの冷却フィンを備えた熱交換器であっても、パワーモジュールに使用して、X線検査によりボイドを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係り、熱交換器を備えたパワーモジュールと、そのパワーモジュールのX線検査方法を示す斜視図。
【図2】同じく、パワーモジュールを示す正断面図。
【図3】同じく、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図4】第2実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図5】第3実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図6】第4実施形態に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図7】第5実施形態に係り、熱交換器を備えたパワーモジュールと、そのパワーモジュールのX線検査方法を示す斜視図。
【図8】同じく、パワーモジュールを示す正断面図。
【図9】同じく、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図10】第6実施形態に係り、2つのパワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図11】従来例に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図12】従来例に係り、X線の透過画像を示す平面図。
【図13】従来例に係り、パワーモジュールを簡略化して示す正断面図。
【図14】従来例に係り、X線の透過画像を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1に、この実施形態の熱交換器1を備えたパワーモジュール2と、そのパワーモジュール2のX線検査方法を斜視図により示す。図2に、同じくパワーモジュール2を正断面図により示す。図1,2に示すように、このパワーモジュール2は、ケース3と、ケース3の中に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3に接合されたヒートスプレッダ5と、ヒートスプレッダ5に接合された半導体素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)6とを備える。この実施形態で、熱交換器1は、ケース3、冷却フィン4及びヒートスプレッダ5により構成される。
【0017】
冷却フィン4は、平板状のベース部4aと、そのベース部4aの上面及び下面のそれぞれから突き出した複数のフィン部4b,4cとを備える。複数のフィン部4b,4cは、それぞれ互いに隙間9a,9bを置いて平行に形成され、かつベース部4aから垂直に突き出して形成される。また、冷却フィン4は、ベース部4aの上面側の複数のフィン部4bと、ベース部4aの下面側の複数のフィン部4cとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。換言すると、冷却フィン4は、上面側の複数のフィン部4bと下面側の複数の隙間9bとが同じ幅W1を有しそれぞれベース部4aの垂直方向に重なるように配置されると共に、上面側の複数の隙間9aと下面側の複数のフィン部4cとが同じ幅W1を有しそれぞれベース部4aの垂直方向に重なるように配置される。この実施形態では、上側のフィン部4bと下側のフィン部4cが互いに同じ高さ(図2の紙面上下方向の長さ)と同じ長さ(図2の紙面垂直方向の長さ)を有する。
【0018】
ケース3は、四角筒形をなし、ベース部4aと平行に配置される上壁3a及び下壁3bと、ベース部4aと垂直に配置される両側壁3cとを含む。ケース3は、その長手方向、すなわち冷却フィン4のフィン部4b,4cが延びる方向の両端が開口し、その一方の開口が冷却水の入口7、その他方の開口が冷却水の出口8となっている。冷却フィン4は、このケース3の中に嵌め合わされた状態で収容される。この収容状態において、各フィン部4b,4cの間の隙間9a,9bはそれぞれ冷却水の通路となる。
【0019】
ヒートスプレッダ5は、ケース3の上壁3aの上面にハンダ等の接合剤により接合される。IGBT6は、このヒートスプレッダ5の上面に接合剤により接合される。ヒートスプレッダ5は、IGBT6から発生する熱を拡散してケース3及び冷却フィン4等に伝えるようになっている。
【0020】
上記のように構成したパワーモジュール2では、熱交換器1を構成するケース3の入口7から冷却水が導入される。導入された冷却水は、ケース3の中の複数のフィン部4b,4cの間の隙間9a,9bを流れ、ケース3の出口8から導出される。このとき、IGBT6にて発生する熱は、ヒートスプレッダ5を介してケース3に伝わり、冷却フィン4を介して冷却水との間で熱交換される。これによりIGBT6が冷却される。
【0021】
この実施形態では、上記のように構成されたパワーモジュール2につき、IGBT6とヒートスプレッダ5との間の接合剤、ヒートスプレッダ5とケース3との間の接合剤のそれぞれの中の気泡欠陥(ボイド)を検査するためにX線検査を行うようになっている。すなわち、IGBT6とヒートスプレッダ5との間の接合剤とIGBT6との接合面、並びに、ヒートスプレッダ5とケース3との間の接合剤とヒートスプレッダ5との接合面をX線がほぼ垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射し、そのX線の透過画像に基づいて接合剤中のボイドの有無及び大きさを検査するようになっている。詳しくは、パワーモジュール2を上下に挟むようにX線発生器と撮像器(それぞれ図示略)を配置し、上記接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、ボイドの透過画像を得るようになっている。ここで、ボイドを正確に検出するためには、X線の透過画像の陰影がボイドを除いてほぼ均一となり、ボイドを他と明確に区別できるようにする必要がある。
【0022】
図3には、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。図3では、ヒートスプレッダ5の図示を省略し、IGBT6のみが接合剤10を介してケース3の上壁3aに接合された状態を誇張して示す。図3に示すように、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここで、冷却フィン4のベース部4aの上面では、フィン部4bのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。同様に、ベース部4aの下面では、フィン部4cのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0023】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4のベース部4aの上面から互いに隙間9aを置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4bと、ベース部4aの下面から互いに隙間9bを置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4cとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。すなわち、ベース部4aの上面側の複数のフィン部4bと下面側の複数の隙間9bとが同じ幅W1を有し垂直方向に重なるように配置されると共に、ベース部4aの上面側の複数の隙間9aと下面側の複数のフィン部4cとが同じ幅W1を有し垂直方向に重なるように配置される。従って、フィン部4b,4cのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差がなくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離が均一化することとなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離も均一化することとなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0024】
具体的に説明すると、図3において、矢印A1と矢印A2の長さは、IGBT6が接合剤10により接合される範囲における、冷却フィン4のベース部4aの上面及び下面にフィン部4b,4cがある部位とない部位でのパワーモジュール2の高さを意味する。各矢印A1,A2の実線部分は、X線が透過するIGBT6、接合剤10、ケース3及び冷却フィン4の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印A1,A2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印A1,A2から明らかなように、両矢印A1,A2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いに同じとなる。このことから、図12に示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0025】
[第2実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
なお、以下の説明において前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0027】
図4に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、冷却フィン4の構造の点で第1実施形態と異なる。すなわち、この実施形態の冷却フィン4は、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行に突き出して形成される。加えて、複数のフィン部4dは、ベース部4aから斜めに突き出して形成される。詳しくは、複数のフィン部4dにつき、図4に示すように、隣り合う一方のフィン部4dの先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの垂直方向(ベース部4aの上面及び下面と直交する方向)に重なるように配置される。
【0028】
図4に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここで、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0029】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4の複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ斜めにベース部4aから突き出している。また、複数のフィン部4dにつき、隣り合う一方のフィン部4d1の先端4eと他方のフィン部4d2の基端4fとが同じ幅W2を有すると共に、ベース部4aの垂直方向に重なるように配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差は少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここで、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0030】
具体的に説明すると、図4に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印B1,B2を示す。これら矢印B1,B2から明らかなように、両矢印B1,B2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いにほぼ等しくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0031】
[第3実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図5に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、冷却フィン4及びケース3の構造の点で第1及び第2の実施形態と異なる。すなわち、この実施形態の冷却フィン4は、ベース部4aの下面から複数のフィン部4dが互いに隙間9を置いて平行かつ垂直に突き出して形成される。また、ケース3の外側にて下壁3bには、複数の溝部12が形成される。これら複数の溝部12は、冷却フィン4の複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように配置され、フィン部4dと同じ幅W3を有する。
【0033】
図5に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0034】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4がケース3に収容され、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置されるケース3の下壁3bに複数の溝部12が形成される。これら複数の溝部12は、ベース部4aから互いに隙間9を置いて平行かつ垂直に突き出した複数のフィン部4dと、ベース部4aの垂直方向に重なるように配置され、フィン部4dと同じ幅W3を有する。換言すると、これら複数の溝部12は、冷却フィン4の複数の隙間9と、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間でベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体について見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここでも、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0035】
具体的に説明すると、図5に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印C1,C2を示す。これら矢印C1,C2から明らかなように、両矢印C1,C2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差が少なくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0036】
[第4実施形態]
次に、本発明の熱交換器をパワーモジュールに具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図6に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。この実施形態では、熱交換器1が応力緩和材13を含むことと、冷却フィン4の形状の点で第1及び第2の実施形態と構成が異なる。すなわち、この実施形態で、冷却フィン4は、第3実施形態の冷却フィン4と同じ構造を有する。ケース3の上壁3aの上面には、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置される板状の応力緩和材13が密着して固定される。この応力緩和材13は、複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように形成され、フィン部4dと同じ幅W4を有する複数の長孔13aを含む。
【0038】
図6に示すように、X線検査に際して、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、応力緩和材13、ケース3の上壁3a、冷却フィン4及びケース3の下壁3bを垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面では、フィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0039】
しかし、この実施形態におけるパワーモジュール2の熱交換器1では、冷却フィン4のベース部4aと平行に配置される板状の応力緩和材13に複数の長孔13aが形成される。これら複数の長孔13aが、冷却フィン4の複数のフィン部4dと平行に配置されると共に、ベース部4aの垂直方向に複数のフィン部4dと重なるように形成され、フィン部4dと同じ幅W4を有する。換言すると、これら複数の長孔13aは、冷却フィン4の複数の隙間9と、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置される。従って、フィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向における熱交換器1の肉厚の差が少なくなる。そして、冷却フィン4のベース部4aをX線が垂直に透過するようにパワーモジュール2にX線を照射することにより、熱交換器1の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。これをパワーモジュール2の全体として見ると、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差が少なくなる。このため、この実施形態の熱交換器1によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を備えた熱交換器1であっても、パワーモジュール2に使用して、X線検査によりボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。ここで、X線の透過距離は、熱交換器1やパワーモジュール2の各部位にて完全に均一化する必要はなく、多少の不均一ならフィン部4dの陰影は薄くなるため、ボイド11の検出は可能である。
【0040】
具体的に説明すると、図6に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印D1,D2を示す。これら矢印D1,D2から明らかなように、両矢印D1,D2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差が少なくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いてほぼ均一となり、ボイド12を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0041】
[第5実施形態]
次に、本発明における熱交換器を備えたパワーモジュールのX線検査方法及びその検査方法に使用する治具を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図7に、この実施形態の熱交換器1を備えたパワーモジュール2と、そのパワーモジュール2のX線検査方法を斜視図により示す。図8に、同じくパワーモジュール2を正断面図により示す。図7,8に示すように、このパワーモジュール2は、ケース3と、ケース3の中に収容された櫛形タイプの冷却フィン4と、ケース3に接合されたヒートスプレッダ5と、ヒートスプレッダ5に接合されたIGBT6とを備える。この実施形態で、熱交換器1は、ケース3、冷却フィン4及びヒートスプレッダ5により構成される。ケース3と冷却フィン4の構成は、第4実施形態のそれと同じである。
【0043】
この実施形態のX線検査方法は、パワーモジュール1の下側に治具14を密着させて配置して行う。治具14は、冷却フィン4に準ずる形状を有し、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。すなわち、治具14は、平板状の模擬ベース部14aの下面から複数の模擬フィン部14bが互いに隙間15を置いて平行かつ垂直に突き出して形成される。また、冷却フィン4のフィン部4d、冷却フィン4の隙間9、治具14の模擬フィン部14b及び治具14の模擬隙間15の幅W5が互いに同じとなっている。また、この実施形態で、冷却フィン4の高さH1と、治具14の高さH2は互いに同じである。
【0044】
そして、X線検査に際して、図7,8に示すように、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬フィン部14bとが、ベース部4a及び模擬ベース部14aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置されるように治具14を位置決めする。換言すると、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬隙間15とがベース部4a,14aの垂直方向に重なると共に、冷却フィン4の複数の隙間9と治具14の複数の模擬フィン部14bとがベース部4a,14aの垂直方向に重なるように治具14を位置決めする。そして、パワーモジュール2と治具14の両方にX線が透過するようにX線を照射する。
【0045】
図9に、図3に準ずる図であって、パワーモジュール2を簡略化して正断面図により示す。図9に示すように、パワーモジュール2に対し、接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、IGBT6、接合剤10、ケース3の上壁3a、冷却フィン4、ケース3の下壁3b及び治具14を垂直に透過することとなる。ここでも、冷却フィン4のベース部4aの下面にフィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4の垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0046】
しかし、この実施形態のX線検査方法では、パワーモジュール2の下側に密着して治具14が配置される。この治具14は、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。そして、冷却フィン4の複数のフィン部4dと治具14の複数の模擬隙間15とがベース部4a,14aの垂直方向に重なると共に、冷却フィン4の複数の隙間9と治具14の複数の模擬フィン部14bとがベース部4a,14aの垂直方向に重なるように治具14が位置決めされる。従って、冷却フィン4のフィン部4dのある部位とない部位との間で、ベース部4aの垂直方向におけるパワーモジュール2と治具14を併せた肉厚の差がなくなる。そして、パワーモジュール2と治具14の両方にX線が透過するようにX線を照射することにより、パワーモジュール2の各部位におけるX線の透過距離の差がなくなる。このため、この実施形態のX線検査方法によれば、櫛形タイプの冷却フィン4を含む熱交換器1を備えたパワーモジュール2であっても、ボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0047】
具体的に説明すると、図9に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印E1,E2を示す。各矢印E1,E2の実線部分は、X線が透過するIGBT6、接合剤10、ケース3、冷却フィン4及び治具14の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印E1,E2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印E1,E2から明らかなように、両矢印E1,E2の実線部分の長さ、すなわち、パワーモジュール2におけるX線の透過距離は、互いの差がなくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いて均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0048】
この実施形態によれば、治具14は、冷却フィン4に準ずる形状を有し、冷却フィン4の複数のフィン部4d及び複数の隙間9に対して凹凸の関係で嵌合可能な複数の模擬隙間15及び複数の模擬フィン部14bを含む。このため、この治具14によれば、上記X線検査方法に有効に使用することができる。
【0049】
[第6実施形態]
次に、本発明における熱交換器を備えたパワーモジュールのX線検査方法を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図10に、図3に準ずる図であって、2つのパワーモジュール2A,2Bを簡略化して正断面図により示す。この実施形態のX線検査方法では、前記第5実施形態とほぼ同じ構成を有する2つのパワーモジュール2A,2Bを準備する。一方のパワーモジュール2Aは、熱交換器1Aを構成するケース3Aと冷却フィン4Aとを含む。他方のパワーモジュール2Bは、熱交換器1Bを構成するケース3Bと冷却フィン4Bとを含む。ケース3Aとケース3Bは、互いに同じ形状と寸法を有する。冷却フィン4Aと冷却フィン4Bは、全体の形状は異なるものの、互いに同じ形状と寸法を有するフィン部4dと隙間9を備える。これら2つのパワーモジュール2A,2Bの一方を他方の下側にて180°反転させ、互いに密着させて配置する。また、上側に配置したパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側に配置したパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとが、ベース部4aの垂直方向に重ならないように、平行にオフセットして配置されるように、2つのパワーモジュール2A,2Bを位置決めする。換言すると、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とがベース部4aの垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとがベース部4aの垂直方向に重なるように2個のパワーモジュール2A,2Bを位置決めする。そして、2つのパワーモジュール2A,2Bの両方にX線が透過するようにX線を照射するようにしている。
【0051】
図10に示すように、X線検査に際して、各パワーモジュール2A,2Bの接合剤10の接合面とほぼ直交する方向にX線を照射することにより、X線は、上側のパワーモジュール2Aに係るIGBT6、接合剤10、ケース3Aの上壁3a、冷却フィン4A及びケース3Aの下壁3bを垂直に透過すると共に、下側のパワーモジュール2Bに係るケース3Bの下壁3b、冷却フィン4B、ケース3Bの上壁3a、接合剤10及びIGBT6を垂直に透過することとなる。ここでも、上下両方のパワーモジュール2A,2Bにつき、冷却フィン4A,4Bのベース部4aでは、それらフィン部4dのある部位とない部位が存在し、見かけ上、冷却フィン4A,4Bの垂直方向における肉厚が部位により異なる。
【0052】
しかし、この実施形態のX線検査方法では、2つのパワーモジュール2A,2Bが準備され、その一方が他方の下側に配置される。また、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とがベース部4aの垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとがベース部4aの垂直方向に重なるように2つのパワーモジュール2A,2Bが位置決めされる。従って、各冷却フィン4A,4Bにおけるフィン部4dのある部位とない部位との間でベース部4aの垂直方向における2つのパワーモジュール2A,2Bを併せた肉厚の差がなくなる。そして、2つのパワーモジュール2A,2Bの両方にX線が透過するようにX線を照射することにより、2つのパワーモジュール2A,2Bの各部位におけるX線の透過距離の差がなくなる。このため、この実施形態のX線検査方法によれば、櫛形タイプの冷却フィン4A,4Bを含む熱交換器1A,1Bを備えたパワーモジュール2A,2Bであっても、ボイド11を正確に検出することができる。この意味で、ボイド11の検査を精度良く行うことができる。
【0053】
具体的に説明すると、図10に、上記矢印A1,A2に準ずる矢印F1,F2を示す。各矢印F1,F2の実線部分は、X線が透過する上側のパワーモジュール2Aに係るIGBT6、接合剤10、ケース3A及び冷却フィン4A、並びに、下側のパワーモジュール2Bに係るケース3A、冷却フィン4A、接合剤10及びIGBT6の肉あり部分(物質部分)であり、各矢印F1,F2の破線部分は、X線が通る肉なし部分(空間部分)を意味する。これら矢印F1,F2から明らかなように、両矢印F1,F2の実線部分の長さ、すなわち、2つのパワーモジュール2A,2BにおけるX線の透過距離は、互いの差がなくなる。このことから、図12で示したと同様、X線の透過画像の陰影がボイド11を除いて均一となり、ボイド11を他と明確に区別して正確に検出することができる。
【0054】
この実施形態では、2つのパワーモジュール2A,2Bを同時にX線検査することができる。このため、1つずつ個別にX線検査する場合に比べて、X線検査の所要時間を短縮することができる。
【0055】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することができる。
【0056】
(1)前記第2実施形態では、冷却フィン4につき、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dを等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部4aから斜めに突き出すように形成した。これに対し、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から斜めに突き出すように形成したり、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面及び下面の両方から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から斜めに突き出すように形成したりすることもできる。
【0057】
(2)前記第3〜第6の実施形態では、冷却フィン4につき、平板状のベース部4aの下面から複数のフィン部4dを等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部4aから垂直に突き出すように形成した。これに対し、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から垂直に突き出すように形成したり、冷却フィンにつき、平板状のベース部の上面及び下面の両方から複数のフィン部を等間隔を置いて互いに平行に、かつベース部から垂直に突き出すように形成したりすることもできる。
【0058】
(3)前記第3実施形態では、ケース3の下壁3bに複数の溝部12を形成したが、ケースの上壁に複数の溝部を形成したり、ケースの上壁及び下壁の両方に複数の溝部を形成したりしてもよい。
【0059】
(4)前記第4実施形態では、ケース3の上壁3aに設けた応力緩和材13に複数の長孔13aを形成したが、ケースの下壁に設けた応力緩和材に複数の長孔を形成したり、ケースの上壁及び下壁の両方に設けた応力緩和材に複数の長孔を形成したりしてもよい。
【0060】
(5)前記第6実施形態では、同じ構成を有する2つのパワーモジュール2A,2Bを2つ準備し、それら2つのパワーモジュール2A,2Bの一方を他方の下側にて互いに密着させて配置した。また、上側のパワーモジュール2Aの複数のフィン部4dと下側のパワーモジュール2Bの複数の隙間9とが垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュール2Aの複数の隙間9と下側のパワーモジュール2Bの複数のフィン部4dとが垂直方向に重なるように、2つのパワーモジュール2A,2Bを位置決めした。これに対し、パワーモジュールを2つ以外の偶数個(例えば、「4つ」又は「6つ」等)準備し、それら偶数個のパワーモジュールを上下に積み上げて配置し、互いに隣接する上側のパワーモジュールの複数のフィン部と下側のパワーモジュールの複数の隙間とが垂直方向に重なると共に、上側のパワーモジュールの複数の隙間と下側のパワーモジュールの複数のフィン部とが垂直方向に重なるように、偶数個のパワーモジュールを位置決めするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明は、電気自動車のためのパワーモジュールに使用される熱交換器に利用でき、この種のパワーモジュールについて、接合剤中のボイドを検査するために利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 熱交換器
1A 熱交換器
1B 熱交換器
2 パワーモジュール
2A パワーモジュール
2B パワーモジュール
3 ケース
3A ケース
3B ケース
3a 上壁
3b 下壁
4 冷却フィン
4A 冷却フィン
4B 冷却フィン
4a ベース部
4b フィン部
4c フィン部
4d フィン部
4d1 フィン部
4d2 フィン部
4e 先端
4f 基端
6 IGBT(半導体素子)
9 隙間
9a 隙間
9b 隙間
10 接合剤
11 ボイド
12 溝部
13 応力緩和材
13a 長孔
14 治具
14b 模擬フィン部
15 模擬隙間
W1 幅
W2 幅
W3 幅
W4 幅
W5 幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のベース部の上面及び下面の少なくとも一方から複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めに突き出してなる冷却フィンを備えた熱交換器であって、
前記冷却フィンは、前記複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、前記ベース部の前記上面及び前記下面と直交する方向に重なるように配置されることを特徴とする熱交換器。
【請求項1】
平板状のベース部の上面及び下面の少なくとも一方から複数のフィン部が互いに隙間を置いて平行かつ斜めに突き出してなる冷却フィンを備えた熱交換器であって、
前記冷却フィンは、前記複数のフィン部につき、隣り合う一方のフィン部の先端と他方のフィン部の基端とが同じ幅を有すると共に、前記ベース部の前記上面及び前記下面と直交する方向に重なるように配置されることを特徴とする熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−94884(P2012−94884A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267687(P2011−267687)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2011−521923(P2011−521923)の分割
【原出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2011−521923(P2011−521923)の分割
【原出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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