説明

熱交換器

【課題】 製造および組立て容易で、剛性が高く、且つ発熱体の着脱が容易な熱交換器の提供。
【解決手段】 一対の第1エレメント5a、第2エレメント5bと剛性のフレーム6とからなる。各エレメントは、第1プレート1の開口部を第2プレート2で閉塞して一体的にろう付け固定して内部を液密にしたものである。そして、フレーム6の両面の突条6bのボルト孔にボルトを介して発熱体8および第1エレメント5a、第2エレメント5bを締結固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートランジスタ等の多数の電子部品を、冷媒で冷却する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電子部品を冷却するものとして、下記の各特許文献に記載されたものが提案されている。
これらはいずれも冷却装置外面に電子部品を密着し、内部に冷媒を流通させて熱交換を行なうものである。いずれの冷却装置も厚み方向中央位置に冷却装置を置き、その両面に電子部品を密着して取り付けるものである。
特許文献1および2に記載の冷却装置は、冷媒が流通する装置本体の厚みが比較的厚く、それ自体で剛性を有する。また、特許文献3に記載の冷却装置は、比較的厚みの厚い中間プレートの両側に皿状のプレートをそれぞれ重ね合わせ、中間プレートに多数の孔を穿設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−245490
【特許文献2】特開平6−164172
【特許文献3】特開2009−105325
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載のように冷却装置自体が比較的厚みのあるもので構成した場合、その剛性が強い特徴がある。しかしながら、厚みが厚いと伝熱性が悪いと共に、その製造が面倒で、コスト高となる欠点がある。特許文献3のように剛性の高い中間プレートの両側に皿状プレートを取り付けて、一体的にろう付けしたものでは、剛性をより強くするために中間プレートの厚みを厚くせざるを得ない欠点がある。
また、各冷却装置は電子部品の着脱が面倒である欠点がある。
そこで、本発明は構造が簡単で、剛性が高く、電子部品等の取付が容易な熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、それぞれ外周にフランジ部(1a)が設けられると共に、底面(1b)が平坦な皿状の第1プレート(1)と、そのフランジ部(1a)に周縁を液密にろう付けして、両端に冷却流体の出入口(3)を有する第2プレート(2)と、両プレート(1)(2)間に内装されるインナーフィン(4)とにより構成された一対の互いに独立した第1エレメント(5a)と第2エレメント(5b)と、
前記第1プレート(1)および第2プレート(2)の板厚より厚く、その底部(6a)の両面の両側に一対の突条(6b)がそれぞれ一体に突設され、各突条(6b)に互いに離間して複数のボルト孔(7)がそれぞれ設けられた横断面がI字状で、前記各エレメント(5a)(5b)より剛性の高いフレーム(6)と、を有し、
一対の前記エレメント(5a)(5b)の周縁部がフレーム(6)の両面の一対の突条(6b)にそれぞれ固定され、
各エレメント(5a)(5b)の第2プレート(2)の平面に発熱体(8)が接触すると共に、その周縁がボルト(9)を介して前記フレーム(6)の各ボルト孔(7)に螺着締結される熱交換器である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器において、
各エレメント(5a)(5b)の周縁に前記フレーム(6)の各ボルト孔(7)に整合するボルト孔(10)が穿設され、そのボルト孔(7)(10)およびボルト(9)を介して各エレメント(5a)(5b)がフレーム(6)に固定された熱交換器である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の熱交換器において、
各エレメント(5a)(5b)が、その第1プレート(1)として、偏平な断面ハット形状で、その長手方向両端にそのフランジ部(1a)の一部を残して、スリット(11)が形成された溝形板(13)と、そのスリット(11)に挿通されて、液密にろう付けされる端蓋片(12)とにより構成された熱交換器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱交換器は、ろう付けされて内部に冷却流体が流通する独立した一対の第1エレメント5aと第2エレメント5bとが、剛性が高いフレーム6の両面にその一対の突条6bを介して固定されたものであるから、構造が簡単で液密、気密性が高く、全体として剛性が高い熱交換器を提供できる。また、発熱体は各エレメント表面に接して、その周縁がフレーム6の突条6bにボルト9を介して接続固定されるから、発熱体8を容易に且つ安定して取付られ、熱交換性能の高い熱交換器となる。
【0009】
上記構成において、請求項2に記載のように、ボルト孔7,10およびボルト9を介して各エレメント5a,5bをフレーム6に固定した場合には、熱交換器の組立て、および発熱体8の取付が容易になる。
【0010】
上記構成において、請求項3に記載のように、各エレメント5a,5bが、その第1プレート1として、偏平な断面ハット形状で、その長手方向両端にそのフランジ部1aの一部を残して、スリット11が形成された溝形板13と、そのスリット11に挿通されて、液密にろう付けされる端蓋片12とにより構成された場合には、各エレメントの部品が単純化され、量産性が高く、製造コストの安い熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の熱交換器を構成する第1エレメント5aの分解斜視図。
【図2】同熱交換器に発熱体8を取り付ける説明図。
【図3】図2のIII−III矢視断面図。
【図4】図3のIV-IV矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面に基づいて、本発明の実施の形態につき説明する。
本発明の熱交換器は、図2に示すごとく、剛性のフレーム6とその両面にボルトを介して取り付けられる一対の第1エレメント5a、第2エレメント5bとを有する。その第1エレメント5aと第2エレメント5bは実質的に同一である。各エレメントは、図1に示すごとく、第1プレート1と、一対の端蓋片12と、インナーフィン4と、第2プレート2、および一対のパイプ14とを有し、それらが一体的にろう付けされ、内部が液密に形成されるものである。
【0013】
第1プレート1は、偏平な断面ハット形状にプレス成形される溝形板13を有し、その両側にフランジ部1aが設けられ、その長手方向両端部に一対のスリット11がフランジ部1aの一部を残して欠切され、一対のスリット11にそれぞれ端蓋片12が嵌着するとともに、それらの間にインナーフィン4が配置される。
次に第2プレート2は、その外周が第1プレート1に整合し、その両端に一対の出入口3が設けられ、そこにパイプ14の端部が挿入される。第1プレート1および第2プレート2の両側には互いに整合する多数のボルト孔10が穿設されている。そして、互いに接触する少なくても一方の表面にはろう材が塗布または被覆され、全体が組立てられた状態で、炉内で一体的にろう付け固定され、内部が液密に形成される。
【0014】
次に、フレーム6は、横断面がI字状に形成され、第1プレート1および第2プレート2の板厚より厚く、その底部6aの両面の両側に一対の突条6bがそれぞれ一体に突設された剛性の高いものである。そして、突条6bには第1エレメント5a、第2エレメント5bのボルト孔10に整合する位置にボルト孔7が螺刻されている。そして、このフレーム6の突条6bに一対の第1エレメント5a、第2エレメント5bのフランジ部がボルトを介して螺着締結される。次いで、第1エレメント5a、第2エレメント5bの表面にそれぞれ多数の発熱体8がボルト9を介してフレーム6の突条6bに螺着締結される。そして、図3および図4に示すごとく、一方のパイプ14から他方のパイプ14に冷媒が流通し、発熱体8との間に熱交換が行なわれる。
【符号の説明】
【0015】
1 第1プレート
1a フランジ部
1b 底面
2 第2プレート
3 出入口
4 インナーフィン
5a 第1エレメント
5b 第2エレメント
6 フレーム
6a 底部
6b 突条
【0016】
7 ボルト孔
8 発熱体
9 ボルト
10 ボルト孔
11 スリット
12 端蓋片
13 溝形板
14 パイプ
15 ボルト孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ外周にフランジ部(1a)が設けられると共に、底面(1b)が平坦な皿状の第1プレート(1)と、そのフランジ部(1a)に周縁を液密にろう付けして、両端に冷却流体の出入口(3)を有する第2プレート(2)と、両プレート(1)(2)間に内装されるインナーフィン(4)とにより構成された一対の互いに独立した第1エレメント(5a)と第2エレメント(5b)と、
前記第1プレート(1)および第2プレート(2)の板厚より厚く、その底部(6a)の両面の両側に一対の突条(6b)がそれぞれ一体に突設され、各突条(6b)に互いに離間して複数のボルト孔(7)がそれぞれ設けられた横断面がI字状で、前記各エレメント(5a)(5b)より剛性の高いフレーム(6)と、を有し、
一対の前記エレメント(5a)(5b)の周縁部がフレーム(6)の両面の一対の突条(6b)にそれぞれ固定され、
各エレメント(5a)(5b)の第2プレート(2)の平面に発熱体(8)が接触すると共に、その周縁がボルト(9)を介して前記フレーム(6)の各ボルト孔(7)に螺着締結される熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
各エレメント(5a)(5b)の周縁に前記フレーム(6)の各ボルト孔(7)に整合するボルト孔(10)が穿設され、そのボルト孔(7)(10)およびボルト(9)を介して各エレメント(5a)(5b)がフレーム(6)に固定された熱交換器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換器において、
各エレメント(5a)(5b)が、その第1プレート(1)として、偏平な断面ハット形状で、その長手方向両端にそのフランジ部(1a)の一部を残して、スリット(11)が形成された溝形板(13)と、そのスリット(11)に挿通されて、液密にろう付けされる端蓋片(12)とにより構成された熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98335(P2013−98335A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239505(P2011−239505)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】