説明

熱交換換気装置

【課題】外気の絶対湿度が任意の絶対湿度基準値に入っていない場合は、必ず全熱交換換気に切り換える運転を行い、室内の相対湿度が換気によりなるべく変化しないようにする。
【解決手段】給気通風路6と排気通風路7を有する本体ケーシング1、給気流と排気流との間で熱交換を行う熱交換器10、熱交換器を迂回するバイパス通路15、風路切換えが可能なダンパー16、室外温度及び湿度センサー17、熱交換換気と熱交換器を通らない普通換気(バイパス換気)との切換えを行う制御装置18を備え、制御装置18は、室外温度及び室外湿度センサー17の出力信号に基づいて演算された室外絶対湿度と、所定の絶対湿度基準値とを比較し、室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っている場合は、ダンパーを普通換気(バイパス換気)に切り換え、室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、ダンパーを熱交換換気に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に換気分野に利用され、同時給排気を行いながら、熱交換器を介して熱交換を行う熱交換換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調機のエネルギーを低減させるために、吸込口と吹出口とを室内側と室外側のそれぞれに一組づつ設けた箱体と、箱体内に内蔵された給気送風機により室外側吸込口から室外空気を吸込み、熱交換器の給気通路を通して室内側吹出口から室内に給気する給気通路と、排気送風機により室内側吸込口から室内空気を吸込み、熱交換器の排気通路を通して室外側吹出口から室外に排気する排気通路と、これらの給気通路と排気通路の交差部に設けられ給気流と排気流との間で熱交換する熱交換器を備えた、熱交換換気機器がある。この熱交換換気機器において、熱交換換気を行う熱交換換気モードと、熱交換を行わず換気を行う普通換気モードが従来から提案されている。さらに、室温を検出する室温検出手段と、外気温を検出する外気温検出手段と、室温を設定温度に近づけるべく温度調整を行う空調機と、この空調機の運転期間中には熱交換換気機の給気送風機および排気送風機を駆動して強制的な換気を行わせる制御手段とを備え、この制御手段により、熱交換換気を行わせるべきと判定したときは、空調機が温度調整を開始した後、室温が設定温度の近傍の所定温度範囲内の値となる以前の期間には、給気送風機および排気送風機による強制的な換気を禁止し、普通換気を行わせるべきと判定したときは、室温によらずに給気送風機および排気送風機による強制的な換気を行わせる手段をもっている熱交換換気装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、室内外の温度、湿度を検知し、それぞれのエンタルピーの演算を行い、冷房時には室内空気のエンタルピーに比して室外空気のエンタルピーが小なるときは普通換気運転とし、大なるときは全熱交換運転とし、暖房時には室内空気のエンタルピーに比して室外空気のエンタルピーが小なるときは全熱交換運転とし、大なるときは普通換気運転として制御するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2674362号公報
【特許文献2】特開昭62−123236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の熱交換換気装置では、室温を検出する室温検出手段と、外気温を検出する外気温検出手段のそれぞれからの信号出力を元に、熱交換換気を行う熱交換換気モードと、熱交換を行わず換気を行う普通換気モードの切換えの制御を行っていた。このため、冷房時であれば、室内の温度に比べて室外の温度が低ければ、室外の湿度状態に関わらず普通換気を行ってしまう。例えば雨天時のように室外の気温が室内の気温と比較して低いが、相対湿度が非常に高い状況では、室外の高湿度空気が室内に給気として取り込まれるため、室内の相対湿度が全熱交換換気と比べて非常に上がってしまう。さらに室内温度は低いため、空調機での冷房運転もできなくなることから、除湿ができなくなるといった課題があった。
【0006】
また、反対に暖房時であれば、外気の相対湿度が非常に低い状況であっても、室内の温度に比べて室外の温度が高ければ、室外の湿度状態に関わらず普通換気を行ってしまう。このため、例えば春先の晴天時の、室外の気温が室内の気温と比較して高いが、相対湿度が非常に低い状況では、室外の低湿度空気が室内に給気として取り込まれるため、室内の相対湿度が全熱交換換気で行った時と比べて非常に低くなってしまうといった課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、室内と室外の温度と湿度を計測し、計測された室内と室外の温度と湿度の信号出力からエンタルピーを演算し、演算された室内と室外のエンタルピーを比較して全熱交換換気運転と普通換気運転の切換え制御を行うため、この場合も室外の湿度状況に関わらず、冷房時であれば、室内のエンタルピーと比べ室外のエンタルピーが低ければ、普通換気を行ってしまう。そのため、室外が高湿度の状況でも室内に給気として取り込まれてしまうことがあるため、室内の相対湿度が全熱交換換気と比べて非常に上がってしまう場合があり、逆に暖房時であれば、室内のエンタルピーと比べ室外のエンタルピーが高ければ、普通換気を行ってしまうため、室外が低湿度の状況でも室内に給気として取り込まれてしまうことがあり、室内の相対湿度が全熱交換換気と比べて下がってしまうといった問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、外気の絶対湿度が任意の絶対湿度基準値に入っていない場合は、必ず全熱交換換気に切り換える運転を行い、室内の相対湿度が換気によりなるべく変化しないようにし、快適性、省エネ性を高めることができる熱交換換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換換気装置は、室外の空気を室内へ取り入れる給気通風路と、室内の空気を室外へ排気する排気通風路とを有する本体ケーシングと、給気風路に設けられた給気送風機と、排気風路に設けられた排気送風機と、給気風路を流れる室外空気と排気風路を流れる室内空気との間で熱交換を行う熱交換器と、給気風路または排気風路に連なり、熱交換器を迂回するバイパス通路と、給気風路または排気風路とバイパス通路との間で風路の切換えが可能なダンパーと、室外の温度および湿度を測定する室外温度センサー及び室外湿度センサーと、室外または室内の空気が、熱交換器を通る熱交換換気と熱交換器を通らない普通換気(バイパス換気)との切換えを行う制御装置と、を備えた熱交換換気装置であって、
前記制御装置は、前記室外温度センサー及び室外湿度センサーの出力信号に基づいて演算された室外絶対湿度と、所定の絶対湿度基準値とを比較し、
室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っている場合は、前記ダンパーを前記普通換気(バイパス換気)に切り換え、
室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、前記ダンパーを前記熱交換換気に切り換える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、室外温度センサー及び室外湿度センサーの出力信号に基づいて演算された室外絶対湿度と、所定の絶対湿度基準値とを比較した結果、外気の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、全熱交換換気に切り換える運転を行うようにするため、室外の絶対湿度を室内に入れた場合に不快になるような条件では、室内の排気空気と換気時に湿度交換を行うことが可能となり、室内の相対湿度が換気によりなるべく変化しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る熱交換換気装置100の内部構造を示す斜視図である。
【図2】熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す平面図である。
【図3】熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す断面側面図である。
【図4】普通換気と熱交換換気の切り換えを判定するための上下の絶対湿度基準値の一例を示す空気線図である。
【図5】熱交換換気装置100の制御装置18における処理手順を示す流れ図である。
【図6】実施の形態3における熱交換換気装置100と、それを操作するリモコン200の接続例を示す図である。
【図7】実施の形態4における熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す断面側面図である。
【図8】室内温度と外気温度の出力信号を比較し、熱交換換気を行うか普通換気を行うかを判定する温度マップの例を示す図である。
【図9】実施の形態4における熱交換換気装置100の制御装置18における処理手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る熱交換換気装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る熱交換換気装置100の内部構造を示す斜視図、図2は熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す平面図、図3は熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す断面側面図である。また、図1〜図3において、実線矢印は室外空気の流れ(給気流)を示し、破線矢印は室内空気の流れ(排気流)を示す。
この実施の形態1に係る熱交換換気装置100は、箱形に形成された本体ケーシング1を備え、本体ケーシング1は、対向する側面の一方に室内側吸込口2と室内側吹出口3とを有し、他方の側面に室外側吸込口4と室外側吹出口5とを有する。また、本体ケーシング1内には、室外の空気を室内へ取り入れる給気風路6が室外側吸込口4と室内側吹出口3とを連通する通路として形成され、また室内の空気を室外へ排気する排気風路7が室内側吸込口2と室外側吹出口5とを連通する通路として形成されている。そして、給気風路6には給気送風機8が、排気風路7には排気送風機9がそれぞれ設けられている。さらに、給気風路6を流れる給気流と排気風路7を流れる排気流との間で熱交換を行う熱交換器10が設けられている。給気流と排気流とは、図3にそれぞれ矢印で示すように、熱交換器10の下側の面から入り、熱交換器10のそれぞれの通路6a、7aを互いに交差して流通するようになっており、その熱交換器10を流通する過程において熱交換が行われる。なお、熱交換器10は本体ケーシング1の他の側面に設けた開口部11から挿抜可能に設けられている。図1、図2において、12は給気送風機8を回転駆動する電動機、13は排気送風機9を回転駆動する電動機、14は給気送風機8および排気送風機9の羽根ケーシングである。
【0014】
さらに、排気風路7側には熱交換器10を通らずこの熱交換器10を迂回するバイパス通路15が設けられている。排気風路7の熱交換器10より上流側にはバイパスダンパー16が設けられており、熱交換を行わない普通換気時には、バイパスダンパー16により排気風路7を閉じバイパス通路15を開放することによって、室内の空気を室内側吸込口2から吸い込み、バイパス通路15を通り室外側吹出口5から室外へ排気する風路として形成されている。これにより、排気流から給気流へ熱交換されないため、熱交換されない給気が室内へ供給される、普通換気(バイパス換気)の運転を行うことができる。なお、バイパス通路15およびバイパスダンパー16は、給気風路6側または排気風路7側のいずれか一方に設けられていればよい。図1ではバイパス通路15およびバイパスダンパー16を排気風路7側に設けた例が示されている。
【0015】
さらにまた、この熱交換換気装置100は、室外側吸込口4の近傍に、室外の温度と湿度を測定する室外温度センサーおよび室外湿度センサー17を備え、この室外温度センサーおよび室外湿度センサー17の出力信号に基づいて室外空気の絶対湿度を演算する制御装置18を備えている。
【0016】
次に、上記のように構成された熱交換換気装置100の動作について説明する。
熱交換器10を利用した空調換気については、バイパスダンパー16はあらかじめバイパス通路15を閉じ排気風路7を開放しておく。そして、給気送風機8および排気送風機9のそれぞれの電動機12、13を起動することにより、室内空気は、ダクトを介して室内側吸込口2から破線矢印のように吸い込まれ、排気風路7および熱交換器10を通り、排気送風機9により室外側吹出口5から吹き出し室外へ排気される。
【0017】
一方、室外空気は、ダクトを介して室外側吸込口4から実線矢印のように吸い込まれ、給気風路6および熱交換器10を通り、給気送風機8により室内側吹出口3から吹き出し、ダクトを介して室内に給気される。このとき、熱交換器10では排気流と給気流との間で熱交換が行われ、排気熱を回収して冷暖房負荷を軽減するものである。
上記のように、給気風路6により熱交換器10を通して室外空気を室内へ給気すると同時に、排気風路7により熱交換器10を通して室内空気を室外に排気することができ、熱交換器10で給気と排気の間で熱交換を行いながら同時給排気による熱交換換気運転を行うことができる。
【0018】
ここで、室外の温度と湿度を測定する室外温度センサーおよび室外湿度センサー17を図2、図3に示すように室外側吸込口4の近傍に設置し、さらに熱交換換気装置100にはマイコンを備えた制御装置18が設けられている。室外温度センサーおよび室外湿度センサー17により給気の空気条件モニターを行い、室外温度センサーおよび室外湿度センサー17の出力信号を、制御装置18に入力するとともに、その出力信号に基づいて室外の絶対湿度の演算を行う。
【0019】
さらに、上記制御装置18には、あらかじめ、図4の空気線図に示すような任意の上限側絶対湿度基準値20および下限側絶対湿度基準値21が入力(記憶)されている。そこで、室外温度センサーおよび室外湿度センサー17の出力信号に基づいて演算された室外絶対湿度と、あらかじめ設定された任意の上限側絶対湿度基準値20および下限側絶対湿度基準値21とを比較する比較手段が記憶手段と共に制御装置18に備わっている。
【0020】
図5は熱交換換気装置100の制御装置18における処理手順を示す流れ図である。
図5に示すように、熱交換換気装置100が運転を開始する(ステップS1)と、室外の温度・湿度の測定結果に基づいて外気絶対湿度の演算および判定を行う(ステップS2)。そして、演算された外気絶対湿度が基準値内に入っているかどうかを判断する(ステップS3)。外気絶対湿度が任意の上限側絶対湿度基準値20および下限側絶対湿度基準値21の範囲内に入っている場合は、図4のように、普通換気(バイパス換気)を許可するものとする(ステップS4)。この場合、制御装置18は、バイパスダンパー16による風路の切換えを制御し、バイパスダンパー16を排気風路7の熱交換器10より上流側で排気風路7を閉じバイパス通路15側を開放する。このため、室内空気は、図2の一点鎖線で示すような空気の流れになるように、排気風路7の室内側吸込口2から熱交換器10を迂回してバイパス通路15を通り、室外側吹出口5から吹き出し室外へ排気される。これにより、排気流は給気流と熱交換されないため、熱交換されない給気が室内に供給される普通換気運転に切り換えることができる。
【0021】
反対に、室外の絶対湿度が任意の上限側絶対湿度基準値20および下限側絶対湿度基準値21の範囲内に入っていない場合は、普通換気(バイパス換気)を禁止し、バイパスダンパー16を排気風路7の熱交換器10の上流側でバイパス通路15側を閉じ排気風路7側を開放する。このため、室内空気は、図2の実線で示すような空気の流れになるように、排気風路7の室内側吸込口2から熱交換器10を通り、室外側吹出口5から吹き出し室外へ排気される。これにより、排気流は給気流と熱交換を行なうことになり、熱交換された給気が室内に供給される全熱交換換気を行う(ステップS5)。
【0022】
本実施の形態1によれば、外気の絶対湿度が任意の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、全熱交換換気に切換え運転を行うようにするため、室外の絶対湿度が室内に入れた場合に不快になるような条件では、室内の排気空気と熱交換器10を介して湿度交換を行い、室内の相対湿度が換気によりなるべく変化しないようにすることが可能となる。そのため、梅雨時などの時期であれば室内が高湿度になっているが、温度は低いために空調機により除湿ができないといった不具合、もしくは、除湿をさせるためにさらに空調機の設定温度を下げなければならず、空調機の消費電力が上がってしまうといった不具合や、冬季などの時期であれば、室内の加湿された状態が普通換気により、そのまま湿度が下がってしまう、もしくは、加湿器の運転を余分に行わなければならないといった不具合を軽減させることが可能である。
【0023】
実施の形態2.
本実施の形態2における熱交換換気装置は、実施の形態1と同じである。ここでは、普通換気(バイパス換気)を行うか熱交換換気を行うかの判定基準となる絶対湿度基準について説明する。
建築物衛生法において、建物内の空気環境の維持管理の努力するべき基準値として、温度17℃から28℃、相対湿度40%から70%の各範囲が規定されている。
そこで、本実施の形態2では、この基準値を満足させる絶対湿度基準値の下限側判定値および上限側判定値を次のように設定する。
下限側判定値については、温度17℃から28℃で考えた場合の相対湿度40%における絶対湿度が0.0047kg/kg(DA)から0.0095kg/kg(DA)となるため、この間で、絶対湿度基準値の下限側判定値(図4の下限側絶対湿度基準値21)を設定する。
上限側判定値については、温度17℃から28℃で考えた場合の相対湿度70%における絶対湿度が0.0084kg/kg(DA)から0.0167kg/kg(DA)となるため、この間で、絶対湿度基準値の上限側判定値(図4の上限側絶対湿度基準値20)を設定する。
【0024】
実施の形態3.
図6は実施の形態3における熱交換換気装置100と、それを操作するリモコン200の接続例を示す図である。
本実施の形態3における熱交換換気装置100は、実施の形態1と同じである。本実施の形態3では、図6に示すように、熱交換換気装置100を有線または無線で遠隔操作するリモコン200を室内に設置し、使用者が、リモコン200の操作ボタンを使い、遠隔操作で、熱交換換気装置100の制御装置18に絶対湿度基準値の上限側判定値および下限側判定値を任意の値に設定できるようにしてもよい。
【0025】
これにより建物の立地条件や地理的条件等に合わせて、換気の際における絶対湿度の調整が行いやすくなる。また、室外からの絶対湿度の設定も可能となる。
【0026】
実施の形態4.
図7は実施の形態4における熱交換換気装置100の内部構造の概要を示す断面側面図である。
本実施の形態4における熱交換換気装置100は、室内側吸込口2の近傍に、室内からの排気の温度を測定する室内温度センサー22を備える。その他の構成は特に断らない限り実施の形態1と同じである。
【0027】
本実施の形態4では、室内温度センサー22により室内空気のセンシングを行い、室内側の温度測定を行う。そして、室内温度の測定結果を電気信号として出力し、その出力結果を熱交換換気装置100の制御装置18に入力する。さらに室外温度センサーおよび室外湿度センサー17を用いて、室外空気のセンシングを行い、計測された室外側の温度結果を電気信号として出力し、その出力結果を制御装置18に入力する。制御装置18は、室内側の温度測定結果の出力信号と、室外側の温度測定結果の出力信号とを比較し、普通換気(バイパス換気)を行うか熱交換換気を行うかの判定を行うものとする。
【0028】
図8は、熱交換換気装置100の内部に組み込まれた2つの温度センサーにより、室内温度と外気温度を検出し、その2つの出力信号を比較し、熱交換換気を行うか普通換気(バイパス換気)を行うかを判定する温度マップの例を示す図である。たとえば、夏季の冷房時など室内の温度負荷が大きく、外気温度が室内温度よりも低い場合、外気を熱交換せずに取り込むことにより、冷房負荷を軽くすることが可能になる。熱交換換気装置100の制御装置18には、事前に熱交換換気を行うか普通換気(バイパス換気)を行うかを判定する、図8のような温度マップが登録されている。
【0029】
この温度マップは、横軸を室内温度、縦軸を外気温度とし、室内温度と外気温度との関係で、熱交換換気の温度範囲と普通換気(バイパス換気)の温度範囲と、さらに両者の温度範囲の境界に所定の不定領域を設けたものである。
【0030】
次に、その動作について図9を参照して説明する。
図9は、実施の形態4における熱交換換気装置100の制御装置18における処理手順を示す流れ図である。
この熱交換換気装置100における、熱交換器10を利用した空調換気の方法は実施の形態1と同一である。
図9に示すように、熱交換換気装置100が運転を開始する(ステップS11)と、制御装置18は、第一段階として、室内の温度を測定する室内温度センサー22と室外の温度と湿度を測定する室外温度センサーおよび室外湿度センサー17からの室内、室外の温度を比較し(ステップS12)、図8にあるような温度マップに従い、室内、室外の温度情報を元に、熱交換換気を行うか、普通換気を行うかを決定する(ステップS13)。
【0031】
そして、第一段階において、普通換気許可となった場合でも、さらに第二段階で、室外の絶対湿度の判定を行う(ステップS14)。すなわち、室外の絶対湿度が任意の上限側絶対湿度基準値20および下限側絶対湿度基準値21の範囲内に入っているかを判断し(ステップS15)、入っている場合は、普通換気許可とし、ダンパーを制御し、普通換気に切り換える(ステップS16)。
反対に、第一段階において、室内と室外の温度条件から普通換気(バイパス換気)が禁止された場合や、普通換気(バイパス換気)許可となった場合でも、第二段階で、室外の絶対湿度が任意の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合、普通換気禁止とし、前記判定出力信号に基づいて、ダンパーを制御し、熱交換換気に切り換える(ステップS17)。
【0032】
これにより従来から行っている、室内と室外の温度条件から普通換気のほうが熱交換換気と比べ空調負荷軽減が行える運転に加え、室外の絶対湿度状況を見ながら普通換気と熱交換換気を切り換えることが可能となる。そのため、室内の相対湿度が換気によりなるべく変化しないようにすることが可能となり、実施の形態1と同じく、梅雨時などの時期であれば室内が高湿度になっているが、温度は低いために空調機により除湿ができないといった不具合、もしくは、除湿をさせるためにさらに空調機の設定温度を下げなければならず、空調機の消費電力が上がってしまうといった不具合や、冬季などの時期であれば、室内の加湿された状態が普通換気により、そのまま湿度が下がってしまう、もしくは、加湿器の運転を余分に行わなければならないといった不具合を軽減させることが可能となる。
【0033】
実施の形態5.
この実施の形態5は、実施の形態4において、制御装置18は、室外温度センサーおよび室外湿度センサー17の出力信号に基づいて演算された室外相対湿度と、任意の相対湿度基準値、例えば相対湿度80%を基準値とし、前記相対湿度基準値とを比較する手段を備え、室外の相対湿度が任意の相対湿度基準値より高い場合には熱交換器10を通らない普通換気(バイパス換気)を禁止し、熱交換換気にて運転する条件をさらに付加したものである。
【0034】
これにより熱交換器10へ高湿度の外気が供給されなくなるため、霧などの高湿度空気が本体ケーシング2内部に備えられた熱交換器10で凝縮され、結露水となることを防ぐことができ、熱交換器10の結露による劣化を防止することが併せて可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 本体ケーシング、2 室内側吸込口、3 室内側吹出口、4 室外側吸込口、5 室外側吹出口、6 給気風路、7 排気風路、8 給気送風機、9 排気送風機、10 熱交換器、11 開口部、12、13 電動機、14 羽根ケーシング、15 バイパス通路、16 バイパスダンパー、17 室外温度センサーおよび室外湿度センサー、18 制御装置、20 上限側絶対湿度基準値、21 下限側絶対湿度基準値、22 室内温度センサー、100 熱交換換気装置、200 リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の空気を室内へ取り入れる給気風路と、室内の空気を室外へ排気する排気風路とを有する本体ケーシングと、
前記給気風路に設けられた給気送風機と、
前記排気風路に設けられた排気送風機と、
前記給気風路を流れる室外空気と前記排気風路を流れる室内空気との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記給気風路または前記排気風路に連なり、前記熱交換器を迂回するバイパス通路と、
前記給気風路または前記排気風路と前記バイパス通路との間で風路の切換えが可能なダンパーと、
室外の温度および湿度を測定する室外温度センサー及び室外湿度センサーと、
室外または室内の空気が、前記熱交換器を通る熱交換換気と前記熱交換器を通らない普通換気(バイパス換気)との切換えを行う制御装置と、を備えた熱交換換気装置であって、
前記制御装置は、前記室外温度センサー及び室外湿度センサーの出力信号に基づいて演算された室外絶対湿度と、所定の絶対湿度基準値とを比較し、
室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っている場合は、前記ダンパーを前記普通換気(バイパス換気)に切り換え、
室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、前記ダンパーを前記熱交換換気に切り換える、
ことを特徴とする熱交換換気装置。
【請求項2】
絶対湿度基準値の下限側判定値を0.0047kg/kg(DA)から0.0095kg/kg(DA)の間で設定し、
絶対湿度基準値の上限側判定値を0.0084kg/kg(DA)から0.0167kg/kg(DA)の間で設定する
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換換気装置。
【請求項3】
室内の温度を測定する室内温度センサーを備え、
前記制御装置は、
前記室外温度センサーと前記室内温度センサーの出力信号を前記絶対湿度を基にした判定出力信号に合わせて出力し、
第一段階で、前記室内温度センサーによる室内温度情報と、前記室外温度センサーによる室外温度情報とを比較し、
前記室外温度情報と前記室内温度情報から前記制御装置に予め登録した温度マップに従い、前記普通換気(バイパス換気)を行うか前記熱交換換気を行うかの第一次判定をし、
第一次判定にて普通換気(バイパス換気)許可がなされた場合、第二段階にて、室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っている場合は、前記判定出力信号に基づいて、前記普通換気(バイパス換気)に切り換え、
室外の絶対湿度が所定の絶対湿度基準値の範囲内に入っていない場合は、前記判定出力信号に基づいて、前記熱交換換気に切り換える
ことを特徴とする請求項1または2記載の熱交換換気装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記室外温度センサー及び室外湿度センサーの出力信号に基づいて演算された室外相対湿度と、所定の相対湿度基準値とを比較し、
室外の相対湿度が所定の相対湿度基準値より高い場合には、前記熱交換器を通らない普通換気(バイパス換気)を禁止し、熱交換換気にて運転することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換換気装置。
【請求項5】
前記絶対湿度基準値の下限側判定値と上限側判定値を使用者が任意に設定できる手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113473(P2013−113473A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258842(P2011−258842)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】