説明

熱伝導効率を向上させる促進剤

【課題】温室効果ガスであるNOxの発生を削減することができる熱伝導効率を向上させる促進剤を提供する。
【解決手段】熱伝導効率を向上させる促進剤は、ナノ粉末とミクロン粉末を備え、促進剤は熱交換システムの熱伝導流体或いは冷却システムの循環冷却水中に添加し、ラジエーターと水道の清潔を保ち、冷却水の伝熱効率を高め、散熱効果を向上させられ、内燃機エンジンの冷却システムに使用する場合には、エンジン内部の燃料燃焼により生じる熱衝撃を低下させられ、これにより温室効果ガスの発生を削減することができ、散熱不良により発生するエンジンの震動を低下させられ、騒音を低下させ、燃料消費を削減する効果を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱伝導効率を向上させる促進剤に関し、特にナノ粉末と水により形成するナノ流体の高い熱伝導特性を利用し、及びミクロン粉末を利用し、熱交換システムの熱伝導流体或いは冷却システムの循環冷却水中の循環流動において、ラジエーターと水道の清潔を保持し、内燃機エンジンの冷却システムの冷却水中に使用する場合には、内燃機エンジンの散熱効率を向上させられ、これによりエンジン内部の燃料燃焼により生じる熱衝撃を低下させられ、こうして温室効果ガスであるNOxの発生を削減することができ、エンジンの燃料消費を抑え、散熱不良により発生するエンジンの震動と騒音を低下させることができる熱伝導効率を向上させる促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンの効率を高める際には、従来は通常、燃料中に添加剤を加えシリンダー中の燃料の燃焼をより完全にし、或いはシリンダー中に潤滑添加剤を添加し潤滑効果をプラスする方法がとられていた。内燃エンジンが排出するNOxを減らすためには、通常は燃料中に還元剤を添加する。これにより、発生するNOxは還元(reduced)され、排気中のNOx濃度は低下し、或いは排気を触媒に通し、NOxを還元させる。
【0003】
本発明が掲示する方法は、内燃エンジンの冷却システムの熱伝導効率を増強し、これによる内燃エンジンの散熱効果向上を手段とし、同時に、エンジンの効率を高め、NOxの発生を減らす二重の効果を備える。
【0004】
冷却システムの熱伝導効率を向上させる従来の方法は、冷却水中に防錆剤を添加するものである。長く使用すると、冷却システムのパイプと水道に、サビ屑や水垢が発生し、水道をふさぐ。これにより、冷却水の循環速度が不十分になり、或いは水道壁に塊ができ、熱の伝送を阻害し、散熱効率を低下させてしまう。しかし、防錆剤添加により、これを防止することができる。但し、この種の、防錆剤添加の方式は、サビの発生を防止することしかできず、それが発揮する効果には限界がある。
【0005】
近年、ナノテクノロジーの研究が進むにつれて、ナノ粉末を流体に添加して形成する「ナノ流体(nanofluid)」は、流体の熱伝導性能を大幅に向上させることが既に証明されている。関連する技術は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、S.U.S.Choi氏とJ.A.Eastman氏の特許文献1で見ることができる。
【0006】
ナノ流体の応用に関しては、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示がある。特許文献2では、ナノダイヤモンド粉末を、変圧器(transformer)の散熱オイル(transformer oil)中に添加する。これにより、散熱オイルの熱容量(thermal capacity)と熱伝導性(thermal conductivityを向上させられるため、散熱効率を増強することができる。特許文献3では、ナノカーボン粉末(nano carbon materials)を、密閉熱伝導システム(closed transfer system)の熱伝導液(heat transfer fluid)中に添加する。これにより、熱伝導液の熱伝導性を向上させられるため、その熱伝導効率を増強することができる。特許文献4では、安定化を経た銅、ベリリウム、チタン、ニッケル、鉄などの金属、或いは合金のナノ顆粒を、熱伝導媒体(heat transfer media)の添加剤として利用する。これにより、熱伝導媒体の熱容量と熱伝導性を向上させられるため、その熱伝導効率を増強することができる。
【0007】
固体微粒を使用し、内燃エンジン冷却システムの冷却液の添加剤とする技術方面では、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9に開示がある。特許文献5では、ストロンチウムの鉱化物粉末(strontium mineral powder)を、自動車ラジエーターの冷却液中に添加する。これにより、この粉末は冷却液中でプラスイオンを生じ、同時に、エンジンシリンダー中の燃料にマイナスイオンを発生させ、こうしてエンジンのピストン周囲に電磁波を発生し、燃料の燃焼効率を向上させることができる。特許文献6では、ガラス(glass)、石英(silica)、軽石(pumices)、金属化合物などのナノ顆粒を、冷却剤(coolant)中に添加し、これらナノ顆粒と冷却剤中の塩化物を反応させる。これにより、冷却剤の熱容量(heat capacity)を向上させられるため、その熱伝導効率を増強することができる。特許文献6では、カーボンベース半導体物質(a carbon-based semiconductor material)とレアアースマイナスイオン鉱物(a rare-earth negative ion ore)微粒を、自動車ラジエーターの添加剤とする。これにより、ラジエーター中の冷却剤(coolant)とエンジン燃焼室中のマイナスイオンが増えるため、エンジン燃焼室中の空気と燃料は、イオン化反応を発生し、燃料燃焼の爆発力(explosive power)を拡大し、こうして内燃エンジンの燃焼効率を向上させることができる。特許文献7及び8では、粒径が3〜10ナノの酸化チタンと酸化アルミニウム粉末、及び乳化剤を含む液体を、自動車ラジエーターの冷却水中に添加する。これにより、その内のナノ酸化チタンは冷却水道の汚れを除去し、ナノ酸化アルミニウムはエネルギーの放出を続け爆発を加速し、乳化剤は水道の金属層表面に付着し水道を清潔に保持するため、自動車ラジエーターの冷却効果を最適化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第US6,221,275 B1号明細書
【特許文献2】米国特許第US6,858,157 B2号明細書
【特許文献3】米国特許第US6,695,974 B2号明細書
【特許文献4】米国特許第US6,432,320 B1号明細書
【特許文献5】米国特許第US2005/0062015 A1号明細書
【特許文献6】米国特許第US2005/0269548 A1号明細書
【特許文献7】米国特許第US2008/0179563 A1号明細書
【特許文献8】台湾特許第I 258534号明細書
【特許文献9】米国特許第US7,374,698 B2号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S.U.S.Choi氏が、D.A.SiginerとH.P.Wang編著の「Development and Applications of Non-Newtonian Flows(FED vol.231/MD-vol.66,ASME,New York 1995 pp.99-105)」中に発表した「Enhancing thermal conductivity of fluids with nanoparticles」
【非特許文献2】S.U.S.Choi氏が、「Tech. Transfer Highlight vol.8,No2(1997)」に発表した論文「New Nanofluid Increase Heat Transfer Capability」
【非特許文献3】J.A.Eastman氏などが「Appl.Phys.Lett.78,718(2001)」に発表した論文
【非特許文献4】S.U.S.Choi氏などが「Appl.Phys.Lett.79,2252(2001)」に発表した論文
【非特許文献5】S.P.Jang氏とS.U.S.Choi氏が「Appl.Phys.Lett.84,21(2004)」に発表した論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、ナノ粉末とミクロン粉末により組成し、熱交換システムの熱伝導流体或いは冷却システムの循環冷却水中に添加し、ミクロン顆粒の熱伝導流体或いは循環冷却水中の循環流動を利用し、水道の清潔を保持し、及びナノ顆粒が形成するナノ流体を利用し、冷却水に高い熱伝導特性を生じさせ、内燃機エンジンに使用する場合には、内燃機エンジンの散熱効率を向上させ、燃料燃焼により生じるエンジン内部の熱衝撃を低下させられ、これにより温室効果ガスの発生を削減することができ、内燃機エンジンに存在する過熱が引き起こすシリンダー油膜の切断、或いは潤滑油粘度指数不足により発生するエンジンのパワー低下と震動などの問題を除去することができ、騒音低下と燃費向上の効果を実現でき、また燃料の燃焼を完全にすることで、COを減らし、排気中のHCとCOの濃度を低下させることができる熱伝導効率を向上させる促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は下記の熱伝導効率を向上させる促進剤を提供する。熱伝導効率を向上させる促進剤は、ナノ粉末とミクロン粉末の組合せ物で、該促進剤は、内燃機エンジンの散熱効率を向上させることができる。
【0012】
本発明は、自動車、船舶、或いは他の内燃機エンジンシステム、或いは従来の熱伝導液体を提供することができるあらゆるシステムに応用できる。本発明の効果は、触媒温度が非常に高温にならなければ効果を発揮できないという触媒コンバータ使用の場合とは異なり、エンジン始動時に直ちに発生する。
【0013】
本発明は使用時に、予めナノ流体を製造する必要がなく、ナノレベル粉末とミクロンレベル粉末の組成物を、分散が容易な軟膏状、顆粒状、シート状、錠剤状、或いは不定形のブロック状に製造するだけでよく、使用時には、該促進剤を冷却流体中に直接投入し、冷却流体の循環流動により分散させ、該促進剤は、製造、包装、貯蔵、運搬などのコストを削減でき、しかも使用の利便性を増強できる。
【0014】
本発明は、循環冷却水中のミクロン顆粒は、水道の清潔を保持でき、ナノ顆粒を利用し、冷却水は高い熱伝導特性を生じさせ、内燃機エンジンの散熱効率を向上させることができ、本発明の技術の特徴は、冷却流体の熱容量を高めることができ、プラスイオン或いはマイナスイオンを生じ、或いはマイクロ爆発を加速させるなどの特性を備える材料を採用しなければならない従来の技術とは異なり、本発明は、あらゆる安定したナノ及びミクロン粉末を採用することができ、従来の技術のように、ストロンチウムの鉱化物、ガラス(glass)、石英(silica)、軽石(pumices)、カーボンベース半導体物質(carbon-based semiconductor material)、レアアースマイナスイオン鉱物(rare-earth negative ion ore)、或いは酸化チタンと酸化アルミニウムなどの粉末に限定されない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱伝導効率を向上させる促進剤は、ナノ粉末と水により形成するナノ流体の高い熱伝導特性を利用し、及びミクロン粉末を利用し、熱交換システムの熱伝導流体或いは冷却システムの循環冷却水中の循環流動において、ラジエーターと水道の清潔を保持し、内燃機エンジンの冷却システムの冷却水中に使用する場合には、内燃機エンジンの散熱効率を向上させられ、これによりエンジン内部の燃料燃焼により生じる熱衝撃を低下させられ、こうして温室効果ガスであるNOxの発生を削減することができ、エンジンの燃料消費を抑え、散熱不良により発生するエンジンの震動と騒音を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明促進剤の第一実施例を使用した自動車のNOx排出低下効果を示し、排気が触媒コンバータを経由する前に測定したNOx濃度と測定時間との対応図である。
【図2】本発明促進剤の第一実施例を使用した自動車のNOx排出低下効果を示し、排気が触媒コンバータを経由した後に測定したNOx濃度と測定時間との対応図である。
【図3】本発明促進剤の第一実施例を使用した自動車のCO排出低下効果を示し、排気が触媒コンバータを経由する前に測定したCO濃度と測定時間との対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0018】
本発明の熱伝導効率を向上させる促進剤は、ナノ粉末とミクロン粉末の組合せ物である。
本発明でいうナノ粉末とは、粒径が100ナノ以下のもので、ミクロン粉末とは、粒径が100ナノ以上500ミクロン以下のものである。 好ましくは、ナノ粒径(<100nm)に属するものが、粉末全体の少なくとも10%を占める。
【0019】
本発明は、冷却流体に適用する。冷却流体は、水、水とエチルグリコール(ethyl glycol)の混合液、或いは水とプロピレングリコール(propylene glycol)の混合液である。
【0020】
本発明は、冷却流体に溶解しない固体粉末を備え、それは優良な物理及び化学安定性を備え、腐食作用を生じず、金属、合金、金属化合物、非金属、或いは非金属化合物内の何れかである。
【0021】
金属は、安定性が高い遷移金属、金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第13族金属の酸化物、或いは金属の炭化物の内の何れかである。遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、イリジウム、ゲルマニウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、パラジウム(Pd)、タンタル、カーバイト、プラチナ、銀、或いは金の内の何れかである。金属化合物は、遷移金属酸化物で、酸化チタン(TiO2)、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン(MoO2)の内の何れかである。或いは、金属化合物は、金属の炭化物、或いは窒化物の少なくとも一つである。アルカリ土類金属化合物は、酸化マグネシウム(MgO)である。第13族金属の酸化物は、酸化アルミニウム(AL203)である。非金属物は、炭素、或いはグラファイトの内の何れかである。
【0022】
該促進剤はさらに、分散剤、賦形剤、崩壊剤、着色剤、抗菌剤、或いは水の内の少なくとも一つを備える。
【0023】
固体粉末の、冷却流体の熱伝導性能に対する影響は、その含量に関係する。一般的には、一定程度の含量範囲内では、粉末含量が比較的に高い冷却流体は、比較的高い熱伝導性を備える。但し、含量が高すぎれば、循環流動上、或いは他の不良な影響が生じる。本発明の実験結果によれば、添加する粉末体積が、冷却流体体積のわずかに0.01%であっても効果を生じることが明らかである。よって、添加する粉末体積が、循環流動における困難を引き起こすほどに高くなければそれで良い。但し、使用のコストパフォーマンスを考慮すれば、一般的には、冷却液体積の0.1%を超えないことが好ましく、多くても0.5%を超えない。
【0024】
ナノ及びミクロン粉末は、化学的プロセス、或いは物理的プロセスにより製造される。運輸、貯蔵、及び使用の利便のため、本発明の促進剤は、粒(錠)剤、粉剤、膏剤、或いは乳剤に製造し使用される。
【0025】
粉末、特にナノ粉末は、固まりになり易いため、通常、製造の段階において分散剤を添加し、その分散性を拡大する。本発明の促進剤を、内燃機の冷却システムに使用する時、内燃機の冷却システムの循環冷却流体は、作動期間においては、停止せずに絶えず循環し流動している状態であるため、粉末を塊状、或いは錠剤状形態に製造し、冷却流体に加える場合に、冷却流体が循環しているなら、激しくかき混ぜられ分散する。しかしそうであっても、粉末を迅速かつ均一に分散させ、集合(aggregate)現象の発生を回避するため、本発明の促進剤が、塊状或いは錠剤状形態に製造されている時には、好ましくは適量の粉末分散剤を添加する。
【0026】
分散剤は、陰イオン性(anionic)、或いは非イオン性(non- anionic)分散剤共に使用することができる。分散剤の使用量は、適当な範囲に制御し、粉末の種類は車両の種類に応じて改変する。本発明の顆粒状、或いは錠剤状促進剤を、冷却液中で迅速に崩壊させて分散させるため、本発明の塊状或いは錠剤状促進剤には、崩壊剤(Disintegrantes)を添加することができる。例えば、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(Croscarmellose Sodium)、カルボキシメチルスターチナトリウム(Sodium Starch Glycolate)、クロスポピドンNF(crospovidone NF)、炭酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウムの内の何れかである。
【0027】
崩壊剤は、顆粒状或いは錠剤状の促進剤の賦形剤(excipient)を兼ねることができる。他の着色剤、抗菌剤なども、適量を添加することができる。
【0028】
本発明の促進剤完成品を、顆粒状或いは錠剤状に製造する時、そのプロセスは以下の通りである。先ず、粉末分散剤、賦形剤、崩壊剤、懸濁製剤、着色剤、抗菌剤などを含む他の添加剤を水と均一に混合、或いは水中に溶かす。次に、固体粉末を加えて均一に混合し、粒状とする前の半成品を製造する。最後に、乾式或いは湿式方式により粒状とし、或いは圧迫して錠剤とする。乾式成型では、多くの液体を使用することができないため、分散剤の使用量は少なくするよう選択しなければならず、しかも水溶性が高い液体分散剤は、粒状とする前の半成品が湿気ないよう注意しなければならない。半成品が湿ってしまった場合には、先に乾燥させた後、成型を行う。湿式成型では、より多くの液体成分の存在が容認されるが、必要に応じて、半成品同様に、先ず適当な湿度まで乾燥を行った後、成型を行う。
【0029】
本発明の完成品を膏剤或いは乳剤に製造する時には、上記した粒状とする前の半成品に加水混合を行い、均一な軟膏状、或いは乳化状に調整する。但し、膏剤或いは乳剤に製造する時には、必要に応じて、適量の懸濁製剤を添加し、固体粉末と液体成分の分離現象発生を回避しなければならない。
【0030】
本発明の促進剤は、他の冷却流体が常用する防腐剤、防錆剤、凍結防止剤などの添加剤の合併使用を排除、或いは妨げない。これら添加剤は一般に、冷却水中に直接添加され、本発明の促進剤の使用に、これら添加剤の使用は影響を及ぼすことはない。さらに、圧迫して錠剤に成型する時にも、必要に応じて、脱型剤を添加する。
【0031】
本発明は、熱伝導液体を使用する各種システムに幅広く応用することができる。本発明の効果を証明するため、以下に実施例を挙げる。以下では、内燃機の冷却システムへの応用を例として説明を行う。上記した内燃機、冷却循環システム、或いは後述の各実施例とその応用は、本発明の効果を説明する便として用いるだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
第一実施例(錠剤第一組成例)
錠剤製造のステップに従い、本発明の促進剤を、錠剤形態に製造し、使用する。その成分配合比率(重量分、以下相同)は以下の通りである。
粉末分散剤(液体):25分
着色剤:1分
抗菌剤:0.25分
崩壊剤(カルボキシメチルスターチナトリウム、前記の化学薬剤は例示に過ぎない):25分
脱イオン水:210分
ナノTiO2粉末(粒径<100nm):550分
ミクロンTiO2粉末(粒径0.2〜50μm):450分
圧縮して錠剤に成型後、水分は乾燥して除去する。
【0033】
第二実施例(錠剤第二組成例)
第一実施例と相同の組成であるが、550分のナノTiO2粉末を、600分のナノTiO2粉末に置換し、450分のミクロンTiO2粉末を、400分のミクロンTiO2粉末(粒径0.5〜40μm)に置換する。
圧縮して錠剤に成型後、水分は乾燥して除去する。
【0034】
第三実施例(錠剤組成例三)
第一実施例と相同の組成であるが、550分のナノTiO2粉末を、ナノAL203粉末に置換する。
圧縮して錠剤に成型後、水分は乾燥して除去する。
【0035】
第四実施例(錠剤組成例四)
第一実施例と相同の組成であるが、550分のナノTiO2粉末を、ナノZnO粉末に置換する。
圧縮して錠剤に成型後、水分は乾燥して除去する。
【0036】
第五実施例(膏剤第一組成例)
第一実施例と相同の組成であるが、添加する脱イオン水を、210分から700分に増やし、これにより軟膏状の産物を製造する。
【0037】
自動車のNOxとCO排出削減効果の試験
第一実施例の完成品を、自動車ラジエーターの冷却水の添加剤とし、添加の前後で、自動車排気中のNOxとCOの濃度変化を測定する。そのステップは、以下の通りである。
(1)ある自動車メーカーの車齢2年4ヶ月、走行距離23048キロの1600cc乗用車の排気管上の触媒コンバータの前、後位置に、直径6mmの金属管をそれぞれ設置する。さらに、Teflon管により、NOxとCOを同時に測定できる測定機と連接し、自動車排気を測定機に導引する。これにより排気中のNOxとCO濃度を測定する。
(2)自動車ラジエーター蓋を開き、自動車ラジエーターの冷却水を満タンにし、蓋を閉める。
(3)自動車のエンジンを始動し、アイドリング状態で、エンジンの回転速度を1600rpmに固定し、3分間、排気中のNOxとCO濃度を連続して測定し記録する。NOxの測定結果は、図1、2に示すように、触媒コンバータ前で測定されたNOx濃度は、平均25.31ppmであったが、触媒コンバータ後で測定されたNOx濃度は、平均19.23ppmであった。COの測定結果は、図3に示すように、触媒コンバータ前で測定されたCO濃度は、平均0.1514%であった。触媒コンバータは、COを低下させる機能はないため、触媒コンバータ後では測定を行わない。
(4)以上の試験を行った後、自動車のエンジンを止め、ラジエーター中の冷却水が冷めた後に蓋を開け、第一実施例で製造した本発明の完成品4.5グラム(乾燥量基準)をラジエーター中に加え、蓋を閉める。
(5)再び自動車のエンジンを始動し、同様にアイドリング状態で、エンジンの回転速度を1600rpmに固定し、先ず15分間エンジンを動かし、添加した添加剤を冷却水中に均一に分散させる。次に、ステップ(3)と同じ方式で、排気中のNOxとCOの濃度変化を連続して測定し記録する。NOxの測定結果は、図1、2に示すように、触媒コンバータ前で測定されたNOx濃度は、平均6.81ppmであったが、触媒コンバータ後で測定された平均濃度は1.06ppmであった。
【0038】
触媒コンバータ前で測定されたCO濃度は、図3に示すように、本発明の促進剤を未使用時のCOの平均濃度は1.1514%であるが、本発明の促進剤を使用後に測定されたCOの平均濃度は0.1462%に低下している。
【0039】
以上の結果により明らかなように、本発明の方法は、自動車排気中のNOxの低下に対して明らかな効果を備える。それが、NOxの排出を削減する効果は、触媒コンバータを使用するよりも優れている。触媒コンバータは、自動車排気中のNOx濃度を、25.31ppmから19.23ppmに低下させるだけであるが、本発明の方法を使用すれば、6.81ppmまで低下させることができる(図1参照)。本発明方法の使用の、CO低下に対する効果は、NOx低下の効果ほどには有効でないが、それでも排出されるCO濃度は0.1514%から0.1462%まで低下しており、本発明の方法が、CO排出の削減に対していくらかの効果があることを示している。
【0040】
自動車燃費向上効果の試験
自動車燃費向上効果の試験は、以下のステップのように行う。
(1)常態走行方式及び路線の、異なるメーカー及び車齢の非重荷重用自家用乗用車を選択し、車両のメーカー、タイプ、出荷年月日などデータを登録する。
(2)ガソリンスタンドでガソリンを満タンにし、日時と走行距離などのデータを記録する。
(3)常態方式及び路線の走行を開始し、通常の習慣に基づき、必要に応じて給油する。給油の度に給油の容積と走行距離を記録する。
(4)ステップ(3)の方式に基づき、走行と給油を繰り返し、累積走行距離が予定値(800〜100キロ)に達した、燃費を計算する時に、ガソリンを満タンにし、同様に、実際の容積と走行距離を記録する。
(5)ステップ(2)から(4)で記録した数値に基づき、試験期間に累積した燃料容積、及び走行総距離を計算し、自動車が本発明の促進剤を未使用時の平均燃費を計算する。
(6)自動車のエンジンを止め、ラジエーターの冷却を待って蓋を開け、表一に示す量の、本発明促進剤をラジエーター中に添加する。
(7)ステップ(2)から(5)の方式に基づき、自動車が本発明促進剤を使用した時の平均燃費を測定する。その結果は、表一に示す。
【0041】

【0042】
表一の結果が示すように、各種異なる成分のナノ及びミクロン粉末により製造した本発明の促進剤は、自動車の燃費を向上させる効果を確実に備え、燃料消費を10%以上減らすことができる。
【0043】
他の実験結果にさらに示すように、本発明のこの燃料消費を削減する効果が高いかどうかは、自動車の性能と関係がある。性能が高く、燃費が高い自動車が、本発明の促進剤を使用しても、燃料消費を低下させる効果は比較的低い。しかし、効果がどうであろうと、本発明促進剤の使用の、燃料消費を削減する効果はすべて十分に明確である。
【0044】
また、本発明促進剤の燃料消費を削減する現象は、あらゆる自動車において観察されている。すなわち、本発明の促進剤を使用後には、その自動車のアイドリング時のエンジン回転速度は、明らかに低下することが、あらゆる自動車において観察されている。
【0045】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導効率を向上させる促進剤は、ナノ粉末とミクロン粉末の組成物であることを特徴とする熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項2】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記ナノ粉末の粒径範囲は、100ナノ以下で、
前記ミクロン粉末の粒径範囲は、100ナノ以上、500ミクロン以下であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項3】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記ナノ粉末と前記ミクロン粉末の合計重量は、前記促進剤総重量の15%以上であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項4】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記ナノ粉末の重量は、前記促進剤総重量の10%以上であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項5】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記促進剤のナノ粉末とミクロン粉末の材質は、金属、合金、非金属、金属化合物、或いは非金属化合物の内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項6】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記金属は、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、イリジウム、ゲルマニウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、パラジウム、タンタル、カーバイト、プラチナ、銀、或いは金の内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項7】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記金属化合物は、遷移金属酸化物であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項8】
請求項7記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記遷移金属化合物は、酸化チタン(TiO2)、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン(MoO2)の内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項9】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記金属化合物は、アルカリ土類金属化合物であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項10】
請求項9記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記アルカリ土類金属化合物は、酸化マグネシウム(MgO)であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項11】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記金属化合物は、第13族金属の酸化物であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項12】
請求項11記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記第13族金属酸化物は、酸化アルミニウム(AL203)であることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項13】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記金属化合物は、金属の炭化物、或いは窒化物の内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項14】
請求項5記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記非金属化合物は、炭素、或いはグラファイトの内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項15】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記促進剤の形態は、錠剤状、顆粒状、或いは不特定形状の固体形状の内の何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項16】
請求項15記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記促進剤はさらに、分散剤、賦形剤、崩壊剤、着色剤、或いは抗菌剤の内の少なくとも何れかを備えることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項17】
請求項16記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(Croscarmellose Sodium)、カルボキシメチルスターチナトリウム(Sodium Starch Glycolate)、クロスポピドンNF(crospovidone NF)、炭酸ナトリウム、或いはりん酸二水素ナトリウムの内の少なくとも何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項18】
請求項1記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記促進剤の形態は、軟膏状、或いは乳液状内の何れかであることを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。
【請求項19】
請求項18記載の熱伝導効率を向上させる促進剤において、前記促進剤はさらに、分散剤、懸濁製剤、着色剤、抗菌剤、或いは水の内の少なくとも何れかを含むことを特徴とする、熱伝導効率を向上させる促進剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−104059(P2013−104059A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266990(P2011−266990)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(511296778)
【出願人】(511296789)
【Fターム(参考)】