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熱伝導性シリコーンゴム組成物
説明

熱伝導性シリコーンゴム組成物

【課題】 電気・電子部品及びこれらを搭載した回路基板を含むモジュール内に充填可能で、かつ硬化後には、優れた熱伝導性と部材に発生する変位を吸収できるシリコーン組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)RSiO(4−a−b)/2で表され、珪素原子結合アルケニル基を1分子中に1個以上有するポリシロキサン、(B)(HRSiO1/2(RSiO1/2(RSiO)(RSiO3/2で示され、分子鎖末端Si−Hを3個以上有し、かつ、1個以上の(RSiO3/2)単位を有する分岐状ポリシロキサン、(C)RSiO(4−g−h)/2で表され、Si−Hを2個以上有するポリシロキサン、(D)熱伝導性充填剤、(E)白金系金属触媒を含有し、硬化物のアスカC硬度が1〜100であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板を熱的に安定化させるために使用される熱伝導性シリコーンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来IC(Integrated Circuit)等の電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板は、使用中の発熱やそれによる性能の低下が広く知られており、これを解決する手段として様々な放熱技術が用いられている。ICでは発熱源となるチップ上に放熱部材である金属部材を搭載した構造が広く用いられている。さらに、ICチップと金属部材間で隙間が発生すると放熱特性が低下するため、放熱グリース等を間に挟んで、隙間が生じないようにしたり、接着剤等を用いて、ICチップと金属部材間を固定する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、前者の方法では、熱、振動、重力等の外力の影響により、グリース中のオイル成分の分離や泡かみ等が発生し、経時で放熱特性が低下することが知られている。また、後者の方法では、接着剤の経時での硬度変化の影響が大きく、熱により発生する応力(熱応力)が原因となって、ICチップ等に悪影響を与えやすいことが知られている。
【0004】
従って、硬化前は流動性に優れ、電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板を含むモジュール内に充填可能で、硬化後は優れた応力緩和特性と共に、経時での硬さ(硬度)変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができる熱伝導性シリコーンゴム組成物が求められていた。
低硬度の熱伝導性シリコーンゴムを与える熱伝導性シリコーンゴム組成物としては、特許文献2〜5等が知られているが、上記目的に対しては不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−194379号公報
【特許文献2】特開2001−329173号公報
【特許文献3】特開2008−143980号公報
【特許文献4】特開2009−149736号公報
【特許文献5】特開2010−120979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板を含むモジュール内に充填可能で、かつ硬化後は、優れた接着性、熱伝導性、応力緩和特性を有し、経時での硬度変化が少なく、部材に発生する変位を吸収できる熱伝導性シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、少なくとも、
(A) 下記平均組成式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4を満たす数である)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B) 下記平均組成式(2):
(HRSiO1/2(RSiO1/2(RSiO)(RSiO3/2(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cおよびdは独立に0.00001〜0.3の正数、eは0.5〜0.98の正数、fは0.01〜0.12の正数であり、c+d+e+f=1を満たす数である。)
で示され、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも3個有し、かつ、1分子中に少なくとも1個の(RSiO3/2)単位を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.1〜10個与える量であり、かつ、(A)成分100質量部に対し0.1〜200質量部
(C) 下記平均組成式(3):
SiO(4−g−h)/2 (3)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、gは0.7〜2.2の正数、hは0.001〜0.8の正数で、かつg+hが0.8〜2.5を満たす数である。)
で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、前記(RSiO3/2)単位を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.05〜2個与える量であり、かつ、前記(A)成分100質量部に対し0.1〜20質量部
(D)熱伝導性充填剤:前記(A)成分100質量部に対し100〜2000質量部
(E)白金系金属触媒:前記(A)成分に対し白金量で1〜200ppm
を含有し、かつ、前記(B)成分及び前記(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.15〜10個である熱伝導性シリコーンゴム組成物であり、該熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物がJIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物を提供する。
【0008】
このような熱伝導性シリコーンゴム組成物であれば、硬化前は流動性に優れ、即ち電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板を含むモジュール内に充填可能となる。また、該熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物は、JIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)と低硬度であり、部材との優れた接着性、応力緩和特性を有する。更に、このような熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させると、(C)成分の珪素原子に結合した水素原子(以下、Si−Hともいう)が(A)成分中のアルケニル基と反応し、更に、(B)成分が(A)成分と反応する架橋剤として作用するために、適当な架橋状態が達成された硬化物が得られる。そのため、該硬化物は、経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。また、(D)成分により安定して良好な熱伝導性を示す硬化物を得ることができる。
【0009】
また、この場合、前記(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を2〜50個有するものであることが好ましい。
【0010】
このように、(A)成分のオルガノポリシロキサンが、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を2〜50個有するものであれば、熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物が、より確実に経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。
【0011】
また、この場合、前記(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を3〜500個有するものであることが好ましい。
【0012】
このように、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を3〜500個有するものであれば、効率良く(A)成分のアルケニル基と反応するため、熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物が、より確実に経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物であれば、硬化前は流動性に優れ、硬化後は優れた熱伝導性、優れた応力緩和特性を有すると共に、経時での硬さ変化を抑えることができ、熱によって発生する部材の変位に耐えることができる硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、後述する熱伝導性シリコーンゴム組成物であれば、硬化前には流動性に優れ、硬化後には良好な接着性を有し、低硬度で優れた熱伝導性、優れた応力緩和特性を有し、経時での硬さ変化が抑えられた熱伝導性シリコーンゴム組成物となることを見出した。
【0015】
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、少なくとも、
(A) 下記平均組成式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4を満たす数である)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B) 下記平均組成式(2):
(HRSiO1/2(RSiO1/2(RSiO)(RSiO3/2(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cおよびdは独立に0.00001〜0.3の正数、eは0.5〜0.98の正数、fは0.01〜0.12の正数であり、c+d+e+f=1を満たす数である。)
で示され、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも3個有し、かつ、1分子中に少なくとも1個の(RSiO3/2)単位を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.1〜10個与える量であり、かつ、(A)成分100質量部に対し0.1〜200質量部
(C) 下記平均組成式(3):
SiO(4−g−h)/2 (3)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、gは0.7〜2.2の正数、hは0.001〜0.8の正数で、かつg+hが0.8〜2.5を満たす数である。)
で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、前記(RSiO3/2)単位を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.05〜2個与える量であり、かつ、前記(A)成分100質量部に対し0.1〜20質量部
(D)熱伝導性充填剤:前記(A)成分100質量部に対し100〜2000質量部
(E)白金系金属触媒:前記(A)成分に対し白金量で1〜200ppm
を含有し、かつ、前記(B)成分及び前記(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.15〜10個である熱伝導性シリコーンゴム組成物であり、該熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物がJIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物である。
【0016】
上記本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、硬化前は流動性に優れ、即ち電気・電子部品およびこれらを搭載した回路基板を含むモジュール内に充填可能となる。また、該熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物は、JIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)と低硬度であり、部材との優れた接着性、応力緩和特性を有する。更に、このような熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させると、熱伝導性シリコーンゴム組成物中の(C)成分の珪素原子に結合した水素原子(以下、Si−Hともいう)が(A)成分中のアルケニル基と反応し、更に、(B)成分が(A)成分と反応する架橋剤として作用するために、適当な架橋状態が達成された硬化物が得られる。そのため、該硬化物は、経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。また、(D)成分により優れた熱伝導性を付与された硬化物を得ることができる。
【0017】
[(A)成分]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物の(A)成分は、下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンであり、本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)となる成分である。
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4を満たす数である。)
【0018】
上記平均組成式(1)で表される(A)成分は、珪素原子に結合したアルケニル基(以下、「珪素原子結合アルケニル基」ともいう)を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。該珪素原子結合アルケニル基は、1分子中に2〜50個有することが好ましく、2〜20個有することが特に好ましい。(A)成分のオルガノポリシロキサンが、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を2〜50個有するものであれば、得られる硬化物が、より確実に経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。
これらのアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖非末端(即ち、分子鎖末端以外)の珪素原子に結合していても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
上記平均組成式(1)中、Rはアルケニル基を表し、通常、炭素原子数が2〜6、好ましくは2〜4のアルケニル基を表す。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等の低級アルケニル基が挙げられ、ビニル基が好ましい。
【0020】
上記平均組成式(1)中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、通常、炭素原子数が1〜12、好ましくは1〜6の、脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表す。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された基として、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられるが、合成の容易さ等の観点から、メチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0021】
上記平均組成式(1)中、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4を満たす数であるが、好ましくは、aは0.0005〜0.1の正数、bは1.9〜2.0の正数であり、a+bは1.95〜2.05を満たす数であることが好ましい。
aが0.0001〜0.2の範囲、bが1.7〜2.2の範囲、a+bは1.9〜2.4の範囲を満たす数であれば、硬化物を適当な架橋状態とすることができ、経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。
【0022】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状;分子鎖の一部に、RSiO3/2単位、RSiO3/2単位、SiO単位(式中、RおよびRで表される基は、上記で定義したとおりである)等を含む分岐状;環状;三次元網状(樹脂状)等のいずれでもよいが、通常、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位(RSiO単位、RSiO単位、RRSiO単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(RSiO1/2単位、RSiO1/2単位等)で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
【0023】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は、好ましくは10〜100,000mPa・sであり、より好ましくは50〜10,000mPa・sである。この粘度が10〜100,000mPa・sである場合には、得られる硬化物は、強度、流動性、作業性により優れたものとなる。尚、本発明において粘度とは、BM型回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。
【0024】
以上の要件を満たす(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(1a):
【化1】

(式中、Rは、独立に、置換または非置換の1価炭化水素基を表し、但しRの少なくとも2個はアルケニル基であり、iは20〜2,000の整数である)
で表されるものが挙げられる。この式(1a)中、Rで表される置換または非置換の1価炭化水素基は、前記R(アルケニル基)およびR(脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基)で定義したものと同じであり、その割合も、上記平均組成式(1)で表されるものと同様であり、Siを1としたときにRを示すRは0.0001〜0.2、Rを示すRは1.7〜2.2の割合で含まれる。また、炭素原子数、具体例等も同じである。また、iは、好ましくは40〜1,200、より好ましくは50〜600の整数である。
【0025】
上記式(1a)で表されるオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0026】
本成分のオルガノポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
また、このような(A)成分のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、それ自体公知のものであり、従来公知の方法で製造することができる。
【0027】
[(B)成分]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物の(B)成分は、下記平均組成式(2):
(HRSiO1/2(RSiO1/2(RSiO)(RSiO3/2(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cおよびdは独立に0.00001〜0.3の正数、eは0.5〜0.98の正数、fは0.01〜0.12の正数であり、c+d+e+f=1を満たす数である。)で示され、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも3個有し、かつ、1分子中に少なくとも1個の(RSiO3/2)単位を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0028】
該(B)成分は、上記(A)成分と反応する架橋剤として作用するものであり、本発明に必須の成分である。(B)成分は、上記平均組成式(2)で示される。ここで、c及びdは0.00001〜0.3、好ましくは0.00003〜0.25、より好ましくは0.0001〜0.2の数であり、eは0.5〜0.98、好ましくは0.6〜0.97、より好ましくは0.7〜0.95の数であり、fは0.01〜0.12、好ましくは0.015〜0.1、より好ましくは0.02〜0.08の数であり、但しc+d+e+f=1を満たす数である。
【0029】
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物の(B)成分は、(HRSiO1/2)で示される珪素原子に結合した水素原子を有し末端に位置する単位(M単位)を1分子中に少なくとも3個、(RSiO3/2)で示される分岐形成単位を1分子中に少なくとも1個有するものである。即ち、珪素原子に結合した水素原子は分子鎖末端のみに存在し((HRSiO1/2)単位)、側鎖には珪素原子に結合した水素原子は存在せず、(RSiO3/2)で示される分岐形成単位を有するものである。
【0030】
上記平均組成式(2)において、cが0.00001未満では硬化前の流動性に優れた組成物(シリコーンゲル)が得がたく、0.3を超える場合は、得られる硬化物の熱応力に対する耐久性が低下する。
また、fが0.01未満の場合は接着性、得られる硬化物の応力緩和特性が不十分となり、0.12を超えた場合、硬化物表面に硬さの疎密が発生し易く、表面が均一にならないことがある。
【0031】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は、通常、1〜10,000mPa・s、好ましくは3〜2,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sであり、室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0032】
上記平均組成式(2)中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の一価炭化水素基であり、通常、炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜6のものである。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの非置換の炭化水素基の水素原子の一部または全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された基として、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0033】
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CSiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体、CHHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCSiO3/2単位からなる共重合体、(CH)(CF)HSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)(CF)HSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とCFSiO3/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位と(CSiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体、CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位からなる共重合体等、が挙げられる。
【0034】
本成分の分子構造は、上記要件を満たすものであれば特に限定されず、従来公知の方法で合成される。
また、該(B)成分の分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0035】
また、(B)成分の配合量は、珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.1〜10個与える量であり、かつ、(A)成分100質量部に対し0.1〜200質量部である。
(B)成分の配合量が上記範囲内であれば、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対して架橋剤として有効に働き、硬化物を適当な架橋状態とすることができる。
【0036】
[(C)成分]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物の(C)成分は、下記平均組成式(3):
SiO(4−g−h)/2 (3)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、gは0.7〜2.2の正数、hは0.001〜0.8の正数で、かつg+hが0.8〜2.5を満たす数である。)
で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、前記(RSiO3/2)単位を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0037】
即ち、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するものであり、珪素原子に結合した水素原子が(A)成分中のアルケニル基と反応するものであり、本発明に必須の成分である。
【0038】
該(C)成分は、一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが1分子中に有する珪素原子結合水素原子は、好ましくは3〜500個、より好ましくは5〜100個、特に好ましくは10〜80個である。このように、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を3〜500個有するものであれば、熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物が、より確実に経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。
【0039】
上記平均組成式(3)中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の一価炭化水素基であり、その炭素原子数は、通常1〜10、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換した基として3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0040】
また、gは0.7〜2.2の正数であり、1.0〜2.1の正数であることが好ましい、hは0.001〜0.8の正数であり、0.005〜0.1の正数であることが好ましい。また、g+hは0.8〜2.5を満たし、1.0〜2.5の範囲を満たすことがより好ましく、1.5〜2.2の範囲を満たすことが特に好ましい。
【0041】
本成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン一分子中の珪素原子の数(即ち、重合度)は、通常10〜1,000個であるが、組成物の取扱作業性および得られる硬化物の特性が良好となる点から、好ましくは20〜500個、より好ましくは20〜100個である。
【0042】
上記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0043】
(C)成分の分子構造は、上記要件を満たすものであれば特に限定されず、従来公知の方法で合成される。
また、該(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0044】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は、通常、1〜10,000mPa・s、好ましくは3〜2,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sであり、室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0045】
(C)成分の配合量は、珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.05〜2個与える量であり、かつ、前記(A)成分100質量部に対し0.1〜20質量部である。(C)成分の配合量が上記範囲内であれば、(C)成分の1分子中に少なくとも2個有する珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中のアルケニル基と反応させることができ、硬化後に適当な架橋状態とすることができる。
【0046】
また、本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、前記(B)成分及び前記(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.15〜10個、好ましくは0.3〜5個である。
【0047】
[(D)成分]
本発明において、(D)成分は、熱伝導性シリコーンゴム組成物に熱伝導性を付与させるために用いられる熱伝導性充填剤であり、例えば、アルミニウム粉末、銅粉末、ニッケル粉末、金属珪素粉末等の金属系粉末、水酸化アルミニウム粉末等の金属水酸化物粉末、アルミナ粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化ベリリウム粉末、酸化クロム粉末、酸化チタン粉末等の金属酸化物系粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末等の金属窒化物系粉末、炭化ホウ素粉末、炭化チタン粉末、炭化ケイ素粉末等の金属炭化物系粉末、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Al−Si合金、Fe−Si0Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Co合金、Fe−Si−Al―Cr合金、Fe−Si−B合金、Fe−Si−Co−B合金等の軟磁性合金粉、Mn−Znフェライト、Mn−Mg−Znフェライト、Mg−Cu−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Cu−Znフェライト、Cu−Znフェライト等のフェライト、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0048】
(D)成分の形状としては、例えば、球状、針状、円盤状、棒状、扁平形状、不定形状が挙げられる。本発明において、電気絶縁性が要求される場合には、金属水酸化物粉末、金属酸化物系粉末、金属窒化物系粉末、金属炭化物系粉末であることが好ましく、特にハイジライト粉末、アルミナ粉末が望ましい。
【0049】
(D)成分の平均粒径は特に限定されないが、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜50μmの範囲内にあることが好ましい。本発明において、(D)成分の配合量は(A)成分100質量部当たり、100〜2000質量部であり、好ましくは200〜1800質量部、さらに好ましくは300〜1500質量部使用することが望ましい。
【0050】
[E成分]
本発明に用いられる(E)成分の白金系金属触媒は、(A)成分のアルケニル基と(B)、(C)成分の珪素原子に結合した水素原子との付加反応を促進する触媒である。例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、アルデヒド類、ビニルシロキサン類、もしくはアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が使用されるが、好ましくは白金系であり、最も好適には塩化白金酸とビニルシロキサンの配位化合物が使用される。
【0051】
本発明において、(E)成分の配合量は、(A)成分に対し白金量で1〜200ppmである。(E)成分の配合量が上記範囲内であれば、(A)成分のアルケニル基と(B)、(C)成分の珪素原子に結合した水素原子との付加反応が促進され、硬化物が適当な架橋状態となる。
【0052】
[その他の配合剤]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物には、上述した(A)〜(E)の成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲において、それ自体公知の種々の添加剤を配合することができる。
例えば、硬化速度や保存安定性を調節するための添加剤、具体的にはメチルビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアネートアルキルマレエート、アセチレンアルコールおよびこれらのシラン類、シロキサン変性物;ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール、酸化第一鉄、酸化第2鉄等を単独又は組み合わせで配合することができる。その配合量はシリコーン組成物あたり、0.01〜100000ppmである。
【0053】
無機質充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ;結晶性シリカ;沈降性シリカ;中空フィラー;シルセスキオキサン;ヒュームド二酸化チタン;酸化マグネシウム;酸化亜鉛;酸化鉄;水酸化アルミニウム;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム;炭酸亜鉛;層状マイカ;カーボンブラック;ケイ藻土;ガラス繊維等が挙げられ、また、これらの無機質充填剤を、オルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機珪素化合物により表面疎水化処理したもの、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等が挙げられる。これらの任意成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0054】
[熱伝導性シリコーンゴム組成物の調整方法]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、上記各成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。この際、本発明の組成物を1液型として調製しても、2液型または3パート以上に分割して調製してもよい。2液型として調製する場合には、例えば、(A)成分の一部および(D)(E)成分からなるパートと、(A)成分の残部および(B)、(C)、(D)成分からなるパートとに分割することが可能である。なお、任意成分はどちらのパートに配合してもよい。また、本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、常温(典型的には0〜30℃の範囲の温度)または用途に応じて例えば40〜200℃に加熱した温度条件下で硬化させることができる。
【0055】
[熱伝導性シリコーンゴム硬化物]
本発明の組成物を硬化することにより得られる熱伝導性シリコーンゴム硬化物は、JIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)と低硬度であり、優れた接着性及び応力緩和性を有する。また、このような熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させると、熱伝導性シリコーンゴム組成物中の(C)成分の珪素原子に結合した水素原子(以下、Si−Hともいう)が(A)成分中のアルケニル基を反応し、更に、(B)成分が(A)成分と反応する架橋剤として作用するために、適当な架橋状態が達成された硬化物が得られる。そのため、該硬化物は、経時での硬さ変化が少なく、熱によって発生する部材の変位に耐えることができるものとなる。即ち、安定した熱特性と低弾性率を維持することができるため、ICやハイブリッドIC等の電子部品の放熱兼保護用途で信頼性の向上が期待される。
【実施例】
【0056】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記実施例において、部および%は、各々「質量部」および「質量%」を表す。また、シリコーンゲル硬化物の針入度(硬度)は、JIS K6249に準じて測定した値である。粘度は上述のようにBM型回転粘度計を用いて25℃で測定したものである。
【0057】
(実施例1)
(A)成分として、下記平均組成式(1b)で示され、粘度が600mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、
(CH=CH)a’(CHb’SiO(4−a’−b’)/2 (1b)
(上記式中、a’は0.0112、b’は2.0であった。)
(B)成分として、下記平均組成式(2a)で示され、粘度が80mPa・sのジメチルハイドロジェンシロキサン・トリメチルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体10部((A)成分中の珪素原子結合アルケニル基(ビニル基)1個に対する珪素原子結合水素原子の個数の比(以下、H/Viという)は0.42であった。)、
(H(CHSiO1/20.046((CHSiO1/20.0028((CHSiO)0.92(CHSiO3/20.028 (2a)
(C)成分として、下記平均組成式(3a)で示され、25℃における粘度が100mPa・sのトリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン0.54部(このとき、H/Viは0.33であった。)、
【化2】

(D)成分として、平均粒子径 18μmの酸化アルミニウム 1000部を混合し、140℃で1時間加熱混合した。ついで、この混合物を室温まで充分冷却した後、(E)成分として塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(Pt含有量 1wt%)0.1部、エチニルシクロヘキサノール0.15部を均一に混合し((B)成分及び(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基(ビニル基)1個当り0.75個であった)、組成物1を得た。
【0058】
(実施例2)
(A)成分として、下記平均組成式(1c)で示され、粘度が1000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、
(CH=CH)a’’(CHb’’SiO(4−a’’−b’’)/2 (1c)
(上記式中、a’’は0.0089、b’’は2.0であった。)
(D)成分として、平均粒子径10μmの水酸化アルミニウム 400部を混合し、150℃にて1時間加熱混合した。室温まで充分冷却した後、(E)成分として塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(Pt含有量 1wt%) 0.1部、エチニルシクロヘキサノール 0.15部を均一に混合し、さらに、(C)成分として、上記平均組成式(3a)で表されるトリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサンを1.3部(このとき、H/Viは1.01であった)、(B)成分として、上記平均組成式(2a)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・トリメチルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体8部(このとき、H/Viは0.42であった)を均一に混合し((B)成分及び(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基(ビニル基)1個当り1.43個であった)、組成物2を得た。
【0059】
(比較例1)
実施例1において、上記平均組成式(2a)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・トリメチルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体の代わりに、下記平均組成式(4)で表されるトリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン 7部(このとき、H/Viは0.8であった。)用いる以外は同様にして、組成物3を得た。
【化3】

【0060】
(比較例2)
実施例1において、上記平均組成式(2a)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・トリメチルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体の代わりに、下記平均組成式(5)で表されるジメチルハイドロジェン封鎖ジメチルポリシロキサン 9部(このとき、H/Viは0.63であった。)用いる以外は同様にして、組成物4を得た
【化4】

【0061】
(比較例3)
実施例2において、上記平均組成式(2a)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・トリメチルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体8部を用いずに、上記平均組成式(3a)で表されるトリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサンを2.3部用いる以外は同様にして、組成物5を得た。
【0062】
実施例、比較例に記載の組成物1〜5を充分脱泡した後、120℃×60分加熱硬化して、硬化物を得、そのアスカC硬度と熱伝導率を測定した。また、これらの硬化物をJIS−K6249に記載された圧縮永久歪み試験に準じて、150℃×22h実施したときの、厚みの変化率を測定した(圧縮永久歪み)。さらに、金属アルミ板に対する剪断接着力(接着層厚み 2mm、引っ張り速度50mm/min)を初期、および150℃×250hについて測定した。これらの結果を下記の表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
このように、低硬度で良好な熱伝導性を示すシリコーン硬化物であっても、長期間加熱し、熱応力が加わった場合、部材との間に剥離が生じ、結果として放熱特性が低下する(比較例1〜3)。しかしながら、本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物からは、低硬度で応力緩和特性に優れた硬化物が得られ、また、経時での硬度変化が少なく、初期及び経時でも良好な接着性と熱応力に対する耐久性(部材間に剥離が生じない)を有する硬化物が得られた(実施例1、2)。従って、本発明の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、電気・電子部品及びこれらを搭載した回路基板を熱的に安定化させるための組成物として特に有用であることが判った。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(A) 下記平均組成式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4を満たす数である。)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B) 下記平均組成式(2):
(HRSiO1/2(RSiO1/2(RSiO)(RSiO3/2(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cおよびdは独立に0.00001〜0.3の正数、eは0.5〜0.98の正数、fは0.01〜0.12の正数であり、c+d+e+f=1を満たす数である。)
で示され、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも3個有し、かつ、1分子中に少なくとも1個の(RSiO3/2)単位を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.1〜10個与える量であり、かつ、(A)成分100質量部に対し0.1〜200質量部
(C) 下記平均組成式(3):
SiO(4−g−h)/2 (3)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、gは0.7〜2.2の正数、hは0.001〜0.8の正数で、かつg+hが0.8〜2.5を満たす数である。)
で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、前記(RSiO3/2)単位を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:該珪素原子に結合した水素原子を、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.05〜2個与える量であり、かつ、前記(A)成分100質量部に対し0.1〜20質量部
(D)熱伝導性充填剤:前記(A)成分100質量部に対し100〜2000質量部
(E)白金系金属触媒:前記(A)成分に対し白金量で1〜200ppm
を含有し、かつ、前記(B)成分及び前記(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計は、前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個当り0.15〜10個である熱伝導性シリコーンゴム組成物であり、該熱伝導性シリコーンゴム組成物から得られる硬化物がJIS K−6249で規定される硬度が1〜100(アスカC硬度)であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を2〜50個有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
前記(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を3〜500個有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性シリコーンゴム組成物。


【公開番号】特開2013−71961(P2013−71961A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210497(P2011−210497)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】