説明

熱伝導性シートおよびその製造方法

【課題】熱伝導性粒子の使用量を増大させることなく、熱伝導性を向上させることができる熱伝導性シート、および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】
樹脂層4に浸透して樹脂層4を膨潤させる単量体と、熱伝導性粒子3とを含有する粒子含有単量体混合物層塗膜7を、樹脂層4の厚み方向一方面に積層し、単量体を樹脂層4に浸透させて樹脂層4を膨潤させることにより、熱伝導性粒子3を厚み方向一方に偏在させ、その後、単量体を反応させて硬化させることにより、粒子偏在シート8を作製し、複数の粒子偏在シート8を、厚み方向一方面と厚み方向他方面とが互いに接触するように積層して、粒子偏在シート積層体9を作製した後、粒子偏在シート積層体9を、各粒子偏在シート8の積層方向に沿ってシート状に切断することにより、熱伝導性シート1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シート、詳しくは、各種デバイスの放熱材料として用いられる熱伝導性シート、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドデバイス、高輝度LEDデバイス、電磁誘導加熱デバイスなどでは、大電力を、動力、光、熱などに変換しており、デバイスの小型化に伴って、狭い領域に大電流が流れるため、単位体積当たりの発熱量が増大している。そのため、上記デバイスには、高い耐熱性、熱伝導性を有する放熱材料が要求されている。
【0003】
上記放熱材料として、パワーエレクトロニクスに向けては、例えば、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム、金属粒子などの熱伝導性の良好なフィラーが、樹脂材料に混入される有機−無機複合材料が知られている。
【0004】
例えば、球状アルミナ粉末と、その球状アルミナ粉末よりも微粒かつ平均球形度の大きい球状シリカ粉末とを含む無機質粉末を、エポキシ樹脂組成物に充填することにより、封止材を調製することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この封止材では、粒子の間に小粒子が埋められることによって充填率が向上されており、これにより、熱伝導性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−306594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記した特許文献1では、熱伝導性をより向上させるには、エポキシ樹脂組成物に無機質粉末をより多く充填する必要がある。
【0008】
しかし、エポキシ樹脂組成物に多量の無機質粉末を分散させると、エポキシ樹脂組成物の機械強度などの物性を低下させる場合や、コストが増大する場合がある。
【0009】
また、エポキシ樹脂組成物に分散可能な無機質粉末の配合割合には限界がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、熱伝導性粒子の使用量を増大させることなく、熱伝導性を向上させることができる熱伝導性シート、および、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の熱伝導性シートは、樹脂層を用意し、前記樹脂層に吸収される単量体と、熱伝導性粒子とを含有する粒子含有単量体混合物層を、前記樹脂層の一方面に積層し、前記単量体を前記樹脂層に吸収させることにより、前記熱伝導性粒子を一方の面側に偏在させ、その後、前記単量体を反応させて硬化させることにより、粒子偏在シートを作製し、複数の前記粒子偏在シートを、一方面と他方面とが互いに接触するように積層して、粒子偏在シート積層体を作製し、その後、前記粒子偏在シート積層体を、各前記粒子偏在シートの積層方向に沿ってシート状に切断することにより得られることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の熱伝導性シートの製造方法は、樹脂層を用意する工程、前記樹脂層に吸収される単量体と、熱伝導性粒子とを含有する粒子含有単量体混合物層を、前記樹脂層の一方面に積層する工程、前記単量体を前記樹脂層に吸収させることにより、前記熱伝導性粒子を一方の面側に偏在させる工程、前記単量体を反応させて硬化させることにより、粒子偏在シートを作製する工程、複数の前記粒子偏在シートを、一方面と他方面とが互いに接触するように積層して、粒子偏在シート積層体を作製する工程、および、前記粒子偏在シート積層体を、各前記粒子偏在シートの積層方向に沿ってシート状に切断する工程を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱伝導性シートの製造方法によれば、まず、一方に熱伝導性粒子が偏在した粒子偏在シートを作製している。
【0014】
そのため、粒子偏在シートでは、熱伝導性粒子が偏在した一方面において、放熱性を向上させることができる。
【0015】
そして、複数の粒子偏在シートを、一方面と他方面とが互いに接触するように積層させて、粒子偏在シート積層体を作製している。
【0016】
つまり、粒子偏在シート積層体では、粒子偏在シートの積層方向において、熱伝導性粒子が周期的に偏在しているとともに、積層方向と直交する方向において、熱伝導性粒子が充填されている。
【0017】
その後、粒子偏在シート積層体を、積層方向に沿ってシート状に切断することにより、積層方向に沿って延びる熱伝導性シートを形成している。
【0018】
そのため、本発明の熱伝導性シートでは、その面方向(熱伝導性シートが延びる方向、積層方向と同じ方向)において、熱伝導性粒子が周期的に偏在しているとともに、その厚み方向(面方向と直交する方向)において、熱伝導性粒子が充填されている。
【0019】
その結果、熱伝導性粒子の使用量を増大させることなく、熱伝導性粒子を厚み方向に充填するとともに面方向に沿って周期的に偏在させることにより、厚み方向における熱伝導性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の熱伝導性シートの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す熱伝導性シートの製造方法を説明するための説明図であって、(a)は、粒子含有単量体混合物をセパレータに塗布する工程、(b)は、粒子含有単量体混合物塗膜と樹脂層とを積層する工程、(c)は、粒子含有単量体混合物中の熱伝導性粒子を偏在させる工程、(d)は、単量体を反応させて粒子偏在シートを作製する工程を示す。
【図3】図2に続き、図1に示す熱伝導性シートの製造方法を説明するための説明図であって、(a)は、複数の粒子偏在シートを積層して粒子偏在シート積層体を作製する工程、(b)は、粒子偏在シート積層体をシート状に切断して熱伝導性シートを形成する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の熱伝導性シートの一実施形態を示す断面図である。
【0022】
熱伝導性シート1は、図1に示すように、樹脂から形成され、所定の厚みを有し、厚み方向に直交する方向に延びるシートである。また、熱伝導性シート1中には、複数の粒子充填層2が形成されている。
【0023】
熱伝導性シート1を形成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0024】
各粒子充填層2は、熱伝導性シート1の厚み方向に沿って貫通するように筋状に形成されており、熱伝導性シート1の面方向に沿って、互いにほぼ等しい間隔を隔てて周期的に配列されている。また、粒子充填層2には、熱伝導性粒子3が充填されている。
【0025】
熱伝導性粒子3としては、例えば、炭化物、窒化物、酸化物、金属、炭素系材料などが挙げられる。
【0026】
炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。
【0027】
窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウムなどが挙げられる。
【0028】
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン、酸化セリウムなどが挙げられる。さらに、酸化物として、金属イオンがドーピングされている、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどが挙げられる。
【0029】
金属としては、例えば、銅、金、ニッケル、錫、鉄、または、それらの合金が挙げられる。
【0030】
炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。
【0031】
熱伝導性粒子3は、単独使用または2種以上併用することができ、好ましくは、炭化物、窒化物、酸化物が挙げられる。
【0032】
また、熱伝導性粒子3の平均粒子径は、例えば、0.1〜100μm、より好ましくは、1〜10μmである。
【0033】
図2は、図1に示す熱伝導性シートの製造方法を説明するための説明図であって、(a)は、粒子含有単量体混合物をセパレータに塗布する工程、(b)は、粒子含有単量体混合物塗膜と樹脂層とを積層する工程、(c)は、粒子含有単量体混合物中の熱伝導性粒子を偏在させる工程、(d)は、単量体を反応させて粒子偏在シートを作製する工程を示す。図3は、図2に続き、図1に示す熱伝導性シートの製造方法を説明するための説明図であって、(a)は、複数の粒子偏在シートを積層して粒子偏在シート積層体を作製する工程、(b)は、粒子偏在シート積層体をシート状に切断して熱伝導性シートを形成する工程を示す。
【0034】
次いで、熱伝導性シート1の製造方法について説明する。
【0035】
この方法では、まず、熱伝導性粒子3と単量体とを含有する粒子含有単量体混合物を調製する。
【0036】
粒子含有単量体混合物を調製するには、まず、単量体を部分的に重合させることにより、単量体と重合物とが混在した単量体組成物(シロップ)を調製する。
【0037】
単量体としては、重合により上記した樹脂を調製可能な単量体が挙げられ、アクリル樹脂の場合には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体、官能基含有不飽和単量体、多官能不飽和単量体などが挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステル)が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキサデシルなどが挙げられ、好ましくは、アクリル酸2−エチルへキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0039】
官能基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボキシル基含有単量体、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有単量体、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有単量体、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルt−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホ基含有単量体、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド単量体、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド単量体、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド単量体、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステル単量体などが挙げられる。好ましくは、カルボキシル基含有単量体が挙げられる。
【0040】
多官能不飽和単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性不飽和単量体として、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0041】
なお、多官能不飽和単量体は、単量体組成物を調製するときに配合せずに、単量体組成物を調製した後に、別途、単量体組成物に配合することもできる。
【0042】
また、単量体としては、上記した単量体と共重合可能な共重合性不飽和単量体が挙げられる。
【0043】
共重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系ビニルモノマー、例えば、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有不飽和モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有不飽和モノマー、その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのビニル基含有複素環化合物、例えば、フッ素(メタ)アクリレートなどの、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。共重合性不飽和単量体は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0044】
単量体を重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、光重合、熱重合などが挙げられ、好ましくは、重合時間を短くすることができる観点などから、光重合が挙げられる。
【0045】
また、単量体を重合させるには、公知の重合開始剤を単量体に配合すればよく、例えば、光重合により単量体を重合させる場合には、光重合開始剤を単量体に配合する。
【0046】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
【0047】
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0048】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0049】
α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0050】
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
【0051】
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
【0052】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。
【0053】
ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。
【0054】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
【0055】
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
【0056】
これら重合開始剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0057】
重合開始剤の配合割合は、単量体100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは、0.05〜3重量部である。
【0058】
そして、光重合では、照射光としては、例えば、可視光、紫外線、電子線(例えば、X線、α線、β線、γ線など)など、好ましくは、紫外線を、単量体に照射することにより、単量体を部分的に重合させることにより、単量体組成物を得る。
【0059】
得られた単量体組成物の重合率は、例えば、1〜20%、好ましくは、2〜10%である。
【0060】
得られた単量体組成物の粘度は、例えば、0.1〜100Pa・s、好ましくは、1〜50Pa・sである。
【0061】
得られた単量体組成物の重量平均分子量(Mw)は、例えば、100000〜10000000、好ましくは、500000〜9000000である。
【0062】
次いで、得られた単量体組成物100質量部に対して、上記した熱伝導性粒子3を、例えば、30〜400質量部、好ましくは、50〜300質量部と、必要により、上記した多官能不飽和単量体を、例えば、0.01〜2質量部、好ましくは、0.02〜1質量部配合し、均一に混合して、粒子含有単量体混合物を調製する。
【0063】
次いで、この方法では、別途、上記した樹脂からなる樹脂層4(図2(b)参照)を作製する。
【0064】
樹脂層4を作製するには、例えば、離型処理されたPETフィルムなどの基材5(図2(b)参照)の上に、上記した単量体組成物を塗布し、紫外線などの光の照射、および/または、加熱により、単量体組成物を反応させて、樹脂層4を得る。
【0065】
なお、樹脂層4は、上記した単量体を反応させて得られれば特に限定されないが、好ましくは、粒子含有単量体混合物の調製に配合される単量体組成物と同じ単量体組成物から得られる。このような単量体組成物から樹脂層4が作製されていれば、樹脂層4に容易に単量体を吸収させることができる。
【0066】
樹脂層4の厚みは、例えば、5〜5000μmである。
【0067】
次いで、この方法では、樹脂層4に粒子含有単量体混合物層としての粒子含有単量体混合物塗膜7を積層する。
【0068】
粒子含有単量体混合物塗膜7を積層する方法は、特に限定されないが、例えば、まず、図2(a)に示すように、離型処理されたPETなどの樹脂からなるカバーフィルム6の表面に粒子含有単量体混合物を塗布して、カバーフィルム6上に粒子含有単量体混合物塗膜7を形成する。
【0069】
次いで、図2(b)に示すように、粒子含有単量体混合物塗膜7と樹脂層4とを貼り合わせることにより積層する。
【0070】
なお、予め粒子含有単量体混合物塗膜7を作製せず、粒子含有単量体混合物を樹脂層4の表面に、例えば、ハケ塗りやスプレーなどの公知の方法により直接塗工して、粒子含有単量体混合物塗膜7と樹脂層4とを積層することもできる。
【0071】
次いで、この方法では、図2(c)に示すように、粒子含有単量体混合物中の単量体を樹脂層4に浸透させて、樹脂層4を膨潤させる。
【0072】
粒子含有単量体混合物中の単量体を樹脂層4に浸透させるには、粒子含有単量体混合物を樹脂層4に塗工した後、例えば、20〜200℃、好ましくは、40〜100℃で、例えば、0.5〜60分間、好ましくは、1〜30分間放置する。
【0073】
次いで、この方法では、図2(d)に示すように、粒子含有単量体混合物中の単量体(樹脂層4に浸透した単量体、および、樹脂層4に浸透していない単量体の両方を含む)を重合させて、粒子偏在シート8を作製する。
【0074】
粒子含有単量体混合物中の単量体を重合させる方法としては、上記したように、光重合、熱重合などの方法を用いることができる。
【0075】
光重合の場合には、例えば、1〜30mW/cm、好ましくは、3〜20mW/cmの照度で、例えば1〜20分間、好ましくは、2〜10分間、紫外線を照射する。
【0076】
得られた粒子偏在シート8の厚みは、例えば、10〜10000μmである。
【0077】
得られた粒子偏在シート8中には、熱伝導性粒子3が、例えば、5〜60体積%、好ましくは、10〜50体積%含有されている。
【0078】
また、粒子偏在シート8の一方面から他方面までの長さを100%としたときに、粒子偏在シート8の一方面から、例えば、5〜80%、好ましくは、上限値が75%以下、より好ましくは、上限値が70%以下の範囲内に、熱伝導性粒子3の総量のうち、例えば、90質量%以上、好ましくは、95〜100質量%が存在している。
【0079】
以下、このように熱伝導性粒子3が偏在する領域を粒子充填層2とする。
【0080】
粒子充填層2の厚みは、例えば、5〜5000μm、好ましくは、10〜4000μmである。
【0081】
次いで、この方法では、図3(a)に示すように、複数の粒子偏在シート8を積層させる。なお、粒子偏在シート8の基材5およびカバーフィルム6は、粒子偏在シート8の積層前に剥離する。
【0082】
各粒子偏在シート8を積層するには、その厚み方向一方面(粒子含有単量体混合物塗膜7が積層された側の面)と厚み方向他方面とが互いに接触するように積層する。これにより、複数の粒子偏在シート8が積層された、略角柱形状の粒子偏在シート積層体9を形成する。
【0083】
粒子偏在シート積層体9は、粒子偏在シート8が、例えば、10枚以上、好ましくは、100枚以上、より好ましくは、1000枚以上、積層されることにより形成されている。なお、粒子偏在シート8の積層枚数は、特に限定されないが、例えば、10000枚以下、好ましくは、5000枚以下である。
【0084】
また、粒子偏在シート積層体9中には、粒子充填層2が、粒子偏在シート8の積層方向に沿って互いに、例えば、5〜10000μm、好ましくは、10〜5000μmの間隔を隔てて周期的に配列されている。
【0085】
また、粒子偏在シート8の積層方向における粒子偏在シート積層体9の厚みは、例えば、1〜100cm、好ましくは、5〜50cmである。
【0086】
次いで、この方法では、図3(b)に示すように、粒子偏在シート積層体9を、各粒子偏在シート8の積層方向に沿ってシート状に切断する。これにより、熱伝導性シート1を得る。
【0087】
得られた熱伝導性シート1の厚みは、例えば、5〜10000μm、好ましくは、10〜5000μmである。
【0088】
また、熱伝導性シート1中の粒子充填層2は、熱伝導性シート1の面方向における長さが、例えば、5〜5000μm、好ましくは、10〜4000μmに形成され、熱伝導性シート1の面方向に沿って互いに、例えば、5〜10000μm、好ましくは、10〜5000μmの間隔を隔てて周期的に配列されている。
【0089】
また、熱伝導性シート1中には、熱伝導性粒子3が、例えば、5〜60体積%、好ましくは、10〜50体積%含有されている。
【0090】
また、熱伝導性シート1の厚み方向における熱伝導率は、例えば、0.5〜100W/mK、好ましくは、1〜50W/mKである。
【0091】
なお、熱伝導性シート1の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法を採用する熱定数測定装置により測定される。
【0092】
この熱伝導性シート1の製造方法によれば、まず、図2に示すように、その厚み方向一方に熱伝導性粒子3が偏在した粒子偏在シート8を作製している。
【0093】
そのため、粒子偏在シート8では、熱伝導性粒子3が偏在した厚み方向一方面において、放熱性を向上させることができる。
【0094】
そして、図3(a)に示すように、複数の粒子偏在シート8を、その厚み方向一方面と厚み方向他方面とが互いに接触するように積層させて、粒子偏在シート積層体9を作製している。
【0095】
つまり、粒子偏在シート積層体9では、粒子偏在シート8の積層方向において、熱伝導性粒子3が周期的に偏在しているとともに、積層方向と直交する方向において、熱伝導性粒子3が充填されている。
【0096】
その後、図3(b)に示すように、粒子偏在シート積層体9を、積層方向に沿ってシート状に切断することにより、積層方向に沿って延びる熱伝導性シート1を形成している。
【0097】
そのため、この熱伝導性シート1では、その面方向(熱伝導性シート1が延びる方向)において、熱伝導性粒子3が周期的に偏在しているとともに、その厚み方向(面方向と直交する方向)において、熱伝導性粒子3が充填されている。
【0098】
その結果、熱伝導性粒子3の使用量を増大させることなく、熱伝導性粒子3を、厚み方向に充填するとともに面方向に沿って周期的に偏在させることにより、厚み方向における熱伝導性を向上させることができる。
【0099】
また、この熱伝導性シート1の製造方法によれば、樹脂層4に粒子含有単量体混合物塗膜7を積層し、樹脂層4に粒子含有単量体混合物中の単量体を吸収させた後、単量体を重合させることにより、粒子偏在シート8を作製している。
【0100】
そのため、粒子偏在シート8において、樹脂層4に吸収された単量体、および、樹脂層4に吸収されていない単量体の両方の単量体を硬化させて、粒子充填層2と樹脂層4とを連続して一体的に形成することができ、粒子充填層2と樹脂層4との接合強度を向上させることができる。
【0101】
その結果、粒子偏在シート8の強度を向上させることができ、さらには、熱伝導性シート1の強度を向上させることができる。
【0102】
なお、上記した実施形態では、熱伝導性シート1を形成する樹脂としてアクリル樹脂を挙げたが、例えば、エポキシ樹脂を用いることもできる。
【0103】
樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、まず、例えば、グリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド、グリシジルアミン型エポキシド、脂環式エポキシドなどのエポキシ樹脂に熱伝導性粒子3と硬化剤とを配合、混合し、加熱してBステージ樹脂としたものを、粒子含有単量体混合物層として樹脂層4に積層する。
【0104】
その後、Bステージ樹脂を加熱して軟化させ、その状態で、例えば、0.5〜60分間、好ましくは、1〜30分間放置し、樹脂層4を膨潤させる。そして、さらに加熱してBステージ樹脂を硬化させ、粒子偏在シート8を作製する。
【0105】
その後、上記した実施形態と同様に、複数の粒子偏在シート8を積層させた後、その積層方向に沿ってシート状に切断し、熱伝導性シート1を得る。
【0106】
また、上記した実施形態では、粒子含有単量体混合物を、セパレータ6に塗布して、粒子含有単量体混合物塗膜7を形成してから、その粒子含有単量体混合物塗膜7を樹脂層4に積層したが、粒子含有単量体混合物を、直接、樹脂層4に塗布して、粒子含有単量体混合物塗膜7を樹脂層4上に形成することもできる。
【0107】
また、上記した実施形態では、その厚み方向一方面(粒子含有単量体混合物塗膜7が積層された側の面)と厚み方向他方面とが互いに接触するように、各粒子偏在シート8を積層することにより、略角柱形状の粒子偏在シート積層体9を形成したが、粒子含有単量体混合物塗膜7の積層については、特に限定されず、例えば、厚み方向一方面同士が積層された部分や、厚み方向他方面同士が積層された部分などを混在させることもできる。
【0108】
また、上記した実施形態では、熱伝導性シート1内の各粒子充填層2や各樹脂層4の面方向における長さを一定に形成し、各粒子充填層2を周期的に配列させたが、各粒子充填層2や各樹脂層4の面方向における長さは、一定でなくてもよく、各粒子充填層2を不定周期で配列させることもできる。
【0109】
このようにして得られた熱伝導性シート1は、例えば、パワーエレクトロニクス技術に採用される熱伝導性シートとして、より詳しくは、LED放熱基板、電池用放熱材に適用される熱伝導性シートとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0110】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
【0111】
実施例
1.粒子含有単量体混合物の調製
(1)単量体組成物の調製
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、単量体として、2−エチルヘキシルアクリレート90質量部と、アクリル酸10質量部とを仕込み、混合した。
【0112】
次いで、光重合開始剤(イルガキュア651、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)0.1質量部を仕込み、攪拌して均一に混合した後、窒素ガスを用いて1時間、攪拌しながらバブリングし、溶存酸素を除去した。
【0113】
その後、攪拌および窒素バブリングを継続しながら、セパラブルフラスコの外側からブラックライトランプを用いて紫外線を照射して、重合させ、重合率7%、粘度10Pa・s、重量平均分子量(Mw)5000000の単量体組成物を調製した。
(2)粒子含有単量体混合物の調製
得られた単量体組成物100質量部に対して、窒化ホウ素粒子(平均粒子径9μm、UHP−1、昭和電工製)50質量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1質量部を均一に混合して、粒子含有単量体混合物を調製した。
2.樹脂層の作製
単量体組成物を、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、その上から、保護フィルムを、その離型処理された面が単量体組成物に接触するように、貼り合わせた。
【0114】
その後、ブラックライトランプを用いて、照度5mW/cmで3分間、紫外線を照射し、単量体組成物を硬化させて、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、保護フィルムで被覆された厚さ100μmの樹脂層を形成した。
3.熱伝導性シートの作製
(1)粒子偏在シートの作製
カバーフィルムの離型処理された面に粒子含有単量体混合物を塗布して、カバーフィルム上に粒子含有単量体混合物塗膜を形成した(図2(a)参照。)。
【0115】
別途、樹脂層から保護フィルムを剥離して、樹脂層を露出させた。
【0116】
そして、粒子含有単量体混合物塗膜と樹脂層とを貼り合わせることにより積層した(図2(b)参照。)。
【0117】
粒子含有単量体混合物塗膜と樹脂層とを積層した後、1分間放置し、粒子含有単量体混合物中の単量体を樹脂層に浸透させて、樹脂層を膨潤させた(図2(c)参照。)。
【0118】
その後、粒子含有単量体混合物塗膜側からブラックライトランプを用いて、照度5mW/cmで3分間、紫外線を照射し、粒子含有単量体混合物を硬化させて、厚み250μmの粒子偏在シートを作製した(図2(d)参照。)。
【0119】
得られた粒子偏在シートの厚みを100%としたときに、粒子偏在シートの厚み方向一方面から60%の範囲(粒子充填層)内に、熱伝導性粒子の総量のうち、95質量%が存在していた。
【0120】
また、得られた粒子偏在シートにおいて、粒子充填層の厚みは、150μmであった。
(2)熱伝導性シートの作製
粒子偏在シートを用意し、各粒子偏在シートのカバーフィルムおよび2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、各粒子偏在シートを、一方面(粒子含有単量体混合物塗膜が塗工された側の面)と他方面とが互いに接触するように積層することにより、粒子偏在シート積層体を形成した(図3(a)参照。)。
【0121】
粒子偏在シートの積層方向における粒子偏在シート積層体の厚みは、2cmであった。
【0122】
次いで、粒子偏在シート積層体を、各粒子偏在シートの積層方向に沿ってシート状に切断し、厚さ500μmの熱伝導性シートを得た(図3(b)参照。)。
【0123】
熱伝導性シート1中の粒子充填層2は、熱伝導性シート1の面方向における長さが150μmに形成され、熱伝導性シート1の面方向に沿って互いに、100μmの間隔を隔てて周期的に配列されていた。
【0124】
比較例
1.粒子含有単量体混合物の調製
実施例1と同様の単量体組成物87.4質量部に対して、窒化ホウ素粒子(平均粒子径9μm、UHP−1、昭和電工製)12.5質量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1質量部を均一に混合して、粒子含有単量体混合物を調製した。
2.熱伝導シートの作製
粒子含有単量体混合物を、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、その上から、保護フィルムを、その離型処理された面が粒子含有単量体混合物に接触するように、貼り合わせた。
【0125】
その後、ブラックライトランプを用いて、照度5mW/cmで3分間、紫外線を照射し、粒子含有単量体混合物を硬化させて、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、保護フィルムで被覆された厚さ500μmの熱伝導性シートを形成した。
(熱伝導率の測定)
実施例および比較例の熱伝導性シートの、厚み方向における熱伝導率を、レーザフラッシュ法熱定数測定装置(TC−9000、アルバック理工製)を用いて測定した。
【0126】
実施例の熱伝導性シートの熱伝導率は、2.1W/mKであり、比較例の熱伝導性シートの熱伝導率は、0.4W/mKであった。
【符号の説明】
【0127】
1 熱伝導性シート
3 熱伝導性粒子
4 樹脂層
8 粒子偏在シート
9 粒子偏在シート積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層を用意し、
前記樹脂層に吸収される単量体と、熱伝導性粒子とを含有する粒子含有単量体混合物層を、前記樹脂層の一方面に積層し、
前記単量体を前記樹脂層に吸収させることにより、前記熱伝導性粒子を一方の面側に偏在させ、その後、
前記単量体を反応させて硬化させることにより、粒子偏在シートを作製し、
複数の前記粒子偏在シートを、一方面と他方面とが互いに接触するように積層して、粒子偏在シート積層体を作製し、その後、
前記粒子偏在シート積層体を、各前記粒子偏在シートの積層方向に沿ってシート状に切断することにより得られることを特徴とする、熱伝導性シート。
【請求項2】
樹脂層を用意する工程、
前記樹脂層に吸収される単量体と、熱伝導性粒子とを含有する粒子含有単量体混合物層を、前記樹脂層の一方面に積層する工程、
前記単量体を前記樹脂層に吸収させることにより、前記熱伝導性粒子を一方の面側に偏在させる工程、
前記単量体を反応させて硬化させることにより、粒子偏在シートを作製する工程、
複数の前記粒子偏在シートを、一方面と他方面とが互いに接触するように積層して、粒子偏在シート積層体を作製する工程、および、
前記粒子偏在シート積層体を、各前記粒子偏在シートの積層方向に沿ってシート状に切断する工程
を含むことを特徴とする、熱伝導性シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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