説明

熱伝導性フィルム及びその製造方法

【課題】柔軟性などの機械的特性に優れ、かつ電子機器などの障害となる低沸成分の揮発を抑制できる熱伝導性フィルムを提供する。
【解決手段】熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む熱伝導性フィルムにおいて、前記架橋ゴムを液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成する。前記液状ゴムは非シリコーン系ゴムであってもよい。前記液状ゴムの数平均分子量は10000以下であってもよい。前記液状ゴムは、末端にヒドロキシル基を有し、かつ芳香族ビニル単位を実質的に含まないジエン系ゴムであってもよい。前記熱伝導性無機フィラーの割合は、架橋ゴム100重量部に対して100〜500重量部程度であってもよい。本発明の熱伝導性フィルムの厚みは250μm以下であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性及び熱伝導性を有し、電気・電子機器などに利用される熱伝導性フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気・電子部品などのエレクトリックデバイスの発熱部材(例えば、パーソナルコンピュータのCPUなど)から発生する熱を逃すため、前記発熱部材と筐体などとの間に、放熱部材として熱伝導性フィルムを介在させている。この熱伝導性フィルムは、マトリックス樹脂(バインダー樹脂)と熱伝導性無機フィラーとからなるが、バインダー樹脂は金属材料などの無機物に比べて熱伝導性が低い。このため、熱伝導性無機フィラーをバインダー樹脂に対して高い割合で配合することにより、熱伝導性フィルムの熱伝導性を向上させる試みがなされている。このような熱伝導性フィルムにおけるバインダーとしては、耐熱性、絶縁性、耐候性に優れるシリコーンゴムが汎用されている。
【0003】
例えば、特開昭54−163398号公報(特許文献1)には、電気絶縁性及び熱伝導性の優れた無機物質70〜90重量%を合成ゴム中に不均一に分散したシートであって、前記無機物質の最低含量部分が5〜60重量%である合成ゴム絶縁シートが開示されている。この文献には、合成ゴムとして、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン系ゴム、フッ素ゴムが記載され、シリコーンゴムが好ましいと記載されている。
【0004】
また、特開平9−283955号公報(特許文献2)には、平均アスペクト比が3未満の黒鉛質炭素繊維をマトリックス樹脂中に分散させて形成された放熱シートが開示されている。この文献には、マトリックス樹脂として、シリコーンゲル又はシリコーンゴムなどが好ましく、その他、多数の合成ゴムを例示することができると記載され、実施例ではシリコーンゲルが使用されている。
【0005】
しかし、これらのシートでは、ゴム成分を用いるため、成形性が低い上に、ゴム成分としてシリコーンゴムやシリコーンゲルを用いると、低分子シロキサンや環状シロキサン成分などの低沸成分の揮発により電子機器の接点不良などの障害が起こり易い。さらに、これらのシートでは、熱伝導性を高めるために、無機フィラーの割合を増加させると、シートの機械的特性が低下する。特に、シリコーンゴムでは柔軟性も充分でなく、薄肉化が困難である上に、デバイスの凹凸構造に対する追従性や密着性も低い。
【0006】
さらに、特許文献1のシートでは、機械的特性を低下させることなく、熱伝導性を向上させるために、低含量の無機物質を含むシートに、さらに無機物質を圧着充填させており、構造が複雑であり、生産性も低い。
【0007】
一方、特開2006−156935号公報(特許文献3)には、アルミナ粒子を、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂で結着させてなる放熱シートであって、アルミナ粒子/バインダー樹脂の質量比が70/30〜91/9であり、シート厚みが50〜150μmであることを特徴とする放熱シートが開示されている。この文献には、バインダー樹脂として、ポリウレタン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、各種合成ゴムが例示され、ポリエステル系樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましいと記載されている。
【0008】
また、特開2008−163145号公報(特許文献4)には、特定の構造を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の水添物及び/又はその変性体、核部とこの核部から4軸方向に伸びた針状結晶部を有する酸化亜鉛、平均粒径1〜100μmの黒鉛、パラフィン系オイル及び難燃剤を含む放熱材料が開示されている。この文献では、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の水添物又は変性体の重量平均分子量は5万〜100万であり、芳香族ビニル単位の含有量は50質量%を超え、90質量%以下であることが記載され、実施例では、重量平均分子量16.5万〜17.5万のスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体の水添物又は変性体が使用されている。
【0009】
しかし、これらの熱可塑性樹脂やエラストマーでは、耐熱性が低く、高温下では溶融して無機フィラーのパスが崩れる。さらに、無機フィラーに対する接着力が低いためか、無機フィラーを高い割合で充填すると、薄肉化が困難であり、柔軟性などの機械的特性も低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭54−163398号公報(特許請求の範囲、第2頁右下欄10〜151行、実施例)
【特許文献2】特開平9−283955号公報(請求項1、段落[0023]、実施例)
【特許文献3】特開2006−156935号公報(請求項1、段落[0011]、実施例)
【特許文献4】特開2008−163145号公報(請求項1、実施例)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、柔軟性などの機械的特性に優れ、かつデバイスなどの凹凸構造に対して高い追従性や密着性を有する熱伝導性フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、電子機器などの障害となる低沸成分の揮発を抑制できる熱伝導性フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、成形性及び生産性に優れ、薄肉化できる熱伝導性フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、柔軟性などの機械的特性に優れ、かつ耐熱性も向上できる熱伝導性フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、熱伝導性無機フィラーと、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成された架橋ゴムとを組み合わせることにより、フィルムにおける柔軟性などの機械的特性を向上でき、かつデバイスなどの凹凸構造に対して追従して密着できることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む熱伝導性フィルムであって、前記架橋ゴムが、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成されている。前記液状ゴムは非シリコーン系ゴムであってもよい。前記液状ゴムの数平均分子量は10000以下であってもよい。前記液状ゴムは、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基の官能基を有していてもよい。前記液状ゴムのヒドロキシル基含量は0.05〜5モル/kg程度であってもよい。前記液状ゴムは、末端にヒドロキシル基を有し、かつ芳香族ビニル単位を実質的に含まないジエン系ゴムであってもよい。前記液状ゴムは、1,4結合量と1,2結合量との割合(モル比)が、前者/後者=99/1〜50/50であるポリブタジエンであってもよい。前記熱伝導性無機フィラーは、平均粒径0.1〜100μmの導電性又は絶縁性無機フィラーであってもよい。前記熱伝導性無機フィラーの割合は、架橋ゴム100重量部に対して100〜500重量部程度であってもよい。本発明の熱伝導性フィルムの厚みは250μm以下であってもよい。
【0017】
本発明には、熱伝導性無機フィラーと液状ゴムと架橋剤とを含む組成物の膜を形成した後、前記液状ゴムを架橋する前記熱伝導性フィルムの製造方法も含まれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、熱伝導性無機フィラーと、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成された架橋ゴムとを組み合わせているため、フィルムにおける柔軟性などの機械的特性を向上でき、かつデバイスなどの凹凸構造に対して追従して密着できるため、幅広い用途に使用できる。また、前記架橋ゴムを非シリコーン系ゴムで構成することにより、電子機器などの障害となる低沸成分の揮発を抑制できる。また、架橋ゴムが高い弾性を有するため、成形性及び生産性に優れ、高い柔軟性により容易にフィルムを薄肉化できる。特に、柔軟性に優れるため、シート化してロール・ツー・ロール方式での製造が可能であり、工業的な価値が高い。さらに、架橋ゴムを用いるため、柔軟性などの機械的特性に優れ、かつ耐熱性も向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[熱伝導性フィルム]
本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む。特に、本発明では、前記架橋ゴムが液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成されているため、架橋ゴムが高い弾性を有するとともに、熱伝導性無機フィラーに対して高い接着性を有し、成形性にも優れるためか、ゴム弾性だけでなく、柔軟性や強度などの機械的特性、耐熱性も向上できるため、高温下での使用や、凹凸構造に追従させる必要がある電気・電子部品などのエレクトリックデバイスの部材としてバランスがとれたフィルムである。
【0020】
(熱伝導性無機フィラー)
熱伝導性無機フィラーとしては、熱伝導性を有していればよく、電気特性については、用途に応じて選択でき、導電性であっても、絶縁性であってもよい。
【0021】
導電性無機フィラーとしては、例えば、炭素材(例えば、人造黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛、コークス、カーボンナノチューブ、炭素繊維など)、金属単体又は合金(例えば、金属シリコン、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、金、白金、亜鉛、マンガン、ステンレスなど)、セラミックス類(例えば、フェライト、トルマリン、珪藻土など)などが挙げられる。これらの導電性無機フィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの導電性無機フィラーのうち、安価でかつ導電性を効果的に向上できる点から、黒鉛(グラファイト)や炭素繊維などの炭素材が好ましい。
【0022】
絶縁性無機フィラーとしては、例えば、窒素化合物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化炭素、窒化ケイ素など)、炭素化合物(炭化ケイ素、炭化フッ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、ダイヤモンドなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウムなど)などが挙げられる。これらの絶縁性無機フィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの絶縁性無機フィラーのうち、絶縁性及び熱伝導性に優れる点から、窒化ホウ素や窒化アルミニウムなどの窒素化合物が好ましく、窒化ホウ素が特に好ましい。窒化ホウ素は、グラファイトと類似の構造を有する六方晶形型であってもよく、ダイヤモンド構造を有する立方晶形型であってもよいが、六方晶形型が好ましい。
【0023】
熱伝導性無機フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状又は鱗片状、棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、不定形状や板状などが汎用される。
【0024】
熱伝導性無機フィラーの平均粒径は、無機フィラーの種類に応じて0.01〜500μm程度の範囲から適宜選択でき、例えば、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm(特に4〜20μm)程度である。この平均粒径は、無機フィラーが板状である場合、板面の平均径(板面における長軸と短軸との加算平均径)であってもよい。本発明では、無機フィラーの粒径は、均一に分散できる範囲で、大きい方が熱伝導性を向上できる。さらに、板状である場合、前記板面の平均径と厚みとのアスペクト比(板面の平均径/厚み)は、例えば、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜30(特に5〜20)程度であってもよい。平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた方法などで測定できる。
【0025】
熱伝導性無機フィラーの重量割合は、例えば、架橋ゴム100重量部に対して、10〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、50〜800重量部、好ましくは100〜500重量部、さらに好ましくは120〜400重量部(特に150〜350重量部)程度である。無機フィラーの割合が少なすぎると、熱伝導性が低下し、多すぎると、機械的特性が低下する。
【0026】
(架橋ゴム)
架橋ゴムは、液状ゴム及び架橋剤(又は硬化剤)の架橋体で形成されている。液状ゴムとしては、慣用のゴム、例えば、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)など)、オレフィン−ビニルエステル共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EAM)など)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキルクロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、多硫化ゴム(OT)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。なお、液状ゴムは共重合ゴムであってもよい。共重合ゴムは、ランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有する共重合体などが含まれる。これらの未架橋ゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0027】
これらの液状ゴムのうち、例えば、ジエン系ゴム、多硫化ゴム、シリコーン系ゴムなどが汎用され、電子機器における接点不良などの障害を抑制できる点から、非シリコーン系ゴムが好ましく、バインダー樹脂としての接着性と弾力性に優れる点から、ジエン系ゴムが特に好ましい。
【0028】
ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン[例えば、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエン(VBR)など]、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、オレフィン含有ジエン系ゴム[例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソブチレン−イソプレン共重合体など]、スチレン含有ジエン系ゴム[例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体など]、アクリル系単量体含有ジエン系ゴム[例えば、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など]などが挙げられる。これらのジエン系ゴムは水添物(例えば、水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体など)などであってもよい。
【0029】
これらのジエン系ゴムのうち、ポリブタジエン、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMなどが汎用され、ポリブタジエンが好ましい。さらに、ポリブタジエンは、高いゴム弾性を有する点から、1,4結合量の割合が多い方が好ましく、1,4結合量(シス−及びトランス−1,4付加)と、1,2結合量(1,2付加)との割合(モル比)が、例えば、1,4結合量/1,2結合量=99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
【0030】
液状ゴムは、架橋剤に対する反応性官能基を有していてもよい。特に、液状ゴムに反応性官能基を導入することにより、ゴムの機械的特性を向上できる。反応性官能基を有する液状ゴムは、反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖に含んでいればよく、例えば、反応性官能基を有する共重合性単量体との共重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体など)などであってもよいが、少なくとも末端に反応性官能基を有する液状ゴムが特に好ましい。末端に反応性官能基を有する液状ゴムは、反応性官能基を有する単量体を用いて末端を封鎖する方法などにより製造でき、末端自由鎖の発生が抑制されたテレケリックゴム架橋体を形成でき、機械的特性を向上できる。
【0031】
前記反応性官能基としては、架橋剤の種類に応じて選択でき、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、酸アミド基、エポキシ基などが挙げられる。これらの反応性官能基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの反応性官能基のうち、反応性や汎用性などの点から、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基などが汎用され、少なくともヒドロキシル基を含む反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基単独、ヒドロキシル基とエポキシ基との組み合わせなど)が好ましい。
【0032】
反応性官能基(特にヒドロキシル基)の含有量は、液状ゴム全体に対して、例えば、0.05〜5モル/kg、好ましくは0.1〜3モル/kg、さらに好ましくは0.3〜2モル/kg(特に0.5〜1モル/kg)程度であってもよい。例えば、反応性官能基がヒドロキシル基の場合、JIS K 1557に準拠した方法で測定できる。反応性官能基の含有量が小さすぎると、強度などの機械的特性が低下し、大きすぎると、柔軟性が低下する。
【0033】
具体的には、反応性官能基(特にヒドロキシル基)を有する液状ゴムは、末端ヒドロキシル基を有するポリブタジエン、末端ヒドロキシル基を有するエポキシ化ポリブタジエンなどであってもよい。エポキシ化ポリブタジエン(例えば、末端ヒドロキシル基を有するエポキシ化ポリブタジエン)におけるエポキシ当量は、例えば、50〜1000g/eq、好ましくは70〜500g/eq、さらに好ましくは100〜300g/eq(特に、100〜250g/eq)程度である。
【0034】
液状ゴムの数平均分子量は、ASTM D 2503に準拠した方法により測定された分子量で、10000以下であればよく、例えば、500〜10000、好ましくは1000〜6000、さらに好ましくは1500〜5000(特に2000〜4000)程度であってもよい。分子量が大きすぎると、成形性などの生産性が低下し、小さすぎると、強度などの機械的特性が低下する。
【0035】
液状ゴムの粘度(30℃)は、JIS K2283に準拠した方法で、例えば、0.1〜100Pa・s,好ましくは0.3〜50Pa・s、さらに好ましくは0.5〜10Pa・s(特に1〜5Pa・s)程度であってもよい。粘度が大きすぎると、成形性が低下する。
【0036】
架橋剤(又は硬化剤)としては、液状ゴムの種類に応じて、慣用の架橋剤、例えば、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、金属酸化物、アゾ化合物などを利用できるが、液状ゴムが反応性官能基を有する液状ゴムである場合、液状ゴムの反応性官能基に対して反応性を有する架橋剤(例えば、多価金属イオン、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリカルボン酸又はその反応性誘導体、ポリオール、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物、複数の加水分解性シリル基を有する化合物、ビスオキサゾリン化合物など)を、液状ゴムの反応性官能基の種類に応じて利用できる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0037】
これらの架橋剤のうち、液状ゴムが反応性官能基を有する液状ゴム(特に、ヒドロキシル基を有する液状ゴム)である場合、反応性や取り扱い性などの点から、ポリイソシアネートが好ましい。
【0038】
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート[例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどのC2−16アルカンジイソシアネートなど]、脂環族ジイソシアネート[例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなど]、芳香脂肪族ジイソシアネート[例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど]、芳香族ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート[例えば、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなど]などが挙げられる。
【0039】
ポリイソシアネートは、分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンテトライソシアネートなどであってもよい。
【0040】
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート誘導体、例えば、前記ポリイソシアネートのダイマーやトリマーなどの多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド、ウレットジオンなどであってもよい。
【0041】
ポリイソシアネートは、末端イソシアネート基を有するプレポリマー(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのジオール、ポリエステルジオールなどのジオール成分とジイソシアネートとの反応生成物など)であってもよい。
【0042】
これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリイソシアネートのうち、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、IPDI、水添XDIなどの脂環族ジイソシアネート、XDIなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、TDI、MDI、NDIなどの芳香族ジイソシアネートなどが汎用される。
【0043】
ポリイソシアネートは、イソシアネート基と反応性を有する単量体[例えば、ポリオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2−4アルカンジオール、ビスフェノールAポリアルキレンオキシド付加体、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど)、ポリアミン類(テトラメチレンジアミンやヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類など)など]を架橋助剤又は鎖伸長剤として組み合わせて用いてもよい。
【0044】
これらのうち、架橋ゴムとの親和性やフィルムの柔軟性や引張強度を向上させるための可塑剤としての役割も付与できる点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリC2−4アルキレングリコール(特にポリエチレングリコールなどのポリC2−3アルキレングリコール)が好ましい。ポリエーテルポリオール(特にポリエチレングリコール)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、100〜6000、好ましくは200〜3000、さらに好ましくは300〜1000(特に500〜800)程度である。
【0045】
架橋助剤又は鎖伸長剤の割合は、液状ゴム100重量部に対して1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部程度であってもよい。特に、溶媒を使用せずに、架橋助剤又は鎖伸長剤を液状ゴム100重量部に対して100重量部以上(例えば、100〜200重量部程度)使用してもよい。
【0046】
架橋剤の割合は、液状ゴムの種類に応じて、液状ゴム100重量部に対して1〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、5〜90重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは15〜60重量部(特に20〜50重量部)程度である。
【0047】
液状ゴムが反応性官能基を有する場合、架橋剤と液状ゴムとの割合は、架橋剤の反応性官能基(例えば、イソシアネート基)と液状ゴムの反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基)とが、当量比で略当量となる範囲、例えば、架橋剤の反応性官能基/液状ゴムの反応性官能基=0.8/1〜1.2/1、好ましくは0.9/1〜1.15/1、さらに好ましくは1/1〜1.1/1程度であってもよい。なお、架橋助剤や鎖伸長剤を使用する場合、架橋助剤や鎖伸長剤の官能基も含めた当量比が前記範囲となるように調整してもよい。
【0048】
前記架橋剤は、慣用の硬化触媒と併用してもよく、例えば、架橋剤がポリイソシアネートである場合、ウレタン化触媒、例えば、アミン系触媒(トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の脂肪族アミン類やトリエチレンジアミンなどの環状アミン類、ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類など)、有機金属触媒(ジブチルチンジラウレートDBTDL、ジブチルチンチオカルボキシレートなどのスズ系触媒など)と併用してもよい。硬化触媒の割合は、例えば、架橋剤100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度である。
【0049】
(他の添加剤)
本発明の熱伝導性フィルムは、さらに硬化樹脂を含んでいてもよい。硬化樹脂は、未硬化の状態で、前記未架橋ゴムの硬化剤又は架橋剤として配合してもよい。硬化樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。これらの硬化樹脂のうち、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などが汎用される。硬化樹脂の割合は、液状ゴム100重量部に対して100重量部以下、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
【0050】
熱伝導性フィルムは、さらに、慣用の添加剤、例えば、合成可塑剤[フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、リン酸エステル(リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルなど)、脂肪族多価カルボン酸エステル(アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチルなど)、エポキシ系化合物(アルキルエポキシステアレート、エポキシ化大豆油など)など]、軟化剤[植物油(リノール酸、オレイン酸、ひまし油、あまに油、パーム油など)、鉱物油(パラフィン、テレピン油、ナフテン性油、プロセスオイル、エキステンダーなど)、瀝青質物質(ストレートアスファルト、脱瀝アスファルト、ブローンアスファルト、タールなど)など]、共加硫又は架橋剤(酸化亜鉛などの金属酸化物など)、加硫又は架橋遅延剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、潤滑剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
添加剤の割合は、液状ゴム100重量部に対して、例えば、0〜100重量部、好ましくは0.1〜80重量部、さらに好ましくは1〜50重量部程度であってもよい。
【0052】
(熱伝導性フィルムの特性)
本発明の熱伝導性フィルムの熱伝導率は1.4W/m・K以上であってもよく、例えば、1.4〜5W/m・K、好ましくは1.5〜4W/m・K、さらに好ましくは1.6〜3W/m・K(特に1.7〜2.5W/m・K)程度であってもよい。
【0053】
本発明の熱伝導性フィルムは、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成された架橋ゴムをバインダーとして含むため、導電性が高いにも拘わらず、柔軟性に優れており、JIS K7161に準拠した弾性率が400MPa以下、好ましくは1〜300MPa、さらに好ましくは5〜100MPa(特に10〜50MPa)程度である。そのため、シート化してロール・ツー・ロール方式での製造が可能であるため、生産性が高く、工業的な価値が高い。
【0054】
本発明の熱伝導性フィルムの厚みは、用途に応じて1〜1000μm程度の範囲から選択できるが、薄肉化しても機械的特性に優れるとともに、前記熱伝導性を発現できるため、薄肉化する用途に適しており、例えば、250μm以下、好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは30〜200μm(特に50〜150μm)程度であってもよい。
【0055】
[熱伝導性フィルムの製造方法]
本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性無機フィラーと液状ゴムと架橋剤とを含む組成物の膜を形成した後、液状ゴムを架橋(又は硬化)することにより得られる。組成物の調製方法としては、前述のように、可塑剤(又は可塑剤としての機能を発現する助剤など)の割合を多くすることにより、溶媒を用いることなく、組成物を調製してもよいが、機械的特性と熱伝導性とを両立できるフィルムを製造し易い点から、液状ゴムを溶解又は分散可能な溶媒を用いて組成物を調製するのが好ましい。組成物の調製方法としては、例えば、各成分を慣用の混合機(ミキサー)を用いて混合する方法であってもよい。
【0056】
前記溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)など)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。
【0057】
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。本発明では、これらの溶媒のうち、液状ゴムが液状ポリブタジエンである場合、ケトン類(特に、メチルエチルケトンなどのジアルキルケトン)、芳香族炭化水素類(特に、トルエンなどの芳香族炭化水素)、又はこれらの混合溶媒などを用いてもよい。
【0058】
前記組成物は、溶媒を用いる場合、例えば、固形分が10〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜65重量%程度であってもよい。
【0059】
膜の形成方法は、バーコーターやナイフコーターなどの慣用の方法を利用して、基材(例えば、離型紙など)の上に塗布する方法を利用できる。
【0060】
架橋方法は、液状ゴムの種類に応じて選択で、慣用の方法を利用でき、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などを用いて架橋又は硬化処理してもよい。これらの方法のうち、通常、加熱処理が用いられ、加熱温度は、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは70〜150℃(特に70〜130℃)程度であってもよい。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例で得られた絶縁性放熱フィルムの導電性は、以下の方法で測定した。
【0062】
[弾性率]
得られた熱伝導性フィルムを2cm×15cmの短冊にカットし、JIS K7161に従って引張試験を行い、応力−ひずみ曲線から、弾性率を求めた。
【0063】
[導電性]
得られた熱伝導性フィルムについて、JIS K7194に従い、抵抗率測定装置(三菱化学(株)製「Loresta−GP」)を用いて表面抵抗率を測定し、体積抵抗率を求めた。
【0064】
[熱伝導性]
レーザーフラッシュ熱伝導率測定装置(NETZSCH社製)を用いて、得られた熱伝導性フィルムの厚み方向及び面方向の熱拡散率を測定し、下記式に基づいて熱伝導率を求めた。なお、厚み方向の熱拡散率の測定には、レーザーフラッシュアナライザー(NETZSCH(ネッチ社)製「LFA447」)を使用し、面方向の熱拡散率の測定には、レーザーフラッシュアナライザー(アルバック理工(株)製「TC−7000H/SB2」)を使用した。
【0065】
熱伝導率(W/m・K)=密度(g/cm)×比熱(J/g・K)×熱拡散率(mm/s)
【0066】
[屈曲性]
得られた熱伝導性フィルムを2cm×15cmの短冊にカットし、JIS K5600に従って屈曲性試験を行い、直径16mmのマンドレルで割れが発生するか否かを確認し、以下の基準で評価した。
【0067】
○:割れやひびは発生しない
×:割れやひびが発生した。
【0068】
実施例1
末端ヒドロキシル基含有液状ポリブタジエンゴム(出光興産(株)製「poly bd R−15HT」)8重量部、ポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)製「PEG600」)3重量部、架橋剤(MDI、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートMX」)3重量部、触媒(DBTDL、和光純薬工業(株)製)0.004重量部、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製「SP3」、平均粒径4μm、アスペクト比2以上)34重量部、溶媒(メチルエチルケトン)52重量部を、自公転式混合脱泡機(シンキー(株)製「ARE−250」)を使用して混合し、組成物を作製した。得られた組成物を、バーコーター(#90)を使用して離型紙上に塗工し、温度60℃で30分間乾燥した。その後、温度120℃で3時間硬化処理した後、離型紙から剥離して厚み100μmの硬化フィルムを得た。
【0069】
実施例2
窒化ホウ素として、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製「GP」、平均粒径8μm、アスペクト比2以上)34重量部を使用し、溶媒として、メチルエチルケトン60重量部を使用した以外は、実施例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
【0070】
実施例3
末端ヒドロキシル基含有エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製「エポリード PB3600」)17重量部、ポリエチレングリコール(PEG600)4重量部、架橋剤(コロネートMX)4重量部、触媒(DBTDL)0.009重量部、黒鉛(伊藤黒鉛(株)製「人造黒鉛AGB−20」、平均粒径18μm)37重量部、溶媒(メチルエチルケトン)38重量部を使用して、実施例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
【0071】
比較例1
エポキシ樹脂(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、三菱化学(株)製「jER828」)12重量部、硬化剤(変性脂肪族ポリアミン、三菱化学(株)製「jER キュア ST12」)5重量部、ポリエチレングリコール(PEG600)3重量部、窒化ホウ素(GP、平均粒径8μm)46重量部、溶媒(メチルエチルケトン)34重量部を、自公転式混合脱泡機(ARE−250)を使用して混合し、組成物を作製した。得られた組成物を、バーコーター(#90)を使用して離型紙上に塗工し、温度60℃で30分間乾燥した。その後、温度80℃で3時間硬化処理した後、離型紙から剥離して厚み100μmの硬化フィルムを得た。
【0072】
比較例2
エポキシ樹脂(jER828)18重量部、硬化剤(jER キュア ST12)9重量部、ポリエチレングリコール(PEG600)5重量部、黒鉛(AGB−20)48重量部、溶媒(メチルエチルケトン)34重量部を使用して、比較例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
【0073】
実施例及び比較例で得られた硬化フィルムの導電性の測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1の結果から明らかなように、実施例の硬化フィルムは柔軟性と熱伝導性とを併せ持つのに対して、比較例の硬化フィルムは硬くて脆い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性を要求される各種用途に利用でき、例えば、画像表示装置、コンピュータ、照明機器、電池などの電気・電子部品(放熱板、半導体素子、熱電変換素子、光電変換素子、電磁波吸収放熱材、基盤、セパレータなど)に利用でき、特に、コンピュータの中央処理装置(CPU)、パワーモジュール、発光ダイオード(LED)などの放熱板として特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む熱伝導性フィルムであって、前記架橋ゴムが、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成されている熱伝導性フィルム。
【請求項2】
液状ゴムが非シリコーン系ゴムである請求項1記載の熱伝導性フィルム。
【請求項3】
液状ゴムの数平均分子量が10000以下である請求項1又は2記載の熱伝導性フィルム。
【請求項4】
液状ゴムが、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基の官能基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項5】
液状ゴムのヒドロキシル基含量が0.05〜5モル/kgである請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項6】
液状ゴムが、末端にヒドロキシル基を有し、かつ芳香族ビニル単位を実質的に含まないジエン系ゴムである請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項7】
液状ゴムが、1,4結合量と1,2結合量との割合(モル比)が、前者/後者=99/1〜50/50であるポリブタジエンである請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項8】
熱伝導性無機フィラーが、平均粒径0.1〜100μmの導電性又は絶縁性無機フィラーである請求項1〜7のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項9】
熱伝導性無機フィラーの割合が、架橋ゴム100重量部に対して100〜500重量部である請求項1〜8のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項10】
厚みが250μm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の熱伝導性フィルム。
【請求項11】
熱伝導性無機フィラーと液状ゴムと架橋剤とを含む組成物の膜を形成した後、前記液状ゴムを架橋する請求項1記載の熱伝導性フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2012−224832(P2012−224832A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161038(P2011−161038)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】