説明

熱伝導性組成物およびその作製方法

重合体マトリックスに球状窒化ホウ素凝集体を充填材として配合した配合物を含む熱伝導性組成物において、前記球状窒化ホウ素凝集体が、不規則・非球状のBN粒子をバインダーで結合しその後噴霧乾燥され、2未満の平均アスペクト比を有することを特徴とする熱伝導性組成物。球状窒化ホウ素充填材の含有量が前記熱伝導性組成物全重量に対し、5から80重量%であり、凝集体平均粒子サイズが10から200ミクロンである。球状窒化ホウ素充填材の少なくとも60%以上が、粒子サイズ分布40から200ミクロン範囲内の平均凝集体サイズを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子用途に用いられる熱伝導性を有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子装置からの熱除去は、特にパーソナルコンピュータにおいてますます重要となってきている。演算速度の上昇と小型化により、プロセッサーからの熱流はますます顕著になっている。マイクロプロセッサーの温度が上昇すると、パーソナルコンピュータが誤動作する確率も高まる。したがって、過剰な熱を取り除きプロセッサーをある温度以下に保持することは緊急の課題である。熱除去量が増えるに従い、熱除去を促進するための高度な温度管理技術が必要となってくる。技術の一つとして、例えばヒート・スプレッダ、ヒート・シンク、蓋、ヒート・パイプなど、ある種の熱放散ユニットを使用し、電気システムの高温部分から伝導により熱を除去する方法がある。熱放散ユニットは、例えば、銅、アルミニウム、炭化珪素、金属合金、重合体複合材、セラミックス複合材などの熱伝導係数の高い材料から作られた構造物で、これを熱発生装置に機械的に取り付け熱除去を手助けするものである。熱放散ユニットの表面と熱発生装置部品の表面は、完全に平坦で平滑であることは希で、両者の表面の間にはエアーギャップが存在する。このエアーギャップは熱放散ユニットの温度管理装置としての効果、価値を低減するものである。
【0003】
電子部品間の界面材料、すなわちエアーギャップへの配置材としていくつかの重合体化合物が開発されて来ている。一つの例では、熱伝達面間に熱伝導性組成物を熱接着剤として配置している。もう一つの例では、前記組成物をフリップ・チップ(FC)などの下地材として使用している。さらにもう一つの例では、前記重合体材料は電子モジュール・アッセンブリ内のデバイス封入に用いられている。熱伝導性組成物のもう一つの例は、硬化(キュア)した重合体ゲル組成と充填材組成の混合物である。別の例では、前記組成物は耐熱性が低いため、伝熱性充填材を含んだグリースの形態をとっている。そしてこのグリース自体が熱伝導性を発揮する。もう一つの例では、前記組成物は有機樹脂と窒化ホウ素などの充填材を含む熱伝導性シートの形態を取っている。前記熱伝導性シートは熱パッド、相変化フィルム、熱テープなどに使用される。
【0004】
上記の界面用途用重合体組成物の特性は、熱伝導抵抗が小さく、熱的に安定であることが望ましい。また、接着剤については、接触する各種金属に対する高い粘着力を有し、熱サイクル、熱衝撃、高温試験、高温多湿試験を含む応力環境下で全体的な接着状態を維持でき、接合部分にボイドが存在しないこと、200℃までの熱安定性と、分注、スクリーン印刷、型紙印刷、その他当業者に公知の塗布方法に適合した粘性を有し、熱伝導性重合体充填材を分散させた際に安定で、長期間にわたり粘性がほとんど変化しないことが望まれる。特許文献1は、充填材としてメディアン粒径がおよそ130から260ミクロンの窒化ホウ素を20から60体積%の範囲で含む熱伝導性組成物を開示している。
【0005】
特許文献2においては、実質的に球状の窒化ホウ素粒子を熱伝導性充填材として組み入れることにより、相変化膜の厚さ方向の熱伝導性が、板状窒化ホウ素粒子を用いた場合に比べ高くなること、同時に、相変化前の熱抵抗が小さくなることを開示している。ここで用いられる「球状の」窒化ホウ素粒子、例えばPT620およびPT670、は1から5のアスペクト比を有することが明らかにされている。このアスペクト比から明らかなように、これらの粒子は実際のところ不規則な形状を有しており、決して球状ではない。当技術分野において「アスペクト比」は、粒子長径の短径に対する比として定義されており、すなわち粒子の形状が球に近似されるものか否かを示す指標となっている。アスペクト比が2を超えると、その粒子は球とは異なる形状を有することになり流動性が低下する。アスペクト比の下限は重要ではないが、1に近いことが望ましい。
【0006】
特許文献3は板状窒化ホウ素の球状凝集体からなる球状窒化ホウ素粉末について開示しており、同開示によれば、窒化ホウ素の球状凝集体は有機バインダーで結合され、その凝集体または粒子がおよそ1ミクロンを超える平均直径を有するように噴霧乾燥される。特許文献4は「ソリッド(中実)」な球状窒化ホウ素を開示するもので、同開示によれば、エアゾルガス状に懸架された窒化ホウ素の前駆体粒子をプラズマで溶解し、冷却・凝固の過程でソリッドな球状窒化ホウ素を形成するものである。
【特許文献1】欧州特許出願公開第322165号
【特許文献2】WO2003/027207A1
【特許文献3】米国特許第6,713,088号
【特許文献4】米国特許第6,652,822号
【特許文献5】欧州特許公開第0424094A号
【特許文献6】米国特許第5,681,883号
【特許文献7】特開昭59‐133360号
【非特許文献1】Communications of the American Ceramic Society, Vol.72, No.8, 1482−1484頁(1989)
【非特許文献2】Polymer Handbook:,Bramduf J.,;Immergut,E、H;Grulke,Eric A;Wiley Interscience Publication,New York,4thed.(1999)”;”Polymer Data Handbook Mark,James Oxford University Press,New York(1999)
【非特許文献3】Chemistry and Technology of Silicone,Noll,W.;Academic Press 1968
【非特許文献4】Chemistry and Technology of the Epoxy Resins” B.Ellis(Ed) Chapman Hall, New York,1993
【非特許文献5】Epoxy Resins Chemistry and Technology,edited by C.A.May, Marcel Dekker,New York,2nd edition,1988
【非特許文献6】Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology、2ndedition、1981、edited by Donatas Satas,527から544頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は新たな熱伝導性組成物を提供するもので、この熱伝導性組成物は重合体マトリックスに球状窒化ホウ素凝集体を充填材として配合した配合物を含み、グリース、接着剤、ゲル、相変化材料、パッド、テープ、箔など電子用途における熱界面材料として使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、重合体マトリックスに球状窒化ホウ素凝集体を充填材として配合した配合物を含む熱伝導性の組成物に関するもので、前記球状窒化ホウ素凝集体が、不規則・非球状のBN粒子をバインダーで結合しその後噴霧乾燥されたもので、2未満の平均アスペクト比を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の観点の一つは、重合体マトリックスと平均アスペクト比が2未満の球状窒化ホウ素球状凝集体の混合物にあって、重合体マトリックスがポリオレフィン、ポリオール-エステル、オルガノシロキサン、および、ポリジメチルシロキサン、エポキシ、アクリル酸塩、オルガノポリシロキサン、ポリイミド、フルオロカーボン、ベンゾシクロブテン、フッ素化ポリアリルエーテル、ポリアミド、ポリイミドアミド、シアン酸エステル、フェノール樹脂、芳香族ポリエステルポリアリーレンエーテル、ビスマレイミド、フッ素樹脂、およびこれらの組み合わせからからなる群より選択される硬化性材料から選択される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱伝導性組成物は温度管理用途に様々な形で使用することができ、単独のフィルム状、または基材を伴う相変化材料(PCM:Phase Change Material)、さらには、熱パッドまたはシート、グリース、ゲル、フラックス、接着剤、テープなどの形態を取ることができる。相変化材料は、室温、すなわち約25℃において自立的で形状安定な固体、準固体、ガラス状、または取り扱いやすい第一相(状態)結晶であるが、高温においては実質的に自在変形する。例えば電子部品の運転温度において、相変化材料は軟化もしくは液化し、粘性を有した流動可能な相となって界面の表面形状に沿うことができる。
【0011】
本発明の組成物は、球状の窒化ホウ素凝集体を、充填材として界面材料のマトリックスに含んでいる。一つの実施形態における前記組成物は、分散剤、他種の充填材などの任意構成要素を含むものである。
【0012】
球状窒化ホウ素充填材成分 A
ここで言う「球状窒化ホウ素」とは一般に、不規則形状の非球状BN粒子を結合剤で纏めて噴霧乾燥された、球形状の固体凝集体を意味する。一つの実施形態において、球状窒化ホウ素は1800から2100度の温度域で任意に熱処理される。
【0013】
結合剤の例としては水溶性アクリル酸、酢酸、ポリカルボン酸、シランなどが挙げられる。
球状窒化ホウ素粉末はオハイオ州、StrongsvilleのGE
Advanced Ceramicsから市販されている。本発明の熱伝導性組成物に使用される球状窒化ホウ素充填材は、米国特許第6,713,088号に記述されたものを使用することができる。
【0014】
一つの実施形態において、結合剤はホウ素、アルミニウム、シリコン、希土類およびアルカリ土類金属の酸化物(例えば酸化ホウ素)および/または有機結合剤の残渣、すなわちこれらの分解生成物、の群から選択される無機結合剤である。またもう一つの実施形態において、結合剤はアクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチルなどアクリル酸またはメタクリル酸のC1‐C4アルキルエステル;アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシルアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N‐t‐ブチルアクリルアミド、N‐メタクリルアミドおよびN,N‐ジメタクリルアミド、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルを含むアクリルアミドおよびアルキル置換アクリルアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリビニルアルコールから成る群より選択される有機結合剤であるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
一つの実施形態においてBN粒子の比率は、結合剤またはその分解生成物からなる表面層を有しており、結合剤の窒化ホウ素に対するモル比がおよそ0.00170−0.008となっている。
【0016】
一つの実施形態において、特許文献3に開示される噴霧乾燥された球状窒化ホウ素凝集体は、ジョークラッシャー、ロールクラッシャーおよび/または微粉砕用ミルなどを用いて、好ましいサイズ範囲に粉砕することができる。目標とする粒子サイズより粗い凝集体は、目標とするサイズ分布になるまで再度粉砕と分級を繰り返すことができる。実施形態1では、噴霧乾燥された球状窒化ホウ素の凝集体を冷間プレスまたは等方プレスを用いて、好ましい結晶特性を有する棒、ブリケットまたはペレット状に圧縮固化することができる。圧縮固化後、前記の棒、ブリケットまたはペレットは再度粉砕される。このような圧縮・粉砕工程は、本発明の熱伝導性組成物のBN原料球状粉末の結晶サイズ、粒子サイズ、粒子サイズ分布が得られるまで何回でも繰り返すことができる。
【0017】
さらにもう一つの実施形態では、特許文献3に記載される噴霧乾燥された窒化ホウ素凝集体を、本発明の熱伝導性組成物に使用する前に焼結することができる。この焼結工程は結晶成長あるいは非晶質相の結晶化を促進し、BN最終製品の密度を低減する。このことは「機械化学的に活性化した六方晶窒化ホウ素粉末の焼結」、Communications of the American Ceramic Society, Vol.72, No.8, 1482−1484頁(1989)にHagioらによって提唱されている。
【0018】
さらにもう一つの実施形態では、噴霧乾燥された球状窒化ホウ素を、本発明の熱伝導性組成物に受け入れ状態のまま使用するか、表面処理を施して使用する。表面処理はBN粒子表面をマトリックス重合体に馴染ませ、BN充填後の材料の粘性を低下させる。
【0019】
充填材の処理は、ボールミル法、ジェットミル法、およびシラザン,シラノール,シランまたはシロキサン化合物、アルコキシ,ヒドロキシまたはSi‐H基を含む重合体、その他従来一般に使用される充填材処理薬品による処理など、当業者に公知の化学的または物理的被覆またはキャッピングを、欧州特許公開第0424094号および米国特許第5,681,883号に示す方法を含む方法で行うことができるが、これ等に限定されるものではない。
【0020】
実施形態1において、球状窒化ホウ素凝集体はトリイソステロイチタン酸イソプロピルなどチタン酸および/またはジルコン酸系の結合剤で処理される。実施形態2では球状窒化ホウ素凝集体を、例えばエステル,アミド,酸無水物および酸塩化物などの安息香酸誘導体で表面処理する。ひとつの実施形態では、前記凝集体はパラ安息香酸で処理される。
【0021】
さらにもう一つの実施形態では、球状窒化ホウ素凝集体はアシルオキシ‐、アルコキシ‐、メトキシ‐シランまたはこれらの組み合わせの少なくとも一つにより処理される。ある実施形態では球状窒化ホウ素はアルコキシシランにより処理される。もう一つの実施形態では、前記アルコキシシランはメチルトリメトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,オルガノシランエステルトリス[(3‐トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、ビス[(トリメトキシシリル)プロピル] アミンおよびガンマ-ウレイドプロピルトリメトキシシランの群から選択されるメトキシシランである。
【0022】
一つの実施形態における噴霧乾燥された球状窒化ホウ素凝集体は、最終的な球状窒化ホウ素凝集体の10重量%までの被覆層で覆われる。一つの実施形態における被覆層の量は球状窒化ホウ素の0.5から5重量%である。一つの例において、被覆剤は疎水基を有し、終端に酸官能基を有する有機界面活性剤である。もう一つの例では、被覆剤は親水基を持つ界面活性剤と、疎水基を持つ界面活性剤の少なくとも2種類の界面活性剤の混合である。もう一つの実施形態における被覆剤または界面活性剤はソルビタンジエステルおよびソルビタンモノエステルの組み合わせである。一例として、被覆層はソルビトール無水物のモノエステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンおよびモノパルミチン酸ソルビタン等である。一つの実施形態における被覆材料は、例えば厚さ1−100ミクロンの銅またはその合金などの金属粉末を特開昭59‐133360号に開示される方法で形成する。
【0023】
本発明の実施形態1における窒化ホウ素凝集体は、平均アスペクト比が1からおよそ2の実質的に球形である。実施形態2において前記凝集体の平均アスペクト比は1から約1.5である。実施形態3において前記凝集体の平均アスペクト比は1から約1.3である。実施形態4において前記凝集体の平均アスペクト比は1から約1.25である。実施形態5では前記平均アスペクト比は約1.1未満である。
【0024】
実施形態1において、噴霧乾燥された球状窒化ホウ素凝集体は(球状凝集体の)直径が約1から150ミクロンの一般的な球形を有している。もう一つの実施形態における球状窒化ホウ素凝集体は平均直径が約20から100ミクロンである。実施形態3における球状窒化ホウ素凝集体は平均直径が約30から70ミクロンである。実施形態4における球状窒化ホウ素凝集体は平均直径が約70から100ミクロンである。
【0025】
本発明の実施形態1における噴霧乾燥された球状窒化ホウ素凝集体粉末のタップ密度はおよそ0.3g/ccから0.7g/ccである。
もう一つの実施形態における球状窒化ホウ素粉末のタップ密度はおよそ0.4g/ccから0.7g/ccである。実施形態3における球状窒化ホウ素粉末のタップ密度はおよそ0.2g/ccから0.6g/ccである。
【0026】
本発明の組成物のさらにもう一つの実施形態で使用される充填材は、破壊強度のバルク密度に対する比が6.5MPa cc/gを下回らない噴霧乾燥された球状窒化ホウ素粉末である。凝集体の強度は圧縮試験にて行ない、強度分布、すなわち凝集体の生存確率が50%となる荷重の中央値で評価される。粒子を粉砕する際の荷重はイリノイ州、ItascaのShimpo Instrumentsから販売されているShimpo強度ゲージFGE―50、その他同様の計測器を使用する事ができる。
【0027】
実施形態1において、球状窒化ホウ素凝集体の使用量は、要求される電気伝導率およびEMIシールド効果に応じて適宜調整することができる。多くの用途において、このEMIシールド効果はl0MHzから10
GHzの帯域において、少なくとも10dB程度である。
【0028】
もう一つの実施形態で使用される球状窒化ホウ素凝集体充填材の使用量は、熱伝導性組成物の熱伝導率が少なくとも約0.5
W/m―K、またASTM S470に基づく熱インピーダンスがおよそ1℃in/W未満となり、前記熱伝導性組成物の好ましい特性に悪影響を及ぼさない範囲で調整される。
【0029】
さらにもう一つの実施形態において、上記使用量は熱伝導性組成物の粘性が25から30℃において、およそ15百万cpsとなるように調整される。もう一つの実施形態において、球状窒化ホウ素および銀など他の充填材の量は、熱伝導性組成物の堆積電気抵抗値がおよそ1Ω‐cmを越えないように調整される。
【0030】
実施形態1において球状窒化ホウ素の量は、充填材として5から95重量%で使用される。もう一つの実施形態において、球状窒化ホウ素の量は15から約90重量%である。実施形態3における量は、およそ35から85重量%である。実施形態4における量はおよそ10から45重量%である。
【0031】
「マトリックス」または「界面」材料
構成要素 B:球状窒化ホウ素凝集体、および充填材、分散剤など任意の構成要素は、マトリックス材料中に内蔵される。このマトリックス材は熱伝導性組成物の基材としての役割を果たしている。ここで、「マトリックス」という用語は「界面」という用語と同義で用いられる。
【0032】
実施形態1における基材マトリックスは重合体材料である。好適なマトリックス材料としては、ポリジメチルシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、
他のオルガノ官能ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フルオロカーボン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ化ポリアリルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノール・クレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)
樹脂、ビスマレイミド樹脂、フッ素樹脂およびこれ等の混合物、さらに当業者に公知の他の重合体系材料を含むが、これらに限定されるものではない。(一般的な重合体については、Polymer Handbook:,Bramduf J.,;Immergut,E、H;Grulke,Eric A;Wiley Interscience Publication,New York,4th
ed.(1999)”;”Polymer Data Handbook Mark,James Oxford University Press,New York(1999)を参照のこと。)樹脂には、熱硬化性又は熱可塑性プラスチックが含まれる。
【0033】
実施形態1において、マトリックス成分には長期間にわたり安定な熱伝導特性、すなわち長時間使用後に油分が滲出し熱放散特性が低下しない、シリコーン成分が含まれる。一例として、チキソトロピー指数が1.03からl.5、250℃における粘性がl00‐1,000,000mm/秒のオルガノポリシロキサンが挙げられる。一つの実施形態では前記オルガノポリシロキサンとしてポリジメチルシロキサン、ポリアルキルシロキサン、ポリジメチル−co−メチルフェニルシロキサン、ポリジメチル−co−ジフェニルシロキサンまたはオルガノ官能ポリシロキサン液が使用される。もう一つの実施形態におけるオルガノポリシロキサンは、2つ以上のアルケニル基を分子中に有するオルガノポリシロキサンと、2つ以上のSiH基を有するオルガノポリシロキサンを白金触媒下で付加反応させることにより得ることができる。
【0034】
一つの実施形態において、マトリックス成分はビニル終端シロキサン、架橋剤および触媒を含むシリコーン樹脂混合物を含む。前記界面材料は従属的で架橋可能な性質を有している。ここで用いる「従属的」という用語は、材料が室温において硬く変形しないのとは反対に、室温において降伏し変形する性質のことを意味する。またここで用いる「架橋可能」という用語は、まだ架橋していない材料または化合物を示すものである。
【0035】
シリコーン樹脂混合物の例として、ビニルシリコーン、ビニルQ樹脂、水素官能シロキサンおよび白金−ビニルシロキサンの混合物などがある。前記樹脂は室温または高温で硬化し従属的エラストマーを形成する。この際の反応は、ビニル官能シロキサンと水素官能シロキサンが白金錯体、ロジウム錯体またはニッケル錯体の存在下でヒドロシル反応(追加硬化)するものである。
【0036】
実施形態1において、ベースマトリクスは熱硬化型樹脂、または硬化性材料である。これにはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリロキシ樹脂が含まれるが、これ等に限定されるものではない。実施形態1におけるマトリックス成分は、混合時には分配可能な状態であるが硬化した際には固定化された固体に硬化する。熱伝導性と電気的絶縁性の最終的性質は硬化した際に現れる。
【0037】
実施形態1の硬化性マトリックスはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、その他フリーラジカル重合、原子移動ラジカル重合、ニトロキシドを用いたラジカル重合、可逆的付加-開裂連鎖移動ラジカル重合、開環重合、開環メタセシス重合、アニオン重合、カチオン重合、その他当業者公知の方法で架橋ネットワークを形成するオルガノ官能ポリシロキサン樹脂、およびその混合物を含む。好適な硬化性シリコーン樹脂の例としてChemistry
and Technology of Silicone,Noll,W.;Academic Press 1968に記述される付加硬化および濃縮硬化型マトリックスが挙げられる。
【0038】
硬化方法は当業者公知の何れかの方法によって行うことができ、熱硬化、紫外線硬化、マイクロ波硬化、電子線硬化、フリーラジカル開始剤によるフリーラジカル硬化、およびこれ等の組合せによって行うことができる。典型的なフリーラジカル開始剤として有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)、無機過酸化物(例えば過酸化水素)、有機または無機のアゾ化合物(例えば、2‐2’‐アゾ‐ビス‐イソブチリルニトリル)、ニトロキシド(例えば、TEMPO)またはこれ等の組合せを含む。
【0039】
前記マトリックスの硬化は一般的に20℃からおよそ250℃、より一般的には50℃から150℃の温度範囲で起る。実施形態1では、硬化温度が10℃から約200℃となる樹脂が選定される。硬化は一般的に1気圧(atm:14.7psi)から5000psi(ポンド毎平方インチ)、より一般的には1気圧から100psiの範囲で起る。さらに硬化は、30秒から5時間、より一般的には90秒から120分で起る。硬化した組成物は120℃から150℃の温度範囲でおよそ1から4時間、任意に追加硬化(post
cure)することができる。
【0040】
一つの実施形態においてマトリックス成分は多機能エポキシ樹脂など一般的なエポキシ樹脂を含む。通常、多機能エポキシ樹脂の添加量は全エポキシ樹脂重量に対し、およそ15から75重量%、たとえば40から60重量%である。ビスフェノールF型エポキシ樹脂の場合、その含有量は全エポキシ樹脂重量に対しおよそ35から75重量%、例えばおよそ40から50重量%である。好適な酸性フラックス剤としてアビエチン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アクリル酸、クエン酸、2‐フラト酸、リンゴ酸、サリチル酸、グルタル酸、ピメリン酸、ポリアクリル酸およびフェノールおよびその誘導体などの有機酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。好適な無水化合物の例として、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンディック酸メチル、3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ピロメリト酸二無水物などが挙げられる。潜在性硬化剤は、所定の温度到達などのトリガが発生した際に、エポキシ樹脂の重合に対し触媒作用を発揮する材料が選ばれる。
【0041】
エポキシ樹脂が界面材料のベース材料として用いられる場合、無水カルボン酸硬化剤などの硬化剤や、ヒドロキシル構成成分を含む有機化合物を、硬化触媒と共に任意試薬として添加することができる。エポキシ樹脂が使用される場合、硬化触媒はアミン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩、トリフェニルホスフィン、アルキル‐イミダゾール、アセチルアセトン酸アルミニウム、ヨードニウム化合物およびこれ等の組合せから選択することができるが、これ等に限定されるものではない。エポキシ樹脂の場合、多機能アミンなどの硬化剤を架橋剤として任意に添加することができる。これ等アミンの例には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2‐フェニレンジアミン、1,3‐フェニレンジアミン、1,4‐フェニレンジアミンおよび2つ以上のアミノ基を有する他の化合物が含まれるが、これ等に限定されるものではない。
【0042】
本発明の熱伝導性組成物は、全ての成分を混合した一薬式、または二薬式とすることができる。一つの実施形態においてマトリックス成分はBステージ硬化型組成を含む。
【0043】
実施形態1では、Bステージ硬化型組成として第一の温度で熱硬化する成分;第一の温度より高い第二の温度、または電磁スペクトル照射で硬化する第二の成分;および固体硬化成分のための熱硬化触媒を含む。熱硬化触媒は硬化が開始する温度を低下させ、硬化発生のための温度条件が適宜選定された際の硬化を促進するためのものである。実施形態2において、Bステージ硬化型組成は第一の温度で固体状に硬化し、第一の温度より高い第二の温度、または電磁スペクトル照射で完全に固化する。
【0044】
熱硬化型固体成分としては、エポキシ、エピサルファイド、マレイミド、イタコンイミドおよびナドイミドを使用する事ができる。固体状エポキシ樹脂には単機能エポキシ化合物が含まれる。下地材として使用する実施形態の場合、湿分吸着を低減し、また基板との熱膨張係数の適合を図るため、マトリックス成分にはエポキシベースの化合物が用いられる。エポキシ樹脂の例には、Resolution PerformanceからEPONの商標で販売されているEPON1009Fなどのフェノール化合物ポリグリシジル誘導体などが含まれる。固体状硬化剤成分としては他にアミンのポリグリシジル付加体、アミノアルコール、ポリカルボン酸もまた有効である。液体状硬化剤成分としては、エポキシ、エピサルファイド、マレイミド、ナドイミド、イタコンイミド、(メト)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルアミド、スチレンおよびこれ等の誘導体、ポリ(アルケニレン)、ノルボメニル、チオレンなどを使用する事ができる。熱硬化触媒はフリーラジカル触媒、陰イオン硬化剤、陽イオン硬化剤およびこれ等の組合せから選定することができる。
【0045】
チップ基板などの基板を、回路基板やもう一つのチップ基板など他の基板に取り付ける場合、Bステージ硬化剤を少なくとも一方の基板表面に塗布し、その後硬化剤が軽度に架橋する状態に曝すことで、Bステージ硬化膜を形成する。Bステージ硬化膜のついた基板は、第二の基板に取り付けられる準備が整うまで保管することができる。その後Bステージ硬化膜はそれ自身が融解する温度に曝され、またこの温度で完全に硬化して2枚の基板を接合し、2枚の基板の間にBステージ硬化組成物の挟まれた3層構造物を形成する。
【0046】
硬化触媒:
硬化型材料を含むマトリックス成分の場合、マトリックス成分中に少なくとも一つの触媒成分を含むことができる。前記触媒成分はマトリックス成分として使用されている硬化型樹脂に適合した任意の触媒の群から選択することができる。エポキシ樹脂が用いられる場合、無水カルボン酸硬化剤などの硬化剤や、ヒドロキシル構成成分を含む有機化合物を、硬化触媒と共に任意試薬として添加することができる。エポキシ樹脂の場合、無水硬化剤の典型例には無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸、無水ビシクロ[2.2.1]ヘプタ‐5‐エン‐2,3カルボン酸、無水メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ‐5‐エン‐2,3‐ジカルボン酸、無水フタル酸、無水ピロメリト酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ジクロロマレイン酸、無水クロレンド酸、無水テトラクロロフタル酸などが含まれる。少なくとも2種類の無水物硬化剤を含む組合せを使用することもできる。具体的な例は、Chemistry and Technology of the Epoxy Resins” B.Ellis(Ed) Chapman Hall, New York,1993およびEpoxy Resins Chemistry and Technology,edited by C.A.May, Marcel Dekker,New York,2nd edition,1988に記述されている。他の触媒には、アミン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩、トリフェニル・ホスフィン、アルキル-イミダゾール、およびアセトン酸アセチルアルミニウム、ヨードニウム化合物、オニウム塩およびこれ等の組合せを含む。エポキシ樹脂には、多機能アミンまたはアルコールを架橋剤として任意に添加することができる。アミンの例には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2‐フェニレンジアミン、1,3‐フェニレンジアミン、1,4‐フェニレンジアミンおよび2つ以上のアミノ基を有する他の化合物が含まれるが、これ等に限定されるものではない。アルコールの例として、フェノール樹脂、Novolak系、ビスフェノール、および2つ以上のヒドロキシ基を含む他の化合物または当業者に公知の他の化合物が挙げられる。
【0047】
アクリル酸塩を使用する場合、硬化触媒はヨードニウム化合物またはオニウム塩などの陽イオン硬化開始剤、または過酸化物またはアゾ化合物などのラジカル硬化開始剤、その他当業者公知の触媒を使用する事ができる。凝縮硬化型シロキサン樹脂を使用する場合、有機金属スズ化合物(例、Sn(アセテート)2)などルイス酸触媒を任意に使用する事ができる。さらにベースマトリックス用の添加硬化型シリコーン樹脂用触媒には、第8族から第10族の遷移金属(すなわち、ルテニウム、ロジウム、白金、パラジウム)錯体を含む化合物が含まれる。添加硬化型シリコーン樹脂用触媒は白金錯体であることが好ましい。好適な白金錯体として、白金微粉末、メタルブラック、アルミナまたはシリカまたは活性炭などの固体担体に吸着した金属、クロロ白金酸、テトラクロライド金属、オレフィンまたはジビニルテトラメチルジシロキサンやテトラメチル‐テトラビニルシクロテトラシロキサンなどのアルケニルシロキサンとの金属錯体、およびこれ等の組合せがあるが、これ等に限定されるものではない。
【0048】
添加硬化型シリコーン樹脂の硬化特性を調整し、組成物の望ましい保管寿命を得るため触媒抑制剤を加えることができる。好適な抑制剤として、ホスフィンまたは亜リン酸塩化合物、硫黄化合物、アミン化合物、イソシアヌル酸塩、アルキニルアルコール、マレイン酸塩、フマル酸エステル、これ等の混合物および当業者に公知の他の化合物が含まれるが、これ等に限定されるものではない。好適な抑制剤の代表例としてトリアリルイソシアヌル酸塩、2‐メチル‐3‐ブチン‐2‐オール、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)、マレイン酸ジアリル、硫化ジエチルおよびこれ等の混合物を挙げることができる。
【0049】
有機‐無機複合体を含むマトリックス成分:
もう一つの実施形態における重合体マトリックスは有機‐無機複合体である。複合体マトリックスは、主族金属元素(例えばアルミニウム、マグネシウム、ガリウム、インジウム)、主族半金属元素(例えばホウ素、ゲルマニウム、砒素、アンチモン)、リン、セレン、遷移金属元素(例えば白金、パラジウム、金、銀、銅、亜鉛、ジルコニウム、チタン、ルテニウム、ランタン等)または無機クラスタ(ポリヘドラールオリゴマーシルセスキオキサン、ナノ金属酸化物、ナノシリコン酸化物、金属酸化物を被覆したナノ金属粒子およびナノ金属粒子を含むが、これらに限定されない)と化学的に結合する重合体を含む。有機‐無機複合重合体マトリックスは、アルケニル、アリル、Si‐H、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン酸、イソシアン酸、エポキシドおよび当業者に公知の重合基を含む有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーと、重合基を含む無機クラスタまたは有機金属化合物との共重合生成物を含むが、これ等に限定されるものではない。有機‐無機複合重合体マトリックスはまた、重合型官能基を含まない無機クラスタまたは有機金属化合物にあって、表面のOH官能基または他の官能基により重合ネットワークの一部になり得る場合を含む。
【0050】
ここで言う「化学的結合」とは共有結合、イオン相互作用、イオン‐共有結合、配位結合、または水素結合を示す。有機‐無機複合重合体マトリックスは、アルケニル、アリル、Si‐H、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン酸、イソシアン酸、エポキシドおよび当業者に公知の重合基を含む有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーと、無機クラスタまたは重合基を含む有機金属化合物との共重合生成物を含むが、これ等に限定されるものではない。例としてアクリル酸塩またはメタアクリル酸塩と、金属アクリル酸またはメタアクリル酸化合物の共重合生成物は有機‐無機複合重合体マトリックスの一つである。エポキシドとエポキシド官能無機クラスタの共重合生成物もまた有機‐無機複合重合体マトリックスの一つである。有機官能無機クラスタまたは有機金属化合物のホモ重合生成物、または異なる有機官能無機クラスタまたは有機金属化合物の共重合生成物もまた有機‐無機複合重合体マトリックスの一つと考えられる。有機‐無機複合重合体マトリックスはまた、重合基を含まない無機クラスタまたは有機金属化合物にあって、表面のOH基または他の官能基により重合ネットワークの一部になり得る場合を含む。
【0051】
ワックスをベースとする組成を含むマトリックス成分
一つの実施形態において、熱伝導性組成物のベース材料は30から150℃の融点を有するワックスからなっている。この熱伝導性組成物には、天然ワックス、合成ワックスまたは混合ワックスを含むあらゆる種類のワックスを使用する事ができる。天然ワックスの例として、カンデリラワックス、カルナバワックス、穀物ワックス、木蝋およびホホバ油などの植物ワックス;蜜ろう、ラノリンおよび鯨蝋などの動物系ワックス;モンタン蝋、オゾケライト、セレシン蝋などの鉱物系ワックス;パラフィン蝋、微結晶ワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックスなどがある。合成ワックスの例としては、合成炭化水素;変性ワックス、パラフィンワックス誘導体、微結晶ワックス誘導体、水素化ワックス;脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、および12‐ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドおよび塩素化炭化水素などその他のワックスが含まれる。実施形態1では任意の軟化剤が添加される。例として植物系軟化剤、鉱物系軟化剤およびこれ等の混合物が含まれる。
【0052】
ワックスベースの組成物は、これ等の成分を所定の量混ぜ合わせ、当該分野で一般に使用される方法でシート状またはフィルム状に成形される。例えば、ワックス、窒化ホウ素、任意の軟化剤などを熱ミキサで混練し、混練した材料を熱間溶融被覆法によりライナー上に被覆することによりシートを成形することができる。また上記の成分を適切な溶剤で希釈しミキサで混合した後、混合物をライナー上に溶剤成型することでシートを成形することもできる。前記シートは、最終用途に応じて様々な厚さに成形することができる。しかしながら、一般に厚さは可能な限り薄い方が良く、ある実施形態では0.02
から2.0mm、他の実施形態では0.1から0.5 mmとなっている。
【0053】
非シリコーン/非ワックスベース材料を含むマトリックス組成物
一つの実施形態において、マトリックス成分はポリオレフィンベースの組成物からなっており、高温において固体からペーストまたは液体に可逆的に変化することができる。一つの実施形態において、ポリオレフィン重合体はα‐オレフィンベース重合体、エチレン/α‐オレフィン共重合体、エチレン/α‐オレフィン/非共役ポリエンランダム共重合体からなる群より選択される。一つの実施形態における前記組成物は、80℃における粘性が102から105PaS、25℃における可塑性が100から700の熱軟化、熱放散シートとして使用される。
【0054】
もう一つの実施形態におけるマトリックス成分は、組成中の溶剤成分が蒸発することで素早く乾燥できる非シリコーン、非ワックスベース材料である。一例としてHATCOL2373などのポリオール-エステル、球状窒化ホウ素充填材、ポリイソブテンなど粘性係数改善剤としての任意の油、任意の溶剤、任意の表面活性剤がある。溶剤の例にはナフサ、ヘキサン、ヘプタンその他消散の早い石油蒸留液が含まれる。熱伝導組成物が熱グリースとして使用されるのか、あるいは高密度の熱ペーストとして使用されるのかにより、表面活性剤を必要とする、または必要としないが決められる。表面活性剤の例としてポリグリコールエーテルが挙げられる。前記表面活性剤はグリース状組成物が薄膜を形成するのを促進する。
【0055】
一つの実施形態における非シリコーン、非ワックス化合物は、例えば噴霧推進剤と組み合わせて電子部品や基板に直接、望みの厚さに吹き付けるなど、公知の方法と組み合わせて使用する事ができる。また前記組成物は電子部品や基板上に直接スクリーン印刷することができる。
【0056】
粘弾性組成物を含むマトリックス成分
一つの実施形態では、マトリックス成分は粘弾性材料を含んでおり、熱源の運転温度範囲内の温度で融解する。特に界面材料はマイクロプロセッサーの運転温度で粘弾性的に変性し熱源から発生する熱をヒートシンクに伝達する。一つの実施形態では、粘弾性組成物は(1)熱可塑性エラストマー(2)前記エラストマーに適合した油(3)粘着性樹脂を含んでいる。熱可塑性エラストマー(1)はスチレン-アルキレンブロック共重合体である。適合した炭化水素油(2)は鉱物油、ポリアルファオレフィンまたはこれ等の混合物である。「適合した」という用語の意味は炭化水素油が混和性であること、すなわち熱可塑性エラストマー(1)と粘着性樹脂(3)の両者に溶け込むことを意味している。前記粘着性樹脂(粘着剤)(3)は当業者に公知のもので、例えばHandbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology、2nd
edition、1981、edited by Donatas Satas,527から544頁にその詳細が記述されている。粘着性樹脂(粘着剤)の例には、天然および改質ロジン;天然および改質ロジンのグリセリンおよびペンタエリスリトール;ASTM法E28‐58Tで決められる軟化点がおよそ60℃から140℃のポリテルペン樹脂;天然テルペンの共重合体および三元重合体、フェノール改質テルペン樹脂;脂肪族石油系炭化水素樹脂;その他同様物がある。
【0057】
球状窒化ホウ素充填材(および他の充填材)は分散剤(B)に混合された後、粘弾性組成物に混合される。分散剤(B)は金属アルキル硫酸塩、シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩およびこれ等の混合物の群から選択される。
【0058】
任意成分C
本発明の熱伝導性組成物には接着促進剤として他の材料を添加することができる。接着促進剤は、窒化ホウ素と樹脂または他の添加物との適合性を改善するなど成分間の科学的相互作用の改善を促進するほか、前記組成物の基板への接着性を改善する。
【0059】
接着促進剤はおよそ最終組成重量の0重量%から5重量%の範囲、好ましくは0.01重量%からおよそ5%、さらに好ましくは0.01重量%からおよそ2%、またはこれ等の範囲の間、または範囲の組合せで添加する。
【0060】
接着促進剤にはエポキシシランおよびシラノール終端オルガノシロキサン接着促進添加物が含まれる。接着促進剤にはアルコキシシラン化合物、アルコキシ構成物を含むシロキサン液を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、有機チタン酸を濡れ性改善剤として加え、ペーストの粘性を低下させ充填材の充填量を増加させることができる。
【0061】
接着促進剤の他の例として、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)フマル酸などのアルコキシ-またはアリルオキシ‐シラン、またはアクリロキシトリメトキシシリルやメタクリロキシプロピルトリメトキシシリル官能基で改質したテトラシクロシロキサンなどのアルコキシ-またはアリルオキシ‐シロキサンが挙げられる。一つの実施形態では、日本のGE東芝シリコーン株式会社から販売されているシクロテトラシロキサンプロパン酸、アルファ2,4,6,6,8−ヘキサメチル‐3‐(トリメトキシシリル)プロピルエステルを粘着促進剤として使用している。接着促進剤にはシラノール、アルコキシシリル官能基を一つ以上含むオリゴシロキサン、アリルオキシシリル官能基を一つ以上含むオリゴシロキサン、アルコキシシリル官能基を一つ以上含むポリシロキサン、ヒドロキシ官能基を一つ以上含むオリゴシロキサン、アリルオキシシリル官能基を一つ以上含むポリシロキサン、ヒドロキシ官能基を一つ以上含むポリシロキサン、アルコキシシリル官能基を一つ以上含むシクロシロキサン、アリルオキシシリル官能基を一つ以上含むシクロシロキサン、ヒドロキシ官能基を一つ以上含むシクロシロキサン、トリアルコキシアルミニウム、テトラアルコキシシラン、イソシアヌル酸およびこれ等の混合物が含まれるが、これ等に限定されるものではない。
【0062】
前記組成物が相変化材料(PCM)として使用される一つの実施形態では、PCMはさらに融点調整剤を含み、PCMがマイクロプロセッサーまたは電子部品の運転温度において流動性を持つようにPCMが軟化または融解する温度を調整する。
【0063】
一つの実施形態では、熱伝導性組成物の粘性を低下させ窒化ホウ素充填材の分散を促進するための分散剤が含まれている。分散剤の例として、有機シラン、有機チタン酸塩、有機ジルコニウム、金属アルキル硫酸塩、シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩などの機能性有機金属カップリング剤または濡れ性改善剤が含まれる。一つの実施形態における分散剤は、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチル‐オキセタン、ドデシルグリシジル・エーテル、4‐ビニル‐1‐シクロヘキサンジエポキシド、ジ(ベータ(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル)‐テトラメチルジシロキサンおよびこれ等の組合せなどの反応性希釈剤から選択される。もう一つの実施形態における分散剤は、低沸点アリファト酸炭化水素(例えばオクタン)、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸1‐メトキシプロピル、エチレングリコール、ジメチルエーテルおよびこれ等の組合せなど非反応性希釈剤から選択される。
【0064】
一つの実施形態では、本発明の窒化ホウ素と共に他の充填材が用いられる。これ等の充填材には、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物およびシリコン酸化物、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩、窒化ホウ素(六方晶または立方晶)、窒化アルミ(被覆または非被覆)および窒化ケイ素などの金属窒化物、炭化ケイ素などの金属炭化物、ケイ酸被覆窒化アルミ粒子などの被覆金属窒化物、銀、銅、アルミニウムおよびこれ等の合金などの金属、球状アルミニウム、銀被覆銅、銀被覆アルミニウム、銀被覆セラミックスまたはガラス、ホウ酸塩被覆銀粒子など有機表面活性剤被覆金属、アルミナ被覆銀粒子、ケイ酸ガラス被覆銀粒子、パルミチン酸被覆アルミニウム粒子、自然酸化膜の付いたアルミニウム粒子、ダイアモンド、グラファイトファイバーなどの炭素繊維、カーボンナノチューブおよび金属被覆炭素繊維、TiB、金属合金、導電性重合体または他の複合材料、が含まれるがこれ等に限定されるものではない。
【0065】
一つの実施形態における任意の充填材はOccidental Chemical CorpからSilicecus‐40として販売される水とNaSiOの溶液が使用される。
【0066】
一つの実施形態において、「任意の充填材」は可溶性、すなわち一般にハンダや熱接合またはフューズに用いられる低融点金属または合金を含む。特にこれ等の金属は球状窒化ホウ素凝集体と共に分散相中で使用される。一つの実施形態では、分散金属は融点がおよそ−50から260℃の材料を含み、通常ガリウム、ビスマス、鉛、スズ、カドミウムおよびインジウムを含むが、亜鉛、銀、銅、アンチモンなど他の金属を一種類以上含むことができる。一つの実施形態における合金はガリウム、ガリウム‐インジウム合金、ガリウム‐スズ合金、ガリウム‐インジウム‐スズ合金またはガリウム‐インジウム‐スズ‐亜鉛合金である。
【0067】
本発明の一つの実施形態では、球状窒化ホウ素がナノサイズの充填材、例えば1から1,000ナノメータ(nm)の充填材粒子と併用される。市販されているこのような充填材粒子の例としてドイツのHans Chemieから販売されているNANOPOX、たとえばNANOPOX XP22等がある。NANOPOX充填材はエポキシ樹脂中にケイ酸充填材を重量比で約50%まで単分散させたものである。NANOPOX充填材は通常5nmからおよそ80nmの粒子サイズを有するものとされている。
【0068】
一つの実施形態では、熱伝導性をさらに改善する目的で、最終製品重量比で0.05から20%の炭素繊維を充填材として添加することができる。一例としてオハイオ州、CedarvilleのApplied Sciences,Inc.から入手可能な気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)がある。VGCF、または「ミクロ炭素繊維」は熱処理により高度に黒鉛化されており(熱伝導率=1900w/m℃)、様々な長さと直径、例えば1mmから数十センチの長さで、0.1μm以下から100μmを超えるものまで入手可能である。
【0069】
実施形態1では、溶融金属および/または合金が最終組成物に対し5から95%投入されている。実施形態2における溶融金属はインジウム合金で、全熱伝導性組成物重量の35から95重量%含まれている。実施形態3における溶融金属はインジウム合金で、全熱伝導性組成物重量の50から95重量%含まれている。
【0070】
一つの実施形態では、顔料および/または(顔料マスターバッチで使用される)キャリア液に混合した顔料が成分に加えられる。もう一つの実施形態では、難燃化剤が最終成分に対して0.5から20重量%の範囲で添加され使用される。難燃化剤の例として、ホスホルアミド、リン酸トリフェニル(TPP)、ジリン酸レソルシノール(RDP)、ビスフェノール−a−二リン酸(BPA‐DP)、有機ホスフィン酸化物、ハロゲン化エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノール A),金属酸化物、金属水酸化物およびこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態3では接着促進剤としてアルコキシシラン化合物、アルコキシ構成分を含むポリシロキサン液、チタン酸などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。さらに、樹脂の硬化特性を調整するための化合物を添加することもできる。
【0071】
本発明の熱伝導性組成物の応用一つの実施形態では、熱伝導性組成物をそのまま、すなわちグリース、ゲルまたは相変化材料成分として塗布することができる。もう一つの実施形態では、組成物をシート状またはフィルム状に予め成形して電子部品間に合う形に裁断後使用することができる。また代替法として、前記組成物をデバイスの熱発生または熱放散ユニットに予め塗布し、Bステージ状態で保管することができる。ユニットを組み立てた後、これを熱放散または熱発生ユニットに取り付けて、完全に硬化させることが可能である。
【0072】
重合体マトリックスが硬化型で無い場合、その熱界面組成物はゲル、グリース、または相変化材料として部品組み立て時に部品同士を保持し、また運転時に熱を伝える状態で使用することができる。前記相変化材料は、ワックス化合物、ポリアルキルシロキサン、ケイ素-フェニル構成部を有するシロキサン、オリゴ‐または低分子量ポリオレフィン、C12‐C16アルコール、酸、エステル、メチルトリフェニルシラン、およびこれらの組み合わせ等であるが、限定されるものではない。重合体マトリックスが非硬化型、または硬化しない場合、イオン液体などの一般的な有機液体を樹脂材料として使用することができる。
【0073】
一つの実施形態では、前記組成物は二層接着構造の形態で塗布される。重合体ベースと任意のベース内部層が、ヒートシンクに使用された際に常温では粘着性の無い組成物に硬化する接着剤を含んでいる。前記ベース材には、感圧接着材(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)など、ヒートシンクが常温になった際にも粘着性を持った外皮が被覆されている。上述のように、重合体ベース成分は、シリコーン、ポリウレタン、アクリル、アクリル系感圧接着剤などで作ることができるが、代わりに重合体成分として相変化材料(PCM)を用いることもできる。
【0074】
もう一つの実施形態における前記組成物は、熱発生ユニットと熱放散ユニットの間隙に、未硬化ないしは流動性を持った組成物として塗布できる。この組成物はその後、熱接着剤またはゲルに硬化または固化する。各種最終用途の例を以下に記述する。
【0075】
a.熱伝導性下地
一つの実施例で、熱伝導性組成物は下地材料として使用される。一例では、下地化合物(球状窒化ホウ素充填材を除く)は、10から70重量%のエポキシ成分、およそ1から15%の潜熱フラックス剤、および3から30重量%の潜熱硬化剤成分を含んでいる。実施形態1における潜熱フラックス剤には無水化合物を含む。もう一つの実施形態における潜熱フラックス剤は、140℃以上の温度でフェノール化合物またはカルボン酸含有化合物の群から選択される。さらにもう一つの実施形態における潜熱硬化剤は、酸性フラックス剤の一部の錯体で、窒素化合物を含有する塩を含む。
【0076】
b.熱伝導性その場硬化ゲル
球状窒化ホウ素凝集体を含む重合体マトリックスが固体状に硬化または固化しない場合、その熱伝導性組成物は部品を組み立て中につなぎ合せ、デバイスが動作中には熱を伝達するゲルとして作ることができる。
【0077】
一つの実施形態では、前記組成物は分配可能なゲルとなっており、ノズルやオリフィスから圧力によって玉状に、または一定量分配することができる。圧力は銃または注射器などの装置、またはポンプ、計量シリンダーなどの計量装置から負荷される。これ等装置で分配した組成物は変形自在で、回路部品、基板、電子装置筐体の表面の間隙を埋め尽くすことができる。
【0078】
一つの実施形態では、ゲル材は少なくとも一つのゴム化合物と少なくとも一つのアミン樹脂を含んでいる。これら少なくとも一つのゴム化合物と少なくとも一つのアミン樹脂の架橋反応でゲル状態が作り出される。
【0079】
ゴム成分は飽和または非飽和物を使用する事ができる。本用途では熱酸化による劣化を考慮して、飽和ゴム化合物を使用する事が好ましい。使用できる飽和ゴムの例として、エチレン-プロピレンゴム、水素化ポリプロパジエン・モノ-オール、水素化ポリルペンタジエン・モノ-オール、水素化ポリアルキルジエン・“ジオール”(例えば水素化ポリブタジエンジオール、水素化ポリプロパジエンジオール、水素化ポリペンタジエンジオール)および水素化ポリイソプレンを上げることができる。ゴム成分にアミンまたはアミン樹脂を添加または付加して、少なくとも一つのゴム化合物の主または終端ヒドロキシ基とアミン樹脂の架橋反応を促進させる。
【0080】
一つの実施形態において架橋可能な熱伝導性組成物は、飽和ゴム化合物とアミン樹脂を架橋して架橋ゴム‐樹脂混成物とし、これに球状窒化ホウ素充填材(および他の任意充填材)を加え、さらに前記架橋ゴム‐樹脂混成物に濡れ性改善剤を加えることにより形成することができる。さらにこの方法に、前記架橋ゴム‐樹脂混成物に少なくとも一つの相変化材料を加えることを含めることができる。この材料は分配可能な液状ペーストとして各種分配方法により塗布した後、用途に応じ硬化することができる。また前記材料は変性自在に硬化したエラストマーフイルムまたはシートとして界面表面に事前に塗布することもできる。また前記材料は柔軟ゲルまたは液体として製造することもでき、あらゆる好適な分配方法により表面に塗布することができる。
【0081】
一つの実施形態におけるゲルは、水素化シリコン液と終端にビニル基を有するポリジメチルシロキサン液、またはエーテル官能基を有するポリアルキシロキサン液の反応により得ることができる。
【0082】
もう一つの実施形態におけるゲルは、ビニル官能基を有するオルガノシロキサンと架橋剤の遷移金属触媒反応または架橋反応により得られる。この架橋反応の例として、ビニル終端ポリジメチルシロキサンとポリ(ジメチル−co−メチルヒドリド)シロキサンのプラチナ触媒とするヒドロシリル化反応が挙げられる。ゲルは硬化前の状態で分配され、熱発生ユニットと熱放散ユニットの間に注入され、その後その場で硬化される。また代わりにゲルを事前に液状ゲルに予備硬化し、さらに硬化を必要としないそのままの形で塗布される。
【0083】
c.熱伝導性グリース
一つの実施形態では、球状窒化ホウ素材料を、未架橋または軽度に架橋したシリコーン担体および任意の流出防止剤を含む熱伝導性グリースの充填成分として使用することができる。前記グリースは生得的に粘着質または粘着性なものとして作成し、グリース層の片面または両面が表面張力などにより室温、約5psi(35kPa)以下の圧力下でヒートシンク、スプレッダーなどに貼り着くようにすることができる。
【0084】
球状窒化ホウ素凝集体を加えることにより、一つの実施形態における原位置熱伝導率をNetzsch社製
Microflash 300で測定したところ、およそ0.1から15 W/m‐Kであり、熱インピーダンスはおよそ1℃in/W未満であった。
【0085】
理論的には、長期の使用に際し乾燥せず、球状窒化ホウ素および任意の充填材を分離することなく保持し、化学的に不活性な液状シリコーンであればいずれも使用できる。一つの実施形態において、有機シリコーン化合物は25℃でおよそ10から10,000センチストークの粘性を有している。また一つの実施形態における液状シリコーン担体は、25℃でおよそ100センチストークの粘性を有するポリジメチルシロキサンである。さらに一つの実施形態において、流出防止剤は0.1からおよそ0.4重量%の範囲で使用される。前記流出防止剤はサイズが1ミクロン未満で、実質的なサイズが5ミクロン未満のシリカ繊維を含む。
【0086】
d.熱伝導性箔
一つの実施形態では、前記組成物は裏地または除去可能なライナーのついた熱伝導性箔として使用され、必要に応じダイカットして使用することができる。前記除去可能なライナーは、取り扱い、搬送、貯蔵を容易にするため前記組成物の表面に取り付けられるが、前記材料が電子部品間および/または電子部品とヒートシンクの間隙に適用される際に取り除くことができる。
【0087】
e.感圧接着剤またはフィルム
本発明の一つの実施形態では、球状窒化ホウ素充填材と樹脂を含む組成物を開放面に被覆し、乾燥または硬化して安定な材料として提供する。必要に応じて、これらのテープの両面に剥離可能なカバーシートを貼り付け、他の表面に不意に張り付くことを防止し、巻取りを可能にし、および/またはテープを使用する際の熱特性の妨げとなる汚れ、埃、またしばしば破片の付着を防ぐことができる。ここで言う感圧接着剤とは、使用温度で通常粘着質であり、圧力の付与によって表面に接着する接着剤を意味する。
【0088】
一つの実施形態では、熱伝導性材料を、片面がアルミニウム箔などの支持体シートに貼着し、他方の面が、界面を弱く使用に当たって用意に剥離できるカバー/剥離/保護ライナーまたはフィルムに覆われたフィルムまたはシートに成形している。弱い界面は前記熱伝導性材料をシート/フィルムを熱発生、または熱移送装置に貼り付けた後に形成または弱めることが可能である。界面を弱める方法としては、薬品、紫外線、熱、冷凍などを含む方法が採用できる。一つの実施形態における前記材料は、界面または電子部品の表面に直接貼り付けられるテープ状に成形されている。
【0089】
一つの実施形態において、支持体または補強材のシートまたはフィルムはおよそ0.5から5milの厚さを有しており、金属箔を使用する場合はおよそ1から3milの厚さとなっている。
【0090】
一つの実施形態では、支持シートに金属箔が使用され、かつ金属製充填材が熱伝導性組成物の球状窒化ホウ素凝集体充填材と共に使用される場合、前記支持シートの表面を厚さ約2mil(1mil=25ミクロン)未満の低融点合金層で被覆または処理し、前記シートと熱伝導性組成物の接着を促進している。
【0091】
一つの実施形態におけるカバー/保護フィルムには、直鎖飽和ポリエステル、PTFE、フッ化ポリビニルなどの熱可塑性接着剤が使用されている。もう一つの実施形態における前記フィルムは、ポリエチレン被覆紙を含む粘着/剥離ライナーを使用している。もう一つの実施形態におけるカバー/保護フィルムは、ポリジメチルシロキサン、フッ化シリコーン、または非シリコーン系剥離型被覆材である。
【0092】
一つの実施形態において、熱伝導性組成物は10から50重量%の球状窒化ホウ素凝集体とこれに接着された接着剤フィルムを含む多層ラミネートの形態を取っている。
【0093】
f.熱伝導性パッド
一つの実施形態において、球状窒化ホウ素凝集体は熱伝統性ペースト、液体またはグリース化合物の充填材として用いられる。これらの化合物は次いでファイバーグラス、炭素、重合体繊維などの熱パッド担体上に塗布され、熱パッドの熱抵抗を低下させる。一例では、炭素繊維布が担体構造物として使用される。炭素繊維布はCarbon Composites CompanyおよびMorton Thiokolから市販されており、少なくとも重量比で50%の炭素繊維を含んでいる。これらのパッドは様々な寸法、形状に裁断することができ、一つの実施形態では厚さが5milから125milである。
【0094】
一つの実施形態におけるペーストまたはグリース化合物は、一定量のマイクロワックス、シリコーンワックスまたは他のシリコーン重合体等の流動性、可塑性樹脂からなるマトリックスと一体になって、熱伝導性を有し機械的に弾性なパッドを形成する。もう一つの実施形態において、前記化合物はホットスタンプ、スクリーン印刷などの被覆技術またはその他の熱パッド形成方法によって、熱移送表面に直接塗布することができる。
【0095】
一つの実施形態において、球状窒化ホウ素を使用した熱パッドは、少なくとも約0.5
W/m‐Kの熱伝導係数を有している。実施形態1において、パッドにはさらに10から90重量%の金属または合金を重合体マトリックス中に含んでおり、この合金の融点はー10から120℃となっている。実施形態2における合金は、多少のガリウム、ビスマス、スズ、および/または亜鉛を平均粒径1から100ミクロンの粒子として含んだインジウム合金である。
【0096】
一つの実施形態におけるペースト化合物は、20から50重量%のシリコーンワックスまたはマイクロワックスからなるマトリックスと、およそ5から30重量%の球状窒化ホウ素凝集体充填材、およそ30から70重量%の金属合金または混合物、さらに2から10重量%の表面活性剤を含んでいる。表面活性剤は金属粒子の表面に使用され、耐性のある親水障壁を形成する。さらに表面活性剤は金属粒子と重合体マトリックスの適合性を改善し粒子の凝集を抑える効果がある。一つの実施形態における表面活性剤はシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、およびこれらの混合物の群から選択される。もう一つの実施形態における表面活性剤はオクチル・トリエトキシ・シラン(ETES)またはメチル・トリメトキシ・シラン(MTMS)などのアルキル官能シランから選択される。
【0097】
熱伝導性組成物の形成方法充填材をマトリックスに組み込む方法は、最終組成物の流動特性(例えば粘性)のみならず、その組成物の原位置熱特性に対しても重要である。充填材は受入状態のまま、あるいは処理前、処理中に処理されて使用される。充填材の処理には、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、さらにはアルコキシ基、ヒドロキシ基、Si‐H基を含むシラザン、シラノール、シラン、シロキサンの化合物または重合体、または一般に使用されている充填材処理薬品などの薬品による化学的または物理的被覆、またはキャップ化、および当業者間で一般に採用されている他の方法がある。最終組成物は手攪拌するか、またはドウミキサ、チェンジカンミキサ、遊星ミキサ、二軸スクリュー押出機、2段または3段ロールミルなどの標準的な混合・混練機により混合することができる。組成物の混合は、バッチ式、連続式、半連続式および当業者間で使用されるあらゆる方法を用いることができる。
【0098】
接合部分の厚さは熱伝導性組成物、充填材の処理および熱伝導性組成物の注入圧力によってさらに調整できる。粘性は熱伝導性組成物の組成および処理条件によって調整することができる。熱伝導性組成物の粘性は、例えば充填財の投入量、充填材中のイオン成分、充填材の表面積、充填材の粒子サイズ分布、充填材表面の官能基、使用する重合体マトリックスの粘性、接着促進剤の量、その他当業者に公知の方法により調整することができる。また粘性は、混合速度、混合時間、混合温度、真空度、添加順位、充填材処理の程度、その他当業者に公知の処理条件を調整することによって変更することもできる。接合部分の厚さの最小値は充填材のボールミルなど機械的処理条件にも影響される。前記結合部分の厚さを得るための好適な粘性は5000からおよそ3,000,000cpsの範囲で、より好ましくはおよそ10,000からおよそ20,000cpsである。前記粘性は剪断速度1‐10/秒で測定される。
【0099】
組成物の特性
本発明の一つの実施形態において、熱伝導性組成物は耐熱特性、例えば1‐80mmK/Wの熱放散に耐える特性によって特徴付けられる。
【0100】
もう一つの実施形態における熱伝導性組成物は柔軟性があり、ヒートシンクとそれを取り付けた構造物の間の熱膨張係数の差異によって生じる応力を緩和することができる。例えば、ヒートシンクの熱膨張係数が、ヒートシンクが取り付けられるパッケージよりも大きい場合がある。応力は熱膨張係数と弾性係数の積で決まるので、熱界面材料の弾性係数が小さいほど応力が低減する。さらに前記組成物の実施形態1における粘弾性挙動により、時間経過に従い応力が緩和される。実施形態1における球状窒化ホウ素を混合した重合樹脂の曲げ弾性率(lSO‐6721‐1などの片持ち梁法で求められる。)は70°F(21℃)で一般におよそ10GPa未満である。実施形態2における曲げ弾性率はおよそ7GPa未満である。実施形態3ではおよそ5GPa未満である。実施形態4における曲げ弾性率はさらに低く、およそ0.5GPa未満である。
【0101】
一つの実施形態において、本発明の熱伝導性組成物は変形自在に注入されて接触抵抗を低減し熱移送の効率を高めるという利点の他に、接合部分の厚さ(BLT:Bond Line Thickness)をできるだけ小さくしたい用途用に特に配合することができる。球状窒化ホウ素充填材の粒子サイズの選定は使用される用途により異なる。例えば、主寸法が最小約1から2μmで最大30μm以下の球状窒化ホウ素粒子は、グリース、相変化材料、液体、接着剤、ゲルおよびテープに好適である。接着部厚さが25から100μmの範囲を必要とする用途(たとえば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)とヒートシンクの間など)の場合、大きめの球状窒化ホウ素粒子、たとえば15から75μmの範囲、が用いられる。高温と低温の基板の間により大きなギャップが存在する場合、50から100μm、場合によっては250μmを超える大きさの球状窒化ホウ素粒子凝集耐を厚手のシリコーンパッドなどに混入して使用することができる。一般に、大きな粒子サイズを使うことでバルク伝導率は上昇するが、粒子または粒子凝集体の最大サイズは、一対の面間のギャップサイズを越えることはできない。
【0102】
本発明の実施形態1における組成物は、接合部厚さ(BLT)が5mil(125μm)を超え、20mil(510μm)未満である。実施形態2におけるBLTはおよそ0.02milからおよそ3.2milである。実施形態3におけるBLTはおよそ7milからおよそ50milである。実施形態4におけるBLTはおよそ10milからおよそ80milである。一つの実施形態における前記組成物はASTM D5470に従った熱インピーダンスが0.01‐0.02℃ in/W(0.065‐0.13
C−cm/W)
【0103】
実施例
本例では特に規定しない限り、熱拡散率、原位置熱伝導率はレーザフラッシュ法(Netzsch社製
Microflash 300)により測定した。原位置熱伝導率はMicroflash(商標)装置に附属のソフトウェアマクロにより算出した。バルク熱伝導率を測定するため、2インチの円板を試料から切り出し、Holometrix TOA300装置を用いて測定を行った。代わりに、Netzsch
Microflash300を用いてもバルク熱伝導率を測ることができる。原位置熱抵抗は接合部分の厚さを原位置熱伝導率で割ることにより算出した。
【0104】
実施例1
本例は非シリコーン/非ワックス型熱伝導性組成物の例で、まず99重量%のポリオールエステルに、酸化防止剤を1重量%加えた予備混合物を作成する。(この予備混合物は、熱伝導性組成物の8から12重量%を構成する。)この予備混合物に球状窒化ホウ素充填材を10から80重量%、さらに高粘性油を約2.5から5.5重量%添加する。
【0105】
さらに一つの実施形態では、表面活性剤を0.2重量%、ポリスチレンベースの重合体を3重量%、および溶剤を1重量%加える。代わりの実施形態では重合体、溶剤および表面活性剤に代わってケイ酸アルミニウムを組成物に対し5.2重量%加える。
【0106】
ゲル実施例
下記の例における本発明の熱伝導性組成物は次に示す成分を含むゲルとして使用される。
【0107】
A‐1: 400cpsビニル終端ポリジメチルシロキサン液(ニューヨーク州、WaterfordのGE SiliconesよりSL6000として市販)
【0108】
B‐1; 平均鎖長が約21で水酸化物含有量がおよそ0.19%からおよそ0.25%の水酸化ケイ素液(GE Silicones製88405)
B‐2:平均分子量約6000、平均水酸化物含有量およそ0.04%の水酸化ケイ素終端ポリジメチルシロキサン(ペンシルバニア州、MorrisvilleのGelest, Inc.製DMS‐H21)
【0109】
C‐1:平均粒子系60から70ミクロンのGE Advanced Ceramics(オハイオ州、Strongsville)製、球状凝集体状窒化ホウ素Teco2003124A
C‐2:平均粒子系25から30ミクロンのGE Advanced Ceramics製、窒化ホウ素粉末Teco20041112‐B
C‐3:GE Advanced Ceramics製、板状窒化ホウ素PT120
【0110】
D‐1:テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン複合白金触媒原液およびビニル終端ポリジメチルシロキサンIrgafos168、SL6000([Pt]=480ppm、Irgafosモル比: Pt‐2:l)
【0111】
E‐l:日本、GE 東芝製のアルコキシ基を含むポリアルキルシロキサン・シリコーン液
【0112】
ゲル実施例1
本実施例ではA‐1 および B‐1成分からなる原液、I、を作成する。(A‐1およびB‐1の重量比率
48.29 : 1)高速ミキサーを用い、原液、I、の一部に成分C‐1を目視的に均一になるまで混合する。前記混合物を吸引機に接続した75℃のオーブンで一晩脱気し、その後室温まで冷却する。また成分B‐2,
D‐1およびE‐1から成る原液、II,を作成する。(B‐2:E‐1:D‐1の重量比率8.86:4.03:1 )その後、原液、II、を上記脱気後の混合液に適量加える。その後、前記混合液を高速ミキサ(FlackTek
Inc., Model# DAC400FV)により750rpmにて5秒間攪拌する。前記組成液を注入器に移し室温にて2〜3日脱気する。このようにして作成したゲル状組成物を、アルミニウム板片とシリコン板片の間に挟み、10psiの圧力を加えながら150℃で2時間硬化させる。
このようにして作成したサンドイッチ構造物を30psiの加圧下で試験する。最終組成と熱性能を表1に示す。
【0113】
ゲル実施例2
本実施例では、充填材C−2を用い、残りはゲル実施例1と同様の方法でゲル組成を作成する。前記組成液を注入器に移し室温にて2〜3日脱気する。このようにして作成したゲル状組成物を、アルミニウム板片とシリコン板片の間に挟み、10psiの圧力を加えながら150℃で2時間硬化させる。
このようにして作成したサンドイッチ構造物を30psiの加圧下で試験する。最終組成と熱性能を表1に示す。
【0114】
ゲル比較例1
本比較例では、充填材C−3を用い、残りはゲル実施例1と同様の方法でゲル組成を作成した。前記組成液を注入器に移し室温にて2〜3日脱気する。このようにして作成したゲル状組成物を、アルミニウム板片とシリコン板片の間に挟み、10psiの圧力を加えながら150℃で2時間硬化させる。
このようにして作成したサンドイッチ構造物を30psiの加圧下で試験する。最終組成と熱性能を表1に示す。
【0115】
表1に示すように球状窒化ホウ素を含む組成物C‐1およびC‐2は、板状窒化ホウ素を含む比較材C‐3よりも高い原位置熱伝導性を示す。
【0116】
表1
【表1】

熱性能:

*括弧内の数値は、各組成につき4個の試料から得られた値の範囲を示す。
【0117】
接着剤実施例
以下の実施例では接着剤組成を作成する。
接着剤実施例1:本実施例では、オハイオ州、StrongsvilleのGE
Advanced Ceramics製窒化ホウ素凝集体(PTX60, TECO 2003124A、平均粒子サイズ60ミクロン,GE Advanced Ceramics)を使用した組成を作成する。実験室用Rossミキサを用いて、前記BN粉末を100パートのビニル終端ポリジメチルシロキサン液(350‐450cSt、ビニル含有量約0.48重量%)と25‐35℃、大気圧下で全体が滑らかな調度になるまで混合する。この混合液に、0.21パートの顔料マスターバッチ(50重量%カーボンブラックおよび50重量%の10,000cSt、ビニル終端ポリジメチルシロキサン液)、および少量のヒドロキシ基液(0.66パートのヒドロキシ官能ポリオルガノシロキサン液、ヒドロキシ基重量比約0.82%)を加える。この組成物を液体と顔料が十分に混ぜ合わさるよう、60rpmで6分間攪拌する。その後温度を140から160℃に上げ、さらに60rpmで1.5時間攪拌する。
【0118】
上記組成物をおよそ30℃まで冷却した後、以下の材料を加える。0.16パートのトリアリルイソシアヌル酸、0.02パートの2-メチル-3-ブチン-2-オールおよび0.03パートのテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体白金触媒(ニューヨーク州、WaterfordのGE Silicones製88346)。前記材料を約60rpmで8分間攪拌し混ぜ合わせる。
【0119】
ミキサー上の材料に以下の物を添加する:0.92パートの第1接着促進剤(日本、GE東芝製YC9632Z)、0.60パートの第2接着促進剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、および少量のヒドロキシ基溶液(1.34パートのヒドロキシ官能ポリオルガノシロキサン液、水素化物重量およそ0.82%)。前記材料を約60rpmで5分間攪拌し混ぜ合わせる。最終組成物をさらに25から30インチHgの減圧下において60rpmで3分間攪拌する。前記組成物をミキサーから取り外し、熱界面材料(TIM:Thermal Interface Material)に使用されるまで冷蔵庫(−40から0℃)に保管する。
【0120】
TIMサンドイッチを形成するため、前記混合物をAl―Cr板片とSi板片の間に挟み10psiの圧力下で硬化する。TIMを二枚の板片間に形成するため注入器から材料を分配する前に、前記材料を100メッシュのフィルタに通して異物を取り除き、25−30インチHgの減圧下で3分間保持して残りの捕獲された空気を全て取り除く。AlCrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計7枚の試料を作成する。
【0121】
接着剤比較例1:窒化ホウ素粉末として非単結晶、非フレーク状、平均粒子サイズ150ミクロン(GE Advanced Ceramics製PT350)を使用し、他は上記と同様の組成物を作成する。この組成物のバルク熱伝導率および原位置熱性能を接着剤実施例1で述べた方法により評価する。Al―CrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計5枚の試料を作成する。
【0122】
接着剤比較例2:本例では、窒化ホウ素に単結晶、フレーク状、平均粒子サイズ44ミクロン(GE Advanced Ceramics製PT110)を使用し、それ以外は球状BN凝集体の例(接着剤実施例1)と同様の方法で組成物を作成する。Al―CrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計5枚の試料を作成する。
【0123】
接着剤比較例3:接着剤実施例1と同様の方法で組成物を作成する。この組成物を、高速ミキサを用いて接着剤比較例2で作成した組成物と2:1の割合で混合する。Al―CrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計5枚の試料を作成する。
【0124】
接着剤比較例4:接着剤実施例1の組成物と接着剤比較例2の組成物を、高速ミキサを用いて1:1の割合で混合する。AlCrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計5枚の試料を作成する。
【0125】
接着剤比較例5:球状BN凝集体を用いた組成物(接着剤実施例1)を接着剤比較例2の組成物と高速ミキサを用いて1:2の割合で混合する。AlCrおよびSi板片の間に組成物を注入した合計5枚の試料を作成する。
【0126】
表2
【表2】

【0127】
上記表2に示すように、球状窒化ホウ素凝集体を含む熱伝導性接着剤の例は、最も高いバルク熱伝導率、最も低い原位置熱抵抗率および最も高い原位置熱伝導率を示す。従来技術の窒化ホウ素充填材を球状窒化ホウ素凝集体の代わりに用いた比較例では、原位置熱伝導率が減少し、熱抵抗率が増大する。
【0128】
接着剤実施例2:
本実施例では成分A‐1(400cps、ビニル終端ポリジメチルシロキサン液、SL6000、GE Silicones)をまずPTX25(球状BN、平均粒子サイズ25‐30ミクロン)と高速ミキサを用いて混ぜ合わせ、吸引機に接続した75℃の真空オーブンで一晩脱気する。この混合物を室温に冷却する。次に、成分B‐1(平均鎖長約100の水素化ケイ素、水素化物含有量0.72%から約1%、GE Silicones製88466)、成分G(重量比で75:8のトリアリルイソシアヌル酸(TAIC):2‐メチル‐3‐ブチン‐2‐オールの混合物)、成分F‐1(テトラメチルテトラビニルシクロ‐テトラシロキサン‐錯体白金触媒の原液、GE Silicones製"88346"、をビニル終端ポリジメチルシロキサンSL6000([Pt]=570ppm)に混合)、成分H−1(重量比44:29でGE 東芝製A501Sとグリシドキシプロピルトリメトキシシランを混合)を含む成分を前記混合物に加える。この組成物をまずへらで混合し、次いで高速ミキサ(FlackTek
Inc.,Model#DAC400FV)を用い1000rpmで10秒間混合し完全に混ぜ合わせる。この混合物を室温で15から24時間(吸引下)脱気する。この組成を表3に示す。
【0129】
2枚の金属板片の間に前記混合物を注入し1秒間10psiの加圧後、10psi、150℃の環境下で2時間硬化する。このサンドイッチ構造体について熱放散率および熱抵抗率を測定する。測定中は接着剤に外圧を加えない。Al―CrおよびSi板片の間に組成物を注入した4から5枚の試料を作成する。熱性能データを表3に示す。
【0130】
接着剤比較例6: アルミナ粒子(昭和電工製AS40、平均粒子サイズ12ミクロン)を用い、あとは実施例2と同様の方法で組成物を作成する。最終組成と熱性能データを表3に示す。
【0131】
本発明の球状窒化ホウ素を含む組成物と同等の性能を達成するためには、アルミナ粒子をより多く投入する必要があることが分かる。
【0132】
表3
【表3】

*括弧内の数値は、各組成につき5個の試料から得られた値の範囲を示す。
【0133】
シリコーンパッド実施例
熱先導性球状窒化ホウ素(GE Advanced Ceramics、PTX50またはPTX25)をSylgard 184シリコーン樹脂およびSylgard 184硬化剤と実験室用FlackTek高速ミキサを用い3500rpmで混合する。球状窒化ホウ素充填材の配合量は35から85重量%(20から70体積%)である。この混合物を3インチ×5インチの矩形型に注入し、125℃で45分間加圧し、0.5から1.5mm厚のパッドに成形する。バルク熱伝導率をMathis(登録商標)ホットディスク熱定数分析器で測定する。結果を表4に示す。
【0134】
比較例
平均粒径44ミクロンの異なる窒化ホウ素粉末(PT110、単結晶、フレーク状)を用い、実施例4と同様の方法で組成物を作成する。
【0135】
表4
【表4】

【0136】
表5は、前記実施例のシリコーンパッドに3重量%のモノステアリン酸ソルビタンで被覆した球状窒化ホウ素凝集体を使用した組成物が、前記同様の優れた熱伝導性を有することを示している。
【0137】
表5
【表5】

【0138】
グリース実施例
グリース実施例では、オハイオ州StrongsvilleのGeneral
Electric Company (“GE Quartz “)製球状窒化ホウ素を、ミクロンサイズのアルミナ(Denka製DAW05、平均粒子サイズ約5ミクロン;およびSumitomo製 AA04、平均粒子サイズ約0.4ミクロン)と液体シリコーン(ニューヨーク州、WaterfordのGE Silicones製SF96‐1000、粘度1000cp)に高速ミキサ(FlackTek Inc.,Model#DAC400FV)を用いて混合する。この材料を球状ホウ素およびミクロアルミナの投入量を変えて、粘度の高いペースト状にする。この熱グリースを一枚のアルミニウム板片および塗布しその上にもう一枚のアルミニウム板片を置いて、30psiの圧力をかける。アルミニウム、グリース、アルミニウムの三層構造物にグラファイトの薄膜を被覆し、レーザフラッシュ熱拡散装置の改良ホルダーに置く。試片の各隅をボルトで締め、所定の圧力を試片にかける。
【0139】
アルミニウム板片の厚さを予め測定しておき、試片の厚さを測定することで、グリース層の接合部厚さを算出する。その後、熱グリース層の熱抵抗特性を測定する。
【0140】
一例では球状窒化ホウ素とミクロンサイズアルミナを含むグリース(16重量%球状窒化ホウ素および63%アルミナと重量比4:1のDAW05:AA04)を上記の方法で測定する。接合部48ミクロンにおいて、11mmK/Wの熱抵抗値が得られる。前記新種のグリースの原位置熱伝導率測定値は4.5W/mKである。
【0141】
表6は本例で使用された球状窒化ホウ素に関する記述を含む。表7は表6の球状窒化ホウ素と亜鉛酸化物等の充填材を含むグリース組成物の例を示す。本例の液体シリコーンは、全てニューヨーク州、Waterford、GE Silicones製SF96‐1000を用いる。酸化亜鉛はAlfa Aesar製Lot#L15N34で粒子サイズは10ミクロン未満である。本例では、下記ロットのオハイオ州、Strongsville、General Electric Company製球状BNを使用する。“S”と表記した球状BNは、モノステリン酸ソルビタンで被覆した球状BN凝集体である。


【0142】
表6
【表6】

【0143】
下記表7に示す例における測定は100psiの負荷下で行った。
表7
【表7】

【0144】
表8は上述の方法によりされた、球状窒化ホウ素のみを充填材として使用する熱グリースの例を示す。本表において、粒子サイズの異なる球状窒化ホウ素の混合もまた使用されている。測定は30psiまたは100psiで行う。
【0145】
表8
【表8】

【0146】
相変化材料実施例
下記、相変化材料の組成物を作製する。
【0147】
55‐2と表記される相変化材料実施例は33.6重量%の球状BN(General
Electric Company製PTX60)と66.4重量%のポリオクタデシルメチルシロキサン(Gelest製、粘度@50℃=250‐300cps,Lot#4F‐5043,prod#ALT‐192)およびSF96(ニューヨーク州、Waterford、GE Silicones製SF96‐1000、粘度=1000cp)の1:1混合物である。まずプラスチック製容器にSF95およびALT‐192を入れこれを110℃に加熱し混合する。この加熱混合物に球状BN凝集体充填材を加える。混合が滑らかになるまで手でかき回す。次いでこの混合物を冷却し凝固させて試験を行う。上記混合物をAl−Al板片の間に60℃、30psiの加重下で装着する。
【0148】
56−1と表記される相変化材料実施例は、33.8重量%の球状BN(General Electric Company製PTX60)と66.2重量%のポリオクタデシルメチルシロキサン(Gelest製、粘度@50℃=250−300cps)を含む。
試片は上記と同様の方法で作製した。
【0149】
表9は4つの異なる条件下で測定した試験結果を示す。本試験では、ボルトとトルクレンチを用い特定の圧力(psi)に相当する特定のトルクを負荷しながら測定を実施する。測定条件は25℃、過重負荷無し;25℃、30psi荷重;100℃、増し締めなし:100℃、30psiに増し締め;の条件で行った。相変化が発生すると粘性が低下し接合部厚さが低下するので、ボルトによって負荷される圧力が低下する。スプリング力を用いて荷重を負荷すれば、接合部厚さが低下しても30psiの圧力は保持されるはずである。このような理由により、100℃で一旦測定を行った後、試片を30psiに増し締めし再度測定を行った。
【0150】
30psiに増し締めした例は、スプリングクリップを使用する用途の実例となるものである。
【0151】
表9
【表9】

【0152】
以上典型的な実施例を用い開示の説明を行ったが、ここに示した詳細は発明を限定するものではなく、本発明の趣旨から逸脱することなく多くの改良、代替が実施できるものである。ここに言及した引用文は、すべて明示的に参照されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体マトリックスに球状窒化ホウ素凝集体を充填材として配合した配合物を含む熱伝導性組成物において、前記球状窒化ホウ素凝集体が、不規則・非球状のBN粒子をバインダーで結合しその後噴霧乾燥され、2未満の平均アスペクト比を有することを特徴とする熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記球状窒化ホウ素充填材の含有量が前記熱伝導性組成物全重量に対し、5から80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記球状窒化ホウ素充填材の凝集体平均粒子サイズが10から200ミクロンであることを特徴とする請求項1から2に記載の熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記球状窒化ホウ素充填材の少なくとも60%以上が、粒子サイズ分布40から200ミクロン範囲内の平均凝集体サイズを有することを特徴とする請求項1から3に記載の熱伝導性組成物。
【請求項5】
前記球状窒化ホウ素の平均アスペクト比が1.5未満であることを特徴とする請求項1から4に記載の熱伝導性組成物。
【請求項6】
前記球状窒化ホウ素凝集体が、金属粉末、合金粉末、無水ソルビトールの脂肪酸部分エステル、チタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体、アシロキシシラン、アルコキシシラン、メトキシシラン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノパルミチン酸ソルビタン、シラザン、シラノール、シラン化合物、シロキサン化合物、アルコキシ基、ヒドロキシ基またはSi‐H基含む、またはチタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体を含む重合体、およびそれらの混合物の少なくとも一つによって被覆されていることを特徴とする請求項1から5に記載の熱伝導性組成物。
【請求項7】
前記熱伝導性組成物の接合部分厚さが50mil未満であることを特徴とする請求項1から6に記載の熱伝導性組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性組成物の接合部分厚さがおよそ0.02milから3.2milであることを特徴とする請求項1から7に記載の熱伝導性組成物。
【請求項9】
前記熱伝導性組成物がフィルム、パッド、シート、ペーストまたはグリースに形成されることを特徴とする請求項1から8に記載の熱伝導性組成物。
【請求項10】
前記重合体マトリックスが、α‐オレフィンベースの重合体、エチレン/α‐オレフィン共重合体、エチレン/α‐オレフィン/非共役ポリエンランダム共重合体、ポリオールエステルおよびオルガノシロキサンの群より選択される重合体成分を含むことを特徴とする請求項1から9に記載の熱伝導性組成物。
【請求項11】
前記オルガノシロキサンが、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルシロキサン、ポリジメチル−co−メチルフェニルシロキサン、ポリジメチル−co−ジフェニルシロキサンおよびオルガノ官能性ポリジメチルシロキサンの群より選択されることを特徴とする請求項1から10に記載の熱伝導性組成物。
【請求項12】
前記重合体マトリックスが、ポリジメチルシロキサン、エポキシ、アクリラート、オルガノポリシロキサン、ポリイミドフルオロカーボン、ベンゾシクロブテン、フッ化ポリアリルエーテル、ポリアミド、ポリイミドアミド、シアン酸エステル、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル、ポリアリーレンエーテル、ビスマレイミド、フッ素樹脂およびこれらの組み合わせの群から選択される硬化性成分を含むことを特徴とする請求項1から11に記載の熱伝導性組成物。
【請求項13】
さらに触媒防止剤を含むことを特徴とする請求項1から12に記載の熱伝導性組成物。
【請求項14】
さらにアルコキシシラン、アリルオキシシラン、シラノール、アルコキシシリル官能基を含むオリゴシロキサン、アリルオキシシリル官能基を含むオリゴシロキサン、ヒドロキシル官能基を含むオリゴシロキサン、アルコキシシリル官能基を含むポリシロキサン、アリルオキシシリル官能基を含むポリシロキサン、ヒドロキシル官能基を含むポリシロキサン、アルコキシシリル官能基を含むシクロシロキサン、アリルオキシシリル官能基を含むシクロシロキサン、ヒドロキシル官能基を含むシクロシロキサン、チタン酸塩、トリアルコキシアルミニウム、テトラアルコキシシラン、イソシアヌル酸、およびこれらの混合物から成る群より選択される接着促進剤を含むことを特徴とする請求項1から13に記載の熱伝導性組成物。
【請求項15】
熱発生部品を熱伝導性組成物に接触配置し、前記熱伝導性組成物が重合体マトリックスと球状窒化ホウ素を含み、前記球状窒化ホウ素がバインダーにより結合された後噴霧乾燥された不規則形状球状窒化ホウ素から形成される平均粒子アスペクト比2未満の球状窒化BNである熱伝導性組成物であり、かつ熱放散部品を前記熱伝導性組成物に接触配置することを含むことを特徴とする熱移動増加方法。
【請求項16】
少なくとも2つの異なる部品を含む電子部品において、その一つが熱発生部品であり、熱伝導性組成物が前記少なくとも2つの異なる部品の間に配置され、前記熱伝導性組成物が重合体マトリックスと球状窒化ホウ素充填材の混合物を含み、前記球状窒化ホウ素がバインダーにより結合されその後噴霧乾燥された不規則非球状BNの凝集体から形成され、平均アスペクト比が1.5未満であることを特徴とする電子部品。
【請求項17】
熱発生源から発生する熱を熱放散ユニットに熱移送する際に、マイクロプロセッサーの運転温度で相変化を起こす熱界面材料において、相変化物質が熱発生源の運転温度近傍で軟化し、前記相変化物質が重合体成分と前記重合体成分に混合された融点調整成分を含み、前記融点調整成分が前記相変化物質の軟化温度を調整すると共に前記マイクロプロセッサー運転温度近傍において融解し、前記重合体成分を前記融点調整成分中に溶解すること、
および前記相変化物質中に分散した窒化ホウ素充填材において、窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とする熱界面材料。
【請求項18】
前記球状窒化ホウ素凝集体が、金属粉末、合金粉末、無水ソルビトールの脂肪酸部分エステル、チタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体、アシロキシシラン、アルコキシシラン、メトキシシラン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノパルミチン酸ソルビタン、シラザン、シラノール、シラン化合物、シロキサン化合物、アルコキシ基、ヒドロキシ基またはSi‐H基含む、またはチタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体を含む重合体、およびそれらの混合物の少なくとも一つによって被覆されていることを特徴とする請求項16に記載の熱伝導性組成物。
【請求項19】
相対する2つの表面間の熱移送を促進するために当該表面間に配置する熱移送構造体において、
少なくとも50重量%の炭素繊維を含む基板と、
熱伝導性組成物とを含み、当該熱伝導性組成物が重合体マトリックスと球状窒化ホウ素充填材を含み、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とする熱移送構造体。
【請求項20】
熱伝導性組成物にあって、室温において液体の材料と、35℃未満の融点を有する金属または合金と、球状窒化ホウ素充填材を含み、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とする熱移送構造体。
【請求項21】
重合体の熱伝導層を含む熱伝導性積層材にあって、個々の層の一つが接着剤層であり、重合体熱伝導性層が球状窒化ホウ素を含み、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とする熱移送構造体。
【請求項22】
エネルギ発生装置とエネルギ放散装置の間に熱的接触を与えるテープにあって:前記装置の一つに接着されるように構成された熱伝導性材料と前記熱伝導性材料を配置するためのシートを含み、前記熱伝導性材料と前記シートが取り外し可能な部分を形成し;前記熱伝導性材料が前記シートとフィルムの間に配置されるように前記熱伝導性材料に粘着したフィルムを含み、前記シートと前記材料間の粘着力が前記フィルムと前記材料の間の粘着力より大きくなるように前記材料、シート、フィルムのいずれか一つ以上が設定されており、弱化した界面に接するフィルムに結合したタブを含み、前記熱伝導性材料が球状窒化ホウ素充填材を含み、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とするテープ。
【請求項23】
第一および第二の表面間の間隙を埋める流動性で形状安定な充填材化合物にあって、当該化合物が(a)硬化ゲル成分、(b)粒子状充填材成分の混合物を含み;前記化合物が圧力負荷の下でオリフィスを通じて分配することができ、前記熱伝導性材料が球状窒化ホウ素充填材を含み、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であることを特徴とする流動性で形状安定な充填材化合物。
【請求項24】
重合体マトリックスと球状窒化ホウ素充填材の混合物を含む熱伝導性組成物にあって、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であり、破壊強度とバルク密度の比が約6.5MPa・cc/gより大きいことを特徴とする熱伝導性組成物。
【請求項25】
重合体マトリックスと球状窒化ホウ素充填材の混合物を含む熱伝導性組成物にあって、当該球状窒化ホウ素充填材が不規則、非球状BN粒子をバインダーで結合後、噴霧乾燥され平均アスペクト比が2未満であり、凝集体の平均サイズが20からおよそ1000ミクロンであることを特徴とする熱伝導性組成物。

【公表番号】特表2008−510878(P2008−510878A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530015(P2007−530015)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/029808
【国際公開番号】WO2006/023860
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】