説明

熱伝達組成物

【課題】既存の冷媒、例えばR‐134aおよび提案される冷媒R‐1234yfと比べて、良好な冷却性能、低い燃焼性、低いGWPおよび/または潤滑剤との混和性を含めて、有利な性質の意外な組合せを示す新規組成物を提供すること。
【解決手段】トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))と、二酸化炭素(R‐744)と、ジフルオロメタン(R‐32)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)、フルオロエタン(R‐161)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)、プロピレン、プロパンおよびそれらの混合物から選択される第三成分とを含んでなる熱伝達組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達組成物、特にR‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の代替物として適しうる熱伝達組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書中における既発表文献または背景の掲載または考察は、文献または背景が最新技術の一部であるか、または一般常識であることを認めるものとして必ずしも受け取るべきでない。
【0003】
機械冷却システムおよび関連熱伝達装置、例えばヒートポンプおよび空調システムは周知である。このようなシステムにおいて、冷媒液は周辺ゾーンから熱を受け取りながら低圧で蒸発する。得られた蒸気は次いで圧縮され、凝縮器へ送られ、そこでそれが凝縮して、第二ゾーンへ熱を放出し、凝縮液は膨張弁を通って蒸発器へ戻され、こうしてサイクルを完了する。蒸気を圧縮して液体を送り出すために要する機械的エネルギーは、例えば電気モーターまたは内燃機関により供給される。
【0004】
適切な沸点および高い蒸発潜熱を有することに加えて、冷媒で好ましい性質としては、低毒性、不燃性、非腐食性、高安定性、および不快臭が無いことが挙げられる。他の望ましい性質は、25バール未満の圧力で速やかな圧縮性、圧縮時の低い吐出温度、高い冷却能力、高い効率(高い成績係数)および所望の蒸発温度で1バール超の蒸発器圧力である。
【0005】
ジクロロジフルオロメタン(冷媒R‐12)は性質の適切な組合せを有し、長年にわたり最も広く用いられた冷媒であった。完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボンが地球の保護オゾン層を破壊しているという国際的懸念のために、それらの製造および使用が厳しく制限され、最終的には完全に廃止されるという一般協定があった。ジクロロジフルオロメタンの使用は1990年代に段階的に廃止された。
【0006】
クロロジフルオロメタン(R‐22)は、その低いオゾン破壊係数のために、R‐12の代替物として導入された。R‐22が強力な温室効果ガスであるという懸念を受けて、その使用もまた段階的に廃止されつつある。
【発明の開示】
【0007】
本発明に関するタイプの熱伝達装置は実質的に閉鎖系であるが、設備の作動中またはメンテナンス作業中における漏出のために大気への冷媒の損失が生じうる。したがって、ゼロオゾン破壊係数を有する物質で完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボン冷媒を置き換えることが重要である。
【0008】
オゾン破壊の可能性に加えて、大気中で有意な濃度のハロカーボン冷媒は地球温暖化(いわゆる温室効果)に関与しているかもしれないと示唆されていた。したがって、ヒドロキシルラジカルのような他の大気成分と反応しうる能力の結果として、または光分解プロセスによる速やかな分解の結果として、比較的短い大気寿命を有する冷媒を用いることが望ましいのである。
【0009】
R‐410AおよびR‐407冷媒(R‐407A、R‐407BおよびR‐407Cを含む)がR‐22の代替冷媒として導入されてきた。しかしながら、R‐22、R‐410AおよびR‐407冷媒はすべて高い地球温暖化係数(GWP、温室温暖化係数としても知られる)を有している。
【0010】
1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(冷媒R‐134a)がR‐12の代替冷媒として導入された。R‐134aは、自動車空調に現在用いられている、エネルギー効率的な冷媒である。しかしながら、それはCOと比べて1430のGWPを有する温室効果ガスである(COのGWPは定義によれば1である)。このガスを用いた自動車空調システムの全体的環境影響の割合は、冷媒の直接排出に起因しうるものであるが、典型的には10〜20%範囲である。2011年から車の新モデルで150を超えるGWPを有する冷媒の使用を規制する法案が、欧州連合で可決されていた。車産業はグローバルな技術基盤を操業しており、いかなる場合でも温室効果ガスの排出はグローバルな影響を有し、そのためHFC‐134aと比べて低い環境影響(例えば、低いGWP)を有する流体を見つける必要性がある。
【0011】
R‐152a(1,1‐ジフルオロエタン)がR‐134aの代替物として特定された。それはR‐134aよりやや効率的であり、120の温室温暖化係数を有している。しかしながら、R‐152aの可燃性は、例えば自動車空調システムにおいてその安全な使用を行う上で、高すぎると判断されている。特に、空気中におけるその可燃下限は低すぎ、その火炎速度は高すぎ、点火エネルギーは低すぎると考えられている。
【0012】
よって、低燃焼性のような改善された性質を有する代替媒体を提供する必要性がある。フルオロカーボン燃焼化学は複雑かつ予測不能である。不燃性フルオロカーボンと可燃性フルオロカーボンとの混合が流体の可燃性を減らすか又は空気中で可燃性の組成物の範囲を減らすとは、必ずしも限らない。例えば、不燃性R‐134aが可燃性R‐152aと混合されると、該混合物の可燃下限が予測不能な様に変わることを、本発明者らは発見した。三元または四元組成物を考慮すると、状況はより一層複雑で予測しにくくなる。
【0013】
ほとんどまたは全く改修を伴うことなく冷却装置のような既存の装置に用いることができる代替冷媒を提供する必要性もある。
【0014】
R‐1234yf(2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン)が、ある種の用途、特に自動車空調またはヒートポンピング用途でR‐134aに置き換わる代替冷媒候補として特定された。そのGWPは約4である。R‐1234yfは可燃性であるが、その燃焼特性は自動車空調またはヒートポンピングを含むいくつかの用途で許容されると一般的にみなされている。特に、R‐152aと比べた場合、その可燃下限は高く、その最小点火エネルギーは高く、空気中の火炎速度はR‐152aの場合よりかなり低い。
【0015】
温室効果ガスの排出に関して、空調または冷却システムを作動した環境影響は、冷媒のいわゆる“直接”GWPに関するのみならず、該システムを作動させる電気または燃料の消費に起因した二酸化炭素の排出を意味する、いわゆる“間接”排出に関しても考慮されねばならない。総等価温暖化影響(TEWI)分析またはライフサイクル炭素排出量(LCCP)分析として知られるものを含めて、この総GWP影響のいくつかの測定基準が開発されてきた。これら測定の双方には、冷媒GWPの効果の試算と、全体温暖化影響に及ぼすエネルギー効率を含む。冷媒およびシステム設備の製造に伴う二酸化炭素の排出も考慮されるべきである。
【0016】
R‐1234yfのエネルギー効率および冷却能力はR‐134aの場合よりもかなり低いことがわかり、加えて該流体はシステム配管および熱交換器で圧力損失の増大を示すことがわかった。この結論として、R‐1234yfを用いて、R‐134aに匹敵するエネルギー効率および冷却性能を達成するためには、設備の複雑さの増加と配管のサイズの増大が必要とされ、設備に伴う間接的排出の増加に繋がる。さらに、R‐1234yfの生産は、(フッ素化または塩素化された)原料の使用において、R‐134aよりも複雑でより低効率であると考えられる。R‐1234yfに関する現行の長期価格見通しは、R‐134aより10〜20倍の範囲で高い。この価格差とハードウェアへの余分な出費の必要性は、冷媒が交換される頻度を制限し、ひいては冷却または空調の全体的環境影響が低減される割合を制限することになる。要するに、R‐134aに置き換わるR‐1234yfの採用は、R‐134aの場合より原料を多く消費し、温室効果ガスの間接的排出を多くもたらす。
【0017】
R‐134aに関して設計される一部の既存技術は、一部の熱伝達組成物の低減された可燃性すら受け入れることができないことがある(150未満のGWPを有する組成物は、ある程度可燃性であると考えられる)。
【0018】
したがって、本発明の主な目的は、低GWPを有しながらも、例えば既存の冷媒(例えば、134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404a)を用いて達成される値の理想的には10%以内、好ましくはこれら値の10%未満(例えば、約5%)以内で(“成績係数”として便宜上表示される)能力およびエネルギー効率を有する、それ自体で使用可能である又は既存の冷却使用の代替物として適した熱伝達組成物を提供することにある。流体間におけるこの程度の差異は設備およびシステム作動特徴の再設計により通常解決可能であることが、当業界で知られている。組成物は理想的には低毒性および許容しうる燃焼性も有しているべきである。
【0019】
本発明は、1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze)と、二酸化炭素(ここではR‐744またはCOとも称される)と、ジフルオロメタン(R‐32)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)、フルオロエタン(R‐161)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)、プロピレン(R‐1270)、プロパン(R‐290)およびそれらの混合物から選択される第三成分とを含んでなる熱伝達組成物の提供により、上記欠点に取り組んでいる。これは、別記されない限り、以下において本発明の組成物と称される。
【0020】
ここで記載された化学物質のすべてが市販されている。例えば、フルオロケミカルはApollo Scientific(UK)から得られる。
【0021】
典型的には、本発明の組成物はトランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))を含有している。
【0022】
一態様において、本発明の組成物は少なくとも約45重量%、例えば約50〜約98重量%のR‐1234ze(E)を含有している。好ましくは、本発明の組成物は約60%〜約98重量%のR‐1234ze(E)を含有している。有利には、本発明の組成物は約70〜約98重量%のR‐1234ze(E)を含有している。
【0023】
本発明の諸成分の好ましい量および選択は、下記性質の組合せ:
(a)燃焼性:不燃性または弱可燃性の組成物が好ましい;
(b)空調システム蒸発器における冷媒の効果的使用温度;
(c)混合物の温度“勾配”および熱交換器性能に及ぼすその効果;
により決定される。
【0024】
空調サイクル、特に自動車空調における効果的使用温度は、冷媒蒸発器の空気側表面で氷形成を避ける必要性により限定される。典型的には、空調システムは加湿空気を冷却および除湿せねばならない;そのような液体水は空気側表面で形成される。ほとんどの蒸発器(自動車用の場合は例外なく)は狭いフィン間隔でフィン付き表面を有している。蒸発器が冷たすぎれば、氷がフィン間で形成されて、表面における空気の流れを制限し、熱交換器の作業面積を減らすことにより全体的性能を低下させることがある。
【0025】
自動車空調適用においては、氷形成の問題が回避されるよう確保するために、−2℃以上の冷媒蒸発温度が好ましいことが知られている(Modern Refrigeration and Air Conditioning by AD Althouse et al.,1988 edition,Chapter 27;参照によりここに組み込まれる)。
【0026】
非共沸冷媒混合物が蒸発または凝縮で温度“勾配”を示すことも知られている。換言すると、冷媒は一定圧力で次第に蒸発または凝縮されるため、温度は(蒸発で)上昇するかまたは(凝縮で)降下し、総温度差(入口対出口)は温度勾配と称されている。蒸発および凝縮温度に際する勾配の効果も考慮されねばならない。
【0027】
本発明の組成物の二酸化炭素含有率は、主に上記考慮事項(b)および(c)により制限される。便宜上、本発明の組成物は約12重量%以下でR‐744を含有する。好ましくは、本発明の組成物は約1〜約10%のR‐744を含有する。有利には、本発明の組成物は約2〜約7重量%のR‐744を含有する。
【0028】
可燃性冷媒(R‐32、R‐152a、R‐161、プロピレンまたはプロパン)を含むこともある第三成分の含有率は、本組成物の二酸化炭素成分の不在下でも、残りのフルオロカーボン混合物が、(ASHRAE‐34 12リットルフラスコ試験器具で測定すると)5%v/vを超える、好ましくは6%v/vを超える可燃下限を空気中23℃で有するように、最も好ましくは混合物が不燃性であるように選択される。燃焼性の問題は後にこの明細書でさらに記載されている。
【0029】
典型的には、本発明の組成物は約50重量%以下の第三成分を含有している。便宜上、本発明の組成物は約45重量%以下の第三成分を含有している。好ましくは、本発明の組成物は約1〜約40重量%の第三成分を含有している。
【0030】
ここで用いられているように、本組成物で挙げられたすべての%量は、請求項を含めて、別記されない限り、組成物の全重量をベースにした重量によるものである。
【0031】
疑義の回避のために、ここで記載された本発明の組成物で諸成分の量の範囲に関して述べられた上および下限値はとにかく入れ替えられるが、但し得られる範囲は本発明の最も広い範囲内に属すると理解すべきである。
【0032】
本発明の組成物はR‐1234ze(E)、R‐744および第三成分から実質的になる(またはからなる)。
【0033】
“から実質的になる”という用語とは、我々は、本発明の組成物が他の成分、特に、熱伝達組成物に用いられることが知られた別の(ヒドロ)(フルオロ)化合物(例えば、(ヒドロ)(フルオロ)アルカンまたは(ヒドロ)(フルオロ)アルケン)を実質的に含有していないことを意味する。我々は、“から実質的になる”の意味内に、用語“からなる”を含めている。
【0034】
疑義の回避のために、ここで記載された本発明の組成物はいずれも、具体的に明記された化合物および化合物または成分の量に関するものを含めて、それらの組成物で明記された化合物または成分から実質的になる(またはからなる)。
【0035】
一側面において、第三成分はジフルオロメタン(R‐32)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)、フルオロエタン(R‐161)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)、プロピレンまたはプロパンのうち1種のみを含有している。そのため、本発明の組成物は、R‐1234ze(E)、R‐744と、R‐32、R‐152a、R‐161、R‐134a、プロピレンまたはプロパンのうち1種との、三元ブレンドである。
【0036】
しかしながら、これら化合物の1種以上の混合物も第三成分として用いうる。例えば、第三成分は、R‐32、R‐152a、R‐161、プロピレンまたはプロパンのうち1種と一緒に、R‐134aを含有しうる。R‐134aを含有しない相当組成物の燃焼性を減らすために、R‐134aが典型的には含有される。
【0037】
好ましくは、R‐134aを含有する本発明の組成物は、ASHRAE‐34方法論を用いた60℃の試験温度において、不燃性である。有利には、約−20℃〜60℃のどの温度でも本発明の組成物と平衡状態で存在する蒸気の混合物も不燃性である。
【0038】
有利には、第三成分はR‐32、R‐152a、R‐161、R‐134aおよびそれらの混合物から選択される。
【0039】
一態様において、第三成分はR‐32を含んでなる。第三成分はR‐32から実質的になる(またはからなる)。
【0040】
R‐32を含有する本発明の組成物は、典型的には約2〜約20重量%の量で、便宜上約2〜約15重量%、例えば約4〜約10重量%の量でそれを含有している。
【0041】
本発明の好ましい組成物は、約82〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約6重量%R‐744および約2〜約12重量%R‐32を含有している。
【0042】
本発明の別の好ましい組成物は、約85〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約6重量%R‐744および約2〜約12重量%R‐32を含有している。
【0043】
一態様において、第三成分はR‐152aを含んでなる。第三成分はR‐152aから実質的になる(またはからなる)。
【0044】
R‐152aを含有する本発明の組成物は、典型的には約2〜約45重量%の量で、便宜上約3〜約30重量%、好ましくは約4〜約20%(例えば約5〜約15重量%)の量でそれを含有している。
【0045】
本発明の好ましい組成物は、約75〜約96重量%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約20重量%R‐152aを含有している。
【0046】
別の好ましい組成物は、約85〜約94重量%(例えば約87〜約92%)R‐1234ze(E)、約3〜約8重量%(例えば約4〜約7%)R‐744および約3〜約7重量%(例えば約4〜約6%)R‐152aを含有している。
【0047】
一態様において、第三成分はR‐161を含んでなる。第三成分はR‐161から実質的になる(またはからなる)。
【0048】
R‐161を含有する本発明の組成物は、典型的には約2〜約30重量%の量で、便宜上約3〜約20重量%、例えば約4〜約15重量%の量でそれを含有している。
【0049】
本発明の好ましい組成物は、約85〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約10重量%R‐161を含有している。
【0050】
一態様において、第三成分はプロピレンを含んでなる。第三成分はプロピレンから実質的になる(またはからなる)。
【0051】
プロピレンを含有する本発明の組成物は、典型的には約1〜約10重量%の量で、便宜上約2〜約8重量%、例えば約3〜約6重量%の量でそれを含有している。
【0052】
本発明の好ましい組成物は、約87〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約8重量%プロピレンを含有している。
【0053】
本発明の別の好ましい組成物は、約89〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約8重量%プロピレンを含有している。
【0054】
一態様において、第三成分はプロパンを含んでなる。第三成分はプロパンから実質的になる(またはからなる)。
【0055】
プロパンを含有する本発明の組成物は、典型的には約1〜約10重量%の量で、便宜上約2〜約8重量%、例えば約3〜約6重量%の量でそれを含有している。
【0056】
本発明の好ましい組成物は、約87〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約8重量%プロパンを含有している。
【0057】
本発明の別の好ましい組成物は、約89〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約5重量%R‐744および約2〜約8重量%プロパンを含有している。
【0058】
一態様において、第三成分はR‐134aを含んでなる。第三成分はR‐134aから実質的になる(またはからなる)。
【0059】
R‐134aを含有する本発明の組成物は、典型的には約1〜約50重量%、例えば約2〜約45重量%の量でそれを含有している。便宜上R‐134aは約2〜約30重量%、例えば約2〜約20重量%の量で存在している。
【0060】
本発明の好ましい組成物は、約44〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約6重量%R‐744および約2〜約50重量%のR‐134aを含有している。
【0061】
本発明の別の好ましい組成物は、約49〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約6重量%R‐744および約2〜約45重量%R‐134aを含有している。
【0062】
一側面において、本発明の組成物は、約79〜約96%R‐1234ze(E)、約2〜約6重量%R‐744および約2〜約15重量%R‐134aを含有している。
【0063】
一側面において、本発明の組成物は、約79〜約94%R‐1234ze(E)、約4〜約6重量%R‐744および約2〜約15重量%(例えば約6〜約15%)R‐134aを含有している。このような組成物の例は、約84重量%R‐1234ze(E)、約6重量%R‐744および約10重量%R‐134aを含有する、または約86重量%R‐1234ze(E)、約5重量%R‐744および約9重量%R‐134aを含有する、三元ブレンドである。
【0064】
本発明の組成物はペンタフルオロエタン(R‐125)をさらに含有してもよい。もし存在するならば、R‐125は典型的には約40重量%以下、好ましくは約2〜約20重量%の量で存在する。
【0065】
本発明による組成物は便宜上実質的にR‐1225(ペンタフルオロプロペン)、便宜上実質的にR‐1225ye(1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)またはR‐1225zc(1,1,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)を含有せず、該化合物は毒性問題を伴うことがある。
【0066】
“実質的にせず”とは、我々は、本発明の組成物が組成物の総重量ベースで0.5重量%以下、好ましくは0.1%以下の記述成分を含有していることを意味する。
【0067】
本発明の組成物は実質的に:
(i)2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234yf)
(ii)シス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(Z))および/または
(iii)3,3,3‐トリフルオロプロペン(R‐1243zf)
を含有しないことがある。
【0068】
本発明の組成物はゼロのオゾン破壊係数を有する。
【0069】
好ましくは、本発明の組成物(例えば、R‐134a、R‐1234yfまたはR‐152aに代わる適切な冷媒代替物であるもの)は、1300未満、好ましくは1000未満、さらに好ましくは800、500、400、300または200未満、特に150または100未満、さらには一部の場合に50未満であるGWPを有している。別記されない限り、GWPのIPCC(気候変動に関する政府間パネル)TAR(第三次評価報告書)値がここでは用いられていた。
【0070】
有利には、本組成物は、本組成物の個別可燃性成分、例えばR‐32、R‐161、R‐152a、プロパンまたはプロピレンと比べた場合に、低い燃焼危険性のものである。好ましくは、本組成物はR‐1234yfと比べた場合に低い燃焼危険性のものである。
【0071】
一側面において、本組成物は、R‐32、R‐152a、R‐161、プロパン、プロピレンまたはR‐1234yfと比べて、(a)高い可燃下限;(b)高い点火エネルギー;または(c)低い火炎速度のうち1以上を有している。好ましい態様において、本発明の組成物は不燃性である。有利には、約−20℃〜60℃のどの温度でも本発明の組成物と平衡状態で存在する蒸気の混合物も不燃性である。
【0072】
燃焼性は、2004年のAddendum 34p通りの試験方法論でASTM標準E‐681を組み入れたASHRAE標準34に従い調べられ、その全内容が参照によりここに組み込まれる。
【0073】
一部の適用において、ASHRAE‐34方法論により不燃性と処方が分類されることは不要かもしれない;例えば冷却設備装填物を周囲へ漏出させることにより可燃性混合物を作ることが物理的に不可能であれば、適用に際し使用上安全とするほど十分に空気中で可燃限界が下げられる流体を開発することが可能である。
【0074】
R‐1234ze(E)は空気中23℃で不燃性であるが、それは加湿空気中それより高い温度で可燃性を示す。混合物の“フッ素比”Rが約0.57より大きいならば、HFC‐32、HFC‐152aまたはHFC‐161のような可燃性フルオロカーボンとR‐1234ze(E)の混合物が空気中23℃で不燃性のままであることを我々は実験で調べたが、ここでRは以下のように全冷媒混合物のグラム‐モル当たりで規定される:
=(フッ素のグラム‐モル)/(フッ素のグラム‐モル+水素のグラム‐モル)
【0075】
このようにR‐161の場合、R=1/(1+5)=1/6(0.167)で、それは可燃性であり、対照的にR‐1234ze(E)はR=4/6(0.667)を有し、それは不燃性である。R‐1234ze(E)中R‐161の20%v/v混合物が同様に不燃性であることを、我々は実験で発見した。この不燃性混合物のフッ素比は0.2(1+6)+0.8(4+6)=0.567である。
【0076】
燃焼性と0.57以上のフッ素比とのこの関係の正当性が、HFC‐32、HFC‐152aおよびHFC‐32とHFC‐152aとの混合物で実験的に証明されていた。
【0077】
Takizawa et al.,Reaction Stoichiometry for Combustion of Fluoroethane Blends,ASHRAE Transactions,112(2),2006(参照によりここに組み込まれる)は、R‐152aを含んでなる混合物のこの比率と火炎速度との間でほぼ直線関係があることを示しており、フッ素比の増加は火炎速度の低下をもたらす。このリファレンスにおけるデータは、ゼロに低下した火炎速度の場合、換言すると不燃性である混合物の場合、フッ素比が約0.65より大きい必要があることを示している。
【0078】
同様に、Minorら(Du Pont特許出願WO2007/053697)は多くのヒドロフルオロオレフィンの燃焼性に関する開示を発表しており、フッ素比が約0.7より大きいならば、このような化合物が不燃性であると予想されることを示している。
【0079】
この従来の開示からみて、HFC‐32、HFC‐152aまたはHFC‐161のような可燃性フルオロカーボンとR‐1234ze(E)の混合物は、該混合物のフッ素比Rが約0.57より大きくても、空気中23℃で不燃性のままであるとは予想外である。
【0080】
さらに、フッ素比が約0.46より大きいならば、組成物は室温で6%v/vより大きな可燃下限を空気中で有すると予想されうることを、我々は確認した。
【0081】
予想外に低い量のR‐1234ze(E)を含有した低または不燃性R‐744/第三成分/R‐1234ze(E)を生産することにより、特にこのような組成物中における第三成分の量は増やせる。これは、それより高い量(例えばほぼ100%)のR‐1234ze(E)を含有した相当組成物と比べて、冷却能力の増加、温度勾配の減少および/または圧力損失の減少を示す熱伝達組成物をもたらすと考えられる。
【0082】
このように、本発明の組成物は低/不燃性、低GWPおよび改善された冷却性能の完全に予想外な組合せを示す。これら冷却性能の一部は以下でさらに詳細に説明されている。
【0083】
一定圧力下における共沸(非共沸)混合物の泡立ち点と露点温度との差異と考えられる温度勾配は、冷媒の特徴をなすものである;流体を混合物で置き換えることが望まれるならば、代替流体で類似したまたは低い勾配を有することが多くの場合に好ましい。一態様において、本発明の組成物は共沸性である。
【0084】
便宜上、本発明の組成物の(蒸発器における)温度勾配は約10K未満、好ましくは約8K未満である。
【0085】
有利には、本発明の組成物の体積冷却能力は、置き換えられるところの既存の冷媒流体の少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%またはさらには少なくとも95%である。
【0086】
本発明の組成物は、典型的にはR‐1234yfの少なくとも90%である、体積冷却能力を有している。好ましくは、本発明の組成物は、R‐1234yfの場合の少なくとも95%、例えばR‐1234yfの場合の約95%〜約120%である、体積冷却能力を有している。
【0087】
一態様において、本発明の組成物のサイクル効率(成績係数、COP)は、置き換えられるところの既存の冷媒流体より約5%以内またはそれ以上で良い。
【0088】
便宜上、本発明の組成物の圧縮器吐出温度は、置き換えられるところの既存の冷媒流体の約15K、好ましくは約10Kまたはさらには約5K以内である。
【0089】
本発明の組成物は、好ましくは、R‐134a値の95%以上で低いまたは同等の圧力損失特性および冷却能力を有しながら、同等条件下でR‐134aの少なくとも95%(好ましくは少なくとも98%)のエネルギー効率を有している。有利には、本組成物は同等条件下でR‐134aより高いエネルギー効率と低い圧力損失特性を有している。本組成物は、有利には、R‐1234yf単独より良いエネルギー効率と圧力損失特性も有している。
【0090】
本発明の熱伝達組成物は既存の設計の設備で使用に適し、既定HFC冷媒と一緒に現在用いられている潤滑剤の全種類と適合する。それらは、所望により、適切な添加剤の使用により鉱油で安定化または適合化される。
【0091】
好ましくは、熱伝達設備で用いられる場合、本発明の組成物は潤滑剤と組み合わされる。
【0092】
便宜上、潤滑剤は鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PAB)、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル)、ポリビニルエーテル類(PVE)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0093】
有利には、潤滑剤はさらに安定剤を含んでなる。
【0094】
好ましくは、安定剤はジエン系化合物、ホスフェート類、フェノール化合物およびエポキシドとそれらの混合物からなる群より選択される。
【0095】
便宜上、本発明の組成物は難燃剤と組み合わせてもよい。
【0096】
有利には、難燃剤はトリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0097】
好ましくは、熱伝達組成物は冷媒組成物である。
【0098】
一態様において、本発明は本発明の組成物を含んでなる熱伝達装置を提供する。
【0099】
好ましくは、熱伝達装置は冷却装置である。
【0100】
便宜上、熱伝達装置は自動車空調システム、住宅空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却(chiller refrigeration)システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または空調システムである。
【0101】
有利には、熱伝達装置は遠心型圧縮器を内蔵している。
【0102】
本発明は、ここで記載されているような熱伝達装置における本発明の組成物の使用も提供する。
【0103】
本発明の別の側面によると、本発明の組成物を含んでなる発泡剤が提供される。
【0104】
本発明の他の側面によると、発泡体を形成可能な1種以上の成分と本発明の組成物を含んでなる発泡性組成物が提供される。
【0105】
好ましくは、発泡体を形成可能な1種以上の成分は、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレンおよびエポキシ樹脂から選択される。
【0106】
本発明の別の側面によると、本発明の発泡性組成物から得られる発泡体が提供される。
【0107】
好ましくは、発泡体は本発明の組成物を含んでなる。
【0108】
本発明の他の側面によると、スプレーされる物質と、本発明の組成物を含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物が提供される。
【0109】
本発明の別の側面によると、本発明の組成物を凝縮させ、その後で冷却される物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却するための方法が提供される。
【0110】
本発明の他の側面によると、加熱される物品の近くで本発明の組成物を凝縮させ、その後で該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱するための方法が提供される。
【0111】
本発明の別の側面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒とバイオマスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出するための方法が提供される。
【0112】
本発明の他の側面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と物品を接触させることを含んでなる、物品を清浄化するための方法が提供される。
【0113】
本発明の別の側面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と水溶液を接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出するための方法が提供される。
【0114】
本発明の他の側面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と粒状固体マトリックスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出するための方法が提供される。
【0115】
本発明の別の側面によると、本発明の組成物を含有している機械的動力発生装置が提供される。
【0116】
好ましくは、機械的動力発生装置はランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されてなる。
【0117】
本発明の他の側面によると、既存の熱伝達流体を除去して、本発明の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修するための方法が提供される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または(スタティック)空調システムである。有利には、該方法は温室効果ガス(例えば、二酸化炭素)排出権の割当を得る工程をさらに含んでなる。
【0118】
上記の改修方法によると、既存の熱伝達流体は、本発明の組成物を導入する前に、熱伝達装置から完全に除去される。既存の熱伝達流体は熱伝達装置から一部除去し、その後で本発明の組成物を導入することもできる。
【0119】
既存の熱伝達流体がR‐134aであり、本発明の組成物がR‐134a、R‐1234ze(E)、R‐744、いずれか他の第三成分および/または存在するR‐125(および潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)を含有している他の態様において、R‐1234ze(E)およびR‐744などは熱伝達装置でR‐134aへ加えられ、それにより本発明の組成物と、本発明の熱伝達装置をその場で形成することができる。望ましい割合で本発明の組成物の諸成分の提供を容易にするために、R‐1234ze(E)、R‐744などを加える前に、既存のR‐134aの一部が熱伝達装置から除去されてもよい。
【0120】
このように、本発明は、R‐134a、望ましいR‐125および任意成分、例えば潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤に加えて、R‐1234ze(E)、R‐744、いずれか他の第三成分を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有する熱伝達装置へ導入することを含んでなる、本発明の組成物および/または熱伝達装置を製造するための方法を提供する。所望により、R‐134aの少なくとも一部は、R‐1234ze(E)、R‐744などを導入する前に、熱伝達装置から除去される。
【0121】
もちろん、本発明の組成物は、望ましい割合でR‐1234ze(E)、R‐744、第三成分、望ましいR‐125(および潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)を混合することでも、簡単に製造される。本組成物は次いで、R‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体を含有しない熱伝達装置、例えばR‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体が除去されていた装置へ加えられる(またはここで記載されているようないずれか他の手法で用いられる)。
【0122】
本発明の別の側面において、既存の化合物または組成物を含んでなる製品の作動から生じる環境影響を減らすための方法が提供され、該方法は少なくとも部分的に既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換えることを含んでなる。好ましくは、この方法は温室効果ガス排出権の割当を得る工程を含んでなる。
【0123】
環境影響とは、我々は製品の作動による温室温暖化ガスの発生および排出を含める。
【0124】
上記のように、この環境影響は、漏出または他の損失から有意な環境影響を有する化合物または組成物の排出を含むのみならず、装置によりその耐用期間中に消費されるエネルギーから生じる二酸化炭素の排出も含めて考えられる。このような環境影響は総等価温暖化影響(TEWI)として知られる測定により定量しうる。この測定は、例えばスーパーマーケット冷却システムを含めた、ある固定冷却および空調設備の環境影響の定量化に用いられてきた(例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Total equivalent warming impact参照)。
【0125】
環境影響は、化合物または組成物の合成および製造から生じる温室効果ガスの排出を含めて、さらに考えられる。この場合には、ライフサイクル炭素排出量(LCCP、例えばhttp://www.sae.org/events/aars/presentations/2007papasavva.pdf参照)として知られる測定を行うために、製造時排出がエネルギー消費および直接損失効果に加えられる。LCCPの使用は自動車空調システムの環境影響を評価する際に一般的である。
【0126】
排出権は地球温暖化に寄与する汚染物質排出を減らすことに対して与えられ、例えば預けられ、取引され、または販売されることができる。それらは二酸化炭素の換算量で便宜上表示される。そのため、1kgのR‐134aの排出が避けられるとすれば、1×1300=1300kg CO換算の排出権が与えられる。
【0127】
本発明の他の態様において、(i)既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換え(本発明の組成物は既存の化合物または組成物より低いGWPを有している);および(ii)該置換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出すための方法が提供される。
【0128】
好ましい態様において、本発明の組成物の使用は、既存の化合物または組成物の使用により達成される場合よりも低い総等価温暖化影響および/または低いライフサイクル炭素排出量を有する設備をもたらす。
【0129】
これらの方法は、いずれか適切な製品で、例えば、空調、冷却(例えば低および中温度冷却)、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒(例えば、フレーバーおよびフレグランスの担体)、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張適用の分野で行われる。好ましくは、分野は空調または冷却である。
【0130】
適切な製品の例としては、熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒および機械的動力発生装置がある。好ましい態様において、製品は熱伝達装置、例えば冷却装置または空調ユニットである。
【0131】
既存の化合物または組成物は、それに置き換わる本発明の組成物より高い、GWPおよび/またはTEWIおよび/またはLCCPで測定されるような環境影響を有している。既存の化合物または組成物はフルオロカーボン化合物、例えばペルフルオロ‐、ヒドロフルオロ‐、クロロフルオロ‐またはヒドロクロロフルオロ‐カーボン化合物を含んでなるか、またはそれはフッ素化オレフィンを含んでなる。
【0132】
好ましくは、既存の化合物または組成物は冷媒のような熱伝達化合物または組成物である。置き換えられる冷媒の例としては、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507、R‐22およびR‐404Aがある。本発明の組成物はとりわけR‐134a、R‐152aまたはR‐1234yf、特にR‐134aまたはR‐1234yfの代替物として適している。
【0133】
いかなる量の既存の化合物または組成物も、環境影響を減らせるように置き換えられる。これは、置き換えられる既存の化合物または組成物の環境影響と、本発明の代替組成物の環境影響に依存する。好ましくは、製品中における既存の化合物または組成物は本発明の組成物で完全に置換えられる。
【0134】
本発明は以下の非制限例で実証される。
【実施例】
【0135】
燃焼性
大気圧および制御湿度下において空気中で本発明のある組成物の燃焼性を以下のような火炎管試験で研究した。
【0136】
試験容器は、2インチの直径を有する直立ガラスシリンダーであった。点火電極をシリンダーの底より60mm上に置いた。シリンダーを圧力解放開口部と合わせた。爆発損害を制限するために器具をシールドした。0.5秒間の定格誘導スパークを点火源として用いた。
【0137】
試験を23または35℃で行った(以下参照)。空気中既知濃度の燃料をガラスシリンダーへ導入した。スパークを混合物へ入れ、火炎が点火源から自ら離れて自立的に伝播するか否かを観察した。点火が起きるまで(もしあれば)、ガス濃度を1%容量ずつ増加させた。結果が以下で示されている(すべての組成は別記されない限りv/vベースである)。
【表1】

これは重量で約4%CO、10%R‐134aおよび86%R‐1234ze(E)に相当する。
LFL=可燃下限およびUFL=燃焼上限
不完全伝播
【0138】
三元組成物4重量%CO、10%R‐134aおよび86%R‐1234ze(E)は、23℃で不燃性であることが示された。35℃では、それは相当R134a/R1234yfおよびR134a/R1234ze(E)混合物よりも顕著に燃えにくいものであった。
【0139】
(a)正確な物理的性質モデルの作成
冷却サイクル性能、即ち臨界点、蒸気圧、液体および蒸気エンタルピー、液体および蒸気密度と蒸気および液体の熱容量をモデル化するために必要なR‐1234yfおよびR‐1234ze(E)の物理的性質を、圧力範囲0〜200バールおよび温度範囲−40〜200℃にわたる実験法で正確に調べ、ユーザーガイドwww.nist.gov/srd/PDFfiles/REFPROP8.PDFでさらに詳細に記載されて参照によりここに組み込まれるNIST REFPROP Version 8.0ソフトウェアで流体に関する状態モデルのHelmholtz自由エネルギー方程式を作成するために、得られたデータを用いた。温度による両流体の理想気体エンタルピーの変動は分子モデリングソフトウェアHyperchem v7.5(参照によりここに組み込まれる)を用いて評価し、得られた理想気体エンタルピー関数はこれら流体に関する状態の方程式の回帰で用いた。
【0140】
R‐1234ze(E)の蒸気液体平衡挙動を、ほとんどの冷却および空調システムの実用作動範囲を包含した温度範囲−40〜+60℃にわたり、R‐32、R‐125、R‐134a、R‐152a、R‐161、プロパンおよびプロピレンとの一連の二元ペアで研究した。実験プログラムでは各二元系の全組成スペースにわたり組成を変えた。このデータもREFPROPソフトウェアモデルへ組み込んだ。
【0141】
得られたソフトウェアモデルは、本発明の選択流体の性能を、単独成分としてR‐1234yf、R‐1234ze(E)、およびR‐134aと比較するために用いた。
【0142】
(b)理想空調サイクル比較
第一の比較では、高い周囲温度における自動車空調作動に典型的な条件で、簡単な蒸気圧縮サイクルに関する流体の挙動を評価した。この比較では、圧力損失効果をモデルに含めなかった。代わりに、各冷媒について等価平均蒸発および凝縮温度と同程度の過熱および過冷却に基づいた比較が行われた。
【0143】
用いられた条件、次いでR‐1234yf、R‐1234ze(E)およびR‐134aに関する比較例データが、以下で示されている。
【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
この分析の結果は本発明の選択組成群に関して下記表で示されている:即ち
1.CO/R‐32/R‐1234ze(E)
2.CO/R‐161/R‐1234ze(E)
3.CO/R‐152a/R‐1234ze(E)
4.CO/R‐134a/R‐1234ze(E)
5.CO/R‐1270/R‐1234ze(E)
6.CO/R‐290/R‐1234ze(E)
【0147】
表は、作動圧力、冷媒の体積冷却能力、エネルギー効率(成績係数またはCOPと表示される)、圧縮器吐出温度、蒸発器入口温度および圧縮器吸引配管における予想圧力損失を含めた、空調サイクルの重要パラメーターを示している。
【0148】
R‐1234yfの性能は、冷却能力、エネルギー効率および圧力損失の比較に際する基準点として使われる。
【0149】
本発明の組成物がHFC‐1234yfと比べて改善されたエネルギー効率を呈しうることは明らかである。事実、組成物の一部のエネルギー効率はHFC‐134aの場合に匹敵しうる。
【0150】
さらに、本発明の流体の冷却能力はR‐1234yfの場合に近いか、またはそれを越える。本発明の一部組成物はR‐134aより優れた冷却能力を呈し、したがってR‐134aの代替物として考えられる。
【0151】
作動圧力レベルおよび圧縮器吐出温度も同様にR‐1234yfおよびR‐134aの場合に近い。
【0152】
同等の冷却能力時に、本発明の組成物はR‐1234yfと比べて少ない圧力損失を呈する。この少ない圧力損失特性は、実際のシステムにおいて、(圧力損失の低下により)エネルギー効率の更なる改善をもたらす。圧力損失効果は自動車空調で特に重要であり、そのためこれらの流体はこの適用で特に利点を発揮する。
【0153】
本発明の組成物(例えば、CO/R‐1270/R‐1234ze(E)およびCO/R‐290/R‐1234ze(E)ブレンド)で炭化水素冷媒の使用は、潤滑剤との間で冷媒の改善された溶解性および混和性をもたらす。特に、炭化水素の含有は合成炭化水素または鉱油型潤滑剤との関係でこれらの性質を改善し、それがなければR‐134aのようなヒドロフルオロカーボンと乏しい混和性および低い相互溶解性を示しうるのである。
【0154】
意外にも、好ましい量で炭化水素の使用は、概算評価技術を用いて予想されていたよりも大きな増加を、冷媒の冷却能力においてもたらす。理論に拘束されることなく、炭化水素とR‐1234ze(E)との非理想蒸気‐液体平衡相互作用がこの改善に寄与していると考えられる。この利点はプロパンおよびプロペンの双方でみられる。適用に関連する全温度範囲(−40〜60℃)においてプロペンとR‐1234ze(E)との間で存在する蒸気液体平衡の測定に際して共沸はみられなかったため、その効果は共沸の存在と関連していないようである。
【0155】
要するに、二酸化炭素およびR‐1234ze(E)と一緒にする炭化水素の組合せは、R‐1234ze(E)自体の燃焼危険性を有意に増すことなく、改善された冷却性能、圧縮器潤滑剤の選択および適用に際する高い融通性を与える。これらの利点は予想外かつ有益である。
【0156】
CO/R‐134a/R‐1234ze(E)を含有した組成物は特に魅力的であり、それらが23℃で不燃性の液および蒸気相を有し、選択された組成物が60℃でも完全に不燃性だからである。
【0157】
図1は、本発明のあるCO/R‐134a/R‐1234ze(E)組成物の成績係数(COP)がR‐134a含有率でどのように変わるかを示している。特に興味深いことは、低レベル(約12%w/w未満)のR‐134aのとき、成績係数が極大を経るという発見である。このように、予想外に、少量のR‐134aの添加は、COとR‐1234ze(E)との単純二元混合物と比べて冷却能力およびエネルギー効率の双方に増加をもたらしている。さらに、この効果は150未満の全体ブレンドGWPレベルで生じ、これは自動車空調適用において予想外に有益なことである。
【0158】
【表4】

【0159】
【表5】

【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【0162】
【表8】

【0163】
【表9】

【0164】
【表10】

【0165】
【表11】

【0166】
【表12】

【0167】
【表13】

【0168】
【表14】

【0169】
【表15】

【0170】
【表16】

【0171】
【表17】

【0172】
【表18】

【0173】
【表19】

【0174】
【表20】

【0175】
【表21】

【0176】
【表22】

【0177】
【表23】

【0178】
【表24】

【0179】
【表25】

【0180】
【表26】

【0181】
【表27】

【0182】
【表28】

【0183】
【表29】

【0184】
【表30】

【0185】
【表31】

【0186】
【表32】

【0187】
【表33】

【0188】
6重量%CO、10重量%R‐134aおよび84重量%R‐1234ze(E)を含有した組成物の性能を、R‐134aとの使用に適した自動車空調システムで試験した。この組成物は、以下で示された結果において、“ブレンド”と表示されている。
【0189】
用いられた試験条件は、参照によりここに組み込まれる、SAE標準J2765で記載されている通りであった。これらの条件が以下でまとめられている。
- 周囲空気条件35℃および40%相対湿度(RH)
- 3℃に制御された蒸発器からのエアオフ(air-off)温度
- 圧縮器排気量0〜175cc/ストローク
- 従来のR‐134a膨張弁は、過熱調整を容易にするために電子膨張弁と置き換えた
- 内部熱交換器なしに、全流体向けの蒸発器出口で同等に過熱して用いられるシステム
【0190】
結果が以下で示されており、そこにおいてI、L、MおよびHはアイドル、低、中および高速に関し、35および45は周囲温度℃に関する。
【表34】

【0191】
【表35】

【0192】
本発明のブレンド組成物は、ある範囲の条件にわたり、R‐134a空調システムでR‐134aと能力および効率の良い対等性を表している。
【0193】
混和性データ
約6重量%CO、約10重量%R‐134aおよび約84重量%R‐1234ze(E)を含有した本発明の組成物(以下ブレンドと称される)の混和性をポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤YN12およびポリオールエステル潤滑剤で試験した。これら実験の結果を純粋R‐1234yfと同潤滑剤との混和性と比べた。結果が以下で示されている。
【0194】
【表36】

【0195】
【表37】

【0196】
【表38】

【0197】
【表39】

【0198】
結果は、本発明の組成物が純粋流体R‐1234yfと比べて改善された潤滑剤との混和性を有することを示している。
【0199】
要するに、本発明は、既存の冷媒、例えばR‐134aおよび提案される冷媒R‐1234yfと比べて、良好な冷却性能、低い燃焼性、低いGWPおよび/または潤滑剤との混和性を含めて、有利な性質の意外な組合せを示す新規組成物を提供する。
【0200】
本発明は以下の特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】本発明のあるCO/R‐134a/R‐1234ze(E)組成物の成績係数(COP)がR‐134a含有率でどのように変わるかを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))と、二酸化炭素(R‐744)と、ジフルオロメタン(R‐32)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)、フルオロエタン(R‐161)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)、プロピレン、プロパンおよびそれらの混合物から選択される第三成分と
を含んでなる、熱伝達組成物。
【請求項2】
R‐1234ze(E)を少なくとも約45重量%含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R‐744を約10重量%以下含んでなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
第三成分を約50重量%以下含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
R‐134aを約2〜約50重量%含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
R‐1234ze(E)を約44〜約96%、R‐744を約2〜約6重量%、R‐134aを約2〜約50重量%含んでなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
R‐1234ze(E)を約79〜約96%、R‐744を約2〜約6重量%、R‐134aを約2〜約15重量%含んでなる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
R‐1234ze(E)を約79〜約90%、R‐744を約4〜約6重量%、R‐134aを約6〜約15重量%含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
R‐32を約2〜約20%含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
R‐1234ze(E)を約82〜約96%、R‐744を約2〜約6重量%、R‐32を約2〜約12重量%含んでなる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
R‐152aを約2〜約45重量%含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
R‐1234ze(E)を約75〜約96%、R‐744を約2〜約5重量%、R‐152aを約2〜約20重量%含んでなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
R‐161を約2〜約16重量%含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
R‐1234ze(E)を約85〜約96%、R‐744を約2〜約5重量%、R‐161を約2〜約10重量%含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
プロピレンまたはプロパンを約1〜約8重量%含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
R‐1234ze(E)を約87〜約96%、R‐744を約2〜約5重量%、プロピレンを約2〜約8重量%含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
R‐1234ze(E)を約87〜約96%、R‐744を約2〜約5重量%、プロパンを約2〜約8重量%含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
R‐1234ze(E)、R‐744および第三成分から実質的になる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ペンタフルオロエタン(R‐125)をさらに含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が、1000未満、好ましくは150未満のGWPを有している、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
温度勾配が約10K未満、好ましくは約8K未満である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15%以内、好ましくは約10%以内で、体積冷却能力を有している、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、R‐32単独、R‐152a単独またはR‐1234yf単独よりも燃えにくい、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、R‐32単独、R‐152a単独またはR‐1234yf単独と比べて、
(a)高い可燃限界、
(b)高い点火エネルギー、および/または
(c)低い火炎速度
を有している、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
約0.42〜約0.7、好ましくは約0.44〜約0.67のフッ素比(F/(F+H))を有している、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
不燃性である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約5%以内のサイクル効率を有している、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15K以内、好ましくは約10K以内の圧縮器吐出温度を有している、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
潤滑剤と、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる、組成物。
【請求項30】
潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せから選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
安定剤をさらに含んでなる、請求項29または30に記載の組成物。
【請求項32】
安定剤が、ジエン系化合物類、ホスフェート類、フェノール化合物類およびエポキシド類、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
難燃剤と、請求項1〜32のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる、組成物。
【請求項34】
難燃剤が、トリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
冷媒組成物である、請求項1〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含有している、熱伝達装置。
【請求項37】
熱伝達装置における、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項38】
冷却装置である、請求項36または37に記載の熱伝達装置。
【請求項39】
自動車空調システム、住宅空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される、請求項38に記載の熱伝達装置。
【請求項40】
圧縮器を内蔵している、請求項38または39に記載の熱伝達装置。
【請求項41】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、発泡剤。
【請求項42】
発泡体を形成可能な1種以上の成分と、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる発泡性組成物であって、発泡体を形成可能な1種以上の成分が、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレン、およびエポキシ樹脂、ならびにそれらの混合物から選択される、発泡性組成物。
【請求項43】
請求項42に記載の発泡性組成物から得られる、発泡体。
【請求項44】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、請求項43に記載の発泡体。
【請求項45】
スプレーされるべき物質と、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物。
【請求項46】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、冷却されるべき物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却する方法。
【請求項47】
加熱されるべき物品の近くで請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱する方法。
【請求項48】
バイオマスを請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出する方法。
【請求項49】
物品を請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させることを含んでなる、物品を清浄化する方法。
【請求項50】
水溶液を請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出する方法。
【請求項51】
粒状固体マトリックスを請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出する方法。
【請求項52】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を含有している、機械的動力発生装置。
【請求項53】
ランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されてなる、請求項52に記載の機械的動力発生装置。
【請求項54】
既存の熱伝達流体を除去して、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修する方法。
【請求項55】
熱伝達装置が冷却装置である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
熱伝達装置が空調システムである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
既存の化合物または組成物を含んでなる製品の作動から生じる環境影響を減らす方法であって、既存の化合物または組成物を少なくとも部分的に請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物で置き換えることを含んでなる、方法。
【請求項58】
R‐134aを含有する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物および/または請求項36および38〜40のいずれか一項に記載の熱伝達装置を製造する方法であって、R‐1243ze(E)、R‐744、何らかの追加の第三成分、および所望によりR‐125、潤滑剤、安定剤および/または難燃剤を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有する熱伝達装置へ導入することを含んでなる、方法。
【請求項59】
R‐1243ze(E)、R‐744、何らかの追加の第三成分、および所望によりR‐125、潤滑剤、安定剤および/または難燃剤を導入する前に、既存のR‐134aの少なくとも一部を熱伝達装置から除去する工程を含んでなる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
(i)既存の化合物または組成物を請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物で置き換え、このとき請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物は既存の化合物または組成物よりも低いGWPを有するものとし、(ii)該置き換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出す方法。
【請求項61】
本発明の組成物の使用が、既存の化合物または組成物の使用により達成される場合と比べて、より低い総等価温暖化影響および/またはより低いライフサイクル炭素排出量をもたらす、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
空調、冷却、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張適用の分野からの製品で行われる、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
製品が、熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒または機械的動力発生装置から選択される、請求項57または62に記載の方法。
【請求項64】
製品が熱伝達装置である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
既存の化合物または組成物が熱伝達組成物である、請求項55および58〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
熱伝達組成物が、R‐134a、R‐1234yfおよびR‐152aから選択される冷媒である、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
所望により実施例を参照しつつ、実質的にここまでに記載されるような、あらゆる新規の熱伝達組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−256361(P2011−256361A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−3718(P2011−3718)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(510127697)メキシケム、アマンコ、ホールディング、ソシエダッド、アノニマ、デ、カピタル、バリアブレ (24)
【氏名又は名称原語表記】MEXICHEM AMANCO HOLDING S.A. DE C.V.
【Fターム(参考)】