説明

熱伝達組成物

本発明は、R‐1243zf、R‐32(ジフルオロメタン)およびR‐161(フルオロエタン)を含んでなる熱伝達組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達組成物、特にR‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の代替物として適しうる熱伝達組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書中における既発表文献または背景の掲載または考察は、文献または背景が最新技術の一部であるか、または一般常識であることを認めるものとして必ずしも受け取るべきでない。
【0003】
機械冷却システムおよび関連熱伝達装置、例えばヒートポンプおよび空調システムは周知である。このようなシステムにおいて、冷媒液は周辺ゾーンから熱を受け取り低圧で蒸発する。得られた蒸気は次いで圧縮され、凝縮器へ送られ、そこでそれが凝縮して、第二ゾーンへ熱を放出し、凝縮液は膨張弁を通って蒸発器へ戻され、こうしてサイクルを完了する。蒸気を圧縮して液体を送り出すために要する機械的エネルギーは、例えば電気モーターまたは内燃機関により供給される。
【0004】
適切な沸点および高い蒸発潜熱を有することに加えて、冷媒で好ましい性質としては、低毒性、不燃性、非腐食性、高安定性および不快臭が無いことが挙げられる。他の望ましい性質は、25バール以下の圧力で速やかな圧縮性、圧縮時の低い吐出温度、高い冷却能力、高い効率(高い成績係数)および望ましい蒸発温度で1バール超の蒸発器圧力である。
【0005】
ジクロロジフルオロメタン(冷媒R‐12)は諸特性の適切な組合せを有し、長年にわたり最も広く用いられた冷媒であった。完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボンが地球の保護オゾン層を破壊しているという国際的懸念のために、それらの製造および使用が厳しく制限され、最終的には完全に廃止されるという一般協定があった。ジクロロジフルオロメタンの使用は1990年代に段階的に廃止された。
【0006】
クロロジフルオロメタン(R‐22)は、その低いオゾン破壊係数のために、R‐12の代替物として導入された。R‐22が強力な温室効果ガスであるという懸念を受けて、その使用もまた段階的に廃止されつつある。
【発明の開示】
【0007】
本発明に関するタイプの熱伝達装置は本質的に閉鎖系であるが、設備の作動中またはメンテナンス作業中における漏出のために大気への冷媒の損失が生じうる。したがって、ゼロオゾン破壊係数を有する物質で完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボン冷媒を置き換えることが重要である。
【0008】
オゾン破壊の可能性に加えて、大気中で有意な濃度のハロカーボン冷媒は地球温暖化(いわゆる温室効果)に関与しているかもしれないと示唆されていた。したがって、ヒドロキシルラジカルのような他の大気成分と反応しうる能力の結果として、または光分解プロセスによる速やかな分解の結果として、比較的短い大気寿命を有する冷媒を用いることが望ましいのである。
【0009】
R‐410AおよびR‐407(R‐407A、R‐407BおよびR‐407Cを含む)がR‐22の代替冷媒として導入されてきた。しかしながら、R‐22、R‐410AおよびR‐407はすべて高い地球温暖化係数(GWP、温室温暖化係数としても知られる)を有している。
【0010】
1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(冷媒R‐134a)がR‐12の代替冷媒として導入された。しかしながら、低いオゾン破壊係数を有するにもかかわらず、R‐134aは1300のGWPを有している。それより低いGWPを有するR‐134aの代替物を見つけることが望まれるのである。
【0011】
R‐152a(1,1‐ジフルオロエタン)がR‐134aの代替物として特定されていた。それはR‐134aよりやや効率的であり、120の温室温暖化係数を有している。しかしながら、R‐152aの燃焼性は、例えば自動車空調システムにおいてその安全な使用を行う上で、高すぎると判断されている。特に、空気中におけるその可燃下限は低すぎ、その火炎速度は高すぎ、その点火エネルギーは低すぎると考えられている。
【0012】
よって、低燃焼性のような改善された性質を有する代替冷媒を提供する必要性がある。フルオロカーボン燃焼化学は複雑かつ予測不能である。不燃性フルオロカーボンと可燃性フルオロカーボンとの混合が流体の燃焼性を減らすとは、必ずしも限らない。例えば、不燃性R‐134aが可燃性R‐152aと混合されると、該混合物の可燃下限が純粋R‐152aの場合と比べて低下しうる(すなわち、該混合物は純粋R‐152aより可燃性となる)ことを、本発明者らは発見した。三元または四元組成物が考えられると、状況はより一層複雑で予測しづらくなる。
【0013】
ほとんどまたは全く改修を伴うことなく冷却装置のような既存の装置に用いることができる代替冷媒を提供する必要性もある。
【0014】
R‐1234yf(2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン)が、ある種の用途、特に自動車空調またはヒートポンピング用途でR‐134aに置き換わる代替冷媒候補として特定された。そのGWPは約4である。R‐1234yfは可燃性であるが、その燃焼特性は自動車空調またはヒートポンピングを含めたいくつかの用途で許容されると一般的にみなされている。特に、その可燃下限、点火エネルギーおよび火炎速度はすべてR‐152aの場合よりかなり低い。
【0015】
温室効果ガスの排出に関して、空調または冷却システムを作動した環境影響は、冷媒のいわゆる“直接”GWPに関するのみならず、該システムを作動させる電気または燃料の消費に起因した二酸化炭素の排出を意味する、いわゆる“間接”排出に関しても考慮されねばならない。総等価温暖化影響(TEWI)分析またはライフサイクル炭素排出量(LCCP)分析として知られるものを含めて、この総GWP影響のいくつかの測定基準が開発されてきた。これら測定の双方には、冷媒GWPの効果の試算と、全体温暖化影響に及ぼすエネルギー効率を含む。
【0016】
R‐1234yfのエネルギー効率および冷却能力はR‐134aの場合よりかなり低いことがわかり、加えて該流体はシステム配管および熱交換器で高い圧力降下を示すことが分かった。この結論として、R‐1234yfを用いて、R‐134aに匹敵するエネルギー効率および冷却性能を達成するためには、設備の複雑さの増加と配管のサイズの増大が必要とされ、設備に伴う間接的排出の増加に繋がる。さらに、R‐1234yfの生産は、R‐134aより(フッ素化および塩素化された)原材料の使用に際して複雑かつ低効率であると思われる。そのように、R‐134aに置き換わるR‐1234yfの採用は、R‐134aの場合より原材料を多く消費し、温室効果ガスの間接的排出を多くもたらす。
【0017】
R‐1243zfは低燃焼性冷媒であり、比較的低いGWPを有している。R‐1243zf(HFC1243zfとしても知られる)は3,3,3‐トリフルオロプロペン(CFCH=CH)である。その沸点、臨界温度および他の性質は、R‐134a、R‐410AおよびR‐407のような、それより高いGWP冷媒に代わりうる可能性をそれに与えている。しかしながら、R‐1243zfの性質は、R‐134a、R‐410AおよびR‐407のような既存の冷媒の直接代替物として理想的である、というようなものではない。特に、その能力は低すぎ、これは、一定の圧縮器排気量を有して既存の冷媒用に設計された冷蔵庫または空調システムが、R‐1243zfで満たされかつ同一の操作温度で制御された場合に、さほど冷却できないことを意味している。この欠点は、その燃焼性に加えて、単独で用いられた場合に、既存の冷媒の代替物としてその適性にも影響を与える。
【0018】
R‐134aに関して設計される一部の既存技術は、一部の熱伝達組成物の低減された可燃性すら受け入れることができないことがある(150未満のGWPを有する組成物は、ある程度可燃性であると考えられる)。
【0019】
本発明者らは、R‐1243zfとR‐134aおよびR‐1234yfとR‐134aの二元混合物の限定不燃性組成物を調べるために、12リットルフラスコ中60℃でASHRAE標準34の方法論を用いた。48%/52%(重量基準)R‐134a/R‐1234yf混合物が不燃性であろうこと、および79%/21%(重量基準)R‐134a/R‐1243zf混合物が不燃性であろうことが分かった。R‐1234yf混合物は同等の不燃性R‐1243zf混合物より低いGWP(625)を有し、わずかに高い体積能力も示す。しかしながら、その圧力降下特性とサイクルエネルギー効率はR‐1243zfブレンドより悪くなる。これらの効果を改善しようとする試みが望まれる。
【0020】
したがって、本発明の主目的は、低GWPを有しながらも、例えば既存の冷媒(例えば、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404a)を用いて達成される値の理想的には20%以内、好ましくはこれら値の10%以下(例えば、約5%)以内で(“成績係数”として便宜上表示される)能力およびエネルギー効率を有する、それ自体で使用可能である又は既存の冷却使用の代替物として適した熱伝達組成物を提供することである。流体間におけるこの程度の差異は、顕著なコスト差を伴うことなく、設備およびシステム作動特徴の再設計により通常解決されることが、当業界で知られている。組成物は理想的には低毒性および許容しうる燃焼性も有しているべきである。
【0021】
本発明は、R‐1243zf、R‐32(ジフルオロメタン)およびR‐161(フルオロエタン)を含んでなる熱伝達組成物を提供することにより、上記欠点に対処したものである。これらはここでは本発明の組成物と称される。
【0022】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の合計重量基準で、約50〜約99重量%(例えば、約70〜約98%)のR‐1243zf、約0.5〜約25重量%(例えば、約1〜約15%)のR‐161および約0.5〜約25重量%(例えば、約1〜約15%)のR‐32を含有している。好ましくは、上記組成物はR‐1243zf、R‐32およびR‐161の三元ブレンドである。
【0023】
R‐1243zf、R‐32およびR‐161を含んでなる本発明の組成物は、加えて、R‐1234yf、R‐134aまたはそれらの混合物を含有してもよい。
【0024】
ここで記載された化学物質のすべてが市販されている。例えば、フルオロケミカルはApollo Scientific(UK)から得られる。
【0025】
この明細書は、上記された発明の組成物の範囲内に属する多くの態様について記載している。例えば、本発明の組成物の一部は、(例えば、低および中温冷却で用いられる)R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の適切な代替物である。本発明の組成物の一部は、(例えば、空調で用いられる)R‐134a、R‐1234yf、R‐152aのような冷媒の適切な代替物である。本発明の組成物における諸化合物の好ましい組合せは、それら成分および化合物に関して好ましい量と一緒に、本発明の組成物の有利な性質とそれらで提案される有用性と並んで、詳細に記載されている。ここで記載されているような本発明のこのような特徴は、当業者により理解されるように、適宜どのようにも組み合わせてもよいと理解されるであろう。
【0026】
本発明の組成物中で(例えばR‐1243zf、R‐32およびR‐161を含んでなる組成物に加えて)比較的低レベルのR‐134aの使用は、冷媒の液相および蒸気相の両方で低燃焼性を達成しながら、GWPの更なる低下を可能とする。
【0027】
典型的には、R‐134aは、組成物の合計重量基準において、約1〜約15重量%(例えば2〜10重量%)の量で本発明の組成物中に存在しうる。例えば、本発明の好ましい組成物は、組成物の合計重量基準で、約20〜約70重量%のR‐1243zf、約10〜約40重量%のR‐32、約10〜約40重量%のR‐161および約5〜約15重量%のR‐134aを含有している。
【0028】
R‐161の量は、好ましくは、冷媒組成物の液相または気相の全体燃焼性がR‐1243zf単独より低くなるように制限される。典型的には、R‐161は、組成物の合計重量基準において、約1〜約25または30重量%、例えば約2〜約15%の量で、本発明の組成物中に存在している。
【0029】
R‐134a、R‐1234yfおよびR‐152aのような冷媒の適切な代替物である本発明の好ましい組成物は、R‐1243zf、R‐32、R‐161およびR‐1234yfのブレンドである。
【0030】
R‐1243zf、R‐32、R‐161およびR‐1234yfのブレンドは、組成物の合計重量基準で、典型的には約15〜約80重量%(例えば、約20〜約70%)のR‐1243zf、約15〜約80%(例えば、約20〜約70%)のR‐1234yf、約1〜約25%(例えば、約2〜約15%)のR‐32および約1〜約25%(例えば、約2〜約15%)のR‐161を含有している。
【0031】
R‐1243zf、R‐32、R‐161(および場合によりR‐134aおよび/またはR‐1234yf)に加えて、本発明の組成物はペンタフルオロエタン(R‐125)、二酸化炭素(R‐744)またはそれらの混合物も含有してよい。
【0032】
任意のR‐125は、組成物の合計重量基準において、典型的には約5〜約40重量%、例えば約10〜約30重量%の量で存在している。
【0033】
任意のR‐744は、組成物の合計重量基準において、典型的には約1〜約15重量%、例えば約2〜約10重量%の量で存在している。
【0034】
本発明の組成物はゼロのオゾン破壊係数を有する。
【0035】
驚くべきことに、本発明の組成物は、低いGWPで、高い燃焼危険性をもたらすことなく、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の代替物として、空調と低および中温冷却システムでの使用に許容される性質を発揮しうることが分かった。
【0036】
別記されない限り、ここで用いられている“低温冷却”とは約−40〜約−80℃の蒸発温度を有する冷却を意味する。“中温冷却”とは約−15〜約−40℃の蒸発温度を有する冷却を意味する。
【0037】
別記されない限り、GWPのIPCC(気候変動に関する政府間パネル)TAR(第三次評価報告書)値がここでは用いられていた。R‐1243zfのGWPは、公知の大気反応速度データに従い、R‐1234yfおよびR‐1225ye(1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペ‐1‐エン)から類推して、4とされていた。
【0038】
選択された既存の冷媒混合物のGWPは、これに基づくと、以下の通りである:
R‐407A 1990
R‐407B 2695
R‐407C 1653
R‐404A 3784
R507 3850
【0039】
一態様において、本発明の組成物はR‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507またはR‐404aより低いGWPを有している。好都合には、本発明の組成物のGWPは約3500、3000、2500または2000未満である。例えば、GWPは2500、2400、2300、2200、2100、2000、1900、1800、1700、1600または1500未満である。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物(例えば、R‐134a、R‐1234yfまたはR‐152aの適切な冷媒代替物であるもの)は、1300未満、好ましくは1000未満、さらに好ましくは500、400、300または200未満、特に150または100未満、さらには一部の場合で50未満であるGWPを有している。
【0041】
有利には、本組成物は、本組成物の個別可燃性成分(例えばR‐1243zf)と比べた場合に、低い燃焼危険性のものである。一面において、本組成物は、R‐1243zf単独と比べて、(a)高い可燃下限;(b)高い点火エネルギー;または(c)低い火炎速度のうち1以上を有している。好ましい態様において、本発明の組成物は不燃性(または可燃性)である。
【0042】
燃焼性は、2004年付けAddendum 34p通りの試験方法論でASTM標準E‐681を組み入れたASHRAE標準34に従い決定することができ、その全内容が参照によりここに組み込まれる。
【0043】
一部の用途において処方物がASHRAE34方法論により不燃性として分類される必要はないかもしれない。例えば冷却設備装填物を周囲へ漏出させることにより可燃性混合物を作ることが物理的に不可能である場合、その用途における使用に安全となるように空気中で可燃限界が十分に下げられる流体を開発することが可能である。我々は、更なる冷媒を可燃性冷媒R‐1243zfに加えた効果が、空気を伴った混合物中でこのように燃焼性を変えるものであることを知見した。
【0044】
一定圧力下における非共沸混合物の沸点温度と露点温度との差と考えられる温度勾配は、冷媒の一つの特性である。流体を混合物で置き換えることが望まれる場合、代替流体で類似したまたは低い勾配を有することが多くの場合に好ましい。一態様において、本発明の組成物は非共沸性である。
【0045】
便宜上、本発明の組成物の(蒸発器における)温度勾配は約15K未満、例えば約10Kまたは5K未満である。
【0046】
有利には、本発明の組成物の体積冷却能力は、それが置き換わる既存の冷媒流体の約15%以内、好ましくは約10%またはさらには約5%以内である。
【0047】
一態様において、本発明の組成物のサイクル効率(成績係数)は、それが置き換わる既存の冷媒流体の約10%以内、好ましくは約5%以内であるか、あるいはそれが置き換わる既存の冷媒流体よりもさらに良いものである。
【0048】
便宜上、本発明の組成物の圧縮器吐出温度は、それが置き換わる既存の冷媒流体の約15K、好ましくは約10Kまたはさらには約5K以内(例えば、R‐407B/R‐404A/R‐507の場合)である。
【0049】
ここで用いられているように、本組成物で挙げられたすべての%量は、請求項を含めて、別記されない限り、組成物の総重量を基準にした重量によるものである。
【0050】
本発明による組成物は便宜上実質的にR‐1225(ペンタフルオロプロペン)、便宜上実質的にR‐1225ye(1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)またはR‐1225zc(1,1,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)を含有せず(例えば0.5%以下、好ましくは0.1%以下)、該化合物は毒性問題を伴うことがある。
【0051】
一面において、本発明の組成物はR‐1234yfを全く含有していない。
【0052】
本発明の組成物は、好ましくは、R‐134a値の95%以上で低いまたは同等の圧力降下特性および冷却能力を有しながら、同等条件下でR‐134aの少なくとも95%(好ましくは少なくとも98%)のエネルギー効率を有している。本組成物は、有利には、R‐1234yf単独より良いエネルギー効率と圧力降下特性も有している。
【0053】
本発明の熱伝達組成物は既存の設計の設備で使用に適し、既定HFC冷媒と一緒に現在用いられている潤滑剤の全種類と適合する。それらは、場合により、適切な添加剤の使用により鉱油で安定化または適合化される。
【0054】
好ましくは、熱伝達設備で用いられる場合、本発明の組成物は潤滑剤と組み合わされる。
【0055】
便宜上、潤滑剤は鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル類)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0056】
有利には、潤滑剤はさらに安定剤を含んでなる。
【0057】
好ましくは、安定剤はジエン系化合物、ホスフェート類、フェノール化合物類およびエポキシド類とそれらの混合物からなる群より選択される。
【0058】
便宜上、本冷媒組成物はさらに追加の難燃剤を含んでなる。
【0059】
有利には、追加の難燃剤はトリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0060】
好ましくは、熱伝達組成物は冷媒組成物である。
【0061】
好ましくは、熱伝達装置は冷媒装置である。
【0062】
便宜上、熱伝達装置は自動車空調システム、住宅用空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または空調システムである。
【0063】
有利には、熱伝達装置は遠心型圧縮器を内蔵している。
【0064】
本発明は、ここで記載されているような熱伝達装置における本発明の組成物の使用も提供する。
【0065】
本発明の別な面によれば、本発明の組成物を含んでなる発泡剤が提供される。
【0066】
本発明の他の面によれば、発泡体を形成可能な1種以上の成分と本発明の組成物を含んでなる発泡性組成物が提供される。
【0067】
好ましくは、発泡体を形成可能な1種以上の成分は、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレンおよびエポキシ樹脂から選択される。
【0068】
本発明の別な面によれば、本発明の発泡性組成物から得られる発泡体が提供される。
【0069】
好ましくは、発泡体は本発明の組成物を含んでなる。
【0070】
本発明の他の面によれば、スプレーされるべき物質と、本発明の組成物を含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物が提供される。
【0071】
本発明の別な面によれば、本発明の組成物を凝縮させ、その後、冷却されるべき物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却する方法が提供される。
【0072】
本発明の他の面によれば、加熱されるべき物品の近くで本発明の組成物を凝縮させ、その後、該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱する方法が提供される。
【0073】
本発明の別な面によれば、本発明の組成物を含んでなる溶媒とバイオマスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出する方法が提供される。
【0074】
本発明の他の面によれば、本発明の組成物を含んでなる溶媒と物品を接触させることを含んでなる、物品を清浄化する方法が提供される。
【0075】
本発明の別な面によれば、本発明の組成物を含んでなる溶媒と水溶液を接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出する方法が提供される。
【0076】
本発明の他の面によれば、本発明の組成物を含んでなる溶媒と粒状固体マトリックスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出する方法が提供される。
【0077】
本発明の別な面によれば、本発明の組成物を含有している機械的動力発生装置が提供される。
【0078】
好ましくは、機械的動力発生装置はランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されている。
【0079】
本発明の他の面によれば、既存の熱伝達流体を除去して、本発明の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修する方法が提供される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または(スタティック)空調システムである。有利には、該方法は温室効果ガス(例えば、二酸化炭素)排出権の割当を得る工程をさらに含んでなる。
【0080】
上記の改修方法によると、既存の熱伝達流体は、本発明の組成物を導入する前に、熱伝達装置から完全に除去される。既存の熱伝達流体は熱伝達装置から一部除去され、その後、本発明の組成物を導入することもできる。
【0081】
既存の熱伝達流体がR‐134aであり、本発明の組成物が、R‐134aを含んでなる第三成分、R‐1243zf、R‐32、R‐161を含有している他の態様において、あらゆる任意のR‐1234yfおよび/またはR‐125および/またはR‐744(および潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)も熱伝達装置でR‐134aへ加えられ、それにより本発明の組成物と、本発明の熱伝達装置をその場で形成することができる。望ましい割合で本発明の組成物の諸成分を簡単に用意するために、R‐1243zf、R‐32、R‐161などを加える前に、既存のR‐134aの一部が熱伝達装置から除去されてもよい。
【0082】
このように、本発明は、R‐1243zf、R‐32、R‐161、あらゆる任意のR‐1234yfおよび/またはR‐125および/またはR‐744と任意成分、例えば潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有した熱伝達装置へ導入することを含んでなる、本発明の組成物および/または熱伝達装置を製造する方法を提供する。場合により、R‐134aの少なくとも一部が、R‐1243zf、R‐32、R‐161などを導入する前に、熱伝達装置から除去される。
【0083】
もちろん、本発明の組成物は、望ましい割合でR‐1243zf、R‐32、R‐161、あらゆる任意のR‐1234yfおよび/またはR‐125および/またはR‐744(および、潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)を混合することでも、簡単に製造される。本組成物は次いで、R‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体を含有しない熱伝達装置、例えばR‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体が除去されていた装置へ加えられる(またはここで記載されているようないずれか他の手法で用いられる)。
【0084】
本発明の別な面において、既存の化合物または組成物を含んでなる製品の取扱いから生じる環境影響を減らす方法が提供され、該方法は少なくとも部分的に既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換えることを含んでなる。好ましくは、この方法は温室効果ガス排出権の割当を得る工程を含んでなる。
【0085】
環境影響とは、我々は製品の取扱いによる温室温暖化ガスの発生および排出を含める。
【0086】
上記のように、この環境影響は、漏出または他の損失から有意な環境影響を有する化合物または組成物の排出を含むのみならず、装置によりその使用期間中に消費されるエネルギーから生じる二酸化炭素の排出も含めて考えられる。このような環境影響は総等価温暖化影響(TEWI)として知られる測定により定量しうる。この測定は、例えばスーパーマーケット冷却システムを含めた、ある固定冷却および空調設備の環境影響の定量化に用いられてきた(例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Total equivalent warming impact参照)。
【0087】
環境影響は、化合物または組成物の合成および製造から生じる温室効果ガスの排出を含めて、さらに考えられる。この場合には、ライフサイクル炭素排出量(LCCP、例えばhttp://www.sae.org/events/aars/presentations/2007papasavva.pdf参照)として知られる測定を行うために、製造時排出がエネルギー消費および直接損失効果に加えられる。LCCPの使用は自動車空調システムの環境影響を評価する際に一般的である。
【0088】
排出権は地球温暖化に関与している汚染物質排出を減らすために与えられ、例えば預託、取引または売却される。それらは二酸化炭素の換算量で便宜上表示される。そのため、1kgのR‐407Aの排出が避けられるとすれば、1×1990=1990kg CO換算の排出権が与えられる。
【0089】
本発明の他の態様において、(i)既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換え(本発明の組成物は既存の化合物または組成物より低いGWPを有している);および(ii)該置き換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出す方法が提供される。
【0090】
好ましい態様において、本発明の組成物の使用は、既存の化合物または組成物の使用により達成されると比べて、より低い総等価温暖化影響および/またはより低いライフサイクル炭素排出量を有する設備をもたらす。
【0091】
これらの方法は、いずれか適切な製品で、例えば、空調、冷却(例えば低および中温冷却)、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒(例えば、フレーバーおよびフレグランスの担体)、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張用途の分野で行われる。好ましくは、分野は空調または冷却である。
【0092】
適切な製品の例としては、熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒および機械的動力発生装置がある。好ましい態様において、製品は熱伝達装置、例えば冷却装置または空調ユニットである。
【0093】
既存の化合物または組成物は、それに置き換わる本発明の組成物より高い、GWPおよび/またはTEWIおよび/またはLCCPで測定されるような環境影響を有している。既存の化合物または組成物はフルオロカーボン化合物、例えばペルフルオロ‐、ヒドロフルオロ‐、クロロフルオロ‐またはヒドロクロロフルオロ‐カーボン化合物を含んでなるか、またはそれはフッ素化オレフィンを含んでなる。
【0094】
好ましくは、既存の化合物または組成物は冷媒のような熱伝達化合物または組成物である。置き換えられる冷媒の例としては、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507、R‐22およびR‐404Aがある。
【0095】
いかなる量の既存の化合物または組成物も、環境影響を減らせるように置き換えられる。これは、置き換えられる既存の化合物または組成物の環境影響と、本発明の代替組成物の環境影響に依存する。好ましくは、製品中における既存の化合物または組成物は本発明の組成物で完全に置換えられる。
【0096】
本発明は以下の非制限例で実証されている。
【実施例】
【0097】
表1で示された混合物Eは、R‐22、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R‐404AまたはR507の代替物として用いうる、本発明の組成物の例である。
【表1】

我々は、ASTM E681 12リットルフラスコ試験を用いて、R‐125およびR‐1243zfの混合物とR‐125およびR‐32の混合物の燃焼挙動について調べた。R‐32およびR‐125の混合物の場合に、少なくとも25%v/v R‐125を含有している混合物は不燃性である。R‐1243zf中R‐125の混合物の空気中における可燃下限は次のように変わる:
R‐125含有率(%v/v) 可燃下限
0% 4.1%
25% 6%
30% 7%
40% 8.5%
50% 10%
54% 不燃性
【0098】
したがって、R‐1243zf単独の場合と比べてかなり低い燃焼性を有するR‐32/R‐125/R‐1243zfの混合物が作製しうる。これは下記表2で実証されており、そこでは混合物A〜Eの液体および蒸気平衡組成について示している。蒸気の組成は、20℃で液体と平衡して存在することが、REFPROP性質モデル(下記参照)により予測されたものである。液体組成は、モル基準で再表示されたブレンドの“装填時(as-charged)”組成である。すべての混合物A〜Eは、R‐1243zf単独と比べて低い燃焼性を有すると予想される。
【表2】

【0099】
REFPROP熱力学性質エンジンを用いる蒸気圧縮サイクルモデルを用いて混合物A〜Eの理論的冷却性能を計算し、既存の冷媒と比較した。これらの計算は、以下の業務用低温冷却条件を用いて、(例えば)INEOS Fluor“KleaCalc”ソフトウェア(当業者に知られている冷却および空調システムの性能を予測するために有用な他のモデルを用いて行ってもよい)で用いられているような標準アプローチに従い行った:
平均蒸発温度 −25℃
平均凝縮温度 40℃
蒸発器過熱 8K
凝縮器過冷 5K
圧縮器等エントロピー効率 66%
圧縮器吸引温度 0℃
【0100】
結果が表3にまとめられている。R507の冷却性能は、R‐404Aとほぼ同一であろうと予想される。
【0101】
混合物AがR‐407AおよびR‐407Cの性能と良く匹敵することは、これらの結果から明らかである。混合物Bおよび混合物CはR‐407Bの性能と良く匹敵し、R‐404Aの性能にも近い。特に、混合物Bまたは混合物Cの使用は、R‐407B、R‐404AまたはR507と比べて、改善されたエネルギー効率および低いGWPを呈する。
【表3】

【0102】
本発明の別なR‐1243zfベース組成物が下記表4に開示されている。これらの組成物はすべて100未満のGWPを有している。それらは既存の冷媒R‐134aの適切な代替物であると考えられる。それらは加えて冷媒R‐1234yfの適切な代替物であると考えられる。
【表4】

【0103】
これらのブレンドは、純粋R‐161または純粋R‐1243zfと比べて低い燃焼特性を留めながら、純粋物質R‐1243zfまたはR‐1234yfと比べて改善された冷却性能(能力および/またはエネルギー効率)を示すと考えられる。
【0104】
REFPROP熱力学性質エンジンを用いる蒸気圧縮サイクルモデルを用いてブレンドA〜EおよびH〜Mの理論的冷却性能を計算し、既存の冷媒と比較した。これらの計算は、下記条件を用いて、(例えば)INEOS Fluor“KleaCalc”ソフトウェア(当業者に知られている冷却および空調システムの性能を予測するために有用な他のモデルを用いて行ってもよい)で用いられているような標準アプローチに従い行った:
平均蒸発温度 5℃
平均凝縮温度 50℃
蒸発器過熱 10K
凝縮器過冷 6K
圧縮器等エントロピー効率 67%
圧縮器吸引温度 15℃
【0105】
結果が表5にまとめられている。
【表5】

【0106】
表5における混合物A〜Mのすべてが、R‐1234yfと比べて、改善されたエネルギー効率および体積能力を示している。
【0107】
さらに、それらはR‐134aまたはR‐1234yfと比べて同等のまたは低い比吸引ライン圧力降下を示している。吸引ラインは、空調システム蒸発器を圧縮器へ接続しているパイプである。示された比圧力降下は、各流体について共通の吸引ライン直径(16.2mmがこの場合に用いられた)および冷却力(cooling duty)(6.7kWがこの場合に用いられた)と仮定して計算されている。実際の空調システム‐特に自動車空調器‐のエネルギー効率は、吸引ラインにおける圧力降下により影響され、高い圧力降下ほど効率低下に繋がる。本発明の混合物はそのためR‐1234yfと比べて好ましい圧力降下を示すと予想しうる。
【0108】
本発明の混合物は、R‐134aと比べて、同等のまたは低い圧縮器吐出温度も示している。
【0109】
本発明は下記請求項により規定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
R‐1243zf、R‐32(ジフルオロメタン)およびR‐161(フルオロエタン)を含んでなる、熱伝達組成物。
【請求項2】
組成物の合計重量基準で、約50〜約99重量%のR‐1243zf、約0.5〜約25重量%のR‐161および約0.5〜約25重量%のR‐32を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の合計重量基準で、約70〜約98重量%のR‐1243zf、約1〜約15重量%のR‐161および約1〜約15重量%のR‐32を含んでなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
R‐1234yf、R‐134aまたはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物がR‐1243zf、R‐32、R‐161およびR‐1234yfのブレンドである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の合計重量基準で、約15〜約80重量%のR‐1243zf、約15〜約80%のR‐1234yf、約1〜約25%のR‐32および約1〜約25%のR‐161を含んでなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物の合計重量基準で、約20〜約70重量%のR‐1243zf、約20〜約70%のR‐1234yf、約2〜約15%のR‐32および約2〜約15%のR‐161を含んでなる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ペンタフルオロエタン(R‐125)、二酸化炭素(R‐744)またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が3500未満、好ましくは2000未満のGWPを有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が1000未満、好ましくは150未満のGWPを有している、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
温度勾配が約15K未満、好ましくは約10K未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15%以内、好ましくは約10%以内の体積冷却能力を有している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物がR‐1243zf単独よりも可燃性が低い、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、R‐1243zf単独と比べて、
(a)高い可燃限界、
(b)高い点火エネルギー、および/または
(c)低い火炎速度、
を有している、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
不燃性である、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約10%以内のサイクル効率を有している、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15K以内、好ましくは約10K以内の圧縮器吐出温度を有している、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
潤滑剤をさらに含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル類)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せから選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
安定剤をさらに含んでなる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
安定剤が、ジエン系化合物類、ホスフェート類、フェノール化合物類およびエポキシド類とそれらの混合物から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
追加の難燃剤をさらに含んでなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
追加の難燃剤が、トリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
冷媒組成物である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含有している、熱伝達装置。
【請求項26】
熱伝達装置における、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
冷却装置である、請求項25または26に記載の熱伝達装置。
【請求項28】
自動車空調システム、住宅用空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される、請求項27に記載の熱伝達装置。
【請求項29】
圧縮器を内蔵している、請求項27または28に記載の熱伝達装置。
【請求項30】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、発泡剤。
【請求項31】
発泡体を形成可能な1種以上の成分と、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる発泡性組成物であって、発泡体を形成可能な1種以上の成分が、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレン、およびエポキシ樹脂、ならびにそれらの混合物から選択される、発泡性組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の発泡性組成物から得られる、発泡体。
【請求項33】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、請求項32に記載の発泡体。
【請求項34】
スプレーされるべき物質と、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物。
【請求項35】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、冷却されるべき物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却する方法。
【請求項36】
加熱されるべき物品の近くで請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱する方法。
【請求項37】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒とバイオマスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出する方法。
【請求項38】
物品を請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させることを含んでなる、物品を清浄化する方法。
【請求項39】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と水溶液を接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出する方法。
【請求項40】
粒状固体マトリックスを請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出する方法。
【請求項41】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含有している、機械的動力発生装置。
【請求項42】
ランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されている、請求項41に記載の機械的動力発生装置。
【請求項43】
既存の熱伝達流体を除去して、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修する方法。
【請求項44】
熱伝達装置が冷却装置である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
熱伝達装置が空調システムである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
既存の化合物または組成物を含んでなる製品の取扱いから生じる環境影響を減らす方法であって、少なくとも部分的に既存の化合物または組成物を請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物で置き換えることを含んでなる、方法。
【請求項47】
R‐134aを含有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物および/または請求項25または27〜29のいずれか一項に記載の熱伝達装置を製造する方法であって、R‐1243zf、R‐32、R‐161、あらゆる任意のR‐1234yfおよび/またはR‐125および/またはR‐744、ならびに所望により潤滑剤、安定剤および/または追加の難燃剤を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有した熱伝達装置へ導入することを含んでなる、方法。
【請求項48】
R‐1243zf、R‐32、R‐161、あらゆる任意のR‐1234yfおよび/またはR‐125および/またはR‐744、ならびに所望により潤滑剤、安定剤および/または追加の難燃剤を導入する前に、既存のR‐134aの少なくとも一部を熱伝達装置から除去する工程を含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(i)既存の化合物または組成物を請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物で置き換え、このとき請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物は既存の化合物または組成物より低いGWPを有するものとし、(ii)該置き換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出す方法。
【請求項50】
本発明の組成物の使用が、既存の化合物または組成物の使用により達成される場合と比べて、より低い総等価温暖化影響および/またはより低いライフサイクル炭素排出量をもたらす、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
空調、冷却、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張用途の分野からの製品で行われる、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
製品が熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒または機械的動力発生装置から選択される、請求項48または51に記載の方法。
【請求項53】
製品が熱伝達装置である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
既存の化合物または組成物が熱伝達組成物である、請求項48〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
熱伝達組成物が、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aから選択される冷媒である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
熱伝達組成物が、R‐134a、R‐1234yfおよびR‐152aから選択される冷媒である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
所望により実施例を参照しつつ、実質的にここまでに記載されるような、あらゆる新規の熱伝達組成物。

【公表番号】特表2012−510552(P2012−510552A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539092(P2011−539092)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002809
【国際公開番号】WO2010/064011
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(510127697)メキシケム、アマンコ、ホールディング、ソシエダッド、アノニマ、デ、カピタル、バリアブレ (24)
【氏名又は名称原語表記】MEXICHEM AMANCO HOLDING S.A. DE C.V.
【Fターム(参考)】