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熱処理装置
説明

熱処理装置

【課題】熱処理用のチャンバーの内壁に処理ガスの成分を付着し難くすることができる熱処理装置を提供する。
【解決手段】処理対象物を収容した容器20が、加熱対象物として熱処理チャンバー10内で加熱される。ガス供給部から供給される処理ガスがパイプ42等を通じて容器20の内部に導入され、その内部のガスがパイプ52等を通じてポンプ部に排出される。パイプ42,52により形成されるガス流路が、熱処理チャンバー10の空間から隔てられるため、熱処理チャンバー10内の空間に処理ガスが漏洩し難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス雰囲気のもとで処理対象物を加熱する熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体や金属化合物等の基板の表面に所定機能の薄膜を形成したり、あるいは基板の表面の不要な膜を除去したりするため、所定圧力のガス雰囲気のもとで基板に熱を加える処理を行うことがある。この熱処理は、例えば、基板が収容されたチャンバーを真空に引き、真空状態のチャンバー内に所定の処理ガスを導入して基板を所定圧力のガス雰囲気に晒しながら、赤外線ランプ等で基板を加熱することにより行われる(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−094165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来の熱処理装置では、基板とともに熱せられた処理ガスの成分(金属原子等)が比較的温度の低い内壁に付着することがある。特に、外部の赤外線ランプで発生した熱線を透過するようにチャンバーが石英ガラスで形成されている場合、石英ガラスの温度が基板等に比べてかなり低くなるため、処理ガスの成分が付着し易い。石英ガラスが付着物によって汚れると、熱線の透過率が低下するため、正常に熱処理を行えなくなる。また、付着物の種類によってはクリーニングが困難な場合もある。
【0005】
また、処理ガスとして毒性の高いガスを使用する場合などにおいては、できるだけ処理ガスの使用量を少なくすることが望ましい。しかしながら、従来の熱処理装置では、チャンバーの内部全体に処理ガスが行き渡る構造になっているため、処理対象物(基板等)との反応に供される量よりも多くのガスをチャンバー内に導入しなくてはならず、反応に供されない無駄な処理ガスの使用量が多いという問題がある。
【0006】
更に、処理ガスを熱分解させて処理対象物(基板等)と反応させる場合、処理対象物の反応面(被処理面)におけるガス濃度の分布は均一であることが望ましい。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、熱処理用のチャンバーの内壁に処理ガスの成分を付着し難くすることができる熱処理装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、処理ガスの使用量を削減できる熱処理装置を提供することにある。更に、本発明の第3の目的は、処理対象物の被処理面におけるガス濃度の分布の均一性を向上できる熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱処理装置は、処理対象物を収容する容器と、前記容器を加熱対象物として収容する熱処理チャンバーと、前記熱処理チャンバー内にキャリアガスを導入する第1ガス導入路と、前記熱処理チャンバー内の空間から隔てられたガス流路であって、前記容器内に処理ガスを導入する第2ガス導入路と、前記熱処理チャンバー内のガスを排出する第1ガス排出路と、前記熱処理チャンバー内の空間から隔てられたガス流路であって、前記容器内からガスを排出する第2ガス排出路とを有する。
【0009】
好適に、前記熱処理チャンバーは、前記第1ガス導入路につながる第1ガス導入口と、前記第1ガス排出路につながる第1ガス排出口と、前記第1ガス導入口と前記第1ガス排出口との間に設けられ、外部の発熱体からの熱線を透過する熱線透過部とを含む。
【0010】
好適に、前記容器は、前記第2ガス導入路につながる第2ガス導入口と、前記第2ガス導入口と前記処理対象物の被処理面との間に介在し、前記第2ガス導入口から前記被処理面へ供給される前記処理ガスの流れを前記被処理面付近において前記被処理面と平行な方向に均一に分散する第1分散手段とを含む。
【0011】
好適に、前記容器は、前記第2ガス排出路につながる第2ガス排出口と、前記第2ガス排出口と前記処理対象物の前記被処理面との間に介在し、前記被処理面から前記第2ガス排出口へ排出されるガスの流れを前記被処理面付近において前記被処理面と平行な方向に均一に分散する第2分散手段とを含む。
【0012】
好適に、前記第1分散手段は、前記第2ガス導入口から前記被処理面へのガスの流れを遮るとともに、前記被処理面と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔が形成された少なくとも1つの仕切り板、及び、前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で配置された複数の球体、及び、前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で空隙が形成された多孔性部材、及び、前記被処理面と平行な方向における空間の幅が前記第2ガス導入口から前記被処理面に向かって連続的に広がるように前記容器の内壁に形成された第1傾斜部の少なくとも1つを含む。
【0013】
好適に、前記第2分散手段は、前記被処理面から前記第2ガス排出口へのガスの流れを遮るとともに、前記被処理面と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔が形成された少なくとも1つの仕切り板、及び、前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で配置された複数の球体、及び、前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で空隙が形成された多孔性部材、及び、前記被処理面と平行な方向における空間の幅が前記第2ガス排出口から前記被処理面に向かって連続的に広がるように前記容器の内壁に形成された第2傾斜部の少なくとも1つを含む。
【0014】
好適に、前記容器は、前記複数の球体の配置領域を区切る網状体であって、前記球体の外形に比べて細かい空隙を持ち、前記第2ガス導入口に比べて前記被処理面に近い前記配置領域の境界面に設けられた網状体を有する。
【0015】
好適に、前記容器は、前記第2ガス導入口からのガス流を複数のガス流に分流し、当該複数のガス流を前記被処理面のそれぞれ異なる領域に案内する分流手段を有する。
【0016】
好適に、前記第2ガス導入口と前記第2ガス排出口は、前記容器の一方端と他方端とに離間して形成される。
好適に、前記処理対象物は、前記第2ガス導入口と前記第2ガス排出口との間に、前記第2ガス導入口から前記第2ガス排出口へ向かうガスの流れと前記被処理面とが平行になるように配置される。
好適に、前記分流手段は、前記処理対象物の前記被処理面と平行な壁面によって前記容器内における前記第2ガス導入口側の前記被処理面の上部空間を複数に区分する少なくとも1つの壁部を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理対象物を収容した容器へガスを導入する経路と当該容器からガスを排出する経路とを熱処理用のチャンバー内の空間から隔てることによって、チャンバー内の空間に処理ガスが漏洩し難くなり、また、チャンバー内にキャリアガスを流すことによって、熱処理チャンバーの内壁に処理ガスが滞留し難くなるため、熱処理用のチャンバーの内壁に処理ガスの成分を付着し難くすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、処理対象物を収容した容器内へ、熱処理チャンバー内の空間から隔てられたガス流路により処理ガスを導入するため、反応に供されない無駄な処理ガスの使用量を削減できる。
【0019】
また、本発明によれば、処理対象物の被処理面付近における処理ガスの流れを被処理面と平行な方向に均一に分散する手段を設けることによって、被処理面におけるガス濃度の分布の均一性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る熱処理装置の構成の一例を示す図である。
【図2】加熱処理部の構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の他の例を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の他の例を示す断面図である。
【図9】第3の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す斜視図である。
【図10】第3の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す断面図である。
【図11】第4の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す第1の断面図である。
【図12】第4の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物を収容する容器の一例を示す第2の断面図である。
【図13】図11に示す容器の空間部分に球体を充填した例を示す図である。
【図14】図12に示す容器の空間部分に球体を充填した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置の構成の一例を示す図である。
図1に示す熱処理装置は、処理対象物をガス雰囲気下で加熱するためのチャンバーと加熱手段を備えた加熱処理部1と、加熱処理部1のチャンバーに処理ガスやキャリアガスを供給するガス供給部2と、加熱処理部1のチャンバーから排出される粉体やガス中の成分を取り除くトラップ部3と、トラップ部3の後段で加熱処理部1のチャンバー内のガスを排気するポンプ部4と、ポンプ部4によって排気されたガス中の有害物質を除去する除害部5を有する。
【0022】
図2は、加熱処理部1の構成の一例を示す図である。
図2に示す加熱処理部1は、加熱対象物を収容する熱処理チャンバー10と、加熱手段としてのヒーター部30と、内部に処理対象物を収容する容器20と、容器20を保持しつつ熱処理チャンバー10内に容器20を出し入れするための機構を備えたマニピュレータ部60を有する。
【0023】
熱処理チャンバー10は、外部のヒーター部30からの熱線を透過する材質(例えば石英ガラス)で形成された熱線透過部11を有する。熱線透過部11は、筒状の形に作られており、その両端が保持部12によってそれぞれベース台90に固定される。熱線透過部11の両端の保持部12には、それぞれ中継部13,15が接続される。中継部13,15の端は、フランジ14,16によって塞がれる。
【0024】
中継部13には、キャリアガス(例えばアルゴン等の不活性ガス)を熱処理チャンバー10の内部に導入するためのガス導入口(第1ガス導入口)が形成される。このガス導入口に固定された中継管41は、図示しないパイプを介してガス供給部2のキャリアガス供給源に接続される。
【0025】
中継部13の端を塞ぐフランジ14の中央部(筒状の熱線透過部11の軸線が通る部分)には、マニピュレータ部60の容器保持ロッド61を挿通するための開口部が形成される。容器保持ロッド61は、熱線によって加熱され難い材質(例えば石英ガラス)によって形成されており、その一方の端部において容器20を保持する。中継部13の開口部は、容器保持ロッド61の他方の端部に固定された蓋部63によって閉鎖される。マニピュレータ部60の移動機構62は、容器保持ロッド61と蓋部63を熱線透過部11の軸線方向において移動自在に保持する。
【0026】
中継部15の端を塞ぐフランジ16の中央部には、熱処理チャンバー10内部のガスを排出するためのガス排出口(第1ガス排出口)が形成される。このガス排出口に固定された中継管51(第1ガス排出路)は、図示しないパイプを介してトラップ部3に接続される。
【0027】
容器20には、処理ガスを導入するためのパイプ42(第2ガス導入路)が接続される。パイプ42は、蓋部63の中央付近に形成された孔を挿通する。蓋部53の孔を挿通したパイプ42は、ガス供給部2の処理ガス供給源に接続される。容器20内に処理ガスを導入するガス流路が、パイプ42によって熱処理チャンバー10内部の空間から隔てられているため、処理ガスが熱処理チャンバー10内部の空間に漏れ難くなっている。
パイプ42を通じて容器20に処理ガスを導入することにより、容器20内の処理対象物に無駄なく必要な量の処理ガスを導入できる。また、熱線によって熱せられたパイプ42が処理ガスを効果的に加熱するので、温度を上昇させた状態の処理ガスを処理対象物に供給できる。
【0028】
容器20には、内部のガスを排出するためのパイプ52(第2ガス排出路)が接続される。パイプ52の先端は、フランジ16のガス排出口を通って中継管51の内側に達している。容器20内に処理ガスを導入するガス流路が、パイプ52によって熱処理チャンバー10内部の空間から隔てられているため、処理ガスが熱処理チャンバー10内部の空間に漏れ難くなっている。また、中継管51に流れるキャリアガスとパイプ52から排出されるガスとが混合されてポンプ4により排気されるため、パイプ52から排出されるガスをキャリアガスによって希釈化できる。
【0029】
ヒーター部30は、熱線透過部11のほぼ中間部の上側と下側にそれぞれ配置された複数の赤外線ランプ31を含む。複数の棒状の赤外線ランプ31が、熱線透過部11の上側と下側においてそれぞれ平行に並んで配置される。図2の例において、赤外線ランプ31は紙面の垂直方向に延びている。赤外線ランプ31の背後には、熱線を熱線透過部11に向けて反射する反射板が配置される。
なお、上側の赤外線ランプ31の配列方向と下側の赤外線ランプ31の配列方向とが直角に交差するようにこれらのランプを配置してもよい。例えば上側の赤外線ランプ31の長手方向が紙面の垂直方向に延び、下側の赤外線ランプ31の長手方向が紙面の水平方向へ延びるように配置してもよい。これにより、容器20付近における熱線の平面的な分布がより均一になる。
【0030】
図3,図4は、処理対象物9を収容する容器20の一例を示す図である。図3は斜視図を示し、図4はA−A'断面図を示す。但し、図3の斜視図では、容器20の上蓋210の図示を省略している。
【0031】
容器20は、処理対象物9とともに加熱されることから、処理対象物9の温度を均一にできるとともに処理ガスの温度を高めることができるように、熱線の吸収性がよく耐熱性に優れた材料(例えば高純度のカーボンや炭化ケイ素(SiC)など)によって形成される。
【0032】
図3,図4の例において、容器20は本体部201と上蓋210を有する。本体部201の内側には、比較的高さが低く横幅の広い空間が形成され、その中にほぼ矩形で板状の処理対象物9(半導体基板、金属化合物の基板など)が配置される。処理対象物9が配置される本体部201の底面には、処理対象物9を位置決めするための凹部が形成される。上蓋210の縁に沿って突条が形成されており、この突条と嵌り合う溝261(座ぐり)が本体部201の上面の縁に沿って形成される。本体部201の上部を上蓋210によって閉じると、処理対象物9はほぼ密閉された空間内に収容された状態となる。
【0033】
本体部201の一側面部の中央には、内部に処理ガスを導入するためのガス導入口204(第2ガス導入口)が形成される。ガス導入口204は、中継管202を介してパイプ42(図2)に接続される。また、ガス導入口204が形成された側面部と対向する本体部201の他方の側面部の中央には、内部のガスを排出するためのガス排出口205(第2ガス排出口)が形成される。ガス排出口205は、中継管203を介してパイプ52(図2)に接続される。
【0034】
本体部201のガス導入口204と処理対象物9の被処理面(上面)との間には、ガス導入口204から被処理面へ供給される処理ガスの流れを被処理面付近において被処理面と平行なX方向に均一に分散するための手段(第1分散手段)が設けられている。X方向は、図3に示すように、ガス導入口204とガス排出口205の中央を通る直線に対して垂直な方向になっている。
【0035】
図3の例において、本体部201の側面の内壁に形成された傾斜部215は、この第1分散手段を構成する。ガス導入口204からハ字状に広がった傾斜部215によって、X方向と平行な方向における空間の幅がガス導入口204から被処理面に向かって連続的に広がる。これにより、ガス導入口204から被処理面側に向かうガスの流れが被処理面付近においてX方向に均一に分散し易くなる。
【0036】
また図3の例において、2つ仕切り板211,212も第1分散手段を構成する。仕切り板211,212は、X方向と平行に配置されており、その両端が傾斜部215に固定される。仕切り板211がガス導入口204と近い側に配置され、仕切り板212が処理対象物9と近い側に配置される。各仕切り板211,212には、X方向と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔220が形成される。
【0037】
ガス導入口204に導入された処理ガスは、まず仕切り板211によって流れを遮られて滞留する。この滞留によって、仕切り板211の複数の孔220を通る処理ガスの流量が均一化する。仕切り板211の孔220を通った処理ガスは、仕切り板212によって流れを遮られて更に滞留する。仕切り板212の複数の孔220から、流量が均一化された処理ガスが被処理面側に向かって流れる。このように、仕切り板211,212を設けることによって、ガス導入口204から被処理面側に供給される処理ガスの流れが被処理面付近においてX方向に均一に分散する。
【0038】
他方、本体部201のガス排出口205と処理対象物9の被処理面との間には、被処理面からガス排出口205へ流れるガス(処理ガス及び熱処理反応後のガスを含む)の流れを被処理面付近においてX方向に均一に分散するための手段(第2分散手段)が設けられている。
【0039】
図3の例において、本体部201の側面の内壁に形成された傾斜部216は、この第2分散手段を構成する。ガス排出口205からハ字状に広がった傾斜部216によって、X方向と平行な方向における空間の幅がガス排出口205から被処理面に向かって連続的に広がる。これにより、被処理面側からガス排出口205へ向かうガスの流れが被処理面付近においてX方向に均一に分散し易くなる。
【0040】
また図3の例において、2つ仕切り板213,214も第2分散手段を構成する。仕切り板213,214は、X方向と平行に配置されており、その両端が傾斜部216に固定される。仕切り板214がガス排出口205と近い側に配置され、仕切り板213が処理対象物9と近い側に配置される。各仕切り板213,214には、X方向と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔220が形成される。
【0041】
ガス排出口205側へガスが流れるとき、仕切り板214によってガスの流れが遮られて滞留が生じるため、仕切り板214の複数の孔220を通るガスの流量が均一化する。仕切り板214の複数の孔220を通ってガスが流れると、処理対象物9側からこの複数の孔220に向かうガスの流れが生じる。このガスの流れは、仕切り板213によって遮られて滞留を生じるため、仕切り板213の複数の孔220を通るガスの流量が更に均一化する。このように、仕切り板213,214を設けることによって、被処理面側からガス排出口205へ排出されるガスの流れが被処理面付近においてX方向に均一に分散する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る熱処理装置によれば、処理対象物9を収容した容器20が加熱対象物として熱処理チャンバー10内で加熱される。ガス供給部2から供給される処理ガスがパイプ42等を通じて容器20の内部に導入され、その内部のガスがパイプ52等を通じてポンプ部4に排出される。そして、パイプ42,52により形成されるガス流路が、熱処理チャンバー10の空間から隔てられている。これにより、熱処理チャンバー10内の空間に処理ガスが漏洩し難くなるため、処理ガスの成分の付着による熱処理チャンバー10内の汚染を抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る熱処理装置によれば、ガス供給部2から供給されるアルゴン等のキャリアガスが中継管41等を通じて熱処理チャンバー10の内部に導入され、その内部のガスが中継管51等を通じてポンプ部4に排出される。これにより、熱処理チャンバー10の内壁に処理ガスが滞留し難くなるため、処理ガスの成分の付着による熱処理チャンバー10内の汚染をより効果的に抑えることができる。
【0044】
更に、本実施形態に係る熱処理装置によれば、熱処理チャンバー10の内部にキャリアガスを導入するための中継管41が接続されたガス導入口と、熱処理チャンバー10の内部からガスを排出するための中継管51が接続されたガス排出口との間に、ヒーター部30からの熱線を透過する熱線透過部11が設けられている。これにより、ガス導入口からガス排出口へ向かうキャリアガスの流れの途中に熱線透過部11が配置されることになり、比較的低温で処理ガスの成分の付着し易い熱線透過部11の内壁に処理ガスを滞留させ難くすることができるため、熱線透過部11の汚染をより効果的に抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る熱処理装置によれば、本体部201のガス導入口204と処理対象物9の被処理面(上面)との間には、ガス導入口204から被処理面側へ供給される処理ガスの流れを被処理面付近において被処理面と平行なX方向に均一に分散するための手段(第1分散手段)が設けられている。本体部201のガス排出口205と処理対象物9の被処理面との間には、被処理面側からガス排出口205へ流れるガス(処理ガス及び熱処理反応後のガスを含む)の流れを被処理面付近においてX方向に均一に分散するための手段(第2分散手段)が設けられている。これにより、X方向における被処理面の流量の分布を均一化できる。例えば成膜プロセスの場合には、膜厚を均一化できる等の効果が得られる。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した実施形態に係る熱処理装置では、容器20の一方端と他方端に離間して形成されたガス導入口204とガス排出口205との間に処理対象物9が配置されており、ガス導入口204からガス排出口へ向かうガスの流れと処理対象物9の被処理面とが平行になっている。そのため、ガス導入口204から離れるほど、被処理面に供給される熱処理反応前の処理ガスが減少し、逆に熱処理反応後のガスが増大する。その結果、Y方向(ガス導入口204とガス排出口205の中央を通る直線に対して平行な方向)における処理ガスの供給量が不均一になる。そこで、本実施形態に係る熱処理装置では、このY方向における処理ガス供給量の不均一を緩和するため、ガス導入口からのガス流を複数のガス流に分流する分流手段を設ける。
【0047】
図5,図6は、第2の実施形態に係る熱処理装置における容器20の一例を示す図である。図5は斜視図を示し、図6はA−A'断面図を示す。但し、図5の斜視図では、先に説明した図3と同様に、容器20の上蓋210の図示を省略している。
【0048】
図5,図6に示す容器20は分流手段250を有しており、また、仕切り板212に形成されるガス流通用の孔221のサイズが図3,図4に示す容器20の仕切り板212に比べて大きくなっている。図5,図6に示す容器20のその他の構成は、図3,図4に示す容器20と同様である。
【0049】
分流手段250は、ガス導入口204からのガス流を2つのガス流に分流し、その2つのガス流を被処理面のそれぞれ異なる領域に案内する。
図5,図6の例において、分流手段250は、処理対象物9の被処理面と平行な面を持った板部を有する。この板部は、被処理面のガス導入口204側における上部の空間を2つに区分する。また板部は、仕切り板212の孔221のほぼ中央において空間を上下に区分する。これにより、仕切り板212の孔221を通ったガスは、分流手段250の板部の上側と下側に分かれて流れる。板部の下側を流れるガスは、ガス導入口204側の末端からガス排出口205側の末端まで被処理面の全体を流れる(下側ガス流)。一方、板部の上側に流れるガスは、被処理面の途中からガス排出口205側の末端まで流れる(上側ガス流)。仕切り板212の板部の上側には、熱処理反応前の処理ガスが流れる。そのため、この新鮮な処理ガスが被処理面の途中から加わることにより、ガス排出口205に近い側における熱処理反応前の処理ガスの量を増やすことが可能となり、Y方向における処理ガス供給量の不均一を緩和できる。
【0050】
なお、分流した処理ガスを被処理面に供給する板部の末端の位置は、種々の条件に応じて任意に調節可能である。図7,図8は、分流手段250の板部の末端を図5,図6の例に比べてガス排出口205側に延長した例を示す。これにより、被処理面のガス排出口205側に近い領域における処理ガスの供給量を増やすことができる。
【0051】
また、本実施形態の他の例では、分流手段250の板部を2枚以上設けることによって、ガス流を3以上に分流することも可能である。この場合、各板部の末端の位置を変えることで、複数のガス流を被処理面のそれぞれ異なる位置まで案内することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0053】
図9,図10は、第3の実施形態に係る熱処理装置において処理対象物9を収容する容器20の一例を示す図である。図9は斜視図を示し、図10はA−A'断面図を示す。但し、図9の斜視図では、容器20の上蓋210の図示を省略している。
図9,図10に示す容器20は、図3、図4に示す容器20と同様の構成を有するとともに、第1分散手段及び第2分散手段として複数の球体240を有する。球体240は、例えばセラミックス等の耐熱性のある材料で形成される。球体240は略同一の大きさを有しており、均一の密度で配置される。図9,図10の例において、第1分散手段としての球体240は仕切り板212からガス導入口204までの領域に密に充填され、第2分散手段としての球体240は仕切り板213からガス排出口205までの領域に密に充填される。
【0054】
このような複数の球体240を均一な密度で配置するることにより、ガスの流れが球体240に遮られて滞留を生じ易くなり、球体240の隙間を通り抜けるガスの流量が均一になり易くなる。そのため、被処理面付近におけるガス流をX方向へ更に均一に分散させることができる。
【0055】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0056】
図11,図12は、本発明の第4の実施形態に係る熱処理装置における容器20の一例を示す図である。図11は上述した図4に対応するA−A'断面図を示し、図12は被処理面の上側から見たB−B'断面図を示す。
【0057】
図11,図12に示す容器20は、第1分散手段として、被処理面の上側にこれと平行な仕切り板215を有する。仕切り板215には、複数のガス流通孔220が形成される。この複数の孔220は、例えば2次元的(X方向及びY方向)に等間隔に形成される。ガス導入口204において導入される処理ガスは、この仕切り板215の各ガス流通孔220を通って下側の被処理面に流れる。
【0058】
また、図11,図12に示す容器20は、第2分散手段として、処理対象物9の被処理面を取り囲む仕切り板216を有する。この仕切り板216にも、複数のガス流通孔220が形成される。仕切り板216のX方向に延びる部分には、複数の孔220がX方向に等間隔に形成され、仕切り板216のY方向に延びる部分には、複数の孔220がY方向に等間隔に形成される。仕切り板216の内側のガスは、仕切り板216に形成された各ガス流通孔220を通り、容器20の内側壁と仕切り板216とによって囲まれた外側の領域に流れ、そこから容器20の側壁の一部に開けられたガス排出口205を通って容器20の外部(パイプ52)に排出される。
【0059】
このように、複数のガス流通孔220が形成された仕切り板215を被処理面の上側に配置し、複数のガス流通孔220が形成された仕切り板216によって被処理面の周囲を取り囲む構造にすることで、被処理面に供給される処理ガスの量の平面的な分布をより均一にすることができる。
【0060】
以上、本発明の幾つかの実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0061】
上述した第3の実施形態では、セラミックス等で形成された複数の球体を均一な密度で配置した領域を設けることによってガス流を均一に分散する例が挙げられているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の例では、空隙の密度が均一な多孔性の部材として、例えばカーボン繊維やカーボンメッシュ材などを複数の球体の替わりに用いてもよい。
【0062】
また、上述した第3の実施形態では、複数の球体の配置領域を区切るために、孔を開けた仕切り板が流用されているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、球体の外形に比べて細かい空隙を持った網状体を、球体の配置領域の境界面に設けてもよい。
この網状体を、処理ガスの導入口(第2ガス導入口)に比べて処理対象物の被処理面に近い側にある境界面に設けるようにすれば、処理ガスの導入口から処理対象物の被処理面へ向かう処理ガスの流れを、被処理面により近い場所で均一に分散させることができる。
また、この網状体を、処理ガスの排出口(第2ガス排出口)に比べて処理対象物の被処理面に近い側にある境界面に設けるようにすれば、処理対象物の被処理面から排出口へ向かう処理ガスの流れを、被処理面により近い場所で均一に分散させることができる。
【0063】
また、上述した第2の実施形態や第4の実施形態で説明した容器20において、ガス導入口204と被処理面との間の空間や、被処理面とガス排出口205との間の空間には、上述した球体や多孔性部材を適宜配置してもよい。
図13,図14に示す容器20は、上述した図11,図12に示す容器20における仕切り板215の上側の空間と、仕切り板215の下側かつ仕切り板216の外側の空間において、複数の球体240を充填した例を示す。この場合、容器20には、仕切り板215,216の替わりに網状体を設けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…加熱処理部、2…ガス供給部、3…トラップ部、4…ポンプ部、5…除害部、9…処理対象物、10…熱処理チャンバー、11…熱線透過部、20…容器、30…ヒーター部、41,51…中継管、42,52…パイプ、201…本体部210、204…ガス導入口、205…ガス排出口、210…上蓋、211〜216…仕切り板、220,221…ガス流通用の孔、240…球体、250…分流手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を収容する容器と、
前記容器を加熱対象物として収容する熱処理チャンバーと、
前記熱処理チャンバー内にキャリアガスを導入する第1ガス導入路と、
前記熱処理チャンバー内の空間から隔てられたガス流路であって、前記容器内に処理ガスを導入する第2ガス導入路と、
前記熱処理チャンバー内のガスを排出する第1ガス排出路と、
前記熱処理チャンバー内の空間から隔てられたガス流路であって、前記容器内からガスを排出する第2ガス排出路と、
を有する熱処理装置。
【請求項2】
前記熱処理チャンバーは、
前記第1ガス導入路につながる第1ガス導入口と、
前記第1ガス排出路につながる第1ガス排出口と、
前記第1ガス導入口と前記第1ガス排出口との間に設けられ、外部の発熱体からの熱線を透過する熱線透過部と、
を含む、
請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記容器は、
前記第2ガス導入路につながる第2ガス導入口と、
前記第2ガス導入口と前記処理対象物の被処理面との間に介在し、前記第2ガス導入口から前記被処理面へ供給される前記処理ガスの流れを前記被処理面付近において前記被処理面と平行な方向に均一に分散する第1分散手段と、
を含む、
請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記容器は、
前記第2ガス排出路につながる第2ガス排出口と、
前記第2ガス排出口と前記処理対象物の前記被処理面との間に介在し、前記被処理面から前記第2ガス排出口へ排出されるガスの流れを前記被処理面付近において前記被処理面と平行な方向に均一に分散する第2分散手段と、
を含む、
請求項3に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記第1分散手段は、
前記第2ガス導入口から前記被処理面へのガスの流れを遮るとともに、前記被処理面と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔が形成された少なくとも1つの仕切り板、
及び、
前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で配置された複数の球体、
及び、
前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で空隙が形成された多孔性部材、
及び、
前記被処理面と平行な方向における空間の幅が前記第2ガス導入口から前記被処理面に向かって連続的に広がるように前記容器の内壁に形成された第1傾斜部、
の少なくとも1つを含む、
請求項3に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記第2分散手段は、
前記被処理面から前記第2ガス排出口へのガスの流れを遮るとともに、前記被処理面と平行な方向において等間隔に複数のガス流通用の孔が形成された少なくとも1つの仕切り板、
及び、
前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で配置された複数の球体、
及び、
前記被処理面と平行な方向において略均一の密度で空隙が形成された多孔性部材、
及び、
前記被処理面と平行な方向における空間の幅が前記第2ガス排出口から前記被処理面に向かって連続的に広がるように前記容器の内壁に形成された第2傾斜部、
の少なくとも1つを含む、
請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記容器は、
前記複数の球体の配置領域を区切る網状体であって、前記球体の外形に比べて細かい空隙を持ち、前記第2ガス導入口に比べて前記被処理面に近い前記配置領域の境界面に設けられた網状体を有する、
及び/又は、
前記複数の球体の配置領域を区切る網状体であって、前記球体の外形に比べて細かい空隙を持ち、前記第2ガス排出口に比べて前記被処理面に近い前記配置領域の境界面に設けられた網状体を有する、
請求項5又は6に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記容器は、前記第2ガス導入口からのガス流を複数のガス流に分流し、当該複数のガス流を前記被処理面のそれぞれ異なる領域に案内する分流手段を有する、
請求項5乃至7の何れか一項に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記第2ガス導入口と前記第2ガス排出口は、前記容器の一方端と他方端とに離間して形成され、
前記処理対象物は、前記第2ガス導入口と前記第2ガス排出口との間に、前記第2ガス導入口から前記第2ガス排出口へ向かうガスの流れと前記被処理面とが平行になるように配置され、
前記分流手段は、前記処理対象物の前記被処理面と平行な壁面によって前記容器内における前記第2ガス導入口側の前記被処理面の上部空間を複数に区分する少なくとも1つの壁部を含む、
請求項8に記載の熱処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−167865(P2012−167865A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29233(P2011−29233)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000192383)アルバック理工株式会社 (26)
【Fターム(参考)】