説明

熱処理装置

支持具に支持される基板間のピッチを縮小し、処理枚数を増大させることができる熱処理装置を提供する。熱処理装置10は、基板72を処理する反応炉40と、反応炉40内で複数枚の基板72を複数段に支持する支持具30とを有する。この支持具30は、基板72と接触する複数の支持板58と、この複数の支持板58を支持する支持片66とを有し、支持板58と支持片66が厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等を熱処理するための熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば縦型熱処理炉を用いて、複数のシリコンウエハ等の基板を熱処理する場合、炭化珪素製の支持具(ボート)が用いられている(特許文献1参照)。この支持具には、例えば3点で基板を支持する支持片が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−45691号公報
【0004】
この場合、1000°C程度以上の温度で熱処理すると、支持片付近で、基板にスリップ転位欠陥が発生し、これがスリップラインになるという問題があった。スリップラインが発生すると、基板の平坦度が劣化する。これらのため、LSI製造工程における重要な工程の一つであるリソグラフィ工程で、マスク合わせずれ(焦点ずれ又は変形によるマスク合わせずれ)が生じ、所望パターンを有するLSIの製造が困難であるという問題が発生していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題を解決する手段として、支持片にまず支持プレートを載置し、この支持プレートの上に処理すべき基板を載置することが考えられる。
図25及び図26において、この種の支持具30の一例を示す。
【0006】
支持具30は、例えば互いに90度隔てて形成された3つの支持片66を有し、この支持片66に支持プレート58が支持されている。支持片66の組は垂直方向に所定距離を隔てて多数設けられ、これら支持片66の組に支持プレート58が支持されている。支持プレート58は例えばシリコン(Si)からなり、この支持プレート58の径が基板72よりも小さくなっている。支持プレート58はシリコン製の基板72と同じ材料からなるので、熱膨張率が同じであるため、基板72にスリップを発生させないという利点がある。
【0007】
このような支持具30に対して基板72を支持するには、図26に示すように、基板72を載せたツィーザ32を支持プレート58の上方まで移動させ、その後支持プレート58の上面よりも低い位置まで下降させることにより基板72を支持プレート58上に載置する。
【0008】
ところで、高温熱処理ではプロセス時間が非常に長いため、スループットを考慮すると、大量バッチ処理が望まれる。またバッチ処理当たりの処理枚数を増加させることが、スループットの向上に繋がる。処理枚数を増加させるには、プロセス処理領域(均熱長)を増加させるか、基板間ピッチを縮小するかのいずれかである。プロセス処理領域(均熱長)を増加させると、基板処理装置の大型化を招くので、この点で基板間ピッチを縮小することが有利である。
【0009】
図26に示すように、支持具30の左右の支持片66,66が、ツィーザ32の上下動により、干渉する位置にあることがわかる。基板挿入時の基板厚さ+上下クリアランスをa1、ツィーザダウン時のツィーザ厚さ+上下クリアランスをb1、支持片66,66の厚さをc1とすると、基板間ピッチP1は、a1+b1+c1で表される。別の表現をすると、a1は支持プレート58の上面と、上部に位置する支持片66,66の下面との距離、b1は支持プレート58の厚さである。
この場合、ツィーザ32を下げる際に、ツィーザ32と支持片66とが干渉しない程度の距離を確保する必要があり、支持板58の厚さ(b1)を少なくとも6.5mm以上とする必要がある。支持片66の厚さ(c1)を例えば3mmとし、基板72を上下させる隙間(a1)を4mmとすれば、合計(P1)13.5mmのピッチが必要となる。
基板間ピッチを縮小するために、支持片66,66の厚さ(c1)を薄くすることも考えられるが、強度の観点から単純には薄肉化することはできない。
【0010】
本発明の目的は、基板間ピッチを縮小し、1バッチ当たりの基板処理枚数を増大させ、もって高いスループットを有する熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片が厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成される熱処理装置にある。前記支持板裏面及び前記支持片上面のどちらか一方に凹部が設けられてもよい。或いは、前記支持片上面の前記支持板裏面と接触する部分に凹部が設けられてもよい。
【0012】
本発明の第2の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片が厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成され、さらに、前記支持具に対して基板を移載する基板移載機を有し、前記基板移載機は基板を載置するツィーザを具備し、前記支持片上面の、少なくとも基板移載時にツィーザと対向することとなる部分に凹部が設けられる熱処理装置にある。また、前記支持片の、少なくとも基板移載時にツィーザと対向することとなる部分から支持板を支持する側の端部にかけて凹部が設けられてもよい。
【0013】
本発明の第3の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板および前記支持片の少なくとも一方には、お互いが嵌合する嵌合部が設けられる熱処理装置にある。
【0014】
本発明の第4の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持片は、少なくとも前記支持板の基板挿入側の外周部を支持するように構成されている熱処理装置にある。
【0015】
本発明の第5の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持片はスケルトン構造であり、前記支持板には少なくとも一つの貫通孔が設けられ、前記支持片は前記少なくとも一つの貫通孔とは重ならないように構成される熱処理装置にある。また、前記支持板の中央部に一つの貫通孔が設けられ、前記支持片は前記貫通孔の外側部分を支持するように構成されてもよい。
【0016】
本発明の第6の特徴とするところは、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片が厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成され、前記支持具は更に複数の支柱を有し、前記支持片は前記複数の支柱をつなぐように前記支柱と一体的に構成され、前記支持片および前記支柱は、Si含浸SiC製である熱処理装置にある。
【0017】
本発明の第7の特徴とするところは、複数枚の基板と接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片とが厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成される支持具により複数枚の基板を複数段に支持する工程と、前記支持具により支持した複数枚の基板を反応炉内に搬入する工程と、前記反応炉内で前記支持具により支持した複数枚の基板を熱処理する工程と、前記支持具により支持した熱処理後の複数枚の基板を反応炉より搬出する工程とを有する基板の製造方法にある。
【0018】
また、好ましくは、前記熱処理装置は、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で基板を支持する支持具と、基板を載置するツィーザを有して前記支持具に基板を移載する基板移載機とを具備し、前記支持具は、基板と接触する支持板と、この支持板を支持する支持片とを有し、前記支持片上面にツィーザに対応する凹部を設けてなる。
【0019】
好ましくは、前記支持片は、支持具本体部から水平方向に延びるように形成され、支持具本体部側の根元部分が厚く、先端部分が薄くなるように凹部が形成される。
【0020】
また、好ましくは、前記熱処理装置は、基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で基板を支持する支持具と、基板を載置するツィーザを有して前記支持具に基板を移載する基板移載機とを具備し、前記支持具は、基板と接触する支持板と、この支持板を支持する支持片とを有し、前記支持片が、前記支持片の厚さの少なくとも一部を含む範囲内において前記ツィーザの前記支持具に対する挿入を許容する形状である。
【0021】
また、好ましくは、前記支持片は、前記ツィーザの挿入側に突出する突出部を有する。突出部を有する形状には、横断面形状が例えばM字状あるいはU字状であることを含む。U字状である場合は、支持片はツィーザの挿入側とは反対側で支えられ、先端の湾曲部にて支持板を支持するように構成することができる。この場合、支持板の外周部分には係合溝が形成され、この係合溝に支持片を係合することが好ましい。さらに、支持板を円板状とした場合は、支持片の幅は支持板の直径と同等若しくはそれ以下であることが好ましい。また、支持片は、炭化珪素(SiC)又はシリコン(Si)含浸SiCからなることが好ましい。
【0022】
好ましくは、前記ツィーザは、前記支持片の突出部を囲む開口部を有する。開口部を有する形状には、略U字状であることを含む。また、前記支持片をM字状とした場合、ツィーザの先端を支持片に合わせて切り欠くようにすることが好ましい。
【0023】
好ましくは、支持板は、基板よりも径が小さい円板状である。また、好ましくは、支持板は、シリコン(Si)からなる。特に基板がシリコンである場合は、基板と支持板とが同じ材料からなるので、同じ熱膨張となるため、熱膨張差に起因する基板のスリップ発生を防止することができる。
【0024】
好ましくは、支持片と支持板とは、複数設けられ、支持具は、複数枚の基板を略水平状態で隙間をもって複数段支持するように構成する。
【0025】
本発明における熱処理は、好ましくは1000°C以上、1200°C以上、さらには1350°C以上の高温で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた反応炉を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る支持具を示し、(a)は側面図、(b)は横断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る支持具を示し、(a)は縦断面図、(b)は支持片と支持板とを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第1の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第2の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第3の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は側面図、(c)は(a)のD−D線断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第4の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第5の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のG−G線断面図、(c)は(a)のH−H線断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る支持具の第6の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のI−I線断面図、(c)は(a)のJ−J線断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る支持具を示す斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る支持具を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のK−K線断面図、(c)は(a)のL−L線断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る支持具の第1の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のM−M線断面図、(c)は(a)のN−N線断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る支持具の第2の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のO−O線断面図、(c)は(a)のP−P線断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る支持具の第3の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図、(c)は(a)のR−R線断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る支持具を示す斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る支持具を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のS−S線断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る支持具を示し、(a)はツィーザ挿入時の縦断面図、(b)はツィーザダウン時の縦断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態において基板を支持具に支持させる手順を示し、(a)〜(d)は各工程における支持具とツィーザとの関係を示す縦断面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る支持具の第1の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のS−S線断面図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係る支持具の第2の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のT−T線断面図である。
【図22】本発明の第3の実施形態に係る支持具の第3の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のU−U線断面図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係る支持具の第4の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のV−V線断面図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係る支持具の第5の変形例を示し、(a)は横断面図、(b)は(a)のW−W線断面図である。
【図25】従来の基板処理装置における支持具を示し、(a)は横断面図、(b)は正面図である。
【図26】従来の基板処理装置における支持具を示し、(a)はツィーザ挿入時の縦断面図、(b)はツィーザダウン時の縦断面図である。
【図27】従来の基板処理装置における支持具を示し、(a)はツィーザ挿入時の横断面図、(b)はツィーザダウン時の縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る熱処理装置10が示されている。この熱処理装置10は、例えば縦型であり、主要部が配置された筺体12を有する。この筺体12には、ポッドステージ14が接続されており、このポッドステージ14にポッド16が搬送される。ポッド16は、例えば25枚の基板が収納され、図示しない蓋が閉じられた状態でポッドステージ14にセットされる。
【0028】
筺体12内において、ポッドステージ14に対向する位置には、ポッド搬送装置18が配置されている。また、このポッド搬送装置18の近傍には、ポッド棚20、ポッドオープナ22及び基板枚数検知器24が配置されている。ポッド搬送装置18は、ポッドステージ14とポッド棚20とポッドオープナ22との間でポッド16を搬送する。ポッドオープナ22は、ポッド16の蓋を開けるものであり、この蓋が開けられたポッド16内の基板枚数が基板枚数検知器24により検知される。
【0029】
さらに、筺体12内には、基板移載機26、ノッチアライナ28及び支持具30(ボート)が配置されている。基板移載機26は、例えば5枚の基板を取り出すことができるツィーザ32を有し、このツィーザ32を動かすことにより、ポッドオープナ22の位置に置かれたポッド、ノッチアライナ28及び支持具30間で基板を搬送する。ノッチアライナ28は、基板に形成されたノッチまたはオリフラを検出して基板のノッチまたはオリフラを一定の位置に揃えるものである。
【0030】
図2において、反応炉40が示されている。この反応炉40は、反応管42を有し、この反応管42内に支持具30が挿入される。反応管42の下方は、支持具30を挿入するために開放され、この開放部分はシールキャップ44により密閉されるようにしてある。また、反応管42の周囲は、均熱管46により覆われ、さらに均熱管46の周囲にヒータ48が配置されている。熱電対50は、反応管42と均熱管46との間に配置され、反応炉40内の温度をモニタできるようにしてある。そして、反応管42には、処理ガスを導入する導入管52と、処理ガスを排気する排気管54とが接続されている。
【0031】
次に上述したように構成された熱処理装置10の作用について説明する。
まず、ポッドステージ14に複数枚の基板を収容したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置18によりポッド16をポッドステージ14からポッド棚20へ搬送し、このポッド棚20にストックする。次に、ポッド搬送装置18により、このポッド棚20にストックされたポッド16をポッドオープナ22に搬送してセットし、このポッドオープナ22によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器24によりポッド16に収容されている基板の枚数を検知する。
【0032】
次に、基板移載機26により、ポッドオープナ22の位置にあるポッド16から基板を取り出し、ノッチアライナ28に移載する。このノッチアライナ28においては、基板を回転させながら、ノッチを検出し、検出した情報に基づいて複数枚の基板のノッチを同じ位置に整列させる。次に、基板移載機26により、ノッチアライナ28から基板を取り出し、支持具30に移載する。
【0033】
このようにして、1バッチ分の基板を支持具30に移載すると、例えば700°C程度の温度に設定された反応炉40内に複数枚の基板を装填した支持具30を装入し、シールキャップ44により反応管42内を密閉する。次に、炉内温度を熱処理温度まで昇温させて、導入管52から処理ガスを導入する。処理ガスには、窒素、アルゴン、水素、酸素等が含まれる。基板を熱処理する際、基板は例えば1000°C程度以上の温度に加熱される。なお、この間、熱電対50により反応管42内の温度をモニタしながら、予め設定された昇温、熱処理プログラムに従って基板の熱処理を実施する。
【0034】
基板の熱処理が終了すると、例えば炉内温度を700°C程度の温度に降温した後、支持具30を反応炉40からアンロードし、支持具30に支持された全ての基板が冷えるまで、支持具30を所定位置で待機させる。なお、炉内温度降温の際も、熱電対50により反応管42内の温度をモニタしながら、予め設定された降温プログラムに従って降温を実施する。次に、待機させた支持具30の基板が所定温度まで冷却されると、基板移載機26により、支持具30から基板を取り出し、ポッドオープナ22にセットされている空のポッド16に搬送して収容する。次に、ポッド搬送装置18により、基板が収容されたポッド16をポッド棚20に搬送し、さらにポッドステージ14に搬送して完了する。
【0035】
次に上記支持具30について詳述する。
図3及び図4において、第1の実施形態が示され、支持具30は、本体部56と支持板58とから構成されている。本体部56は、炭化珪素又はシリコン(Si)を含浸させた炭化珪素(SiC)からなり、円板状の上板60(図1に示す)、同じく円板状の下板62(図1に示す)、及び上板60と下板62とを接続する複数本、例えば2本の支柱64,64と、該支柱64,64とを接続する支持片66とを有する。支持片66は、2本の支柱64,64をつなぐように支柱64,64と一体的に構成されており、支持片66および支柱64,64はスケルトン(骨組み)構造となっている。支持片66は、上方から見て例えばU字状に形成されて水平方向に延び、後述するツィーザ32の挿入側(基板移載機26側)に向かって突出する突出部68を有する。該支持片66は、支柱64に対して垂直方向に一定間隔隔てて多数形成され、該多数の支持片66にそれぞれ支持板58が支持されている。この支持板58の上面には基板72の下面が接触するように基板72が支持される。なお、支持片66および支柱64は、柱状部材を、支持片66および支柱64となる部分を残して切削加工することにより一体ものとして形成される。
【0036】
支持板58は、例えばシリコン製で円板状に形成されている。支持片66全体の幅は支持板58の直径と同等若しくはそれ以下となっている。この支持板58は、厚さが薄い周辺部(外周部)74と、厚さが厚い中央部76とを有し、この周辺部74の下部(裏面)に凹部としての係合溝78(嵌合部)が形成されている。すなわち、支持板58裏面の中央部76には凸部が、支持板58の周辺部74には凹部が形成されている。
【0037】
支持片66は、突出部68が上方から見て半円形状に形成されており、該支持片66の突出部68に支持板58の係合溝78が嵌合して、支持板58が支持片66に支持されている。すなわち、支持板58および支持片66には、お互い(支持板58および支持片66)が嵌合する嵌合部(支持板58の係合溝78および支持片66の突出部68)が設けられており、支持板58と支持片66が厚さ方向の一部(支持板58の中央部76と支持片66)において重なるようになっている。なお、支持片66は、支持板58の基板挿入側の外周部における1/2以上の部分を支持している。
【0038】
このように、支持板58と支持片66が厚さ方向の少なくとも一部において重なるような構成すなわち支持板58の中央部76と支持片66の幅(高さ)とが厚さ方向において重なる構成とすることにより、支持片66で支持板58を支持した状態における支持板58と支持片66との合計の厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0039】
また、上述したように、支持板58および支持片66には、お互いが嵌合する嵌合部が設けられることにより、支持板66の位置決めを可能とし、支持板66のずれ及び支持板66の落下を防止できる。また例えば、支持板58に対して基板挿入方向と反対方向に向かう力が作用した場合であっても支持板58が支柱64と反対側へ移動する(ずれる)のを防止できる。
【0040】
また、上述したように、支持具30は複数の支柱64と、支持片66とを有し、支持片66は複数の支柱64をつなぐように支柱64と一体的に構成され、支持片66および支柱64は、Si含浸SiC製である構成とすることにより、Si含浸SiC製の本体部56のうち支柱64と支持片66を、強度を保ちつつ一体ものとして製作することができる。
【0041】
また、上述したように、スケルトン(骨組み)構造の支持片66で、支持板58の基板挿入側の外周部を支持するような構成とすることにより、基板載置時における支持板58の浮きを防止することができる。
即ち、図27(a),(b)に示すように、例えば支持板58を3箇所で支持している場合、基板72を支持板58に載置する際に、支持板58が支持片66に対して浮くおそれがある。例えば支持板58の基板挿入側の上部(図27(b)の破線部A)に先に基板72が当接した場合(基板72が傾いていた場合)、支持板58は、矢印B方向に回転し、支持片66に対して浮いてしまう。このように支持板58が浮いた際や、浮いた支持板58が元の位置に戻る際に、支持片66と支持板58とが擦れ、パーティクル(異物)が発生したり、支持片66に対して支持板58がずれたりすることがある。
一方、本実施形態においては、スケルトン(骨組み)構造の支持片66で支持板58の少なくとも基板挿入側の外周部を支持しているため、基板72を支持板58に載置する際に、支持板58の基板挿入側(突出部68の先端部側)の上部に先に基板72が当接した場合であっても、支持板58が支持片66に対し浮くことがない。従って、支持片66に対する支持板58のずれ及び支持片66と支持板58との擦れによるパーティクル(異物)の発生を防ぐことができる。
【0042】
なお、支持板58の形状は、この実施形態のように円板状である必要はなく、上方から見て楕円や多角形をした板状部材として構成することもでき、この支持板58の形状に応じて支持片66の形状を変えることができる。また、支持板58は、支持片66に固定することもできる。
【0043】
上記支持板58の径は、基板72の径より小さく、即ち、支持板58の上面は、基板72の下面である平坦面の面積より小さな面積を有し、基板72は、該基板72の周縁を残して支持板58に支持されている。基板72は例えば直径が300mmであり、したがって、支持板58の直径は300mm未満であり、100mm〜250mm程度(基板外径の1/3〜5/6程度)が好ましい。また、支持板58の厚さは、基板72の厚さよりも厚くしてある。
【0044】
支持板58の上面には、接着防止層を形成することができる。この接着防止層は、例えばシリコン表面を処理することにより、又はCVD等によりシリコン表面上に堆積(deposition)することにより形成したシリコン窒化膜(SiN)、炭化珪素皮膜(SiC)、酸化珪素膜(SiO2)、ガラス状炭素、微結晶ダイヤモンド等、耐熱性及び耐磨耗性に優れた材料からなり、基板72の処理後に支持板58と基板72との接着を防止するようにしてある。接着防止層を炭化珪素製の膜とした場合、膜の厚さは、0.1μm〜50μmとすることが好ましい。炭化珪素製の膜を厚くすると、シリコンと炭化珪素との熱膨張率の差により、シリコン製の支持板58が炭化珪素製の膜に引っ張られて支持板全体の変形量が大きくなり、この大きな変形によって基板72にスリップが発生するおそれがある。これに対して炭化珪素製の膜を上記のような厚さとすると、シリコン製の支持板58が炭化珪素製の膜に引っ張られる量が少なくなり、支持板全体の変形量も少なくなる。即ち、炭化珪素製の膜を薄くすると支持板58と膜との熱膨張率の差による応力が低減し、支持板全体の変形量が少なくなり、支持板全体の熱膨張率も本来のシリコンの熱膨張率(基板がシリコンの場合は略同等の熱膨張率)に近づき、スリップの発生を防止できるものである。
【0045】
上記実施形態においては、支持板58の厚さを前述のような基板72の厚さよりも厚い所定の厚さとしたので、支持板58の剛性を大きくすることができ、基板搬入時、昇温、降温時、熱処理時、基板搬出時等における温度変化に対する支持板58の変形を抑制することができる。これにより支持板58の変形に起因する基板72へのスリップ発生を防止することができる。また、支持板58の材質を基板72と同じ材質であるシリコン製、即ち、シリコン製の基板72と同じ熱膨張率や硬度を持つ材質としたので、温度変化に対する基板72と支持板58との熱膨張、熱収縮の差をなくすことができ、また、基板72と支持板58との接触点で応力が発生してもその応力を開放し易くなるので、基板72に傷が発生しにくくなる。これにより基板72と支持板58との熱膨張率の差や硬度の差に起因する基板72へのスリップ発生を防止することができる。
なお、上記実施形態及び実施例の説明では、支持板の直径(面積)が基板よりも小さい場合について説明したが、基板直径よりも支持板直径を大きくすることもできる。この場合は、支持板58の剛性を確保するため、支持板58の厚さをさらに厚くする必要がある。
【0046】
前述した基板移載機26のツィーザ32は、略U字状に形成され、開口部70を有する。開口部70の内側の幅は支持片66の外側の幅よりも大きくなっており、ツィーザ32は、支持片66の厚さの一部を含む範囲内において支持具30に挿入できるようになっている。即ち、図3(b)に示すように、ツィーザ32を支持具30に挿入して基板72を支持具に載置する状態においては、支持片66の平面方向に投影して得る投影面が、ツィーザ32の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。したがって、ツィーザ32を支持片66の厚さを含む範囲で挿入し、基板72の支持具30への載置と支持具30からの取り出しができるので、その分だけ基板間のピッチを小さくすることができる。
【0047】
図5において、第1の実施形態における第1の変形例が示される。
【0048】
この第1の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。即ち、支持板58の直径は、支持片66の幅よりも大きくなっており、支持板58の下部(裏面)には凹部としての係合溝78(嵌合部)が設けられている。この係合溝78は、支持具30の支持片66の形状に対応するようU字状に形成されており、該支持片66に係合溝78が嵌合して、支持板58が支持片66に支持されている。
【0049】
この支持片66と支持板58の係合溝78との嵌合により、支持板58が、支持片66に対し水平方向へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。例えば、この支持板58に対して基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58が、支持具30の支柱64の方向(支持片66の根元側)へ移動する(ずれる)のを防ぐことが可能となる。
【0050】
図6において、第1の実施形態における第2の変形例が示される。
【0051】
この第2の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持片66および支持板58の形状を異にしている。
【0052】
支持片66上面の基板挿入側付近には、凹部としての溝部80(嵌合部)が形成され、この支持片66の幅は支持板58の直径と同等若しくはそれ以下となっている。また、支持板58は、下部(裏面)に凹凸等のない単なる円板形状に形成されている。この支持片66の溝部80は、支持板58の形状に対応するように上方から見て円状に形成されており、該支持片66の溝部80には支持板58下部(裏面)の外周部が接触し、支持板58の外周部が支持片66に支持されている。
【0053】
このように、支持片66の溝部80に支持板58が支持されることにより、支持板58が、支持片66に対し、支持具30の支柱64の方向(支持片66の根元側)へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。即ち、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の外周面(端面)が支持片66の溝部80の側壁に当接し、支持板58が支持片66に対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0054】
図7において、第1の実施形態における第3の変形例が示される。
【0055】
この第3の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持片66の形状を異にしている。支持片66上面の基板挿入側付近には、凹部としての溝部80(嵌合部)が形成され、この支持片66の幅は支持板58の直径と同等若しくはそれ以下となっている。この支持片66の溝部80は、支持板58の形状に対応するように、上方から見て円状に形成されており、該支持片66の溝部80には支持板58裏面の外周部に設けられた係合溝78(嵌合部)が嵌合し、支持板58外周部が支持片66に支持されている。
【0056】
この支持片66の溝部80と支持板58の係合溝78との嵌合により、支持片66に対する支持板58の移動(ずれ)をいずれの方向(水平方向)においても防ぐことが可能となる。
【0057】
図8において、第1の実施形態における第4の変形例が示される。
【0058】
この第4の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0059】
支持板58の基板載置面には、基板72と接触することなく外部に連通する非接触部82が設けられている。この第1の実施形態における第4の変形例においては、非接触部82は例えば1つの貫通孔84から構成されている。この貫通孔84は、支持板58の中央部に設けられており、基板72と同心円状であって基板72の同心円を断面とする円筒として形成されている。この貫通孔84の一端は支持板58の基板載置面に開口し、他端は支持板58の下面に開口して外部と連通するようになっている。支持板58の貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面は、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、支持板58の貫通孔84を塞がないようになっている。
【0060】
後述するように、貫通孔84は、一つに限られることなく複数設けることができ、例えば中央の貫通孔84の周囲に複数設けることができる。また、貫通孔84は、基板載置面の中央には設けることなく、それ以外の部分に複数設けるようにしてもよい。
【0061】
このように、支持片66は、この支持片66に貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を貫通孔84を通じてスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0062】
図9において、第1の実施形態における第5の変形例が示される。
【0063】
この第5の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0064】
支持板58の直径は、支持片66の幅よりも大きくなっており、支持板58の下部(裏面)には凹部としての係合溝78(嵌合部)が設けられている。この係合溝78は、支持具30の支持片66の形状に対応するようU字状に形成されており、該支持片66に係合溝78が嵌合して、支持板58が支持片66に支持されている。また、上述した第1の実施形態における第4の変形例と同様に、支持板58の中央部には、例えば1つの貫通孔84が設けられている。支持板58の貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面は、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、支持板58の貫通孔84を塞がないようになっている。
【0065】
このように、支持片66は、この支持片66に貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を貫通孔84を通じてスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0066】
また、この支持片66と支持板58の係合溝78との嵌合により、支持片66に対する支持板58の移動(ずれ)をいずれの方向(水平方向)においても防ぐことが可能となる。
【0067】
図10において第1の実施形態における第6の変形例が示される。
【0068】
この第6の変形例は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0069】
支持板58は、例えば4つの貫通孔84を有する。これらの貫通孔84は、この貫通孔84の中心が支持板58の同心円上に位置するように形成されている。支持板58の4つの貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面は、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、支持板58の4つ全ての貫通孔84を塞がないようになっている。
【0070】
このように、支持片66は、この支持片66に複数の貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を複数の貫通孔84を通じてよりスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0071】
次に、図11及び図12において、第2の実施形態が示されている。
【0072】
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持片66および支持板58の形状を異にしている。即ち、支持片66は、上方から見てM字状に形成されて水平方向に延び、後述するツィーザ32の挿入側(基板移載機26側)に向かって三角形状に突出する突出部68を有する。この突出部68の先端は、2本の支柱64,64を結ぶ直線よりもツィーザ側に突出している。該支持片66は、支柱64に対して垂直方向に一定間隔隔てて多数形成され、該多数の支持片66にそれぞれ支持板58が支持されている。支持板58は円板状で、この支持板58の中心は、2本の支柱64,64を結ぶ直線上にある。この支持板58の中心と基板72の中心とが一致するように、支持板58に基板72が支持される。
【0073】
ここで、支持板58を支持片66に支持した際、支持片66の支持板58を支持する箇所が支持板58の重量により変形するといった問題が起きる。しかしながら、支持板58と基板72の重心が2本の支柱64,64を結ぶ直線上にあり、支持片66が左右対称の形状をしているため、基板72を支持板58に載置した際、応力は2本の支柱64,64に均等にかかり、支持片66が変形しても支持板58が傾くことは殆どなく鉛直に変形する。よって、基板72のずれ等を防止して安定した処理が可能となる。
【0074】
また、支持板58の下部(裏面)には凹部としての係合溝78(嵌合部)が設けられている。この係合溝78は、支持具30の支持片66の形状に対応するようM字状に形成されており、該支持片66に係合溝78が嵌合して、支持板58が支持片66に支持されている。この支持片66と支持板58の係合溝78との嵌合により、支持片66に対する支持板58の移動(ずれ)をいずれの方向(水平方向)においても防ぐことが可能となる。
【0075】
また、上述した支持板58裏面の係合溝78の厚さ方向の深さは、支持片66の厚さ方向の高さと同一となっている。すなわち、支持板58と支持片66が厚さ方向の一部において重なるようになっている。
【0076】
このように、支持板58と支持片66が厚さ方向の少なくとも一部において重なるような構成とすることにより、支持片66で支持板58を支持した状態における支持板58と支持片66との合計の厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0077】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ツィーザ32を支持片66の厚さの範囲内で挿入することができる。ツィーザ32の先端は、支持片66の形状に対応して斜めに切り欠いた切欠き部90が形成されており、ツィーザ32が支持片66に干渉することなく、ツィーザ32の先端が基板72の中心線を超えたところまで届くようにして基板72を支持することができる。
【0078】
上述したように、図25及び図26に示す比較例においては、ツィーザ32と支持片66との干渉を避けるために、支持板58の厚さを少なくとも6.5mm以上とする必要がある。一方、本発明に係る第2の実施形態においては、基板72を支持板58上に載置する際、ツィーザ32の下方に支持片66がないため、ツィーザ32を下げ過ぎても支持片66と干渉することはない。よって比較例では考慮する必要があった干渉防止のための距離を何ら考慮する必要がなく、その分ピッチを狭くすることができる。
即ち、比較例においては、支持板58の厚さは、干渉防止のため少なくとも6.5mm必要であるが、上記実施形態においては、1mm〜4mm程度にまで薄くすることができる。更には1mm以下とすることもできる。これにより支持板58の重量が減るので、これを支える支持片66の厚さも薄くすることができる。支持片66の厚さは、比較例においては3mm程度必要であるが、上記実施形態においては約1.5mm〜2mm程度まで薄くすることができる。なお、基板72を移載する隙間は比較例と同様に4mm程度確保する必要がある。
【0079】
以上のことから、基板間ピッチは比較例では13.5mm必要であったが、上記実施形態においては6.5mm程度まで狭くすることができる。しかしながら、ツィーザ32のピッチの限界を考慮すると、基板間ピッチは、7.5mm程度とすることが好ましい。この場合、支持片66と支持板58の厚さには、ある程度自由度を持たせることができることとなる。基板間ピッチを7.5mmとする場合、例えば支持片66の厚さを1.5mm、支持板58の厚さを3.5mm、基板72を移載する隙間を4mmとすればよい。
【0080】
なお、支持片66の形状はM字状に限られるものではない。
【0081】
図13において、第2の実施形態における第1の変形例が示される。
【0082】
この第1の変形例は、前述した第2の実施形態と比較すると、支持片66及び支持板58の形状を異にしている。
【0083】
支持片66上面の突出部68付近には、凹部としての溝部80(嵌合部)が設けられている。この支持片66の溝部80は、支持板58の形状に対応するように、上から見て支持板58の直径とほぼ同一直径の円形状に形成されており、該支持片66の溝部80には支持板58の下部(裏面)が接触し、支持板58が支持片66に支持されている。一方、支持板58は、下部(裏面)に凹凸のない単なる円板形状に形成されている。
【0084】
このように、支持片66の溝部80と支持板58とが嵌合することにより、支持板58が支持片66に対し、基板挿入方向に向かって移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。即ち、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の外周面(端面)が支持片66の溝部80の側壁に当接し、支持板58が支持片58に対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0085】
図14において、第2の実施形態における第2の変形例が示される。
【0086】
この第2の変形例は、前述した第2の実施形態と比較すると、支持片66及び支持板58の形状を異にしている。
【0087】
支持片66は、ツィーザ32の挿入側(基板移載機26側)に向かって略U字状に突出する突出部68を有する。一方、支持板58は、この支持板58の中央部に例えば1つの貫通孔84が設けられており、基板72と同心円状であって基板72の同心円を断面とする円筒として形成されている。この貫通孔84の一端は支持板58の基板載置面に開口し、他端は支持板58の下面に開口して外部と連通するようになっている。支持板58の貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面は、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、支持板58の貫通孔84を塞がないよう形成されている。
【0088】
貫通孔84は、一つに限られることなく複数設けることができ、例えば中央の貫通孔84の周囲に複数設けることができる。また、貫通孔84は、基板載置面の中央には設けることなく、それ以外の部分に複数設けるようにしてもよい。
【0089】
このように、支持片66は、この支持片66に貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板72と支持板58との間の空気を貫通孔84を通じてスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0090】
図15において第2の実施形態における第3の変形例が示される。
【0091】
この第3の変形例は、前述した第2の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0092】
支持板58は、例えば3つの貫通孔84を有する。これらの貫通孔84は、この貫通孔84の中心が支持板58の同心円上に位置するように形成されている。支持板58の3つの貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面は、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、3つの貫通孔84を避けるように蛇行して設けられ、支持板58の3つ全ての貫通孔84を塞がないようになっている。
【0093】
このように、支持片66は、この支持片66に貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を複数の貫通孔84を通じてよりスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0094】
また、支持板58の下部(裏面)には係合溝78(嵌合部)が設けられている。この係合溝78は、支持具30の支持片66の形状に対応するようM字状に形成されており、該支持片66に係合溝78が嵌合して、支持板58が支持片66に支持されている。この支持片66と支持板58の係合溝78との嵌合により、この支持片66に対し支持板58が水平方向へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0095】
次に、図16乃至図19において、第3の実施形態が示される。
【0096】
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態と比較すると、支持片66および支持板58の形状を異にしている。
【0097】
図16乃至図19において、支持具30は、本体部56と支持板58とから構成されている。本体部56は、炭化珪素(SiC)又はシリコンを含浸させた炭化珪素からなり、円板状の上板60(図1に示す)、同じく円板状の下板62(図1に示す)、及び上板60と下板62とを接続する例えば2本の組からなる3組の支柱64,64と、該3組の支柱64,64から延びる支持片66a,66b,66cとを有する。3組の支柱64,64は、互いに90度ずつ隔てて配置され、ツィーザ32が挿入される側に180度隔てて2組、ツィーザ32の反挿入側(ツィーザが挿入される側と反対側)に1組設けられている。支持片66a〜66cは、例えば略U字状に形成されて3組の支柱64,64からそれぞれ水平方向に延びている。この支持片66a〜66cは、支柱64,64に対して垂直方向に一定間隔隔てて多数形成され、該多数の支持片66a〜66cにそれぞれ支持板58が支持されている。この支持板58の上面には基板72の下面が接触するように基板72が支持される。
【0098】
第1の実施形態と同様に、支持片66a〜66cは2本の組からなる3組のそれぞれの支柱64,64をつなぐように3組のそれぞれの支柱64,64と一体的に構成されている。本実施形態の支持具30は、第1の実施形態の支柱64と支持片66をスリム化(小型化)したものを互いに90度ずつ隔てて3つ設けて構成されている。なお、支持片66a〜66cおよび3組の支柱64,64は、例えば3本の柱状部材を、支持片66a〜66cおよび3組の支柱64となる部分を残して切削加工することによりそれぞれが一体ものとして形成される。
【0099】
支持板58は、例えばシリコン(Si)製で円板状に形成されている。第3の実施形態における支持板58は、支持板58裏面に係合溝78が形成されていない点で、第1の実施形態の支持板58とは異なる。
【0100】
基板移載機26のツィーザ32は、2股に分かれて略U字状に形成されている。該ツィーザ32の内側の幅は支持板58の直径よりも大きくなっており、ツィーザ32は、支持板58の厚さの一部を含む範囲内において支持具30に挿入できるようになっている。
【0101】
このツィーザ32が挿入される側に配置された両側の支持片66a,66bの上面には、基板移載時にツィーザ32と対向することとなる部分に凹部88が設けられている。この凹部88は、ツィーザ32に対応して、支持片66a,66bの根元部分(支柱64,64側)の肉厚はそのまま残し、先端部分を薄肉にして形成したもので、支持板58の載置位置及びツィーザ32の挿入位置を含めて薄肉となっている。すなわち、支持片66a,66bの基板移載時にツィーザと対向することとなる部分から支持板58を支持する側の端部にかけて凹部88が設けられている。
【0102】
このように、支持片66a,66b上面の、少なくとも基板移載時にツィーザ32と対向することとなる部分に凹部88が設けられる構成とすることにより、基板移載時においてツィーザ32下方に支持片66a,66bが位置する場合であっても、支持片66a〜66cで支持板58を支持した状態における支持板58と支持片66a,66bとの合計厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0103】
つまり、支持片66a,66bの少なくとも一部を含む範囲内でツィーザが挿入できるようにしたので、少なくとも支持片66a,66bの厚さの一部に相当する分だけ基板間のピッチを狭くすることができる。
【0104】
即ち、図18に示すように、基板挿入時の基板厚さ+上下クリアランスをa2、ツィーザダウン時のツィーザ厚さ+上下クリアランスをb2、支持片部66a,66bの凹部88を形成した先端部分(薄肉部)の厚さをc2とすると、基板間ピッチP2は、a2+b2+c2で表される。
したがって、図26に示した従来例と比較すると、凹部88を形成した分だけ、c2<c1となり、基板間ピッチもP2<P1とすることができる。
【0105】
換言すると、支持片66a,66b上面にツィーザ32に対応する凹部88を設けたので、この支持片の凹部88の分だけツィーザを逃がすことができ、そのため基板間ピッチを縮小することができる。
【0106】
また、支持片66a,66bの根元部分(支柱64側)の肉厚は、従来と変わらないので、支持片66a,66b,66cの強度は従来とそれ程変わらない程度に維持することができる。なお、支持片66a,66bの根元部分の厚さは、支持片66a,66bの上面が支持板58の上面よりも高くならないように設定されており、基板72と支持片66a,66bの根元部分との接触を避けるようにしている。
【0107】
一方、ツィーザ32の反挿入側に配置された支持片66cは、ツィーザ32とは干渉しない位置にあるので、ツィーザ32との干渉を避けるための凹部を形成する必要はない。ただし、支持片66cの上面先端には、支持片66a,66bの凹部88上面との高さを揃えるために、段部86が形成されている。
【0108】
次に基板72を支持具30に対して移載する方法について説明する。
支持具30には予め支持板58が載置されている。まず、図19(a)に示すように、ツィーザ32上に基板72を載置する。次に、図19(b)に示すように、基板72を載置したツィーザ32を支持板58及び支持片66a,66b,66c上部と、それらの上方に隣接して設けられた支持板58及び支持片66a,66b,66c下部とに囲まれた空間に挿入する。このとき、ツィーザ32は、支持板58の両側の支持片66a,66bに形成された凹部88の上部位置に挿入される。次に、図19(c)に示すように、ツィーザ32を下方に所定距離移動させることにより、基板72を支持板58上に載置する。このとき、両側の支持片66a,66b上面には凹部88が形成されているので、この凹部88によりツィーザ32と支持片66a,66bとの干渉が避けられる。すなわち、ツィーザ32と支持片66a,66bとの干渉を避けつつ、ツィーザ32を支持片66a,66bの根元部分の上面よりも下方へ移動させることが可能となる。そして、図19(d)に示すように、ツィーザ32を引き抜くことで基板72の支持具30に対する移載が完了する。
【0109】
図20において、第3の実施形態における第1の変形例が示される。
【0110】
この第1の変形例は、前述した第3の実施形態と比較すると、支持片66a,66b,66cの形状を異にしている。
【0111】
支持具30は、複数の支柱64を有し、支持片66a,66b,66cは2本の組からなる3組のそれぞれの支柱64,64をつなぐように3組のそれぞれの支柱64,64と一体的に構成され、支持片66a〜66cおよび支柱64は、Si含浸SiC製である。
【0112】
支持片66a,66b,66c上面には、凹部としての溝部80(嵌合部)が設けられている。この支持片66a,66b,66cの溝部80は、この支持片66a,66b,66c上面の支持板58裏面と接触する部分に設けられ、上方から見て支持板58の直径とほぼ同一直径の円形状に形成されている。この支持片66a,66b,66cの溝部80には支持板58の下部(裏面)が接触し、支持板58が支持片66a,66b,66cに支持されている。すなわち、支持片66a,66b,66cには、お互い(支持板58及び支持片66a〜66c)が嵌合する溝部80(嵌合部)が設けられ、支持板58と支持片66a,66b,66cが厚さ方向の一部において重なるように構成される。
【0113】
このように、支持板58と支持片66a〜66cが厚さ方向において少なくとも一部重なる構成すなわち溝部80の深さと支持片66a〜66cの幅(高さ)が厚さ方向において重なる構成とすることにより、支持片66a〜66cで支持板58を支持した状態における支持板58と支持片66a〜66cとの合計厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0114】
また、上述したように、支持片66a〜66cには、お互い(支持板58及び支持片66a〜66c)が嵌合する溝部80(嵌合部)が設けられることにより、支持片66a〜66cに対する支持板58の位置決めを可能とし、支持板58のずれおよび支持板58の落下を防止できる。すなわち、支持片66a,66b,66cの溝部80とほぼ同一径の支持板58とが嵌合することにより、支持片66a,66b,66cに対し、支持板58がそれぞれの支持片66a,66b,66cの根元側へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。例えば、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の外周面(端面)が支持片66a,66b,66cの溝部80の側壁に当接することにより、支持板58が支持片66a,66b,66cに対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0115】
また、上述したように、支持具30は、複数の支柱64を有し、支持片66a,66b,66cは2本の組からなる3組のそれぞれの支柱64,64をつなぐように3組のそれぞれの支柱64,64と一体的に構成され、支持片66a〜66cおよび支柱64は、Si含浸SiC製とすることにより、Si含浸SiC製の本体部56、すなわち、複数の支柱64と支持片66a〜66cを、強度を保ちつつ一体ものとして製作できる。
【0116】
図21において、第3の実施形態における第2の変形例が示される。
【0117】
この第2の変形例は、前述した第3の実施形態と比較すると、支持片66a,66b,66cの形状を異にしている。
【0118】
支持片66a,66b,66c上面の先端部には、溝部80(嵌合部)が設けられている。この支持片66a,66b,66cの溝部80は、支持板58の形状に対応するように、上方から見て支持板58の直径とほぼ同一直径の円形状に形成されており、該支持片66a,66b,66cの溝部80には支持板58の下部(裏面)が接触し、支持板58が支持片66a,66b,66cに支持されている。
【0119】
このように、支持片66a,66b,66cの溝部80とほぼ同一径の支持板58とが嵌合することにより、支持片66a,66b,66cに対し、支持板58がそれぞれの支持片66a,66b,66cの根元側へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。例えば、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の外周面が支持片66a,66b,66cの溝部80の側壁に当接し、支持板58が支持片66a,66b,66cに対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0120】
また、ツィーザ32が挿入される側に配置された両側の支持片66a,66bの上面の少なくともツィーザ32と対向することとなる部分には、凹部88が形成されている。この凹部88は、支持片66a,66bの根元部分(支柱64側)の肉厚はそのまま残し、少なくともツィーザと対向することとなる部分を薄肉にして形成したもので、ツィーザ32の挿入位置よりも外側から支持板58の載置位置の手前にかけて薄肉となっている。なお、支持板58の載置位置すなわち溝部80は、凹部88よりもさらに薄肉となっている。すなわち、支持片66a,66bは、根元部分の肉厚はそのまま残しつつ、凹部88に対応する部分で薄肉となり、溝部80に対応する部分で更に薄肉となり、2段階で薄肉となっている。
【0121】
この第2の変形例においては、支持部58と支持片66a,66bとが厚さ方向の少なくとも一部において、すなわち、厚さ方向で支持片66a,66bの溝部80および凹部88の深さの合計分だけ重なっており、その分だけ支持板58と支持片66a,66bとの厚さの合計を小さくでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0122】
図22において、第3の実施形態における第3の変形例が示される。
【0123】
この第3の変形例は、前述した第3の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0124】
支持板58は、厚さが薄い周辺部(外周部)74と、厚さが厚い中央部76とを有し、この周辺部74の下部(裏面)に係合溝78(嵌合部)が形成されている。支持板58は、この支持板58の係合溝78がそれぞれの支持片66a,66b,66cの先端部に嵌合し、支持片66a,66b,66cに支持されている。
【0125】
この支持片66a,66b,66cの先端部と支持板58の係合溝78との嵌合により、支持片66は、支持片66a,66b,66cに対し、支持板58がそれぞれの支持片66a,66b,66cの根元側へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。例えば、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の係合溝78の部分の外周面が支持片66a,66b,66cの先端部に当接しているので、支持板58が支持片66a,66b,66cに対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0126】
また、ツィーザ32が挿入される側に配置された両側の支持片66a,66bの上面には、凹部88が形成されている。この凹部88は、ツィーザ32に対応して、支持片66a,66bの根元部分の肉厚はそのまま残し、先端部分を薄肉にして形成したもので、支持片58の載置位置及びツィーザ32の挿入位置を含めて薄肉となっている。このように支持片66a,66bのツィーザ32に対応する部分を薄くできるので基板間ピッチを縮小することができる。
【0127】
図23において、第3の実施形態における第4の変形例が示される。
【0128】
この第4の変形例は、前述した第3の実施形態と比較すると、支持板58及び支持片66a,66b,66cの形状を異にしている。
【0129】
支持片66a,66b,66cは、第3の実施形態と比較すると、これらの支持片66aの先端部と支持片66bの先端部と支持片66cの先端部との間の距離が短くなっている。即ち、それぞれの支持片66a,66b,66cは、支持具30の水平面における中心方向に向かって長く形成されている。
【0130】
一方、支持板58は、例えば3つの貫通孔84を有している。これらの貫通孔84は、例えばこの貫通孔84の中心が支持板58の同心円上に位置するように形成されている。このとき、支持板58の3つの貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面が、支持片66a,66b,66cの平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66a,66b,66cは、支持板58の3つ全ての貫通孔84を塞がないようになっている。
【0131】
このように、支持片66a,66b,66cは、この支持片66に複数の貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を複数の貫通孔84を通じてよりスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0132】
また、ツィーザ32が挿入される側に配置された両側の支持片66a,66bの上面には、凹部88が形成されている。この凹部88は、ツィーザ32に対応して、支持片部66a,66bの根元部分の肉厚はそのまま残し、先端部分を薄肉にして形成したもので、支持片66a,66bの載置位置及びツィーザ32の挿入位置を含めて薄肉となっている。このように支持片66a,66bのツィーザ32に対応する部分を薄くできるので基板間ピッチを縮小することができる。
【0133】
図24において、第3の実施形態における第5の変形例が示される。
【0134】
この第4の変形例は、前述した第3の実施形態と比較すると、支持板58の形状を異にしている。
【0135】
支持板58は、厚さが薄い周辺部(外周部)74と、厚さが厚い中央部76とを有し、この周辺部74の下部(裏面)に係合溝78(嵌合部)が形成されている。支持板58は、この支持板58の係合溝78がそれぞれの支持片66a,66b,66cの先端部に嵌合して、支持片66a,66b,66cに支持されている。
【0136】
この支持片66a,66b,66cと支持板58の係合溝78との嵌合により、支持板58が、支持板58が、支持片66a,66b,66cに対し、それぞれの支持片66a,66b,66cの根元側へ移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。例えば、この支持板58に基板挿入方向に向かう力が作用した場合であっても、支持板58の係合溝78が支持片66a,66b,66cの先端部に当接しているので、支持板58が支持片66a,66b,66cに対し移動する(ずれる)ことを防ぐことができる。
【0137】
また、支持板58の中央部には貫通孔84が設けられており、この貫通孔84は、基板72と同心円状であって基板72の同心円を断面とする円筒として形成されている。この貫通孔84の一端は支持板58の基板載置面に開口し、他端は支持板58の下面に開口して外部と連通するようになっている。このとき、支持板58の貫通孔84の平面方向に投影して得る投影面が、支持片66の平面方向に投影して得る投影面と重ならないようになっている。即ち、支持片66は、支持板58の貫通孔84を塞がないようになっている。
【0138】
このように、支持片66は、この支持片66に貫通孔84を有する支持板58を支持した場合であっても、支持板58の貫通孔84を塞ぐことがないので、基板載置時において基板と支持板との間の空気を貫通孔84を通じてスムーズに逃がすことができ、基板の滑りを防止することができる。
【0139】
また、ツィーザ32が挿入される側に配置された両側の支持片66a,66bの上面には、凹部88が形成されている。この凹部88は、ツィーザ32に対応して、支持片部66a,66bの根元部分の肉厚はそのまま残し、先端部分を薄肉にして形成したもので、支持片58の載置位置及びツィーザ32の挿入位置を含めて薄肉となっている。このように支持片66a,66bのツィーザ32に対応する部分を薄くできるので基板間ピッチを縮小することができる。
【0140】
本発明の熱処理装置は、基板の製造工程にも適用することができる。
【0141】
SOI(Silicon On Insulator)ウエハの一種であるSIMOX(Separation by Impanted Oxygen)ウエハの製造工程の一工程に本発明の熱処理装置を適用する例について説明する。
【0142】
まずイオン注入装置等により単結晶シリコンウエハ内へ酸素イオンをイオン注入する。その後、酸素イオンが注入されたウエハを上記実施形態の熱処理装置を用いて、例えばAr、O2雰囲気のもと、1300°C〜1400°C、例えば1350°C以上の高温でアニールする。これらの処理により、ウエハ内部にSiO2層が形成された(SiO2層が埋め込まれた)SIMOXウエハが作製される。
【0143】
また、SIMOXウエハの他,水素アニールウエハの製造工程の一工程に本発明の熱処理装置を適用することも可能である。この場合、ウエハを本発明の熱処理装置を用いて、水素雰囲気中で1200°C程度以上の高温でアニールすることとなる。これによりIC(集積回路)が作られるウエハ表面層の結晶欠陥を低減することができ、結晶の完全性を高めることができる。
【0144】
また、この他、エピタキシャルウエハの製造工程の一工程に本発明の熱処理装置を適用することも可能である。
【0145】
以上のような基板の製造工程の一工程として行う高温アニール処理を行う場合であっても、本発明の熱処理装置を用いることにより、支持片で支持板を支持した状態における支持板と支持片との合計厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【0146】
本発明の熱処理装置は、半導体装置の製造工程にも適用することも可能である。
特に、比較的高い温度で行う熱処理工程、例えば、ウェット酸化、ドライ酸化、水素燃焼酸化(パイロジェニック酸化)、HCl酸化等の熱酸化工程や、硼素(B)、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)等の不純物(ドーパント)を半導体薄膜に拡散する熱拡散工程等に適用するのが好ましい。
このような半導体デバイスの製造工程の一工程としての熱処理工程を行う場合においても、本発明の熱処理装置を用いることにより、支持片で支持板を支持した状態における支持板と支持片との合計厚さを薄くでき、基板間ピッチを縮小することができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、高温下で熱処理される基板の熱処理装置に利用することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する反応炉と、
前記反応炉内で複数枚の基板を複数段に支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は複数枚の基板のそれぞれと接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片が厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持板裏面または前記支持片上面に凹部が設けられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持片上面の前記支持板裏面と接触する部分に凹部が設けられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の熱処理装置において、さらに、前記支持具に対して基板を移載する基板移載機を有し、前記基板移載機は基板を載置するツィーザを具備し、前記支持片上面の、少なくとも基板移載時にツィーザと対向することとなる部分に凹部が設けられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の熱処理装置において、前記支持片の、少なくとも基板移載時にツィーザと対向することとなる部分から支持板を支持する側の端部にかけて凹部が設けられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持板および前記支持片の少なくとも一方には、お互いが嵌合する嵌合部が設けられてなることを特徴とする熱処理装置。
【請求項7】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持片は、少なくとも前記支持板の基板挿入側の外周部を支持するように構成されていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持片はスケルトン構造であり、前記支持板には少なくとも一つの貫通孔が設けられ、前記支持片は前記少なくとも一つの貫通孔とは重ならないように構成されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の熱処理装置において、前記支持板の中央部に一つの貫通孔が設けられ、前記支持片は前記貫通孔の外側部分を支持するように構成されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項10】
請求項1記載の熱処理装置において、前記支持具は更に複数の支柱を有し、前記支持片は前記複数の支柱をつなぐように前記支柱と一体的に構成され、前記支持片および前記支柱は、Si含浸SiC製である請求項1の熱処理装置。
【請求項11】
基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で基板を支持する支持具と、を有する熱処理装置であって、前記支持具は基板と接触する支持板と、この支持板を支持する支持片とを有し、前記支持板および前記支持片の少なくとも一方には、前記支持板と前記支持片とが嵌合する嵌合部が設けられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項12】
基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で基板を支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は基板と接触する支持板と、この支持板を支持する支持片とを有し、前記支持片は、少なくとも前記支持板の基板挿入側の外周部を支持するように構成されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項13】
基板を処理する反応炉と、前記反応炉内で基板を支持する支持具とを有する熱処理装置であって、前記支持具は基板と接触する支持板と、この支持板を支持する支持片とを有し、前記支持片はスケルトン構造であり、前記支持板には少なくとも一つの貫通孔が設けられ、前記支持片は前記少なくとも一つの貫通孔とは重ならないように構成されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項14】
複数枚の基板と接触する複数の支持板と、この複数の支持板を複数段に支持する複数の支持片とを有し、前記支持板と前記支持片とが厚さ方向の少なくとも一部において重なるように構成される支持具により複数枚の基板を複数段に支持する工程と、
前記支持具により支持した複数枚の基板を反応炉内に搬入する工程と、
前記反応炉内で前記支持具により支持した複数枚の基板を熱処理する工程と、
前記支持具により支持した熱処理後の複数枚の基板を反応炉より搬出する工程と、
を有することを特徴とする基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【国際公開番号】WO2005/069361
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517124(P2005−517124)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000651
【国際出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】