説明

熱処理部材の部分熱処理方法とその装置

【課題】熱処理品質向上を可能とする熱処理部材の部分熱処理方法とその装置の提供。
【解決手段】熱処理部材1の特定部分1aのみを熱処理する部分熱処理方法とその装置であって、前記熱処理は、前記特定部分のみを誘導加熱する誘導加熱工程20Pと、ついで行われる冷却工程30とを含んでおり、前記誘導加熱工程20Pが、第1段階の加熱21と、該第1段階の加熱21に続く加熱休止22と、該加熱休止22に続く第2段階の加熱23とを有している、熱処理部材1の部分熱処理方法。
部分熱処理は、部分焼入れに適用されてもよいし、部分焼もどしに適用されてもよいし、部分焼入れと部分焼もどしの両方に適用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理部材の部分熱処理方法とその装置に関する。
熱処理部材は、たとえば建設機械の無限軌道帯用リンクであり、その場合、部分熱処理される部分は、ローラー踏面部である。ただし、熱処理部材は、建設機械の無限軌道帯用リンクに限るものではない。
また、部分熱処理は、部分焼入れ、または部分焼もどし、または部分焼入れおよび部分焼もどしの何れかである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼部材は、圧延または鍛造または鋳造のままで使用されるものもあるが、耐摩耗性(硬さ)、強度、靱性が要求される部材は、熱処理が施される。このように、熱処理を施して使用される部材を「熱処理部材」という。
代表的な熱処理部材として、図12に示す、油圧ショベルおよびブルドーザー等の建設機械の無限軌道帯に使用される履板2、リンク1、ピン3、ブッシュ4、およびブルドーザー等の建設機械および除雪機械に使用される刃先(図示せず)などがある。その他、各種産業機械に使用される機械構造用部品の多くは熱処理部材である。
無限軌道帯用リンクは、過酷な条件下で使用されるため、リンク全体として耐摩耗性、強度および靱性が要求される。また、建設機械の下部走行体のローラー(転輪、図示せず)との接触面領域である、リンク1のローラー踏面部1a(図13、図14)には、特に耐摩耗性が要求される。
【0003】
これらの要求特性を備えるために、無限軌道帯用リンクは、以下の▲1▼〜▲5▼の工程により、▲1▼〜▲5▼の工程順で、製造されている。
▲1▼ 中炭素合金鋼からなる素材を熱間鍛造してリンク形状のリンク素材とする。
▲2▼ 熱間鍛造の残熱または再加熱でAc変態点以上の温度になっている、リンク素材の全体を急冷して焼入れする。
▲3▼ 焼入れしたリンク素材全体を高温焼もどしする。
▲4▼ 高温焼もどししたリンク素材のローラ踏面部のみを誘導加熱焼入れする(いわゆる、部分焼入れ)。
▲5▼ リンク素材のローラ踏面部のみを誘導加熱により低温焼もどしする(いわゆる部分焼もどし)か、または、リンク素材全体を炉中にて低温焼もどしする。
なお、▲4▼、▲5▼の工程の前後で、他の部品と組み立てるために機械加工を実施する。
【0004】
したがって、リンク素材には、▲2▼、▲3▼の第1段階の熱処理と、▲4▼、▲5▼の第2段階の熱処理との、2段階の熱処理が施される。第1段階の熱処理は、リンク全体に強度および靱性を付与するための熱処理であり、第2段階の熱処理は、リンクの一部分であるローラー踏面部に耐摩耗性を付与するための熱処理である。このように、2段階の熱処理を施す理由は、リンクの部位によって要求される機械的性質が異なるためである。ここで、第1段階の熱処理のようにリンク素材全体に施される熱処理を「全体熱処理」といい、第2段階の熱処理のようにリンク素材の一部分に施される熱処理を「部分熱処理」という。
【0005】
本発明は、上記▲1▼〜▲5▼のリンクの製造工程のうち、部分熱処理工程に係るものである。すなわち、本発明は、
(i) ▲4▼の工程、すなわち、部分焼入れ工程と、▲5▼の工程、すなわち、部分焼もどし工程との両方の工程、または、
(ii) ▲4▼の工程、すなわち、部分焼入れ工程、もしくは、
(iii) ▲5▼の工程、すなわち、部分焼もどし工程、
の何れかに関するものである。
【0006】
リンク素材の部分熱処理(▲4▼の部分焼入れ、▲5▼の部分焼もどし)には、従来、つぎの方法がある。
〔部分焼入れ〕
イ. リンク素材全体を冷却液槽内の冷却液中に浸漬する方法
ロ. 冷却槽内でリンク素材を搬送しつつ、リンク素材のローラー踏面部のみに、大気中または液中にて、噴射ジャケットより冷却液を噴射する方法(ジェット冷却、たとえば特開昭58−167727号公報)
ハ. リンク素材のローラー踏面部のみに、大気中にて、高圧の空気により、冷却液を噴射する方法(高圧スプレー冷却)
〔部分焼もどし〕
ニ. 1工程の誘導加熱方法(たとえば、特開昭57−51583号公報)
ホ. 炉中加熱方法(たとえば、特開昭57−51583号公報における従来の技術の説明)
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−167727号公報
【特許文献2】
特開昭57−51583号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の部分熱処理方法には、つぎの問題がある。
〔従来の部分焼入れ方法の問題点〕
イ.の方法では、リンク素材全体は常に冷却液に接触しているが、液流がないため、冷却能力が低く、また、冷却が不均一になりやすい。その結果、焼入れ硬さ不足(いわゆる、不完全焼入れ)、焼入れ硬さ不均一(いわゆる、焼むら)、焼割れ等の品質不良が発生しやすい。
ロ.の方法では、とくに液中噴射では、冷却液中をリンクが移動するので、冷却したい部位に冷却液流を噴射して効果的に冷却するのが困難である。また、リンクのような複雑な形状の部材の場合、冷却が不均一になりやすく、焼割れ等の品質不良が発生しやすい。
ハ.の方法では、高圧噴射装置、ワーククランパー、大容量液槽、大型カバーなどが必要になるため、設備が大型になり、設備製作コストおよび設備保全コストが高くなる。
〔従来の部分焼もどし方法の問題点〕
ニ.の方法では、特定部分の、表面と芯部との温度差が大きくなり、特定部分全体を均一な温度に加熱することが困難である。
ホ.の方法では、加熱時間が長くなるため、焼もどし工程がネックとなり、インラインによる一貫生産が非常に困難である。
【0009】
本発明の目的は、従来の部分熱処理の上記問題点の1つ以上を解消できる、熱処理部材の部分熱処理方法(部分焼入れ方法、または部分焼もどし方法、または部分焼入れ方法と部分焼もどし方法の両方、の何れであってもよい)とその装置を提供することにある。
【0010】
より具体的には、つぎの通りである。
本発明の第1の目的は、部分熱処理の加熱工程において、短時間の加熱で、特定部分を均一な温度に加熱することを可能とする、熱処理部材の部分熱処理方法とその装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、部分熱処理の冷却工程において、熱処理硬さ不足、熱処理硬さ不均一、および熱処理割れ等の品質不良の発生を防止し、かつ、設備関連コストの低減を可能とする、熱処理部材の部分熱処理方法とその装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、部分熱処理の加熱工程において、短時間の加熱で、特定部分を均一な温度に加熱することを可能とし、部分熱処理の冷却工程において、熱処理硬さ不足、熱処理硬さ不均一、および熱処理割れ等の品質不良の発生を防止し、かつ、設備関連コストの低減を可能とする、熱処理部材の部分熱処理方法とその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。
(1) 熱処理部材の特定部分のみを熱処理する部分熱処理方法であって、
前記熱処理は、前記特定部分のみを誘導加熱する誘導加熱工程と、ついで行われる冷却工程とを含んでおり、
前記誘導加熱工程が、第1段階の加熱と、該第1段階の加熱に続く加熱休止と、該加熱休止に続く第2段階の加熱を含んでいる、
熱処理部材の部分熱処理方法。
(2) 前記第1段階の加熱の加熱出力は前記第2段階の加熱の加熱出力と等しいかそれよりも高く設定されている(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(3) 前記熱処理部材の特定部分の加熱中、前記熱処理部材を固定する(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(4) 1つの加熱コイルが1つの熱処理部材を加熱する(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(5) 前記第1段階の加熱と前記第2段階の加熱を別個の加熱コイルを用いて行う(4)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(6) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが互いに異なる形状を有している(5)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(7) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルは同一の形状を有している(5)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(8) 前記第1段階の加熱と前記第2段階の加熱を同じ加熱コイルを用いて行う(4)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(9) 1つの加熱コイルが熱処理部材を2つ加熱する(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(10) 前記冷却工程では、前記熱処理部材の全体を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させる(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(11) 前記冷却工程では、噴射ジャケットより流出する冷却液流を前記特定部分に噴射する(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(12) 前記熱処理部材が無限軌道帯用リンクである(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(13) 前記特定部分が前記リンクのローラー踏面部である(12)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(14) 前記熱処理が部分焼入れである(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(15) 前記熱処理が部分焼もどしである(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(16) 前記熱処理が部分焼入れと部分焼もどしである(1)記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
(17) 熱処理部材の特定部分のみを熱処理する部分熱処理装置であって、
前記特定部分のみを誘導加熱する誘導加熱装置と、前記特定部分が加熱された熱処理部材を冷却する冷却装置とを含んでおり、
前記誘導加熱装置が、第1段階の加熱、加熱休止、第2段階の加熱を順に行う1つ以上の加熱コイルを有している、
熱処理部材の部分熱処理装置。
(18) 前記第1段階の加熱の加熱出力を前記第2段階の加熱の加熱出力と等しいかそれ以上に設定可能である(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(19) 前記熱処理部材の特定部分の加熱中、前記熱処理部材を固定するクランプ装置を備えている(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(20) 1つの加熱コイルが1つの熱処理部材を加熱する(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(21) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが別個になっている(20)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(22) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが互いに異なる形状を有している(21)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(23) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが同一の形状を有している(21)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(24) 前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが同一である(20)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(25) 1つの加熱コイルが熱処理部材を2つ加熱する(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(26) 前記冷却装置が、搬送される前記熱処理部材を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させるローラーコンベヤーを備えている(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(27) 前記冷却装置が、流出する冷却液流を前記特定部分に噴射する噴射ジャケットを備えている(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(28) 前記熱処理部材が無限軌道帯用リンクである(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(29) 前記特定部分が前記リンクのローラー踏面部である(28)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(30) 前記熱処理が部分焼入れである(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(31) 前記熱処理が部分焼もどしである(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
(32) 前記熱処理が部分焼入れと部分焼もどしである(17)記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【0012】
上記(1)の部分熱処理方法および上記(17)の部分熱処理装置では、加熱工程において、誘導加熱が2段階の加熱で行われ、1段目の加熱と2段目の加熱との間に加熱休止時間を設けたので、1段目の加熱で特定部分の表面に偏在した熱が芯部に伝導して表面と芯部との温度差が減少し、熱処理部材の特定部分全体を均一な温度に加熱することができる。
上記(2)の部分熱処理方法および上記(18)の部分熱処理装置では、2段目の加熱は1段目の加熱と等しいかまたはそれより低い出力での加熱のため、表面と芯部との温度差がさらに減少し、その結果、熱処理部材の特定部分全体を均一な温度に加熱することができる。
上記(3)の部分熱処理方法および上記(19)の部分熱処理装置では、熱処理部材の特定部分の加熱中、熱処理部材を固定するので、熱処理部材が加熱コイルに対して変位せず、特定部分を所定深さで所定温度に加熱することができる。
上記(4)〜(7)の部分熱処理方法および上記(20)〜(23)の部分熱処理装置では、ワークを第1段階の加熱の加熱コイル(第1加熱コイル)で加熱し、加熱休止中にワークを第2段階の加熱の加熱コイル(第2加熱コイル)に送り、ワークを第2加熱コイルで加熱するが、ワークを第2加熱コイルで加熱中につぎのワークを第1加熱コイルで加熱することができ、生産性の向上をはかることができる。
上記(8)の部分熱処理方法およびおよび上記(24)の部分熱処理装置では、同じ(単一の)加熱コイルで、第1段階の加熱、加熱休止、第2段階の加熱を行うので、加熱コイルの数量が削減され、その結果、加熱コイルの製作費用が削減される。
上記(9)の部分熱処理方法および上記(25)の部分熱処理装置では、ワークを1つの加熱コイルの上流部で加熱し、加熱休止中にワークを前記1つの加熱コイルの下流部に送り、ワークを加熱コイルの下流部で加熱するが、ワークを加熱コイルの下流部で加熱中につぎのワークを加熱コイルの上流部で加熱することができ、生産性を倍増することができる。
上記(10)の部分熱処理方法および上記(26)の部分熱処理装置では、とりわけ、冷却工程で、熱処理部材の全体を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させるので、特定部分を狙って冷却液を噴射でき、熱処理の品質を向上できる。また、ワーク搬送方向に熱処理装置がコンパクトになり、設備関連コストを低減することができる。
上記(11)の部分熱処理方法および上記(27)の部分熱処理装置では、とりわけ、冷却工程で、噴射ジャケットより流出する冷却液流を特定部分に噴射するので、十分な冷却能力が確保されるとともに、冷却が均一になり、熱処理の品質を向上できる。
上記(12)、(13)の部分熱処理方法および上記(28)、(29)の部分熱処理装置では、本発明を無限軌道帯用リンクのローラー踏面に適用して、機械的品質の向上をはかることができる。
上記(14)〜(16)の部分熱処理方法および上記(30)〜(32)の部分熱処理装置では、熱処理は、部分焼入れであってもよいし、部分焼もどしであってもよいし、部分焼入れと部分焼もどしの両方であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置を、図1〜図14(図12〜図1414は従来技術の説明と共用)を参照して説明する。
熱処理部材1として、建設機械の無限軌道帯用リンクを例にとる。ただし、熱処理部材は建設機械の無限軌道帯用リンクに限るものではない。また、熱処理部材1が建設機械の無限軌道帯用リンク1である場合、熱処理が施される特定部分1aはローラー踏面部である。
【0014】
まず、本発明の熱処理部材の部分熱処理方法を説明する。
図1に示すように、本発明の熱処理部材の部分熱処理方法は、熱処理部材1の特定部分1aのみを熱処理する部分熱処理方法である。
本発明の熱処理部材の部分熱処理方法は、熱処理部材1の特定部分1aのみを誘導加熱する誘導加熱工程20と、ついで行われる冷却工程30を含む。誘導加熱では、高周波誘導電流により特定部分1aのみを局部的に加熱する。
誘導加熱工程20において、本発明方法による誘導加熱工程に符号20Pを付し、従来方法による誘導加熱工程に符号20Cを付す。
【0015】
本発明の誘導加熱工程20Pは、第1段階の加熱21と、該第1段階の加熱に続く加熱休止22と、該加熱休止に続く第2段階の加熱23を有している。すなわち、第1段階の加熱21と第2段階の加熱23との2段階の加熱の間に加熱休止(放熱時間)22が設けられている。加熱休止(放熱時間)22は約5〜15秒程度である。本発明の2段階の加熱では、第1段階の加熱21の加熱出力が第2段階の加熱23の加熱出力と等しいかそれよりも高く設定されている。
【0016】
第1段階の加熱21で熱処理部材1の特定部分1aを急速加熱し、ほぼ所定の温度まで上昇させる。第1段階の加熱21の加熱終了後では、加熱コイル11に近い熱処理部材1の特定部分1aの表面近傍部の加熱温度は加熱コイル11と離れている特定部分1aの芯部の温度と比較して高くなっている。すなわち、第1段階の加熱21の加熱終了後では、熱処理部材1には比較的大きな温度差を有する温度分布(温度ムラ)があり、特定部分1aにおいても表面部と芯部とで温度差がある。
つぎに、第1段階の加熱21と第2段階の加熱23との間の加熱休止(放熱時間)22において、特定部分1aの表面近傍部から大気への熱放散と、特定部分1aの表面部から特定部分1aの芯部への熱伝導とにより、特定部分1aにおける温度ムラが減少し、特定部分1aを均熱化することができる。
さらに、第2段階の加熱23で、第1段階の加熱21の加熱に比べて加熱出力を同一もしくは低くし、かつ、加熱コイル11の形状も均熱化しやすいコイル形状とすることで、熱処理部材1の特定部分1aをより均熱化することができる。
【0017】
2段加熱とその間の放熱時間により、従来存在した温度ムラがほとんどなくなり、焼入れ硬さや焼もどし硬さなど、製品の品質が安定する。また、加熱時間も各段(第1段階の加熱も第2段階の加熱もそれぞれ)30〜60秒程度と短く、加熱休止も約5〜15秒程度と短く、炉加熱による焼もどしのような3〜4時間といった長時間の処理は不要となる。
【0018】
図9に示すように、熱処理部材1の特定部分1aの加熱中、熱処理部材1をクランプ装置12によって固定する。また、加熱中、熱処理部材1は搬送されず、静止している。クランプによって、誘導加熱コイル(単に、加熱コイルともいう)11と熱処理部材1との位置関係が固定され、特定部分1aの安定した加熱が行われる。
【0019】
誘導加熱においては、1つの加熱コイル11が1つの熱処理部材1を加熱してもよいし(図5)、加熱コイル11を長くしておいて1つの加熱コイル11が2つの熱処理部材1を加熱してもよい(図6)。
【0020】
1つの加熱コイル11が1つの熱処理部材1を加熱する場合、第1段階の加熱21と第2段階の加熱23を別々の加熱コイル11を用いて行ってもよい。その場合は、加熱コイル11は2セットとなる(図5)。
【0021】
第1段階の加熱21と第2段階の加熱23を別々の加熱コイル11を用いて行う場合、第1段階の加熱21で用いる加熱コイル11(図7)と第2段階の加熱23で用いる加熱コイル11(図8)の形状が異なってもよいし、あるいは、第1段階の加熱21で用いる加熱コイルと第2段階の加熱23で用いる加熱コイルの形状が同じであってもよい。また、この場合は、熱処理部材1の、第1段階の加熱21の加熱コイル11(図7)から第2段階の加熱22の加熱コイル11への搬送(移動)時間が加熱休止時間(放熱時間)22になる。
【0022】
1つの加熱コイル11が1つの熱処理部材1を加熱する場合、第1段階の加熱21と第2段階の加熱23を同一の(単一の)加熱コイル11を用いて行ってもよい。その場合は、加熱コイル11は1セットとなる。
加熱コイル11が1セットの場合、ハード面で、1段目加熱用タイマー、放冷用タイマー、2段目加熱用タイマー、および、1段目加熱出力、2段目加熱出力をそれぞれ設定し、ソフト面で、それぞれを規定時間ずつ順に動作させる。ただし、この方法は、均熱化が同一加熱コイルで得られる場合にのみ適用される。
【0023】
1つの加熱コイル11が2つの熱処理部材1を加熱する場合は(図6)、熱処理部材1を1つの加熱コイル11の上流部11aで加熱し、加熱休止22中に熱処理部材1を加熱コイル11の上流部11aから加熱コイル11の下流部11bに送り、熱処理部材1を加熱コイル11の下流部11bで加熱する。この場合は、当然のことながら、1段目の加熱出力と2段目の加熱出力は、同一である。また、1段目の加熱時間と2段目の加熱時間も同一である。さらに、ハード面、ソフト面で、加熱休止時間において、加熱電源が切れると同時にクランプ装置12が解除されて熱処理部材1がコイル11の上流部11aからコイル11の下流部11bへ移動し始め、熱処理部材1がコイル11の下流部11bの所定位置に到達すると同時にクランプ装置12が作動して熱処理部材1をコイル11の下流部11bの所定位置に固定するとともに、加熱電源が入って第2段階の加熱23が開始されるようにする。こうすることにより、熱処理部材1を加熱コイル11の下流部11bで加熱中につぎの熱処理部材1を加熱コイル11の上流部11aで加熱することができ、生産性を倍増することができる。すなわち、同じ時間で2倍の数の熱処理部材1を処理することができる。
【0024】
冷却工程30では、とりわけ部分熱処理が部分焼入れの場合(ただし、部分熱処理が部分焼もどしの場合に適用してもよい)、図10、図11に示すように、加熱工程20で特定部分1aのみが所定温度以上に誘導加熱された熱処理部材1の全体を、冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に浸漬して静止させたまま、噴射ジャケット7の噴射穴より流出する冷却液流8を特定部分1aに噴射し、冷却する。
【0025】
熱処理部材1が、冷却液槽5の上方位置にある該部材1を搬送するローラーコンベヤー9の一部のローラー10の上に搬送されて来た時に、一部のローラー10および噴射ジャケット7ごと熱処理部材1の全体を冷却液槽5内の冷却液6中に機械的に浸漬し、なおかつ、噴射ジャケット7より大量の冷却液を3方向(左右2方向および上方)から流出させて熱処理部材1の特定部分1aに噴射し、浸漬および液流により冷却する。冷却が完了すると、熱処理部材1を一部のローラー10および噴射ジャケット7ごと下降前の位置に上昇させ、ついで搬出する。冷却および搬入・搬出のすべての工程は、自動制御で行われる。
焼入れに用いる冷却液としては、水、水溶性焼入れ液、油等があり、いずれの冷却液を用いてもよい。コスト面および作業環境面からは、水を使用することが望ましい。
【0026】
浸漬および液流により冷却することで、十分な冷却速度を確保するとともに、均一な冷却を確保する。冷却速度を十分確保することで、必要な品質(焼入れ硬さ、焼もどし硬さなど)が得られ、かつ、冷却速度を均一とすることで、焼割れ防止をはかることができる。また、熱処理部材1を冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に静止させて冷却するので、熱処理部材1が冷却中に冷却液槽を移動する冷却方法に比べて、噴射ジャケット7と熱処理部材1の干渉がなくなり、噴射ジャケット7の噴射穴と熱処理部材1との間隔を短くとることができるようになるので、噴射液流の流れが弱まらず、十分な速度の液流を噴射することができ、高い冷却速度を確保することができるので、必要な品質が得られる。また、熱処理部材1を静止させて冷却するので、熱処理部材1が冷却中に冷却液槽を移動する冷却方法に比べて、冷却液槽5の、熱処理部材1の搬送方向の長さが短縮され、設備製作費、設備ランニングコストが低減する。
【0027】
本発明の第1段階の加熱21、加熱休止22、第2段階の加熱23の加熱工程20Pを有する本発明の部分熱処理は、部分焼入れに適用されてもよいし(図3)、または部分焼もどしに適用されてもよいし(図2)、または部分焼入れおよび部分焼もどしの両方に適用されてもよい(図4)。
【0028】
図2の本発明の部分熱処理方法(本発明の部分加熱20Pが焼もどしの部分加熱に適用された場合)は、部分焼入れ工程100と部分焼もどし工程200とを有する。
部分焼入れ工程100は、熱処理部材1の特定部分1aのみをAc変態点以上の温度に誘導加熱する工程20Cと、特定部分のみがAc変態点以上の温度に誘導加熱された熱処理部材1の全体を冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に浸漬して静止させたまま、噴射ジャケット7の噴射穴より流出する冷却液流8を特定部分1aに噴射する冷却工程30を有する。
部分焼もどし工程200は、熱処理部材1の特定部分1aのみを大気中で約200〜300℃の温度に誘導加熱する誘導加熱工程20Pと、冷却工程(強制冷却でも自然冷却であってもよい)30を含む。この部分焼もどし工程の誘導加熱工程20Pは、第1段階の加熱21と、第1段階の加熱21に続く加熱休止(放熱時間)22と、該加熱休止22に続く第2段階の加熱23とを有する。
【0029】
図3の本発明の部分熱処理方法(本発明の部分加熱20Pが焼入れの部分加熱に適用された場合)は、部分焼入れ工程100と部分焼もどし工程200とを有する。
部分焼入れ工程100は、熱処理部材1の特定部分1aのみをAc変態点以上の温度に誘導加熱する工程20Pと、特定部分のみがAc変態点以上の温度に誘導加熱された熱処理部材1の全体を冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に浸漬して静止させたまま、噴射ジャケット7の噴射穴より流出する冷却液流8を特定部分1aに噴射する冷却工程30を有する。この部分焼入れ工程の誘導加熱工程20Pは、第1段階の加熱21と、第1段階の加熱21に続く加熱休止(放熱時間)22と、該加熱休止22に続く第2段階の加熱23とを有する。
部分焼もどし工程200は、熱処理部材1の特定部分1aのみを大気中で約200〜300℃の温度に誘導加熱する誘導加熱工程20Cと、冷却工程(強制冷却でも自然冷却であってもよい)30を含む。
【0030】
図4の本発明の部分熱処理方法(本発明の部分加熱20Pが焼入れの部分加熱と焼もどしの部分加熱の両方に適用された場合)は、部分焼入れ工程100と部分焼もどし工程200とを有する。
部分焼入れ工程100は、熱処理部材1の特定部分1aのみをAc変態点以上の温度に誘導加熱する工程20Pと、特定部分のみがAc変態点以上の温度に誘導加熱された熱処理部材1の全体を冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に浸漬して静止させたまま、噴射ジャケット7の噴射穴より流出する冷却液流8を特定部分1aに噴射する冷却工程30を有する。この部分焼入れ工程の誘導加熱工程20Pは、第1段階の加熱21と、第1段階の加熱21に続く加熱休止(放熱時間)22と、該加熱休止22に続く第2段階の加熱23とを有する。
部分焼もどし工程200は、熱処理部材1の特定部分1aのみを大気中で約200〜300℃の温度に誘導加熱する誘導加熱工程20Pと、冷却工程(強制冷却でも自然冷却であってもよい)30を含む。この部分焼もどし工程の誘導加熱工程20Pは、第1段階の加熱21と、第1段階の加熱21に続く加熱休止(放熱時間)22と、該加熱休止22に続く第2段階の加熱23とを有する。
【0031】
つぎに、上記の部分熱処理方法を実施する、本発明の部分熱処理装置を、図5〜図14を参照して説明する。
本発明の部分熱処理装置は、熱処理部材1の特定部分1aのみを熱処理する部分熱処理装置であって、特定部分1aのみを誘導加熱する誘導加熱装置(誘導加熱コイル11を含む)と、特定部分1aが加熱された熱処理部材1を冷却する冷却装置5〜10とを含んでいる。誘導加熱装置は、第1段階の加熱21、加熱休止22、第2段階の加熱23を順に行う1つ以上の加熱コイル11を有している。
【0032】
第1段階の加熱21の加熱出力は第2段階の加熱23の加熱出力と同一もしくはそれ以上に設定可能である。
部分熱処理装置は、熱処理部材1の特定部分1aの加熱中、熱処理部材1を固定するクランプ装置12を備えている。
1つの加熱コイル11が1つの熱処理部材1を加熱してもよい(図5)。
1つの加熱コイル11が1つの熱処理部材1を加熱する場合は、第1段階の加熱21を行う加熱コイル11と第2段階の加熱23を行う加熱コイル11は別々の加熱コイルであってもよいし、同じ(単一の)加熱コイル11であってもよい。
第1段階の加熱21を行う加熱コイル11と第2段階の加熱23を行う加熱コイル11が別個の加熱コイルである場合は、第1段階の加熱21を行う加熱コイル11と第2段階の加熱23を行う加熱コイル11が互いに異なる形状を有していてもよいし、同一の形状を有していてもよい。
1つの加熱コイル11が熱処理部材1を2つ加熱するものであってもよい(図6)。
【0033】
冷却装置は、搬送される熱処理部材1を冷却液槽5内の冷却液6中の定位置に浸漬して静止させるローラーコンベヤー10を備えている。
冷却装置は、流出する冷却液流8を熱処理部材1の特定部分1aに噴射する噴射ジャケット7を備えている。
熱処理部材1は、たとえば、無限軌道帯用リンクである。熱処理部材1が無限軌道帯用リンクである場合、特定部分1aはリンクのローラー踏面部である。
部分熱処理は、部分焼入れであってもよいし、部分焼もどしであってもよいし、部分焼入れと部分焼もどしの両方であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の部分熱処理方法および請求項17の部分熱処理装置によれば、加熱工程において、誘導加熱が2段階の加熱で行われ、1段目の加熱と2段目の加熱との間に加熱休止時間を設けたので、熱処理部材の特定部分全体を均一な温度に加熱することができる。
請求項2の部分熱処理方法および請求項18の部分熱処理装置によれば、2段目の加熱は1段目の加熱と同一またはそれより低い出力での加熱のため、熱処理部材の特定部分全体を均一な温度に加熱することができる。
請求項3の部分熱処理方法および請求項19の部分熱処理装置によれば、加熱中、熱処理部材を固定するので、特定部分を所定深さで所定温度に加熱でき、熱処理部材の品質が向上する。
請求項4〜7の部分熱処理方法および請求項20〜23の部分熱処理装置によれば、生産性を高めることができる。
請求項8の部分熱処理方法および請求項24の部分熱処理装置によれば、加熱コイルの数量が削減され、その結果、加熱コイルの製作費用が削減される。
請求項9の部分熱処理方法および請求項25の部分熱処理装置によれば、生産性を倍増することができる。
請求項10の部分熱処理方法および請求項26の部分熱処理装置によれば、冷却工程で、熱処理部材の全体を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させるので、特定部分を狙って噴射でき、熱処理の品質の向上をはかることができる。また、ワーク搬送方向に熱処理装置がコンパクトになり、設備関連コストを低減することができる。
請求項11の部分熱処理方法および請求項27の部分熱処理装置によれば、とりわけ、焼入れ冷却工程で、噴射ジャケットより流出する冷却液流を特定部分に噴射するので、十分な冷却能力が確保されるとともに、冷却が均一になる。
請求項12、13の部分熱処理方法および請求項28、29の部分熱処理装置によれば、本発明を無限軌道帯用リンクのローラー踏面に適用することにより、機械的品質の向上をはかることができる。
請求項14〜16の部分熱処理方法および請求項30〜32の部分熱処理装置によれば、熱処理は、部分焼入れであってもよいし、部分焼もどしであってもよいし、部分焼入れと部分焼もどしの両方であってもよく、適用の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法の工程図である。
【図2】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法を、部分焼もどしに適用した場合の工程図である。
【図3】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法を、部分焼入れに適用した場合の工程図である。
【図4】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法を、部分焼入れと部分焼もどしの両方に適用した場合の工程図である。
【図5】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置において、1つの加熱コイルで1つの熱処理部材を加熱する場合の加熱コイルの配置図(側面図)である。
【図6】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置において、長めの1つの加熱コイルで2つの熱処理部材を加熱する場合の加熱コイルの配置図(側面図)である。
【図7】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置において、焼もどしに係る部分の、第1段階の加熱の加熱コイルの断面図である。
【図8】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置において、焼もどしに係る部分の、第2段階の加熱の加熱コイルの断面図である。
【図9】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置において、クランプ装置と加熱コイルの平面図(上から見た図)である。
【図10】本発明の熱処理部材の部分熱処理方法とその装置の、冷却(図は焼入れの冷却の場合を示す)に係る部分の断面図である。
【図11】図10の部分の横断面図である。
【図12】建設機械の無限軌道帯の一部の斜視図である。
【図13】図12のうちリンクの正面図である。
【図14】図12のうちリンクの側面図である。
【符号の説明】
1 熱処理部材(たとえば、建設機械の無限軌道帯用リンク)
1a 特定部分(たとえば、建設機械の無限軌道帯用リンクのローラー踏面部)
5 冷却液槽
6 冷却液
7 噴射ジャケット
8 冷却液流
9 ローラーコンベヤー
10 一部のローラー
11 加熱コイル
12 クランプ装置
20 誘導加熱工程
20P 第1段階の加熱、加熱休止、第2段階の加熱を有する本発明の誘導加熱工程
20C 一般の加熱工程
21 第1段階の加熱
22 加熱休止
23 第2段階の加熱
30 冷却工程
100 部分焼入れ工程
200 部分焼もどし工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理部材の特定部分のみを熱処理する部分熱処理方法であって、
前記熱処理は、前記特定部分のみを誘導加熱する誘導加熱工程と、ついで行われる冷却工程とを含んでおり、
前記誘導加熱工程が、第1段階の加熱と、該第1段階の加熱に続く加熱休止と、該加熱休止に続く第2段階の加熱を含んでいる、
熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項2】
前記第1段階の加熱の加熱出力は前記第2段階の加熱の加熱出力と等しいかそれよりも高く設定されている請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項3】
前記熱処理部材の特定部分の加熱中、前記熱処理部材を固定する請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項4】
1つの加熱コイルが1つの熱処理部材を加熱する請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項5】
前記第1段階の加熱と前記第2段階の加熱を別個の加熱コイルを用いて行う請求項4記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項6】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが互いに異なる形状を有している請求項5記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項7】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルは同一の形状を有している請求項5記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項8】
前記第1段階の加熱と前記第2段階の加熱を同じ加熱コイルを用いて行う請求項4記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項9】
1つの加熱コイルが熱処理部材を2つ加熱する請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項10】
前記冷却工程では、前記熱処理部材の全体を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させる請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項11】
前記冷却工程では、噴射ジャケットより流出する冷却液流を前記特定部分に噴射する請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項12】
前記熱処理部材が無限軌道帯用リンクである請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項13】
前記特定部分が前記リンクのローラー踏面部である請求項12記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項14】
前記熱処理が部分焼入れである請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項15】
前記熱処理が部分焼もどしである請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項16】
前記熱処理が部分焼入れと部分焼もどしである請求項1記載の熱処理部材の部分熱処理方法。
【請求項17】
熱処理部材の特定部分のみを熱処理する部分熱処理装置であって、
前記特定部分のみを誘導加熱する誘導加熱装置と、前記特定部分が加熱された熱処理部材を冷却する冷却装置とを含んでおり、
前記誘導加熱装置が、第1段階の加熱、加熱休止、第2段階の加熱を順に行う1つ以上の加熱コイルを有している、
熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項18】
前記第1段階の加熱の加熱出力を前記第2段階の加熱の加熱出力と等しいかそれ以上に設定可能である請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項19】
前記熱処理部材の特定部分の加熱中、前記熱処理部材を固定するクランプ装置を備えている請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項20】
1つの加熱コイルが1つの熱処理部材を加熱する請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項21】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが別個になっている請求項20記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項22】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが互いに異なる形状を有している請求項21記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項23】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが同一の形状を有している請求項21記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項24】
前記第1段階の加熱を行う加熱コイルと前記第2段階の加熱を行う加熱コイルが同一である請求項20記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項25】
1つの加熱コイルが熱処理部材を2つ加熱する請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項26】
前記冷却装置が、搬送される前記熱処理部材を冷却液槽内の冷却液中の定位置に浸漬して静止させるローラーコンベヤーを備えている請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項27】
前記冷却装置が、流出する冷却液流を前記特定部分に噴射する噴射ジャケットを備えている請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項28】
前記熱処理部材が無限軌道帯用リンクである請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項29】
前記特定部分が前記リンクのローラー踏面部である請求項28記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項30】
前記熱処理が部分焼入れである請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項31】
前記熱処理が部分焼もどしである請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。
【請求項32】
前記熱処理が部分焼入れと部分焼もどしである請求項17記載の熱処理部材の部分熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2004−218064(P2004−218064A)
【公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−154480(P2003−154480)
【出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】