説明

熱処理金型

【課題】容易にメンテナンスが可能な熱処理金型の提供を目的とする。
【解決手段】編紐が通過する編紐挿通路43が形成され、編紐挿通路43は、上流側に形成され、内径が前記編紐の直径以上に形成された予熱部43aと、下流側に形成され、内径が前記編紐の直径よりも小径に形成された縮径部43bと、予熱部43aと縮径部43bとを接続するように形成され、内径が上流側から下流側に向かって漸次縮径するテーパ部43cと、を有し、編紐挿通路43のうち、少なくとも予熱部43aよりも下流側が、カートリッジ部45に形成されており、カートリッジ部45が金型本体部41に対して着脱可能に形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に編紐の加熱処理を行う熱処理金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工業、医療、電子工業等の分野における有用成分の濃縮、回収、不要成分の除去、造水等には、セルロースアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、フッ素系樹脂等からなり、例えば湿式または乾湿式紡糸により製造された中空状の多孔質層を有する多孔質中空糸膜が、精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透濾過膜等に多用されている。
【0003】
図6は円筒状組紐14の説明図である。
機械特性に優れた多孔質中空糸膜としては、例えば図6に示すような、例えばポリエステル等からなる糸を丸組みした円筒状組紐14からなる組紐支持体15の外周面に、多孔質膜層を設けたものが知られている。この多孔質中空糸膜は、組紐支持体15を環状ノズルに連続的に通す際に、環状ノズルから製膜原液を吐出し、組紐支持体15の外周面に製膜原液を塗布した後、製膜原液が塗布された支持体を凝固浴槽内に通し、凝固浴層内の凝固液で製膜原液を凝固させることにより製造される。
【0004】
支持体としての円筒状組紐14は、通常、製紐機により製造される。製紐機においては、平板上に立設した多数のボビンから各糸を引き出し、各糸を相互に交差させて組むとともに、各ボビンを所定の経路に沿って移動させることにより糸の位置関係を所定のパターンで変化させて円筒状組紐14が製造される。
【0005】
ところで、円筒状組紐14は、通常、伸縮性を有しており、張力が付与されると伸びて、その外径が小さくなる。例えば、円筒状組紐14からなる組紐支持体15に製膜原液を塗布する際に、組紐支持体15にかかる張力が変動すると、組紐支持体15の外径が変化する。その結果、環状ノズルの管路の内周面と組紐支持体15との間隙が変化するため、環状ノズルの内径および製膜原液の吐出量が一定の場合、製膜原液を均一な厚さで塗布できない。また、凝固工程において、製膜原液が完全に凝固する前に組紐支持体15が伸びた場合、多孔質膜層にピンホール等の膜構造の欠陥が発生するおそれがある。
【0006】
図7は円筒状編紐12の説明図である。
このような問題を解決するために、特許文献1では、図7に示す円筒状編紐12を丸編により編成した後、熱処理金型に形成された挿通路に通して材料の溶融温度未満の温度で加熱処理を施すことにより、円筒状編紐12の伸縮性(外径変化)が抑えられた紐状物が得られる多孔質中空糸膜用の編紐支持体13の製造装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−52190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の多孔質中空糸膜用支持体の製造装置には、以下のような問題がある。
一般に、加熱処理に使用される熱処理金型の挿通路には、編紐を形成するポリエステル糸等の繊維に付着している油剤が、加熱処理により油剤劣化物となって固着する。しかし、特許文献1の熱処理金型の場合には、油剤劣化物を除去するために熱処理金型全体を取り外して挿通路を洗浄したり、熱処理金型を交換したりしてメンテナンスを行う必要がある。したがって、製造条件によっては、油剤劣化物が頻繁に付着することがあり、その場合、金型全体および加熱ヒータの着脱も頻繁に行うため再稼動に時間を要し生産効率が低下する。
【0009】
また、長時間メンテナンスを怠り熱処理金型内の編紐の通路に油剤劣化物が堆積すると、編紐の通路が細くなるため、熱処理後の多孔質中空糸膜用支持体の外径が小さく形成されることとなり、製造不良の原因となる。
さらに、所望の外径を有する多孔質中空糸膜用支持体を形成する場合には、所望の外径に対応した熱処理金型に交換する必要がある。しかし、熱処理金型を複数用意する必要があるため金型コストが高くなる。
【0010】
そこで、本発明は、容易にメンテナンスが可能な熱処理金型の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の熱処理金型は、編紐を通過させて加熱処理し、編紐支持体を形成するための熱処理金型であって、前記編紐の通過方向の下流側に配置される金型本体部と、前記通過方向の上流側に配置されるカートリッジ部とを備え、前記金型本体部と前記カートリッジ部とに連通され、前記編紐が通過する編紐挿通路が形成され、前記編紐挿通路は、前記上流側に形成され、内径が前記編紐の直径以上に形成された予熱部と、前記下流側に形成され、内径が前記編紐の直径よりも小径に形成された縮径部と、前記予熱部と前記縮径部とを接続するように形成され、内径が前記上流側から前記下流側に向かって漸次縮径するテーパ部と、を有し、前記編紐挿通路のうち、少なくとも前記予熱部よりも前記下流側が、前記カートリッジ部に形成されており、前記カートリッジ部が前記金型本体部に対して着脱可能に形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、編紐に付着している油剤が油剤劣化物となって固着しやすいテーパ部および縮径部をカートリッジ部に形成しているので、油剤劣化物が固着したテーパ部および縮径部だけを簡単に取り外すことができる。特に、カートリッジ部のみを取り外す構造としているので、熱処理金型を加熱する加熱ヒータを取り外す必要がない。したがって、カートリッジ部の交換や油剤劣化物の洗浄が簡単にできるので、熱処理金型のメンテナンスが容易にできる。これにより、編紐支持体の製造コストを低く抑えることができるとともに、編紐支持体の製造不良を抑制できる。
また、所望の直径に形成された縮径部を有するカートリッジ部に交換するだけで、所望の外径を有する編紐支持体を形成できる。したがって、外径の異なる編紐支持体を形成する場合であっても、熱処理金型のコストを抑制できる。
【0013】
また、前記カートリッジ部は、前記金型本体部の下流側端面に形成された凹部に挿入され、前記カートリッジ部と前記金型本体部とが、固定手段を介して着脱可能に取り付けられることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、カートリッジ部と金型本体部との相対移動を規制する固定手段を設けることで、編紐が編紐挿通路を通過する時にカートリッジ部と金型本体部とのずれを確実に抑制できる。したがって、編紐支持体の製造不良を確実に抑制できる。
【0015】
また、本発明の熱処理金型は、前記固定手段が、前記凹部に挿入された前記カートリッジ部の下流側端面および前記金型本体部の下流側端面に当接して前記金型本体部に固定され、前記カートリッジ部および前記金型本体部の相対移動を規制する規制部材であることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、カートリッジ部の下流側端面および金型本体部の下流側端面に当接する規制部材を設けることで、カートリッジ部が下流側に移動するのを確実に防止できる。
【0017】
また、前記規制部材は、断熱部材により形成されていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、断熱部材で規制部材を形成しているので、熱処理金型の外部への放熱を抑制できる。したがって、熱処理金型の加熱を効率よく行うことができるので、熱処理金型を加熱する加熱ヒータの小型化ができる。これにより、設備コストを抑制できるので、編紐支持体の製造コストを低く抑えることができる。
【0019】
また、本発明の熱処理金型は、前記カートリッジ部の外周面には、雄ネジ部が形成され、前記凹部には、前記雄ネジ部に対応した雌ネジ部が形成され、前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とが螺合されることにより、前記カートリッジ部が前記金型本体部に装着され、前記固定手段は、前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とであってもよい。
【0020】
本発明によれば、カートリッジ部の雄ネジ部と凹部の雌ネジ部とを螺合することで固定しているので、確実にカートリッジ部を固定できるとともに簡単にカートリッジ部の着脱ができる。また、この固定手段は、カートリッジ部と金型本体部とにネジ加工を施すだけで形成でき、他部品を必要としないので低コストである。
【0021】
また、本発明の熱処理金型は、前記金型本体部には、前記通過方向と交差する方向に沿って形成され前記金型本体部の外面と前記凹部とを連通する固定ネジ孔部が形成され、前記固定手段は、前記カートリッジ部を前記凹部に挿入した後、前記固定ネジ孔部に螺合されて先端部が前記カートリッジ部の周面に当接する固定ネジであってもよい。
【0022】
本発明によれば、固定ネジを締めることでカートリッジ部を固定でき、固定ネジを緩めることでカートリッジ部を金型本体部から離脱可能とすることができるので、簡単にカートリッジ部を着脱できる。また、この固定手段は、金型本体部にネジ加工を施すだけでよいので、加工費が低コストである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、編紐に付着している油剤が油剤劣化物となって固着しやすいテーパ部および縮径部をカートリッジ部に形成しているので、油剤劣化物が固着したテーパ部および縮径部だけを簡単に取り外すことができる。特に、カートリッジ部のみを取り外す構造としているので、熱処理金型を加熱する加熱ヒータを取り外す必要がない。したがって、カートリッジ部の交換や油剤劣化物の洗浄が簡単にできるので、熱処理金型のメンテナンスが容易にできる。これにより、編紐支持体の製造コストを低く抑えることができるとともに、編紐支持体の製造不良を抑制できる。
また、所望の直径に形成された縮径部を有するカートリッジ部に交換するだけで、所望の外径を有する編紐支持体を形成できる。したがって、外径の異なる編紐支持体を形成する場合であっても、熱処理金型のコストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】編紐支持体の製造装置の概要図である。
【図2】熱処理金型の中心軸を含む側面断面図である。
【図3】カートリッジ部を金型本体部から取り外したときの説明図である。
【図4】実施形態の第1変形例の固定手段の説明図である。
【図5】実施形態の第2変形例の固定手段の説明図である。
【図6】組紐支持体の側面図である。
【図7】編紐支持体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本実施形態の熱処理金型について、図面を参照しながら説明する。
以下では、編紐支持体について図7を用いて説明した後、本実施形態の編紐支持体の製造装置および熱処理金型について説明をする。
(編紐支持体)
図6は、組紐支持体15の側面図である。
図7は、編紐支持体13の側面図である。
編紐支持体13は、糸を丸編みした円筒状編紐12に、後述する熱処理金型により熱処理が施されたものである。
【0026】
丸編みとは、丸編機を用いて筒状のよこメリヤス生地を編成することであり、円筒状編紐12は、糸を湾曲させて螺旋状に伸びる連続したループを形成し、これらループを前後左右に互いに関係させたものである。円筒状編紐12は、図6に示すような、従来の円筒状組紐14とは異なるものである。
糸の形態としては、マルチフィラメント、モノフィラメント、紡績糸等が挙げられる。 糸の材料としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維が挙げられる。糸は、複数種類の繊維を組み合わせたものであってもよい。
【0027】
合成繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステル系繊維;ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニリデン系繊維;ポリ塩化ビニル系繊維:ポリウレタン系繊維;フェノール樹脂系繊維;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂系繊維;ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維等が挙げられる。
【0028】
半合成繊維の例としては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース誘導体系繊維;プロミックスと呼称される蛋白質系繊維等が挙げられる。
再生繊維の例としては、ビスコース法、銅‐アンモニア法、有機溶剤法により得られるセルロース系再生繊維(レイヨン、キュプラ、ポリノジック等。)が挙げられる。天然繊維の例としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
【0029】
糸の材料としては、耐薬品性に優れる点から、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維が好ましく、ポリエステル系繊維またはアクリル系繊維が特に好ましい。
本実施形態では、後述の(b)工程の熱処理による効果が発揮されやすい点から、ポリエステル糸が使用される。
【0030】
編紐支持体13の外径は、中空状多孔質膜の外径によって決まる。中空状多孔質膜の外径は、中空状多孔質膜を束ねた膜モジュールにおける必要濾過面積から、1.5〜6.0mmが好ましく、2.0〜3.5mmがより好ましい。従って、編紐支持体13の外径は、1.0〜5.0mmが好ましく、1.8〜3.0mmがより好ましい。
【0031】
糸の繊度は、中空状多孔質膜の耐久性および、多孔質膜層との接着性を向上させる点から、200〜1000dtexが好ましい。糸の繊度が200dtex以上であれば、中空状多孔質膜のつぶれ圧が向上する。糸の繊度が1000dtex以下であれば、内径縮小化による通水性の低下が抑えられる。
【0032】
円筒状編紐12の編目の数は、1周あたり5以上が好ましい。編目の数は、後述の丸編機のメリヤス針(編針)の数と同じである。編目の数が5以上であれば、円筒状編紐12の中空部の断面形状が円形となり、内径縮小化による通水性の低下が抑えられる。
編目の数の上限は、円筒状編紐12の外径、糸の繊度、編目の大きさに等により決まる。編目が大きい場合、製膜原液を編紐支持体13に塗布する際に、製膜原液が編紐支持体13の内部に流入して中空部が閉塞するおそれがある。従って、同じ外径の円筒状編紐12を製造する場合、糸の繊度が高いと編目の数は少なく、繊度が低いと編目の数は多く設定する必要がある。編目の数の上限は、円筒状編紐12の外径が5.0mm、糸の繊度が200dtexのとき最大となり、その数は28である。
【0033】
円筒状編紐12は、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理された編紐であることが好ましい。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。糸の材料の溶融温度は、JIS−L−1013の方法で測定する。
【0034】
円筒状編紐12が、(Tm−80)以上で熱処理されていることによって、円筒状編紐12が熱収縮を起こして伸縮性が抑制されるとともに、編目が緻密になり、円筒状編紐12がつぶれにくくなる。円筒状編紐12が、Tm未満で熱処理されていることにより、編目がつぶれることが抑えられる。
【0035】
(支持体製造装置)
図1は、編紐支持体13の製造に用いられる支持体製造装置20の説明図である。
支持体製造装置20は、複数のボビン22と、ボビン22から引き出されたポリエステル糸16を丸編する丸編機24と、丸編機24によって編成された円筒状編紐12を一定の張力で引っ張る張力調整装置26と、円筒状編紐12を熱処理する熱処理金型40と、熱処理された円筒状編紐12を引き取る引取装置30と、円筒状編紐12を編紐支持体13として収納する収納装置32とを具備する。
【0036】
丸編機24は、回転可能な円筒状のシリンダと、該シリンダの内側に配置された回転しないスピンドルと、該スピンドルの外円周上に配置された複数のメリヤス針とを有して構成される。円筒状編紐12の外径、内径、編目の数および大きさは、メリヤス針の数、メリヤス針を配置するスピンドルの円周直径、糸の繊度等により決まる。スピンドルの円周直径は、3〜12mmが好ましく、4〜8mmがより好ましい。メリヤス針の数は6〜14本が好ましく、8〜12本がより好ましい。
丸編機24は、不図示の駆動モータによって、フィードバック制御により駆動される。丸編機24の最大回転数は、4000rpmとなっている。なお、駆動モータとしては、高回転および、後述するフィードバック制御に対応するため、ブラシレスDCモータや、ACサーボモータを使用することが好ましい。
【0037】
本実施形態の張力調整装置26は、回転軸26aに直交した天秤状のシャフト26bの一端に設けられたフリーガイドロール26cと、他端に設けられたバランス調整用の錘26dを備えており、図1に示す如く、フリーガイドロール26cは上下動可能となっている。錘26dの重量および固定位置は任意に変更することができ、それにより、フリーガイドロール26cの重量、すなわち、円筒状編紐12に加える荷重(張力)を変更することができる。円筒状編紐12の片方、すなわち丸編機24とフリーガイドロール26cとの間の円筒状編紐12に加わる張力は、フリーガイドロール26cの重量のおよそ1/2である。
【0038】
回転軸26aには、不図示の位置検出器が取り付けられており、フリーガイドロール26cの位置が、予め設定された初期位置に対して上方または下方に変化したときの変化量を検出するように構成されている。
またフリーガイドロール26cの位置の変化量が、予め設定された量より大きいことを検知した場合は、該検出結果に基づいて、シリンダの回転数を増大または低減させて丸編機24の製紐速度を制御するフィードバック制御手段(不図示)が設けられている。
具体的には、フリーガイドロール26cの位置が上方に移動した場合は、丸編機24のシリンダ回転数が増大されて製紐速度が速くなり、フリーガイドロール26cの位置が下方に移動した場合は、丸編機24のシリンダ回転数が低減されて製紐速度が遅くなるように管理、制御されている。これにより丸編機24の製紐速度(排出速度)と熱処理金型40への導入速度との差が常に小さく抑えられる。
【0039】
(実施形態の熱処理金型)
図2は、中心軸Oを含む熱処理金型40の側面断面図である。
熱処理金型40は、金型本体部41と、金型本体部41の内方に配置されるカートリッジ部45と、カートリッジ部45の移動を規制する固定手段50と、金型本体部41の外方に配置される加熱ヒータ49等の加熱手段と、により構成されている。
熱処理金型40は略円筒形状に形成されており、熱処理金型40の略中央には、熱処理金型40の長手方向に沿って上流側と下流側とを貫通する編紐挿通路43が形成されている。熱処理金型40の長さ(すなわち編紐挿通路43の長さ)Lは、引取速度(熱処理金型40の通過時間)によっても変わるが、110mm〜520mm程度が望ましい。
【0040】
金型本体部41は、略円筒形状に形成されたSUS等の金属からなる部材である。金型本体部41の下流側(図2における上側)端面41aには、下流側に開口を有し、上流側に底面42aを有する凹部42が形成されている。凹部42は、下流側からみて金型本体部41の中心軸Oと同軸の略円形状に形成されている。凹部42の深さは、後述する編紐挿通路43に形成される縮径部43bの長さL1およびテーパ部43cの長さL2に対応して形成されており、具体的にはL1+L2以上の深さに形成される。
【0041】
図2に示すように、カートリッジ部45は、長さおよび外径が凹部42に対応した長さおよび直径を有する、略円筒形状に形成されたSUS等の金属からなる部材である。カートリッジ部45は、支持体製造装置20が稼動しているときには、凹部42内に挿入されて配置されている。このとき、カートリッジ部45の上流側端面45bは、凹部42の底面42aに当接されて配置される。また、カートリッジ部45の下流側端面45aは、金型本体部41の下流側端面41aと略面一となるように配置される。そして、カートリッジ部45は金型本体部41に対して着脱可能に形成されている。
【0042】
このように形成された金型本体部41およびカートリッジ部45の略中央には、編紐挿通路43が形成されており、編紐挿通路43は、予熱部43a、縮径部43b、および予熱部43aと縮径部43bとを接続するテーパ部43cを有している。
予熱部43aは、編紐挿通路43の上流側に形成されており、具体的には、金型本体部41の上流側端面41bと、金型本体部41に形成された凹部42の底面42aとを貫通するように形成され、さらにカートリッジ部45の上流側端面45bから若干下流側の領域にわたって形成されている。予熱部43aの長さL3は、100mm〜400mmが望ましい。また、予熱部43aの直径d1は、円筒状編紐12の外径以上に形成されており、3mm〜10mmが望ましい。
【0043】
縮径部43bは、編紐挿通路43よりも下流側に形成されており、具体的には、カートリッジ部45の下流側端面45aから長さL1の領域に形成されている。縮径部43bの長さL1は、1mm〜100mmが望ましい。また、縮径部43bの直径d2は、円筒状編紐12の直径よりも小径に形成されており、1.0mm〜5.0mmが望ましい。
テーパ部43cは、予熱部43aと縮径部43bとを接続するように、予熱部43aよりも下流側に形成され、内径が上流側から下流側に向かって漸次縮径するように形成されている。
【0044】
そして、編紐挿通路43の予熱部43a、縮径部43b、およびテーパ部43cのうち、少なくとも予熱部43aよりも下流側の縮径部43bおよびテーパ部43cは、カートリッジ部45に形成されている。本実施形態では、編紐挿通路43には、予熱部43aよりも下流側のテーパ部43cおよび縮径部43bに加えて、予熱部43aの下流側の一部が形成されている。
【0045】
また、カートリッジ部45は、凹部42内に配置されたとき、固定手段50によって金型本体部41との相対移動が規制されている。
本実施形態の固定手段50は、平板状の規制部材51と、規制部材51を金型本体部41に固定するボルト52とにより構成されている。
【0046】
規制部材51は、例えばケイ酸カルシウム等の断熱性に優れた材料や、ガラス繊維をエポキシ樹脂などで成形した耐熱性と機械強度に優れた材料により形成された平面視略円形状の部材であり、略面一に配置されたカートリッジ部45の下流側端面45a、および金型本体部41の下流側端面41aに当接して配置される。
規制部材51の直径は、金型本体部41の直径と略同一か、若干大径に形成されている。規制部材51には、熱処理金型40の中心軸Oと同軸の中心軸を有し、規制部材51の下流側端面51aと上流側端面51bとを貫通する貫通孔51cが形成されている。
貫通孔51cの直径は、縮径部43bの直径よりも若干大径に形成されている。これにより、縮径部43bから導出された編紐支持体13は、規制部材51に干渉することがない。
【0047】
規制部材51にはボルト52が挿通されるボルト孔が形成されており、ボルト52を規制部材51に挿通後、金型本体部41の下流側端面41aに螺合することで、規制部材51が金型本体部41に固定される。このとき、規制部材51の上流側端面51bは、カートリッジ部45の下流側端面45aに当接され、カートリッジ部45の中心軸Oに沿った移動が規制される。
【0048】
図3は、カートリッジ部45を金型本体部41から取り外したときの説明図である。
図3に示すように、規制部材51を固定しているボルト52を緩めることで、カートリッジ部45の固定が解除される。そして、中心軸Oに沿ってカートリッジ部45を下流側に移動させることにより、カートリッジ部45を金型本体部41から離脱させることができる。このように、カートリッジ部45は、金型本体部41に対して着脱可能に形成されているので、カートリッジ部45の交換や、カートリッジ部45の編紐挿通路43に固着した油剤劣化物の洗浄が簡単にできる。したがって、熱処理金型40のメンテナンスが容易にできる。
【0049】
金型本体部41の外方には、加熱手段が設けられている。加熱手段としては、バンドヒータ、アルミ鋳込みヒータ等の加熱ヒータ49が挙げられる。加熱温度は処理する糸によって変わるが、およそ150℃〜260℃の範囲である。
ここで、図3に示すように、カートリッジ部45は、加熱ヒータ49を取り外すことなく金型本体部41から離脱させることができる。したがって、カートリッジ部45の交換や油剤劣化物の洗浄が簡単にでき、熱処理金型40のメンテナンスが容易にできる。
【0050】
図1に示すように、熱処理金型40から導出された編紐支持体13は、引取装置30により巻き上げられる。
引取装置30としては、ネルソンロール、ニップロール、カレンダーロール等が挙げられる。ニップロールは編紐支持体13をつぶす恐れがある。つぶれると中空部が閉塞し、中空状膜多孔質膜用の支持体としての用を成さない。従って、引取装置30にはネルソンロールまたはカレンダーロールが好ましい。これらのロールを用いて編紐支持体13を引取るには、ロールと編紐支持体13との接触面積をある程度大きくする必要がある。カレンダーロールの場合、編紐支持体13との接触面積を確保するためにロール本数を多くする必要がある。ネルソンロールは、2本のロールに編紐支持体13を複数回巻き付けることで接触面積を確保できる点でより好ましい。本実施形態では、ネルソンロールを用いている。
【0051】
引取装置30により巻き上げられた編紐支持体13は、送りロール31を介して収納装置32に搭載される収納容器32aに収納される。送りロール31は、例えばVプーリー型駆動ロールである。
収納装置32内の収納容器32aは、ターンテーブル32b上で回転可能となっており、ターンテーブル32bが回転することで収納容器32aが回転し、円筒状編紐12が収納されるようになっている。
【0052】
(工程)
次に、本装置による編紐支持体13の製造工程を説明する。
編紐支持体13は、下記(a)工程、および下記(b)工程により製造される。
(a)ポリエステル糸16を丸編みして円筒状編紐12を編成する工程。
(b)円筒状編紐12を、熱処理金型40を通過させて加熱処理する工程。
【0053】
(a)工程
円筒状編紐12は、丸編機24を用いて編成される。
丸編機24の製紐速度は円筒状編紐12の形状により若干変わるが、シリンダの回転数を変化させることによって制御できる。本発明における丸編機24の製紐速度とは、丸編機24から排出される円筒状編紐12の排出速度を意味する。
シリンダの回転数は引取装置30の引取り速度に応じて設定される。引取り速度が6〜200m/hrの範囲の場合、シリンダ回転数はおよそ100〜4000rpmであることが好ましい。
【0054】
(b)工程
円筒状編紐12は、その構造上、伸縮性を有しているが、加熱処理を施すことによって、円筒状編紐12の伸縮性(外径変化)を抑制することができる。
円筒状編紐12は、予熱部43aにより予熱された後、熱処理金型40の縮径部43bを通過することで、材料として用いたポリエステル糸16の溶融温度未満の温度で加熱処理される。具体的には、(1)式で表される温度で加熱処理を行う。なお、ポリエステル糸16の溶融温度未満の温度で加熱処理を行うのは、編紐支持体13の表面が溶融すると、編目が閉塞し、処理水が通過できなくなり、濾過膜としての性能を発揮できなくなるためである。
加熱処理より円筒状編紐12は熱収縮を起こし、伸縮性が抑制されるとともに、編目が緻密になる。さらに、図2に示すように、縮径部43bにおいて円筒状編紐12の外径が縮径部43bの直径d2に規制され、円筒状編紐12は所望の直径d2を有する編紐支持体13に成型される。
【0055】
(作用効果)
一般に、編紐挿通路43のうち漸次縮径するテーパ部43cおよび円筒状編紐12の直径よりも小径に形成された縮径部43bには、円筒状編紐12に付着している油剤が油剤劣化物となって固着しやすい。しかし、本実施形態によれば、少なくとも予熱部43aよりも下流側のテーパ部43cおよび縮径部43bをカートリッジ部45に形成し、金型本体部41に対して着脱可能としている。ここで、本実施形態では、円筒状編紐12に付着している油剤が油剤劣化物となって固着しやすいテーパ部43cおよび縮径部43bをカートリッジ部45に形成しているので、油剤劣化物が固着したテーパ部43cおよび縮径部43bだけを簡単に取り外すことができる。特に、カートリッジ部45のみを取り外す構造としているので、熱処理金型40を加熱する加熱ヒータ49を取り外す必要がない。したがって、カートリッジ部45の交換や油剤劣化物の洗浄が簡単にできるので、熱処理金型40のメンテナンスが容易にできる。これにより、編紐支持体13の製造コストを低く抑えることができるとともに、編紐支持体13の製造不良を抑制できる。
また、所望の直径に形成された縮径部43bを有するカートリッジ部45に交換するだけで、所望の外径を有する編紐支持体13を形成できる。したがって、外径の異なる編紐支持体13を形成する場合であっても、熱処理金型40のコストを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、カートリッジ部45と金型本体部41との相対移動を規制する固定手段50を設けることで、円筒状編紐12が編紐挿通路43を通過する時にカートリッジ部45と金型本体部41とのずれを確実に抑制できる。したがって、編紐支持体13の製造不良を確実に抑制できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、カートリッジ部45の下流側端面45aおよび金型本体部41の下流側端面41aに当接する規制部材51を設けることで、カートリッジ部45が下流側に移動するのを確実に防止できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、断熱部材により規制部材51を形成しているので、熱処理金型40の外部への放熱を抑制できる。したがって、熱処理金型40の加熱を効率よく行うことができるので、熱処理金型40を加熱する加熱ヒータ49の小型化ができる。これにより、設備コストを抑制できるので、編紐支持体13の製造コストを低く抑えることができる。
【0059】
(実施形態の第1変形例、他の固定手段)
続いて、実施形態の第1変形例の固定手段50について説明する。
図4は、実施形態の第1変形例の固定手段50の説明図である。
上述した実施形態の固定手段50は、図2に示すように、金型本体部41に平板状の規制部材51をボルト52で固定し、規制部材51がカートリッジ部45の下流側端面45a、および金型本体部41の下流側端面41aに当接して配置されることで、カートリッジ部45と金型本体部41とを固定していた。
これに対して、本実施形態の第1変形例の固定手段50は、図4に示すように、カートリッジ部45に形成された雄ネジ部45cと、金型本体部41に形成された雌ネジ部41cとにより構成されている点で、実施形態とは異なっている。以下に、実施形態の第1変形例の固定手段50について説明する。なお、実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、カートリッジ部45の下流側における外周面には、雄ネジ部45cが形成されている。また、金型本体部41の凹部42には、カートリッジ部45に形成された雄ネジ部45cと対応した位置に、雌ネジ部41cが形成されている。
金型本体部41の凹部42にカートリッジ部45を挿入した後、カートリッジ部45を回転させ、カートリッジ部45の雄ネジ部45cと金型本体部41の雌ネジ部41cとを螺合することで、カートリッジ部45が金型本体部41に固定される。
また、カートリッジ部45を回転させ、カートリッジ部45の雄ネジ部45cと金型本体部41の雌ネジ部41cとを螺合状態から緩めることで、カートリッジ部45の金型本体部41への固定を解除できる。
このように、カートリッジ部45の雄ネジ部45cおよび金型本体部41の雌ネジ部41cを固定手段50とすることにより、カートリッジ部45は、金型本体部41に着脱可能となっている。
【0061】
(第1変形例の効果)
実施形態の第1変形例によれば、カートリッジ部45の雄ネジ部45cと金型本体部41に形成された凹部42の雌ネジ部41cとを螺合することで固定しているので、確実にカートリッジ部45を固定できるとともに、簡単にカートリッジ部45の着脱ができる。また、この固定手段50は、カートリッジ部45と金型本体部41とにネジ加工を施すだけで形成でき、他部品を必要としないので低コストである。
【0062】
(実施形態の第2変形例、他の固定手段)
続いて、実施形態の第2変形例の固定手段50について説明する。
図5は、実施形態の第2変形例の固定手段50の説明図である。
上述した実施形態の固定手段50は、図2に示すように、金型本体部41に平板状の規制部材51をボルト52で固定し、規制部材51がカートリッジ部45の下流側端面45a、および金型本体部41の下流側端面41aに当接して配置されることで、カートリッジ部45と金型本体部41とを固定していた。
これに対して、第2変形例の固定手段50は、図5に示すように、金型本体部41に形成された固定ネジ孔部41dに挿通された固定ネジ53である点で、実施形態とは異なっている。以下に、実施形態の第2変形例の固定手段50について説明する。なお、実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、金型本体部41には、中心軸Oと直交する方向に、金型本体部41の外周面と凹部42内とを連通する固定ネジ孔部41dが形成されている。固定ネジ孔部41dには、固定ネジ53が螺合されており、凹部42に挿入されたカートリッジ部45の外周面45dに固定ネジ53の先端が当接することで、金型本体部41にカートリッジ部45が固定される。
また、固定ネジ53を螺合状態から緩めることで、固定ネジ53の先端がカートリッジ部45の外周面45dから離脱し、カートリッジ部45の金型本体部41への固定を解除できる。
このように、金型本体部41の外周面から挿入されて螺合される固定ネジ53を固定手段50とすることにより、カートリッジ部45は、金型本体部41に着脱可能となっている。
【0064】
(第2変形例の効果)
実施形態の第2変形例によれば、固定ネジ53を締めることでカートリッジ部45を固定でき、固定ネジ53を緩めることでカートリッジ部45を金型本体部41から離脱可能とすることができるので、簡単にカートリッジ部45を着脱できる。また、この固定手段50は、金型本体部41にネジ加工を施すだけでよいので、加工費が低コストである。
【0065】
(他の実施形態)
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0066】
本実施形態、第1変形例および第2変形例の固定手段50は一例であり、カートリッジ部45が金型本体部41に対して着脱可能となっていれば、固定手段50は、本実施形態、第1変形例および第2変形例の固定手段50に限られない。
【0067】
本実施形態および第2変形例のカートリッジ部45は、略円筒形状に形成されていたが、略円筒形状に限られることは無く、例えば多角筒形状であってもよい。なお、カートリッジ部45を多角筒形状とした場合には、第1変形例のように、カートリッジ部45を金型本体部41に螺合する固定手段50は適用できない。
【0068】
本実施形態、第1変形例および第2変形例では、金型本体部41からカートリッジ部45の上流側にわたって予熱部43aを形成し、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分がカートリッジ部45に形成していた。しかし、たとえば、金型本体部41に予熱部43aを形成し、カートリッジ部45にテーパ部43cおよび縮径部43bを形成して、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分を、金型本体部41とカートリッジ部45との境界部分に形成してもよい。
ただし、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分を、金型本体部41とカートリッジ部45との境界部分に形成すると、ポリエステル糸の繊維に付着している油剤が金型本体部41とカートリッジ部45との境界部分から漏れるおそれがある。しかし、本実施形態、第1変形例および第2変形例のように、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分をカートリッジ部45に形成することで、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分からの油分の漏れを確実に防止できる。
したがって、カートリッジ部45の上流側にわたって予熱部43aを形成し、予熱部43aとテーパ部43cとの境界部分をカートリッジ部45に形成した本実施形態、第1変形例および第2変形例に優位性がある。
【符号の説明】
【0069】
12 円筒状編紐(編紐)
13 編紐支持体
40 熱処理金型
41 金型本体部
41a 金型本体部の下流側端面
41c 雌ネジ部
41d 固定ネジ孔部
42 凹部
43 編紐挿通路
43a 予熱部
43b 縮径部
43c テーパ部
45 カートリッジ部
45a カートリッジ部の下流側端面
45c 雄ネジ部
45d 外周面(周面)
50 固定手段
51 規制部材
53 固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編紐を通過させて加熱処理し、編紐支持体を形成するための熱処理金型であって、
前記編紐の通過方向の上流側に配置される金型本体部と、前記通過方向の下流側に配置されるカートリッジ部とを備え、
前記金型本体部と前記カートリッジ部とに連通され、前記編紐が通過する編紐挿通路が形成され、
前記編紐挿通路は、
前記上流側に形成され、内径が前記編紐の直径以上に形成された予熱部と、
前記下流側に形成され、内径が前記編紐の直径よりも小径に形成された縮径部と、
前記予熱部と前記縮径部とを接続するように形成され、内径が前記上流側から前記下流側に向かって漸次縮径するテーパ部と、
を有し、
前記編紐挿通路のうち、少なくとも前記予熱部よりも前記下流側が、前記カートリッジ部に形成されており、
前記カートリッジ部が前記金型本体部に対して着脱可能に形成されていることを特徴とする熱処理金型。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理金型であって、
前記カートリッジ部は、前記金型本体部の下流側端面に形成された凹部に挿入され、
前記カートリッジ部と前記金型本体部とが、固定手段を介して着脱可能に取り付けられることを特徴とする熱処理金型。
【請求項3】
請求項2に記載の熱処理金型であって、
前記固定手段は、前記カートリッジ部を前記凹部に挿入した後、前記カートリッジ部の下流側端面および前記金型本体部の下流側端面に当接して前記金型本体部に固定され、前記カートリッジ部および前記金型本体部の相対移動を規制する規制部材であることを特徴とする熱処理金型。
【請求項4】
請求項3に記載の熱処理金型であって、
前記規制部材は、断熱部材により形成されていることを特徴とする熱処理金型。
【請求項5】
請求項2に記載の熱処理金型であって、
前記カートリッジ部の外周面には、雄ネジ部が形成され、
前記凹部には、前記雄ネジ部に対応した雌ネジ部が形成され、
前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とが螺合されることにより、前記カートリッジ部が前記金型本体部に装着され、
前記固定手段は、前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とであることを特徴とする熱処理金型。
【請求項6】
請求項2に記載の熱処理金型であって、
前記金型本体部には、前記通過方向と交差する方向に沿って形成され前記金型本体部の外面と前記凹部とを連通する固定ネジ孔部が形成され、
前記固定手段は、前記カートリッジ部を前記凹部に挿入した後、前記固定ネジ孔部に螺合されて先端部が前記カートリッジ部の周面に当接する固定ネジであることを特徴とする熱処理金型。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−229505(P2012−229505A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98203(P2011−98203)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】