説明

熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法

熱処理食品中のアクリルアミドの量を減少させる方法のためのプロセスおよび装置に関する。本発明により、アクリルアミドのレベルが有意に減少された食品の製造が可能となる。本発明の方法は、食料品の製造に用いられる種々の単位操作、特に、洗浄工程および調理工程の単位操作を調整することによる。例えば、洗浄単位操作では、時間を増大および温度を上昇させた接触工程や、接触工程に用いる水溶液へ塩化カルシウムおよびL−システインなどの添加成分を与えるように修正することが可能である。調理単位操作では、アクリルアミド形成に最も有利な高温/低湿条件を避けるため、少なくとも、高温の第1の加熱工程と低温の第2の加熱工程とに分けることによって、修正することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理食品中のアクリルアミドの量を減少させる方法に関する。本発明によって、アクリルアミドのレベルが有意に減少された食品の製造が可能となる。本発明の方法は、製品品質を保持すると同時に、完成した製品で検出されるアクリルアミドの量を調整するように、種々の単位操作のパラメータを変更することによる。
【背景技術】
【0002】
化学物質であるアクリルアミドは、水処理、増進回収法、製紙、凝集剤、増粘剤、鉱石処理、およびパーマネント・プレス布地などの産業用途において、長い間、重合体の形態で用いられてきた。アクリルアミドは白色結晶性固体として沈殿し、無臭で、水に非常によく溶ける(30℃で、2155g/L)。アクリルアミドの別称には、2−プロペンアミド、エチレンカルボキサミド、アクリル酸アミド、ビニルアミド、およびプロペン酸アミドが含まれる。アクリルアミドの分子量は71.08、融点は84.5℃、33mbar(25mmHg)での沸点は125℃である。
【0003】
ごく最近、広範な種々の食品においてアクリルアミド単量体の存在が試験された結果、陽性であると判定された。特に、主として高温で加熱または処理された炭水化物食料品で、アクリルアミドが検出された。試験でアクリルアミド陽性であると判定された食品の例には、コーヒー、シリアル、クッキー、ポテトチップ、クラッカー、フレンチフライ・ポテト、パン類、およびパン粉を塗して揚げた食肉(fried breaded meats)が含まれる。一般に、非加熱の食品および茹でた食品ではアクリルアミドの含量は検出不可能なレベルであったのと比較して、タンパク質が豊富な加熱した食品では比較的低い含量のアクリルアミドが検出され、炭水化物が豊富な食品では比較的高い含量のアクリルアミドが検出された。種々の類似の加工食品で検出されたアクリルアミドのレベルは、ポテトチップでは330〜2,300(μg/kg)の範囲、フレンチフライでは300〜1,100(μg/kg)の範囲、コーンチップでは120〜180(μg/kg)の範囲、および種々の朝食用シリアルでは未検出〜1,400(μg/kg)の範囲と報告されている。
【0004】
現在のところ、アミノ酸および還元糖の存在によってアクリルアミドが形成されると考えられている。例えば、揚げた食料品で検出されるアクリルアミドの大部分は、未加工の野菜類で一般に検出されるアミノ酸である遊離のアスパラギンと、遊離の還元糖との間の反応によると考えられている。検出される遊離アミノ酸全体に対してアスパラギンは、未加工のポテトでは約40%、高タンパク質のライ麦では約18%、および小麦では約14%を占める。
【0005】
アクリルアミドはアスパラギン以外のアミノ酸からも形成され得るが、確実性を有する確認は未だ成されていない。例えば、グルタミン、メチオニン、システイン、およびアスパラギン酸を前駆体とした試験によるアクリルアミド形成が報告されている。しかしながら、原料のアミノ酸中にはアスパラギン不純物が存在し得るため、それらの発見を確認することは困難である。それにもかかわらず、アスパラギンは、アクリルアミドの形成の最大の原因であるアミノ酸前駆体として認識されている。
【0006】
食品中のアクリルアミドは最近発見された現象であるため、形成の正確な機構は確認されていない。しかしながら、最も有り得るアクリルアミド形成の経路には、メイラード反応(Maillard reaction)が含まれると考えられる。メイラード反応は、食品加工における最も重要な化学反応のうちの1つとして、食品化学分野では長い間認
識されており、食品の風味、色調、および栄養価値に影響を与え得る。メイラード反応には、熱、湿分、還元糖、およびアミノ酸が必要である。
【0007】
メイラード反応には、多数の中間体を伴う一連の複雑な反応が含まれるが、一般的には3つのステップを含むものとして説明可能である。メイラード反応の第1のステップには、遊離のアミノ基(遊離アミノ酸、タンパク質、またはその両方から)と還元糖(グルコースなど)との化合による、アマドリ(Amadori)またはヘインズ(Heyns)転位生成物の形成が含まれる。第2のステップには、デオキシオソン、分裂、またはストレッカー分解(Strecker degradation)を含む異なる択一的な経路を介した、アマドリまたはヘインズ転位生成物の分解が含まれる。脱水、脱離、環化、分裂、およびフラグメンテーションを含む、一連の複雑な反応の結果、風味料中間体および風味料化合物のプール(pool)が生じる。メイラード反応の第3のステップは、褐色の含窒素重合体および共重合体の形成の特徴を有する。アクリルアミド形成の有り得る経路としてメイラード反応を用い、図1に、アスパラギンおよびグルコースから開始するアクリルアミド形成の推定経路を簡約化して示す。
【0008】
アクリルアミドがヒトに有害であると判定されてはいないが、食料品中にアクリルアミドが存在することは、特に、高いレベルで存在することは、好ましくない。先述の通り、加熱または熱処理された食品で、比較的高い含量のアクリルアミドが検出される。そうした食料品におけるアクリルアミドの減少は、アクリルアミドを形成する前駆体化合物を減少させることまたは除去すること、食品の処理中のアクリルアミドの形成を阻害すること、食品中に一旦形成されたアシルアミド単量体を分解することまたは反応させること、若しくは、消費する前に製品からアクリルアミドを取除くことによって達成可能である。理解可能であるように、上述の選択肢のいずれを実施するためにも、食料品毎に独特の試みが必要である。例えば、一貫した断片であるようにスライスおよび調理された食品は、調理時に食料品に独特の特徴を与えるセル(cell)構造を物理的に破壊することなく、種々の添加物と容易に混合されない場合がある。同じく、特定の食料品に対する他の処理要件によって、アクリルアミドを減少させる戦略が不適合となる場合、または非常に困難となる場合がある。
【0009】
例として、図2には、未加工のポテト原料から揚げたポテトチップを製造するための公知の従来技術の方法を示す。重量で約80%以上の水を含む未加工のポテトは、最初に剥皮工程21へ進む。未加工のポテトから皮が剥かれた後、続いてポテトはスライス工程22へ移される。スライス工程22における各ポテトスライスの厚さは、所望の最終製品の厚さによる。従来技術における一例では、厚さ約1.0mm〜約2.0mm(約0.04〜約0.08インチ)にポテトをスライスする。このスライスは続いて洗浄工程23へ移され、各スライスの表面の澱粉が水で取除かれる。洗浄されたポテトスライスは、続いて調理工程24へ移される。典型的には、調理工程24には、例えば、約171℃〜約182℃で約2〜3分間、連続式の揚げ器でスライスを揚げる工程が含まれる。一般に、調理工程では、チップの湿分のレベルは重量で2%未満にまで減少される。例えば、典型的な揚げたポテトチップは、重量で約1〜2%の湿分で揚げ器を出る。調理されたポテトチップは続いて調味工程25へ移され、回転ドラム中で調味料が適用される。最後に、調味されたチップは包装工程26へ進む。この包装工程26には、通常、調味されたチップを1つ以上の計量器へ投入する工程が含まれ、チップは続いて、柔軟な包装中に包装するために、その計量器によって1つ以上の垂直な形成・充填・密封装置へ送られる。包装されると製品は流通され、消費者に購入される。
【0010】
上述の幾つかのポテトチップ加工工程のうちの幾つかにおける僅かな調節によって、最終製品の特徴に有意な変化が生じ得る。例えば、洗浄工程23にてスライスの水中での滞留時間が延長されると、その結果、最終製品にポテトの風味、色調、および食感(tex
ture)を与える化合物がスライスから浸出することになる。調理工程24にて滞留時間を増大または加熱温度を上昇させると、その結果、チップでのメイラード褐色化のレベルの増大や湿分含量の低下が生じることになる。揚げる前にポテトスライスに成分を混入させることが望ましい場合、チップのセルの構造を崩壊させたり、あるいはスライスから有益な化合物を浸出させたりすることなく、スライスの内部に添加成分が吸収されるような機構を確立することが必要な場合がある。
【0011】
最終製品中のアクリルアミドのレベルを減少させる独特の試みを示す加熱食料品の別例として、加工スナックとしても作成することが可能なスナックがある。「加工スナック(fabricated snack)」の語は、原材料および未変性の澱粉性開始原料以外を開始成分として用いるスナック食品を意味する。例えば、加工スナックには、乾燥ポテト製品(dehydrated potato product)を開始原料として用いる加工ポテトチップと、マーサ粉(masa flour)を開始原料として用いるコーンチップとが含まれる。乾燥ポテト製品には、ポテト粉、ポテトフレーク、ポテトグラニュール、または乾燥されたポテトが存在する任意の他の形体が含まれることを、ここに言及する。本出願において、これらの語のうちのいずれかが用いられる時には、これらの変化形の全てが包含されることが理解される。
【0012】
再び図2を参照すると、加工ポテトチップには、剥皮工程21、スライス工程22、または洗浄工程23は必要でない。代わりに、加工ポテトチップでは、ポテトフレークなどの乾燥ポテト製品から開始される。乾燥ポテト製品は、水および他の小成分と混合されて生地を形成する。調理工程へ進む前に、この生地は続いて伸展および切断される。調理工程には、揚げ工程または焼成工程が含まれる。チップは続いて調味工程および包装工程へ進む。ポテト生地の混合は、一般に、他の成分を容易に添加するのに役立つ。反対に、そうした成分をポテトスライスなど未加工の食料品へ添加するには、食料品のセルの構造内に成分を浸透させることが可能な機構が必要である。しかしながら、混合工程で何らかの成分を添加する場合、その成分が生地の伸展特性や最終のチップの特性に不利な影響を与え得ることを考慮する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
加熱食品または熱処理食品の最終製品中のアクリルアミドのレベルを減少させる1つ以上の方法を開発することは望ましいであろう。理想的には、そのようなプロセスによって、最終製品の品質および特性に不利な影響を与えることなく、最終製品中のアクリルアミドが実質的に減少されるかまたは除去される。さらに、その方法は実施が容易であり、好適には、プロセス全体に追加のコストをほとんどまたは全く要しない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、熱処理食料品中のアクリルアミドの量を減少させる方法に関する。一実施態様では、本発明の方法は、剥皮およびスライスした未加工ポテトを連続投入する工程と、未加工ポテトスライス中のアクリルアミド前駆体の量を減少させるため、連続投入した未加工ポテトスライスを約60℃(140°F)の水溶液と約5分間、接触させる工程とから成る。別の実施態様では、本発明の方法は、剥皮およびスライスした未加工ポテトを連続投入する工程と、湿分含量が重量で約3〜10%に減少するまで、未加工ポテトスライスを約171℃〜約182℃(340〜360°F)で半揚げする工程と、続いて、さらに湿分含量が重量で約1〜2%に減少するまで、半揚げしたポテトスライスを約120℃(250°F)未満でオーブン乾燥する工程とから成る。別の実施態様では、本発明の方法は、連続投入した未加工ポテトスライスを約60℃(140°F)の水溶液と接触させる工程に続いて、湿分含量が重量で約3〜10%に減少するまで、接触させた未加工ポテトスライスを約171℃〜約182℃(340〜360°F)で半揚げする工程と、続い
て、さらに湿分含量が重量で約1〜2%に減少するまで、半揚げしたポテトスライスを約120℃(250°F)未満でオーブン乾燥する工程とから成る。他の実施態様には、連続投入される剥皮およびスライスしたポテトを接触させる工程および調理する工程や、種々の他の単位操作を調整するための、種々の方法の異なる組合せが含まれる。それらの単位操作を調整することによって、アクリルアミド形成に最適な条件を作り出すことを回避し、熱処理食料品におけるアクリルアミド形成を減少させることが可能である。
【0015】
例えば、典型的なポテトチップ製造プロセスの洗浄工程を、ポテトスライスが水溶液と接触する接触工程を含むように調整することが可能である。接触時間を増大させることおよび調整すること、並びに温度を上昇させることおよび調整することが可能であり、1つ以上の成分を水溶液へ添加することも可能である。調理工程を、高温の第1の加熱工程と低温の第2の加熱工程とに分けることによって、調整することが可能である。高温の第1の加熱工程は、大気圧で揚げる大気圧揚げ工程、真空で揚げる真空揚げ工程、圧力下で揚げる圧力下揚げ工程、マイクロ波照射補助で(microwave−assisted)揚げるマイクロ波補助揚げ工程、または焼成工程、および当該技術分野で公知の他の手段を含むことが可能である。第2の加熱工程は、真空揚げ工程、低温オーブン乾燥工程、真空オーブン乾燥工程、または第2の加熱工程に必要な調理温度を保持する任意の調理方法を含むことが可能である。アクリルアミド形成を減少させるために接触単位操作および調理単位操作を調整する、他の方法も可能である。
【0016】
上述に加え、本発明の追加の特徴および利点は、以下に記載の詳細な説明にて明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の新規であると思われる特徴を添付の特許請求の範囲に述べる。しかしながら、本発明、その好適な使用の形態、さらにはその目的および利点は、添付の図面と共に以下の例示的な実施態様の詳細な説明を参照することによって、最も良く理解されるであろう。
【0018】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成には、炭素源および窒素源が必要である。炭素は炭水化物源から供給され、窒素はタンパク質源またはアミノ酸源から供給されるという仮説が立てられる。米、小麦、コーン、大麦、大豆、ポテト、およびオート麦など、多くの植物由来食品成分はアスパラギンを含有し、僅かなアミノ酸要素を有する炭水化物から主として成る。典型的には、そうした食品成分は、アスパラギンに加えて他のアミノ酸も含有する、小さなアミノ酸プールを有する。
【0019】
「熱処理(thermally processed)」の語では、食品成分の混合物などの食品の要素が80℃以上の温度で加熱された、食品または食品成分を意味する。好適には、食品または食品成分の熱処理は、約100℃〜約205℃の温度で行われる。最終の食料品の形成以前に、食品成分が別個に昇温下で処理されてもよい。熱処理食品成分の一例はポテトフレークであり、ポテトフレークは、170℃程度の温度にポテトを曝露するプロセスで、未加工のポテトから作成される。他の熱処理食品成分の例には、処理オート麦、半茹で(par−boiled)および乾燥米、調理大豆製品、コーン・マーサ、焙煎コーヒー豆、および焙煎カカオ豆が含まれる。これに代えて、最終の食料品の調製に未加工の食品成分を用いることも可能であり、その場合、最終の食料品の製造には、熱的な加熱工程が含まれる。熱的な加熱工程によって最終の食料品を得るような未加工原料の処理の一例は、約100℃〜約205℃の温度で揚げる工程による、未加工のポテトスライスからのポテトチップの製造、または同様の温度で揚げたフレンチフライの製造である。
【0020】
しかしながら、本発明では、アミノ酸であるアスパラギンを還元糖の存在下で加熱した時、有意なアクリルアミド形成が起きることが見出された。グルコースなどの還元糖の存在下でリシンおよびアラニンなど他のアミノ酸を加熱しても、アクリルアミド形成は起きなかった。しかし驚くべきことに、アスパラギンおよび糖の混合物に対して他のアミノ酸を添加することによって、形成されるアクリルアミドの量を増加または減少させることが可能である。
【0021】
還元糖の存在下でアスパラギンを加熱するとアクリルアミドが急速に形成されることは確立されているが、アスパラギンを不活性化することによって、熱処理食品におけるアクリルアミドの減少は達成可能である。「不活性化(inactivating)」とは、アスパラギンを食品から取除くことによって、若しくは変換またはアスパラギンからのアクリルアミド形成を阻害する別の化学物質との結合によって、アスパラギンをアクリルアミド形成経路に則して非反応性とすることである。
【0022】
完成した食料品におけるアクリルアミドの形成に対する種々の単位操作または加工工程の効果を検証したところ、興味深い結果が得られた。その結果では、得られる調理された食料品のアクリルアミド濃度が減少されるように、食料品を製造するための任意の所与の従来技術のプロセスにおいて1つ以上の単位操作を修正する能力が実証される。「アクリルアミド濃度の減少(reduced concentration of acrylamide)」とは、アクリルアミドの濃度が、問題の特定の食料品を調理する修正されていない従来技術のプロセスの間に生成され得る濃度より低いことを意味する。「アクリルアミド濃度の減少」、「アクリルアミド濃度減少(reduced acrylamide concentration)」、および「アクリルアミドのレベルの減少(reduced acrylamide level)」の語は、本出願においては全て交換可能に用いられる。本出願において、「単位操作(unit operation)」とは、食料品を製造するための方法全般における定義可能な区分を意味する。例えば、図2を参照すると、ポテトチップ加工工程の各工程(剥皮工程21、スライス工程22、洗浄工程23、調理工程24、調味工程25、および包装工程26)は、ポテトチップ食料品を製造するプロセス全般に関する別個の単位操作と見なされる。
【0023】
単位操作の調整の第1の例には、未加工ポテト原料をスライスすることによって製造されるポテトチップを洗浄する工程23(図2に示す)が含まれる。従来技術の方法におけるスライス洗浄工程には、チップを室温の水ですすぎ洗いする工程が含まれる。この従来技術による水でのすすぎ洗いにおける各チップの平均滞留時間は、用いる装置によるが典型的には約60秒未満である。
【0024】
図3には、完成したチップ製品のアクリルアミドのレベルを調節可能なように、チップ洗浄単位操作をどのように調整することが可能であるかを示した。本発明によって、連続投入されるポテトスライスを、従来技術の洗浄工程で用いられるのとは異なる滞留時間および温度で水溶液と接触させる接触工程を含むように、洗浄工程23を調整することが可能である。図3は、左(見る者の視点から)の垂直軸すなわちy軸に、完成したポテトチップ製品で検出されるアクリルアミド(「AA」)の量を質量十億分率(「ppb」)で示した図である。図3のグラフで右の垂直軸すなわちy軸には、完成したチップ製品における重量での湿分百分率を示す。アクリルアミドのレベルはグラフに縦棒で記し、湿分レベルの百分率はライン・プロットで記した。図3に示した図の水平軸すなわちx軸には、ポテトチップ製造プロセスの洗浄単位操作に対して行った種々の加工パラメータ変化を挙げる。調理時間および温度は、図3に示した全ての製品製造において同一であった。詳細には、各サンプルは約120〜140秒間、約178℃(353°F)で揚げた。その結果、最終製品の湿分レベルは変化する傾向にあった。
【0025】
図3に示した結果との比較として、上述の従来技術の洗浄工程では、約1.3mm(0.05インチ)の厚さにスライスし約120〜140秒間、約178℃(353°F)で揚げたチップ原料ポテトを用いると、完成した製品のアクリルアミドのレベルは約300〜500ppb(グルコース含量および他のポテト原料の変動要因によってはそれより高くなり得る)であり、最終の湿分レベルは重量で約1.4%である。この従来技術での結果は、図3に示した図に見出される第1のデータ点31に非常に類似している。データ点31は基準データ点を表し、ポテトスライスの水への滞留時間が2〜3分間であるような洗浄工程を含む。ポテトチップの加工全般における全ての他のパラメータを保持して、洗浄単位操作にこの小変化を加えたところ、従来技術の洗浄工程によって完成した製品と比較して、完成した製品のアクリルアミドのレベル(約330ppb)または湿分レベル(約1.35%)に顕著な変化は生じなかった。
【0026】
図3のグラフに示した続くデータ点32は、洗浄工程における変化を反映している。この洗浄工程は、ポテトスライスを水溶液としての水と接触させる工程を含み、ポテトスライスと水溶液との接触時間は10分間まで増大され、かつ水溶液の温度は雰囲気温度すなわち室温から約38℃(100°F)まで上昇されている。この調節によって、完成した製品におけるアクリルアミドは約210ppbまで減少し、完成した製品の湿分レベルは重量で1%未満まで減少した。興味深いことに、第3のデータ点33では水溶液(ここでも水)の温度を約54℃(130°F)まで上昇させ、平均接触時間は5分間としたが、完成した製品のアクリルアミドのレベルは評価可能なほどには減少しなかった。対照的に、第4のデータ点34では、最終製品のアクリルアミドのレベルは評価可能なほどに減少するが、この場合、洗浄単位操作には、約82℃(180°F)の温度の水を含む水溶液との接触時間を1分間とする接触工程が含まれる。しかしながら、最終製品のチップの湿分レベルは、ほぼ1.8%であった。第5のデータ点35では、水溶液として雰囲気温度の1%のL−システイン溶液を15分間用いると、最終製品のアクリルアミドのレベルが250ppb未満まで減少することが示される。
【0027】
図4に示したグラフでは、図3に示した実験結果(縦棒の各対の第1の縦棒)を規格化し、試験サンプルを同一の標準化した湿分レベルまで揚げた場合に期待され得るアクリルアミドのレベル(縦棒の各対の第2の縦棒)を示す。湿分レベルが低い場合にはアクリルアミドのレベルの百分率変化は湿分レベルの百分率変化に反比例すると仮定すると、基準/標準サンプルの最終の湿分レベルに達するために必要な湿分レベルの百分率変化を、実際のアクリルアミドのレベルに掛け合わせることによって、図3に示した試験データの結果を規格化することが可能である。実験データを同一の湿分レベルに規格化することによって、アクリルアミド形成の減少における各接触方法の相対効果を、より厳密に比較することが可能となる。
【0028】
再び図4を参照すると、垂直軸すなわちy軸には、完成した製品で検出されるアクリルアミドがppbで示されている。水平軸すなわちx軸には、各データ点のパラメータが示されている。図4では、各データ点には1対の縦棒が示されているが、対のうち左の縦棒は図3から取込まれたものであり、対のうち右の縦棒は、最終製品を一様な湿分レベルすなわち標準化した湿分レベル、1.32%まで揚げた場合に、同じ接触プロセスのパラメータから期待される結果を示すものである。
【0029】
ここでもやはり、第1のデータ点41は、雰囲気温度での2〜3分間の水洗浄を含む基準サンプルである。第2のデータ点42には本発明による接触工程が含まれ、ポテトスライスを10分の接触時間の間、約38℃(100°F)の温度の水を含む水溶液と接触させる。ここでも左側の棒は、そうした接触工程に続いて約120〜130秒間、約178℃(353°F)で揚げることによって、完成した製品では200ppbをわずかに超えるアクリルアミドが生じること、および完成した製品の湿分レベルは1%未満であること
を示している。しかしながら、右側の棒は、そのように接触させたチップを標準化湿分レベル、1.32%まで揚げた場合、予測されるアクリルアミドのレベルは約150ppbまで低下することを示す。
【0030】
第3のデータ点43に関しても同様に好適な結果が生じるが、第4のデータ点44では、完成した製品の湿分レベルの減少により、検出されるアクリルアミドのレベルがわずかに増加する。興味深いことに、最終のデータ点45では、1%のL−システインを含む水溶液を15分の接触時間で用いると、アクリルアミドが有意に減少することが示される。さらに、最終のチップの湿分レベルが重量で1.32%の場合、アクリルアミドのレベルは特に低いと予測される。15分の接触時間の間、1%のL−システインと接触させたポテトスライスで予測されるアクリルアミドのレベルが、10分間、約38℃(100°F)で水を含む水溶液と接触させたポテトスライスで予測されるアクリルアミドのレベルと、ほぼ同一であることも興味深い。
【0031】
他の実施態様では、ポテトスライスを水溶液と接触させる工程には、ポテト抽出物または浸出流分(stream)を用いて、アスパラギンまたは還元糖など1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテトスライスから浸出させることによって、そうしたアクリルアミド前駆体を未加工ポテトスライスから除去する工程がさらに含まれる。ポテト抽出物または浸出流分によるポテトスライスの成分の浸出は、ポテトスライスとポテト抽出物または浸出流分との間に濃度勾配が存在する成分で生じる。除去されるアクリルアミド前駆体は欠乏しているが、他の可溶物の濃度レベルはポテトスライスにおける対応する濃度レベルと平衡またはほぼ平衡にあるようなポテト抽出物の溶液によって、選択的な浸出が行われてもよい。純水などの浸出流分によって、非選択的な浸出が行われてもよい。選択的な浸出の一例には、アスパラギンの欠乏したポテト抽出物を作成する工程と、未加工ポテトスライスからアスパラギンを浸出させるために、ポテトスライスをアスパラギン欠乏ポテト抽出物と接触させる工程とが含まれる。一実施態様では、1つ以上のアクリルアミド前駆体の欠乏したポテト抽出物を向流式で未加工ポテトスライスと接触させることによって、並流式よりも効果的に浸出が行われる場合がある。別の実施態様では、ポテトスライスとの接触中にポテト抽出物を超音波振動させることによって、浸出をさらに向上させる。所望の場合、より多くのポテトスライスの浸出に連続的に用いるためにポテト抽出物または浸出流分を再利用することが可能であるように、ポテト抽出物または浸出流分を処理して、浸出させたアクリルアミド前駆体を除去することが可能である。
【0032】
図3,4に示した効果など、単位操作の種々のパラメータを調整することの効果を検討する時に留意する必要がある1つの点は、それらの調節には全て、最終製品の品質および特性に対する何らかの副次的な効果が存在することである。その結果、所望の最終特性を示す製品に到達するためには、任意の単位操作になされる任意の調節を注意深く選択する必要がある。それらの特性には、完成した製品の色調、風味、口当たり、濃密さ、香味、および貯蔵寿命が含まれる。
【0033】
図5では、単位操作の別の態様に焦点を置き、調理工程の段階中のチップの湿分レベルの減少の効果を示す。再び図2を参照すると、調理工程24は、典型的にはスライスしたポテトチップを高温での連続式油揚げ器(continuous oil fryer)で調理する工程を含む、単位操作である。図5に戻ると、グラフには、水平軸すなわちx軸上に最終のチップ製品の湿分レベルが示されている。ここでも垂直軸すなわちy軸には、最終製品で検出されるアクリルアミド(「AA」)をppbで示す。続いて、最終チップの湿分百分率対アクリルアミドのレベルを示す幾つかのデータ点をプロットしてある。2つの異なる揚げ温度を用い、約149℃(300°F)で揚げたチップのデータ点を表すために四角の印を用いるのに対し、約178℃(353°F)で揚げたチップを表す菱形の印を用た。ライン・プロット51,52では、傾向を明らかにするために、データ点
のカーブ・フィットを行った。ライン・プロット51,52のカーブ・フィットは、一般式:y=cx、による。ここで「y」はアクリルアミドのレベルを表し、「c」は定数、「x」は湿分レベル、「b」は「x」の累乗の指数である。第1のライン・プロット51は、揚げ温度149℃(300°F)のデータ点に関する。第2のライン52は、揚げ温度178℃(353°F)に対してプロットしたデータ点に関する。図5に見られるように、揚げ温度にかかわらず、チップの湿分レベルが重量で約3%を超えると、アクリルアミドのレベルは非常に低く保たれる。
【0034】
図5では、揚げたポテトスライスにおけるアクリルアミドのレベルと湿分含量との関係を示しているのに対して、図6では、ドライミックスから製造した焼成ポテトチップ製品における同じ関係を示した。図6のグラフの垂直軸にはアクリルアミド濃度を示し、水平軸には重量での湿分レベルを示す。焼成ポテトチップ製品では、揚げたポテトスライスよりもアクリルアミド濃度が高い傾向にあるが、図5,6の両方とも、湿分レベルが約3%未満に低下するまでは、ポテト製品の調理におけるアクリルアミド濃度は相当に低く保たれる。
【0035】
図5,6によって明らかとなるのは、典型的な揚げ器で調理したポテトチップのアクリルアミドレベルは、湿分レベルが重量で3%未満に低下すると非常に劇的に増大することであり、その点では、製品温度をアクリルアミド形成温度より低く保つために充分なだけの湿分が残されていないと思われる。例えば、図5では、調理単位操作中のチップの湿分レベルが重量で3%以上の場合、高温の調理環境への曝露にかかわらず、最終製品で検出されるアクリルアミドのレベルは比較的低いことが示される。図5,6では、湿分レベルが、最終製品におけるアクリルアミド形成を減少させるために調節可能な、単位操作における有用な追加のパラメータであることが示されている。
【0036】
残念なことに、完成したポテトチップの湿分レベルは、典型的には約2%未満であり、好適には約1.3〜1.4%である。2%より高い場合や、時には1.4%より高い場合さえも、包装された製品における老化および微生物腐敗の問題や、例えば、味、食感など感覚器を刺激する結果を引起こし得る。しかしながら、最終製品の色調、味、および堅さ(consistency)における変化は、種々の手段によって調節可能である。さらに、より高い湿分含量で食料品を完成させるという結果は、揚げ器の覆い(hood)の拡張、包装機への運搬装置を覆うこと、工場設備環境の除湿など包装前の工程における種々の因子と、包装材料、フィルム、バッグ、および封など包装工程における種々の因子とを調節することによって、相殺することが可能な場合がある。したがって、本発明で開示の、熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法の別の実施態様によるさらなる単位操作には、一定の湿分含量、例えば、重量で約1.4%、重量で約1.6%、重量で約1.8%、および重量で約2%、または1.4%〜2%の間の任意の重量湿分%で最終の調理工程から現れるように食料品を完成させる工程が含まれる。
【0037】
しかしながら、他のポテト製品では比較的高い湿分含量でも有意な量のアクリルアミドが形成されることが知られていることは重要である。例えば、フレンチフライでは、典型的には重量で15%を超える湿分で揚げ器から出されるが、調理工程中に有意な量のアクリルアミドを発生することが示されている。これによって、アクリルアミド形成は、全般の湿分含量ではなく、製品を調理する温度(特に、表面温度)に依存することが示唆される。実際に、必要な反応物を約120℃(250°F)の温度に曝露しない限り有意な量のアクリルアミドは生成しないことが、実験で示されている。したがって、調理媒体の温度によって有意に異なる場合があるが、調理工程時の製品温度が約120℃(250°F)を超えて上昇しない限り、アクリルアミド前駆体化合物を含有するポテト製品では、有意な量のアクリルアミドは形成されないであろう。それにもかかわらず、そうした製品の湿分含量は、製品温度がアクリルアミドの形成温度を超えて上昇したか否かを示す優れた
標識であり得る。
【0038】
製品の湿分は、比較的高温の環境においてさえ製品の内部温度をアクリルアミド形成温度より低く保つ補助となることが、当業者には理論付けられる。しかしながら、湿分の大部分が除去される時には、周囲の高温によって、製品温度がアクリルアミド形成温度を超えて上昇し得る。しかしながら、調理製品の必ずしも全ての部分が同じ内部温度を共有する訳ではないことを留意することは重要である。例えば、フレンチフライはポテトスライスと比較した場合、相当厚いので、製品の内側部分と外側部分との間に、より大きな湿分勾配が存在する傾向にある。その結果、フレンチフライでは、内部の湿分含量は高いが、表面温度が相当高くなるように調理され得る。対照的に、ポテトスライスはより薄いので、調理工程中にスライス全体が一貫した湿分レベルとなる傾向にある。したがって、少なくともポテトスライスまたは加工ポテト小片など薄い製品においては、湿分は依然として内部温度の優れた指標であり得る。このことは、コーン、大麦、小麦、ライ麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系穀物から製造される非ポテト製品でも真である。さらに、調理製品の湿分含量が減少するにつれて、より高い温度からより低い温度へと連続的に減少する異なる温度の段階を有するように、連続調理装置を設計することも可能である。このことによって、製品温度をアクリルアミド形成温度を超えて上昇させることなく、湿分を急速に除去することが可能である。
【0039】
その結果、本発明の一要素には、調理単位操作(図2に示した第4の単位操作24)を2つ以上の別個の加熱工程に分けることが含まれる。第1の加熱工程は、湿分レベルを重量で約3%近傍但し約3%より高い点まで減少させるため、高い温度で行われる。続いて製品は、約120℃(250°F)未満の温度を有する低温調理工程によって、重量で約1〜2%の所望の湿分レベル、好適には重量で約1.4%の湿分レベルに完成される。しかしながら、本明細書に記載のプロセス修正は、図2における開示などポテトスライスを調理する従来技術のプロセスに限定されない。それらの修正は、ポテト、コーン、小麦、ライ麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系穀物に由来の加工製品を製造するプロセスにも適用可能である。例えば、これらのプロセス修正は、少し例を挙げると、加工ポテトおよびコーン製品、シリアル、クッキー、クラッカー、ハード・プレッツェル、およびパン類などにおいて、アクリルアミド形成を減少させるために用いることが可能である。「修正調理工程(modified cooking step)」および「修正調理単位操作(modified cooking unit operation)」の語は、ポテトスライスを調理する図2の従来技術の方法のみを含むのではなく、アクリルアミド形成を減少させることが望まれる他の食料品を調製する従来技術の方法をも含む意味であることを述べておく。さらに、「ポテト系小片(potato−based pieces)」は、ポテト澱粉または生地に由来の未加工ポテトスライスおよび加工ポテト小片の両方を含む意味であることを述べておく。
【0040】
各加熱工程は種々の加熱方法を用いて達成可能である。例えば、第1の加熱工程には、大気圧揚げ工程、真空揚げ工程、マイクロ波補助揚げ工程、または焼成工程が含まれ得る。しかしながら、これに代えて、第1の加熱工程には、滞留時間、エネルギー・コスト、設備資金コスト、および利用可能な床面積など、主に製造効率を考慮した、製品を調理してその湿分レベルを低下させる任意の他の方法が含まれ得る。第1の加熱工程に製品を揚げる揚げ工程が含まれる場合、そうした揚げ工程では、湿分含量が重量で約3%近傍但し約3%より高い点に低下するまで製品を部分的に調理するのみであることから、第1の加熱工程が「半揚げ工程(par−frying)」と呼ばれる場合がしばしばある。第2の加熱工程は、真空揚げ工程、低温オーブン乾燥工程、真空オーブン乾燥工程、または第2の加熱工程に必要な調理温度を保持する任意の調理方法を含むことが可能である。しかしながら、アクリルアミド形成に最適な低湿/高温条件を避けるため、製品温度が約120℃(250°F)のアクリルアミド形成温度より低く保たれる限りは、湿分含量を減少
させるために他の方法を用いることも可能である。湿分含量が最終の所望レベルまでさらに減少されるので、第2の加熱工程が「完成揚げ工程(finish−frying)」または「完成乾燥工程(finish−drying)」と呼ばれる場合がしばしばある。
【0041】
図2に示したポテトチップ製造プロセスにおいて、洗浄工程23、調理工程24、またはその両方を修正することによって、製品品質および最終の特性に不利な影響を与えることなく、最終製品のアクリルアミドのレベルを有意に減少させることが可能である。好適な一実施態様では、新しい(fresh)チップ化ポテトを用いるポテトチップ製造プロセスでは、従来の剥皮工程、スライス工程、および洗浄工程が、約1〜3分間、約165℃〜約182℃(330〜360°F)で半揚げする工程と、続いて約120℃(250°F)未満でオーブン乾燥する工程とを含む修正調理単位操作と組合わせられる。この好適な実施態様を用いる試験では、アクリルアミドのレベルは130ppb未満に達する。この好適な実施態様では、高いレベルのアクリルアミド減少と、必要なプロセス修正に関連した製品品質における許容可能な変化との均衡が達成されている。しかしながら、他の実施態様も可能である。図7a,7b,8では、水溶液との接触工程を含む洗浄工程の修正と、調理工程の修正との組合せの種々の例を示す。これらの組合せでは、最終のアクリルアミドのレベルは従来技術の方法によって生じるレベルより減少する。例えば、300ppbを超える最終のアクリルアミドのレベルが、100ppb未満まで減少される。図7a,7b,8には、未加工ポテトスライスを加工する実施態様が含まれるが、それらの実施態様で用いられる修正された洗浄方法は、サツマイモ、ヤムイモ、およびプランテーンなど、アクリルアミドの減少が望まれる他の種類の未加工食品にも適用可能である。同様に、それらの実施態様で用いられる調理工程の修正は、揚げたトルティーヤ、揚げたプランテーン、揚げたサツマイモ、および揚げたヤムイモなど、他の揚げた食料品にも適用可能である。
【0042】
図7aには、接触工程を含む修正洗浄工程の幾つかの異なる実施態様を、修正調理工程の特定の一実施態様と組合わせて製造し、得られたポテトチップのアクリルアミドのレベルを示す。図7aの修正調理工程は、第1の加熱工程において約1〜3分間、約178℃(353°F)でポテトスライスを部分的に揚げる(「半揚げ」)工程と、続いて第2の加熱工程において、湿分含量が重量で約1.3%に減少するまで約120℃(250°F)でポテトスライスをオーブン乾燥する工程とから成る。半揚げ工程および続くオーブン乾燥工程の利点は、アクリルアミド形成に最適な低湿/高温条件を回避すると同時に、感覚器刺激では従来の揚げた製品と同様である最終製品を製造可能なことである。しかしながら、徹底的にオーブン乾燥すると製品に乾いた口当たりを与える場合があり、隠すことが困難な焦げを製品に生じる場合もある。
【0043】
図7aのグラフの垂直軸すなわちy軸にはアクリルアミド濃度をppbで示し、水平軸すなわちx軸には、ポテトスライスを水溶液と接触させる工程を含む修正洗浄工程の各々の実施態様のパラメータを示した。データ点毎に1対の縦棒を示した。左の棒は接触工程および半揚げ工程後のアクリルアミド濃度を示し、右の棒はオーブン乾燥工程後のアクリルアミド濃度を示す。左から右へ読むと、図7aの第1のデータ点71は、図3,4におけるのと同じように、2〜3分間の雰囲気温度での水洗浄の後、続いて湿分が重量で約1.3%になるまで大気圧で揚げた標準サンプルを含む。第2のデータ点72は、湿分が約1.0%になるまで揚げた以外は第1のサンプルと同様である。第1および第2のサンプル71,72は、それぞれ約320ppb、約630ppbのアクリルアミドを形成したことを述べておく。第3のデータ点73は、同じく2〜3分間の雰囲気温度の水洗浄を含むが、続いてサンプルを3%よりわずかに高い湿分まで半揚げし、約1.3%の湿分までオーブン乾燥した。左右の棒は、半揚げ工程終わりのアクリルアミド濃度が約65ppbと比較的低く、オーブン乾燥工程では15ppb未満しか増加しないことを示している。
第4のデータ点74は、ポテトスライスを5分の接触時間の間、約60℃(140°F)で水を含む水溶液と接触させる接触工程に続き、半揚げ工程およびオーブン乾燥工程の修正調理単位操作を含む。半揚げ工程およびオーブン乾燥工程と組合せられた、この5分間、約60℃(140°F)の接触によって、最終のアクリルアミド濃度は、さらに40ppb未満にまで低下する。
【0044】
塩化カルシウム溶液と接触させたサンプル75,76,77では全て、5分間、約60℃(140°F)で純水と接触させたサンプル74で生成されるよりも高いレベルのアクリルアミドが生成された。しかしながら、そうしたサンプルの全てにおいて最終のアクリルアミドのレベルは依然として80ppb未満であり、これは標準サンプルの320ppbよりも有意に低い。
【0045】
最終のデータ点78には、1%のL−システインを含む水溶液との15分の接触が含まれる。興味深いことに、図7aに示した幾つかの接触方法のうち、この接触方法が最低濃度のアクリルアミドを生成した。しかしながら、この接触方法では、図7aに示した種々の方法のうちで最長の接触時間が必要でもある。接触工程の水溶液として1%のL−システインを用いた78で、最終製品のアクリルアミドのレベルは最低であったが、製品品質に対するそうした長い接触時間の効果や、接触時間増大の費用など、他の因子を考慮する必要がある。
【0046】
図7bには、図7aの最終の6つのデータ点、73,74,75,76,77,78を、アクリルアミド濃度の目盛りがより狭いグラフに示す。
図8では、図7bに示した結果を規格化し、試験サンプルを重量で3%をわずかに超える湿分レベルまで揚げ、続いて重量で約1.3%の標準化した湿分レベルまで約120℃(250°F)でオーブン乾燥した場合に期待され得るアクリルアミドのレベルを示す。アクリルアミドのレベルは、図4に関して上述したのと同じ手法で規格化されている。図8に示した83,84,88の結果を、図4に示した同様の実験、41,43,45の結果と比較すると、調理単位操作を高温の第1の加熱工程および低温の第2の加熱工程に分けることによって、アクリルアミドのレベルが有意に減少することが理解され得る。図4において、重量で1.32%の標準化した湿分レベルまで従来の手法で揚げる工程では、生じるアクリルアミド濃度は100ppbをわずかに超える値から400ppbを超える値までの範囲であるが、図8において、同じ標準化した湿分レベルまで半揚げおよびオーブン乾燥する工程では、生じるアクリルアミド濃度は有意に低下して100ppb未満となる。接触工程を含む修正洗浄単位操作を修正調理単位操作と両方組合せることによる累積的な利点は、図4の54℃(130°F)/5分間の接触のデータ点43および図8の60℃(140°F)/5分間の接触のデータ点84を、図4の基準データ点41と比較した時に特に明らかである。図4に関して上述したように、接触時間を2〜3分間から5分間まで増大させることと、接触温度を雰囲気温度から約54℃(130°F)まで上昇させることとによって、最終製品におけるアクリルアミドのレベルは約330ppbから約230ppbまで減少する。図8の第2のデータ点84では、同様の5分間、60℃(140°F)の接触工程に続いて、半揚げ工程およびオーブン乾燥工程を含む修正調理単位操作を用いると、最終のアクリルアミドのレベルをさらに40ppb未満にまで減少可能であることが示される。
【0047】
図9には、約120℃(250°F)より高温のオーブン乾燥工程を用いる場合に生じる、最終のアクリルアミド濃度の劇的な増大を示す。図9では、図7bにおけるのと同じ手法で試験サンプルを接触させ、続いて半揚げしたが、続いて約120℃(250°F)ではなく約176℃(350°F)でサンプルをオーブン乾燥した。続いて試験サンプルの最終のアクリルアミド濃度を規格化し、重量で0.76%(第1のデータ点として示した、基準点/標準の2〜3分間の水洗浄で到達した最終の湿分含量)に達した時に期待さ
れるアクリルアミドのレベルを示した。図7bの第2のデータ点74を図9の第2のデータ点94と比較すると、例えば、オーブン乾燥温度が約120℃(250°F)から約176℃(350°F)に上昇することによって、アクリルアミド濃度は40ppbよりわずかに低い値から約270ppbだけ増大した。このオーブン乾燥温度の上昇によって、他の試験サンプルのアクリルアミド濃度でも同様に、100ppbより低い値から500ppbを超える値へと劇的な増大が生じた。別の試験サンプル(図示せず)では、表面の澱粉を除去するために洗浄し、湿分含量が重量で約3〜5%になるまで約176℃(350°F)で半揚げし、続いて最終の湿分含量が重量で約1.3%になるまで、市販のウェンガー(Wenger(登録商標))社製のオーブン中、約132℃(270°F)で乾燥したところ、アクリルアミドのレベルは約270ppbであった。したがって、図9に示した93,94,95,96,97,98の結果や、約132℃(270°F)でオーブン乾燥した試験サンプルの結果では、湿分含量が約3%未満に低下した時に、調理工程、乾燥工程、またはその両方において製品温度を約120℃(250°F)以下に保つことの利点が示される。この原則は、未加工ポテトスライスのみならず、ヤムイモおよびプランテーン、並びにコーン、大麦、小麦、ライ麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系穀物に由来の加工製品など、他の未加工食品にも適用される。
【0048】
図10には、ポテトスライスを洗浄、半揚げ、続いてオーブン乾燥した、さらに別の実施態様の結果および操作条件を記す。対照サンプル101は、図7aに示した基準サンプル71,72に関して説明したのと同様の手法で加工した。剥皮したヘルメス種のチップ化ポテトの厚さ1.45mmのスライスである対照サンプル101を、約20〜30秒間、雰囲気温度の水洗浄に続いて、数秒間、塩化ナトリウムの希薄(3〜5%)溶液と簡単に接触させた後、初期温度が約179℃(354°F)の油中で約3分間、湿分が重量で1.4%になるまで半揚げした。対照サンプル101のアクリルアミド濃度は640ppbであり、これは図7aで示した第2の標準サンプルで生成した630ppbと同様である。試験サンプル102を対照サンプル101と同様に洗浄し、接触させた。大きな市販の揚げ器を用いて、試験サンプル102を初期温度が約174℃(345°F)の油中で約3分間、湿分含量が重量で2.5%に減少するまで半揚げした。半揚げした試験サンプル102を、続いて、湿分レベルが重量で1.4%に減少するまで約6分間、約110℃(230°F)のオーブンを用いて完成揚げした。この手法で調理したところ、アクリルアミド濃度が160ppbに減少した製品が製造されたが、これは対照サンプル101のアクリルアミド濃度の大凡25%である。
【0049】
図10に示したのと同様のさらに別の組の試験(図示せず)では、ポテトスライスを標準の洗浄手順で処理し、湿分が重量で約3〜5%になるまで半揚げし、続いて湿分が重量で約2%未満になるまでオーブン乾燥した。対照サンプルを洗浄し、続いて完成した湿分含量が重量で約1.3%になるまで約179℃(354°F)で揚げたところ、アクリルアミドのレベルは380ppbであった。しかしながら、湿分含量が約3〜約5%になるまで約179℃(354°F)で試験サンプルを半揚げしたところ、アクリルアミドのレベルは約64ppbであった。半揚げした製品を続いて市販のウェンガー社製のオーブン中、種々の温度で乾燥した。半揚げしたスライスを最終の湿分含量が重量で約1.3%になるまでウェンガー社製のオーブン中、115℃(240°F)で乾燥したところ、アクリルアミドのレベルは125ppbであった。興味深いことに、半揚げしたスライスを大気圧または大気圧よりわずかに低い圧力(約0.925atm〜約0.994atm(13.6〜14.6psia))の下、約100℃(212°F)で乾燥したところ、時間の期間を延長しても(10〜15分間程度も)、アクリルアミドのレベルは増大しなかった。この実施態様によって、半揚げ工程の操作で形成されるレベルを超えてアクリルアミドのレベルを増大させることなく、ポテトスライスを湿分含量が約3〜5%になるまで約179℃(354°F)で半揚げし、続いて大気圧または大気圧よりわずかに低い圧力の下、約100℃(212°F)でオーブン乾燥することが可能であることが実証される。
調理した製品において形成されるアクリルアミドの濃度をさらに減少させるため、ポテトスライスを重量で10%程度の湿分レベルで半揚げ工程から取り除くことが可能であるが、製品を取除くのが早過ぎると、最終の製品の食感に影響を与え得る。しかしながら、この方法は未加工ポテトスライスに限定されず、揚げたトルティーヤ、揚げたプランテーン、揚げたサツマイモ、および揚げたヤムイモなど、他の揚げた食料品にも適用可能であることを述べておく。半揚げに続いて約100℃(212°F)でオーブン乾燥することの利点は、調理単位操作を単独に修正して、300ppbを超える値から約70ppb未満にまでアクリルアミド形成を有意に減少可能なことである。つまり、標準的な剥皮工程、スライス工程、および洗浄工程を修正する必要はない。
【0050】
半揚げ工程に続くオーブン乾燥工程を含む実施態様の組では、湿分除去を向上させるために真空下でオーブン乾燥工程を行うことも可能である。真空下でオーブン乾燥することによって、製品を所望の最終湿分含量まで乾燥するために必要な時間は、より少なくなる。100℃(212°F)またはその近傍でオーブン乾燥を行ってもアクリルアミドのレベルに測定可能な増大は生じないことが示されているが、そのような温度でのオーブン乾燥工程では、製品を乾燥するために比較的長い時間が必要である。したがって、真空オーブン乾燥工程によって、製品を乾燥するために必要な時間の量の減少が補助される。このことによって、より高いオーブン乾燥温度を用いることが必要な場合に、アクリルアミド形成温度に製品を曝露する時間の量の減少も補助される。
【0051】
図7a,7b,8,10には、修正調理単位操作の特定の一実施態様を、接触工程を含む修正洗浄単位操作の幾つかの異なる実施態様と組合わせた結果を示したが、他の実施態様および組合せも可能である。例えば、それらの図に示した種々の異なる接触工程に続けて、代わりの異なる修正調理単位操作を行うことも可能である。これに代えて、アクリルアミド形成を減少させる改良された方法では、任意の他の単位操作を修正することなく、単に、1つの修正調理単位操作を利用することが可能である。本発明の実施態様の別の組では、修正調理単位操作の2つの加熱工程のうち第2の加熱工程は、大気圧揚げ工程ではなく、真空下の完成揚げ工程を含む。真空下で完成揚げすることによって、第1の加熱工程から生じる部分的に揚げられたまたは調理された製品を、続いて、有意な量のアクリルアミドが形成するには低過ぎる温度で揚げることが可能である。一実施態様では、真空圧は、約120℃(250°F)未満で揚げ工程が起きる圧力である。そうした真空完成揚げ工程は、ポテト、コーン・マーサ、大麦、小麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系の穀物に由来の他の揚げた食料品にも適用可能である。
【0052】
図11には、半揚げ工程に続く真空下の完成揚げ工程を含む修正調理単位操作の幾つかの例における、結果および操作条件を記す。対照サンプル110および試験サンプル111,112,113,114では、ヘルメス種の種々のチップ化ポテトを剥皮し、厚さ約1.35mmにスライスし、標準の20〜30秒間の雰囲気温度の水洗浄を行った。洗浄後、対照サンプル110を湿分レベルが重量で0.83%になるまで約2.5分間、初期温度が約177℃(351°F)の油中で大気圧で揚げたところ、アクリルアミド濃度は370ppbであった。試験1〜4では、試験サンプル111,112,113,114の全ては、約177℃(351°F)で大気圧で半揚げし、約120℃(248°F)、100ミリバールで真空下で完成揚げしたが、半揚げおよび真空完成揚げした時間の長さは各々で異なる。試験1である111では、洗浄後、湿分が重量で3%になるまで約100秒間、大気圧で半揚げし、湿分が重量で0.7%になるまで44秒間、真空完成揚げしたところ、220ppbのアクリルアミドが検出された。試験2〜4である112,113,114では、湿分含量が重量で3%まで減少する前に半揚げを停止し、真空揚げを開始した場合、最終製品のアクリルアミドのレベルは劇的に減少した。試験2〜4である112,113,114では全て、生成した最終のアクリルアミド濃度は50ppb未満であった。試験4である114では、湿分が重量で10%になるまで半揚げし、続いて湿分
が重量で約1%になるまで真空揚げしたところ、アクリルアミドのレベルは、わずか13ppbであった。このデータから理解され得るように、スライスを低温で真空完成揚げする前に部分的に揚げておく湿分含量がより高いと、最終のアクリルアミド濃度は劇的に低下する。この方法を、揚げたトルティーヤ、揚げたプランテーン、揚げたサツマイモ、および揚げたヤムイモなど、他の揚げた製品において、最終のアクリルアミド濃度を減少させるために用いることも可能である。湿分が重量で約3〜10%になるまで半揚げした後に真空下で完成揚げすることの利点は、製品の食感に影響を与えることなく低温で最終段階の調理工程を完了させることが可能なことと、アクリルアミド形成を減少する効果のため、製品を水溶液と接触させることを含む修正洗浄工程の必要が除かれることとである。しかしながら、真空完成揚げ工程によって、完成した製品のアクリルアミド濃度を減少すると同時に、真空下で揚げない時に用いられ得るよりも高い温度で調理工程の最終段階を完了させることが可能である。真空完成揚げされた製品は、対照サンプルより色調が明るく、半揚げ単位操作から、より高い湿分レベルでの真空完成揚げ単位操作へと調理製品を移行することによって、製品に穏やかな(bland)風味を与える場合があることを述べておく。真空完成揚げ装置の資金コストは、オーブン乾燥装置よりも大きい場合があることに留意する必要がある。
【0053】
同様に、修正調理単位操作の2つの加熱工程のうち第1の加熱工程に、真空下の半揚げ工程を用いることが可能である。一例として、修正調理単位操作の一実施態様には、湿分含量が重量で3〜4%近傍但し3〜4%より高いしきい値湿分レベルになるまで真空下で半揚げする工程と、続いて約120℃(250°F)以下でオーブン乾燥して完成させる工程とが含まれる。真空下で半揚げすることによって、製品をより低温で揚げて、より少ないアクリルアミドしか生成させないことが可能である。さらに、約120℃(250°F)以下でオーブン乾燥することによって、オーブン乾燥段階中に追加のアクリルアミドがほとんど形成されないことを保証する。2つの加熱工程のうち第1の工程に真空半揚げ工程を用いることの利点は、半揚げ工程では一般にある程度のレベルのアクリルアミドが生成するのに対し、特に、約120℃(250℃)未満、また真空下では約140℃(284°F)未満の場合、この第1の工程ではほとんどアクリルアミドが形成されないことである。しかしながら、第1の加熱工程において真空下で揚げることにより、異なる完成特性を有する製品を生成する場合がある。
【0054】
焼成製品の系列には、シリアル、クッキー、クラッカー、ハード・プレッツェル、およびパン類など、加工スナックまたは製品が含まれ得るが、本発明の別の実施態様には、高温の第1の焼成工程と低温の第2の焼成工程との修正調理単位操作が含まれる。この実施態様の調理単位操作では、製品は最初に、湿分含量が重量で約4%〜約10%に減少するまで、より高い温度(約120℃(250°F)より高温)で焼成される。製品は続いて、所望の湿分レベル、典型的には重量で約1%〜約3%に達するまで、約120℃(250°F)以下の温度でオーブン乾燥(完成乾燥または焼成)される。例えば、高温の第1の加熱工程では、製品の湿分含量を重量で約10%まで減少させるために対流オーブンを用いることが可能である。このオーブンは、第1の区域で温度が最高であり、残る3つの区域で温度が徐々に減少するような、4つの区域に分けられていてもよい。低温の第2の加熱工程では、調理工程を完了させるために、下方流、単一区域の対流オーブンを用いてもよい。しかしながら、この実施態様の2つの加熱工程に対して他の種類のオーブンを用いることも可能である。また、高温の第1の加熱工程の後に追加のアクリルアミドがほとんど形成されないように、この特定の実施態様における低温の第2の加熱工程を、半揚げ工程に続くオーブン乾燥工程を含む実施態様におけるのと同様に、大気圧よりわずかに低い圧力の下、約100℃(212°F)で行うことも可能である。
【0055】
高温の第1の焼成工程と低温の第2の焼成工程とを含んだ一例の実施態様を用いた試験では、最初に加工ポテト小片を、湿分レベルが重量で約10%に減少するまで約120℃
(250°F)より高い温度で焼成した。この小片を続いて、湿分含量が重量で約1.7〜2.2%に減少するまで約10分間、約110℃(230°F)で完成揚げした。最終のアクリルアミドのレベルは、約100〜200ppbであった。しかしながら、部分的に焼成した小片の幾つかのサンプルを、湿分が重量で約1.6%になるまで約120℃(250°F)で最終揚げしたところ、アクリルアミドのレベルは470〜750ppbであった。さらに、部分的に焼成したスライスのサンプルを、湿分が重量で約1.6〜2.2%になるまで約132℃(270°F)で最終揚げした場合、生成したアクリルアミドのレベルは実質的により高く、460〜1900ppbであった。これらの結果によって、調理工程の最終段階の間、調理製品の調理温度または乾燥温度を約120℃(250°F)以下に保つことの重要性が、再び強調される。この原則は、加工ポテト小片のみならず、ポテト、コーン、大麦、小麦、ライ麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系穀物に由来の他の加工製品にも適用される。この原則は、ヤムイモおよびプランテーンなどの未加工食品の調理にも適用される。
【0056】
本発明の別の実施態様では、修正調理単位操作を高温の第1の加熱工程と低温の第2の加熱工程とに分ける代わりに、調理工程全般において修正調理単位操作に真空揚げ工程を含む。図12には、そのような一実施態様の幾つかの例における結果および操作条件を記す。試験1〜4である121,122,123,124では、剥皮し、厚さ約1.45mmにスライスしたヘルメス種のチップ化ポテトの種々の対照群を、約30秒間、雰囲気温度の水で洗浄し、続いて標準の連続式揚げ器によって加工した。揚げ器の入口の油温を約165℃〜約180℃(329〜356°)の範囲で変更し、約3〜4分間、対照サンプルを揚げたところ、アクリルアミドのレベルは300ppbを超えた。対照的に、試験5〜7である125,126,127の試験サンプルの全てを約4〜約10分間、約100℃〜約140℃(212〜284°F)の範囲の温度で約50〜約100ミリバールの範囲の圧力の下、低温で真空揚げした後のアクリルアミド濃度は、60ppb未満であった。このデータから理解され得るように、減少した温度で真空揚げすることによって、形成されるアクリルアミドの量が劇的に減少した。さらに、調理プロセス全般を通じて約120℃(250°F)未満の温度で製品を真空揚げする場合、ほとんどアクリルアミドは形成されない。試験6、7である126,127では、例えば、約120℃(250°F)未満かつ100ミリバール以下での真空揚げすることによって生じるアクリルアミドは、事実上検知不可能なレベル(5ppb未満)である。約120℃(250°F)未満で揚げることの利点は、高温で半揚げすることによって少なくともある程度のアクリルアミドが形成されるのに対して、ほとんどアクリルアミドが形成されないことである。しかしながら、真空下の揚げ工程または真空下の完成揚げ工程を用いる場合、完成した製品におけるアクリルアミド濃度の減少を達成すると同時に、約120℃(250°F)より高い温度を用いることが可能である。例えば、試験5である125では、約140℃(284°F)での真空下の揚げ工程を用いることで、アクリルアミド含量が約53ppbの製品が製造された。この結果を受けると、143℃(290°F)までの温度で、真空下の完成揚げ工程または真空下の揚げ工程単独で、アクリルアミドが約100ppb未満の製品の製造が可能であるように思われる。しかしながら、調理プロセス全般を通じて真空下の揚げ工程を用いると、製品の食感、外観、および風味を有意に変化させ得ることに留意する必要がある。
【0057】
焼成製品の系列には、上述のように、加工スナック、シリアル、および他の澱粉系製品または生地系製品が含まれ得るが、これに代えて、調理プロセス全般において、修正調理単位操作が低温焼成工程を含むことも可能である。ほとんどアクリルアミドが形成されないように、低温焼成工程を約120℃(250°F)以下で行うことが可能である。しかしながら、低温焼成工程では、より明るい色調の製品が生成する場合があり、高温焼成工程ではより暗い色調の製品が生成する場合がある。したがって、低温焼成工程の適用可能性は、部分的には、最終製品の所望の色調特性による。
【0058】
本発明では、最終製品において所望のアミノ酸のレベルを達成するための種々の単位操作の調整に関する本明細書中の教示と、所望の最終製品特性とを組合わせることが企図される。本明細書の教示に準じ、当業者は、開始製品および所望の最終製品に応じて用いられる組合せを調節することが可能である。アクリルアミド形成に対するpHの効果を、本明細書の教示と共に考慮し組合わせてもよい。
【0059】
色調、味、および堅さにおける変化など、最終の製品の特性における変化を種々の手段によって調節可能であることが理解される。例えば、ポテトチップにおける色調特性は、出発原料の糖の量を制御することによって調節可能である。風味特性の一部は、最終製品に種々の風味料を添加することによって変更可能である。製品の物理的な食感は、例えば、膨張剤または種々の乳化剤の添加によって、調節可能である。
【0060】
1つ以上の実施態様を参照して本発明を詳細に示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、熱処理食品中のアクリルアミドの減少に対して種々のアプローチがなされ得ることは、当業者には理解されるであろう。例えば、ポテト製品に関するプロセスを本明細書で開示したが、コーン、大麦、小麦、ライ麦、米、オート麦、雑穀、および他の澱粉系の穀物から製造される食料品の処理においても、本発明のプロセスを用いることが可能である。ポテトチップに加えて、コーンチップおよび他の種類のスナックチップや、シリアル、クッキー、クラッカー、ハード・プレッツェル、パン類、およびパン粉を塗した食肉用のパン粉において、本発明を用いることが可能である。それらの食品の各々では、1つ以上の単位操作を調整する本発明の方法は、アクリルアミドを減少させる他の戦略と併用可能であり、個々の食品の味、色調、香味、または他の特性に不利な影響を与えることなく、許容可能なアクリルアミドのレベルを与える。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】アクリルアミド形成の推定される化学経路の図。
【図2】従来技術のポテトチップ加工工程の図。
【図3】x軸に沿って記した種々の手法による接触工程後に揚げたポテト試験サンプルにおける、質量十億分率(「ppb」)でのアクリルアミド濃度と、重量での最終湿分含量とをy軸に示すグラフ。
【図4】図3のもとの結果と、重量で1.32%に湿分含量を規格化した後の図3の結果とを比較するグラフ。
【図5】アクリルアミド濃度と最終の揚げた製品の湿分との関係を、y軸にppbでのアクリルアミド濃度、x軸に重量百分率での湿分含量で示すグラフ。
【図6】アクリルアミド濃度と最終の焼成した製品の湿分との関係を、y軸にppbでのアクリルアミド濃度、x軸に重量百分率での湿分含量で示すグラフ。
【図7a】種々の方法による接触工程後、半揚げに続いて約120℃(250°F)でオーブン乾燥したポテト試験サンプル中のアクリルアミド濃度を、y軸にppbでのアクリルアミド濃度、x軸に種々の接触方法で示すグラフ。
【図7b】図7aの最後の6つのデータ点を、より狭いアクリルアミド濃度の目盛りで示すグラフ。
【図8】半揚げデータでは湿分含量を重量で3.13%に規格化し、オーブン乾燥データでは湿分含量を重量で1.25%に規格化した後の図7aのデータを示すグラフ。
【図9】1)x軸に示す種々の手法で接触させ、続いて約178℃(353°F)で半揚げしたポテト試験サンプルのアクリルアミドのレベルと、2)同じポテト試験サンプルを約176℃(350°F)でオーブン乾燥した後、湿分レベルを重量で0.76%に規格化した場合のアクリルアミドのレベルとを、ppbでy軸に示すグラフ。
【図10】対照サンプルのポテトスライスは湿分が重量で1.4%となるまで大気圧で揚げ、試験サンプルは湿分が重量で2.5%となるまで大気圧で揚げ、続いて湿分が重量で1.4%となるまでオーブン乾燥した実験の操作条件および結果を示す図。
【図11】対照サンプルのポテトスライスは湿分が重量で0.8%となるまで大気圧で揚げ、4つの試験サンプルは湿分が重量で約3〜10%となるまで大気圧で半揚げし、続いて湿分が重量で1%未満となるまで低温で真空揚げした幾つかの実験の操作条件および結果を示す図。
【図12】4つの試験サンプルは約165℃〜約180℃(329〜356°F)の範囲の初期温度の油で約3〜4分間、大気圧で揚げ、3つの試験サンプルは約100℃〜約140℃(212〜284°F)の範囲の温度で約4〜10分間、50〜100ミリバールの範囲の圧力の下、低温で真空揚げした、7つの実験の操作条件および結果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の湿分レベルが4重量%以上の食品を準備する食品準備工程と、
b)アクリルアミド濃度が減少され、かつ湿分レベルが3重量%未満である調理された食品を形成するように食品を調理する調理工程と、
調理工程は食品の湿分レベルが約3重量%未満である間に約120℃より低い温度で加熱する低温加熱工程を含むこととから成る方法。
【請求項2】
調理工程b)は湿分レベルが約3重量%以上である間に最初に約120℃より高い温度で加熱する高温加熱工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高温加熱工程は雰囲気圧力下で半揚げする半揚げ工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
半揚げ工程は1つの段階から続く段階へと温度が減少する複数の段階で揚げる段階揚げ工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
高温加熱工程は真空下で半揚げする真空半揚げ工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
高温加熱工程は焼成する焼成工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
高温加熱工程は雰囲気圧力下で半揚げする半揚げ工程とマイクロ波照射するマイクロ波照射工程とを含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
高温加熱工程は焼成する焼成工程とマイクロ波照射するマイクロ波照射工程とを含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
低温加熱工程は真空下で揚げる真空揚げ工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
低温加熱工程はオーブン乾燥するオーブン乾燥工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
オーブン乾燥工程は各々連続的に温度が低下する複数の段階で実施される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
調理工程b)は真空下で約120℃より低い温度で揚げる低温真空揚げ工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
調理工程b)は約120℃より低い温度で焼成する低温焼成工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
食品準備工程a)は食品を水溶液と接触させる水溶液接触工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
水溶液接触工程は雰囲気温度の水を用いて実施される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水溶液接触工程は雰囲気温度より高い温度の水を用いて実施される請求項14に記載の方法。
【請求項17】
水溶液接触工程は塩化カルシウム水溶液を用いて実施される請求項14に記載の方法。
【請求項18】
水溶液接触工程はL−システイン水溶液を用いて実施される請求項14に記載の方法。
【請求項19】
水溶液接触工程は1つ以上のアクリルアミド前駆体を食品から浸出させる浸出工程を含む請求項14に記載の方法。
【請求項20】
浸出されるアクリルアミド前駆体の欠乏した抽出物を用いて1つ以上のアクリルアミド前駆体を食品から浸出させる抽出物使用浸出工程をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
調理工程b)は約1.4重量%の湿分含量に食品を完成させる食品完成工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
調理工程b)は約1.4重量%〜1.6重量%の湿分含量に食品を完成させる食品完成工程をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
調理工程b)は約1.6重量%〜1.8重量%の湿分含量に食品を完成させる食品完成工程をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
調理工程b)は約1.8重量%〜2重量%の湿分含量に食品を完成させる食品完成工程をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項25】
食品はポテト製品を含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
食品は複数のポテトスライスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
食品はコーン製品を含む請求項1に記載の方法。
【請求項28】
食品はマーサ生地を含む請求項1に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の方法によって製造される熱処理食品。
【請求項30】
熱処理食品はポテト系製品を含む請求項29に記載の熱処理食品。
【請求項31】
熱処理食品はポテトチップを含む請求項29に記載の熱処理食品。
【請求項32】
熱処理食品はコーン系製品を含む請求項29に記載の熱処理食品。
【請求項33】
熱処理食品はコーンチップを含む請求項29に記載の熱処理食品。
【請求項34】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の初期湿分レベルが4重量%以上の複数の未加工ポテトスライスを準備する未加工ポテトスライス準備工程と、
b)未加工ポテトスライスの半揚げ後湿分レベルが約3重量%〜約10重量%の範囲になるまで約120℃より高温の調理油で未加工ポテトスライスを半揚げすることによって複数の半揚げポテトスライスを形成する半揚げ工程と、
c)半揚げポテトスライスの最終湿分レベルが約1重量%〜約2重量%の範囲になるまで約120℃未満で半揚げポテトスライスを調理することによってアクリルアミド濃度の減少された複数のポテトチップを形成する調理工程とから成る方法。
【請求項35】
調理工程c)は約115℃未満で調理する工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
調理工程c)は約110℃未満で調理する工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項37】
調理工程c)は約104℃未満で調理する工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項38】
調理工程c)は約100℃で調理する工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項39】
アクリルアミド濃度は200ppb未満に減少される請求項34に記載の方法。
【請求項40】
アクリルアミド濃度は130ppb未満に減少される請求項34に記載の方法。
【請求項41】
半揚げ工程b)は1つの段階から続く段階へと温度が減少する複数の段階で揚げる段階揚げ工程を含む請求項34に記載の方法。
【請求項42】
調理工程c)は各々連続的に温度が低下する複数の段階で実施される請求項34に記載の方法。
【請求項43】
調理工程c)はオーブン乾燥するオーブン乾燥工程を含む請求項34に記載の方法。
【請求項44】
調理工程c)は真空揚げする真空揚げ工程を含む請求項34に記載の方法。
【請求項45】
未加工ポテトスライス準備工程a)は未加工ポテトスライスを水溶液と接触させる水溶液接触工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項46】
水溶液接触工程は雰囲気温度の水を用いて実施される請求項45に記載の方法。
【請求項47】
水溶液接触工程は雰囲気温度より高い温度の水を用いて実施される請求項45に記載の方法。
【請求項48】
水溶液接触工程は塩化カルシウム水溶液を用いて実施される請求項45に記載の方法。
【請求項49】
水溶液接触工程はL−システイン水溶液を用いて実施される請求項45に記載の方法。
【請求項50】
水溶液接触工程は1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテトスライスから浸出させる浸出工程を含む請求項45に記載の方法。
【請求項51】
浸出されるアクリルアミド前駆体の欠乏したポテト抽出物を用いて1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテトスライスから浸出させるポテト抽出物使用浸出工程をさらに含む請求項50に記載の方法。
【請求項52】
調理工程c)は約1.4重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項53】
調理工程c)は約1.4重量%〜1.6重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項54】
調理工程c)は約1.6重量%〜1.8重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項55】
調理工程c)は約1.8重量%〜2重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項56】
請求項34に記載の方法によって製造される熱処理食品。
【請求項57】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の初期湿分レベルが4重量%以上の複数のポテト系小片を準備するポテト系小片準備工程と、
b)ポテト系小片の中間湿分レベルが約4重量%〜約10重量%の範囲になるまで約120℃よりも高温でポテト系小片を焼成することによって複数の部分的に焼成された小片を形成する焼成工程と、
c)部分的に焼成された小片の最終湿分レベルが約1重量%〜約3重量%の範囲になるまで約120℃よりも低温で部分的に焼成された小片をオーブン乾燥することによってアクリルアミド濃度の減少された複数のポテトチップを形成するオーブン乾燥工程とから成る方法。
【請求項58】
オーブン乾燥工程c)は約115℃未満でオーブン乾燥する工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
オーブン乾燥工程c)は約110℃未満でオーブン乾燥する工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項60】
オーブン乾燥工程c)は約104℃未満でオーブン乾燥する工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項61】
オーブン乾燥工程c)は約100℃でオーブン乾燥する工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項62】
アクリルアミド濃度は200ppb未満に減少される請求項57に記載の方法。
【請求項63】
アクリルアミド濃度は130ppb未満に減少される請求項57に記載の方法。
【請求項64】
オーブン乾燥工程c)は雰囲気圧力よりわずかに低圧で実施される請求項57に記載の方法。
【請求項65】
焼成工程b)は1つの段階から続く段階へと温度が減少する複数の段階で実施される請求項57に記載の方法。
【請求項66】
オーブン乾燥工程c)は各々連続的に低下する温度で加熱する複数の段階で実施される請求項57に記載の方法。
【請求項67】
複数のポテト系小片は複数の加工ポテト系製品を含む請求項57に記載の方法。
【請求項68】
複数のポテト系小片は複数の未加工ポテト小片を含む請求項57に記載の方法。
【請求項69】
ポテト系小片準備工程a)は複数の未加工ポテト小片を水溶液と接触させる水溶液接触工程をさらに含む請求項68に記載の方法。
【請求項70】
水溶液接触工程は雰囲気温度の水を用いて実施される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
水溶液接触工程は雰囲気温度より高い温度の水を用いて実施される請求項69に記載の方法。
【請求項72】
水溶液接触工程は塩化カルシウム水溶液を用いて実施される請求項69に記載の方法。
【請求項73】
水溶液接触工程はL−システイン水溶液を用いて実施される請求項69に記載の方法。
【請求項74】
水溶液接触工程は1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテト小片から浸出させる浸出工程を含む請求項69に記載の方法。
【請求項75】
浸出されるアクリルアミド前駆体の欠乏したポテト抽出物を用いて1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテト小片から浸出させるポテト抽出物使用浸出工程をさらに含む請求項74に記載の方法。
【請求項76】
オーブン乾燥工程c)は約1.4重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項77】
オーブン乾燥工程c)は約1.4重量%〜1.6重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項78】
オーブン乾燥工程c)は約1.6重量%〜1.8重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項79】
オーブン乾燥工程c)は約1.8重量%〜2重量%の湿分含量にポテトチップを完成させるポテトチップ完成工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項80】
請求項57に記載の方法によって製造される熱処理食品。
【請求項81】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の初期湿分レベルが4重量%以上の複数のポテト系小片を準備するポテト系小片準備工程と、
b)ポテト系小片の最終湿分レベルが約2重量%未満になるまで約120℃より低温の調理油でポテト系小片を揚げるために充分に低い圧力で、ポテト系小片を真空揚げすることによって、アクリルアミド濃度の減少された複数の調理されたポテトチップを形成する真空揚げ工程とから成る方法。
【請求項82】
真空揚げ工程b)はポテト系小片を半揚げする第1の半揚げ工程と、真空揚げする第2の完成揚げ工程とをさらに含む請求項81に記載の方法。
【請求項83】
半揚げ工程は1つの段階から続く段階へと温度が減少する複数の段階で実施される請求項82に記載の方法。
【請求項84】
真空揚げ工程は各々連続的に低下する温度で加熱する複数の段階で実施される請求項81に記載の方法。
【請求項85】
複数のポテト系小片は複数の加工ポテト系製品を含む請求項81に記載の方法。
【請求項86】
複数のポテト系小片は複数の未加工ポテト小片を含む請求項81に記載の方法。
【請求項87】
ポテト系小片準備工程a)は未加工ポテト小片を水溶液と接触させる水溶液接触工程をさらに含む請求項86に記載の方法。
【請求項88】
水溶液接触工程は雰囲気温度の水を用いて実施される請求項87に記載の方法。
【請求項89】
水溶液接触工程は雰囲気温度より高い温度の水を用いて実施される請求項87に記載の方法。
【請求項90】
水溶液接触工程は塩化カルシウム水溶液を用いて実施される請求項87に記載の方法。
【請求項91】
水溶液接触工程はL−システイン水溶液を用いて実施される請求項87に記載の方法。
【請求項92】
水溶液接触工程は1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテト小片から浸出させる浸出工程を含む請求項87に記載の方法。
【請求項93】
浸出されるアクリルアミド前駆体の欠乏したポテト抽出物を用いて1つ以上のアクリルアミド前駆体を未加工ポテト小片から浸出させるポテト抽出物使用浸出工程をさらに含む請求項92に記載の方法。
【請求項94】
アクリルアミド濃度は200ppb未満に減少される請求項81に記載の方法。
【請求項95】
アクリルアミド濃度は100ppb未満に減少される請求項81に記載の方法。
【請求項96】
アクリルアミド濃度は50ppb未満に減少される請求項81に記載の方法。
【請求項97】
請求項81に記載の方法によって製造される熱処理食品。
【請求項98】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の湿分レベルが4重量%以上の食品を準備する食品準備工程と、
b)アクリルアミド濃度が減少され、かつ湿分レベルが3重量%未満である調理された食品を形成するように、食品の湿分レベルが約3重量%未満である間に約140℃より低い温度で食品を真空揚げする真空揚げ工程とから成る方法。
【請求項99】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の初期湿分レベルが4重量%以上の複数の未加工ポテトスライスを準備する未加工ポテトスライス準備工程と、
b)未加工ポテトスライスの半揚げ後湿分レベルが約3重量%〜約10重量%の範囲になるまで約120℃より高温の調理油で未加工ポテトスライスを半揚げすることによって複数の半揚げポテトスライスを形成する半揚げ工程と、
c)半揚げポテトスライスの最終湿分レベルが約1重量%〜約2重量%の範囲になるまで約140℃未満で半揚げポテトスライスを真空揚げすることによってアクリルアミド濃度の減少された複数のポテトチップを形成する真空揚げ工程とから成る方法。
【請求項100】
熱処理食品におけるアクリルアミド形成を減少させる方法において、
a)調理工程前の初期湿分レベルが4重量%以上の複数のポテト系小片を準備するポテト系小片準備工程と、
b)ポテト系小片の最終湿分レベルが約2重量%未満になるまで約140℃よりも低温の調理油でポテト系小片を揚げるために充分に低い圧力で、ポテト系小片を真空揚げすることによって、アクリルアミド濃度の減少された複数の調理されたポテトチップを形成する真空揚げ工程とから成る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−515181(P2006−515181A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518874(P2005−518874)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/003414
【国際公開番号】WO2004/075656
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(500208519)フリトーレイ ノース アメリカ インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】