説明

熱切断加工機における集塵装置

【課題】熱切断加工時に生じた高温の粉塵を充分に冷却して吸引排出することができ、かつ閉じたシャッタ装置に風切り音を発生することのない熱切断加工機における集塵装置を提供する。
【解決手段】下部フレーム3内をX軸方向に複数に区画した各集塵室13のY軸方向の両側に、下部側が内方向へ傾斜したシュートプレート15を備え、各シュートプレート15の下端縁の下側に、ワークの加工時に発生した粉塵を吸引排出するための吸引排出口19を備えると共に、各吸引排出口19を、開閉自在なシャッタ装置23を介して、下部フレーム3に備えた吸引ダクトに連通遮断自在に備え、前記シャッタ装置23は、前記シュートプレート15の外側であって、前記吸引排出口19の上縁よりも高位置に備えられており、前記シュートプレート15の外側で前記吸引排出口19に対応した位置に、前記吸引排出口19から前記シャッタ装置23方向へ流れる流体を、上層流と下層流とに分割する流路分割プレート47を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機やプラズマ加工機などの熱切断加工機における集塵装置に係り、さらに詳細には、切断加工時に発生した高温の粉塵が集塵内へ入り込むことを防止することのできる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱切断加工機の1例としてのレーザ加工機においては、板状のワークを水平に支持するワークテーブルを上面に備えた下部フレームは箱状に構成してある。前記下部フレームに備えたX軸方向のガイドレールに沿ってX軸方向へ移動自在なX軸方向キャリッジに、熱切断加工ヘッドとしてのレーザ加工ヘッドをY軸方向へ移動自在に備えている。そして、前記ワークテーブルの下側で前記下部フレームの内側は、X軸方向に複数の集塵室に区画してあり、この各集塵室と下部フレームに備えた吸引ダクトは、開閉自在なシャッタ装置を介して接続してある(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−273594号公報
【特許文献2】実開平2−81787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載のごとき従来の構成においては、X軸方向に区画した各集塵室に対応して備えたシャッタ装置は、レーザ加工ヘッドを備えたX軸方向キャリッジがX軸方向に移動したとき、上記X軸キャリッジに対応した位置のシャッタ装置のみが開作動されるものである。したがって、レーザ切断加工に対応しない集塵室のシャッタ装置は閉じられた状態にあり、省エネ化を図ることができる。
【0005】
しかし、前記特許文献1、2に記載のごとき構成においては、ワークの切断加工位置へ噴出されるアシストガス等によって、加工時に発生した溶融飛散物などの高温の粉塵が吹き飛ばされ、かつ吸引ダクトへ吸引されると、前記切断加工位置から吸引ダクトに至る粉塵の経路が短いために、高温の粉塵が集塵機内へ吸引されて、場合によっては集塵機の火災を発生することがある。
【0006】
また、レーザ加工ヘッドの位置に対応したシャッタ装置のみが開作動し、対応していないシャッタ装置が閉作動しているとしても、閉作動しているシャッタ装置が完全に閉じているものではなく、シャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタプレートの周縁部には僅かな隙間が存在する。したがって、この隙間に吸引ダクトの吸い込みが作用すると、上記隙間に空気の流れが生じ、「ピュー」という風切り音を発生することがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、板状のワークを支持するワークテーブルを備えた下部フレームを箱状に構成すると共に、当該下部フレームに備えたX軸方向のガイドレールに沿ってX軸方向へ移動位置決め自在なX軸方向キャリッジに、前記ワークに熱切断加工を行うための熱切断加工ヘッドをY軸方向へ移動位置決め自在に備えた熱切断加工における集塵装置であって、前記ワークテーブルの下方で前記下部フレーム内をX軸方向に複数に区画した各集塵室のY軸方向の両側に、下部側が内方向へ傾斜したシュートプレートを備え、前記各シュートプレートの下部側又は各シュートプレートの下端縁の下側に、前記ワークの加工時に発生した粉塵を吸引排出するための吸引排出口を備えると共に、各吸引排出口を、開閉自在なシャッタ装置を介して、下部フレームに備えた吸引ダクトに連通遮断自在に備え、前記シャッタ装置は、前記シュートプレートの外側であって、前記吸引排出口の上縁よりも高位置に備えられていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記熱切断機における集塵装置において、前記吸引排出口の下部に、ワークの切断加工部から吹き飛ばされた粉塵を前記シュートプレートの外側へ反射するための反射面を備え、かつ前記シュートプレートの外側で前記吸引排出口に対応した位置に、前記吸引排出口から前記シャッタ装置方向へ流れる流体を、上層流と下層流とに分割する流路分割プレートを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記熱切断機における集塵装置において、前記シャッタ装置における入口に、立上りフランジ部材を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記熱切断機における集塵装置において、前記シャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタープレートの周縁の一部に、当該シャッタープレートの周縁部又は周縁部に近接した位置に、当該シャッタープレートを通過して下流側に発生する傾向にある渦流の発生を抑制するために、細い流れを形成するための細流形成部を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークの熱切断加工位置からシャッタ装置に至る粉塵の経路が長くなる。また、粉塵の大小によって粉塵の経路長が異なることとなり、高温の粉塵を充分に冷却してから集塵機へ集塵できることとなる。
【0012】
また、シャッタープレートの下流側に発生する傾向にある渦流の発生を防止でき、風切り音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る集塵装置を備えた熱切断機としてのレーザ加工機の構成を示した斜視説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る集塵装置の主要な部分の構成を示す断面説明図である。
【図3】シャッタ装置の構成、作用を示す斜視説明図である。
【図4】シャッタープレートの構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る集塵装置について説明するに、先ず、理解を容易にするために、熱切断機(熱切断加工機)の1例としてのレーザ加工機の全体的構成について説明する。
【0015】
図1を参照するに、熱切断加工機の1例としてのレーザ加工機1は、一般的なレーザ加工機と同様に箱状に構成した下部フレーム3を備えている。この下部フレーム3の上面には、板状のワーク(図示省略)を水平に支持するワークテーブル(図示省略)が備えられている。そして、前記下部フレーム3におけるY軸方向の両側面にはX軸方向に長いガイドレール5が備えられており、このガイドレール5には、X軸方向キャリッジ7がX軸方向へ移動位置決め自在に支持されている。上記X軸方向キャリッジ7には、熱切断加工ヘッドの1例としてのレーザ加工ヘッド9がY軸方向へ移動位置決め自在に備えられている。
【0016】
なお、この種のレーザ加工機1において、前記X軸方向キャリッジ7をガイドレール5に沿ってX軸方向に移動し位置決めする構成や、前記レーザ加工ヘッド9を、X軸方向キャリッジ7に対してY軸方向へ移動し位置決めする構成は、周知のように、ボールネジ機構やリニアモータなどによって行われるものであり、すでによく知られた構成であるから、X軸方向キャリッジ7及びレーザ加工ヘッド9をそれぞれ移動する構成についての詳細な説明は省略する。また、レーザ発振置(図示省略)において発振されたレーザ光を、前記レーザ加工ヘッド9へ導く構成も周知であるから、詳細な説明は省略する。
【0017】
箱状の前記下部クレーム3の内側であって前記ワークテーブルの下方の空間(大きな凹部)は、複数の区画部材11によってX軸方向に複数の集塵室13に区画してある。換言すれば、前記各集塵室13の上側にワークを支持するワークテーブルが備えられているものである。前記各集塵室13のY軸方向の両側に、下部側が内方向へ傾斜したシュートプレート15がそれぞれ備えられている。換言すれば、各集塵室13のY軸方向の両側に備えた前記シュートプレート15は、下部側が互に接近する方向に傾斜してあるものである。
【0018】
前記シュートプレート15は、前記区画部材11間のY軸方向の両側に配置したシュートボックス17(図2参照)に備えられているものである。より詳細には、前記下部フレーム3のY軸方向の両側には、集塵機(図示省略)に連通したX軸方向に長い吸引ダクト(図示省略)が備えられており、この吸引ダクトと前記各集塵室13のY軸方向の両側を連通する連通部に前記シュートボックス17が配置してある。
【0019】
前記シュートボックス17は、図2に示すように、X軸方向から見たときに、前記集塵室13内側が下方に傾斜した傾斜面を呈するほぼ直角三角形状の箱状のボックス本体16を備えており、このボックス本体16の外側部(図2において左側部)には、垂直な外壁部材18を一体的に備えている。そして、傾斜した前記シュートプレート15は、前記ボックス本体16の内側の傾斜面の上部側に備えられており、このシュートプレート15の下端縁15Lの下側には、前記ワーク切断加工時に発生した集塵室13内の粉塵を吸引排出するための吸引排出口19が備えられている。
【0020】
より詳細には、前記ボックス本体16の底部には、前記シュートプレート15の前記下端縁15Lの垂直下方位置から前記集塵室13内へ突出した傾斜底部21を備えている。そして、前記傾斜底部21を集塵室13の内方へ突出して備えていることにより、前記吸引排出口19は、前記集塵室13の上方でY軸方向の中央部側を指向して開口した状態に開口してある。前記傾斜底部21の上面21Uは、ワークの切断加工部において発生しアシストガス等によって吹き飛ばされた比較的大きな粉塵を、前記シュートプレート15の外側方向(図2において左方向)へ反射するための反射面を構成しているものである。
【0021】
前記シュートボックス17内で前記シュートプレート15の外側の位置(集塵室13がY軸方向の内側なので、シュートプレート15を間にしての集塵室13の反対側はY軸方向の外側となる)には、前記吸引排出口19と前記吸引ダクトとの連通を連通遮断自在な、すなわち開閉自在なシャッタ装置23が備えられている。
【0022】
より詳細には、図3に示すように、前記外壁部材18の内側面には、当該外壁部材18に形成した開口部25のX軸方向の両側に位置するサイドブラケット27が備えられており、このサイドブラケット27の上部及び下部は、X軸方向に長い上部ブラケット29U及び下部ブラケット29Lによって一体的に接続してある。すなわち、前記開口部25は、両側のサイドブラケット27及び上下のブラケット29U,29Lによって囲繞されている。
【0023】
そして、前記上下のブラケット29U,29Lには、垂直な回動軸31A,31Bの上下両端側が水平に回動自在に支持されており、この回動軸31A,31Bには、前記開口部25を開閉自在なシャッタープレート33A,33Bが一体的に取付けてある。前記回動軸31A,31Bを回動して前記シャッタープレート33A,33Bの開閉動作を行うために、シャッタ開閉作動装置35が備えられている。
【0024】
より詳細には、前記回動軸31A,31Bの上端部にはそれぞれ同一長さの回動レバー37A,37Bが一体的に取付けてあり、この回動レバー37A,37Bの先端部には、X軸方向に長いリンク部材39の両端部がそれぞれ枢支連結してある。そして、前記回動軸31A,31Bを回動するために、前記外壁部材18には、流体圧シリンダのごとき往復動アクチュエータ41が装着してあり、この往復動アクチュエータ41に往復動自在に備えたピストンロッドなどのごとき往復作動子41Pの先端部は、一方の回動レバー37Aの他端部に枢支連結してある。
【0025】
したがって、前記往復動用アクチュエータ41の往復作動子41Pを往復動すると、回動レバー37A、リンク部材39を介して回動軸31A,31Bが同時に往復回動される。よって、上記回動軸31A,31Bに一体的に備えられたシャッタープレート33A,33Bは、前記開口部25の開閉動作を行うものである。
【0026】
ところで、前記シャッタープレート33A,33Bを閉じた場合であっても、シャッタープレート33A,33Bの周縁部と前記開口部25との間に僅かな隙間が生じることがある。上述のように、隙間が生じると、吸引ダクトの吸引作用によって、前記隙間から空気が外部へ流出して、「ピュー」という風切り音を生じることがある。そこで、上記風切り音が発生する原因について調べたところ、空気が前記隙間を通過した後に、シャッタープレート33A,33Bの下流側(外側面側)に規則的な渦流が発生することに起因するものと考えられた。
【0027】
したがって、前記渦流の発生を防止するために、前記シャッタープレート33A,33Bの周縁の一部、本実施形態においては、図4に示すように、シャッタープレート33A,33Bの上下の周縁に、所定間隔に所定大きさの構成の凹部44を形成し、この凹部43を通過する細い空気の流れを形成した。その結果、風切り音の発生は抑制された。
【0028】
すなわち、上記構成によれば、シャッタープレート33A,33Bにおける上端縁と下端縁との下流側に、規則的な渦流が発生し、この渦流が下流側へ流れることと再び発生することを繰り返すことにより、シャッタープレート33A,33Bの上下両端縁に振動が生じ、前記風切り音が発生するものである。しかし、前記凹部44を所定間隔に備えたことにより、規則的な前記渦流の発生が乱されることとなり、風切り音の発生が抑制されるものである。
【0029】
なお、前記複数の凹部43は、細い空気の流れを形成するものであるから、細流形成部と称することができる。この細流形成部は、前記凹部43に限ることなく、適宜の形状に形成することが可能である。また、上下の端縁に近接した位置に小孔を形成し、この小孔を通過した細い空気の流れによって渦流の発生を乱す構成とすることも可能である。
【0030】
再び図2を参照するに、前記シャッタ装置23は、図2より明らかなように、前記シュートプレート15の下端縁15Lよりも高い位置に備えられている。そして、前記吸引排出口19を経て前記シャッタ装置23に吸引される空気の流路(経路)をより長くするために、前記シャッタ装置23の入口側、すなわち前記下部ブラケット29Uのシュートプレート15側の端縁には、立上りフランジ部材43が備えられている。
【0031】
したがって、吸引排出口19からの空気は、前記シュートプレート15の外側方向へ流れ、前記立上りフランジ部材43を乗り越えてシャッタ装置23に流入することとなり、空気の流路がより長くなるものである。よって、空気中に含まれる高温の粉塵の冷却がより確実に行われてから、シャッタ装置23に流入することとなるものである。
【0032】
また、前記シュートボックス17内であって前記吸引排出口19から前記シャッタ装置23に流れる空気の流路45内の前記吸引排出口19に対応した位置には、前記吸引排出口19から前記シャッタ装置23方向へ流れる空気の流れを、上層流(点線の流れ)と下層流(実線の流れ)とに分割(分離)する流路分割プレート47が備えられている。
【0033】
より詳細には、前記流路分割プレート47は、図2に示すように、前記シュートプレート15における下端縁15Lより低位置に配置してある。当該流路分割プレート47の内端縁部47A(前記吸引排出口19側の端縁部)は、前記シュートプレート15の下端縁15Lよりも低い位置であって、かつ前記下端縁15Lと前記傾斜底部21の上部に連続した水平面部21Aの内端縁部(傾斜底部21との接続縁部)21Bとを結ぶ面(線)よりも外側(図2において左側)に位置してある。そして、前記流路分割プレート47の外端縁部47Bは、前記内端縁部47Aよりは高く、かつ前記下端縁15Lよりは低く、又はほぼ同一高さに設けてある。すなわち、流路分割プレート47は、外側(図2において左側)が高くなるように傾斜してある。そして、前記外端縁部47BのY軸方向の外側の位置は、前記シャッタ装置23における前記立上りフランジ部43のY軸方向の位置をほぼ等しい位置に設けてある。
【0034】
前述のごとき構成において、下部フレーム3に備えたワークテーブル上に板状のワークを載置した後、X軸方向キャリッジ7をX軸方向に移動すると共に、レーザ加工ヘッド9をY軸方向に移動しつつ、レーザ加工ヘッド9からワークにレーザ光を照射することにより、ワークにレーザ切断加工を行うことができるものである。そして、従来の構成と同様に、X軸方向キャリッジ7をX軸方向に移動したとき、X軸方向キャリッジ7のX軸方向の位置に対応した集塵室13のシャッタ装置23のみが開作動され、その他の集塵室13のシャッタ装置23は閉作動された状態にある。
【0035】
そして、前述のごとくワークにレーザ光を照射してレーザ切断加工を行うとき、アシストガスによって加工位置から下方向へ吹き飛ばされる溶融飛散物としての高温の粉塵は、吸引排出口19に吸引され、シャッタ装置23を経て吸引ダクトに吸引排出されることになる。この際、軽く小さな粉塵は、空気の流れに対する抵抗が小さく流路分割プレート47の上側を流れる上層流に沿って流れてシャッタ装置23の開口部25へ吸引されることになる。すなわち、小さく軽い粉塵は熱容量が小さく冷却し易いものであり、かつ前記シャッタ装置23の入口側に備えた立上りフランジ部材43を乗り越える比較的長い流路(経路)を流れているうちに冷却されるものである。
【0036】
そして、大きく重い粉塵は、レーザ切断加工位置からアシストガスによって下方向へ吹き飛ばされることとなる。前記レーザ切断加工位置が前記吸引排出口19に近接した上方位置である場合には、下方向へ吹き飛ばされた粉塵は、吸引排出口19に作用する吸引作用によって吸引排出口19側に流れる傾向にあるものの、大きく重い粉塵は、空気の流れに対する抵抗が大きいので、空気の流れから逸れて、下方の傾斜底部21方向へ直線的に吹き飛ばされることになる。
【0037】
前述のように下方向へ吹き飛ばされて、前記傾斜底部21の上面21Uへ当接された粉塵は、図2に矢印で示すように、前記上面21Uにおいて前記シャッタ装置23方向へ反射されるものの、流路分割プレート47の存在により、前記シャッタ装置23方向へ直線的に流れることが阻害される。したがって、前記傾斜底部21によって反射された粉塵は、前記流路分割プレート47の下側の下層流に沿って流れることとなり、上記流路分割プレート47の外端縁部47Bとシャッタ装置23における下部ブラケット29Lの間を経てシャッタ装置23の開口部25へ吸引排出されることになる。
【0038】
よって、大きく重い粉塵は、流路分割プレート47の下側を通過することとなり、上側を通過する場合に比較して流路長が大きくなる。そのため、大きく重い粉塵の熱容量が大きい場合であっても、流路長が大きい部分を流れているうちに充分に冷却することとなるものである。
【0039】
したがって、レーザ切断加工時に発生した高温の粉塵が充分に冷却されないうちに吸引ダクト内へ吸引排出されることを防止でき、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【0040】
ところで、閉じられたシャッタ装置23も吸引ダクトに接続されているので、シャッタ装置23において閉じた状態のシャッタプレート23A,23Bの周縁の隙間から空気が吸引ダクト内へ吸引排出されるとき、上記隙間を流れる空気流によって風切り音を発生する傾向にある。しかし、シャッタプレート23A,23Bの周縁の一部に、シャッタプレート23A,23Bの下流側に規則的に発生する傾向にある渦流の発生を乱すための細流形成部(凹部)44が形成してあるので、前記渦流の発生に起因する風切り音の発生を防止でき、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザ加工機(熱切断機)
3 下部フレーム
5 ガイドレール
7 X軸方向キャリッジ
9 レーザ加工ヘッド(熱切断加工ヘッド)
13 集塵室
15 シュートプレート
15L 下端縁
17 シュートボックス
19 吸引排出口
21 傾斜底部
21U 上面(反射面)
23 シャッタ装置
25 開口部
29U 上部ブラケット
29L 下部ブラケット
31A,31B 回動軸
33A,33B シャッタープレート
43 立上りフランジ部材
44 凹部(細流形成部)
45 流路
47 流路分割プレート
47A 内端縁部
47B 外端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを支持するワークテーブルを備えた下部フレームを箱状に構成すると共に、当該下部フレームに備えたX軸方向のガイドレールに沿ってX軸方向へ移動位置決め自在なX軸方向キャリッジに、前記ワークに熱切断加工を行うための熱切断加工ヘッドをY軸方向へ移動位置決め自在に備えた熱切断加工における集塵装置であって、前記ワークテーブルの下方で前記下部フレーム内をX軸方向に複数に区画した各集塵室のY軸方向の両側に、下部側が内方向へ傾斜したシュートプレートを備え、前記各シュートプレートの下部側又は各シュートプレートの下端縁の下側に、前記ワークの加工時に発生した粉塵を吸引排出するための吸引排出口を備えると共に、各吸引排出口を、開閉自在なシャッタ装置を介して、下部フレームに備えた吸引ダクトに連通遮断自在に備え、前記シャッタ装置は、前記シュートプレートの外側であって、前記吸引排出口の上縁よりも高位置に備えられていることを特徴とする熱切断機における集塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱切断機における集塵装置において、前記吸引排出口の下部に、ワークの切断加工部から吹き飛ばされた粉塵を前記シュートプレートの外側へ反射するための反射面を備え、かつ前記シュートプレートの外側で前記吸引排出口に対応した位置に、前記吸引排出口から前記シャッタ装置方向へ流れる流体を、上層流と下層流とに分割する流路分割プレートを備えていることを特徴とする熱切断機における集塵装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱切断機における集塵装置において、前記シャッタ装置における入口に、立上りフランジ部材を備えていることを特徴とする熱切断機における集塵装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の熱切断機における集塵装置において、前記シャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタープレートの周縁の一部に、当該シャッタープレートの周縁部又は周縁部に近接した位置に、当該シャッタープレートを通過して下流側に発生する傾向にある渦流の発生を抑制するために、細い流れを形成するための細流形成部を備えていることを特徴とする熱切断機における集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45572(P2012−45572A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189666(P2010−189666)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】