説明

熱反射性粒子含有繊維

【課題】 赤外線反射機能を有する熱反射性粒子含有繊維を提供すること
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明者は繊維の製造過程で真球度の高い球状金属酸化物粒子を繊維に含有させることで、その繊維に熱反射性機能を付与できることを見いだした。高い熱線反射率を発揮できるため、この繊維により製造された衣類は、太陽光の赤外線による発熱を防ぎ、夏の屋外等の強い日差しの下でも着用している人が涼しく感じ、快適に過ごすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱線反射性粒子を繊維の製造過程で繊維に含有させてなる繊維に関し、さらに詳しくは、熱反射性機能を有する繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題、エネルギー問題が声高に叫ばれており、公共の場の冷暖房の過剰な稼働を控え、クールビズやウォームビズと称して、夏は薄着をし、冬は厚着をすることが奨励されている。そこで、衣料品において、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるような機能を有する素材に対する要望が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は高い赤外線反射率を有する熱反射性粒子を含有させた繊維を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明者は繊維の製造過程で真球度の高い球状金属酸化物粒子を繊維に含有させることで、該球状金属酸化物粒子が高い赤外線反射率を有することから、該繊維に熱反射性機能を付与できることを見いだした。
【発明の効果】
【0005】
本発明は高い赤外線反射率を有する球状金属酸化物粒子を繊維に含有させることで、該繊維に熱線反射機能を付与することが可能になった。よって該繊維により製造された衣料品は、太陽光の赤外線による発熱を防ぎ、夏の屋外等の強い日差しの下でも着用している人が涼しく感じ、快適に過ごすことができる。また、繊維に金属酸化物粒子を含有させることで、防水効果、防シワ効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明において球状金属酸化物粒子を繊維の製造過程で合成繊維に含有させる方法としては、例えばポリアミドやポリエステル等の溶融紡糸の場合には重合体を溶融状態とし、この中に球状金属酸化物粒子の粉末を均一に分散含有させた後、空気中、ガス中あるいは液体中に押し出す方法が採用できる。
【0007】
アセテートやオーロン等の乾式紡糸の場合は、重合体を適当な溶媒中に溶かして溶液状態とし、この中に球状金属酸化物粒子の粉末を均一に分散含有させた後、加熱させた空気中に押し出して溶剤を除去し重合体を固化繊維化する方法が採用できる。
【0008】
更にビスコースレーヨン、ビニロン等の湿式紡糸の場合は、重合体の溶液中に球状金属酸化物粒子を分散含有させた後、凝固浴中に押し出して固化繊維化する方法が採用できる。
【0009】
また、本発明において球状金属酸化物粒子を繊維の製造過程で木綿、麻、絹等の天然繊維に含有させる方法としては、染色の工程において、染料や顔料に球状金属酸化物粒子の粉末を均一に分散含有させ、染色をする方法を採用できる。
【0010】
前記の球状金属酸化物粒子の組成は特に限定しないが、含有する金属としてはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどが挙げられる。コストや性能などの観点からケイ素を用いたシリカが望ましい。また、該球状酸化物粒子の粒径は0.05μmから20μm程度、より好ましくは0.2μmから10μm程度のものが望まれる。また、粒径のばらつきができるだけ小さいものが望まれる。
【0011】
前記の球状金属酸化物粒子は真球度が0.7以上であることが望ましい。ここで、本明細書中における「真球度」とは、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値とする。1に近づくほど真球に近い。
【0012】
また、本発明の繊維は従来の繊維製品のすべてに適応でき、下着、洋和服、くつ下、手袋、マフラー、スカーフ、ショール、マスク、帽子等の衣類、布団綿、布団、カバー、枕カバー、敷布、毛布等の寝具、座布団、クッション、イス、ソファー、カーペット、カーテン、壁クロス等に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱反射性粒子含有繊維は、赤外線反射性を有する球状金属酸化物粒子を含有することを特徴とする繊維。
【請求項2】
熱反射性粒子含有繊維は、真球度が0.7以上の球状金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1の繊維。
【請求項3】
熱反射性粒子含有繊維は、球状金属酸化物粒子の組成がシリカであることを特徴とする請求項1から2のいずれかの繊維。

【公開番号】特開2011−6828(P2011−6828A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169479(P2009−169479)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(509192547)
【出願人】(509192558)
【Fターム(参考)】