説明

熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法

【課題】溝深さが深いパターンを形成するためのフロン系ガスのドライエッチングに対して高い耐性をもつ熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の熱反応型レジスト材料は、フロン系ガスを用いたドライエッチングに用いる熱反応型レジスト材料であって、主要フッ化物の沸点が200℃以上である元素を少なくとも1種類含んでおり、分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料のいずれかを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対して高い耐性を持つ熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体、光学・磁気記録等の分野において高密度化、高集積化等の要求が高まるにつれ、数百〜数十nm程度以下の微細パターン加工技術が必須となっている。そこで、これら微細パターン加工を実現するためにマスク・ステッパー、露光、レジスト材料等の各工程の要素技術が盛んに研究されている。
【0003】
例えば、マスク・ステッパーの工程においては、位相シフトマスクと呼ばれる特殊なマスクを用い、光に位相差を与え、干渉の効果により微細パターン加工精度を高める技術や、ステッパー用レンズとウエハーとの間に液体を充填し、レンズを通過した光を大きく屈折させることにより、微細パターン加工を可能にする液浸技術などが検討されている。しかしながら、前者ではマスク開発に莫大なコストが必要なことや、後者では高価な装置が必要になることなど製造コストの削減は非常に困難である。
【0004】
一方、レジスト材料においても多くの検討が進められている。現在、最も一般的なレジスト材料は、紫外光、電子線、X線などの露光光源に反応する光反応型有機レジスト(以下、フォトレジストともいう。)である(以下、特許文献1、非特許文献1を参照のこと)。
【0005】
露光に用いられるレーザー光において、通常レンズで絞り込まれたレーザー光の強度は、図8に示すようなガウス分布形状を示す。このときスポット径は1/eで定義される。一般的にフォトレジストの反応は、E=hν(E:エネルギー、h:プランク定数、ν:波長)で表されるエネルギーを吸収することよって反応が開始される。したがって、その反応は、光の強度には強く依存せず、むしろ光の波長に依存するため、光の照射された部分(露光部分)は、ほぼ全て反応が生じることになる。このため、フォトレジストを使った場合は、スポット径に対して忠実に露光されることになる。
【0006】
光反応型有機レジストを用いる方法は、数百nm程度の微細なパターンを形成するには非常に有効な方法ではあるが、光反応を用いたフォトレジストを用いるため、さらに微細なパターンを形成するには、原理的に必要とされるパターンより小さなスポットで露光する必要がある。したがって、露光光源として波長が短いKrFやArFレーザー等を使用せざるを得ない。しかしながら、これらの光源装置は非常に大型でかつ高価なため、製造コスト削減の観点からは不向きである。また、電子線、X線等の露光光源を用いる場合は、露光雰囲気を真空状態にする必要があるため、真空チェンバーを使用する必要があるため、コストや大型化の観点からかなりの制限がある。
【0007】
一方、図8で示すような分布を持つレーザー光を物体に照射すると、物体の温度もレーザー光の強度分布と同じガウス分布を示す(図9参照)。このときある温度以上で反応するレジストである熱反応型レジストを使うと、図9に示すように、所定温度以上になった部分のみ反応が進むため、スポット径より小さな範囲を露光することが可能となる。すなわち、露光光源を短波長化することなく、スポット径よりも微細なパターンを形成することが可能となるので、熱反応型レジストを使うことにより、露光光源波長の影響を小さくすることができる。
【0008】
光記録の分野においては、WOx、MoOxその他カルコゲナイドガラス(Ag−As−S系)などを熱反応型レジストとして用い、半導体レーザーや476nmレーザーで露光して微細パターンを形成する技術が報告されている(以下、特許文献2、非特許文献2を参照のこと)。これら光記録分野で用いられる光ディスクは、レジスト材料が塗布されたディスクにレーザーを照射して、ディスク表面に設けられた微細な凹凸に記録された情報を読み取るメディアの総称であり、トラックピッチと呼ばれる記録単位の間隔が狭いほど、記録密度が向上し、面積ごとに記録できるデータ容量が増加する。そのため、記録密度を向上させるためにレジスト材料による微細な凹凸パターンの加工技術の研究が行われている。しかしながら、これらの熱反応型レジストを用いた研究は、膜面方向にパターンのピッチを狭める(情報の記録密度向上)要望に対応したもので、膜厚方向へ深く溝を形成する要望がなかった。一方、近年溝深さの深いパターン形状を用いるアプリケーションの要望が他分野で増えてきている。膜厚方向の溝の深さは、熱反応型レジストの膜の厚さがそのまま深さ方向の溝の深さになるため、深く溝を形成するためには、熱反応型レジストを厚くする必要がある。しかしながら、膜厚が厚くなることにより、露光による膜厚方向への均一性が失われてしまい、結果として、深さ方向だけでなく、膜面方向の微細パターンの加工精度も低下してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、これらの熱反応型レジスト膜の下に形成したい溝深さ分の厚みの膜(以下、エッチング層ともいう。)を予め成膜しておき、露光・現像しパターン形状を付与された熱反応型レジストをマスクとして、下層の膜に深い溝を形成する手法が考えられる。通常、深さ方向に均一にエッチングするためにはドライエッチングによる加工が用いられる。例えば、エッチング層にSiOを使用するとフロン系ガスでドライエッチングすることが可能である。ドライエッチングにより加工する場合、マスクとなるレジスト材料には微細パターン加工ができること以外にフロン系ガスのドライエッチングに耐性があることが求められる。上記したように、これまでに、光記録の分野で研究が進められてきた熱反応型レジスト材料を転用した例としてWOx、MoOxが報告されている。これらの熱反応型レジストは、フロン系ガスでドライエッチングした場合、開示されているWOxでは、SiOのエッチング耐性の3倍未満(SiOのエッチング速度をWOxのエッチング速度で除した値)に過ぎず、深い溝を形成するためのマスク材料としては、不十分なものである(以下、非特許文献3を参照のこと)。
【0010】
一方、比較的高いドライエッチング耐性を有するAg、Cu及びそれらの化合物や、ドライエッチング耐性を有する酸化物(公開されている材料の内一部の材料に限る)を熱反応型レジストとして用いて、下層にエッチング層を積層した積層体材料が開示されている(以下、特許文献3、特許文献4を参照のこと)。前者は、紫外線を用いてレジスト材料を昇華させることでパターンを形成し、その後ドライエッチングを実施することで深い溝を形成するとしている。しかしながら、実施例で開示されている積層体Ag(レジスト層)/As(エッチング層)においては、Asが加熱により先に昇華してしまい、目的としているプロセスを達成するには至っていない。一方後者は、酸化物材料に、熱・光・ガス反応等で凝集・核形成・分解作用を誘起し、海島パターン形成し、その後ドライエッチングを実施することで深い溝を形成している。しかしながら、ランダムな海島構造しか形成することができず、均一な凹凸やライン形状の微細パターンなどの、パターンサイズの制御が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−144995号公報
【特許文献2】特開2007−315988号公報
【特許文献3】特開昭60−98535号公報
【特許文献4】特開2008−168610号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】(株)情報機構 発刊 「最新レジスト材料」 P.59−P.76
【非特許文献2】SPIE Vol.3424 (1998) P.20
【非特許文献3】The 19th Symposium on Phase Change Optical Information Storage (2007) P.77
【非特許文献4】(株)情報機構 発刊 「ナノインプリント応用実例集」P.611−P.612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、溝深さが深いパターンを形成するためのフロン系ガスのドライエッチングに対して高い耐性をもつ熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、かかる課題を解決すべき鋭意検討し実験を重ねた結果、主要フッ化物の沸点が200℃以上のものから選択された元素を含むレジスト材料は、フロン系ガスのドライエッチングに対して高い耐性をもつ熱反応型レジスト材料が得られることを、発見し、本発明を完成するに至った。本発明は、具体的には、以下のとおりである。
【0015】
本発明の熱反応型レジスト材料は、フロン系ガスを用いたドライエッチングに用いる熱反応型レジスト材料であって、主要フッ化物の沸点が200℃以上である元素を少なくとも1種類含んでおり、分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料のいずれかを含有することを特徴とする。
【0016】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、レーザーのスポット径内において、熱反応する領域、及び熱反応しない領域の双方を有することが好ましい。
【0017】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、分解によりパターン形成可能であることが好ましい。
【0018】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、分解性酸化物、分解性窒化物、分解性炭化物、分解性炭酸化物、分解性硫化物、分解性セレン化物のいずれかを含有し、前記分解性酸化物がAg、Au、Pdを除くII、V、VI、VII、VIII、IX、XI、XII、XIV族から選ばれた元素の酸化物、前記分解性窒化物がAg、Auを除くII、VI、VIII、XI、XII族から選ばれた元素の窒化物、前記分解性炭化物、前記分解性炭酸化物、前記分解性硫化物、分解性セレン化物がII〜IX族及びXI〜XV族から選ばれた元素の炭化物、炭酸化物、硫化物、セレン化物から選ばれた化合物であることが好ましい。
【0019】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、前記分解性酸化物が、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、TaO、Rh、RuO、MgO、CaO、BaO、ZnO、前記分解性炭化物がNdC、Al、前記分解性炭酸化物が、MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、ZnCO、CdCO、AgCO、PbCO、NiCO、前記分解性窒素化物がZn、CrN、CuN、FeN、Mg、前記分解性硫化物がCuS、Ni、FeS、FeS、Fe、SnS、HfS、TiS、Rh、RuS、Bi、Cr、GaS、BaS、MnS、Nd、前記分解性セレン化物がCuSe、BiSe、FeSe、GaSe、のいずれかであることが好ましい。
【0020】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、前記分解性酸化物がCuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、MgO、CaO、BaO、ZnO、前記分解性炭酸物がMgCO、CaCO、SrCO、BaCO、前記分解性硫化物がCuS、FeS、SnS、HfS、前記分解性セレン化物がCuSeのいずれかであることが好ましい。
【0021】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、前記分解性酸化物がCuO、Co、MnO、Mn、CrO、Pb、BaO、CaCO、前記分解性硫化物がFeS、SnS、前記分解性セレン化物がCuSe、のいずれかであることが好ましい。
【0022】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、さらにAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、C及びBからなる群より選ばれた少なくとも1つの元素が含有されていることが好ましい。
【0023】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、前記熱反応型レジスト材料が、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnSのいずれかであることが好ましい。
【0024】
本発明の熱リソグラフィ用積層体は、基材上に配されたエッチング層と、前記エッチング層上に設けられ、上記熱反応型レジスト材料を主に含有する熱反応型レジスト層とを備え、前記エッチング層を構成するエッチング材料が、主要フッ化物の沸点が250℃以下である元素を少なくとも1種類以上含み、且つ、前記熱反応型レジスト材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点が、前記エッチング材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点より高いことを特徴とする。
【0025】
本発明の熱リソグラフィ用積層体においては、前記エッチング材料が、Ta、Mo、W、C、Si、Ge、Te、及びP並びにそれら2種類以上の複合物、並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物からなる群より選ばれた材料であることが好ましい。
【0026】
本発明の熱リソグラフィ用積層体においては、前記エッチング材料が、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物並びにMo、Wのシリサイドからなる群より選ばれた材料であることが好ましい。
【0027】
本発明の熱リソグラフィ用積層体においては、前記エッチング材料が、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物からなる群より選ばれた材料であることが好ましい。
【0028】
本発明の熱リソグラフィ用積層体においては、前記エッチング材料が、SiO、Si、及びSiからなる群から選ばれた材料であることが好ましい。
【0029】
本発明のモールドの製造方法は、基材上に、上記熱リソグラフィ用積層体で用いられたエッチング材料からなるエッチング層を配置し、さらに前記エッチング層上に、上記熱反応型レジスト材料からなるレジスト層を積層して積層膜を形成する工程(1)と、前記積層膜の熱反応型レジスト層を、露光した後、現像する工程(2)と、引き続き、前記熱反応型レジスト層をマスクとして、フロン系ガスで前記エッチング層をドライエッチングする工程(3)と、前記熱反応型レジストを除去して、モールドを製造する工程(4)と、
を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明のモールドの製造方法においては、前記工程(1)における積層が、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法を用いて行なわれることが好ましい。
【0031】
本発明のモールドの製造方法においては、前記基材が平板形状であることが好ましい。
【0032】
本発明のモールドの製造方法においては、前記基材がスリーブ形状であることが好ましい。
【0033】
本発明のモールドの製造方法においては、前記工程(2)における露光が半導体レーザーで行われることが好ましい。
【0034】
本発明のモールドは、上記モールドの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0035】
本発明のモールドにおいては、1nm以上1μm以下の微細パターンを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、溝深さが深いパターンを形成するためのフロン系ガスのドライエッチングに対して高い耐性をもつ熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】フッ化物の沸点とドライエッチングレートの関係を示した図である。
【図2】熱反応型レジスト材料が反応する領域と反応しない領域を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体の他の例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体のその他の例を示した図である。
【図6】ドライエッチング後の断面SEM像を示した図である。
【図7】ドライエッチング後の断面SEM像を示した図である。
【図8】レーザー光の強度分布を示した図である。
【図9】レーザー光を照射された部分の温度分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し、高い耐性を有する。
【0039】
上記したように、微細パターン形状とともに溝の深さも所望の深さに深くしたパターンを形成したい場合は、熱反応型レジスト材料を単独で使用するだけでは困難であり、熱反応型レジスト材料の下層にエッチング層を形成した積層構造が必要になる。この場合、下層のエッチング層がドライエッチング処理されている間、マスクとして機能している熱反応型レジスト材料には、高いドライエッチング耐性が求められることになる。換言すれば、本発明に係る熱反応型レジスト材料においては、フロン系ガスによるドライエッチング処理において、熱反応型レジスト材料のエッチング速度が遅いか又はエッチングされないということが、重要になる。
【0040】
ここで、フロン系ガスによるドライエッチングのメカニズムを考えた場合、ドライエッチング装置の真空チェンバー内で活性化したフッ素は、レジストに用いられている元素と結合して、フッ化物を形成する。そのフッ化物の蒸気圧が比較的高い場合(すなわち、そのフッ化物の沸点が比較的低い場合)には、そのフッ化物は気化してレジスト材料中から消失するため、結果としてエッチングされたことになる。一方、フッ化物の蒸気圧が比較的低い場合(すなわち、そのフッ化物の沸点が比較的高い場合)には、気化し難いためエッチング速度が遅くなるか又はエッチングされない。この蒸気圧の高低は、そのフッ化物の沸点と関係が深い。
【0041】
今般、本発明者らは、実験を重ねた結果、熱反応型レジスト材料に選択する元素の中で、その元素のフッ化物の沸点が200℃以上となる元素を熱反応性レジスト材料として選択することで、該レジスト材料が、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し高い耐性を示すことを発見し、その効果を確認した。なおフッ化物の沸点とは、元素が多価のフッ化物を形成する場合は、金属の主たる価数のフッ化物の沸点(=主要フッ化物の沸点)のことをいう。例えば、クロムを例にとると、クロムは0価、2価、3価、6価の価数をとり得る。このため、クロムのフッ化物は、CrF、CrF、CrFが形成可能であるが、クロムの主たる価数は3価であることから、クロムの主要フッ化物とは、CrFを指し、主要フッ化物の沸点とは、CrFの沸点のことを指す。
【0042】
本発明に係る熱反応型レジスト材料を構成する元素のフッ化物の沸点は、200℃以上であり、好ましくは250℃以上、より好ましくは700℃以上、さらに好ましくは800℃以上、最も好ましくは950℃以上である。フッ化物の沸点が高くなるにつれフロン系ガスを用いたドライエッチング耐性がより高くなる。以下の表1に本発明に係る熱反応型レジスト材料を構成する元素のフッ化物の沸点を示す(沸点のないものは融点で代用する)。また、本明細書で開示の各種金属のフッ化物の沸点とCFガスによるドライエッチングレートの関係を図1に示す。図1が示唆するように、熱反応型レジスト材料は、フッ化物の沸点が200℃以上の元素で構成されることで、高いドライエッチング耐性を有することができる(フッ化物の沸点が200℃を下回ると指数関数的にドライエッチングレートが増加する)。ここで図1は、金属単体のドライエッチングレートを示しているが、酸化物、窒化物、炭化物、炭酸化物、セレン化物に関しても、各化合物に含まれる金属がドライエッチングレートを大きく左右するため、傾向は同じである。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、レーザーのスポット径内(照射範囲内)に熱反応する領域と熱反応しない領域の双方を有することが好ましい。本発明においては、レジスト材料としてフォトレジスト材料ではなく、熱反応型レジスト材料に着眼したことにより、レーザー光の照射範囲内において、レジスト材料が反応する領域、及び反応しない領域の双方を有することを達成している。図2は、熱反応型レジスト材料にレーザー光を照射した場合におけるレーザー光のスポット径(照射領域)とスポット径内の温度分布との関係を示す模式図である。図2に示すように、熱反応型レジスト材料の主面に対し、略垂直にレーザー光を照射した場合、レーザー光のスポット径は、レーザー光の焦点を中心に、レジスト材料の主面に対して略円形形状に形成される。ここで、レーザー光のスポット径内における温度分布は、図2の上段に示すように、レーザー光の焦点付近を頂点とし、照射範囲の外周縁に向かうにつれて低くなる。この場合、所定の温度で反応する熱反応型レジスト材料を用いることにより、レーザー光の焦点付近を露光することができる。すなわち、熱反応型レジスト材料が、レーザーのスポット径内に生じた温度分布に対して、所定温度以上で反応する領域を持つようにすることで、スポット径より微細な加工を実現することを可能にしている。これにより、本発明では、小型でかつ安価で特殊な付帯設備が不要である半導体レーザーを使って露光を行うことができる。例えば、現状市販されている短波長の半導体レーザーの波長は405nm程度で、そのスポット径は420nm程度(開口数:0.85)である。このため、420nm以下の微細加工は、フォトレジスト材料を使う限り原理的に不可能であるが、熱反応型レジスト材料を使うことでこの限界を超えることが出来、半導体レーザーの波長以下の微細加工を行うことができる。
【0045】
本発明の熱反応型レジスト材料においては、酸化、分解、溶融、相変化のいずれかによりパターン形成可能な材料を含有することが好ましい。
【0046】
これまでに、熱反応型レジスト材料に、酸化、分解、溶融、相変化、凝集、昇華などの反応を用いて、パターンを形成する方法が報告されている。この中で、凝集型のレジスト材料の多くは、核の形成を伴うためランダムな成長が生じやすく、均一なパターン形成が困難であると考えられる。また昇華型のレジスト材料は、もともと昇華する材料が非常に少ない上に、固体から気体まで一気に反応を進行させるため非常に大きなエネルギーを必要とし、加熱源に大きな制約が生じるなど制約が非常に大きい。これに対し、酸化、分解、溶融、相変化する材料は、種類が非常に多いため、本発明に係るレジスト材料選択フッ化物の沸点が200℃以上の元素からなる材料の中にも、酸化、分解、溶融、相変化する材料が存在し、本発明に係る熱反応型レジスト材料として、選択することができる。さらに、酸化、分解、溶融、相変化する材料は、凝集、昇華する材料に比べ、均一なパターン制御性が高く、本発明に係る熱反応型レジスト材料として好ましく、さらに好ましくは酸化、分解、溶融する材料である。相変化材料は、比較的低温で反応が進行する材料が多く、時として環境からの外乱要因を受けやすくなるためである。最も好ましくは、酸化、分解する材料である。溶融する材料に比べ、酸化、分解する材料は、微細パターン形状(ラフネス等)に優れるためである。
【0047】
熱反応型レジスト材料は、酸化、分解、溶融、相変化を生じさせることで、変化が生じた部分とそうでない部分との間に、物理的、化学的に相違が生じ、現像液でのエッチングレートに差が生じるため、レジストとして所望の微細パターンを形成することができる。
【0048】
本発明の熱反応型レジスト材料のうち、酸化により現像差を生み出す材料として不完全酸化物材料があり、分解により現像差を生み出す材料として分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料があり、溶融により現像差を生み出す材料として溶融性複合金属材料、相変化により現像差を生み出す材料として相変化性複合金属材料、なお酸化により現像差を生みだす材料として酸化性複合金属材料もある。本発明に係る熱反応型レジスト材料においては、これらの材料を用いることで所望の微細パターンを形成することができる。
【0049】
本発明の熱反応型レジスト材料のうち、不完全酸化物材料について詳説する。
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、不完全酸化物を含有することが好ましい。ここで、本明細書中、「不完全酸化物」とは、遷移金属及びXII族〜XV族元素からなる群から選択される元素において、その元素がとりうる価数に応じた化学量論組成の酸化物より酸素含有量が不足した状態をいう。化学量論組成に比べ酸素が不足していることで、元素は、さらに酸素と結合することが可能である。この不完全な酸素(酸化度)の状態に、露光等で加熱を行うことで、加熱部の酸化反応が進行し、加熱部と未加熱部で酸化度の違いが生じる。この酸化度の違いを利用して現像によりパターンを形成することが可能になる。不完全酸化物の酸化度についてCrを例に挙げて説明すれば、化学式CrOの酸化状態を組成の割合に換算するとCr1−xと表すことができ、x=0.75の場合がCrOに対応して、酸素とそれ以上結合できない状態である。したがって、不完全酸化物とは0<x<0.75の範囲で表されるものを示すが、本発明の熱反応型レジスト材料において、x=0.75に近い酸化状態であると、加熱によりさらに酸化が進んだとしても、加熱部と未加熱部の酸化度の違いがあまりなく、現像によるパターンを形成することが難しくなる。このため、本発明に係る熱レジスト材料に用いられる不完全酸化物は、酸化度が化学量論組成に比較し、酸素が20%以上まで欠損していることが望ましい。また、元素によっては、1つの元素が異なる価数の酸化物を形成することが可能である。この場合は、価数に応じた化学量論組成の酸化物より酸素含有量が不足した状態も本発明の不完全酸化物とする。なお、元素の価数及び酸素量は、例えば蛍光X線分析装置やX線光電子分光分析装置等で分析することができる。
【0050】
本発明に係る不完全酸化物からなる熱反応型レジスト材料に用いられる元素は、遷移金属及びXII族〜XV族元素の中で、その元素のフッ化物の沸点が200℃以上である元素から選択される一種類以上の元素あり、具体的には、遷移金属ではTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Rh、Ag、Hf、Ta、及びAuであり、XII〜XV族元素ではAl、Zn、Ga、In、Sn、Sb、Pb、及びBiである。より好ましくは、遷移金属として、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Ag、Ta、及びAuが挙げられ、XII〜XV族元素として、Sn、Pb、及びBiが挙げられる。これらの元素は、その元素のフッ化物の沸点が200℃以上あるため、フロン系ガスによるドライエッチングに高い耐性を有する。
【0051】
一方、本発明に係る熱反応型レジスト材料に求められる要件に、ドライエッチング耐性以外に、上述の通り所望の微細パターンが形成できることがある。本発明に係る熱反応型レジスト材料のうち、より好ましい材料群は、非常にドライエッチング耐性に優れた材料群Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Ag、Au、及びPbと、後述の熱γ特性(微細なパターンを形成する能力)に優れる材料群Nb、Ta、及びSnに分けられる。熱反応型レジスト材料は、目的に応じて、ドライエッチング耐性を、より重要視する場合(アスペクト比(溝の深さをパターン幅で除した値)重視)、微細パターン加工を、より重要視する場合で使い分けることができる。さらには、該ドライエッチング耐性と該熱γ特性の双方をバランスよく兼ね備えた材料が、Cr、Nb、Ta、Sn、Pb、及びTiであり、応用面で使用用途が広い。ただし、いずれの元素もフッ化物の沸点が200℃以上あり、ドライエッチング耐性は十分にあるので、後述のドライエッチング材料との組み合わせを適宜選択することで、いずれの元素を用いても十分なアスペクト比を達成することができる。一方、これら金属のエッチングレートは、用いるガスの種類によって多少の差が生じる。従って適宜エッチングガスを選択することも重要であり、例えば、Nbは、CHFを用いることでエッチング耐性を向上させることができる。
【0052】
本発明では、このように、フッ化物の沸点が200℃以上ある元素を熱反応型レジスト材料に用いることで、熱反応型レジスト材料は、エッチング層(例えばSiO)のエッチング耐性の約3倍以上のエッチング耐性を持つことができる。約3倍以上のドライエッチング耐性をもつ熱反応型レジスト材料を用いることで、熱反応型レジスト材料が、深い溝を形成するマスクとして機能し、エッチング層をエッチング処理でき、溝の深いパターン形状を形成することが可能になる。
【0053】
また、本発明に係る熱反応型レジスト材料に用いられる不完全酸化物は、酸素欠損があるため、酸素の欠損がない状態に比べ、結晶構造が不確定になりやすく、アモルファス状態を作りやすい。アモルファス状態は、後述の通り、微細パターンのエッジのラフネスを下げることができ好ましい。さらには、不完全酸化物材料は金属材料に比べ反射率が低いため露光による熱の吸収効率が高い場合が多く、好ましい。
【0054】
次に、本発明に係る熱反応型レジスト材料のうち、分解性材料、具体的には、分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料について詳説する。
【0055】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、フッ化物の沸点が200℃以上である元素であり、上述した分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料を含有することが好ましい。分解性酸化物材料としては、Ag、Au、Pdを除くII、V、VI、VII、VIII、IX、XI、XII、XIV族から選ばれた元素の酸化物、分解性窒化物材料としては、Ag、Auを除くII、VI、VIII、XI、XII族から選ばれた元素の窒化物、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料としては、II〜IXおよびXI〜XV族から選ばれた元素の炭化物、炭酸化物、硫化物、セレン化物からなる群から選ばれた化合物を含む材料であってもよい。これらの分解性材料は、フロン系ガスに対するドライエッチング耐性があるのは勿論のこと、加熱により該分解性材料が分解することで、制御された微細パターンを形成することが可能である。
【0056】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、フッ化物の沸点が200℃以上の元素を少なくとも1種類含むことを特徴としているが、フッ化物の沸点が200℃以上の元素を少なくとも1種類以上含む分解性材料は、複数存在する。中でも本発明において選択される分解性材料は、好ましくは、加熱による分解挙動が非常に急峻で、分解が開始する温度から分解が終了するまでの温度域が非常に小さいのが好ましい。すなわち分解の開始から終了までの温度差を△Tとすると△Tが非常に小さいことが好ましい。このような熱反応の開始から熱反応の終了まで反応速度が速く、かつ反応の前後の温度変化が小さい特性を熱γ特性とすると、本発明に係る熱反応型レジスト材料は、熱γ特性に非常に優れる材料であることが好ましい。
【0057】
熱γ特性が図2に示すように所定の温度に達した箇所のみが急峻に反応する、すなわち分解性の熱反応型レジスト材料の場合、急峻に分解するために、急峻な反応がすすみ、現像時における現像差が生じやすく、微細パターンを形成することが可能になる。この熱γ特性の判断は、例えば温度に対する重量変化測定(TG測定)などを行うことで確認することができる。
【0058】
本発明における分解性材料の内、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、セレン化物とは、例えば酸化物の場合、完全酸化物およびやや酸素が抜けた状態の酸化物も本発明に係る完全酸化物の範疇に含まれ、レーザー露光により分解する状態であれば出発物質の状態は高度に制御する必要がない。
【0059】
ここで、上述の不完全酸化物と比較すると、不完全酸化物は、加熱することで、加熱部の酸化度を大きくして、酸化度の違いを生み出し、現像差を出しパターン形成を可能にしている。一方、分解性材料は、例えば分解性酸化物の場合、加熱することで、加熱部の分解を生じさせ、加熱部の酸化度を小さくして、酸化度の違いを生み出し、現像差を出しパターン形成を可能にしている。したがって、分解性材料は、不完全酸化物材料と熱反応型レジスト材料の現像のメカニズムが全くことなる。分解性材料としては、レーザー露光により、分解する状態であれば酸化度に関しては大きな問題ではない。ここで、酸化度について記載するならば、加熱により酸化が進む状態、すなわち不完全酸化物の状態では分解が困難であるため、分解性酸化物の酸素の範囲は、不完全酸化物の酸素の割合より酸素が多い状態と定義できる。
【0060】
本発明に係る分解性の熱反応型レジスト材料は、熱γ特性が良い材料から選択され、具体的には、分解性酸化物として、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、TaO、Rh、RuO、MgO、CaO、BaO、ZnOが挙げられ、分解性炭化物として、NdC、Alが挙げられ、分解性炭酸化物として、MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、ZnCO、CdCO、AgCO、PbCO、NiCOが挙げられ、分解性窒化物として、Zn、CrN、CuN、FeN、Mgが挙げられ、分解性硫化物として、CuS、Ni、FeS、FeS、Fe、SnS、HfS、TiS、Rh、RuS、Bi、Cr、GaS、BaS、MnS、Ndが挙げられ、分解性セレン化物として、CuSe、BiSe、FeSe、GaSeが挙げられ、好ましくは、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、MgO、CaO、BaO、ZnO、MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、CuS、FeS、SnS、HfS、CuSeであり、より好ましくは、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnS、CuSeであり、さらに好ましくは、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Pb、BaOである。これらの材料は、非常に優れた熱γ特性を有する。該材料の酸化度、窒化度、炭化度、炭酸化度、硫化度、セレン化度については、前述と同様レーザー露光により分解する状態であれば、本発明に係る熱反応型レジスト材料の範疇に含まれる。
【0061】
これらの分解性材料を用いることにより、均一な凹凸やライン形状など制御された微細パターンを形成することが可能である。
【0062】
本発明における該分解性材料が分解するとは、加熱で分解性材料がある温度(分解温度)に達したときにある温度に達する前に比べて変化していることをいい、例えば、酸化物の場合は、分解性材料中に含まれる酸素の一部又は全部を放出する変化を、硫化物の場合は、分解性材料中に含まれる硫黄の一部又は全部を放出する、又は硫黄の放出と共に酸化が進行する変化などをいう。
【0063】
本発明の分解性の熱反応型レジスト材料は、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Pb、BaOであることが最も好ましい。これらの熱反応型レジスト材料は、上述の特性は勿論のこと、現像特性(露光部と未露光部の現像差が大きくとれること)が非常に優れる分解性材料群であり、熱反応型レジスト材料として非常に優れている。
【0064】
また、本発明の熱反応型レジスト材料に用いられる分解性材料は、不完全酸化物に比べ緻密な酸化度の制御が不必要であるため製造が容易である。さらには、分解性材料の多くは、分解の前後で大きく構造が変化するため、分解前後での現像差が生じやすく、製造上扱いが容易になる。また、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnSのうち、過酸化物であるBaO、炭酸化物であるCaCO、硫化物であるFeS、SnSに比べ、酸化物であるMn、CuO、Co、Pbは非常に経時安定性に優れるため製造上好ましい。
【0065】
本発明において使用する溶融性、相変化性、酸化性の熱反応型レジスト材料は、優れたドライエッチング耐性を有する上に、レジストとして優れた特性を兼ね備えている。すなわちレーザーで露光することで、溶融、相変化、酸化させて微細パターンを形成することが可能である。該熱反応型レジスト材料は、レーザー露光により照射されるエネルギーを熱エネルギーとして吸収し、物理変化及び又は化学変化することで、微細パターンを形成することができる。
【0066】
最後に、本発明のレジスト材料の内、溶融性複合金属材料、相変化性複合金属材料、及び酸化性複合金属材料について詳説する。
【0067】
本発明に係る溶融性複合金属材料、相変化性複合金属材料、及び酸化性複合金属材料に用いられている金属は、フッ化物の沸点が200℃以上である金属の群、すなわちフッ素系ガスを用いたドライエッチング処理に対し耐性が高い金属の群(α)と、フッ化物の沸点が200℃未満である金属の群、すなわちフッ素系ガスを用いたドライエッチング処理に対し耐性が乏しい金属の群(β)と、に大別して、フッ化物の沸点が200℃以上である金属を少なくとも1つ以上選択されることが、好ましい。フッ化物の沸点が200℃以上の金属が含まれることで、フッ素系ガスを用いたドライエッチング処理に対し耐性を有することができる。このため、これらの金属材料を用いることで、深い溝を形成するマスクとして機能し、エッチング層をエッチング処理でき、溝の深いパターン形状を形成することが可能になる。具体的には、金属群(α)がMg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Biからなり、金属群(β)がV、Mo、W、Ge、Se、Teからなることが好ましく、金属群(α)がMg、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、In、Pb、Sb、Biからなり、金属群(β)がV、Mo、W、Ge、Teからなることがさらに好ましくい。
【0068】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、上記群(α)と上記群(β)から選択される2種類の金属を含有し、かつ、該金属のうち少なくとも1種類以上が群(α)から選択されることが好ましい。さらには、群(α)のみから選択される場合は、In−Sb、Sn−Sb、Cr−Sb、Ga−Sb、In−Sn、Ni−Sn、Al−Sn、Bi−Sn、Sn−Pb、Ni−Bi、Zn−Sb、Ni−Cr、Ni−Nb、Al−Ni、Cu−Zr、Ag−Znであることが好ましく、群(α)と群(β)とから各々1つ選択される場合は、Ge−Sb、Sb−Te、Bi−Te、Ni−W、Zn−Te、Pb−Te、Mo−Nb、W−Nb、Cr−Mo、Cu−Vであることが好ましい。前述の金属の組み合わせを選択することで、レーザー露光した時に物理変化及び/又は化学変化である溶融、相変化、酸化を効果的に起こし、優れたレジスト特性を示すことができる。
【0069】
本発明に用いる溶融性、相変化性、酸化性の熱反応型レジスト材料は、溶融性材料がBi−Te、Sb−Te、In−Sn、Ni−Sn、Al−Sn、Mo−Nb、Ag−Zn、Bi−Sn、Ni−Cr、Ni−Nb、Al−Ni、Cu−Zr、Ni−W、Pb−Te、W−Nb、Cr−Moで、酸化性材料がNi−Bi、Cu−V、Bi−Te、Sn−Pb、Sn−Sb、Cr−Sb、In−Sn、Ni−Sn、Al−Sn、Mo−Nb、Ag−Zn、Bi−Sn、Ni−Cr、Ni−Nb、Al−Ni、Cu−Zr、Ni−W、Pb−Te、W−Nb、Cr−Mo、Ga−Sbで、相変化性材料Ge−Sb、In−Sb、Ga−Sb、Zn−Te、Zn−Sb、Cr−Sb、In−Sn、Mo−Nb、に大別することができる。
【0070】
ここで、群(α)と群(β)から各々1つ選択される金属をレジスト材料として用いた場合でも、群(α)から選択される金属を含有するために、レジスト材料がドライエッチング耐性を保有しており、優れたレジスト特性と優れたドライエッチング耐性を兼ね備えることができる。ここで、より高いドライエッチング耐性を重要視する、すなわちアスペクト比を重視した場合には、ドライエッチング耐性群(α)のみから選択される金属をレジスト材料として用いることが好ましい。フッ化物の沸点が200℃以上である金属のみから構成されるレジスト材料を用いることで、より高いドライエッチング耐性を有することができる。
【0071】
さらに、本発明に係る熱反応型レジスト材料の組成は、少なくとも金属間化合物あるいは共晶状態をなすことが好ましい。本発明における金属化合物あるいは共晶の組成とは、実質的に金属間化合物あるいは共晶を形成している組成をいい、金属間化合物あるいは共晶をなす組成の範囲内でレジスト特性を悪化させない範囲であれば、組成ずれがあっても良い。金属間化合物あるいは共晶をなす組成は、金属データブック、Metallurgy and Metallugical Engineering Seriesなどに記載されている。なお、複合金属として、3種類以上の金属も考えられるが、製造工程において、組成ずれが生じやすくなるため、組成制御を行いやすい2種類がより好ましい。
【0072】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、具体的には、(I)InSb95、In32Sb68、In68Sb32、InSb99、Sn50Sb50、Cr50Sb50、Ga50Sb50、Ga40Sb60、Ga30Sb70、Ga20Sb80、Ga12Sb88、Ga10Sb90、In47Sn53、In53Sn47、Ni80.7Sn19.3、Al2.2Sn97.8、Bi43Sn57、Sn26Pb74、Sn25Pb75、Sn74Pb26、Ni50Bi50、Ni40Bi60、Ni60Bi40、Ni70Bi30、Ni80Bi20、Ni90Bi10、Zn32Sb68、Ni50Cr50、Ni83.8Nb16.2、Ni59.8Nb40.2、Al97.3Ni2.7、Cu90.6Zr9.4、Ag70Zn30、Ge10Sb90、Ge20Sb80、Ge30Sb70、Ge50Sb50、Bi90Te10、Bi97Te、Ni8119、Zn50Te50、Pb50Te50、Mo40Nb60、Mo50Nb50、W40Nb60、W50Nb50、Cr85Mo15で表される金属種の組み合わせのいずれかであることが好ましい。これらの材料(I)は、群(α)から選ばれた金属が少なくとも50モル%以上であることから、ドライエッチング耐性に優れ、より好ましくは70%以上であり、80%以上であり、最も好ましくは100%である。群(α)から選ばれた金属の含有割合が多くなることで、ドライエッチング耐性が高くなる。
【0073】
また、本発明の熱反応型レジスト材料は、(II)Sb40Te60、Bi10Te90、Cu8.691.4、Cu13.686.4、Cu18.681.4で表される金属種の組み合わせであることが好ましい。これらの材料(II)は、群(α)から選ばれた金属が50モル%に満たないが、群(β)の中でも合金とすることで金属間化合物や共晶組成を形成する可能性の高い金属を選ぶことによりレジスト特性は維持される。また、群(α)の金属比率が低下することでドライエッチング耐性は(I)に比べて低下するものの、(II)に挙げたSb40Te60、Bi10Te90、Cu8.691.4のようにTeを含む場合は、Teのフッ化物の沸点が197℃であることから明らかなように群(α)に分類されるフッ化物の沸点200℃以上にかなり近いこと、また(II)に挙げたCu13.686.4、Cu18.681.4のようにCuを含む場合は、Cuのフッ化物の沸点(融点)が950℃以上と非常に高いことなどから、レジスト全体で考えると比較的ドライエッチング耐性に優れ、本発明のレジスト材料として問題なく使用できる。
【0074】
また、本発明に係る熱反応型レジスト材料に用いられる複合金属材料は、スパッタリングなどでレジスト層を製造する際に、Oなどの反応性ガスを加える必要がなく、成膜条件の制御が容易で、製造上好ましい。
【0075】
本発明においては、熱反応型レジスト材料に、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、C及びBからなる群より選ばれた少なくとも1つの元素が含有されていることが好ましい。これらの元素を含有することにより、熱反応型レジスト材料がアモルファスに成りやすいため、レジスト特性を向上させることができる。
【0076】
以上、本発明に用いる酸化性、分解性、溶融性、相変化性の熱反応型レジスト材料について説明した。
【0077】
本発明に用いる酸化性、分解性、溶融性、相変化性の熱反応型レジスト材料は、酸化温度、分解温度、溶融温度、及び相変化温度のいずれかの温度が150℃以上、2500℃以下であることが好ましい。
【0078】
酸化温度、分解温度、溶融温度、及び相変化温度は、環境から熱外乱要因を受け難くするために室温とある程度温度差がある方が好ましく、本発明に係るレジスト材料においては150℃以上が好ましい。例えば、露光時に、酸化、分解、溶融、相変化する温度と室温との温度差が大きい場合(150℃以上の場合)、反応温度まで加熱されたスポットの隣接部は、室温との温度差が十分に大きいので熱が伝わることがなく、結果として、近接する露光部と干渉することなく変化させることができる。一方、2500℃以下であれば、酸化温度、分解温度、溶融温度、相変化温度では、露光装置が大掛かりになることがなくコストなどの面で効率的である。したがって、酸化温度、分解温度、溶融温度、相変化温度は、いずれの温度も150℃以上、2500℃以下が好ましく、より好ましくは150℃から2000℃の範囲、さらに好ましくは200℃から1800℃の範囲であり、特に好ましくは250℃から1500℃の範囲であり、最も好ましくは250℃から1200℃の範囲である。
【0079】
本発明に係るレジスト材料は、レジスト材料の反応温度を、250℃以上にすることで露光時の外乱の熱影響をかなり受けにくくなる、一方1200℃以下にすることで低出力の露光装置が使えることで装置の選択範囲が広がる、消費電力を下げることができるなど、製造上利点がある。例として、分解性材料の分解温度を表2に記載する。これらの材料は前述の温度範囲内であるため、レジスト材料として優れた特性を持ち得る。
【0080】
【表2】

【0081】
本発明に用いられる酸化性、分解性、溶融性、相変化性の熱反応型レジスト材料の膜厚は、1nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下、さらに好ましくは1nm以上80nm以下、最も好ましくは1nm以上60nm以下、より最も好ましくは1nm以上40nm以下である。熱反応型レジスト材料の膜厚は、薄い方が露光による膜厚方向への均一性が維持できるため微細パターンの加工精度が向上する。
【0082】
さらに、本発明に用いられる酸化性、分解性、溶融性、相変化性の熱反応型レジスト材料は、光吸収率が10%(@405nm)以上、100%以下(@405nm)であることが好ましい。光吸収率が10%(@405nm)以上であると露光のエネルギーがレジスト材料に吸収されやすく、所望の温度まで温度を上昇させやすい。このように、光吸収率に関しては、大きい方が好ましい。なお、光吸収率とは、UV−Vis測定等で測定した透過率(%)と反射率(%)を100%から引いた値をいう。
【0083】
本発明に用いられる酸化性、分解性、溶融性、相変化性の熱反応型レジスト材料において、レジスト特性をさらに向上させる目的で、選択されたレジスト材料に他の元素を添加する方法を採ることができる。具体的な効果は、先述した(1)初期状態の結晶化の抑制(アモルファス状態)、(2)熱反応の過程でレジスト材料の粒子成長の抑制(アモルファス状態)(3)分解反応の急峻さの向上(4)露光部/未露光部の現像差の向上(5)ドライエッチングガスに対する耐性の向上、などが挙げられる。(1)は成膜の工程で、(2)や(3)は加熱の工程で、(4)は現像の工程で、(5)はドライエッチングの工程で、主にレジスト特性の向上に効果を発揮する。これらの効果を得るために、本発明の熱反応型レジスト材料は、添加材を加えることができる。
【0084】
さらに詳説すると(1)、(2)については、本発明に係る分解材料以外の材料においても同様の考え方で添加材を加える手法がこれまでに多く検討されている。例えば、特開平4−30726号公報では、MnZnフェライトの粒子成長抑制や均一化が、特開2001−199740号公報では、SiOの粒子成長抑制が、添加材を加えることで達成できることが公開されている。これらの手法を本発明のレジスト材料に適応することでレジスト特性を向上せることが可能になる。(3)については、例えば熱反応型レジスト材料に酸化銅を選択した場合、酸化銅は1000℃付近で分解して酸素を放出する。添加材にSiを選択した場合、この分解時に発生する酸素を速やかに捕獲して、酸化銅の分解反応を促進させ、レジスト特性を向上させることが可能になる。また、レジスト材料と添加材料がコンプレックスを形成し、適当な温度で分解する添加材料を選んだ場合、レジスト材料の分解前に少し分解が進行しているため、分解部分が疎になり、露光された部分の横方向への熱のしみ出しが抑制でき、結果として急峻な分解特性を達成することができる。(4)については、例えばポジ型の熱反応型レジスト材料を考えた場合、加熱により現像されやすい状態に変化する(例えば酸化度が変わる)材料を添加材料に選び、現像差を向上させる手法や、加熱により昇華する材料を添加材料に選び、現像差を向上させる手法などを用いてレジスト特性を向上させることが可能になる。(5)については、フッ素ガスを用いたドライエッチングに耐性の高い元素を加えることで、レジスト材料のドライエッチングの耐性を向上させ、レジスト特性を向上させることが可能になる。
【0085】
本発明において熱反応型レジスト材料に添加できる元素としては、Mg、Al、Si、P、S、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ge、Sr、Y、Nb、Mo、Zr、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、Hf、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、C、及びB並びにそれらの酸化物、窒化物、炭化物から少なくとも選らばれた1つの材料が好適であり、好ましくは、Mg、Al、Si、P、S、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、Hf、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、C、及びB並びにそれらの酸化物、窒化物、炭化物から選らばれた少なくとも1つの材料が好適である。さらに好ましくは、Mg、Al、Si、P、S、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、Hf、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Sm、Eu、及びGdの酸化物からなる群から選ばれた少なくとも1つの材料である。添加材を酸化物にすることで、製造性が向上するとともに、高いレジスト特性も得られる。さらには、最も好ましくは、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、及びBiの酸化物からなる群から選ばれた少なくとも1つの材料である。さらに最も好ましくは、Al、Si、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Mo、In、Ta、及びBiの酸化物からなる群から選ばれた少なくとも1つの材料である。これらの材料を選択することで、レジスト特性が向上することはもちろんのこと、高い製造性や低コストが実現できる。
【0086】
上記の効果(1)〜(5)を達成可能な元素の中でも、特に、アモルファス状態を達成しやすい元素としては以下の元素を挙げることができる。
【0087】
添加しうる元素としては、遷移金属元素Ti、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、又はXII〜XV族元素C、Al、Zn、Ga、Si、C、Sb、Pb及びBiが好適である。
【0088】
このように、成膜の段階、露光の段階でアモルファス状態が好ましい理由は、露光部又は未露光部に結晶が存在すると、現像によって溶解する部分と溶解しない部分の境界が不明瞭になりやすく、明瞭なパターンが得にくいためである。なお、溶解する部分と溶解しない部分の境界を不明瞭にしない程度の微細な結晶状態であれば本発明におけるアモルファス状態の範囲とする。
【0089】
本発明に用いられる酸化性、分解性、溶融性、相変化性を有するレジスト材料をアモルファス状態にするための手段として、選択された元素に他の元素を添加する方法を採用することができる。
【0090】
以下、本発明における好ましいレジスト材料と添加材料の組み合わせ及び組成を具体的に記載する。
【0091】
酸化銅に酸化シリコンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅にアルミナを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化チタンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化ガリウムを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化タンタルを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化鉄を0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化モリブデンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化インジウムを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化コバルトを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化マンガンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化銅に酸化ビスマスを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化コバルトに酸化シリコンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化マンガンに酸化シリコンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化鉛に酸化ニッケルを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。酸化クロムに酸化シリコンを0.5at%以上40at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上30at%以下、さらに好ましくは2at%以上20at%以下である。ガリウムアンチモンにニッケルを0.5at%以上30at%以下加えた組み合わせで、より好ましくは1at%以上20at%以下、さらに好ましくは2at%以上10at%以下である。
【0092】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料として、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnS、溶融性複合金属材料、相変化性複合金属材料、酸化性複合金属材料としてBi97Te、Sb40Te60、Ge20Sb80、In32Sb68、InSb95、Mo50Nb50、Ga50Sb50、Ni50Bi50、Ni70Bi30、Zn50Te50、Cu13.686.4、Zn32Sb68のいずれかから選ばれることが好ましい。これらのレジスト材料は、非常にγ特性に優れ微細パターンの形成が可能である。さらに、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料として、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnS、相変化性複合金属材料、酸化性複合金属材料として、In32Sb68、InSb95、Ga50Sb50、Ni50Bi50、Ni70Bi30、Zn32Sb68のいずれかから選ばれることが好ましく、特に、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料として、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnSのいずれかから選ばれることが好ましい。
【0093】
本発明の熱反応型レジスト材料は、エッチング層上に形成するようにして用いることができる。
【0094】
本発明に係る熱リソグラフィ用積層体は、熱反応型レジスト材料からなる熱反応型レジスト層とエッチング層とが積層された積層体であって、エッチング層を構成するエッチング材料が、主要フッ化物の沸点が250℃以下である元素を少なくとも1種類以上含み、且つ、熱反応型レジスト材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点が、エッチング材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点より高いことを特徴とする。
【0095】
一般に、光学材料やフィルムなどでは、微細パターンのアスペクト比(溝の深さを溝の開口幅で除した値)が少なくとも1以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であることが求められ、時には10以上のものが求められることもある。アスペクト比を自由に選択できることで、光学設計の自由度が広がる。このことからも、本発明に係る熱反応型のレジスト材料は、ドライエッチングの耐性が高いことが必須となる。さらにドライエッチング層は、レジスト層に対してドライエッチングレートが速い材料が好ましい。
【0096】
上述の通り通常、深さ方向に均一にエッチングするためにはドライエッチングによる加工が用いられる。エッチング層を構成するエッチング材料は、選択される元素と形成するフッ化物の沸点が250℃未満の元素から選ばれる1つ以上の材料の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、及びシリサイドからなることが好ましい。これは本発明に係る熱反応型レジスト材料を開発したときに用いた指標を参考にできる。なお、200℃以上250℃未満のエッチング材料を選択する場合は、熱反応型レジスト材料のエッチング耐性がエッチング材料のエッチング耐性より高いものを選択する必要がある。エッチング層の材料の選択は、熱反応型レジスト層の選択とセットで考える必要がある。すなわち、エッチング材料には、まず熱反応型レジスト層より早いドライエッチングレートが要求され、好ましくは、エッチングレートで3倍以上、さらに好ましくは5倍以上が求められる。さらには、レジスト層や基板、必要に応じて後述の断熱層、熱吸収層のとの密着性が要求される。一方で、熱反応型レジスト材料もフッ化物の沸点が200℃以上の元素から構成されることで、ドライエッチング耐性は非常に優れるが、材料によって、微細パターン幅や現像液(現像液に耐性がないエッチング材料の組み合わせも有り得る)などが異なり、これらを総合的に判断して、材料を選択する必要がある。
【0097】
本発明に係るエッチング材料は具体的には、Ta、Mo、W、C、Si、Ge、Te、及びP並びにそれら2種類以上の複合物、並びにそれらの酸化物、窒化物、及び炭酸化物からなる群より選ぶことができる材料であり、好ましくは、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物並びにMo、Wのシリサイドからなる群より選ばれた材料であり、さらに好ましくは、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物からなる群より選ばれた材料である。特に好ましくは、特に成膜の容易性、経時安定性、強度、コスト、密着性等の観点から、SiO、Si、Siであり、最も好ましくはSiOである。
【0098】
これらエッチング層に最適な材料の選択指針としては、選択する元素の主たるフッ化物の沸点が低い材料選択することが可能である。
【0099】
これまでに、アスペクト比を所望の値にするために、エッチング層の重要性は記載してきたが、基材をエッチング層と一体化させることで均一なパターンを形成することも可能である。
【0100】
以上、本発明に係る熱リソグラフィ用積層体について説明をしたが、本発明に係る熱リソグラフィ用積層体は、エッチングレートの観点から、該熱反応型レジスト材料が、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料として、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnS、溶融性複合金属材料、相変化性複合金属材料、酸化性複合金属材料としてBi97Te、Sb40Te60、Ge20Sb80、In32Sb68、InSb95、Mo50Nb50、Ga50Sb50、Ni50Bi50、Ni70Bi30、Zn50Te50、Cu13.686.4、Zn32Sb68のいずれかから選ばれ、該エッチング材料が、Ta、Si、Ge、P及びそれらの酸化物、窒化物から選ばれることが好ましい。レジスト層とエッチング層は総合的に選択する必要があることは、既に述べているが、その他に、市場の要求と共に微細パターンの狭ピッチ化が求められる中、これらのレジスト材料は、非常にγ特性に優れ微細パターンの形成が可能である。さらにはこれらの熱反応型レジスト材料は、数十nmレベルまでの微細パターンを達することが可能であるため、エッチング層には、微細パターン形状に影響しないレベルでの平面平滑性が要求される。ここで挙げたエッチング材料は、例えば成膜条件においてスパッタ圧を下げる等の手法により容易に平坦化を達成することができ、これら熱反応型レジスト材料とエッチング層との組み合わせは、微細パターン形成能力に非常に特徴がある。
【0101】
さらに好ましくは、本発明に係るリソグラフィ用の積層体は、該熱反応型レジスト材料が、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料として、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnS、相変化性複合金属材料、酸化性複合金属材料として、In32Sb68、InSb95、Ga50Sb50、Ni50Bi50、Ni70Bi30、Zn32Sb68のいずれかから選ばれ、該エッチング材料が、Ta、Si、Ge、P及びそれらの酸化物、窒化物から選ばれることが好ましい。特に、不完全酸化物材料としてCr1−x(X=0.24)、Nb1−x(X=0.11)、Ta1−x(X=0.17)、Ti1−x(X=0.18)、Sn1−x(X=0.1)、Pb1−x(X=0.21)、分解性材料としてMn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnSが好ましい。該レジスト材料が全てドライエッチング耐性に非常に優れる材料から選択されることで、溝深さを非常に深くするパターン形成に対応が可能になる。
【0102】
本発明に係る熱リソグラフィ用積層体のエッチング層をエッチングする際にドライエッチングに用いるフロン系ガスは、特に制限はないが、CF、CHF、CH、C、C、C、C、C10、C10、SF、CClなどのフルオロカーボンなどが挙げられ、単独で用いても、複数のガスを混合して用いても構わない。さらにこれらのガスにO、H、Ar、N、COなどを混合したガス、またHBr、NF、SF、CFBr、HCl、HI、BBr、BCl、Cl、SiClの混合ガスやこれらにAr、O、H、N、COなどのガスを混合したガスも本発明におけるフロン系ガスの範囲とする。
【0103】
さらに、本発明では、上記のエッチングガスの種類、組成、およびエッチング温度といった条件を最適化することによってレジストマスクの耐性や、エッチング層のエッチング方向を制御することができる。例えば、使用するフロンガスのFとCとのモル比を制御することで、熱反応型レジスト層にフロロカーボン膜を形成(レジストの保護層として機能)させて、レジストのマスクの耐性を向上させる方法や、Ar添加することで、フロン系ガスの解離度を制御して、エッチング層と熱反応型レジスト層のエッチングレート増減させる方法などがある。
【0104】
本発明に係る熱反応型レジスト材料を用いたモールドの製造方法を、以下に説明する。
本発明に係るモールドの形状は、平板形状又はスリーブ(ロール、ドラム)形状であることができる。光ディスクの原盤やナノインプリントなどで用いられるモールドの多くは小型で平板形状であるため、簡単な装置により転写することが可能である。大面積に転写する場合、大型のモールド大きなモールドを作製する必要があるが、大型のモールド全面に均一にパターンを付与すること、転写時にモールド全面に均一にプレス圧力をかけること、大型のモールドをきれいに離型することなどの問題がある。一方、スリーブ形状は、大面積にパターンを転写できる特徴があるが、レーザー加工や機械加工法を使ってサブミクロン(1μm以下)のサイズのパターンを形成することは非常に困難であった(上記非特許文献4を参照)。
【0105】
以下に、本発明に係るモールドの製造方法の各工程について説明する。
工程(1)平板又はスリーブ形状等の基材の上に上記熱リソグラフィ用積層体で用いられたエッチング材料を含有するエッチング層を配し、さらにエッチング層上に上記した本発明に係る熱反応型レジスト層を形成して積層膜を形成する。
工程(2)熱反応型レジスト層を露光し、露光部分(又は未露光部分)を現像する。
工程(3)現像後の熱反応型レジストをマスクとして、フロン系ガスを用いてエッチング層をドライエッチング処理して、微細パターンを形成する。
工程(4)熱反応型レジストを除去して、モールドを製造する。
【0106】
本発明に係るモールドの製造方法に使用される熱反応型レジスト材料は、単層であってもよく、幾つかのレジスト層を組み合わせた多層構造であってもよい。なお、どのようなレジストを選択するかは本発明の効果を奏する範囲内で、工程や要求加工精度等によって適宜変更することができる。
【0107】
積層構造を目的に応じて選択した場合、エッチング層を設けることで、パターンの加工深さを自由に制御でき、かつ、熱反応型レジスト層の厚みを加工に最適な膜厚に選択することができるようになる。すなわち、エッチング層の厚みを制御することで、加工深さを自由に制御できる。また、加工深さはエッチング層で制御できることから、熱反応型レジスト層は、露光や現像が容易な膜厚にすればよい。
【0108】
本発明に係る基材において、熱反応型レジスト材料で構成されたレジスト層は、単層であっても良く、図3に示すように、複数の(図3においては2層)レジスト層を組み合わせた多層構造(基材1上にエッチング層2が形成され、エッチング層2の上に第1レジスト層3a及び第2レジスト層3bが順次形成された構造)であっても良い。なお、どのようなレジストを選択するかは、工程や要求加工精度等によって適宜変更することができる。
【0109】
また、熱反応型レジスト層に熱吸収層を積層することもでき、この役割は、熱反応型レジストにおける光の吸収特性の選択範囲を広げることにある。例えば、図4に示すように、基材1上にエッチング層2が形成され、エッチング層2の上にレジスト層3が形成され、レジスト層3上に熱吸収層4が形成された構造でも良く、図5に示すように、基材1上にエッチング層2が形成され、エッチング層2の上に熱吸収層4が形成され、熱吸収層4上にレジスト層3が形成された構造でも良い。
【0110】
通常、熱反応レジストは広い波長域で吸収を持つ材料が多いが、材料によっては半導体レーザーの波長、例えば405nm近傍に光学的に吸収を持たない材料もある。その場合、熱吸収層にて半導体レーザーのエネルギーを吸収し熱に変換することで、その熱によって熱反応型レジストを反応させることが可能となる。本発明における熱吸収層に用いる材料としては、半導体レーザーの波長域で光吸収性を有する材料、例えば、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Se、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Pt、Au、Pb、及びBi並びにその合金などが好適であり、これらの元素からなる酸化物、窒化物、硫化物、炭化物又はその混合物でもよい。
【0111】
さらに必要に応じて、熱反応型レジスト層は、断熱設計、放熱設計とすることができる。以下、断熱設計について述べる。これは半導体レーザーの照射によって昇温された部分の熱エネルギーの散逸を防止する効果がある。通常、基材は加工性に富む金属やガラスなどで作製される。ところが金属やガラスは熱伝導率が高いため、半導体レーザーの照射によって昇温された部分の熱エネルギーが基材に逃げる現象が起こる。したがって、露光部分を熱反応型レジストの反応温度に昇温するためには、より大きな出力の半導体レーザーが必要となる。半導体レーザーの高出力化は、光学部品の大型化やレーザー寿命の低下に繋がり好ましくない。基材側に熱絶縁層を設けることで熱の散逸を防ぎ、半導体レーザーのエネルギーをより効率良く使えるようになる。一方、放熱設計の場合には、さらに熱反応型レジスト材料から、できるだけ早く熱を逃がす必要があるときに設計する。熱が篭ることで、露光による熱反応のスポット形状より、広い領域で熱による反応が進行してしまう場合に放熱設計を行う。
【0112】
本発明において、熱反応型レジスト層、エッチング層を成膜する場合は、スパッタリング法や蒸着法やCVD法を用いた成膜が好ましい。本発明に係る熱反応型レジスト材料は、数十nmレベルの微細パターン加工が可能であるため、微細パターンサイズによっては、成膜時の熱反応型レジスト材料の膜厚分布、表面の凹凸が非常に大きく影響することが考えられる。そこで、これらの影響をできる限り少なくするために、膜厚の均一性等の制御がやや困難な塗布法やスプレー法などによる成膜方法より、スパッタリング法や蒸着法やCVD法などの成膜方法で熱反応型レジスト材料を形成することが好ましい。
【0113】
本発明において露光に用いられるレーザーは、KrFやArFレーザーなどのエキシマレーザーや半導体レーザー、電子線、X線等を挙げることができる。然るにKrFやArFレーザーなどのエキシマレーザーは装置が非常に大型で高価なこと、電子線、X線などは真空チェンバーを使用する必要があることからコストや大型化の観点からかなりの制限がある。従って、光源装置が非常に小型化でき、安価である半導体レーザーを用いることが好ましい。
【0114】
一般的に、電子線やエキシマレーザー等を用いて露光光源を短波長化することで微細パターンの形成を可能にしてきたが、本発明の熱反応型レジスト材料は半導体レーザーでも十分に微細パターンを形成することが可能あるため、本発明に用いられるレーザーは半導体レーザーが好ましい。
【0115】
現像には、酸及び又はアルカリ溶液及び又は錯形成剤および有機溶剤などを用いることができる。酸溶液として、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸、硝酸アンモニウムなどを、アルカリ溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、錯形成剤として、シュウ酸、エチレンジアミン4酢酸及びその塩などの溶液などの一般的な溶液を単独又は混合溶液として用いることができる。また、現像液中に過酸化水素や過酸化マンガンなどの電位調整剤などを加えることも可能である。さらに、現像液中に界面活性剤などを添加して現像性を向上させることも可能である。また、レジスト材料によっては、まず酸現像液で現像した後に、アルカリ現像液で現像して目的の現像を達成するなどの方法を採用してもよい。
【0116】
本発明において、ドライエッチング処理する工程に用いられる装置は、真空中でフロン系ガスが導入でき、プラズマが形成でき、エッチング処理ができるものであれば特に制限はないが、市販のドライエッチング装置、RIE装置、ICP装置などを用いることができる。ドライエッチング処理を行うガス種、時間、電力などは、レジスト材料の種類、エッチング層の種類、エッチング層の厚み、エッチング層のエッチングレートなどによって適宜決定しうる。
【0117】
最終的に、本発明に係るモールドを得るためには、熱反応型レジスト材料を除去する必要がある。熱反応型レジスト材料の除去方法は、エッチング層に影響がなければ特に制限はなく、例えば、ウエットエッチング、ドライエッチングなどを用いることができる。
【0118】
本発明においては、これらのモールドの製造方法を用いることにより、1nm以上1μm以下の範囲の微細パターンを有するモールドを製造することが可能となる。なお、本発明に係るモールドの製造方法においては、基材としては、平板形状を用いることが好まししい。
【0119】
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0120】
(実施例1)
遷移金属の熱反応型レジスト材料としてCr1−x、Nb1−x、Ta1−x、Ti1−xを選択した。またエッチング層にはSiOを選択した。
【0121】
まず50mmΦのガラス平板基板上にスパッタリング法によりSiOターゲットを用いて、以下の表3中の条件で350nm成膜した。続いて、Crターゲットを用いて表3中の条件でCr1−xを40nm成膜した。熱反応型レジスト材料Nb1−x、Ta1−x、Ti1−xに関しても同様に、まず膜厚350nmのSiOを成膜し、その後、表3中の条件でNb1−x、Ta1−x、Ti1−xを、それぞれ、成膜した。
【0122】
【表3】

【0123】
堆積した熱反応型レジスト材料を、それぞれ、蛍光X線で各々の金属と酸化物の比から分析したところ、表3に示すx値であった。また、上記と同条件で、それぞれの熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD分析を行った所、すべての材料において明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。
【0124】
以上のように成膜したレジスト層を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
【0125】
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形状を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、本発明は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。
【0126】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液には酸やアルカリまたそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えたものなどを用いることができ、各々の熱反応型レジストの現像は、以下の表4に示す条件で行った。
【0127】
【表4】

【0128】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表4に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0129】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間15分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表4に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)とレジスト膜厚(nm)が観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されているとともに、マスクはエッチングされることなく形状を維持していた。
【0130】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0131】
(実施例2)
XII〜XV族元素の熱反応型レジスト材料としてSn1−x、Pb1−xを選択した。これら熱反応型レジストも実施例1と同様に350nmの膜厚のSiO膜上に表3に示す条件で、それぞれ、成膜を行った。
【0132】
堆積した熱反応型レジストを蛍光X線で分析した所、表3中に示すx値であった。また、上記と同条件で、それぞれの熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD分析を行った所、すべての材料において明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。以上のように成膜したレジスト層を実施例1と同様に露光した。
【0133】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例1と同様にして、表4に示す条件で行った。
【0134】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表4に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0135】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、実施例1と同様の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表4に示すアスペクト比を成すエッチング層深さ(nm)とレジスト膜厚(nm)が観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されているとともに、マスクはエッチングされることなく形状を維持していた。
【0136】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0137】
(実施例3)
遷移金属の熱反応型レジスト材料としてCr1−xを選択し、エッチング層としてTe1−xを選択した以外は実施例1と同様に成膜を行い、露光、現像を行った。Te1−xの成膜条件を表3に示す。
【0138】
次に、熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるTe1−xのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間20分の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表4に示すアスペクト比を成すエッチング層深さ(nm)とレジスト膜厚(nm)が観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されているとともに、マスクはエッチングされることなく形状を維持していた。
【0139】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0140】
(実施例4)
XII〜XV族元素の熱反応型レジスト材料としてSn1−xを選択した。またエッチング層にはSiOを選択した。
【0141】
成膜は、実施例1で用いた平板基材の代わりにスリーブ状基板(内径Φ58mm、外径Φ60mmのAlの中空円筒)上に実施した。成膜中は、膜を均一に堆積させるために、スリーブを回転させてスパッタを行った。堆積した熱反応型レジストSn1−xは、膜厚40nm、x値は0.17でアモルファスであった。
【0142】
このように準備されたスリーブを、下記条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
回転速度:700rpm
【0143】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例1と同様に実施した。
【0144】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、実施例1と同様の条件で行った。エッチング中は、エッチングを均一に行うためスリーブを回転させて行った。
【0145】
その後、スリーブから熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させた。
【0146】
このようにして得られたフィルムを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、実施例1で得られた値と同じ結果が得られ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0147】
(比較例1)
フッ化物の沸点が200℃以下である元素Wを選択し、熱反応型レジストとしてWOxを用いた。このWOxレジストも実施例1同様に350nmの膜厚のSiO2膜上に表3中の条件で各々成膜を行った。
【0148】
堆積した熱反応型レジストを蛍光X線で分析した所、表3に示すX値であった。また、上記と同条件で、熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD分析を行った所、明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。以上のように準備した膜を実施例1と同様に露光した。
【0149】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例1と同様に、表4に示す条件で行った。
【0150】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状及び断面形状を観察したところ、表4に示す開口幅(nm)及び深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0151】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiO2のエッチングを行った。ドライエッチングは、実施例1と同様の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、レジストが消失しており、明瞭な凹凸パターンが観察されなかった。
【0152】
(比較例2)
熱反応型レジストとしてSn1−xを選択した。エッチング層は、フッ化物の沸点が1000℃を超えるZnを含むSiO2−ZnSを選択し、表3中の条件で各々成膜を行った。
【0153】
堆積した熱反応型レジストを蛍光X線で分析した所、表3に示すX値であった。また、上記と同条件で、熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD分析を行った所、明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。以上のように準備した膜を実施例1と同様に露光した。
【0154】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例1と同様の条件で行った。
【0155】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状及び断面形状を観察したところ、パターンが形成されていた。
【0156】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiO2−ZnSのエッチングを行った。ドライエッチングは、実施例1と同様の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、ピラー状のエッチング残りが観察され、均一なエッチングができていなかった。ピラー状の先端部をEDX分析したところ、Znに帰属のシグナルが観察された。エッチング層にフッ化物の沸点が非常に高いZnが含まれていたため、Znがエッチングできず、マスクとして働いたため均一なエッチングができなかったものと考えられる。
【0157】
(実施例5)
熱反応型レジスト材料としてCuO、Co、Mn、Pbを選択した。またエッチング層にはSiO層を選択した。
【0158】
まず50mmφのガラス平板基板上にスパッタリング法によりSiOターゲットを用いて、以下の表5中の条件で350nm成膜した。続いて、Mnターゲットを用いて表5中の条件でMnを40nm成膜した。熱反応型レジスト材料CuO、Co、Pbに関しても同様に、まず膜厚350nmのSiOを成膜し、その後、表5中の条件でCuO、Co、Pbをそれぞれ成膜した。
【0159】
【表5】

【0160】
別途、上記と同条件で、それぞれの熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD(X線回折)分析を行った所、すべての材料において明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。
【0161】
以上のように成膜したレジスト層を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
【0162】
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形状を使用した。形成する形状としては、目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、本発明は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。
【0163】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液には酸やアルカリまたそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えたものなどを用いることができ、各々の熱反応型レジストの現像は、以下の表6に示す条件で行った。
【0164】
【表6】

【0165】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表6に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0166】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表6に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。代表例として熱反応型レジストにMnを用いた時の断面SEM像を図6に示す。
【0167】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0168】
(実施例6)
熱反応型レジスト材料としてBaO、CaCOを選択した。これら熱反応型レジストは、実施例5と同様の条件で350nmの膜厚のSiO膜を成膜し、その上にCからなる熱吸収層を20nm成膜し、その上に熱反応型レジストを表5に示す条件で成膜を行った。別途、上記と同条件で、それぞれの熱反応型レジスト材料のみを成膜し、XRD分析を行った所、すべての材料において明瞭な回折パターンは得られずアモルファスであった。
【0169】
以上のように成膜したレジスト層を実施例5と同様に露光した。続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例5と同様にして、表6に示す条件で行った。
【0170】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表6に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0171】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるC層とSiO層のエッチングを行った。まずCのドライエッチングはOガスで実施した。次にSiOのドライエッチングは、処理時間を15分に変えた以外は実施例5と同様の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表6に示すアスペクト比を成すエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0172】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0173】
(実施例7)
熱反応型レジスト材料としてFeS、SnSを選択し、エッチング層としてSiを選択した以外は実施例5と同様に成膜を行い、露光、現像を行った。FeS、SnSの成膜条件を表5に示す。
【0174】
次に、熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCHFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間15分の条件で行った。エッチング後再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表6に示すアスペクト比を成すエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0175】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0176】
(実施例8)
熱反応型レジスト材料としてCuOを選択した。またエッチング層にはSiOを選択した。成膜は、実施例5で用いた平板基材の代わりにスリーブ状基板(内径φ58mm、外径φ60mmのAlの中空円筒)を用いて実施例1と同様の条件で実施した。成膜中は、膜を均一に堆積させるために、スリーブを回転させてスパッタリングを行った。堆積した熱反応型レジストCuOはアモルファスであった。
【0177】
このように準備されたスリーブを、下記条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
回転速度:700rpm
【0178】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例5と同様に実施した。
【0179】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、実施例5と同様の条件で行った。エッチング中は、エッチングを均一に行うためスリーブを回転させて行った。その後、スリーブから熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させた。
【0180】
このようにして得られたフィルムを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、実施例5で得られた値と同じ結果が得られ、ほぼモールドを反転した均一な微細パターン形状がフィルム上に転写された。
【0181】
(実施例9)
熱反応型レジスト層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてCuOとSi(共スパッタ法)を選択した。またエッチング層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0182】
まず50mmΦのガラス平板基板上にエッチング層を、以下の表7中の条件で300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、CuOとSiターゲットを用いて表7中の条件で成膜した。
【0183】
【表7】

【0184】
尚、表7においては、各添加材の比率(例えば、Cu−Al、90at%‐10at%)とは、原子量比を表す。
【0185】
他の熱反応型レジスト層に関しても、同様にまず膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、表7中の条件で熱反応型レジスト層をそれぞれ成膜した。得られた熱反応型レジスト材料の組成は、Cu/Si=96at%/4at%、Cu/Al=95at%/5at%であった。
【0186】
以上のように成膜した積層体を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:100nm〜350nm
【0187】
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形状を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、本発明は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。
【0188】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液には酸、アルカリ、錯形成剤、またそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えたものなどを用いることができ、各々の熱反応型レジストの現像は、以下の表8に示す条件で行った。
【0189】
【表8】

【0190】
尚、表8においても表7と同様に、各添加材の比とは、原子量比を表す。
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表7に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0191】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてドライエッチングによるSiOのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0192】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写されたことをSEMで確認した。代表例として熱反応型レジストにCuOとSiをターゲットに用いたレジストのときの断面SEM像を図7に示す。
【0193】
(実施例10)
熱反応型レジスト層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてCuO−SiO(10at%)を選択した。またエッチング層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてSiを選択した。
【0194】
まず50mmΦのガラス平板基板上にエッチング層を、以下の表7中の条件で300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、CuO−SiO(Cu/Si=90at%/10at%)ターゲットを用いて表7中の条件で成膜した。
【0195】
他の熱反応型レジスト層に関しても、同様にまず膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、表7中の条件で熱反応型レジスト層をそれぞれ成膜した。得られた熱反応型レジスト材料の組成は、ターゲット組成とほぼ同じであった。以上のように成膜したレジスト層を実施例9と同様に露光した。
【0196】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例9と同様にして、表7に示す条件で行った。
【0197】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0198】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、表7に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0199】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写されたことをSEMで確認した。
【0200】
(実施例11)
熱反応型レジスト層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてCuO−MoO(Cu/Mo=90at%/10at%)を選択した。またエッチング層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0201】
まず50mmΦのガラス平板基板上にエッチング層を、以下の表7中の条件で300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、CuO−MoO(Cu/Mo=90at%/10at%)ターゲットを用いて表7中の条件で成膜した。
【0202】
他の熱反応型レジスト層に関しても、同様にまず膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、表7中の条件で熱反応型レジスト層をそれぞれ成膜した。得られた熱反応型レジスト材料の組成は、ターゲット組成とほぼ同じであった。以上のように成膜したレジスト層を実施例9と同様に露光した。
【0203】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例9と同様にして、表8に示す条件で行った。
【0204】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表7に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0205】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、表7に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0206】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写されたことをSEMで確認した。
【0207】
(実施例12)
熱反応型レジスト層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてCo−SiO(Co/Si=95at%/5at%)を選択した。またエッチング層をスパッタ法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0208】
まず50mmΦのガラス平板基板上にエッチング層を、表7中の条件で300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、Co−SiO(Co/Si=95at%/5at%)ターゲットを用いて表7中の条件で成膜した。
【0209】
他の熱反応型レジスト層に関しても、同様にまず膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、表7中の条件で熱反応型レジスト層をそれぞれ成膜した。得られた熱反応型レジスト材料の組成は、ターゲット組成とほぼ同じであった。以上のように成膜したレジスト層を実施例9と同様に露光した。
【0210】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例9と同様にして、表7に示す条件で行った。
【0211】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0212】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、表8に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表8に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0213】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写されたことをSEMで確認した。
【0214】
(実施例13)
熱反応型レジスト層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてBi97Te、Sb40Te60を選択した。またエッチング層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0215】
まず50mmφのガラス平板基板上にエッチング層を、SiOターゲットを用いて下記表9中の条件で厚さ300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、Bi97Teターゲットを用いて表9中の条件で成膜した。他の熱反応型レジスト層に関しても、同様に、表9中の条件で膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、下記表9中の条件で熱反応型レジスト層を成膜した。
【0216】
以上のように成膜した積層体を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:100nm〜350nm
【0217】
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形状を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、本発明は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。
【0218】
また、露光により熱反応型レジスト材料は、物理変化及び/又は化学変化を起こすが、これらの変化は、単一で生じる場合と複合(例えば溶融+酸化など)で生じる場合がある。下記表10に熱反応型レジスト材料が主に生じる変化について併記する。
【0219】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液には酸やアルカリまたそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えたものなどを用いることができ、各々の熱反応型レジストの現像は下記表9に示す条件で行った。
【0220】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、下記表10に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0221】
次に、得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、下記表10に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、下記表10に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0222】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0223】
なお、表9、表10に記載のレジスト層及びエッチング層の組成は、便宜上ターゲット材料の組成がそのまま反映されているとして記載した値で、必ずしもレジスト層及びエッチング層そのものの組成を示さないことがある。以下の実施例についても同様に扱うものとする。
【0224】
(実施例14)
熱反応型レジスト層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてGe20Sb80、In32Sb68、InSb95を選択した。またエッチング層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0225】
まず50mmφのガラス平板基板上にエッチング層を、SiOターゲットを用いて下記表9中の条件で厚さ150nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、Ge20Sb80ターゲットを用いて下記表9中の条件で成膜した。他の熱反応型レジスト層に関しても、同様に、下記表9中の条件で膜厚150nmのエッチング層を成膜し、その後、下記表9中の条件で熱反応型レジスト層を成膜した。
【0226】
以上のように成膜したレジスト層を実施例13と同様に露光した。続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例13と同様にして、下記表10に示す条件で行った。
【0227】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、下記表10に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0228】
次に得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、下記表10に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表10に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0229】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0230】
(実施例15)
熱反応型レジスト層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてMo50Nb50、Ga50Sb50、Ni50Bi50、Ni70Bi30、Zn50Te50、Cu13.686.4、Zn32Sb68、Bi10Te90、Sn74Pb26、Sn25Pb75、Sn50Pb50選択した。またエッチング層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてSiを選択した。
【0231】
まず50mmφのガラス平板基板上にエッチング層を、Siターゲットを用いて下記表8中の条件で厚さ300nm成膜した。続いて熱反応型レジスト層を、Mo50Nb50ターゲットを用いて下記表9中の条件で成膜した。他の熱反応型レジスト層に関しても、同様に、表9の条件で膜厚300nmのエッチング層を成膜し、その後、表9の条件で熱反応型レジスト層を成膜した。
【0232】
以上のように成膜したレジスト層を実施例13と同様に露光した。続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例13と同様にして、下記表9に示す条件で行った。
【0233】
このように現像された熱反応型レジストを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表10に示す開口幅(nm)と深さ(nm)がパターンとして形成されていた。
【0234】
次に、得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを行った。ドライエッチングは、下記表10に記載するエッチングガスを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間10分の条件で行った。エッチング後に再度SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、表10に示すアスペクト比を有するエッチング層深さ(nm)の均一な微細パターンが観察され、エッチング層がマスクの幅形状を反映してパターンが形成されていた。
【0235】
これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
【0236】
(実施例16)
熱反応型レジスト層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてGa50Sb50を選択した。またエッチング層をスパッタリング法にて作製するターゲットとしてSiOを選択した。
【0237】
ここでは、実施例15で用いた平板基材の代わりにスリーブ状基板(内径58mmφ、外径60mmφのAl製中空円筒)を用いた。成膜中は、膜を均一に堆積させるために、スリーブを回転させてスパッタリングを行った。
【0238】
このように準備されたスリーブを、下記条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
回転速度:700rpm
【0239】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像に関しても、実施例15と同様に実施した。次に、得られた熱反応型レジストをマスクとしてエッチング層のドライエッチングを実施した。ドライエッチングは、実施例15と同様の条件で行った。エッチング中は、エッチングを均一に行うためスリーブを回転させて行った。その後、スリーブから熱反応型レジスト層のみを剥離したものをモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させた。
【0240】
このようにして得られたフィルムを、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状と断面形状を観察したところ、実施例15で得られた値と同じ結果が得られ、ほぼモールドを反転した均一な微細パターン形状がフィルム上に転写された。
【0241】
【表9】

【0242】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0243】
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、フロン系ガスのドライエッチングに対して高い耐性をもつため、深い溝を形成するマスクとして機能することで溝の深いパターン形状を形成することができる、すなわち、アスペクト比を自由に選択できることで、光学設計の自由度が広がる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロン系ガスを用いたドライエッチングに用いる熱反応型レジスト材料であって、主要フッ化物の沸点が200℃以上である元素を少なくとも1種類含んでおり、分解性酸化物材料、分解性窒化物材料、分解性炭化物材料、分解性炭酸化物材料、分解性硫化物材料、分解性セレン化物材料のいずれかを含有することを特徴とする熱反応型レジスト材料。
【請求項2】
レーザーのスポット径内において、熱反応する領域、及び熱反応しない領域の双方を有することを特徴とする請求項1に記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項3】
分解によりパターン形成可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項4】
分解性酸化物、分解性窒化物、分解性炭化物、分解性炭酸化物、分解性硫化物、分解性セレン化物のいずれかを含有し、前記分解性酸化物がAg、Au、Pdを除くII、V、VI、VII、VIII、IX、XI、XII、XIV族から選ばれた元素の酸化物、前記分解性窒化物がAg、Auを除くII、VI、VIII、XI、XII族から選ばれた元素の窒化物、前記分解性炭化物、前記分解性炭酸化物、前記分解性硫化物、分解性セレン化物がII〜IX族及びXI〜XV族から選ばれた元素の炭化物、炭酸化物、硫化物、セレン化物から選ばれた化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項5】
前記分解性酸化物が、CuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、TaO、Rh、RuO、MgO、CaO、BaO、ZnO、前記分解性炭化物がNdC、Al、前記分解性炭酸化物が、MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、ZnCO、CdCO、AgCO、PbCO、NiCO、前記分解性窒素化物がZn、CrN、CuN、FeN、Mg、前記分解性硫化物がCuS、Ni、FeS、FeS、Fe、SnS、HfS、TiS、Rh、RuS、Bi、Cr、GaS、BaS、MnS、Nd、前記分解性セレン化物がCuSe、BiSe、FeSe、GaSe、のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項6】
前記分解性酸化物がCuO、Co、MnO、Mn、CrO、Cr12、PbO、Pb、MgO、CaO、BaO、ZnO、前記分解性炭酸物がMgCO、CaCO、SrCO、BaCO、前記分解性硫化物がCuS、FeS、SnS、HfS、前記分解性セレン化物がCuSeのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項7】
前記分解性酸化物がCuO、Co、MnO、Mn、CrO、Pb、BaO、CaCO、前記分解性硫化物がFeS、SnS、前記分解性セレン化物がCuSe、のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項8】
さらにAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、C及びBからなる群より選ばれた少なくとも1つの元素が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項9】
前記熱反応型レジスト材料が、Mn、CuO、Co、Pb、BaO、CaCO、FeS、SnSのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
【請求項10】
基材上に配されたエッチング層と、前記エッチング層上に設けられ、請求項1から請求項9のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料を主に含有する熱反応型レジスト層とを備え、前記エッチング層を構成するエッチング材料が、主要フッ化物の沸点が250℃以下である元素を少なくとも1種類以上含み、且つ、前記熱反応型レジスト材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点が、前記エッチング材料を構成する主たる元素の主要フッ化物の沸点より高いことを特徴とする熱リソグラフィ用積層体。
【請求項11】
前記エッチング材料が、Ta、Mo、W、C、Si、Ge、Te、及びP並びにそれら2種類以上の複合物、並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物からなる群より選ばれた材料であることを特徴とする請求項10に記載の熱リソグラフィ用積層体。
【請求項12】
前記エッチング材料が、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物並びにMo、Wのシリサイドからなる群より選ばれた材料であることを特徴とする請求項10に記載の熱リソグラフィ用積層体。
【請求項13】
前記エッチング材料が、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物からなる群より選ばれた材料であることを特徴とする請求項10に記載の熱リソグラフィ用積層体。
【請求項14】
前記エッチング材料が、SiO、Si、及びSiからなる群から選ばれた材料であることを特徴とする請求項10に記載の熱リソグラフィ用積層体。
【請求項15】
基材上に、請求項10から請求項14のいずれかに記載の熱リソグラフィ用積層体で用いられたエッチング材料からなるエッチング層を配置し、さらに前記エッチング層上に、請求項1から請求項9のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料からなるレジスト層を積層して積層膜を形成する工程(1)と、
前記積層膜の熱反応型レジスト層を、露光した後、現像する工程(2)と、
引き続き、前記熱反応型レジスト層をマスクとして、フロン系ガスで前記エッチング層をドライエッチングする工程(3)と、
前記熱反応型レジストを除去して、モールドを製造する工程(4)と、
を含むことを特徴とするモールドの製造方法。
【請求項16】
前記工程(1)における積層が、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法を用いて行なわれることを特徴とする請求項15に記載のモールドの製造方法。
【請求項17】
前記基材が平板形状であることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のモールドの製造方法。
【請求項18】
前記基材がスリーブ形状であることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のモールドの製造方法。
【請求項19】
前記工程(2)における露光が半導体レーザーで行われることを特徴とする請求項15から請求項18のいずれかに記載のモールドの製造方法。
【請求項20】
請求項15から請求項19のいずれかに記載のモールドの製造方法により製造されたことを特徴とするモールド。
【請求項21】
1nm以上1μm以下の微細パターンを有することを特徴とする請求項20に記載のモールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−47848(P2013−47848A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−247818(P2012−247818)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【分割の表示】特願2010−533898(P2010−533898)の分割
【原出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】