説明

熱収縮性ポリオレフィン系フィルム

【課題】環状オレフィン系共重合樹脂を用い、比重が1未満であり、溶剤シールによる貼り合わせ可能な機能を維持しつつ、前記表面層のフィッシュアイの発現ならびに白化現象を抑えることができる熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも3層以上からなる熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの両表面層に環状オレフィン系共重合樹脂と、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーと、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーを除くポリエチレンとを有する樹脂組成物で構成することよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性ポリオレフィン系フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性の筒状ラベルが装着されたPETボトルのリサイクルが近年盛んに行われている。一般的なリサイクル方法として、回収されたPETボトルは数mm〜10mm角に粉砕され、風力によってラベルの粉砕物が除去される。さらにアルミキャップ粉砕体が除去されることによってPETボトルの粉砕体から、再生PETフレーク又は再生PETペレットが得られる。
前記した風力で選別する方法ではラベル部分を完全に分離することは困難である。ここで、PETボトルの各構成物の比重の違いを利用し、水に対する浮沈による選別方法がある。通常、PETボトル本体を構成するPET系樹脂は比重が1より大きいため水に沈む。このため、熱収縮性ラベルの比重が1未満であれば、比重差による選別にて簡単かつ高精度に再生PETフレークあるいは再生PETペレットを得ることができる。また、水を使用した比重差による選別は処理能力が大きいという利点がある。そのため、PETボトルに装着する熱収縮性フィルムからなる筒状ラベルとして、比重1未満のものが要望されている。比重が1未満の熱収縮性フィルムとしては、熱収縮性ポリオレフィン系フィルムからなる各種のフィルムが開発されている。
【0003】
筒状ラベルに加工される熱収縮性フィルムとして、ポリ塩化ビニル系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系などの各種の熱収縮性フィルムがある。この内、ポリオレフィン系以外のフィルムは、印刷されたフィルムの端に溶剤を塗布しながら筒状に貼り合わせて加工された後、所定の長さに切り取られて、ボトルに装着するラベルとなる。しかし、ポリオレフィン系の熱収縮性フィルムは耐溶剤性が良いため、溶剤シールで筒状に貼り合わせることが出来ない。このため、通常はコロナ処理をした後、ウレタン系等の接着剤を用いて筒状に貼り合わせて加工する方法を取る。この方法によると、加工スピードが遅いことに加え、1日ないし数日間、養生を要するという問題があった。
このような問題に対しては、環状オレフィン系共重合樹脂を含む積層フィルムとすることで、解決できることが報告されている(特許文献1)。また、オレフィン系フィルムの剛性を向上させるために、直鎖状低密度ポリエチレンと環状オレフィン系共重合樹脂の組み合わせも報告されている(特許文献2)。一方、環状オレフィン系共重合樹脂は耐脂性に欠けるため、人手が接触すると熱収縮後に微細な亀裂を生じて白く見える現象(白化現象)が発生する。白化現象の防止策として、環状オレフィン系樹脂に直鎖状低密度ポリエチレンをブレンドする方法も報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−315260号公報
【特許文献2】特開2000−202951号公報
【特許文献3】特開2002−234115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、環状オレフィン系共重合樹脂を用いた前記ポリオレフィン系の熱収縮性フィルムは、前記の白化現象に加えて、成型時に部分的な樹脂の塊(フィッシュアイ)も生じやすい。フィッシュアイが多量に発生すると、ラベルの質感低下につながる。
そこで、本発明は比重が1未満であり、溶剤シールによる貼り合わせ可能な機能と白化現象防止能力を備えつつ、フィッシュアイの発現が少ない熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、少なくとも3層からなり、両表面層は、ガラス転移温度が50℃〜100℃の環状オレフィン系共重合樹脂と、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーと、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーを除くポリエチレンとを有する樹脂組成物で構成され、中間層はポリエチレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成されており、かつ該フィルムの厚み全体に対し、両表面層の厚みの合計が10〜40%、中間層の厚みが90〜60%であることを特徴とする。
また、前記両表面層の樹脂組成物が酸化防止剤を含有することが好ましい。また、前記両表面層に含有される前記両表面層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、比重が1未満であり、溶剤シールによる貼り合わせ可能な機能と白化現象防止能力を備えつつ、フィッシュアイの発現を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を以下に詳述する。
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、少なくとも3層からなり、両表面層はガラス転移温度が、50℃〜100℃の環状オレフィン系共重合樹脂と、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーと、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーを除くポリエチレンとを有する樹脂組成物で構成され、中間層はポリエチレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成される。
【0009】
(両表面層)
一般に、環状オレフィン系共重合樹脂を含有する樹脂組成物は、フィッシュアイならびに白化現象が発生しやすい。前記樹脂組成物にポリエチレンや酸化防止剤を添加することで、フィッシュアイならびに白化現象を抑えられることが経験的に見出されているが、フィッシュアイ発現を効果的に抑制できていない。
本発明においては、前記環状オレフィン系共重合樹脂を含有する樹脂組成物に対し、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマー、ポリエチレンを含有させることが、フィッシュアイ発現防止に効果的であることを見出した。さらに、酸化防止剤を組み合わせることがフィッシュアイの発現防止に効果的であり、前記両表面層のポリエチレンがLLDPEであることがさらに効果的であることを見出した。
【0010】
本発明の両表面層の樹脂組成物に含まれる環状オレフィン系共重合樹脂は、ガラス転移温度が後述する条件を満たせば種類は特に規定されず、例えば炭素数2〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとのランダム共重合樹脂あるいはそのグラフト変性物が挙げられる。
前記環状オレフィン系共重合樹脂のガラス転移温度が100℃を超えると、延伸温度が高くなりすぎて熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの熱収縮性が低下し、また50℃未満であると自然収縮が大きくなる。したがって、前記環状オレフィン系共重合樹脂はガラス転移温度が50℃〜100℃、好ましくは55℃〜90℃の範囲のものを選択する。このような環状オレフィン系共重合樹脂は、具体的に商品名を挙げると、ゼオノア(日本ゼオン株式会社製)、アペル(三井化学株式会社製)、トーパス(トーパスアドバンストケミカル社製)が販売されており、前記のガラス転移温度の範囲のものを使用することができる。
【0011】
本発明の両表面層の樹脂組成物が含有するオレフィンオリゴマーはメタロセン触媒で製造されたものであって、重量平均分子量が1000〜5000のものである。また、融点は特に限定されないが、高温での加工成形助剤の観点から、融点は80℃以上であることが好ましい。このような条件を満たすオレフィンオリゴマーとしては、商品名Excerex 48070(平均分子量4600、三井化学株式会社製)等が挙げられる。本明細書でいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値である。
【0012】
本発明の両表面層の樹脂組成物が含有するポリエチレン(メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーを除く)とは、低密度ポリエチレン、LLDPE、高密度ポリエチレン、又はこれらの混合物が挙げられ、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜3.0、比重が0.880〜0.930g/cmのものをいう。なお、耐衝撃性を上げる観点から、LLDPEであることが好ましい。
【0013】
前記の両表面層の樹脂組成物において、環状オレフィン系共重合樹脂とポリエチレンとの合計に対し、ポリエチレンの配合量が10質量%未満であると耐衝撃性や収縮後の指紋による白化が問題であり、50質量%を超えると、フィルムの腰強さと収縮性低下が問題である。したがって、環状オレフィン系共重合樹脂:ポリエチレンで表される配合比(質量比)は、90:10〜50:50が好ましく、80:20〜60:40がさらに好ましい。
【0014】
本発明の両表面層の樹脂組成物が含有する酸化防止剤は、本発明の本質を損なわない範囲であれば特に限定されることなく、酸化防止剤を選択することができる。酸化防止性能の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が添加されることが好ましい。具体的な商品としてはIrganox 1010(チバスペシャリティケミカル株式会社製)等が挙げられる。また、酸化防止剤の添加量は、環状オレフィン系共重合樹脂とLLDPEを合わせた100質量部に対して、0.05質量部未満とすると効果が不十分であり、0.4質量部を超えると外観上の不具合が懸念される。したがって、0.05〜0.4質量部を添加することが好ましい。
【0015】
(中間層)
本発明における中間層とは、熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを構成する層であって、両表面層を除く層である。該中間層を構成するポリエチレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物は、エチレンとC〜Cのα−オレフィンとの共重合体からなるポリエチレン系共重合樹脂であり、チグラー触媒系あるいはメタロセン触媒系のLLDPEを挙げることができ、本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを中間層にリサイクルした場合、透明性に優れているメタロセン触媒系のLLDPEが好ましい。また、熱収縮性や透明性を阻害しない範囲で、その他のオレフィン系樹脂を配合することができる。
【0016】
また、中間層に配合されるその他のオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン系共重合樹脂、エチレン−ブテン−プロピレン共重合樹脂、ブテン−プロピレン共重合樹脂、ポリブテン樹脂、アイオノマー樹脂、高圧法LDPE樹脂、EVA樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を、40質量%を超えて配合すると透明性の低下が大きくなる。したがって、前記オレフィン系樹脂の添加量は40質量%以下、より好ましくは20質量%以下であることが好ましい。
【0017】
次に、熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は特に規定されることはなく、公知の共押出技術、延伸技術によって製造され、製造規模等を勘案して選択することができる。例えば、両表面層が環状オレフィン系共重合樹脂、中間層がポリエチレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成された3層となるように、Tダイからフラット状シートを共押出し、冷却して引き取り、横方向に3〜10倍テナー延伸し、必要に応じて幅方向に0〜12%弛緩させつつアニールし、次いで巻き取ることにより熱収縮性ポリオレフィン系フィルムが得られる。延伸は公知の同時2軸延伸法によっても良い。また、丸ダイからチューブ状シートを共押出し、チューブ状で延伸しても良いし、シートを切り開いてフラット状とし、前述したように延伸しても良い。
【0018】
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの厚みは、該フィルムの厚み全体に対し、両表面層の厚みの合計が10%未満であると、フィルムの腰強さが不足し、かつ熱収縮率が不足するおそれがあり、40%を超えると耐衝撃強度が低下する。したがって、両表面層の厚みは該フィルムの10〜40%である。
【0019】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン系フィルムは、前記環状オレフィン系共重合樹脂を含有する樹脂組成物に対し、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマー、ポリエチレンを含有することで、比重1未満かつ溶着シール性を満たしたまま、フィッシュアイを有効に抑止できる。さらに、酸化防止剤との組み合わせ、前記ポリエチレンがLLDPEであることがフィッシュアイの発現抑制により効果的である。
【実施例】
【0020】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
両表面層として環状オレフィン系共重合樹脂(商品名:APEL 6509T、三井化学株式会社製)60質量部、LLDPE(商品名:Kernel KF380、日本ポリエチレン株式会社製)40質量部、メタロセン触媒で製造したオレフィンオリゴマー(商品名:Excerex 48070、三井化学株式会社製)2質量部を押出機(長田製作所製)に投入した。中間層として、LLDPE(商品名:Evolue SP2020、株式会社プライムポリマー製)80質量部、環状オレフィン系共重合樹脂(APEL 6509T)12質量部、LLDPE(Kernel KF380)8質量部を他の押出機(長田製作所製)に投入し、前記両表面層と3層になるように共押出をし、200μm厚のフィルムを得、フィッシュアイ計測の試験に供した。また、このフィルムは、延伸機を使用して、4倍に一軸延伸して、厚さ50μmの3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。この際、各層の厚さは、5μm/40μm/5μmとした。該フィルムについて、熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行った。それぞれの試験結果については、表1に示す。
【0021】
(実施例2)
両表面層の構成物として、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:Irganox 1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.056質量部を加えた他は実施例1と同様とし、3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。得られた熱収縮性オレフィン系フィルムの熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価について試験を行い、その結果を表1に示す。
【0022】
(比較例1)
両表面層として、環状オレフィン系共重合樹脂(APEL 6509T)60質量部、LLDPE(Kernel KF380)40質量部を押出機(長田製作所製)に投入した。中間層として、LLDPE(商品名:Evolue SP2020、株式会社プライムポリマー製)80質量部、環状オレフィン系共重合樹脂(APEL 6509T)12質量部、LLDPE(Kernel KF380)8質量部を他の押出機(長田製作所製)に投入し、前記両表面層と3層になるように共押出をし、200μm厚のフィルムを得、フィッシュアイ計測の試験に供した。また、このフィルムは、延伸機を使用して4倍に一軸延伸して、厚さ50μmの3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。この際、各層の厚さは、5μm/40μm/5μmとなった。該フィルムについて、熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行った。それぞれの試験結果について表1に示す。
【0023】
(比較例2)
両表面層の構成物に、酸化防止剤としてIrganox 1010を0.056質量部加えた他は比較例1と同様とし、3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。該フィルムの熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行い、その結果を表1に示す。
【0024】
(比較例3)
両表面層の構成物に、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミド(商品名:アルフロー HS−50S、日本油脂株式会社製)0.056質量部を加えた他は比較例1と同様とし、3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。該フィルムの熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行い、その結果を表2に示す。
【0025】
(比較例4)
両表面層の構成物に、滑剤としてエルカ酸アミド(ニュートロンS、日本精化株式会社製)0.056質量部を加えた他は比較例1と同様とし、3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。該フィルムの熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行い、その結果を表2に示す。
【0026】
(比較例5)
両表面層の構成物に、酸化防止剤としてIrganox 1010を0.056質量部、ならびに、チグラー系触媒で製造したオレフィンオリゴマー(商品名:PE−190、クラリアントジャパン株式会社製)2質量部を加えた他は比較例1と同様とし、3層の熱収縮性オレフィン系フィルムを得た。該フィルムの熱収縮性、フィッシュアイ評価、白化評価の試験を行い、その結果を表2に示す。
【0027】
なお、本実施例においては、下記の測定方法により評価を行った。
<フィッシュアイの計測、評価>
得られた熱収縮性オレフィン系フィルムをA4大に切り取り、株式会社ニレコ製オフラインフィッシュアイカウンター「無地表面検査装置:Mujiken」を用いてフィッシュアイの個数を表した。前記オンラインフィッシュアイカウンターは、フィルムの裏面から光を照射し、カメラに投影された欠点を画像処理することで、フィッシュアイサイズを計測する装置である。計測したフィッシュアイは、直径が0.4〜1.0mmをLサイズ、0.2〜0.4mmをMサイズ、0.1〜0.2mmをSサイズとして分類した。
【0028】
<白化現象評価>
白化評価については、熱収縮前フィルムの表面に指紋を付け、90℃の温浴中に浸漬してフィルムを収縮させた後、指紋の有無を目視で確認し、次の基準に従って評価した。
肉眼で白化した指紋が認められない・・・・・・・・○
肉眼で白化した指紋が認められる・・・・・・・・・×
【0029】
<熱収縮性>
得られた熱収縮性オレフィン系フィルムを100mm×100mm角に切り取る。切り取ったフィルムを100℃の温水浴に10秒間浸漬させ、すぐに冷水で冷却した後、縦方向及び横方向の長さLを測定し、(1)式によって縦方向、横方向の熱収縮率とする。
【0030】
浸漬後の長さ変化割合(%)={(浸漬前のフィルムの長さ)−(浸漬後のフィルムの長さ)}/(浸漬前のフィルムの長さ)×100 ・・・(1)
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
実施例1、2のフィルムでは、白化現象が認められなかった。加えて、単層フィルムでのフィッシュアイ測定においては、比較例1〜5と比べてフィッシュアイ発生が著しく抑えられていることが判った。一方、酸化防止剤・滑剤を単独で添加した比較例2及び3においては、特段の添加剤を使用していない比較例1に比べて、フィッシュアイを減少させる方向に働いているものの、その効果は小さい。また、メタロセン触媒で製造したオレフィンオリゴマーを表面層に添加した実施例1ならびに2は、メタロセン触媒以外(チグラー系触媒)で製造したオレフィンオリゴマーと酸化防止剤が添加されている比較例5に比較して、フィッシュアイの発現を抑える能力が高いことが判った。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層からなる熱収縮性ポリオレフィン系フィルムにおいて、両表面層はガラス転移温度が50℃〜100℃の環状オレフィン系共重合樹脂と、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーと、メタロセン触媒で製造されたオレフィンオリゴマーを除くポリエチレンとを有する樹脂組成物で構成され、中間層はポリエチレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成されており、かつ該フィルムの厚み全体に対し、両表面層の厚みの合計が10〜40%、中間層の厚みが90〜60%であることを特徴とする熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
【請求項2】
前記両表面層の樹脂組成物が酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
【請求項3】
前記両表面層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。


【公開番号】特開2011−104816(P2011−104816A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260225(P2009−260225)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】