説明

熱収縮性ラベル、およびラベル付き容器

【課題】 ラベルを容器に熱収縮した状態で、流通過程においてラベル同士の接触や落下した際の衝撃で、ラベルが破断することなく、使用済容器をリサイクル前にラベルを容器から剥離する際、ラベルにミシン目を設けなくとも、容器の軸方向に手切れ性を有し、ミシン目加工がなく生産性にも優れる熱収縮性ラベル、およびラベル付き容器を提供する。
【解決手段】 本発明の熱収縮性ラベルは、円筒状有底容器の胴部に装着する筒状の熱収縮性ラベルにおいて、当該容器の軸方向の引き裂き強度が、当該の周方向の引き裂き強度より弱い引き裂き強度であり、引き裂き用ミシン目を形成しなくとも軸方向に手切れ性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の有底筒状容器の胴部外周面に嵌め込み、加熱収縮させて緊締する熱収縮性ラベル、およびそれを用いたラベル付容器に関するものである。
更に、本発明は、引き裂き用ミシン目を形成しなくとも、容器軸方向に手切れ性に優れた熱収縮性ラベル、およびそれを用いたラベル付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の容器は、これらの容器の外表面に、装飾あるいは内容物表示等のために、文字、図形、記号、絵柄等からなる所望の印刷絵柄模様を施したラベルを装着している。
装着するラベルとしては、紙、あるいは、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の種々のプラスチックフィルムを使用している。
また、前記のプラスチックフィルム製のラベルとして、熱収縮性ラベルがある。
前記のシュリンクラベルを容器に巻き付ける方法としては、例えば、筒状、若しくは、袋状のラベルに少し余裕を持たせて一次包装した後、熱風、スチーム等によって該ラベルを容器外周面に熱収縮させる方法が知られている。
【0003】
使用済み容器を回収してリサイクルを行うために、リサイクル前に予め熱収縮性ラベルを容器から剥離することが必要である。
しかし、容器にラベルがピッタリと密着しており、ラベルの横方向(容器の周方向)に引き裂きやすく、ラベルを手で軸方向に引き裂くことは困難である。
そこで、プラスチック製のボトルに巻着する熱収縮ラベルにあらかじめミシン目を設けておき、剥離が容易でありリサイクル性が大幅に向上する熱収縮ラベルの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、縦方向の2本の切れ目線を設け、少なくとも1本の切れ目線の下部に切れ目線を設けていない部分を残した熱収縮性ラベルを提供することによって、簡単に切れ目線を切断して剥離して、容器と分離して廃棄することができ、更に切れ目線を切断して剥離した時に、2つになって散乱する恐れがない熱収縮性ラベルを提供する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平5−16634号公報
【特許文献2】特開2003−192020号公報
【0004】
しかしながら、従来のミシン目を設けた熱収縮性ラベルでは、ミシン目を設けることによって引き裂き性が向上するものの、容器に装着した状態で流通する過程において、例えばラベル同士の接触や落下した際の衝撃で、ミシン目からラベルが破断してしまうという欠点があった。
中でも、ポリエステル系熱収縮ラベルを使用すると、容器の軸方向に引き裂き強度が強いため、ラベルを破断する際、引き裂き強度の弱い周方向に裂けてしまい、ミシン目に沿ってラベルが剥離できないという欠点があった。
また、ミシン目が衝撃で破断しない強度を維持するミシン目の大きさとなるように設定を工夫する必要があり、ミシン目加工するための刃の設定や、刃の交換等の作業が煩雑になるという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ラベルを容器に熱収縮した状態で、流通過程においてラベル同士の接触や落下した際の衝撃で、ラベルが破断、脱落することなく、使用済容器をリサイクル前にラベルを容器から剥離する際、ラベルにミシン目を設けなくとも、容器の軸方向に手切れ性を有し、ミシン目加工がないため生産性にも優れるラベル、およびラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の熱収縮性ラベルは、容器の胴部に装着する筒状の熱収縮性ラベルにおいて、当該容器の軸方向の引き裂き強度が、当該容器の周方向の引き裂き強度より弱い引き裂き強度であり、引き裂き用ミシン目を形成しなくとも軸方向に手切れ性を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の熱収縮性ラベルにおいて、前記の容器の軸方向の引き裂き強度が、50N/mm以上であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の熱収縮性ラベルは、環状ポリオレフィン系樹脂層からなる両表面層と、ポリオレフィン系樹脂層からなる中心層との少なくとも3層の共押出しによる多層フィルムから構成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の熱収縮性ラベルは、その上端部にノッチまたは摘み片を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のラベル付き容器は、上記の熱収縮性ラベルで被覆されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のラベル付き容器は、前記のラベルの装着位置である肩部から胴部にかけて軸方向に多数の凹状の溝を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラベル付き容器は、前記のラベルの装着位置である肩部から胴部にかけて軸方向に多数の凹状の溝を10mm以上50mm未満の間隔で形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱収縮性ラベルは、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の有底筒状容器の胴部外周面に嵌め込み、加熱収縮させて被覆する熱収縮性ラベルにあらかじめミシン目を設けなくともラベル上端部の任意の位置からラベルの軸方向に手で容易に引き裂き可能であり、容器リサイクル性を大幅に向上でき、かつミシン目から不用意にラベルが破断することなく、十分な強度を得ることができ、ミシン目加工がないため生産性にも優れるものである。
また、容器本体に多数の凹状の溝を形成することにより、流通過程においてラベルが破断することなく、容器本体に被着されたラベルを剥離する際、ラベルの上端部と容器間の隙間を起点として容器軸方向に手切れしやすいという利点を有する。
更に本発明の熱収縮性ラベルは、ポリオレフィン系フィルムからなり、比較的安価な材料を利用しているためコストも安いという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の本発明に係る熱収縮性ラベルおよびラベル付き容器について、以下に図面を参照しながら、実施の形態を詳述する。
まず、本発明にかかる熱収縮性ラベルを構成する層構成についてその二三を例示して図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る熱収縮性ラベルの層構成を示す断面図であり、図2は、本発明の一実施例に係るラベルを有底筒状容器に被着したラベル付き容器示す正面図であり、図3は、本発明の一実施例に係るラベルの別の形状を示す斜視図であり、図4は、本発明の一実施例に係るラベルを別の形態の容器に被着したラベルを示す平面図であり、図5は、図4のX−X線に沿って前記のラベル付き容器を破断して示す横断面図である。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る熱収縮性ラベルの層構成を示す概略的断面図である。
熱収縮性ラベル10において、縦方向(機械方向)の引き裂き強度は、横方向(直交方向)の引き裂き強度より弱い引き裂き強度であることが必要であり、このことによって、引き裂き用ミシン目を形成しなくとも軸方向に手切れ性を有するという機能を有するものである。また、縦方向(機械方向)の引き裂き強度は、50N/mm以上であることラベルの装着状態での破断を防止するために必要である。
上記の熱収縮性ラベルとしては、具体的に、図1に示すように、環状ポリオレフィン系樹脂層からなる両表面層2と、ポリオレフィン系樹脂層からなる中心層4との3層の共押出して多層フィルムとし、更に延伸した加熱収縮性フィルムからなり、層構成、(外側の面)環状ポリオレフィン系樹脂2/ポリオレフィン系樹脂層4/環状ポリオレフィン系樹脂2(容器側の面)からなるものが使用できる。
そして、上記のラベルには、図示しないが、通常、その表面または裏面に印刷絵柄層を形成するものである。
前記の両表面層2の構成成分である環状ポリオレフィン系樹脂は、縦方向に直線的に手で引き裂く機能を付与するものであり、前記の中心層の構成成分であるポリオレフィン系樹脂層は、ラベルの加熱収縮後に柔軟性を有し、筒状にしても、亀裂を防止するという機能を付与するものである。
前記の両表面層2の厚さと中心層4の厚さの比率は、1:1〜1:7の範囲にあることが、加熱収縮後も柔軟性があり、筒状にしても亀裂が発生せず、縦方向に引き裂くことができるので好ましい。
【0016】
図2は、本発明の一実施例に係るラベルを被着した有底筒状容器20を示す正面図である。
本発明の熱収縮性ラベルは、シート状の熱収縮性ラベル本体10の両端縁を重ね合わせ、その重ね合せ部を貼合わせることにより、円筒状に形成したものであり、前記のラベル本体10には、容器の周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
また、前記の有底筒状容器6は、口部8と肩部12と胴部14とからなる。
図2に示すように、熱収縮性ラベル付き容器20は、図1に示すような本発明に係る熱収縮性ラベル10を円筒状に形成して、しかる後、熱収縮によって有底筒状容器6の胴部外周面に密着固定してなるものである。
【0017】
本発明に係る熱収縮性ラベル10は、熱収縮した状態で、ラベルの縦方向(容器の軸方向)の引き裂き強度が、周方向の引き裂き強度より弱い引き裂き強度であることが必要である。
このことによって、引き裂き用ミシン目を形成しなくともラベル端部の任意の位置から軸方向に手で容易に引き裂くことができ、かつ、流通過程において衝撃等により容易に破断しないという利点を有する。
また、ラベルの縦方向(容器の軸方向)の引き裂き強度が、50N/mmであることが必要である。50N/mm未満であると、流通過程において衝撃等により容易に破断してしまうため好ましくなく、周方向の引き裂き強度より強いと、ラベル端部の任意の位置から軸方向に直線的に手で容易に引き裂くことができなくなるため好ましくない。
そして、横方向(直交方向)の熱収縮率が23%〜40%であることで、熱収縮後に縦方向に手で容易に引き裂くことができるため、好ましい。
熱収縮性ラベル本体10の厚みは、手切れ性、耐衝撃性、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、13〜250μmの範囲内にあることが好ましく、30〜200μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0018】
本発明における両表面層2は、印刷適性を有し、溶剤シール可能な非晶性環状ポリオレフィン系樹脂層であれば、特に限定されない。
中でも、両表面層2(外面層および内面層)は、両表面層の端部を重ね合わせてシールするため、同一の樹脂からなることがより好ましい。
前記の非晶性環状オレフィン系樹脂としては、具体的に、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ヘプタシクロ−5−イコセン、ヘプタシクロ−5−ヘンイコセン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロペンタデカジエン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3−ペンタデセン等を単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
両表面層2の厚みは、各3〜15μm程度が好ましく、5〜10μm程度がより好ましい。
厚みが3μm未満であると、溶剤シールによる接着強度が不足するため好ましくなく、15μmを超えると、柔軟性に欠け、亀裂が生じやすくなるため好ましくない。
【0019】
本発明における中心層4は、熱収縮後も柔軟性を有するポリオレフィン系樹脂層であれば、特に限定されない。
前記のポリオレフィン系樹脂としては、具体的に、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1等のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等を使用することができる。
中心層4の厚みは、例えば、10〜70μm程度が好ましく、20〜50μm程度がより好ましい。
10μm未満であると、ラベルを熱収縮後に柔軟性に欠けるため好ましくなく、70μm超えると、材料コストがかかり、機械適性の面から好ましくない。
【0020】
本発明における熱収縮性ラベル10を構成する3層を積層する方法は、例えば、共押出法などにより製造できる。例えば、熱収縮性ラベル10は、中心層4を形成する樹脂層と、両表面層を形成する樹脂層2とを、フラットダイを用いるT−ダイ法、または環状ダイを用いるインフレーション法が適用できる。
【0021】
本発明において、前記の表面層2と中心層4との層間の接着力を向上させるために、必要に応じて、アンカーコート剤、コロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等を介して、溶融押出し樹脂層からなる表面層2と中心層4とを溶融押出し積層することができるものである。
前記のアンカーコート層としては、具体的に、例えば、ポリオレフィン系、有機チタネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、イソシアネート系、ポリエステル系、アクリル系などの非硬化型または、硬化型のアンカーコート剤が挙げられる。
前記のアンカーコート層は、グラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法のコーティング方法により形成できる。
【0022】
前記のラベル10の表面または裏面に形成する印刷絵柄層としては、ラベルの全面若しくは部分的に、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷技術を用いて図、文字、記号等の絵柄を形成することができる。
印刷絵柄層に使用されるインキとしては、表面層と密着性があり、必要な耐性を有している一般的に用いられているインキが使用することが好ましく、中でも耐熱性に富むグラビアインキで印刷することが望ましい。
なお、本発明において、上記の印刷絵柄層としては、後述する筒状体を製造する場合、前記のラベルの両端部に設けない方が望ましいものである。
印刷絵柄層6の厚みとしては、特に限定されないが、1〜10μm位が好ましく、2〜5μm位がより好ましい。
また、印刷絵柄層は、表面層の表面若しくは裏面に形成することができるが、裏面(容器側)に形成する方が、外部からの損傷を防止することができるため好ましい。
【0023】
なお、上記の各種の樹脂層には、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、対候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスティック配合剤や添加剤等を添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0024】
そして、前記の耐熱性シュリンクラベルの両端部である外面層2、内面層2を重ね合わせ、しかる後、その端部の重合部分を接合部分として、熱融着、または、溶剤で希釈した接着剤を介してまたは、超音波シール、または、溶剤シールで貼り合わせてシ−ル部を形成して、筒状体からなる熱収縮ラベルを得ることができる。
なお、上記の熱収縮ラベルは、チューブ状のものを用いても構わない。
前記のラベル本体には、容器の周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
【0025】
上記の溶剤シールに使用する溶剤としては、特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系等の有機溶剤を使用することができる。
中でも、表面層として非晶性環状オレフィン系樹脂を使用する場合、炭化水素を使用することが好ましく、沸点、20℃〜70℃程度の炭化水素が作業性に優れるためより好ましい。
【0026】
図3は、本発明に係る熱収縮性ラベル10の別の形状を示す平面図である。
図3に示すように、本発明に係る熱収縮性ラベル10の別の形状としては、当該ラベルの上端部、更に下端部にノッチ18または摘み片22を一個以上形成するものである。
上記のノッチ18を起点として、または摘み片22を手で摘み、引き上げることにより熱収縮性ラベル10は、より容易に手で引き裂くことができる。
【0027】
熱収縮性ラベルの被着体となる有底筒状容器6としては、カップ麺等に使用されるプラスティック容器や、チルド状態やホット状態の飲料容器に利用されるポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の有底筒状容器を使用することができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施例に係るラベルを別の形状の容器に被着したラベル付き容器20を示す正面図である。
図4に示すように、有底筒状容器6の外表面は、肩部12から胴部14にかけて多数の凹状の溝16を形成するものであり、図5は、図4のX−X線に沿って前記のラベル付き容器を破断して示す横断面図である。
そして、上記のラベル付き容器20は、上記の溝16の下面に熱収縮性ラベルが覆着されればよく、通常は、その上縁が溝16の上端より下側に位置して、かつ溝の下端より上側に位置するようにして被着させてなるものである。
このことによって、ラベルの上端部と容器間に僅かな隙間が生じるため、ラベルの上端の任意の位置を起点として手で縦方向(容器の軸方向)により容易に引き裂くことができるという利点を有する。
本発明に係るラベルを熱収縮して容器に被覆した状態で、10mm〜50mm程度の幅の溝を10mm以上50mm未満の間隔で等間隔に形成することが手でラベルの任意の位置から縦方向に引き裂きやすいのでより好ましい。
溝の間隔が、10mm未満であると、隙間が狭すぎて、上記の効果を奏し得ないため好ましくなく、50mm以上であると、溝を形成する数が少ないため、溝の上の位置を起点とないと上記の効果を奏し得ないため好ましくない。
本発明に係る容器に形成する溝の形状としては、直線状に限定されず、同一形状の菱形、四角形や六角形、円弧状等の構成単位から構成されてもよい。
【0029】
上記の容器の内容物としては、カップ麺等や、ビール、ワイン、コーヒー飲料、ビタミン飲料、乳・乳飲料、ジュ−ス、炭酸飲料、水、お茶等の飲料水、あるいは、油脂、調味料、その他種々の液状食品等が挙げられる。
【0030】
上記で製造した熱収縮性ラベルの筒状体を、自動ラベル装着装置等に供給し、必要な長さに切断した後、前記の有底筒状容器6の外表面にラベルの縦方向が容器の軸方向となるようにして嵌着し、次いで、前記の有底筒状容器を、シュリンクトンネル等に通して、所定温度(例えば、80〜200℃程度)の熱風や、スチームや、赤外線等の輻射熱を作用させて筒状ラベルを周方向に高収縮させて、熱収縮性ラベル10で被覆して、ミシン目を設けなくともラベル上端部の任意の位置からラベルの軸方向に手で容易に引き裂き可能であり、かつ、流通過程において落下等の耐衝撃性に優れる熱収縮性ラベル付容器を製造することができる。
【実施例1】
【0031】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
表裏両面2に、環状ポリオレフィン系樹脂層、中心層4にポリオレフィン系樹脂層で構成される、厚さ50μmの熱収縮性共押出しフィルム(三菱樹脂製、80℃における熱収縮率;36%)を使用して、そのラベルの両端部となる部分を除いてフィルムの片面に、グラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形等からなる所望の印刷絵柄を施した。
その結果、層構成、環状ポリオレフィン系樹脂層2(厚さ7μm)/直鎖状ポリオレフィン系樹脂層4(厚さ36μm)/環状ポリオレフィン系樹脂層2(厚さ7μm)/絵柄印刷層となる本発明に係る実施例1の熱収縮性ラベルを製造した。
しかる後、当該印刷絵柄層を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(シクロヘキサン/ヘプタン−1の混合溶媒)を介して溶剤シールして接合部を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベルを製造した。次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、加熱蒸気で加熱しているシュリンクトンネル内を通して、熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着したポリエチレンテレフタレ−ト製ボトル(容量500ml)を製造した。
その結果、上記で得られた熱収縮性ラベル付き容器は、流通過程において外部からの衝撃によりラベルが破断することなく、十分な強度を得ることができるものであり、かつ使用後にラベルをボトルから剥離する際、あらかじめミシン目を設けなくともラベル上端部の任意の位置からラベルの軸方向に手で容易に引き裂くことができた。
【実施例2】
【0032】
図3に示すように、肩部12から胴部14にかけて軸方向に多数の凹状の溝を30mmの間隔で形成した容量500mlのポリエステル製ボトル6を製造した。
当該ボトルの各部の寸法は、胴部半径r=34mm、底部から首部までの高さH=187.5mm、胴部厚みt=0.34mmである。
また、凹状の溝の具体的寸法は、軸方向最大長さ、120mm、溝の最大幅、5mm、溝の最大深さが、3mmである。
【0033】
次に、実施例1と同じ層構成の筒状体からなる熱収縮性ラベル10を使用し、上記で得られたポリエステル製ボトル6の外表面に嵌着し、次いで、加熱蒸気で加熱しているシュリンクトンネル内を通して、熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着したポリエチレンテレフタレ−ト製ボトル(容量500ml)20を製造した。
その結果、上記で得られた熱収縮性ラベル付き容器20は、流通過程において外部からの衝撃によりラベルが破断することなく、十分な強度を得ることができるものであり、かつ使用後にラベルをボトルから剥離する際、あらかじめミシン目を設けなくとも、ラベルの上端部と容器間の隙間を起点としてラベル上端部の任意の位置から容器軸方向に手で容易に引き裂くことができた。
【0034】
〔比較例1〕
実施例1で用いた環状ポリオレフィン系樹脂層、中心層に直鎖状ポリオレフィン系樹脂層で構成される熱収縮性共押出しフィルムの代わりに、厚み45μmの1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(品名「S7542」、東洋紡(株)社製)を使用した。
次に、そのラベルの両端部となる部分を除いてフィルムの片面に、グラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式にて、所望の印刷絵柄を施した。
その結果、層構成、〔外側の面〕1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム層(厚さ45μm)/絵柄印刷層〔容器側の面〕となる比較例1に係る熱収縮性ラベルを製造した。
しかる後、当該印刷絵柄層を内面側にして筒状体とし、実施例1と同様にして、当該熱収縮性ラベルを装着したポリエチレンテレフタレ−ト製ボトル(容量500ml)を製造した。
【0035】
〔比較例2〕
実施例1で用いた環状ポリオレフィン系樹脂層、中心層に直鎖状ポリオレフィン系樹脂層で構成される熱収縮性共押出しフィルムの代わりに、厚み50μmの1軸延伸ポリスチレン樹脂フィルム(品名「DXL219−45」、三菱樹脂(株)社製)を使用した。
次に、そのラベルの両端部となる部分を除いてフィルムの片面に、グラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式にて、所望の印刷絵柄を施した。
その結果、層構成、〔外側の面〕1軸延伸ポリスチレン樹脂フィルム層(厚さ50μm)/絵柄印刷層〔容器側の面〕となる比較例2に係る熱収縮性ラベルを製造した。
しかる後、当該印刷絵柄層を内面側にして筒状体とし、実施例1と同様にして、当該熱収縮性ラベルを装着したポリエチレンテレフタレ−ト製ボトル(容量500ml)を製造した。
【0036】
〔比較例3〕
実施例1で用いた環状ポリオレフィン系樹脂層、中心層に直鎖状ポリオレフィン系樹脂層で構成される熱収縮性共押出しフィルムの代わりに、厚み50μmの1軸延伸オレフィン系樹脂フィルム(品名「ランディファイブ」、大倉工業(株)社製、熱収縮率、24%)を使用した。
次に、そのラベルの両端部となる部分を除いてフィルムの片面に、グラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式にて、所望の印刷絵柄を施した。
その結果、層構成、〔外側の面〕オレフィン系樹脂フィルム層(厚さ50μm)/絵柄印刷層〔容器側の面〕となる比較例3に係る熱収縮性ラベルを製造した。
しかる後、当該印刷絵柄層を内面側にして筒状体とし、実施例1と同様にして、当該熱収縮性ラベルを装着したポリエチレンテレフタレ−ト製ボトル(容量500ml)を製造した。
【0037】
(実験1:単体落下試験)
以上のように製造した実施例1〜2および比較例1〜3の筒状熱収縮性ラベルを用いて、前記の筒状シュリンクラベル10を熱収縮により容器に密着固定した熱収縮性ラベル付き容器20を準備した。
5℃にて1週間の冷蔵保存を行った後、上記の熱収縮性ラベル付き容器を口部が上になるようにして、コンクリートの床上50cm、70cm、90cmの高さから夫々垂直落下を行った後、ラベルの破袋の有無を確認した。
また、恒温槽内で23℃にて1週間の保存を行った後、上記と同様にして単体落下試験を行った。
結果を表1に示す。なお、表1中には、ラベルの破袋数/n(n:落下試験に用いた袋の数)を記載した。
【0038】
(実験2:集合落下試験)
実施例1〜2および比較例1〜3の筒状熱収縮性ラベルを用いて、前記の筒状シュリンクラベル10を熱収縮により容器に密着固定した熱収縮性ラベル付き容器20を準備した。
段ボール箱内に熱収縮性ラベル付き容器を10本ずつ入れ、5℃にて1週間の冷蔵保存を行った。
冷蔵保存後の段ボール箱をコンクリートの床上50cm、70cm、90cmの高さより、底面を下にした状態で水平落下を行い、ラベルの破袋の有無を確認した。
また、恒温槽内で23℃にて1週間の保存を行った後、上記と同様にして単体落下試験を行った。
結果を表1に示す。なお、表1中には、ラベルの破袋数/n(集合落下試験に用いた袋の数)を記載した。
【0039】
(実験3:ラベルの引き裂き強度試験)
実施例1〜2および比較例1〜3の熱収縮性ラベルの引き裂き強度は、エレメンドルフ引裂試験機を用いて、JIS K−7128(C法)に準拠して測定した。ラベルの縦方向(MD)と横方向(TD)各々について測定した。結果を表1に示す。単位はgである。
【0040】
(実験4:ラベルの手切れ性試験)
実施例1〜2および比較例1〜3の筒状熱収縮性ラベルを用いて、前記の筒状シュリンクラベルを熱収縮により容器に密着固定した熱収縮性ラベル付き容器20を準備した。
官能評価として、熱収縮性ラベル付き容器におけるラベルの引き裂き性をラベル上端部の任意の位置を引き裂き開始部として、縦方向(容器軸方向)に手で引き裂くことにより評価した。
<評価項目>
○:抵抗なく、縦方向に沿って直線状に容易に引き裂くことができる。(ずれ量、10mm未満)
△:多少抵抗はあり、縦方向に沿って直線状に引き裂くことができない。(ずれ量、30mm以上100mm未満)
×:抵抗があり、直線状に引き裂くことができない。(ずれ量、100mm以上)
その結果を、表1に示す。
【0041】
(実験結果)
【表1】

【0042】
表1に示した実験1〜4の結果から明らかなように、実施例1〜2の熱収縮性は、縦方向(MD)の引き裂き強度が、横方向(TD)の引き裂き強度より弱い熱収縮ラベルであり、ラベルにミシン目を刻設しなくとも、手で縦方向(容器軸方向)に沿って容器からラベルを引き裂く際、引き裂きの抵抗感が少なく、上端部と下端部で引き裂き線がずれることなく、直線引き裂き性に優れるものであり、かつ耐衝撃性を保持できるものであった。
これに対し、比較例1〜3の熱収縮性ラベルは、縦方向(MD)の引き裂き強度が、横方向(TD)の引き裂き強度より強い熱収縮ラベルであり、実施例1〜2のラベルより引き裂く際に抵抗があり、直線状に引き裂くことが困難であり、手切れ性より劣るものであり、更に比較例1の耐衝撃性に劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例に係る熱収縮性ラベルの層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るラベルを有底筒状容器に被着したラベル付き容器示す正面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るラベルの別の形状を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るラベルを別の形態の容器に被着したラベルを示す平面図である。
【図5】図4のX−X線に沿って前記のラベル付き容器を破断して示す横断面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 表面層
4 中心層
6 有底筒状容器
8 口部
10 熱収縮性ラベル本体
12 肩部
14 胴部
16 溝
18 ノッチ
20 熱収縮性ラベル付き容器
22 摘み片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部に装着する筒状の熱収縮性ラベルにおいて、当該容器の軸方向の引き裂き強度が、当該容器の周方向の引き裂き強度より弱い引き裂き強度であり、引き裂き用ミシン目を形成しなくとも軸方向に手切れ性を有することを特徴とする熱収縮性ラベル。
【請求項2】
前記の容器の軸方向の引き裂き強度が、50N/mm以上であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ラベル。
【請求項3】
前記の熱収縮性ラベルが、環状ポリオレフィン系樹脂層からなる両表面層と、ポリオレフィン系樹脂層からなる中心層との少なくとも3層の共押出しによる多層フィルムから構成されることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の熱収縮性ラベル。
【請求項4】
前記の熱収縮性ラベルが、その上端部にノッチまたは摘み片を形成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱収縮性ラベル。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱収縮性ラベルで被覆されることを特徴とするラベル付き容器。
【請求項6】
前記の容器が、前記のラベルの装着位置である肩部から胴部にかけて軸方向に多数の凹状の溝を形成することを特徴とする請求項5記載のラベル付き容器。
【請求項7】
前記の容器が、前記のラベルの装着位置である肩部から胴部にかけて軸方向に多数の凹状の溝を10mm以上50mm未満の間隔で形成することを特徴とする請求項5記載のラベル付き容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27675(P2006−27675A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210053(P2004−210053)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】