説明

熱収縮性筒状ラベル

【課題】 本発明は、ネジキャップの付いた容器に装着される熱収縮性筒状ラベルに於いて、装着された筒状ラベルが、ネジキャップの開封時に、容器に対して空回りし難く改良することを課題とする。
【解決手段】
注出口を開閉栓可能なネジキャップ25と円筒状の胴部22とを有する容器の該円筒状の胴部22にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベル1であって、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上の筒状ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のネジキャップを開封する際に容器胴部に対して空回りし難い熱収縮性筒状ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー、紅茶、お茶などの飲料を充填する容器として、円筒状胴部の上部に、回転させることによって着脱できるネジキャップが取り付けられたボトル型の容器が知られている。かかるボトル型容器は、ネジキャップによって注出口が再封可能であることから飲料を一時に飲み干す必要がなく、又携帯性にも優れているので、近年大量に供給されており、例えばポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製、アルミニウムなどの金属製、ガラス製のものが広く用いられている。
ところで、かかるボトル型容器に、商品名などの所定の表示や加飾を施す方法としては、a).容器に直接印刷を施す、b).容器に印刷済みのフィルムを貼り付ける、c).印刷済みの熱収縮性筒状ラベルをシュリンク装着する、などの方法が知られている(特開2001−114245の[0005]、[0006]など)。
しかしながら、直接印刷する方法は、PETボトルなどの非常に薄い合成樹脂製の容器に対して行うことは困難であり、また、金属製の容器では胴部に印刷できても肩部に印刷することは困難である。
一方、印刷フィルムを貼り付ける方法は、接着剤をフィルムに塗布する工程が必要であり、又、ラベリング装置に接着剤が付着するので、その除去メンテナンスが必要となる。さらに、リサイクルの際、容器と印刷フィルムを簡単に分離できない。
この点、熱収縮性筒状ラベルを利用すれば、接着剤を用いずに、加飾性に優れた印刷済みラベルを容器の胴部のみならず肩部等にも簡易に装着でき、リサイクル時の分離も容易であることから、熱収縮性筒状ラベルを用いることが最も好ましい。
【0003】
しかしながら、熱収縮性筒状ラベルが円筒状胴部に装着された容器のネジキャップを開封する際、ラベルと容器が空回りしてネジキャップを開けにくいことがある。すなわち、ネジキャップを回転させようとしているにも拘わらず、ネジキャップを回そうとすると容器自体がラベルの内周面に沿って滑ってしまい、ネジキャップを開けることができないことがある。特に、凹凸のない平滑曲面状の胴部を有する金属製容器(いわゆるボトル缶)に筒状ラベルを装着した場合、かかる問題点が生じやすい。
【0004】
【特許文献1】特開2001−114245
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ネジキャップの開封時に、容器に対して空回りし難い熱収縮性筒状ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点に鑑みて、筒状ラベルの容器胴部に対する密着性や滑り性に着目し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の手段は、注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上に構成されていることを特徴とする。
ここで、上記筒状ラベルに於いて、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力とは、筒状ラベルの一部を周方向に200mm、縦方向に15mmに切り取り、この周方向の両端部を応力測定器((株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離100mm)、85℃の温水中に10秒間浸漬した間に生じる収縮応力の最大値をいう。
【0007】
上記熱収縮性筒状ラベルは、周方向に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上であるため、加熱によってシュリンク装着された際、筒状ラベルが強く引き締まることによって容器胴部と十分に密着する。従って、ネジキャップを開封する際に、筒状ラベルと容器の空回りを防止できる。
【0008】
また、本発明の第2の手段は、注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部を有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上であり、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対するラベル内面の静摩擦係数が0.4以上に構成されていることを特徴とする。
ここで、静摩擦係数は、2つの物体が接している面の摩擦度合いを表すものであるため、物体が異なると静摩擦係数の数値も異なり得る。本発明は、かかる点に鑑み、「ラベル内面の静摩擦係数」の特定方法として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを基準とするものであって、本発明の熱収縮性筒状ラベルや同ラベルが装着される容器に「ポリエチレンテレフタレートフィルム」が必須の構成要素として含まれているという限定的な解釈をしてはならない。
そして、上記ラベル内面の静摩擦係数は、下記に示す測定方法によって測定された数値を言う。
ラベル基材を80mm×100mm(幅×長さ)に切り取り、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A1101#100の未処理面)を100mm×300mm(幅×長さ)に切り取り、基材の内面をポリエチレンテレフタレートフィルム面に重ね、JIS K 7125に準じて、引張りスピード100mm/分、温度23±2℃、湿度50±5%で、基材内面の静摩擦係数を測定する。
【0009】
上記熱収縮性筒状ラベルは、周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上で、且つラベル内面の静摩擦係数が0.4以上であるため、筒状ラベルを容器胴部に強く密着させつつ、筒状ラベル内面の容器胴部に対する摩擦を高めて滑り難くするという相乗効果によって、筒状ラベルと容器の空回りを防止できる。
【0010】
さらに、本発明の第3の手段は、注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、85℃温水中に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が、5N/15mm以上に構成されていることを特徴とする。
上記熱収縮性筒状ラベルは、シュリンク装着後、容器胴部に対して強く締まることによって十分な密着状態を維持できる。従って、ネジキャップを開封する際に、筒状ラベルと容器の空回りをより確実に防止できる。
【0011】
また、本発明の第4の手段は、注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、85℃温水中に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が、3N/15mm以上であり、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対するラベル内面の静摩擦係数が0.4以上に構成されている熱収縮性筒状ラベル。
上記熱収縮性筒状ラベルは、装着後、容器胴部に対して十分な密着状態を維持しつつ、筒状ラベル内面の容器胴部に対しる摩擦を高めて滑り難くするという相乗効果によって、筒状ラベルと容器の空回りを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、ネジキャップを有する容器の円筒状の胴部にシュリンク装着して使用され、該ネジキャップを開封する際に、筒状ラベルと容器との空回りを防止できる。従って、ネジキャップを容易に開封することができる筒状ラベル付き容器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2に於いて、1は、容器2の少なくとも胴部22に、熱収縮性筒状ラベル3がシュリンク装着された筒状ラベル付き容器を示す。この筒状ラベル付き容器1は、筒状ラベル3の容器胴部22に対して空回りするときの回転トルクが、ネジキャップ25の開栓トルクよりも大きく構成されている。
【0014】
容器2は、円筒状の胴部22と注出口24が形成され、この注出口24に封緘用のネジキャップ25が取り付けられている。具体的には、容器2は、底面部21、これに続く中空状の胴部22、胴部22から次第に細くなる肩部23が形成され、肩部23の上方に注出口24が形成されている。容器2の胴部22は、略円筒状に形成されており、胴部22の外面は、リブなどの凹凸が形成されていない平滑曲面とされている。このような平滑曲面状の容器2に筒状ラベル3を装着すると、該筒状ラベル3が空回りし易い傾向にある。尚、この傾向は、周方向全体にわたり均一なリブ(凹凸部)が形成された容器でも同様である。さらに、注出口24は、外面に雄ネジ部が形成された略円筒状の周壁部241と、この周壁部241の上端に形成された開口部242とからなり、開口部242の中心軸Oが胴部22の中心軸線上に一致するように形成されている。ネジキャップ25は、開口部242を閉塞する封緘部251と、封緘部251の周囲から下方に延びる周壁部252とからなり、周壁部252の内周面には、注出口24の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部(図示せず)が形成されている。従って、ネジキャップ25を中心軸O周りに回転させると注出口24からネジキャップ25を取り外すことができる。
容器2の材質は特に限定されず、アルミニウム、スチール(合成樹脂製フィルムが積層されたアルミニウム板やスチール板などを含む)などからなる金属製、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどからなる合成樹脂製、ガラス製などの公知の材質によって形成することができるが、比較的ラベルが滑り易いことから、例えばアルミボトル缶やスチール缶のような金属製の容器2に本発明の筒状ラベル3を装着することが効果的である。尚、ネジキャップ25の材質は、容器2と同種のもの(例えば金属製、合成樹脂製など)で形成してもよいし、異なる材質でもよい。
【0015】
胴部22とネジキャップ25の径は、特に限定されず、例えば、胴部22の直径が30〜80mm程度、ネジキャップ25の封緘部251の直径が20〜40mm程度のものを用いることができる。もっとも、ネジキャップ25の径が大きいと開栓トルクが大きく、径大なネジキャップ25ほど装着された筒状ラベル3が空転し易い傾向にあるため、例えば、直径28mm以上、特に、直径38mm以上のネジキャップ25を有する容器2(例えば、図3に示すような胴部22とネジキャップ25の径差の小さい容器2など)に、本発明の筒状ラベル3を装着することが効果的である。
ここで、一般に飲料用のボトル型容器のネジキャップの開栓トルクは、1.27〜2.55N・m(13〜26Kgf・cm)程度に設計されている。例えば、ネジキャップ25及び容器胴部22がアルミニウム製の汎用的飲料用ボトル缶に於いて、直径38mmのネジキャップ25の開栓トルクは約1.47〜1.96N・m(15〜20Kgf・cm)、直径28mmのネジキャップ25の開栓トルクは、約1.37〜1.57N・m(14〜16Kgf・cm)程度に設計されている。また、老人や子供が無理なくネジキャップ25を開栓できるように、ネジキャップ25の開栓トルクが0.98〜1.57N・m(10〜16Kgf・cm)程度に設計されている容器2も知られている。
本発明の熱収縮性筒状ラベル3は、2.25N・m(23Kgf・cm)程度の比較的大きい開栓トルクを有する容器に装着しても、ネジキャップ25の開栓時に空転を防止することができるものである。
【0016】
次に、熱収縮性筒状ラベル3は、図4にも示すように、熱収縮性フィルム6とこの内面に設けられた意匠印刷層7とからなるラベル基材5の両側端部5a,5bを重ね合わせて筒状にし、この重ね合わせ部分を溶剤又は接着剤にてセンターシールすることによりセンターシール部4が形成された筒状体からなり、容器2の胴部22に外嵌可能に形成されている。
このラベル基材5(筒状ラベル3)は、85℃温水中に10秒間浸漬した際の幅方向(筒状ラベル3とした場合に周方向。以下同じ)に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上で、この温水に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置した後の幅方向の収縮応力が、5N/15mm以上に構成されているものである。
【0017】
具体的に、ラベル基材5の熱収縮性フィルム6は、意匠印刷層7を透視可能な無色透明又は有色透明の熱収縮性フィルムからなり、その材質については特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からから選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなるフィルムが例示され、中でも、比較的収縮力の強いポリエステル系樹脂フィルムを用いることが好ましい。また、異なる2種以上のフィルムを積層した積層フィルムで構成されていてもよい。フィルムは公知の製法で製膜し延伸処理することにより得ることができる。延伸処理は、通常、70〜110℃程度の温度で、幅方向に2.0〜8.0倍、好ましくは3.0〜7.0倍程度延伸することにより行われる。さらに、縦方向(幅方向に直交する方向)にも、例えば1.5倍以下の低倍率で延伸処理を行ってもよい。得られたフィルムは、一軸延伸フィルム又は主延伸方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムとなる。フィルム層の厚みは、概ね20〜80μm程度のものが好ましい。
熱収縮性フィルム6は、85℃温水に10秒間浸漬した際の幅方向に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上で、且つこの温水に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置した後の幅方向の収縮応力が、5N/15mm以上のフィルムが用いられる。意匠印刷層7は熱収縮性に殆ど影響しないので、本実施形態のラベル基材5の収縮応力は、熱収縮性フィルムのそれに等しいからである。かかる収縮応力を有する熱収縮性フィルム6としては、例えばポリエステル系などの比較的収縮力の強いフィルムや、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの比較的収縮力の弱い樹脂の場合には肉厚の厚いフィルムなどが例示される。
尚、熱収縮性フィルム6は、幅方向に於ける熱収縮率が、例えば85℃の温水中に10秒間浸漬した際、約30%以上、好ましくは約40%以上のものが用いられる。尚、縦方向の熱収縮率は、0〜10%、好ましくは0〜6%程度のものが例示される。
但し、熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)−(幅方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
【0018】
意匠印刷層7は、熱収縮性フィルム6の一側端部のセンターシール部相当部分を除いて、その内面略全体又は部分的に、例えば商品名、絵柄、説明などの所定の表示などが、グラビア印刷などの公知の印刷法によって単色又は多色刷りにて設けられている。
尚、意匠印刷層7は、熱収縮性フィルム6の内面側に設けることが好ましいが、フィルム6の外面に設けることも可能である。外面に設ける場合には、意匠印刷層7の保護のため透明ニスなどをベタ印刷などで設けておくことが好ましい。
【0019】
上記構成からなる熱収縮性筒状ラベル3は、上記容器2の円筒状の胴部22及び肩部23に嵌挿され、シュリンクゾーンで加熱されることによって容器胴部22から肩部23にかけてシュリンク装着されることにより、筒状ラベル付き容器1の形態で使用される。
本発明の筒状ラベル3は、85℃での最大収縮応力が9N/15mm以上で、室温下に180秒放置後の収縮応力が6N/15mm以上であるため、加熱時に筒状ラベル3が容器胴部22に強く締まると共に、この加熱時に生じる高収縮力が加熱後も持続する。従って、本発明の筒状ラベル付き容器1は、筒状ラベル3が容器胴部22に強く密着し、ネジキャップ25を開封する際に、筒状ラベル3と容器2の空回りを防止できる。
【0020】
尚、本実施形態では、筒状ラベル3は、意匠印刷が施された熱収縮性フィルム6からなるが、例えば、図5に示すように、熱収縮性フィルム6に不織布や発泡樹脂シートなどの断熱層9などを積層した積層シートをラベル基材5としてもよい。かかる断熱層9を積層することにより、ネジキャップ25の開封時に持ち手に伝わる充填物の温度を緩和できる。不織布としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン系エラストマー、ポリエステルなどの繊維からなるシートが例示され、発泡樹脂シートとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの発泡シートが例示される。断熱層9の厚みは、概ね80〜200μm程度が例示される。かかる断熱層9は、熱収縮性を有するもの又は熱収縮性を有しないものの何れも用いることができるが、熱収縮力の弱い又は非熱収縮性の断熱層9を積層した場合には、ラベル基材5の収縮応力が低下して上記の範囲から外れることがあるため、その分積層する熱収縮性フィルム6は収縮応力が大きいものが用いられる。また、図5(b)に示すように、熱収縮性フィルム6で断熱層9を挟み込むようにしてもよい。
【0021】
(第2実施形態)
第2実施形態については、主として上記第1実施形態と異なる部分について説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
第2実施形態の熱収縮性筒状ラベル3は、上記第1実施形態と同様に、熱収縮性フィルム6の内面(又は外面)に意匠印刷層7が設けられた層構成からなるが、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上であり、容器胴部22の外面に対するラベル内面の静摩擦係数が0.4以上に構成されている。さらに、85℃温水中に10秒間浸漬後、室温下に180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が3N/15mm以上である。
ラベル基材5は、例えば、85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上、室温下に180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が3N/15mm以上の熱収縮性フィルム6が用いられる。尚、上記第1実施形態と同様に、熱収縮性フィルムに他の機能層が積層された積層シートをラベル基材5として用いることもできる。
上記熱収縮性フィルム6(又は他の機能層が積層された積層シート)は、その内面の静摩擦係数が0.4以上のものであれば、それを筒状にして本実施形態の筒状ラベルを構成できる。
一方、熱収縮性フィルム6(又は積層シート)の内面の静摩擦係数が0.4に足りない場合には、図6に示すように、その最内面(センターシール部相当部分を除く)に、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの白色顔料などの顔料を含有するインキを用いてベタ印刷を塗工して表面改質層8を設けることにより、ラベル基材5の内面の静摩擦係数を0.4以上とすることができる。尚、このような表面改質層8を設ける方法に変えて、白色顔料等の顔料を含む熱可塑性樹脂組成物を製膜した熱収縮性フィルム6を用い、このフィルム6の内面を内側にした筒状ラベル3でも、上記静摩擦係数を0.4以上とすることができる。尚、この場合には、意匠印刷層7は、熱収縮性フィルム6の外面に設けられる。
【0022】
本実施形態の熱収縮性筒状ラベル3も同様に、容器2の少なくとも円筒状胴部22にシュリンク装着して使用される。
この熱収縮性筒状ラベル3は、周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上で、且つラベル内周面の静摩擦係数が0.4以上であるため、筒状ラベル3が容器胴部22に強く密着し、且つ筒状ラベル3の内面が容器胴部22に滑り難く、これら相乗効果によって筒状ラベルと容器の空回りを防止できる。従って、ネジキャップ25の開封を容易に行える。
また、本実施形態の筒状ラベル3は、温水浸漬後、室温下で180秒間放置した後の周方向の収縮応力が、3N/15mm以上なので、加熱時に生じる高収縮力を加熱後も持続でき、ネジキャップ25を開封する際に、筒状ラベル3と容器2の空回りを確実に防止できる。
【0023】
尚、筒状ラベル3の内面の容器胴部22の外面に対する静摩擦係数は、空回り防止の観点からは高い程好ましいが、余りにこの静摩擦係数が高すぎると、筒状ラベル3を容器2に嵌挿する際に、ラベル内面と容器胴部22が干渉してスムースに所定位置まで筒状ラベル3を挿入できない虞がある。従って、この点考慮すると、この静摩擦係数は1.0以下が好ましく、0.6以下とすることがより好ましい。この筒状ラベル3の内面の容器胴部22の外面に対する好ましい静摩擦係数の上限については、上記第1実施形態の筒状ラベル3についても同様である。
【0024】
また、本実施形態の筒状ラベル3は、内面全体が静摩擦係数0.4以上のものを例示しているが、例えば、内面の一部に静摩擦係数が0.4未満の部分を有していてもよい。一部(ラベル内面の全面積の30%以下程度)に静摩擦係数が0.4未満の部分があっても、ネジキャップ25を開封する際には、片手で筒状ラベル3の周囲を包むようにして胴部22を握るので、筒状ラベル3の静摩擦係数0.4以上の部分が容器胴部22に押さえつけられ、筒状ラベル3の空回りを防止できるからである。
【0025】
さらに、本実施形態に於いても、筒状ラベル3は、意匠印刷の施された熱収縮性フィルム6からなるものに限定されず、不織布や発泡樹脂シートなどの断熱層9などが積層されたラベル基材5から構成されていてもよい。断熱層9が筒状ラベル3の内面とする場合に於いて、該筒状ラベル3の内面の静摩擦係数が大きくなるときには、図7に示すように断熱層9の内面に凹凸状のエンボス加工を施したり、また、特に図示しないが、断熱層9の内面に実質的に顔料を含まないメジウムインキを適宜印刷するなどの手段により、筒状ラベル3の内面の容器胴部22に対する静摩擦係数を上記の範囲に調整することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を説明し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(試験用容器) 外面にポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されたスチール製ボトル缶。スチール製のネジキャップの直径38mm、胴部の直径52mm(円周長約163mm)、胴部長さ80mm、容量190ml。東洋製罐(株)製。
(ネジキャップの開栓トルクの測定)
ネジキャップが未開封状態の上記試験用容器について、図8に示すように、ネジキャップ25をトルク試験機100(2TME450CN(最大4.5N・cmまで測定可能)、(株)東日製作所製)のチャック101に固定し、胴部22を片手で握って中心軸O回りにこれを回転させ、容器が動き始める際の最大トルクを測定した。測定は5サンプル行い、その平均値を求めたところ、1.7N・mであった。
【0027】
実施例1〜3及び比較例1〜2
表1に示す熱収縮性フィルムの内面全体に、白色系インキ(商品名:NTV−PETHC白、大日本インキ化学工業(株)製)、又はメジウムインキ(商品名:STR耐熱メジウム、大日精化工業(株)製)を厚み約2μmにベタ印刷を施した。尚、表中、「無し」はフィルム面に印刷を行わなかったことを示す。各例の印刷面又はフィルム露出面について、下記試験方法で静摩擦係数を測定した。また、各例のフィルムの85℃温水中に10秒間浸漬した際の幅方向に於ける最大収縮応力と、その後室温下で180秒放置直後の収縮応力を下記の方法にて測定した。その結果を表1に示す。
【0028】
(静摩擦係数の測定)
静摩擦係数の測定は、JIS K 7125に準じ、各フィルム片を、幅×長さ80×100mm、相手材料(二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A1101#100の未処理面)を使用)を、幅×長さが100×300mm、引っ張りスピード100mm/分、温度23±2℃、湿度50±5%で行った。
(最大収縮応力及び180秒後の収縮応力の測定)
最大収縮応力の測定は、各例のフィルムを、幅方向200mm、縦方向15mmの長方形状に切り取り、この試験片の幅方向の両端部を、応力測定器((株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離100mm)、85℃の温水中に10秒間浸漬し、その間に幅方向に発生する応力のうち最大の収縮応力(N/15mm)を測定した。次に、これをチャックで保持したままで温水から取り出し、続いて室温下で180秒間放置し、該放置直後の収縮応力(N/15mm)を測定した。
【0029】
【表1】

【0030】
次に、上記実施例1〜3及び比較例1〜2のフィルムを所定形状に切断し、両端部をセンターシールすることにより折径約88.5mm(円周長約177mm)、高さ約90mmの筒状ラベルを作製した。
このものを上記試験用容器の胴部から首部にかけて嵌挿し、85℃10秒間スチームに曝すことにより、シュリンク装着した。
得られた筒状ラベル付き容器の胴部を片手で持ち他方の手でネジキャップを回し、筒状ラベルの空回りの有無を確認した。その結果を表1に併せて示す。
【0031】
実施例1及び2の筒状ラベルは、静摩擦係数が比較的低く容器胴部と滑り易い場合でも、殆ど空回りせずに、ネジキャップを開けることができた。この実施例から、最大収縮応力が9N/15mm以上のラベルは、静摩擦係数が0.2以上程度有していれば、殆ど空回りせずにネジキャップを開けることができるわかる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態の筒状ラベル付き容器を示す正面図。
【図2】同分解斜視図。
【図3】筒状ラベル付き容器の変形例を示す正面図。
【図4】(a)は、図2のA−A線断面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図5】熱収縮性筒状ラベルの変形例を示す一部省略断面図。
【図6】第2実施形態の筒状ラベルを示す一部省略断面図。
【図7】(a)は、熱収縮性筒状ラベルの変形例を示す一部省略断面図、(b)は、同ラベルを内面側から見た一部省略平面図。
【図8】試験用容器の開栓トルクの測定試験方法を示す参考正面図。
【符号の説明】
【0033】
1…筒状ラベル付き容器、2…容器、21…底面部、22…胴部、23…肩部、24…注出口、241…周壁部、242…開口部、25…ネジキャップ、251…封緘部、252…周壁部、3…筒状ラベル、4…センターシール部、5…ラベル基材、5a…一側端部、5b…他側端部、6…熱収縮性フィルム、7…意匠印刷層、8…表面改質層、9…断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、
85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が9N/15mm以上であることを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部を有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、
85℃温水中に10秒間浸漬した際の周方向に於ける最大収縮応力が6N/15mm以上であり、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対するラベル内面の静摩擦係数が0.4以上とされていることを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、
85℃温水中に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が、5N/15mm以上であることを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
注出口を開閉栓可能なネジキャップと円筒状の胴部とを有する容器の該円筒状の胴部にシュリンク装着される熱収縮性筒状ラベルであって、
85℃温水中に10秒間浸漬した後、室温下で180秒間放置後の周方向に於ける収縮応力が、3N/15mm以上であり、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対するラベル内面の静摩擦係数が0.4以上とされていることを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−213341(P2006−213341A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26092(P2005−26092)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】