説明

熱可塑性エラストマー成形体の製造方法

【課題】耐熱性を有する熱可塑性エラストマー成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】耐熱性を有する熱可塑性エラストマー成形体を得る製造方法は、アルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応によりアルコキシシリル基を熱可塑性エラストマーの熱可塑性成分に結合し、グラフト化された熱可塑性エラストマーを縮合触媒とともに成形加工し、成形加工された成形物を水に接触させ縮合触媒の作用により熱可塑性成分に結合されたアルコキシシリル基を架橋する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境で使用可能な熱可塑性エラストマー成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムは、架橋剤により架橋されることにより、優れたゴム弾性および耐熱性を獲得する。これは、分子が架橋点で結合されて3次元の網目構造が形成され、分子の形の自由度が高く、分子間を結ぶ架橋点によって、高温環境下においても流動による塑性変形が起きないためであると考えられている。
このような弾性を示す架橋後のゴムは、塑性変形しにくくまた熱硬化性であるため、熱成形加工を行うことができない。そのため、ゴム製品の製造は、通常、原料ゴム(生ゴム)に架橋剤等を配合して製品の形状に成形し、形を整えた後に加熱して架橋することにより行われる。
【0003】
しかし、架橋前のゴムは若干の流動性を有するもののその流動性は十分でなく、小型の製品および複雑な形状の製品の成形には、加工性、コスト面等で問題があった。
このような問題から、近年、射出成形等が可能な熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic Elastomers)が注目されている。熱可塑性エラストマー(TPE)は弾性を有し高温では熱可塑性を有するために、成形の自由度が高く、精密な成形を行うことができる。
【0004】
熱可塑性エラストマー(TPE)は、弾性を示す弾性成分(ソフトセグメント)と架橋点の役割を果たす可塑性成分(ハードセグメント)とで構成される。そして、熱可塑性エラストマー(TPE)は、ゴムのような化学的な架橋点を持たず、可塑性成分の集まりが架橋点の役割を果たすことにより、常温で弾性を有する。また、熱可塑性エラストマー(TPE)は、可塑性成分が高温で溶融し組成樹脂が流動を起こすことにより、熱可塑性を発揮する。
【0005】
しかしながら、熱可塑性エラストマー(TPE)は、加熱成形が可能なために耐熱性が劣るという問題があり、高温での使用は本質的に不可能である。高温での使用を目的として、流動を起こす温度がより高い樹脂、所謂エンジニアリングプラスチックを使用した熱可塑性エラストマー(TPE)も存在するが、原料樹脂が高価で、かつ溶融温度が高いために成形温度を高くする必要があり、製造コストの面で汎用製品への適用は難しい。
【0006】
熱可塑性エラストマーには、動的架橋を行なう熱可塑性エラストマー(TPV:Thermoplastic Vulcanizates)が存在する。熱可塑性エラストマー(TPV)は、ゴム成分を動的に架橋して熱可塑性樹脂中に細かく分散させた複合体であり、オレフィン系樹脂、エチレンプロピレンゴムおよび有機過酸化物等を溶融混練して得られるものが知られている。熱可塑性エラストマー(TPV)については、オレフィン系樹脂以外に、例えばポリカーボネート樹脂のような熱可塑性樹脂を使用して得る技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−113693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
動的架橋により得られる熱可塑性エラストマー(TPV)は、化学的な架橋点を持つため、弾性成分および可塑性成分で構成された熱可塑性エラストマー(TPE)に較べて高い温度において塑性変形しにくく、高温における物性(耐熱性)が優れている。しかし、熱可塑性エラストマー(TPV)は、溶融成形を前提とする点で熱可塑性エラストマー(TPE)と変わらず、高温において熱可塑性樹脂が流動することにより塑性変形する。したがって、熱可塑性エラストマー(TPV)は、その耐熱性が必ずしも十分でなく、成形体は一定以上の高温での使用に適さない。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、耐熱性を有する熱可塑性エラストマー成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る熱可塑性エラストマー成形体の製造方法は、アルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性エラストマーの熱可塑性成分に結合し、グラフト化された前記熱可塑性エラストマーを縮合触媒とともに成形加工し、成形加工された成形物を水に接触させ前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する。
【0011】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性エラストマーに混合してもよい。
本発明に係る他の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法は、アルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性成分に結合し、グラフト化された前記熱可塑性成分にゴム成分、ゴム用架橋剤およびゴム用架橋助剤を混合して前記ゴム成分を動的に架橋し、混合された混合物を縮合触媒とともに成形加工し、成形加工された成形物を水に接触させて前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する。
【0012】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性成分、前記有機シラン、および前記グラフト反応用開始剤のいずれか1つ以上に混合してもよい。ここでいう「いずれか1つ以上に混合」とは、予め縮合触媒を、熱可塑性成分、有機シランおよびグラフト反応用開始剤のいずれか1つ、これらのいずれか2つの混合物、またはこれらの全ての混合物に混合することをいう。
【0013】
本発明に係る他の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法は、熱可塑性成分およびゴム成分を混合し、混合と同時にまたは混合した後にアルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性成分に結合しかつ前記ゴム成分を動的に架橋し、処理された混合物を縮合触媒とともに成形加工し、成形加工された成形物を水に接触させて前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する。
【0014】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性成分および前記ゴム成分のいずれかまたはこれらの混合物に混合してもよい。
本発明に係る他の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法は、アルコキシシリル基がその主鎖の途中に結合された熱可塑性成分、ゴム成分、ゴム用架橋剤およびゴム用架橋助剤を加熱混合して前記ゴム成分を動的に架橋し、前記ゴム成分が架橋された混合物を成形加工し、成形加工された前記混合物を水に接触させて前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する。
【0015】
好ましくは、前記熱可塑性成分は、オレフィン系樹脂である。
成形加工した前記混合物は医療用に使用される製品の中間体である。本発明に係る製造方法は、医療用に使用される成形体の製造に適する。ここで「中間体」とは、最終製品前の加工途中の物(仕掛品)をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、耐熱性を有する熱可塑性エラストマー成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は改質成形体の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
【図2】図2は改質成形体の他の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
【図3】図3は改質成形体の他の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は改質された熱可塑性エラストマー成形体(以下「改質成形体」という)の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
改質成形体の製造工程は、混合P1、グラフト反応P2、造粒P3、成形P4および改質P5の各工程からなる。以下、例えば「混合P1」を「混合工程P1」ということがある。
【0019】
混合工程P1は、改質成形体の原料である熱可塑性エラストマー(TPVまたはTPE)とシラン架橋剤混合物とを均一に混合する工程である。混合には、タンブラー型混合機が使用される。タンブラー型混合機は、斜めにセットされた密閉容器を偏芯して回転させることで、容器内の複数種の粉体、ペレット等の造粒物等を混合する公知の装置である。
ここで、熱可塑性エラストマー(TPV)とは、熱可塑性成分とゴム成分とが混合され、架橋剤によって動的架橋が行われた、弾性を有する高分子化合物である。熱可塑性エラストマー(TPE)とは、分子間に化学結合による架橋を有さず、(熱)可塑性成分(ハードセグメント)の集まりが架橋点の役割を果たすことにより、常温で弾性を有する高分子化合物である。
【0020】
熱可塑性成分とは、高温での流動状態と、室温での実質的に定形状態とを繰返し示すことの出来る物質を言う。熱可塑性エラストマー(TPV)として、例えばスチレン系ブロック共重合体またはオレフィン系樹脂と、架橋されたゴム成分とを含むポリマーアロイなどが挙げられる。熱可塑性エラストマー(TPE)として、例えばスチレン−ブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。
【0021】
混合工程P1で使用される熱可塑性エラストマーは、JIS−A(1998年廃止、JIS K6301)における室温での硬さが80以下、70℃での圧縮永久ひずみが80%以下の弾性を示すものである。また、熱可塑性エラストマーは、高温で流動性を有し、室温では弾性を有する物質を言う。例えば、スチレン系エラストマー、水素添加スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーが挙げられる。使用される熱可塑性エラストマーは、より好ましくは、室温での硬さが70以下、70℃での圧縮永久ひずみが70%以下のものである。さらに好ましくは、硬さが60以下、70℃での圧縮永久ひずみが50%以下である熱可塑性エラストマーである。
【0022】
熱可塑性エラストマーを形成する熱可塑性成分(樹脂)として、特に限定されないが、オレフィン系熱可塑性樹脂、シクロオレフィン系樹脂が挙げられる。オレフィン系熱可塑性樹脂は、以下に説明するゴム成分との相溶性が良いため好ましい。オレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。シクロオレフィン系樹脂は、耐熱性が高く、透明性が良好な点で好ましい。
【0023】
熱可塑性エラストマーを形成するゴム成分として、特に限定されないが、例えば、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリル系ゴム、水素化ニトリル系ゴム、ノルボルネンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、アクリルゴム、エチレンアクリレートゴム、フッソゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フォスファゼンゴム、1,2−ポリブタジエン等を含む組成物が挙げられる。これらは、単独で使用されまたは2種類以上が使用されてもよい。
【0024】
これらのゴム成分のうち、耐気体透過性、耐水蒸気透過性に優れるイソブチレン−イソプレン共重合ゴム、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴム等のブチル系ゴムが好ましい。ブチル系ゴムの中では、動的架橋の容易さから、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴムがより好ましい。
また、エチレンプロピレンジエンゴムは、加工性が良いため好ましい。さらに、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合ゴムおよびエチレンプロピレンジエンゴムの組合せは、相溶性が良く、耐気体透過性、耐水蒸気透過性に優れ加工性にも優れることから、より好ましい。
【0025】
シラン架橋剤混合物には、少なくとも1種類以上の有機シラン(有機ケイ素化合物)、必要に応じたグラフト反応用開始剤、および、少なくとも1種類以上の触媒が含まれる。有機シランとして、アルケニル基を含み、かつグラフト反応に必要な官能基を持つものが用いられる。このような有機シランは、一般にシランカップリング剤と呼ばれ、公知の物質であって、例えば、アルケニル置換アルコキシシラン、エポキシ置換アルコキシシラン、アミノ置換アルコキシシラン等が挙げられる。
【0026】
アルケニル置換アルコキシシランとしては、例えば、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メタクリロイルプロピル−トリメトキシシラン等が挙げられる。入手の容易さからビニルトリメトキシシランが好ましい。
グラフト反応用開始剤として有機過酸化物が使用される。使用される有機過酸化物は、例えば、1,1’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、n−ブチル−4,4’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)パレレート、2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンである。
【0027】
グラフト反応用開始剤を使用しない場合、グラフト反応の効率を向上させるために、熱可塑性成分を変性して有機シランと結合する官能基を予め含めておくことが望ましい。この様な官能基としては、有機シランにエポキシ置換アルコキシシランを使用する場合には、アミノ基、カルボキシル基が挙げられ、有機シランにアミノ置換アルコキシシランを使用する場合には、エポキシ、ケトン等が挙げられる。熱可塑性成分の変性形態としては、側鎖変性、または末端変性が挙げられる。
【0028】
有機シランとグラフト反応用開始剤の組み合わせとしては、アルケニル置換アルコキシシランと有機過酸化物との組合せが経済性および入手の容易さから好ましい。例えば、ビニルトリメトキシシランと1,1‘−ビス(tert−ブチルペルオキ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
触媒として、公知の触媒を用いることができる。例えば、有機スズ系触媒または有機チタン系触媒が使用される。有機スズ系触媒としてジオクチルスズジラウレートが、有機チタン系触媒としてテトライソプロピルチタネートが使用される。
【0029】
シラン架橋剤混合物は、有機シラン、有機過酸化物および触媒が撹拌機付き混合槽等で予備混合されたものである。
混合工程P1では、ペレット状の熱可塑性エラストマーと液状またはペースト状のシラン架橋剤混合物とがタンブラー型混合機内で混合され、シラン架橋剤混合物が熱可塑性エラストマーに略均一にコーティングされる。
【0030】
グラフト反応工程P2は、熱可塑性エラストマーを溶融させてシラン架橋剤混合物を均一に分散させ、有機過酸化物の存在下でグラフト反応によって熱可塑性エラストマーにアルコキシシリル基を導入する工程である。
グラフト反応工程P2には、例えば連続式の2軸押出機が使用される。2軸押出機は、2本の螺旋状のスクリューがシリンダ内で互いに逆方向に回転しながら、ホッパー(供給口)から供給される粒状物を圧縮し発熱させて溶融混合し、排出側に送り出す。シリンダには、粒状物の溶融を促進するために、熱媒体または鋳込み電気ヒーターによる加熱手段が設けられる。ホッパーから供給される熱可塑性エラストマーは、加熱手段からの熱および2軸スクリューによる圧縮熱によってシリンダ内で溶融してシラン架橋剤混合物と均一に混合され、熱可塑性エラストマーにおける熱可塑性成分の主鎖の途中にアルコキシシリル基が結合するグラフト反応が行われる。
【0031】
混合工程P1とグラフト反応工程P2とを同一の装置で行うことができる。その場合、熱可塑性エラストマーは単独でホッパーから2軸押出機に供給され、シラン架橋剤混合物はサイドフィーダーから定量的に2軸押出機に供給される。
アルコキシシリル基が結合され、触媒等(シラン架橋剤混合物)が均一に混合された熱可塑性エラストマー(以下「熱可塑性エラストマー混合物」という)は、造粒工程P3において射出成形に適するペレットに造粒される。
【0032】
造粒工程P3は、2軸押出機の排出側に設けられたダイスの複数の丸孔から押し出されるストランド(ひも状の熱可塑性エラストマー混合物)を、押し出し直後に回転する刃によって適当な長さにカット(切断)してペレット化する工程である。導入されたアルコキシシリル基の縮合反応を避けるため、ストランドのカットはホットカットにより行われる。
【0033】
成形工程P4は、ペレット化された熱可塑性エラストマー混合物を射出成形等によって目的とする形状の成形体を得る工程である。成形工程P4では、公知の樹脂成形装置が使用される。
成形後に、成形体の内部ひずみを除去するアニーリングを行うことが好ましい。アニーリングは公知の方法に従って行うことができる。
【0034】
改質工程P5は、熱可塑性エラストマーにおける熱可塑性成分に結合されたアルコキシシリル基同士を架橋させ、耐熱性を高めた改質成形体を得る工程である。
架橋はシラン架橋が好ましい。改質工程P5におけるシラン架橋とは、熱可塑性成分に結合されたアルコキシシリル基同士が結合することで、見かけ上熱可塑性エラストマーの架橋が行われることを言う。
【0035】
改質工程P5は、成形体を80℃以上の熱水中に所定時間浸すことにより行われる。改質工程P5では、触媒の存在下でアルコキシシリル基が縮合反応により架橋(シラン架橋)する。
改質工程P5におけるシラン架橋は、触媒と水の存在下で行うことができるが、好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上の温水で行うことが望ましい。温度が低い場合架橋速度が遅く経済的に好ましくない。温度が高い場合架橋速度が速くなるが、架橋が進行する前に成形体が変形する可能性がある。シラン架橋は、熱可塑性エラストマー(成形体)の成形温度よりも30℃以上低い温度で行うのが好ましく、50℃以上低い温度で行うことがより望ましい。シラン架橋を行う時間は、特に制限されない。シラン架橋は、成形体の大きさおよびシラン架橋時の温度に応じて、所望の耐熱性が得られる適切な時間行えばよい。シラン架橋に、温水中で行う方法ではなく、水蒸気雰囲気下で行う方法を採用してもよい。
【0036】
これらの製造工程により得られた改質成形体は、熱可塑性成分同士がアルコキシシリル基の縮合により架橋しているので高温での流動が妨げられ、上記のような処理を行わない熱可塑性エラストマーを成形して得られた成形体に比べて高温で塑性変形しにくい。つまり、改質成形体は、熱可塑性エラストマーによる成形体に比べて、耐熱性が良好である。
混合工程P1においてシラン架橋剤混合物から触媒を除いたものを熱可塑性エラストマーと混合し、そのままグラフト反応(P2)および造粒(P3)を行って得たペレットを、成形工程P4において成形装置内で触媒と混合して成形体を形成し、改質(P5)しても、上記と同様に高温で塑性変形しにくい成形体を製造することができる。
【0037】
また、混合工程P1において触媒を他の成分のいずれか1つに混合し、またはいずれか2つの混合物に予備混合しておいてもよい。
図2は他の改質成形体の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
他の改質成形体の製造工程は、混合P1B、動的架橋及びグラフト反応P2B、造粒P3、成形P4および改質P5の各工程からなる。以下、「動的架橋及びグラフト反応P2B」を「反応工程P2B」といい、例えば「混合P1B」を「混合工程P1B」ということがある。
【0038】
混合工程P1Bは、改質成形体の原料である熱可塑性成分、ゴム成分、架橋剤、架橋助剤およびシラン架橋剤混合物を混合する工程である。混合には、タンブラー型混合機が使用される。
熱可塑性成分とは、高温での流動状態と、室温での実質的に定形状態とを繰返し示すことの出来る物質を言う。すなわち、日常使用される樹脂製品に通常含まれる可塑剤、添加剤等を含まない樹脂そのものであり、いわゆる熱可塑性樹脂である。
【0039】
熱可塑性成分として使用される熱可塑性樹脂は、図1に示される改質成形体の製造工程で使用される熱可塑性エラストマー(TPV)を構成する熱可塑性成分と同じのものである。
また、ゴム成分についても、図1に示される改質成形体の製造工程で使用される熱可塑性エラストマー(TPV)のゴム成分と同じのものである。
【0040】
架橋剤は、熱可塑性成分と混合されるゴム成分を架橋することができるものであれば特に限定されず、公知の架橋剤を用いることができる。例えば、硫黄、樹脂架橋剤、金属酸化物、トリアジン誘導体または有機過酸化物などが挙げられる。このうち、樹脂架橋剤としてはフェノール樹脂が好ましい。特にフェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂は、動的架橋における架橋効率が良く特に好ましい。
【0041】
本発明において、トリアジン誘導体とは、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、または2−置換−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン誘導体をいう。2−置換−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン誘導体としては、例えば、2−ジブチルアミノ4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アリニノ−4,6−ジメルカブト−s−トリアジンが挙げられる。これらのトリアジン誘導体は、単独であるいは2種以上で用いてもよい。入手の容易さから、2−ジブチルアミノ4,6−ジメルカプト−s−トリアジンが好ましい。
【0042】
使用される架橋剤に応じて必要な架橋助剤を用いることができる。例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸、アミン類等である。
シラン架橋剤混合物は、図1に示される改質成形体の製造工程で使用されるシラン架橋剤混合物と同じものである。
混合工程P1Bでは、熱可塑性成分、ゴム成分、架橋剤、架橋助剤およびシラン架橋剤混合物が、タンブラー型混合機により均一に混合される。これらの混合物を「原料混合物」という。
【0043】
反応工程P2Bは、原料混合物を動的架橋(ゴム成分を架橋)させ、同時に熱可塑性成分にアルコキシシリル基を結合させるグラフト反応を行う工程である。動的架橋は、原料混合物に含まれる架橋剤および架橋助剤の作用により進行する。
反応工程P2Bは、例えば上述した2軸押出機に、原料混合物を連続的に供給して行われる。
【0044】
ここで、動的架橋とは、熱可塑性成分、ゴム成分、架橋剤等を混合した後、せん断力を加えながら架橋を行うことをいう。動的架橋は、例えば、スクリュー型の2軸押出機のように、せん断力を加えることができる装置で行うと、組成物中のゴム粒子径を数μm〜数十μmにすることができ熱可塑性成分中に微分散させることができる。
シラン架橋剤混合物は、混合工程P1Bにおいて他の成分と混合せず、反応工程P2Bにおいて2軸押出機に定量的に供給してもよい。また、混合工程P1Bを設けず、熱可塑性成分、ゴム成分、架橋剤、架橋助剤およびシラン架橋剤混合物を個別に2軸押出機に定量供給して、2軸押出機内で混合、動的架橋およびグラフト反応をおこなってもよい。
【0045】
造粒工程P3は、図1に示される造粒工程P3と同一である。すなわち、造粒工程P3は、2軸押出機の排出側に設けられたダイスの複数の丸孔から押し出される反応工程P2Bを経たストランドを、回転する刃によって適当な長さにホットカットしてペレット化する工程である。
成形工程P4および改質工程P5では、それぞれ図1に示される成形工程P4および改質工程P5と同一の処理が行われる。したがって、図2の改質工程P5におけるシラン架橋剤の働きは、図1の改質工程P5において説明したシラン架橋剤の働きと同じである。
【0046】
図2に示される、動的架橋およびグラフト反応を同時に行う方法により得た改質成形体は、架橋するゴム成分によって弾性変形し、高温ではアルコキシシリル基により熱可塑性成分同士が架橋しているので流動が妨げられる。改質成形体は、熱可塑性エラストマー(TPV)を成形して得られた成形体に比べて高温で塑性変形しにくく、耐熱性が良好である。
【0047】
混合工程P1Bにおいて、触媒を予め有機シランおよびグラフト反応用開始剤と混合するのではなく、熱可塑性成分またはゴム成分に混合しておいてもよい。
図3は他の改質成形体の製造工程を示すプロセスダイアグラムである。
他の改質成形体の製造工程は、混合P1C、グラフト反応P2C、造粒P3、混合P6C、動的架橋P7C、成形P4Cおよび改質P5の各工程からなる。以下、例えば「混合P1C」を「混合工程P1C」ということがある。
【0048】
混合工程P1Cは、熱可塑性成分およびシラン架橋剤混合物を混合する工程である。混合には、タンブラー型混合機が使用される。
熱可塑性成分として使用される熱可塑性樹脂は、図2に示される改質成形体の製造工程で使用される熱可塑性成分と同じのものである。
グラフト反応装置(2軸押出機)に、熱可塑性成分およびシラン架橋剤混合物を個別に定量供給することにより、専用混合装置による混合を省略できる。
【0049】
グラフト反応工程P2Cは、熱可塑性成分を溶融させてシラン架橋剤混合物を均一に分散させ、有機過酸化物の存在下でグラフト反応によって熱可塑性成分にアルコキシシリル基を導入する工程である。熱可塑性エラストマーに換えて熱可塑性成分が使用される点を除き、処理の装置、要領等は図1に示されるグラフト反応工程P2と同じである。また、グラフト反応工程P2後の造粒工程P3も、図1に示される造粒工程P3と同様にして行われる。
【0050】
続いて、混合工程P6Cにおいて、造粒されたグラフト化物にゴム成分、架橋剤および架橋助剤が混合される(混合されたものを「混合物」という)。混合工程P6Cには、例えばタンブラー型混合機が使用される。
混合物は、2軸押出機等の混合機能を有する溶融装置により溶融され、混合物におけるゴム成分は、架橋剤および架橋助剤により動的架橋される(動的架橋工程P7C)。動的架橋された熱可塑性エラストマーは、成形装置により成形されて成形体を得る(成形工程P4C)。混合機能を有する連続式の溶融装置に、混合物、ゴム成分、架橋剤および架橋助剤を個別に定量供給することにより、混合工程P6Cを省略して動的架橋(P7C)を行うことができる。
【0051】
改質工程P5では、それぞれ図1,2に示される改質工程P5と同一の処理が行われる。
また、グラフト反応後に造粒を行わず、溶融した状態でゴム成分、架橋剤および架橋助剤を供給して動的架橋を行わせ、溶融状態を維持して成形工程に移行する方法を採用してもよい。触媒を予め有機シランおよびグラフト反応用開始剤と混合するのではなく、ゴム成分またはゴム成分、架橋剤および架橋助剤の混合物に混合しておいてもよい。
【0052】
【表1】

【0053】
表1は図1,2に示される方法により製造した改質成形体と改質工程P5を含まない方法により製造した成形体との耐熱性等を比較した結果である。
表1における原料は以下の通りである。
[原料]
熱可塑性エラストマー(TPV):イソブチレン系TPV(株式会社カネカ、SIBSTAR(登録商標)、E1140B)
熱可塑性成分:ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社、BC6)
ゴム成分:油展エチレンプロピレンジエンゴム(住友化学株式会社、670F)
架橋剤:ハロゲン化アルキルフェノール樹脂架橋剤(田岡化学工業株式会社、タッキロール250−III
【0054】
架橋助剤:酸化亜鉛(三井鉱山株式会社、JIS K−1410の2種)
シラン架橋剤混合物:ビニルトリメトキシシラン、2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジオクチルスズジラウレート混合物(東レ・ダウコーニング株式会社、ビニルトリメトキシシラン混合物(シランカクテル)、Z−6358)
評価対象は、実施例1が図1に示される各工程P1〜P5により、実施例2が図2に示される各工程P1B〜P5により製造された成形体(改質成形体)である。比較例1は、図1に示される各工程P1〜P3を経ないで熱可塑性エラストマー(TPV)単独で成形された成形体であり、比較例2は、図2に示される各工程のうち、混合工程P1でシラン架橋剤を使用せず、2軸押出機では動的架橋のみを行い、造粒P4および成形P5を行った成形体である。
【0055】
混合工程P1における混合は、回分式のタンブラー型混合機で行った。グラフト反応工程P1、造粒工程P4または反応工程P2B、造粒工程P4は、いずれも株式会社アイペック製の押出機(型番HTM38)および複数の丸孔を備えたダイスを使用し、温度180〜200℃、スクリュー回転数200rpmで反応を行い、ホットカットにより造粒(ペレット化)を行った。
【0056】
造粒工程P4で得られたペレットは、住友重機械工業株式会社製50t射出成形機を使用して射出成形を行い、下記評価のための各試験片に適合する成形体を得た。
実施例1,2では、得られた試験片(成形体)を100℃の温水中に3時間浸漬し、シラン架橋(改質P5)を行った。
表1における評価方法等を以下に示す。
[評価]
硬さ:雰囲気温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で、JIS K6253に準拠してタイプAデュロメータで測定した硬さ試験結果である。
[圧縮永久ひずみ−1]
JIS K6262に準拠した圧縮永久ひずみの測定結果である。「圧縮永久ひずみ−1 70℃」は、圧縮装置により圧縮率25%に圧縮し、試験温度70℃の恒温槽で試験時間24時問加熱した後に試験片の厚さを測定して求めたものである。「圧縮永久ひずみ−1 120℃」は、同様にして行った試験温度120℃の場合の結果である。
[圧縮永久ひずみ−2]
JIS K6262 項目8.5a)注(5)に従って行った圧縮永久ひずみの測定結果である。すなわち、試験温度120℃、試験時間24時間、圧縮率25%にて処理を行った後、圧縮装置全体を雰囲気温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で自然冷却し、試験片を取り出して更に30分間静置した後試験片の厚さを測定して求めたものである。
【0057】
表1から、動的架橋が行われた公知の熱可塑性エラストマー(TPV)にグラフト反応によってアルコキシシリル基を導入し成形後にシラン架橋を行った実施例1は、成形後にシラン架橋を行わなかった比較例1に比べて硬さが同等であり、120℃における圧縮永久ひずみが減少していることが分かる。
また、表1から、動的架橋とアルコキシシリル基の導入とを同時に行い、成形後にシラン架橋を行った実施例1は、成形後にシラン架橋を行わなかった比較例2に比べて硬さが同じであり、特に120℃における圧縮永久ひずみが減少していることが分かる。
【0058】
表1から、熱可塑性エラストマー(TPV)の成形体を得る場合、成形後に熱可塑性成分をシラン架橋することによって高温における圧縮永久ひずみが減少し、成形体の耐熱性が高まると結論される。
予めアルコキシシリル基がグラフト反応により導入された熱可塑性エラストマー(TPV)で成形体を製造し、成形体にシラン架橋を行って得られる改質成形体は、高温での洗浄、滅菌が行われる医薬品容器のゴム栓、医療機器のゴム部品等の医療用ゴム成形体としての用途に適する。
【0059】
上述の実施形態において、改質工程P5における架橋は、予め熱可塑性エラストマーと混合された架橋剤が、グラフト反応P2または反応工程P2B、造粒工程P3において架橋が進行しない方法であれば、公知の化学的架橋方法を用いてもよい。
熱可塑性成分(熱可塑性樹脂)にアルコキシシリル基を結合する方法は、特に限定されず、公知の技術を用いればよい。例えば、熱可塑性樹脂の合成中にアルコキシシリル基を含むモノマーを共重合することで得ることができる。また、アルコキシシリル基を含む物質を熱可塑性樹脂にグラフト反応させて導入する方法が挙げられる。方法の容易さからグラフト反応により導入する方法が好ましい。
【0060】
図1における熱可塑性エラストマーまたは図2における熱可塑性成分に導入するアルコキシシリル基の量は、必要とする耐熱性により変更することができる。グラフト反応により樹脂にアルコキシシリル基を導入する場合、アルケニル置換アルコキシシランは、熱可塑性成分の重量に対して0.5重量%以上、15重量%以下が好ましい。0.5重量%より少ない場合、十分な架橋密度が得られず耐熱性の向上が十分ではない。導入するアルケニル置換アルコキシシランが15重量%を超える場合、未反応のアルケニル置換アルコキシシランが多くなり不経済である。
【0061】
アルコキシシリル基導入時に用いる有機過酸化物の量は、アルコキシシリル基の量により変更することができる。アルケニル置換アルコキシシランの重量に対して、1%以上、30%以下が好ましい。
熱可塑性エラストマーにグラフト反応によりアルコキシシリル基を導入する図1に示される方法と、熱可塑性成分およびゴム成分に動的架橋およびアルコキシシリル基を結合(グラフト反応)する図2に示される方法とを比較すると、動的架橋とアルコキシシリル基の結合を同時に行う図2の方法が経済的である。一方、動的架橋の架橋密度を上げる目的では、動的架橋を行った後にアルコキシシリル基を導入する図1の方法が好ましい。
【0062】
その他、改質成形体の製造方法、および改質成形体の製造方法の全体または各工程等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、高温環境で使用可能な熱可塑性エラストマー成形体の製造方法に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性エラストマーの熱可塑性成分に結合し、
グラフト化された前記熱可塑性エラストマーを縮合触媒とともに成形加工し、
成形加工された成形物を水に接触させ前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項2】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性エラストマーに混合する
請求項1に記載の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項3】
アルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性成分に結合し、
グラフト化された前記熱可塑性成分にゴム成分、ゴム用架橋剤およびゴム用架橋助剤を混合して前記ゴム成分を動的に架橋し、
混合された混合物を縮合触媒とともに成形加工し、
成形加工された成形物を水に接触させて前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項4】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性成分、前記有機シラン、および前記グラフト反応用開始剤のいずれか1つ以上に混合する
請求項3に記載の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性成分およびゴム成分を混合し、
混合と同時にまたは混合した後にアルコキシシリル基を含む有機シランおよびグラフト反応用開始剤を使用してグラフト反応により前記アルコキシシリル基を熱可塑性成分に結合しかつ前記ゴム成分を動的に架橋し、
処理された混合物を縮合触媒とともに成形加工し、
成形加工された成形物を水に接触させて前記縮合触媒の作用により前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項6】
前記グラフト反応の前に前記縮合触媒を前記熱可塑性成分および前記ゴム成分のいずれかまたはこれらの混合物に混合する
請求項5に記載の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項7】
アルコキシシリル基がその主鎖の途中に結合された熱可塑性成分、ゴム成分、ゴム用架橋剤およびゴム用架橋助剤を加熱混合して前記ゴム成分を動的に架橋し、
前記ゴム成分が架橋された混合物を成形加工し、
成形加工された前記混合物を水に接触させて前記熱可塑性成分に結合された前記アルコキシシリル基を架橋する
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性成分は、オレフィン系樹脂である
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。
【請求項9】
成形加工した前記混合物が医療用に使用される製品の中間体である
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−207961(P2011−207961A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75386(P2010−75386)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】