説明

熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれからなる成形体

【課題】柔軟で弾性に富み成形加工性に優れると共に、樹脂組成物が溶融しない温度領域の高温工程で表面塗装した金属に溶融することなく密着性を付与することが可能な熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
【解決手段】本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(A)50〜98重量%と、ゴム質重合体存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分を共重合してなるグラフト共重合体(B)1〜25重量%と、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)1〜25重量%とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟で弾性に富み成形加工性に優れると共に、樹脂組成物が溶融しない温度領域の高温工程で表面塗装した金属に溶融することなく密着性を付与することが可能な熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれからなる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位および/またはポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体は、強度、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などの機械的性質や、低温、高温特性に優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であることから、自動車、電気・電子部品、消費材などの分野に広く使用されている。
【0003】
一方、熱可塑性エラストマは、ゴム弾性、弾性回復性などの特性を有する上、熱可塑性樹脂として成形性に優れ、再生材としても使用可能であることから、ゴム代替材料として幅広く使用されている。
【0004】
例えば、自動車等車両のボディー部材に作業孔や塗装孔として穿設された孔を閉塞するホールプラグ用途には、ゴム製プラグの他に、各種熱可塑性エラストマが用いられているが、ガタつき無く、防水性、防塵性の機能を付与するために様々な形状が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0005】
近年、自動車産業では生産性を向上するために、塗装乾燥工程の温度を高くして、乾燥工程時間を短縮化することがあるが、特に120℃以上の高温乾燥工程を通過する車種では、高温乾燥工程内でもホールプラグの材質である熱可塑性エラストマが溶融せずに形状を保つ必要があるため、耐熱性に優れるポリエステルブロック共重合体が好ましく使用される。
【0006】
しかし、ポリエステルブロック共重合体は、乾燥工程の高温下で結晶化が進み、ホールプラグが収縮してボディーとホールプラグの間にクリアランスができることから、塗料漏れや水漏れなどの要因となるホールプラグのガタつきが発生するという問題があった。
【0007】
そのため、ホールプラグをアニーリング処理させ、予め熱収縮させたものを用いることにより、乾燥工程でボディーに嵌めたホールプラグのガタつき防止策がなされているが、この場合には、アニーリング工程が加わることで生産性が低下したり、製造コストが増加したりすることから、これら問題点の改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平02−293278号公報
【特許文献2】特開平08−26145号公報
【特許文献3】特開平11−254970号公報
【特許文献4】特開2005−315327号公報
【特許文献5】特開2008−128422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、柔軟で弾性に富み成形加工性に優れると共に、樹脂組成物が溶融しない温度領域の高温工程で表面塗装した金属に溶融することなく密着性を付与することが可能な熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリエステルブロック共重合体に、特定のゴム質重合体とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を配合することにより、上記の目的が効果的に達成することを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するために本発明によれば、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメントと、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)50〜98重量%と、ゴム質重合体存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分を共重合してなるグラフト共重合体(B)1〜25重量%と、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)1〜25重量%とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマ樹脂組成物が提供される。
【0013】
なお、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、
前記ポリエステルブロック共重合体(A)が、融点200℃以上のポリエステルブロック共重合体(a−1)と融点200℃未満のポリエステルブロック共重合体(a−2)とからなること、
前記グラフト共重合体(B)のゴム質重合体がジエン系ゴム質重合体であること、
前記グラフト共重合体(B)が、ジエン系ゴム質重合体40〜85重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分15〜60重量部を重合してなるものであること、
前記グラフト共重合体(B)のグラフト率が25%以上であること、
さらにポリカーボネート樹脂(D)を、前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対し、1〜30重量部配合してなること、
さらにエポキシ化合物(E)を、前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対し、0.01〜3重量部配合してなること、
処理条件Tm−50≦T≦Tm−30(℃)(Tm:熱可塑性エラストマ樹脂組成物の融点)を満たす温度T℃で、表面塗装した金属板に溶融しないでシールできること、
がいずれも好ましい条件として挙げられる。
【0014】
また、本発明の成形体は、上記の熱可塑性エラストマ樹脂組成物からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、柔軟で弾性に富み成形加工性に優れると共に、樹脂組成物が溶融しない温度領域の高温工程で表面塗装した金属に溶融することなく密着性を付与することが可能な熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれからなる成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメントは、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4' −ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4' −ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などももちろん同等に用い得る。
【0018】
ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2' −ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4' −ジヒドロキシ−p−ターフェニル、および4,4' −ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用い得る。
【0019】
これらのジカルボン酸、その誘導体、ジオール成分およびその誘導体は、2種以上併用してもよい。そして、好ましい高融点結晶性重合体セグメントの例は、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。また、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートとから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位からなるものも好ましく用いられる。
【0020】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメントは、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルである。
【0021】
脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物および/またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体が好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0022】
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0023】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメントの共重合量は、通常、10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%である。
【0024】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の配合量は、50〜98重量%であり、好ましくは60〜94重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。
【0025】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、1種類または2種類以上のものを組み合わせてすることが使用できる。1種類であれば、融点200℃以上のものが好ましく、2種類以上のものを組み合わせて用いる場合は、融点200℃以上のポリエステルブロック共重合体(a−1)と、融点200℃未満のポリエステルブロック共重合体(a−2)を組み合わせて用いることが好ましい。また、ポリエステルブロック共重合体(A)のうち、50重量%以上が融点200℃以上のポリエステルブロック共重合体(a−1)であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などのいずれの方法をとってもよい。
【0027】
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル単量体またはそれらと共重合可能な他のビニル系単量体とからなる樹脂であり、通常ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体またはそれらと共重合可能な他のビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト重合体である。
【0028】
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のジエン系重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体等のエチレン−プロピレン系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。中でも成形加工性やポリエステルブロック共重合体との分散性が良好な点で、ジエン系重合体が好ましく使用される。
【0029】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどを挙げることができる。中でもスチレンおよび/またはα−メチルスチレンが好ましく用いられる。
【0030】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができるが、中でもアクリロニトリルが好ましい。
【0031】
共重合可能な他の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド,N−t−ブチルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物などを挙げることができる。
【0032】
本発明に用いるグラフト重合体(B)は、ゴム質重合体40〜85重量部に対し、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物15〜60重量部をグラフト重合することにより得られる。ゴム質重合体が85重量部を越えると、グラフト率の相対的低下により良好な機械物性が得られず、さらに40重量部未満でもあるいは85重量部を越えても、ポリエステルブロック共重合体との相溶性が低下する傾向となるため好ましくない。
【0033】
グラフト重合する芳香族ビニル単量体の割合は、全ビニル系単量体に対し好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜80重量%であり、シアン化ビニル系単量体の割合は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。芳香族ビニル単量体の割合が99重量%を越えてもあるいは50重量%未満でも、またシアン化ビニル単量体の割合が50重量%を越えてもあるいは1重量%未満でも、ポリエステルブロック共重合体との相溶性が低下し、良好な機械物性が得られない場合がある。また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体は50重量%以下で用いることが好ましい。
【0034】
本発明に用いるグラフト共重合体(B)のゴム質重合体に対するグラフト率は、25%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上である。グラフト率が25%未満であると、溶融混練時にゴム質重合体同士が凝集して得られる熱可塑性エラストマ樹脂組成物の機械特性を損ねてしまうため好ましくない。
【0035】
本発明のグラフト共重合体(B)の製造方法については、特に制限はなく、一般的に公知な手法により製造することができ、例えば乳化グラフト重合により得ることができる。ここで使用する乳化剤、重合開始剤および連鎖移動剤は、通常の乳化重合で用いられる試薬を使用できる。代表的な乳化剤としては、ロジン酸カリウム、ステアリン酸カリウムおよびオレイン酸カリウムなどが、重合開始剤としては、有機ハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸−硫酸第一鉄の併用系および過硫酸塩などが、また連鎖移動剤としては、アルキルチオール化合物が好ましいが、本発明はそれらに限定するものではない。
【0036】
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)の配合量は、1〜25重量%であり、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。1重量%未満では、未溶融状態での高温下シール性付与効果が低下し、25重量%を超える場合は樹脂組成物の高温下でのヘタリ量が大きくなるため、変形して密着性が損なわれてしまうことから好ましくない。
【0037】
本発明で用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)やエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)があり、アクリル酸やメタクリル酸の共重合量は特に限定されない。製品としては三井デュポン・ポリケミカル株式会社製“ニュクレル”が市販されている。
【0038】
本発明で用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)の配合量は、1〜25重量%であり、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。1重量%未満では、未溶融状態での高温下シール性付与効果が低下し、25重量%を超える場合は、樹脂組成物の高温下でのヘタリ量が大きくなるため、変形してシール性が損なわれてしまうことから好ましくない。
【0039】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(D)としては、二価のフェノールまたはその誘導体を原料としてエステル交換法あるいはホスゲン法によって製造して得られるものが好ましく使用できる。
【0040】
二価のフェノールの具体例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)―メタン、1,1―ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1−1ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−ジヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−プロパン、1,4−ビス(ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エチレン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル))−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−サルファイド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ヒドロキシビフェニル、3,3−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、フェノールフタレインなどであり、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノールA)が好ましく使用できる。二価のフェノールは二種以上を併用してもよい。
【0041】
これらの内でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノールA)のポリカーボネート樹脂が特に好ましく使用できる。
【0042】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(D)の粘度平均分子量は5,000〜80,000の範囲のものが使用でき、8,000〜50,000の範囲のものが好ましく、10,000〜40,000の範囲のものがより好ましい。
【0043】
ここでいう粘度平均分子量は、オストワルド粘度計を用いて塩化メチレン溶液について20℃で測定して求めた固有粘度をもとに、下記Schnellの式を用いて換算することによって得られる値である。
[η]=1.23×10−4M0.83
(ただし式中[η]は固有粘度を、Mは粘度平均分子量を示す)
【0044】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(D)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、およびエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)の合計100重量部に対して、1〜30重量部である。好ましくは2〜25重量部、さらに好ましくは3〜20重量である。1重量部異未満では、熱可塑性エラストマ樹脂組成物の未溶融状態での高温下シール性付与効果が小さくなり、30重量%を超える場合は、熱可塑性エラストマ樹脂組成物を成形する時の固化速度が遅くなるため、例えば射出成形における金型からの離型時に、固化しきらない状態でエジェクタピンにより突き出された成形品が変形する原因となることがある。
【0045】
本発明に用いられるエポキシ化合物(E)は、分子中にエポキシ基を有する化合物であれば特に制限されないが、分子中に2コ以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、分子中に3コ以上のエポキシ基を有する化合物がさらに好ましい。
【0046】
本発明に用いられるエポキシ化合物(E)としては、例えば、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物などが挙げられる。グリシジルエーテル化合物の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル系化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル系化合物、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル化合物、などが挙げられる。
【0047】
本発明に用いられるエポキシ化合物(E)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、およびエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)の合計100重量部に対して、0.01〜3重量部であり、好ましくは0.05〜2重量部である。0.01重量部未満の配合量では、熱可塑性エラストマ樹脂組成物の未溶融状態での高温下シール性付与効果が小さくなり、3重量部を超える配合量の場合は、成形品表面からブリードしたり、増粘して熱可塑性エラストマ樹脂組成物の溶融流動性が悪くなり、射出成形性が低下したりすることがある。
【0048】
本発明のポリエステルブロック共重合体(A)、グラフト重合体(B)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)、さらにポリカーボネート樹脂(D)、エポキシ化合物(E)の混合方法には制限がなく、一括混合する方法、いずれかを溶融した後に残る成分を混合する方法などが挙げられ、混練方法としてはバンバリーミキサー、押出機等の公知の方法を採用することができる。
【0049】
さらに、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク等の添加剤や補強剤を添加することができる。
【0050】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、処理条件Tm−50≦T≦Tm−30(℃)(Tm:熱可塑性エラストマ樹脂組成物の融点)を満たす温度T℃で、表面塗装した金属板に未溶融のまま密着させることができる。例えば、熱可塑性エラストマ樹脂組成物の成形品を表面塗装した金属板に接触させ、前述の式を満たす温度で加圧させながら処理すると、金属板に接触した成形品の密着度は高くなり、密着性が良好の場合は成形品を金属板から剥がす際に成形品表面が剥離するレベルの高い密着性を示すようになる。
【実施例】
【0051】
以下に実施例によって本発明の効果を説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。また、例中に示される物性は次の測定方法により測定したものである。
【0052】
[硬度(デュロメーターD)]
JIS K7215(1986年版) デュロメーターD硬さにしたがって測定した。
【0053】
[融点]
ティー・エイ・インスツルメント社製DSC Q100を使用し、10℃/分の昇温速度で常温から240℃まで加熱し、吸熱曲線のピーク温度を融点として測定した。
【0054】
[引張特性]
JIS K7113(1995年版)に従って、引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率を測定した。引張速度は、引張破断強度および引張破断伸度では200mm/分、引張弾性率は20mm/分とした。
【0055】
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D−1238(1989年版)にしたがって温度230℃、荷重2160gで測定した。
【0056】
[射出成形時の離型後変形有無]
JIS 2号ダンベル試験片を、シリンダー温度230℃、金型温度50℃、冷却時間10秒の条件で成形し、エジェクターピンにより金型から離型させたダンベル試験片の変形有無を判定した。
【0057】
[金属パネルとの密着性]
表面をアクリル系塗料で塗装した厚さ1mmの鉄製パネルに設けた4箇所の20mmの円形穴それぞれに、射出成形した直径50mm、厚さ2mmの円板試験片を置き、その上下にテフロン(登録商標)シートを介して厚さ5mmの鉄板に挟み、ホットプレス機で1MPaの荷重をかけてプレスした。30分後にプレス機から鉄製パネルを取り出し、鉄製パネルと円形試験片の密着性を下記のように判定した。
◎:強い密着性有り(鉄製パネルから試験片を外すとパネル表面に試験片表面が剥離して残る)
○:密着性有り(鉄製パネルから試験片を外してもパネル表面に試験片表面は剥離せず残らない)
×:密着性なし
【0058】
[ポリエステルブロック共重合体(A)の製造]
参考例1〜参考例4のように重合してポリエステルブロック重合体(A−1)〜(A−4)を製造した。
【0059】
[参考例1]
テレフタル酸50.5部、1,4−ブタンジオール43.8部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール35.4部、チタンテトラブトキシド0.04部、モノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.02部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.2部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレット化し、得られたペレットをさらに180℃かつ0.2mmHgの減圧下で20時間固相重合することにより、ポリエステルブロック共重合体(A−1)を得た。物性は、融点207℃、MFR7.2g/10分(測定温度:230℃)、硬度55ショアD、であった。
【0060】
[参考例2]
ジメチルテレフタレート66.9部、1,4−ブタンジオール36.5部、数平均分子量約1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール26.5部、チタンテトラブトキシド0.05部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応生成物を系外に留出しながらエステル交換反応を行なった。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.2部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間40分重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレット化し、得られたペレットをさらに180℃かつ0.2mmHgの減圧下で12時間固相重合することにより、ポリエステルブロック共重合体(A−2)を得た。物性は、融点214℃、MFR13.5g/分(測定温度:240℃)、硬度63ショアD、であった。
【0061】
[参考例3]
テレフタル酸41.9部、1,4−ブタンジオール40.9部、数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール47.6部、チタンテトラブトキシド0.05部、モノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.01部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.2部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で3時間20分重合を行った。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレット化してポリエステルブロック共重合体(A−3)を得た。物性は、融点197℃、MFR18.2g/10分(測定温度:220℃)、硬度47ショアD、であった。
【0062】
[参考例4]
テレフタル酸100部、1,4−ブタンジオール110部、テトラブチルチタネート0.05部を、精留塔およびヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で加熱して反応水を系外に留出しながらエステル交換反応をおこなった。その後、反応物を重合缶に移液し、250℃に昇温しつつ、系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合をおこなった。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングをおこなって融点225℃のポリブチレンテレフタレートを得た。該ポリブチレンテレフタレートとε−カプロラクトンを、それぞれ1.6kg/hr、1.0kg/hrで内径30mm、L/D=40、中間部と先端部に長さ200mmの混練ユニットを有する3条ネジタイプスクリューを備えた2軸押し出し機の最後部供給口に供給し、シリンダー中間部の設定温度を240℃、スクリュー回転数30rpmで付加重合反応をおこなった。ダイスからポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングをおこなってペレットとした。該ペレット100部、トリフェニルホスフィン0.1部を、内径30mm、L/D=40でフルフライトスクリューを備えたベント付き単軸押し出し機を使用して、ベント口の真空度10mmHg、押し出し温度240℃で混練し、脱ε−カプロラクトンと触媒失活をおこない、ダイスからポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングをおこなってポリエステルブロック共重合体(A−4)のペレットを得た。物性は、融点206℃、MFR15.2g/10分(測定温度:230℃)、硬度56ショアD、であった。
【0063】
[グラフト共重合体(A)の製造]
参考例5〜参考例7のように重合してグラフト共重合体(B−1)〜(B−3)を製造した。
【0064】
[参考例5]
ポリブタジエンラテックス60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン70%、アクリルニトリル30%からなる単量体混合物40重量部を4時間にわたって連続滴下して乳化重合した。得られた重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥して、パウダー状のゴム質グラフト共重合体(B−1)を得た。本ゴム質グラフト共重合体のグラフト率は39%であった。
【0065】
[参考例6]
ポリブタジエンラテックス60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン70%、アクリルニトリル30%からなる単量体混合物40重量部を1時間にわたって連続滴下して乳化重合した。得られた重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥して、パウダー状のゴム質グラフト共重合体(B−2)を得た。本ゴム質グラフト共重合体のグラフト率は15%であった。
【0066】
[参考例7]
ポリブタジエンラテックス35重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン70%、アクリルニトリル30%からなる単量体混合物65重量部を4時間にわたって連続滴下して乳化重合した。得られた重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダー状のゴム質グラフト共重合体(B−3)を得た。本ゴム質グラフト共重合体のグラフト率は43%であった。
【0067】
[エチレン−(メタ)アクリル酸(C)]
三井デュポン・ポリケミカル(株)製“ニュクレル”AN4319
【0068】
[ポリカーボネート樹脂(D)]
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製“ユーピロン”H−4000
【0069】
[エポキシ化合物(E)]
ナガセケムテックス(株)“デナコール”EX−614B
【0070】
[実施例1〜9]および[比較例1〜4]
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)に、グラフト共重合体(B−1)、(B−2)、(B−3)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)、ポリカーボネート樹脂(D)、エポキシ化合物(E)を、表1に示す配合比率(重量部)でV−ブレンダーを用いて混合し、直径45mmで3条ネジタイプのスクリューを有する2軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ペレット化した。
【0071】
得られたペレットを用いて、80℃で3時間乾燥後、メルトフローレート(MFR)を測定した結果を表1に示す。また得られたペレットを80℃で3時間乾燥後、230℃に設定したインラインスクリュー型射出成形機を用いて、JIS2号ダンベル試験片と、直径50mm、厚さ2mmの円板成形品を射出成形し、引張試験、射出成形時の離型後変形有無、金属パネルとの密着性について評価した。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
以上の結果より、実施例1〜9に示した本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、柔軟で弾性に富んだ熱可塑性エラストマの特徴を有し、成形加工性に優れ、樹脂組成物が溶融しないTm−50≦T≦Tm−30(℃)(Tm:熱可塑性エラストマ樹脂組成物の融点)を満たす温度T℃の高温処理で、表面塗装した金属に溶融することなく密着性を付与することが可能であり、また射出成形時に金型離型後の変形もない。
【0074】
これに対し、比較例1〜4に示した樹脂組成物は、樹脂組成物が溶融しないTm−50≦T≦Tm−30(℃)(Tm:熱可塑性エラストマ樹脂組成物の融点)を満たす温度T℃の高温処理では密着しない、あるいは密着性を付与することができても、射出成形時に金型離型後に変形してしまうため好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、上記した優れた特性を活かして、ホールプラグの他に、自動車、電子・電気機器、精密機器、および一般消費財など金属と樹脂との密着性やシール性が要求される各種成形品などに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメントと、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントとを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)50〜98重量%と、ゴム質重合体存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分を共重合してなるグラフト共重合体(B)1〜25重量%と、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(C)1〜25重量%とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルブロック共重合体(A)が、融点200℃以上のポリエステルブロック共重合体(a−1)と、融点200℃未満のポリエステルブロック共重合体(a−2)とからなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項3】
前記グラフト共重合体(B)のゴム質重合体がジエン系ゴム質重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項4】
前記グラフト共重合体(B)が、ジエン系ゴム質重合体40〜85重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分15〜60重量部を重合してなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項5】
前記グラフト共重合体(B)のグラフト率が25%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項6】
さらにポリカーボネート樹脂(D)を、前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対し、1〜30重量部配合してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項7】
さらにエポキシ化合物(E)を、前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対し、0.01〜3重量部配合してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項8】
処理条件Tm−50≦T≦Tm−30(℃)(Tm:熱可塑性エラストマ樹脂組成物の融点)を満たす温度T℃で、表面塗装した金属板に溶融しないでシールできることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの熱可塑性エラストマ樹脂組成物からなる成形体。

【公開番号】特開2012−211274(P2012−211274A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78067(P2011−78067)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【Fターム(参考)】