説明

熱可塑性エラスマー組成物及びその製造方法

本発明は、非加硫又は加硫される熱可塑性組成物を提供する。当該熱可塑性組成物は、熱可塑性エンジニアリング樹脂、C4乃至C7のイソモノオレフィン、パラアルキルスチレン、及びマルチオレフィンのハロゲン化ターポリマーの配合体である。当該エンジニアリング樹脂は、例えばナイロン6/66コポリマーのようなポリアミドである。当該イソモノオレフィンは、例えばイソブチレンである。当該マルチオレフィンは、例えばイソプレンのようなC4乃至C14のジエンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気バリヤーに適した低透過性熱可塑性組成物、その生産方法、及びその製品の用途に関する。
【0002】
発明の技術背景
熱可塑性オレフィン(「TPO」)は、弾性及び熱可塑性の両方を組み合わせた性質を有するポリマーの配合体である。それらは、熱可塑性樹脂の再加工性や硬化エラストマーの性質の若干を示す。配合体の一成分が、全体や一部が架橋された加硫可能エラストマーである場合、前記エラストマーの性質は増強される。
【0003】
米国特許第4130534号では、熱可塑性結晶ポリオレフィン樹脂と、ブチルゴム、クロロブチルゴムもしくはブロモブチルゴムからなるゴムとの配合体を含む弾性組成物が、開示されている。米国特許第4639487号では、動的加硫ハロゲン化ブチルゴムとエチレンコポリマー樹脂との熱収縮可能熱可塑性組成物が、開示されている。米国特許第6013727号では、炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン及びパラアルキルスチレンのハロゲン化コポリマーと熱可塑性樹脂との配合体が、開示されている。
【0004】
米国特許第4172859号では、ポリアミドマトリックス樹脂と、特定の引張り弾性率を有する少なくとも1つのポリマーとを含む熱可塑性組成物が、開示されている。米国特許第4174358号では、ポリアミドマトリックス樹脂と、特定の引張り弾性率を有する少なくとも1つのポリマーとを含む熱可塑性組成物が、開示されている。
【0005】
TPO組成物の硬化は、Gessler及びHaslettの、例えば「動的硬化」の概念を示している米国特許第3037954号により初めて公表された。そこでは、樹脂性熱可塑性ポリマーに加硫可能エラストマーが分散され、当該ポリマー配合体の連続的な混合及びせん断に伴い、前記エラストマーは硬化される。その結果、硬化されていない樹脂性熱可塑性ポリマーのマトリックス中に存在する硬化されたゴムのマイクロゲル分散体が得られる。米国特許第3037954号では、ポリプロピレンと、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンゴム及びポリイソブテンからなるゴムとを含む組成物が開示されている。約50から95割合のポリプロピレンと約5から50割合のゴムとの組成物が開示されている。
【0006】
ポリアミドと多種のエラストマーとを含む動的加硫熱可塑性組成物は公知である。例えば、米国特許第4173556号、米国特許第4197379号、米国特許第4207404号、米国特許第4297453号、米国特許第4338413号、米国特許第4348502号及び米国特許第4419499号等が参照される。米国特許第4287324号では、結晶ポリエステルと硬化エピクロロヒドリンとの配合を含む動的加硫組成物が開示されている。米国特許第4226953号では、スチレン‐アクリルニトリル樹脂とニトリルゴムとの配合を含む動的加硫組成物が、開示されている。米国特許第4350794では、ポリアミド樹脂とポリアミド反応性ハロゲン官能性エラストマーとが溶解配合工程で調製されるポリアミド成形押出組成物が、開示される。
【0007】
欧州特許第722850B1号(並びにそれに関連する米国特許第6079465号、米国特許第6334919号)では、空気圧式タイヤの空気遮断層に適した低透過性熱可塑性エラストマー組成物が開示される。前記組成物では、例えば臭素化ポリ(イソブチレン‐コ‐パラメチルスチレン)(BIMS)のような低透過性ゴムが分散された、ポリアミド又はポリアミドの配合体等の熱可塑性マトリックスを含む。欧州特許第857761A1号(並びに米国特許第5910544号、米国特許第6062283号、米国特許第6397912号を含む関連米国特許)及び欧州特許第969039A1号(並びに米国特許第6359071号、米国特許第6538066号、米国特許第6861470号を含む関連米国特許)では、熱可塑性マトリックスとゴム分散体との間の粘性率を限定し、熱可塑性物質及び微細ゴムの分散体で位相連続性(phase continuity)を得ている。欧州特許第969039A1号でもまた、ゴム分散体と熱可塑性エラストマー組成物の耐久性との関係が記載されている。
【0008】
非硬化の特性及び動的加硫アロイの特性については、未だに改良が望まれている。
【0009】
発明の概要
熱可塑性エンジニアリング樹脂はハロゲン化イソブチレンベースターポリマーと相溶し、熱可塑性物質中で微細ゴム分散体サイズの配合体を形成することが今日知られている。低透過性、高じん性及び良好な弾性能を有する物質を必要とする様々な用途で、前記微細ゴム分散体は、熱可塑性マトリックスを強化し、軟化し、及び弾性化することが出来る。さらに、アリルハライドとベンジルハライドの反応性、及びハロゲン化ターポリマーの不飽和性は、ターポリマーと熱可塑性マトリックスとの両方と反応する多機能的相溶化剤の用途を提供でき、多角的な加硫システムをもたらすことができる。
【0010】
これらの組成物は、より高いビカー(Vicat)軟化温度、より低い油吸収性、圧縮変形への耐性、及び耐熱老化後の性能の維持等の優れた特性を有する。さらに、これらの組成物は、特性に悪影響を及ぼすことなく、紫外線曝露に対して安定でいることができる。また、前記組成物は、非硬化エラストマー又は動的硬化エラストマーを含むこともできる。
【0011】
本発明は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレンアクリルニトリル樹脂、スチレン‐無水マレイン酸樹脂、ポリイミド、芳香族ポリケトン、又はそれらの混合物のような熱可塑性エンジニアリング樹脂と、炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン、スチレンモノマー、マルチオレフィン由来のモノマー単位を含むハロゲン化ターポリマーを含む熱可塑性組成物を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、熱可塑性エンジニアリング樹脂は、ポリアミドとすることができる。ある実施形態では、ポリアミドは、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン11、及びそれらの混合物とすることができる。別の実施形態では、ポリアミドは、ポリアミド6/66コポリマーとすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、イソモノオレフィンは、イソブチレン、イソブテン、2‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、4‐メチル‐1‐ペンタン、又はそれらの混合物とすることができる。別の実施形態では、スチレンモノマーは、スチレン、アルファメチルスチレン、又はアルキルスチレンとすることができる。前記アルキルスチレンのアルキルは、炭素原子数1個から5個のいずれかのアルキルもしくは分枝鎖アルキルから選択される。所定の実施形態では、スチレンモノマー単位は、例えばパラメチルスチレンのようなパラアルキルスチレンとすることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、マルチオレフィンは、炭素原子数4個から14個のジエンとすることができる。別の実施形態では、マルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロぺンタジエン、ピペリレン、ジビニルベンゼン又はそれらの混合物とすることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ターポリマーは、臭素、塩素、又はそれらの混合物によりハロゲン化されることができる。前記ハロゲンは、化学的にパラメチルスチレンと結合することができる。別の実施形態では、前記イソモノオレフィンは、イソブチレンとすることができ、マルチオレフィンは、イソプレンとすることができ、さらにスチレンモノマーは、パラメチルスチレンとすることができる。
【0016】
前記組成物は、充填剤、ゴム配合添加物、ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物を含むことができる。前記組成物は、加硫組成物又は、非加硫組成物とすることができる。
【0017】
本発明は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレンアクリルニトリル樹脂、スチレン‐無水マレイン酸樹脂、ポリイミド、芳香族ポリケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される熱可塑性エンジニアリング樹脂と、炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン、スチレンモノマー及びマルチオレフィン由来のモノマー単位を含む非加硫ハロゲン化ターポリマーと、弾性ハロゲン化ターポリマー用の加硫剤とを配合し、加硫条件で、加硫熱可塑性組成物が生成される間、十分に配合物を混練及びせん断する工程を含む熱可塑性組成物の生成方法も提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記方法は、充填剤、ゴム配合添加剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む。別の実施形態では、前記方法は、ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明に係る熱可塑性組成物は、熱可塑性エンジニアリング樹脂、及び炭素原子数4個から8個のイソオレフィンのターポリマーの配合体、マルチオレフィン、及びスチレンモノマーを含む。熱可塑性組成物は、非加硫組成物とすることができるか、又は静的加硫、もしくは動的加硫を施こすことができる。前記組成物は、優れた空気遮断特性が有り、インナーライナーやインナーチューブとして使用することができる。
【0020】
本明細書において、ペリオディックテーブルグループ(the Periodic Table Groups)に使用される新規ナンバリングスキームは、ケミカルアンドエンジニアリングニュース(Chemical and Engineering News)、63(5)、27(1985)に記載されるところに従って使用した。
【0021】
本明細書において、「ポリマー」とは、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を示すことができる。同様に、コポリマーは、少なくとも2つのモノマーを含み、任意に別のモノマーも含むポリマーを示すことができる。
【0022】
本明細書において、ポリマーがモノマーを含むように示されている場合、モノマーはその重合形態又はその派生的な形態でポリマー内に存在する。同様に、触媒成分が、成分の中性安定形態(neutral stable forms)を含むとして記載されている場合、成分のイオン形態は、モノマーと反応し、ポリマーを生成する形態であり、そのことは当業者によく理解されている。
【0023】
本明細書において、「エラストマー」又は「弾性組成物」とは、ASTM D1566規定と一致するポリマー又は(ポリマーの配合体のような)ポリマーの組成物を示す。エラストマーは、ポリマーの溶解混合及び/又は反応槽配合(reactor blends)のようなポリマーの混合された配合体を含む。この用語は、「ゴム」と同じ意味で用いられることができる。
【0024】
本明細書において、「phr」とは、「parts per hundred rubber」の略であり、組成物の成分が、ポリマー、エラストマー又はゴムの重さの百分率を基に、主なエラストマー又はポリマーの成分と関連して測定される当該分野で共通した単位である。
【0025】
ここで使用される用語「ポリマー配合体」とは、1以上の熱可塑性エンジニアリング樹脂の配合体、すなわち、弾性ハロゲン含有コポリマー及び組成物の成分となり得る任意の別のポリマー(エラストマー又は非エラストマー)を示す。任意に、追加的なエラストマー及び/又は非弾性ポリマーが、本発明の組成物に含まれることができる。
【0026】
本明細書において、「イソブチレンベースエラストマー」又は「イソブチレンベースポリマー」とは、イソブチレンからの少なくとも70モルパーセント反復単位を含むエラストマー又はポリマーを示す。
【0027】
本明細書において、「イソモノオレフィン」とは、炭素原子上に2つの置換基を有する少なくとも1個の炭素原子を含む任意のオレフィンモノマーを示す。
【0028】
本明細書において、「マルチオレフィン」とは、2以上の二重結合を含む任意のモノマーを示す。例えば、マルチオレフィンは、イソプレン等の共役ジエンのような2つの共役二重結合を含む任意のモノマーを含むことができる。
【0029】
本明細書において、「溶媒」とは、他の物質を溶解可能な任意の物質を示す。溶媒という用語が使用される場合、特定されていない限り、少なくとも1つの溶媒又は2以上の溶媒を示すことができる。所定の実施形態では、溶媒は、極性であり、別の実施形態では、溶媒は非極性である。
【0030】
本明細書において、「溶液」とは、1つ以上の物質(溶質)が1以上の物質(溶媒)に分子レベル又はイオンレベルで均一に分散されている混合物を示す。
【0031】
本明細書において、「炭化水素」とは、主に水素原子と炭素原子とを含む分子又は分子部分を示す。いくつかの実施形態では、炭化水素は、ハロゲン化された炭化水素やヘテロ原子を有するものも含まれる。
【0032】
本明細書における用語「動的加硫」とは、高いせん断力の条件下で、エンジニアリング樹脂及び加硫可能エラストマーが加硫処理される加硫工程を意味する。その結果、加硫可能エラストマーは、徐々に架橋され、エンジニアリング樹脂マトリックス中に「マイクロゲル」の微細粒子として分散される。
【0033】
動的加硫は、ロールミル、Banbury(登録商標)ミキサー、連続ミキサー、ニーダー(kneaders)又は例えば二軸スクリュー押出機等の混合押出機のような器具を用いて、成分をエラストマーの硬化温度以上の温度で混合することにより行われる。動的硬化された組成物固有の特徴として、エラストマー成分が完全に硬化されたにもかかわらず、当該組成物が、押出、射出成形、圧縮成形等のような従来のゴム加工技術により加工や再加工されることができる。断片やフラッシングも、回収され、再加工されることができる。
【0034】
本発明に係る実施形態では、動的加硫アロイ(DVA‘s)を得ることが望まれている。当該アロイは、一般的に動的加硫条件下で、少なくとも1つのエンジニアリング樹脂と、少なくとも1つのエラストマー、硬化剤及び充填剤とを配合することにより生成される。
【0035】
本発明に係る好ましい動的加硫組成物の生成では、1つの熱可塑性エンジニアリング樹脂における少なくとも一部分が、弾性ハロゲン含有コポリマーと配合される。
【0036】
熱可塑性エンジニアリング樹脂
本発明の実施に適した熱可塑性エンジニアリング樹脂は、単体又は組み合わせで用いられることができ、窒素、酸素、ハロゲン、硫黄、又は芳香族ハロアルキル類と相互作用できる別の官能基を含む樹脂である。適したエンジニアリング樹脂は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(ABS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、スチレン‐アクリロニトリル樹脂(SAN)、ポリイミド、スチレン無水マレイン酸(SMA)、芳香族ポリケトン(PEEK、PEK、及びPEKK)及びそれらの混合物から構成される群より選択される樹脂を含む。好ましい熱可塑性エンジニアリング樹脂は、ポリアミドである。好ましいポリアミドは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、及びナイロン11である。
【0037】
適した熱可塑性ポリアミド(ナイロン)は、すなわち、ポリマー鎖内に繰り返しアミド単位を有するコポリマー及びターポリマーを含む結晶又は樹脂状、高分子量固形ポリマーからなる。ポリアミドは、1以上の例えば、カプロラクタム、ピロリドン、ラウリルラクタム(lauryllactam)及びアミノウンデカンラクタム(aminoundecanoic lactam)等のイプシロンラクタムもしくはアミノ酸の重合、又は二塩基酸とジアミン類との凝集により生成されることができる。繊維形成及び成形段階のナイロンが適している。前記ポリアミドの例は、ポリカプロラクタム(ナイロン‐6)、ポリラウリルラクタム(ナイロン‐12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(polyhexamethyleneadipamide)(ナイロン‐6、6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン‐6、9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン‐6、10)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン‐6、IP)及び11アミノウンデカン酸(ナイロン‐11)の凝集生成物である。ナイロン6/66コポリマーは、別の実施形態で選択される。適切なポリアミド(特に275℃未満の軟化点を有するもの)の付加的な例は、Kirk‐Othmer、化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、v. 10、ページ919、及び高分子科学及び技術百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)、Vol. 10、ページ392−414に記載されている。商業的に入手可能な熱可塑性ポリアミドは、本発明の実施に有効に使用され、軟化点又は溶解点が160から230℃の間で直鎖型結晶性ポリアミド類であることが好ましい。
【0038】
適した熱可塑性ポリエステルは、ポリマー鎖に反復(A)基を有し、(B)基を含む直鎖型、結晶状、高分子量固体ポリマーからなる。本明細書におけるポリエステルに関する用語「直鎖型」とは、反復エステル群が、ポリマーの主鎖内であり、ポリマーの主鎖から分枝(pendant)していないポリマーを意味する。

【0039】
約50℃を超えた軟化点を有する直鎖型結晶ポリエステルが適切であり、好ましくは、100℃を超える軟化点又は溶解点を有するポリエステル、さらに好ましくは、160から260℃の間の軟化点又は溶解点を有するポリエステルである。飽和直鎖型ポリエステル(オレフィン不飽和が不存在)が適切である。しかしながら、ゴムが架橋されている場合、前記ポリエステルと配合される前に当該ゴムが架橋されるか、又は、前記ポリエステル中で架橋形成を著しく誘導しない架橋剤を用いて動的にゴムが架橋されるのであれば、不飽和ポリエステルは使用されうる。架橋されたポリエステルは、本発明の実施には、不適切である。もし、ポリエステルの著しい架橋形成が起こる場合、その結果として得られた組成物は、熱可塑性ではない。
【0040】
多くの商業的に入手可能な熱可塑性直鎖型結晶ポリエステルは、本発明の実施で有効に使用される。または、当該熱可塑性直鎖型結晶ポリエステルは、1以上のジカルボキシル酸、無水物又はエステルと1以上のジオールとの重合により生成されることができる。適切なポリエステルの例では、ポリ(トランス‐1、4‐コハク酸シクロヘキシレン)やポリ(トランス‐1、4‐アジピン酸シクロヘキシレン)等のポリ(トランス‐1、4‐シクロヘキシレンC2-6アルカンジカルボキシレート)、ポリ(シス‐1、4‐シクロヘキサン‐ジ‐メチレン)オキサレートやポリ(シス‐1、4‐シクロヘキサン‐ジ‐メチレン)スクシネート等のポリ(シス又はトランス‐1、4‐シクロヘキサンジメチレン)C0-2アルカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレートやポリテトラメチレン‐テレフタレート等のポリ(C2-4アルキレンテレフタレート)、ポリエチレンイソフタレートやポリテトラメチレン‐イソフタレート等のポリ(C2-4アルキレンイソフタレート)、ポリ(p‐フェニレングルタレート)やポリ(p‐フェニレンアジペート)等のポリ(p‐フェニレンC1-3アルカンジカルボキシレート)、ポリ(p‐キシレンオキサレート)、ポリ(オキシレンオキサレート)、ポリ(p‐フェニレンジメチレンテレフタレート)やポリ(p‐フェニレン‐ジ‐1、4‐ブチレンテレフタレート)等のポリ(p‐フェニレンジC1-5アルキレンテレフタレート)、ポリ(エチレン‐1、2‐エチレンジオキシ‐4、4‐ジベンゾエート)、ポリ(テトラメチレン‐1、2‐エチレンジオキシ‐4、4‐ジベンゾエート)やポリ(ヘキサメチレン‐1、2‐エチレンジオキシ‐4、4‐ジベンゾエート)等のポリ(C2-10アルキレン‐1、2‐エチレンジオキシ‐4、4‐ジベンゾエート)、ポリ(ペンタメチレン‐4、4‐ジベンゾエート)、ポリ(ヘキサメチレン‐4、4‐ジベンゾエート)やポリ(デカメチレン‐4、4‐ジベンゾエート)等のポリ(C3-10アルキレン‐4、4‐ジベンゾエート)、ポリ(エチレン‐2、6‐ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン‐2、6‐ナフタレンジカルボキシレート)やポリ(テトラメチレン‐2、6‐ナフタレンジカルボキシレート)等のポリ(C2-10アルキレン‐2、6‐ナフタレンジカルボキシレート)、及
びポリ(オクタメチレンサルホニル‐4、4‐ジベンゾエート)やポリ(デカメチレンサルホニル‐4、4‐ジベンゾエート)等のポリ(C2-10アルキレンサルホニル‐4、4‐ジベンゾエート)が含まれる。適切な直鎖型ポリエステルの付加的な例は、高分子科学及び技術百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)、Vol. 11、ページ68‐73及びKorshak & Vinogradova Polyesters、Pergamon Press、ページ31‐64に記載されている。適したポリカルボネートは、商業的にも入手可能である。適したセグメントポリ(エーテル‐コ‐フタレート)は、Rubber World Blue Book上巻のページ46が参照される。ポリカプロラクトン等のポリラクトンは、本発明の実施に適している。本発明に係る好ましいポリエステルはナフタル酸(naphthalenic)またはフタル酸のような芳香族ジカルボン酸である。さらに好ましいポリエステルは、ポリ(アルキレンテレフタレート)特にポリテトラメチレンテレフタレート、又は2以上のグリコール、2以上のフタル酸、ポリ(アルキレンテレコイソフタレート)のような2以上のグリコールと2以上のフタル酸から由来する混合されたポリフタレートである。
【0041】
任意に、ポリオレフィン樹脂のような他の熱可塑性ポリマーが、ポリマー配合体に含まれることができる。例えば、PP、HDPE、LDPE、LLDPE、EVA、EMA等である。
【0042】
ハロゲン化ターポリマーエラストマー
本発明に係る組成物は、炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン由来単位を有するターポリマーを含む。前記イソモノオレフィンは、炭素原子数4個から7個の化合物とすることができ、1つの実施形態では、イソブチレン、イソブテン、2‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、及び4‐メチル‐1‐ペンテンから選択される。前記ターポリマーは、他のモノマー由来単位を含むこともできる。1つの実施形態では、前記ターポリマーは、少なくとも1つのスチレンモノマーを含む。前記スチレンモノマーは、任意の置換型スチレンモノマー単位であり、望ましくは、スチレン、α‐メチルスチレン又はアルキルスチレン(オルソ、メタ、もしくはパラ)、任意の炭素原子数1個から5個のアルキル又は分枝構造のアルキルのいずれかのアルキルから選択される。望ましい実施形態では、前記スチレンモノマーはp‐メチルスチレンである。別の実施形態では、前記ターポリマーは、炭素原子数4個から14個のジエン、共役又は非共役とすることができる少なくとも1つのマルチオレフィンを含み、1つの実施形態では、イソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、及びピペリレンから選択される。
【0043】
1つの実施形態では、前記ターポリマーは、イソモノオレフィン由来単位、マルチオレフィン由来単位、及びスチレン由来単位を含む。例えば、スチレン由来単位及びマルチオレフィン由来単位を含むイソブチレンベースターポリマーは、米国特許第3948868号、米国特許第4779657号、及び国際特許公開WO2001/021672(及びそれに相当する欧州特許第1228106号、米国特許第20030220454A1号)に開示されている工程等から調製し、続けて、ハロゲン化することにより本発明に係るハロゲン化ターポリマーを形成することができる。
【0044】
1つの実施形態では、イソブチレン、パラメチルスチレン、及びイソプレンの弾性ランダムターポリマーは、0.5から20のモルパーセントパラメチルスチレンを含むことができる。当該メチル置換基の60モルパーセント以下は、臭素原子又は塩素原子、好ましくは臭素原子(パラ(ブロモメチルスチレン))、同様にパラ(ブロモメチルスチレン)とエステルやエーテル等の他の官能基との組み合わせ、を含むベンゼン環上に存在する。別の実施形態では、官能基(the functionality)は、ポリマー成分が高温で混合された時に、例えば、酸、アミノ又はヒドロキシル官能基等、マトリックスポリマーに存在する官能基と極性結合を形成又は反応するように選択することができる。それらは、従来技術の特許を基に具体化される。
【0045】
これらの官能化ターポリマーは、実質的に均一な組成割合を有する。前記組成割合は、ポリマーの少なくとも95パーセント重量がパラアルキルスチレン含有量を有し、当該パラアルキルスチレン含有量は、ターポリマーの平均パラアルキルスチレン含有量の10パーセント以内であるような組成割合である。望ましいインターポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによる測定で、5未満、より好ましくは3未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)、好ましい200,000以上2,000,000以下の範囲の粘性平均分子量、及び好ましい25,000以上750,000以下の範囲の数量平均分子量による特徴付けもできる。
【0046】
多様な方法を、イソモノオレフィン、マルチオレフィン、及びパラアルキルスチレンのターポリマーの生成に使用することができる。好ましくは、重合が典型的な連続重合工程で連続的に行われる。前記典型的な連続重合工程では、ターボミキサー又はターボプロペラのような効果的な攪拌手段に適合するバッフルタンク型反応器、及びドラフトチューブ、外部冷却ジャケット及び内部冷却コイルまたは重合熱を除去する他の手段、モノマー用の注入口パイプ、触媒及び賦形剤、温度感知手段及び支持ドラム又は急冷水槽への排出オーバーフローが用いられる。前記反応器は、モノマーと触媒の添加の前に、空気及び湿気がパージ、乾燥、精製された溶媒又は溶媒の混合物で充満される。
【0047】
ブチルゴム重合で典型的に使用される反応器は、通常、本発明における加工の用途に適した望ましいターポリマーの生成における重合反応での使用に適している。前記重合温度は、約マイナス35℃から約マイナス100℃、好ましくは約マイナス40℃から約マイナス95℃を範囲とすることができる。
【0048】
ターポリマーの生成方法は、使用賦形剤で形成されたポリマーのスラリー内で、又は均一な溶液相工程で行われることができる。しかしながらスラリー工程での使用が好まれる。この場合は、より低い粘性の混合物が反応器で生成され、ポリマーの40重量パーセント以下のスラリー濃度が可能であるからである。
【0049】
賦形剤及びLewis酸触媒が存在する重合条件下の重合反応器内で、イソモノオレフィン、マルチオレフィン、及びパラアルキルスチレンのターポリマーは、イソモノオレフィン、マルチオレフィン、及びパラアルキルスチレンの混合により生成することができる。
【0050】
単独又は配合で使用され得る賦形剤の典型的な例は、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、トルエン、ヘプタン、イソオクタン等や、本明細書で特に有利とされる多種のハロゲン化炭化水素溶媒である。前記ハロゲン化炭化水素溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、特に好ましくは塩化メチルを含む。
【0051】
ターポリマーを生成する上で重要な要素は、重合反応器から不純物を排除することである。すなわち、不純物が存在していた場合には、触媒との複合化又はイソモノオレフィン、マルチオレフィン、又はパラアルキルスチレンとの共重合を原因として、触媒被毒もしくは過度の分子量降下が結果として引き起こされる。つまりそれにより、本発明の実施に有用なターポリマー生成物が効果的に生成されるのを妨害することになる。これらの不純物は、例えば湿気等やメタアルキルスチレンのような他の共重合可能モノマー等の触媒被毒物質を最も顕著に含む。これらの不純物は、前記反応系からは、除去されていなければならない。
【0052】
ターポリマーの生成において、パラアルキルスチレンは、少なくとも95.0重量パーセント精製のものが望ましく、好ましくは97.5重量パーセント精製、最も好ましくは99.5重量パーセント精製のものであり、マルチオレフィンは、少なくとも95.0重量パーセント精製のものが望まれ、好ましくは97.5重量パーセント精製、最も好ましくは、99.5パーセント精製のものである。イソモノオレフィンは、少なくとも99.5重量パーセント精製のものが望まれ、好ましくは少なくとも99.8重量パーセント精製のものであり、使用される賦形剤は、少なくとも99重量パーセント精製のものが望まれ、好ましくは99.8重量パーセント精製のものである。
【0053】
最も好ましいLewis酸触媒は、二塩化エチルアルミニウムであり、好ましくは、二塩化エチルアルミニウムと塩化ジエチルアルミニウムの混合物である。使用される前記触媒の量は、生成されるコポリマーの望ましい分子量及び望ましい分子量分布に依存するが、通常、重合されるモノマーの全量を基にして、約20ppmから1重量パーセント、好ましくは約0.01から0.2重量パーセントの範囲である。
【0054】
前記ターポリマーは、少なくとも(1)イソブチレンのような炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィンモノマー成分を有するモノマーの混合物を、(2)マルチオレフィン、又は共役ジエン、モノマー成分、及び(3)スチレンモノマー成分と、を反応させることにより生成することができる。1つの実施形態では、前記イソモノオレフィンは、コモノマー混合物全量の70から99.5重量パーセントの範囲であり、別の実施形態では、85から99.5重量パーセントである。1つの実施形態における共役ジエン成分は、1つの実施形態で、30から0.5重量パーセント、別の実施形態では、15から0.5重量パーセントのモノマー混合物が存在する。さらに別の実施形態では、モノマー混合物の8から0.5重量パーセントが共役ジエンである。1つの実施形態におけるスチレンモノマー成分は、1つの実施形態で、30から0.5重量パーセント、別の実施形態では、15から0.5重量パーセントのモノマー混合物が存在する。さらに別の実施形態では、モノマー混合物の12から0.5重量パーセントがスチレンモノマーである。
【0055】
前記イソモノオレフィンは、イソブチレン、イソブテン2‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、および4‐メチル‐1‐ペンテンのような炭素原子数4個から7個の化合物である。前記マルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、シクロペンタジエン、ヘキサジエンおよびピペリレンのような炭素原子数4個から14個の共役ジエンである。本発明に係るターポリマーの1つの実施形態は、イソブチレンの80から99重量パーセントと0.5から8重量パーセントのイソプレンおよび0.5から12重量パーセントのパラメチルスチレンとの反応、又はさらに別の実施形態で、90から99重量パーセントイソブチレンと0.5から5.0重量パーセントのイソプレンおよび0.5から9.5重量パーセントのパラメチルスチレンとの反応により得られる。
【0056】
前記ハロゲン化ターポリマーは、上記ターポリマーのハロゲン化により生成することができる。ハロゲン化は、任意の方法で行われ、本発明は、本明細書のハロゲン化の工程に限られない。ブチルポリマーのようなハロゲン化ポリマーの方法は、米国特許第2631984号、第3099644号、第4554326号、第4681921号、第4650831号、第4384072号、第4513116号及び第5681901号に記載されている。1つの実施形態では、ハロゲンは、例えばRubber Technologyの298から299(1995)で記載されている、いわゆるII及びIII構造である。1つの実施形態では、ターポリマーは、40から60℃のヘキサン溶媒中、ハロゲン化剤として臭素(Br2)又は塩素(Cl2)を使用しハロゲン化される。ハロゲン化されたターポリマーは、1つの実施形態で、20から70(125℃でML1プラス8)、別の実施形態では25から55のムーニー粘度(Mooney Viscosity)である。ハロゲン含有量は、1つの実施形態で、ハロゲン化ブチルゴムの重量を基にして、0.1から10重量パーセント、別の実施形態では、0.5から5重量パーセントとすることができる。さらに別の実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムのハロゲン重量パーセントは、1から2.2重量パーセントである。
【0057】
別の実施形態では、ハロゲン化ターポリマーは、ハロゲン化が主に天然でアリル基からなるように、ハロゲン化されたブチル又は星状分枝(star-branched)ブチルゴムとすることができる。これは、フリーラジカルの臭素化又はフリーラジカルの塩素化の手段、又はゴムの加熱による等の求電子ハロゲン化ゴムの第二処理のような方法により典型的に成し遂げられ、アリル基によるハロゲン化ブチル及び星状分枝ブチルゴムが形成される。アリルハロゲン化ポリマー形成の一般的な方法は、Gardner他の米国特許第4632963号、米国特許第4649178号、米国特許第4703091号に記載されている。従って、本発明の1つの実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムは、例えば、ハロゲン化マルチオレフィン単位が、主にアリル基によるハロゲン化単位である。また、前記主なアリル基による共役が、1つの実施形態で、少なくとも20モルパーセント(ハロゲン化マルチオレフィンの全量に関連して)、別の実施形態で少なくとも30モルパーセントに存在する。この調製は、下記の構造により記述することができる。ここで、Xは、ハロゲン、望ましくは、塩素又は臭素であり、qは1つの実施形態でハロゲンの全モルに基づき、少なくとも20モルパーセント、別の実施形態で、少なくとも30モルパーセント、さらに別の実施形態で、25モルパーセントから90モルパーセントである。
【化1】

【0058】
本発明に係る1つの実施形態のハロゲン化ターポリマーは、炭素原子数4個から7個のイソオレフィンのランダム弾性ターポリマー(例えばイソブチレン)、パラアルキルスチレンモノマー(好ましくは、パラアイソマーの重量で少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントを含むパラメチルスチレン)、及び炭素原子数4個から14個のマルチオレフィン(例えばイソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、及びピペリレン)である。前記ターポリマーは、ポリマー鎖に沿って、ランダムに間隔を設けて構成される下記のモノマー単位を含むことにより特徴付けられる:
【化2】

ここで、R10及びR11は、独立にハロゲン、より低級なアルキル、好ましくは炭素原子数1個から7個のアルキル、及び第一又は第二アルキルハライドであり、Xは、ハロゲン等の官能基である。好ましくは、R10及びR11がハロゲンである。インターポリマー構造に存在するパラ置換型スチレンの60モルパーセント以下は、1つの実施形態で上記機能的な構造(5)であり、別の実施形態では、0.1から5モルパーセントとすることができる。さらに別の実施形態では、機能的な構造(5)の量は、0.4から1モルパーセントである。
【0059】
官能基Xは、ハロゲン又はハロゲンといくつかの別の官能基との結合である。当該別の官能基は、例えばカルボキシル酸、カルボキシ塩、カルボキシエステル、カルボキシアミド、カルボキシイミド、ハイドロキシ、アルコキシド、フェノキシド、チオレート、チオエーテル、キサンテート、シアン化合物、ニトリル、アミノ及びそれらの混合物等の他の官能基とベンジルハロゲンの求核置換により組み込まれるような官能基である。
【0060】
前記ハロゲン化ターポリマー成分は、1つの実施形態で本発明の10から90phr、他の実施形態で20から80phr、さらに別の実施形態で30から70phrの配合体で存在する。ここで望ましい範囲は、任意のより高いphr限界と任意のより低いphr限界との任意の組み合わせとすることができる。
【0061】
第二ゴムの成分
第二ゴム又は「汎用ゴム」の成分は、組成物及び本発明の最終用途製品とすることができる。これらのゴムは、次に限定されないが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン‐コ‐ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリ(イソプレン‐コ‐ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン‐イソプレン‐ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン‐プロピレンゴム(EPM)、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、ポリスルフィド、ニトリルゴム、プロピレンオキシドポリマー、星状分枝ブチルゴム及びハロゲン化星状分枝ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星状分枝ポリイソブチレンゴム、星状分枝臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム、ポリ(イソブチレン‐コ‐p‐メチルスチレン)及び例えばイソブチレン由来単位のターポリマー、p‐メチルスチレン由来単位のターポリマー、及びp‐ブロモメチルスチレン由来単位、及びそれらの混合物のようなハロゲン化ポリ(イソブチレン‐コ‐p‐メチルスチレン)を含む。
【0062】
本第二ゴム成分の好ましい実施形態は、天然ゴムである。天然ゴムは、SubramaniamによるRubber Technologyの179から208(Maurice Morton、Chapman & Hall、1995)で詳細に記載されている。本発明に係る天然ゴムの望ましい実施形態は、例えば、SMR CV、SMR 5、SMR 10、SMR 20及びSMR 50及びそれらの混合物のようなマレーシアゴム(Malaysian rubber)から選択され、ここで天然ゴムは、100℃(ML1プラス4)で30から120、さらに好ましくは40から65のムーニー粘度を有する。ここで引用されるムーニー粘度試験は、ASTM D‐1646に従っている。
【0063】
ポリブタジエン(BR)ゴムは、本発明の組成物に有用な別の望ましい第二ゴムである。100℃(ML1プラス4)で測定したポリブタジエンゴムのムーニー粘度は、35から70、別の実施形態では、40から65、さらに別の実施形態では、45から60の範囲とすることができる。本発明で有用なこれら合成ゴムにおけるいくつかの商業的例は、NATSYN(登録商標)(グッドイヤーケミカル会社(Goodyear Chemical Company))、及びBUDENE(登録商標) 1207又はBR 1207(グッドイヤーケミカル会社)である。望ましいゴムは、高シスポリブタジエン(cis‐BR)である。「シスポリブタジエン」又は「高シスポリブタジエン」では、1、4‐シスポリブタジエンが使用され、ここで、シス成分の量は、少なくとも95パーセントである。前記組成物で使用される高シスポリブタジエンの商業的製品の例は、BUDENE(登録商標) 1207である。
【0064】
例えばEPMやEPDMのようなエチレン由来単位及びプロピレン由来単位のゴムもまた、第二ゴムに適している。EPDMの作成に適したコモノマーの例は、エチルジエンノルボルネン、1、4‐ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等である。これらのゴムは、Rubber Technologyの260から283(1995)に記載されている。適したエチレン‐プロピレンゴムは、VISTALON(登録商標)(エクソンモービルケミカル会社、ヒューストンTX(ExxonMobil Chemical Company、Houston TX))として商業的に入手可能である。
【0065】
別の実施形態では、第二ゴムは、ターポリマー組成物の一部としてのハロゲン化ゴムである。ハロゲン化ブチルゴムは、臭素化ブチルゴムであり、別の実施形態では、塩化ブチルゴムである。ハロゲン化ブチルゴムの一般的な特性及び加工は、バンダービルトラバーハンドブック(The Vanderbilt Rubber Handbook)105から122(Robert F. Ohm編集、アールティバンダービルト会社(R.T. Vanderbilt Co., Inc.)1990)、及びRubber Technologyの311から321(1995)に記載されている。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及び星状分枝ブチルゴムは、Edward Kresge及びH.C. Wangの8 キーク‐オスマー化学技術百科事典(8 Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)の934から955(ジョン・ウィレィ&サンズ会社(John Wiley & Sons, Inc.)第4版1993)に記載されている。
【0066】
本発明の第二ゴムの成分は、次に限定されないが、少なくとも1以上の臭素化ブチルゴム、塩化ブチルゴム、星状分枝ポリイソブチレンゴム、星状分枝臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム、例えばイソブチレン由来単位のターポリマー、p‐メチルスチレン由来単位のターポリマー、及びp‐ブロモメチルスチレン由来単位(BrIBMS)等のハロゲン化ポリ(イソブチレン‐コ‐p‐メチルスチレン)及び米国特許第5162445号、米国特許第4074035号及び米国特許第4395506号にあるハロメチル化芳香族インターポリマー類、ハロゲン化イソプレン及びハロゲン化イソブチレンコポリマー、ポリクロロプレン、及びその同類、及び上記いずれかの混合物を含む。ハロゲン化ゴム成分のいくつかの実施形態は、米国特許第4703091号及び米国特許第4632963号にも記載されている。
【0067】
本発明の1つの実施形態では、いわゆる半結晶性コポリマー(semi-crystalline copolymer)(「SCC」)は、第二「ゴム」成分として存在する。半結晶性コポリマーは、国際特許公開WO00/69966に記載されている。一般的にSCCは、1つの実施形態で、エチレン由来単位又はプロピレン由来単位のコポリマー及びα‐オレフィン由来単位、炭素原子数4個から16個のα‐オレフィンであり、他の実施形態では、SCCは、エチレン由来単位及びα‐オレフィン由来単位のコポリマー、炭素原子数4個から10個のα‐オレフィンであり、前記SCCは、ある程度の結晶化度(crystallinity)を有する。さらに別の実施形態では、前記SCCは、1‐ブテン由来単位のコポリマー及び別のα‐オレフィン由来単位のコポリマー、5個から16個の炭素原子を有する別のα‐オレフィンであり、ここでSCCは、ある程度の結晶化度を有する。前記SCCは、さらにエチレン及びスチレンのコポリマーとすることができる。
【0068】
エラストマー組成物の第二ゴム成分は、1つの実施形態では、90phr以下、別の実施形態では、50phr以下、別の実施形態では、40phr以下、さらに別の実施形態では、30phr以下の範囲で存在することができる。さらに別の実施形態では、第二ゴムは、少なくとも2phr、別の実施形態では少なくとも5phr、さらに別の実施形態では、少なくとも10phrで存在する。望ましい実施形態では、任意のより高いphr限界と任意のより低いphr限界との任意の組み合わせを含むことができる。例として、個々の、又はNR及びBRのような配合体のいずれかの第二ゴムは、1つの実施形態で、5phrから90phr、別の実施形態では10から80phr、さらに別の実施形態では、30から70phr、さらに別の実施形態では40から60phr、さらに別の実施形態では、5から50phr、さらに別の実施形態では、5から40phr、さらに別の実施形態では、20から60phr、さらに別の実施形態では、20から50phrで存在し、当該組成物の望ましい最終使用用途に依存して、当該実施形態は選択される。
【0069】
充填剤、硬化剤及び他の添加剤
本発明の組成物は、1つ以上の例えば炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ及びケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、及びカーボンブラック等の充填剤成分も含む。1つの実施形態では、充填剤は、カーボンブラック又は修飾カーボンブラックである。好ましい充填剤は、配合体の10から150phr、より好ましくは30から120phrのレベルで存在する半強化グレード(semi-reinforcing grade)のカーボンブラックである。RUBBER TECHNOLOGYの59から85(1995)に記載されているカーボンブラックの有用なグレードは、N110からN990に及ぶ。例えばタイヤトレッド等に有用なカーボンブラックのより望ましい実施形態は、ASTM(D3037、D1510、及びD3765)で得られるN229、N351、N339、N220、N234及びN110である。例えば、タイヤのサイドウォールに有用なカーボンブラックの実施形態は、N330、N351、N550、N650、N660、及びN762である。例えば、タイヤのインナーライナーに有用なカーボンブラックの実施形態は、N550、N650、N660、N762、及びN990である。
【0070】
本発明に係る組成物は、加硫組成物を提供するために、配合体の機能化弾性コポリマー成分の硬化が可能な硬化剤系を任意に含むことができる。本発明の弾性コポリマー成分に適した硬化剤系は、有機過酸化物、酸化亜鉛とステアリン酸亜鉛又はステアリン酸との組み合わせ及び、任意に1つ以上の下記の促進剤又は加硫剤を含む。すなわち、ペルマルックス(Permalux)(ホウ酸ジカテコールのジ‐オルソ‐トリルグアニジン塩)、HVA‐2(m‐フェニレンビスマレイミド)、ジスネット(2、4、6‐トリメルカプト‐5トリアジン)、ZDEDC(亜鉛ジエチルジチオカルバメート)及び他のジチオカルバメート、テトロンA(Tetrone A)(ジペンタ‐メチレンチウラムヘキサスルフィド)、ブルタック‐5(Vultac-5)(アルキル化フェノールジスルフィド)、SP1045(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD(ジフェニルフェニレンジアミン)、サリチル酸(o‐ヒドロキシ安息香酸)、ウッド松脂(アビエチン酸)、及びTMTDS(テトラメチルチウラムジスルフィド)と硫黄との組み合わせである。前記組成物は、紫外線又は電子照射の使用によっても硬化することができる。
【0071】
本発明に係る組成物は、例えば、染料、色素、抗酸化剤、熱及び光安定剤、可塑剤、油及び当該分野で知られている他の成分等の従来の添加剤も含むことができる。
【0072】
ゴム加工油は、パラフィン加工油、ナフテン(naphthenic)加工油又は芳香族加工油の分類によって依存した特定のASTM規格に指定される。使用される加工油のタイプは、通例ゴム成分と共に使用する。熟達したゴム化学者は、特定のゴムに対して、どのタイプの油が実用的であるかを見分けることができる。使用されるゴム加工油の含量は、全ゴム成分に基づき、前記組成物内のゴムに対する加工油の重量割合により定義できる。当該割合は、約0.3/1から約1.3/1、好ましくは約0.5/1から約1.2/1、さらに好ましくは約0.8/1から1.1/1で変化する。石油ベース油以外の、例えばコールタール及びパインタールに由来する油等の油も使用できる。石油由来ゴム加工油に加えて、有機エステル及び他の合成可塑剤を使用できる。本明細書では、「加工油」の用語は、石油由来加工油及び合成可塑剤の両方を意味する。
【0073】
加工油は、前記組成物に含むことができ、組成物の良好な流動特性を確保する。使用される油の含量は、使用される硬化系のタイプと同様に、ある程度使用されるポリマー配合体及び充填剤の量によって部分的に変化する。一般的に、加工油を含む際に、加工油は、前記組成物の約30重量パーセントを含むことができる。より多量の加工油を使用でき、不足した場合には、物理的強度が減少する。
【0074】
抗酸化剤は、本発明の組成物に使用され、エンジニア樹脂を保護する目的で本発明の弾性コポリマー成分の改善した老化特性をより改善させる。使用される特定の抗酸化剤は、使用されるゴム及び合成樹脂によって変化し、1つ以上のタイプが必要である。ゴム化学者の技術認識内で、抗酸化剤は適切に選択される。抗酸化剤は、一般的に化学的保護剤又は物理的保護剤の分類に分けられる。物理的保護剤は、前記組成物から生成される部分内でほとんど変動があってはならない箇所で使用される。これらは一般的に、ゴム部分の表面に「ブルーム(bloom)」を構成し、酸素、オゾン等からの保護コーティング又はシールドを形成するワックス様の物質である。
【0075】
化学的保護剤は、一般的に、二級アミン、フェノール及び亜リン酸の3つの化学グループに分けられる。本発明の実施において有用な抗酸化剤タイプの具体的かつ非限定的な例は、ヒンダードフェノール、アミノフェノール、ハイドロキノン、アルキルジアミン、アミン縮合製品等である。上記物質及び抗酸化剤の他のタイプの非限定的な例は、スチレン化フェノール、2、2´‐メチレン‐ビス‐(4‐メチル‐6‐1、ブチルフェノール)、2、6´‐ジ‐t‐ブチル‐o‐ジメチルアミノ‐p‐クレゾール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、オクチル化ジフェニルアミン、フェニル‐ベータ‐ナフチルアミン、N、N´‐ジフェニルエチレンジアミン、アルドール‐アルファ‐ナフチルアミン、N、N´‐ジ‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン等である。物理的抗酸化剤は、石油ワックスと微結晶ワックスとの混合物を含む。
【0076】
充填剤、添加剤、及び/又は硬化剤の成分の配合は、例えば、Banbury(登録商標)ミキサー、Brabender(登録商標)ミキサー又は好ましいミキサー/押し出し機等の任意の適した混合器具内で、所望の成分と本発明に係るナノ複合体とを調合し、成分がポリマー中で十分均一に分散し、ナノ複合体を形成するせん断条件の下、120℃以上300℃以下の範囲の温度で混合することにより行うことができる。
【0077】
配合工程
本発明に係る前記組成物は、ポリマー溶解配合工程により形成される。前記成分の配合は、例えば、Banbury(登録商標)ミキサー、Brabender(登録商標)ミキサー又は好ましいミキサー/押し出し機のような任意の適した混合器具内で、ポリマー成分を調合し、ターポリマーが可塑性エンジニア樹脂中で十分均一に分散するせん断条件の下、120℃以上400℃以下の範囲の温度で混合することにより行うことができる。
【0078】
本発明に係る組成物は、溶液の配合によっても形成できる。所定の実施形態では、前記組成物は、炭化水素有する溶媒と少なくとも1つのターポリマーとを含む溶液Aを、溶媒と少なくとも1つのエンジニアリング樹脂とを含む溶液Bに接触させ、溶液Aと溶液Bの接触物から溶媒を取り除き、組成物を形成することを含む工程により生成することができる。
【0079】
本発明に係る組成物は、繊維、フィルム、自動車部品、家電製品の収納部位、消費製品、包装及びその同類物等の商業部品を含む多彩な形状の製品に押し出し、圧縮成形、吹込み成形又は射出成形することができる。結果として得られた製品は、高い衝撃強度と低い透湿性の両方を示す。特に、本明細書に記載の組成物は、ブラダー(bladders)、自動車(トラック、商業用及び/又は乗用を含む)又は航空機のインナーライナー及びインナーチューブのような空気バリヤーに適している。
【0080】
本発明に係る組成物では、熱可塑性エンジニア樹脂は、ポリマー配合体を基に、約10から98重量パーセント、好ましくは約20から95重量パーセントの範囲の量で適切に含有され、イソモノオレフィン及びパラアルキルスチレンの弾性ハロゲン含有コポリマーは、ポリマー配合体を基に、約2から90重量パーセント、好ましくは約5から80重量パーセントの範囲の量で含有される。
【0081】
熱可塑性組成物の割線曲げ弾性率(the secant flexural modulus)は、ASTM D790に従い、1パーセント歪み度(strain)で測定して、約100kg/cm2から約400000kg/cm2、好ましくは約200kg/cm2から約100000kg/cm2の範囲にわたることができる。
【0082】
ポリマー配合体は、全組成物の約25から約98重量パーセントで含むことができる。前記ポリマー成分に加えて、本発明に係る組成物は、充填剤、及び例えば、抗酸化剤、安定剤、ゴム加工油潤滑剤(例オレアミド(oleamide))、抗ブロック剤、ワックス、発泡剤、難燃剤、色素、充填剤との結合剤、その他当該ゴム配合分野で知られた加工補助剤等の添加剤を含むことができる。酸受容体としてMgO等の酸化メタルを含むことができる。前記色素と充填剤は、ポリマー成分と添加剤とに基づいた全組成物の30重量パーセント以下で含むことができる。好ましくは、前記色素と充填剤が、組成物に基づいて約1から約30重量パーセント、さらに好ましくは全組成物の約2から約20重量パーセントで含む。
【0083】
組成物中に動的加硫ゴムと共に第二ゴム又は非硬化ゴムを混和させることは本発明の範囲内である。これは、非硬化ゴムとして、本発明の動的加硫される弾性ハロゲン化コポリマー成分の硬化に使用される加硫剤によっては加硫されないゴムとを選ぶか、又は、加硫剤が完全に消費された後に、本発明の弾性ハロゲン化コポリマー成分の加硫に使用される加硫剤を用いて加硫が可能なゴムを動的加硫された熱可塑性組成物に添加することによって達成される。例えば、本発明の弾性ハロゲン化成分が、酸化亜鉛を含む硬化系により加硫される場合、加硫するために硫黄又は他の硬化剤が必要ないずれか他のゴム、又は加硫できないいずれか他のゴムを含むことができる。前記ゴムは、エチレン‐プロピレンポリマー(EPM)、エチレン‐プロピレン‐ジエンポリマー(EPDM)、ポリイソブチレン、天然ゴム等を含む。或いは、前記DVAはまず、樹脂及び動的加硫により加硫可能なエラストマーにより生成され、次に非硬化ゴムは、熱可塑性樹脂の溶解点を越えた温度でDVAに配合されることができる。非硬化ゴムが動的加硫された組成物に混和される場合の実施形態では、非硬化ゴムは、前記組成物の全ゴム(すなわちエラストマー)含量の0を超えて約25重量パーセントまで、好ましくは約5から約20重量パーセントの範囲の量で存在することができる。
【0084】
加硫組成物の生成を望む場合、飽和ハロゲン化ポリマーの加硫が可能な任意の従来硬化剤系は、少なくとも炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン、マルチオレフィン、及びパラアルキルスチレンの弾性ハロゲン化ターポリマーの加硫に使用されることができる。但し例外として、過酸化物が、成分として選ばれた熱可塑性樹脂自身の架橋を引き起こす場合、当該過酸化物硬化剤は、特にこの発明の実施から除外される。さらに、動的加硫アロイの生成工程条件下で、特定の用いられるエンジニアリング樹脂に架橋を引き起こす任意の硬化剤は、使用される硬化剤系から除外するべきである。本発明に係る弾性ハロゲン化ターポリマー成分に適した硬化剤系は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸と併用する酸化亜鉛及び、任意に1つ以上の下記の促進剤又は加硫剤を含む。すなわち、前記促進剤又は加硫剤は、ペルマルックス(Permalux)(ホウ酸ジカテコールのジ‐オルソ‐トリルグアニジン塩)、HVA‐2(m‐フェニレンビスマレイミド)、ジスネット(Zisnet)(2、4、6‐トリメルカプト‐5トリアジン)、ZDEDC(亜鉛ジエチルジチオカルバメート)及び他のジチオカルバメート、テトロンA(Tetrone A)(ジペンタ‐メチレンチウラムヘキサスルフィド)、ブルタック‐5(Vultac-5)(アルキル化フェノールジスルフェド)、SP1045(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD(ジフェニルフェニレンジアミン)、サリチル酸(o‐ヒドロキシ安息香酸)、ウッド松脂(アビエチン酸)、及びTMTDS(テトラメチルチウラムジスルフィド)と硫黄との組み合わせである。加硫は、少なくとも一部、好ましくは完全にハロゲン化弾性コポリマーを加硫する条件で行うことができる。
【0085】
本発明の実施において、エンジニアリング樹脂が室温で結晶化する場合、前記エンジニアリング樹脂、弾性ターポリマー及び任意の他のポリマーは、樹脂の軟化に十分な温度、又は、より一般的には溶解点を超えた温度で、相互に混合されることができる。もし前記樹脂と他のポリマーとが均質に混合された後、前記混合物が動的に加硫されるのであれば、単数又は複数の前記硬化剤が添加される。加硫温度での加熱及びマスチケート(masticating)は、一般的に約0.5から約10分間の完全な加硫に適している。加硫時間は、加硫温度の上昇により短縮できる。加硫時間の適切な範囲は、マトリックス樹脂のおよその溶解点から約300℃までである。さらに典型的な前記加硫温度は、マトリックス樹脂のおよその溶解点から約275℃の範囲とすることができる。好ましい加硫は、ポリマー配合体のおよその溶解温度からマトリックス樹脂の軟化温度又は溶解温度より約20℃高い範囲の温度で行う。
【0086】
所望の加硫の程度に達するまで混合工程を継続することが好ましい。もし混合の中止後に加硫が継続するのであれば、当該組成物は、熱可塑性物質として再加工できない。しかし、動的加硫は、段階的に行うことができる。例えば、二軸回転押出機と水中ペレタイザーを用いて、形成されたDVA物質のペレットのなかで加硫を開始することが可能である。これにより、加硫が終了する前にクエンチすることができる。前記加硫は、後の時点に動的加硫の条件下で完了することができる。ゴムの加硫に必要とされる適正量、硬化剤のタイプ及び混合時間の程度は、当業者により認識できる。必要であればゴム単体は、様々な量の硬化剤を使用して加硫され、完全な硬化を達成する加硫に最適な硬化系と適切な硬化条件が特定される。
【0087】
本発明の動的加硫の加工を行う前の混合で全ての成分がそろっていることが好ましいが、これは、必要条件とはされない。例えば、1つの実施形態で、加硫されるエラストマーは、エンジニアリング樹脂の一部又は全ての存在下で動的に加硫されることができる。この配合体は、その後に追加的なエンジニアリング樹脂に加えることができる。同様に、動的加硫の前に全ての充填剤及び油を加える必要はない。添加剤、充填剤及び油の一部又は全部は、加硫中又は加硫の完了後に加えることができる。安定剤等の所定の成分や加工補助剤は、硬化後に添加された場合に、より効果的に機能する。
【0088】
本明細書に使用され、本発明に係る動的加硫ゴム成分に関わる用語「完全に加硫される」とは、加硫されるゴムの成分が、硬化し、従来の手法により加硫された状態のゴムに相当する弾性的特性を示すまでに、ゴムの物理的性質が発展した状態であることを意味する。加硫ゴムの硬化の程度は、ゲル含量又は逆抽出可能成分に関連して記載することができる。或いは、硬化の程度は、架橋密度に関連して表現することができる。
【0089】
抽出可能物質の特定は、硬化状態の適切な評価である。改良された熱可塑性弾性組成物は、配合体の硬化性ゴム成分を、加硫を目的とするゴムを溶解する溶媒を用いて室温で抽出可能な硬化ゴム成分の約4重量パーセント以下しか含まない程度に加硫することにより生成する。また、好ましくは、組成物が抽出可能物質を2重量パーセント未満しか含まない程度に加硫する。一般的に、硬化ゴム成分の抽出可能物質がより低ければ、その特性は、より良くなる。さらには、硬化ゴム層から抽出可能ゴムを本質的に含まない(0.5重量パーセント未満)組成物がより好ましい。パーセントゲル(percent gel)として記載されるゲル含量は、室温で有機溶媒に48時間試料を浸し、乾燥した残渣を秤量、当該組成物の知識に基づき適した補正を行う工程を経る不溶性ポリマー量の特定手段を用いて特定される。従って、補正された初期重量及び最終重量は、初期重量、加硫されるゴム以外の可溶成分の重量、例えば拡張油、可塑剤、有機溶媒等に可溶な組成物の成分及び任意に加えられ:る硬化する必要のないDVAのゴム成分を初期重量から指し引くことで得られる。不溶性の色素、充填剤等は、初期重量及び最終重量の両方から差し引かれる。
【0090】
改良された熱可塑性弾性組成物を特徴付ける硬化の状態の評価として架橋密度を使用するためには、前記時間と温度の条件下、当該配合体中と同様の硬化剤の量を用いて、配合体を加硫し、押し型内の圧力下で静的に硬化された当該配合体と同様のゴムの加硫に相当する程度まで加硫する。それにより、ゴム1ミリリットルに対し、約3×10-5モルより高い、好ましくは、約5×10-5より高い、さらに好ましくはゴム1ミリリッターに対し1×10-4モルより高い有効な架橋密度を得るまで続ける。前記配合体は、次に配合体のゴム成分に基づいてゴム単体に必要とされた量と同様の量の硬化剤を用いて、上記と同様の条件下動的加硫する。それにより得られた架橋密度は、改良された熱可塑物質を得る加硫量の評価として見なすことができる。しかしながら、硬化剤の量が配合体のゴム成分に基づいているということ、また硬化剤の量がゴム単体の上記架橋密度を示す量であるということから、硬化剤は樹脂と反応しない、又は樹脂とゴムの間で全く反応がないと、推定すべきでない。そこには、顕著な反応が生じている可能性があるが、ある程度に限られる。しかしながら、上述の測定された架橋密度が、熱可塑性弾性組成物の架橋密度の有益な近似値を示すという推定は、熱可塑的特性と、使用された樹脂に適した溶媒を用いて、樹脂の高い割合を高温溶媒抽出法により組成物から取り除くことができるという事実に一致する。
【0091】
ゴムの架橋密度は、J. Rubber Chem. and Tech.30、929ページに示されるように、フローリ・レーナー(the Flory-Rehner)方程式を用いた平衡溶媒の膨張により測定する。SheehanとBisioのJ. Rubber Chem. and Tech.39、149の総括論文から、計算で使用されるゴム溶媒ペアのための適切なHuggins溶解能パラメーターが得られる。加硫ゴムの抽出ゴム成分が低い場合、項目vをゲル比(パーセント ゲル/100)で乗じるBuecheの補正を用いることが必要となる。架橋密度は、樹脂の非存在下で測定される有効なネットワークチェイン(network chain)密度vの半数である。従って、加硫配合体の架橋密度が、上述された方法で配合体中と同様のゴムの測定値を表すことが今後理解される。さらにより好ましい組成物が、上述した硬化の状態の測定、すなわち架橋密度の評価による測定と、抽出可能ゴムの割合との両方を満たすものである。
【0092】
本発明に係る好ましい組成物は、熱可塑性エンジニアリング樹脂としてのナイロンと、イソブチレン、イソプレン、及びパラメチルスチレンの臭素化ターポリマーと、を含む。
【0093】
一定の国の法律上の要件を充たすために述べると、本発明に係る実施形態はさらに下記のものが含まれる:
1.熱可塑性組成物であって、
ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレンアクリルニトリル樹脂、スチレン‐無水マレイン酸樹脂、ポリイミド、芳香族ポリケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される熱可塑性エンジニアリング樹脂と、
炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン、スチレンモノマー、マルチオレフィン由来のモノマー単位を含む、前記熱可塑性エンジニアリング樹脂内に少なくとも一部が分散されたハロゲン化ターポリマーと
を含む熱可塑性組成物。
2.熱可塑性エンジニアリング樹脂は、ポリアミドである請求項1に記載の組成物。
3.ポリアミドが、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン11、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
4.ポリアミドが、ポリアミド6/66コポリマーである、請求項2又は請求項3の組成物。
5.イソモノオレフィンが、イソブチレン、イソブテン、2‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、又はそれらの混合物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
6.イソモノオレフィンが、イソブチレンである、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
7.スチレンモノマーが、スチレン、アルファメチルスチレン、又はアルキルが炭素原子数1個から5個のアルキルのいずれか又は分枝鎖アルキルから選択されるアルキルスチレンである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
8.スチレンモノマー単位が、パラアルキルスチレンである、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
9.パラアルキルスチレンが、パラメチルスチレンである、請求項8に記載の組成物。
10.マルチオレフィンが、炭素原子数4個から14個のジエンである、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
11.マルチオレフィンが、イソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ピペリレン、ジビニルベンゼン及びそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
12.ターポリマーが、臭素、塩素、又はそれらの混合物によりハロゲン化される、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
13.イソモノオレフィンが、イソブチレン、マルチオレフィンが、イソプレン、及びスチレンモノマーが、パラメチルスチレンである、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
14.ハロゲンが、パラメチルスチレンと化学的に結合する、請求項13に記載の組成物。
15.充填剤、ゴム配合添加剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。
16.ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分を含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の組成物。
17.組成物が、加硫組成物である、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
18.組成物が、非加硫組成物である、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
19.請求項17に記載の熱可塑性組成物の生成方法であって、
熱可塑性エンジニアリング樹脂と、
ハロゲン化ターポリマーと、
ハロゲン化ターポリマー用の加硫剤と
を配合し、
加硫条件で、加硫熱可塑性組成物が生成される間、十分に配合物を混練及びせん断すること
を含む前記方法。
20.充填剤、ゴム配合添加剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む、請求項19に記載の方法。
21.ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【0094】
透過性試験
下記の各実施例では、以下の方法を用いて形成された組成物の透過性を分析した。所定の実施形態では、Brabender(登録商標)ミキサーで5分間、60rpm及び220℃の温度でポリマー配合体を調製した。ナイロンを、最初に添加し、その1分後にエラストマーを添加した。結果として得られた配合体を220℃で圧縮成形した。徐冷しながら試料を圧縮成形し、欠陥のないパッドを得た。圧縮成形パッドの典型的な厚みは、アーバ・プレス(Arbor press)を用いておよそ0.3から0.4mmであり、その後、2″直径ディスク体を、成形パッドから打ち抜き、透過性試験に用いた。測定の前に、これらのディスク体を真空オーブン内で60℃に一晩、調製した。R.A.Pasternakらによる8Journal of Polymer Science:パートA‐2 467(1970)の原則の下、60℃でMocon(登録商標) OX‐TRAN 2/61透過性テスターを用いて酸素透過試験を行った。その結果調製されたディスク体をテンプレートに乗せ、真空グリースでシールした。10psi窒素をディクス体の片側に保ち、もう一方の側は10psi酸素を保った。窒素側に酸素感知器を用い、時間毎に窒素側の酸素濃度の増加をモニターした。酸素がディスク体の透過に要した時間又は窒素側の酸素濃度が一定値に達するまで要した時間を記録し、酸素透過率の特定に用いた。60℃でのMocon(登録商標) WX‐TRAN 2/61の酸素透過率として透過率を測定した。
【0095】
実施例
比較例1は、ナイロン6/66(Ube 5033B、約25パーセントのナイロン66と約65MPaの引張り強度を有するナイロン6/66コポリマー)と、イソブチレン及びパラメチルスチレンのコポリマー(XP50、10重量パーセント以下のパラメチルスチレン、臭素化されていない)との配合体である。比較例2は、ナイロン6/66(Ube 5033B)と、イソブチレン及びパラメチルスチレンの臭素化コポリマー(EXXPRO(登録商標) 89‐4、0.75モルパーセント以下の臭素、5重量パーセント以下のパラメチルスチレン)との配合体である。
【0096】
実験室でイソブチレン、イソプレン、及びパラメチルスチレンのターポリマーを合成し、続いてフォトラジカルを用いて臭素化した。12重量パーセントモノマー(88重量パーセントのイソブチレン、2重量パーセントのイソプレン、及び10重量パーセントパラメチルスチレン)と、エチルアルミニウムジクロライドの0.2重量パーセントと、エチルアルミニウムジクロライド対塩酸触媒の比が3:1で有する塩酸触媒溶液とを含む塩化メチル溶媒内において、重合を-90℃で行った。メタノールを用いて結果として得られたポリマーを沈殿させ、それを回収後乾燥し、さらにシクロヘキサン内に再溶解させ、フリーラジカル臭素化によりポリマーを臭素化させた。結果として得られたポリマーは、およそ57,000の数量平均分子量、およそ252,000の重量平均分子量、及び4.4の分子量分布を有する。陽子NMR組成分析では、前記ターポリマーは、0.48モルパーセントのイソプレン、4.56モルパーセントのパラメチルスチレン、及び0.3モルパーセント臭素化パラメチルスチレンと0.2モルパーセント臭素化イソプレンの間に分布する0.5モルパーセントの最終臭素成分を有することが示された。合成されたハロゲン化ターポリマーをナイロン6/66(Ube 5033B)と配合し、下の表1で比較例1及び比較例2と比較した。
【0097】
各々の成分をBrabender(登録商標)ミキサーで220℃、60rpm、5分間混合して、表1の各ポリマー配合体を調製した。配合されたポリマー組成物は、結果的に表1にあるような形状及び特性を示した。
【表1】

【0098】
本発明に係る組成物の実施形態は、例えば、自動車のインナーライナーの製造に使用される等、空気バリヤーとして有用である。特に、ナノ複合体は、例えば、トラック用タイヤ、バス用タイヤ、乗用自動車、モトサイクル用タイヤ、及びその同類等の製品のインナーライナー及びインナーチューブに有用である。
【0099】
本発明が、特定の実施形態を引用して記述及び説明される一方で、本明細書では説明されていない様々な異なるバリエーションに本発明を役立てることは、当業者に認識されるだろう。そして、これらの理由から、添付の請求項のみに限定して本発明の真の範囲の特定を目的とした引用がなされるべきである。
【0100】
組み込みが許可されている全権限に対して、全ての優先文書は引用により本明細書に完全に組み込まれている。さらに、試験工程を含む本明細書で引用する全文献は、組み込みが許可されている全権限に対して、本明細書に完全に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物であって、
ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレンアクリルニトリル樹脂、スチレン‐無水マレイン酸樹脂、ポリイミド、芳香族ポリケトン、又はそれらの混合物からなる群より選択される熱可塑性エンジニアリング樹脂と、
炭素原子数4個から7個のイソモノオレフィン、スチレンモノマー、マルチオレフィン由来のモノマー単位を含む、前記熱可塑性エンジニアリング樹脂内に少なくとも一部が分散されたハロゲン化ターポリマーと
を含む熱可塑性組成物。
【請求項2】
熱可塑性エンジニアリング樹脂は、ポリアミドである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリアミドが、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン11、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリアミドが、ポリアミド6/66コポリマーである、請求項2又は請求項3の組成物。
【請求項5】
イソモノオレフィンが、イソブチレン、イソブテン、2‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、又はそれらの混合物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
イソモノオレフィンが、イソブチレンである、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
スチレンモノマーが、スチレン、アルファメチルスチレン、又はアルキルが炭素原子数1個から5個のアルキルのいずれか又は分枝鎖アルキルから選択されるアルキルスチレンである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
スチレンモノマー単位が、パラアルキルスチレンである、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
パラアルキルスチレンが、パラメチルスチレンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
マルチオレフィンが、炭素原子数4個から14個のジエンである、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
マルチオレフィンが、イソプレン、ブタジエン、2、3‐ジメチル‐1、3‐ブタジエン、ミルセン、6、6‐ジメチル‐フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ピペリレン、ジビニルベンゼン及びそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ターポリマーが、臭素、塩素、又はそれらの混合物によりハロゲン化される、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
イソモノオレフィンが、イソブチレン、マルチオレフィンが、イソプレン、及びスチレンモノマーが、パラメチルスチレンである、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
ハロゲンが、パラメチルスチレンと化学的に結合する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
充填剤、ゴム配合添加剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分を含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、加硫組成物である、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、非加硫組成物である、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項17に記載の熱可塑性組成物の生成方法であって、
熱可塑性エンジニアリング樹脂と、
ハロゲン化ターポリマーと、
ハロゲン化ターポリマー用の加硫剤と
を配合し、
加硫条件で、加硫熱可塑性組成物が生成される間、十分に配合物を混練及びせん断すること
を含む前記方法。
【請求項20】
充填剤、ゴム配合添加剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ゴム加工油、可塑剤、及びそれらの混合物から成る群より選択される成分の配合を含む、請求項19又は請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2009−515025(P2009−515025A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540023(P2008−540023)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/036391
【国際公開番号】WO2007/055802
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】