説明

熱可塑性ポリウレタンコポリマー成形用組成物

成形品、特に自動車用途向けシェルを製造するための組成物は、脂肪族熱可塑性ウレタンエラストマーおよび1種以上のポリオレフィン系改質剤の溶融ブレンドから調製される。該組成物をブレンドして、後に注型して自動車における展開および耐候性の要求を満足し得るエアバッグドアおよび計器パネルのカバースキンを製造することができる、粉末、ペレット、微小球またはミニビーズを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)熱可塑性ポリウレタンと(b)少なくとも1種のコポリマーおよび/またはアロイとのブレンドである組成物に関する。該ブレンドは成形に適しており、特に、改善された感触を有するシェルを製造するためのスラッシ成形に適している。該シェルは、良好な耐候性およびエアバッグ展開特性も保持する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマーの製造において、複金属シアン化物触媒を用いて調製された不飽和度の低いポリオールを連鎖延長剤と組み合わせて使用することが知られている。そのようなポリオールを用いて製造された組成物は、例えばUS5,096,993およびUS5,185,420に開示されている。
【0003】
高分子量ポリオールの製造に複金属シアン化物触媒を使用する以前、ポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造された熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、その製造において使用されたポリオールにおける末端不飽和度の高さ故に、硬すぎるといったような良くない物理的性質を有していた。US5,096,993およびUS5,185,420に開示されている熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、0.04meq/g未満の末端基不飽和を有するポリオールを用いて製造された熱可塑性エラストマーである。これらの熱可塑性エラストマーは、改善された軟らかさを有すると教示されている。
【0004】
熱可塑性エラストマーは、軟らかさの故に、自動車用内装トリム部品の構成にしばしば使用される。自動車メーカーはしばしば、内装トリム部品を製造するために使用されるエラストマーは十分長期間の安定性および耐紫外線劣化性を有さなければならないこと、並びに特に計器パネルの場合、該エラストマーは紫外線暴露への耐性についての特定製造仕様も満足しなければならないことを規定している。
【0005】
紫外線暴露への耐性についての製造仕様を実現するため、酸化防止剤、紫外線安定剤および顔料をエラストマーに添加してよい。
【0006】
また、2,000を超える分子量を有する既に入手可能なポリオールの末端基不飽和の存在の故に、軟質(低デュロメーター)脂肪族熱可塑性ウレタンエラストマーは、乾式注型適性の粉末形状または粒子形状では入手できなかった。
【0007】
US5,824,738およびUS6,187,859は、1種以上の紫外線安定剤で安定化された末端基不飽和度の低い低分子量ポリオール、酸化防止剤および顔料を含んでなる、脂肪族ウレタンエラストマー組成物を開示している。そのようなエラストマーの性能は優れているが、脂肪族イソシアネートの使用が原因で比較的コスト高である該エラストマーは、商業的魅力に限界がある。
【0008】
これら脂肪族ウレタンエラストマー組成物のコストを下げる1つの方法は、脂肪族熱可塑性ポリウレタンにより安価なポリマー材料をブレンドすることである。しかしながら、そのようなブレンドは、製造条件下で分離する傾向がある。そのような分離は、最終生成物の物理的性質に悪影響を及ぼす。
【0009】
US4,883,837は、ポリオレフィンと熱可塑性ポリウレタンとの相溶性ブレンドの製造方法の1つを開示している。US4,883,837に開示されているブレンドでは、変性ポリオレフィンもブレンド組成物中に含有される。US4,883,837に教示されているブレンドは、15〜60重量%のポリオレフィン、30〜70重量%の熱可塑性ポリオレフィンおよび10〜35重量%の変性ポリオレフィンから製造される。変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタンのための相溶化剤として作用する。
【0010】
US5,109,050は、80〜99重量部の熱可塑性ポリウレタン樹脂および1〜20重量部の変性ポリオレフィン樹脂からなる組成物を開示している。既知の熱可塑性ポリウレタン樹脂のいずれも、US5,109,050の組成物に使用してよい。既知の変性ポリオレフィン樹脂のいずれも、US5,109,050の組成物に使用してよい。US5,109,050に記載されている組成物は、軟質であり、感触が滑らかであり、かつ収縮性を有すると教示されている。前記したこれらの特性の故に、該組成物はおむつの製造に特に有利である。
【0011】
US5,852,118は、化学変性ポリオレフィンと熱可塑性ポリウレタン、コポリエステルまたはコポリアミドおよびカップリング剤とのブロックコポリマーを開示している。カップリング剤は、ブロックトまたは未ブロックトポリイソシアネート含有ジイソシアネートである。このジイソシアネートカップリング剤は、第一級アミン、第二級アミン、ジオール、ジエポキシド、アミノ/ヒドロキシ化合物およびアミノ/エポキシ化合物から選択されるコカップリング剤と組み合わせて使用され得る。これらのブロックコポリマーは、極性および非極性熱可塑性エラストマーの相溶化ブレンドとして、および熱可塑性エラストマーの各種極性エンジニアリングレジンへの接着促進のために有用である。
【0012】
US5,605,961は、(1)アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、およびアイソタクチックポリプロピレンと熱可塑性ポリウレタンとのブレンドから選択されるポリオレフィン、並びに(2)熱可塑性ポリウレタン1〜99%および変性ポリオレフィンとポリアミド樹脂との反応生成物1〜99%の混合物を含んでなる均一な熱可塑性組成物を開示している。
【0013】
US5,623,019は、熱可塑性ポリウレタン30〜90%、少なくとも10,000の数平均分子量を有するポリオレフィン10〜70%、および相溶化剤から調製された相溶化熱可塑性成形用組成物を開示している。相溶化剤は、25,000〜350,000の数平均分子量を有し、モノアルキレンアレンのブロックと水素化共役ジエンまたは非水素化共役ジエンのブロックとを含有する、コポリマーである。
【0014】
US6,054,533は、相溶化剤が熱可塑性ポリウレタンである、熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィンの相溶化ブレンドを開示している。この熱可塑性ポリウレタン相溶化剤は、実質的に炭化水素である中間体、ジイソシアネート、およびアミン連鎖延長剤またはジオール連鎖延長剤の反応生成物である。熱可塑性ポリウレタン相溶化剤は、熱可塑性エラストマーとポリオレフィンとの総量100重量部あたり0.25〜15重量部の量で含有される。
【0015】
US6,174,959は、脂肪族熱可塑性ポリウレタン50〜99%と、エチレンおよびプロピレンから誘導された単位からなるコポリマー1〜50%との相溶性ブレンドであって、該コポリマーの25〜35重量%がプロピレン単位から誘導されている相溶性ブレンドを開示している。US6,174,959に必要とされる熱可塑性ポリウレタンを調製するために使用されるポリエーテルポリオールは、6個以下の官能基および400〜20,000の分子量を有し得る。この開示には、該ブレンドに使用される熱可塑性ポリウレタンを調製するために使用されるポリエーテルポリオールの不飽和度に関する教示は存在しない。
【0016】
US6,235,830は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、可塑剤およびラジカル重合性不飽和基含有化合物からなるスラッシ成形用ポリウレタン樹脂を開示している。可塑剤は、ポリウレタンエラストマー100重量部あたり5〜50重量部の量で含有される。ラジカル重合性不飽和基含有化合物は、ポリウレタンエラストマー100重量部あたり0.1〜10重量部の量で含有される。
【0017】
US6,365,674は、ポリオレフィンとの相溶性ブレンドを生成する熱可塑性ポリウレタン樹脂を開示している。同特許に記載されている相溶性は、少なくとも1個のヒドロキシル、アミンまたはカルボン酸官能基を含有する反応性ポリオレフィンを含んでなる反応性混合物からの熱可塑性ポリウレタンの製造方法に起因することが教示されている。
【0018】
US6,414,081は、非極性熱可塑性エラストマーと、熱可塑性ポリウレタンのような極性熱可塑性ポリマーとの相溶化ブレンドであって、ブレンド100重量部に基づいて1〜40重量部が相溶化剤である相溶化ブレンドを開示している。適当な相溶化剤は以下を包含する:(1)10〜90重量%の官能化ポリマーと10〜90重量%のポリアミドとの縮合反応生成物、(2)10〜90重量%の官能化ポリマーと10〜90重量%のポリアミドとのブレンド、または(3)(1)と(2)との混合物。
【0019】
US6,469,099およびEP1,235,879B1は各々、熱可塑性ポリウレタンと、特定の構造に相当するペンダントイソシアネート反応性基またはポリオキシアルキレン基を含有するスクシンイミド系相溶化剤とを含んでなる相溶化樹脂ブレンドを開示している。相溶化剤は、生成樹脂が使用される特定の用途に応じて0.5〜20重量%の範囲の量で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】US5,096,993
【特許文献2】US5,185,420
【特許文献3】US5,824,738
【特許文献4】US6,187,859
【特許文献5】US4,883,837
【特許文献6】US5,109,050
【特許文献7】US5,852,118
【特許文献8】US5,605,961
【特許文献9】US5,623,019
【特許文献10】US6,054,533
【特許文献11】US6,174,959
【特許文献12】US6,235,830
【特許文献13】US6,365,674
【特許文献14】US6,414,081
【特許文献15】US6,469,099
【特許文献16】EP1,235,879B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、市販脂肪族ウレタンエラストマーより経済的であるが、成形、好ましくはスラッシ成形することができる、2800psi未満の引張強さを有する熱可塑性ポリウレタン組成物を提供すること、および現在入手可能な脂肪族ウレタンエラストマーと同程度の特性を有するエラストマーを製造することである。
【0022】
また、本発明の目的は、追加の相溶化剤を必要としない、熱可塑性ポリウレタンと少なくとも1種のコポリマーおよび/またはアロイとの相溶性ブレンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
当業者にとって明らかであるこれらおよび他の目的は、(1)−CH−反復構造を特徴とするポリオレフィン系改質剤と(2)0.04meq/g以下の不飽和度を有する高分子量ポリエーテルポリオール(分子量=1000〜10,000Da)から調製された脂肪族熱可塑性ポリウレタン組成物との相溶性ブレンドによって達成される。この相溶性ブレンドの重要な特徴は、外部相溶化剤をブレンドに添加しないことである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は成形用組成物、好ましくはスラッシ成形用組成物を提供する。成形用組成物は、成形用組成物の総重量に基づいて5〜95重量%、好ましくは45〜90重量%の光安定性ポリエーテルポリオールベース脂肪族熱可塑性ウレタン(TPU)エラストマーと、成形用組成物の総重量に基づいて5〜95重量%、好ましくは5〜45重量%の、−CH−反復構造を特徴とするブロックコポリマーおよび/またはエラストマーアロイである改質剤との相溶性ブレンドを含んでなる。好ましい改質剤は、熱可塑性加硫物、並びにスチレンおよびエチレンおよび/またはブチレンに基づくブロックコポリマーである。特に好ましい組成物は、10重量%まで、好ましくは5重量%まで、最も好ましくは2重量%までのイオノマーを更に含有する。
【0025】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、(a)比較的不飽和度の低い低分子量ポリオール、(b)1種以上の連鎖延長剤、(c)脂肪族ジイソシアネート、(d)ウレタン触媒、並びに任意に、(e)紫外線安定剤、(f)酸化防止剤および/または(g)顔料の反応生成物であり得る。
【0026】
オレフィン含有ブロックコポリマーおよび/または熱可塑性アロイを用いて調製された本発明の熱可塑性ポリウレタンブレンドは、耐寒性(約−30℃までの延性)および耐候性(1993kJ/m後DE<3.0)を保持できることを特徴とする。約−90℃のTg値を有するオレフィン含有ブロックコポリマーおよび/またはアロイは、本発明の実施に際しての使用に特に好ましい。本発明において改質剤として使用されるオレフィン含有ブロックコポリマーおよび/またはアロイは、置換アルキレン官能基を有する−CH−型反復単位構造を含有するコポリマー、およびそのようなコポリマーのブレンドを包含する。本発明で使用されるポリアルキレンブロックコポリマーおよび/またはアロイ改質剤の数平均分子量は、一般に約100,000以下であり、その中の値および範囲の全てが含まれる。特に好ましいオレフィン含有ブロックコポリマーは、そのレオロジーも更に特徴とし得る。例えば、これらの好ましいポリオレフィン系改質剤は、剪断速度250s−1における剪断粘度約900(MPa)が、剪断速度約2100s−1では剪断粘度約150(MPa)に低下するような改質剤であり得る。
【0027】
本発明の別の態様では、オレフィン含有エラストマーアロイは、熱可塑性材料の連続マトリックス全体に分散したエチレン/プロピレン/ジエンの加硫ターポリマーのような、熱可塑性加硫物(TPV)を包含し得る。本明細書で使用している「加硫物」または「加硫された」とは、分散ターポリマーがある程度の架橋を有するが、アロイが溶融ブレンド能および/または溶融加工能をなおも有することを意味する。
【0028】
本発明の組成物における改質剤としての使用に適当である他のコポリマーは、直鎖トリブロックコポリマーを包含する、スチレンおよびエチレン/ブチレンに基づくブロックコポリマーを包含する。これらは、水素化スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(S−EB−S)または水素化スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(S−EP−S)であり得る。或いはそれらは、中間ブロック内に共重合されたスチレンを含有し得(S−(EB/S)−S)、またはそれらは、非水素化スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンコポリマー(S−I/B−S)において見られるように、中間ブロック内が共重合されたスチレンで飽和されていなくてもよい。
【0029】
本発明において改質剤として使用されるエラストマーアロイは、置換アルキレン官能基およびある程度の架橋を有する−CH−型反復単位構造を含有するエラストマーを包含する。そのようなアロイのブレンドを使用できる。本発明で使用されるエラストマーアロイ改質剤の数平均分子量は、一般に約100,000以下であり、その中の値および範囲の全てが含まれる。特に好ましいエラストマーアロイは、そのレオロジーも更に特徴とし得る。例えば、これらの好ましいエラストマーアロイ改質剤は、剪断速度250s−1における剪断粘度約900(MPa)が、剪断速度約2100s−1では剪断粘度約150(MPa)に低下するような改質剤であり得る。
【0030】
オレフィン含有ブロックコポリマーおよび/またはエラストマーアロイの一部を、メタクリル酸の一部が亜鉛またはナトリウムのような金属イオンで中和されているエチレンメタクリル酸コポリマー(DuPontからSurlyn(登録商標)の名称で市販されている)のようなイオノマーで置き換えてもよい。より高濃度のポリオレフィンを使用する場合、そのようなイオノマーは、表面多孔性を減少させ、かつ耐候性を改善する。組成物を溶融混合し、自動車用内装パネル、特に計器パネル用のスキンまたはシェルをスラッシ注型するための、ペレット、粉末、微小球またはミニビーズに成形できる。
【0031】
前述したように、本発明の範囲における熱可塑性ポリウレタンアロイ組成物は、自動車用耐候性要求を満足することができ、例えば1993kJ/mのキセノンアーク人工暴露で3以下のΔE(変色)を有し得る。これら熱可塑性ポリウレタンアロイ組成物から成形された計器パネルスキンは、−30℃および107℃で、かつ107℃×400時間の熱老化後、良好なエアバッグ展開に耐え得ることが見込まれる。
【0032】
展開の際のエアバッグ用カバースキンの分裂を予測するために用いられる測定値の1つは、120℃×500時間の熱老化後の伸びの残率である。本発明の実施例で見られるように、本発明の熱可塑性ポリウレタンアロイ組成物は、該条件下での熱老化後、該組成物が良好なエアバッグ展開に耐え得ることを示す十分な伸び(好ましくは100%以上、最も好ましくは150%以上)を保持する。
【0033】
本発明はまた、オレフィン含有ブロックコポリマーと溶融ブレンドされたポリエーテルポリオールベース脂肪族ウレタン熱可塑性エラストマーから光安定性自動車用組成物を調製する方法、およびそのような組成物からスラッシ注型適性の粉末、ペレット、微小球またはミニビーズを製造する方法も提供する。該組成物はまた、二層注型スキンの外層としても使用され得る。
【0034】
加えて本発明は、特に自動車用トリムパネル、とりわけエアバッグドアおよび計器パネル用途のための、スキン、カバーまたはシェルを提供する。それらは、本発明の光安定性ポリエーテルポリオールベース脂肪族熱可塑性ウレタンエラストマーとオレフィン含有ブロックコポリマーとの溶融ブレンド組成物から製造される。
【0035】
本発明のアロイ組成物への使用に適した脂肪族熱可塑性ウレタン(TPU)エラストマーは、当業者に知られている。適当なTPUエラストマーの例は、US5,824,738およびUS6,187,859に開示されている。適当な脂肪族ウレタンエラストマー組成物は、末端基不飽和度が低い低分子量ポリオールから調製され得る。該ポリオールを、脂肪族ジイソシアネートと反応させ、1種以上の紫外線安定剤、酸化防止剤および顔料で安定化させる。
【0036】
本発明の範囲の組成物が、1種以上のオレフィン含有ブロックコポリマーと1種以上の脂肪族熱可塑性エラストマーとを、オレフィン含有ブロックコポリマーの量が脂肪族TPUの量以下となる重量比で溶融ブレンドすることにより調製できることが見出された。そのような比で調製されたアロイ組成物が、自動車用エアーバッグカバーの耐候性および展開の要求を満足できることが見出された。
【0037】
本発明の別の態様では、オレフィン含有ブロックコポリマーの約5〜10%をイオノマーに置き換えることにより、特により多量の改質剤が存在する場合、耐候性が向上し、表面多孔性が減少することが見出された。
【0038】
本発明のアロイ組成物は、二軸スクリュー押出機を用い、脂肪族TPUエラストマーと(イオノマー含有または無含有)オレフィン含有ブロックコポリマーとを溶融ブレンドすることにより調製できる。次いで、ペレットを成形し、極低温粉砕してスラッシ注型適性粉末を製造できる。US5,525,274、US5,525,284、US5,564,102、US5,998,030、US6,410,141およびUS6,632,525の教示に従って、押出機の吐出物を、ミニビーズまたは微小球に成形することもできる。
【0039】
本発明で使用されるTPUは、不飽和度が低い(即ち、不飽和度が0.04meq/g未満、好ましくは0.02meq/g未満である)1種以上のポリエーテルポリオール、1種以上の連鎖延長剤、および脂肪族有機ジイソシアネートの反応生成物であり得る。
【0040】
本明細書で使用する場合、脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(即ちHMDI)のような、炭化水素官能基しか含有しないジイソシアネートである。従って、ジイソシアネートの脂肪族官能基の総濃度は75重量%を超えてよく、75〜100重量%の範囲に含まれる。
【0041】
全(100重量%)脂肪族ポリウレタンは、1種以上の脂肪族ジイソシアネート、1種以上の脂肪族ポリオール(例えば脂肪族ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステル)および1種以上の脂肪族連鎖延長剤から調製されたポリウレタンである。そのように調製される脂肪族ポリウレタンは、ウレタン触媒の存在下でも調製され得る。
【0042】
本発明のTPUアロイ組成物におけるTPUの重量パーセントは、(TPUとポリオレフィン改質剤との総重量に基づいて)5〜95重量%であり得、ポリオレフィン改質剤の重量パーセントは、(TPUとオレフィンとの総重量に基づいて)5〜95重量%であり得、その中の値および範囲の全てが含まれる。本発明の好ましい態様では、TPUは、(TPUとオレフィン改質剤との総重量に基づいて)50重量%の量で存在し得、ポリオレフィン改質剤も、(TPUとオレフィン改質剤との総重量に基づいて)約50重量%の量で存在し得る。本発明の特に好ましい態様では、45〜90重量%のTPUおよび5〜45重量%のオレフィン改質剤が存在する。
【0043】
本明細書で使用する場合、ターポリマーは、ブロック配置、ランダム配置または交互配置でも存在し得る、3つの異なった反復単位を有するポリマーである。これらの反復単位は、付加的な炭化水素官能基で置換されていてもよいポリアルキレン型反復単位(例えば−CH−)であり得る。
【0044】
本発明の別の態様では、オレフィン含有ブロックコポリマーは、ポリプロピレンまたはポリエチレンに分散したエチレン/プロピレン/ジエンの加硫ターポリマーであり得、例えば、Advanced Elastomer SystemsからSantopreneTM 8211-55B100の商標で市販されている。これらの加硫ターポリマーは一般に、約1.04の比重、約590psiの破断点引張強さ(ASTM D412)、約600%の破断点伸び(ASTM D412)、および約55%の圧縮永久歪(125℃(257°F)、70.0時間)(ASTM D395)を有する。
【0045】
適当な熱可塑性加硫物は、比較的低い架橋度および/または100〜1000%の破断点伸びを有するものであり、その中の値および範囲の全てが含まれる。
【0046】
本発明の別の態様では、光安定性TPUとブレンドするためのブロックコポリマーは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)の水素化中間ブロックを有するスチレンブロックコポリマーであり得る。そのようなスチレンブロックコポリマーは、Kraton Polymers GroupからKraton Gの名称で市販されているものを包含する。スチレンおよびエチレン/ブチレンに基づく直鎖トリブロックコポリマーからなるオレフィン含有ブロックコポリマー、例えばKraton Polymers GroupからMD 6945MおよびG1643Mの名称で市販されているものもまた、本発明の組成物のための適当な改質剤である。
【0047】
SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)およびSIS(スチレン−イソプレン−スチレン)のブロックコポリマーもまた、本発明のアロイ組成物の製造に使用され得る。
【0048】
本発明の実施に際して使用されるオレフィン含有ブロックコポリマーは、1種以上の熱可塑性エラストマー(TPE)でもあり得、例えば、Teknor ApexからTekron(登録商標)の名称で市販されている。
【0049】
熱可塑性加硫物(TPV)、例えば、Teknor Apex CompanyからUniprene(登録商標)の商標で入手可能なもの、Telecar(登録商標)(熱可塑性ゴム(TPR))、Monprene(登録商標)(TPO/飽和スチレンブロックコポリマー)、およびElexar(登録商標)SEBSもまた、本発明における使用に適している。
【0050】
オレフィン含有ブロックコポリマー、例えば、Teknor ApexからTK-1448AおよびTK-1468Dの名称で入手可能であるブロックコポリマー熱可塑性エラストマーからなるものもまた、本発明における使用に適している。
【0051】
Dow PlasticsからEngageTM 8400 Polyolefin Elastomerの名称で市販されている、エチレン−オクテンコポリマーであるオレフィン含有ブロックコポリマーもまた、本発明における使用に適している。
【0052】
本発明のTPU/オレフィン含有コポリマー組成物は、充填剤、顔料、或いは加工性および/または製品特性を改善する役割を果たし得る他の添加剤を含有してもよい。そのような添加剤は、合計で約15重量%までとなり得る濃度で存在できる。
【0053】
ある種のコポリマーの割合を多くするため、例えばオレフィン系改質剤を約30%超の量で使用する場合、ある例では、Surlyn(登録商標)9970またはSurlyn(登録商標)9975のようなイオノマーの添加によりTPUアロイの耐候性が向上し得、表面多孔性が減少し得ることが見出された。Surlyn(登録商標)9970は、メタクリル酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されている改良型エチレン/メタクリル酸コポリマーであり、DuPontから市販されている。
【0054】
TPU/(イオノマー含有または無含有)オレフィン含有ブロックコポリマーの溶融ブレンドは、発色源としてカラーコンセントレートを含有してもよい。適当なカラーコンセントレートは、当業者に知られている。適当なカラーコンセントレートの例の1つは、Clariant CorporationからClariant 374A Pebbleの名称で市販されているものである。この製品は、約30重量%の顔料、約5〜10%の酸化防止剤(例えばCiba-Geigy社製Tinuvin 213)、および約60〜65%の本発明の組成物への使用に適した脂肪族TPUを含み得る。カラーコンセントレートは、TPUアロイの約5〜約10重量%の量で存在し得る。
【0055】
本発明のスラッシ注型適性エラストマーを調製するために溶融ブレンドされ得る典型的な組成物は、以下を含む:
a)溶融ブレンドの総重量に基づいて45〜90重量%の(0.04meq/g未満の不飽和度を有するポリオールを用いて調製された)脂肪族TPU;
b)溶融ブレンドの総重量に基づいて5〜45重量%のオレフィン含有ブロックコポリマー改質剤;
c)溶融ブレンドの総重量に基づいて30重量%までのイオノマー(好ましくはSurlyn(登録商標)9970または9975イオノマー);
d)オレフィン含有ブロックコポリマー改質剤の一部に代えて、溶融ブレンドの総重量に基づいて0〜10重量%のカラーコンセントレート(好ましくはClariant 374Aカラーコンセントレート)。
【0056】
上記成分からなる溶融ブレンドから調製されたスラッシ注型適性エラストマーは一般に、約38(g/10分、160℃/10kg)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。本発明の相溶性ブレンドは一般に20〜150のMFIを有し、その中の値および範囲の全てが含まれる。
【0057】
本発明の相溶性ブレンドの製造に使用される熱可塑性ポリウレタンは、「ワンショット」反応法により調製され得る。「ワンショット」法は、適当な容器内で、ポリオール、連鎖延長剤、有機ジイソシアネート、任意の紫外線安定剤、任意の酸化防止剤、任意の顔料またはカラーコンセントレート、およびウレタン触媒を混合し、次いで該混合物を約20〜30秒間撹拌することを含む。これらの熱可塑性ポリウレタンは、ポリオールの一部、任意の酸化防止剤、触媒および任意の紫外線安定剤/熱安定剤を予めブレンドすることにより調製してもよい。ポリオールブレンドをウレタン注型機の撹拌加熱槽に導入でき、イソシアネートを別の撹拌加熱槽に導入し、連鎖延長剤/架橋剤を第三の槽に導入し、追加のポリオールと一緒に顔料マスターバッチをミキシングヘッドで添加する。所望の測定精度を有し、適当な流量制御デバイスを備えたギヤーポンプまたはその他のポンプを用いて、成分を個々に、ブレンドするための低圧ミキシングヘッドに計量供給する。この混合物は、反応を完了するために温度および速度を制御したベルト上に流延できる。チャンバーの異なった領域で異なった温度を維持することができる。
【0058】
ウレタン注型機のミキシングヘッドからの混合物を、二軸スクリュー押出機のための供給材料として使用することもできる。該液体を搬送して重合を継続させ、エラストマーを溶融およびブレンドするため、様々なスクリュー部を備えることができる。最終未着色エラストマーを、ストランドダイに供給し、ペレット化することができる。押出機吐出物を使用して、乾式注型するのに好ましい寸法を有するビーズを製造することもできる。
【0059】
押出操作を用いて、エラストマーを着色するための乾燥顔料を溶融ブレンドすることもできる。乾燥混合顔料は、透明な溶融混合物に適正量を計量供給するサイドフィーダーを用いて押出機に計量供給され得る。サイドフィーダーからの供給量は、押出機の吐出量に合わせる。
【0060】
ブレンド操作、重合操作、溶融操作および着色操作を実施する二軸スクリュー押出機のスロートに、成分を直接供給してもよい。
【0061】
本発明の組成物の製造に使用される、改善された光安定性を有するポリエーテル/ポリオールベース脂肪族ウレタン熱可塑性エラストマーの調製では、ポリエーテル/ポリオール、ジイソシアネート、連鎖延長剤、および他の成分を、典型的には高温条件下で反応させる。好ましい熱可塑性エラストマーを調製する好適な方法は、押出機を用いた連続法による。代替法は、「ワンショット」回分法において、ポリオール、連鎖延長剤、有機ジイソシアネート、紫外線安定剤、酸化防止剤、顔料およびウレタン触媒を容器内で混合して本発明のエラストマーを調製することを含む。
【0062】
次いで、この脂肪族熱可塑性ポリウレタンエラストマーを、当業者に知られている方法により、適当な量で、ポリオレフィン系改質剤と混合する。
【0063】
続いて、脂肪族熱可塑性ポリウレタンとポリオレフィン系改質剤との混合物を適当な容器に入れ、加熱する。その後、スラッシ成形用組成物の顆粒化またはペレット化を容易にしかつ促進させるために液体窒素を用いる方法のような極低温法または非極低温法のいずれかを用いて、混合物を細断または粉砕して粉末にする。
【0064】
粉末または粒子の製造方法の1つは、US5,525,274に記載されている。この方法では、熱可塑性ポリウレタンと他の添加剤、特に顔料との混合物を溶融押出しし、次いで所望の大きさの開口部を有するオリフィスに溶融材料を通して液浴に送ることにより、0.007〜0.040インチの直径を有する球状粒子を製造する。液浴を通過した溶融材料を粉砕して、該溶融材料を微小球の形状にする。これと同じ方法は、本発明のスラッシ成形用組成物を調製する、脂肪族熱可塑性ポリウレタンとポリオレフィン系改質剤との混合物に適している。得られた粉末またはビーズは、注型適性粉末としての使用に適している。即ち、該粉末を成形用具に入れ、加熱して製品を製造できる。脂肪族熱可塑性ポリウレタンエラストマーの指数を変えることにより、非極低温粉砕が可能となる。該指数は、NCO含有成分の反応当量/OHおよびNH含有成分の反応当量の比である。この指数を変更することにより、エラストマーの分子量およびその固有靱性を低下させ、周囲温度でポリマーを粉砕できるようにする。該ポリマーは、0.90〜0.99、好ましくは0.94〜0.98の範囲のNCO/OH当量比で調製され得る。
【0065】
ポリウレタン生成反応体の混合は、周囲温度(約25℃)で実施でき、次いで、得られた混合物を、約40〜約130℃のオーダーの温度に、好ましくは約90〜120℃の温度に加熱する。
【0066】
既知の脂肪族ジイソシアネートのいずれも、本発明の熱可塑性ポリウレタンの調製に使用できるが、特に有用なジイソシアネートは以下を包含する:イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、その異性体およびそれらの混合物、シクロヘキシレンジイソシアネートの異性体および異性体混合物、1−メチル−2,5−シクロヘキシレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、およびそれらの混合物および誘導体。有機ジイソシアネートは、20%〜50%の範囲の量で存在できるが、好ましくは約25%〜40%の範囲の量で存在する。
【0067】
本発明で使用される脂肪族熱可塑性ポリウレタンを調製するための好ましいポリオール反応体は、ポリエーテルポリオールおよびその組み合わせである。適当なポリオールは、少なくとも1つのエーテル構造単位を含み、1000〜10,000Da、好ましくは少なくとも1250Da、最も好ましくは少なくとも2,000Daであるが10,000Da未満、好ましくは8,000Da未満の数平均分子量を有する。ポリオールの官能価は好ましくは2〜4である。適当なポリエーテルポリオールは以下を包含する:ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとのコポリマー。そのようなポリエーテルポリオールを、他の既知のポリオール(例えばポリエステルポリオール)と組み合わせて使用することはもちろん可能であるが、そのような他のタイプのポリオールは50%を超える量で使用すべきではない。好ましくはポリエーテルポリオールは、0.04meq/g未満、好ましくは0.02meq/g未満の末端不飽和度を有するポリオールを生成する有機金属触媒を用いて調製されたタイプのものである。そのようなポリオールの代表的な例は、Acclaim 4220N(Bayer MaterialScience LLCにより販売)である。Acclaim 4220Nポリオールは、約4000の分子量および28のヒドロキシル価を有するエチレンオキシドキャップトポリ(プロピレンオキシド)ポリオールである。ポリオール成分は、約40%〜70%の範囲の量で存在できる。反応中に存在するポリオールの好ましい濃度は、40%〜60%の範囲であり、この範囲内で調節して、調製するエラストマーの硬度を変える。
【0068】
本発明で使用されるウレタン熱可塑性エラストマーの調製に使用され得る連鎖延長剤は、ジオール、および芳香族第二級ジアミン、脂肪族第一級ジアミンまたは脂肪族第二級ジアミンを包含し、これらの全ては、この分野で既知である。
【0069】
好ましいジオール連鎖延長剤は以下を包含する:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、HQEE[ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル]、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)、HBPA(水素化ビスフェノールA)、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール。ジプロピレングリコールを使用することもできる。
【0070】
特に好ましい態様では、連鎖延長剤は1,4−ブタンジオールである。1,4−ブタンジオールのような連鎖延長剤は、6%〜15%、好ましくは7%〜約13%の範囲の様々な濃度で存在できる。
【0071】
紫外線安定剤は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−1−4−ピペリジニル)セバケート(CAS番号:41556-26-7。Ciba-Geigy Corp.(ニューヨーク州ホーソーン在)製Tinuvin 292または765としても知られている。)のようなヒンダードアミン系光安定剤(HALS)と、α−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)およびα−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル)−ω−[3−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロポキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)(CAS番号:104810-47-1)および分子量300のポリエチレングリコール(CAS番号:25322-68-3)のベンゾトリアゾール混合物(Ciba-Geigy Corp.(ニューヨーク州ホーソーン在)製Tinuvin 1130または213としても知られている。)のようなヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールと、他の適当な紫外線安定剤との組み合わせを包含する。紫外線安定剤の組み合わせは、約0.5〜2.0%の範囲、好ましくは2.0%の総濃度で、約1:1〜2:1の範囲、好ましくは2:1の比で存在する。
【0072】
本発明のエラストマー調製工程に、適当な酸化防止剤のいずれかまたは酸化防止剤混合物を使用してよい。代表的な例は以下を包含する:Ciba-Geigy社製Irganox 1010[テトラキス(メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタン;Ciba-Geigy社製Irganox 1076[オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート];Ciba-Geigy社製Irganox 245[エチレンビス(オキシエチレン)ビス−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナメート)];およびVanox 830(フェノール化合物、アルキル化ジフェニルアミンおよびトリアルキルホスファイトからなる特許混合物、R. T. Vanderbilt社製)。酸化防止剤は、約0.10%〜1.0%、好ましくは約0.25%〜0.75%の範囲の総濃度で存在し得る。
【0073】
適当な着色剤のいずれかまたは着色剤混合物を、本発明の組成物を製造するために使用してよい。着色剤は、乾式注型工程および押出混合工程に耐えるため、アリゾナ暴露に対する長期間の耐紫外線性;260℃(500°F)までの耐熱性を有さなければならず、ウレタンエラストマーの分解を促進してはならない。代表的な顔料は以下を包含する:カーボンブラック(Columbian Chemicals Corporation);二酸化チタン(DuPont Company、Chemicals Department);Chomophthal Red BPP(Ciba-Geigy、Pigments Division);Phthalocyanine Blue Red Shade(Ciba-Geigy、Pigments Divisions);Yellow Iron Oxide(Miles Incorporated、Organic Products Division);およびQuinacridone Violet(Hoechst Celanese Corporation、Specialty Products Group-Pigments)。着色剤は、約0.90%〜2.0%、好ましくは約1.0%〜1.94%の範囲の総濃度で存在する。
【0074】
本発明で有用なウレタン触媒は、適当なウレタン触媒のいずれかまたはウレタン触媒混合物であり得、本発明のエラストマー調製工程に使用され得る。代表的な例は以下を包含する:(a)Huntsman Chemical社製ZF−20[ビス2−(N,N−ジメチルアミノ)エーテル]のような第三級アミン;Huntsman Chemical社製N−メチルモルホリン;Huntsman Chemical社製N−エチルモルホリン;Union Carbide社製DMEA[N,N−ジメチルエタノールアミン];Air Products社製Dabco[1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン]など;(b)アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCuのような各種金属との有機酸の塩、例えば以下を包含する;酢酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヘキサン酸カルシウム、酢酸錫およびオクタン酸錫など;(c)四価錫、三価および五価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、並びに鉄およびコバルトの金属カルボニル。有用な有機錫化合物は以下を包含する:カルボン酸のジアルキル錫塩、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジラウリル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテートなど。好ましい触媒は、BiCat 8、BiCat 12、BiCat VおよびCoscat 83である。BiCat材料は、Shepherd Chemicalの製品である。Coscat 83は、CasChem Corporationの製品である。BiCat 8およびBiCat 12は、カルボン酸ビスマスとカルボン酸亜鉛との混合物である。BiCat VおよびCoscat 83は、ネオデカン酸ビスマスである。これらの触媒は、約0.1重量%〜0.3重量%、好ましくは約0.15%〜0.25%の範囲の総濃度で存在する。
【0075】
次いで、この脂肪族熱可塑性ポリウレタンエラストマーを、当業者に知られている方法により、適当な量で、ポリオレフィン系改質剤と混合する。
【0076】
脂肪族熱可塑性ポリウレタンとポリオレフィン系改質剤との混合物を、例えば、適当な容器に入れ、続いて、スラッシ成形用組成物の顆粒化またはペレット化を容易にしかつ促進させるために液体窒素を用いる方法のような極低温法または非極低温法のいずれかを用いて、混合物を細断または粉砕して粉末にすることができる。
【0077】
粉末または粒子の製造方法の1つは、US5,525,274に記載されている。この方法では、熱可塑性ポリウレタンと他の添加剤、特に顔料との混合物を溶融押出しし、次いで所望の大きさの開口部を有するオリフィスに溶融材料を通して液浴に送ることにより、0.007〜0.040インチの直径を有する球状粒子を製造している。液浴を通過した溶融材料を粉砕して、該溶融材料を微小球の形状にする。この方法は、本発明のスラッシ成形用組成物を製造する、脂肪族熱可塑性ポリウレタンとポリオレフィン系改質剤との混合物の製造方法に適している。得られた粉末またはビーズは、注型適性粉末としての使用に適している。該粉末を成形用具に入れ、加熱して製品を製造できる。
【0078】
改善された紫外線安定性および人工暴露に対する耐性を有する自動車用内装トリム部品は、この技術分野でよく知られているように、バージンエラストマーを自動車用内装トリム部品に押出し成形する、押出機を用いた連続法により製造できる。別の態様では、上記したような注型適性粉末エラストマーを金型に添加し、加熱して自動車用トリム部品を製造できる。
【0079】
本発明の別の態様によれば、粉末形状または微小球形状の本発明のスラッシ成形用組成物は、回転注型による物品の製造に使用できる。そのような方法では、所定量の材料を、遠心機のアーム上に支えられた中空金型に導入する。遠心機は、導入材料を金型の内表面全体に均一に流動させるためにアームを動かすモーターを有する。スラッシ成形用組成物が金型の内表面全体に均一に流動し、金型上に均一な厚さのシェルが形成されるように、金型を加熱し、スラッシ成形用組成物を溶融させる。金型およびシェルを冷却し、金型を開け、完成部品または最終仕上げのためのニヤネットシェイプ部品としてシェルを取り出す。
【0080】
本発明の別の態様によれば、粉末形状または微小球(特に0.007〜0.040インチの寸法範囲の微小球)形状の本発明のスラッシ成形用組成物は、スラッシ成形での使用に適している。そのような方法では、過剰量のスラッシ成形用組成物を装填または粉末ボックスに導入する。適当なヒーターまたは空冷システムにより加熱または冷却される注型面によって一部形成されているキャビティを有する金型に、ボックスを連結する。ボックスを金型に連結すると、過剰量の材料が金型キャビティに放出されるようにボックスと金型とを逆さにする。典型的なスラッシ成形装置は、US4,722,678、US4,878,827およびUS4,056,941に記載されている。これらの特許に記載されている装置は、金型キャビティの注型面に放出された材料層の上に材料の静置ヘッドを維持する。加熱システムは熱風を供給する(US4,389,177の熱油ヒーターまたはUS4,979,888に示されているような電熱器のような他の適当なヒーターも、本発明での使用に適する)。熱可塑性溶融押出微小球が注型面全体に均一に流動し、覆っている材料の静置ヘッドにより注型面上が構成されるように、注型面を加熱して、該微小球を溶融させる。これにより、スキン中の孔についての視覚閾値を下回る低い多孔性を有する注型面上に均一な厚さのシェルを形成するために、より広い範囲の微小球寸法が使用可能になることが見出された。
【0081】
金型キャビティは、US4,621,994,US4,623,503およびUS5,106,285に示されているような適当な空冷システムまたは液冷システムによって冷却される。シェルは同時に冷却される。金型を開けて、完成部品または最終仕上げのためのニヤネットシェイプ部品としてシェルを取り出すことができるように、粉末ボックスと金型キャビティとを引き離す。
【0082】
本発明のスラッシ成形用組成物は、シェルを注型するために使用され得る。脂肪族熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン系改質剤および他の添加剤の混合物を押出しし、この混合物を水中ペレット製造システムでペレット化することにより製造されたミニビーズおよび回転楕円体粒子は、粉末用に使用したものと同じ装置を用いて、成功裏にシェルに注型される。本発明の組成物の低い溶融粘度は、この材料をシェルの注型に用いるにあたって著しく成功に寄与する。見出された利点は、径および返し縁が小さい領域への改善された流動性、掃除および適用のし易さ、並びに上昇した粒子嵩密度である。
【0083】
着色されたスラッシ成形用組成物は、一軸または二軸スクリュー押出機を用いて、脂肪族熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)とポリオレフィン系改質剤とから調製され得る。二軸スクリュー押出機は、着色されていない熱可塑性ウレタンエラストマーを調製するために使用することもできる。次いで、これらの材料を第二の工程で、射出成形についてはカラーコンセントレートを用いることにより、或いは他の適用法については第二の押出機または他の強力ミキサーで乾燥/湿潤顔料を用いることにより、着色する。エラストマーの溶融後、乾燥(熱および紫外線安定性自動車用グレード)顔料および他の添加剤(酸化防止剤、離型剤など)を反応器の溶融流れに計量添加して所望の色を得、次いで、該溶融物をペレット製造装置に供給してペレットを製造する。使用のためにペレットを更に乾燥してもよい。この方法は、エラストマーを着色するために現在用いられている処理操作を減らす。材料が受ける熱履歴は、コストを下げ、より均一な注型工程用の製品ペレットをもたらす。
【0084】
実際には、成形されるべきシェルの好ましい形状を完全にするために形づくられた金型表面を有する金型をまず提供することによって、約0.5〜1.5mmの厚さを有する薄いシェルを成形することができる。次いで、金型表面を(熱油ヒーターまたは電熱器のような適当なヒーター、或いは熱風加熱または赤外線加熱により)加熱できる。続いて、溶融押出微小球が注型面全体に均一に流動し、覆っている材料の静置ヘッドにより圧縮されると、加熱された注型面により、本発明の組成物の溶融押出微小球(粒子、ペレットなど)が溶融され得る。これにより、注型面上の均一な厚さと、スキン中の孔についての視覚閾値を下回り得る低い多孔性とを有するシェルを形成するために、より広い範囲の粒子寸法が使用可能になることが見出された。
【0085】
本発明の組成物は、本発明の組成物を外層として適用し、第二の層が別の材料(例えば芳香族ベースポリウレタン組成物)から形成され得る二層注型シェルの外層を形成してもよい。これらの層は、ほぼ同じ厚さであり得る。即ち、二層注型シェルのスキンまたはシェルの内層は、主として芳香族ベースであり得る。芳香族ポリウレタン型内層は、芳香族ジイソシアネートからおよび/または芳香族連鎖延長剤と一緒に芳香族ジイソシアネートを使用して調製されたポリウレタンであると本明細書では理解されるべきである。しかしながら、いずれの場合も、そのような芳香族ポリウレタンは、脂肪族ポリオール(例えば脂肪族ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステル)を包含するポリオールを使用し得る。従って、芳香族ジイソシアネートの使用、または芳香族連鎖延長剤の使用でさえ、耐熱性のような物理的性質の向上に役立ち得ることが理解される。よって、芳香族ベースの内層は、1993kJ/mのキセノンアーク照射後、3.0を超えるDEを有するものであってよい。そのように調製される芳香族ポリウレタンは、ウレタン触媒の存在下で調製することもできる。
【0086】
芳香族ウレタン組成物、好ましくは粉末または微小球のような乾燥粒子形状の芳香族ウレタン組成物は、第一の脂肪族ウレタン材料から形成された外層の内表面上に注型され得る。芳香族ウレタン材料は溶融し、少なくとも部分的に、好ましくは完全に外層の内表面を覆う内層を形成できる。内層を溶融するために、十分な熱が、加熱された金型表面から外層を通して伝導され得る。次いで、金型表面を冷却または放冷してよい。これにより、内層および外層が硬化して互いに結合することが可能となる。最後に、シェルを金型から取り出す。
【0087】
更に、二層注型シェルの内層がリグラインドプラスチックまたはリサイクルプラスチックを含み得ると考えられる。1つの例示的な態様では、内層はポリマー材料を含んでなり得るが、該ポリマー材料の一部は、内層用ポリマー材料としてのその使用前に成形物品(formed article)を含んでなる。成形物品とは、例えば、プラスチック材料を熱または熱および圧力によりある程度所望の形状に転化したが、品質管理測定をクリアできず、市販品製造業者によって不合格と判定された、先のプラスチック製造工程(例えば、スラッシ成形または射出成形)に付されたポリマー材料を含意する。成形物品は、トリムスクラップおよび不良部品のような製造中に回収された材料(リグラインドまたはリサイクル)、並びに廃棄された使用済みの製品から回収された材料(再生)も包含する。
【0088】
ここまで本発明を記載してきたが、その例として以下の実施例を示す。
【実施例】
【0089】
以下の材料を実施例において使用した。
TPU A:下記成分1)と2)との反応生成物:
1)下記成分a)〜g)から調製されたポリオール成分100重量部:
a)官能価2、分子量4000および不飽和度0.04meq/g未満を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScienceからAcclaim 4220Nの名称で市販)81.6重量部、
b)ブタンジオール12.8重量部、
c)ヒンダードアミン系光安定剤(Hastavin 3055)2.02重量部、
d)Ciba GeigyからTinuvin 213の名称で市販されている置換ベンゾトリアゾール混合物0.99重量部、
e)Technickから市販されているTechlube 721-SP-1の登録商標を有する離型剤1.5重量部、
f)OSIからSilwet L-2622の名称で市販されているシリコーン界面活性剤0.75重量部、および
g)ネオデカン酸ビスマス0.58重量部、
2)Bayer MaterialScienceからDesmodur Wの名称で市販されている最少31.8%のNCO含量を有する液状脂環式ジイソシアネート41.62重量部。
【0090】
TPU B:下記成分1)と2)との反応生成物:
1)下記成分a)〜e)から調製されたポリオール成分100重量部:
a)官能価2、分子量4000および不飽和度0.04meq/g未満を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScienceからAcclaim 4220Nの名称で市販)51.18重量部、
b)ブタンジオール9.15重量部、
c)ヒンダードアミン系光安定剤(Hastovin 3055)1.63重量部、
d)Ciba GeigyからTinuvin 213の名称で市販されている置換ベンゾトリアゾール混合物0.71重量部、および
e)Vertellus Specialties Inc.から市販されている触媒Coscat 83の0.2 重量部、
2)Bayer MaterialScienceからDesmodur Wの名称で市販されている最少31.8%のNCO含量を有する液状脂環式ジイソシアネート30.30重量部。
【0091】
MODIFIER A:ExxonMobil ChemicalからSantoprene 8211-55B100の名称で市販されている、ポリプロピレン中架橋EPDMゴム混合物。
MODIFIER B:Kraton PolymersからKraton MD6945Mの名称で市販されている、ポリスチレンとポリブタジエンとのブロックコポリマー。
MODIFIER C:Kraton PolymersからKraton G1643Mの名称で市販されている、ポリスチレンとポリブタジエンとのブロックコポリマー。
MODIFIER D:Kraton PolymersからKraton FG 1901X-1000の名称で市販されている、ポリスチレンとポリブタジエンとのブロックコポリマー。
MODIFIER E:Teknor ApexからTekron TK-1468Aの名称で市販されている、−CH−反復構造を有するブロックコポリマー。
MODIFIER F:Teknor ApexからTekron TK-1468Dの名称で市販されている、−CH−反復構造を有するブロックコポリマー。
MODIFIER G:ExxonMobilからSantoprene 291-75B150の名称で市販されている熱可塑性加硫物。
COLORANT A:Clariant 374A Pebble。
COLORANT B:Clariant 2N4A Medium Dark Flint。
IONOMER A:E.I. DuPont de NemoursからSurlyn 9770の名称で市販されている、メタクリル酸の一部が金属イオンで中和されたエチレンメタクリル酸コポリマー。
【0092】
実施例1〜11
TPU AまたはTPU B、少なくとも1種の上記MODIFIER、および任意にIONOMER AまたはCOLORANT AまたはCOLORANT Bを、以下の表に記載した量で、27 mm. Leistritzのような二軸スクリュー押出機で溶融ブレンドした。押出機は、3個の穴を有するペレタイザーダイに原料供給する300rpmでのスクリュー操作で、155〜165℃のゾーン温度を有するように構成されていた。約0.007〜約0.040インチの寸法範囲の微小球を、US5,525,274およびUS5,525,284に記載されている方法で、上記押出機から製造した。これらの微小球は、スラッシ成形での使用に適していた。本発明の組成物のこれら微小球は、スキンまたはシェルを成形するために注型することができる。
【0093】
これらの実施例では、TPU/オレフィン含有ブロックコポリマー溶融ブレンド押出物を、極低温粉砕してスラッシ注型用粉末を製造した。
【0094】
Ford WSS-M15P45-Aのような自動車用材料試験規格に加えて、自動車向けの耐候性および展開の要求を満足できる、スラッシ注型スキンとして適当であり得る本発明の例示的な組成物を以下の表1〜3に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
3.0以下のSAE J1885(1993kJ/mのキセノンアーク照射)に従った耐候性が、一般に、米国自動車のエアバッグドアおよび計器パネルの基準を満足するので、実施例1および2の組成物は自動車のエアバッグおよび計器パネルへの使用に適していると予想される。
【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
実施例12
76.5重量部のTPU B、20.0重量部のMODIFIER G、および3.5重量部のCOLORANT Bを、二軸スクリュー押出機で溶融ブレンドした。押出機は、3個の穴を有するペレタイザーダイに原料供給する300rpmでのスクリュー操作で、155〜165℃のゾーン温度を有するように構成されていた。約0.007〜約0.040インチの寸法範囲の微小球を、US5,525,274およびUS5,525,284に記載されている方法で、上記押出機から製造した。これらの微小球は、スラッシ成形での使用に適していた。本発明の組成物のこれら微小球は、スキンまたはシェルを成形するために注型することができる。
【0100】
特定の理論に縛られるわけではないが、本発明の開示は、使用した特定の熱可塑性ウレタン組成物中に生じた幾分混和性の領域の故に、かつて相溶性ではないと一般に考えられていた成分間の相溶性が予想外の程度であることを説明していると考えられる。この予想外の相溶性は、連鎖延長剤(例えば1,4−ブタンジオール)と組み合わせて脂肪族ジイソシアネートを用い、次いでそれらを不飽和度の低い(即ち不飽和度0.04meq/g未満の)ポリオールと結合させた結果であると考えられる。このように、低不飽和型ポリオールは、熱可塑性ウレタンと溶融ブレンドされる際に本明細書記載のオレフィン含有ブロックコポリマーと相溶性ブレンドできる領域を提供し得る。
【0101】
本明細書に開示した本発明の組成物は、スキンまたはシェルなどの物品を製造する既知の方法のいずれかにより、本発明のスキンまたはシェルに成形することができる。該方法は、注型成形、スラッシ成形、射出成形、吹込成形、トランスファー成形、回転成形、および射出圧縮成形を包含する。
【0102】
本発明は例示的に記載されており、使用されている用語は用語の本質上、限定ではなく説明することが意図されていると理解されるべきである。もちろん、上記した教示を考慮すると、本発明の多くの修正および変更が可能である。従って、本発明は具体的記載とは別の方法で実施できると理解されるべきである。
【0103】
本発明は、説明の目的で上記に詳細を記載したが、このような詳細は、説明の目的のためだけであり、特許請求の範囲によって限定される以外は、本発明の意図および範囲から外れることなく、当業者によって変化をなし得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)1000〜10,000Daの分子量および0.04meq/g以下の不飽和度を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールを含んでなるポリオール成分、
(ii)少なくとも1種の脂肪族有機ジイソシアネートを含んでなるイソシアネート成分、
(iii)連鎖延長剤、
(iv)任意に紫外線安定剤、
(v)任意に酸化防止剤、
(vi)任意に顔料、および
(vii)ウレタン生成を促進する触媒
の反応生成物を含んでなる脂肪族熱可塑性ポリウレタン5〜95重量%、
b)−CH−反復構造を特徴とするポリオレフィン系改質剤を含んでなる改質剤5〜95重量%、
c)任意に紫外線安定剤、
d)任意に酸化防止剤、
e)任意に顔料、
f)任意に離型剤、および
g)任意にイオノマー
からなる相溶性ブレンドを含んでなる成形用組成物であって、外部相溶化剤はブレンドに添加されていない組成物。
【請求項2】
改質剤b)が250s−1の剪断速度で約900の剪断粘度を有し、該剪断粘度が2100s−1の剪断速度で約150に低下する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
改質剤b)が熱可塑性加硫物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
改質剤b)がスチレンおよびエチレンおよび/またはブチレンに基づくブロックコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分a)(i)におけるポリエーテルポリオールが0.02meq/g未満の不飽和度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
連鎖延長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
使用されるイオノマーがエチレンメタクリル酸コポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
メタクリル酸コポリマーの一部が金属イオンで中和されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
改質剤b)が、ポリオレフィンに分散したエチレン、プロピレンおよびジエンの加硫ターポリマーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
改質剤b)が、ポリオレフィンに分散したエチレン、プロピレンおよびジエンの加硫ターポリマーである、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
成分a)が、熱可塑性組成物の総重量に基づいて40〜70重量%のポリオール成分を含んでなる混合物から調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
成分a)およびb)、並びに任意に成分c)、d)、e)、f)またはg)を溶融ブレンドする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
a)45〜90重量%の脂肪族熱可塑性ポリウレタン;
b)5〜45重量%のポリオレフィン系改質剤;および
e)5〜10重量%のカラーコンセントレート
を含んでなる請求項1に記載の組成物であって、成分a)、b)およびe)の総量が100重量%である組成物。
【請求項15】
a)45〜90重量%の脂肪族熱可塑性ポリウレタン;
b)5〜45重量%のポリオレフィン系改質剤および10重量%までのイオノマー;並びに
e)5〜10重量%のカラーコンセントレート
を含んでなる請求項1に記載の組成物であって、成分a)、b)およびe)の総量が100重量%である組成物。
【請求項16】
成分a)と成分b)との重量比が1:1以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
改質剤b)が、スチレン、エチレンおよびブチレンの直鎖トリブロックコポリマー、水素化スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、水素化スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、中間ブロック内にスチレンが共重合されたもの、または中間ブロック内が共重合されたスチレンで飽和されていないものから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項18】
1993kJ/mのキセノンアーク照射後、3以下のDEを特徴とする、請求項1に記載の組成物から製造された熱可塑性ポリウレタン。
【請求項19】
120℃で500時間後、少なくとも100%の熱老化後破断点伸びを特徴とする、請求項1に記載の組成物から製造された熱可塑性ポリウレタン。
【請求項20】
300〜600%の熱老化前破断点伸びを特徴とする、請求項1に記載の組成物から製造された熱可塑性ポリウレタン。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を含んでなる、スラッシ注型適性の粉末、ペレット、微小球またはミニビーズ。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を含んでなる溶融ブレンド押出物を極低温粉砕することを含む、スラッシ注型適性粉末の製造方法。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物を押出機で溶融ブレンドし、溶融ブレンド組成物をダイに通し、ダイを出た組成物を切断することを含む、スラッシ注型適性微小球の製造方法。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物を含んでなる溶融ブレンド押出物を水中粉砕することを含む、スラッシ注型適性粉末の製造方法。
【請求項25】
a)請求項1に記載の組成物を金型表面に適用し、
b)金型表面を加熱して適用組成物を溶融し、
c)溶融物を金型表面に流動させ、および
d)溶融物を冷却する
ことを含む、単層注型シェルの製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法によって製造された成形品。
【請求項27】
a)請求項1に記載の組成物を外層として金型に適用し、
b)別の組成物を含んでなる内層を外層に適用し、および
c)内層および外層が硬化して一緒に結合するように、内層および外層を成形する
ことを含む、二層注型シェルの製造方法。
【請求項28】
内層組成物が芳香族ポリイソシアネートから調製されたポリウレタンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
内層組成物が、外層として使用される請求項1に記載の組成物の溶融流れと同程度の溶融流れを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法によって製造された成形品。
【請求項31】
請求項29に記載の方法によって製造された、スキン、カバーまたはシェルの形状の成形品。
【請求項32】
請求項1に記載の組成物から製造された熱成形シート。
【請求項33】
請求項1に記載の組成物を射出成形することを含む、物品の製造方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法によって製造された射出成形品。

【公表番号】特表2010−535934(P2010−535934A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520996(P2010−520996)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/009541
【国際公開番号】WO2009/023138
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】