説明

熱可塑性ポリマーをベースとする粒子の製造方法及び得られる粉体

本発明は、所定の平均直径を有する熱可塑性ポリマーをベースとする粒子を調製するための方法に関する。本発明の方法は、より詳細には、熱可塑性ポリマー及び2種の添加剤を含む組成物を溶融状態で調製する工程、この組成物を冷却する工程、並びに熱可塑性ポリマーの分散体を砕壊する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマーをベースとする粒子から成る粉体の製造方法に関する。本発明の方法は、より詳細には、熱可塑性ポリマーと2種の添加剤とを含む溶融状態のブレンドを調製する工程、このブレンドを冷却する工程、及び分離によって粉体を回収する工程を含む。本発明はまた、本発明の方法によって得られる粉体にも関する。
【背景技術】
【0002】
粉体の形の熱可塑性ポリマー、特に直径が一般的に1mm未満、好ましくは100μm未満の球状粒子の形の熱可塑性ポリマーは、多くの用途において有用である。実際、ポリアミド粉体のような熱可塑性ポリマー粉体は、特に塗料中の添加剤として、例えば滑りにくいという特性を有していなければならないスポーツホールの床をコーティングするための塗料中の添加剤として、用いられる。熱可塑性ポリマー粉体はまた、体や顔のケアのためのサンクリームのような化粧品中及びメーキャップ除去製品中にも導入される。これらはまた、インク及び紙の分野にも用いられる。
【0003】
熱可塑性ポリマー粉体を製造するための様々な方法が当業者に知られている。
【0004】
熱可塑性ポリマー粉体は、例えば初期平均直径が約3mmの熱可塑性ポリマー粒体(グラニュール)をミル粉砕又は低温ミル粉砕することによって、得ることができる。しかしながら、このような力学的な変形によって寸法を小さくした場合には、形状が不規則となり且つ寸法が滅多に100μm未満にならない粒子が得られることが多い。これらの粒子は広い寸法分布を有することが多く、このような寸法分布が広い粒子は工業的規模で用いるのが難しいことがある。
【0005】
また、溶剤中でポリマーを蒸留し、次いで沈殿させることによって熱可塑性ポリマー粉体を調製することも知られている。例えばポリアミドのようなポリマー用の溶剤は腐食性及び揮発性が高いので、安全性の条件が厳しく、この方法は工業的規模で実施できない。さらに、この方法に従えば、粒子の形状を制御するのが難しく、これはある用途においては有害なことにもなり得る。
【0006】
他の方法も存在し、それによると、熱可塑性ポリマー粉体は、そのポリマーのモノマーを重合させる際にその場で調製される。
【0007】
例えば、溶液状のラクタムをアニオン重合させることによって、ポリアミド粉体のようなポリマー粉体を得ることが知られている。この重合は、モノマー、モノマーについての溶剤、開始剤、触媒及び活性剤の存在下で実施され、110℃付近の温度において撹拌しながら実施される。この方法は、ラクタムタイプのモノマーから得られるポリアミドに限られたものである。この方法は融通性(柔軟性、順応性、適応性)が低く、粉体に望まれる最終特性に応じて例えばモノマーの性状を変えることによって粉体の性状を変えるということができない。また、ラクタム及びラクトンのアニオン重合によってコポリエステルアミド粉体を得ることも知られている。これらのアニオン重合ルートによる方法は、特にアニオンルートの高い反応性のせいで、制御するのが難しい。
【0008】
粉体の粒子に要求される寸法は、粉体の利用分野に応じて変化する。例えば、塗料及びワニスの分野においては、粒子に要求される寸法は0.1〜10μmの範囲である;化粧品の分野においては、粉体は5〜10μmの範囲の粒子寸法を有する;回転成形の分野においては、粒子寸法は300〜500μmの範囲である。従って、所定の目標粒子寸法を有する粉体、及び粉体の粒子寸法を変えることができる融通性がある粉体製造方法が求められている。
【特許文献1】国際公開WO03/002668号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO2006/040443号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、所定の寸法(小さい寸法であることができる)及び実質的に規則的な形状を有して上記の利点を示す粒子を含む熱可塑性材料の粉体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明は、1mm未満の所定の平均直径を有する粒子を含む熱可塑性材料の粉体の製造方法であって、
(a)前記熱可塑性材料P(熱可塑性ポリマーとも言う)と少なくとも1種の添加剤Aとの溶融ブレンドを形成させて熱可塑性材料Pの離散粒子の分散体を得る工程(この添加剤Aは、少なくとも一部の構造が前記熱可塑性材料Pに対して適合性であり且つ少なくとも一部の構造が前記熱可塑性材料Pに対して不適合性且つ不溶性であるポリマー材料から成る);
(b)前記ブレンドを前記熱可塑性材料Pの軟化温度より低い温度に冷却する工程;
(c)前記の冷却されたブレンドを、前記の熱可塑性材料Pの離散粒子を分離するために処理する工程:
を含み、
工程(a)において、所望の平均直径を有する粒子を得るために、前記熱可塑性材料Pに対して不溶性であり且つ不適合性である少なくとも1種の化合物Bを導入することを特徴とする前記方法を提供する。
【0011】
本発明の有利な特徴に従えば、前記ブレンドの形成は、熱可塑性材料を溶融させ、前記添加剤A及び前記化合物Bを固体の形又は溶融した形で添加し、ブレンディングエネルギーを加えて前記添加剤A及び化合物Bから成る相(有利には連続相)中に分散した熱可塑性材料の離散粒子を形成させることによって、達成される。
【0012】
このブレンドは、本発明の別の実施形態においては、前記熱可塑性材料Pの粒子と前記添加剤Aの粒子及び前記化合物Bの粒子とを固体状態でブレンドし、これらの粒子のブレンドを溶融させつつこの溶融ブレンドにブレンディングエネルギーを加えて添加剤A及び化合物Bから成る相(有利には連続相)中に分散した熱可塑性材料Pの離散粒子を形成させることによって、得ることができる。
【0013】
前記添加剤A及び前記化合物Bは、同時に又は順次添加することができる。添加剤A及び化合物Bを順次添加する場合には、添加剤Aを化合物Bの前に添加するのが好ましい。
【0014】
重量比R1及びR2は、次のように定義される:
1は、
【数1】

の重量比である。
2は、
【数2】

の重量比である。
【0015】
所定の材料P/添加剤A/化合物B系について一般的にR1とR2との間には、選択した粒子寸法について直線関係が存在する。この直線関係は、P/添加剤A/化合物B系についてのブレンディング条件に応じて変化し得る。
【0016】
従って、前記の比R1及び比R2を本発明の方法において適切に選択することによって、特に所定の平均直径を有する粒子から成る粉体を得ることができる。本発明の方法は、粉体中の粒子寸法を制御することを可能にする。本発明の方法は、選択した目標粒子寸法を有する粉体を得ることを可能にする。この方法は融通性があり、粉体の粒子寸法は特に0.1〜800μmの広い範囲内で選択することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
工程(a)において、添加剤A、化合物B及び熱可塑性材料Pを、
【数3】

の重量比R1が0.01〜0.6の範囲、好ましくは0.01〜0.5の範囲になるように導入するのが有利である。
【0018】
本発明のさらに別の特徴に従えば、ブレンド中の添加剤Aの重量濃度は、1%〜50%の範囲であるのが有利であり、3%〜30%の範囲であるのが好ましい。
【0019】
本発明のさらに別の特徴に従えば、ブレンド中の添加剤Bの重量濃度は、1%〜50%の範囲であるのが有利であり、3%〜30%の範囲であるのが好ましい。
【0020】
より一般的には、前記ブレンドは、前記熱可塑性材料を加工するために用いられる温度及び圧力条件に適合したウォーム(歯車)式ミキサーや撹拌機ミキサーのような任意の好適な装置によって得ることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態に従えば、前記溶融ブレンドを冷却工程の前に例えばフィラメント又は棒状体(紐)(joncs)の形に造形する。この造形は、ダイを通す押出プロセスによって有利に実施することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態に従えば、特に溶融ブレンドを造形する場合、この溶融ブレンドは押出ダイへの供給を行う押出機中で製造するのが好ましい。
【0023】
溶融ブレンドの冷却は、任意の好適な手段によって実施することができる。これらの中では、空冷又は液体中への浸漬が好ましい。
【0024】
熱可塑性材料の粉体の回収工程は、熱可塑性材料の離散粒子を分離するための処理から成るのが有利である。この分離は、冷却されたブレンドに対して剪断力を加えることによって達成することができる。
【0025】
用語「分離」とは、熱可塑性材料の離散粒子をブレンドの他の成分から分けることから成る操作/作用を意味するものとする。
【0026】
本発明の別の実施形態に従えば、熱可塑性材料から作られた粒子の分離は、冷却された溶融ブレンドを熱可塑性材料についての溶剤ではない液体(であって有利には添加剤A及び化合物Bについての溶剤であるもの)の中に浸漬することによって達成される。
【0027】
本発明の方法は、任意の熱可塑性材料から出発して粉体を製造することができる。
【0028】
熱可塑性ポリマー(熱可塑性材料)の例としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えばポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリスチレン等を挙げることができる。
【0029】
本発明の方法の特定的な実施形態に従えば、好ましい熱可塑性ポリマーはポリアミドである。
【0030】
当業者に周知の任意のポリアミドを本発明において用いることができる。このポリアミドは、一般的には、ジカルボン酸及びジアミンから出発する重縮合によって得られるタイプのポリアミド、又はラクタム及び/若しくはアミノ酸の重縮合によって得られるタイプのポリアミドである。本発明のポリアミドは、異なるタイプ及び/若しくは同じタイプのポリアミドのブレンド、並びに/又は同じタイプ及び/若しくは異なるタイプのポリアミドに対応する異なるモノマー群から得られるコポリマーであることができる。
【0031】
本発明にとって好適であり得るポリアミドの例としては、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−4,6、−6,10、−6,12、−12,12及び−6,36、半芳香族ポリアミド、例えばテレフタル酸及び/又はイソフタル酸から得られるポリフタルアミド、例えばAmodelの商品名で販売されているポリアミド、それらのコポリマー並びにそれらのアロイを挙げることができる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態に従えば、前記ポリアミドは、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、それらのブレンド及びそれらのコポリマーから選択される。
【0033】
本発明の特定的な実施形態に従えば、前記熱可塑性ポリマーは、星形高分子鎖(星形マクロ分子鎖)を含むポリマーである。斯かる星形高分子鎖を含むポリマーは、例えばフランス国特許第2743077号明細書、フランス国特許第2779730号明細書、米国特許第5959069号明細書、ヨーロッパ特許公開第0632703号公報、ヨーロッパ特許公開第0682057号公報及びヨーロッパ特許公開第0832149号公報に記載されている。これらの化合物は、同じ分子量を有する直鎖状ポリアミドと比較して改善された流動性を示すことが知られている。
【0034】
本発明の別の特定的な実施形態に従えば、前記熱可塑性ポリマーは、
・次式(I):
【化1】

に相当する高分子鎖30〜100モル%(境界を含む)、
・次式(II):
【化2】

に相当する高分子鎖0〜70モル%(境界を含む)
(ここで、
−X−Y−は2個の反応性官能基F1及びF2の重縮合から得られる基であり、
1及びF2は、F1が基−X−の前駆体であり且つF2が基−Y−の前駆体であるか又はその逆であり、
官能基F1は互いに縮合によって反応することができないものであり、
官能基F2は互いに縮合によって反応することができないものであり、
Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる脂肪族炭化水素基であり、
2は2〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、
3及びR4は水素、ヒドロキシル基又は炭化水素基を表わし、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
n、m及びpはそれぞれ50〜500の範囲、好ましくは100〜400の範囲の数を表わす)
から成る重縮合物である。
【0035】
斯かる重縮合物は、国際公開WO05/019510号パンフレットに記載されているので、参考のためにこれを取り入れる。この重縮合物は、
・次式(I):
【化3】

に相当する高分子鎖30〜100モル%(境界を含む)、
・次式(II):
【化4】

に相当する高分子鎖0〜70モル%(境界を含む)
から成るポリアミドであるのが有利である。
(ここで、X及びYは、
Xが次式:
【化5】

の基である場合にはYが次式:
【化6】

の基であり、
Xが次式:
【化7】

の基である場合にはYが次式:
【化8】

の基であり、
Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる脂肪族炭化水素基であり、
2は2〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、
3及びR4は水素、ヒドロキシル基又は次式:
【化9】

若しくは
【化10】

の基を含む炭化水素基を表わし、
5は水素又は1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を表わし、
1は少なくとも2個の炭素原子を含み且つヘテロ原子を含むことができる直鎖状又は分岐鎖状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
n、m及びpはそれぞれ50〜500の範囲、好ましくは100〜400の範囲の数を表わす。)
【0036】
本発明において用いられる熱可塑性ポリマーは、マット化剤、艶消剤、熱安定剤、光安定剤、顔料、染料及び充填剤、特に研磨用充填剤のような様々な添加剤を含むことができる。例としては、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ又は硫化亜鉛を挙げることができ、これらは艶消剤及び/又は研磨剤として用いられる。
【0037】
本発明の方法は、1種以上の添加剤Aを用いることができる。
【0038】
本発明の別の特徴に従えば、添加剤Aはブロックタイプ、シーケンスタイプ、櫛タイプ、多分岐タイプ又は星形タイプのポリマーであるのが有利である。従って、前記の熱可塑性材料に対して適合性がある構造がブロック、シーケンス、櫛の背骨部若しくは歯部、又は星形若しくは多分岐ポリマーのコア部(中心部)若しくは枝部を形成することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態に従えば、添加剤Aの適合性構造は、熱可塑性ポリマーPのものと化学的に同一の官能基を含む。
【0040】
本発明の好ましい実施形態に従えば、前記添加剤Aは、少なくとも1個のポリアルキレンオキシドブロックを含む、下に規定するポリマーD又は多分岐ポリマーEより成る群から選択される。
【0041】
前記ポリマーDは、次のような熱可塑性ポリマーのブロックとポリアルキレンオキシドの少なくとも1個のブロックとを含み、熱可塑性の特性を有するポリマーである:
・前記の熱可塑性ポリマーのブロックは、少なくとも3個の同一の反応性官能基を有する少なくとも1個の多官能性コアと、該コアに結合した熱可塑性ポリマーの少なくとも1個の分岐又は少なくとも1個のセグメントとを含む星形又はH高分子鎖を含む;
・前記のポリアルキレンオキシドのブロック(群)は、前記星形又はH高分子鎖中の熱可塑性ポリマーの分岐又はセグメントの末端と多官能性コアの末端とから選択される自由末端の少なくとも一部に結合している。
【0042】
斯かる熱可塑性ポリマー及びそれらの調製方法は、特に国際公開WO03/002668号パンフレットに記載されている。
【0043】
ポリマーDの星形高分子鎖は、
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物;
(b)次の一般式(IIa)及び/又は(IIb)のモノマー:
【化11】

【化12】

並びに
(c)随意としての次の一般式(III)のモノマー:
【化13】

を含むモノマー混合物から出発する共重合によって得られる星形ポリアミドであるのが有利である。
(ここで、
Zは前記多官能性化合物の反応性官能基のものと同じ官能基を表わし、
1及びR2は2〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる同一の又は異なる置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族炭化水素基を表わし、
Yは、Xがカルボン酸官能基を表わす場合には第1アミン官能基であり、Xが第1アミン官能基を表わす場合にはカルボン酸官能基を表わす。)
【0044】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーのブロックのH高分子鎖は、
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)ラクタム及び/又はアミノ酸、
(c)ジカルボン酸又はジアミンから選択される二官能性化合物、
(d)官能基がアミン官能基又はカルボン酸官能基のいずれかである一官能性化合物
(ここで、
(a)の官能基が酸である場合には(c)及び(d)の官能基はアミンであり、
(a)の官能基がアミンである場合には(c)及び(d)の官能基は酸であり、
(a)の官能基対(c)及び(d)の官能基の合計の当量比は1.5〜0.66の範囲であり、
(c)の官能基対(d)の官能基の当量比は0.17〜1.5の範囲である)
を含むモノマーの混合物から出発する共重合によって得られるHポリアミドであるのが有利である。
【0045】
星形又はH高分子鎖の多官能性化合物は、次式(IV)で表わされるものであるのが有利である。
【化14】

(ここで、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
Aは共有結合又は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、
Zは第1アミン基又はカルボン酸基を表わし、
mは3〜8の範囲の整数である。)
【0046】
前記多官能性化合物は、2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン又は4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択するのが好ましい。
【0047】
前記ポリマーDのポリアルキレンオキシド(POA)のブロックは、線状であるのが好ましい。これは、ポリエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド又はポリテトラメチレンオキシドブロックから選択することができる。前記ブロックがポリエチレンオキシドをベースとするものである場合、これはブロックの末端においてプロピレングリコール単位を含むことができる。前記ポリマーDのポリアルキレンオキシドのブロックは、ポリエチレンオキシドのブロックであるのが好ましい。
【0048】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーのブロックの高分子鎖の自由末端の全部がポリアルキレンオキシドのブロックに結合しているのが有利である。
【0049】
「本発明に従う多分岐ポリマーE」とは、2より大きい官能性を有する化合物の存在下での重合によって得られ、完全には制御されない構造を有する、分岐したポリマー構造を意味するものとする。多くの場合これはランダムコポリマーである。この多分岐ポリマーは、例えば、特にそれぞれが少なくとも2個の異なる重合用反応性官能基を有する多官能性モノマー同士(例えば三官能性モノマー及び二官能性モノマー)の間の反応によって得ることができる。
【0050】
本発明の多分岐ポリマーEは、多分岐ポリエステル、ポリエステルアミド及びポリアミドから選択されるのが有利である。
【0051】
本発明の多分岐ポリマーEは、次のものの間の反応によって得られるタイプの多分岐コポリアミドであるのが好ましい:
・次式(I)の少なくとも1種のモノマー:
【化15】

(ここで、
Aは第1のタイプの重合用反応性官能基であり、
BはAと反応することができる第2のタイプの重合用反応性官能基であり、
Rは炭化水素部分であり、
fはモノマー1個当たりの反応性官能基Bの総数であり、2以上、好ましくは2〜10の範囲の数である);
・次式(II)の少なくとも1種のモノマー又は対応するラクタム:
【化16】

(ここで、
A'、B'及びR'は式(I)においてA、B及びRについてそれぞれ上に与えたものと同じ定義を有する);
・次式(III)の少なくとも1種の「コア」モノマー又は次式(IV)の少なくとも1種の「連鎖抑制用」モノマー:
【化17】

(ここで、
1はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アルキルアリールタイプ、アリールアルキルタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、不飽和及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよく、
B''はB又はB'と同じ性状の反応性官能基であり、
nは1以上、好ましくは1〜100の範囲の数である);
【化18】

(ここで、
2はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アリールアルキルタイプ、アルキルアリールタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、1個以上の不飽和及び/又は1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
A''はA又はA'と同じ性状の反応性官能基である);
(ここで、(I)/(II)のモル比I/IIは、0.05<I/II、好ましくは0.125≦I/II≦2とし;
モノマー(I)又はモノマー(II)の少なくとも一方のR又はR'単位の少なくとも1つは脂肪族、環状脂肪族又はアリール脂肪族であり;
1及び/又はR2はポリオキシアルキレン基である)。
【0052】
かかるコポリアミドは、国際公開WO00/68298A1号パンフレット(特に第11頁第3〜6行)に開示されているので、必要ならばこれを参照されたい。
【0053】
重合用反応性官能基A、B、A'及びB'は、カルボキシル官能基及びアミン官能基より成る群から選択するのが有利である。
【0054】
前記の多分岐コポリアミドの式(I)のモノマーは、Aがアミン官能基を表わし、Bがカルボキシル官能基を表わし、Rが芳香族基を表わし且つfが2である化合物であるのが有利である。
【0055】
1及び/又はR2は、Jeffamine(登録商標)タイプのアミン含有ポリオキシアルキレン基であるのが有利である。
【0056】
本発明の方法の化合物Bは、熱可塑性材料Pに対して不溶性であり且つ不適合性のものである。この化合物Bは、添加剤Aの構造の少なくとも一部(特にAの構造中の化合物Pに対して不適合性である部分)に対して適合性の化学構造を有するのが有利である。化合物Bは、添加剤Aの前記不適合性部分のホモポリマーであるのが好ましい。本発明にとって好適な化合物Bの例としては、多糖類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオレフィン、シリコーン、ワックス等の類に属する化合物を挙げることができる。化合物Bは、添加剤Aとは別個に添加することもでき、添加剤Aの少なくとも一部とのブレンドの形で添加することもできる。本発明の方法においては、1種以上の化合物Bを用いることができる。
【0057】
また、化合物Bを材料Pとプレブレンドすることもできる。
【0058】
本発明に従うブレンドを調製するためには、当業者に周知の任意のブレンド調製方法を用いることができる。例えば、熱可塑性ポリマーPの粒体、添加剤A及び化合物Bの緊密ブレンド、又は熱可塑性ポリマーPの粒体、添加剤Aの粒体及び化合物Bの粒体のブレンドを製造することができる。また、熱可塑性ポリマーPを添加剤A及び/又は化合物Bでコーティングされた粒体の形で提供することもできる。重合プロセスの間、有利には重合の最後に、添加剤A及び化合物BをポリマーP中に導入することもできる。また、溶融ポリマー中に添加剤A及び化合物Bを導入することもできる。
【0059】
工程(a)は、撹拌しながら溶融ブレンドを調製することから成る。
【0060】
この工程は、熱可塑性材料を加工するための圧力及び温度条件に適合する任意の混合装置を用いて有利に実施される。工程(a)は、押出機を用いて実施するのが好ましく、二軸スクリュー又は多軸スクリュー押出機を用いて実施するのがより一層好ましい。
【0061】
前記ブレンドは、前記の態様に従って調製した後に、工程(a)の際に用いられる押出装置中に導入することができる。このブレンドは、固体又は液体の形、例えば溶融状態で、導入することができる。
【0062】
前記ブレンドはまた、工程(a)の際に用いられるものと同じ押出装置中でその場で調製することもできる。
【0063】
工程(a)の際に撹拌することによって、組成物の剪断が可能となり、熱可塑性材料、添加剤A及び化合物Bの効果的なブレンディングが可能となる。加えられる剪断エネルギーは、ブレンドされるべき物質の性状及び熱可塑性材料の粒子に望まれる寸法の関数として決定される。
【0064】
このブレンドは、工程(b)に従って冷却する前に、当業者に周知の慣用の方法で棒状体、ストランド又はフィルムの形にするためにダイを通して押出することができる。
【0065】
工程(b)は、少なくとも前記熱可塑性ポリマーを固化させるために前記ブレンドを冷却することから成る。この冷却は、空気又は水を用いて慣用的方法で実施することができる。
【0066】
冷却されたブレンドから熱可塑性ポリマーの粒子を分離する工程は、様々な方法に従って実施することができる。
【0067】
例えば、第1の方法は、この分離をもたらすために必要な機械的力、例えば擦り、剪断又は捻りを加えることから成る。
【0068】
別の実施形態においては、冷却したブレンドを例えば水のような液体中に導入した時に即座に分離が起こる。
【0069】
さらに別の実施形態においては、前記液体が添加剤A及び化合物Bについての溶剤であるのが有利である。これにより、添加剤A及び化合物Bの大部分を回収して例えば再利用することが可能となる。さらに、前記熱可塑性ポリマー粉体は、より少量の不純物、添加剤A及び化合物Bを含むものとなるだろう。
【0070】
また、添加剤Aを除去せずに熱可塑性材料の粒子の表面に残存させてこれらの粒子の表面特性を変性するようにするのが有利な場合もある。
【0071】
工程(b)及び(c)を同時に実施するのが有利である。例えば、前記ブレンドを、ダイを通した押出の後に、添加剤A及び化合物Bについての溶剤であってポリマーPについての非溶剤であるものを含む反応器中に直接導入することができる。
【0072】
ポリマーPの粒子は随意に、溶剤/添加剤A/化合物B溶液から単離される。これは、液相と懸濁した固相とを分離させることができる任意の手段によって実施することができる。その手順は、例えば濾過、沈降分離、遠心分離又は噴霧から成ることができる。
【0073】
例えば水性分散体については、例えば噴霧によって単離を実施して、分散体中に存在するものと同等の寸法を有する個々の粒子及び/又は粒子の凝集物を含む粉体を回収することができる。これらの凝集物は一般的に水のような水性媒体中に容易に再分散可能であり、又は振動を加えることによって砕壊して粉体になる。水を除去するため又は粉体を回収するための他の手段、例えば濾過又は遠心分離及び続いての濾過ケークの乾燥を採用することもできる。
【0074】
こうして得られるポリマーPの粒子は、洗浄して乾燥させることができる。
【0075】
本発明の方法においては、特に工程(a)の際の撹拌、化合物A及び/又はBの性状、温度並びにブレンドの各種成分の濃度を調節することによって、形状寸法が調節された粒子を得ることが可能である。
【0076】
本発明の1つの主題事項は、本発明の方法によって得ることができる熱可塑性材料の粉体にある。
【0077】
本発明の方法に従って得られる粒子は、球状粒子であるのが有利である。
【0078】
用語「球状粒子」とは、本質的に球形状の粒子を意味するものとする。
【0079】
有利には、本発明の方法に従って望まれる平均粒子直径は、0.1〜800μmの範囲であるのが有利である。望まれる直径は、粉体の利用分野に応じて変化する。本発明の粉体の粒子寸法は制御され、粒子寸法分布は一般的に単一モード(単峰形)である。
【0080】
用語「平均直径」とは、粒子寸法の単一モード分布のモードピークの値を意味するものとする。
【0081】
粒子寸法分布は一般的に、当業者に周知の方法に従ったレーザー粒子寸法測定によって決定される。
【0082】
前記粒子はまた、規則的又は不規則な多面体形状のものであることもできる。熱可塑性材料の粉体を構成するこれらの粒子は一般的に多孔性を示さないので、0cm3/g又はそれに近い孔容積を有するのが一般的である。
【0083】
本発明のその他の詳細や利点は、以下の実施例、及び得られた分散体のグラフを表わす添付図面から、より一層明らかになるであろう。
【実施例】
【0084】
実施例において用いた材料は、次の通りである:
【0085】
・ポリマーP:相対粘度2.6のポリアミド6,6
【0086】
・添加剤A:次の方法で製造された親水性星形ポリアミド/ポリアルキレンオキシドコポリマー:
【0087】
機械式撹拌機を備えた7.5リットルのオートクレーブ中に1116.0gのε−カプロラクタム(9.86モル)、57.6gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.27モル)、1826.4gのJeffamine(登録商標)M2070(0.82モル)、1.9gのUltranox(登録商標)236及び3.5gの50%(w/w)次亜リン酸水溶液を導入する。
【0088】
この反応混合物を窒素雰囲気下で大気圧において250℃にし、この温度に1時間保つ。次いでこの系を30分間かけて徐々に圧力を下げて5ミリバールの真空にし、次いでさらに1時間真空下に保つ。次いでこの系をプレート上に流延する。
【0089】
化合物B:
【0090】
化合物B1:分子量400g/モルのポリエチレンオキシド、
化合物B2:分子量1500g/モルのポリエチレンオキシド、
化合物B3:分子量12000g/モルのポリエチレンオキシド。
【0091】
Prismタイプの24D二軸スクリュー押出機中に、容量による供給を用いてポリマーPの粒体を、そして重量による供給を用いて添加剤A及び化合物B(B1、B2又はB3)のペレットのブレンドを、導入する。2つの計量供給装置の処理量(スループット)を調節することによって、熱可塑性ポリマーPとのブレンド中の添加剤A及び化合物Bの濃度を変化させることができる。前記ブレンドを、1.9〜2.2kg/時間の範囲の一定処理量で押出する。押出機の様々な帯域の温度は、275〜295℃の範囲とする。速度は200rpmに設定する。記録された圧力は10〜13バールの範囲だった。得られた棒状体をダイ出口において水流によって冷却し、金属かご中に集め、水切りし、次いで乾燥させる。
【0092】
集められた棒状体を次いで単純に機械的に撹拌することによって水中に分散させる。こうして得られた分散体を、200μm篩によって篩分けして、非分散性の棒状体の断片(morceaux)のような大きい固体状不純物を取り除く。篩分け後の熱可塑性ポリマーPの重量による回収率は、90%超だった。分散体中に存在する粒子の粒子寸法分布を、Malvern Instruments社より販売されているMasterSizer 2000という装置を用いて測定した。超音波を当てた後に得られた容量で表わされるこの分布は単一モードだった。下記の表に報告する値は、モードピークの値に相当する。
【0093】
得られた各種粉体を上記の手順に従って特徴付けした。
【0094】
例1〜15
【0095】
これらの例では、様々な濃度の添加剤Aを用い、それぞれの添加剤A濃度について、化合物Bの濃度を変化させて、様々な寸法の粉体粒子を得た(下記の表1を見よ)。
【0096】
下記の百分率は、組成物の重量に対する重量で表わしたものである。
【0097】
【表1】

【0098】
例16〜35
【0099】
これらの例では、それぞれの粒子寸法について組成物中の添加剤A及び化合物Bの濃度を変化させながら様々な所定粒子寸法を有する粉体を製造した(下記の表2を見よ)。
【0100】
下記の百分率は、組成物の重量に対する重量で表わしたものである。
【0101】
【表2】

【0102】
図1は、例1〜35に相当し、所定の粒子寸法について、重量比R1とR2との間の直線関係を示している。
【0103】
例36〜44
【0104】
これらの例では、化合物B1及びB3を用いて粉体を製造した(下記の表3を見よ)。
【0105】
下記の百分率は、組成物の重量に対する重量で表わしたものである。
【0106】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】実施例で製造された様々な粉体における、所定の粒子寸法についての重量比R1とR2との間の関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(a)熱可塑性材料Pと少なくとも1種の添加剤Aとの溶融ブレンドを形成させて熱可塑性材料Pの離散粒子の分散体を得る工程(この添加剤Aは、少なくとも一部の構造が前記熱可塑性材料Pに対して適合性であり且つ少なくとも一部の構造が前記熱可塑性材料Pに対して不適合性且つ不溶性であるポリマー材料から成る);
(b)前記ブレンドを前記熱可塑性材料Pの軟化温度より低い温度に冷却する工程;
(c)前記の冷却されたブレンドを、前記の熱可塑性材料Pの離散粒子を分離するために処理する工程:
を含む、1mm未満の所定の平均直径を有する粒子を含む熱可塑性材料Pの粉体の製造方法であって、
工程(a)において、所望の平均直径を有する粒子を得るために、前記熱可塑性材料Pに対して不溶性であり且つ不適合性である少なくとも1種の化合物Bを導入することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記ブレンドが、熱可塑性材料Pを溶融させ、前記添加剤A及び前記化合物Bを固体の形又は溶融した形で添加し、ブレンディングエネルギーを加えて熱可塑性材料の離散粒子を形成させることによって得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレンドが、前記熱可塑性材料Pの粒子と前記添加剤Aの粒子及び前記化合物Bの粒子とを固体状態でブレンドし、これらの粒子のブレンドを溶融させ、この溶融ブレンドにブレンディングエネルギーを加えて熱可塑性材料の離散粒子を形成させることによって得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
次式:
【数1】

の重量比R1を0.01〜0.6の範囲とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ブレンド中の添加剤Aの重量濃度が1%〜50%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ブレンド中の化合物Bの重量濃度が1%〜50%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記溶融ブレンドを冷却工程の前に造形することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記造形プロセスがダイを通す押出プロセスであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶融ブレンドが押出ダイに供給する押出機中で製造されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却が空冷であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記冷却を液体中への浸漬によって実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記の熱可塑性材料P製の粒子を分離するための処理を、前記の冷却されたブレンドに剪断力を加えることによって実施することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記の熱可塑性材料P製の粒子を分離するための処理を、前記の冷却された溶融ブレンドを熱可塑性材料Pについての溶剤ではない液体中に浸漬することによって実施することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記液体が添加剤A及び化合物Bについての溶剤であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリマーがポリアミド又はポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーがポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−4,6、−6,10、−6,12、−12,12及び−6,36、それらのコポリマー並びにそれらのアロイより成る群から選択されるポリアミドであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーがマット化剤、艶消剤、熱安定剤、光安定剤、顔料、染料及び充填剤、特に研磨用充填剤より成る群から選択される添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記添加剤Aがブロックタイプ、シーケンスタイプ、櫛タイプ、多分岐タイプ又は星形タイプのポリマーであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記の熱可塑性材料に対して適合性である構造がブロックタイプのポリマーのブロック、シーケンスポリマーのシーケンス、櫛ポリマーの歯部又は星形若しくは多分岐ポリマーのコア部若しくは枝部を構成することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記添加剤Aの適合性構造が前記熱可塑性ポリマーのものと同一の官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記添加剤Aが熱可塑性ポリマーブロックと少なくとも1つのポリアルキレンオキシドブロックとを含むブロックコポリマーDであり;
前記の熱可塑性ポリマーブロックが、少なくとも3個の同一の反応性官能基を有する少なくとも1個の多官能性コアと、該コアに結合した熱可塑性ポリマーの少なくとも1個の分岐又はセグメントとを含む星形又はH高分子鎖を含み;
前記のポリアルキレンオキシドブロック(群)が、前記星形又はH高分子鎖中の熱可塑性ポリマーの分岐又はセグメントの末端と多官能性コアの末端とから選択される自由末端の少なくとも一部に結合している:
ことを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックの星形高分子鎖が
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)次の一般式(IIa)及び/又は(IIb)のモノマー:
【化1】

【化2】

(c)随意としての次の一般式(III)のモノマー:
【化3】

(ここで、
Zは前記多官能性化合物の反応性官能基のものと同じ官能基を表わし、
1及びR2は2〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる同一の又は異なる置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族炭化水素基を表わし、
Yは、Xがカルボン酸官能基を表わす場合には第1アミン官能基であり、Xが第1アミン官能基を表わす場合にはカルボン酸官能基を表わす)
を含むモノマー混合物から出発する共重合によって得られる星形ポリアミドであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックのH高分子鎖が
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)ラクタム及び/又はアミノ酸、
(c)ジカルボン酸又はジアミンから選択される二官能性化合物、
(d)官能基がアミン官能基又はカルボン酸官能基のいずれかである一官能性化合物
(ここで、
(a)の官能基が酸である場合には(c)及び(d)の官能基はアミンであり、
(a)の官能基がアミンである場合には(c)及び(d)の官能基は酸であり、
(a)の官能基対(c)及び(d)の官能基の合計の当量比は1.5〜0.66の範囲であり、
(c)の官能基対(d)の官能基の当量比は0.17〜1.5の範囲である)
を含むモノマーの混合物から出発する共重合によって得られるHポリアミドであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記多官能性化合物が次式(IV):
【化4】

(ここで、
1は少なくとも2個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含むことができる直鎖状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、
Aは共有結合又は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、
Zは第1アミン基又はカルボン酸基を表わし、
mは3〜8の範囲の整数である)
で表わされることを特徴とする、請求項21〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記多官能性化合物が2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン又は4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択されることを特徴とする、請求項21〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマーDのポリアルキレンオキシドブロックが線状であることを特徴とする、請求項21〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマーDのポリアルキレンオキシドブロックがポリエチレンオキシドブロックであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーDの熱可塑性ポリマーブロックの高分子鎖の自由末端がポリアルキレンオキシドブロックに結合していることを特徴とする、請求項21〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記多分岐ポリマーEがポリエステル、ポリエステルアミド又はポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記多分岐ポリマーEが
・次式(I)の少なくとも1種のモノマー:
【化5】

(ここで、
Aは第1のタイプの重合用反応性官能基であり、
BはAと反応することができる第2のタイプの重合用反応性官能基であり、
Rは炭化水素部分であり、
fはモノマー1個当たりの反応性官能基Bの総数であり、2以上、好ましくは2〜10の範囲の数である);
・次式(II)の少なくとも1種のモノマー又は対応するラクタム:
【化6】

(ここで、
A'、B'及びR'は式(I)においてA、B及びRについてそれぞれ上に与えたものと同じ定義を有する);
・次式(III)の少なくとも1種の「コア」モノマー又は次式(IV)の少なくとも1種の「連鎖抑制用」モノマー:
【化7】

(ここで、
1はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アルキルアリールタイプ、アリールアルキルタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、不飽和及び/又はヘテロ原子を含んでいてもよく、
B''はB又はB'と同じ性状の反応性官能基であり、
nは1以上、好ましくは1〜100の範囲の数である);
【化8】

(ここで、
2はシリコーンタイプ、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキルタイプ、芳香族タイプ、アリールアルキルタイプ、アルキルアリールタイプ又は環状脂肪族タイプの置換又は非置換炭化水素基であって、1個以上の不飽和及び/又は1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
A''はA又はA'と同じ性状の反応性官能基である);
(ここで、(I)/(II)のモル比I/IIは、0.05<I/II、好ましくは0.125≦I/II≦2とし;
モノマー(I)又はモノマー(II)の少なくとも一方のR又はR'単位の少なくとも1つは脂肪族、環状脂肪族又はアリール脂肪族であり;
1及び/又はR2はポリオキシアルキレン基である):
の間の反応によって得られるタイプの多分岐コポリアミドであることを特徴とする、請求項19又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記重合用反応性官能基A、B、A'及びB'がカルボキシル官能基及びアミン官能基より成る群から選択されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記の式(I)のモノマーは、Aがアミン官能基を表わし、Bがカルボキシル官能基を表わし、Rが芳香族基を表わし且つfが2である化合物であることを特徴とする、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物Bが添加剤Aの構造の少なくとも一部に対して適合性である構造を有することを特徴とする、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記化合物Bが多糖類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオレフィン及びシリコーンの類に属する化合物から選択されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
所望の平均粒子直径が0.1〜800μmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれかに記載の方法に従って得られる熱可塑性材料Pの粉体。

【図1】
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【公表番号】特表2009−533507(P2009−533507A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504690(P2009−504690)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053251
【国際公開番号】WO2007/115977
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】