説明

熱可塑性基材用紫外線硬化保護層

本発明は、第一層(S1)および第二層(S2)を含む多層製品であって、S1が、 A) A.1)ウレタン結合またはエステル結合を含み、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性を有する脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物および A.2)一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物、からなる群の少なくとも一つから選択される一種類以上の脂肪族ポリマー前駆体、 B)一種類以上の微粒子無機化合物、 C)トリアジン誘導体およびビフェニルトリアジン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の有機紫外線吸収剤、好ましくは少なくとも一種類のビフェニルトリアジン誘導体の紫外線吸収剤、 D)要すれば一種類以上のHALSクラスのラジカル掃去剤、 E)要すれば一種類以上の流れ調整剤、 F)要すれば一種類以上の溶媒、並びに G)アシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤、から得られ、第二層が熱可塑性ポリマーである多層製品に関する。加えて、本発明は、紫外線硬化性第一層の組成物、これらの多層製品の製造方法、およびこれらの多層製品を含む製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一層がSiOナノ粒子を含む紫外線硬化保護層であり、第二層が熱可塑性基材を含む、多層製品に関する。加えて、本発明は、紫外線硬化性第一層の組成物、多層製品の製造方法およびこれらの多層製品を含む製品、例えばグレージング製品に関する。
【背景技術】
【0002】
C.Roscher in Pitture e Vernici−European Coatings 2004,20,7−10は、コーティングシステムとして二酸化ケイ素のナノ粒子を含み、対応する充填剤を含まないコーティングシステムに対して明らかに改良された耐引掻き性および耐摩耗性を有する紫外線硬化性有機コーティングシステムを開示している。
【0003】
ポリカーボネートから製造される成形品が以前から知られている。しかしながら、ポリカーボネートは、それ自体本来紫外線安定性でないという欠点を有する。ビスフェノールAポリカーボネートの感度曲線は、320nm〜330nmにおいて最も高い感度を有する。300nm以下において、太陽光線が地球に到達せず、350nm以上において、このポリカーボネートは更なる黄変が起こらないほど不感受性である。
【0004】
紫外線感応性プラスチック基材、例えばポリカーボネート、の耐久性コーティング、従って、長期にわたる外部適用にも好適な多層製品に関して、有効な紫外線保護が更に第一層に要求される。
【0005】
コーティングにおいて使用されると知られている典型的な紫外線安定剤は、紫外線吸収剤、例えば2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−シアナクリレート(2−cyanacrylate)およびオキサルアニリド(oxalanilide)、並びにHALS(ヒンダードアミン光安定剤)タイプのラジカル掃去剤(radical interceptors)である。これらの追加のコーティング成分は、紫外線硬化結合剤と共に、紫外線に関する光開始剤と競争してまたは開始剤ラジカルもしくは形成される二次ラジカルを捕捉することによって、紫外線によって開始されるラジカル架橋反応に影響を与える。
【0006】
以下に、先行技術を、紫外線硬化によって形成された有機ナノ粒子を添加したマトリックスからなり、紫外線吸収剤を含む第一層を有する多層製品と組み合わせる。
【0007】
アクリレートおよびコロイド状二酸化ケイ素ベースの紫外線硬化性コーティングがEP−A 0 424 645において開示されており、ここでは、紫外線吸収剤、明確にベンゾフェノンタイプ、シアナクリレートタイプおよびベンゾトリアゾールタイプ、並びにHALSタイプのラジカル掃去剤、が可能な添加剤として言及されている。紫外線が放射硬化に使用される場合、紫外線硬化剤の量に応じて硬化の妨害の問題がある。硬化用光開始剤に関して、EP−A 0 424 645によると、制限がなく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(Ciba Speciality ChemicalsのDanocure(登録商標)1173)および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)651)が明確に言及されている。
【0008】
コロイド状二酸化ケイ素、シリルアクリレート、アクリレート、光開始剤かつ紫外線吸収剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF AGのLucirin TPO)ベースの紫外線放射によって硬化可能なコーティングがEP−A 0 576 247において開示されている。HALSタイプの立体的に妨害されるアミン、フルオロアクリレートおよびアルキルアクリレートを任意に添加剤として使用してもよい。三つのベンゾフェノンタイプと二つのベンゾトリアゾールタイプ、Cyasorb(登録商標)UV−416、Cyasorb(登録商標)UV−531、Cyasorb(登録商標)UV−5411、Tinuvin(登録商標)328およびUnivol(登録商標)400が紫外線吸収剤として明確に挙げられている。
【0009】
コロイド状酸化ケイ素、アルコキシシリルアクリレート、アクリレートモノマーおよびゲル形成阻害剤ベースであって、任意に紫外線吸収剤、例えばレソルシノールモノベンゾエートおよび2−メチルレソルシノールジベンゾエート、が含まれていてもよい、紫外線放射によって硬化可能なコーティングがUS 5,468,789において開示されている。
【0010】
第二層に対する充分な保護機能を達成するために、第一層は主に第二層に有害である紫外線をできるだけ完全に除去するかまたは吸収しなければならない。従って、第二層としてポリカーボネートの場合、波長300〜340nmの紫外線は第一層からできるだけ完全に除去されるかまたは吸収されなければならない。第一層においてできるだけ高い吸収率を有する相当量の紫外線吸収剤と第一層の充分大きい層厚との両方がこのことに必要である。紫外線吸収剤のこの高い紫外線除去作用は、紫外線と光開始剤とによって開始される第一層の硬化においてラジカルの形成に必要とされる光を競い合う。光安定剤としてのラジカル掃去剤、例えばHALS、の更なる使用は、更に困難である。なぜなら、それらは、架橋のラジカル開始に必要とされ、紫外線放射によって開始剤から形成されるラジカルを捕捉するからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、紫外線感応性基材、例えばポリカーボネート、を第二層として有し、紫外線硬化耐引掻き性耐摩耗性保護層を第一層として有する多層製品であって、有効な紫外線保護および高い耐摩耗性が認められる多層製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、驚くべきことに、アシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤を含み、適用および硬化後に多層製品の第一層を形成するコーティング配合物によって達成される。これらの光開始剤は、任意に更に別の光開始剤と組み合わせてもよく、紫外線安定剤、例えば、トリアジン誘導体および任意にHALSクラスのラジカル掃去剤、の存在によって損なわれない、高い耐摩耗性および耐引掻き性に必要な有効な紫外線開始架橋を生じる。実行される紫外線保護を有する本発明による多層製品の耐摩耗性は、シロキサンベースの保護コーティングシステムを有する対応する多層製品に相当するレベルにある。
【0013】
従って、本発明の目的は、第一層(S1)および第二層(S2)を含み、第一層が
A) A.1) ウレタン結合またはエステル結合を含み、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性を有する脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物および
A.2) 一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物
からなる群の少なくとも一つから選択される一種類以上の脂肪族ポリマー前駆体、
B) 一種類以上の微粒子無機化合物、
C) トリアジン誘導体およびビフェニルトリアジン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の有機紫外線吸収剤、好ましくは少なくとも一種類のビフェニルトリアジン誘導体の紫外線吸収剤、
D) 要すれば一種類以上のHALSクラスのラジカル掃去剤
E) 要すれば一種類以上の流れ調整剤
F) 要すれば一種類以上の溶媒、並びに
G) アシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤であって、高い光化学反応性および300nm以上、特に好ましくはλ350nm以上の近紫外領域における吸収帯によって区別される光開始剤
から得られるコーティングであり、かつ第二層が熱可塑性ポリマーである、多層製品である。
【0014】
好ましい態様において、第一層(S1)の成分は、以下の量比において使用される。
成分AおよびBの混合物に基づいて
成分A、20〜95wt.%、好ましくは50〜80wt.%、
成分B、5〜80wt.%、好ましくは20〜50wt.%および
成分G、0.1〜10wt.%、好ましくは0.5〜8wt.%、特に好ましくは1〜5wt.%
が使用される。
溶媒(成分F)の量は、試験的に決定される固形分20〜50wt.%、好ましくは30〜40wt.%が成分A、BおよびFの混合物に関して生じるように測定される。
成分A、BおよびFの混合物の固形分に基づいて
成分C、0.1〜20wt.%、好ましくは0.5〜10wt.%、特に好ましくは0.8〜5wt.%、
成分D、0〜10wt.%、好ましくは0.1〜5wt.%、特に好ましくは0.2〜2wt.%および
成分E、0〜5wt.%、好ましくは0.1〜1wt.%
が使用される。
【0015】
第一層(S1)の成分および構造
成分A
成分Aによる脂肪族ポリマー前駆体は、成分A.1およびA.2からなる群の少なくとも一つから選択され、
A.1)は、ウレタン結合またはエステル結合を含み、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性を有する脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物であり、
A.2)は、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物である。
【0016】
成分Aによる一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する好適なポリマー前駆体は、好ましくは、式
(RC=CRCO (I)
(式中、
nは2以上であり、
およびRは、互いに独立して、HまたはC〜C30アルキル、好ましくはH、メチルまたはエチルであり、かつ
は、成分A.1によるポリマー前駆体の場合、ウレタン結合またはエステル結合によって結合された脂肪族炭化水素ユニットからなるn価有機基であり、
は、成分A.2によるポリマー前駆体の場合、n価有機基であり、好ましくは1〜30の炭化水素を有する。)
のものである。
【0017】
成分A.1による脂肪族ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートのクラスに属する好適なオリゴマーの製造、およびそれらのコーティングバインダーとしての使用は既知であり、Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints,vol.2,1991,SITA Technology,ロンドン(P.K.T.Oldring(編)73〜123頁(Urethane Acrylates)または123〜135頁(Polyester Acrylates)に記述されている。市販の本発明による好適なものは、例えば脂肪族ウレタンアクリレート、例えばEbecryl(登録商標)4858、Ebecryl(登録商標)284、Ebecryl(登録商標)265、Ebecryl(登録商標)264(Cytec Surface Specialities製)、Cray ValleyのCraynor(登録商標)925、Vianova ResinのViaktin(登録商標)6160、Bayer MaterialScience AGのRoskydal(登録商標)2258、CognisのPhotomer(登録商標)6891または更に反応性希釈剤に溶解された脂肪族ウレタンアクリレート、例えばBASF AGのLaromer(登録商標)8987(ヘキサンジオールアクリレート中70%)、Bayer MaterialScience AGのRoskydal(登録商標)2303(ヘキサンジオールジアクリレート中80%)、Cray ValleyのCraynor(登録商標)945B85(ヘキサンジオールジアクリレート中85%)およびCraynor(登録商標)963B80(ヘキサンジオールジアクリレート中80%)または更にポリエステルアクリレート、例えばCytec Surface SpecialitiesのEbecryl(登録商標)810または830である。
【0018】
成分A.2による好適な反応性希釈剤の製造および使用は既知であり、Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints,vol.2,1991,SITA Technology,ロンドン(P.K.T.Oldring(編)237〜306頁(Reactive Diluents)に記述されている。例えば、メタンジオールジアクリレート、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートおよび対応するメタクリレート誘導体が本発明の範囲内で好適である。1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらのメタクリレート誘導体が好ましく使用される。1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートおよびそれらのメタクリル酸誘導体、特に成分A.1との混合物が特に好ましく使用される。
【0019】
成分B
成分Bは、微粒子無機化合物、好ましくは 周期システム(periodic system)の第1〜第5主族(main group)または第1〜第8亜族(sub−group)、好ましくは第2〜第5主族もしくは第4〜第8亜族、特に好ましくは第3〜第5主族もしくは第4〜第8亜族の一以上の金属の極性化合物少なくとも一種類またはこれらの金属と酸素、水素、硫黄、リン、ホウ素、炭素、窒素もしくはケイ素から選択される少なくとも一種類の元素の化合物からなるものを含有する。好ましい化合物は、例えば、酸化物、水酸化物、水性酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、炭酸塩、炭化物、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水素化物、リン酸塩またはホスホン酸塩である。
【0020】
好ましくは、酸化物、リン酸塩、水酸化物の微粒子無機化合物、好ましくはTiO、SiO、SnO、ZnO、ZnS、ZrO、Al、AlO(OH)、ベーマイト、アルミニウムホスフェート、更に、TiN、WC、Fe、酸化鉄、NaSO、酸化バナジウム、ホウ酸亜鉛、ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、一次元−、二次元−または三次元−ケイ酸塩である。混合物およびドープ化合物も更に使用されうる。
【0021】
水和物含有酸化アルミニウム(例えばベーマイト)および二酸化ケイ素が特に好ましい。二酸化ケイ素が特に好ましい。
【0022】
本発明による微粒子無機化合物の平均粒度(d50)は1〜200nm、好ましくは5〜50nm、特に好ましくは7〜40nmである。特に、これらの微粒子無機化合物は狭い粒度分布((d90−d10)/d50)、2以下、特に好ましくは0.2〜1.0の分布を有する。粒度の決定は、分析超遠心分離によって行われ、d90は90%値であり、d10は10%値でありかつd50は粒度の全体の重量分布の平均である。粒度決定に関する分析超遠心分離の使用は、H.G.Mueller Progr.Colloid Polym.Sci.2004,127,9〜13頁に記述されている。
【0023】
好ましい態様において、これらの微粒子無機化合物の表面は、アルコキシシラン化合物によって変性される。式
Si(OR’)4−m (II)
(式中、
m=1、2または3かつ
RおよびR’=一価有機基、好ましくは炭素原子を1〜30個有するアルキル鎖。)
のアルコキシシラン化合物が好ましく使用される。微粒子無機化合物の表面変性は、特に好ましくはアクリレート官能化トリアルコキシシラン化合物
(RC=CRCO)−R−Si(OR (III)
(式中、
およびR は、互いに独立して、HまたはC〜C30アルキル、好ましくはH、メチルまたはエチルであり、
は、炭素原子を1〜30個有する二価有機基、好ましくはアルキル鎖であり、
は、一価有機基、好ましくは炭素原子を1〜30個有するアルキル鎖、特に好ましくはメチルおよびエチルである。)
で行われる。
【0024】
以下のアクリレート官能化トリアルコキシシラン化合物、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシランおよびメタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、が微粒子無機化合物の表面変性に関して特に好ましく使用される。
【0025】
好ましい態様において、微粒子無機化合物は、A)およびF)からなる群から選択される少なくとも一種類の成分における分散体として使用される。コーティング配合物における分散性凝集物を含まない微粒子無機化合物が好ましい。
【0026】
成分C
本発明の範囲内の紫外線吸収剤は、トリアジンの誘導体、好ましくはビフェニルトリアジンの誘導体である。以下の式(IV)
【化1】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COOR、好ましくはOCH(R)COOR
=分枝もしくは非分枝C〜C13アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12アリールまたは−CO−C〜C18アルキル、
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜Cアルキル、好ましくはCHかつ
=C〜C12アルキル;C〜C12アルケニルまたはC〜Cシクロアルキル、好ましくはC17
による紫外線吸収剤が好ましく使用される。
【0027】
X=OCH(R)COOR、R=CHかつR=C17の式(IV)による紫外線吸収剤(Ciba Speciality Chemicalsの紫外線吸収剤CGL479)が成分Cとして特に好ましく使用される。
【0028】
一般式(IV)のビフェニル置換トリアジンは原則としてWO−A 96/28431;DE−A 197 39 797;WO−A 00/66675;US 6,225,384;US 6,255,483;EP−A 1 308 084およびDE−A 101 35 795で知られている。
【0029】
好ましい態様において、紫外線吸収剤は、第二層の最大感度の範囲内の高い紫外線吸収率を有し、特に好ましくは紫外線吸収剤は300〜340nmに紫外線吸収極大を有する。
【0030】
成分D
本発明による成分Dは、いわゆるHALS(ヒンダードアミン光安定剤)システムである。従って、更なる安定化が達成される。HALSシステムは、式(V)
【化2】

(式中、
Y=H;RまたはOR
=分枝もしくは非分枝C〜C13アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12アリールまたは−CO−C〜C18アルキル、かつ
=Z−R10−Z−R11
【化3】

(式中、
Z=二価官能基、例えばC(O)O、NHまたはNHCO
10=二価有機基、例えば(CH(l=0〜12)、C=CH−Ph−OCH
【化4】

11=HまたはC〜C20アルキル))
のアミンである。
【0031】
これは、下記式
【化5】

(式中、Y、Z、R10およびR11は、上記意味を有する。)
を与える。
【0032】
下記式
【化6】

(式中、Yおよびlは上記意味を有する。)
および
【化7】

(式中、YおよびR11は、上記意味を有する。)
のHALSシステムが好ましく使用される。
【0033】
式(Vf)および(Vg)
【化8】

(式中、Y=OC17(ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸エステル;Ciba Speciality ChemicalsのTinuvin(登録商標)123))
および
【化9】

(式中、Y=CH((3,5−ジtert.−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル;Ciba Speciality ChemicalsのTinuvin(登録商標)144))
のHALSシステムが特に好ましい。
【0034】
成分E
本発明による成分Eは、好ましくは、第二層の表面においてコーティング配合物の良好な濡れを促進し、更にコーティング配合物の硬化において形成される第一層の視覚的に魅力的な表面を促す全ての流れ調整剤である。Janos Hajas“Levelling Additives”in Additives in Coatings,Johan Beileman(編),Wiley−VCH Verlag GmbH,Weinheim 2000,164〜179頁が一般的な流れ調整剤の概観を説明している。例えば、好ましくは、BYK Chemieの流れ調整剤BYK(登録商標)300が使用される。
【0035】
成分F
本発明による成分Fは、第二層とある程度相溶性であり、かつ、実際の第一層への紫外線硬化後に高い透明度および低いヘイズを有する多層製品が得られるコーティング配合物の分散、適用および蒸発をある程度促進する溶媒または溶媒混合物でなければならない。これらは、例えば、好ましくは、アルカン、アルコール、エステル、ケトンまたはそれらの混合物である。アルコール(メタノール以外)、酢酸エチルエステルおよびブタノンが特に好ましく使用されうる。ジアセトンアルコール(CHC(OH)CHC(=O)CH、酢酸エチルエステル、メトキシプロパノールおよびブタノンからなる群の少なくとも一つから選択される溶媒または溶媒混合物がより特に好ましい。
【0036】
成分G
成分Gは、式VI(アシルホスフィンオキシド)またはVII(α−アミノアルキルフェノン)
【化10】

(式中、
12=C〜C30アルキル、または任意にC〜Cアルキルおよび/もしくは塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アリールオキシもしくはC〜C12アラルキル、好ましくはフェニル、CHCH(CH)CHC(CHまたは
【化11】

13=C〜C30アルキル、C〜C30アルコキシ、または任意にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアシルおよび/もしくは塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アリールオキシ、C〜C21アロイルもしくはC〜C12アラルキル、好ましくはOCHCH、フェニル
【化12】

14=C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、好ましくはCHまたはOCH
n=0〜5、好ましくは0、2または3
15、R16、R17およびR18は、互いに独立して、C〜C30アルキル、または任意にC〜Cアルキルおよび/もしくは塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリールもしくはC〜C12アラルキルであり、好ましくはR15はCHPhまたはCH、R16=CHCHまたはCH、R17=CHかつR18=CHであり、
17およびR18は、更に、式(VII)における窒素Nが複素環システムの一部、好ましくはモルホリン
【化13】

の一部になるように環に結合していてもよく、
19=任意にC〜Cアルキル、および/または塩素、臭素で置換されていてもよく、環のC原子がヘテロ原子、例えばN、OまたはSで置換されていてもよい、C〜Cシクロアルキル、C〜C30アルコキシ、C〜C30アルキルチオ、C〜C30ジアルキルアミノ、好ましくはメチルチオまたは
【化14】


のアシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤である。
【0037】
以下のものが成分Gの光開始剤として好ましく使用される:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)819)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF AGのLucirin(登録商標)TPO Solid)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ベンゾイルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル(BASF AGのLucirin(登録商標)8728)、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(BASF AGのLucirin(登録商標)TPO−L)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)369)および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン(式VIIa参照;Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)907)。
【化15】

【0038】
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)819)、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(BASF AGのLucirin(登録商標)TPO−L)および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)907)が特に好ましく使用される。
【0039】
本発明による光開始剤は高い光化学反応性および近紫外領域における吸収帯を有する。
【0040】
式(VI)の光開始剤と式(VII)の光開始剤との互いの混合物ならびに式(VI)および(VII)の光開始剤と他の一般的に知られている光開始剤、例えばα−ヒドロキシアルキルフェノンまたはフェニルアセトフェノン、との混合物もまた好適である。ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノンとの、好ましくは225:75の比(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)1800)の、混合物、またはビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンとの、好ましくは25:75の比(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)1700)の、混合物が好ましく使用される。
【0041】
第二層(S2)の構造
本発明の範囲内の第二層の熱可塑性ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリアルキレンテレフタレート)、ポリフェニレンエーテル、グラフトコポリマー(例えば、ABS)およびそれらの混合物である。
【0042】
第二層は、好ましくはポリカーボネート、特にホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび/または熱可塑性ポリエステルカーボネートである。
【0043】
それらは、好ましくは平均分子量M18,000〜40,000、好ましくは22,000〜36,000、特に24,000〜33,000(ジクロロメタン中またはフェノール/o−ジクロロベンゼンの等重量混合物中で相対溶液粘度を測定し、光散乱によって較正することによって決定される。)を有する。
【0044】
ポリカーボネートの製造に関しては、例えば、“Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates,Polymer Reviews,第9巻,Interscience Publishers,ニューヨーク,ロンドン,シドニー1964年”および“D.C.PREVORSEK,B.T.DEBONA and Y.KESTEN,Corporate Research Center,Allied Chemical Corporation,モリスタウン,ニュージャージー07960,“Synthesis of Poly(ester)carbonate Copolymers”in Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry Edition,第19巻,75〜90頁(1980年)”および“D.Freitag,U.Grigo,P.R.Mueller,N.Nouvertne,BAYER AG,‘Polycarbonates’in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第11巻,第二版,1988年,648〜718頁”,および最後に“Dres.U.Grigo,K.Kircher and P.R.Mueller‘Polycarbonate’in Becker/Braun,Kunststoff−Handbuch,第3/1巻,Polycarbonate,Polyacetale,Polyester,Celluloseester,Carl Hanser Verlag Munich,ウィーン 1992年,117〜299頁”を参照。
【0045】
ポリカーボネートの製造は、好ましくは相界面法または溶融エステル交換法によって行われ、以下に例として相界面法において記述する。
【0046】
出発化合物として好ましく使用される化合物は、一般式(VIII)
HO−R−OH (VIII)
(式中、Rは、炭素原子を6〜30個有し、一以上の芳香基を含む二価の有機基である。)
のビスフェノールである。
【0047】
そのような化合物の例は、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、インダンビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトンおよびα,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼンの群に属するビスフェノールである。
【0048】
上記化合物群に属する特に好ましビスフェノールは、ビスフェノールA、テトラアルキルビスフェノールA、4,4−(メタ−フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4−(パラ−フェニレンジイソプロピル)ジフェノール、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BP−TMC)および要すればそれらの混合物である。
【0049】
好ましくは、本発明による使用されるビスフェノール化合物は、炭酸化合物、特にホスゲン、と反応させられるか、または溶融エステル交換法においてジフェニルカーボネートもしくはジメチルカーボネートと反応させられる。
【0050】
ポリエステルカーボネートは、好ましくは、既に挙げられたビスフェノール、少なくとも一種類の芳香族ジカルボン酸および要すれば炭酸同等物の反応によって得られる。好適な芳香族ジカルボン酸は、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3’−または4,4’−ジフェニルジカルボン酸およびベンゾフェノンジカルボン酸である。ポリカーボネート中のカーボネート基の一部、80mol%以下、好ましくは20〜50mol%が芳香族ジカルボン酸エステル基で置換されてもよい。
【0051】
相界面法において使用される不活性有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、種々のジクロロエタンおよびクロロプロパン化合物、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、クロロベンゼンおよびクロロトルエンであり、好ましくはクロロベンゼンまたはジクロロメタンまたはジクロロメタンとクロロベンゼンとの混合物が使用される。
【0052】
相界面反応は、触媒、例えば第三級アミン、特にN−アルキルピペリジンまたはオニウム塩、によって促進され得る。トリブチルアミン、トリエチルアミンおよびN−エチルピペリジンが好ましく使用される。溶融エステル交換法の場合、DE−A 4 238 123において挙げられている触媒が好ましく使用される。
【0053】
ポリカーボネートは、少量の分枝剤の使用によって意図的にかつ制御されて分枝され得る。いくつかの好適な分枝剤は、フルルグルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、ヘキサ−(4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェニル)−オルトテレフタル酸エステル、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、テトラ−(4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノキシ)−メタン、α,α’,α’’−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル、3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、1,4−ビス−(4’,4’’−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル)−ベンゼン、特に1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよびビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0054】
要すれば使用される、使用されるジフェノールに基づいて0.05〜2mol%の分枝剤または分枝剤の混合物を、ジフェノールと共に使用しても合成の後期に添加してもよい。
【0055】
好ましくは、フェノール、例えばフェノール、アルキルフェノール、例えばクレゾールおよび4−tert.−ブチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールまたはこれらの混合物を、連鎖停止剤としてビスフェノール1モルあたり1〜20mol%、好ましくは2〜10mol%の量で使用してもよい。フェノール、4−tert.−ブチルフェノールまたはクミルフェノールが好ましい。
【0056】
連鎖停止剤および分枝剤は合成に単独で添加されてもビスフェノールと共に添加されてもよい。
【0057】
溶融エステル交換法によるポリカーボネートの製造は、例えばDE−A 4238 123に記述されている。
【0058】
本発明による多層製品の第二層に好ましい本発明によるポリカーボネートは、ビスフェノールAベースのホモポリカーボネート、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンベースのホモポリカーボネート並びに二種類のモノマービスフェノールAおよび1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンベースのコポリカーボネートである。
【0059】
ビスフェノールAベースのホモポリカーボネートが特に好ましい。
【0060】
ポリカーボネートは安定剤を含む。好適な安定剤は、例えばホスフィン、ホスフェートまたはSi含有安定剤およびEP−A 0 500 496に記述されている別の化合物である。トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラキス−(2,4−ジ−tert.−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびトリアリールホスファイトが例として挙げられる。トリフェニルホスフィンおよびトリス−(2,4−ジ−tert.−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
【0061】
更に、本発明による多層製品のポリカーボネート含有第二層は、一価〜六価アルコール、特にグリセロール、ペンタエリトリトールまたはゲルベアルコール、のエステルまたは部分エステル、0.01〜0.5wt.%を含み得る。
【0062】
一価アルコールは、例えばステアリルアルコール、パルミチルアルコールおよびゲルベアルコールである。
【0063】
二価アルコールは、例えばグリコールである。
【0064】
三価アルコールは、例えばグリセロールである。
【0065】
四価アルコールは、例えばペンタエリトリトールおよびメソエリトリトールである。
【0066】
五価アルコールは、例えばアラビトール、リビトールおよびキシリトールである。
【0067】
六価アルコールは、例えばマンニトール、グルシトール(ソルビトール)およびズルシトールである。
【0068】
エステルは、好ましくは、飽和脂肪族C10〜C36モノカルボン酸および要すればヒドロキシモノカルボン酸、好ましくは飽和脂肪族C14〜C32モノカルボン酸および要すればヒドロキシル−モノカルボン酸の、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルまたはこれらの混合物、特に統計的混合物である。
【0069】
市販の脂肪酸エステル、特にペンタエリトリトールおよびグリセロールの脂肪酸エステル、は、その製造のために60%未満の異なる部分エステル含み得る。
【0070】
炭素原子を10〜36個有する飽和脂肪族モノカルボン酸は、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびモンタン酸である。
【0071】
炭素原子を14〜22個有する好ましい飽和脂肪族モノカルボン酸は、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸およびベヘン酸である。
【0072】
飽和脂肪族モノカルボン酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
【0073】
飽和脂肪族C10〜C36カルボン酸および脂肪酸エステルは、文献で知られているものであるかまたは文献で知られている方法によって製造される。ペンタエリトリトール脂肪酸エステルの例は、上記特に好ましいモノカルボン酸のものである。ペンタエリトリトールおよびグリセロールとステアリン酸およびパルミチン酸とのエステルが特に好ましい。更に、ゲルベアルコールおよびグリセロールとステアリン酸およびパルミチン酸および要すればヒドロキシステアリン酸とのエステルが特に好ましい。
【0074】
本発明による多層製品は、別の層、特に式(IV)の紫外線安定剤を含む別の紫外線保護層(S3)を備え得る。この場合、層の順序は、(S1)−(S2)−(S3)であり、層(S1)および(S3)は同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
【0075】
本発明による多層製品は、有機染料、無機着色顔料、蛍光染料および特に好ましくは蛍光増白剤を含み得る。
【0076】
本発明の対象は、更に、
A) A.1) ウレタン結合またはエステル結合と一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性とを含む脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物および
A.2) 一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物
からなる群の少なくとも一つから選択される一種類以上の脂肪族ポリマー前駆体、
B) 好ましくは分散凝集物を含まないコーティング配合物中に存在する、一種類以上の微粒子無機化合物、
C) トリアジン誘導体およびビフェニルトリアジン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の有機紫外線吸収剤、好ましくは少なくとも一種類のビフェニルトリアジン誘導体の紫外線吸収剤、
D) 要すればHALSクラスの一種類以上のラジカル掃去剤
E) 要すれば一種類以上の流れ調整剤
F) 要すれば一種類以上の溶媒、並びに
G) 好ましくは高い光化学反応性および300nm以上、特に好ましくはλ350nm以上の近紫外線領域における吸収帯によって区別される、アシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤
から得られる、多層製品の少なくとも一つの層の製造に好適なコーティングである。
【0077】
本発明の対象は、更に、
(i) 第一工程において、第一層S1をコーティング配合物の形態で、好ましくは射出成形または押出によってS2の熱可塑性ポリマーから製造されるあらゆる形態のプラスチック成形品である第二層S2に適用し、かつ
(ii) 第二工程において、第一層のコーティング配合物を硬化する、
多層製品の製造方法である。
【0078】
好ましくは、第一工程(i)において、フローコーティング、浸漬、吹付、ロールコーティングまたは遠心処理(centrifuging)によってコーティング配合物を第二層の表面に適用し、次に室温および/または高温(好ましくは20〜200℃、特に好ましくは40〜120℃)において蒸発させる。第二層の表面を洗浄または活性化によって前処理してもよい。
【0079】
好ましくは、第二工程(ii)において第一層の硬化を紫外線によって行い、ここで水銀灯または対応のドープ変形(例えばガリウムまたは鉄による。)が紫外線源として好ましく使用される。
【0080】
本発明の別の対象は、多層製品の製造および多層製品で構成される製品である。更に、本発明の対象は、上記多層製品の使用、特に視覚的印象に関して常に高い要件を有する外部適用、例えばグレージング、への使用である。
【0081】
本発明の対象は、特に更に層S2としてプラスチック成形品を含む多層製品であって、好ましくは熱可塑性ポリマーから射出成形または押出によって製造され、かつS1のコーティングで被覆され、要すれば更に別の層S3で被覆されるものである。この多層製品は、例えばグレージング製品、例えば建築用グレージング(architectural glazing)、自動車グレージング(automotive glazing)、スポットライトグレージング(spotlight glazing)、レンズまたはヘルメットバイザーである。
【実施例】
【0082】
成分AB:
成分AB−1: 脂肪族ウレタンヘキサアクリレートであるVianova ResinのViaktin(登録商標)6160を含み、平均粒度(d50)23.5nmかつ((d90−d10)/d50)0.66)である微粒子SiOの固形分40wt.%である、Hanse Chemie AGのNanocryl(登録商標)xp21/1372
成分AB−2: 脂肪族ウレタンジアクリレートであるCytec Surface SpecialitiesのEbecryl(登録商標)4858を含み、微粒子SiO(d50=24.3nm;(d90−d10)/d50=0.43)の固形分40wt.%である、Nanocryl(登録商標) xp21/1468(Hanse Chemie AG)
成分AB−3: ポリエステルテトラアクリレートであるCytec Surface SpecialitiesのEbecryl(登録商標)810を含み、微粒子SiO(d50=27.7nm;(d90−d10)/d50=0.61)の固形分50wt.%である、Nanocryl(登録商標)xp21/1930(Hanse Chemie AG)
成分AB−4: 反応性希釈剤としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30%を有する脂肪族ウレタントリアクリレートであるBASF AGのLaromer(登録商標)8987を含み、微粒子SiO(d50=24.1nm;(d90−d10)/d50)=0.49)の固形分40wt.%である、Nanocryl(登録商標)xp21/1447(Hanse Chemie AG)
成分AB−5: 反応性希釈剤としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート20%を有する脂肪族ウレタントリアクリレートであるBayer MaterialScience AGのRoskydal(登録商標)2308を含み、更に1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)でHDDA25%に希釈された、微粒子SiO(d50=24.0nm;(d90−d10)/d50=0.58)の固形分50wt.%である、Nanocryl(登録商標)xp21/2344(Hanse Chemie AG)
成分AB−6: 脂肪族ウレタンジアクリレートであるCytec Surface SpecialitiesのEbecryl(登録商標)4858を含み、反応性希釈剤としてのトリシクロデカンジメタノールジアクリレートで70対30の比に希釈された、微粒子SiO(d50=24.1nm;(d90−d10)/d50)=0.47)の固形分40wt.%である、Nanocryl(登録商標)xp21/3032(Hanse Chemie)
【0083】
成分C: Ciba Speciality Chemicalsの紫外線吸収剤CGL479
【0084】
成分D:
成分D−1: Ciba Speciality ChemicalsのHALSシステムTinuvin(登録商標)123
成分D−2: Ciba Speciality ChemicalsのHALSシステムTinuvin(登録商標)144
【0085】
成分E: BYK Chemieの流れ調整剤BYK(登録商標)300
【0086】
成分F:
成分F−1: ジアセトンアルコール
成分F−2: メトキシプロパノール
【0087】
成分G:
成分G−1: Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)184(対照)
成分G−2: Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)819
成分G−3: Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)1800
成分G−4: Ciba Speciality ChemicalsのDarocure(登録商標)1173(対照)
成分G−5: Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)651(対照)
成分G−6: BASF AGのLucirin(登録商標)TPO−L
成分G−7: Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)907
【0088】
試験手順(概要):
a)コーティング配合物の製造:
表1の「コーティング基本配合物」と見出しを付けられた列に挙げられる量のHanse Chemie AGの成分ABを所定量の成分F−1またはF−2に溶解した。次に、固形分をSatoriusのソリッドテスター(solid tester)MA40を使用して以下のように実験的に決定した。
【0089】
SatoriusのソリッドテスターMA40を用いる固形分の実験的決定:
製造されたコーティング溶液約2gをアルミニウム皿に置き、正確な重量m(加熱相前の初期重量)を決定する。次にこのコーティング溶液を105℃に加熱し、一定重量まで105℃において保持する。一定重量に到達すると、重量m(一定重量における最終重量)を読み取る。m(一定重量における最終重量)対m(加熱相前の初期重量)の比率から実験的決定固形分を得る。
【0090】
固形分の決定のために取られた量減少したコーティング溶液の量に
成分C(実験的に決定された固形分に対して)2.2wt.%、要すれば成分D(実験的に決定された固形分に対して)1wt.%(表1の「紫外線安定剤パッケージ」と見出しを付けられた列参照。)、
成分G(使用される成分ABの量に対して)5wt.%(成分Gのタイプおよび混合物の組成は表1からわかる。)、および
成分E(成分ABおよびFからなるコーティング溶液に対して)0.5wt.%
を撹拌しながら連続して添加し、完全に溶解する。
【0091】
b)紫外線硬化コーティング配合物での基材の被覆
光学グレード(optical grade)のMakrolon(登録商標)2808(Bayer MaterialScience AG;中粘度ビスフェノールA−ポリカーボネート、ISO 1133による300℃かつ1.2kgにおけるMVR10g/10分、紫外線安定化なし)のサイズ10×15×0.32cmの使用される射出成形ポリカーボネート(PC)シートを120℃において1時間熱処理し、イソプロパノールですすぎ、蒸発させ、紫外線前処理し(Hackemackの実験用紫外線放射器KTR2061;ウェブ速度3m/分かつ紫外線線量(Hgランプ)1.7J/cm、線量計eta plus UMD−1で測定。)、次にイオン化空気で処理した。次に、a)の紫外線硬化コーティング配合物を、表1の「硬化条件」と見出しを付けられた列に記述されている条件下においてフローコーティング工程で適用した。次に硬化シートを蒸発させ、次にウェブ速度4m/分においてHackemackの実験用紫外線放射器KTR2061において紫外線線量(Hgランプ)2.6J/cmにおいて硬化する(線量計eta plus UMD1で測定。)。このようにして得られる透明コーティングの厚さをEta Optik GmbHのEta SD 30を用いて決定した(値に関しては、表1の「層厚」と見出しを付けられた列を参照。)。
【0092】
c)紫外線硬化保護層のPC基材への付着力試験:
以下の付着力試験を行った:
(a)(ISO 2409またはASTM D 3359におけるように)クロスハッチありとなしとでの粘着テープはぎ取り(粘着テープ3M 898使用)
(b)(ISO 2812−2およびASTM 870−02におけるように)約65℃の温水における10日の貯蔵後の粘着テープはぎ取り
【0093】
コーティング層の表面が紫外線放射後も粘着性である比較例1、2および8(表1の「多層構造の付着力」と見出しを付けられた列を参照。)において、付着力試験は必要でなかった。
【0094】
d)耐摩耗性の測定および相対テーバー磨耗値の決定:
紫外線硬化第一層で被覆されたPCシート( b)で得られる。)の初期ヘイズ値を、まず最初にASTM D 1003によってByk−GardnerのHaze Gard Plusを使用して決定した。次に試料の被覆面をErichsenのTaber Abraser model 5131を用いてCS10Fホイール(タイプII;桃色)を使用してISO 52347またはASTM D 1044に従って引掻いた。1000回転後の最終ヘイズ値を測定することによってΔヘイズ値(試料)を定めた。その直後に、GE Bayer SiliconsのシロキサンコーティングSHP401/AS4000で被覆されたPCシートを同じ条件下で引掻き、Δヘイズ値(対照)を得た。これから多層製品に関して表1における相対テーバー磨耗値が得られる。
【数1】

【0095】
本発明の範囲内で、第一層は、充分に高い耐引掻き性を有するべきである。この基準は、相対テーバー磨耗値が2以下である場合、本発明の範囲内で達成される。
【0096】
コーティング層の表面が紫外線放射後も粘着性である例1、2および8(「耐摩耗性相対テーバー磨耗値」と見出しを付けられた列を参照。)において、この試験は必要でなかった。
【0097】
e)紫外線硬化コーティングの吸光度の決定:
Varian Inc.のCary 50紫外可視分光光度計を使用して、コーティング、従って多層製品の第一層、の紫外スペクトルを、非被覆ポリカーボネートシートを被覆ポリカーボネートシート、従って多層製品、の測定に関するバックグラウンドスペクトルとして使用して定めた。第一層に関して波長340nmにおいて測定される吸光値を、正確に吸光度測定箇所におけるこの第一層の層厚と共に、表1に記載する。
【0098】
本発明の範囲内において、340nmかつ層厚約5μmにおいて測定される第一層の吸光度1.5以上を達成することが目的であった。
【0099】
結果:
結果を表1に示す。
【0100】
比較例1、2および8の組成物は粘着層を生じ、他の(比較)例3〜7および9〜32の組成物は行われる付着力試験を充足した。すなわち、いずれのコーティングのはぎ取りもなかった(ISO 2409の評価「0」またはASTM D 3359の評価「5B」)。
【0101】
比較例1、2、8、9、10、13、14および19は、多層製品の第一層の耐引掻き性および耐摩耗性における要件を充足しない。
【0102】
多層製品がCS10Fホイールでの1000回転(テーバー磨耗値試験)後にヘイズの増加を相対テーバー磨耗値2以下(シロキサンベースのハードコート(GE Bayer SiliconsのAS4000)を耐摩耗性に関して対照として扱う。)の形態で示す場合、高い耐引掻き性および耐摩耗性を生じる第一層の有効な架橋および硬化がある。一般的に知られている光開始剤、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)651;成分G5)または更にα−ヒドロキシアルキルフェノンクラスの代表物、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(Ciba Speciality ChemicalsのIrgacure(登録商標)184、成分G1)およびα−ヒドロキシ−α,α−ジメチルアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsのDarocur(登録商標)1173;成分G4)は、単独で、高い紫外線除去作用(第一層に関して340nmかつ層厚約5μmにおいて測定される吸光度1.5以上)を有する使用されるコーティング配合物に有効な硬化をもたらさない(比較例1、2、8、9、10、13、14および19)。
【0103】
ISO 52347またはASTM D 1044によるテーバー磨耗値法に従って決定される標準(シロキサンベースのハードコート(GE Bayer SiliconsのAS4000))と比較した試料の相対磨耗値および同時に高い紫外線除去作用に関する本発明による目的(それぞれ相対テーバー磨耗値2以下および340nmかつ層厚約5μmにおいて測定される第一層に関する吸光度1.5以上)は、本発明による多層製品によって充足される(実施例3〜7、11、12、15〜18および20〜32)。
【0104】



【0105】
(1)コーティング基本配合物(紫外線保護パッケージおよび光開始剤なし)。成分AB−5を有する実施例28〜30において、基材(Makrolon(登録商標)2808)の紫外線前処理をコーティングの前に行わなかった。
(2)コーティング溶液の実験的に決定された固形分(実施例の概要参照)に対するwt.%データ。
(3)使用されるNanocryl(成分AB)の量に対するwt.%データ。
(4)第二層への適用後の第一層の硬化条件。
H1、H2、H4、H5およびH6は、室温において30分間蒸発し、110℃において30分間蒸発し、Hgランプで紫外線硬化する(ウェブ速度2×4m/分;紫外線線量2.6J/cm)。H3は室温において30分間蒸発し、50℃において30分間蒸発し、Hgランプで紫外線硬化する(ウェブ速度2×4m/分;紫外線線量2.6J/cm)。
(5)Eta Optik GmbHのEta SD 30で上または下(それぞれシートの端から約2cm)で流れの方向において測定される層厚。
(6)多層構造体に関する付着力試験 (a)ISO 2409またはASTM D 3359によるクロスハッチ付着ありとなしとでのテープ試験および(b)ISO 2812−2またはASTM 870−02による試料の65+/−2℃の温水への浸漬後のクロスハッチ付着におけるテープ試験(水への浸漬10日目にクロスハッチ付着においてテープ試験による離層が起こらない場合、試験に合格する。「OK」は、試験(a)および(b)の両方において離層が起こらない、すなわち、試験a)においてISO 2409による評価「0」またはASTM D 3359による評価「5B」である、ことを示す。)。
(7)ISO 52347またはASTM D 1044によるテーバー磨耗試験、それぞれCS10Fホイールタイプ2(桃色)で1000回転、次にヘイズの増加を決定する。GE Bayer SiliconsのシロキサンコーティングSHP401/AS4000で被覆されたPCシートであって、同じ条件下において直前または直後に1000回転で引掻かれ、ヘイズの増加に関して試験されるもの、を内部参照として使用する。次に、相対テーバー磨耗値を以下の式によって決定する。
【数2】

(8)コーティングのみの吸光度(対照としての非被覆Makrolon(登録商標)2808);その後、測定箇所における層厚(シートの端に配置されている(場合によってはドレインエッジ(draining edge)の真上、このため、(5)における測定と比較してより厚い層厚が測定される。)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一層(S1)と第二層(S2)とを含む多層製品であって、S1が
A) A.1) ウレタン結合またはエステル結合を含む、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性を有する脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物および、
A.2) 一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物
からなる群の少なくとも一つから選択される一種類以上の脂肪族ポリマー前駆体、
B) 一種類以上の微粒子無機化合物、
C) トリアジン誘導体およびビフェニルトリアジン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の有機紫外線吸収剤、好ましくは少なくとも一種類のビフェニルトリアジン誘導体の紫外線吸収剤、
D) 要すれば一種類以上のHALSクラスのラジカル掃去剤
E) 要すれば一種類以上の流れ調整剤、
F) 要すれば一種類以上の溶媒、並びに
G) アシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤
から得られ、第二層が熱可塑性ポリマーである、多層製品。
【請求項2】
成分AとBとの混合物に基づいて、
成分A、20〜95wt.%と、
成分B、5〜80wt.%と、
成分G、0.1〜10wt.%と
が使用され、かつ、
実験的に決定される固形分が成分A、BおよびFの混合物に関して20〜50wt.%になるように所定量の成分Fが使用され、かつ、
成分A、BおよびFの混合物の固形分に基づいて、
成分C、0.1〜20wt.%、
成分D、0〜10wt.%および
成分E、0〜5wt.%
が使用される、請求項1に記載の多層製品。
【請求項3】
該脂肪族反応性希釈剤(成分A.2)が1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらのメタクリレート誘導体である、請求項1または2のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項4】
成分Bが平均粒度(d50)1〜200nmの二酸化ケイ素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項5】
該二酸化ケイ素の粒度分布((d90−d10)/d50)が2以下である、請求項4に記載の多層製品。
【請求項6】
成分Cが下記式(IV)
【化1】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COOR
=分枝または非分枝C〜C13アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12アリールまたは−CO−C〜C18アルキル
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜Cアルキル、かつ
=C〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜Cシクロアルキル)
の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項7】
成分Dが一種類以上の下記式(V)
【化2】

(式中、
Y=H;RまたはOR
=分枝または非分枝C〜C13アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12アリールまたは−CO−C〜C18アルキル、かつ
=Z−R10−Z−R11
【化3】

(式中、
Z=二価の基、例えばC(O)O、NHまたはNHCO
10=二価の有機基、例えば(CH(l=0〜12)、C=CH−Ph−OCH
【化4】

11=HまたはC〜C20アルキル))
の化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項8】
成分Dがビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸エステルおよび/または(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステルである、請求項7に記載の多層製品。
【請求項9】
成分Fが、アルカン、アルコール、エステルおよびケトンからなる群の少なくとも一種類から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項10】
成分Gが式VI(アシルホスフィンオキシド)および式VII(α−アミノアルキルフェノン)、
【化5】

(式中、
12=C〜C30アルキル、任意にC〜Cアルキルおよび/または塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アリールオキシまたはC〜C12アラルキル、
13=C〜C30−アルキル、C〜C30アルコキシ、または任意にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアシルおよび/もしくは塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アリールオキシ、C〜C21アロイルもしくはC〜C12アラルキル、
14=C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、
n=0〜5、
15、R16、R17およびR18は、互いに独立して、C〜C30アルキル、または任意にC〜Cアルキル、および/もしくは塩素、臭素で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリールもしくはC〜C12アラルキルであり、
基R17およびR18は、更に、式(VII)において示される窒素Nが複素環システムの一部になるように環に結合されていてもよく、
19=任意にC〜Cアルキル、および/または塩素、臭素で置換されていてもよく、環のC原子が更にヘテロ原子、例えばN、OまたはS、で置換されていてもよい、C〜Cシクロアルキル、C〜C30アルコキシ、C〜C30アルキルチオ、C〜C30ジアルキルアミノ)
からなる群の少なくとも一種類から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項11】
成分Gが、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ベンゾイルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンおよび2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン(式VIIa参照。式中、Me=メチル)
【化6】

からなる群の少なくとも一種類から選択される、請求項10に記載の多層製品。
【請求項12】
成分Gが、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノンとの混合物またはビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンとの混合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項13】
該第二層が、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテルおよびグラフトコポリマーからなる群の少なくとも一種類から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項14】
更に、式(IV)
【化7】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COOR
=分枝または非分枝C〜C13アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12アリールまたは−CO−C〜C18アルキル
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜Cアルキル、かつ
=C〜C12アルキル;C〜C12アルケニルまたはC〜Cシクロアルキル)
の紫外線安定剤を含む紫外線保護層(S3)を含み、層の順番が(S1)−(S2)−(S3)であり、層(S1)と(S3)が同一または異なる組成を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項15】
A) A.1) ウレタン結合またはエステル結合を含む、一分子あたり少なくとも二つのアクリレート官能性を有する脂肪族オリゴマーまたは対応するオリゴマーの混合物および
A.2) 一分子あたり少なくとも二つのアクリレート基を有する脂肪族反応性希釈剤または対応する反応性希釈剤の混合物
からなる群の少なくとも一つから選択される一種類以上の脂肪族ポリマー前駆体、
B) 好ましくは分散凝集物フリーのコーティング配合物中に存在する、一種類以上の微粒子無機化合物
C) トリアジン誘導体およびビフェニルトリアジン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の有機紫外線吸収剤、好ましくは少なくとも一種類のビフェニルトリアジン誘導体の紫外線吸収剤、
D) 要すれば一種類以上のHALSクラスのラジカル掃去剤、
E) 要すれば一種類以上の流れ調整剤、
F) 要すれば一種類以上の溶媒、並びに
G) 好ましくは高い光化学反応性およびλ300nm以上、特に好ましくは350nm以上の近紫外領域における吸収帯によって区別されるアシルホスフィンオキシド誘導体およびα−アミノアルキルフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の光開始剤、
から得られ、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層製品の少なくとも一つの層の製造に好適であるコーティング。
【請求項16】
(i) 第一工程において、第一層S1をコーティング配合物の形態で第二層S2に適用し、
(ii) 第二工程において、該第一層のコーティング配合物を硬化する、
請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層製品の製造方法。
【請求項17】
視覚的印象に関して常に高い要件を有する外部適用への、特にグレージングへの、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層製品の使用。
【請求項18】
層S2としてプラスチック成形品を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層製品。

【公表番号】特表2009−533242(P2009−533242A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504595(P2009−504595)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002677
【国際公開番号】WO2007/115678
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】