説明

熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法およびその装置

【課題】熱可塑性廃プラスチックを加熱して見掛け容積小さくする際に発生する煙および分解ガスの発生を殆ど無くすことのできる脱臭溶融方法およびその装置を提供する。
【手段】熱可塑性廃プラスチック2aを熱風(図示せず)により加熱溶融してプラスチックの見掛け容積を減少させる際に、少なくとも溶融するプラスチック2bが堆積する加熱部3内の壁面(傾斜部3a)を、粗面または凹凸面にする、耐熱黒色塗料の塗布面にする、または前記粗面または凹凸面上に前記塗布面を形成して、壁面から放射する遠赤外線放射量を増大させるようにした。
【図面】 図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法およびその装置に関し、更に詳細には臭気などによる環境への影響を可及的に少なくした熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチック、特にその発泡製品は嵩高のため廃品となった場合、資源として再利用を図り能率的に回収するためには、溶融して容積を減少(以下減容積)させる必要が生じる。減容積手段としては、熱風による方法、過熱水蒸気による方法、ニクロム線ヒーターによる方法などがある。また装置形態としては、例えば特公昭54−17353号公報に開示されたように連続処理方式を採用したものもあるが、溶融する際に可燃性の分解ガスが発生する。この可燃性分解ガスは燃焼させて無害化するために二次空気を装置内に取り込む必要がある。しかしながら連続処理方式の場合、装置が開放型となるため、脱臭装置が大規模になるという問題がある。そのため実用的には回分方式の装置が普及するに至っている。
【特許文献1】特公昭54−17353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記連続方式より回分方式の方が、密閉を容易に行うことができるので、臭気が装置外に漏れることを防ぎ易くなることは明らかである。例えば特公平6−44727号公報には、低温シーズヒーターでプラスチックを加熱する熱風を作り、発生する溶融分解ガスを高温シーズヒーターで加熱・燃焼させて脱臭しながら熱可塑性廃プラスチックを減容積させる発明が開示されている。この方法によれば、臭気を伴う分解ガスを装置内に閉じ込め、従来法に対して脱臭効果を遙かに向上させることができる。
【特許文献2】特公平6−44727号公報(特許請求の範囲、実施例、第1図、第3図、第4図)
【0004】
本発明者は、前記特許文献2の脱臭装置の後方に酸化触媒層を設け、分解ガスの燃焼を助けることを試みたところ、以下の問題があることが分かった。
a)初期段階では極めて良好な効果が得られたが、熔融分解ガス中に含まれる珪素・フッ素などの触媒毒により能力が徐々に低下し長期間の触媒効果を期待できないことが分かった。しかしながら酸化触媒は高価であるため、新しい触媒と交換すると経済性が得られない。
b)酸化触媒により分解ガスの燃焼が進むと酸素が消費されて爆発臨界濃度に達するおそれが生じるため、多量の新鮮な空気を取り入れる必要が生じ、しかも触媒による分解ガスの燃焼熱が発生するので、熱風の温度を測定してヒーターを制御する通常の温度制御方式を採用することができない。
【0005】
本発明は、以上の問題に着目して成されたものであり、熱可塑性廃プラスチックを加熱して見掛け容積を小さくする際に発生する煙および分解ガスを殆ど無くすことができる熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法およびその装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可塑性樹脂の熱分解生成物である煙や分解ガスの発生と加熱手段との関係、また分解ガスのヒーターにより加熱して酸化することで脱臭する方法を詳細に検討することにより得た知見に基づいて完成させたものである。
【0007】
即ち上記目的を達成するための本発明の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法は、熱可塑性廃プラスチックを熱風により加熱溶融して前記プラスチックの見掛け容積を減少させる際に、少なくとも溶融する前記プラスチックが堆積する前記加熱部内の壁面を、粗面または凹凸面にする、耐熱黒色塗料の塗布面にする、または前記粗面または凹凸面上に前記塗布面を形成して、前記壁面に前記プラスチックが接着しないようにしたものである。
【0008】
前記熱可塑性廃プラスチックとしては、使用済みの発泡スチロールなど各種熱可塑性樹脂の発泡体成型品、その他の熱可塑性樹脂成型品などである。但し本発明はこれら例示したものに限定されない。
【0009】
前記「少なくとも溶融する前記プラスチックが堆積する前記加熱部内の壁面」とは、廃プラスチックがその上に留まり易い棚部、傾斜部などを意味し、遠赤外線によりプラスチックの内部も表面同様に熱せられ、烏賊を火で炙ったときのように、接触面から離れるように反り返りながら溶融・減容積して、煙および分解ガスの発生は殆ど発生しない作用が得られる。
【0010】
耐熱性黒色塗料を形成する物質としては、アルミ・銅・クロム・マンガンの複合酸化物がある。その他のものとしてはけい砂、セラミック粉末、カーボン粉末などを挙げることができる。
【0011】
そして前記耐熱黒色塗料としては、前記遠各物質から得た顔料を耐熱性樹脂塗膜剤、例えばシリコーン系樹脂などに混入したものなどを使用することができる。
【0012】
前記粗面とする手段には特に限定はなく、壁面が金属板の場合には所謂目荒らしなどの手段で粗面にしたり、けい砂、各種セラミック粉などを塗料基材に混入したものを、吹き付けまたは塗布したり、粗面に成形したセラミックス成型品を貼り付けるなどの手段を用いることができる。
【0013】
前記凹凸面を有する材料には特に限定はなく、例えばしま鋼鈑など既存のもの、新たに表面に各種凹凸を形成したものなどを使用することができる。
【0014】
前記脱臭加熱部は、発熱量の制御が容易なことから抵抗発熱体、例えばニクロム線を円筒型セラミックス成形体に取り付けたヒーター、シーズヒーターなどを適宜使用して熱風を加熱することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、その他の加熱装置を適宜使用することができる。このようにすると、空気をベースにした熱風中のプラスチック熱分解ガスが加熱されて酸化され、脱臭すると同時に熱風を再加熱することができる。これに対し、発熱面に直接プラスチックを接触させて加熱することは、局部加熱により煙・分解ガスが発生し好ましくない。熱風温度は、使用プラスチックの融点以上とする以外に限定はないが、可能な限り低温ですることが樹脂の熱劣化抑制上からも、経済面からも好ましい。発泡スチロールの場合、220〜250℃の範囲とすることが経験上好ましい。
【0015】
空気(熱風の大部分は空気である)の熱伝導率は0.0316Kcal/m2h℃であるのに対し、100℃の湯は5.86Kcal/m2h℃、加熱部の壁面を鉄とすると、鉄は58Kcal/m2h℃であり、加熱能率は熱風が液体、固体より劣るので、局部的な温度の急上昇を防ぎ、発煙や熱分解ガスの発生を可及的に防止することができる。
【0016】
更に前記遠赤外線放射量を増大させた面に、透明の剥離性に優れた耐熱性コーティング剤を施し、表面に付着したプラスチックの残滓の剥離を容易にすることができる。透明且つ剥離性に優れたコーティング剤としてはシリコーンゴム系、シリコーン樹脂系など公知のものを適宜使用することができる。
【0017】
また本発明の前記方法を実施するための熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置は、循環する熱風により熱可塑性廃プラスチックを溶融させて見掛け容積を減少させる装置であって、該装置は、前記プラスチックの加熱部、加熱された前記プラスチックの見掛け容積を更に減少させる養生部、前記熱風の脱臭加熱部および前記熱風を前記装置内を循環させる送風機からなり、前記加熱部は、上方に前記廃プラスチックの投入口を設け、下方を漏斗状に狭めて、前記養生部内に配置した受箱に加熱された前記プラスチックを落とす落下口を設けた傾斜部を形成し、少なくとも前記落下口周辺の前記傾斜部壁面を、粗面、凹凸面、耐熱黒色塗料の塗布面または前記粗面または凹凸面に上に前記塗布面を形成し、前記傾斜壁面に前記プラスチックが接着しないようにしたものである。
【0018】
前記傾斜壁面に前記プラスチックが接着しないようにした表面に耐熱性且つ透明の剥離剤をコーティングすることができる。例えば剥離剤がシリコーンゴム、シリコーン樹脂の場合、接着性がないばかりでなく、熱伝導率が0.20Kcal/m2h℃dであるので、溶融プラスチックの付着、煙、熱分解ガスを殆ど発生しなくなる。
【0019】
前記送風機から前記脱臭加熱部に直接送るバイパス通路を設け、前記養生部内から前記受け箱を出し入れする扉を開くと、前記送風機から出た前記熱風を、前記バイパス通路を経由して直接脱臭加熱部に送るように、前記送風機の吐出側熱風通路に切り替え弁を設け、受け箱の出し入れ口から熱風流出量を可及的に小さくすることができ、作業環境および装置周辺環境の保全に役立てることができる。
【0020】
前記切り替え弁には特に限定はなく、ダンパーを取り付けるなど、従来から使用される切り替え手段を適宜使用することができる。
【0021】
前記バイパス通路に切り替えると、前記送風機の送風量を少なくするように、押しボタンにより送風機の回転を制御するなどの外、養生部に配置した受け箱の出し入れ口に取り付ける扉の開閉を検知するリミットスイッチ、センサーなどを取り付け、開閉を検知したら耐熱送風機の送風量を制御する信号を出力する制御装置を設置するなどの手段を用いればよい。
【0022】
前記装置から排出される前記分解ガスを含む熱風を吸引し、シリコーンオイルなどを担体に含浸させたミストコレクターを通過後、活性炭などの吸着剤重点層を通過させで前記熱風中の前記プラスチック熱分解ガスなどを吸着させた後、屋外など環境上安全な場所に排出させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法およびその装置は、熱可塑性樹脂廃プラスチックを溶融して容積を減少する際の加熱を熱風により行ない、少なくとも部分的に溶融するプラスチックが堆積する装置内壁面にプラスチックが接着しないようにしたので、溶融樹脂の付着による煙および熱分解ガスの発生を殆どなくし、作業環境を大幅に改善することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下添付の図面を参照する一実施の形態により、本発明を更に具体的に説明する。
【0025】
先ず図1〜5により本実施の形態に使用した熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置(以下単に装置という)1について説明する。装置1は、熱可塑性廃プラスチック(以下単にプラスチックという)2a、2bの加熱部3、養生部4,脱臭加熱部5および耐熱送風機(以下単に送風機)6から成っている。
【0026】
なお図1に示す符号2a、2b、2c、2d(総称するときは2で表わす)は、いずれもプラスチックを表わしており、符号2aはプラスチック(長方形で表わしたのは便宜上に過ぎない)を加熱部3内に投入した直後の状態を示し、2bは加熱が進み見掛け容積の減少が進行すると共に加熱部3の下方の傾斜部3a内に移動している状態を示し、符号2cは プラスチックが更に容積を減少させながら受け箱8a内に落下・収容された状態を示し、符号2dはプラスチックの熱養生が進み、より溶融状となった様子を示している。また図中に示す符号3bはプラスチック2bが受け箱8a側に排出される落下口、3cは傾斜部3aの端部である。
【0027】
加熱部3内では、プラスチック2の加熱により熱風(主立った熱風の流れを矢印で示した)に混入する熱分解ガスは、脱臭加熱部5で酸化除去され、送風機6により脱臭加熱部5→送風機吸引側熱風通路6a→送風機の吐出側→養生部4→加熱部3→脱臭加熱部5と循環させ、熱風に触れる壁面は全て鉄板7で内張した。なお前記循環順序は、本発明にとって本質的ではなく、適宜変更することができる。各図に示す符号6bは溶融分解ガスを燃焼させる2次空気を供給するため吸気量を調節可能にした吸気孔、7aは耐火煉瓦、7bは断熱材である。
【0028】
前記脱臭加熱部5は、円筒型の耐熱煉瓦の内周面または外周面にニクロム線ヒーター(図示せず)を取り付けたものを使用し、温度センサー(図示せず)の出力する信号に基づきヒーターの通電を制御するようにした。
【0029】
加熱部3に投入した所定量のプラスチック2aが全て受け箱8aに収容され、受け箱8b(受け箱を総称するときは符号8で表わす)内のプラスチック2dの減容積が十分進行すると、受け箱8bを外部に取出し、受け箱8aを受け箱8bの位置に移し、落下口3bの下に空の受け箱(図示せず)を挿入する。この場合扉9a、9bを開くと、循環する熱風が、受け箱8の出し入れ口から外部に吹き出して作業環境を悪化させる。そこで送風機6から送り出された熱風を直接脱臭加熱部5に戻すため、ダンパー10を閉止し熱風をバイパス通路11側に流すようにしている。なおダンパー10を閉止すると、送風機6を減速し熱風の吐出圧を低下させるプログラムを、制御器(図示せず)に予め搭載した。
【0030】
ところでダンパー10が開いた図1の状態では、熱風は、送風機6から養生部4の上側に位置するジャケット12a(図1,3)に流入し、図3に示すように傾斜隔壁13により扉9a側に形成された左右のジャケット12b内を下降しジャケット12cに流入する。図1から理解されるように、ジャケット12cには隔壁が無いため、熱風はジャケット12cおよび傾斜隔壁13の裏側のジャケット12d、傾斜部3a(図1)の下側空間で構成するジャケット12e、12f内全体に流入し(図1、3〜5)、養生部4の天井部の隔壁4aと傾斜部3aの下端部3cとのスリット状部開口S(四角いリング状をしている。符号は図1,6に表示)から熱風が下降流となって受け箱8a内に吹き付け(図1)、プラスチック2cを加熱し減容積を進行させる。また図4に示すA部から上方の装置構造は図7により説明する。
【0031】
また図3に示すように養生部4は、周囲を鉄板製の周壁4aで区切られており、内部温度が、ジャケット12a〜12c(ジャケットを総称するときは符号12で表わす)内を流れる熱風により、プラスチック2の融点より高い温度に保たれるようにしている。なお養生部4の周壁4aは、周囲をジャケット12で囲まれているが、前記落下口3bに対向する部分が開口し、加熱室3から落下するプラスチック2が養生部4内に配置された受け箱8a内に収容されるように形成され、ジャケット12から吹き出す熱風によりプラスチック2cを加熱溶融するようにした。
【0032】
養生が終了すると、受け箱8bを取出し、受け箱8aを受け箱8bの位置に移し、空の受け箱(図示せず)を落下口3bの下に配置する。この作業を行うときは、前記のとおりダンパー10を閉止するが、この場合には、作業員(図示せず)は操作ボタン14a(図2、5)を押すと、図6に示すように、ダンパー10が閉止し、送風機6から出る熱風をバイパス通路11側に送ることができる。なお図1、6に示す符号11aは熱風の逆流防止用の弁であり、図2,3に示す符号10aはダンパー10を開閉駆動するシリンダ装置である。
【0033】
ところで図4に示した符号Aの部分には、図7に示すように、傾斜部3aの四隅にそれぞれ開口した小さな開口1がを設けてあり、加熱部3とジャケット12d〜12fとを直接連通させている。この開口15は、たまたま落し口3bがプラスチック2で塞がれた際に、熱風の行き場が無くなり、養生部4の内圧が急上昇し、装置1外に熱風が吹き出さないようにするためのものである。
【0034】
未処理プラスチック2の投入口16は、脱臭加熱部5の熱気吸引口5a近くに配置し、扉16aを開けた際、熱風が投入口16から外に出にくいように考慮しているが、それでも投入作業中、熱風が装置1の外に流出すことを十分には防止できない。そこで図2,8、9に示すように、投入口16の上部に庇17を設け、吸引ヘッドを高くできる高圧ブロアー18で庇17内の熱気を吸引口17aから常時吸引し、吸気通路17bを通じてミストコレクター19aおよび活性炭層19bからなる浄化装置19を通過させて浄化し、外部に排出するようにした。なお図8に示す符号14bは扉16を開閉する操作ボタンである。
【0035】
使用したミストコレクター19aは、シリコーンオイルを担体に含浸させたものを使用した。なお図8に示す符号20は装置1に開けた開口で、加熱部3と庇17下とを連通させ、内圧調整を図り、且つ開口20から外部に漏れ出た熱風も浄化装置19により浄化できるようにしたものである。
【0036】
ところで、加熱部3内に投入されたプラスチック2は、装置1の前記傾斜部3a、特にその下端部3cに近い部分(図7の符号Bの部分)に堆積し焼き付きを起こすという問題がある。本実施の形態の装置1の場合、焼き付きが最も顕著な部分は傾斜部3aの落下口3bの周辺(図7の符号Bの部分)で、傾斜部3aの下端部3c(落下口3bから溶融したプラスチックが垂れて、熱風に曝された部分が尤も発煙し、焼き付きが激しいことが観測された。
【0037】
図10はその説明図であり、傾斜部3aに付着ないし堆積したプラスチックは、氷が溶けるように、傾斜面3aに接触している部分から融解し(水平面でも同じ)、固形部は下側から融解して形が小さくなりながら、傾斜部を滑り下り、端部3cからつらら状に垂れ下がるようになる。このツララ部分は図10に符号Hで示したように、高温の熱風に曝される部分であり、顕著な発煙Sが認められ、分解ガスの発生も多量になると認められる。
【0038】
そこで傾斜部3aの材料である鉄板の表面状態を種々変化、具体的には、表面を粗面にしたもの、しま鋼鈑など表面に凹凸のあるもの、耐熱黒色塗料を塗布したものなどでテストしたところ、これらの面は、いずれも平坦で光沢のある表面(シルバー塗料を塗布したものを含む)のものより、溶融したプラスチックの付着量が格段に少ないことが分かった。また市販の耐熱黒色塗料にプラスチック付着量を改善できるものがあることが分かった。
【0039】
即ち図11に示すように、耐熱黒色塗料Uを塗布した鉄板21を水平に起き、下からプラスチックの融解温度以上に加熱し、前記塗布面に発泡プラスチックPを置く(図11の上段A)と、遠赤外線の作用がプラスチック内部にまで浸透して全体が収縮するように融解し(図11の中段B)、図9の下段Cに示すように反るように容積を減少させる事が観測された。したがって装置1の傾斜部3aの表面を粗面にするか、耐熱黒色塗料を塗布した傾斜部3a上のプラスチックは傾斜部3aに付着せず、斜面を下るので、傾斜部3aに残存するプラスチッ量がほとんど無くなり、発煙や分解ガスの発生を従来より格段に小さくすることができた。
【0040】
これに対し平滑な鉄板(シルバー仕上げのものを含む)の上に発泡スチロールを置いたもの(図12の上段A)は、氷が溶けたときのように、接触面から溶融し、溶融樹脂Mで鉄板表面を濡らしながら(図12の中断B)融解し、固形の発泡スチロールはその上に浮かびながらだんだん小さくなり、図12の下段Cに示すように、最終的に鉄板に張り付いた状態となり煙、熱分解ガスSの発生が観測された。
【0041】
そこで前記傾斜部3aを鉄板で作ったままのもの(図13A)と、傾斜部3aの表面に黒色塗料を塗布したもの(図13B)との二つの装置1を用意し、発泡プラスチックを加熱融解させたところ、図13Aに示すように、溶融プラスチックが傾斜部3aの表面を濡らし発煙・分解ガス発生が観測されたが、耐熱黒色塗料を傾斜部3aに塗布した図13Bの場合は、図11に示したと同様にプラスチックが傾斜部3aの表面に付着せずに落下口3bから受け箱8a内に落下し、本発明を実施した場合の効果が歴然としていた。なお、本発明を実施する際に、加熱部3および養生部4の壁面全体に、また必要に応じ受け箱8に遠赤外線放射を増大させる塗料を塗布することができる。
【0042】
本実施の形態では、前記赤外線放射量を増大させた面の効果を持続させるために、透明の剥離性の耐熱性コーティング剤として、シリコーンゴム系製剤を施用したところ、プラスチックの接着は殆ど見られず、白煙、分解ガスの発生がほとんど無くなり、発煙・分解ガス発生防止作用を持続させる効果が顕著であった。
【0043】
以上説明した本発明の遠赤外線放射量を増大させる手段を適用した装置1は、廃プラスチックの減容積を優れた作業環境の中で能率的に行うことが可能になった。剥離性耐熱コーティング剤を施用すると、更に効果を持続させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に使用した熱可塑性プラスチックの脱臭溶融装置(以下装置)の縦断面図である。
【図2】図1の装置の送風機側側面図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図1のIV-IV線断面図である。
【図5】図1のV-V線断面図である。
【図6】図1に示すダンパーを閉じた場合の熱風の流れを示す縦断面図である。
【図7】内容物を無くした図1のVII-VII線矢視断面図である。
【図8】図1の装置のプラスチック投入口のある側の部分正面図である。
【図9】図8の右側から見た部分側面図である。
【図10】溶融プラスチックの堆積が著しい部分の発煙・分解ガス発生を観察した結果の説明図である。
【図11】耐熱黒色塗料を塗布しに場合の発泡スチロール樹脂が融解する様子の説明図である。
【図12】耐熱黒色塗料を塗布した場合の発泡スチロール樹脂が融解する様子の説明図である。
【図13】Aは、図1の装置を使用して婦足すチックを溶融した場合,傾斜部3a部分のプラスチックの溶融状態の説明図であり、Bは、傾斜部3aに耐熱黒色塗料を塗布した場合のプラスチックの溶融状態の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1…熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置
2a、2b、2c、2d…廃プラスチック 3点加熱部 4…養生部 5…脱臭加熱部
3a…傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性廃プラスチックを熱風により加熱溶融して前記プラスチックの見掛け容積を減少させる際に、少なくとも溶融する前記プラスチックが堆積する前記加熱部内の壁面を、粗面または凹凸面にする、耐熱黒色塗料の塗布面にする、または前記粗面または凹凸面上に前記塗布面を形成して、前記壁面に前記プラスチックが接着しないようにした熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法。
【請求項2】
前記遠赤外線放射量を増大させた面に剥離性に優れた耐熱性コーティング剤を塗布し、表面に付着した前記プラスチックの剥離を容易にした請求項1記載の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融方法。
【請求項3】
循環する熱風により熱可塑性廃プラスチックを溶融させて見掛け容積を減少させる装置であって、該装置は、前記プラスチックの加熱部、加熱された前記プラスチックの見掛け容積を更に減少させる養生部、前記熱風の脱臭加熱部および前記熱風を前記装置内を循環させる送風機からなり、前記加熱部は、上方に前記廃プラスチックの投入口を設け、下方を漏斗状に狭めて、前記養生部内に配置した受箱に加熱された前記プラスチックを落とす落下口を設けた傾斜部を形成し、少なくとも前記落下口周辺の前記傾斜部壁面を、粗面、凹凸面、耐熱黒色塗料の塗布面または前記粗面または凹凸面上に前記塗布面を形成し、前記傾斜壁面に前期プラスチックが付着しないようにした熱可塑性廃プラスチヅクの脱臭溶融装置。
【請求項4】
前記プラスチックが付着しないようにした面に、透明且つ剥離性に優れた耐熱性コーティング剤を施した請求項3記載の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置。
【請求項5】
前記送風機から前記脱臭加熱部に直接送るバイパス通路を設け、前記養生部内から前記受け箱を出し入れする扉を開くと、前記送風機から出た前記熱風を、前記バイパス通路を経由して直接脱臭加熱部近くに送るように、前記送風機の吐出側熱風通路に切り替え弁を設けた請求項3または4記載の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置。
【請求項6】
前記バイパス通路に切り替えると、前記送風機の送風量を少なくするようにした請求項5記載の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置
【請求項7】
前記装置から排出される前記分解ガスを含む熱風を吸引し、ミストコレクターを通過後、吸着剤層を通過させて前記熱風中の前記プラスチック熱分解ガスを吸着除去するようにした請求項3〜6のいずれかに記載の熱可塑性廃プラスチックの脱臭溶融装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−27061(P2006−27061A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208901(P2004−208901)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000129482)株式会社クラウド (8)
【Fターム(参考)】