説明

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

【課題】中和剤及び化合物(I)を含有する組成物の製造方法であって、より色相の改善された該組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】第1工程で得られた溶融混練物及び化合物(I)を溶融混練する第2工程を含む製造方法。


(Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。Aはアルキレン基を表す。 Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、アルコキシ基又はアラルキルオキシ基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止剤および中和剤を含有する、より色相の改善された熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)で表される化合物は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の酸化防止剤として有用であることが特許文献1に知られ、中和剤の1種であるステアリン酸カルシウム、熱可塑性樹脂、及び化合物(I)を同時に配合して溶融混練する熱可塑性樹脂組成物の製造方法が特許文献1に具体的に開示されている。
【0003】

【0004】
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子との結合手を表す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRのいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
また、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。さらに、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。そして、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0005】
【特許文献1】特開平10−273494号公報 (特許請求の範囲、実施例14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、中和剤及び化合物(I)を含有する熱可塑性樹脂組成物は、電子・電気製品、自動車などの機械製品、テレビなど光学製品などの部品や筐体などの材料に多く用いられることから、より色相の改善された熱可塑性樹脂組成物であることが求められている。
本発明の目的は、中和剤及び化合物(I)を含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、より色相の改善された該組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱可塑性樹脂および中和剤を溶融混練する第1工程、第1工程で得られた溶融混練物と化合物(I)を溶融混練する第2工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法では、より色相の改善された熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる化合物(I)は、上記式(I)で表される化合物である。
化合物(I)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基又はt−オクチル基等が挙げられる。
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、
炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられ、
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
【0010】
化合物(I)において、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、前記と同じ基が挙げられる。
としては、水素原子又はメチル基が好ましい。
化合物(I)において、Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表し、R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、前記と同じ基が挙げられる。
−CHR6−基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、1−シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。Xとしては、単結合、メチレン基又はエチリデン基が好ましい。化合物(I)において、Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表し、R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子との結合手を表す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。Aとしては、炭素数2〜4のアルキレン基又は前述した*−COR7−基が好ましい。
上記の炭素数2〜4のアルキレン基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。この場合のヘテロ原子を含む基としては、−O−C(=O)−又は−C(=O)−O−基が挙げられる。R7としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
【0011】
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRのいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基であることが好ましい。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
式(I)におけるYがヒドロキシル基である場合は、Zが水素原子又はメチル基であることがより好ましく、R及びRの一方がt−ブチル基であり、他方は水素原子であることがより好ましい。
また、式(1)におけるZがヒドロキシル基である場合は、Rがメチル基であり、Yが水素原子であり、R及びRの一方がt−ブチル基であり、他方は水素原子であることがより好ましい。
また、式(I)におけるR、R、Rは、それぞれ、互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0012】
化合物(I)のうち、特に好ましい化合物を以下に例示する。
6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(以下、A1という場合がある)、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等。
【0013】
熱可塑性樹脂組成物における化合物(I)の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常、0.005重量部〜1重量部、好ましくは、0.01重量部〜0.5重量部、とりわけ好ましくは、0.02重量部〜0.2重量部である。
化合物(I)の配合量が0.005重量部以上であると耐着色性が向上する傾向があることから好ましく、1重量部以下であると化合物(I)が熱可塑性樹脂組成物の表面に現れるブリード現象が低減される傾向があることから好ましい。
【0014】
本発明に用いられる中和剤とは、塩素イオンを吸着する化合物を意味し、オレフィンモノマーからポリオレフィンを重合する際に用いられる塩化マグネシウムなどの触媒の残渣に由来する塩素イオンを吸着する化合物を意味する。
具体的には、金属石鹸、脂肪族アミド、ハイドロタルサイト類、アルカリ土類金属の酸化物または水酸化物などが例示され、好ましくは金属石鹸、ハイドロタルサイト類である。
【0015】
金属石鹸とは、水酸基が置換されていてもよい脂肪酸と1〜3価の金属との塩である。該脂肪酸に含有される炭素数は4〜18、好ましくは炭素数10〜18である。
該金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム族金属、鉄族金属、亜鉛などが挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。
金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムが好適であり、中でも市販のステアリン酸カルシウム(通常、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムの混合物)が好適である。
【0016】
脂肪酸アミド類としては、好ましくは高級脂肪酸のアミド類であり、より好ましくは炭素数12〜24の飽和或いは不飽和の高級脂肪酸アミド類である。例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等のモノアミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等のビスアミド等が挙げられる。中でもメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドのようなビスアミドが好ましい。
【0017】
ハイドロタルサイト類とは、以下の式で示される複塩化合物である。
M2+1-x・M3+x・(OH-)2・(Aq-)x/q・pH2O
上記式中、M2+は、Mg2+、Fe2+、Ca2+、Zn2+、Co2+、Ni2+から選ばれる少なくとも1種の2価の金属を示し、M3+はAl3+、B3+、Bi3+、Fe3+、Mn3+から選ばれる少なくとも1種の3価の金属を示し、qは、1〜4の数値を、xは0〜0.5 の数値を、pは0〜2の数値を表す。 Aq-は、価数qのアニオンを表す。
ここで、Aq-で示される価数qのアニオンの具体例としては、例えば、OH-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、HCO3-、C6H5COO-、CO32-、SO2--OOCCOO-、(CHOHCO0)22-、C2H4(COO)22-、(CH2COO)22-、CH3CHOHCOO-、SiO32-、SiO44-、Fe(CN)64-、BO3-、PO33-、HPO42-等が挙げられ、特に好ましいものとしては、例えば下式で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
Mg1-xAlx(OH)2(CO3)x/2・pH2O
(式中、x、pは、前記と同じ意味を表す)
ハイドタルク石、スチヒタイト、パイロオーライトなどの名称も天然鉱物も本発明のハイドロタルサイトである。
上記中でも、以下の式で表されるハイドロタルサイトが特に好ましい。
Mg6 Al2 (OH)16(CO3)・4 H2
本発明に用いられるハイドロタルサイトは、天然物であっても、合成品であってもよく、またその結晶構造、結晶粒子径などを問わず使用することができる。具体的には、市販の適宜のハイドロタルサイト(例えば、DHT−4A、協和化学工業社製)を用いることが出来る。
【0018】
アルカリ土類金属の酸化物または水酸化物とは、周期表第II族の金属原子の酸化物又は水酸化物であり、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、好ましくは水酸化カルシウムである。
【0019】
熱可塑性樹脂組成物における中和剤の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常、0.005重量部〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.2重量部であり、とりわけ好ましくは、0.02〜0.1重量部である。
中和剤の配合量が0.005重量部以上であると溶融混練に用いる機器の腐食性を低減する傾向があることから好ましく、1重量部以下であると耐着色性が向上する傾向があることから好ましい。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、化合物(I)以外の酸化防止剤として、下記の化合物等が含有されていてもよい。
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス (3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス (6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−t−アミルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−アミルフェニル アクリレート、ジアルキル(C12−18) 3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のフェノール系酸化防止剤、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等。
【0021】
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチル エステルなどのリン系酸化防止剤。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、光安定剤として、下記の化合物等を含有していてもよい。
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系光安定剤、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾチアゾール系光安定剤、
コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系光安定剤
2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等。
【0023】
コハク酸ジメチルおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物は、分子量が3100〜4000であり、光(紫外線)により発生したラジカルを捕捉したり、ハイドロパーオキサイドの分解によって有機材料、高分子材料が劣化するのを防止する、ヒンダードアミン系光安定剤の1種である。このようなコハク酸ジメチルおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物としては、具体的には、市販の適宜のもの(TINUVIN622、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)を用いればよい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の添加剤を配合してもよい。その場合における他の添加剤の配合量は、上記の熱可塑性樹脂組成物の物性に悪影響を与えない範囲であればよく、特に限定されない。
上述した配合可能な他の添加剤として、例えば、以下のものを例示することができる。
【0025】
パラフィン、低分子量ポリエチレンワックス(分子量10000以下)、低分子量ポリプロピレンワックス(分子量10000以下)、ステアリン酸、ブチルステアレート、硬化ひまし油、ステアリルアルコール等の滑剤。
【0026】
第1級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン系帯電防止剤。
硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン系の帯電防止剤。
多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミン又は脂肪族酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等の非イオン系帯電防止剤。
カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性系帯電防止剤。
【0027】
ステアリン酸 モノグリセリド、オレイン酸 モノグリセリド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノステアレート等の防曇剤。
【0028】
本発明において、上記ワックスの添加量は、上記化合物(I)の100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0029】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、分子量10000以上の高分子化合物である。
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂(6ナイロン、12ナイロン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、エンジニアリングプラスチックス(ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート等)等が挙げられる。
【0030】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)、ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテンポリマー、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン類、ポリスチレン(ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)など)、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、塩素含有ポリマー(ポリ塩化ビニル、塩素化ゴム等)、特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、メタクリル樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、環状ポリオレフィンなどが挙げられ、中でも成型加工性の良さから、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0031】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。これらのポリプロピレンは単独で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0032】
ポリプロピレン系樹脂におけるポリプロピレン以外のα−オレフィンとは、通常、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0033】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、たとえば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0034】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、たとえば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0035】
プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分などが挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分などが挙げられる。なお、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜20重量%である。
【0036】
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体などが挙げられる。
【0037】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。
【0038】
ポリプロピレン系樹脂の結晶性は、剛性、耐傷つき性の観点からは、結晶性が高いものが好ましい。結晶性が高いポリプロピレン系樹脂としては、結晶性の指標として用いられるA.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 6、925、1973)に従って求められるポリプロピレン分子中のペンタッド単位でプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率(ペンダット分率と称し、[mmmm]で表す。)が0.95以上のものが好ましい。
【0039】
熱可塑性樹脂の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、従来公知の適宜の重合触媒を用いて、公知の重合方法により製造された熱可塑性樹脂を用いることができる。また、市販の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0040】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合には、重合触媒としては、たとえば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系などが挙げられる。
【0041】
また、ポリプロピレン系樹脂の重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、またはそれらを連続的に行う液相−気相重合法などが挙げられ、これらの重合方法は、回分式であってもよく、連続式であってもよい。また、ポリプロピレン系樹脂を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。特に、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体の製造方法として、好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分を製造する段階とプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分を製造する段階からなる少なくとも二段階以上の多段階の製造方法が挙げられる。
【0042】
なお、熱可塑性樹脂のメルトインデックス(MI)は、特に限定されないが、たとえばポリプロピレン系樹脂の場合には、成型加工性などから、JIS K 7210(1976)表1−条件14の条件で測定した値が、0.01〜100g/10分の範囲内であることが好ましい。
【0043】
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂および中和剤を溶融混練する第1工程、第1工程で得られた溶融混練物と化合物(I)を溶融混練する第2工程を含む。
第1工程では、通常、少なくとも中和剤の融点以上の温度、好ましくは融点よりも50〜150℃高い温度で溶融混練することで、ほぼ均一に中和剤を熱可塑性樹脂に分散させることができる。
第1工程では、色相を改善する観点から、化合物(I)を実質的に含まないで溶融混練することが好ましい。「第1工程で実質的に、化合物(I)を含まない」とは、具体的には、熱可塑性樹脂100重量部に対して化合物(I)が0.01重量部以下、好ましくは、0.001重量部以下で溶融混練することを意味する。
【0044】
第2工程では、少なくとも化合物(I)の融点以上の温度、好ましくは融点よりも50〜150℃高い温度で溶融混練することで、ほぼ均一に化合物(I)を熱可塑性樹脂組成物に分散させることができる。
第1工程と第2工程は連続してもよく、この場合、第2工程は、化合物(I)が混合された時から始まる。
【0045】
第1工程および第2工程において、溶融混練は、通常、バンバリーミキサー(Banbury mixer)などのバッチ式混練機や押出機(extruder)などの連続式混練機を用いる。工業的には、混練機の中でも、2軸などの多軸又は単軸のスクリューを備えた押出機が、生産性が良好であるため好ましい。特に、多軸押出機の方が、熱可塑性樹脂組成物中の化合物(I)、中和剤及び他の添加剤などの分散にも優れる傾向があることから好ましい。押出機の場合、スクリューを備えた部分等の加熱混合部において、温度を150℃〜300℃、好ましくは170℃〜270℃の範囲に制御することにより熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
また、投入口より徐々に制御温度を高くなるように設定し、加熱混合部よりアダプター部およびダイス部が同じ温度か、若干高めになるよう制御すると、生産安定性が向上することから好ましい。
【0046】
後述する実施例5および6に記載のように、第1工程で得られた溶融混練物を取り出して、別に第2工程を行ってもよいが、押出混練機を用いる場合には、図1の[i]から第1工程に必要な熱可塑性樹脂及び中和剤等の原料を投入し、図1の[ii]から第2工程に必要な化合物(I)を投入してもよい。
フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤などの、熱可塑性樹脂、中和剤及び化合物(I)以外の添加物等は、第1工程で投入しても、第2工程で投入しても、第1工程および第2工程のそれぞれで投入してもよいが、第1工程で投入する方法が好ましい。
【0047】
かくして得られた熱可塑性樹脂組成物は、色相が改善された組成物であるが、さらに加熱して流動状態にして、成形加工することによって得られる成形品についても、色相が改善される。ここで、成形加工とは、金型に熱可塑性樹脂組成物を圧入して固化させることを意味し、具体的には、プレス成形、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱成形、圧縮成形などの成形加工が例示される。
上記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、着色剤、帯電防止剤などをさらに加えて成形加工することにより、電子・電気製品、自動車などの機械製品、テレビなど光学製品などの部品や筐体などの成形品として用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明する。部および%は特に断りがない限り重量基準を意味する。
【0049】
実施例では、以下を使用した。
熱可塑性樹脂 :ポリプロピレン(MI:約12)
化合物(I-1) :2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-
ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサ
ホスフェピン、 融点115℃
その他の酸化防止剤:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト
(以下、Add−1という場合がある)
その他の添加剤 :コハク酸ジメチルおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物
(以下、Add−2という場合がある)
【0050】
(実施例1)
250℃に加熱されたラボプラストミル 4C150(東洋精機社製 バッチ式混練機)に、ポリプロピレン100部、ステアリン酸カルシウム(融点145〜160℃) 0.02部を入れ、窒素雰囲気としたのち、250℃にて、30rpmで5分間混練した(以上が第1工程)。続いて、ラボプラストミルの蓋を開け、該ラボプラストミルに化合物(I-1)を0.1部加え、250℃、窒素雰囲気下、30rpmで5分間混練し(以上が第2工程)、熱可塑性樹脂組成物を得た。該組成物の色相を測定するため、プレス機により230℃で厚みt=1mmのプレスシートを得た。このシートをJIS K7105に従ってYI値を測定した。結果を表1に示した。
【0051】
(実施例2〜4)
ステアリン酸カルシウムの量及び第2工程の混練時間を表1に記載のとおりとする以外は、実施例1と同様に実施した。
【0052】
(比較例1)
250℃に加熱されたラボプラストミルに、ポリプロピレン100部、ステアリン酸カルシウム0.02部及び化合物(I)0.1部を入れ、窒素雰囲気としたのち、250℃にて、30rpmで5分間混練した(以上が実施例1の第1工程に相当する条件の混練。但し、化合物(I-1)は第1工程で添加されている。)。次にラボプラストミルの蓋を開けた後、再び250℃、窒素雰囲気下、30rpmで5分間混練した(以上が実施例1の第2工程に相当する条件の混練。但し、化合物(I)は第1工程で添加されているので、第2工程で添加されない。)。
プレス機により230℃で厚みt=1mmのプレスシートを得た。このシートについて、測色計を用いてYI値を測定し、結果を表1に示した。
【0053】
(比較例2〜3)
ステアリン酸カルシウムの量を表1に記載のとおりとする以外は、比較例1と同様に実施した。
【0054】
【表1】

【0055】
表1からも明らかなように、混練時間が同じであっても、第1工程および第2工程を行う実施例はYI値が低く、色相が改善することがわかる。
【0056】
(実施例5)
ポリプロピレン100部、ステアリン酸カルシウム0.04部、およびAdd−1 0.06部を混合し、窒素雰囲気下の30mm径の2軸押し出し機を用いて260℃、スクリュー回転数60rpmで混練し、ペレット[1]を得た(以上が第1工程)。このペレット[1]100部と化合物(I)0.03部とを、窒素雰囲気下の30mm径の2軸押し出し機を用いて230℃、スクリュー回転数80rpmで混練し、ペレット[2]を得た(以上が第2工程)。このペレット[2]をプレス機で1mm厚のシートにし、測色計を用いてYI値を測定し、結果を表2に示した。
【0057】
(実施例6)
第1工程にポリプロピレン、ステアリン酸カルシウム、Add−1に加えて、さらに、Add−2を0.03部用いる以外は、実施例5と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0058】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】2つの投入口と空気抜きを有する押出混練機の断面図
【符号の説明】
【0060】
[i] 第1工程に用いる原料の投入口
[ii] 第2工程に用いる原料の投入口
[iii] ガス抜き
[iv] 供給フィーダ
[v] スクリュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂および中和剤を溶融混練する第1工程、第1工程で得られた溶融混練物及び化合物(I)を溶融混練する第2工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子との結合手を表す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRのいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
また、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。さらに、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。そして、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。)
【請求項2】
中和剤が金属石鹸、脂肪族アミド、ハイドロタルサイト類、アルカリ土類金属の酸化物または水酸化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂100重量部に対し、中和剤を0.005重量部〜1重量部、化合物(I)0.005重量部〜1重量部を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
第1工程において、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤から選ばれる少なくとも1種以上の安定化剤をさらに配合する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性樹脂および中和剤を溶融混練する第1工程、第1工程で得られた溶融混練物及び化合物(I)を溶融混練する第2工程を含む熱可塑性樹脂の安定化方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形加工することを特徴とする成形品の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−274001(P2008−274001A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112660(P2007−112660)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】