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熱可塑性樹脂組成物
説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】ポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂/ゴム状重合体/相容化剤/無機フィラーからなる組成物の耐熱性、線膨張係数及び耐薬品性などの優れた性能を損なうことなく、耐衝撃性、線膨張係数/成形収縮率の異方性低減及び表面外観の改良された組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂、(C)ゴム状重合体及び(D)相容化剤からなる樹脂と(E)(E−1)板状及び/または針状の無機フィラーと(E−2)粒状無機フィラー2〜50重量%とを乾式混合した複合無機フィラーからなる熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な熱可塑性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しく言えば、従来のポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂/ゴム状重合体/相容化剤/無機フィラーからなる樹脂組成物の耐熱性、線膨張係数および耐薬品性などの優れた性能を損なうことなく、耐衝撃性、線膨張係数/成形収縮率の異方性および表面外観を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂を無機充填材で補強する技術は古くから種々提案されており、また実際に広く実用化されている。一方、ポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂/ゴム状重合体/相容化剤からなる組成物に無機充填剤を配合する技術も種々提案されている。この組成物は高剛性化、線膨係数の低減という点では効果があるが、耐衝撃性が大きく損なわれるという問題があった。この問題の解決のため、無機充填材をポリフェニレンエーテルとゴム状重合体からなる分散相側に分散させる方法や逆にポリアミド樹脂からなる連続相側に分散させる方法(例えば、特許文献1及び2参照。)が提案されているが、分散相側に分散させる方法は線膨張係数の改良が不十分であり、連続相に分散させる方法では耐衝撃性の改良が不十分である。さらに低線膨張化を図るためには、アスペクト比のより大きな無機充填材の使用が効果的であるが、耐衝撃性の更なる低下と線膨張係数/成形収縮率の異方性(流動方向と直角方向)が増加するため、自動車部品などの大型の成形品での利用は制限されたものであった。
一方、本願で用いられる複数種の無機フィラーを乾式高速撹拌下で混合粉砕してなる合成樹脂成形用複合フィラーに関する技術には、ポリプロピレンやポリアミドを用いた例が示されており、引張伸度と耐衝撃性において改良効果が示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−261861号公報
【特許文献2】
特開平4−372656号公報
【特許文献3】
特開2002−80631号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況下において、本発明が解決しようとする課題は、ポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂/ゴム状重合体/相容化剤/無機フィラーからなる組成物の耐熱性、線膨張係数及び耐薬品性などの優れた性能を損なうことなく、耐衝撃性、線膨張係数/成形収縮率の異方性低減及び表面外観の優れた組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、従来の無機充填材に替えて、平均粒子径が0.5〜20μmでアスペクト比が3以上である板状及び/又は針状の無機フィラーと平均粒子径が0.05〜5μmの粒子状の無機フィラーとを乾式高速撹拌下で分散粉砕された複合無機フィラーを用いることにより、耐熱性、線膨張係数及び耐薬品性などの優れた性能を損なうことなく、耐衝撃性、線膨張係数/成形収縮率の異方性および外観の改良された組成物が得られることを見出し本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
1.(A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂、(C)ゴム状重合体及び(D)相容化剤からなる樹脂と(E)(E−1)板状及び/または針状の無機フィラーと(E−2)粒状無機フィラーを乾式混合した複合無機フィラーからなる熱可塑性樹脂組成物、
2.(E)成分が、(E−1)平均粒子径0.5〜20μmの板状及び/または、針状の無機フィラーと(E−2)平均粒子径0.05〜5μmの粒状無機フィラーを乾式混合した複合無機フィラーである上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物、
3.各成分の配合割合が、(A)ポリアミド樹脂30〜83重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂15〜68重量%及び(C)ゴム状重合体 2〜30重量%からなる樹脂100重量部に対して、(D)相容化剤0.05〜3重量部及び(E)複合無機フィラー1〜100重量部である上記1または2の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
4.(E)成分の乾式混合が撹拌混合機を用いて行なわれ、その撹拌羽根の最大周速度が10m/秒以上である上記1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.(E)成分の乾式混合が撹拌混合機を用いて行なわれ、その撹拌羽根の最大周速度が20m/秒以上である上記1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物、である。
【0007】
本発明において(A)成分として用いられるポリアミドは、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合及び等モル量の炭素原子4〜12個を含む飽和脂肪酸ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含む脂肪族ジアミンとの結合により製造することが出来るホモポリアミド及びコポリアミド等から選ばれた1種または2種以上のポリアミド樹脂である。重合の際に所望に応じジアミンを過剰に用いてポリアミド中のカルボキシル基末端基がアミノ末端基より過剰に与える事が出来る。逆に過剰の二塩基酸を用いてポリアミドのカルボキシル基末端基がアミノ末端基より過剰になるように調整する事も出来る。同様に、これらのポリアミドを該酸およびアミンの酸生成及びアミン生成誘導体、例えばエステル、酸塩化物、アミン塩などから良好に製造する事が出来る。このポリアミドを製造するために用いる代表的な脂肪族ジカルボン酸にはアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸が含まれ、一方代表的な脂肪族ジアミンにはヘキサメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが含まれる。
【0008】
加えてこれらポリアミドはラクタム自己縮合により製造する事が出来る。脂肪族ポリアミドの例には、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバサミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン6,12)、ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド、ポリテトレメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,66共重合体が、またはこれらのナイロンを2種以上任意の割合で使用しても良い。またこれらのポリアミドの末端官能基はアミン末端の多いもの、カルボキシ末端の多いもの、両者のバランスしたものが好適に用いられる。
【0009】
更に芳香族ポリアミドも含む、例えばポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6,I)の如き芳香族成分を含有するコポリアミドである。かかる芳香族ポリアミド成分を含有する熱可塑性コポリアミドは芳香族アミノ酸及び/又は芳香族ジカルボン酸例えば、パラアミノメチル安息香酸、パラアミノエチル安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを主構成成分とする溶融重合が可能なポリアミドを意味する。ポリアミドの他の構成成分となるジアミンはヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−アミノシクロヘキシルプロパン、ビス(3−メチル、4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノ)シクロヘキサンなどを使用する事が出来る。またジアミンの代わりにイソシアネート類を用いる事が出来る。例えば4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどである。
【0010】
必要に応じて用いられる共重合体成分は特に限定なく、ラクタム若しくは炭素原子数4〜12個のω−アミノ酸の単位、又は炭素原子数2〜12個の脂肪族ジカルボン酸、及び炭素原子数2〜12個の脂肪族ジアミンから誘導される化合物、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのラクタム、又はアミノ酸、前記した各種ジアミンとアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などとの等モル塩などが利用出来る。さらにこれたのポリアミドを任意で混合しても良い。
【0011】
これらのポリアミドにあって好ましくはナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、などが用いられる。より好ましくは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6,66共重合体、ナイロン66/6Iの単独使用または併用が好ましい。
これらポリアミドは、25℃、98%濃硫酸中、濃度1%で測定した相対粘度が2.0〜6.0であることが好ましい。2.0未満では機械的強度が不足し、6.0を超えると成形性が劣るため好ましくない。
本発明で用いる(B)成分のポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)
【0012】
【化1】



【0013】
(ここで、R,R,R及びRはそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一であっても異なっていてもよい)で示される繰り返し単位からなる。
【0014】
このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−nプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−nブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0015】
本発明の(B)成分に用いるポリフェニレンエーテルは、後述する固有粘度を有するものであれば、その製法に制限は無くいかなる製造方法でも良い。例えば、米国特許第3306874号明細書記載のHayによる第一塩化銅とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−ジメチルフェノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、米国特許第4788277号明細書、特公昭52−17880号公報、日本特許1803133号、日本特許1803134号、日本特許1803136号等に記載された方法が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテルは、その重合度が単独重合体、共重合体ともに固有粘度〔η〕(クロロホルム溶液、30℃)で0.30〜1.0好ましくは0.35〜0.80の範囲のものが好適に用いられる。0.30未満では耐衝撃性が不足し、1.0を超えると成形性が悪化するため好ましくない。
さらに本願に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されているように予め(D)成分である相容化剤により変性されたポリフェニレンエーテルも含まれ、未変性のポリフェニレンエーテルとの併用も可能である。
【0016】
本発明において(C)成分として用いられるゴム状重合体としては、飽和ゴム系のエラストマーもしくは非共役ジエンを用いて得られた一部の不飽和ゴム系のエラストマーやポリスチレン及びポリブタジエンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、ポリスチレン及び及びイソプレン−ブタジエンの共重合体が用いられる。ここで、飽和ゴム系のエラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、更に第三成分を加えたEPDM等のオレフィンエラストマーやオレフィン系エラストマーに無水マレイン酸等の極性基やスチレン、アクリロニトリル等をグラフトしたエラストマーが適している。
【0017】
飽和ゴム系のエラストマーはスチレン若しくはスチレンと他の共重合成分からなる分子量5000以上のセグメントを持っているのが好ましい。具体的にはポリスチレン及びポリブタジエンセグメントをそれぞれ1個以上有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、ポリスチレン及びイソプレン−ブタジエンの共重合体をそれぞれ1個以上1つ以上有するブロック共重合体のイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分を選択的に水素添加したブロック共重合体やエチレン、プロピレン、ブテン、非共役ジエン成分を共重合したポリオレフィンエラストマーにスチレンもしくはスチレンと他の共重合成分グラフト重合したものである。
【0018】
これらのなかで好ましいゴム状重合体はイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択的に水素添加されたスチレン系のブロック共重合体であり、好ましい分子量は20000〜300000の範囲である。
本発明の(D)成分に用いられる相容化剤は不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と、極性基すなわちポリアミド樹脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボキシル基、アミノ基と親和性又は化学反応性を示す官能基とを同一分子内の併せもつ化合物である。かかる官能基としては、カルボン酸のカルボキシル基、カルボン酸より誘導される基、すなわちカルボキシル基の水素原子または水酸基が置換した各種の塩、エステル、酸アミド、酸無水物、イミド、酸アジド、酸ハロゲン化物、あるいはオキサゾリン、ニトリル、エポキシ基、アミノ基、水酸基、イソシアン酸エステル等があげられる。不飽和基と極性基を併せ持つ化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコ−ル、不飽和アミン、不飽和イソシアン酸エステル等が主に用いられる。具体的には無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、マレイン酸の半アルキルエステル、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが挙げられるが、この中で無水マレイン酸、マレイン酸が好ましい。これらの相溶化剤は必要により、各種のラジカル開始剤を併用することが可能である。
【0019】
この(D)成分である相容化剤の添加量は、前記(A)、(B)及び(C)成分の合計量100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部の範囲で選ぶ事が望ましい。この添加量が、0.05重量部未満では、分散相の粒子径が大きくなり物性上好ましくないし、また3重量部を超える添加量を用いてもそれによる効果の増大は認められず、分解、変色等の不具合が生じるし、経済的にも不利である。
【0020】
本発明の(E)成分に用いられる(E−1)板状及び/または針状の無機フィラーに用いられる板状の無機フィラーとしては、カオリン、タルク、絹雲母(セリサイト)、白雲母(マスコバイト)、金雲母(フロゴパイト)等の雲母類、クロライト、モンモリロナイト、ハロサイト等の層状粘土鉱物、ガラスフレーク、金属板状粉などが挙げられる。針状の無機フィラーとしては、ウォラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ピロホウ酸マグネシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等が挙げられる。これらの中ではカオリン、タルク、マイカ、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカーが好ましい。この板状及び/または針状無機フィラーの平均粒子径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがさらに好ましい。この板状及び/または針状無機フィラーはアスペクト比が5以上のものが好ましい。
【0021】
(E−2)成分に用いられる粒状無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、カオリン、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、タルク、シリカ、石英粉末、ガラス粉、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、酸化鉄、、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末、黒鉛、カーボンブラック、導電性カーボンブラックなどが挙げられる。
【0022】
これらの中で微粒子品の入手の容易なカオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボン、導電性カーボンが好ましく、炭酸カルシウムが特に好ましい。また、導電性付与の観点からは、カーボンナノチューブに代表される微細な繊維状カーボンを併用することも当然可能である。この粒状無機フィラーの好ましい粒子径は0.05〜5μmの範囲であり、さらに好ましくは0.05〜2μmの範囲である。また、粒状無機フィラーのアスペクト比は5以下が好ましく、さらに好ましくは4以下、最も好ましくは3以下である。
この(E−1)成分と(E−2)成分の割合は(E−1)/(E−2)で98/2〜50/50重量%であり、更に好ましくは95/5〜60/40重量%の範囲である。(E−2)成分は2重量%未満では耐衝撃性や線膨張係数/成形収縮率の異方性の改良効果が不十分であり、(E−2)成分が50重量%を超えると剛性、線膨張係数が低下するため好ましくない。
【0023】
これらの無機フィラーは表面処理剤として、高級脂肪酸またはそのエステル、塩等の誘導体(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エチルエステルなど)やカップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系など)を使用することが出来る。表面処理剤はあらかじめ各々の無機フィラーと処理しておいても良く。乾式撹拌時に同時に添加処理する事も可能である。
【0024】
本願の(E)成分に用いられる複合無機フィラーの混合方法は特に限定されないが、好ましくは特開2002−80631号公報に示される様に、乾式の撹拌装置を用いて行われ、撹拌羽根の最大周速は10m/sec以上が好ましく、20m/sec以上がさらに好ましい。この際、ステアリン酸等の表面処理剤の存在下で処理する事が好ましく、(E−1)と(E−2)各々の凝集塊が解砕され、高アスペクト比のフィラーと微粒子のフィラーとが得られる事が、弾性率と衝撃強度を両立させ得る要因と考えられる。
【0025】
(E)成分は(A)、(B)及び(C)からなる樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜80重量部、より好ましくは5〜70重量部の範囲である。
本発明組成物における(A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂、(C)ゴム状重合体の構成割合は、(A)成分が30〜83重量%、好ましくは35〜75重量%、(B)成分が15〜68重量%、好ましくは20〜60重量%、(C)成分が2〜30重量%、好ましくは5〜25重量%の範囲である。(A)成分が30重量%未満では、ポリアミドを連続相とすることが難しく、ポリアミドの特長である耐油性、成形加工性等を損なうため好ましくなく、(A)成分が83重量%を超えると、ポリアミドの欠点である耐水性や寸法性が改良されず好ましくない。(C)成分が2重量%未満では耐衝撃性が不十分であり、30重量%を超えると剛性および耐熱性が低下し好ましくない。
【0026】
本発明の組成物を溶融混練りする温度及び時間は、使用するポリアミドの種類や、配合比によって任意に設定すれば良いが、通常、240〜360℃、好ましくは280〜340℃の範囲の温度が、また0.1〜10分、好ましくは0.3〜3分程度の混練時間が適当である。溶融混練装置としては、1軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ロールなどを用いることができるが、特に好適なのは押出機で、2軸押出機が好ましく、中でもサイドフィード口を複数個有する2軸押出機が特に好ましい。
【0027】
本発明の組成物には、所望に応じて他のポリマー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤などを本発明の目的を損なわない範囲内で添加することが出来る。安定剤として通常、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ゴム状重合体に用いられるリン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、亜鉛系熱安定剤、窒素系熱安定剤剤、銅系熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等を用いることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂樹脂組成物は射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形など幅広い成形が可能である。特に射出成形用途が最適である。また得られた成形品はその特性を生かして、自動車外装部品や内装品および家電製品などに幅広く使用できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
つぎに、実施例により本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、いずれも例示的なものであって、本発明の内容を限定するものではない。実施例および比較例において使用した成分は以下のものである。
(A)成分:ポリアミド
a−1;ηr=2.60(98%硫酸、25℃)の6,6−ナイロン
(B)成分;ポリフェニレンエーテル
b−1;固有粘度が0.52(30℃、クロロホルム中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
(C)成分;ゴム状重合体
c−1;水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(旭化成(株)製、タフテックH1271)
(D)成分;相容化剤
d−1;無水マレイン酸
【0029】
(E)成分;複合無機フィラー
e−1;平均粒子径3.2μmのタルク(勝光山鉱業所製 SK−2)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、タルク/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速25m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
e−2;平均粒子径3.2μmのタルク(勝光山鉱業所製 SK−2)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、タルク/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速15m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
【0030】
e−3;平均粒子径3.2μmのタルク(勝光山鉱業所製 SK−2)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、タルク/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速5m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
e−4;平均粒子径3.2μmのタルク(勝光山鉱業所製 SK−2)
e−5;平均粒子径4μmのアミノシランで表面処理されたウォラストナイト(巴工業(株)製 NYGLOS4−10013)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、ウォラストナイト/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速25m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
【0031】
e−6;平均粒子径4μmのアミノシランで表面処理されたウォラストナイト(巴工業(株)製 NYGLOS4−10013)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、ウォラストナイト/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速15m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
e−7;平均粒子径4μmのアミノシランで表面処理されたウォラストナイト(巴工業(株)製 NYGLOS4−10013)と平均粒子径1.2μmの炭酸カルシウム(三共精粉製 AFF−95)を用い、ウォラストナイト/炭酸カルシウムを3/1重量比の割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式で周速5m/secの条件で複合無機フィラーを作成した。表面処理材として、ステアリン酸を炭酸カルシウムに対して2wt%使用した。
e−8;平均粒子径4μmのアミノシランで表面処理されたウォラストナイト(巴工業(株)製 NYGLOS4−10013)
【0032】
また、得られた樹脂組成物については、次の方法に従って評価を行った。
実施例、比較例で得られたペレットは水分測定を行い、必要なら120℃の真空乾燥機で真空乾燥を実施し、水分が1000ppm以下になるようにコントロールした。このペレットを用いて、射出成形機(東芝機械(株)製IS80C、シリンダー温度290℃、成形サイク1ル1分)で評価用の試験片を成形し、物性測定ならびに試験を実施した。
【0033】
(1)メルトフローレイト(MFR)
実施例、比較例で得られたペレットを120℃で12時間真空乾燥した後、ASTMD−1238に準拠して求めた。但し、荷重は5kg、設定温度は280℃で行った。
(2)引張強度、伸度
ASTM D−638に準拠して求めた。
(3)曲げ強度、曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠して求めた。
(4)アイゾッド衝撃強度(ノッチ付き、1/8インチ厚さ)
ASTM D−256に準拠して求めた。
(5)面衝撃強度
グラフィックインパクトテスター(東洋精機(株)社製)にて、50×90×3mmの平板を用いて、平板破壊時の全吸収エネルギーを23℃で測定した。
【0034】
(6)線膨張係数
前述の射出成形で得られた引張試験用の厚さ3.2mm試験片の中央部分から10×10mm長さの試験片を切り出し、TMA−40(島津製作所製)にて、−30〜80℃の線膨張係数を測定した。
(7)成形収縮率
射出成形機(東芝機械(株)製IS80EPN、シリンダー温度290℃、成形サイクル1分)で100×100×3mmの試験片を成形し、23℃、絶乾状態で2日間放置後、成形収縮率を測定した。
(8)表面外観
50×90×3mmの平板を用いて外観を評価。
◎;ゲート部のフローマーク殆ど認められないもの。
○;ゲート部のフローマークが試験片の1/4以下であるもの。
△;ゲート部のフローマークが試験片の1/2以下であるもの。
×;ゲート部のフローマークが試験片の1/2以上であるもの。
【0035】
【実施例1】
230〜300℃に設定されたベントポート付き同方向回転二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEDERER社製)を用いて、第1供給口から、(b−1)成分35重量部、(c−1)成分11.2重量部、(d−1)成分0.5重量部、及び安定剤として、トリ(2,4−ジターシャリブチルフェニル)フォスファイト(チバガイギー社製、イルガフォス168)0.10重量部、酸化亜鉛0.10重量部、硫化亜鉛0.10重量部を混合したものを4.70kg/hrでフィードし、押出機の中段に設けられたサイドフィード1(第2供給口)より(a−1)成分を5.38kg/hrでフィードし、さらに押出機の後段に設けられたサイドフィード2(第3供給口)より(e−1)を2.5kg/hrでフィードし、スクリュー回転数300rpmで押出混練を行い組成物ペレットを得た。ついで前記した方法により各種試験を行った。結果を表1に示す。なお、表1の配合部数は、すべて重量部である。
【0036】
【実施例2〜6】
(e−1)成分を表1に示す成分に変更する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1、3】
(e−1)成分を表1に示す成分に変更する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0038】
【比較例2】
比較例1の(e−4)成分のフィード量を1.76kg/hrに変更する以外は比較例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0039】
【比較例4】
比較例3の(e−8)成分のフィード量を1.76kg/hrに変更する以外は比較例3と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】



【0041】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物はポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂/ゴム状重合体/相容化剤/無機フィラーからなる組成物の耐熱性、線膨張係数、耐薬品性などの優れた性能を損なうことなく、耐衝撃性、線膨張係数/成形収縮率の異方性及び表面外観を改良したもので、自動車部品などの大型の成形品に最適な材料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂、(C)ゴム状重合体及び(D)相容化剤からなる樹脂と(E)(E−1)板状及び/または針状の無機フィラーと(E−2)粒状無機フィラーを乾式混合した複合無機フィラーからなる熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
(E)成分が、(E−1)平均粒子径0.5〜20μmの板状及び/または針状の無機フィラーと(E−2)平均粒子径0.05〜5μmの粒状無機フィラーを乾式混合した複合無機フィラーである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
各成分の配合割合が、(A)ポリアミド樹脂30〜83重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂15〜68重量%及び(C)ゴム状重合体2〜30重量%からなる樹脂100重量部に対して、(D)相容化剤0.05〜3重量部、及び(E)複合無機フィラー1〜100重量部である請求項1または2の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
(E)成分の乾式混合が撹拌混合機を用いて行なわれ、その撹拌羽根の最大周速度が10m/秒以上である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
(E)成分の乾式混合が撹拌混合機を用いて行なわれ、その撹拌羽根の最大周速度が20m/秒以上である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。

【公開番号】特開2004−107488(P2004−107488A)
【公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−272010(P2002−272010)
【出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】