説明

熱可塑性親水性ポリマー組成物を含み、改善された強度を有する液体不透過性で湿気透過性の層及びフィルム

本発明は、熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性で湿気透過性のフィルム又は層に関する。熱可塑性組成物は、選択された熱可塑性親水性ポリマー、選択された相溶性可塑剤、及び選択された官能化コポリマーを含み、この官能化コポリマーが前記フィルム又は層の湿気透過性を損なうことなく、向上した機械的強度及びより良好な結合能力をもつフィルム又は層を与える。熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造される本発明の層及びフィルムは、液体不透過性と湿気透過性とが望まれる様々な用途を見出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルムに関する。本発明の層又はフィルムは、湿気透過性かつ液体不透過性であるのが望ましい様々な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
湿気透過性を提供することに加えて、液体障壁を提供する熱可塑性フィルムは、当該技術分野において既知である。特に好ましいものは、材料内の開口部又は孔を通しては湿気を流動させないが、水分をフィルムの湿度が高い側で吸収してフィルムの湿度が低い反対側で放出又は蒸発させることにより、かなりの量の湿気をフィルムを通して輸送する親水性の連続フィルムである。このようなフィルムは、通常、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーのブレンドを含む、熱可塑性ポリマー組成物から形成される。前述の特徴を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、当該技術分野で「モノリシック組成物」としても知られており、それらから製造される湿気透過性で液体不透過性の層又はフィルムは、「モノリシック層」又は「モノリシックフィルム」として知られている。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、及び/又はポリウレタンと、b)aと相溶性でない熱可塑性ポリマーと、c)混和剤との混合物から調製されるフィルムを開示している。そのフィルムは、液体不透過性であり、1日当たり約700g/m2の湿気透過性を有する。また米国特許第5,447,783号には、少なくとも三つの層を持つ、蒸気透過性で耐水性の多成分フィルム構造体が開示されている。その外層は、厚さが1.3〜7.6マイクロメートル、且つWVTRが400〜2500g/m2・24時間の疎水性コポリエーテルエステルエラストマーであり、内層は、厚さが7.6〜152マイクロメートル、且つWVTRが少なくとも3500g/m2・24時間の親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号には、耐水性で血液とウイルスを通さない通気性の積層体が開示されている。この積層体は、織布/不織布、及び約1ミル(25.4マイクロメートル)の厚さを有するハイトレル(Hytrel)(商標)のような押出成形フィルムを含む。
【0005】
米国特許第5,532,053号は、不織布材料上に積層することのできる、湿分透過性の高い医療用フィルムを開示している。この積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第一層、並びに特定のポリマーの群から選択される第二層及び第三層を含む。フィルムは750g/m2・24時間(ASTM F−1249)より高いMVTR、且つ1ミル(25.4マイクロメートル)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19マイクロメートル)の厚さを持つ。
【0006】
米国特許第4,938,752号には、水透過性が低く、水蒸気透過性が(記載された特定の試験で測定した場合)500g/m2・24時間、且つ厚さが5〜35マイクロメートルのコポリエーテルエステルのフィルムを含む吸収性物品が開示されている。支持基材については開示されていない。
【0007】
米国特許第4,493,870号は、少なくとも1000g/m2・24時間のMVTR(ASTM E96−66)を有し、5〜35マイクロメートルの厚さを有するコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された繊維材料を含む、柔軟性のある層状の耐水性製品を開示している。
【0008】
GB2024100は、湿気透過性であるが液体は通さない微多孔性の疎水性外層、及びMVTRが1000g/m2・24時間を超えるポリエーテルポリウレタンの親水性内層を有する、柔軟性のある層状の耐水性物品を開示している。
【0009】
本発明者らによる特許出願である、PCT国際公開特許WO99/64077、名称「湿気透過性構造体用の低粘度熱可塑性組成物及び吸収性物品におけるそれらの利用(Low viscosity thermoplastic compositions for moisture vapour permeable structures and the utilisation thereof in absorbent articles)」、及びPCT国際公開特許WO99/64505、名称「高められた湿気透過性を有する構造体用の低粘度熱可塑性組成物及び吸収性物品におけるそれらの利用(Low viscosity thermoplastic compositions for structures with enhanced moisture vapour permeability and the utilisation thereof in absorbent articles)」において、湿気透過性で液体不透過性の好ましい特徴を有する、親水性で連続的な、湿気透過性があり、液体不透過性のフィルム又は層を製造するための、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーのブレンドを含む熱可塑性親水性ポリマー組成物が開示されている。これらの開示された好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、望ましい厚さを有するコーティングを基材上に提供するため容易に処理加工することができるので、複雑な伝統的押出装置の必要性が回避される。これは、熱可塑性親水性ポリマーの粘度を、こうした粘度を低下させる適切な可塑剤又は可塑剤のブレンドを組成物中に包含することによって、調整することにより達成される。これによって、これらの好ましい組成物を用いて湿気透過性、液体不透過性のフィルム又は層を形成するために、低粘度のホットメルト組成物を基板上に直接被覆するための当該技術分野において既知の典型的な処理条件が利用可能となる。
【0010】
特に好ましい親水性可塑剤はPCT国際公開特許WO99/64505に記載されており、この可塑剤は組成物の粘度を調整することに加えて、湿気透過性に関してさらなる利益を備えた熱可塑性親水性ポリマー組成物も提供する。
【0011】
上記で引用された2つの先行技術文献に示されるように、本発明者らの熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシック組成物」)は、湿気透過性で液体不透過性の層又はフィルム自体として、並びに熱可塑性親水性ポリマー組成物の1以上の典型的な連続層が、1以上の異なる基材、例えば不織布のような繊維性層と結合した複合積層構造体の層又はフィルムとして使用される典型的な連続層又はフィルムの製造に特に適切であり、この複合積層構造体も、通常は湿気透過性で液体不透過性である。上記組成物は、低粘度のホットメルト配合物として配合され、層又はフィルム又は積層体を調製するために、溶融状態で例えば既知のホットメルトコーティング技術によって通常処理される。あるいは、本発明者らの特許出願であるPCT国際公開特許WO01/97870、名称「水溶解度の低い成分を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物(Thermoplastic hydrophilic polymeric compositions with low water solubility component)」及びPCT国際公開特許WO01/98399、名称「水溶解度の高い成分を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物(Thermoplastic hydrophilic polymeric compositions with high water solubility component)」に開示されるもののように、エマルション又は溶液プロセスも同様の熱可塑性親水性ポリマー組成物に利用可能である。
【0012】
上記で引用された本発明者らの特許出願に開示される熱可塑性親水性ポリマー組成物は容易に処理可能であり、フィルム及び層を与えることができ、このフィルム及び層はまた、液体不透過性で湿気透過性の良好な特性をもつ積層構造体に導入できるので特に適切であるが、それらの組成物は、さらに良好な特性を達成するために、すなわち機械的特性の点においてさらに改善できる。
【0013】
事実、上記組成物は、通常、溶融状態での粘度を調整するだけでなく、湿気透過性をより高めるために相対的に多量の可塑剤を含む。しかし、このような相対的に多量の可塑剤によって、使用中に高い応力及び/又はひずみが適用され得る特定の製品用途には機械的特性が低すぎるようなフィルム及び層を生じ得ることになる。例えば、組成物は、衛生ナプキン又はパンティライナー又は使い捨て乳幼児用おむつのような、例えば使い捨て吸収性物品において、フィルム又は層自体として含まれ得るか、あるいは複合積層構造体に導入され得る。この物品の特定の使用条件では、高い応力が、物品に含まれるフィルム、層又は積層構造体に適用されることが起こり得るので、フィルム若しくは層が裂けたり、及び/又は積層構造体が層間剥離したり、すなわち熱可塑性層又はフィルムが基材から少なくとも部分的に剥がれたりする可能性がある。
【0014】
熱可塑性親水性ポリマー組成物に適切な粘着付与樹脂を添加すると、組成物を含むフィルム又は層の基材に対するより良好な結合が得られるが、熱可塑性親水性ポリマー組成物で製造されたフィルム又は層自体の機械的強度は増大しない。
【0015】
さらに相対的に多量の粘着付与樹脂を添加すると、特定の製品用途には好ましくない場合がある残留性の永続的な粘着性をもつ組成物が得られることがある。また一部の粘着付与樹脂を相対的に多量に添加すると、得られたフィルム又は層の湿気透過性全体に悪影響を及ぼし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そのため本発明の目的は、液体不透過性であり、湿気透過性が高く、さらに機械的特性の向上した、特により良好な機械的強度をもつ、熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むフィルム又は層を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、少なくとも基材、例えば不織布に適切に結合させることによって、好ましくは前記基材に直接コーティングすることによって複合積層構造体にする場合に、より良好な結合強度、すなわちその積層構造体の使用条件下において通常遭遇する応力及びひずみの下での層間剥離に対するより高い耐性を有し、そのためより強靭な複合積層構造体を提供する、液体不透過性で湿気透過性のフィルム又は層を提供することにある。
本発明のまたさらなる目的は、特定の製品用途において望ましくない場合がある残留性の永続的な粘着性をもたず、上述したような特性を有する液体不透過性で湿気透過性のフィルム又は層を提供することにある。
【0017】
驚くべきことに、選択された親水性ポリマー又はポリマー及び選択された適切な相溶性可塑剤又は可塑剤を含む熱可塑性親水性ポリマー組成物において、選択された適切な官能化コポリマーを含むことによって、液体不透過性で湿気透過性のフィルム又は層をその組成物から得ることができ、そのフィルム又は層は、複合積層構造体に導入した場合、特に前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を溶融状態で、例えばホットメルトコーティングによって基材に適用した場合に、機械的強度が向上し、さらに好ましくは結合強度が向上することを見出した。
【0018】
さらに本発明に従うフィルム又は層の利点は、次の説明及び実施例に例示される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は:
ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエステル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、(コ)ポリアミド、(コ)ポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、ビニルアセテート含量が少なくとも28重量%のポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそれらのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリグリコリド、ポリ尿素、並びにこれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、
前記熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と相互作用できる官能基を含有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドと、及び
適切な相溶性可塑剤、又は適切な相溶性可塑剤のブレンドと、
を含む熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
「熱可塑性親水性ポリマー」ということにより本明細書においては、材料内の開口部又は孔を通しては湿気を流動させないが、湿度がより高いフィルム又は層の一方の側で水分を吸収して、フィルム又は層の湿度がより低い反対側で水分を放出又は蒸発させることにより、フィルム又は層を通してかなりの量の湿気を輸送させる連続フィルム又は層(本明細書においてにて説明されるモノリシックフィルム又は層)を形成することが可能な熱可塑性ポリマーを意味する。したがって「熱可塑性親水性ポリマー」は本明細書本文において「熱可塑性モノリシックポリマー」の同義語であると考えられる。
【0021】
本明細書では、用語「通気性のある(breathable)」及び「通気性(breathability)」は、[背景技術]の項で定義した「モノリシック組成物」及び「モノリシック層又はフィルム」と関連して、「湿気透過性の(moisture vapour permeable)」又は「水蒸気透過性の(water vapour permeable)」、並びに「湿気透過性(moisture vapour permeability)」又は「水蒸気透過性(water vapour permeability)」に対応するものとする。「湿気(moisture vapour)」と「水蒸気(water vapour)」も等価とみなす。
【0022】
本発明によれば、湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、少なくとも、以下で説明する、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、適切な相溶性可塑剤又は適切な相溶性可塑剤のブレンドと、及び官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドとを含む。
【0023】
本発明のフィルム又は層に含まれる組成物中に含まれる適切な熱可塑性親水性ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエステル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、(コ)ポリアミド、(コ)ポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、少なくとも28重量%の酢酸ビニル含有量を有するポリエチレン−酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びこれらのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリグリコリド、ポリ尿素並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
好ましい熱可塑性親水性ポリマーは、ポリウレタン、(コ)ポリエステル、ポリエステル−アミドブロックコポリマー、ポリエーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー及びポリエーテル−エステルブロックコポリマー、及びこれらの混合物である。
特に好ましい熱可塑性親水性ポリマーは、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、ポリエーテル−エステルブロックコポリマー(例えば、ハイトレル(Hytrel)(商標))、ポリレタン(例えば、エスタン(Estane)(商標))又はこれらの混合物である。
【0025】
本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、上記で説明した熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物に加えて、その熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と相互作用できる、例えばその熱可塑性親水性ポリマー又はポリマーと化学結合(イオン又は共有)を形成できる官能基を含有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドを含む。
【0026】
官能基は、三元重合又はグラフト化によって官能化コポリマーの構造に存在する官能基含有コモノマー中に存在し得る。本発明の官能化コポリマーの好ましい例は、エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸エステル及びエチレンメタクリル酸エステルコポリマー、アイオノマー、エチレン−ビニルエステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸コポリマー、並びにこれらの混合物である。前記官能基を含有するコモノマーとエチレンとのコポリマーが好ましい。
【0027】
上述のもののうち、特に好ましいのは、エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、アイオノマー、エチレン−ビニルエステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルアセテート−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマーである。
【0028】
さらにより好ましいのは、例えばダウ・ケミカル(Dow chemical)から商品名プライマコール(Primacor)(商標)及びデュポン(Dupont)から商品名ヌクレール(Nucrel)(商標)として販売されているような、エチレン−アクリル酸コポリマー、例えばアトフィナ(Atofina)から商品名ロタダー(Lotader)(商標)4700として販売されているような、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー例えばデュポン(Dupont)から商品名フサボンド(Fusabond)(商標)190−Dとして販売されているような、エチレン−ビニルアセテート−無水マレイン酸コポリマー、例えばデュポン(Dupont)から商品名エルバロイ(Elvaloy)(商標)PTW及びアトフィナ(Atofina)から商品名ロタダー(Lotader)(商標)8900として販売されているような、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、例えばデュポン(Dupont)から商品名バイネル(Bynel)(商標)2002TWとして販売されているような、エチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸コポリマー、並びに、例えばデュポン(Dupont)から商品名サーリン(Surlyn)(商標)及びエクソン(Exxon)から商品名イオテック(Iotek)として販売されているような、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマーである。
【0029】
本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、以下で説明される適切な相溶性可塑剤又は適切な相溶性可塑剤のブレンドをさらに含む。
【0030】
本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれる、上記の熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物は、フィルム又は層の既知の形成方法、例えばハイパワースクリュー押出成形機を伴う押出成形方法の代表的な処理条件において、溶融状態では通常は極めて粘稠であり得る。例えば、それらの粘度は、DSC(示差走査熱量計)融点より20℃高い温度において、1ラジアン(rad)/秒の振動数で、50Pa・s(5000ポアズ)より高い可能性があり、このDSC融点とは、DSCピークに相当するものとして、あるいは二つ以上のピークを示すポリマーの混合物の場合には最大DSCピークに相当するものとして識別される温度である。
そのため、熱可塑性親水性ポリマー(類)、及び官能基を含有する官能化コポリマー又はコポリマーを含む、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、処理条件において溶融状態で極めて粘稠であり得る。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、及び本発明者らの特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はPCT国際公開特許WO99/64505に開示されるように、熱可塑性親水性ポリマー組成物に適切な可塑剤又はそのブレンドを包含させることによって、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を好ましく調整することができ、この可塑剤又はそのブレンドは、熱可塑性親水性ポリマー又はポリマーとも、さらに官能化コポリマー又はコポリマーとも相溶性であり、処理条件において溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を低下させる。
【0032】
そのため、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度は、可塑剤を適切に選択することにより、組成物がどのように処理されるかに応じて調整できる。例えば、当該技術分野で既知のように、処理条件において高い粘度を有する組成物に、フィルム押出成形技術を適切に使用することができる。あるいは、前述のPCT国際公開特許WOO99/64077及びPCT国際公開特許WO99/64505で説明されているように、組成物の処理に、適切なホットメルトコーティング方法が好ましい可能性もある。これは、処理条件における熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を、適切な低いレベルにまで調整しなければならないことを意味する。
【0033】
このような場合、本発明のこの代替的な実施形態の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、それらが好ましくは次の複素粘度(η*)を有するように、適切な可塑剤又はそのブレンドを含む。
1rad/秒の振動数、210℃以下の温度において、0.5Pa・s(50ポアズ)<η*<40Pa・s(4000ポアズ)、好ましくは1Pa・s(100ポアズ)<η*<20Pa・s(2000ポアズ)、より好ましくは1Pa・s(100ポアズ)<η*<10Pa・s(1000ポアズ)であり、1000rad/秒の振動数、210℃以下の処理温度(T)において、η*<20Pa・s(2000ポアズ)、好ましくはη*<10Pa・s(1000ポアズ)、より好ましくはη*<5Pa・s(500ポアズ)であり、ここでη*は熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘度を示す。好ましくは、温度Tは200℃以下、及びより好ましくは180℃以下、及び最も好ましくは200℃〜50℃である。
【0034】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、前述の複素粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物によって、低粘度のホットメルト組成物を基材上にコーティングして必要な厚さの層にする当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置を用いてフィルム又は層を基材にコーティングすることができるようになり、また親水性の連続的な湿気透過性で液体不透過性の層又はフィルムを提供するという点において、好ましい熱可塑性親水性ポリマーの有利な特徴も維持することができる。
このような粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、また、非常に薄いフィルム又は層を提供することもできる。
【0035】
本発明のこの好ましい実施形態による熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる適切な相溶性可塑剤としては、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジパート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液体ポリエステル、グリコレート、芳香族スルホンアミド、ベンゾエート、グリコールとポリグリコール及びこれらの誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸(C8〜C22)及びそれらの誘導体、ポリエーテル及びそれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、特に好ましい可塑剤は、親水性可塑剤、例えばクエン酸エステル、芳香族スルホンアミド、ベンゾエート、ポリエーテル及びそれらの誘導体、並びにこれらの混合物であり、それらの一部は本発明者らの出願であるPCT国際公開特許WO99/64505に開示される。この特に好ましい親水性可塑剤は、特に高い極性特性を有し、前記可塑剤又はそのブレンドを含む好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される、本発明の得られた層又はフィルムの湿気透過性を、同一の成分を含むが可塑剤又は可塑剤を含まない熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された対応するフィルム又は層に比べて、損なわず、高めることさえあるというさらなる利点を与える。
【0037】
特に好ましい親水性可塑剤又はそのブレンドはまた、もちろん、熱可塑性組成物を基材上にコーティングして所望の厚さの層又はフィルムにすることによって処理可能にするために、本発明の好ましい実施形態による熱可塑性組成物の粘度を好ましい値に調整することもできる。
【0038】
好ましくは本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して30重量%〜55重量%、好ましくは35重量%〜50重量%、より好ましくは35重量%〜45重量%の熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して5重量%〜35重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、より好ましくは15重量%〜25重量%の、官能基を含有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンド、及び前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して15重量%〜70重量%、好ましくは25重量%〜60重量%、より好ましくは35重量%〜50重量%の適切な相溶性可塑剤又は適切な相溶性可塑剤のブレンドを含む。
【0039】
より好ましくは本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物において、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び官能基を有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドは、1.2〜3、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.2の重量比であり;最も好ましくは重量比が約2であり、それは本発明のフィルム又は層に、特定の湿気透過性及び機械的強度の最適な組み合わせを与えることができる。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、官能化コポリマー又はコポリマーの分子量は適切に選択されることができる。さらに増大した機械的強度を有する本発明のフィルム又は層は、官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドを含む熱可塑性親水性ポリマー組成物から調製されることができ、ここでこの官能化コポリマー又はコポリマーは相対的に高い分子量を有する。官能化コポリマー又はコポリマーの分子量の表示度数は、当該技術分野において既知のいずれかの方法に従って特定の条件で評価された代表的なメルトフローインデックス(M.F.I.)によって与えられる。本発明のこの好ましい実施形態によれば、官能化コポリマー又はコポリマーは、それらのメルトフローインデックスが300g/10分未満、好ましくは100g/10分未満、より好ましくは10g/10分〜50g/10分の間であるように選択される場合に特に好ましく、ここでこのメルトフローインデックスはASTM試験方法D1238に従って評価される。
【0041】
例えば組成物の粘着性レベル及び/又は残留性の粘着性レベルのさらなる向上が、一部の特定の用途に所望される場合に必要ならば、フィルム又は層の湿気透過性全体をある程度減少させるが、典型的な既知の粘着付与樹脂も、特に好ましいわけでもなく、必ずしも必要であるわけでもないが、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれることができる。適切な粘着性樹脂は、ロジン及びロジンエステル、炭化水素樹脂、脂肪族樹脂、テルペン及びテルペン−フェノール樹脂、芳香族樹脂、合成C5樹脂、合成C5〜C9樹脂の混合物、及びそれらの混合物から選択されることができ、それらは、例えば本発明者らの特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はPCT国際公開特許WO99/64505に開示されている。粘着付与樹脂の全量は、熱可塑性親水性ポリマー組成物の35重量%未満に限られるべきである。好ましくは粘着性樹脂は、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物に包含されるべきである。
【0042】
本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、前記の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成されたフィルム又は層の、光線や酸素による老化に対する耐性、目に見える外観等のような他の特性と同様に、組成物の処理性、及び機械的特性を更に改善するために、追加的な任意の成分をさらに含んでいてもよい。そのような他の任意成分には、酸化防止剤、紫外線安定剤、色素、及びこれらの混合物が含まれてもよく、これらの成分は、組成物の10重量%までの割合で組成物中に存在してもよい。
【0043】
本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物は、既知のいずれかの方法によって製造することができ、この方法は、通常、少なくとも熱可塑性親水性ポリマー又はそのポリマーの混合物、官能基を含有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンド、適切な相溶性可塑剤又は適切な相溶性可塑剤のブレンド、並びに任意に、前述したさらなる追加の成分を提供する工程と、これらの成分を加熱する工程と、例えば既知の適切な混合器によってこれらをコンパウンドして、後続の処理工程のために溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物を形成する工程とを含む。
【0044】
あるいは、熱可塑性親水性ポリマー組成物から湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層、前記フィルム又は層を含む複合積層構造体、及び前記フィルム若しくは層又は構造体を含む物品を製造する際の中間工程又は最終工程として、その溶媒又はエマルション系を作り出し、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物の処理に使用することができる。
【0045】
本発明によれば、上述の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性で湿気透過性のフィルム又は層は、高い湿気透過性を有すると同時に増大した機械的強度を有する。理論に束縛されるものではないが、上述の組成物において、官能基を有するコポリマー又はコポリマーが存在すると、組成物中に適切な相溶性可塑剤又は可塑剤を好ましくは多量に添加することによって達成される高い湿気透過性、溶融状態での低い粘度を保ったまま増大した機械的強度をもつ組成物が得られる。
【0046】
以下により詳細に説明されるように、上述した熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むフィルム又は層あるいは積層構造体を形成するための代替方法と特に関連して、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、通常は溶融状態で基材に接着する良好な能力をもち、それは、選択された基材、例えば不織布に所望の厚さをもった層として前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を直接適用することによって複合積層構造体を形成するのに特に有益である。好ましくは直接適用は、本明細書で記載されるような低粘度の熱可塑性親水性ポリマー組成物を用いる既知のホットメルトコーティング技術によって行われるコーティングである。この背景において、これまで開示された熱可塑性親水性ポリマー組成物の処理条件において溶融状態での低粘度及び高接着性は、簡便で安価な形成方法を与え、同時に向上した結合強度をもつ複合積層構造体が得られ、それによって、フィルム又は層自体の機械的強度が増大するだけでなく使用中の応力及びひずみ下での層間剥離に良好な耐性をもつ。
【0047】
さらに本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物に、官能基を有するコポリマー又はコポリマーを添加すると、得られたフィルム又は層自体の機械的強度が良好となるとともに、通常溶融状態での組成物の基材への接着性も良好な望ましいものとなり、選択された官能化コポリマー又はコポリマーの代わりに既知の粘着付与樹脂を熱可塑性親水性ポリマー組成物に単に含ませることによって得られるものとは対照的に、設定後又は乾燥後の室温における組成物に残留性の永続的な粘着性が残ることもない。さらに既知の粘着付与剤を添加すると、フィルム又は層自体の機械的強度を向上させることができず、得られたフィルム又は層の湿気透過性全体が低下する場合もある。上述の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むフィルム、層又は複合積層構造体は、その製造ラインにおいて、並びに冷却後及び設定後に、離型ライナー、例えばシリコーンコーティングされた離型紙を必要とすることなく製造でき、自己接着が生じる可能性もなくそれ自体をロール及び貯蔵できるので、永続的な残留性の粘着性がないことは有利である。
【0048】
例えば不織布基材にコーティングされた親水性熱可塑性ポリマー組成物の層で構成される複合積層構造体に含まれるフィルム又は層の永続的な残留性の粘着性はまた、特定の使用条件下で積層複合構造体の磨耗耐性を低減する場合があり、結果としてその構造体の層間剥離を生じることがある。積層構造体の磨耗耐性は、当該技術分野において周知の試験方法、例えばSATRA装置指示書(SATRA Equipment Instructions)STM.105/MからのSATRA試験方法PM31に従って測定できる。
【0049】
本発明のフィルム又は層の機械的強度の良好な表示度数は、フィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物の弾性率G’によって与えられ、それは所定の条件下で、すなわち25℃、1rad/秒の振動数にて、以下で試験方法を参照してさらに特定されるように、測定される。
【0050】
本発明によれば、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び適切な相溶性可塑剤又は可塑剤のブレンドを通常含む熱可塑性親水性ポリマー組成物に、特定量の官能化コポリマー又はコポリマーを添加することにより、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む、そして通常はそれから形成されたフィルム又は層の機械的強度を向上させ、これが、官能化コポリマー又はコポリマーを含まない同一組成物と比較して、官能化コポリマー又はコポリマーを含む熱可塑性親水性ポリマー組成物のG’25において、対応する全体的な増加に反映される。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、1つの熱可塑性親水性ポリマー、適切な相溶性可塑剤又は可塑剤のブレンド、及び官能化コポリマー又はコポリマーを含む熱可塑性親水性ポリマー組成物における弾性率の%増加率ΔG’25を、官能化コポリマー又はコポリマーを含まない同一成分を含む組成物と比較して評価することが可能である。特に有意義な比較を行うために、2つの組成物はポリマー/可塑剤の重量比を同じにすべきであり、ここで分子にあたるポリマー量は熱可塑性親水性ポリマーと、存在する場合は官能化コポリマー又はコポリマーの総量からなり、分母にあたる可塑剤量は、比較対照下の2つの組成物における同一重量の可塑剤又は可塑剤からなる。換言すれば、熱可塑性親水性ポリマー組成物に官能化コポリマー又はコポリマーを添加することの熱可塑性親水性ポリマー組成物のG’25に対する効果、さらには前記組成物から形成されたフィルム又は層の機械的強度に対する効果を評価するために、比較が、一定のポリマー/可塑剤比で表される同一のポリマー含量をもつ2つの組成物間で行われ、ここで官能化コポリマー又はコポリマーを有する組成物においては、そのコポリマー又はコポリマーが、実質的に、ポリマー/可塑剤比を維持したまま、参照組成物の熱可塑性親水性ポリマーの一部と置き換わっている。
【0052】
本発明の好ましい本実施形態によれば、%増加率ΔG’25は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%であり、少なくとも100%の%増加率ΔG’25も可能であり、極めて好ましい。
【0053】
上記で定義される%増加率ΔG’25、より一般的にはG’25の増加は、一般に、非常に広い範囲で変動し得る、本発明のフィルム又は層に含まれる熱可塑性親水性ポリマー組成物のG’25に関する絶対値よりも重要である。原理上、800.000Paを超える、好ましくは850.000Paを超える、より好ましくは1.200.000Paを超える、さらにより好ましくは2.000.000Paを超える弾性率G’25を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物が好ましいが、3.000.000Paを超える、4.000.000Paを超える、5.000.000Paを超える、さらにより高いG’25値は、本発明に従って達成可能であり、以下で与えられる実施例に示されるように特定の製品用途については非常に好ましい。
【0054】
%増加率ΔG’25の評価について定義される理論的条件は、本発明のフィルム及び層の実際の製造にも適用されることに留意すべきである。本発明によれば、向上した機械的強度、そして複合積層構造体に含まれる場合に、向上した結合強度をもまた有し、高い湿気透過性をもち、より安価なフィルム又は層を得ることが、実際可能である。フィルム又は層は、事実、相対的により高価な熱可塑性親水性ポリマーの一部を相対的により安価な官能化コポリマー又はコポリマーで実質的に置き換えられた熱可塑性親水性組成物を含む。
【0055】
基材上に適用された、例えばコーティングされた熱可塑性親水性ポリマー組成物のフィルム又は層を含む複合積層構造体の結合強度は、以下で試験方法を参照してより詳細に説明されるように、基材からフィルム又は層を分離するのに必要な剥離力として測定できる。
【0056】
本発明によれば、例えば前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を既知の方法により形成基材上に置くことによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から、湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層を形成することができる。次いで設定又は乾燥後に、選択された形成方法に応じてフィルム又は層は前記形成基材から分離される。熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される本発明のフィルム又は層は、前記層又はフィルムの厚さが少なくとも15μmであり、好ましくは、少なくとも300g/m2・24時間、より好ましくは少なくとも500g/m2・24時間、さらにより好ましくは少なくとも600g/m2・24時間、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24時間の湿気透過率を有し、前記水蒸気透過率は、修正されたASTM E−96B「直立カップ」法によって測定される。
【0057】
本発明のフィルム又は層は、既に説明したように、通常、連続であり、湿気透過性に加えて高い液体不透過性を与える。液体不透過性は、例えば以下で記載される液体不透過性試験方法に従って流体静力学的ヘッドに関して、当該技術分野において既知の適切な方法のいずれかによって評価できる。
【0058】
好ましくは本発明のフィルム又は層、あるいは前記フィルム又は層を含む複合積層構造体は、少なくとも100hPa(100mbar)、好ましくは少なくとも200hPa(200mbar)、より好ましくは少なくとも300hPa(300mbar)、最も好ましくは400hPa(400mbar)の液体不透過性を有し、この値は本明細書に記載される液体不透過性試験に従って測定される。
【0059】
本発明によれば、これまでに説明した熱可塑性親水性ポリマー組成物からフィルム又は層を形成でき、その厚さが約0.5μm〜約200μm及びそれ以上であり、該フィルム又は層は、そのままで、あるいは例えば不織布繊維性基材を含む複合積層構造体など、異なる基材との組み合わせで使用可能である。
【0060】
より一般的には、本明細書に記載される熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される本発明のフィルム又は層の厚さは、一定にすることもでき、構造体内で変化させることもできる。いかなる特定の厚さの範囲に限定されるものではないが、用途によっては好ましい範囲があってもよい。例えば、使い捨て物品に含まれるフィルム又は層に好ましい範囲は、400ミクロンから0.5ミクロン未満の厚さ範囲が望まれ、特定の場合には、実質的に0.5ミクロン未満がより好ましいこともある。対照的に、建築用途又はさらに包装用途では、ある理由から、フィルム又は層について200〜2000ミクロン、あるいはさらに厚い好ましい範囲が指示される。
【0061】
様々な既知の方法が、本発明のフィルム又は層を製造するために使用できる。
上述される熱可塑性親水性ポリマー組成物から本発明による層又はフィルムを製造する方法は、通常、この組成物を提供する工程、それを流動化させるために加熱する工程、前述のように処理条件において組成物に関して達成される粘度に応じて、例えばフィルム押出成形処理又はホットメルトコーティング処理によって、溶融、半溶融、又は可塑性状態にあるこの組成物を基材上で望ましい厚さを有する層又はフィルムに形成する工程を含む。原則的には、前記基材を単に成形基材とし、後で前記基材から分離して単独で使用する所望の厚さのフィルム又は層を製造するために、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材の上に形成することもできるが、本発明の好ましい実施形態では、熱可塑性親水性ポリマー組成物と、その熱可塑性組成物をその上に置く適切な基材とを含む、湿気透過性で水不透過性の複合積層構造体を形成することができる。ここではこの基材も湿気透過性であることが好ましい。通常、本発明に従う官能化コポリマー又はコポリマーを添加することによって熱可塑性親水性ポリマー組成物に付与された、基材に対する増大した接着性は、実際、例えば疎水性合成繊維を含む不織布層などの繊維性基材に対しての、溶融、半溶融、又は可塑性状態にあるフィルム又は層の増大した接着性を与え、同時に、フィルム又は層、したがって好ましくは複合積層構造体全体の高い通気性を維持する。
【0062】
このことが次には、熱可塑性親水性ポリマー組成物の非常に薄い層をまた有し得られる複合積層構造体の一体性をより良くし、したがって使用時の例えば層間剥離に対する耐性が高められ、この場合溶融、半溶融又は可塑状態での組成物のこの改善された接着特性、及び得られる複合構造体の耐性の増加による、熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された本発明の層の水蒸気伝達能力に対する影響は、例えば同様の組成物から形成されるが官能化コポリマー又はコポリマーを含まない同一の厚さの層と比べた場合に、非常にわずかであるか、あるいは全く影響しない。
【0063】
他の既知の方法は、熱可塑性親水性ポリマー組成物からの本発明のフィルム又は層を含む、湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層、あるいは積層構造体、及びこの構造体を含む物品を製造するために使用できる。
【0064】
このような方法の一種は、一般に、オス型又はメス型の金型又は金型の組み合わせを使用することによって材料が所望の形状を有するフィルム又は層に成形されることが多い、「成形」として記載される。技術によっては、所与の構造体又は物品の製造に、特定の処理温度及び圧力(又は真空)条件が好ましいことがある。このような既知の成形方法としては、これらに限るものではないが、ディップ成形、吹込み成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空熱成形、押出成形、回転成形、スラッシュ成形などが挙げられる。
【0065】
本発明のフィルム又は層を形成するための熱可塑性親水性ポリマー組成物を処理するその他の既知の方法としては、フィルム・シートキャスティング;吹き込みフィルム技術;追加の幅出処理工程;追加のカレンダ工程;追加の焼入工程;追加の熱処理工程なども挙げられる。特定の製造条件の特徴、又は処理工程の種若しくは順序は、選択される製造技術、環境条件、材料様式などによって変動する。例えば処理工程は、上記で既に開示したように、次のものを取り除くために含まれなければならないことがある:(i)熱可塑性親水性ポリマー組成物の原料形態として溶媒ベースの様式が選択される場合に、溶媒;(ii)熱可塑性親水性ポリマー組成物の原料形態としてエマルションベースの様式が選択される場合に、水;又は(iii)熱可塑性親水性ポリマー組成物の原料形態としてホットメルト様式が選択される場合に、熱。
【0066】
少なくとも1つの層が、以上で記載した熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む本発明のフィルム又は層である場合に、フィルム又はシートは2以上の層を用いて製造できる。これは、これに限るものではないが、共押出成形、押出コーティングを含めて、様々な既知の手段によって達成することができる。
【0067】
構造体又は物品全体を、本発明のフィルム又は層だけで構成するのが好ましい場合もあるが、構造体又は物品は、1又はそれ以上の他の材料との複合体にすることができる。例えば、この複合体は、上述したように、同一の熱可塑性親水性ポリマー組成物、又は異なる特定の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む本発明の2以上のフィルム又は層を含むことができる。
【0068】
次に本発明のフィルム又は層は、上述したような熱可塑性親水性ポリマー組成物で完全に製造されるのが好ましい。
あるいは複合体は、1以上の他の材料と組み合わせた熱可塑性親水性ポリマー組成物の少なくとも1つのフィルム又は層を含むことができる。このような材料としては、これに限るものではないが、繊維、繊維状芯(fibrous batts)、不織布、織布、紙、金属箔、ミクロ孔質膜又は多孔性膜、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シートなどの無機構造体、穴あき又は有孔フィルム及び紙、巨視的に拡張されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維ベース材料が挙げられる。
前記のその他の成分は、非吸収性成分、吸収性成分、液体含有成分などでもよい。
【0069】
本発明のフィルム又は層を製造するために有用な別の技術は、スプレーコーティング方法である。記載された熱可塑性親水性ポリマー組成物は、加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると、スプレーコーティング又はスパッタリングできるように粘度が十分に低下する。このような熱可塑性親水性ポリマー組成物のスプレーコーティングは、物品の表面又は壁面を形成するために、オス型又はメス型の金型の支援によって実施することができる。その後、物品と金型(又は金型部分)は互いに分離される。あるいは、スプレーコーティング方法は、熱可塑性組成物の異なる出発原料様式、例えば溶媒ベースの手法又はエマルションを用いることができる。
【0070】
スプレーコーティングの手法を用いた複合体物品について、別の材料が金型として作用して、この別の材料が十分な三次元構造体をそれ自体で提供してもよく、その後それは十分にコーティングされ、金型からの物品の前述の分離をしないで複合体物品が完成する。
【0071】
本発明の一実施形態では、湿気透過性で液体不透過性の複合層状構造体が提供され、熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された層が複合材料の全体的な性能に寄与するのは、主に通気性のある液体障壁の提供にあるので、可能な限り薄く提供することができて有利である。ここで残りの性能の物理的基準は、好ましくは与えられた基材によって提供されるので、支持層としても働くことが好ましい。本発明のフィルム又は層は、この特定の実施形態において、フィルム又は層と基材との高い結合強度によって複合積層構造体の層間剥離に対する良好な耐性という主な利点を与える。
【0072】
基材又は支持層は、好ましくは湿気透過性のどのような有用な層でもよく、湿気透過性が少なくとも100g/m2・24時間、より好ましくは少なくとも300g/m2・24時間、最も好ましくは少なくとも500g/m2・24時間であることが好ましい。
【0073】
支持層として本発明で使用するための適切な基材には二次元の、平面状ミクロ及びマクロ孔質フィルム;巨視的に拡大されたフィルム;形成有孔フィルム;不織布及び織布層が含まれる。本発明によれば、前記層の孔はどのような構成であってもよいが、好ましくは球形又は長楕円形であり、及び様々な寸法であってもよい。これらの孔は、層の表面全体に均一に分配されていることが好ましいが、表面のある領域だけに孔を有する層も考慮されている。
【0074】
適切な2次元多孔性平面状層は、当該技術分野で既知のどのような材料で製造することもできるが、一般的に入手可能なポリマー材料から製造することが好ましい。適当な材料は、例えば、いわゆる通気性衣での適用に関して当該技術分野で良く知られているゴアテックス(Goretex)(商標)タイプの材料である。その他の適切な材料としては、米国ミネソタ州セントポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から供給されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、二次元平面層という用語は、1mm未満、好ましくは0.5mm未満の深さを有する層を指し、その際この孔は、これらの長さに沿って均一の平均直径を有し、及びそれらは層の平面から突き出していない。本発明で使用するための有孔材料は、EPO293,482及びその特許中の参照文献に記載のものなど、当該技術分野で既知のどのような方法を用いて生産することもできる。
【0075】
適切な有孔成形フィルムには、層表面の水平面を超えて延び、その結果突出部を形成する、別個の孔を有するフィルムが含まれる。これらの突出部は、その終端部にオリフィスを有する。好ましくは前記突出部は、米国特許第3,929,135号に記載されているのと同様の漏斗形状である。平面内に位置する孔及び突出部自体の終端部に位置するオリフィスは、突出部末端のオリフィスの横断面の寸法又は面積が、層表面に位置する孔の横断面の寸法又は面積より小さければ、円形又は非円形になるかもしれない。好ましくは、前記有孔事前成形フィルムは、完全ではないが少なくとも実質的に1方向に流体輸送する単一方向性がある。
本明細書で用いるのに適切な、巨視的に拡張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載されたようなフィルムが挙げられる。
【0076】
複合積層構造体において本明細書に用いるのに好ましい支持層は、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性不織布のような疎水性の繊維性層を含む。
本発明のこの好ましい実施形態の複合層状構造体は、所望の厚さを有する層として熱可塑性組成物を支持基材上に形成できる複合体を提供することができるので、特に好都合である。例えば、前述のように、処理条件において熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を適切に調整すると、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材上に所望の厚さで提供するために、低粘度ホットメルトを直接コーティングする当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置を容易に利用することができる。あるいは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物が処理条件においてより高い粘度を有する場合、フィルム押出成形など、その他の既知の方法を使用することもできる。
支持層として働く基材上に熱可塑性組成物をコーティングして複合積層体を形成する可能な方法については、PCT国際特許出願96/25902に記載されている。
【0077】
層又はフィルム自体として、あるいはそれらから形成される積層構造体のような複合体中の両方の場合に使用される本発明の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルムは、液体不透過性で湿気透過性と共に、フィルム又は層の増大した機械的強度、及び好ましくは前記フィルム又は層を含む積層構造体の結合強度が良好であることによる層間剥離に対する増大した耐性が望まれるような多数の用途において有用であることがわかる。
【0078】
前記構造体は通常は、使い捨ての、例えば基材として不織布を有する積層構造体であることも可能であるし、あるいは耐久性の又は半耐久性の、例えば織物又は布地を基材又は支持体として含む積層構造体であることも可能である。
【0079】
特に本発明では、吸収性物品、創傷治療物品、又は化粧品のようなパーソナルケア製品内に有効に使用され得る。非限定的例は、おむつ、衛生ナプキン、パンティライナー、失禁用製品、及び母乳パッドのような吸収性物品(ここで、本発明のフィルム又は層は、例えば不織布に接着されたフィルム又は層を含む複合積層構造体によって構成される通気性バックシート要素に通常含まれる);創傷及び火傷用包帯剤(dressing)及び包帯(bandage)、医療用の温め又は冷却用パッド;医療又は美容処置用で、活性物質を含有及び供給する可能性のある、傷当て、包帯又は覆い;腋窩、手首、及び頭部の発汗のためのパッド、襟インサート、靴インサート、ハットバンドのような汗取りパッドなどである。
【0080】
本発明のフィルム又は層を含むその他の物品は、身体又は身体の部位用保護物品を含む。非限定的例は、作業着又は手術着などのような保護衣;手袋、指サック、ミット、ミトンなどのハンドカバー;靴下、ストッキング、パンティーストッキング、靴、スリッパなどのフット又はレッグカバー;帽子、キャップなどのヘッドカバー;コンドームのような性病予防及び避妊の工学的物品;フェースマスク、鼻カバー、耳カバー、又はミットなどのフェイスカバー;スポーツ及びフィットネス用衣料品、ウインド・チーター(wind cheaters)、寝袋;男性器「競技用」サポーター、ブラジャーなどの身体サポート品;下着、保護スリーブとして、又は保護パッド中に一部又は全体を組み込んだものとして使用するための衣を含む。物品及び用途のその他の例としては、これに限るものではないが、ヒト用の柔軟性衣料物品又はドレープ衣料物品、例えば、シャツ、パンツ、下着、よだれかけ、スモック、コート、スカーフ、外套(body wrap)、ストッキング、レギンス、スカート、ドレスなどの非限定例が挙げられ;医療専門家用、農業業務用、機械組立及び修理業用、緊急公的業務用、軍用、競技用、清掃用を包含する種々の作業及び業務用の他の柔軟性衣料若しくはドレープ衣料又は保護シート;動物のための保護衣が挙げられる。
【0081】
本発明のフィルム又は層を含む物品の更なる分は保護の目的のための物品を含む。好ましい保護物品は、リネン、マットレス、及び枕カバーのような保護寝具カバーを含む。またクッション、掛け布団、羽根ぶとん、ヘッドボードのようなベッドの布張り部分、又はソファー若しくはひじ掛けいすの布張り部分のための保護カバーが含まれる。他の非限定的例は、電子/電気製品用埃カバー(例えばコンピューターのキーボード、ハードドライブ、ビデオレコーダーなど)、乗り物、例えば飛行機/列車内の座席用ヘッドレストカバー、シュリンクラップ、1回使用のテーブルカバーなどのような保護物品を含む。生鮮食品及び焼いてある食品(パン、ロール、ケーキ)のような食品用などの包装用物品、例えば冷蔵庫内での食品保存用袋、又は同様に電子レンジ用包装フィルム、又は例えばピザのような熱い「持ち帰り用」食品用の包装がある。更なる例は、農耕又は園芸用物品を含み、例えば非限定的例としては、個々の植物又は特定の植物群を部分的又は全体的に囲むために設置される個々の物品(容器、三次元「バッグ」)である。布張りをしたいす及びソファーなどのための保護カバーのような家具用保護カバーもまた含まれる。他の別の保護物品は、建築用屋根葺き材及び家屋の覆い、スキー、ウィンドサーフ及び自転車/オートバイ用胸当てズボン、絨毯及び壁紙の裏材、キャンプ用テント、様々な品々(例えば車、テニスコート、スポーツグラウンドなど)のための保護シート、庭/温室保護用シート、テニスコート、スポーツグラウンドの閉鎖/保護用テント、低温からの植物保護のための品々などを含む。
【0082】
別の用途では、本発明のフィルム又は層が、スプレー/ブラシ/ロールコーティングを介して、通常溶媒又はエマルションベースの組成物の形態で、室温で直接形成され、石、コンクリート、木材(例えば家具)のような硬質面、靴/皮革物品又は織物のコーティング/防水加工のための保護用の、おそらく剥離可能なコーティング、車のための保護用コーティング(例えば船による輸送中)、長期間使用しない間の車、ボートなどのための保護用コーティングを含む。
【0083】
より一般には上述の多くの異なる用途において可能であればいつでも、本発明のフィルム又は層は、すでに形成された層又は構造体として提供できるか、あるいは液体形態として、例えばスプレー又ははけ塗りにより適用されることで設定時又は乾燥時にフィルム又は層を形成でき、及びまた、例えば美容用、医療用、又は保護用組成物中に身体への活性剤、又は植物への活性剤を含む可能性もある。
一般に本発明のフィルム又は層を含むすべての物品は、全体として柔軟性であること又は硬直性であることができる。
【0084】
好ましくは、複合積層構造体にも含まれる、本発明の湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層は、少なくとも300g/m2・24時間、好ましくは少なくとも500g/m2・24時間、より好ましくは少なくとも600g/m2・24時間、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24時間の全体の湿気透過率(WVTR)を有する。
【0085】
適切な基材上に直接適用された本発明によるフィルム又は層を含む湿気透過性で液体不透過性の複合構造体は、使い捨て吸収性物品、特に衛生ナプキン及びパンティライナー、さらにはおむつ、失禁用製品、及び母乳パッド用のバックシートとして、特に有用であることがわかる。かかる製品を使用する間に供される応力及びひずみに耐え得るので、所望の液体不透過性及び湿気透過性と組み合わせた複合積層構造体の高い機械的耐性及び結合強度が好ましい。このような物品は、通常、液体透過性トップシート、吸収性コア、バックシートなど、当業者に既知の構成要素を含み、任意に固定手段やウイングなどの他の構成要素を含むことができる。
【実施例】
【0086】
本発明を以下の実施例によって説明する。本明細書の実施例全てにおいて組成物は全て、指示のない限り重量%で表示される。
【0087】
実施例において次の原料が利用される:
ペバックス(Pebax)2533:アトフィナ(フランス)より入手可能なポリエーテルアミドポリマー;
ハイトレル(Hytrel)3046:デュポン(Dupont)(米国)より入手可能なポリエーテルエステルコポリマー;
プライマコール(Primacor)5980:ダウ・ケミカルズ(Dow Chemicals)(米国)より入手可能な20重量%のアクリル酸を含有するエチレンとアクリル酸とのコポリマー;
プライマコール(Primacor)3460:ダウ・ケミカルズ(Dow Chemicals)(米国)より入手可能な9.7重量%のアクリル酸を含有するエチレンとアクリル酸とのコポリマー;
フサボンド(Fusabond)190−D:デュポン(Dupont)(米国)より入手可能なエチレン及びビニルアセテートの無水物変性コポリマー;
ロタダー(Lotader)4700:アトフィナ(Atofina)(フランス)より入手可能なエチレン、アクリル酸エステル及び無水マレイン酸のターポリマー;
ロタダー(Lotader)8900:アトフィナ(Atofina)(フランス)より入手可能なエチレン、アクリル酸エステル及びグリシジルメタクリレートのターポリマー;
エルバロイ(Elvaloy)PTW:デュポン(Dupont)(米国)より入手可能なエチレン、n−ブチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートのターポリマー;
バイネル(Bynel)2002:デュポン(米国)より入手可能なエチレン及びアクリル酸エステルの酸変性コポリマー;
ベンゾフレックス(Benzoflex)988:ベルシコール(Velsicol)(米国)より入手可能なベンゾエート可塑剤;
シトロホール(Citrofol)BI:ジャングバンズラウア(Jungbunzlauer)(スイス)より入手可能なクエン酸エステル可塑剤;
Znアイオノマー:アルドリッチ(Aldrich)(米国)より製品番号42,666−0として入手可能な、15重量%のアクリル酸を含有し、14g/10分のメルトフローインデックス(190℃/2.16kg)を有するエチレン−メタクリル酸コポリマーのアイオノマー。
【0088】
(実施例1〜9)
実施例1〜9の配合を表1に示す。組成物は、実験室用混合器にてホットメルトとして調製される。チバ・ガイギー(Ciba Geigy)(スイス)より入手可能な酸化防止剤イルガノクス(Irganox)B225を、組成物全体に対して0.5重量%の濃度で添加する。RKプリント・インスツルメンツ(RK Print Instruments Ltd)(米国)より入手可能なKハンドコータ(K Hand Coater)番号150を用いて、湿気透過率の測定用に約20μm厚さのフィルムを、適切な溶媒から30×20cm寸法のガラス板にキャストする。溶液は10重量%の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含有し、溶媒を完全に蒸発させた後、得られるフィルムは望ましい厚さを有する。当業者には容易に決定できるように、組成物に含有される熱可塑性ポリマーに従って異なる溶媒を用いることができる。トルエン及びテトラヒドロフランの2:1混合物を実施例1〜6に使用し、テトラヒドロフランを実施例7〜9に使用した。
【0089】
【表1】

比較例1は、ポリエーテルブロックアミドペバックス(Pebax)2533とベンゾエート可塑剤ベンゾフレックス(Benzoflex)988との1:1ブレンドからなり、約20ミクロンにて約1500g/m2・24時間のWVTRを与え、25℃にて800,000Paの弾性率G’25を有する。実施例2〜5の各々について、酸又は無水物官能基を含有するコポリマーを20%の濃度にて導入した。親水性ポリマー:可塑剤の比を1:1に維持する。結果は、WVTR値は許容可能な範囲(約900〜1300g/m2・24時間)で維持されるが、弾性率値は顕著に向上し、4,000,000Paまでの値が得られた。実施例6において、2つの異なる等級のコポリマーロタダー(Lotader)を使用し、一方(ロタダー(Lotader)4700)は官能基として酸性無水マレイン酸を含有し、他方(ロタダー(Lotader)8900)は、官能基として塩基性エポキシ基(グリシジルメタクリレートコモノマー上に)を有する。
【0090】
比較例7は、ポリエーテルエステルハイトレル(Hytrel)3046とクエン酸エステル可塑剤シトロホール(Citrofol)BIとの1:1ブレンドからなり、約20ミクロンにて約1920g/m2・24時間のWVTRを与え、25℃にて630,000Paの弾性率を有する。実施例8及び9は、コモノマーとしてグリシジルメタクリレートを含有する2つのコポリマーを含む。このモノマーにより、ペンダントエポキシ基がポリマー構造に導入される。実施例8及び9において、WVTR値は許容可能なレベルで維持されるが、弾性率の値は増加し、840,000〜870,000Paの範囲の値が得られることがわかる。
【0091】
(実施例10〜13)
実施例10〜13の配合を表2に示す。組成物は、実験室用混合器にてホットメルトとして調製される。チバ・ガイギー(Ciba Geigy)(スイス)より入手可能な酸化防止剤イルガノクス(Irganox)B225を、組成物全体に対して0.5重量%の濃度で添加する。RKプリント・インスツルメンツ(RK Print Instruments Ltd)(米国)から入手可能なKハンドコータ(K Hand Coater)番号150を用いて、湿気透過率の測定用に所望の厚さのフィルムを、適切な溶媒から30×20cm寸法のガラス板にキャストする。溶液は10重量%の熱可塑性ポリマー組成物を含有し、及び溶媒を完全に蒸発させた後、得られるフィルムは表に示すように望ましい厚さを有する。組成物に含有される熱可塑性ポリマーに応じて異なる溶媒を用い得るが、これは当業者が容易に決定することができる:トルエン及びイソプロパノールの1:1混合物を実施例10〜13に用いた。
【0092】
【表2】

実施例10〜13には、同一ポリマー/可塑剤比を有する参照(比較例10)と比べた場合の、本発明のフィルムに含まれる一部の組成物における弾性率G’25の%増加率ΔG’25を示し、この組成物は相対的にポリマー含量が高いのでG’25の値がすでにかなり高い。しかし、複合積層構造体を形成するために、例えば直接コーティングによって基材上に適用される場合に、組成物は非常に低い結合強度を有する。
【0093】
比較例10は、ポリエーテルブロックアミドペバックス(Pebax)2533とベンゾエート可塑剤ベンゾフレックス(Benzoflex)988との60:40のブレンドからなり、35ミクロンにて1322g/m2・24時間のWVTRを与え、25℃にて3,200,000Paの弾性率を有する。実施例11〜13の各々について、ポリマー総含量を60%(一定のポリマー/可塑剤比)に維持するが、酸又は無水物官能基を含有するコポリマーを20〜25%の濃度にて導入した。結果から、WVTR値は許容可能な範囲(約965〜1407g/m2・24時間)で維持されるが、弾性率値はΔG’25に示されるように、顕著に向上し、5,900,000Paまでの値が得られることがわかる。
【0094】
実施例11と実施例2とを比較することにより、得られた弾性率G’25における影響は、メルトフロ−インデックスが実施例2のものよりも低い実施例11の官能化コポリマーによるものであることに留意できる。
【0095】
(実施例14〜15)
本発明による2つの湿気透過性で液体不透過性の複合積層構造体は、実施例14〜15に記述されている。連続熱可塑性フィルムの配合は、表2に与えられる。酸化防止剤イルガノックス(Irganox)B225は、1重量%の濃度で全ての組成物に常に添加される。
【0096】
【表3】

熱可塑性組成物を、ホットメルトコーティング方法によって繊維性基材上に直接コーティングして、表に示される所望の秤量の連続フィルムを形成する。繊維性の基材はSMS(スパンボンド−メルトブロウン−スパンボンド構造)疎水性の100%ポリプロピレン不織布、秤量24g/m2(支持層)であり、コロヴィン−BBA不織布グループ(Corovin-BBA Nonwovens Group)(ドイツ)よりコードG24A10として入手可能である。複合積層構造体は、1030〜1261g/m2・24時間の湿気透過率を有する。複合積層構造体の液体不透過性は、流体静力学的なヘッドとして評価され、それは複合積層構造体の透水耐性、すなわちそれ自体が水透過性の繊維性基材にコーティングされたフィルムの透水耐性を測定する。試料は良好な結合強度値を示す。
【0097】
本発明による複合積層構造体の例は、パンティライナーのような衛生物品に含まれるための液体不透過性で湿気透過性のバックシートである。パンティライナーの通気性で液体不透過性のバックシートとして使用されるための複合積層構造体は、上記実施例15に対応する。
【0098】
(試験方法)
(湿気透過性)
フィルム又は層、あるいはそのフィルム又は層を含む複合積層構造体の湿気透過性は、ASTM E−96B試験方法の修正版に従って25℃、50%の相対湿度にて測定された水蒸気透過率(WVTR)である。標準法に対する唯一の修正は、試料とカップ内の水表面との間のエアギャップにおける変更であり、その高さは、標準試験方法に指定の19mm±2.5mmの代わりに4mm±0.5mmにしている。
【0099】
(複素粘度)
本発明によれば、熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘度η*は、レオメトリックス(Rheometrics Co.)(米国)より入手可能なRDA−IIレオメーターを用いて測定する。
【0100】
(メルトフローインデックス)
官能化コポリマーのメルトフローインデックスは、試験方法ASTMD1238に従って評価される。
【0101】
(弾性率)
熱可塑性親水性ポリマー組成物の弾性率(G’)は、レオメトリックス(Rheometrics Co.)(米国)より入手可能なRDA−IIレオメーターにおいて1rad/sの振動数で25℃にて測定される。試料を130℃で溶融させ、平行板間のギャップを1mmに減少させ、試料を10℃/分の速度で冷却する。弾性率は、25℃にて0.1rad/s〜500rad/sの振動数範囲で測定され、1rad/sでの値を採用する。
【0102】
(液体不透過性)
液体不透過性は、フィルム、層、又はそのフィルム又は層を含む積層複合構造体の流体静力学的なヘッドとして、EDANA120.1−80試験方法に従うテックステスト(Textest)(ドイツ)より入手可能なテックステスト(Textest)F3000流体静力学的ヘッドテスターにて測定される。
【0103】
(結合強度)
複合積層構造体において本発明のフィルム又は層の基材に対する結合強度は、インストロン(Instron)(米国)より入手可能なインストロン(Instron)6021動力計を用いて測定される。方法は、フィルム/不織布複合積層構造体の結合強度を測定するが、当業者は別の基材を含む異なる複合積層構造体にも適切に適用することができる。測定するために市販の接着剤テープ、例えばベイアスドルフ(Beiersdorf)より入手可能なテサ(Tesa)(登録商標)を、フィルムを含有する複合積層構造体の面に適用し、2kgのハンドローラを用い(2パス)、良好な通常の接着を確実にする。次いで2.54cm×25cmの試料を複合積層構造体から切断し、該試料はフィルムに接着した接着剤テープを含み、そのテープは試料を完全に覆うような幅を有する。試料の一端にてフィルムの約5cmを不織布から分離し、動力計の上部ジョーに配置する。ロードセルに、ゆるみを取り除くために十分であるが、5g未満の張力を用いて不織布を他方のジョーに配置する。次いで試験装置及びデータ収集装置を同時に始動させ、500mm/分の速度でジョーを分離させる。最初の5mmについての値は採用せず、試料の18cmの距離にわたる値の平均値を結合強度として採用する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエステル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、(コ)ポリアミド、(コ)ポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、ビニルアセテート含量が少なくとも28重量%のポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそれらのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリグリコリド、ポリ尿素、並びにこれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、
前記熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と相互作用できる官能基を含有する官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンドと、
適切な相溶性可塑剤、又は適切な相溶性可塑剤のブレンドと、
を含む熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項2】
前記官能化コポリマー又は前記官能化コポリマーのブレンドが、
エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸エステル及びエチレンメタクリル酸エステルコポリマー、アイオノマー、エチレン−ビニルエステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸コポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項3】
前記官能化コポリマー又は前記官能化コポリマーのブレンドが、エチレンと前記官能基を含有するコモノマーとのコポリマーから成る群から選択され、好ましくは:
エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、アイオノマー、エチレン−ビニルエステル−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルアセテート−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項4】
前記官能化コポリマー又は前記官能化コポリマーのブレンドが、
エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルアセテート−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸コポリマー、エチレン−(メタ)アクリル酸アイオノマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項5】
前記熱可塑性親水性ポリマー又は前記熱可塑性親水性ポリマーの混合物が、ポリウレタン、(コ)ポリエステル、ポリエステル−アミドブロックコポリマー、ポリエーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー及びポリエーテル−エステルブロックコポリマー、並びにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性親水性ポリマー又は前記熱可塑性親水性ポリマーの混合物が、ポリウレタン、ポリエーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエーテル−エステルブロックコポリマー、又はこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項7】
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が、
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して30重量%〜55重量%、好ましくは35重量%〜50重量%、より好ましくは35重量%〜45重量%の前記熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して5重量%〜35重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、より好ましくは15重量%〜25重量%の前記官能化コポリマー又は官能化コポリマーのブレンド、及び
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に対して15重量%〜70重量%、好ましくは25重量%〜60重量%、より好ましくは35重量%〜50重量%の前記適切な相溶性可塑剤又は適切な相溶性可塑剤のブレンド、
を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項8】
前記熱可塑性親水性ポリマー又は前記熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、前記官能化コポリマー又は前記官能化コポリマーのブレンドとが、1.2〜3、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.2、最も好ましくは約2の重量比であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項9】
前記官能化コポリマー、又は前記官能化コポリマーのブレンドの各コポリマーが、300g/10分未満、好ましくは100g/10分未満、より好ましくは10g/10分〜50g/10分の間にあるメルトフローインデックスを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項10】
前記適切な相溶性可塑剤、又は前記適切な相溶性可塑剤のブレンドが、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジパート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液状ポリエステル、グリコレート、芳香族スルホンアミド、ベンゾエート、グリコール及びポリグリコール及びそれらの誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸(C8〜C22)及びそれらの誘導体、ポリエーテル及びそれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項11】
前記適切な相溶性可塑剤、又は前記適切な相溶性可塑剤のブレンドが、クエン酸エステル、芳香族スルホンアミド、ベンゾエート、ポリエーテル及びそれらの誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項12】
前記層又はフィルムが連続であり、前記層又はフィルムの厚さが少なくとも15μmであり、少なくとも300g/m2・24時間、好ましくは少なくとも500g/m2・24時間、より好ましくは少なくとも600g/m2・24時間、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24時間の湿気透過率(WVTR)を有し、前記湿気透過率が本明細書に記載される湿気透過性試験に従って測定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項13】
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも100%の、弾性率G’25の%増加率ΔG’25を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体不透過性で湿気透過性の層又はフィルム。
【請求項14】
基材上に適用された請求項1〜13のいずれか一項に記載のフィルム又は層を含む液体不透過性で湿気透過性の複合積層構造体であって、前記基材が湿気透過性であり、前記基材が好ましくは不織布である構造体。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の湿気透過性で液体不透過性のフィルム又は層、あるいは請求項14に記載の複合積層構造体を含む衛生ナプキン、パンティライナー又は使い捨ておむつのような吸収性物品であって、前記フィルム又は層、あるいは前記複合積層構造体が、前記使い捨て吸収性物品のバックシートを構成する吸収性物品。


【公表番号】特表2006−512421(P2006−512421A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−584154(P2003−584154)
【出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/008422
【国際公開番号】WO2003/087201
【国際公開日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】