説明

熱圧着装置

【課題】
本発明は、圧着ツールを加熱する加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止できる熱圧着装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、基板とドライバIC回路の接続部を支持する受け台と、前記接続部を圧着する圧着ツールと前記圧着ツールを加熱する加熱ツールとを具備する圧着ヘッド、前記圧着ヘッドを下降させ前記接続部に加圧する加圧ツール、前記圧着ヘッドの昇降をガイドするガイド部及び前記圧着ヘッドと前記加圧ツールを連結する連結部を備え前記ガイド部を固定するユニットベースとを具備する熱圧着ユニットと、前記受け台及び前記熱圧着ユニットを保持する装置ベースフレームと、を有する熱圧着装置において、前記加熱ツールにより発生する熱を排熱する排熱流路を形成する排熱流路形成手段を具備する冷却機構を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TAB搭載方式によってディスプレイパネルにドライバIC回路を搭載する場合に用いられる熱圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルに、TCP(Tape Carrier Package)などのドライバIC回路を電気的に接続する技術としては、TAB(Tape Automated Bonding)搭載方式が広く利用されている。このTAB搭載方式では、ディスプレイパネルとドライバIC回路の間に、例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)を介在させ、両者を熱圧着により接続する。
【0003】
近年、ディスプレイパネルの生産量が増加しており、生産性の向上、作業の高速化が進んでいる。例えば、ディスプレイパネルとドライバIC回路を熱圧着する工程では、加熱時間を短縮するために、圧着ツールの加熱温度を従来よりも高く設定するようになってきている。
【0004】
従来の熱圧着装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、表示パネル(ディスプレイパネル)にサブ基板(TAB)をボンディング(熱圧着)するための表示パネルの組立装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された表示パネルの組立装置では、それぞれ圧着子(圧着ツール)を有する4個の圧着ヘッドが横一列に設けられている。圧着子は、ヒータによって加熱されると共に、圧着ヘッドに内蔵された駆動部に駆動され上下動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−330747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された表示パネルの組立装置では、圧着子(圧着ツール)の温度を高くするためにヒータ(加熱ツール)の設定温度を高くすると、その熱が圧着ヘッドの駆動部に伝達され、駆動部の温度が高くなる。その結果、駆動部が破損するという問題が起こりうる。
【0007】
圧着ツールを上下動させる駆動部としては、例えば、シリンダやガイド機構を挙げることができる。
一般的なシリンダには、シリンダ内で往復運動するピストン部にゴム製のパッキンやシリンダ両端にはゴム製のガスケットが取り付けられている。そのため、加熱ツールから伝達される熱によってシリンダが高温になると、ゴム製のパッキンやガスケットが破損してしまう可能性がある。
また、一般的な直動ガイドは、ガイドレールとブロックで構成されておりブロックの動作を円滑に行うために、グリスが塗布されている。そのため、加熱ツールから伝達される熱によってレールが高温になると、グリスがレールから流失しブロックとレールの摩擦によって破損してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、これらのような従来技術における実状からなされたものであり、圧着ツールを加熱する加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止できる熱圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも下記の特徴を有する。
本発明は、基板とドライバIC回路の接続部を支持する受け台と、前記接続部を圧着する圧着ツールと前記圧着ツールを加熱する加熱ツールとを具備する圧着ヘッド、前記圧着ヘッドを下降させ前記接続部に加圧する加圧ツール、前記圧着ヘッドの昇降をガイドするガイド部及び前記圧着ヘッドと前記加圧ツールを連結する連結部を備え前記ガイド部を固定するユニットベースとを具備する熱圧着ユニットと、前記受け台及び前記熱圧着ユニットを保持する装置ベースフレームと、を有する熱圧着装置において、前記加熱ツールにより発生する熱を排熱する排熱流路を形成する排熱流路形成手段を具備する冷却機構を有することを第1の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記冷却機構は、前記連結部から前記加熱ツールからの熱を伝熱し前記熱を放熱する放熱手段をユニットベースに有することを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、前記排熱流路は前記装置ベースフレームの前記ガイド部が移動するガイドレールを有する背面装置ベースフレームの上部に形成され、前記排熱流路形成手段は前記装置ベースフレームに設けられた吸引ファンを有することを第3の特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記排熱流路は前記の背面装置ベースフレームに設けられた通気孔を有し、前記排熱流路形成手段は前記装置ベースフレームに設けられた吸引ファンを有することを第4の特徴とする。
さらに、本発明は、前記排熱流路は閉空間である排気空間内を通ることを第5の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記吸引ファンは、前記装置ベースフレームの上部を構成する上部装置ベースフレームに設けられたことを第6特徴とする。
さらに、本発明は、前記吸引ファンは、前記装置ベースフレームの前記背面装置ベースフレームより更に背部に設けられた裏面装置ベースフレームに設けられたことを第7の特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記排熱流路は一端が前記通気孔に接続され、他端が前記装置ベースフレーム外に排気口を有する筒体を有し、前記通気孔と前記排気口の間に吸引ファンを設けたことを第8の特徴とする。
さらに、本発明は、前記排熱流路は一端が前記通気孔に接続され、他端が前記背面装置ベースフレーム以外の前記装置ベースフレームに排気口を有する筒体を有し、前記通気孔と前記排気口の間に吸引ファンを設けたことを第9の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記排熱流路は一端を前記熱圧着ユニットのうち前記圧着ヘッド以外の部分に接触させ、他端側を放熱する放熱手段を有するヒートパイプで形成することを第10の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱圧着装置によれば、加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止できる熱圧着装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態である熱圧着装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である熱圧着ユニットの構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である冷却機構の実施例1の構成を示す側面図である。
【図4】図3に示す冷却機構の構成の背面斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である冷却機構の実施例2の構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態である冷却機構の実施例3の構成を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態である冷却機構の実施例4の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態である冷却機構の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図1〜図4を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である熱圧着装置101を示す斜視図である。まず、図1を用いて第1の実施形態である熱圧着装置101の構成を説明する。
【0018】
熱圧着装置101は、装置ベースフレーム102と、受け台103と、更に受け台103の上方部に複数の熱圧着ユニット104とを備えている。熱圧着ユニット104の上部には、レール受け部105が配置されている。図1では、一例として5台の熱圧着ユニット104が配置されている。
【0019】
受け台103の上には、保持台(不図示)に着脱可能に固定されたディスプレイパネル106の一辺が載置される。このディスプレイ106には、前工程に於いて、複数のドライバIC回路107がACFにより仮固定されている。これらディスプレイパネル106及びドライバIC回路107は、被圧着部材の一具体例を示すものである。
【0020】
ディスプレイパネル106の周囲には微小間隔をあけてパネル側電極(不図示)が設けられている。また、ドライバIC回路107は、ディスプレイパネル106の少なくとも1つの辺に沿って複数個搭載されている。なお、図1では、一例として2つの辺に沿ってドライバIC回路107が搭載されている場合を示す。このドライバIC回路107には、パネル側電極に接合されるリード電極(不図示)が設けられている。ディスプレイパネル106のパネル側電極とドライバIC回路107のリード電極は、ACFを介して電気的に接合される。
【0021】
ACFは、テープ状に形成されたバインダ樹脂内に微小な導電粒子を分散させたものである。ディスプレイパネル106とドライバIC回路107を圧着すると、ACFのバインダ樹脂が圧縮されて、パネル側電極とリード電極とが導電粒子を介して電気的に接続される。そして、バインダ樹脂を加熱して熱硬化させることにより、ドライバIC回路107がディスプレイパネル106に接着される。
【0022】
前工程では、TAB搭載機を用いてディスプレイパネル106上にドライバIC回路107を載置して所定の圧力を加えることにより、ドライバIC回路107の仮固定が行われる。このようにして仮固定されたドライバIC回路107は、熱圧着装置101によってディスプレイパネル106に熱圧着(本圧着)される。これにより、ディスプレイパネル106とドライバIC回路107は、ACFを介して電気的及び機械的に接続される。
【0023】
なお、装置ベースフレーム102は、図1に示すように、熱圧着ユニット104の背部にある背面装置フレームベース102a、後述する図4に示すように、上部にあり背面補強板の役目をする上部装置ベースフレーム102b、側部にあり背面補強板の役目をする側部装置ベースフレーム102c及び熱圧着装置101の裏面を形成する裏面装置ベースフレーム102d等を有する。
【0024】
次に、本発明の第1の実施形態である熱圧着ユニット104の構成を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態である熱圧着ユニットの構成を示す側面図である。
【0025】
熱圧着ユニット104は、圧着ツール202と、加熱ツールの一具体例を示すヒータ203と、加圧ツールの一具体例を示すエアシリンダ204と、放熱手段の一具体例を示す放熱フィン205と、ユニットベース206と、ガイド部207とを備えている。
【0026】
圧着ツール202は、図1に示すように、上下方向Zで受け台103と対向しており、その受け台103との間にディスプレイパネル106及びドライバIC回路107を挟んで両者を熱圧着する。ヒータ203は、圧着ツール202の上部に接合しており、圧着ツール202を加熱する。
【0027】
エアシリンダ204は、圧着ツール202の上方に配置されている。このエアシリンダ204は、ヒータ203及び放熱フィン205などを介して圧着ツール202に接続されるロッド208と、このロッド208を空気圧により上下方向Zに移動させる駆動部209からなっている。ロッド208は、適当な強度を有する鋼鉄、ステンレス鋼材、アルミニウム鋼材などの金属材料によって棒状に形成されており、放熱フィン205に連結されている。
【0028】
放熱フィン205は、アルミニウム、銅、ステンレスなどの熱伝導率が高い材料からなり、円板状に形成されている。この放熱フィン205は、複数枚設けられており、上下方向Zに並んで互いに連結されている。また、複数の放熱フィン205は、ロッド208に接合されている。さらに、複数の放熱フィン205の下端部には、下方に突出する連結ねじ210が設けられている。
【0029】
連結ねじ210と放熱フィン205との間には、熱伝導グリス(不図示)が介在されている。この熱伝導グリスにより、連結ねじ210と放熱フィン205との間に隙間が埋められ、連結ねじ210から放熱フィン205へ効率よく熱を伝導させることができる。その結果、複数の放熱フィン205による放熱効果を高めることができる。連結ねじ210は連結軸211に螺合される。
【0030】
連結軸211はユニットベース206に固定されている。ユニットベース206は、放熱フィン205、連結軸211を囲う枠状に形成されている。ユニットベース206の上部にはロッド208を貫通させる貫通孔が設けられている。下部には連結軸211が固定されており、底面には断熱材219を介してヒータ203が固定されている。
【0031】
ガイド部207は、装置ベースフレーム102の一部である背面装置フレームベース102a上にガイドレール212が設置され、このガイドレール212に沿って直動する第1のスライダ213及び第2のスライダ214から構成されている。
【0032】
第1のスライダ213は、ガイドレール212に移動可能に係合される直動軸受け215と、この直動軸受け215に固定されるスライドベース216からなっている。スライドベース216には、ユニットベース206が取り付けられている。したがって、エアシリンダ204のロッド208が上下方向へ移動すると、ユニットベース206がガイドレール212に沿って移動し、圧着ツール202が受け台103(図1参照)に対して接近又は離間する。
【0033】
本発明の第1の実施形態である熱圧着ユニットの構成の第2のスライダ214は、ガイドレール212に移動可能に係合される直動軸受け217と、この直動軸受け217に固定されるスライドベース218からなっている。スライドベース218には、エアシリンダ204の駆動部209が取り付かれている。
【0034】
熱圧着ユニット104の上部には、レール受け部105及びレール受け部105に配置されるレール201を備えている。熱圧着ユニット104は図2の左右方向への移動が禁止され、レール201上に配置されており図2の奥行き方向Xにのみ移動可能となっている。
【0035】
次に、本発明の特徴と一つである冷却機構について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態である冷却機構の実施例1の構成を示す側面図である。
【0036】
冷却機構は、圧着ツールを冷却することなく、加熱ツールで発生する熱を装置ベースフレーム102の外に排出することが重要である。そこで、第1の実施形態における冷却機構は、放熱フィン205によって放熱された放熱空気303を装置ベースフレーム102の上部側に排出する空気の流れである排熱流路302を形成する。
【0037】
そのために、第1の実施形態では、熱圧着ユニット104の背面側をガイドレール212の受け板の役目をする背面装置フレームベース102aで、熱圧着ユニット104の上側をレール受け部105とで熱圧着ユニット104を囲む。そして、排熱流路302を形成する排熱流路形成手段として、装置ベースフレーム102の上部であり背面補強板の役目をする上部装置ベースフレーム102b上にX方向に排熱ツールである複数の吸引ファン301を設ける。
この構造により、放熱フィン205によって放熱された放熱空気303は、背面装置フレームベース102aとレール受け部105の間の流入路308を通り、吸引ファン301に至る空気の流れである排気流の流れである排熱流路302を形成し、吸引ファン301から外部に排出される。
【0038】
本実施形態では、吸引ファン301は、一例として、図4に示すように5台が設置されている。また、各熱圧着ユニット104が偏りなく排熱するために、各吸引ファン301は等間隔に配置される。
【0039】
また、本実施形態では、安定した排熱流路302を形成し、外部に効率よく排熱するために、熱圧着装置101外部から外気305が入り込み空気の流れが散乱するのを防ぎ、安定した排気流である排熱流路302を形成するために、排気空間307を形成する。排気空間307は、熱圧着装置101の裏面を形成する裏面装置ベースフレーム102dと、排熱流路302の下側で背面装置フレームベース102aと裏面装置ベースフレーム102dを連結する上部連結板306aとで形成される。さらに、図3の紙面奥行き方向(X)からの外気305が入り込み空気の流れの散乱するのを防ぐため、図1に示すように排気空間307のX方向の両側にも側部装置ベースフレーム102cを設けて、排気空間307を流入路308以外は密閉空間としている。
【0040】
本実施形態によれば、加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、ヒータ203で発熱した熱がエアシリンダ204やガイド部207へ伝熱するのを抑えることができ、熱による駆動部の破損を防止できる。
【0041】
次に、図5乃至図7を用いて第1の実施形態の冷却機構の他の実施例を示す。以下各他の実施例の上記実施例1と異なる点のみ説明する。
図5は、背面装置フレームベース102aに排熱流路302aを形成する通気孔309を設け、ヒータ203より上側に背面装置フレームベース102aと裏面装置ベースフレーム102dを連結する下部連結板306bを設けて排気空間307を形成した実施例2を示す。実施例2では、排熱流路302の他に排熱流路302aが形成される。
【0042】
図6は、実施例2において、吸引ファン301を裏面装置ベースフレーム102dに設け、上部装置ベースフレーム102bを上部遮断板とし、熱圧着ユニット104側に逆流しないようにレール受け部105と上部装置ベースフレーム102bを連結し流入路308を設けない実施例3を示す。なお、実施例3では、排気空間307は背面装置フレームベース102a、上部装置ベースフレーム102b、裏面装置ベースフレーム102d、下部連結板306b及び図1に示す側部装置ベースフレーム102cで構成される。
【0043】
図7は、実施例3において、実施例1の上部連結板306aの位置に、上部装置ベースフレーム102bを設けた実施例4を示す。実施例4では、実施例1の流入路308にあたる部分に隙間があっても構わない。
【0044】
以上、他の実施例においても、実施例1と同様に、加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、ヒータ203で発熱した熱がエアシリンダ204やガイド部207へ伝熱するのを抑えることができ、熱による駆動部の破損を防止できる。
【0045】
次に、熱圧着装置101の動作について説明する。
まず、複数のドライバIC回路107が仮固定されたディスプレイパネル106が、保持台(不図示)に保持され、受け台103上に載置される。このとき、保持台は、ディスプレイパネル106と複数のドライバIC回路107との接続部を圧着ツール202に対して、位置決めする。
【0046】
次にエアシリンダ204の駆動部209が駆動し、ロッド208を下方に移動させる。これにより、圧着ツール202がドライバIC回路107に接近する。そして、ドライバIC回路107との間が所定の距離になると、エアシリンダ204の駆動部209が停止する。
【0047】
続いて、アクチュエータ(不図示)が駆動力を発生し、熱圧着ユニット104全体を下方へ移動させる。エアシリンダ204では、ロッド208の速度を制御することが難しいため、ロッド208の移動によって圧着ツール202をドライバIC回路107に接触させると、ドライバIC回路107が破損する可能性がある。そこで、圧着ツール202がドライバIC回路107にある程度接近した後は、アクチュエータによって圧着ツール202が移動する速度を制御し、ドライバIC回路107に接触する直前で圧着ツール202の速度を減速させる。
【0048】
熱圧着ユニット104全体が下方に移動すると、ディスプレイパネル106と複数のドライバIC回路107との接続部が圧着ツール202と受け台103によって挟まれて加圧される。このときに作用する加圧力は、エアシリンダ204による空気ばねで適切な値に調整される。なおエアシリンダ204による空気ばねの大きさは駆動部208へ供給されるエア(空気)の量によって調整することができる。
【0049】
ディスプレイパネル106と複数のドライバIC回路107との接続部に圧力が加えられると、ディスプレイパネル106とドライバIC回路107との間に介在されているACFのバインダ樹脂が加圧及び加熱される。その結果、ディスプレイパネル106とドライバIC回路107が電気的且つ機械的に接続される。
【0050】
本第1の実施形態の熱圧着装置101によれば、ヒータ203からエアシリンダ204のロッド208へ伝わる熱を放熱フィン205によって放熱し、熱せられた放熱空気303を吸引ファン301によって外部に排出することで、駆動部208へ伝導される熱を軽減させることができる。したがって、圧着ツール202を加熱するヒータ203の設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止することができる。
【0051】
ヒータ203とロッド208との間には、断熱材219が介在されているが、この断熱材219によって熱を完全に遮断することができない。したがって、熱圧着するときの加熱時間を短縮するためにはヒータ203の設定温度を高くすると、ロッド208に伝わる熱量が多くなってしまう。そのため、ロッドへ伝わる熱を放熱フィン205によって放熱し、放熱された熱によって熱せられた放熱空気303を外部へ排出し冷却することは、エアシリンダ204及び熱圧着装置101の信頼性を向上させる方法として極めて有効になる。
従って、本第1の実施形態によれば、信頼性の高い熱圧着装置を提供できる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態である熱圧着装置の構成及び動作を図8を用いて説明する。図8は、本発明の第2の実施形態である冷却機構の構成を示す側面図である。第2の実施形態である熱圧着装置501は、第1の実施の形態の熱圧着装置と同様の構成を有している。この熱圧着装置501が熱圧着装置101と異なるところは、冷却機構のみである。そのため、ここでは冷却機構についてのみ説明し、熱圧着装置101と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0053】
第2の実施形態では、図8に示すように、背面装置フレームベース102a及び裏面装置ベースフレーム102dにそれぞれ通気孔309、310を設け、吸引ファン301を背面装置フレームベース102aの通気孔309の位置に設ける。
【0054】
本第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に吸引ファン301により装置内部から外部へ空気の流れである排気流(排熱流路)302を発生させることで熱せられた放熱空気303が排出される。
【0055】
また、装置内部に充満しないよう、吸引ファン301と装置外部とをつなぎ排気空間を形成し排気口311を有する筒体である排気ホース502を設置する。ただし、ヒータ203の設定温度に影響させないよう、通気孔および吸引ファン301をヒータ203より高さ方向Z上方に設置する。
【0056】
(変形例)
以上、本発明の熱圧着装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の熱圧着装置は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0057】
第1、第2の実施形態においては、放熱手段として放熱フィン205を用いた構成にした。しかしながら、本発明に係る放熱手段としては、放熱フィンに限定されるものではなく、例えばロッド208に取付けられるヒートパイプと、このヒートパイプに取付けられる放熱フィンから構成することもできる。この場合、装置の上下方向の大きさなどによって放熱フィンの大きさが制約されないため、放熱フィンを任意に大きさに設定することができ、放熱効果を高めることができる。
【0058】
また、放熱フィンに送風を行う送風ファンを加える構成としてもよい。この場合、放熱フィンによって熱せられた気体が被圧着部材に向かわないように、送風ファンの風向きを設定する。
【符号の説明】
【0059】
101、501:熱圧着装置 102:装置ベースフレーム
102a:背面装置フレームベース 102b:上部装置ベースフレーム
102c:側部装置ベースフレーム 102d:裏面装置フレームベース
103:受け台 104:熱圧着ユニット
105:レール受け部 106:ディスプレイパネル
107:ドライバIC回路 202:圧着ツール
203:ヒータ 204:エアシリンダ
205:放熱フィン 206:ユニットベース
207:ガイド部 208:ロッド
209:駆動部 210:連結ねじ
211:連結軸 212:ガイドレール
213:第1スライダ 214:第2スライダ
215:直動軸受け 216:スライドベース
217:直動軸受け 218:スライドベース
219:断熱材 301:吸引ファン
302:排熱流路(放熱空気の流れ) 303:放熱空気
305:外気 306a:上部連結板
306b:下部連結板 307:排気空間
308:流入路 309、310:通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とドライバIC回路の接続部を支持する受け台と、
前記接続部を圧着する圧着ツールと前記圧着ツールを加熱する加熱ツールとを具備する圧着ヘッド、前記圧着ヘッドを下降させ前記接続部に加圧する加圧ツール、前記圧着ヘッドの昇降をガイドするガイド部及び前記圧着ヘッドと前記加圧ツールを連結する連結部を備え前記ガイド部を固定するユニットベースとを具備する熱圧着ユニットと、
前記受け台及び前記熱圧着ユニットを保持する装置ベースフレームと、
を有する熱圧着装置において、
前記加熱ツールにより発生する熱を排熱する排熱流路を形成する排熱流路形成手段を具備する冷却機構を有することを特徴とする熱圧着装置。
【請求項2】
前記冷却機構は、前記連結部から前記加熱ツールからの熱を伝熱し前記熱を放熱する放熱手段をユニットベースに有することを特徴とする請求項1に記載の熱圧着装置。
【請求項3】
前記排熱流路は前記装置ベースフレームの前記ガイド部が移動するガイドレールを有する背面装置ベースフレームの上部に形成され、前記排熱流路形成手段は前記装置ベースフレームに設けられた吸引ファンを有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱圧着装置。
【請求項4】
前記排熱流路は前記の背面装置ベースフレームに設けられた通気孔を有し、前記排熱流路形成手段は前記装置ベースフレームに設けられた吸引ファンを有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱圧着装置。
【請求項5】
前記排熱流路は閉空間である排気空間内を通ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱圧着装置。
【請求項6】
前記吸引ファンは、前記装置ベースフレームの上部を構成する上部装置ベースフレームに設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の熱圧着装置。
【請求項7】
前記吸引ファンは、前記装置ベースフレームの前記背面装置ベースフレームより更に背部に設けられた裏面装置ベースフレームに設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の熱圧着装置。
【請求項8】
前記排熱流路は一端が前記通気孔に接続され、他端が前記装置ベースフレーム外に排気口を有する筒体を有し、前記通気孔と前記排気口の間に吸引ファンを設けたことを特徴とする請求項4に記載の熱圧着装置。
【請求項9】
前記排熱流路は一端が前記通気孔に接続され、他端が前記背面装置ベースフレーム以外の前記装置ベースフレームに排気口を有する筒体を有し、前記通気孔と前記排気口の間に吸引ファンを設けたことを特徴とする請求項4に記載の熱圧着装置。
【請求項10】
前記放熱手段は放熱フィンであることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載の熱圧着装置。
【請求項11】
前記排熱流路は一端を前記熱圧着ユニットのうち前記圧着ヘッド以外の部分に接触させ、他端側を放熱する放熱手段を有するヒートパイプで形成することを特徴とする請求項1に記載の熱圧着装置。
【請求項12】
前記放熱手段に送風する送風ファンを設けたことを特徴とする請求項11に記載の熱圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−146737(P2012−146737A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2162(P2011−2162)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】