熱売買支援装置および熱売買支援システム
【課題】熱融通において、逐次変化する排熱および採熱の利用状況に応じた熱利用単価を決定すること。
【解決手段】第1通信部12は、拠点のそれぞれに設けられた通信装置2から所定の時間間隔で各拠点における熱利用に関する情報を受信し、熱料金算出部は、第1通信部12によって受信された各拠点における熱利用に関する情報および外気条件に基づいて、各拠点における熱媒の単価を算出する。熱料金算出部によって算出された熱利用単価は、第2通信部15により、各拠点のクライアント端末3に送信される。
【解決手段】第1通信部12は、拠点のそれぞれに設けられた通信装置2から所定の時間間隔で各拠点における熱利用に関する情報を受信し、熱料金算出部は、第1通信部12によって受信された各拠点における熱利用に関する情報および外気条件に基づいて、各拠点における熱媒の単価を算出する。熱料金算出部によって算出された熱利用単価は、第2通信部15により、各拠点のクライアント端末3に送信される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱売買支援装置および熱売買支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場プロセスや空調など様々な用途において、ある熱媒への排熱や、熱媒からの採熱が行われる。排熱、採熱される熱の温度や量は様々であり、最近ではある地点で排熱した熱を別の地点で採熱するなどして、熱を有効利用する「熱融通」という考え方が提案され、注目されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、工場や地域などの域内で発生した熱を相互に補完するようにエンドループを形成し、複数の地点における熱の有効利用を可能とする技術が開示されている。
このような熱融通は、工場程度の規模から都市のような大規模な場合もあり、規模は様々である。
また、近年、都市などでは、下水処理水や下水などの下水熱を用いた熱融通が期待されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/065034号
【特許文献2】特開2008−241226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
将来、上記のような熱融通が導入された場合、電気や水道と同じように利用量に即した課金を行ったり、全体の熱量バランスを保つために熱を投入したユーザには利益を還元したりすることが予想される。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱融通において、逐次変化する排熱および採熱の利用状況に応じた熱利用単価を決定することの可能な熱売買支援装置および熱売買支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、熱利用を行う複数の拠点間を熱媒が流通する熱媒流通路で接続し、各前記拠点において熱媒からの採熱または熱媒への排熱を可能とした熱媒系統に適用される熱売買支援装置であって、前記拠点のそれぞれに設けられた通信装置から所定の時間間隔で各前記拠点における熱利用に関する情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された各前記拠点における熱利用に関する情報および外気条件を用いて、各拠点における熱媒の単価を算出する熱料金算出手段と、前記熱料金算出手段によって算出された単価を各前記拠点のクライアント端末に送信する送信手段とを具備する熱売買支援装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、各拠点から所定の時間間隔で送信されてくる熱利用の状況および外気条件に基づいて各拠点における熱媒の単価が算出される。これにより、逐次変化する各拠点における熱利用の状況および外気条件を加味した熱媒の単価を算出することが可能となる。
【0008】
上記熱売買支援装置において、前記熱媒系統を可視化した基本フレームが記憶されている第1記憶手段と、前記第1記憶手段から読み出した前記基本フレーム上に、前記拠点の熱利用に関する情報を表示した熱媒系統図を作成するとともに、該熱媒系統図に各拠点における前記熱媒の単価を表示した表示情報を前記拠点毎に作成する表示処理手段とを有し、前記送信手段は、前記表示情報を対応するそれぞれの前記拠点の前記クライアント端末に送信することとしてもよい。
【0009】
このような構成によれば、各拠点で行われている熱利用の状況が可視化された熱媒系統図に、各拠点における熱媒の単価が付加された表示画面をクライアント端末に表示させることが可能となる。これにより、熱媒の単価だけでなく、当該拠点ならびに周辺地域における他の拠点の熱利用状況をユーザに提示することが可能となる。
【0010】
上記熱売買支援装置において、前記熱料金算出手段は、熱利用を行う複数の前記拠点における熱利用の状況に応じて変化する熱の相対的な価値を算出するための演算要素を含む算出式を保有しており、該算出式を用いて前記熱媒の単価を算出することとしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、熱利用を行う複数の拠点における熱利用の状況に応じて各拠点における熱媒の単価が相対的に決定される。これにより、周囲の拠点の熱利用バランスを考慮して熱媒の単価が決定される。
【0012】
上記熱売買支援装置において、前記拠点における熱利用のスケジューリング情報が格納されている第2記憶手段を有し、前記熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれており、前記熱料金算出手段は、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と採熱希望の拠点数とを前記第2記憶手段に格納されている情報から取得し、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点を課金対象とし、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点を買取対象とすることとしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、拠点における熱利用のスケジューリング情報が第2記憶手段に格納される。熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれている。熱量金算出手段により、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と、採熱希望の拠点数とが第2記憶手段に格納されている各拠点の熱利用のスケジューリング情報から取得され、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点が課金対象とされ、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点が買取対象とされる。
【0014】
上記熱売買支援装置において、前記算出式は、前記拠点に流入した熱媒の温度と該拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がるように構成されており、前記課金対象の場合も前記買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出されることとしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、拠点に流入した熱媒の温度と拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がることとなる。また、課金対象の場合も買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出される。したがって、例えば、排熱が課金対象、採熱が買取対象とされている場合には、流入された熱媒の温度に対して排出した熱媒の温度が高くなるほど課金される熱媒の単価が上がり、流入された熱媒の温度に対して排出した熱媒の温度が低くなるほど、買い取りの熱媒単価が上がることとなる。
【0016】
上記熱売買支援装置において、前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱利用単価が含まれており、前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱利用単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱利用単価以下であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備えることとしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第2記憶手段に格納されている熱利用のスケジュール情報には、拠点が希望する希望熱利用単価が含まれている。熱融通成立判定手段により、熱料金算出手段が算出した拠点の熱媒の単価と当該拠点の熱利用のスケジュール情報に含まれている対応する希望熱利用単価とが比較され、熱媒の単価が希望熱利用単価以下であれば熱融通成立と判定される。
【0018】
上記熱売買支援装置において、前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱買取単価が含まれており、前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱買取単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱買取単価以上であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備えることとしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、第2記憶手段に格納されている熱利用のスケジュール情報には、拠点が希望する希望熱買取単価が含まれている。熱融通成立判定手段により、熱料金算出手段が算出した拠点の熱媒の単価と当該拠点の熱利用のスケジュール情報に含まれている対応する希望熱買取単価とが比較され、熱媒の単価が希望熱買取単価以上であれば熱融通成立と判定される。
【0020】
上記熱売買支援装置において、前記熱料金算出手段は、算出した熱媒の単価に各前記拠点における熱媒の利用量を乗算することにより、熱媒利用料金を算出し、前記送信手段は、前記熱媒利用料金を前記クライアント端末に送信することとしてもよい。
【0021】
このような構成によれば、各拠点における排熱および採熱の利用状況から評価された熱媒の単価が反映された熱媒利用料金をクライアント端末の利用者に提示することが可能となる。
【0022】
本発明は、上記いずれかの熱売買支援装置と、複数の前記拠点のそれぞれに設けられ、前記熱売買支援装置に対して当該拠点における熱利用の情報を送信する複数の通信装置と、前記熱売買支援装置と通信ネットワークを介して接続され、前記熱売買支援装置から受信した情報を表示可能な表示手段を備えるクライアント端末とを具備する熱売買支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熱融通において、逐次変化する排熱および採熱の利用状況に応じた熱利用単価を決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】熱融通を概念的に示した図である。
【図2】熱媒のポテンシャルの概念について説明するための図である。
【図3】拠点におけるポテンシャル温度およびポテンシャル熱量の算出手法について説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る熱売買支援システムの全体概略構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る熱売買支援装置が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図6】図5に示した処理部が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図7】表示処理部によって作成される第1表示情報の一例を示した図である。
【図8】表示処理部によって作成される第2表示情報の一例を示した図である。
【図9】クライアント端末の表示装置に表示されるシステム系統図の一例を示した図である。
【図10】ターボ冷凍機を対象としたシステム性能を示すグラフの表示例を示した図である。
【図11】ポテンシャル熱量を比較して示した表示例を示した図である。
【図12】外部の熱供給会社により設定された熱供給単価と未利用熱単価との比較例を示した表示例を示した図である。
【図13】製造熱量実績値と製造可能熱量との比較例を示した表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る熱売買支援装置および熱売買支援システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、熱融通および熱融通における熱需要による熱の価値を概念的に示した図である。図1に示すように、熱の授受が行われる複数の拠点30が点在しており、拠点30間は熱媒が流通する熱媒流通路40によって接続されている。拠点30は、例えば、ヒートポンプや冷凍機などの熱源機が設置されている場所であり、熱の授受が行われる場所である。図1において、熱媒流通路40に向けて矢印が描かれている拠点30は排熱が行われている拠点であり、熱媒流通路40から拠点30に向けて矢印が描かれている拠点30は採熱が行われている拠点である。
【0026】
図1に示されるように、ある拠点30において排熱されることにより温められた熱媒が他の拠点30において熱源として用いられることにより熱の再利用が行われ、ある拠点30において採熱されることにより冷やされた熱媒が他の拠点30において冷却源として用いられることにより熱の再利用が行われていることがわかる。このような熱融通が行われることにより、エネルギ効率を高めている。また、図1では、熱媒流通路40は閉ループとして表わされており、熱利用が行われながら熱媒が循環していることがわかる。
上記熱融通の一例としては、下水道熱の供給が挙げられる。このような場合、熱融通は、例えば、都市等の下水道局等により運営される。
【0027】
本実施形態における熱売買支援装置は、上記のような熱媒流通路40に接続された各拠点30における熱利用の状況に応じて熱媒の利用単価を決定し、決定した単価に基づいて各拠点における熱利用量に応じた課金を支援する装置である。
【0028】
本実施形態においては、例えば、以下に説明する熱媒のポテンシャルに基づいて熱媒の利用単価を決定する。
図2は、熱媒流通路40を流通する熱媒のポテンシャルの概念について説明するための図である。図2に示すように、熱媒が流通する熱媒流通路40のある最小区間について考えると、この最小区間を出入りする熱媒は、以下の表1に示すような状態量を持っている。
【0029】
【表1】
【0030】
最小区間の入口状態量から算出されるものがその熱媒のポテンシャルであり、区間出口までに外部からの入熱や外部への放熱が行われれば、次の区間の入口における熱媒のポテンシャルは変化する。外部からの入熱や放熱は、新たな熱媒が直接流れ込んでくる場合のほか、熱媒が移動する管路と外部の温度差による伝熱などによりなされる。
【0031】
例えば、熱媒の熱量に関するポテンシャルであるポテンシャル熱量は、入口における状態量を用いて以下の(1)式で表わされる。ここで、熱融通における熱媒の利用は、採熱と放熱とがあるが、本実施形態では、基準温度を設け、この基準温度に対する熱の価値を数値化することで、利用態様によらずに、統一した基準による熱媒の価値の評価を可能としている。基準温度は、任意に設定可能であるが、本実施形態では、一例として0℃に設定している。また、基準温度は常に一定でなくてもよく、例えば、外気温度のように変化する値を用いることとしてもよい。
【0032】
Q1=v1×A1×ρ1×C1×(T1−TS) (1)
【0033】
(1)式において、Q1は最小区間入口における熱量(kW)、v1は最小区間入口における平均流速(m/s)、A1は最小区間入口の管断面積(m2)、ρ1は最小区間入口における密度(kg/m3)、C1は比熱(kJ/kg・K)、T1は最小区間入口における温度(℃)、TSは基準温度(℃)、すなわち、0℃である。
【0034】
入熱や放熱は、直接流れこんでくる場合には以下の(2)式、管路を通じての熱伝導は(3)式で表わされる。
熱伝導は、出入口の平均外周長さと区間長さの積を伝熱面積とし、伝熱は出入口の平均温度と外部の温度差としている。
【0035】
q=vG×AG×ρG×CG×(TG−TS) (2)
q=(Lr1+Lr2)/2×L×{(T1−T2)/2−TG}×λ (3)
【0036】
(2)式において、vG,AG,ρG,CG,TGは、それぞれ外部における平均流速(m/s)、管断面積(m2)、密度(kg/m3)、比熱(kJ/kg・K)、温度(℃)である。(3)式において、Lr1は最小区間入口における外周長さ(m)、Lr2は最小区間出口における外周長さ(m)、Lは最小区間長さ(m)、T1は最小区間入口における温度(℃)、T2は最小区間出口における温度(℃)、λは熱伝導率(kW/m・K)である。
【0037】
上記から、最小単位出口におけるポテンシャル熱量は、以下の(4)式で表わされる。
【0038】
Q2=Q1+q (4)
【0039】
そして、この最小区間を連続的につなげていくと、ある領域内の各地点における熱媒のポテンシャルを算出することができる。
【0040】
熱媒のポテンシャルは、上記の表1に示したように、熱媒が有する各状態量において算出可能であるが、特に熱融通では、熱量に関する熱媒のポテンシャルであるポテンシャル熱量および温度に関する熱媒のポテンシャルであるポテンシャル温度が重要な項目となる。以下、図1に示した拠点30におけるポテンシャル温度およびポテンシャル熱量の算出手法の一例について、図3を参照して具体的に説明する。
【0041】
今、図3に示すように、隣接する2つの拠点Aと拠点Bについて考える。ここで、拠点Aは拠点Bの上流側に位置している。このとき、拠点Bにおける現在のポテンシャル温度は、以下の(5)式で求められる。
【0042】
TB=TBin−Ts (5)
【0043】
(5)式において、TBは拠点Bのポテンシャル温度(℃)、TBinは拠点Bの熱媒入口温度(℃)、Tsは基準温度(℃)、すなわち、0℃である。
【0044】
また、拠点Bにおけるポテンシャル熱量は、以下の(6)式で求められる。
【0045】
QPB=TB×FAB×C×γ/3600 (6)
【0046】
(6)式において、QPBは拠点Bが利用可能な熱媒のポテンシャル熱量(kW)、TBは拠点Bの現在のポテンシャル温度(℃)、FABは拠点Aと拠点Bとの間の熱媒流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
ここで、拠点Aと拠点Bとの間の熱媒流量FABは、熱媒流通路40に流量センサを設け、この流量センサによって測定された値を用いることとしてもよいが、各熱媒流通路40に流量センサを設けずに、以下の(7)式に示した演算式を用いて演算処理により推定することとしてもよい。
【0047】
FAB=QA/{(TAOUT−TAIN)×C×γ/3600 (7)
【0048】
(7)式において、QAは拠点Aの排熱量または採熱量(kW)、TAOUTは拠点Aの熱媒出口温度(℃)、TAINは拠点Aの熱媒入口温度(℃)である。
【0049】
上記のように、熱媒流通路40における各拠点のポテンシャル熱量の算出には、その拠点に隣接し、かつ、上流に位置する拠点の熱媒の利用に関する情報を用いればよい。また、拠点が複数の熱媒流通路40が合流する合流点の下流に位置していることから、隣接する上流の拠点が複数存在する場合には、それら複数の拠点における熱媒の利用に関する情報を用いればよい。更に、外部からの入熱や外部への放熱がある場合には、それらを考慮して、ポテンシャル熱量を算出すればよい。
【0050】
このように、各拠点におけるポテンシャル熱量の算出において、隣接する拠点における熱媒の利用に関する情報と当該拠点における熱媒入口温度を用いることにより、複雑な演算式を利用することなく、ポテンシャル熱量を算出することが可能となる。
【0051】
本実施形態に係る熱売買支援装置が適用される熱融通では、上述のように排熱と採熱の両方が行われる。夏季のように排熱が活発に行われるような期間においては、熱媒温度を下げる方向に機能する採熱を行う拠点は価値が高く、また、冬季のように採熱が活発に行われるような期間においては、熱媒温度を上げる方向に機能する排熱を行う拠点は価値が高い。そこで、このような採熱と排熱の需給バランスを考慮して、本実施形態に係る熱売買支援装置および熱売買支援システムでは、熱の需給バランスから、価値が高いと判断した拠点に対しては、課金ではなく、料金を支払う、すなわち、熱を買い取るという料金の仕組みを採用する。すなわち、採熱および排熱のうち、クライアント需要が多い方を課金扱いし、クライアント需要が少ない方から熱を買い取る仕組みを採用する。また、熱の単価を決定する際に、上述した熱媒のポテンシャルを用いている。
【0052】
図4は、本実施形態に係る熱売買支援システムの全体構成を示したブロック図である。熱売買支援システムは、熱売買支援装置1と、各拠点30に設置された通信装置2と、クライアント端末3とを備えている。
熱売買支援装置1と各拠点30に設置されている複数の通信装置2とは所定の通信ネットワーク6を介して接続されている。この通信ネットワーク6に関しては特に限定されない。熱売買支援装置1とクライアント端末3とは、所定の通信ネットワーク7、例えば、インターネットで接続されている。なお、通信ネットワーク6および通信ネットワーク7とは同一であってもよく、個別のネットワークであってもよい。
【0053】
各拠点30に設置された通信装置2は、その拠点30に設置されている熱源機による熱利用に関する情報を熱売買支援装置1に所定の時間間隔で送信する。熱利用に関する情報としては、例えば、排熱前後の温度および排熱量、または、採熱前後の温度および採熱量が一例として挙げられる。
【0054】
排熱量は、例えば、以下の(8)式にて求められる。
Q=(Tout−Tin)×F×C×γ/3600 (8)
(1)式において、Qは排熱量(kW)、Tinは熱源機の冷却水入口温度(℃)、Toutは熱源機の冷却水出口温度(℃)、Fは熱源機の冷却水流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
【0055】
採熱量は以下の(9)式にて求められる。
Q=(Tin−Tout)×F×C×γ/3600 (9)
(9)式において、Qは採熱量(kW)、Tinは熱源機の熱源水入口温度(℃)、Toutは熱源機の熱源水出口温度(℃)、Fは熱源機の熱源水流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
【0056】
上記排熱量または採熱量の演算は、例えば、熱源機が備える制御基板などで行われ、算出結果が通信装置2に出力されるような構成とされている。
通信装置2は、各熱源機から通知された熱利用に関する情報を所定の時間間隔で通信ネットワーク6を介して熱売買支援装置1へ送信する。なお、複数の熱源機が設けられている拠点については、例えば、平均温度および各熱源機における熱量の合計が熱売買支援装置1へ送信される。
【0057】
熱売買支援装置1は、各拠点30に設置されている通信装置2から受信した熱媒の利用に関する情報に基づいて拠点毎にポテンシャル熱量およびポテンシャル温度を算出し、算出したポテンシャル熱量およびポテンシャル温度を用いて未利用熱単価(熱媒の単価)を算出し、この単価に基づいて各拠点において熱融通が成立するか否かを判定する機能を有している。更に、熱売買支援装置1は、各拠点30における熱利用の状況を可視化した熱媒系統図を作成する機能を備えている。熱売買支援装置1は、拠点毎に算出したポテンシャル熱量などの情報、未利用熱単価の情報、熱融通の成立の可否の情報、拠点毎に作成した表示情報などを各拠点30に提供する。
例えば、熱売買支援装置1は、WEBサーバ4を備えており、WEBサーバ4によりインターネットを通信媒体として各拠点のクライアント端末3に情報を提供する。
【0058】
クライアント端末3は、WEBブラウザを搭載したコンピュータであり、熱売買支援装置1からデータを取得し、表示装置5に表示する機能を有している。すなわち、クライアント端末3がWEBサーバ4の所定のURLにアクセスすることで、当該拠点30におけるポテンシャル熱量およびポテンシャル温度や、未利用熱単価が付加された熱媒系統図などを表示装置5に表示させることが可能となる。
【0059】
また、クライアント端末3は、例えば、各拠点30あるいは各拠点30における熱利用を管理・制御する管理設備内に設置されている。したがって、各拠点30の利用者は、表示装置5に現在の熱媒のポテンシャル、未利用熱単価、熱媒系統図などが表示されることにより、これらの情報を総合的に考慮した当該拠点における熱利用の調整や、将来の熱利用のスケジューリングを行うことができる。
【0060】
図5および図6は、熱売買支援装置1が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。図5に示すように、熱売買支援装置1は、第1記憶部11と、第1通信部(受信手段)12と、処理部13と、第2記憶部14と、第2通信部(送信手段)15とを備えている。
【0061】
第1記憶部11には、熱売買支援装置1の担当区域内に存在し、熱の授受が行われる複数の拠点30と、該拠点間をつなぐ熱媒流通路40を含む熱媒系統を示した基本フレームが記憶されている。本実施形態では、所定の担当区域として都市の一区域を想定し、熱媒流通路40として下水網を利用した場合の熱融通を想定している。
【0062】
第2記憶部14には、各拠点30によって登録された熱利用に関する各種条件が格納されている。具体的には、第2記憶部14には、採熱または排熱の情報、熱利用を行う際の要求ポテンシャル熱量と要求ポテンシャル温度の条件、および熱利用の利用時間が互いに対応付けられた第1情報が格納されている。更に、第2記憶部14には、熱利用を行う際の希望熱利用単価と利用時間とが対応付けられた第2情報が格納されている。
【0063】
上記要求ポテンシャル熱量と要求ポテンシャル温度の条件は、例えば、ある範囲をもって設定可能とされている。上記熱利用の利用時間、要求ポテンシャル熱量、要求ポテンシャル温度、希望熱利用単価は、予め設定された最少時間単位で、クライアント端末3から設定および更新可能とされている。例えば、上記第1情報や第2情報など、拠点側が必要事項の情報を設定するための熱融通利用サイトを熱売買支援装置1のWEBサーバ4がクライアント端末3の表示装置5に表示させ、この熱融通利用サイトを介して、拠点側から上記情報などを登録・変更できるようにする。拠点側にて入力された情報は、例えば、拠点の識別情報に対応付けられて第2記憶部15に格納される。
【0064】
第1通信部12は、通信装置2との通信インターフェースであり、第2通信部15はクライアント端末3との通信インターフェースである。なお、通信ネットワーク6と通信ネットワーク7とが同一の場合は、第1通信部12および第2通信部15とは共通化されてもよい。
【0065】
処理部13は、図6に示すように、ポテンシャル算出部13a、熱料金算出部(熱料金算出手段)13b、熱融通成立判定部(熱融通成立判定手段)13c、および表示処理部(表示処理手段)13dを備えている。
【0066】
ポテンシャル算出部13aは、第1通信部12により受信された各拠点30の採熱量および採熱前後の温度または排熱量および排熱前後の温度を用いて、各拠点30が利用可能な熱媒のポテンシャル、具体的には、ポテンシャル温度とポテンシャル熱量を算出し、この算出結果を熱料金算出部13b、熱融通成立判定部13c、および表示処理部13dに出力する。
具体的には、ポテンシャル算出部13aは、上述した(5)式から(7)式の演算式を保有しており、各拠点30におけるポテンシャル温度とポテンシャル熱量を算出する。算出手法については、上述した通りである。
【0067】
熱料金算出部13bは、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル温度とポテンシャル熱量、および外部気温などに基づいて、各拠点30における未利用熱単価を算出する。ここで、未利用熱とは、熱媒流通路40を流通する熱媒が持つ熱を意味し、未利用熱単価は未利用熱の単価を意味する。
【0068】
以下に、未利用熱単価について説明する。
未利用熱単価は、例えば、熱の絶対的な価値と熱の相対的な価値との2つの要素を考慮して算出される。
【0069】
未利用熱単価は、以下の(10)式のように、未利用熱の絶対的な価値と相対的な価値とを乗算した値として表わされる。
【0070】
Cf=Cfa×Cfr (10)
【0071】
(10)式において、Cfは未利用熱単価、Cfaは未利用熱の絶対的な価値、Cfrは未利用熱の相対的な価値である。
【0072】
未利用熱の絶対的な価値Cfaは、例えば、以下の(11)式で表現される。
【0073】
Cfa=f(To,Tu) (11)
【0074】
上記(11)式において、Toは外気温度(℃)、Tuは排熱または採熱の温度(℃)である。また、上記ToおよびTuに代えて、外気温度を基準としたポテンシャル温度を用いることとしてもよい。
【0075】
未利用熱の相対的な価値Cfrは、排熱と採熱の需給バランスから決定され、例えば、以下の(12)式で表現される。
【0076】
Cfr=f(Q´) (12)
【0077】
(12)式において、Cfrは未利用熱の相対的な価値、Q´は周囲の利用バランス(kW)である。
本実施形態では、熱融通の需給バランスに寄与する拠点における熱の単価を高く設定することとしている。例えば、採熱および排熱の温度と拠点に流入する熱媒の温度ポテンシャルとの差の絶対値が大きいほど周囲の拠点に及ぼす影響が大きい。したがって、周囲の拠点に及ぼす影響が大きいほど、未利用熱の相対的な価値を高く設定することとしてもよい。この場合、上記(12)式は、以下の(13)式のように表現できる。
【0078】
Cfr=f(|Tu−Tp|,|Qu/Qp|) (13)
【0079】
(13)式において、Cfrは未利用熱の相対的な価値、Tpは拠点に流入する熱媒のポテンシャル温度、Tuは拠点から排出される熱媒のポテンシャル温度、Quは拠点における排熱量または採熱量(kW)、Qpは拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量(kW)である。
【0080】
なお、上述した未利用熱の絶対的な価値Cfaおよび相対的な価値Cfrの算出方法は、一例であり、例えば、未利用熱の絶対的な価値Cfaをどの程度の金額に設定するのか、また、当該熱売買支援装置1の担当エリアにおける排熱と採熱のバランスの関係から各拠点における相対的な価値をどの程度の金額に設定するのかについては、熱融通を運用する者が任意に決定することができ、運用に則して具体的な数式を用いることとすればよい。
【0081】
熱料金算出部13bは、上述した未利用熱単価を算出するための演算式を予め保有しており、まず、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル温度およびポテンシャル熱量、ならびに、外部サーバなどから受信した外部気温などに基づいて、各拠点30における未利用熱単価を算出する。
続いて、熱料金算出部13bは、次時刻における排熱の拠点数および採熱の拠点数を第2記憶部14から取得し、多い方を課金対象に、少ない方を買い取り対象とする。ここで、次時刻とは、現在から上記最少時間単位後の時刻を意味する。そして、算出した未利用熱単価と課金または買い取りの情報とが関連付けられた情報を各拠点に割り当てられている識別情報と対応付けて熱融通成立判定部13cおよび表示制御部13dに出力する。
【0082】
熱融通成立判定部13cは、拠点毎に、ポテンシャル算出部13aによって算出された現在のポテンシャル温度と第2記憶部14に格納されている次時刻の要求ポテンシャル温度の条件とを比較し、現在のポテンシャル温度が要求ポテンシャル温度の条件を満たすか否かを判定する。
【0083】
更に、熱融通成立判定部13cは、拠点毎に、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル熱量と第2記憶部14に格納されている次時刻の要求ポテンシャル熱量の条件とを比較し、現在におけるポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たすか否かを判定する。
【0084】
判定の結果、いずれかの上記条件を満たしていなかった場合には、熱融通不成立であると判定する。一方、両方の条件を満たしていた場合には、すなわち、現在のポテンシャル温度が要求ポテンシャル温度の条件を満たし、かつ、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしていた場合には、続いて、次時刻における希望熱利用単価と熱単価算出部13bによって算出された未利用熱単価とを比較し、熱融通の成否を判定する。すなわち、課金対象の拠点については、未利用熱単価が希望熱利用単価よりも下回っていれば、熱融通成立であると判定する。また、買い取り対象の拠点については、各拠点は課金のつもりで考えていたところ、周囲の熱利用バランスから買い取りと判断され、料金が支払われる側に転じることとなるので、当該拠点の損失は発生しないとして、自動的に熱融通成立であると判定する。
熱融通成立判定部13cは、この判定結果を拠点30の識別情報に対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0085】
表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aによって算出された各拠点30のポテンシャル熱量に関する情報を視覚化した第1表示情報を作成する機能や、各拠点における熱媒利用の情報などを視覚化した第2表示情報を作成する機能を有している。
【0086】
具体的には、表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aによって算出された各拠点30における現在のポテンシャル熱量が示された「現在のポテンシャル熱量分布」および第2記憶部14に格納されている次時刻における各拠点の要求ポテンシャル熱量が示された「次時刻のポテンシャル熱量分布」ならびに現在のポテンシャル熱量分布と次時刻のポテンシャル熱量分布とを加算した「熱融通成立分布」を第1表示情報として作成する。
【0087】
図7は、第1表示情報の一例を示した図である。図7において、上段は現在のポテンシャル熱量分布であり、ポテンシャル算出部13aによって算出された最新のポテンシャル熱量が各拠点と対応付けられて表わされる。図7では、ポテンシャル熱量を山の高さで表わしており、山が高いほどポテンシャル熱量が高くなっている。中段は「要求ポテンシャル熱量分布」であり、採熱が谷、排熱が山で示されている。
【0088】
下段は、「熱融通成立分布」であり、「現在のポテンシャル熱量分布」と「次時刻の要求ポテンシャル熱量分布」とを加算した分布となっている。この分布において、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしている拠点については、ポテンシャル熱量が山で表わされ、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしていない拠点については、ポテンシャル熱量が谷で表わされている。作成された第1表示情報は所定のURLに対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0089】
また、表示処理部13dは、第1記憶部11から熱媒系統の基本フレームを読み出し、読み出した基本フレーム上に示された各拠点30に、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度を関連付けて表示することにより、熱媒系統図を作成する。更に、表示処理部13dは、作成した熱媒系統図に、熱料金算出部13bから入力された各拠点における未利用熱単価および課金または買い取りの情報を付加することにより第2表示情報を作成する。
【0090】
図8は、ある拠点における第2表示情報の一例を示した図である。第2表示情報は、各拠点30に採熱量または排熱量が数値として表示されている。また、採熱か排熱かは矢印の方向によって表わされ、拠点30に向けて矢印が表示されている箇所は採熱が、拠点30から熱媒系統へ向けて矢印が表示されている箇所は排熱が行われている。また、採熱量または排熱量に応じて矢印の太さが変えられている。また、熱媒系統を流通する熱媒温度については、色で表わされている。図8では、温度を複数の温度帯に分割し、各温度帯にそれぞれ異なる色が割り当てられている。熱媒温度は、各拠点30に流入する温度および排出される温度に基づいて決定される。更に、熱媒系統図の左上には、当該拠点における未利用熱単価および課金または買い取りの情報が表示されている。作成された第2表示情報は、各拠点30に対応して割り付けられたURLに対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0091】
そして、クライアント端末3がWEB上の当該URLにアクセスすることにより、第2記憶部14に格納されている第1表示情報および第2表示情報が第2通信部15によってクライアント端末3に送信される。このとき、熱融通成立判定部13cによって判定された熱融通成立、不成立の情報も第2表示情報に付加されてクライアント端末3に送信される。これにより、クライアント端末3の表示装置5には、図7および図8に示したような第1表示情報、第2表示情報、熱融通成立の可否の判定結果が表示されることとなる。
【0092】
次に、上記構成を備える熱融通支援システムの動作について説明する。
まず、熱利用を行うに当たり、熱利用を所望する各拠点の利用者は、クライアント端末3を操作することにより、表示装置5に熱融通利用サイトを表示させ、このサイトから排熱または採熱、要求ポテンシャル温度、要求ポテンシャル熱量、利用時間、希望熱利用単価などの情報を入力し、送信操作を行う。これにより、入力された各種熱利用の条件に関する情報が熱売買支援装置1へ送信され、各拠点の識別情報と対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0093】
また、各拠点30における熱源機の採熱量および採熱前後の熱媒温度または排熱量および排熱前後の熱媒温度が各熱源機の制御基板において取得・算出され、これらの情報が通信装置2に送られる。通信装置2は、入力された情報を当該拠点30の識別情報と対応付けて熱売買支援装置1へ送信する。
【0094】
熱売買支援装置1においては、第1通信部12によって通信装置2から送信された拠点30の識別情報とこの拠点30における熱源機の採熱量および採熱前後の熱媒温度または排熱量および排熱前後の熱媒温度が受信され、この情報がポテンシャル算出部13a、熱料金算出部13bおよび表示処理部13dに出力される。
【0095】
ポテンシャル算出部13aは、各拠点30の通信装置2から受信した情報などに基づいて、上述した(5)式から(7)式を用いて各拠点30における現在のポテンシャル温度とポテンシャル熱量とを算出し、算出結果を熱単価算出部13b、熱融通成立判定部13cおよび表示処理部13dに出力する。
【0096】
熱料金算出部13bは、各拠点30から受信した情報、ポテンシャル算出部13aにより算出されたポテンシャル温度およびポテンシャル熱量、および外部の所定サーバなどから受信した外気温などに基づいて、自身が保有する演算式(例えば、上述した(10)式から(13)式など)を用いて拠点毎に未利用熱単価を算出し、算出した未利用熱単価に課金か買い取りかを示す情報を付加して熱融通成立判定部13cおよび表示処理部13dに出力する。
【0097】
熱融通成立判定部13cは、ポテンシャル算出部13aからポテンシャル温度およびポテンシャル熱量が入力されると、第2記憶部14に格納されている次時刻における各拠点の要求ポテンシャル温度および要求ポテンシャル熱量ならびに希望熱利用単価を読み出す。そして、これらの情報に基づいて熱融通の成立の可否を判定し、判定結果を各拠点30の識別情報に対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0098】
表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aから各拠点30のポテンシャル熱量が入力されると、第2記憶部14に格納されている次時刻における要求ポテンシャル熱量の情報を読み出し、これらの情報に基づいて第1表示情報を作成し、これを所定のURLに対応付けて第2記憶部14に格納する。
また、表示処理部13dは、熱料金算出部13bから各拠点30の未利用熱単価および課金または買い取りの情報が入力されると、第1記憶部11に格納されている熱媒系統の基本フレームを読み出し、基本フレーム上に表示されている各拠点30の場所に、第1通信部12から入力された各拠点30の排熱量または採熱量などを反映させて熱媒系統図を作成するとともに、この熱媒系統図に熱料金算出部13bから入力された各拠点30の未利用熱単価および課金または買い取りの情報を付加した第2表示情報を拠点毎に作成し、これを各拠点30のURLに対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0099】
なお、第2記憶部14において、すでに各拠点30のURLに対応付けて第2表示情報が格納されている場合には、表示処理部13dは、第2記憶部14に格納されている熱媒系統図における各拠点30の熱利用に関する情報および未利用熱単価および課金または買い取りの情報を更新する処理を行えばよい。
そして、各拠点30における上記の如き処理が、所定の時間間隔で行われることにより、各拠点30における最新の熱利用の情報が反映された第1表示情報および第2表示情報が作成され、第2記憶部14に格納される。
【0100】
そして、クライアント端末3から自身に割り当てられているWEBサーバ上のURLにアクセスすることにより、第2記憶部14に格納されている当該拠点における最新の第1表示情報および第2表示情報が第2通信部15を介してクライアント端末3へ送信され、クライアント端末3の表示装置5に表示されることとなる。
【0101】
また、このとき、熱融通が成立していない拠点については、熱融通が成立しなかった理由を通知し、その場合でも熱融通の開始を希望するか否かを問い合わせることとしてもよい。
例えば、未利用熱単価が希望熱利用単価を上回ったことにより、熱融通が成立しなかったと判断された場合には、未利用熱単価と希望熱利用単価の両方の金額を提示するとともに、未利用熱単価が利用者の希望に合致しなかったために熱融通が開始されなかった旨を提示する。更に、現在の未利用熱単価で熱利用を開始するか否かを利用者に問い合わせる。この結果、利用者から現在の未利用熱単価で熱融通を希望する旨の情報がクライアント端末3から入力され、その情報が熱売買支援装置1に送信された場合には、熱売買支援装置1は熱融通が成立したと判断する。
【0102】
以上説明してきたように、本実施形態に係る熱売買支援装置1および熱売買支援システムによれば、次の効果を奏する。
未利用熱単価を絶対的価値と相対的価値との両方の観点から算出するので、採熱および排熱の需給バランスや外部気温などが考慮された未利用熱単価を各拠点に提示することが可能となる。
【0103】
所定の温度を基準としたときの熱媒の価値を数値化したパラメータである熱媒のポテンシャルを用いて、各拠点における未利用熱単価を決定するので、熱媒からの採熱および熱媒への排熱の両方の利用態様が存在する熱融通において、これらの利用態様によらずに、各拠点における未利用熱単価を算出することが可能となる。
【0104】
各拠点30で行われている熱利用の状況ならびに熱媒の温度が表示された熱媒系統図に、各拠点における未利用熱単価が付加された表示画面をクライアント端末3の表示装置5に表示させるので、熱売買支援装置1の担当区域における熱融通の様子を可視化してユーザに提示することができる。この結果、ユーザはこの表示画面を確認することにより、未利用熱単価および他の拠点における熱利用の状況を考慮に入れた自身の拠点の熱利用の調整や、今後における熱利用のスケジューリングを行うことが可能となる。
【0105】
予め設定されている希望未利用熱単価と現在の未利用熱単価とを比較することにより、次時刻における熱融通の成立の可否を判定し、更に、この判定結果が各拠点30のクライアント端末3へ送信可能な構成とされているので、各拠点30では、熱融通成立の可否を確認することが可能となる。
【0106】
なお、本実施形態では、採熱および排熱のうち、クライアント需要が多い方を課金扱いとし、クライアント需要が少ない方から熱を買い取る仕組みを採用したが、これに代えて、いずれの場合も課金対象とすることとしてもよい。この場合、クライアント需要が少なく、熱の価値が高いと判断された拠点については、未利用熱単価をゼロ円あるいは低価格に設定する。
【0107】
更に、熱の買い取りの場合においても、上述した課金の場合と同様に、希望単価に応じて熱を売りを開始させるか否かを判定することとしてもよい。この場合、例えば、各拠点は、熱を売る期間と希望熱買取単価とを対応付けて入力し、この情報を熱売買支援装置1へ送信することで登録する。登録されたこれらの情報は、熱売買支援装置1の第2記憶部14に格納される。そして、熱売買支援装置1は、熱を売る期間が開始された場合に、熱料金算出部13bによって算出された熱の買取単価と希望熱買取単価とを比較し、熱の買取単価が希望熱買取単価を上回っている場合に、熱利用(熱の買い取り)を開始させ、熱利用が開始されたことを拠点のクライアント端末3に通知する。一方、熱の買取単価が希望熱買取単価を下回る場合には、熱利用を開始せずに、熱利用が開始されなかった旨をクライアント端末3に対して通知する。
【0108】
また、本実施形態においては、熱料金算出部13bが未利用熱単価のみを算出する場合について説明したが、例えば、クライアント端末3からの要求などに応じて、各拠点における課金情報を算出し、この課金情報と未利用熱単価とが付加された熱媒系統図をクライアント端末3に提供することとしてもよい。
【0109】
課金情報は、例えば、以下の(14)式で与えられる。
【0110】
Cqu=Cf×Q=Cfa×Cfr×Q (14)
【0111】
(14)式において、Cquは課金情報、Cfは未利用熱単価、Qは未利用熱利用量(kW)である。
【0112】
また、本実施形態では、次時刻における要求ポテンシャル熱量や要求ポテンシャル温度がクライアント端末3から設定され、第2記憶部14に格納されている場合について述べたが、次時刻における要求ポテンシャル熱量および要求ポテンシャル温度を過去の利用実績から推定し、推定したこれらの情報を用いて熱融通の成立の可否を判定することとしてもよい。このようにすることで、例えば、次時刻の要求ポテンシャルが登録されていない場合でも熱融通の成立の可否を判定することができ、また、ユーザによるこれらの情報の登録操作を不要とすることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態では、熱売買支援装置1が第1表示情報と第2表示情報とをクライアント端末3に送信することとしたが、これらに加えて、以下のような情報をクライアント端末3に送信することとしてもよい。
【0114】
〔システム系統図〕
例えば、図9に示すように、拠点30の設備におけるシステム系統図を送信し、クライアント端末3の表示装置5に表示可能としてもよい。この場合、上述した第2表示情報と当該システム系統図とを表示切替可能としてもよい。システム系統図では、例えば、熱媒流通路40からの熱のくみ上げも含めた系統図とする。図9では、一例として、状態態量と熱料金単価とを表示している。
【0115】
状態量としては、流入する熱媒のポテンシャル、システム内の各計測点における状態量、排熱または採熱量、現時刻のポテンシャルに対する下水利用熱量の割合、システムの性能などが挙げられる。流入する熱媒のポテンシャルとしては、ポテンシャル温度、ポテンシャル流量、ポテンシャル熱量などが挙げられる。
システム内の各計測点は、通常、システムを運用する上で必要項目に関する計測点が予め設定されているので、それらの計測点の状態量を表示する。これらの一例としては、温度、流量の計測結果が挙げられる。
システムの性能としては、例えば、熱源機COP、システムCOPなどが挙げられる。
【0116】
上記計測点における計測結果およびシステムの性能の情報は、例えば、各拠点30の通信装置2から熱売買支援装置1へ送信される熱利用に関する情報に含めることとし、これらの情報を用いて図9に示したような表示情報を作成すればよい。また、各拠点30におけるシステム系統の基本フレームに関する情報などは、予め拠点30から取得して熱売買支援装置1が備える所定の記憶部(例えば、第1記憶部)に格納しておけばよい。
また、その他の情報についても、熱売買支援装置1が有する情報を用いて演算処理をすれば容易に求めることが可能である。
【0117】
〔過去の熱利用実績〕
過去の利用実績をクライアント端末3に送信することとしてもよい。過去の利用実績の一例としては、未利用熱の利用熱量および料金、熱料金単価、製造熱量、電力消費量、システム性能などが挙げられる。
ここで、製造熱量とは、熱源機側(一次側)が建物側(二次側)の熱需要に対して出力する熱量をいう。例えば、冷房の場合、建物側の冷房負荷(室内の熱を除去するのに必要な熱需要)に対して熱源機が製造する熱量をいう。
【0118】
未利用熱の利用熱量および料金については、月毎、日毎、時間毎を棒グラフで表示するようにしてもよい。熱料金単価については、例えば、単価の変動を折れ線グラフで表示してもよい。このとき、流入する未利用熱の温度と熱料金単価とを同時に表示することとしてもよい。また、これらの情報に、外気温度を加えてもよく、例えば、上記熱料金単価の棒グラフに一緒に表示することとしてもよい。外気温度は、上述したように、熱料金単価を決定する上で重要な要素となるため、拠点30において熱利用に関するスケジュールを立てるときに、有利な情報となる。
【0119】
製造熱量は、月毎、日毎、時間毎に棒グラフで表示するようにしてもよい。製造熱量のうち、未利用熱を利用して製造した熱量、それ以外、例えば、拠点30が有する設備の他の熱源の利用、外部の熱供給施設の利用を色分けして表示することとしてもよい。
この製造熱量に関する情報は、例えば、拠点の通信装置2から所定の時間間隔で受信することとし、受信した情報を用いることとすればよい。
【0120】
電力消費量は、月毎、日毎、時間毎を棒グラフで表示することとしてもよい。
電力消費量については、例えば、電力消費を管理する外部システムから所定のネットワークを介して熱売買支援装置1が取得して、用いることとすればよい。
【0121】
システム性能については、例えば、熱源機COP、補機も含めたシステムCOPの変動を折れ線グラフで表示することとすればよい。この場合、例えば、月毎、日毎、時間毎に表示することとしてもよい。また、システムの状態も合わせて表示することとしてもよい。図10に、ターボ冷凍機を対象としたシステム性能の表示例を示す。図10では、日毎の冷水出口温度、冷水流量比、冷却水入口温度、冷却水出口温度、熱源機COP、冷凍機負荷率を表示している。
【0122】
〔拠点に対する運用サポート〕
過去のデータから拠点における熱料金単価設定など、拠点における熱利用の運用サポートに役立つ情報を提供することとしてもよい。
例えば、流入ポテンシャルと要求ポテンシャルとの比較情報を提供する。これは、例えば、月毎、日毎、時間毎に、流入するポテンシャルと要求ポテンシャルとを折れ線グラフで表示する。これにより、表示画面を確認したユーザは、熱融通の成立しやすい時期や時間帯を把握することができる。このとき、特に重要な項目としては、ポテンシャル温度、ポテンシャル流量、ポテンシャル熱量となる。また、これらの情報とともに、外気温度、製造熱量などを表示することとしてもよい。
【0123】
図11にポテンシャル熱量についての比較情報の一例を示す。図11において、横軸は時間、縦軸はポテンシャル熱量である。図11の例では、時刻12時から24時において、要求ポテンシャル熱量が流入ポテンシャル熱量を上回っているため、熱融通が成立しなかったことがわかる。拠点のユーザは、この表示情報を確認することにより、ポテンシャル熱量の傾向を把握することができ、熱利用の時間帯などを検討することができる。
【0124】
また、行政等が所有する熱供給公社などの外部設備から既に所望の温度に制御された熱媒を利用する場合と、温度が不安定な未利用熱を拠点において所望の温度とした後に、これを熱媒として利用する場合の両方が可能な拠点については、熱供給公社などの外部設備により設定された熱供給単価と、未利用熱を利用して所望の温度の熱媒を製造した場合の熱製造単価(=未利用熱単価+拠点の系統において、単位当たりの未利用熱を用いて熱媒(例えば、ターボ冷凍機の場合には冷水が当たる)を所望の温度にするのに必要とされる費用)とを比較した情報を提供することとしてもよい。
【0125】
拠点30の利用者は、表示画面を確認することにより、外部設備からの供給熱量と未利用熱からの供給熱量との比率を調整することが可能となる。すなわち、図12に示すように、熱製造単価が熱供給単価を上回っている場合には、外部設備からの熱供給を優先させ、熱製造単価が熱供給単価を下回っている場合には、未利用熱を利用することを優先させる。これにより、コスト削減を図ることができる。このように、未利用熱単価によって、システムの利用比率を検討することが可能となる。
【0126】
更に、製造熱量実績値と未利用熱の利用による製造可能熱量の比較情報を提供することとしてもよい。例えば、図13に示すように時間毎に製造熱量実績値と製造可能熱量とを比較して表示する。このとき、拠点の設備の最大製造可能熱量を上限とする。1日のうち、給湯、暖房、冷房の熱需要や未利用熱の利用による製造可能熱量はそれぞれ変動する。このため、製造可能熱量が需要を上回る時間帯で蓄熱を行い、製造可能熱量が需要を下回る時間帯における熱量を補うという手法を拠点の利用者に提案することが可能となる。
【0127】
製造可能熱量の算出は、拠点に流入した熱媒のポテンシャル、拠点が備える熱源設備の各計測データを用いて求められる。
例えば、熱源設備が給湯の場合には、加熱能力から最大加熱能力の間のある加熱能力に対して、熱源水温度と予め設定されている機器特性から採熱量を算出する。算出された採熱量が、拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量よりも小さければ熱融通が成立するため、このときの加熱能力を製造可能熱量とする。
【0128】
熱源設備が冷凍機の場合には、ある時刻における冷凍能力から定格冷凍能力の間のある冷凍能力に対して、冷却水温度と予め設定されている機器特性から排熱量を算出する。算出された排熱量と拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量とを比較し、熱融通が成立すれば、このときの冷凍能力を製造可能熱量とする。これを式に表わすと以下の(15)式で表わされる。
【0129】
Qu´=F(Q´,T) (15)
【0130】
上記(15)式において、Qu´はある時刻における製造可能熱量における排熱量または採熱量(kW)、Q´は当該時刻における製造可能熱量、Tは当該時刻の熱源水または冷却水温度(℃)である。
【符号の説明】
【0131】
1 熱売買支援装置
2 通信装置
3 クライアント端末
4 WEBサーバ
5 表示装置
11 第1記憶部
12 第1通信部
13 処理部
13a ポテンシャル算出部
13b 熱料金算出部
13c 熱融通成立判定部
13d 表示処理部
14 第2記憶部
15 第2通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱売買支援装置および熱売買支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場プロセスや空調など様々な用途において、ある熱媒への排熱や、熱媒からの採熱が行われる。排熱、採熱される熱の温度や量は様々であり、最近ではある地点で排熱した熱を別の地点で採熱するなどして、熱を有効利用する「熱融通」という考え方が提案され、注目されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、工場や地域などの域内で発生した熱を相互に補完するようにエンドループを形成し、複数の地点における熱の有効利用を可能とする技術が開示されている。
このような熱融通は、工場程度の規模から都市のような大規模な場合もあり、規模は様々である。
また、近年、都市などでは、下水処理水や下水などの下水熱を用いた熱融通が期待されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/065034号
【特許文献2】特開2008−241226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
将来、上記のような熱融通が導入された場合、電気や水道と同じように利用量に即した課金を行ったり、全体の熱量バランスを保つために熱を投入したユーザには利益を還元したりすることが予想される。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱融通において、逐次変化する排熱および採熱の利用状況に応じた熱利用単価を決定することの可能な熱売買支援装置および熱売買支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、熱利用を行う複数の拠点間を熱媒が流通する熱媒流通路で接続し、各前記拠点において熱媒からの採熱または熱媒への排熱を可能とした熱媒系統に適用される熱売買支援装置であって、前記拠点のそれぞれに設けられた通信装置から所定の時間間隔で各前記拠点における熱利用に関する情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された各前記拠点における熱利用に関する情報および外気条件を用いて、各拠点における熱媒の単価を算出する熱料金算出手段と、前記熱料金算出手段によって算出された単価を各前記拠点のクライアント端末に送信する送信手段とを具備する熱売買支援装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、各拠点から所定の時間間隔で送信されてくる熱利用の状況および外気条件に基づいて各拠点における熱媒の単価が算出される。これにより、逐次変化する各拠点における熱利用の状況および外気条件を加味した熱媒の単価を算出することが可能となる。
【0008】
上記熱売買支援装置において、前記熱媒系統を可視化した基本フレームが記憶されている第1記憶手段と、前記第1記憶手段から読み出した前記基本フレーム上に、前記拠点の熱利用に関する情報を表示した熱媒系統図を作成するとともに、該熱媒系統図に各拠点における前記熱媒の単価を表示した表示情報を前記拠点毎に作成する表示処理手段とを有し、前記送信手段は、前記表示情報を対応するそれぞれの前記拠点の前記クライアント端末に送信することとしてもよい。
【0009】
このような構成によれば、各拠点で行われている熱利用の状況が可視化された熱媒系統図に、各拠点における熱媒の単価が付加された表示画面をクライアント端末に表示させることが可能となる。これにより、熱媒の単価だけでなく、当該拠点ならびに周辺地域における他の拠点の熱利用状況をユーザに提示することが可能となる。
【0010】
上記熱売買支援装置において、前記熱料金算出手段は、熱利用を行う複数の前記拠点における熱利用の状況に応じて変化する熱の相対的な価値を算出するための演算要素を含む算出式を保有しており、該算出式を用いて前記熱媒の単価を算出することとしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、熱利用を行う複数の拠点における熱利用の状況に応じて各拠点における熱媒の単価が相対的に決定される。これにより、周囲の拠点の熱利用バランスを考慮して熱媒の単価が決定される。
【0012】
上記熱売買支援装置において、前記拠点における熱利用のスケジューリング情報が格納されている第2記憶手段を有し、前記熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれており、前記熱料金算出手段は、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と採熱希望の拠点数とを前記第2記憶手段に格納されている情報から取得し、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点を課金対象とし、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点を買取対象とすることとしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、拠点における熱利用のスケジューリング情報が第2記憶手段に格納される。熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれている。熱量金算出手段により、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と、採熱希望の拠点数とが第2記憶手段に格納されている各拠点の熱利用のスケジューリング情報から取得され、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点が課金対象とされ、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点が買取対象とされる。
【0014】
上記熱売買支援装置において、前記算出式は、前記拠点に流入した熱媒の温度と該拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がるように構成されており、前記課金対象の場合も前記買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出されることとしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、拠点に流入した熱媒の温度と拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がることとなる。また、課金対象の場合も買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出される。したがって、例えば、排熱が課金対象、採熱が買取対象とされている場合には、流入された熱媒の温度に対して排出した熱媒の温度が高くなるほど課金される熱媒の単価が上がり、流入された熱媒の温度に対して排出した熱媒の温度が低くなるほど、買い取りの熱媒単価が上がることとなる。
【0016】
上記熱売買支援装置において、前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱利用単価が含まれており、前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱利用単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱利用単価以下であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備えることとしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第2記憶手段に格納されている熱利用のスケジュール情報には、拠点が希望する希望熱利用単価が含まれている。熱融通成立判定手段により、熱料金算出手段が算出した拠点の熱媒の単価と当該拠点の熱利用のスケジュール情報に含まれている対応する希望熱利用単価とが比較され、熱媒の単価が希望熱利用単価以下であれば熱融通成立と判定される。
【0018】
上記熱売買支援装置において、前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱買取単価が含まれており、前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱買取単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱買取単価以上であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備えることとしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、第2記憶手段に格納されている熱利用のスケジュール情報には、拠点が希望する希望熱買取単価が含まれている。熱融通成立判定手段により、熱料金算出手段が算出した拠点の熱媒の単価と当該拠点の熱利用のスケジュール情報に含まれている対応する希望熱買取単価とが比較され、熱媒の単価が希望熱買取単価以上であれば熱融通成立と判定される。
【0020】
上記熱売買支援装置において、前記熱料金算出手段は、算出した熱媒の単価に各前記拠点における熱媒の利用量を乗算することにより、熱媒利用料金を算出し、前記送信手段は、前記熱媒利用料金を前記クライアント端末に送信することとしてもよい。
【0021】
このような構成によれば、各拠点における排熱および採熱の利用状況から評価された熱媒の単価が反映された熱媒利用料金をクライアント端末の利用者に提示することが可能となる。
【0022】
本発明は、上記いずれかの熱売買支援装置と、複数の前記拠点のそれぞれに設けられ、前記熱売買支援装置に対して当該拠点における熱利用の情報を送信する複数の通信装置と、前記熱売買支援装置と通信ネットワークを介して接続され、前記熱売買支援装置から受信した情報を表示可能な表示手段を備えるクライアント端末とを具備する熱売買支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熱融通において、逐次変化する排熱および採熱の利用状況に応じた熱利用単価を決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】熱融通を概念的に示した図である。
【図2】熱媒のポテンシャルの概念について説明するための図である。
【図3】拠点におけるポテンシャル温度およびポテンシャル熱量の算出手法について説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る熱売買支援システムの全体概略構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る熱売買支援装置が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図6】図5に示した処理部が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図7】表示処理部によって作成される第1表示情報の一例を示した図である。
【図8】表示処理部によって作成される第2表示情報の一例を示した図である。
【図9】クライアント端末の表示装置に表示されるシステム系統図の一例を示した図である。
【図10】ターボ冷凍機を対象としたシステム性能を示すグラフの表示例を示した図である。
【図11】ポテンシャル熱量を比較して示した表示例を示した図である。
【図12】外部の熱供給会社により設定された熱供給単価と未利用熱単価との比較例を示した表示例を示した図である。
【図13】製造熱量実績値と製造可能熱量との比較例を示した表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る熱売買支援装置および熱売買支援システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、熱融通および熱融通における熱需要による熱の価値を概念的に示した図である。図1に示すように、熱の授受が行われる複数の拠点30が点在しており、拠点30間は熱媒が流通する熱媒流通路40によって接続されている。拠点30は、例えば、ヒートポンプや冷凍機などの熱源機が設置されている場所であり、熱の授受が行われる場所である。図1において、熱媒流通路40に向けて矢印が描かれている拠点30は排熱が行われている拠点であり、熱媒流通路40から拠点30に向けて矢印が描かれている拠点30は採熱が行われている拠点である。
【0026】
図1に示されるように、ある拠点30において排熱されることにより温められた熱媒が他の拠点30において熱源として用いられることにより熱の再利用が行われ、ある拠点30において採熱されることにより冷やされた熱媒が他の拠点30において冷却源として用いられることにより熱の再利用が行われていることがわかる。このような熱融通が行われることにより、エネルギ効率を高めている。また、図1では、熱媒流通路40は閉ループとして表わされており、熱利用が行われながら熱媒が循環していることがわかる。
上記熱融通の一例としては、下水道熱の供給が挙げられる。このような場合、熱融通は、例えば、都市等の下水道局等により運営される。
【0027】
本実施形態における熱売買支援装置は、上記のような熱媒流通路40に接続された各拠点30における熱利用の状況に応じて熱媒の利用単価を決定し、決定した単価に基づいて各拠点における熱利用量に応じた課金を支援する装置である。
【0028】
本実施形態においては、例えば、以下に説明する熱媒のポテンシャルに基づいて熱媒の利用単価を決定する。
図2は、熱媒流通路40を流通する熱媒のポテンシャルの概念について説明するための図である。図2に示すように、熱媒が流通する熱媒流通路40のある最小区間について考えると、この最小区間を出入りする熱媒は、以下の表1に示すような状態量を持っている。
【0029】
【表1】
【0030】
最小区間の入口状態量から算出されるものがその熱媒のポテンシャルであり、区間出口までに外部からの入熱や外部への放熱が行われれば、次の区間の入口における熱媒のポテンシャルは変化する。外部からの入熱や放熱は、新たな熱媒が直接流れ込んでくる場合のほか、熱媒が移動する管路と外部の温度差による伝熱などによりなされる。
【0031】
例えば、熱媒の熱量に関するポテンシャルであるポテンシャル熱量は、入口における状態量を用いて以下の(1)式で表わされる。ここで、熱融通における熱媒の利用は、採熱と放熱とがあるが、本実施形態では、基準温度を設け、この基準温度に対する熱の価値を数値化することで、利用態様によらずに、統一した基準による熱媒の価値の評価を可能としている。基準温度は、任意に設定可能であるが、本実施形態では、一例として0℃に設定している。また、基準温度は常に一定でなくてもよく、例えば、外気温度のように変化する値を用いることとしてもよい。
【0032】
Q1=v1×A1×ρ1×C1×(T1−TS) (1)
【0033】
(1)式において、Q1は最小区間入口における熱量(kW)、v1は最小区間入口における平均流速(m/s)、A1は最小区間入口の管断面積(m2)、ρ1は最小区間入口における密度(kg/m3)、C1は比熱(kJ/kg・K)、T1は最小区間入口における温度(℃)、TSは基準温度(℃)、すなわち、0℃である。
【0034】
入熱や放熱は、直接流れこんでくる場合には以下の(2)式、管路を通じての熱伝導は(3)式で表わされる。
熱伝導は、出入口の平均外周長さと区間長さの積を伝熱面積とし、伝熱は出入口の平均温度と外部の温度差としている。
【0035】
q=vG×AG×ρG×CG×(TG−TS) (2)
q=(Lr1+Lr2)/2×L×{(T1−T2)/2−TG}×λ (3)
【0036】
(2)式において、vG,AG,ρG,CG,TGは、それぞれ外部における平均流速(m/s)、管断面積(m2)、密度(kg/m3)、比熱(kJ/kg・K)、温度(℃)である。(3)式において、Lr1は最小区間入口における外周長さ(m)、Lr2は最小区間出口における外周長さ(m)、Lは最小区間長さ(m)、T1は最小区間入口における温度(℃)、T2は最小区間出口における温度(℃)、λは熱伝導率(kW/m・K)である。
【0037】
上記から、最小単位出口におけるポテンシャル熱量は、以下の(4)式で表わされる。
【0038】
Q2=Q1+q (4)
【0039】
そして、この最小区間を連続的につなげていくと、ある領域内の各地点における熱媒のポテンシャルを算出することができる。
【0040】
熱媒のポテンシャルは、上記の表1に示したように、熱媒が有する各状態量において算出可能であるが、特に熱融通では、熱量に関する熱媒のポテンシャルであるポテンシャル熱量および温度に関する熱媒のポテンシャルであるポテンシャル温度が重要な項目となる。以下、図1に示した拠点30におけるポテンシャル温度およびポテンシャル熱量の算出手法の一例について、図3を参照して具体的に説明する。
【0041】
今、図3に示すように、隣接する2つの拠点Aと拠点Bについて考える。ここで、拠点Aは拠点Bの上流側に位置している。このとき、拠点Bにおける現在のポテンシャル温度は、以下の(5)式で求められる。
【0042】
TB=TBin−Ts (5)
【0043】
(5)式において、TBは拠点Bのポテンシャル温度(℃)、TBinは拠点Bの熱媒入口温度(℃)、Tsは基準温度(℃)、すなわち、0℃である。
【0044】
また、拠点Bにおけるポテンシャル熱量は、以下の(6)式で求められる。
【0045】
QPB=TB×FAB×C×γ/3600 (6)
【0046】
(6)式において、QPBは拠点Bが利用可能な熱媒のポテンシャル熱量(kW)、TBは拠点Bの現在のポテンシャル温度(℃)、FABは拠点Aと拠点Bとの間の熱媒流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
ここで、拠点Aと拠点Bとの間の熱媒流量FABは、熱媒流通路40に流量センサを設け、この流量センサによって測定された値を用いることとしてもよいが、各熱媒流通路40に流量センサを設けずに、以下の(7)式に示した演算式を用いて演算処理により推定することとしてもよい。
【0047】
FAB=QA/{(TAOUT−TAIN)×C×γ/3600 (7)
【0048】
(7)式において、QAは拠点Aの排熱量または採熱量(kW)、TAOUTは拠点Aの熱媒出口温度(℃)、TAINは拠点Aの熱媒入口温度(℃)である。
【0049】
上記のように、熱媒流通路40における各拠点のポテンシャル熱量の算出には、その拠点に隣接し、かつ、上流に位置する拠点の熱媒の利用に関する情報を用いればよい。また、拠点が複数の熱媒流通路40が合流する合流点の下流に位置していることから、隣接する上流の拠点が複数存在する場合には、それら複数の拠点における熱媒の利用に関する情報を用いればよい。更に、外部からの入熱や外部への放熱がある場合には、それらを考慮して、ポテンシャル熱量を算出すればよい。
【0050】
このように、各拠点におけるポテンシャル熱量の算出において、隣接する拠点における熱媒の利用に関する情報と当該拠点における熱媒入口温度を用いることにより、複雑な演算式を利用することなく、ポテンシャル熱量を算出することが可能となる。
【0051】
本実施形態に係る熱売買支援装置が適用される熱融通では、上述のように排熱と採熱の両方が行われる。夏季のように排熱が活発に行われるような期間においては、熱媒温度を下げる方向に機能する採熱を行う拠点は価値が高く、また、冬季のように採熱が活発に行われるような期間においては、熱媒温度を上げる方向に機能する排熱を行う拠点は価値が高い。そこで、このような採熱と排熱の需給バランスを考慮して、本実施形態に係る熱売買支援装置および熱売買支援システムでは、熱の需給バランスから、価値が高いと判断した拠点に対しては、課金ではなく、料金を支払う、すなわち、熱を買い取るという料金の仕組みを採用する。すなわち、採熱および排熱のうち、クライアント需要が多い方を課金扱いし、クライアント需要が少ない方から熱を買い取る仕組みを採用する。また、熱の単価を決定する際に、上述した熱媒のポテンシャルを用いている。
【0052】
図4は、本実施形態に係る熱売買支援システムの全体構成を示したブロック図である。熱売買支援システムは、熱売買支援装置1と、各拠点30に設置された通信装置2と、クライアント端末3とを備えている。
熱売買支援装置1と各拠点30に設置されている複数の通信装置2とは所定の通信ネットワーク6を介して接続されている。この通信ネットワーク6に関しては特に限定されない。熱売買支援装置1とクライアント端末3とは、所定の通信ネットワーク7、例えば、インターネットで接続されている。なお、通信ネットワーク6および通信ネットワーク7とは同一であってもよく、個別のネットワークであってもよい。
【0053】
各拠点30に設置された通信装置2は、その拠点30に設置されている熱源機による熱利用に関する情報を熱売買支援装置1に所定の時間間隔で送信する。熱利用に関する情報としては、例えば、排熱前後の温度および排熱量、または、採熱前後の温度および採熱量が一例として挙げられる。
【0054】
排熱量は、例えば、以下の(8)式にて求められる。
Q=(Tout−Tin)×F×C×γ/3600 (8)
(1)式において、Qは排熱量(kW)、Tinは熱源機の冷却水入口温度(℃)、Toutは熱源機の冷却水出口温度(℃)、Fは熱源機の冷却水流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
【0055】
採熱量は以下の(9)式にて求められる。
Q=(Tin−Tout)×F×C×γ/3600 (9)
(9)式において、Qは採熱量(kW)、Tinは熱源機の熱源水入口温度(℃)、Toutは熱源機の熱源水出口温度(℃)、Fは熱源機の熱源水流量(m3/h)、Cは比熱(kJ/kg・K)、γは比重(kg/m3)である。
【0056】
上記排熱量または採熱量の演算は、例えば、熱源機が備える制御基板などで行われ、算出結果が通信装置2に出力されるような構成とされている。
通信装置2は、各熱源機から通知された熱利用に関する情報を所定の時間間隔で通信ネットワーク6を介して熱売買支援装置1へ送信する。なお、複数の熱源機が設けられている拠点については、例えば、平均温度および各熱源機における熱量の合計が熱売買支援装置1へ送信される。
【0057】
熱売買支援装置1は、各拠点30に設置されている通信装置2から受信した熱媒の利用に関する情報に基づいて拠点毎にポテンシャル熱量およびポテンシャル温度を算出し、算出したポテンシャル熱量およびポテンシャル温度を用いて未利用熱単価(熱媒の単価)を算出し、この単価に基づいて各拠点において熱融通が成立するか否かを判定する機能を有している。更に、熱売買支援装置1は、各拠点30における熱利用の状況を可視化した熱媒系統図を作成する機能を備えている。熱売買支援装置1は、拠点毎に算出したポテンシャル熱量などの情報、未利用熱単価の情報、熱融通の成立の可否の情報、拠点毎に作成した表示情報などを各拠点30に提供する。
例えば、熱売買支援装置1は、WEBサーバ4を備えており、WEBサーバ4によりインターネットを通信媒体として各拠点のクライアント端末3に情報を提供する。
【0058】
クライアント端末3は、WEBブラウザを搭載したコンピュータであり、熱売買支援装置1からデータを取得し、表示装置5に表示する機能を有している。すなわち、クライアント端末3がWEBサーバ4の所定のURLにアクセスすることで、当該拠点30におけるポテンシャル熱量およびポテンシャル温度や、未利用熱単価が付加された熱媒系統図などを表示装置5に表示させることが可能となる。
【0059】
また、クライアント端末3は、例えば、各拠点30あるいは各拠点30における熱利用を管理・制御する管理設備内に設置されている。したがって、各拠点30の利用者は、表示装置5に現在の熱媒のポテンシャル、未利用熱単価、熱媒系統図などが表示されることにより、これらの情報を総合的に考慮した当該拠点における熱利用の調整や、将来の熱利用のスケジューリングを行うことができる。
【0060】
図5および図6は、熱売買支援装置1が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。図5に示すように、熱売買支援装置1は、第1記憶部11と、第1通信部(受信手段)12と、処理部13と、第2記憶部14と、第2通信部(送信手段)15とを備えている。
【0061】
第1記憶部11には、熱売買支援装置1の担当区域内に存在し、熱の授受が行われる複数の拠点30と、該拠点間をつなぐ熱媒流通路40を含む熱媒系統を示した基本フレームが記憶されている。本実施形態では、所定の担当区域として都市の一区域を想定し、熱媒流通路40として下水網を利用した場合の熱融通を想定している。
【0062】
第2記憶部14には、各拠点30によって登録された熱利用に関する各種条件が格納されている。具体的には、第2記憶部14には、採熱または排熱の情報、熱利用を行う際の要求ポテンシャル熱量と要求ポテンシャル温度の条件、および熱利用の利用時間が互いに対応付けられた第1情報が格納されている。更に、第2記憶部14には、熱利用を行う際の希望熱利用単価と利用時間とが対応付けられた第2情報が格納されている。
【0063】
上記要求ポテンシャル熱量と要求ポテンシャル温度の条件は、例えば、ある範囲をもって設定可能とされている。上記熱利用の利用時間、要求ポテンシャル熱量、要求ポテンシャル温度、希望熱利用単価は、予め設定された最少時間単位で、クライアント端末3から設定および更新可能とされている。例えば、上記第1情報や第2情報など、拠点側が必要事項の情報を設定するための熱融通利用サイトを熱売買支援装置1のWEBサーバ4がクライアント端末3の表示装置5に表示させ、この熱融通利用サイトを介して、拠点側から上記情報などを登録・変更できるようにする。拠点側にて入力された情報は、例えば、拠点の識別情報に対応付けられて第2記憶部15に格納される。
【0064】
第1通信部12は、通信装置2との通信インターフェースであり、第2通信部15はクライアント端末3との通信インターフェースである。なお、通信ネットワーク6と通信ネットワーク7とが同一の場合は、第1通信部12および第2通信部15とは共通化されてもよい。
【0065】
処理部13は、図6に示すように、ポテンシャル算出部13a、熱料金算出部(熱料金算出手段)13b、熱融通成立判定部(熱融通成立判定手段)13c、および表示処理部(表示処理手段)13dを備えている。
【0066】
ポテンシャル算出部13aは、第1通信部12により受信された各拠点30の採熱量および採熱前後の温度または排熱量および排熱前後の温度を用いて、各拠点30が利用可能な熱媒のポテンシャル、具体的には、ポテンシャル温度とポテンシャル熱量を算出し、この算出結果を熱料金算出部13b、熱融通成立判定部13c、および表示処理部13dに出力する。
具体的には、ポテンシャル算出部13aは、上述した(5)式から(7)式の演算式を保有しており、各拠点30におけるポテンシャル温度とポテンシャル熱量を算出する。算出手法については、上述した通りである。
【0067】
熱料金算出部13bは、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル温度とポテンシャル熱量、および外部気温などに基づいて、各拠点30における未利用熱単価を算出する。ここで、未利用熱とは、熱媒流通路40を流通する熱媒が持つ熱を意味し、未利用熱単価は未利用熱の単価を意味する。
【0068】
以下に、未利用熱単価について説明する。
未利用熱単価は、例えば、熱の絶対的な価値と熱の相対的な価値との2つの要素を考慮して算出される。
【0069】
未利用熱単価は、以下の(10)式のように、未利用熱の絶対的な価値と相対的な価値とを乗算した値として表わされる。
【0070】
Cf=Cfa×Cfr (10)
【0071】
(10)式において、Cfは未利用熱単価、Cfaは未利用熱の絶対的な価値、Cfrは未利用熱の相対的な価値である。
【0072】
未利用熱の絶対的な価値Cfaは、例えば、以下の(11)式で表現される。
【0073】
Cfa=f(To,Tu) (11)
【0074】
上記(11)式において、Toは外気温度(℃)、Tuは排熱または採熱の温度(℃)である。また、上記ToおよびTuに代えて、外気温度を基準としたポテンシャル温度を用いることとしてもよい。
【0075】
未利用熱の相対的な価値Cfrは、排熱と採熱の需給バランスから決定され、例えば、以下の(12)式で表現される。
【0076】
Cfr=f(Q´) (12)
【0077】
(12)式において、Cfrは未利用熱の相対的な価値、Q´は周囲の利用バランス(kW)である。
本実施形態では、熱融通の需給バランスに寄与する拠点における熱の単価を高く設定することとしている。例えば、採熱および排熱の温度と拠点に流入する熱媒の温度ポテンシャルとの差の絶対値が大きいほど周囲の拠点に及ぼす影響が大きい。したがって、周囲の拠点に及ぼす影響が大きいほど、未利用熱の相対的な価値を高く設定することとしてもよい。この場合、上記(12)式は、以下の(13)式のように表現できる。
【0078】
Cfr=f(|Tu−Tp|,|Qu/Qp|) (13)
【0079】
(13)式において、Cfrは未利用熱の相対的な価値、Tpは拠点に流入する熱媒のポテンシャル温度、Tuは拠点から排出される熱媒のポテンシャル温度、Quは拠点における排熱量または採熱量(kW)、Qpは拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量(kW)である。
【0080】
なお、上述した未利用熱の絶対的な価値Cfaおよび相対的な価値Cfrの算出方法は、一例であり、例えば、未利用熱の絶対的な価値Cfaをどの程度の金額に設定するのか、また、当該熱売買支援装置1の担当エリアにおける排熱と採熱のバランスの関係から各拠点における相対的な価値をどの程度の金額に設定するのかについては、熱融通を運用する者が任意に決定することができ、運用に則して具体的な数式を用いることとすればよい。
【0081】
熱料金算出部13bは、上述した未利用熱単価を算出するための演算式を予め保有しており、まず、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル温度およびポテンシャル熱量、ならびに、外部サーバなどから受信した外部気温などに基づいて、各拠点30における未利用熱単価を算出する。
続いて、熱料金算出部13bは、次時刻における排熱の拠点数および採熱の拠点数を第2記憶部14から取得し、多い方を課金対象に、少ない方を買い取り対象とする。ここで、次時刻とは、現在から上記最少時間単位後の時刻を意味する。そして、算出した未利用熱単価と課金または買い取りの情報とが関連付けられた情報を各拠点に割り当てられている識別情報と対応付けて熱融通成立判定部13cおよび表示制御部13dに出力する。
【0082】
熱融通成立判定部13cは、拠点毎に、ポテンシャル算出部13aによって算出された現在のポテンシャル温度と第2記憶部14に格納されている次時刻の要求ポテンシャル温度の条件とを比較し、現在のポテンシャル温度が要求ポテンシャル温度の条件を満たすか否かを判定する。
【0083】
更に、熱融通成立判定部13cは、拠点毎に、ポテンシャル算出部13aによって算出されたポテンシャル熱量と第2記憶部14に格納されている次時刻の要求ポテンシャル熱量の条件とを比較し、現在におけるポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たすか否かを判定する。
【0084】
判定の結果、いずれかの上記条件を満たしていなかった場合には、熱融通不成立であると判定する。一方、両方の条件を満たしていた場合には、すなわち、現在のポテンシャル温度が要求ポテンシャル温度の条件を満たし、かつ、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしていた場合には、続いて、次時刻における希望熱利用単価と熱単価算出部13bによって算出された未利用熱単価とを比較し、熱融通の成否を判定する。すなわち、課金対象の拠点については、未利用熱単価が希望熱利用単価よりも下回っていれば、熱融通成立であると判定する。また、買い取り対象の拠点については、各拠点は課金のつもりで考えていたところ、周囲の熱利用バランスから買い取りと判断され、料金が支払われる側に転じることとなるので、当該拠点の損失は発生しないとして、自動的に熱融通成立であると判定する。
熱融通成立判定部13cは、この判定結果を拠点30の識別情報に対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0085】
表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aによって算出された各拠点30のポテンシャル熱量に関する情報を視覚化した第1表示情報を作成する機能や、各拠点における熱媒利用の情報などを視覚化した第2表示情報を作成する機能を有している。
【0086】
具体的には、表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aによって算出された各拠点30における現在のポテンシャル熱量が示された「現在のポテンシャル熱量分布」および第2記憶部14に格納されている次時刻における各拠点の要求ポテンシャル熱量が示された「次時刻のポテンシャル熱量分布」ならびに現在のポテンシャル熱量分布と次時刻のポテンシャル熱量分布とを加算した「熱融通成立分布」を第1表示情報として作成する。
【0087】
図7は、第1表示情報の一例を示した図である。図7において、上段は現在のポテンシャル熱量分布であり、ポテンシャル算出部13aによって算出された最新のポテンシャル熱量が各拠点と対応付けられて表わされる。図7では、ポテンシャル熱量を山の高さで表わしており、山が高いほどポテンシャル熱量が高くなっている。中段は「要求ポテンシャル熱量分布」であり、採熱が谷、排熱が山で示されている。
【0088】
下段は、「熱融通成立分布」であり、「現在のポテンシャル熱量分布」と「次時刻の要求ポテンシャル熱量分布」とを加算した分布となっている。この分布において、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしている拠点については、ポテンシャル熱量が山で表わされ、現在のポテンシャル熱量が要求ポテンシャル熱量の条件を満たしていない拠点については、ポテンシャル熱量が谷で表わされている。作成された第1表示情報は所定のURLに対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0089】
また、表示処理部13dは、第1記憶部11から熱媒系統の基本フレームを読み出し、読み出した基本フレーム上に示された各拠点30に、第1通信部12により受信された各拠点30の排熱量または採熱量および熱媒温度を関連付けて表示することにより、熱媒系統図を作成する。更に、表示処理部13dは、作成した熱媒系統図に、熱料金算出部13bから入力された各拠点における未利用熱単価および課金または買い取りの情報を付加することにより第2表示情報を作成する。
【0090】
図8は、ある拠点における第2表示情報の一例を示した図である。第2表示情報は、各拠点30に採熱量または排熱量が数値として表示されている。また、採熱か排熱かは矢印の方向によって表わされ、拠点30に向けて矢印が表示されている箇所は採熱が、拠点30から熱媒系統へ向けて矢印が表示されている箇所は排熱が行われている。また、採熱量または排熱量に応じて矢印の太さが変えられている。また、熱媒系統を流通する熱媒温度については、色で表わされている。図8では、温度を複数の温度帯に分割し、各温度帯にそれぞれ異なる色が割り当てられている。熱媒温度は、各拠点30に流入する温度および排出される温度に基づいて決定される。更に、熱媒系統図の左上には、当該拠点における未利用熱単価および課金または買い取りの情報が表示されている。作成された第2表示情報は、各拠点30に対応して割り付けられたURLに対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0091】
そして、クライアント端末3がWEB上の当該URLにアクセスすることにより、第2記憶部14に格納されている第1表示情報および第2表示情報が第2通信部15によってクライアント端末3に送信される。このとき、熱融通成立判定部13cによって判定された熱融通成立、不成立の情報も第2表示情報に付加されてクライアント端末3に送信される。これにより、クライアント端末3の表示装置5には、図7および図8に示したような第1表示情報、第2表示情報、熱融通成立の可否の判定結果が表示されることとなる。
【0092】
次に、上記構成を備える熱融通支援システムの動作について説明する。
まず、熱利用を行うに当たり、熱利用を所望する各拠点の利用者は、クライアント端末3を操作することにより、表示装置5に熱融通利用サイトを表示させ、このサイトから排熱または採熱、要求ポテンシャル温度、要求ポテンシャル熱量、利用時間、希望熱利用単価などの情報を入力し、送信操作を行う。これにより、入力された各種熱利用の条件に関する情報が熱売買支援装置1へ送信され、各拠点の識別情報と対応付けられて第2記憶部14に格納される。
【0093】
また、各拠点30における熱源機の採熱量および採熱前後の熱媒温度または排熱量および排熱前後の熱媒温度が各熱源機の制御基板において取得・算出され、これらの情報が通信装置2に送られる。通信装置2は、入力された情報を当該拠点30の識別情報と対応付けて熱売買支援装置1へ送信する。
【0094】
熱売買支援装置1においては、第1通信部12によって通信装置2から送信された拠点30の識別情報とこの拠点30における熱源機の採熱量および採熱前後の熱媒温度または排熱量および排熱前後の熱媒温度が受信され、この情報がポテンシャル算出部13a、熱料金算出部13bおよび表示処理部13dに出力される。
【0095】
ポテンシャル算出部13aは、各拠点30の通信装置2から受信した情報などに基づいて、上述した(5)式から(7)式を用いて各拠点30における現在のポテンシャル温度とポテンシャル熱量とを算出し、算出結果を熱単価算出部13b、熱融通成立判定部13cおよび表示処理部13dに出力する。
【0096】
熱料金算出部13bは、各拠点30から受信した情報、ポテンシャル算出部13aにより算出されたポテンシャル温度およびポテンシャル熱量、および外部の所定サーバなどから受信した外気温などに基づいて、自身が保有する演算式(例えば、上述した(10)式から(13)式など)を用いて拠点毎に未利用熱単価を算出し、算出した未利用熱単価に課金か買い取りかを示す情報を付加して熱融通成立判定部13cおよび表示処理部13dに出力する。
【0097】
熱融通成立判定部13cは、ポテンシャル算出部13aからポテンシャル温度およびポテンシャル熱量が入力されると、第2記憶部14に格納されている次時刻における各拠点の要求ポテンシャル温度および要求ポテンシャル熱量ならびに希望熱利用単価を読み出す。そして、これらの情報に基づいて熱融通の成立の可否を判定し、判定結果を各拠点30の識別情報に対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0098】
表示処理部13dは、ポテンシャル算出部13aから各拠点30のポテンシャル熱量が入力されると、第2記憶部14に格納されている次時刻における要求ポテンシャル熱量の情報を読み出し、これらの情報に基づいて第1表示情報を作成し、これを所定のURLに対応付けて第2記憶部14に格納する。
また、表示処理部13dは、熱料金算出部13bから各拠点30の未利用熱単価および課金または買い取りの情報が入力されると、第1記憶部11に格納されている熱媒系統の基本フレームを読み出し、基本フレーム上に表示されている各拠点30の場所に、第1通信部12から入力された各拠点30の排熱量または採熱量などを反映させて熱媒系統図を作成するとともに、この熱媒系統図に熱料金算出部13bから入力された各拠点30の未利用熱単価および課金または買い取りの情報を付加した第2表示情報を拠点毎に作成し、これを各拠点30のURLに対応付けて第2記憶部14に格納する。
【0099】
なお、第2記憶部14において、すでに各拠点30のURLに対応付けて第2表示情報が格納されている場合には、表示処理部13dは、第2記憶部14に格納されている熱媒系統図における各拠点30の熱利用に関する情報および未利用熱単価および課金または買い取りの情報を更新する処理を行えばよい。
そして、各拠点30における上記の如き処理が、所定の時間間隔で行われることにより、各拠点30における最新の熱利用の情報が反映された第1表示情報および第2表示情報が作成され、第2記憶部14に格納される。
【0100】
そして、クライアント端末3から自身に割り当てられているWEBサーバ上のURLにアクセスすることにより、第2記憶部14に格納されている当該拠点における最新の第1表示情報および第2表示情報が第2通信部15を介してクライアント端末3へ送信され、クライアント端末3の表示装置5に表示されることとなる。
【0101】
また、このとき、熱融通が成立していない拠点については、熱融通が成立しなかった理由を通知し、その場合でも熱融通の開始を希望するか否かを問い合わせることとしてもよい。
例えば、未利用熱単価が希望熱利用単価を上回ったことにより、熱融通が成立しなかったと判断された場合には、未利用熱単価と希望熱利用単価の両方の金額を提示するとともに、未利用熱単価が利用者の希望に合致しなかったために熱融通が開始されなかった旨を提示する。更に、現在の未利用熱単価で熱利用を開始するか否かを利用者に問い合わせる。この結果、利用者から現在の未利用熱単価で熱融通を希望する旨の情報がクライアント端末3から入力され、その情報が熱売買支援装置1に送信された場合には、熱売買支援装置1は熱融通が成立したと判断する。
【0102】
以上説明してきたように、本実施形態に係る熱売買支援装置1および熱売買支援システムによれば、次の効果を奏する。
未利用熱単価を絶対的価値と相対的価値との両方の観点から算出するので、採熱および排熱の需給バランスや外部気温などが考慮された未利用熱単価を各拠点に提示することが可能となる。
【0103】
所定の温度を基準としたときの熱媒の価値を数値化したパラメータである熱媒のポテンシャルを用いて、各拠点における未利用熱単価を決定するので、熱媒からの採熱および熱媒への排熱の両方の利用態様が存在する熱融通において、これらの利用態様によらずに、各拠点における未利用熱単価を算出することが可能となる。
【0104】
各拠点30で行われている熱利用の状況ならびに熱媒の温度が表示された熱媒系統図に、各拠点における未利用熱単価が付加された表示画面をクライアント端末3の表示装置5に表示させるので、熱売買支援装置1の担当区域における熱融通の様子を可視化してユーザに提示することができる。この結果、ユーザはこの表示画面を確認することにより、未利用熱単価および他の拠点における熱利用の状況を考慮に入れた自身の拠点の熱利用の調整や、今後における熱利用のスケジューリングを行うことが可能となる。
【0105】
予め設定されている希望未利用熱単価と現在の未利用熱単価とを比較することにより、次時刻における熱融通の成立の可否を判定し、更に、この判定結果が各拠点30のクライアント端末3へ送信可能な構成とされているので、各拠点30では、熱融通成立の可否を確認することが可能となる。
【0106】
なお、本実施形態では、採熱および排熱のうち、クライアント需要が多い方を課金扱いとし、クライアント需要が少ない方から熱を買い取る仕組みを採用したが、これに代えて、いずれの場合も課金対象とすることとしてもよい。この場合、クライアント需要が少なく、熱の価値が高いと判断された拠点については、未利用熱単価をゼロ円あるいは低価格に設定する。
【0107】
更に、熱の買い取りの場合においても、上述した課金の場合と同様に、希望単価に応じて熱を売りを開始させるか否かを判定することとしてもよい。この場合、例えば、各拠点は、熱を売る期間と希望熱買取単価とを対応付けて入力し、この情報を熱売買支援装置1へ送信することで登録する。登録されたこれらの情報は、熱売買支援装置1の第2記憶部14に格納される。そして、熱売買支援装置1は、熱を売る期間が開始された場合に、熱料金算出部13bによって算出された熱の買取単価と希望熱買取単価とを比較し、熱の買取単価が希望熱買取単価を上回っている場合に、熱利用(熱の買い取り)を開始させ、熱利用が開始されたことを拠点のクライアント端末3に通知する。一方、熱の買取単価が希望熱買取単価を下回る場合には、熱利用を開始せずに、熱利用が開始されなかった旨をクライアント端末3に対して通知する。
【0108】
また、本実施形態においては、熱料金算出部13bが未利用熱単価のみを算出する場合について説明したが、例えば、クライアント端末3からの要求などに応じて、各拠点における課金情報を算出し、この課金情報と未利用熱単価とが付加された熱媒系統図をクライアント端末3に提供することとしてもよい。
【0109】
課金情報は、例えば、以下の(14)式で与えられる。
【0110】
Cqu=Cf×Q=Cfa×Cfr×Q (14)
【0111】
(14)式において、Cquは課金情報、Cfは未利用熱単価、Qは未利用熱利用量(kW)である。
【0112】
また、本実施形態では、次時刻における要求ポテンシャル熱量や要求ポテンシャル温度がクライアント端末3から設定され、第2記憶部14に格納されている場合について述べたが、次時刻における要求ポテンシャル熱量および要求ポテンシャル温度を過去の利用実績から推定し、推定したこれらの情報を用いて熱融通の成立の可否を判定することとしてもよい。このようにすることで、例えば、次時刻の要求ポテンシャルが登録されていない場合でも熱融通の成立の可否を判定することができ、また、ユーザによるこれらの情報の登録操作を不要とすることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態では、熱売買支援装置1が第1表示情報と第2表示情報とをクライアント端末3に送信することとしたが、これらに加えて、以下のような情報をクライアント端末3に送信することとしてもよい。
【0114】
〔システム系統図〕
例えば、図9に示すように、拠点30の設備におけるシステム系統図を送信し、クライアント端末3の表示装置5に表示可能としてもよい。この場合、上述した第2表示情報と当該システム系統図とを表示切替可能としてもよい。システム系統図では、例えば、熱媒流通路40からの熱のくみ上げも含めた系統図とする。図9では、一例として、状態態量と熱料金単価とを表示している。
【0115】
状態量としては、流入する熱媒のポテンシャル、システム内の各計測点における状態量、排熱または採熱量、現時刻のポテンシャルに対する下水利用熱量の割合、システムの性能などが挙げられる。流入する熱媒のポテンシャルとしては、ポテンシャル温度、ポテンシャル流量、ポテンシャル熱量などが挙げられる。
システム内の各計測点は、通常、システムを運用する上で必要項目に関する計測点が予め設定されているので、それらの計測点の状態量を表示する。これらの一例としては、温度、流量の計測結果が挙げられる。
システムの性能としては、例えば、熱源機COP、システムCOPなどが挙げられる。
【0116】
上記計測点における計測結果およびシステムの性能の情報は、例えば、各拠点30の通信装置2から熱売買支援装置1へ送信される熱利用に関する情報に含めることとし、これらの情報を用いて図9に示したような表示情報を作成すればよい。また、各拠点30におけるシステム系統の基本フレームに関する情報などは、予め拠点30から取得して熱売買支援装置1が備える所定の記憶部(例えば、第1記憶部)に格納しておけばよい。
また、その他の情報についても、熱売買支援装置1が有する情報を用いて演算処理をすれば容易に求めることが可能である。
【0117】
〔過去の熱利用実績〕
過去の利用実績をクライアント端末3に送信することとしてもよい。過去の利用実績の一例としては、未利用熱の利用熱量および料金、熱料金単価、製造熱量、電力消費量、システム性能などが挙げられる。
ここで、製造熱量とは、熱源機側(一次側)が建物側(二次側)の熱需要に対して出力する熱量をいう。例えば、冷房の場合、建物側の冷房負荷(室内の熱を除去するのに必要な熱需要)に対して熱源機が製造する熱量をいう。
【0118】
未利用熱の利用熱量および料金については、月毎、日毎、時間毎を棒グラフで表示するようにしてもよい。熱料金単価については、例えば、単価の変動を折れ線グラフで表示してもよい。このとき、流入する未利用熱の温度と熱料金単価とを同時に表示することとしてもよい。また、これらの情報に、外気温度を加えてもよく、例えば、上記熱料金単価の棒グラフに一緒に表示することとしてもよい。外気温度は、上述したように、熱料金単価を決定する上で重要な要素となるため、拠点30において熱利用に関するスケジュールを立てるときに、有利な情報となる。
【0119】
製造熱量は、月毎、日毎、時間毎に棒グラフで表示するようにしてもよい。製造熱量のうち、未利用熱を利用して製造した熱量、それ以外、例えば、拠点30が有する設備の他の熱源の利用、外部の熱供給施設の利用を色分けして表示することとしてもよい。
この製造熱量に関する情報は、例えば、拠点の通信装置2から所定の時間間隔で受信することとし、受信した情報を用いることとすればよい。
【0120】
電力消費量は、月毎、日毎、時間毎を棒グラフで表示することとしてもよい。
電力消費量については、例えば、電力消費を管理する外部システムから所定のネットワークを介して熱売買支援装置1が取得して、用いることとすればよい。
【0121】
システム性能については、例えば、熱源機COP、補機も含めたシステムCOPの変動を折れ線グラフで表示することとすればよい。この場合、例えば、月毎、日毎、時間毎に表示することとしてもよい。また、システムの状態も合わせて表示することとしてもよい。図10に、ターボ冷凍機を対象としたシステム性能の表示例を示す。図10では、日毎の冷水出口温度、冷水流量比、冷却水入口温度、冷却水出口温度、熱源機COP、冷凍機負荷率を表示している。
【0122】
〔拠点に対する運用サポート〕
過去のデータから拠点における熱料金単価設定など、拠点における熱利用の運用サポートに役立つ情報を提供することとしてもよい。
例えば、流入ポテンシャルと要求ポテンシャルとの比較情報を提供する。これは、例えば、月毎、日毎、時間毎に、流入するポテンシャルと要求ポテンシャルとを折れ線グラフで表示する。これにより、表示画面を確認したユーザは、熱融通の成立しやすい時期や時間帯を把握することができる。このとき、特に重要な項目としては、ポテンシャル温度、ポテンシャル流量、ポテンシャル熱量となる。また、これらの情報とともに、外気温度、製造熱量などを表示することとしてもよい。
【0123】
図11にポテンシャル熱量についての比較情報の一例を示す。図11において、横軸は時間、縦軸はポテンシャル熱量である。図11の例では、時刻12時から24時において、要求ポテンシャル熱量が流入ポテンシャル熱量を上回っているため、熱融通が成立しなかったことがわかる。拠点のユーザは、この表示情報を確認することにより、ポテンシャル熱量の傾向を把握することができ、熱利用の時間帯などを検討することができる。
【0124】
また、行政等が所有する熱供給公社などの外部設備から既に所望の温度に制御された熱媒を利用する場合と、温度が不安定な未利用熱を拠点において所望の温度とした後に、これを熱媒として利用する場合の両方が可能な拠点については、熱供給公社などの外部設備により設定された熱供給単価と、未利用熱を利用して所望の温度の熱媒を製造した場合の熱製造単価(=未利用熱単価+拠点の系統において、単位当たりの未利用熱を用いて熱媒(例えば、ターボ冷凍機の場合には冷水が当たる)を所望の温度にするのに必要とされる費用)とを比較した情報を提供することとしてもよい。
【0125】
拠点30の利用者は、表示画面を確認することにより、外部設備からの供給熱量と未利用熱からの供給熱量との比率を調整することが可能となる。すなわち、図12に示すように、熱製造単価が熱供給単価を上回っている場合には、外部設備からの熱供給を優先させ、熱製造単価が熱供給単価を下回っている場合には、未利用熱を利用することを優先させる。これにより、コスト削減を図ることができる。このように、未利用熱単価によって、システムの利用比率を検討することが可能となる。
【0126】
更に、製造熱量実績値と未利用熱の利用による製造可能熱量の比較情報を提供することとしてもよい。例えば、図13に示すように時間毎に製造熱量実績値と製造可能熱量とを比較して表示する。このとき、拠点の設備の最大製造可能熱量を上限とする。1日のうち、給湯、暖房、冷房の熱需要や未利用熱の利用による製造可能熱量はそれぞれ変動する。このため、製造可能熱量が需要を上回る時間帯で蓄熱を行い、製造可能熱量が需要を下回る時間帯における熱量を補うという手法を拠点の利用者に提案することが可能となる。
【0127】
製造可能熱量の算出は、拠点に流入した熱媒のポテンシャル、拠点が備える熱源設備の各計測データを用いて求められる。
例えば、熱源設備が給湯の場合には、加熱能力から最大加熱能力の間のある加熱能力に対して、熱源水温度と予め設定されている機器特性から採熱量を算出する。算出された採熱量が、拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量よりも小さければ熱融通が成立するため、このときの加熱能力を製造可能熱量とする。
【0128】
熱源設備が冷凍機の場合には、ある時刻における冷凍能力から定格冷凍能力の間のある冷凍能力に対して、冷却水温度と予め設定されている機器特性から排熱量を算出する。算出された排熱量と拠点に流入する熱媒のポテンシャル熱量とを比較し、熱融通が成立すれば、このときの冷凍能力を製造可能熱量とする。これを式に表わすと以下の(15)式で表わされる。
【0129】
Qu´=F(Q´,T) (15)
【0130】
上記(15)式において、Qu´はある時刻における製造可能熱量における排熱量または採熱量(kW)、Q´は当該時刻における製造可能熱量、Tは当該時刻の熱源水または冷却水温度(℃)である。
【符号の説明】
【0131】
1 熱売買支援装置
2 通信装置
3 クライアント端末
4 WEBサーバ
5 表示装置
11 第1記憶部
12 第1通信部
13 処理部
13a ポテンシャル算出部
13b 熱料金算出部
13c 熱融通成立判定部
13d 表示処理部
14 第2記憶部
15 第2通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱利用を行う複数の拠点間を熱媒が流通する熱媒流通路で接続し、各前記拠点において熱媒からの採熱または熱媒への排熱を可能とした熱媒系統に適用される熱売買支援装置であって、
前記拠点のそれぞれに設けられた通信装置から所定の時間間隔で各前記拠点における熱利用に関する情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された各前記拠点における熱利用に関する情報および外気条件を用いて、各拠点における熱媒の単価を算出する熱料金算出手段と、
前記熱料金算出手段によって算出された単価を各前記拠点のクライアント端末に送信する送信手段と
を具備する熱売買支援装置。
【請求項2】
前記熱媒系統を可視化した基本フレームが記憶されている第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から読み出した前記基本フレーム上に、前記拠点の熱利用に関する情報を表示した熱媒系統図を作成するとともに、該熱媒系統図に各拠点における前記熱媒の単価を表示した表示情報を前記拠点毎に作成する表示処理手段と
を有し、
前記送信手段は、前記表示情報を対応するそれぞれの前記拠点の前記クライアント端末に送信する請求項1に記載の熱売買支援装置。
【請求項3】
前記熱料金算出手段は、熱利用を行う複数の前記拠点における熱利用の状況に応じて変化する熱の相対的な価値を算出するための演算要素を含む算出式を保有しており、
該算出式を用いて前記熱媒の単価を算出する請求項1または請求項2に記載の熱売買支援装置。
【請求項4】
前記拠点における熱利用のスケジューリング情報が格納されている第2記憶手段を有し、
前記熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれており、
前記熱料金算出手段は、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と採熱希望の拠点数とを前記第2記憶手段に格納されている情報から取得し、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点を課金対象とし、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点を買取対象とする請求項3に記載の熱売買支援装置。
【請求項5】
前記算出式は、前記拠点に流入した熱媒の温度と該拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がるように構成されており、前記課金対象の場合も前記買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出される請求項4に記載の熱売買支援装置。
【請求項6】
前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱利用単価が含まれており、
前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱利用単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱利用単価以下であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備える請求項5に記載の熱売買支援装置。
【請求項7】
前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱買取単価が含まれており、
前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱買取単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱買取単価以上であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備える請求項5に記載の熱売買支援装置。
【請求項8】
前記熱料金算出手段は、算出した熱媒の単価に各前記拠点における熱媒の利用量を乗算することにより、熱媒利用料金を算出し、
前記送信手段は、前記熱媒利用料金を前記クライアント端末に送信する請求項1から請求項7のいずれかに記載の熱売買支援装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の熱売買支援装置と、
複数の前記拠点のそれぞれに設けられ、前記熱売買支援装置に対して当該拠点における熱利用の情報を送信する複数の通信装置と、
前記熱売買支援装置と通信ネットワークを介して接続され、前記熱売買支援装置から受信した情報を表示可能な表示手段を備えるクライアント端末と
を具備する熱売買支援システム。
【請求項1】
熱利用を行う複数の拠点間を熱媒が流通する熱媒流通路で接続し、各前記拠点において熱媒からの採熱または熱媒への排熱を可能とした熱媒系統に適用される熱売買支援装置であって、
前記拠点のそれぞれに設けられた通信装置から所定の時間間隔で各前記拠点における熱利用に関する情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された各前記拠点における熱利用に関する情報および外気条件を用いて、各拠点における熱媒の単価を算出する熱料金算出手段と、
前記熱料金算出手段によって算出された単価を各前記拠点のクライアント端末に送信する送信手段と
を具備する熱売買支援装置。
【請求項2】
前記熱媒系統を可視化した基本フレームが記憶されている第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から読み出した前記基本フレーム上に、前記拠点の熱利用に関する情報を表示した熱媒系統図を作成するとともに、該熱媒系統図に各拠点における前記熱媒の単価を表示した表示情報を前記拠点毎に作成する表示処理手段と
を有し、
前記送信手段は、前記表示情報を対応するそれぞれの前記拠点の前記クライアント端末に送信する請求項1に記載の熱売買支援装置。
【請求項3】
前記熱料金算出手段は、熱利用を行う複数の前記拠点における熱利用の状況に応じて変化する熱の相対的な価値を算出するための演算要素を含む算出式を保有しており、
該算出式を用いて前記熱媒の単価を算出する請求項1または請求項2に記載の熱売買支援装置。
【請求項4】
前記拠点における熱利用のスケジューリング情報が格納されている第2記憶手段を有し、
前記熱利用のスケジューリング情報には、熱利用を希望する期間および利用態様として排熱または採熱の情報が含まれており、
前記熱料金算出手段は、同じ時間帯について排熱希望の拠点数と採熱希望の拠点数とを前記第2記憶手段に格納されている情報から取得し、拠点数が多い方の利用態様を希望している拠点を課金対象とし、拠点数が少ない方の利用態様を希望している拠点を買取対象とする請求項3に記載の熱売買支援装置。
【請求項5】
前記算出式は、前記拠点に流入した熱媒の温度と該拠点から排出された熱媒の温度との差分の絶対値が大きいほど、熱媒の単価が上がるように構成されており、前記課金対象の場合も前記買取対象の場合も同一の算出式を用いて熱媒の単価が算出される請求項4に記載の熱売買支援装置。
【請求項6】
前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱利用単価が含まれており、
前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱利用単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱利用単価以下であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備える請求項5に記載の熱売買支援装置。
【請求項7】
前記熱利用のスケジューリング情報には、前記拠点が希望する希望熱買取単価が含まれており、
前記熱料金算出手段によって算出された前記拠点の熱媒の単価と前記第2記憶手段に格納されている該拠点の希望熱買取単価とを比較し、前記熱媒の単価が前記希望熱買取単価以上であった場合に、熱融通成立と判定する熱融通成立判定手段を備える請求項5に記載の熱売買支援装置。
【請求項8】
前記熱料金算出手段は、算出した熱媒の単価に各前記拠点における熱媒の利用量を乗算することにより、熱媒利用料金を算出し、
前記送信手段は、前記熱媒利用料金を前記クライアント端末に送信する請求項1から請求項7のいずれかに記載の熱売買支援装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の熱売買支援装置と、
複数の前記拠点のそれぞれに設けられ、前記熱売買支援装置に対して当該拠点における熱利用の情報を送信する複数の通信装置と、
前記熱売買支援装置と通信ネットワークを介して接続され、前記熱売買支援装置から受信した情報を表示可能な表示手段を備えるクライアント端末と
を具備する熱売買支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−50933(P2013−50933A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189916(P2011−189916)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度、平成23年度、平成24年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代型ヒートポンプシステム研究開発/都市域における下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願(委託先:公立大学法人大阪市立大学、関西電力株式会社、株式会社総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ株式会社、再委託先:株式会社NTTファシリティーズ総合研究所、三菱重工業株式会社))
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(591124846)株式会社総合設備コンサルタント (6)
【出願人】(593122310)中央復建コンサルタンツ株式会社 (5)
【出願人】(000128083)株式会社 NTTファシリティーズ総合研究所 (42)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度、平成23年度、平成24年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代型ヒートポンプシステム研究開発/都市域における下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願(委託先:公立大学法人大阪市立大学、関西電力株式会社、株式会社総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ株式会社、再委託先:株式会社NTTファシリティーズ総合研究所、三菱重工業株式会社))
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(591124846)株式会社総合設備コンサルタント (6)
【出願人】(593122310)中央復建コンサルタンツ株式会社 (5)
【出願人】(000128083)株式会社 NTTファシリティーズ総合研究所 (42)
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