説明

熱媒供給装置

【課題】ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ装置を効率よく運転して省エネ性向上を図り得る熱媒供給装置。
【解決手段】暖房加熱部7として、バーナ加熱式熱交換器15とヒートポンプ加熱式熱交換器17が設けられ、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とに切換自在で、バーナ加熱式熱交換器15で加熱された熱媒を給湯用熱交換器71に供給して給水路2からの水を加熱可能に構成され、暖房端末8からの熱媒の全量又はその一部をヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給して暖房端末8へ循環させるヒートポンプ用熱媒循環路9bが、バーナ加熱式熱交換器15、給湯用熱交換器17、及び、暖房用熱媒循環ポンプ34等をバイパスして、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水路からの水を給湯用熱交換器にて加熱して給湯路に供給する給湯回路と、暖房端末からの熱媒を暖房加熱部にて加熱して前記暖房端末に供給する暖房回路を備え、前記暖房加熱部として、バーナ加熱式熱交換器とヒートポンプ加熱式熱交換器とが設けられ、前記暖房回路が、膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成され、前記バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を前記給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成されている熱媒供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のように、暖房端末からの熱媒を加熱する暖房加熱部として、バーナ加熱式熱交換器とヒートポンプ加熱式熱交換器とが設けられた熱媒供給装置では、暖房負荷等の各種条件に基づいてヒートポンプ装置のCOP(成績係数)を算定し、COPが高くなる領域では、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態に切り換え、COPが低くなる領域では、バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態に切り換えて運転することが可能となり、省エネ性の向上を図ることができる。
このようなバーナ加熱式熱交換器とヒートポンプ加熱式熱交換器を備えた熱媒供給装置はすでに公知であるが、その従来公知の熱媒供給装置では、バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒により給水路からの水を加熱可能な給湯用熱交換器が設けられていない(例えば、特許文献1参照)。
また、バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒により給水路からの水を加熱可能な給湯用熱交換器は備えているものの、暖房加熱部として、ヒートポンプ加熱式熱交換器を備えずに、バーナ加熱式熱交換器のみ備えた熱媒供給装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−43321号公報
【特許文献2】特開2007−315700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置は、図9(特許文献1の図2をそのまま記載したもの)に示すような構成であり、ヒートポンプ装置16のヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態では、図中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒が、熱媒戻り路31から第1熱媒バイパス路39を通して第1熱媒路32に流入する。そして、その第1熱媒路32を通流する熱媒に対して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17にて加熱された後の熱媒が、第2熱媒路35を通して合流し、合流した後の熱媒が、膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、その一部が第2熱媒バイパス路41を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給される。
このように、低温暖房端末8bからの熱媒に対して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒が合流し、その合流により温度が上昇した熱媒がヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されるので、ヒートポンプ加熱式熱交換器17での熱回収(熱媒への熱供給)が低下し、ヒートポンプ装置を効率よく運転しているとは言い難い欠点があった。
【0005】
このような欠点を解消するためには、低温暖房端末8bからの熱媒の全量又はその一部をヒートポンプ加熱式熱交換器17へ直接供給するように構成することが考えられる。かかる技術的思想を反映させた上で、上記特許文献2に記載の装置、つまり、バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成した装置に対して、暖房加熱部としてのヒートポンプ加熱式熱交換器を追加して組み込む場合、図8に示すような構成が考えられる(なお、図8に示す装置では、理解を容易にするため、図9に示す従来公知の装置及び後述する本願発明に係る装置と共通する構成部品及び同じ作用を有する構成部品については同じ符号を付してある)。
【0006】
この図8の装置を参照して説明すると、ヒートポンプ装置16のヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態では、図中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒が、低温熱媒戻り路31bとヒートポンプ用熱媒路61を通してヒートポンプ加熱式熱交換器17へ直接供給されるので、ヒートポンプ加熱式熱交換器17での熱回収の低下が回避されてヒートポンプ装置を効率よく運転することができる。
そして、ヒートポンプ加熱式熱交換器17にて加熱された熱媒は、その後、熱媒戻り路31を通流して膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34を通過したのち、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aを通流し、一部の熱媒は低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。ところが、残りの熱媒はバーナ顕熱加熱式熱交換器15bを通流し、第2熱媒路35と循環用バイパス路70を通して給湯用熱交換器71に供給されるので、このヒートポンプ加熱状態の実行中に給湯運転が要求されると、バーナ13の燃焼によってバーナ潜熱加熱式熱交換器15a及びバーナ顕熱加熱式熱交換器15bを通流する熱媒が加熱される。その結果、必要以上に加熱された高温の熱媒が、膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34を通過したのち、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aを通流し、低温暖房端末8bを通してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給され、結局、ヒートポンプ加熱式熱交換器17での熱回収が低下することになる。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目したもので、その目的は、バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成された熱媒供給装置で、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ装置を効率よく運転することを可能にして、より一層の省エネ性向上を図り得る熱媒供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明に係る熱媒供給装置の特徴構成は、給水路からの水を給湯用熱交換器にて加熱して給湯路に供給する給湯回路と、暖房端末からの熱媒を暖房加熱部にて加熱して前記暖房端末に供給する暖房回路を備え、前記暖房加熱部として、バーナ加熱式熱交換器とヒートポンプ加熱式熱交換器とが設けられ、前記暖房回路が、膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成され、前記バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を前記給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成されている熱媒供給装置であって、前記暖房端末からの熱媒の全量又はその一部を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるヒートポンプ用熱媒循環路が、前記バーナ加熱式熱交換器、給湯用熱交換器、膨張タンク、及び、暖房用熱媒循環ポンプをバイパスする状態で設けられ、そのヒートポンプ用熱媒循環路にヒートポンプ用熱媒循環ポンプが設けられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、暖房端末からの熱媒の全量又はその一部をヒートポンプ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるヒートポンプ用熱媒循環路が設けられ、そのヒートポンプ用熱媒循環路にヒートポンプ用熱媒循環ポンプが設けられているので、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプを作動させることによって、暖房端末からの熱媒をそのままヒートポンプ加熱式熱交換器へ直接供給することができ、また、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を暖房端末へ直接供給することができる。したがって、ヒートポンプ装置を効率よく運転することができ、その結果、暖房端末に熱媒を供給する暖房時において、ヒートポンプ加熱状態とバーナ加熱状態との切り換え運転により省エネ性の向上を図り得るのに加えて、ヒートポンプ加熱状態において一層の効率化を図ることが可能となる。
そして、そのヒートポンプ用熱媒循環路が、バーナ加熱式熱交換器、給湯用熱交換器、膨張タンク、及び、暖房用熱媒循環ポンプをバイパスする状態で設けられているので、たとえヒートポンプ加熱状態の実行中に給湯運転が要求されてバーナが燃焼しても、ヒートポンプ加熱式熱交換器により加熱された熱媒がそのバーナの燃焼により加熱されることはない。
その結果、バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成されている熱媒供給装置であっても、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ装置を効率よく運転して省エネ性向上を図ることができる。
【0010】
本発明に係る熱媒供給装置の更なる特徴構成は、前記暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるバーナ用熱媒循環路が、前記膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて設けられ、前記ヒートポンプ加熱式熱交換器により加熱された熱媒を前記バーナ用熱媒循環路の一部を介して前記膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプに供給する蓄熱運転が可能に構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、暖房端末からの熱媒をバーナ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるバーナ用熱媒循環路が、膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて設けられているので、バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態においては、暖房用熱媒循環ポンプの作動によってバーナ加熱状態を確実に実行することができる。
そして、ヒートポンプ加熱式熱交換器により加熱された熱媒をバーナ用熱媒循環路の一部を介して膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプに供給する蓄熱運転が可能に構成されているので、バーナ用熱媒循環路に備えられた膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを有効に利用して、ヒートポンプ加熱式熱交換器による蓄熱運転を行うことができる。
【0012】
本発明に係る熱媒供給装置の更なる特徴構成は、前記ヒートポンプ加熱式熱交換器が、前記暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路と、そのバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を前記暖房端末に供給する熱媒往き路との間にわたって設けられている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、ヒートポンプ加熱式熱交換器が、暖房端末からの熱媒をバーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路と、そのバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を暖房端末に供給する熱媒往き路との間にわたって設けられているので、熱媒戻り路と熱媒往き路を共用する状態で、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とを確実に実行することができる。
【0014】
本発明に係る熱媒供給装置の更なる特徴構成は、前記ヒートポンプ加熱式熱交換器及びヒートポンプ用熱媒循環ポンプ等を備えたヒートポンプ装置が、前記給湯用熱交換器、バーナ加熱式熱交換器、膨張タンク、及び、暖房用熱媒循環ポンプ等を備えた給湯装置と別体に構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、ヒートポンプ装置が給湯装置と別体に構成されているので、給湯装置にヒートポンプ装置を外付けすることが可能となり、例えば、既存の給湯装置に対しても、比較的簡単にヒートポンプ装置を組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による熱媒供給装置のバーナ加熱状態を示す概略構成図
【図2】本発明による熱媒供給装置のヒートポンプ加熱状態を示す概略構成図
【図3】本発明による熱媒供給装置の蓄熱運転状態を示す概略構成図
【図4】時間経過に伴う運転モードの変化を示す図
【図5】運転モード毎にバーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とに切り換えた場合の1次エネルギー消費量と、その算定の基準を示す図表
【図6】本発明による熱媒供給装置の別実施形態を示す要部の概略構成図
【図7】本発明による熱媒供給装置の別実施形態のバーナ加熱状態を示す概略構成図
【図8】本発明の前段階における熱媒供給装置のヒートポンプ加熱状態を示す概略構成図
【図9】先行技術文献に記載された熱媒供給装置
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る熱媒供給装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この熱媒供給装置は、図1〜図3に示すように、給湯装置1とその給湯装置1と別体に構成されて外付けされたヒートポンプ装置16とを備え、給湯装置1は、一般家庭用の水道管に接続された給水路2からの水を給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3と給湯用熱交換器71にて加熱してその加熱された湯水を給湯栓4等が接続された給湯路5に供給する給湯回路6と、暖房端末8からの熱媒を暖房加熱部7にて加熱してその加熱された熱媒を暖房端末8に供給する暖房回路9と、暖房加熱部7にて加熱された熱媒により浴槽10の湯水をふろ熱交換器11にて加熱してその加熱された湯水を浴槽10に供給する追焚回路12とを備えている。
暖房端末8として、高温の熱媒(例えば80℃の熱媒)が要求される高温暖房端末8a(例えば浴室乾燥装置)とその高温暖房端末8aよりも低温の熱媒(例えば40〜75℃の熱媒)が要求される低温暖房端末8b(例えば床暖房パネル)とが備えられている。
【0018】
給湯回路6における給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3は、バーナ13の燃焼による燃焼ガスの潜熱により給水路2からの水を加熱するように構成され、暖房回路9における暖房加熱部7として、給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3と同じ単一のバーナ13の燃焼により同時に熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器15と、ヒートポンプ装置16の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17とを備えている。そして、熱媒用のバーナ加熱式熱交換器15は、バーナ13の燃焼ガスの潜熱により熱媒を加熱するバーナ潜熱加熱式熱交換器15aと、バーナ13の燃焼ガスの顕熱により熱媒を加熱するバーナ潜熱加熱式熱交換器15bとから構成されて、いわゆる1缶3水形式に構成されている。
バーナ13には、一般家庭用の燃料ガスを供給するガス供給路18が接続され、そのガス供給路18には、燃料ガスの供給を断続する断続弁19と燃料ガス供給量を調整するガス比例弁20が設けられている。また、バーナ13には、燃焼用空気を供給する燃焼用ファンFも設けられ、図示は省略するが、バーナ13の近くには、バーナ13に対する点火動作を実行する点火用のイグナイタ及び着火されたか否かを検出するフレームロッド等も設けられている。
【0019】
給湯回路6を構成する給水路2には、給水量を検出する水量センサ24と給水温度を検出する給水サーミスタ25とが設けられ、その給水路2が、給湯バイパス路26を介して給湯路5に接続され、その給湯バイパス路26によって、給水路2の水を給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3と給湯用熱交換器71をバイパスして給湯路5に供給可能としている。
その給湯路5と給湯バイパス路26との接続箇所には、給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3に供給する水量と給湯バイパス路26を通流させる水量との比率を調整自在なバイパス弁27が設けられ、給湯路5には、上流側から順に、循環用バイパス路70の熱媒にて給湯路5の湯水を加熱する給湯用熱交換器71、その給湯用熱交換器71の出口温度を検出する出口温サーミスタ28、バイパス路26から供給される水が混合した後の湯水の温度を検出する出湯サーミスタ30が設けられている。
【0020】
暖房回路9のバーナ加熱式熱交換器15において、そのバーナ潜熱加熱式熱交換器15aの入口側には、暖房端末8からの熱媒を戻す熱媒戻り路31が接続され、その暖房戻り路31は、高温暖房端末8aに接続の高温熱媒戻り路31aと低温暖房端末8bに接続の低温熱媒戻り路31bとを備えている。そして、その熱媒戻り路31には、熱媒を貯留する膨張タンク33と、熱媒を循環させる暖房用熱媒循環ポンプ34が設けられ、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aの出口側には、加熱後の熱媒をバーナ顕熱加熱式熱交換器15bに供給する第1熱媒路32が接続されている。
バーナ顕熱加熱式熱交換器15bの出口側には、第2熱媒路35が接続され、その第2熱媒路35には、加熱後の熱媒の温度を検出する熱媒サーミスタ37が設けられ、その熱媒サーミスタ37の下流側には、熱媒を高温暖房端末8aに供給する高温往き路38と、熱媒を給湯用熱交換器71に供給する循環用バイパス路70とが分岐接続されている。
【0021】
すなわち、バーナ顕熱加熱式熱交換器15bからの熱媒の一部が高温往き路38を通して高温暖房端末8aに供給され、残りの一部が循環用バイパス路70を通して給湯用熱交換器71から膨張タンク33に供給されるように構成されている。そして、第1熱媒路32には、熱媒を低温暖房端末8bに供給する熱媒往き路としての低温往き路36が分岐接続されている。
循環用バイパス路70の給湯用熱交換器71より上流側には、熱媒バイパス路43が接続されて、その接続箇所に熱媒分配弁72が設けられ、熱媒バイパス路43には、ふろ熱交換器11が設けられ、バーナ顕熱加熱式熱交換器15bからの熱媒が、ふろ熱交換器11を通して膨張タンク33に供給されるように構成されている。
【0022】
ふろ熱交換器11には、加熱後の湯水を浴槽10に供給するふろ往き路46と浴槽10から湯水を吸引するふろ戻り路47とが接続され、ふろ往き路46とふろ戻り路47とからふろ循環路45が構成されている。
ふろ戻り路47には、圧力を検出することにより浴槽10内の水位を検出する水位センサ48と、浴槽10から湯水を吸引して循環させるふろ循環ポンプ49と、水流スイッチ50と、浴槽内の湯水の温度を検出するふろサーミスタ51とが設けられている。そして、給湯路5から分岐してふろ戻り路47に接続された湯張り路52には、湯張り弁53、空気層形成用ホッパ54、及び、湯張り逆止弁55が設けられ、空気層形成用ホッパ54には、図示は省略するが、湯水を排水する排水路とその排水路を開閉する排水弁とが設けられている。
【0023】
暖房端末8から熱媒を戻す熱媒戻り路31において、高温熱媒戻り路31aと低温熱媒戻り路31bが合流する手前の低温熱媒戻り路31bには、ヒートポンプ用熱媒路61が分岐接続され、そのヒートポンプ用熱媒路61が低温往き路36に接続されて、その接続箇所にヒートポンプ用熱媒切換弁75が設けられている。そして、ヒートポンプ用熱媒路61には、ヒートポンプ装置16の媒体と熱媒とを熱交換させて媒体にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17が配置され、ヒートポンプ加熱式熱交換器17の出口側には、熱媒の出口温度を検出する熱媒サーミスタ63とヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76が設けられている。
すなわち、低温熱媒戻り路31b、ヒートポンプ用熱媒路61、及び、低温往き路36等によりヒートポンプ用熱媒循環路9bが形成され、そのヒートポンプ用熱媒循環路9bによって、低温暖房端末8bからの熱媒をバーナ加熱式熱交換器15、膨張タンク33、及び、暖房用熱媒循環ポンプ34をバイパスさせて、低温暖房端末8bからの熱媒の全量をそのまま、場合によっては、低温暖房端末8bからの熱媒の一部をそのままヒートポンプ加熱式熱交換器17に直接供給可能とし、そのヒートポンプ用熱媒循環路9bにヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76が設けられている。なお、低温暖房端末8bからの熱媒の一部がヒートポンプ加熱式熱交換器17に直接供給される場合、熱媒の残りは、熱媒戻り路31を通流して膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34に供給される。
【0024】
それに対し、高温熱媒戻り路31a、低温熱媒戻り路31b、熱媒戻り路31、第1熱媒路32、第2熱媒路35、循環用バイパス路70、低温往き路36、及び、高温往き路38等によりバーナ用熱媒循環路9aが形成されて、暖房端末8からの熱媒をバーナ加熱式熱交換器15に供給して暖房端末8へ循環可能とし、そのバーナ用熱媒循環路9aが、膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34を備えている。
そして、ヒートポンプ加熱式熱交換器17からの熱媒をバーナ用熱媒循環路9aに供給するか又はヒートポンプ用熱媒循環路9bに供給するかを切り換える切換弁として熱媒切換弁75及び後述する蓄熱用熱媒切換弁80が設けられている。
【0025】
ヒートポンプ装置16は、圧縮機21、凝縮器としてのヒートポンプ加熱式熱交換器17、膨張弁22、蒸発器23の順に媒体を循環させる媒体回路Rを備えた圧縮式ヒートポンプ装置にて構成され、圧縮機21を作動させることで、ヒートポンプ加熱式熱交換器17に圧縮機21からの高温高圧の媒体が供給され、その媒体にてヒートポンプ用熱媒路61を通流する熱媒を加熱するように構成されている。
そして、ヒートポンプ用熱媒路61におけるヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76の下流側と熱媒戻り路31とが、蓄熱用戻り路78により接続され、低温往き路36におけるヒートポンプ用熱媒切換弁75の上流側とヒートポンプ用熱媒路61におけるヒートポンプ加熱式熱交換器17の上流側とが、蓄熱用往き路79により接続されて、その蓄熱用往き路79と低温往き路36との接続箇所に蓄熱用熱媒切換弁80が設けられ、ヒートポンプ加熱式熱交換器17により加熱された熱媒をバーナ用熱媒循環路9aの一部を介して膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34に供給する蓄熱運転が可能なように構成されている。
【0026】
給湯装置1とヒートポンプ装置16を有する熱媒供給装置は、その全ての運転がコンピュータを備えた運転制御手段56により制御されるように構成され、その運転制御手段56は、熱媒供給装置の運転を指令する人為操作式の熱媒供給装置用リモコン(図示は省略する)との間で各種の情報を通信可能に構成されている。
熱媒供給装置用リモコンは、例えば、台所や浴室等の夫々に設けられており、給湯設定温度や湯張り設定温度等を設定可能であるとともに、各種スイッチのON操作により各種の運転を要求指令できるように構成されている。
また、運転制御手段56は、暖房端末8の運転を指令する人為操作式の高温暖房端末用リモコン及び低温暖房端末用リモコン(図示は省略する)との間で各種の情報を通信可能に構成され、高温暖房端末用リモコンは、高温暖房端末8aに対して設けられ、低温暖房端末用リモコンは、低温暖房端末8bに対して設けられている。
【0027】
つぎに、運転制御手段56による熱媒供給装置の制御運転について説明する。
運転制御手段56は、熱媒供給装置用リモコンの運転スイッチがON操作されると制御可能な状態となり、給湯栓4が開操作されると給湯栓4から湯水を給湯する給湯運転を実行する。そして、熱媒供給装置用リモコンの湯張りスイッチがON操作されてふろ湯張りが要求されると湯張り運転を実行し、追焚スイッチがON操作されてふろ追焚が要求されると追焚運転を実行する。
また、運転制御手段56は、高温暖房端末用リモコンの暖房運転スイッチがON操作されて高温暖房端末8aから運転が要求されると高温暖房運転を実行し、低温暖房端末用リモコンの暖房運転スイッチがON操作されて低温暖房端末8bから運転が要求されると低温暖房運転を実行し、更に、別途蓄熱運転も実行する。
【0028】
〔給湯運転〕
運転制御手段56は、給湯栓4を開いて水量センサ24による検出水量が所定量以上になり給湯が要求されていると判別すると、バーナ13を燃焼させて給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3にて水を加熱させ、更に、給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3にて加熱された湯水を給湯用熱交換器71にて加熱させる給湯加熱作動を行う。つまり、暖房用熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、熱媒分配弁72等を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換えて、燃焼用ファンFの駆動を開始させた後、断続弁19を開弁し、ガス比例弁20の開度を調整してイグナイタによりバーナ13に点火する。そして、熱媒供給装置用リモコンでの給湯設定温度、給水サーミスタ25による検出水温、水量センサ24による検出水量等に基づいて、給湯温度を給湯設定温度とするためのバーナ13の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
そして、水量センサ24にて通水が検出されなくなると、ガス比例弁20及び断続弁19を閉弁させて燃料供給を停止してバーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンFと暖房用熱媒循環ポンプ34も停止させて給湯運転を終了する。
【0029】
〔湯張り運転〕
運転制御手段56は、湯張りスイッチがON操作されてふろ湯張りが要求されると、湯張り弁53を開弁して通水を開始させ、出湯サーミスタ30の検出温度が湯張り用の目標温度になるように、バーナ13を燃焼させて給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3と給湯用熱交換器71にて湯水を加熱させる給湯加熱作動を行う。
そして、水位センサ48にて検出される浴槽10の水位が設定水位に達すると、湯張り弁53を閉じて、バーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンF等も停止させて給湯加熱作動を停止して湯張り運転を終了する。
【0030】
以下、追焚運転、高温暖房運転、及び、低温暖房運転について説明するが、本発明に係る熱媒供給装置では、暖房回路9において、バーナ13の燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器15と、ヒートポンプ装置16の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17とが設けられている。
そして、熱媒分配弁72やヒートポンプ用熱媒切換弁75等を切り換えることで、バーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態(図1中太線参照)とヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態(図2中太線参照)とに切換自在に構成され、追焚運転と高温暖房運転では、バーナ加熱状態で運転し、低温暖房運転では、バーナ加熱状態及びヒートポンプ加熱状態の何れかに切り換えて運転を行うように構成され、更に、蓄熱運転(図3中太線参照)も可能に構成されている。
【0031】
〔追焚運転〕
この追焚運転では、運転制御手段56が、熱媒分配弁72等を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換える。
運転制御手段56は、追焚スイッチがON操作されてふろ追焚が要求されると、ふろ循環ポンプ49を作動させて、浴槽10内の湯水をふろ戻り路47及びふろ往き路46を通して循環させる。そのときに水流スイッチ50によりそのことが検出されると、暖房用熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、熱媒分配弁72等を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換えて、バーナ13を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。
その暖房バーナ加熱作動として、燃焼用ファンFの駆動を開始させた後、断続弁19を開弁し、ガス比例弁20の開度を調整してイグナイタによりバーナ13に点火し、熱媒サーミスタ37の検出温度と目標温度(例えば80℃)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ37の検出温度を目標温度とするためのバーナ13の目標燃焼量を求め、求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0032】
運転制御手段56が、熱媒分配弁72を熱媒バイパス路43側へ切り換えることで、バーナ顕熱加熱式熱交換器15bにて加熱された熱媒を熱媒バイパス路43を通してふろ熱交換器11に供給している。ふろ熱交換器11を通過した熱媒は、熱媒戻り路31を通して膨張タンク33、暖房用熱媒循環ポンプ34を通過したのち、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。バーナ潜熱加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通してバーナ顕熱加熱式熱交換器15bに供給されて加熱される。
このようにして、バーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱しながら、その加熱された熱媒をふろ熱交換器11に循環供給している。一方、ふろ循環ポンプ49の作動によりふろ循環路45を通してふろ熱交換器11に浴槽10の湯水が供給され、ふろ熱交換器11において熱媒により浴槽10の湯水を加熱し、ふろ往き路46にて浴槽10に供給し、バーナ加熱式熱交換器15にて加熱された熱媒により浴槽10の湯水を加熱して追焚を行っている。そして、ふろサーミスタ51の検出温度が追焚設定温度に達すると、ふろ循環ポンプ49及び暖房用熱媒循環ポンプ34を停止させるとともに、バーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて暖房バーナ加熱作動を停止して、追焚運転を終了する。
【0033】
〔高温暖房運転〕
この高温暖房運転でも、運転制御手段56が、熱媒分配弁72等を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換える。
運転制御手段56は、高温暖房端末8aから運転が要求されると、暖房用熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、上述の追焚運転と同様に、熱媒分配弁72等を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換えて、バーナ13を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。ここで、熱媒サーミスタ37の検出温度と目標温度(例えば80℃)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ37の検出温度を目標温度とするためのバーナ13の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0034】
そして、高温往き路38に備えられた熱媒断続弁(図示省略)を開弁させ、熱媒分配弁72等がバーナ加熱状態に切り換えられているので、高温暖房端末8aからの熱媒は、高温熱媒戻り路31aと熱媒戻り路31を通して膨張タンク33、暖房用熱媒循環ポンプ34を通過したのち、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。バーナ潜熱加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通してバーナ顕熱加熱式熱交換器15bに供給されて加熱され、加熱後の熱媒の一部が、第2熱媒路35及び高温往き路38を通して高温暖房端末8aに供給され、熱媒の残りが、循環用バイパス路70及び給湯用熱交換器71を通して膨張タンク33に供給される。つまり、高温暖房端末8aからの熱媒は、バーナ用熱媒循環路9aを通して、バーナ加熱式熱交換器15により加熱され、その後、高温暖房端末8aに供給される。
そして、高温暖房端末8aからの運転要求が終了すると、暖房用熱媒循環ポンプ34を停止させるとともに、バーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて暖房バーナ加熱作動を停止して、高温暖房運転を終了する。
【0035】
〔低温暖房運転〕
この低温暖房運転では、図1及び図2に示すように、運転制御手段56が、状況に応じて、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とのうちの何れかに切り換える。すなわち、低温暖房端末8bにて要求される温度に応じて複数の運転モードが実行可能に構成され、どの運転モードを実行するかは、運転制御手段56が低温暖房端末8bにて要求されている熱媒の温度等に応じて選択するように構成されている。
その複数の運転モードとして、例えば、図4に示すように、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度をホットダッシュ用設定温度(例えば75℃)とするホットダッシュ運転モード、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度を高温用設定温度(例えば60℃)とする高温運転モード、及び、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度を低温用設定温度(例えば40℃)とする低温運転モードを実行するように構成されている。
【0036】
そこで、運転制御手段56は、運転モード毎に、バーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量とヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量とを求めておき、その求めた1次エネルギー消費量が小さい方を選択して切り換えるように設定されている。
例えば、図4に示すように、低温暖房運転として、ホットダッシュ運転モードをホットダッシュ用設定時間(例えば30分)行った後、高温運転モードを高温用設定時間(例えば1.5時間)行い、その後、低温運転モードを低温用設定時間(例えば5.0時間)行う場合について、以下、詳細に説明する。
運転モード毎の暖房負荷は、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度及び運転時間等から求めることができ、例えば、図5に示すように、ホットダッシュ運転モードでの暖房負荷が2.9kWh、高温運転モードでの暖房負荷が3.6kWh、低温運転モードでの暖房負荷が6.5kWhであり、このようにして、運転モード毎の暖房負荷を求めておく。
【0037】
そして、バーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量については、運転モード毎の暖房負荷(kWh)をCOP(成績係数)にて除算することにより、その暖房負荷を賄うためのガス需要(kWh)を求める。ここで、COPは、バーナ加熱状態に切り換えてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱したときのCOPを用い、その求めたガス需要(kWh)に3.6を乗算することにより1次エネルギー消費量(MJ)に換算して、バーナ加熱状態に切り換えた場合に運転モード毎に1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができる。
また、ヒートポンプ加熱状態に切り換える場合の1次エネルギー消費量については、運転モード毎の暖房負荷をCOPにて除算することにより、その暖房負荷を賄うための電気需要(kWh)を求める。ここで、COPは、ヒートポンプ加熱状態に切り換えたヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱したときのCOPを用い、そして、その求めた電気需要(kWh)を0.369で除算するとともに、3.6を乗算することにより1次エネルギー消費量(MJ)に換算して、ヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合に運転モード毎に1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができる。
【0038】
運転モード毎にバーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量(MJ)とヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができるので、運転モード毎に1次エネルギー量が小さい方を選択して設定しておく。
ホットダッシュ運転モード(例えば暖房負荷が2.9kWh)では、ヒートポンプ加熱で供給できる温水温度の上限が60℃であり、75℃の温水を供給できないので、バーナ加熱状態に切り換えるように設定しておく。
また、高温運転モード(例えば暖房負荷が3.6kWh)では、バーナ加熱状態の1次エネルギー消費量(14.4MJ)がヒートポンプ加熱状態の1次エネルギー消費量(24.4MJ)よりも小さいので、バーナ加熱状態に切り換えるように設定し、低温運転モード(例えば暖房負荷が6.5kWh)では、ヒートポンプ加熱状態の1次エネルギー消費量(15.6MJ)がバーナ加熱状態の1次エネルギー消費量(26.3MJ)よりも小さいので、ヒートポンプ加熱状態に切り換えるように設定しておく。
【0039】
このようにして、運転制御手段56が、どの運転モードを実行するかによってバーナ加熱状態に切り換えるかヒートポンプ加熱状態に切り換えるかを予め設定しておくことができるので、運転モードを選択するだけで、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態との切換を行うことができる。したがって、運転制御手段56は、低温暖房端末8bから運転が要求されると、暖房用熱媒循環ポンプ34又はヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76を作動させるとともに、運転モードを選択することによりバーナ加熱状態又はヒートポンプ加熱状態に切り換える。
例えば、ホットダッシュ運転モード及び高温運転モードを行うときにはバーナ加熱状態に切り換え、低温運転モードを行うときにはヒートポンプ加熱状態に切り換える。この構成を採用することにより、熱媒を加熱するのに要する1次エネルギー消費量を小さく抑えて熱媒を低温暖房端末8bに供給することが可能となり、省エネ性に優れた熱媒供給装置を実現することができる。
【0040】
バーナ加熱状態の場合には、運転制御手段56が、熱媒分配弁72やヒートポンプ用熱媒切換弁75等をバーナ加熱状態に切り換え、バーナ13を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。
ここで、運転制御手段56は、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aの出口側である第1熱媒路32に設けられた熱媒サーミスタ(図示省略)の検出温度と目標温度(低温暖房端末8bにて要求される熱媒の温度に応じて設定される)との偏差等に基づいて、その熱媒サーミスタの検出温度を目標温度とするためのバーナ13の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0041】
そして、運転制御手段56は、低温暖房端末8bから運転が要求されると、低温往き路36に備えられた熱媒断続弁(図示省略)を開弁させ、図1中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温熱媒戻り路31bと熱媒戻り路31を通して膨張タンク33、暖房用熱媒循環ポンプ34を通過したのち、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。バーナ潜熱加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通過し、一部が低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、バーナ用熱媒循環路9aの一部を通して、バーナ加熱式熱交換器15のバーナ潜熱加熱式熱交換器15aにより加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
そして、第1熱媒路32を通過した熱媒のうち、残りの一部がバーナ顕熱加熱式熱交換器15bに供給されて加熱され、バーナ顕熱加熱式熱交換器15bにて加熱された熱媒は、循環用バイパス路70及び給湯用熱交換器71を通して膨張タンク33に供給される。
【0042】
ヒートポンプ加熱状態の場合には、運転制御手段56が、ヒートポンプ装置16を運転させるとともに、ヒートポンプ用熱媒切換弁75や蓄熱用熱媒切換弁80等を切り換えることでヒートポンプ加熱状態に切り換える。
ここで、運転制御手段56は、熱媒サーミスタ63の検出温度と目標温度(低温暖房端末8bにて要求されている熱媒の温度に応じて設定される)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ63の検出温度を目標温度とするための圧縮機21の目標回転速度を求め、その求めた目標回転速度となるように圧縮機21の回転速度を制御する。
そして、図2中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76の作動とヒートポンプ用熱媒切換弁75の低温暖房端末8b側への開弁により、低温熱媒戻り路31bとヒートポンプ用熱媒路61を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されて加熱される。ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76を通過し、低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環路9bを通して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17により加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
【0043】
〔蓄熱運転〕
この蓄熱運転では、運転制御手段56が、ヒートポンプ装置16を運転させるとともに、ヒートポンプ用熱媒切換弁75や蓄熱用熱媒切換弁80等を切り換えることでヒートポンプ加熱状態に切り換える。
運転制御手段56は、例えば、蓄熱スイッチがON操作されて蓄熱運転が要求されると、暖房用熱媒循環ポンプ34を作動させる(この暖房用熱媒循環ポンプ34に加えて、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76を作動させることも可能)。
そして、図3中太線にて示すように、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76を通過したのち、蓄熱用戻り路78と熱媒戻り路31を通して膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34に供給される。その後、第1熱媒路32、低温往き路36、蓄熱用往き路79、及び、ヒートポンプ用熱媒路61を通してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給される。つまり、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、バーナ用熱媒循環路9aの一部を介して膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34に供給されて、ヒートポンプ加熱式熱交換器17による熱媒への蓄熱運転が実行され、例えば、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aの出口側である第1熱媒路32に設けられた熱媒サーミスタ(図示省略)による検出温度が設定温度に達した時点で蓄熱運転を終了する。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、ヒートポンプ用熱媒路61と熱媒戻り路31を蓄熱用戻り路78により接続し、低温往き路36とヒートポンプ用熱媒路61を蓄熱用往き路79により接続して、蓄熱用往き路79と低温往き路36との接続箇所に蓄熱用熱媒切換弁80を設けた構成を示したが、図6に示すように、ヒートポンプ用熱媒路61に4方切換弁81を設け、その4方切換弁81に対して、熱媒戻り路31に接続の蓄熱用戻り路78とヒートポンプ用熱媒路61に接続の蓄熱用往き路79を接続可能にして実施することもできる。
この図6に示す別実施形態においては、4方切換弁81を図6の(a)に示すように切り換えることで、図中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76の作動とヒートポンプ用熱媒切換弁75の低温暖房端末8b側への開弁により、低温熱媒戻り路31bとヒートポンプ用熱媒路61を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されて加熱され、その後、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76と4方切換弁81を通過し、低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環路9bを通して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17により加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
また、4方切換弁81を図6の(b)に示すように切り換えることで、図中太線にて示すように、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76と4方切換弁81を通過したのち、蓄熱用戻り路78と熱媒戻り路31を通して給湯装置1内の膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34に供給され、その後、低温往き路36から4方切換弁81を通過し、蓄熱用往き路79、及び、ヒートポンプ用熱媒路61を通してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給される。つまり、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、バーナ用熱媒循環路9aの一部を介して膨張タンク33及び暖房用熱媒循環ポンプ34に供給されて、ヒートポンプ加熱式熱交換器17による熱媒への蓄熱運転が実行される。
【0045】
(2)先の実施形態では、給水路2からの水を給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3と給湯用熱交換器71にて加熱する構成を示し、更に、熱媒用のバーナ加熱式熱交換器15として、バーナ潜熱加熱式熱交換器15aとバーナ顕熱加熱式熱交換器15bを備えた構成を示したが、図7に示すように、給湯用バーナ潜熱加熱式熱交換器3をなくして、給水路2からの水を給湯用熱交換器71のみにて加熱するように構成するとともに、熱媒用のバーナ加熱式熱交換器15をひとつだけ設けて実施することもできる。
この図7に示す熱媒供給装置では、低温暖房運転のホットダッシュ運転モード及び高温運転モードのバーナ加熱状態において、図7中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、熱媒戻り路31の暖房用熱媒循環ポンプ34を通過したのち、一部が低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給され、残りの一部がバーナ加熱式熱交換器15に供給されて加熱され、加熱後の熱媒は、循環用バイパス路70及び給湯用熱交換器71を通して膨張タンク33に供給される。
なお、この図7に示す装置において、その他の構成については、図1〜図3に示す装置とほぼ同じなので、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0046】
(3)これまでの実施形態では、暖房端末8として高温暖房端末8a(例えば浴室乾燥装置)と低温暖房端末8b(例えば床暖房パネル)とを備えた例を示したが、低温暖房端末8bのみを備えた熱媒供給装置においても適応可能である。
更に、給湯用熱交換器71、バーナ加熱式熱交換器15、膨張タンク33、及び、暖房用熱媒循環ポンプ34等を備えた給湯装置1に対して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17及びヒートポンプ用熱媒循環ポンプ76等を備えたヒートポンプ装置16を別体に構成して、給湯装置1に外付けした例を示したが、ヒートポンプ装置16を給湯装置1内に収納する形態で実施することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 給湯装置
2 給水路
5 給湯路
6 給湯回路
7 暖房加熱部
8 暖房端末
9 暖房回路
9a バーナ用熱媒循環路
9b ヒートポンプ用熱媒循環路
13 バーナ
15 バーナ加熱式熱交換器
16 ヒートポンプ装置
17 ヒートポンプ加熱式熱交換器
31 熱媒戻り路
33 膨張タンク
34 暖房用熱媒循環ポンプ
36 熱媒往き路
71 給湯用熱交換器
76 ヒートポンプ用熱媒循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路からの水を給湯用熱交換器にて加熱して給湯路に供給する給湯回路と、暖房端末からの熱媒を暖房加熱部にて加熱して前記暖房端末に供給する暖房回路を備え、前記暖房加熱部として、バーナ加熱式熱交換器とヒートポンプ加熱式熱交換器とが設けられ、前記暖房回路が、膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成され、前記バーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を前記給湯用熱交換器に供給して給水路からの水を加熱可能に構成されている熱媒供給装置であって、
前記暖房端末からの熱媒の全量又はその一部を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるヒートポンプ用熱媒循環路が、前記バーナ加熱式熱交換器、給湯用熱交換器、膨張タンク、及び、暖房用熱媒循環ポンプをバイパスする状態で設けられ、そのヒートポンプ用熱媒循環路にヒートポンプ用熱媒循環ポンプが設けられている熱媒供給装置。
【請求項2】
前記暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器に供給して暖房端末へ循環させるバーナ用熱媒循環路が、前記膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプを備えて設けられ、前記ヒートポンプ加熱式熱交換器により加熱された熱媒を前記バーナ用熱媒循環路の一部を介して前記膨張タンク及び暖房用熱媒循環ポンプに供給する蓄熱運転が可能な請求項1に記載の熱媒供給装置。
【請求項3】
前記ヒートポンプ加熱式熱交換器が、前記暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路と、そのバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を前記暖房端末に供給する熱媒往き路との間にわたって設けられている請求項1又は2に記載の熱媒供給装置。
【請求項4】
前記ヒートポンプ加熱式熱交換器及びヒートポンプ用熱媒循環ポンプ等を備えたヒートポンプ装置が、前記給湯用熱交換器、バーナ加熱式熱交換器、膨張タンク、及び、暖房用熱媒循環ポンプ等を備えた給湯装置と別体に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱媒供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−108642(P2013−108642A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251875(P2011−251875)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】