説明

熱帯植物廃棄物、又は木質系廃棄物の処理方法と、そのリサイクル方法

【課題】 従来文献において、バイオマスが、カリウム等のアルカリ金属含有量が低いバイオマス炭(高品質の炭化物)の製造と、高品質の炭化物の竪型炉の燃料使用がある。バイオマスを、乾燥処理、軟化処理、又は細胞膜の破壞処理の何れかを選択し、その後に、水洗処理とバイオマス原料の乾留で、バイオマス炭を製造する方法と、このバイオマス炭を、竪型炉に吹き込み燃料とする。しかし、水洗処理で、カリウム等のミネラル混入水が生成されるとは考えられない。
【解決手段】 パーム椰子廃棄物を、蒸気蒸工程、切断(剪断)破砕工程、造粒工程、並びに乾燥工程、高熱処理し、炭化物と、タールと木酢水溶液(有機酸液)を含むガスに分留する高熱処理工程、高温炭化物を、有機酸液で冷却し、炭化物表面のカリウム、ナトリウム、マグネシウム等を除去した高品位の炭化物・有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム等を含む木酢水溶液を得る炭化物生成工程、分離工程で構成した熱帯植物廃棄物の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、野積みで廃棄されている熱帯植物廃棄物(木質系廃棄物を含む)の処理方法と、そのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱帯地方で栽培されている、例えば、パーム椰子、又はファルカタ、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブ等の熱帯植物は、昨今、CO2対策として植林されている。その理由は、「1」が、熱帯植物が高成長化と、「2」が、プランテーションで栽培されている(大規模工場生産の方式を取り入れて、熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、先住民や黒人奴隷等の安価な労働力を使って単一作物を大量に栽培する方法である「栽培方法とする」)。また、「3」が、熱帯植物は、油の抽出、食用果実として、その数量と多品質栽培が特徴である。
【0003】
このような栽培においては、熱帯植物の成長過程において、高成長時及び、果実を実らせて、油を作る時に大量のカリウムを必要とし、また、その果実の糖質を増すためには、大量のマグネシウムを必要とする。このような栽培方法では、土壌より、アルカリ金属を大量に吸収するため、早晩、3世代後(20〜45年)には、土壌が貧アルカリ金属化して熱帯植物が育たない状態(砂漠化)となることが知見される。そして、現実は、マレーシアにおけるパーム栽培では(パームプランテーション)では、年間120万トンの塩化カリウム(純度60%程度)を輸入し、カリウムを補っている。このパーム油価格の50〜60%は塩化カリウムの購入価格であり、パーム油価格は塩化カリウムの価格変動に連動し、高値が付いている。その一方で、このパーム油回収時に生じる空果房(EFB)は年間1,700万トン発生し、廃棄されて、土壌汚染している。
【0004】
上記の状況を基にして、カリウム換算すると、
輸入カリウム
1,200,000(t)×0.6(純度)×19/36(分子量)=380,000(t)
空果房(EFB)廃棄カリウム(空果実含有カリウムを3%とする。)
17,000,000(t)×0.03=510,000(t)
差し引き
510,000−380,000=130,000(t)
これを一般土壌面積に換算すると、(1m3 17kgのカリウムが含有され、深さ1mとすると)
130,000×1,000÷17=7,647,000(m2)
単純に空果房(EFB)と輸入塩化カリウムの差だけをみても年間7.6haが砂漠化しているのである。
【0005】
尚、56万トン(1,200,000×0.6×19/36×28/17)の塩害が毎年生じていることになる。
【0006】
これはカリウムを補っているパームプランテーションでの話であって、カリウムを補っていない植林地においては、貧アルカリ金属化による砂漠化面積は計り知れない。
【0007】
また、炭化物(バイオマス炭)におけるカリウム濃度低減を換算すると
炭化物を製造する過程において、原料時における脱カリウムの限界は0.48%前後と考えられる。
【0008】
この炭化物に残るカリウム量は
1,000(kg)×0.0048=4.8(kg)
炭化物の生成量は
1,000(kg)×0.25(生成率)=250(kg)
炭化物のカリウム含有量は
4.8(kg)÷250(kg)×100=1.92(%)(限界値と考えられる。)
そして、製鋼における炭化物(加炭材)として要求されるカリウム含有量は、0.5%以下である。従って、この炭化物において原料時に脱カリウムを行ってもあまり意味をもたないと考えられる。その理由は、アルカリ金属類はイオン化した状態で細胞液中に存在し、切断、破砕、蒸す等では細胞破壊が微少なため、細胞膜を介した浸透浸出でしか取り出すことができないためと考えられる。
【0009】
ところで生成された炭化物(カリウム含有量2.41%)を水又は酸にて水洗すると、次のような実験結果が判明した。


【0010】
尚、ここで酢酸を用いてテストを行ったのは炭化物において発生する有機酸(木酢水溶液)を念頭に置いた(代表的な代用物)ものであり、カリウム(アルカリ金属)を取込んだ有機酸(木酢水溶液)は有効な肥料として活用できることを考慮した。
【0011】
また、木酢水溶液により、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン等を抽出させた木酢水溶液肥料(有機液体肥料)は、有益である反面、例えば、ハンドリング、及びその組成成分の構成上、酸性に傾くという傾向がある。その他として、例えば、多雨の地域では、その土壌の多くは、酸性土壌となっている(その指標として、年間雨量が1,500mmを超える場所では、アルカリ成分「ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等」が洗い流されて、酸性化しているのが現状である)。このような状況の改善として、例えば、木酢水溶液の固形化が有益である。この固形化のために、廃材として、その処理が困っている、例えば、製鉄所で発生するスラグ、石炭火力発電所で発生するフライアッシュとか、又は生成された人工ゼオライトが有益である。その理由は、これらのスラグ、フライアッシュ、又は人工ゼオライトの主成分である酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)が、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)に変わる時、化学反応熱が発生し、水分を蒸発させ、固体化させるに有益である。また、このスラグ、フライアッシュの廃材を有効利用できること、また、その処理に困っていること、処理費を要すること、等の合理化、及び経済面での改良が図れることにある。
【0012】
そして、続いて、バイオマスの処理と、そのリサイクルシステム、或いは木酢水溶液の固形化に関する先行文献を挙げる。
【0013】
先ず、文献(1)は、特開2010−270320号公報の「バイオマスの洗浄方法と、バイオマス炭の製造方法、及び竪型炉の操業方法」がある。この発明は、バイオマスが、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属を含有することを考慮し、このアルカリ金属含有量が少ない(低い)バイオマス炭(高品質の炭化物)を製造することと、この高品質の炭化物を、竪型炉の燃料として使用することであり、その骨子は、バイオマスを、乾燥処理、軟化処理、又は細胞膜の破壞処理の何れかを選択し、その後に、水洗処理する方法と、この洗浄したバイオマス原料を乾留して、バイオマス炭を製造する方法と、このバイオマス炭を、竪型炉に吹き込み、燃料とする操業方法である。しかし、このような単純な方法で、バイオマス炭を製造しても、必ずしも、高品質のバイオマス炭が製造できるとは、考えられない。尚、[0023]において、次のような記載がある。「バイオマスの水洗に用いた水は、カリウム等のミネラルを高濃度で含有するため、肥料として用いることが好ましい。複数回の洗浄に用いた洗浄水は、例えばカリウムを数2〜3mass%含有するため、肥料として好適に用いることができる。バイオマスとして農業系、林業系バイオマスを用いる場合には、バイオマスの発生源の近くで水洗処理を行なうことで、運搬の費用をかけずに洗浄後の水を肥料として有効利用することが可能となる」。即ち、バイオマスの水洗に使用した水に混入した、高濃度のカリウム等のミネラルを、肥料として利用できることが開示されている。しかし、[0013]に記載の如く、単純に浸漬処理したバイオマスを水洗したことのみで、高濃度のカリウム等のミネラルを混入した水が、生成されることは一概に理解できないと考えられる。
【0014】
次に、文献(2)は、特開2007−260538号公報の「有機物廃棄処理システム」がある。この発明は、メタン発酵ガスを発電用燃料として、バイオマス等の有機性廃棄物を加熱して炭化処理し、炭化物と乾留ガスとを生成する炭化装置で、液状有機物と固体状有機物とに分離する。この液状有機物はメタン発酵装置を介して、メタン発酵ガスとして利用し、また、固体状有機物は炭化物として利用するシステムであって、メタン発酵装置、炭化装置、又は発電装置を適正に組合せたシステムとし、各装置の相互の特徴の利用と、欠点解消を図りつつ、環境に配慮した構造である。そして、明細書の[0067]において、次のような記載がある。「破過した炭化物は窒素分を多量に含むため、肥料として利用できる。又は炭化物にリン酸を重量パーセントで2%程度、若しくはそれ以上添着すると、アンモニア吸着量は添着なしに比べて10倍程度増加する。破過した炭化物は、リン分、窒素分を豊富に含むため、肥料として利用できる。炭化物により悪臭ガスを吸着する脱臭装置は、吸着により破過した炭化物を肥料として供給する肥料供給装置に用いる」。この炭化物に、他の処理を行うことで、肥料としての有効性を確保することを特徴とする。しかし、この発明は、[0067]に記載の如く、有効性を確保するには、例えば、リン酸の添加を要することから、手間とコストの上昇を招く等の改良点を抱えている。また、メタン醗酵において発生する廃液中には、例えば、大量のフミン体類(有機物分解中間体)、及び各種無機塩が含まれており、これらの除去には、活性炭除去、又は膜濾過という高コスト処理を行わなければならない。
【0015】
また、文献(3)は、特開2007−136396号公報の「廃棄物処理方法及び廃棄物処理装置」がある。この発明は、有機性廃棄物を加熱乾留する乾留炉で得られたガスと、このガスに含まれるタール、軽油、チャー及び有機性塩素化合物を、吸着塔において、乾留炉から得られた炭化物に接触・吸着し、ガスの精製と、炭化物の発熱量を向上させることであり、バイオマス等の有機性廃棄物を加熱乾留して得られたガスに含まれるタール、軽油、チャー、及びダイオキシン等の有機性塩素化合物の除去を、低コストで効率的に行い、かつ炭化物の有効利用を図る有機性廃棄物の有効利用である。しかし、この発明は、除去した、例えば、タール、軽油、チャー及び有機性塩素化合物の利用を図る構造でなく、資源が無駄となる問題点と、一部の改良に留まり、環境問題とか、環境面でのグローバルな改良とは考えられない。
【0016】
さらに、文献(4)は、特開2010−222475号公報の「バイオマスの利用方法」がある。この発明は、バイオマスを乾留して製造したバイオマス炭を、製鉄プロセスで使用する方法であって、粉砕したバイオマス粉砕物と、鉄分含有物質を粉砕して鉄分含有物質粉砕物とを混合して混合物を生成し、混合物を乾留してバイオマス炭と炭素析出鉄分含有物質との混合物である混合乾留物を製造する。そして、この混合乾留物を製鉄プロセスで使用する構造である。従って、バイオマスの有機性廃棄物の有効利用と、低品位の鉄鉱石を改質を図ること、並びに有機性廃棄物の弊害解消を図ること、又は燃料費の軽減化を図ること等にある。しかし、この発明は、[0041]に記載の如く、「バイオマスと鉄分含有物質との混合物を乾留する際に、事前に破砕され、混合されたバイオマスおよび鉄分含有物質をロータリーキルン本体に供給する。」構造である。従って、この発明では、バイオマスの単独での使用でなく、鉄分含有物質を使用する構造となり、単純なバイオマスの使用に比し、コストの上昇と、工程の複雑化を招来する改良点が考えられる。
【0017】
また、文献(5)は、特開2011−50934号公報の「水質浄化及び水産資源育成用の固形物」がある。この発明は、鉄又は鉄酸化物若しくは鉄化合物が主成分である物質が、例えば、製鉄スラグ、砂鉄又は鉄鉱石の何れかで、この物質と炭素との混合物に、鉄イオン封鎖のためのキレート剤として、クエン酸、酢酸又は木酢液の何れかを添加する構造であり、[請求項1]、[請求項3]、[請求項5]と、明細書の[0035]に記載されている。この発明は、製鉄(高炉)スラグ、フライアッシュ等は、本来、セメントの基となる。そして、これらに水を添加することで、この製鉄(高炉)スラグ、フライアッシュ等に含まれる水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウムが締結剤の働きをすることにある。
【0018】
文献(6)は、特開2003−62598号公報の「汚泥状廃棄物の処理方法」がある。この発明は、汚泥状廃棄物にセメント等の固形物、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末等の混和材料を添加・混合し、固形化する構造であり、原則として、前記文献(5)と略同じである。しかし、木酢水溶液を使用することの開示はない。
【0019】
【特許文献1】特開2010−270320号公報
【特許文献2】特開2007−260538号公報
【特許文献3】特開2007−136396号公報
【特許文献4】特開2010−222475号公報
【特許文献5】特開2011−50934号公報
【特許文献6】特開2003−62598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
以上で説明した、文献(1)〜(4)は、前述した、それぞれの問題点と改良点を抱えていること、また、バイオマス等の有機性廃棄物(熱帯植物廃棄物)の有効利用、及び/又は、リサイクル化と、並びに環境維持に関して、改良の用途が考えられる。
【0021】
また、文献(5)は、製鉄スラグ、フライアッシュ等は、本来、セメントの基となるもので、これらに水を添加することで、製鉄スラグ、フライアッシュ等に含まれる水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウムが締結剤の働きをすることにある。これに強度を増すため、砂利、砂等を混錬してモルタルを製造するものであり、木酢水溶液を使用する用途が異なる。また、文献(6)は、木酢水溶液を使用せず、単に、汚泥状廃棄物にセメント等の固形物、フライアッシュ等を添加して固形化することに留まる。
【0022】
殊に、本発明が意図する、前述した、土壌汚染と砂漠化に関しての先行文献とは考えられない。そこで、本発明は、下記の数点を目的とする。
1) CO2対策として、熱帯地方で栽培されている、例えば、パーム椰子、又はファルカタ、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブ等の熱帯植物を、有効利用して生成した炭化物を、プランテーション栽培(大規模工場生産の方式を取り入れて、熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、先住民や黒人奴隷等の安価な労働力を使って単一作物を大量に栽培する方法)に使用すること、又は油の抽出、食用果実として、その数量と多品質栽培の特徴を利用し、土壌の砂漠化防止と、肥沃化を確保すること(地球の全ての環境維持、さらに、農業先進国である日本の優良農家と同様に、有機酸カリウム(木酢液:木酢水溶液)を使用し、生産性、安全性等の向上と、塩害の低減等に役立てること、
2) 炭化装置から排出する炭化物(高温)を有機酸液(木酢水溶液)で冷却し、炭化物の表面に付着しているカリウム、ナトリウム、マグネシウム、及び、リン等を除去し、高品位の炭化物を得ること、
3) 油分除去、及び、燃料として使用するときに炉壁障害となる、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、及び、リン酸等を、浸透圧を利用して除去した後に発生する有機酸液(木酢水溶液)を使用することにより、この油分除去効果を図り、かつ燃料として使用するときに炉壁障害を少なくすること、
4) 乾燥機では、炭化装置の負荷を抑えるために、含水率10%〜15%程度、望ましくは、10%〜12%程度まで乾燥すること、又は熱源は、炭化装置で発生する廃熱を利用すること、
5) 外熱式炭化装置にて炭化熱源燃料としては、炭化排ガス(乾留ガス)の分留で取り出せるタール、又は希ガスを利用すること、
6) 炭化物を選択して利用する、例えば、燃料炭として利用であれば、そのままとすること(高タールにて高熱量が得られる)、また、還元炭として利用であれば、再度、高温処理し、低タール炭とすること、さらには、吸着剤として利用であれば、蒸気賦活を行い、多ポーラス炭(活性炭)とすること、
7) 有酢酸液(木酢水溶液)により、分留ガスを冷却装置による処理した際に生成される、ガス燃料と、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩等の肥料成分は、植物の吸収に最も優れ、市販肥料のような塩害等を無くすこと、
8) カリウム肥料に関しては、通常、流通と取扱いが問題となり、個々に取引割合が決められている。この流通と取扱いの対象は、塩化カリウム(70%〜80%)、硫酸カリウム(10%〜15%)、硝酸カリウム(5%〜10%)、有機酸カリウム(5%以下)である。また、その数値は、植物の吸収度合い、安全性を考慮すると、有機酸カリウム>硝酸カリウム>硫酸カリウム>塩酸カリウムの順序が望ましいことに鑑み、本発明は、この順位を確保すること、
9) 木酢水溶液の固形化と、炭化工程より作られた木酢水溶液(液体有機肥料)のハンドリングとその脆弱性(酸性毒の発生)を回避するために、現状産業廃棄物化中の捌け口がない、例えば、高炉スラグ(スラグ)、フライアッシュ等を有効利用とすること、例えば、木酢水溶液を、固形化した(木酢水溶液)肥料とする。そのために、PH4.8以下で現れる酢酸酸毒性を中和することを目的に、スラグ、フライアッシュ、又は人工ゼオライトは有効な中和剤、及び/又は、乾燥剤となる(尚、使用pHは、その数値を、8〜10に調整するが、好ましくは、スラグ等のpHは、数値を12前後なので、このスラグ等に、木酢水溶液の分量を、適宜、検討しながら、調整する)。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1の発明は、1)〜8)を総括して達成する。
【0024】
請求項1は、パーム椰子の殻(PKS)、空果房(EFB)、パーム椰子の剪定枝、パーム椰子の古木、又はファルカタの殻、樹皮(バーク)、ファルカタの剪定枝、ファルカタの古木、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブの樹皮(バーク)、その他、木質チップ取得後の心材、剪定枝、或いはバナナの空果房、バナナの剪定枝、バナナの葉、バナナの古木、又はパイナップル、大豆の草部分でなる熱帯植物の廃棄物、又は木片、木皮の木質系廃棄物を原料とし、この原料を、蒸気釜(乾燥機との併用)により蒸し、後の破砕・水浸水洗・乾燥効率を上げるための蒸気蒸工程と、
この蒸し上り原料を、破砕機で、望ましくは、100mm長程度に切断破砕し、粒子原料を生成する切断(剪断)破砕工程と、
この粒子原料を、所定の大きさに造粒し、造粒原料を生成する造粒工程と、
この造粒原料を、乾燥機で乾燥し、かつ木酢水溶液のガス化を促進する乾燥工程と、
この乾燥済み造粒原料を炭化炉に導き、高熱処理して、炭化物と、タールと木酢水溶液(有機酸液)を含有するガスに分留する高熱処理工程と、
この高温の炭化物を、有機酸液(木酢水溶液)で冷却し、炭化物の表面に付着しているカリウム、ナトリウム、マグネシウム、リンを除去した高品位の炭化物と、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を得る炭化物生成工程と、
前記タールを含有するガスを冷却処理し、ガス燃料と、タール燃料とに分離処理する分離工程と、
で構成した熱帯植物廃棄物(木質系廃棄物を含む)の処理方法である。
【0025】
請求項2の発明は、4)を主体として達成する。
【0026】
請求項2は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
前記乾燥機による乾燥工程において、炭化炉での負荷を抑えるために、含水率10%〜15%程度まで乾燥する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法である。
【0027】
請求項3の発明は、3)を主体として達成する。
【0028】
請求項3は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
前記ガスを冷却装置で冷却処理し、ガス燃料と、木酢水溶液、又はタール燃料とに分離処理する分離工程において、油分除去、及び、燃料として使用するときに炉壁障害となる、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を浸透圧と、木酢水溶液とを利用して効率的に除去する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法である。
【0029】
請求項4の発明は、7)、8)を主体として達成する。
【0030】
請求項4は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料(その他として、例えば、珪藻土、生石灰に吸着させて、粉体肥料とするも可能であり、有用性が考えられる。以下、同じ)として、土壌に散布、浸漬、又は施す構成とした熱帯植物廃棄物のリサイクル方法である。
【0031】
請求項5の発明は、8)を主体として達成する。
【0032】
請求項5は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料(その他として、例えば、珪藻土、生石灰に吸着させて、粉体肥料とするも可能であり、有用性が考えられる。以下、同じ)として、土壌に散布、浸漬、又は施し、もって、植物の吸収に最も優れ、市販肥料の塩害を生じない構成とした熱帯植物廃棄物のプランテーションとしてのリサイクル方法である。
【0033】
請求項6の発明は、5)、6)を主体として達成する。
【0034】
請求項6は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された炭化物を、燃料炭としてはそのまま利用(高タールにて高熱量が得られる)するか、又は還元炭としての利用であれば、再度、高温処理し、低タール炭とするか、或いは吸着剤としての利用であれば、蒸気賦活を行い、多ポーラスの活性炭とするかを、選択可能とする構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法である。
【0035】
請求項7の発明は、1)〜9)を主体として達成する。
【0036】
請求項7は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された木酢水溶液に、中和剤、及び/又は、乾燥剤として役立つ、スラグ、フライアッシュ、又は人工ゼオライトの材料の何れか一つ、又は二つ以上を添加し、PH調整と、固形化を図る構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法である。
【発明の効果】
【0037】
請求項1の発明は、パーム椰子の殻(PKS)、空果房(EFB)、パーム椰子の剪定枝、パーム椰子の古木、又はファルカタの殻、樹皮(バーク)、ファルカタの剪定枝、ファルカタの古木、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブの樹皮(バーク)、その他、木質チップ取得後の心材、剪定枝、或いはバナナの空果房、バナナの剪定枝、バナナの葉、バナナの古木、又はパイナップル、大豆の草部分でなる熱帯植物の廃棄物、又は木片、木皮の木質系廃棄物を原料とし、この原料を、蒸気釜(乾燥機との併用)により蒸し、後の破砕・水浸水洗・乾燥効率を上げるための蒸気蒸工程と、
蒸し上り原料を、破砕機で、望ましくは、100mm長程度に切断破砕し、粒子原料を生成する切断(剪断)破砕工程と、
粒子原料を、所定の大きさに造粒し、造粒原料を生成する造粒工程と、
造粒原料を、乾燥機で乾燥し、かつ木酢水溶液のガス化を促進する乾燥工程と、
乾燥済み造粒原料を炭化炉に導き、高熱処理して、炭化物と、タールと木酢水溶液(有機酸液)を含有するガスに分留する高熱処理工程と、
高温の炭化物を、有機酸液(木酢水溶液)で冷却し、炭化物の表面に付着しているカリウム、ナトリウム、マグネシウム、及び、リンを除去した高品位の炭化物と、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を得る炭化物生成工程と、
タールを含有するガスを冷却処理し、ガス燃料と、タール燃料とに分離処理する分離工程と、
で構成した熱帯植物廃棄物の処理方法である。
【0038】
従って、前記1)〜8)の意図を達成できる。
【0039】
請求項2の発明は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
乾燥機による乾燥工程において、炭化炉での負荷を抑えるために、含水率10%〜15%程度まで乾燥する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法である。
【0040】
従って、請求項2は、前記4)の意図を達成できる。
【0041】
請求項3の発明は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
ガスを冷却装置で冷却処理し、ガス燃料と、木酢水溶液、又はタール燃料とに分離処理する分離工程において、油分除去、及び、燃料として使用するときに炉壁障害となる、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を浸透圧と、木酢水溶液とを利用して効率的に除去する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法である。
【0042】
従って、請求項3は、前記3)の意図を達成できる。
【0043】
請求項4の発明は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料として、土壌に散布、浸漬、又は施す構成とした熱帯植物廃棄物のリサイクル方法である。
【0044】
従って、請求項4は、前記7)、8)の意図を達成できる。
【0045】
請求項5の発明は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料として、土壌に散布、浸漬、又は施し、もって、植物の吸収に最も優れ、市販肥料の塩害を生じない構成とした熱帯植物廃棄物のプランテーションとしてのリサイクル方法である。
【0046】
従って、請求項5は、前記8)の意図を達成できる。
【0047】
請求項6は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された炭化物を、燃料炭としてはそのまま利用(高タールにて高熱量が得られる)するか、又は還元炭としての利用であれば、再度、高温処理し、低タール炭とするか、或いは吸着剤としての利用であれば、蒸気賦活を行い、多ポーラスの活性炭とするかを、選択可能とする構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法である。
【0048】
従って、請求項6は、前記5)、6)の意図を達成できる。
【0049】
請求項7の発明は、請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された木酢水溶液に、中和剤、及び/又は、乾燥剤として役立つ、スラグ、フライアッシュ、又は人工ゼオライトの材料の何れか一つ、又は二つ以上を添加し、PH調整と、固形化を図る構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法である。
【0050】
従って、請求項7は、前記1)−9)の意図を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】熱帯植物廃棄物の処理方法の一例を示したフローチャート
【図2−1】図1をA方向より視た(A視した)部分フローチャート
【図2−2】図1をB方向より視た(B視した)部分フローチャート
【図2−3】図1をC方向より視た(C視した)部分フローチャート
【図2−4】図1をD方向より視た(D視した)部分フローチャート
【図3】熱帯植物廃棄物の処理方法の一例を示した工程図
【図4】熱帯植物廃棄物の処理方法で生成された産物(炭化物)の活用の一例を示したフローチャート
【図5】熱帯植物廃棄物の処理方法であって、炭化物(木質燃料)の生成工程の一例を示したフローチャート
【図6−1】原料の一種であるパーム椰子の樹木と実を示した模式図
【図6−2】図6−1に示したパーム椰子の実を示した模式図
【図6−3】図6−1に示したパーム椰子の空果房を示した模式図
【図6−4】空果房が野積みされている状況を示した問題の模式図
【図6−5】空果房が野積みされて問題が発生している状況を示した問題の模式図
【図7】熱帯植物廃棄物の処理方法であって、CO2及び環境(熱帯雨林、プランテーション再生)対策スキームの工程の一例であり、その中で、肥料の液状化、又は固形化を示した工程図
【図8−1】固形化した肥料の製作の一例を示した概念図
【図8−2】固形化した肥料を示した概念図
【図8−3】固形化した肥料を、粒状化して、運搬時の簡便化と、使用を意図した一例の概念図
【発明を実施するための形態】
【0052】
図において、1は原料で、この原料1は、例えば、パーム椰子の殻(PKS)、空果房(EFB)、パーム椰子の剪定枝、パーム椰子の古木、又はファルカタの殻、樹皮(バーク)、ファルカタの剪定枝、ファルカタの古木、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブの樹皮(バーク)、その他、木質チップ取得後の心材、剪定枝、或いはバナナの空果房、バナナの剪定枝、バナナの葉、バナナの古木、又はパイナップル、大豆の草部分でなる熱帯植物の廃棄物、又は木片、木皮の木質系廃棄物であり、この例では、図1に示した、パーム椰子で説明する。
【0053】
図において、原料1はヤード2に備蓄されており、従来の如く、野積みでなく、土壌の汚染は回避される。殊に、雨季の際における土壌への染込みの回避と、土壌汚染の拡大回避とが図れる。そして、この原料1は、蒸気釜3(乾燥機との併用)により蒸し処理する蒸気蒸工程がある。この蒸気蒸工程は、後の破砕・水浸水洗・乾燥効率を上げるための工程である。
【0054】
そして、この蒸し上り原料1aを、破砕機5で、望ましくは、100mm長程度に切断(剪断)破砕することで、粒子原料100が生成される(切断破砕工程)。
【0055】
この粒子原料100は、造粒工程に至り、その造粒機6により、所定の大きさに造粒し、造粒原料101を生成する(造粒工程)。この造粒原料101は、コンベヤ、スクリュー等の搬送手段7で、次の工程に、順次、搬送される。
【0056】
図中8は乾燥工程の乾燥炉で、この乾燥炉8には、後述する炭化炉12より分留して生成された高温ガスによる熱源が、流路(配管)10を介して、供給され、熱源の効率的な利用が図れる。図中11は流路10中に設けた熱交換器である。尚、この熱交換器11には、後述する排ガス冷却装置31で生成されたタール21を燃料として、バーナーで始動する熱風発生炉30の熱風も送られる。
【0057】
この乾燥炉8より排出される乾燥済み造粒原料101aは、搬送手段7を利用して、本発明のポイントとなる高熱処理・炭化物生成・分離工程を担う炭化炉12に送られる。この炭化炉12の内壁には、スクリューを備えており、その入口側から出口側に向って、順次、低速、又は高速の如く、スピード調整して乾燥済み造粒原料101aが送られる。また、この炭化炉12は外熱式であり、例えば、加熱ガス発生炉13(バーナー、ブロワ方式)方式、又はタール(燃料)燃焼方式等を採用する。この加熱ガス発生炉13では流路1300を利用して、炭化炉12に高温ガスを供給する。その際、後述する排ガス冷却装置31で生成されたタール21を燃料とすることができる。また、このタール燃焼方式は、リサイクルであり有益であり、かつ燃焼コストの低廉化、設備の有効利用・簡略化と、搬送の省力化等に寄与できる。この炭化炉12により、高熱処理して、木酢水溶液22(有機酸液)を含有する炭化物18と、タール21と木酢水溶液22を含有するガス23とに分留する。この乾燥炉8の高熱処理工程において、略120℃で熱分解が発生する。この熱分解の過程で、木酢水溶液22のガス化が発生することで、このガス化の促進が図れ、かつガス化を早期に生成することが、この高熱処理工程の特徴の一つである。この高熱処理工程で細胞破壊(熱分解(焼却、炭化)を行うことで、例えば、アルカリ金属類、第2族類、リン(リン酸)等の除去ができる。具体的には、乾燥済み造粒原料101aに存在する、アルカリ金属類(ナトリウム(Na)、カリウム(K)等)、第2族類(マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等)、リン(リン酸(リン酸(H2PO4))等は細胞内液中にイオン化して存在していることから、この熱分解による抽出が有効である。尚、これらの除去は、浸透圧除去も可能であるか、効果が期待できない。尚、他の方法として、例えば、生物分解(腐敗、醗酵)、化学分解(薬品溶融)等も可能であるが、時間と処理スペースが必要となること等の問題を抱えている。
【0058】
続いて、この木酢水溶液22を含有する炭化物18は、流路25を介して、斜設したスクリューフィダー26(分離機)に送り、かつこのスクリューフィダー26のスクリュー2600で下から上に搬送する過程で、水冷、水、及び/又は、比重分離、透過等の手段で分離し、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液22と、炭化物20とに区分し、それぞれの場所に貯留する。尚、炭化物20を、備蓄、又はこの過程で生成された木酢水溶液22を冷却し、その表面に付着しているカリウム、ナトリウム、マグネシウム、及び、リンを除去し、高品位の炭化物20を得ることが最適である。
【0059】
尚、前記の如く、タール21を含有するガス23は、流路27を介して、ジャケット28に送り、一部はタール21を含有するガス23(タールガス)として、熱交換器11で利用され、残りは、前記排ガス冷却装置31(タールクーラ)に導かれる。ここで、タール21と希ガス燃料2300とに比重分離される。そして、このタール21は、前記加熱ガス発生炉13の燃料とし利用することもできるし、また、他の燃料としての利用も考えられる。また、この希ガス燃料2300は、流路33を介してクーラーコンデンサー32に導かれ、さらに木酢水溶液22に分離された後、それぞれの流路(符号付さず)を介して、前記スクリューフィダー26や所定の場所に送られ、再利用と、各処理工程に循環利用することもできるし、また、別の箇所で木酢水溶液22としての利用とかが考えられる。また、上水34を、スクリューフィダー26や冷却水として利用する。
【0060】
図中35はフィルターを示す。
【0061】
そして、図3は、熱帯植物廃棄物の処理方法の一例を示した工程図であり、順次、その流れを説明すると、ST−1において、原料1を蒸気釜3で蒸し上げる。そして、ST−2の如く、破砕機5により蒸し上り原料1aを破砕することで、粒子原料100になる。この粒子原料100は、ST−3の如く、造粒機6において、造粒粒子101に変換される。この造粒粒子101は、ST−4の如く、乾燥炉8において、乾燥済み造粒粒子101aが生成される。この乾燥済み造粒粒子101aは、ST−5の如く、炭化炉12において、高熱処理して、木酢水溶液22を含有する炭化物18と、タール21と木酢水溶液22(有機酸液)を含有するガス23とに分留する。この分留で、木酢水溶液22を含有する炭化物18と、タール21と木酢水溶液22(有機酸液)を含有するガス23とに区分される。その後、ST−6の如く、排ガス冷却装置31において、タール21と希ガス燃料2300、並びに木酢水溶液22とに比重分離される(ST−7a〜ST−7c参照)。また、前記木酢水溶液22を含む炭化物18は、ST−8・9a・9bの如く、スクリューフィダー26に送り、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液22と、炭化物20とに区分する。このルートを基本形とする。そして、必要により、破砕機5において、ST−10の如く、炉壁障害回避を意図して、カリウムの除去を意図し、水浸水洗(水浸式脱カリ処理)37をした後、このST−11の如く、脱水機36で処理し、脱水済み粒子原料100aを、造粒機6に導くルートもあり得る。
【0062】
また、図4は、熱帯植物廃棄物の処理方法で生成された産物(炭化物)の活用の一例を示したフローチャートであり、例えば、原料1より生成される有用物は、油、チップと薬剤であり、この有用物生成の基となる廃棄物(原料1)は、前記の通りであり、その代表物が示されている。この原料1を前述した各工程と、図3に示した工程図により、炭化物20として、例えば、燃料・還元剤・脱臭剤・中和剤・土壌改良剤・肥料等として利用する。又は希ガス燃料2300、タール21の液体燃料とか、木酢水溶液22(有機酸液)、又は液体肥料としての有機酸カリウム・有機酸ナトリウム・有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を析出する。そして、この産物で、例えば、廃棄物の野積み等による土壌汚染回避、貧カリウム・アルカリ金属化等による砂漠化回避と、液体肥料(前述の、課題を解決するための手段と同じ)の場合には、浸透性の向上と、土壌の肥沃化等と、防虫、防菌剤として役立つこと(中和なしの場合が好ましく、例えば、細菌、真菌、線虫に有効と考えられる)、環境維持の確保、並びに国益・経済の向上を図ること、等を意図する。また、この液体肥料(前述の、課題を解決するための手段と同じ)を付与する時期は、従来の方法と同様であり、従来の慣習が確保でき有益かつ重宝する。
【0063】
さらに、図5は、熱帯植物廃棄物の処理方法であって、炭化物(木質燃料)の生成工程の一例を示したフローチャートであり、前述した各工程を図解し、より理解を得やすくすることを目的とする。
【0064】
また、図6−1は、原料1の一種であるパーム椰子の樹木と実を示した模式図から、図6−2において、そのパーム椰子の実を示した模式図、並びに図6−3において、パーム椰子の空果房を示した模式図であり、これらのパーム椰子の樹木と実を、熱帯植物廃棄物とする。そして、図7は、この熱帯植物廃棄物の処理方法であって、CO2及び環境(熱帯雨林、プランテーション再生)対策スキームの工程の一例を示した工程図である。図において、電炉メーカーに対して、炭化物20を、例えば、加炭材料として提供可能な状況である。また、バイオ発電会社、製紙会社、セメント会社等に対して、炭化物20を、例えば、燃料用として提供可能な状況である。さらに、製鉄会社、高炉会社等に対して、炭化物20を、例えば、コークス代用として提供可能な状況である。以上の如く、熱帯植物(バイオマス)廃棄物には、種々の分野での利用が可能となったが、最も、必要で有益な使用方法が、前述した、廃棄物の野積み等による土壌汚染回避、貧カリウム・アルカリ金属化等による砂漠化回避と、土壌の肥沃化等と、環境維持の確保の分野と、これに纏わる雇用分野、又は国家の繁栄とかが考えられる。尚、乾燥工程で、木酢水溶液22がガス化して生成されることと、冷却することで、目的とする木酢水溶液22が製造されることが示されている。
【0065】
尚、前述の通り、アルカリ金属類、第2族類、及びリンを抽出溶解(中和)して生成された木酢水溶液22を、有機肥料として使用することの注意点等は、下記のことが考えられる。
「あ」 木酢水溶液(有機酸液)により、アルカリ金属類、第2族類、及びリンを抽出し、かつリン酸との置換が図れる。
「い」 他地域からの異物の流入(化学肥料等)を防ぐことにより、土壌劣化を防げる。
「う」 肥料の3大要素(窒素・リン酸・カリウム)の内、リン酸・カリウムを補うことが出来る。(パーム椰子農園において、窒素固定菌の存在が確認出来ているので、窒素を補う必要がないことも考えられる。また、豆類の作付けにより窒素固定菌の増殖を図る等の農業指導が必要の場合も発生する。
「え」 酢酸塩を使用する時は、アルカリ領域を確保する、アジア、熱帯地域の土地は、一般的に酸性土壌であることが理由である。さらに、酸性土壌を、アルカリ領域とするためには、例えば、炭、石灰等で中和することが望ましい。
【0066】
そして、図8−1〜図8−3は、液体肥料に代わり、固形化した肥料を製作する好ましい一例を示したものであり、例えば、図8−1の如く、箱40(収容物)内に収容した所定量の紛体状のスラグ、フライアッシュ等の材料41に、常温状態の木酢水溶液22を、所定量添加する。そして、数時間を経過することで、ブロック状に固まり、固形化した肥料42(固形肥料)が生成される。その他として、図示しないが、トロンメル(円筒回転式送り装置)でスラグ、フライアッシュ等の材料41を搬送し、この搬送中に木酢水溶液22を滴下する方法(回転速度と送り時間により、粒径が規定できる)等が考えられる。さらに、図示しないが、造粒機を利用して、当初より、粒径化することも可能であり、その方法は、箱40の例に準ずる。
【0067】
この固形化した肥料42をそのまま保管、運搬する例と、この固形化した肥料42を、図示のシリンダー駆動式の破砕機45を利用して、所定の粒径とするか、又は遠心解砕機等を利用して、所定の粒径肥料42aとする。この固形化は、前述の如く、ハンドリング(保管と取扱の容易化)と、その脆弱性(酸性毒の発生、又は肥料の変質)を回避すること、又は長期保存の確保、等にある。尚、固形化した肥料42の固形化の大小、又は粒径肥料42aの粒状化の最適粒径は使用条件(場所、降雨量等)により使い分けが必要で、実施状況に合わせる。
【0068】
そして、前述した実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の熱帯植物廃棄物の処理方法は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0069】
1 原料
1a 蒸し上り原料
100 粒子原料
100a 脱水済み粒子原料
101 造粒原料
101a 乾燥済み造粒原料
2 ヤード
3 蒸気釜
5 破砕機
6 造粒機
7 搬送手段
8 乾燥炉
10 流路
11 熱交換器
12 炭化炉
13 加熱ガス発生炉
1300 流路
18 木酢水溶液を含有する炭化物
20 炭化物
21 タール
22 木酢水溶液
23 ガス
2300 希ガス燃料
25 流路
26 スクリューフィダー
2600 スクリュー
27 流路
28 ジャケット
30 熱風発生炉
31 排ガス冷却装置
32 クーラーコンデンサー
33 流路
34 上水
35 フィルター
36 脱水機
37 水浸水洗
40 箱
41 材料
42 固形化した肥料
42a 粒径肥料
45 破砕機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーム椰子の殻(PKS)、空果房(EFB)、果肉ファイバー、パーム椰子の剪定枝、パーム椰子の古木(トランク)、又はファルカタの殻、樹皮(バーク)、ファルカタの剪定枝、ファルカタの古木、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブの樹皮(バーク)、その他、木質チップ取得後の心材、剪定枝、或いはバナナの空果房、バナナの剪定枝、バナナの葉、バナナの古木、又はパイナップル、大豆の草部分でなる熱帯植物の廃棄物、又は木片、木皮の木質系廃棄物を原料とし、この原料を、蒸気釜(乾燥機との併用)により蒸し、後の破砕・水浸水洗・乾燥効率を上げるための蒸気蒸工程と、
この蒸し上り原料を、破砕機で、望ましくは、100mm長程度に切断破砕し、粒子原料を生成する切断(剪断)破砕工程と、
この粒子原料を、所定の大きさに造粒し、造粒原料を生成する造粒工程と、
この造粒原料を、乾燥機で乾燥し、かつ木酢水溶液のガス化を促進する乾燥工程と、
この乾燥済み造粒原料を炭化炉に導き、高熱処理して、炭化物と、タールと木酢水溶液(有機酸液)を含有するガスに分留する高熱処理工程と、
この高温の炭化物を、有機酸液(木酢水溶液)で冷却し、炭化物の表面に付着しているカリウム、ナトリウム、マグネシウム、及び、リンを除去した高品位の炭化物と、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を得る炭化物生成工程と、
前記タールを含有するガスを冷却処理し、ガス燃料と、タール燃料とに分離処理する分離工程と、
で構成した熱帯植物廃棄物の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
前記乾燥機による乾燥工程において、炭化炉での負荷を抑えるために、含水率10%〜15%程度まで乾燥する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において、
前記ガスを冷却装置で冷却処理し、ガス燃料と、木酢水溶液、又はタール燃料とに分離処理する分離工程において、油分除去、及び、燃料、若しくは還元炭として使用するときに炉壁障害となる、有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を浸透圧と、木酢水溶液とを利用して効率的に除去する構成とした熱帯植物廃棄物の処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料として、土壌に散布、浸漬、又は施す構成とした熱帯植物廃棄物のリサイクル方法。
【請求項5】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された有機酸カリウム、有機酸ナトリウム、有機酸マグネシウム、及び、リン酸塩を含有する木酢水溶液を、有効な液体肥料として、土壌に散布、浸漬、又は施し、もって、植物の吸収に最も優れ、市販肥料の塩害を生じない構成とした熱帯植物廃棄物のプランテーションとしてのリサイクル方法。
【請求項6】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された炭化物を、燃料炭としてはそのまま利用(高タールにて高熱量が得られる)するか、又は還元炭としての利用であれば、再度、高温処理し、低タール炭とするか、或いは吸着剤としての利用であれば、蒸気賦活を行い、多ポーラスの活性炭とするかを、選択可能とする構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法。
【請求項7】
請求項1に記載の熱帯植物廃棄物の処理方法において生成された木酢水溶液に、中和剤、及び/又は、乾燥剤として役立つ、スラグ、フライアッシュ、又は人工ゼオライトの材料の何れか一つ、又は二つ以上を添加し、PH調整と、固形化を図る構成とした熱帯植物廃棄物の炭化物としてのリサイクル方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公開番号】特開2012−228683(P2012−228683A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115604(P2011−115604)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【特許番号】特許第4849650号(P4849650)
【特許公報発行日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(591134122)JFE商事株式会社 (1)
【出願人】(511091988)
【Fターム(参考)】