説明

熱式ガスセンサ

【課題】熱伝導率の変化に基づいたガス分析が可能な、高応答で高精度の熱式ガスセンサを提供することである。
【解決手段】空洞部5を有する基板2と、空洞部に積層され、複数の絶縁層8a,8bから構成される薄膜支持体6と、薄膜支持体の絶縁層に挟持された第1の発熱体3および第2の発熱体4とを有し、第2の発熱体は第1の発熱体の周辺に配置され、第1の発熱体は第2の発熱体よりも高温に制御され、第1の発熱体に印加される電力に基づいて周囲ガスの濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測ガスの熱伝導の変化からガスの成分を測定する熱式ガスセンサに関わる。
【背景技術】
【0002】
熱式ガスセンサは、ガスの熱伝導の変化を用いてガス分析を行うために使われ、ガスの熱伝導の変化はガス中に晒された発熱体の放熱量により測定される。
【0003】
熱式ガスセンサは、種々の技術分野で使用されており、自動車用の内燃機関等においては低燃費化を図るために、吸入空気の流量,温度,圧力に加え湿度等の環境状態を高精度に計測することが求められている。また、上記センサは、水素を燃料とする自動車用の内燃機関において水素濃度を検出することで最適に内燃機関を運転させるためにも使用される。
【0004】
上記のような湿度や、ガスの濃度を計測するガスセンサとしての熱式ガスセンサは、水分の吸収がなく、汚損などの耐環境性や長期安定性に優れている。このような熱式ガスセンサの先行技術文献として、特許文献1(特許第2889909号公報)には、雰囲気中において加熱される抵抗体の抵抗値の変化に基づいて、抵抗変化が雰囲気温度のみに影響される低温度と抵抗変化が雰囲気の温度および湿度に感応する高温度にて、抵抗体両端に生ずる高温度における電圧から低温度における電圧を比較して湿度を検知する湿度センサが開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特許第3343801号公報)には、発熱体により感温抵抗体を加熱する加熱手段を有し、この加熱手段は発熱体に対して一定時間内に2つのパルス電圧を順番に印加することにより、感温抵抗体の温度を300℃以上の第1の温度と100℃〜150℃の第2の温度とに切り替え、それぞれの感温抵抗体の電圧降下に関連する出力電圧から湿度を検知する湿度センサが開示されている。
【0006】
上記の特許文献1および2に開示された湿度センサでは、同一の発熱体または感温抵抗体を低温度(第2の温度)と高温度(第1の温度)に時分割に加熱する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2889909号公報
【特許文献2】特許第3343801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このように時分割で同一の発熱体または感温抵抗体を加熱する構成では、省電力という利点はあるが、異なる温度に発熱体または感温抵抗体を加熱および自然冷却するための時間が必要となり応答速度が遅いという課題がある。
【0009】
特に、内燃機関の吸入空気の湿度計測では、燃料噴射時間等の瞬時計算に用いられる重要なデータとなることから即時性が求められる。このような応用に対して、特許文献1および2に開示された従来の湿度センサは応答速度が課題となる。
【0010】
また、従来は第1の温度と第2の温度での感温抵抗体の電圧降下に関連する出力電圧と、あらかじめ測定した感温抵抗体の抵抗値などの種々のパラメータを用いた演算により湿度に応じた信号を得ている。これは、ガスの温度変動による影響を補正するためである。そのため、長期間使用することにより感温抵抗体の抵抗値が劣化することで、パラメータに誤差が生じ、演算誤差が増大するという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記の従来例の課題を解決し、種々の環境条件の下で使用可能な、高応答で高精度の熱式ガスセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の熱式ガスセンサは基板の空洞部に薄膜支持体を形成し、該薄膜支持体に第1の発熱体と第2の発熱体を形成し、該第2の発熱体は該第1の発熱体の周辺に配置され、該第1の発熱体は該第2の発熱体よりも高温に制御され、前記第1の発熱体の加熱電力に基づいて周囲ガスの状態を測定する。これによりガスの熱伝導の変化を検出する第1の発熱体の周辺の温度は、第2の発熱体により所定の温度に保持することができる。すなわち、ガス温度の変動による影響を低減することができ、発熱体を異なる温度に時分割に加熱する必要がなく応答速度も早くすることができる。
【0013】
さらに、前記第2の発熱体は、前記第1の発熱体の四方を取り囲むように形成され、前記第2の発熱体が敷設される面積が、前記第1の発熱体が敷設される面積よりも広く形成する。これにより、第1の発熱体の近傍のガスの温度をより安定的に所定の温度に保つことができ、高精度化が図れる。
【0014】
さらに、前記第1の発熱体の温度と前記第2の発熱体の温度の差が一定温度となるように加熱制御する。これにより、高精度にガスの熱伝導率の変動に伴う第1の発熱体の放熱量を変化を検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスの温度変動による影響を低減し、高応答で高精度な熱式ガスセンサが得られる。また駆動回路の簡略化を図ることができ信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施例を示す熱式ガスセンサのセンサの平面図。
【図2】図1のX−X線の断面図。
【図3】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの駆動回路。
【図4】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの温度分布。
【図5】第1の実施例における熱式ガスセンサの実験結果。
【図6】第1の実施例における熱式ガスセンサの実験結果。
【図7】第2の実施例を示す熱式ガスセンサの平面図。
【図8】第2の実施例を示す熱式ガスセンサの駆動回路。
【図9】第3の実施例を示す熱式ガスセンサの平面図。
【図10】第3の実施例を示す熱式ガスセンサの駆動回路。
【図11】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの実験結果。
【図12】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの実験結果。
【図13】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの実験結果。
【図14】第4の実施例を示す熱式ガスセンサの平面図。
【図15】第4の実施例を示す熱式ガスセンサの駆動回路。
【図16】第5の実施例を示す熱式流量計の平面図。
【図17】第5の実施例を示す複合型センサの電気的接続図。
【図18】第1の実施例を示す熱式ガスセンサの補足実験結果。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面に基づき詳細に説明する。本実施形態は自動車用の内燃機関の吸気システムとして、吸気の湿度を測定する熱式ガスセンサに適用した例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は第一実施例を示す熱式ガスセンサのセンサエレメントの平面図、図2は、図1のX−X線断面図である。
【0019】
熱式ガスセンサ1aは、単結晶シリコンで形成された基板2を有している。基板2には、図1に示すように、空洞部5が形成されており、この空洞部5内に、第一の発熱体3と第二の発熱体4が敷設される。また、これら発熱体を支持する薄膜支持体6が基板2の空洞部上に位置するように形成されている。
【0020】
ここで、薄膜支持体6は図2に示すように基板2の上面に積層された絶縁層8a,8bによって構成されており、これらの絶縁層8a,8bの間に、発熱体3,4が介在されて支持されている。発熱体4は発熱体3の周囲を取り巻くように配置されている。
【0021】
このように、発熱体3の周辺を取り囲むように発熱体4を配置することにより、発熱体3の周囲温度が発熱体4の温度(T2)で維持され、周囲温度T3の依存性をより低減することが可能である。好ましくは発熱体3の四方を取り囲むように発熱体4を配置することがあげられる。
【0022】
また、発熱体3,4は、薄膜支持体6の平面に沿って延在し、複数の折り返し部を有する微細幅の抵抗体からなり、外部回路との接続のために基板2上に形成された電極7a,7b,7c,7dと電気的に接続される。
【0023】
発熱体3,4としては、高温において安定な材料(高い融点を有する材料)として、例えば、白金(Pt),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),シリコン(Si)等が選定され、絶縁層8a,8bとしては酸化シリコン(SiO2)と窒化シリコン(Si34)が単層あるいは積層構成にて選定される。また,絶縁層8a,8bとして、ポリイミドなどの樹脂材料やセラミック,ガラスなどが単層あるいは積層構成にて選定することもできる。また、電極7a,7b,7c,7dとしては、アルミニウム(Al)または金(Au)等が選定される。
【0024】
発熱体3,4,絶縁層8a,8bおよび電極7a〜7dは、フォトリソグラフィーを利用した半導体微細加工技術、異方性エッチング技術を用いて形成される。特に、空洞部5は、単結晶シリコン基板2を異方性エッチングして形成するので、電極7a〜7dには、異方性エッチングに用いるアルカリエッチング溶液への耐性のある金属を用いる方が良い。
【0025】
また、アルミニウムなどの耐性の無い金属を使用するときは、電極7a〜7dをアルミニウムとシリコンの合金で構成して耐性を持たせるか、または、電極7a〜7dの上に保護膜を形成しておいてから異方性エッチングを行うことが好ましい。
【0026】
図3は、熱式ガスセンサ1aの駆動回路の構成図である。以下、図3を用いて、第一実施例における熱式ガスセンサの動作について説明する。
【0027】
熱式ガスセンサ1aの駆動回路は、第一の発熱体3と第2の発熱体4に対して加熱電流を供給し、第一の発熱体3を第一の温度T1に制御し且つ第二の発熱体4を第一の温度よりも低温である第二の温度T2に制御する構成を有している。
【0028】
熱式ガスセンサ1aの駆動回路は、第一のブリッジ回路14aと第二のブリッジ回路14bと、差動増幅器10a,10bと、発熱体3,4に加熱電流を流すためのトランジスタ11a,11bを有している。尚、図3で符号12は電源である。
【0029】
第一のブリッジ回路14aは、発熱体3と固定抵抗9a,9b,9cから構成されており、発熱体3と固定抵抗9cが直列接続された直列回路と、固定抵抗9aと9bが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。第二のブリッジ回路14bも同様に、発熱体4と固定抵抗9d,9e,9fから構成されており、発熱体4と固定抵抗9fが直列接続された直列回路と、固定抵抗9dと9eが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。
【0030】
このとき、第一のブリッジ回路14aにおける発熱体3と固定抵抗9cの接続端電位と、固定抵抗9aと9bの接続端の電位とが差動増幅器10aに入力される。差動増幅器10aは、入力電圧の差に応じた電圧をトランジスタ11aのベース電極に出力する。トランジスタ11aにより、ベース電極の電位に応じてコレクタ−エミッタ間に流れる電流を制御する。トランジスタ11aのエミッタ電極は、第1のブリッジ回路14aの発熱体3と固定抵抗9aとの間に接続され、コレクタ−エミッタ間電流が第1のブリッジ回路14aに流れる。固定抵抗9aの抵抗値は発熱体3の抵抗値の10倍以上に設定する。これによりトランジスタ11aから流れる電流のほとんどは発熱体3へ流れ、発熱体3が加熱される。この構成により、発熱体3の温度が300℃程度の一定温度である第一の温度T1になるようにフィードバック制御される。
【0031】
発熱体3の温度設定は、既知である発熱体3の抵抗温度係数から第一の温度T1における発熱体3の抵抗値と固定抵抗9cの比と、固定抵抗9aと9bの比が一致するように設定され、発熱体3の温度が第一の温度T1より低いと、トランジスタ11aがオンして発熱体3にトランジスタ11aを介して電源12から加熱電流が流れることになる。
【0032】
第二のブリッジ回路14bでも同じように、発熱体4と固定抵抗9fの接続端の電位と、固定抵抗9dと9eの接続端の電位とが差動増幅器10bに入力される。差動増幅器10bは、入力電圧の差に応じた電圧をトランジスタ11bのベース電極に出力する。トランジスタ11bにより、ベース電極の電位に応じてコレクタ−エミッタ間に流れる電流を制御する。トランジスタ11bのエミッタ電極は、第2のブリッジ回路14bの発熱体4と固定抵抗9dとの間に接続され、電源12からコレクタ−エミッタ間の電流が第2のブリッジ回路14bに流れる。固定抵抗9dの抵抗値は発熱体4の抵抗値の10倍以上に設定する。これによりトランジスタ11bから流れる電流のほとんどは発熱体4へ流れ、発熱体4が加熱される。この構成により、発熱体4の温度が100℃以上の一定温度である第二の温度T2になるようにフィードバック制御される。
【0033】
発熱体4の温度設定は、既知である発熱体4の抵抗温度係数から第二の温度T2における発熱体4の抵抗値と固定抵抗9fの比と、固定抵抗9dと9eの比が一致するように設定され、発熱体4の温度が第二の温度T2より低いと、トランジスタ11bがオンして発熱体4にトランジスタ11bを介して電源12から加熱電流が流れることになる。
【0034】
図4に上記の第一の温度T1および第二の温度T2に制御された発熱体3,4の近傍の温度状態を示す。周囲温度T3は被測定ガスである熱式ガスセンサ1aの周囲のガスの温度である。この周囲温度T3は、たとえば季節などの環境条件により変化し、自動車用の内燃機関の吸気の場合−40℃から+125℃の間で変動する。発熱体4は、駆動回路により、温度T2に加熱されている。周囲温度T3が変動しても発熱体4の加熱温度は温度T2に保持される。発熱体3は、駆動回路により、T2よりも高い温度である温度T1に加熱されている。
【0035】
ここで、発熱体3からガスへの放熱量Q1、発熱体4からガスへの放熱量Q2は、近似的に、下記の(1),(2)式として表される。
Q1=λ(T1−T2) ・・・(1)
Q2=λ(T2−T3) ・・・(2)
ここで、λは空気の熱伝導率であり湿度により変化するパラメータである。上式から、周囲温度T3が変化すると、発熱体4の放熱量Q2が大きく変動するが、発熱体3の放熱量Q1は周囲温度T3の影響を受けることがない。すなわち、発熱体3は、常に一定温度T2の空気に晒されていることと等価である。したがって、T1,T2が一定であることから、発熱体3の放熱量Q1はλのみに依存する。λは湿度によって変化することから、Q1は周囲温度T3の変化の影響を受けず湿度に応じた信号となる。
【0036】
次に、発熱体3,4に投入される電力P1,P2は、下記の(3)(4)式となる。
P1=Q1+QB1+QG1 ・・・(3)
P2=Q2+QB1+QG2 ・・・(4)
上記(3)(4)式で、Q1,Q2は湿度に依存して熱伝導により周囲環境に放熱される熱量、QB1は薄膜支持体6を通じて熱伝導による熱量、QG1,QG2は自然対流および輻射により伝わる熱量である。
【0037】
ここで、薄膜支持体6の膜厚が薄く熱絶縁が理想的に十分確保され、自然対流および輻射が無視できると仮定すると、発熱体3,4に投入される電力P1,P2は下記の(5)(6)式となる。
P1=Q1=V12/R1 ・・・(5)
P2=Q2=V22/R2 ・・・(6)
ここで、V1,V2は発熱体3,4に印加される電圧、R1,R2は発熱体3,4の抵抗値である。
【0038】
さらに、(1),(2),(5),(6)式から
V12=λ(T1−T2)・R1 ・・・(7)
V22=λ(T2−T3)・R2 ・・・(8)
となる。(7)式において、T1,T2は一定であり、またR1も一定となるため発熱体3に印加される電圧V1は、周囲温度T3の影響を受けず、湿度によって変化するλに依存した信号である。
【0039】
図5,図6に本実施例における実験結果を示す。図5は空気中に本実施例における熱式ガスセンサを設置し、発熱体3をT1=500℃に加熱し、発熱体4をT2=250℃に加熱し、空気の温度と湿度を変化させたときの発熱体3の印加電圧V1の測定結果である。図5より、V1は周囲のガスの温度である周囲温度T3の変化の影響を受けず、湿度のみに依存した信号が得られていることがわかる。図6は同時に測定した発熱体4の印加電圧V2の測定結果である。発熱体4は、周囲温度T3の変化により印加電圧が変化し、発熱体4の周辺の空気温度を一定に保つ働きをしている。
【0040】
比較として、図18に第2の発熱体4を駆動せず、第1の発熱体3のみを駆動させたときの、V1の測定結果を示す。図18の結果から、周囲温度T3が変化すると、V1に大きな変動が生じ、湿度のみに依存した特性は得られないことがわかる。従って、所定の温度T2に加熱制御された発熱体4を設けることによって、発熱体3の空気の温度依存を低減する効果が得られることがわかる。
【0041】
図11は、空気中に本実施例における熱式ガスセンサを設置し、発熱体3をT1=500℃に加熱し、発熱体4をT2=200℃に加熱し、空気の温度と湿度を変化させたときの発熱体3の印加電圧V1の測定結果である。発熱体T2の温度を200℃にすると周囲温度T3の依存が起きることから発熱体4を設けたことによる効果が得られない。
【0042】
この理由は以下である。図12に、発熱体3のみを加熱したときの、発熱体3周辺の温度分布を示す。このとき、発熱体4は加熱していない。空洞部5の端部から発熱体3の端部までの間の任意の位置Xでの温度Tは以下のような分布となる。
T=T1・X/X3+T3 ・・・(9)
ここで、T1は発熱体3の温度、X3は空洞部5の端部から発熱体3の端部の距離、T3は周囲温度である。空洞部5の端部から、発熱体4の中心までの距離をX4とすると、発熱体4が位置X4での温度T2は、以下となる。
T2=T1・X4/X3+T3 ・・・(10)
式(10)のように、発熱体4を加熱していなくても、発熱体3からの熱電導により発熱体4の温度が上昇している。そのため、発熱体4の加熱温度が、式(10)よりも低く設定していると正常な加熱制御ができない。したがって、発熱体4の加熱温度T2は、
T2>T1・X4/X3+T3 ・・・(11)
となるように設定することが望ましい。
【0043】
また、T1は発熱体3の平均温度、T2は発熱体4の平均温度である。T3は周囲温度であり、測定対象となるガスの温度範囲の最大値としておくことで、ガスの温度範囲の全域において良好に測定することが可能である。
【0044】
さらに、発熱体4の温度T2は、発熱体3の温度T1よりも低く設定することが望ましい。発熱体4の温度T2が高くなると、式(7)におけるT1−T2が小さくなり、得られる電圧V1も小さくなり、感度が低下してしまうためである。
【0045】
以上のことから、発熱体4の温度T2は以下の範囲とすることが望ましい。
T1・X4/X3+T3<T2<T1・・・(12)
図13は、発熱体3の温度T1を一定として、発熱体4の温度T2を変えたときの湿度の検出感度の実験結果である。ここで、感度は、湿度を変化させたときの発熱体3の消費電力の変化量ΔPである。発熱体4の温度T2が高くなると、感度が小さくなる。これは、上述したように式(1)におけるT1−T2が小さくなるためである。このことから、T1−T2=0となると、ほとんど感度が得られなくなる。したがって、発熱体4の温度T2は、発熱体3の温度T1よりも低く設定することが望ましい。また、発熱体4の温度T2は、式(12)の範囲において、小さくするほうが、消費電力を低減でき、低消費電力の熱式ガスセンサが得られる。
【0046】
上記構成において、少なくとも発熱体4が敷設される面積を発熱体3が敷設される面積よりも大きくすることが必須である。発熱体4が敷設される面積を大きくすることにより、発熱体3の周囲温度T3の変化による影響をより低減することができる。
【0047】
また、発熱体4の温度は、水が蒸発する温度である100℃以上に設定することにより、水滴付着により生じる熱伝導率の急激な変動を緩和することもできる。
【0048】
また、発熱体4の温度は、環境変化によるガスの温度変化の範囲よりも高く設定する。これは、発熱体4の設定温度よりも高い温度のガスに晒された場合、発熱体4を一定にするために発熱体4を逆に冷却することが必要になるためである。上記の構成により、冷却機構は不要とすることができる。
【0049】
また、空気中の湿度を検出する場合、発熱体3の温度は、150℃以上に設定することが望ましい。これは、空気の温度が100℃〜150℃の範囲においては、湿度による空気の熱伝導率の変化が小さく、感度が低下してしまうためである。
【0050】
また、本実施例では発熱体3の印加電圧により湿度に応じた信号を得ているが、発熱体に流れる電流、また、固定抵抗9cの印加電圧を測定することでも、湿度に応じた信号が得られる。
【実施例2】
【0051】
図7は、本発明の第二実施例を示す熱式ガスセンサ1bのセンサエレメントの平面図である。図1の第1の実施例と異なるのは発熱体3の近傍に温度センサ23を配置し、また、発熱体4の近傍に温度センサ24を配置している点である。温度センサ23,24は発熱体3,4に沿って空洞部5内に延設され、温度センサ23は主として発熱体3の温度を検出し、温度センサ24は主として発熱体4の温度を検出する。温度センサ23,24は外部回路との接続のために基板2上に形成された電極7e,7f,7g,7hと電気的に接続される。
【0052】
温度センサ23,24は発熱体3,4と同様に形成され、高温において安定な材料(高い融点を有する材料)である白金(Pt),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),シリコン(Si)等が選定される。
【0053】
図8は熱式ガスセンサ1bの駆動回路の構成図である。以下、図8を用いて、第二実施例における熱式ガスセンサ1bの駆動回路の構成について説明する。
【0054】
熱式ガスセンサ1bの駆動回路は、第一および第二のブリッジ回路14c,14dと、差動増幅器10a,10bと、発熱体3,4に加熱電流を流すためのトランジスタ11a,11bを有している。尚、図8で符号12,15は電源である。
【0055】
第一のブリッジ回路14cは、温度センサ23と固定抵抗9a,9b,9cから構成されており、温度センサ23と固定抵抗9cが直列接続された直列回路と、固定抵抗9aと9bが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。第二のブリッジ回路14dも同様に、温度センサ24と固定抵抗9d,9e,9fから構成されており、温度センサ24と固定抵抗9fが直列接続された直列回路と、固定抵抗9dと9eが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。
【0056】
このとき、第一のブリッジ回路14cにおける、温度センサ23と固定抵抗9cの接続端電位と、固定抵抗9aと9bの接続端の電位とが差動増幅器10aに入力される。差動増幅器10aは、入力電圧の差に応じた電圧をトランジスタ11aのベース電極に出力する。トランジスタ11aにより、ベース電極の電位に応じて電源12からコレクタ−エミッタ間に流れる電流を制御する。トランジスタ11aのエミッタ電極は、発熱体3に接続され、コレクタ−エミッタ間の電流が発熱体3に流れる。これにより、トランジスタ11aから流れる電流により発熱体3が加熱され、発熱体3の温度が300℃程度の一定温度である第一の温度T1になるようにフィードバック制御される。
【0057】
発熱体3の温度設定は、既知である温度センサ23の抵抗温度係数から第一の温度T1における温度センサ23の抵抗値と固定抵抗9cの比と、固定抵抗9aと9bの比が一致するように設定され、温度センサ23の温度が第一の温度T1より低いと、トランジスタ11aがオンして発熱体3に加熱電流が流れることになる。このとき発熱体3と温度センサ23の温度はほぼ同等の温度となる。
【0058】
第二のブリッジ回路14dでも同じように、温度センサ24と固定抵抗9fの接続端の電位と、固定抵抗9dと9eの接続端の電位とが差動増幅器10bに入力される。差動増幅器10aは、入力電圧の差に応じた電圧をトランジスタ11bのベース電極に出力する。トランジスタ11bにより、ベース電極の電位に応じて電源12からコレクタ−エミッタ間に流れる電流を制御する。トランジスタ11bのエミッタ電極は、発熱体4に接続され、コレクタ−エミッタ間の電流が発熱体4に流れる。これによりトランジスタ11bから流れる電流により発熱体4が加熱され、発熱体4の温度が100℃程度の一定温度である第二の温度T2になるようにフィードバック制御される。このとき発熱体4と温度センサ24の温度はほぼ同等の温度となる。
【0059】
上記構成においても、発熱体3の印加電圧を測定することにより湿度に応じた信号が得られる。
【0060】
本実施形態の利点は、発熱体3,4がブリッジ回路14c,14dから電気的に切り離されているため、ブリッジ回路には加熱させるための大きな電流を流す必要がない。したがって、ブリッジ回路14c,14dを構成する抵抗の抵抗値を高く設定し、ブリッジ回路に流れる電流を小さくすることができる。また、ブリッジ回路14c,14dに印加する電圧を低くすることができる。これにより、ブリッジ回路14c,14dを構成する温度センサや抵抗の電力損失が低減され、省電力化を図ることができる。
【0061】
また、本実施例では発熱体3の印加電圧により湿度に応じた信号を得ているが、発熱体に流れる電流を測定することでも、湿度に応じた信号が得られる。
【実施例3】
【0062】
図9は、本発明の第三実施例を示す熱式ガスセンサ1cのセンサエレメントの平面図である。図6の第2の実施例と異なるのは、発熱体4の近傍に、温度センサ24に加え温度センサ34を配置している点である。温度センサ34は温度センサ24に沿って空洞部5内に延設され、温度センサ34は主として温度センサ24と同様、発熱体4の温度を検出する。温度センサ34は、外部回路との接続のために基板2上に形成された電極7i,7jと電気的に接続される。
【0063】
温度センサ34は発熱体3,4,温度センサ23,24と同様に形成され、高温において安定な材料(高い融点を有する材料)である白金(Pt),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),シリコン(Si)等が選定される。
【0064】
図10は熱式ガスセンサ1cの駆動回路の構成図である。以下、図10を用いて、第三実施例における熱式ガスセンサ1cの駆動回路の構成について説明する。
【0065】
熱式ガスセンサ1cの駆動回路は、第一および第二のブリッジ回路14e,14dと、差動増幅器10a,10bと、発熱体3,4に加熱電流を流すためのトランジスタ11a,11bを有している。尚、図3で符号12,15は電源である。
【0066】
第一のブリッジ回路14eは、温度センサ23と温度センサ34と固定抵抗9b,9cから構成されており、温度センサ23と固定抵抗9cが直列接続された直列回路と、温度センサ34と固定抵抗9bが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。第二のブリッジ回路14dは、温度センサ24と固定抵抗9d,9e,9fから構成されており、温度センサ24と固定抵抗9fが直列接続された直列回路と、固定抵抗9d,9eが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。
【0067】
このとき、第一のブリッジ回路14eにおける温度センサ23と固定抵抗9cの接続端電位と、温度センサ34と9bの接続端の電位とが差動増幅器10aに入力され、発熱体3の温度が第一の温度T1になるようにフィードバック制御される。このとき発熱体3と温度センサ23の温度はほぼ同等の温度となる。
【0068】
発熱体3の温度設定は、既知である温度センサ23の抵抗温度係数から第一の温度T1における温度センサ23の抵抗値と固定抵抗9cの比と、温度センサ34の抵抗温度係数から第二の温度T2における温度センサ34の抵抗値と固定抵抗9bの比が一致するように設定され、温度センサ23の温度が第一の温度T1より低いと、トランジスタ11aがオンして発熱体3に加熱電流が流れることになる。
【0069】
第二のブリッジ回路14dにおいても同様であり、実施例2で記載した通りである。
【0070】
本実施例は、発熱体4の温度T2に対して発熱体3の温度が一定温度高くなるよう制御することで、発熱体3を第1の温度T1に制御している。
【0071】
上記構成においても、発熱体3の印加電圧を測定することにより湿度に応じた信号が得られる。
【0072】
本実施例では、発熱体3,4がブリッジ回路14e,14dから電気的に切り離されているため、ブリッジ回路には加熱させるための大きな電流を流す必要がない。したがって、ブリッジ回路14e,14dを構成する温度センサや抵抗の抵抗値を高く設定することができる。また、ブリッジ回路14e,14dに印加する電圧を低くすることができる。
【0073】
さらに、ブリッジ回路14eを構成する温度センサ34に流れる電流により、電力消費が生じたとしても、発熱体4の温度上昇に寄与するため、電力を有効に利用できる。これにより、ブリッジ回路14c,14dを構成する抵抗の電力損失が低減され、省電力化を図ることができる。
【0074】
また、温度センサ23と温度センサ34を同一の材料で形成することにより、抵抗の特性や加工条件が同一となり、抵抗バランスが向上し、加工ばらつきによる抵抗バランスの悪化も低減することができる。
【実施例4】
【0075】
図14は、本発明の第四実施例を示す熱式ガスセンサ1dのセンサエレメントの平面図である。図9の第3の実施例と異なるのは、熱式ガスセンサ1d上に、温度センサ35,36を配置している点である。温度センサ35,36は空洞部5の外側に配置され、主として周囲温度を検出する。温度センサ35は、外部回路との接続のために基板2上に形成された電極7k,7lと電気的に接続される。また、温度センサ36は、外部回路との接続のために基板2上に形成された電極7m,7nと電気的に接続される。
【0076】
温度センサ35,36は、発熱体3,4,温度センサ23,24と同様に形成され、高温において安定な材料(高い融点を有する材料)である白金(Pt),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),シリコン(Si)等が選定される。
【0077】
図15は熱式ガスセンサ1dの駆動回路の構成図である。以下、図15を用いて、第四実施例における熱式ガスセンサ1dの駆動回路の構成について説明する。
【0078】
熱式ガスセンサ1dの駆動回路は、第一および第二のブリッジ回路14f,14dと、差動増幅器10a,10bと、発熱体3,4に加熱電流を流すためのトランジスタ11a,11bを有している。尚、図14で符号12,15は電源である。
【0079】
第一のブリッジ回路14fは、温度センサ23と温度センサ34,35,36から構成されており、温度センサ23と温度センサ35が直列接続された直列回路と、温度センサ34と温度センサ36が直列接続された直列回路とを並列に接続される。第二のブリッジ回路14dは、温度センサ24と固定抵抗9d,9e,9fから構成されており、温度センサ24と固定抵抗9fが直列接続された直列回路と、固定抵抗9d,9eが直列接続された直列回路とを並列に接続して構成される。
【0080】
このとき、第一のブリッジ回路14fにおける温度センサ23と温度センサ35の接続端電位と、温度センサ34と温度センサ36の接続端の電位とが差動増幅器10aに入力される。作動増幅器10aは、入力電圧の差に応じた電圧をトランジスタ11aのベース電極に出力する。トランジスタ11aにより、ベース電極の電位に応じてコレクタ−エミッタ間に流れる電流を制御する。トランジスタ11aのエミッタ電極は発熱体3に接続され、コレクタ−エミッタ間の電流が発熱体3に流れる。これにより発熱体3が加熱され第一の温度T1になるようにフィードバック制御される。このとき発熱体3と温度センサ23の温度はほぼ同等の温度となる。また、温度センサ35と温度センサ36の温度は同等の温度となる。
【0081】
発熱体3の温度設定は、既知である温度センサ23の抵抗温度係数から第一の温度T1における温度センサ23の抵抗値と温度センサ35の比と、温度センサ34の抵抗温度係数から第二の温度T2における温度センサ34の抵抗値と温度センサ36の比が一致するように設定され、温度センサ23の温度が第一の温度T1より低いと、トランジスタ11aがオンして発熱体3にトランジスタ11aを介して電源12から加熱電流が流れることになる。
【0082】
第二のブリッジ回路14dにおいても同様であり、実施例2で記載した通りである。
【0083】
本実施は、発熱体4の温度T2に対して発熱体3の温度が一定温度高くなるよう制御することで、発熱体3を第1の温度T1に制御している。
【0084】
上記構成においても、発熱体3の印加電圧を測定することにより湿度に応じた信号が得られる。
【0085】
本実施例では、ブリッジ回路14fを構成する温度センサ23,35,34,36が同一の抵抗材料で形成していることから、抵抗の特性や加工条件が同一となり、抵抗バランスが向上する。また、加工による抵抗バランスの悪化を低減することができる。
【0086】
また、温度センサ35,36に流れる電流による発熱は、熱式ガスセンサ1dの温度を上昇させ、発熱体3,4の温度上昇にも寄与する。固定抵抗を用いる場合は、熱式ガスセンサ1dから離れた位置に固定抵抗が設けられるため、固定抵抗に流れる電流による発熱は、周囲へと放熱され発熱体3,4の温度上昇には寄与しない。したがって、本実施形態は、電力を有効に使用でき低電力化が可能である。また、ブリッジ回路14fを構成する抵抗はすべて熱式ガスセンサ1dの素子内部に形成することができる。これにより、部品数を削減することができ小型化が可能になる。
【0087】
さらに、図15における固定抵抗9f,固定抵抗9eに関しても、熱式ガスセンサ1dに温度センサ35,36と同様に形成することにより、さらに小型化が可能になる。
【実施例5】
【0088】
図16,図17は、実施例1に示した熱式ガスセンサ1aを適用し、熱式空気流量センサ37と一体になって設けられた複合型センサ49を有する熱式流量計46を示す平面図である。本実施形態における熱式流量計46は、例えば、エンジンの内燃機関の吸気管51に取付けられ、ベース部材39に熱式ガスセンサ1aと熱式空気流量センサ37と駆動LSI38が設置されている。また、ベース部材39を覆うように設けられたハウジング部材40により、空気流43を取り込む副通路45と、空洞部47,48が形成されており、副通路45に熱式空気流量センサ37を設置している。空洞部47は副通路45と連通されており、熱式ガスセンサ1aを設置している。空洞部48には駆動LSI38を設置している。
【0089】
次に、図17を用いて複合型センサ49の電気的な接続について説明する。熱式ガスセンサ1aは、金線などのボンディングワイヤーでベース部材39内部に設けた内層導体44を介して、駆動LSI38に接続される。図中の点線は内層導体44を示している。また、熱式空気流量センサ37も同様に金線などのボンディングワイヤーでベース部材39内部に設けた内層導体44を介して、駆動LSI38に接続される。駆動LSI38には熱式ガスセンサ1aを駆動するための回路と、熱式空気流量センサ37を駆動するための回路が設けられている。駆動LSI38は熱式ガスセンサ1aからの湿度に関する電気信号と、熱式空気流量センサ37の空気の質量流量に関する電気信号を取り込む。そして、駆動LSI38から金線などのボンディングワイヤーと内層導体を介して、アルミなどのボンディングワイヤー41により端子部42に接続される。端子部42から外部へ湿度と空気流量に関する信号を得ることができる。
【0090】
駆動LSI38には、演算器が搭載され、熱式空気流量センサ37からの信号と熱式ガスセンサからの信号を用い演算する。これにより、熱式空気流量センサ37の湿度依存による誤差を補正することができ高精度な空気流量を演算し出力することができる。
【符号の説明】
【0091】
1a,1b,1c 熱式ガスセンサ
2 基板
3,4 発熱体
5,47,48 空洞部
6 薄膜支持体
7a〜7j 電極
8a,8b 絶縁層
9a〜9f 固定抵抗
10a,10b 差動増幅器
11a,11b トランジスタ
12,15 電源
14a〜14e ブリッジ回路
23,24,34,35,36 温度センサ
37 熱式空気流量センサ
38 駆動LSI
39 ベース部材
40 ハウジング部材
41 ボンディングワイヤー
42 端子部
43 空気流
44 内層導体
45 副通路
46 熱式流量計
49 複合型センサ
51 吸気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部を有する基板と
前記空洞部に積層され、複数の絶縁層から構成される薄膜支持体と、
前記薄膜支持体の絶縁層に挟持された第1の発熱体および第2の発熱体とを有し、
前記第2の発熱体は前記第1の発熱体の周辺に配置され、
前記第1の発熱体は前記第2の発熱体よりも高温に制御され、
前記第1の発熱体に印加される電力に基づいて周囲ガスの濃度を測定する熱式ガスセンサセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体は前記第1の発熱体の四方を取り囲むように形成され、前記第2の発熱体が敷設される面積は前記第1の発熱体が敷設される面積よりも広く形成されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第1の発熱体の温度と前記第2の発熱体の温度差が一定温度となるように加熱制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第1の発熱体の近傍に第1の温度センサが配置されていることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体の近傍に第2の温度センサが配置されていることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体が100℃以上の温度で加熱されていることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項7】
請求項1または2に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第1の発熱体の加熱温度は、前記第1の発熱体と複数の固定抵抗から構成されるブリッジ回路を有する加熱温度制御手段により温度制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項8】
請求項4に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第1の発熱体の加熱温度は、前記第1の温度センサと複数の固定抵抗から構成されるブリッジ回路を有する加熱温度制御手段により温度制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項9】
請求項4に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体の近傍に第2の温度センサが配置され、
前記第1の温度センサと前記第2の温度センサを有するブリッジ回路と、前記ブリッジ回路を有する加熱温度制御手段とにより前記第1の発熱体の加熱温度が制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項10】
請求項1または2に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体の加熱温度は、前記第2の発熱体と複数の固定抵抗から構成されるブリッジ回路を有する加熱温度制御手段により温度制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項11】
請求項5に記載の熱式ガスセンサにおいて、
前記第2の発熱体の加熱温度は、前記第2の温度センサと複数の固定抵抗から構成されるブリッジ回路を有する加熱温度制御手段により温度制御されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項12】
請求項1の熱式ガスセンサにおいて、
前記第1の発熱体の加熱温度をT1、前記第2の発熱体の加熱温度をT2、前記熱式ガスセンサ周辺のガス温度をT3、前記空洞部の端部から前記第1の発熱体までの距離をX3、前記空洞部の端部から前記第2の発熱体までの距離をX4とすると、
前記第2の発熱体の加熱温度T2は、T1・X4/X3+T3<T2<T1の範囲に設定されることを特徴とする熱式ガスセンサ。
【請求項13】
請求項1に記載の熱式ガスセンサと、ベース部材と、前記ベース部材に配置された熱式空気流量センサと、前記熱式空気流量センサと電気的に接続された駆動集積回路とを有し、
前記熱式ガスセンサは、前記ベース部材に配置され、前記ベース部材に設けられた内層導体を介して前記駆動集積回路に電気的に接続されることを特徴とする濃度検出装置。
【請求項14】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられた空気流を取り込む副通路と、前記副通路と連通された第1の空洞部とを有し、前記副通路内に配置された熱式空気流量センサと、前記第1の空洞部に配置された熱式ガスセンサとを備え、
前記熱式ガスセンサは、第2の空洞部を有する基板と、前記第2の空洞部に積層され、複数の絶縁層から構成される薄膜支持体と、前記薄膜支持体の絶縁層に挟持された第1の発熱体および第2の発熱体とを有し、前記第2の発熱体は前記第1の発熱体の周辺に配置され、前記第1の発熱体は前記第2の発熱体よりも高温に制御され、前記第1の発熱体に印加される電力に基づいて周囲ガスの濃度を測定することを特徴とする熱式流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−137679(P2011−137679A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296665(P2009−296665)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】